説明

空気清浄機

【課題】除湿機能の低下を低減することができ、かつ、短時間の動作で、吸着ロータに除去対象物質が蓄積するおそれを低減することができる空気清浄機の提供。
【解決手段】空気清浄機10は、吸着ロータ41とヒータ42と再生ファン43とを有する除湿ユニット40と、制御部60とを備える。制御部60は、空気清浄運転と除湿運転とクリーン運転とを行う。クリーン運転は、吸着ロータ41に付着した物質を除去するための運転である。クリーン運転はメインクリーン運転を含み、メインクリーン運転ではヒータ42が駆動され、かつ、吸着ロータ41が360度未満の所定角度だけ回転する。また、制御部60は、メインクリーン運転が終了しても、メインクリーン運転の開始前に行われていた運転を継続する。さらに、制御部60は、クリーン運転において、メインクリーン運転を複数回行うことで、吸着ロータを360度以上回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機能及び除湿機能を有する空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象空間の空気を清浄化する空気清浄機には、空気清浄運転の他に、対象空間を除湿する除湿運転を行うものがある。このような空気清浄機には、デシカント式の除湿部を備えるものがあり、デシカント式の除湿部の多くは、吸湿剤としての吸着ロータと、吸着ロータを再生するためのヒータとを有している。
【0003】
ここで、デシカント式の除湿部を備える空気清浄機では、ヒータの使用されない運転(例えば、空気清浄運転等)が長期間行われることで、吸着ロータに水以外の物質(例えば、有機物等)が蓄積することがある。そして、水以外の物質が蓄積した状態の吸着ロータがヒータで加熱されると、吸着ロータに蓄積した物質が熱せられることで、吸着ロータが異常な温度になり、吸着ロータから煙が発生するという問題が生じるおそれがある。
【0004】
このような問題に鑑みて、例えば、特許文献1(特開2009―165956号公報)に開示されているデシカント式の除湿装置では、除湿ロータ(吸着ロータに相当)に付着した有機成分を除去するために、再生ヒータ(ヒータに相当)の発熱量を最大にしたり、除湿ロータを回転したりする除湿ロータのクリーニングが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸着ロータに付着する水以外の物質(以下、除去対象物質という)を除去するために、吸着ロータを回転させると、吸着ロータ全体から除去対象物質を除去するためには、吸着ロータを加熱しつつ回転させる状態をある程度の時間は継続する必要があり、ユーザの所望する運転の実行される時間が短くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明の課題は、短時間の動作で、吸着ロータに除去対象物質が蓄積するおそれを低減することができる空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る空気清浄機は、空気清浄部と、除湿部と、メインファンと、制御部と、を備えている。空気清浄部は、空気を清浄化する。除湿部は、吸着ロータと、ヒータと、再生ファンと、を有する。吸着ロータは、空気中の水分を吸着する。また、吸着ロータは、回転可能である。ヒータは、吸着ロータの第1領域を通過する空気を加熱することで、吸着ロータから水分を放出させる。再生ファンは、ヒータによって加熱された空気を、第1領域に流す。メインファンは、空気清浄部、及び、吸着ロータの第2領域に空気を流す。吸着ロータの第2領域とは、吸着ロータにおける第1領域とは別の領域である。制御部は、空気清浄運転と、除湿運転と、クリーン運転と、を行う。空気清浄運転とは、対象空間の空気を清浄化する運転である。除湿運転は、対象空間を除湿する運転である。クリーン運転は、吸着ロータに付着した物質を除去するための運転である。また、空気清浄運転、除湿運転、及び、クリーン運転では、メインファンが駆動されている。さらに、クリーン運転は、メインクリーン運転を含む。メインクリーン運転は、開始条件が満たされた場合に開始され、終了条件が満たされた場合に終了する運転である。また、メインクリーン運転では、ヒータが駆動されて第1領域を通過する空気が加熱され、かつ、吸着ロータが360度未満の所定角度だけ回転する。さらに、制御部は、メインクリーン運転が終了しても、メインクリーン運転の開始前に行われていた運転を継続する。また、制御部は、クリーン運転において、メインクリーン運転を複数回行うことで、吸着ロータを360度以上回転させる。
【0008】
本発明の第1観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転では吸着ロータが360度未満の所定角度だけ回転し、メインクリーン運転が終了してもメインクリーン運転の開始前に行われていた運転が継続される。このため、例えば、メインクリーン運転において吸着ロータが同じ速度で360度回転される場合と比較して、1回のメインクリーン運転の実行時間を短くすることができる。この結果、ユーザの所望する運転の行われる時間が短くならないようにすることができる。さらに、クリーン運転ではメインクリーン運転が複数回行われることで吸着ロータが360度以上回転されるため、クリーン運転が1回行われることで、吸着ロータ全体から除去対象物質を除去することができる。
【0009】
これによって、短時間のクリーン運転で、吸着ロータに除去対象物質が蓄積するおそれを低減することができる。
【0010】
本発明の第2観点に係る空気清浄機は、第1観点の空気清浄機において、制御部は、積算部と、判断部と、を有する。積算部は、ヒータが所定出力未満の出力で駆動され、かつ、メインファンが駆動された時間を積算する。判断部は、積算部に積算される積算時間が、第1所定時間以上となった時に、開始条件が満たされたと判断する。このため、例えば、第1所定時間が短い(例えば、24時間など)場合には、ヒータが低出力で駆動されるメインクリーン運転をこまめに行うことができる。この結果、除去対象物質のうち特に低沸点の物質を、吸着ロータに蓄積する前に除去することができる。
【0011】
これによって、吸着ロータが異常な温度になったり、吸着ロータから煙が発生したりするおそれを低減することができる。
【0012】
本発明の第3観点に係る空気清浄機は、第2観点に空気清浄機において、積算部は、判断部によって開始条件が満たされたと判断される前に、ヒータが所定出力以上の出力で駆動され、かつ、メインファンが第2所定時間以上駆動された場合には、積算した積算時間をリセットする。
【0013】
例えば、ヒータが所定出力で駆動された状態でメインファンが第2所定時間駆動される運転が行われることで、メインクリーン運転が行われた時と同等或いはそれ以上の除去対象物質の除去効果が期待できる場合には、メインクリーン運転を行う必要性が低くなる。
【0014】
そこで、本発明の第3観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転が行われた時と等しい除去対象物質の吸着ロータからの除去効果が期待できる場合には、メインクリーン運転が行われないようにすることで、一定時間毎にメインクリーン運転が行われる場合と比較して、ユーザの所望する運転の行われる時間が短くならないようにすることができる。
【0015】
