説明

移載装置、並びに、コンベア装置

【課題】本発明は、重量搬送物を搬送するコンベアラインに配された場合であっても、全高を低く維持でき、コンベアライン全体の高さを増加させない移載装置、並びにコンベア装置を提供することを目的とした。
【解決手段】移載装置1は、搬送部12と昇降部13とが筐体14に固定されたもので、搬送部12は格子状に行列を成して並べられたローラ9とローラ9によって形成された行方向のローラ群と列方向のローラ群を群毎に連動回転させるチェーン7と各格子点に配される保持カバー5と搬送用駆動装置3を有し、昇降部13は昇降用駆動装置2と直線運動を行う直線運動部材6と直線運動部材6の運動を回転運動に変換して昇降運動として伝導する変換部材4を有する。変換部材4は各格子点に配されて各ローラ9を昇降させ、行方向と列方向の各群のローラ9を一斉に昇降させ、各群は上昇位置にあるときに1つの平面を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアラインに配置され、搬送物を搬出あるいは搬入する移載装置、並びに、コンベア装置に関するもので、特には別のコンベアラインに搬出可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の組み立てラインや、倉庫における物品の収納ラインでは、製品や物品等の搬送物の搬送にコンベアラインが利用されることが多い。例えば、倉庫では多数のコンベアラインが縦横に配置されていて、コンベアラインが交錯する位置に移載装置が配置されている。そして、移載装置を作動することによって搬送物を当該コンベアラインから搬出して別のコンベアラインに乗り移らせ、当該搬送物を所望の場所に搬送する。
【0003】
ここで、移載装置は、一般にコンベアラインに対して直角方向に搬送可能な搬送部と当該搬送部を昇降する昇降部とを有するものである。即ち、移載装置により搬送方向を変えない場合は、コンベアライン上の搬送物の搬送の邪魔にならないように、搬送部の頂面を当該コンベアラインの搬送面より下側に収納している。そして、センサ等によってコンベアラインを流れる搬送物の行き先を判別し、所定の搬送物の場合は、ストッパーによって搬送物を移載装置上に停止させる。次に昇降部を作動させて搬送部の頂面を当該コンベアラインの搬送面よりも上側に隆起させ、搬送物をすくい上げる。そして、当該搬送部を作動させて搬送物を別のコンベアラインに送り出す。
【0004】
特許文献1,2に開示された移載装置では、ベルトを具備した搬送部が採用されている。即ち、特許文献1に開示された移載装置では、2本のベルトが平行に懸架され、この2本のベルトによって搬送物がすくい上げられる。そして、2本のベルトは同方向に走行し、搬送物を主たるコンベアラインから直角方向に搬出する。
特許文献2についても同様であり、5本のベルトが平行に懸架され、5本のベルトは同方向に走行し、搬送物を主たるコンベアラインから直角に搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−312832号公報
【特許文献2】特開20000−168948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に記載の移載装置は、重量搬送物を搬送する場合は、昇降部に大掛かりな駆動装置が必要となるため、移載装置自体の高さが増すと共にコンベアライン全体の高さが増し、搬送物をコンベアラインに載置する際、あるいは、組み立てラインでの作業の際等に作業者が不安を覚える場合があった。
【0007】
具体的に説明すると、特許文献1,2の移載装置は、平行に懸架されたベルトによって、搬送物をコンベアラインの頂面よりも若干上方に持ち上げて別のコンベアラインに搬出するため、当該ベルトを持ち上げる昇降部は、搬送部のみならず、ベルト上に載置された搬送物をも持ち上げるための駆動力を必要とする。即ち、重量搬送物が搬送されるコンベアラインであれば、移載装置の昇降部には大きな駆動力を有する駆動装置が必要となる。ここで、具体的に用いられる駆動力の大きい駆動装置には、大型のモータや空圧又は油圧アクチュエータがある。
なお、従来技術の移載装置は、一般的に、昇降部を形成する昇降用の駆動源を搬送部の下方に配した構成とされている場合が多い。
【0008】
即ち、従来技術の移載装置に大型モータを採用する場合は、モータの大きさの分、必然的に移載装置全体の高さが増すこととなる。また、空圧又は油圧のアクチュエータを採用する場合は、シリンダーのピストン運動を昇降運動として利用することを考慮すると、シリンダーとシリンダーが収容される筒の合計長さ分、移載装置の全体高さが増すこととなる。従って、従来技術の移載装置であれば、重量搬送物を搬送する場合は、昇降部に必要とするスペースが増加して移載装置全体の高さが増すと共にコンベアライン全体の高さが増し、搬送物をコンベアラインに載置する際、あるいは、組み立てラインでの作業の際等に作業者が不安を覚える場合があった。
【0009】
そこで本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み、重量搬送物を搬送するコンベアラインに配された場合であっても、全高を低く維持でき、コンベアライン全体の高さを増加させない移載装置、並びにコンベア装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、複数のローラを備えた搬送物を移動させる搬送部と、当該搬送部を昇降させる昇降部とを有し、前記複数のローラ中には、行方向に配列されたローラと、列方向に配列されたローラが存在してこれらが格子状に行列を成して並べられ、各格子点でローラの両端側が保持されてローラが回転し、前記昇降部は昇降用動力源と、当該昇降用動力源から直接的あるいは間接的に伝導された動力により往復直線運動を行う直線運動部材と、当該直線運動部材の直線運動を回転運動に変換すると共に当該回転運動を昇降運動に変換してローラに伝導可能な複数の変換部材とを有し、
当該変換部材は各格子点に配されていて各ローラを昇降させるものであり、行方向に配列されたローラ群は一斉に昇降し、列方向に配列されたローラ群についても一斉に昇降し、行方向に配列されたローラ群が上昇位置にあるときは行方向に配列されたローラ群によって一つの平面を形成し、列方向に配列されたローラ群が上昇位置にあるときは列方向に配列されたローラ群によって一つの平面を形成することを特徴とする移載装置である。
【0011】
