説明

稠密化導電性材料及びそれから作成される物品

【課題】本発明により、比較的薄い構造で(特に物品をシート、テープ又はフィルムに作成する場合)、望ましくない電磁放射線に対して効果的な遮蔽を提供するのに使用できる電磁導電性物品を提供する。
【解決手段】稠密化コア材料及び少なくとも1つの電磁導電性材料を含む電磁導電性物品が開示される。少なくとも1つの表面の少なくとも一部分が1つ以上の電磁導電性粒子材料でメッキされた少なくとも1つの稠密化織物材料の層を含む電磁導電性物品もまた開示される。このような電磁導電性物品の作成方法及び使用方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2006年9月11日出願の、米国特許仮出願番号第60/825216号の優先権を主張し、その開示の全てが本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、電磁放射線を遮蔽するのに有用なテープ及び他の物品を含む電磁導電性物品に関する。本発明は、一般的に、電磁導電性物品を作成及び使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
多くの種類及び型のデバイスは、電子又は電磁放射線を放出する。現在益々普及しているこれらの放射線源は、他の電子デバイスにおびただしい問題を引き起こす可能性がある。例えば、一部の電子機器の回路から放出される電磁放射線は、他の電子デバイス又はその源の回路付近の周辺構成要素において、干渉又は誤動作を引き起こす可能性がある。この潜在的な干渉の悪影響には、影響を受けたデバイスにおける性能低下、発生した電子ノイズによる電子画像の悪化、又は電子デバイスの耐用年数の一般的な低下が含まれる。
【0004】
望ましくない影響又は過度の環境電磁放射線から電子デバイスを保護するために、様々な試みがなされてきた。このような試みの1つには、デバイスの内部構成要素を保護するためのシールド又は遮蔽材料の使用が含まれる。一般的に、このようなシールド又は遮蔽材料は、保護される構成要素が内蔵される領域から離れて電磁放射線を伝導するように働く。遮蔽用途に用いられてきた材料の中には、金属プレート、金属でメッキされた織物、導電性塗料、導電性テープ及び導電性ポリマー系材料がある。
【0005】
環境電磁放射線は広い周波数スペクトルにわたって観察されるので、導電性遮蔽材料の有効性は、最も保護が望まれる周波数バンドに沿って放射線を伝導する能力によって決定される。かかる保護が求められる周波数バンドは特定用途によって異なるが、広い遮蔽能力が一般的に望ましい。最も典型的には、遮蔽材料の有効性は、約100MHz〜約1000MHzの範囲の周波数にわたって放射線が通過するのを防ぐ能力によって測定される。
【0006】
遮蔽材料の有効性は、その「遮蔽効果」(「SE」)によって定量的に測定することができ(デシベル(db)で表される)、これは測定される材料を通る電力又は電圧と材料無しで受ける電力又は電圧との比率によって定義される。その関係は以下で表される。
【0007】
【数1】

【0008】
式中、
は、源と材料に隣接する点との間に材料が存在するときに受ける電力であり、
は、源と材料に隣接する点との間に材料が存在しないときに受ける電力であり、
は、源と材料に隣接する点との間に材料が存在するときに受ける電圧であり、
は、源と材料に隣接する点との間に材料が存在しないときに受ける電圧である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
遮蔽材料は一般的に小さな電子的構成要素を保護するのに使用されるため、薄く、軽量のテープ又はフィルムのような材料から作成される保護物品を構成する要望が典型的に存在する。このようなテープ又はフィルムは、保護が望まれる領域の1つ以上の表面を包む、又は囲むのに使用することができる。テープ及びフィルムは、例えば、プリント基板又は無線自動識別(RFID)デバイスのような電子的構成要素用のハウジングの表面に適用するのを容易にするために接着剤(感圧性接着剤など)をしばしば含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、本発明は、稠密化コア材料及び少なくとも1つの電磁導電性材料を含む電磁導電性物品を提供する。
【0011】
他の態様では、本発明は、少なくとも1つの表面の少なくとも一部分が1つ以上の電磁導電性粒子材料でメッキされた、少なくとも1つの稠密化織物材料層を含む電磁導電性物品を提供する。