本発明の第4観点に係る空気清浄機は、第2観点又は第3観点の空気清浄機において、積算部は、メインクリーン運転が終了した時に、積算した積算時間をリセットする。このため、この空気清浄機では、積算時間が第1所定時間以上となる毎に、メインクリーン運転を行うことができる。
【0016】
本発明の第5観点に係る空気清浄機は、第1観点から第4観点のいずれかの空気清浄機において、メインクリーン運転では、ヒータの駆動中は、吸着ロータの回転は停止されている。このため、メインクリーン運転時におけるヒータの出力が低くても、吸着ロータから除去対象物質が除去されるように、吸着ロータを加熱することができる。
【0017】
本発明の第6観点に係る空気清浄機は、第1観点から第5観点のいずれかの空気清浄機において、メインクリーン運転では、ヒータが駆動される前、又は、駆動中のヒータの駆動が停止された後に、吸着ロータが所定角度だけ回転する。このため、メインクリーン運転が行われる毎に、ヒータによって加熱された空気の通る吸着ロータの部位を変更することができる。したがって、この空気清浄機では、メインクリーン運転が複数回行われることで、吸着ロータ全体から除去対象物質を除去することができる。
【0018】
本発明の第7観点に係る空気清浄機は、第1観点から第6観点のいずれかの空気清浄機において、吸着ロータの回転軸に直交しており回転軸から延びる第1直線と第2直線とのなす角度を前記所定角度とした場合に、第1直線及び第2直線によって規定される吸着ロータの所定角度領域は、第1領域よりも小さい。このため、クリーン運転において、吸着ロータで、加熱された空気が通過しない部位が生じるおそれを減らすことができる。
【0019】
これによって、吸着ロータから除去対象物質が除去されないおそれを低減することができる。
【0020】
本発明の第8観点に係る空気清浄機は、第1観点から第7観点のいずれかの空気清浄機において、クリーン運転は、ヒータの駆動が停止され、再生ファンが駆動されるアフタークリーン運転を含む。また、制御部は、メインクリーン運転の終了後に、メインクリーン運転からアフタークリーン運転に運転を切り換える。
【0021】
本発明の第8観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転の終了後に、アフタークリーン運転が行われる。このため、吸着ロータの第1領域を通過した空気の流れる流路の温度を下げることができる。したがって、例えば、前記流路が樹脂等で形成されている場合に、前記流路が熱変形するおそれを低減することができる。
【0022】
本発明の第9観点に係る空気清浄機は、第1観点から第8観点のいずれかの空気清浄機において、クリーン運転以外の運転からメインクリーン運転に運転が切り換わった場合、メインクリーン運転では、メインファンの風量としてメインクリーン運転に切り換わる前の運転時の風量が維持されている。この空気清浄機では、メインクリーン運転が行われていても、メインファンの風量が変更されないため、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0023】
本発明の第10観点に係る空気清浄機は、第1観点から第9観点のいずれかの空気清浄機において、所定事項をユーザに報知可能な報知部を更に備える。また、制御部は、開始条件が満たされていると判断した場合には、メインクリーン運転を自動的に開始する。さらに、報知部は、メインクリーン運転に関する報知を行わない。このため、この空気清浄機では、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0024】
本発明の第11観点に係る空気清浄機は、第1観点から第10観点のいずれかの空気清浄機において、ユーザからの運転内容の変更に関する運転変更指示を受け付ける第1受付部を更に備える。また、制御部は、メインクリーン運転を行っている間に第1受付部において運転変更指示が受け付けられた場合には、現在行っている運転から前記運転変更指示に基づく運転に運転内容を切り換え、かつ、メインクリーン運転を継続して行う。この空気清浄機では、メインクリーン運転中にユーザによって運転内容が変更されても、変更された運転とメインクリーン運転とが同時に行われるため、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0025】
本発明の第12観点に係る空気清浄機は、第1観点から第11観点のいずれかの空気清浄機において、ユーザからの設定風量の変更に関する風量変更指示を受け付ける第2受付部を更に備える。また、制御部は、メインクリーン運転を行っている間に第2受付部において風量変更指示が受け付けられた場合には、現在の設定風量から風量変更指示に基づく風量に切り換えて、メインクリーン運転を継続して行う。この空気清浄機では、メインクリーン運転中にユーザによって設定風量が変更されても、変更された風量でメインクリーン運転が行われるため、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0026】
本発明の第13観点に係る空気清浄機は、第2観点の空気清浄機において、第1所定時間は、24時間の約数を除く時間に設定されている。
【0027】
1日を24時間とした場合、例えば、第1所定時間が24時間に設定されている場合には、ヒータが所定出力未満の出力で駆動され、かつ、メインファンが駆動される運転が24時間継続されると、開始条件が満たされてメインクリーン運転が開始されることから、毎日同じ時間にメインクリーン運転が開始される可能性が生じる。
【0028】
そこで、本発明の第13観点に係る空気清浄機では、第1所定時間が24時間の約数を除く時間に設定されているため、毎日同じ時間にメインクリーン運転が開始されるおそれを低減することができる。
【0029】
これによって、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0030】
本発明の第14観点に係る空気清浄機は、第1観点から第13観点のいずれかの空気清浄機において、メインクリーン運転では、ヒータが、除湿運転時の最大出力よりも低い出力で駆動される。この結果、例えば、メインクリーン運転時にヒータが除湿運転時の最大出力で駆動される場合と比較して、吸着ロータを通過する空気の温度を下げることができるため、吸着ロータの第1領域を通過した空気の流れる流路が樹脂等で形成されている場合に、前記流路が熱変形するおそれを低減することができる。
【0031】
本発明の第15観点に係る空気清浄機は、第2観点から第4観点のいずれかの空気清浄機において、積算部は、ヒータが所定出力以上の出力で駆動され、かつ、メインファンが駆動された駆動時間を更に積算する。また、判断部は、予め設定されている第3所定時間に駆動時間を加えた時間を、第1所定時間とみなして開始条件を判断する。このため、この空気清浄機では、一定時間毎にメインクリーン運転が行われる場合と比較して、ユーザの所望する運転の行われる時間が短くならないようにすることができる。
【0032】