本発明の移載装置は、複数のローラを備えた搬送部と当該搬送部を昇降させる昇降部を有しており、搬送部を形成する行方向に配列されたローラと列方向に配列されたローラとが格子状に並べられているため、行方向並びに列方向に配された異なるコンベアラインに搬送することが可能となる。即ち、昇降部により行方向と列方向の各ローラ群を互いに干渉し得ない程度の高低差を形成することで、搬送物の搬送を異なるローラ群に干渉されることがなくなるため、搬送物を円滑に搬送できる。具体的には、本発明の移載装置は、コンベアラインが縦横に交差する場所に配され、搬送部の行方向と列方向のローラがコンベアラインの縦横に繋がるように配することで、搬送物を所望の方向に搬送できる。
【0012】
また、各ローラは格子点に両端側が保持されて回転する構成であるため、採用するローラの長さを変えることで、装置自体の大きさを容易に変えることが可能となる。即ち、搬送物の大きさにより、コンベアラインの大きさ(コンベアラインの幅)を変化させることができるため、結果的に工場内あるいは倉庫内の大きさに応じてそれらの空間を有効に利用することが可能となる。
【0013】
また、本発明の移載装置は、昇降部が昇降用動力源から直接的あるいは間接的に伝導された動力を受けて往復直線運動を行う直線運動部材と、その直線運動を回転運動に変換して昇降運動としてローラに伝導する変換部材を有しているため、昇降用動力源を搬送部の下方に配置させる必要がない。例えば、変換部材を直線運動部材の直線運動と略同一平面内で回転できるように配置させる。ここで、回転により昇降運動を伝導する機構として、平板状のカムが提案できる。即ち、平板状のカムの表面に回転方向に高低差を形成し、ローラの端部側が当該高低差を回転移動することで、ローラの昇降運動が実現できる。従って、ローラの昇降運動のために、搬送部の下方に昇降用動力源を配置させる必要がない。また、昇降部に必要な高さは、直線運動部材及び変換部材がそれぞれの運動を行える程度で良い。具体的には、直線運動部材と変換部材を合計した部材厚程度である。即ち、本発明の移載装置は、先に説明した従来技術のように昇降用動力源を搬送部の下方に配置させる必要がなく、さらに昇降部を省スペース化できる構成であるため、装置全体としての高さを増加させることがない。従って、本発明の移載装置では、従来技術の移載装置と比較すると移載装置の全高を低くできる。
【0014】
また、本発明に採用された変換部材は、ローラにより形成された各格子点に配されて各ローラを昇降させる。さらに、行方向並びに列方向のローラ群は、一斉に昇降し、各群が上昇位置にあるときはそれぞれの群によって1つの平面を形成するため、搬送物は行方向,列方向のいずれの方向に搬送されたとしても安定した状態で搬送される。
【0015】
従って、本発明の移載装置は、直線運動部材の往復直線運動を回転運動に変換して当該回転運動を昇降運動として伝導できる変換部材を有するため、昇降用駆動源を搬送部の下方に配する必要がない。即ち、本発明の移載装置であれば、搬送部の下方に昇降部用のスペースを殆ど必要としないため、コンベアライン全体の高さを増加させることがない。これにより、高さを有する重量搬送物が搬送されるコンベアラインが利用される組み立てラインや倉庫内の収納ラインにおいて、コンベアラインの高さが高くなることに伴うライン上での高所作業や搬送物の転倒による作業者が覚える不安を払拭できる。また、平面を形成するローラが、行方向並びに列方向に別々に昇降運動される構成であるため、いずれの方向に搬送物が搬送されても、安定した状態で搬送され、より安全な作業を行うことが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、ローラは、本体部と本体部の端部から軸方向に突出した軸部を有し、変換部材は、当該軸部を支持する昇降伝導部を有し、当該昇降伝導部には行方向に配列されたローラの軸部と、列方向に配列されたローラの軸部が直接的に又は間接的に載置され、前記昇降伝導部には高部と低部とが設けられ、昇降伝導部は、軸部を支持しながら回転するものであって軸部が高部にあるときにローラが上昇位置にあり、軸部が低部に落ち込むことによってローラが降下し、昇降伝導部が軸部を支持しながら回転する際に、行方向に配列されたローラの軸部と列方向に配列されたローラの軸部が共に高部にある状態を経て一方の軸部が低部に落ち込むことを特徴とする請求項1に記載の移載装置である。
【0017】
本発明の移載装置では、ローラは本体部と端部から軸方向に突出した軸部を有し、変換部材は当該軸部を支持する昇降伝導部を有し、昇降伝導部には高部と低部が設けられている。そして、昇降伝導部は軸部を支持しながら回転するため、格子点において、行方向あるいは列方向の軸部が低部に移動することでローラが降下し、列方向あるいは行方向の軸部が高部に移動することでローラが上昇する。即ち、本発明の移載装置によれば、昇降伝導部が回転することで確実に搬送部のローラを昇降運動させることができる。
また、昇降伝導部の高部には、行方向に配列されたローラの軸部と列方向に配列されたローラの軸部が共に高部にある状態を経てから一方の方向の軸部が低部に落ち込むため、行方向のローラ群と列方向のローラ群が共に高部にある際に搬送物の受け渡しが可能である。即ち、行方向から列方向あるいは列方向から行方向に搬送方向を変更する際に、昇降用動力源により搬送物を持ち上げる必要がない。即ち、本発明に採用される昇降用動力源は、搬送部を持ち上げる程度の駆動力があればよく、一般的にそのような動力源は小さいものが多い。従って、昇降動力源は、搬送部のローラが昇降運動の際に障害となり得ない場所であれば、搬送部と同じ高さの位置に容易に配することができるため、昇降部がより省スペース化される。また、結果的に、小さな動力により構成されるため、ランニングコストが低減される。
【0018】
請求項3に記載の発明は、軸部には軸受けが配され、軸受けが昇降伝導部に載置されていることを特徴とする請求項2に記載の移載装置である。
【0019】
本発明の移載装置では、軸部に軸受けが配されているため、軸部と軸受けを相対的に回転させることができる。また、軸受けが昇降伝導部に載置する構成を有しているため、ローラ及び搬送物の重さに関係なく軸受けのみが回転することができる。即ち、変換部材が回転すると軸受けが容易に連動して回転するため、昇降伝導部が有する高部から低部あるいは低部から高部に移動しやすくなる。言い換えれば、ローラの昇降運動が円滑に実行される。
【0020】
請求項4に記載の発明は、変換部材は、直線運動部材と係合する回転変換部を有し、当該回転変換部は、直線運動部材の直線運動に連動して昇降伝導部の中心を基準として円弧軌跡を描いて回動し、当該円弧軌跡は直線運動部材が直線運動を行う際の軌跡を含む平面と略同一の平面内にあることを特徴とする請求項2又は3に記載の移載装置である。
【0021】