【0012】
さらに他の態様では、本発明は、少なくとも一部分がカレンダー仕上げされ、少なくとも一部分が1つ以上の電磁導電性材料でメッキされた、少なくとも1つの織物材料層を含む電磁導電性物品を提供する。
【0013】
少なくとも1つの電磁導電性金属でメッキされた織物を含む電磁導電性物品も提供され、その最小幅にわたって織物を切断する平面に沿って測定される織物の空気透過率は、約0.5m/分以下である。
【0014】
本発明は、電磁導電性物品の作成方法も提供する。1つの実施形態では、このような電磁導電性物品の作成方法は、
(a)織物を稠密化する工程と、
(b)電磁導電性物品を形成するために、1つ以上の電磁導電性材料で織物をメッキする工程と、を含む。
【0015】
稠密化織物コア材料を使用することによって、本発明の電磁導電性物品は、比較的薄い構造で(特に物品をシート、テープ又はフィルムに作成する場合)、望ましくない電磁放射線に対して効果的な遮蔽を提供するのに使用できる。他の態様では、本発明は、稠密化織物コアを使用せずに作成される遮蔽材料と比較して、より小さな断面寸法で同程度又は改善された遮蔽効果を示す電磁遮蔽物品を構成する能力を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】1つの稠密化導電性物品と2つの非カレンダー仕上げ物品の遮蔽効果の比較グラフを提供する。
【図2】様々な稠密化及び非稠密化導電性物品の空気透過率、遮蔽効果及び表面抵抗率の比較グラフを提供する。
【図3】様々な稠密化及び非稠密化導電性物品のテーバー摩耗試験の結果の比較グラフを提供する。
【図4】稠密化(カレンダー仕上げ)物品と非稠密化(非カレンダー仕上げ)物品の遮蔽効果の比較グラフを提供する。
【図5】稠密化(カレンダー仕上げ)物品と非稠密化(非カレンダー仕上げ)物品の遮蔽効果の比較グラフを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の導電性物品は、一般的に不織布又は織布から作成される稠密化コア材料を含有する。導電性物品は、更に少なくとも1つの電磁導電性材料を有効量で含有する。電磁導電性材料には、銅若しくはニッケルのような金属、又はカーボンブラックのような有機微粒子を含む、1つ以上の電磁導電性有機又は無機粒子材料が含まれる。好ましくは可撓性のシート状形態に作成される織物は、その1つ以上の表面上に接着剤を任意で含んでよい。接着剤は、1つ以上の電磁導電性材料を追加量で含んでよい。物品は、接着剤が定置される表面又は側面と向かい合うシールコートを含んでよい。あるいは、物品は、稠密化織物のそれぞれの側面に塗布されるシールコートを含んでよい。物品は、接着剤に隣接した剥離層又はライナーも含んでよい。
【0018】
本発明の稠密化コア材料は、織物状材料を作成する繊維又は糸の内部に、ある程度の分離隙間又は隙間空間を含む、任意の織布若しくは不織布、又は織布状材料を含むことができる。天然又は合成織物の繊維又は糸のウェブ又はシートは、本発明の物品に有用であるが、一般的に、相対的なコスト及び製造の容易性から不織布材が好ましい。
【0019】
約100ミクロン(μm)以下の直径を有する繊維、及び特に約50μm以下の直径を有するいわゆる「マイクロファイバー」が、不織布ウェブ系材料の製造において有用である。これらの繊維及びマイクロファイバーは、典型的には、フェイスマスク及びレスピレータ、エアフィルター、真空バッグ、油及び化学物質流出吸着材、断熱材、応急手当て用品、医療用ラップ、外科用ドレープ、使い捨ておむつ、ワイプ材を含む広範囲にわたる製品の製造に使用されることができる不織布ウェブの形態で使用される。大きな表面積及び一般的には高い有孔度を有する材料を提供するので、繊維の不織布ウェブが特に望ましい。
【0020】