本発明の第16観点に係る空気清浄機は、空気清浄部と、除湿部と、メインファンと、制御部と、を備えている。空気清浄部は、空気を清浄化する。除湿部は、吸着ロータと、ヒータと、再生ファンと、を有する。吸着ロータは、空気中の水分を吸着する。また、吸着ロータは、回転可能である。ヒータは、吸着ロータの第1領域を通過する空気を加熱することで、吸着ロータから水分を放出させる。再生ファンは、ヒータによって加熱された空気を、第1領域に流す。メインファンは、空気清浄部、及び、吸着ロータの第2領域に空気を流す。吸着ロータの第2領域とは、吸着ロータにおける第1領域とは別の領域である。制御部は、空気清浄運転と、除湿運転と、クリーン運転と、を行う。空気清浄運転とは、対象空間の空気を清浄化する運転である。除湿運転は、対象空間を除湿する運転である。クリーン運転は、吸着ロータに付着した物質を除去するための運転である。また、空気清浄運転、除湿運転、及び、クリーン運転では、メインファンが駆動されている。さらに、クリーン運転は、メインクリーン運転を含む。メインクリーン運転は、開始条件が満たされた場合に開始され、終了条件が満たされた場合に終了する運転である。また、メインクリーン運転では、ヒータが駆動されて第1領域を通過する空気が加熱され、かつ、吸着ロータが360度未満の所定角度だけ回転する。さらに、制御部は、メインクリーン運転の終了後に、メインクリーン運転の開始前に行われていた運転を行う。また、制御部は、クリーン運転において、メインクリーン運転を複数回行うことで、吸着ロータを360度以上回転させる。
【0033】
本発明の第16観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転では吸着ロータが360度未満の所定角度だけ回転し、メインクリーン運転の終了後にメインクリーン運転の開始前に行われていた運転が行われている。このため、例えば、メインクリーン運転において吸着ロータが同じ速度で360度回転される場合と比較して、1回のメインクリーン運転の実行時間を短くすることができる。この結果、ユーザの所望する運転の行われる時間が短くならないようにすることができる。さらに、クリーン運転ではメインクリーン運転が複数回行われることで吸着ロータが360度以上回転されるため、クリーン運転が1回行われることで、吸着ロータ全体から除去対象物質を除去することができる。
【0034】
これによって、短時間のクリーン運転で、吸着ロータに除去対象物質が蓄積するおそれを低減することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の第1観点に係る空気清浄機では、短時間のクリーン運転で、吸着ロータに除去対象物質が蓄積するおそれを低減することができる。
【0036】
本発明の第2観点に係る空気清浄機では、吸着ロータが異常な温度になったり、吸着ロータから煙が発生したりするおそれを低減することができる。
【0037】
本発明の第3観点に係る空気清浄機では、ユーザの所望する運転の行われる時間が短くならないようにすることができる。
【0038】
本発明の第4観点に係る空気清浄機では、積算時間が第1所定時間以上となる毎に、メインクリーン運転を行うことができる。
【0039】
本発明の第5観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転時におけるヒータの出力が低くても、吸着ロータから除去対象物質が除去されるように、吸着ロータを加熱することができる。
【0040】
本発明の第6観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転が複数回行われることで、吸着ロータ全体から除去対象物質を除去することができる。
【0041】
本発明の第7観点に係る空気清浄機では、吸着ロータから除去対象物質が除去されないおそれを低減することができる。
【0042】
本発明の第8観点に係る空気清浄機では、吸着ロータの第1領域を通過した空気の流れる流路が樹脂等で形成されている場合に、前記流路が熱変形するおそれを低減することができる。
【0043】
本発明の第9観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0044】
本発明の第10観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0045】
本発明の第11観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0046】
本発明の第12観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0047】
本発明の第13観点に係る空気清浄機では、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0048】
本発明の第14観点に係る空気清浄機では、吸着ロータの第1領域を通過した空気の流れる流路が樹脂等で形成されている場合に、前記流路が熱変形するおそれを低減することができる。
【0049】
本発明の第15観点に係る空気清浄機では、ユーザの所望する運転の行われる時間が短くならないようにすることができる。
【0050】
本発明の第16観点に係る空気清浄機では、短時間のクリーン運転で、吸着ロータに除去対象物質が蓄積するおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気清浄機の外観斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る空気清浄機から空気清浄ユニットを取り外した状態の斜視図。
【図3】加湿ユニットの斜視図。
【図4】加湿ユニットの有する水車の分解斜視図。
【図5】除湿ユニットと加湿ユニットとが組み合わされた状態の斜視図。
【図6】除湿ユニットの斜視図。
【図7】除湿ユニットを正面側から視た図。
【図8】吸着ロータの第1領域と第2領域とを説明するための図。
【図9】空気清浄機の備える制御部の制御ブロック図。
【図10】吸着ロータの第1領域と所定角度領域とを説明するための図。
【図11】第1クリーン運転が行われる際の各構成部品の制御内容の一例を示す図。
【図12】第2クリーン運転に含まれるバッチクリーン運転及びアフタークリーン運転が行われる際の各構成部品の制御内容の一例を示す図。
【図13】第2クリーン運転に含まれるバッチクリーン運転及びアフタークリーン運転が行われる際の各構成部品の制御内容の一例を示す図。
【図14】第2クリーン運転に含まれるバッチクリーン運転及びアフタークリーン運転が行われる際の各構成部品の制御内容の一例を示す図。
【図15】第2クリーン運転に含まれるバッチクリーン運転及びアフタークリーン運転が行われる際の各構成部品の制御内容の一例を示す図。
【図16】第1クリーン運転実行時の制御部による制御の流れを示すフローチャート。
【図17】第2クリーン運転のバッチクリーン運転及びアフタークリーン運転実行時の制御部による制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る空気清浄機10について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0053】
(1)空気清浄機の構成
空気清浄機10は、加湿機能、除湿機能及び空気清浄機能を有しており、加湿運転時は空気清浄機10の設置されている対象空間(例えば、室内など)を加湿する加湿機として、除湿運転時は対象空間を除湿する除湿機として、空気清浄運転時は対象空間の空気を清浄化する空気清浄機として働く。また、本実施形態では、この空気清浄機10は、単一機能だけでなく、同時に複数の機能を組み合わせて稼働させることができる。この複数の組み合わせとは、例えば、空気清浄機能と除湿機能との組み合わせ、或いは、空気清浄機能と加湿機能との組み合わせのことである。また、本実施形態の空気清浄機10は、加湿機能を有しているが、これに限定されず、除湿機能及び空気清浄機能を有していれば加湿機能を有していなくてもよい。