本発明の移載装置では、変換部材が回転変換部を有し、当該回転変換部が直線運動部材に係合されて昇降伝導部の中心を基準に円弧軌跡を描いて回動する構成である。即ち、回転変換部は、昇降伝導部から外側に突出した簡易な形状で成り立つため、部材の生産効率を高くすることができる。例えば、回転変換部と昇降伝導部は全体として柄杓のような形状を成し、回転変換部は柄杓の柄、昇降伝導部は柄杓の容器部とする構成が推奨される。また、回転変換部の円弧軌跡は、直線運動部材の直線運動と略同一の平面内に存在するため、昇降部に要する高さを低くすることができる。結果的に、移載装置全体の高さをより低いものとすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、昇降用動力源はモータ内蔵ローラであり、搬送部のローラが存在する高さと略同じ高さに配されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の移載装置である。
【0023】
本発明の移載装置は、昇降用動力源にモータ内蔵ローラであり、搬送部のローラと略同じ高さに配されるため、全高に余分な高さが増すことがない。
【0024】
本発明の移載装置は、ローラ軸部は格子点領域内にその端部が存在する形状と、同じ列または行に属するローラであって格子点を挟んで対向するローラ同士の端部が連通する形状と、軸部が格子点を越えて延伸しその端部が格子点領域を越えた位置に存在する形状のものが混在しており、当該軸部がローラと同期回転する構成が推奨される。(請求項6)ここで言う格子点領域とは、格子点を含む一定範囲の領域である。
【0025】
請求項7に記載の発明は、ローラの軸部には動力伝導部材が設けられ、隣接するローラとの間で動力伝導され、行方向に配列されたローラ群に属するローラが動力伝導部材を介して連動し、列方向に配列されたローラ群に属するローラについても動力伝導部材を介して連動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の移載装置である。
【0026】
本発明の移載装置は、動力伝導部材により、複数のローラを群毎に連動させて回転できるため、各群をそれぞれ一体的に回転させることができる。これにより、搬送物を所望の搬送方向に円滑に搬送することが可能となる。また、モータを用いてローラを回転させる場合は、各群に対してそれぞれ少なくとも1個のモータでローラを連動させて回転することができるため、生産コスト及びランニングコストを低減することができる。
【0027】
本発明のコンベア装置は、動力伝導部材はスプロケットであり、隣接するローラに設けられたスプロケットにチェーンが懸架された構成が推奨される。(請求項8)
【0028】
請求項9に記載の発明は、保持カバーを有し、保持カバーは昇降伝導部を覆うと共にローラの軸部を昇降方向にガイドするガイド部を備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の移載装置である。
【0029】
本発明のコンベア装置は、保持カバーが昇降伝導部を覆うと共にローラの軸部を昇降方向にガイドするガイド部を備えているため、軸部を格子点から逸脱させることなく円滑にローラの昇降運動を行うことができる。
【0030】
請求項10に記載の発明は、ベース部材を有し、当該ベース部材は格子点に配されるもので、変換部材を回転可能に支持するスラストベアリング部と、ローラの軸部を保持する軸部保持部とを有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の移載装置である。
【0031】
本発明のコンベア装置は、格子点にベース部材が配され、当該ベース部材はスラストベアリング部を有しているため、変換部材がスラスト方向に回動することができる。即ち、直線運動部材の直線運動と略同じ面内での運動が可能となる。また軸部保持部を有しているため、軸部のずれや逸脱をより防止することができる。
【0032】
請求項11に記載の発明は、複数のコンベアラインと、コンベアラインを制御する制御装置と、コンベアライン上の搬送物の搬送情報を検知するセンサと、コンベアラインの分岐点に配される請求項1乃至8のいずれかに記載の移載装置とを備えたことを特徴とするコンベア装置である。
ここで言う搬送情報とは、搬送物の在荷の有無や搬送先の情報である。
【0033】
本発明のコンベア装置は、複数のコンベアラインの分岐点に請求項1乃至8のいずれかに記載の移載装置が配された構成とされている。即ち、本発明のコンベア装置であれば、搬送部の下方に昇降部を配する必要がないため、コンベアライン全体の高さを増加させることがない。これにより、本発明のコンベア装置は、高さを有する重量搬送物が搬送されるコンベアラインに配された場合であっても、製品の組み立てライン上や倉庫内の収納ライン上において、コンベアラインの高さの増加を防止できるため、ライン上での高所作業あるいは搬送物の転倒による作業者が覚える不安を払拭できるコンベア装置を提供できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の移載装置、並びに、コンベア装置では、高さを有する重量搬送物が搬送されるコンベアラインに配された場合であっても、昇降部を搬送部の下方に配する必要がないため、コンベアライン全体の高さを増加させることがない。これにより、組み立てラインや倉庫内の収納ラインにおいて、高さを有する重量搬送物をコンベアラインに載置する際やライン上での組み立て作業の際に、作業者が覚える不安を払拭できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の移載装置を備えたコンベア装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る移載装置を示す斜視図である。
【図3】行(X)方向に配されたローラ群を示す斜視図である。
【図4】列(Y)方向に配されたローラ群を示す斜視図である。
【図5】図1に示す移載装置の保持カバーを外したA部の拡大斜視図である。
【図6】図1に示す移載装置の保持カバーを外したB部の拡大斜視図である。
【図7】図1に示す移載装置の保持カバーを外したC部の拡大斜視図である。
【図8】保持カバーを示す斜視図である。
【図9】保持プレートを示す斜視図である。
【図10】変換部材を示す斜視図である。
【図11】変換部材の裏面側を示す斜視図である。
【図12】ベース部材を示す斜視図である。
【図13】本発明の移載装置が搬送物を搬送する際の動作を示す説明図である。(搬送物の搬入前の状況)
【図14】本発明の移載装置が搬送物を搬送する際の動作を示す説明図である。(搬送物が所定位置で停止した状況)
【図15】本発明の移載装置が搬送物を搬送する際の動作を示す説明図である。(全ローラが同じ高さの状況)