繊維は、既知のスパンボンド及びメルトブローンプロセスを含む、様々な溶融プロセスによって作成されることができる。スパンボンドプロセスでは、繊維は、紡糸口金の多数のバンクを通って、ポリマー溶融ストリームから高速移動する多孔質ベルト上に押し出され、それによって一般的に非接着ウェブを形成する。この非接着ウェブは、次に、いくつかの繊維を隣接する繊維に結合し、ウェブに一体性を提供するボンダ(典型的には熱ボンダ)を通過する。典型的なメルトブローンプロセスでは、繊維は、自己生成性結合ウェブを形成するために、高速の空気減衰を使用して微細オリフィスを通って回転ドラム上に押し出される。典型的なスパンボンドプロセスと比較して、メルトブローンプロセスは、一般的にさらなる加工を必要としない。これらのプロセスの双方は、ウェンテ(Wente)によってインダストリアル・エンジニアリング・ケミストリ(Industrial Engineering Chemistry)誌、第48巻の1342頁以下(1956年)に記載された、「超微細熱可塑性繊維(Superfine Thermoplastic Fibers)」を含む、様々な刊行物に記載されている。
【0021】
すぐ上に記載されたプロセスによるものを含む、メルトブローン加工によって繊維を形成することのできる任意の材料は、適した不織布材を作成するのに使用され得る。有用であり、一般的に好ましい代表的な高分子材料には、ポリエチレンテレフタラートのようなポリエステル;ポリエチレン又はポリプロピレンのようなポリアルキレン;ナイロン6のようなポリアミド;ポリスチレン;及びポリアリールスルホンが含まれる。一部のエチレン/プロピレン又はエチレン/プロピレン/ジエンエラストマーコポリマー及びエチレンビニルアセテートのような他のエチレン系コポリマーのようなオレフィン性エラストマー材を含む、低エラストマー材も有用である。
【0022】
織布又は不織布コア材料は、本発明の完成品に組み込まれる前に稠密化される。稠密化とは、織布又は不織布材における隙間領域又は隙間空間が、加圧、加熱若しくは除熱、又は加圧及び加熱若しくは除熱の双方によるか、織布若しくは不織布材における隙間を減少させる任意の他の方法によって減少される、任意のプロセスを指す。稠密化は、例えば、コア材料のウェブを加圧下で保持される一組又は一連のローラーに通す標準的なカレンダープロセスによって達成され得る。ローラーは、加熱されているか、冷却されているかのいずれかであってよい。コア材料は、フラットプレスを使用する等して、加熱又は冷却プレートによっても加圧され得る。
【0023】
稠密化が達成されると、物品の厚みの減少、物品の密度の増加、コア材料の空気透過率の減少、有孔度の減少、又は表面抵抗率の変化のうちの1つ以上を含む数種の方法のうちの任意の1つ以上で証明され得る。重要なことは、稠密化の前及び後のコア材料の厚み、密度、空気透過率、有孔度、又は表面抵抗率においては、絶対閾値を定義できないことである。本発明は電磁導電性物品の性能の相対的増加を提供するので、本発明の物品のコア材料は、一般的に、稠密化後に、その断面厚さ、空気透過率、有孔度若しくは表面抵抗率の1つ以上における相対的減少又は密度の増加を示すであろう。物品が構成されると、この変化は、物品が、非稠密化材料で構成される物品と比較して同じか又は更に改善された電磁放射線遮蔽特性を示す能力を提供する。
【0024】
例として、織布又は不織布コア材料の典型的な厚さは、約25.4〜254ミクロン(約1〜10ミル)、より典型的には約76.2〜203.2ミクロン(約3〜8ミル)の範囲であることができる。一般的に、織布又は不織布コアのために選択される材料によって、コアは、その厚さを約10〜80パーセント、より好ましくは約25〜60パーセントまで減少するために、カレンダー仕上げされ、加圧され、ないしは別の方法で加工(即ち、稠密化)される。このように稠密化されるとき、コア材料(及び/又は材料から作成される物品)の空気透過率は、一般的には減少する。典型的には、その最小断面寸法にわたって材料を切断する平面に沿って測定される織布又は不織布コア材料の空気透過率は、約0.5/分以下、好ましくは約0.25m/分以下、及びより好ましくは約0.2m/分以下である。
【0025】
本発明の導電性物品は、稠密化コア織布又は不織布材の上又は内部に配置される1つ以上の電磁導電性有機又は無機粒子材料も含む。有用な電磁導電性粒子には、貴金属、非貴金属、貴金属でメッキされた貴金属又は非貴金属、非貴金属でメッキされた貴金属又は非金属、貴金属又は非金属でメッキされた非金属、導電性非金属、導電性ポリマー、及びこれらの混合物が含まれる。