【0054】
空気清浄機10は、本体ケーシング11と、メインファン12と、加湿ユニット30と、除湿ユニット40と、空気清浄ユニット20と、制御部60とを備えている(図1参照)。
【0055】
本体ケーシング11は、略直方体形状であり、メインファン12、除湿ユニット40、加湿ユニット30、空気清浄ユニット20および制御部60等を収容している。また、本体ケーシング11の最上面には、図1に示すように、空気清浄運転、除湿運転および加湿運転を選択する操作パネル80が設けられており、この操作パネル80は下方に位置する制御部60と接続されている。操作パネル80上には、運転入/切ボタン81(図9参照)、運転切換ボタン82(第1受付部に相当;図9参照)、風量設定ボタン83(第2受付部に相当;図9参照)、しつど選択ボタン、コース選択ボタン、切タイマー選択ボタン、オートルーバボタン、おすすめボタン、クリーンボタン84(図9参照)、及び、条件変更ボタン85(図9参照)が設けられており、各ボタンを押すことによって、押されたボタンに対応した制御信号が制御部60に入力される。例えば、運転入/切ボタン81は、空気清浄機10への電源供給をオン/オフするためのボタンであり、電源プラグをコンセントに差し込んだ後に押されると、空気清浄機10の運転が開始され、再度押されると、空気清浄機10の運転が停止される。また、運転切換ボタン82は、運転モードを選択するボタンであり、「空気清浄」、「加湿」および「除湿」のいずれか1つを選択することができる。なお、ここでいう「加湿」とは、空気清浄をしながらの加湿運転であり、設定湿度に達すると、加湿運転を停止するが、空気清浄運転はそのまま行う。同様に、「除湿」とは、空気清浄をしながらの除湿運転であり、設定温度に達すると、除湿運転を停止するが、空気清浄運転はそのまま行う。
【0056】
また、操作パネル80は、ユーザに対して所定事項を報知するための表示部90を有している。また、表示部90は、給水LED91と、満水LED92と、お知らせLED93と、クリーン運転LED94と、水交換LED95と、を含む。給水LED91は、後述する貯水容器31内への水の補充が必要であることをユーザに報知するために点灯される。満水LED92は、貯水容器31内からの水の排出が必要であることをユーザに報知するために点灯される。お知らせLED93は、第1クリーン運転が必要であることをユーザに報知するために点灯される。クリーン運転LED94は、第1クリーン運転、又は、第2クリーン運転のアフタークリーン運転を実行中であることをユーザに報知するために点灯される。さらに、水交換LED95は、貯水容器31内のドレン水の排出が推奨されることユーザに報知するために点灯される。なお、各LEDの点灯または消灯は、後述する制御部60によって制御されている。
【0057】
メインファン12は、本体ケーシング11に収容されたとき、空気清浄ユニット20とは反対側に配置されている。また、この空気清浄機10を空気清浄ユニット20側から視たときに、各内部部品は、空気清浄ユニット20、除湿ユニット40、加湿ユニット30、メインファン12の順に並んでいる。このため、メインファン12が稼働されると、空気清浄機10が設置されている対象空間の空気が、空気清浄ユニット20側から除湿ユニット40および加湿ユニット30を通過しメインファン12に至る空気流A1が形成される。なお、本実施形態では、メインファン12は、空気清浄運転、加湿運転或いは除湿運転が開始されてから停止されるまで、設定風量で回転している。
【0058】
なお、図1では、加湿ユニット30の構成部品である、貯水容器31、加湿ロータ32および水車33が加湿ユニット30から引き出されているが、運転時には、加湿ユニット30の所定位置に配置されている。
【0059】
以下に、空気清浄機10の備える空気清浄ユニット20、加湿ユニット30、除湿ユニット40及び制御部60について、詳細に説明する。
【0060】
(2)空気清浄ユニットの構成
図2は、空気清浄機10から空気清浄ユニット20を取り外した斜視図である。
【0061】
空気清浄ユニット20は、空気清浄機10の設置されている対象空間の空気を清浄化するためのユニットであって、図2に示すように、カバー21と、フィルタ22と、脱臭触媒23とを有している。フィルタ22と脱臭触媒23とは、本体ケーシング11に設けられた収納部24に着脱可能に収納されており、脱臭触媒23がフィルタ22の空気流A1下流側に位置する。
【0062】
フィルタ22内部には、空気流A1上流側から順に、プレフィルタ、ホコリをプラスに帯電させるイオン化部、マイナスに帯電したプリーツフィルタ、が並んで配置されている。空気中のホコリは、プレフィルタで取り除かれ、プレフィルタで取りきれなかった小さなホコリは、イオン化部でプラスに帯電され、マイナスに帯電したプリーツフィルタに吸着される。脱臭触媒23は、フィルタ22を通過してきた空気からニオイや有害ガスを吸着し、分解する。
【0063】
なお、本実施形態では、空気清浄ユニット20の有するフィルタ22が、イオン化部やプリーツフィルタを含んでいたり、脱臭触媒23を有していたりするが、空気を清浄化する機能を有していれば、これに限定されない。例えば、空気清浄ユニット20が、プレフィルタのみで構成されていてもよい。また、空気清浄ユニット20が、ホコリセンサやニオイセンサ等を有していてもよい。
【0064】
(3)加湿ユニットの構成
加湿ユニット30は、運転時において、除湿ユニット40の有する再生ファン43の下方に重なるように配置されている。また、加湿ユニット30は、図3に示すように、主に、貯水容器31、加湿ロータ32及び水車33を有している。
【0065】
(3−1)貯水容器
貯水容器31は、空気流A1を流れる空気に与える水分の水源であり、図1に示すように、本体ケーシング11に着脱可能に収容されている。具体的には、本体ケーシング11の有する引き出し式の第1扉11aが引き出されることによって、貯水容器31は本体ケーシング11の開口11cから取り出される。さらに、図3に示すように、貯水容器31の内側には上部が開いている軸受31aが設けられており、この軸受31aは後述する回転軸37を回転可能に支持する。また、貯水容器31は、図1に示すように、ドレンパン31bを有している。
【0066】
(3−2)加湿ロータ
加湿ロータ32は、供給された水を気化させる部材であり、図3に示すように、水車33に近接して配置されており、貯水容器31の満水時の水位よりも上方に配置されている。また、加湿ロータ32は、気化フィルタ32aと、第1歯車32bとを有しており、回転可能である。
【0067】
第1歯車32bは、図3に示すように、気化フィルタ32aの外周縁に固定されており、駆動モータ34の駆動によって回転する駆動歯車34aおよび第2歯車34bと噛み合うことによって支持されている。また、駆動歯車34aおよび第2歯車34bは、第1歯車32bの回転軸よりも下方に位置し、加湿ロータ32の鉛直中心線に対して互いに反対側に位置している。
【0068】
(3−3)水車
水車33は、図3および図4に示すように、車輪35と、車輪カバー36と、第2歯車34bとを有しており、貯水容器31の内側を回転可能である。