【図16】本発明の移載装置が搬送物を搬送する際の動作を示す説明図である。(搬送物の搬出状況)
【図17】変換部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明を実施するための好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、断りがない限り、図1に示した主コンベアライン65の搬送方向をX(列)方向、副コンベアライン66の搬送方向をY(行)方向とする。
【0037】
本実施形態の移載装置1は、図1に示す様に、コンベアラインが交錯する場所に配され、格子状に行列を成して並べられたローラ9により構成されたもので、制御装置(図示しない)により制御されて、搬送物を主コンベアライン65から副コンベアライン66あるいは主コンベアライン65を維持して搬送可能なものである。なお、主コンベアライン65と副コンベアライン66は、複数のコンベアユニット60から構成されており、コンベアユニット60は1本のモータ内蔵ローラ61に対して4本の従動ローラ62がチェーン63により連動して回転できるように構成されたものである。また、移載装置1の上流側に隣接するコンベアユニット60には、搬送物に設けられた搬送先等が記憶されたタグ(図示しない)を読み取るセンサ(図示しない)が配されている。
【0038】
本実施形態の移載装置1は、図2に示す様に、搬送部12と昇降部13とそれらが固定される上面が開放された筐体14で構成されている。
【0039】
筐体14は、金属で構成されており、搬送部12と昇降部13とが、開放された上面から視認できるように固定されているものである。筐体14は、副コンベアライン66が接続された側面23に貫通した2個の挿通孔30が設けられており、当該挿通孔30には後述するラックアンドピニオン10の一部が挿通される。また、図1に示す様に、筐体14の側面のうち、いずれのコンベアラインも接続されていない面には、在荷センサ11が配されている。即ち、移載装置1の上流側に隣接するコンベアユニット60に配されたセンサ(図示しない)により搬送物の搬送方向が読み取られ、さらに当該移載装置1の筐体14に配された在荷センサ11に検知されることで、制御装置(図示しない)による制御搬送が確実なものとなる。
【0040】
搬送部12は、格子状に行列を成して並べられたローラ9と、ローラ9を回転駆動させる搬送用駆動装置3と、複数のローラ9を連動させて回転させるチェーン7と、ローラ9の端部を回転可能に保持する保持カバー5により構成されている。即ち、搬送部12は、図3に示す4行3列(12個)に並べられた行(X)ローラ群19と、図4に示すに4列3行(12個)に並べられた列(Y)ローラ群20から成り、搬送用駆動装置3a,3bとチェーン7により各群のローラ9を連動回転させて、コンベアラインの上流から搬送された搬送物をX,Y方向の双方向に搬送可能としている。Xローラ群19及びYローラ群20は、各群のローラ9がそれぞれの平面を形成している。なお、以下の説明を分かり易くするため、X方向に並べられたローラ9の行を上流側から行s,行t,行u,行wとし、Y方向に並べられたローラ9の列を上流側から列j,列k,列l,列mとする。
【0041】
ローラ9は、図5に示す様に、金属製の筒体(本体部)28を備え、当該筒体28の両端には筒体と一体的に回転する蓋部(図示しない)が配され、当該蓋部には軸部16が固定されている。即ち、筒体28と軸部16は一体的に回転する。軸部16は、ローラ9の内径よりも小さい外径を有し、ローラ9の中心軸上に配されている。また、軸部16の先端側は、ローラ9の端部より外側に配置され、ローラ9の行方向と列方向とが交差する格子点に配されている。以下、格子点を行と列の組み合わせの記号で表す。例えば、行sと列kの格子点は、格子点skである。
【0042】
軸部16は、図5〜7に示すように、先端側に軸受け17のみが配されたものと、軸受け17のほかローラ9の端部と軸受け17との間に2列形状のスプロケット(動力伝導部材)18が配されたものが混在している。なお、Xローラ群19及びYローラ群20の軸部16は、図5〜7に示された形状のいずれかが採用されている。
【0043】
具体的には、図2,5に示す様に、Yローラ群20を形成するローラ9においては、一方の端部側に軸受け17とスプロケット18が配され、他方の端部側には軸受け17のみが配されている。そして、当該Yローラ群20を形成するローラ9の一部を除いて、ローラ9の端部から各軸部16の先端までの長さは、当該軸部16が格子点に配された際に、格子点領域内に収まる程度の長さである。ここでいう格子点領域とは、格子点を含む一定の範囲の領域である。具体的には、後述する昇降伝導部36が存在する範囲である。
【0044】
一方、Yローラ群20の一部のローラ9は、図5,6に示すXローラ群19が有する軸部16と同様の形状で、列方向に隣接する軸部16同士の先端が連通された形状である。即ち、隣接して配されたローラ9の軸部16同士が格子点を挟んで繋がっている。本実施形態の移載装置1では、列mのみのローラ9が隣接する軸部16の先端同士が連通された形状を有している。即ち、格子点umではスプロケット18と軸受け17が配された軸部16の先端同士が連通され、格子点tmではスプロケット18と軸受け17が配された軸部16と軸受け17のみが配された軸部16の先端同士が連通されている。即ち、当該先端同士が連通された軸部16を有するローラ9は、隣接するローラ9同士が同期回転する。なお、Yローラ群20を形成するローラ9において、スプロケット18の配置を行方向に共通して配置させているため、列m以外のローラ9のスプロケット18の配置と列mのローラ9のスプロケット18の配置は行方向に同一配置されている。即ち、行方向に並んで配されたスプロケット18にチェーン7が懸架されることで、同じ行のローラ9同士が連動して回転することができる。
【0045】
また、図5に示す様に、Xローラ群19においては、一部のローラ9の軸部16を除いて、行方向に隣接するローラ9同士の軸部16の先端が連通された形状で、軸受け17のみが配された構成を有している。具体的には、格子点sk,sl,tk,tl,us,ul,wk,wlに配されたローラ9の軸部16である。
【0046】
一方、当該格子点以外の格子点sm,tm,um,wmに配された軸部16は軸受け17のみが配された構成を有しているが、軸部16の先端側は格子点領域内に収まった形状である。即ち、格子点sm,tm,um,wmに配された軸部16は、隣接する軸部16同士が繋がった形状ではない。また格子点sj,tj,uj,wjに配された軸部16の先端側は格子点領域を越えた位置に存在する形状で、格子点領域内に2個の軸受け17と格子点領域を越えた先端側にスプロケット18が配されている。即ち、軸受け17は、格子点領域内に配された際に、ローラ9側とスプロケット18側に1個ずつ配されている。