より詳細には、導電性粒子には、金、銀、白金等の貴金属、ニッケル、銅、スズ、アルミニウム、及びニッケル等の非貴金属、銀でメッキされた銅、ニッケル、アルミニウム、スズ、又は金等の貴金属でメッキされた貴金属又は非貴金属、ニッケルでメッキされた銅又は銀等の非貴金属でメッキされた貴金属及び非貴金属、銀又はニッケルでメッキされたグラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック、エラストマー、又は雲母等の貴金属又は非貴金属でメッキされた非金属、カーボンブラック又はカーボンファイバー等の導電性非金属、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ窒化硫黄、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(硫化フェニレン)、又はポリ(p−フェニレンビニレン)等の導電性ポリマー、及びこれらの混合物が含まれる。一般的に好ましいものは、広範な周波数スペクトルにわたって電磁放射線に導電性を示す貴金属及び非貴金属(及びこのような金属の混合物)である。それらの相対存在量から、特に好ましい金属には、銀、ニッケル及び銅並びにこれらの混合物が含まれる。
【0026】
電磁導電性材料(又は材料の混合物)は、有効量の導電性材料をコア材料に(電気的又は化学的に)コーティング又はメッキすることで、織布又は不織布コア材料に塗布され得る。導電性材料は、稠密化の前又は後に、コア材料に塗布されてよい。所望量の遮蔽特性を提供する導電性材料が任意量で使用されてよく、この量は、選択される電磁導電性材料及び物品が使用される用途によって必然的に変化するであろう。選択される電磁導電性材料が金属である場合、コア材料への金属の代表的な塗布量は、5〜100g/m、10〜80g/m又は20〜50g/mの範囲であってよい。
【0027】
本発明の物品は、織布又は不織布コア材料又は層の1つの外面の少なくとも一部分に接着層を含んでよい。コア材料が実質的に平らなウェブ又はシートの形態である場合、接着層は、上面又は底面の1つ又は双方の少なくとも一部分に定置されてよい。この目的のために任意の適した接着剤が使用されてよく、接着剤の種類又は組成は、物品が付着する基材と適合性のあるように選択される。一般的に、物品は電子的構成要素を保護するために使用され、適した電子グレード接着剤が選択される。天然又は合成の粘着性ゴムPSA、再配置可能なPSA又はアクリル系PSAを含む、数多くの既知の感圧性接着剤(「PSA」)の中から任意のものが使用されてよい。一般的にアクリル系接着剤であって、特に、少なくとも50重量パーセント以上がアクリレート官能基を含有するものが好ましいであろう。1つの適したアクリル系接着剤が米国再発行特許第24,906号に開示されており、これは、95.4/4.5重量パーセントのアクリル酸イソオクチル/アクリル酸コポリマー感圧性接着剤を記載している。光重合性アクリル系接着剤も有用である。選択された接着剤組成物は、溶媒又はホットメルトコーティング又は加工技術を含む任意の適した既知の方法で、織布又は不織布コア材料の1つ以上の表面に塗布されてよい。
【0028】
接着剤組成物は、1つ以上の電磁導電性材料を含有するように配合されてもよい。接着剤に付加される際、このような材料は、物品の遮蔽特性又は保護特性のさらなる向上を促進することができる。接着剤に組み込むために選択される電磁導電性材料は、稠密化コア材料に使用するために選択されるものと同一又は異なっていてもよい。一般的に、導電性材料が存在する場合、導電性材料は、接着剤組成物の0〜75重量パーセント、好ましくは10〜50重量パーセントで構成されるように接着剤に付加される。電磁導電性物品が接着テープの形態に作成される場合、接着剤の外面に剥離ライナー塗布されてもよい。接着剤組成物は、1つ以上の腐食防止剤又は1つ以上の耐食性添加剤のような他の機能性構成要素又は添加剤を含んでもよい。
【0029】
シール又はトップコーティングは、任意で電磁導電性物品の外面に塗布されてよい。このコーティングは織布又は不織布コア材料を保護し、物品内部に導電性材料を固定するのに役立つために使用されることができる。コア材料を封止するのに使用され得る任意の材料は、トップ又はシールコートとして使用され得る。このような有用な材料の1つはビニルポリマーであって、特に、透明又は実質的に透明な酢酸ビニル−ビニルアルコール−塩化ビニルコポリマーである。シール又はトップコートは任意の所望の重量までコア基材にコーティングされ得るが、一般的に、実質的に滑らかな表面を提供するためにコア材料中の空隙を充填又は実質的に充填するのに十分な量で塗布されるであろう。接着剤と同様に、シール又はトップコートは、追加量の1つ以上の電磁導電性材料を含むように配合されてよい。(接着剤に付加される際と同様に)トップコートに付加される際、このような材料は、物品の遮蔽特性又は保護特性のさらなる向上を促進することができる。トップコートに組み込むために選択される電磁導電性材料は、稠密化コア材料及び/又は接着剤に使用するために選択されるものと同一又は異なっていてもよい。一般的に、導電性材料が存在する場合、導電性材料は、コーティング組成物の0〜75重量パーセント、より好ましくは10〜50重量パーセントで構成されるように接着剤に付加される。