【0069】
車輪35には、図4に示すように、一方の側面から反対側の側面に向かって窪む複数の凹部35aが円を描くように形成されている。また、車輪35には、この凹部35aの開口側を覆うように、車輪カバー36が組み合わされる。なお、車輪カバー36には、台形状の孔36aが、車輪35の凹部35aと対向する位置に円を描くように形成されている。この台形状の孔36aの大きさは、凹部35aの開口の半分程度である。このため、車輪35に車輪カバー36が組み合わされたとき、凹部35aの開口は半分程度が開いた状態となる。第2歯車34bは、加湿ロータ32の第1歯車32bと噛み合う歯車であり、回転中心には、車輪35、車輪カバー36および第2歯車34bが共有する回転軸37が設けられている。この回転軸37を同軸として、第2歯車34b、車輪カバー36、車輪35が順に重ねて組み合わされている。なお、この回転軸37は、上述のように、貯水容器31の軸受31aに回転可能に支持されている。このため、貯水容器31を本体ケーシング11から引き出すことで、水車33を貯水容器31から取り出すことができる。なお、貯水容器31の底面から軸受31aの軸心までの高さは、貯水容器31に溜められている水が最低水位のときであっても、水車33の最下位置にある凹部35aが水没するように設定されている。
【0070】
また、図5は、除湿ユニット40と、加湿ユニット30とが組み合わされた状態の斜視図である。図5において、加湿ユニット30は、除湿ユニット40の再生ファン43の下方に、重なるように配置されている。加湿ユニット30の加湿ロータ32は、除湿ユニット40の吸着ロータ41及び熱交換部44と対向している。そして、水車33は、加湿ロータ32と熱交換部44とで挟まれるように配置されている。
【0071】
さらに、加湿ユニット30では、駆動モータ34が駆動することで、加湿ロータ32および水車33が回転する。水車33が回転することによって、凹部35aは貯水容器31の水中を順番に通過して上昇する。凹部35aが浸水すると台形状の孔36aから凹部35aの内部に水が入る。このため、凹部35aが水中から出てきたとき、凹部35aの内部は水で満たされている。そして、凹部35aが最上位置に近づくにしたがって、凹部35a内部の水が台形状の孔36aから流出し、凹部35aが最上位置を通過したときに、ほぼ全ての水が流出する。このとき、水は、流出する際に重力によってある程度の勢いが付加されているので、凹部35aと近接している加湿ロータ32の側面に向かって流出する。
【0072】
(4)除湿ユニットの構成
除湿ユニット40は、図6および図7に示すように、吸着ロータ41、ヒータ42、再生ファン43、熱交換部44、及び、吸着ロータ駆動部(図示せず)を有している。
【0073】
(4−1)吸着ロータ
吸着ロータ41は、ハニカム構造体であり、ゼオライト粉末、バインダーおよび膨張剤を混合して練り上げた多孔質の材料によって円板状に成形されている。ここでいうバインダーとしては、例えば、変性PPE、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂から選択されたものである。膨張剤は、ハニカム構造体の成形時に膨張することで、無数の気泡を形成させる。このため、吸着ロータ41は、水分に対した高い吸着性を有している。また、吸着ロータ41は、ヒータ42に対向する第1領域41aと、第1領域41a以外の第2領域41bと、に区別することができる(図8参照)。メインファン12によって形成される空気流A1は、吸着ロータ41においてヒータ42及び後述する第2送風管44bによって挟まれていない領域である第2領域41bを通過する。また、吸着ロータ41は回転可能であるため、吸着ロータ41が回転することで、吸着ロータ41において第1領域41aとなる部位と、吸着ロータ41において第2領域41bとなる部位とが変化する。
【0074】
(4−2)ヒータ
ヒータ42は、吸着ロータ41の第1領域を通過する空気を加熱して吸着ロータ31から水分を放出させるために、吸着ロータ41の背面側の一部に対向して配置されている。なお、本実施形態では、ヒータ42は、略扇形形状であって、吸着ロータ41の背面側の6分の1程度を覆う位置に設けられている。
【0075】
(4−3)再生ファン
再生ファン43は、吸着ロータ41の上方部分から背面側に向けて突出するような形状を有している。ヒータ42と再生ファン43とは空気の流通ができるように熱交換部44の有する第1送風管44aによって連絡されている。再生ファン43が稼働することで空気流が形成され、空気は第1送風管44a内を図6の矢印で示す方向に流れる。そして、ヒータ42近傍に流れてきた空気は、ヒータ42で加熱されて高温空気となり、吸着ロータ41の第1領域41aに流れる。
【0076】
(4−4)熱交換部
熱交換部44は、図6および図7に示すように、送風管と凝縮部45とを有している。なお、熱交換部44は、樹脂によって構成されている。
【0077】
送風管は、第1送風管44aと、第2送風管44bと、第3送風管44cと、第4送風管44dと、第5送風管44eと、第6送風管44fと、第7送風管44gと、から構成される。ヒータ42によって加熱された高温空気は、対向する吸着ロータ41の背面側から吸着ロータ41の厚み方向の正面側に向かって進み、吸着ロータ41の正面側に流れる。ここで、図8に示すように、吸着ロータ41のうち高温空気が通過する第1領域(吸着ロータ41のうちヒータ42の加熱可能部分が重なる領域)41aでは、吸着ロータ41が高温空気によって暖められることで、保持していた水分が再生ファン43による空気流れによって放出される。このため、吸着ロータ41を背面側から前面側に向けて通過した空気は、吸着ロータ41から放出された水分を含むことにより高温高湿空気となり、第2送風管44bに進む。
【0078】
第2送風管44bは、正面視において略扇型形状を呈しており、吸着ロータ41の一部を正面側から覆うように配置されている。また、第2送風管44bは、上述したヒータ42と共に吸着ロータ41の同一部分を挟むような位置に設けられ、吸着ロータ41の正面側の6分の1程度を覆っている。
【0079】
第3送風管44cは、第2送風管44bと第4送風管44dとの空気の流通ができるように、第2送風管44bと第4送風管44dとを連絡している。
【0080】
第4送風管44dは、第3送風管44cと凝縮部45との空気の流通ができるように、第3送風管44cと凝縮部45とを連絡している。具体的には、第4送風管44dは、図7に示すように、吸着ロータ41の厚さ方向に交差する方向(略水平方向)に延びており、吸着ロータ41の下方に沿うように形成されている。また、第4送風管44dの下部は、後述する複数の凝縮管46と接続されている。なお、ここでいう「上下」および「左右」は、除湿ユニット40を正面視した場合の「上下」および「左右」を意味している。
【0081】
第5送風管44eは、凝縮部45と第6送風管44fとの空気の流通ができるように、凝縮部45と第6送風管44fとを連絡している。具体的には、第5送風管44eは、図7に示すように、第4送風管44dと同様に吸着ロータ41の厚さ方向に交差する方向(略水平方向)に延びており、第4送風管44dの下方に第4送風管44dと対向するように配置されている。また、第5送風管44eの上部は、複数の凝縮管46と接続されている。
【0082】
第6送風管44fは、第5送風管44eと第7送風管44gとの空気の流通ができるように、第5送風管44eと第7送風管44gとを連絡している。