【0047】
搬送用駆動装置3a,3bは、公知のモータ内蔵ローラであり、筒体(本体部)50内に駆動用モータ(図示しない)が内蔵され、両端側から中心軸52が突出している。そして、当該中心軸52が、筐体14に固定された固定部材49に相対回転不能に支持されている。即ち、固定部材49は中心軸52と略同じ径の孔を有し、中心軸52は当該孔に挿通されて支持されている。これにより、筒体50は中心軸52と相対的に回転する。
【0048】
また、筒体50の一方の端部側には、筒体50と同期回転する蓋部材(図示しない)が設けられ、当該蓋部材に2列形状のスプロケット(図示しない)が配されている。即ち、当該スプロケットとローラ9の軸部16に配されたスプロケット18にチェーン7が巻回されることで、ローラ9に搬送駆動装置3の回転運動が伝導される。
本実施形態の移載装置1では、搬送用駆動装置3aは行sの外側に平行に配され、スプロケット(図示しない)がチェーン7によりXローラ群19が有する列j側のスプロケット18の回転と連動できる配置であり、搬送用駆動装置3bは列mの外側に平行に配され、スプロケット(図示しない)がチェーン7によりYローラ群20の列m側に配されたスプロケット18の回転と連動できる配置である。
【0049】
保持カバー5は、図8に示す様に、平面視した天面25の形状が十字状のケース体で、裏面側と突出した側面側が開放されたものである。即ち、保持カバー5の裏面は、十字形状に凹状の逆溝部24が形成され、当該逆溝部24を形成するガイド部48を有している。逆溝部24の幅及び高さは、前記した軸部16に配された軸受け17が内接できる程度である。ガイド部48は、表裏面側に垂直に延伸しており、軸受け17の外径程度の長さを有している。従って、各格子点に保持カバー5を配することで、軸部16の軸受け17を保持することができる。言い換えれば、保持カバー5によりローラ9の両端側を保持することができるため、ローラ9の回転が安定する。また、天面25には、裏面方向に貫通した固定孔26が中央近傍に直線上に並んで配されている。即ち、固定孔26により、格子点に位置する後述する昇降部13のベース部材27に保持カバー5を固定することが可能となる。
【0050】
昇降部13は、昇降用駆動装置(昇降用動力源)2と、搬送用駆動装置2の回転駆動力を直線運動に変換する公知のラックアンドピニオン10と、当該直線運動が伝導される直線運動部材6と、直線運動を回転運動に変換する変換部材4と、変換部材4を回転可能に保持するベース部材27とで構成されている。
【0051】
昇降用駆動装置2は、公知のモータ内蔵ローラであり、筒体(本体部)51内に駆動用モータ(図示しない)が内蔵され、両端側から中心軸(図示しない)が突出している。そして、当該中心軸が、筐体14に固定された固定部材54に相対回転不能に支持されている。即ち、固定部材54は当該中心軸と略同じ径の孔を有し、当該中心軸は当該孔に挿通されて支持されている。これにより、筒体51は当該中心軸と相対的に回転する。
【0052】
また、筒体51の両端には、筒体51と同期回転する蓋部材(図示しない)が設けられ、当該蓋部材に歯車(ピニオン)29が配されている。当該歯車29は、歯付の棒状部材(ラック)31と組み合わせて用いられる公知のラックアンドピニオン10であり、モータの回転運動を直線運動に変換するものである。即ち、歯車29が正転方向と逆転方向の回転を繰り返すことで、ラックアンドピニオン10により往復直線運動が出力される。なお、昇降用駆動装置2は挿通孔30が形成された側面23の内側に配されており、往復直線運動の際に、棒状部材31は挿通孔30から外側に突出した状態を維持する。
【0053】
直線運動部材6は、帯状の板部材で、長さがX方向あるいはY方向に並んだ格子点4個分程度であり、ラックアンドピニオン10の棒状部材31と同じ運動を行う。即ち、直線運動部材6は、一方の端部が棒状部材31の一端と接続され、往復直線運動が入力される。また、直線運動部材6は、4箇所のプレート嵌合部32を有し、当該各プレート嵌合部32に後述する変換部材4を保持可能な保持プレート8が1個ずつ配されている。
【0054】
保持プレート8は、樹脂製の長方形状の板部材で、図9に示す様に、頂点近傍に配された4個の固定孔33と、変換部材4を保持する2箇所の保持孔34を有する。保持プレート8は、プレート嵌合部32に嵌め込まれ、ボルト等の接続手段が固定孔33に挿通されて直線運動部材6に固定されている。また、保持孔34は、四角形と半円弧を組み合わせた陸上競技のトラックの形状であり、後述する変換部材4の回転変換部35に形成された孔が連通状態で配されてボルト等の接続手段により接続される。なお、プレート嵌合部32には、保持プレート8と略同じ位置に固定孔(図示しない)と保持孔(図示しない)が設けられており、保持プレート8の固定孔33と保持孔34がそれぞれ連通するように配されている。
【0055】
変換部材4は、金属で構成されており、図10に示す様に、ローラ9の軸受け17が当接する円形状の昇降伝導部36と略台形状の回転変換部35が接続されて構成されている。回転変換部35は、板状で先端側に厚み方向に貫通した挿通孔37が形成されており、当該挿通口37が保持プレート8の保持孔34と直線運動部材4の保持孔(図示しない)に連通する様に配されてボルト等で保持されている。
【0056】
昇降伝導部36は、中心に表裏面を貫通した保持孔38を有し、後述するベース部材27の一部が挿通される。また、保持孔38の天面側には、裏面方向に凹んだ2個の凹部(低部)39が形成されている。凹部39は、円弧側面と天面が開放されており、3つの側面と底面により構成されている。さらに、当該側面のうち対向する側面同士は、互いに離反する方向に上昇勾配が形成された傾斜面46である。なお、天面における凹部39以外の面は凹部39を基準とすると高部である。
【0057】
また、2個の凹部39は昇降伝導部36の中心を挟んで直径上に配された関係であり、2個の凹部39の周方向の広がりが共に30〜50度であり、好ましくは40度である。言い換えれば、昇降伝導部36の凹部39以外の2つの当接面の広がりが共に120〜150度であり、好ましくは140度である。これにより、Xローラ群19とYローラ群20が、昇降運動の際に、同じ高さを共有できる回転角度を発生させることが可能となる。即ち、格子点ではXローラ群19とYローラ群20が略90度の位置関係であり、凹部39以外の当接面の広がりが90度より大きい角度であるため、各群が上昇位置で同じ高さを共有できる。即ち、本実施形態の移載装置1は、搬送物の方向を変える場合であっても、各群の上昇位置で搬送物の受け渡しができるため、搬送物自体を昇降させる必要がない。即ち、昇降用駆動装置2は、各群を昇降させる程度の駆動力を有すれば足りる。
