説明

硫化鉄鉱や石炭塵用の乾式コンベヤプラント

本発明は、固体化石燃料の粉砕装置から排出される、硫化鉄鉱や金属片のような他の異物や、粉砕された固体化石燃料などを処理するための、内部に金属製コンベヤベルト(6)を備えた閉鎖型あるいは開放型の金属製コンテナ(1)を備えたコンベヤプラントに関するものである。コンベヤは、弁(3)、混合装置(4)を介して、または直接重力送りチャンネルから各粉砕装置の硫化鉄鉱の貯蔵タンク(2)の硫化鉄鉱を受け取る。運搬材料の自然発火は、プラントの構成に応じて、水導入ノズル(17)、不活性ガスあるいはスチームを導入するノズル(18)を設けた消火システムにより制御される。硫化鉄鉱や固体化石燃料の塵は貯蔵サイロ(16)に集められる。このサイロにも不活性ガスあるいはスチームによる消火システムが設けられている。不活性ガスあるいはスチームによる消火システムは貯蔵タンク(2)にも設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体化石燃料を粉砕する工場から排出される石炭塵や各種の異物が混入した硫化鉄鉱を取り扱うコンベヤプラントに関し、特に、自然発火性のある高温物質を安全に運搬することができるコンベヤプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭や亜炭などの固体化石燃料が送り込まれる蒸気発生装置は、ボイラー内での燃焼効率を最良にし、エネルギー効率を高めるために燃料を所定の粒度まで細かくする必要がある。細粉化は粉砕プラントで行われるが、そのプラントでは粉砕装置の機械部品の衝撃、圧縮、摩擦により石炭が所望の粒度まで破砕される。その後、得られた石炭塵は空気式コンベヤおよびバーナーを経てボイラーまで運ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術においては、硫化鉄鉱などの石炭中に含まれる重い物質は、粉砕経路から遠心力により除去され、それらは石炭塵と共に、自然発火による火災や爆発の危険を避けるために、油圧式コンベヤを用いて貯蔵部に搬送される。石炭塵の量は使用される設備の種類や、粉砕装置を構成する機械部品の摩耗や不良により異なる。
【0004】
水の浪費や石炭による水の汚染のために油圧システムにおいては、通常、石炭中に含まれる金属片の運搬にいくつかの限界がある。また、材料の粒度についても問題がある。これらの限界を克服するには、装置の入り口で材料を篩いにかける必要があり、篩い網の洗浄を手作業で行う必要があるという障害もある。
【0005】
現在、真空式のコンベヤも用いられているが、材料のサイズの関係と、鉄片が大きな障害になるため、限界が大きい。
【0006】
粉砕装置から硫化鉄鉱を集めるために、開放式のゴム式コンベヤは、用いることは少ないが、石炭が自然発火した場合、ベルトに炎が広がるためひどい結果を招くことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的であるコンベヤプラントは、環境への塵埃の排出が最小で、硫化鉄鉱を運搬できる耐熱性の金属製コンベヤベルトを用いているので、上記の問題を解決できる。上記プラントはどんな燃焼でも検出できるセンサを備えており、センサの信号で消火装置を作動させる。コンベヤプラントは、その中に金属製のベルトコンベヤが設置された開放型あるいは閉鎖型の金属製コンテナと、石炭粉砕装置の下にある貯蔵タンクと、最終の貯蔵サイロから成っている。金属製のベルトコンベヤに材料を送る貯蔵タンクは、材料供給作業中および材料降ろし作業中、石炭粉砕装置を下流の金属製コンベヤから切り離すためのものである。この切り離しは各貯蔵タンクの上流と下流にある一対の弁によって行なわれる。
【0008】
コンベヤプラント全体に、金属製のベルトコンベヤ上での燃焼および閉じたタンク内での石炭塵の燃焼を消火するための防火装置を備えている。燃焼の検出は適当な位置に設置したセンサによって行なわれ、閉じたエリアの場合はガスを、コンベヤベルトの場合は水を、センサからの信号でオンオフする。コンベヤベルトが完全な閉鎖型の場合、消火は不活性ガスあるいはスチームで行なわれる。
【0009】
水による消火装置の場合、貯蔵サイロまで運ばれるすべての材料に放水されるように、好ましくはコンベヤから材料を降ろす地点の近くに設ける。
【0010】