【0030】
任意数の、従来からの若しくは任意選択の添加剤又は補助剤が、1つ以上の本発明の電磁導電性物品の層又は構成要素に付加されてよい。例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、及び/又は腐食防止剤が、電磁伝導性物品を保護するために接着剤又はシールコート(又はその両方)に付加されてよい。他の機能性添加剤、非機能性添加剤又は補助剤が、同様に付加され得る。
【0031】
本発明の物品は、電磁シールドが望まれる任意の用途で使用することができる。例えば、物品はテープに形成され、電子デバイス、回路、RFIDタグのようなRFIDデバイス、又は電磁遮蔽から利益を受ける他のデバイスに関連する遮蔽用途において使用されることができる。物品は、シールドに使用され得るデバイス又は構成要素から放出される放射線を含有するか、ブロックするか、又はマスクするのにも使用されてよい。デバイスを遮蔽する用途において使用される場合、電磁導電性物品又はその稠密化コア材料は、デバイスに近接して配置されるべきであり、例えば、デバイスから25mm以内、好ましくはデバイスから5mm未満である。
【0032】
稠密化織布又は不織布コア材料を使用することによって、本発明の物品はいくつかの潜在的利点を提供する。織布又は不織基材材料の稠密化された隙間領域内に、1つ以上の電磁導電性材料をより効果的かつ高濃度で提供することで、物品は、より優れた物品の単位容積当たりの遮蔽効果を提供する。これによって、非稠密化コア基材材料を使用する物品と比較して、同等又は改善された遮蔽特性を有する、より薄い遮蔽物品を構成する能力が提供される。本発明の物品は、一般的に、表面抵抗率の改善並びに物理及び/又は電気透過性の減少(即ち、漏電電流の減少、電気導管特性及び電気シーリング特性の改善)も提供する。稠密化コア材料は、より均一な断面寸法(例えば、厚み)を提供し、付着され得る基材に対する改善された接着力を提供することができる。コア材料の有孔度及び/又は透過性が減少することで、より効果的に接着剤及びトップコート材料を使用することが可能にもなる。電磁導電性材料を稠密化コア材料に封入することで、腐食が減少し、水分及び湿度による他の悪影響からの保護に役立つ。稠密化材料は物理的な磨耗及びほつれもより起こりにくく、顔料及び他の添加剤をより効果的に付加し、より優れた耐久性を提供する。
【実施例】
【0033】
試料
以下の表1に示されるように、5つの製品試料を試験及び評価のために調製した。
【0034】
【表1】

【0035】
152.4ミクロン(6.0ミル)の非カレンダー仕上げコア材料試料及び101.6ミクロン(4.0ミル)カレンダー仕上げコア材料試料(それぞれ試料番号2及び5)を、このコア材料を銅及びニッケル金属とともにポリエチレンテレフタラート(PET)織物の上にメッキすることで調製した。152.4ミクロン(6.0ミル)の非カレンダー仕上げ製品試料及び、101.6ミクロン(4.0ミル)非カレンダー仕上げ製品試料及び101.6ミクロン(4.0ミル)カレンダー仕上げ製品試料(それぞれ試料番号1、3及び4)を、PET織物の上に銅及びニッケル金属を最初にメッキすることで調製した。これらの試料(それぞれ試料番号1、3及び4)において、ニッケル粒子を担持するアクリル系接着剤を、続けてPET織物の片面に積層し、ビニル結合剤及び銀からなるシールコートをPET織物のもう一方の面に積層した。
【0036】
図4及び図5のグラフは、2つの試料(銅及びニッケルメッキ及び接着剤を有する101.6ミクロン(4.0ミル)のカレンダー仕上げコア材料対銅及びニッケルメッキ及び接着剤を有する152.4ミクロン(6.0ミル)の非カレンダー仕上げコア材料)の比較を示している。
【0037】
遮蔽効果