【0058】
さらに図10に示す様に、回転変換部35と凹部39の関係は、凹部39を図面上の略上下に位置するように配した際に、回転変換部35の先端側が水平方向から上方に30度程傾けられ、回転変換部35の基端側の一部が上方の凹部39に被る位置関係とされている。言い換えると、図10に示す状態から、昇降伝導部36を時計周りに60度程回転させると、凹部39は図面上の左右に位置し、且つ回転変換部35が水平方向から下方に30度程傾けられた状態となる。また、昇降伝導部36の裏面側は、図11に示す様に、円形凹部21が形成されており、後述するベース部材27の一部が嵌合される。
【0059】
ベース部材27は、各格子点に配されるもので、図12に示す様に、円形のフランジ部40と、変換部材4の裏面に形成された前記円形凹部21と嵌合するスラスト型のベアリング部41と、軸部16を保持する軸部保持部42とが一体化されて構成されている。
【0060】
フランジ部40は4個の固定孔(図示しない)を有し、当該各格子点にボルト43を挿通することにより筐体14に固定される。
ベアリング部41は、フランジ部40の上方側に位置し、上面側にベアリング機能を有している。即ち、本実施形態に採用されたベアリング部41は、上面にリング溝が形成されており、当該リング溝に複数のボールが配されている。また、当該リング溝の外径は変換部材4の円形凹部21の内径と略同じ径を有している。即ち、ベアリング部41には変換部材4の円形凹部21が覆うように嵌り込む。これにより、変換部材4が直線運動部材6と略同一の平面内で運動を行うことが可能となる。
【0061】
軸部保持部42は、前記リング溝の内径と略同じ外径を有した円筒体であり、高さは前記した保持カバー5の高さと略同程度である。言い換えると、軸部保持部42の高さは、軸部16に配された軸受け17の径と略同じである。さらに、軸部保持部42の径は、保持カバー5の逆溝部24に内接する程度の長さである。また、軸部保持部42の径は、変換部材4の保持孔38の径と略同じ径でもある。
【0062】
また、軸部保持部42は、直径方向に貫通した溝部44を有しており、その溝部44は軸部16の外径と略同じ幅である。本実施形態では、格子点tm,um以外では、溝部44を軸部16が行方向に通過するように配され、格子点tm,umでは溝部44を軸部16が列方向に通過するように配されている。なお、軸部保持部42の天面には、前記した保持カバー5を固定する2個の固定孔47が設けられている。
【0063】
次に、本実施形態の移載装置1の組み立て構造について説明する。
【0064】
本実施形態の移載装置1は、図1に示す様に、主コンベアライン65と副コンベアライン66とが交錯する位置に配され、双方のコンベアラインに対して搬送物を搬送できるものである。即ち、移載装置1は、図2に示す様に、格子状にローラ9が配され、各格子点に軸部16が支持されている。具体的には、各軸部16には軸受け17が配されており、軸受け17が格子点に配された変換部材4と保持カバー5によって保持されている。即ち、保持カバー5のガイド部48により軸受け17がガイドされるため、円滑な昇降運動が可能となる。
【0065】
ここで、軸部16にはスプロケット18が設けられているものが混在しており、当該スプロケット18にはチェーン7が懸架されている。
即ち、Xローラ群19においては、格子点sj,tj,uj,wjからY方向上流側に配されたX方向に隣接する2個のスプロケット18に対して1つのチェーン7が懸架された配置である。具体的には、格子点sjに位置する1列目のスプロケット18と搬送用駆動装置3aのスプロケット(図示しない)とが1つのチェーン7で巻回され、当該格子点sjに位置する2列目のスプロケット18と格子点tjに位置する2列目のスプロケット18とが別の1つのチェーン7で巻回され、当該格子点tjに位置する1列目のスプロケット18と格子点ujに位置する1列目のスプロケット18とがさらに別のチェーン7で巻回され、当該格子点ujに位置する2列目のスプロケット18と格子点wjに位置する2列目のスプロケット18とがさらに別のチェーン7で巻回されている。これにより、搬送用駆動装置3aの回転がX方向に配されたローラ9に連動する。
【0066】
また、Xローラ群19のY方向に隣接したローラ9は、図5,6に示す様に、軸部16同士が接続された形状により連動して回転する。従って、搬送用駆動装置3aの回転をチェーン7と軸部16を介してXローラ群19の全てのローラ9を連動して回転させることができる。
【0067】
一方、Yローラ群20においては、ローラ9の一方の端部側にスプロケット18が配されており、Y方向に隣接する2個のスプロケット18に対して1つのチェーン7が懸架された配置である。具体的には、行s,tに挟まれたローラ9は、行t側にスプロケット18が配され、行t,uに挟まれたローラ9は行u側にスプロケット18が配され,行u,wに挟まれたローラ9は行u側にスプロケット18が配されている。
【0068】
そして、行s,tに挟まれたローラ9は、格子点tjに位置する1列目のスプロケット18と格子点tkに位置する1列目のスプロケット18とが1つのチェーン7で巻回され、格子点tkに位置する2列目のスプロケット18と格子点tlに位置する2列目のスプロケット18とが別のチェーン7で巻回され、格子点tlに位置する1列目のスプロケット18と格子点tmに位置する1列目のスプロケット18とがさらに別のチェーン7で巻回されている。行t,u及び行u,wに挟まれたローラ9もスプロケット18がチェーン7で巻回されており、行s,tに挟まれたローラ9と同様の構成を有しているため説明を省略する。これにより、それぞれのY方向に並べられたローラ9が連動して回転することが可能となる。
【0069】
また、Yローラ群20を駆動する搬送用駆動装置3bは、スプロケット(図示しない)が行t,uに挟まれた列mのローラ9が有するスプロケット18と連動する様にチェーン7が懸架されている。即ち、搬送用駆動装置3bのスプロケット(図示しない)と格子点umに位置する2列目のスプロケット18とが1つのチェーン7で巻回されている。また、当該ローラ9の両端の軸部16が、X方向に隣接するローラ9の軸部16と繋がっている。従って、搬送用駆動装置3bの回転をチェーン7と軸部16を介してYローラ群20の全てのローラ9に伝達し、回転を連動させることができる。
【0070】