コンベヤが開放型の場合、環境に石炭塵が排出されるのを避けるため脱落防止用側板を備えている。金属製コンベヤの底には開口を設け、消火用水の集水溝をコンベヤの下に設ける。
【0011】
コンベヤプラントの特定の構成において、金属製のコンベヤに粉鉱回収装置や消火用ノズルを設け、また水を前記回収装置により適当な集水地点まで回収するようにしてもよい。
【0012】
プラントのレイアウトでは、金属製コンベヤの下流に、空気式コンベヤを設け、硫化鉄鉱を含んだ材料を貯蔵サイロまで運ぶようにしてもよい。この実施例の場合、硫化鉄鉱に混じっている鉄系材料を取り除くための鉄除去装置と、硫化鉄鉱の粒度を小さくし、空気式コンベヤが使用できるようにする粉砕装置を金属製コンベヤの下流に設ける。
【0013】
本発明の特徴、目的、効果は、以下の説明と、図面および実施例からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
異なる図においても番号が同じであれば同じか均等の部品を示す。
【0015】
本発明は、発電プラントで用いられる燃料破砕装置から出る鉱石や金属片や石炭片などを運搬するコンベヤプラントに関する。
【0016】
スチール製で、開放式あるいは閉鎖式の金属製コンテナ1に挿入される金属製ベルト運搬装置は、ベルトコンベヤ6から成り、コンベヤは特殊スチール入りのベルト7を備え、ベルトには互いに部分的に重なったスチール製の板9がねじ8で固定されており、すきまのないコンベヤチャンネルを形成している。前記コンベヤは滑らかな上部軸受ローラ10と、下部軸受ローラ11より支持されている。トルクは、牽引ドラム12と、対向する戻りドラム13により摩擦によりトルクが伝達され、張力付与装置14を備えている。
【0017】
張力付与装置14によって引っ張り力がかかると、板9が重なっている部分で加圧され、板9同士がより隙間なく係合され、小さい材料でも脱落しなくなる。
【0018】
あるいは、高温の材料を運搬するのに適したスチール製のコンベヤは支持プレートタイプでもよく、チェーンがスプロケットにより駆動される。
【0019】
金属製のベルトコンベヤ6は、粉砕装置(図示省略)の下流にある貯蔵タンク2から排出される硫化鉄鉱15を受け取り、その時、弁3が開き、弁21が閉じる。二つの弁の開閉状態が逆になると、材料がタンク2に貯蔵される。
【0020】
貯蔵タンク2内の硫化鉄鉱15が弁3を経て、混合装置4を通って金属製コンベヤベルト6の上に積まれる。
【0021】
コンベヤには二つの異なった構成がある。
a)構成
その中に金属製コンベヤが収められた金属製コンテナが開口を備え、開口を通じてコンテナの内部と外部とが通じているもの。
b)構成
その中に金属コンベヤが収められた金属製コンテナが完全に閉鎖されているもの。
【0022】
その後、材料15は所定の貯蔵部16に運ばれる。この作業は機械式コンベヤ(図1参照)あるいは機械式コンベヤと空気式コンベヤ(図1b図参照)の両方で行なわれる。
【0023】
機械式/空気式コンベヤの場合、硫化鉄鉱混合物15の中に含まれる鉄系材料を除去するための鉄除去装置25と、空気式で運搬するために材料のサイズを小さくするための粉砕装置26が金属製コンベヤ6の下流に設けられている。
【0024】
a)構成の場合、ちりが環境に排出されるのを避けるために、金属製ベルトに脱落防止用側板23を備えている。この構成の場合、材料15と共に金属製ベルトに載せて運ばれる石炭塵の燃焼を消すために、温度センサ19が金属製コンテナ1内に設けられ、注水ノズル17を備えた消火装置を制御する。
【0025】
消火用の水を排出するために、コンベヤの底部に開口を設け、その下に適当な集水チャンネルを設けてもよい。
【0026】
b)構成の場合、燃焼物を消火するために、適当な場所にセンサ19を設け、注入ゲート18から不活性ガスあるいはスチームを金属製コンテナ1に入れるようにする。
【0027】
不活性ガスあるいはスチームを入れるのは、どちらの構成の場合も貯蔵タンク2と貯蔵サイロ16の両方に対して行なう。
【0028】
b)構成の場合、金属製コンテナ1は安全ドア20を備えており、爆発すれば自動的に開いて爆発による圧力上昇から装置を保護するようになっている。
【0029】
コンベヤプラントの実施例においては、金属製のベルトコンベヤ6は金属製コンベヤの底部から粉鉱を回収する装置24を備えても良い。そのような回収装置は金属製コンベヤベルト6の戻り側の下にあり、水用ノズル17を備えても良い。