【0083】
第7送風管44gは、第6送風管44fと再生ファン43とを連絡している。第6送風管44fを通過してきた空気は、第7送風管44gを通って再生ファン43に吸い込まれる。
【0084】
凝縮部45は、図6および図7に示すように、第4送風管44dと第5送風管44eとを連絡しており、複数の凝縮管46を有している。また、凝縮管46は、第4送風管44dから第5送風管44eに鉛直方向に延びている。さらに、凝縮管46同士は、所定の間隔をあけて配置されている。このため、第3送風管44cを流れてきた高温高湿空気は、第4送風管44d内を、除湿ユニット40の正面視において左側から右側(図6の矢印に示す方向)に向かって流れるとともに、複数の凝縮管46に分配される。また、複数の凝縮管46に分配された空気は、第5送風管44eにおいて合流して第6送風管44f内に流れる。
【0085】
また、凝縮管46同士が所定の間隔をあけて配置されているため、凝縮部45には、凝縮管46同士の間に、空気流A1が通過する空気通過部46aが形成されている。このような構成によって、熱交換部44内部を流れる高温高湿空気は、凝縮部45の凝縮管46の内壁面に接触しながら流れる。このため、熱交換部44外部を通過する空気は、凝縮管46内部を流れる高温高湿空気との間で熱交換を行い、互いに混ざり合うことなく、凝縮管46内部を流れる空気から熱量を奪う。したがって、凝縮管46内壁面に接触した高温高湿の空気は冷却され、凝縮管46の内壁面には結露が生じる。この結露水(以下、ドレン水という)は、凝縮管46の下方に流れ、第5送風管44eの下面に設けられている排水口47を通って、ドレンパン31bを介して貯水容器31に流れ込む。また、凝縮部45において熱交換された空気は、再生ファン43に吸い込まれる。
【0086】
(4−5)吸着ロータ駆動部
吸着ロータ駆動部は、ステッピングモータである駆動モータ49(図9参照)と、駆動モータ49によって回転されるピニオン歯車(図示せず)と、ピニオン歯車と噛み合う従動歯車(図示せず)と、を有している。また、従動歯車は、吸着ロータ41の外周に配置されている。このため、駆動モータ49が稼働すると、ピニオン歯車と噛み合っている従動歯車に動力が伝わり、吸着ロータ41が回転する。そして、吸着ロータ41は回転しながら、本体ケーシング11に吸い込まれた空気が吸着ロータ41の第2領域41bを通過する。吸着ロータ41は、この空気が吸着ロータ41を通過する際に、通過しようとする空気中の水分を吸着して保持し、通過後の空気の水分を低減させる。そして、吸着ロータ41が回転を続けることで、吸着ロータ41のうち水分を保持している部分が、ヒータ42と対向する位置にまで移動し、加熱される。これにより水分を保持していた吸着ロータ41の一部は、保持していた水分をその場で放出し、ほとんど水分を保持していない状態となる。そして、吸着ロータ41は、回転を続けることで、新たな外部空気と接触し、この新たな外部空気から水分を吸着して保持する。このようにして、吸着ロータ41が回転することにより、水分の吸着と放出とを繰り返すことができる。
【0087】
(5)制御部
制御部60は、上述のように、操作パネル80の下方に配置されており、操作パネル80から入力される制御信号に基づいて、空気清浄運転、加湿運転、除湿運転、及び、クリーン運転が行われるように、各構成部品の駆動を制御する。また、制御部60は、図9に示すように、空気清浄運転制御部61と、除湿運転制御部62と、加湿運転制御部63と、クリーン運転制御部64と、を備えている。
【0088】
空気清浄運転制御部61は、ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、運転切換ボタン82が押されて「空気清浄」が選択された場合、設定風量となるようにメインファン12を稼働させる。空気清浄運転制御部61によってメインファン12が稼働されることで、空気清浄機10内部に取り込まれた空気が清浄化される空気清浄運転が実行される。また、空気清浄運転制御部61は、風量設定ボタン83が押された場合、設定された風量に切り換わるようにメインファン12の駆動を制御する。
【0089】
加湿運転制御部63は、ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、運転切換ボタン82が押されて「加湿」が選択された場合、設定風量となるようにメインファン12を稼働させ、かつ、加湿ユニット30の駆動モータ34を稼働させる。加湿運転制御部63によって、駆動モータ34が稼働され、かつ、メインファン12が稼働されることで、空気清浄機10内部に取り込まれた空気が、回転しており、かつ水分を含んだ加湿ロータ32を通過することで加湿される加湿運転が実行される。また、加湿運転制御部63は、風量設定ボタン83が押された場合、設定された風量に切り換わるようにメインファン12の駆動を制御する。
【0090】
除湿運転制御部62は、ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、運転切換ボタン82が押されて「除湿」が選択された場合、設定風量となるようにメインファン12を稼働させ、かつ、除湿ユニット40の駆動モータ49、ヒータ42および再生ファン43を稼働させる。なお、本実施形態では、除湿運転制御部62は、ヒータ42を所定出力(例えば、500W)で稼働させる。除湿運転制御部62によって、駆動モータ49、ヒータ42および再生ファン43が稼働され、かつ、メインファン12が稼働されることで、空気清浄機10内部に取り込まれた空気が、回転しており、かつ、水分が放出された吸着ロータ41の第2領域41bを通過することで除湿される除湿運転が実行される。また、除湿運転制御部62は、風量設定ボタン83が押された場合、設定された風量に切り換わるようにメインファン12の駆動を制御する。
【0091】
クリーン運転制御部64は、メインファン12、除湿ユニット40の駆動モータ49、ヒータ42及び再生ファン43を駆動を制御することで、クリーン運転を実行する。なお、クリーン運転は、除湿ユニット40の吸着ロータ41に付着した水以外の物質(例えば、有機物など)を除去するための運転であって、空気清浄運転、或いは、加湿運転中であっても、後述する第1開始条件或いは第2開始条件が満たされた場合には、優先して実行される。また、クリーン運転には、第1クリーン運転と第2クリーン運転(クリーン運転に相当)との2種類の運転がある。
【0092】
第1クリーン運転には、ロータクリーン運転と、アフタークリーン運転とが含まれる。また、第1クリーン運転では、ロータクリーン運転、アフタークリーン運転の順に運転が切り換えられる。ロータクリーン運転を実行する場合、クリーン運転制御部64は、ヒータ42、駆動モータ49及び再生ファン43を除湿運転時と同様に稼働させ、かつ、設定可能な風量のうちの最大風量となるようにメインファン12を稼働させる。すなわち、本実施形態では、ロータクリーン運転と、最大風量に設定された除湿運転とは、同様の運転となる。また、アフタークリーン運転を実行する場合、クリーン運転制御部64は、ヒータ42及び駆動モータ49の稼働を停止し、再生ファン43を除湿運転時と同様に稼働させ、かつ、ユーザによって設定されている設定風量となるようにメインファン12を稼働させる。
【0093】