本実施形態の移載装置1は、格子点において、上記した構成を有しているため、Xローラ群19のローラ9とYローラ群のローラ9が干渉し合うことがない。即ち、図5〜7に示す様に、Xローラ群19を形成するローラ9の軸部16が格子点を挟んで繋がった形状であれば、Yローラ群20を形成するローラ9の軸部16をXローラ群19の軸部16に重ならないよう格子点内で収めた形状としている。即ち、昇降部13により昇降運動を行っても、各群は互いに干渉しないため、搬送物の搬送を円滑に行うことができる。
【0071】
また、格子点において、ローラ9の軸部16の下方には、昇降部13が備える変換部材4が位置している。そして、前記したように、行s,t及び行u,wにおいて、変換部材4の回転変換部35が互いに向かい合って配されている。即ち、向かい合った回転変換部35の挿通孔37が、直線運動部材6に配された保持プレート8が有する保持孔34に連通状態に配されてボルトで保持されている。そして、回転変換部35は、直線運動部材6の直線運動により、昇降伝導部36の中心を基準に円弧軌跡を描いて回動するため、直線運動部材6の直線運動を行う際の軌跡を含む平面と略同一の平面内で回転運動を行う。即ち、変換部材4及び直線運動部材6により構成された昇降部13は、変換部材4と直線運動部材6の部材厚が実質的な高さと言える。
【0072】
なお、2枚の直線運動部材6は、変換部材4が向かい合って配された位置に1枚ずつ配されて、1枚の直線運動部材6に8個の変換部材4が保持されている。そして、各直線運動部材6の列m側の端部には、昇降用駆動装置2の駆動力を出力するラックアンドピニオン10の棒状部材31の一方の端部が接続されている。
【0073】
また、変換部材4の昇降伝導部36は、各格子点に配された軸受け17と当接しており、昇降伝導部36の回転することで、軸受け17が凹部39や凹部39以外の当接面(高部)に移動するように配されている。そして、変換部材4の保持孔38には、ベース部材27の軸部保持部42が挿通され、変換部材4の円形凹部21にベース部材27のベアリング部41が嵌合されている。当該ベース部材27のフランジ部40は、各格子点に位置する筐体14の底部に固定されている。なお、ベース部材27の軸部保持部42の溝部44は、前記したように、隣接する軸部16同士が繋がった部位を保持できるように配されている。
【0074】
次に本実施形態の移載装置1の動作について説明する。
【0075】
移載装置1は、搬送物を主コンベアライン65あるいは副コンベアライン66の双方に搬送可能なもので、制御装置(図示しない)で搬送方向を制御して搬送物を搬送する。即ち、移載装置1において、搬送物は、Xローラ群19により搬送されるかYローラ群20により搬送されるかが制御される。
【0076】
具体的には、図1に示す主コンベアライン65上を搬送物が搬送される場合では、移載装置1はXローラ群19を上昇位置に配して搬送物を搬送する。このとき、在荷センサ11により、移載装置1に搬送物が載置されたことが検知されても、搬送用駆動装置(図示しない)の駆動が維持されて、搬送物は移載装置1と接続された主コンベアライン65の下流側に搬送される。なお、Xローラ群19による搬送中は、Yローラ群20がXローラ群19の下方で待機している。
【0077】
一方、移載装置1で進路が変更されて図1に示す副コンベアライン66に搬送される場合では、図13〜16に示す様に、昇降部13が制御される。即ち、図13において、移載装置1の上流側に隣接するコンベアユニット60に備えられたセンサ(図示しない)で搬送物の搬送方向が読み込まれて、移載装置1に搬送されると、Xローラ群19により在荷センサ11の位置まで搬送される。そして、当該在荷センサ11により、搬送物が移載装置1に載置されたことが確認されると、図14に示す位置で搬送物が停止する。このとき、搬送用駆動装置3aは停止されており、さらに上流側のコンベアラインの搬送状態も停止した状態となる。
【0078】
そして、搬送用駆動装置3aが停止した状態で、昇降部13の昇降用駆動装置2が駆動される。これにより、図15に示す様に、昇降用駆動装置2の直線運動がラックアンドピニオン10を介して直線運動部材6に入力され、変換部材4により回転運動に変換される。即ち、変換部材4の回転変換部35が昇降伝導部36の中心を基準に円弧を描く。そして、変換部材4の凹部39による高低差により、各ローラ9の軸部16に昇降運動が伝導されると、まずYローラ群20がXローラ群19と同じ高さを共有する位置に達するまで上昇する(図15)。
【0079】
そして、さらに直線運動部材6の直線運動が行われると、変換部材4により伝導される昇降運動でXローラ群19が降下して、Yローラ群20のみが上昇位置に配された状態となる(図16)。即ち、図13に示す状態から、Xローラ群19とYローラ群20とが入れ替わった位置関係である。そして、昇降部13の昇降用駆動装置2の駆動が停止されて、Yローラ群20を駆動する搬送用駆動装置3bが駆動され、搬送物が、移載装置1と接続された副コンベアライン66の下流側に搬送される。
【0080】
従って、本発明の移載装置1、並びに、コンベア装置55は、昇降部13を構成する板状の直線運動部材6と変換部材4が、略同一の平面内で直線運動あるいは回転運動が行われ、さらに回転運動を変換部材4の凹部39を利用して昇降運動としてローラ9に出力できる構成を有しているため、昇降部13の高さを従来技術のように高くする必要がない。また、直線運動を回転運動に変えて昇降運動を出力できる機構を有しているため、昇降用駆動装置2を搬送部12の下部に配置させる必要がない。即ち、移載装置1の全体の高さに昇降用駆動装置2の高さを加味する必要もなく、本実施形態の移載装置1は、実質的にローラ9の外径及びローラ9が昇降できる程度の高さと直線運動部材6と変換部材4の部材厚の合計高さとなる。即ち、本実施形態の移載装置1は、従来技術と比較すると確実に薄型にすることが可能である。
【0081】
また、本実施形態の移載装置1、並びに、コンベア装置55は、Xローラ群19あるいはYローラ群20を上昇させる際、双方の群が同じ高さを共有できる構成とされており、双方の群が同じ高さを共有した後にいずれか一方の群が降下するため、昇降部13を駆動する昇降用駆動装置2に大きな駆動力を要しない。即ち、本実施形態の移載装置1は、重量搬送物が載置されるコンベアラインに配された場合であっても、駆動力の小さな昇降用駆動装置2で足りる。即ち、昇降用駆動装置2は小さなもので良いので、昇降部13をさらに省スペース化できる。これにより、本実施形態に採用される昇降用駆動装置2は、搬送の障害とならない配置であれば、いずれの場所に配しても構わないため、搬送部12と同じ高さに配することで移載装置1全体の高さが増すことを防止できる。従って、本発明の移載装置1によれば、高さのある重量搬送物を搬送するコンベアラインに配置する場合であっても、組み立てラインや倉庫内の収納ラインにおいて、搬送物をコンベアラインに載せる際や、ライン上での製品の組み立て作業の際に、作業者が覚える不安を払拭できる。