ヒューレットパッカード(Hewlett-Packard)(商標)8510ネットワーク分析器(Network Analyzer)及び横向き電磁(Transverse Electromagnetic)(TEM)セルを使用して、ASTM D4935−99に従って、遮蔽効果に関してそれぞれの試料を評価した。図1に示されるグラフは、100MHz〜1000MHzの範囲の周波数にわたって収集された値を示す。表3及び図2のグラフに示される値は、100MHz〜1000MHzの範囲の周波数にわたって収集された個別の値の平均である。図4に示されるグラフは、0.3MHz〜1000MHzの範囲の周波数にわたって収集された値を示す。図5に示されるグラフは、0.3MHz〜20MHzの範囲の周波数にわたって収集された値を示す。
【0038】
表面抵抗率
デルコム(Delcom)(商標)717エディ電流検出システム(eddy current detection system)及び/又は4点測定システム(four-point measurement system)を使用して、ASTM F43に従って、試料における表面抵抗率の測定を実行した。その結果を表3及び図2に示す。
【0039】
空気透過率
フレージャー(Frazier)(商標)2000差圧空気透過率試験機(Differential Pressure Air Permeability Tester)を使用して、試料における空気透過率測定を実行した。その結果を以下の表2及び3、並びに図2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
テーバー磨耗
CS−5フェルトホイールを用いるテレダイン(Teledyne)(商標)モデル503磨耗試験機を使用して、それぞれの試料におけるテーバー磨耗を試験した。試験に先立って、それぞれの試料を秤量し、初期抵抗を測定した。1000及び2000サイクルの完了後、再び試料を秤量して重量損失を測定し、100、200、400、1000、及び2000サイクルの完了後の抵抗を測定した。その結果を図3に示す。
【0042】
【表3】

試料の平方メートルの立方メートル/分(試料の平方フィートの立方フィート/分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
稠密化コア材料及び少なくとも1つの電磁導電性材料を含む電磁導電性物品。
【請求項2】
前記稠密化コア材料が不織布であり、前記不織布が熱可塑性高分子材料を含み、前記熱可塑性高分子材料がポリエステル又はポリエチレンテレフタラートを含み、前記稠密化コア材料がRFIDデバイスと近接して配置される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記不織布が、ポリエステル、ポリアルキレン、ポリアミド、ポリスチレン、及びポリアリールスルホンからなる群から選択される溶融加工が可能な高分子材料から作成される、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記稠密化コア材料が、天然繊維材料から作成される織布を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記電磁導電性材料が、貴金属、非貴金属、貴金属でメッキされた貴金属又は非貴金属、非貴金属でメッキされた貴金属又は非貴金属、貴金属又は非貴金属でメッキされた非金属、導電性非金属及び導電性ポリマーからなる群から選択される1つ以上の材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記電磁導電性材料が、金、銀、白金、ニッケル、銅、スズ、アルミニウム、銀でメッキされた銅、ニッケル、アルミニウム、スズ、又は金、ニッケルでメッキされた銅又は銀、銀又はニッケルでメッキされたグラファイト、ガラス、セラミックス、プラスチック、エラストマー、又は雲母、カーボンブラック又はカーボンファイバー、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリサルファーニトリド(polysulfurnitride)、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(フェニレンスルフィド)又はポリ(p−フェニレンビニレン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記電磁導電性材料が銅及びニッケルを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記稠密化コア材料がカレンダー仕上げ又は加圧される、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記物品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に配置される接着剤の層を更に含み、前記接着剤がニッケルを含有する、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