第2クリーン運転には、バッチクリーン運転(メインクリーン運転に相当)と、アフタークリーン運転とが含まれる。また、第2クリーン運転では、バッチクリーン運転、アフタークリーン運転の順に運転が切り換えられる。バッチクリーン運転を実行する場合、現在駆動している機器をそのまま稼働させつつ、クリーン運転制御部64は、ヒータ42を、除湿運転及びロータクリーン運転時の所定出力よりも低い出力(例えば、180W)で稼働させ、再生ファン43を除湿運転時と同様に稼働させ、かつ、ユーザによって設定されている設定風量及び設定モードとなるようにメインファン12を稼働させる。なお、クリーン運転制御部64は、バッチクリーン運転を開始すると同時にメインファン12を稼働させるのではなく、バッチクリーン運転開始前の運転時に稼働しているメインファン12を継続して稼働させる。また、クリーン運転制御部64は、バッチクリーン運転において、後述する判断部65によって第2終了条件が満たされていると判断された場合、再生ファン43を除湿運転時と同様に稼働させ、かつ、ユーザによって設定されている設定風量となるようにメインファン12を稼働させた状態で、ヒータ42の稼働を停止し、駆動モータ49を稼働することで吸着ロータ41を360度未満の所定角度θだけ回転させる。このため、バッチクリーン運転において、ヒータ42が稼働している場合、吸着ロータ41の回転は停止している。なお、本実施形態では、図10に示す吸着ロータ41の所定角度領域41cは、ヒータ42が吸着ロータ41を加熱することができる領域である第1領域41aよりも小さくなるように設計されている。また、ここでいう所定角度領域41cとは、吸着ロータ41の回転軸に直交する第1仮想直線(第1直線に相当)L1と第2仮想直線(第2直線に相当)L2とのなす角度を所定角度θとした場合に、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とによって規定される吸着ロータ41の領域を意味している。なお、図10では、第1領域41aと所定角度領域41cとを比較するために、吸着ロータ41においてヒータ42によって覆われる領域である第1領域41aを、第1仮想直線L1と第3仮想直線L3とによって規定することで示している。また、第2クリーン運転におけるアフタークリーン運転は、第1クリーン運転におけるアフタークリーン運転と同様であるため、説明を省略する。さらに、本実施形態における第2クリーン運転は、バッチクリーン運転が複数回行われて、吸着ロータ41が1回転(360度)以上回転することで、1回の第2クリーン運転が実行されたものとする。すなわち、本実施形態では、第2クリーン運転が1回行われることで、吸着ロータ41が1回転以上回転する。また、本実施形態では、バッチクリーン運転実行中に、ユーザによって設定風量が変更された場合には、変更後の設定風量となるようにメインファン12が稼働される。さらに、本実施形態では、バッチクリーン運転実行中に、ユーザによって運転内容が変更された場合(例えば、空気清浄運転から加湿運転に変更された場合や、加湿運転から空気清浄運転に変更された場合)には、変更された運転が行われるように、各構成機器が制御される。すなわち、本実施形態の第2クリーン運転は、ユーザによる設定風量及び運転内容の変更に従いつつ行われる。
【0094】
また、クリーン運転制御部64は、積算部66と、判断部65と、を有している。
【0095】
積算部66は、計測部67と、演算部68と、記憶部69と、を含む。計測部67は、ヒータ42が所定出力以上の出力で稼働されずに、メインファン12が稼働している運転実行時間を計測する。具体的には、計測部67は、除湿運転及び第1クリーン運転のロータクリーン運転以外の運転である空気清浄運転及び加湿運転が実際に行われている運転実行時間を計測する。
【0096】
演算部68は、計測部67によって計測された運転実行時間に、設定風量に応じた係数を乗じた補正運転時間を算出する。なお、設定風量に応じた係数は、風量の違いによる吸着ロータ41の汚れ度合いの違いを考慮して重み付けをするために、シミュレーションや机上計算、実験等によって決定されており、予め記憶部69に記憶されている。
【0097】
記憶部69は、計測された運転実行時間を積算していくことで、積算運転時間(積算時間に相当)を導出して記憶する。また、記憶部69は、算出される補正運転時間を積算していくことで、積算補正運転時間を導出して記憶する。さらに、記憶部69は、除湿運転が第8所定時間(第2所定時間に相当)以上継続して行われた場合、第1クリーン運転が行われた場合、或いは、第2クリーン運転のバッチクリーン運転が終了した場合にのみ、記憶している積算運転時間をリセットする。また、記憶部69は、除湿運転が第9所定時間以上継続して行われた場合、或いは、第1クリーン運転が実行された場合にのみ、記憶している積算補正運転時間をリセットする。
【0098】
判断部65は、第1開始条件、及び、第2開始条件(開始条件に相当)が満たされているか否かを判断する。判断部65は、記憶部69に記憶されている積算補正運転時間が第1所定時間を超えた場合に、第1開始条件が満たされていると判断する。また、判断部65は、記憶部69に記憶されている積算運転時間が第2所定時間(第1所定時間に相当)を超えた場合に、第2開始条件が満たされていると判断する。なお、第2所定時間は、第1所定時間よりも短いものとする。
【0099】
ここで、予め設定されている第1所定時間は、吸着ロータ41に付着した除去対象物質が発煙する付着量発煙閾値を実験的に求め、この付着量発煙閾値と、クリーン運転を行わない状態で空気清浄運転を行わせた場合の吸着ロータ41への除去対象物質の付着量とに基づいて決定されている。また、第2所定時間は、1日を24時間とした場合の24時間の約数を除く時間に設定されている。すなわち、第2所定時間は、1,2,3,4,6,8,12,24時間を除く時間に設定されている。また、第2所定時間は、吸着ロータ41に付着した除去対象物質のうち主に低沸点の物質が発熱する付着量発熱閾値を実験的に求め、クリーン運転を行わない状態で空気清浄運転を行わせた場合の吸着ロータ41への除去対象物質の付着量が付着量発熱閾値に達しない時間に決定されている。なお、本実施形態では、ユーザは、条件変更ボタン85を押すことで、第1開始条件を変更することができる。具体的には、ユーザによって条件変更ボタン85が押されることで、第1所定時間の設定が変更される。また、本実施形態では、第1所定時間として予め設定されている時間よりも短時間となるように設定変更が可能であるものとする。
【0100】
また、判断部65は、第1終了条件、及び、第2終了条件(終了条件に相当)が満たされているか否かを判断する。判断部65は、ロータクリーン運転が開始されてから第3所定時間が経過した場合に、第1終了条件が満たされていると判断する。また、第2送風管44bと第3送風管44cとの接続部には、前記接続部内を流れる空気の温度を検出するための温度センサ48が設けられている。判断部65は、温度センサ48から出力される検出温度値が第1所定値以上である状態が第4所定時間以上継続した場合、或いは、バッチクリーン運転が開始されてから第5所定時間が経過した場合に、第2終了条件が満たされていると判断する。
【0101】