【0082】
上記実施形態では、変換部材4に凹部39を形成した構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、図17に示す様に、切り欠き部45を形成したものであっても構わない。その場合、昇降伝導部36の厚みを薄くすると、さらに全高を低くすることができる。
【0083】
上記実施形態では、移載装置1に副コンベアライン66を1方向にのみ接続した構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、2方向に副コンベアライン66が接続された構成であっても構わない。その場合、Yローラ群20を構成するローラ9が正転及び逆転の回転を行う構成が必要である。
【0084】
上記実施形態では、昇降用駆動装置2にモータ内蔵ローラを採用した構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、空圧あるいは油圧式アクチュエータであっても構わない。この場合、直線運動部材6に直接的に直線運動を入力することが可能となるため、ラックアンドピニオン10を用いる必要がない。
【符号の説明】
【0085】
1 移載装置
2 昇降用駆動装置(昇降用動力源)
4 変換部材
6 直線運動部材
7 チェーン
9 ローラ
12 搬送部
13 昇降部
16 軸部
17 軸受け
18 スプロケット(動力伝導部材)
19 行(X)ローラ群
20 列(Y)ローラ群
28 筒体(本体部)
35 回転変換部
36 昇降伝導部
39 凹部(低部)
45 切り欠き部(低部)
48 ガイド部
55 コンベア装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラを備えた搬送物を移動させる搬送部と、
当該搬送部を昇降させる昇降部とを有し、
前記複数のローラ中には、行方向に配列されたローラと、列方向に配列されたローラが存在してこれらが格子状に行列を成して並べられ、各格子点でローラの両端側が保持されてローラが回転し、
前記昇降部は昇降用動力源と、当該昇降用動力源から直接的あるいは間接的に伝導された動力により往復直線運動を行う直線運動部材と、当該直線運動部材の直線運動を回転運動に変換すると共に当該回転運動を昇降運動に変換してローラに伝導可能な複数の変換部材とを有し、
当該変換部材は各格子点に配されていて各ローラを昇降させるものであり、
行方向に配列されたローラ群は一斉に昇降し、列方向に配列されたローラ群についても一斉に昇降し、行方向に配列されたローラ群が上昇位置にあるときは行方向に配列されたローラ群によって一つの平面を形成し、列方向に配列されたローラ群が上昇位置にあるときは列方向に配列されたローラ群によって1つの平面を形成することを特徴とする移載装置。
【請求項2】
ローラは、本体部と本体部の端部から軸方向に突出した軸部を有し、
変換部材は、当該軸部を支持する昇降伝導部を有し、
当該昇降伝導部には行方向に配列されたローラの軸部と、列方向に配列されたローラの軸部が直接的に又は間接的に載置され、
前記昇降伝導部には高部と低部とが設けられ、
昇降伝導部は、軸部を支持しながら回転するものであって軸部が高部にあるときにローラが上昇位置にあり、軸部が低部に落ち込むことによってローラが降下し、
昇降伝導部が軸部を支持しながら回転する際に、行方向に配列されたローラの軸部と列方向に配列されたローラの軸部が共に高部にある状態を経て一方の軸部が低部に落ち込むことを特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
軸部には軸受けが配され、
軸受けが昇降伝導部に載置されていることを特徴とする請求項2に記載の移載装置。
【請求項4】
変換部材は、直線運動部材と係合する回転変換部を有し、
当該回転変換部は、直線運動部材の直線運動に連動して昇降伝導部の中心を基準として円弧軌跡を描いて回動し、
当該円弧軌跡は直線運動部材が直線運動を行う際の軌跡を含む平面と略同一の平面内にあることを特徴とする請求項2又は3に記載の移載装置。
【請求項5】
昇降用動力源はモータ内蔵ローラであり、搬送部のローラが存在する高さと略同じ高さに配されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の移載装置。
【請求項6】
ローラ軸部は格子点領域内にその端部が存在する形状と、同じ列または行に属するローラであって格子点を挟んで対向するローラ同士の端部が連通する形状と、軸部が格子点を越えて延伸しその端部が格子点領域を越えた位置に存在する形状のものが混在しており、当該軸部がローラと同期回転することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の移載装置。
【請求項7】
ローラの軸部には動力伝導部材が設けられ、隣接するローラとの間で動力伝導され、
行方向に配列されたローラ群に属するローラが動力伝導部材を介して連動し、列方向に配列されたローラ群に属するローラについても動力伝導部材を介して連動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の移載装置。
【請求項8】
動力伝導部材はスプロケットであり、隣接するローラに設けられたスプロケットにチェーンが懸架されていることを特徴とする請求項7に記載の移載装置。
【請求項9】
保持カバーを有し、保持カバーは昇降伝導部を覆うと共にローラの軸部を昇降方向にガイドするガイド部を備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の移載装置。
【請求項10】
ベース部材を有し、当該ベース部材は格子点に配されるもので、変換部材を回転可能に支持するスラストベアリング部と、ローラの軸部を保持する軸部保持部とを有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の移載装置。
【請求項11】
複数のコンベアラインと、コンベアラインを制御する制御装置と、コンベアライン上の搬送物の搬送情報を検知するセンサと、コンベアラインの分岐点に配される請求項1乃至10のいずれかに記載の移載装置とを備えたことを特徴とするコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−195563(P2010−195563A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44852(P2009−44852)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】