少なくとも1つの表面の少なくとも一部分が1つ以上の電磁導電性粒子材料でメッキされた、少なくとも1つの稠密化織物材料の層を含む電磁導電性物品。
【請求項11】
前記稠密化織物が、ポリエステル、ポリアルキレン、ポリアミド、ポリスチレン及びポリアリールスルホンからなる群から選択される溶融加工が可能な高分子材料から作成され、前記稠密化織物材料がRFIDデバイスと近接して配置される、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記電磁導電性材料が、貴金属、非貴金属、貴金属でメッキされた貴金属又は非貴金属、非貴金属でメッキされた貴金属又は非貴金属、貴金属又は非貴金属でメッキされた非金属、導電性非金属及び導電性ポリマーからなる群から選択される1つ以上の材料を含む、請求項10に記載の物品。
【請求項13】
前記電磁導電性材料が、金、銀、白金、ニッケル、銅、スズ、アルミニウム、銀でメッキされた銅、ニッケル、アルミニウム、スズ、又は金、ニッケルでメッキされた銅又は銀、銀又はニッケルでメッキされたグラファイト、ガラス、セラミックス、プラスチック、エラストマー、又は雲母、カーボンブラック又はカーボンファイバー、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリサルファーニトリド(polysulfurnitride)、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(フェニレンスルフィド)又はポリ(p−フェニレンビニレン)及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の材料を含む、請求項10に記載の物品。
【請求項14】
前記電磁導電性材料が、銅及びニッケルを含む、請求項10に記載の物品。
【請求項15】
前記稠密化織物がカレンダー仕上げ又は加圧される、請求項10に記載の物品。
【請求項16】
前記物品の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に配置される接着剤の層を更に含み、前記接着剤がニッケルを含有する、請求項10に記載の物品。
【請求項17】
少なくとも一部分がカレンダー仕上げされ、少なくとも一部分が1つ以上の電磁導電性材料でメッキされた、少なくとも1つの織物材料の層を含む電磁導電性物品。
【請求項18】
少なくとも1つの電磁導電性材料でメッキされた織物を含み、その最小幅にわたって前記織物を切断する平面に沿って測定される前記織物の空気透過率が約0.5m/分以下である、電磁導電性材料。
【請求項19】
その最小幅にわたって前記織物を切断する平面に沿って測定される前記織物の空気透過率が、約0.25m/分以下である、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
その最小幅にわたって前記織物を切断する平面に沿って測定される前記織物の空気透過率が、約0.2m/分以下である、請求項18に記載の物品。
【請求項21】
織物を稠密化する工程と、
1つ以上の電磁導電性材料で前記織物をメッキする工程と、を含む、電磁導電性物品の作成方法。
【請求項22】
前記稠密化する工程がカレンダー仕上げを含み、前記電磁導電性材料が銅及びニッケルを含み、RFIDデバイスに近接して前記織物を配置する工程を更に含む、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−34009(P2013−34009A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−243353(P2012−243353)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2009−527471(P2009−527471)の分割
【原出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】