【0030】
消火の際に用いた水は、同じ回収装置によって集水チャンネルに運ぶことができる。
【0031】
以上述べた実施例に加えた変更や追加や機能的に同等のものと交換するなどは、すべて添付の請求範囲に記載された権利範囲に入る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】貯蔵サイロへの運搬はもっぱら機械式で行われるコンベヤプラントの側面図である。
【図1b】貯蔵サイロへの運搬が機械式と空気式で行われるコンベヤプラントの側面図である。
【図2】板9、ねじ8、スチール入りベルト7、軸受ローラ10を備えた金属製コンベヤベルトの概略図である。
【図3】金属製コンベヤベルトの索引ドラム12、戻りドラム13、上部軸受ローラ10、下部ローラ軸受11を示す概略図である。
【図4】装置が完全に閉鎖されていない状態(a構成)のコンベヤ装置の断面の概略図である。
【図5】装置が完全に閉鎖された状態(b構成)のコンベヤ装置の断面の概略図である。
【図6】a構成における、コンベヤベルト6上の可燃ガスの温度および濃度をコントロールする消火装置用ノズル17およびセンサ19の配置を示す概略図である。
【図7】b構成における、コンテナ1内部の可燃ガスの温度および濃度をコントロールする不活性ガスあるいはスチーム供給装置用ノズル18およびセンサ19の配置を示す概略図である。
【図8】b構成における粉鉱回収装置を備えたコンベヤの断面図である。
【図9】b構成の金属製コンベヤの防爆用安全ドア20の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各粉砕装置に対し1つの貯蔵タンク(2)と、閉鎖型あるいは開放型の金属製コンテナ(1)と、貯蔵サイロ(16)とから成り、コンテナ(1)の中には火災の延焼を防止する高温耐熱性のある金属製コンベヤベルト(6)を備えた、固体化石燃料の粉砕装置から排出される硫化鉄鉱、石炭塵、その他の材料(15)を安全に運搬するためのコンベヤプラントにおいて、貯蔵タンク(2)、金属製コンテナ(1)および貯蔵サイロ(16)が、プラントの構成に応じて不活性ガス(18)あるいは水(17)の導入を制御する燃焼検出センサ装置(19)を備えたことを特徴とするコンベヤプラント。
【請求項2】
鉄除去装置(25)による鉄系材料の除去、および粉砕装置(26)による粒度の低減の後、硫化鉄(15)の貯蔵サイロ(16)への運搬をもっぱら機械式コンベヤで行なうか、あるいは機械式コンベヤと空気式コンベヤの両方で行なうようにしたことを特徴とする請求項1記載のコンベヤプラント。
【請求項3】
金属製コンテナ(1)が外部環境と連通している場合、燃焼消火装置にセンサによって作動される水導入ノズル(17)を設け、金属製コンテナが閉鎖型の場合、不活性ガスあるいはスチームを導入するノズル(18)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンベヤプラント。
【請求項4】
周辺環境に塵埃が排出されるのを避けるためコンベヤの全長に沿って側板(23)を設けたことを特徴とする請求項3記載のコンベヤプラント。
【請求項5】
コンテナ(1)の底に材料のくずが堆積しないようにクリーンに保つために、金属製コンテナ(1)の内部に粉鉱回収装置(24)を設け、それを材料降ろし部(6)まで運ぶようにしたことを特徴とする請求項1記載のコンベヤプラント。
【請求項6】
石炭塵が燃えた場合、それを消火するために、粉鉱回収装置に水ノズル(17)を備え、センサ(19)からの信号で作動させるようにしたことを特徴とする請求項5記載のコンベヤプラント。

【図1】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2008−509059(P2008−509059A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524267(P2007−524267)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008383
【国際公開番号】WO2006/013098
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(307023409)マガルディ パワー ソシエタ ペル アチオニ (5)
【Fターム(参考)】