ここで、空気清浄機10の使用環境(環境温度や設定風量など)により、1回のバッチクリーン運転(ここでいう1回のバッチクリーン運転とは、バッチクリーン運転の開始から終了までを意味している)で、吸着ロータ41にかけることのできる熱量に、違いが生じるという問題がある。そこで、発明者は、鋭意検討した結果、吸着ロータ41にかけることのできる熱量が小さくても、吸着ロータ41に熱をかける時間を長くすることで、使用環境に関係なく吸着ロータ41から除去対象物質を除去することができることを見出した。そして、第4所定時間及び第5所定時間は、様々な設定風量の使用環境下でヒータ42を低出力で稼働させて吸着ロータ41に熱をかけた場合の、吸着ロータ41からの除去対象物質(主に低沸点の物質)の除去率と、吸着ロータ41に熱をかけた時間と、に基づいて、決定されている。また、バッチクリーン運転ではヒータ42が除湿運転及びロータクリーン運転時の所定出力よりも低い出力(例えば、180W)で駆動されるため、第4所定時間及び第5所定時間を、除去対象物質のうちの低沸点の物質を吸着ロータ41から除去する効果を期待することができる範囲で、できるだけ短時間に設定することで、バッチクリーン運転が行われても、熱交換部44から大量のドレン水が排出されないようにすることができる。
【0102】
さらに、判断部65は、アフタークリーン運転終了条件が満たされているか否かを判断する。判断部65は、アフタークリーン運転が開始されてから温度センサ48から出力される検出温度値が第2所定値以下である状態が第6所定時間以上継続した場合、或いは、アフタークリーン運転が開始されてから第7所定時間が経過した場合に、アフタークリーン運転終了条件が満たされていると判断する。
【0103】
また、クリーン運転制御部64は、図11に示すように、空気清浄運転又は加湿運転が実行されている時に判断部65によって第1開始条件が満たされていると判断された場合、現在実行されている運転を停止させる。さらに、クリーン運転制御部64は、判断部65によって第1開始条件が満たされていると判断された場合、ブザーが鳴るようにスピーカー96を制御するとともに、お知らせLED93が点灯或いは点滅するようにLEDを制御する。そして、クリーン運転制御部64は、ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、クリーンボタン84が押された場合に、第1クリーン運転のロータクリーン運転を開始させる。また、クリーン運転制御部64は、ロータクリーン運転を開始させると同時に、クリーン運転LED94が点灯するようにLEDを制御する。また、クリーン運転制御部64は、判断部65によって第1終了条件が満たされていると判断された場合に、ロータクリーン運転を自動的に終了させる。その後、クリーン運転制御部64は、アフタークリーン運転を自動的に開始させ、判断部65によってアフタークリーン運転終了条件が満たされていると判断された時に、アフタークリーン運転を終了させることで、第1クリーン運転を終了させる。また、クリーン運転制御部64は、第1クリーン運転を終了させた後に、水交換LED95が点灯するようにLEDを制御する。
【0104】
なお、本実施形態では、アフタークリーン運転が実行されているときに判断部65によって第1開始条件が満たされていると判断された場合、アフタークリーン運転の実行を停止せず、アフタークリーン運転の終了後に、ブザーが鳴るようにスピーカー96が制御され、お知らせLED93が点灯或いは点滅するようにLEDが制御されるものとする。
【0105】
また、クリーン運転制御部64は、図12及び図13に示すように、空気清浄運転又は加湿運転が実行されている時に判断部65によって第2開始条件が満たされていると判断された場合、現在実行されている運転を併用して、第2クリーン運転を実行する。具体的には、クリーン運転制御部64は、空気清浄運転又は加湿運転が実行されている時に判定部によって第2開始条件が満たされていると判断された場合には、空気清浄運転制御部61又は加湿運転制御部63に、運転停止に関する制御信号を送信せずに、バッチクリーン運転を自動的に開始させる。言い換えると、第2クリーン運転は、ユーザによって操作パネル80のボタンが押されずに開始される運転である。さらに、クリーン運転制御部64は、バッチクリーン運転の実行時、スピーカー96や各LED等を制御しない。すなわち、バッチクリーン運転中であっても、バッチクリーン運転が実行されていることがユーザに報知されない。また、クリーン運転制御部64は、判断部65によって第2終了条件が満たされていると判断された場合に、バッチクリーン運転を自動的に終了させる。その後、クリーン運転制御部64は、アフタークリーン運転を自動的に開始させ、判断部65によってアフタークリーン運転終了条件が満たされていると判断された時に、アフタークリーン運転を終了させる。
【0106】
また、クリーン運転制御部64は、図14に示すように、判断部65によって第2終了条件が満たされていると判断される前に、運転が停止された場合、バッチクリーン運転を終了させ、アフタークリーン運転を行う。さらに、クリーン運転制御部64は、図15に示すように、判断部65によって第2終了条件が満たされていると判断される前に、温度センサ48から出力される検出温度値が第3所定値以上となった場合には、異常温度であると判定し、強制的にバッチクリーン運転を終了させ、アフタークリーン運転を行う。
【0107】
(6)制御部による制御動作
次に、空気清浄機10のクリーン運転時の制御部60の制御動作について、図16及び図17を用いて説明する。なお、図16は、第1クリーン運転に関する制御部60の制御動作を示しており、図17は、第2クリーン運転に関する制御部60の制御動作を示している。
【0108】
(6−1)第1クリーン運転
ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、運転切換ボタン82が押されて「空気清浄」が選択されることで、空気清浄運転の運転開始に関する制御信号が入力された場合(ステップS1)、空気清浄運転制御部61によって、設定風量となるようにメインファン12が稼働される。これにより、空気清浄運転が開始される。また、ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、運転切換ボタン82が押されて「加湿」が選択されることで、加湿運転の運転開始に関する制御信号が入力された場合(ステップS1)、加湿運転制御部63によって、設定風量となるようにメインファン12が稼働され、かつ、加湿ユニット30の駆動モータ34が稼働される。
【0109】
そして、空気清浄機10において空気調和運転或いは加湿運転が実行されている間に、判断部65によって第1開始条件が満たされているか否かが判断される(ステップS2)。このとき、判断部65によって第1開始条件が満たされていると判断される前に、運転停止に関する制御信号が入力された場合(ステップS3)、制御部60は、稼働しているメインファン12又はメインファン12及び駆動モータ34の稼働を停止して、現在実行している空気清浄運転、或いは、加湿運転を終了させる(ステップS4)。このとき、記憶部69は、積算補正運転時間及び積算運転時間を導出して記憶する(ステップS4)。
【0110】
一方、運転停止に関する制御信号が入力される前に、判断部65によって第1開始条件が満たされたと判断された場合、クリーン運転制御部64は、第1クリーン運転が必要であると認定し、稼働しているメインファン12又はメインファン12及び駆動モータ34の稼働を停止して、現在実行している空気清浄運転、或いは、加湿運転を自動的に終了させる(ステップS5)。また、判断部65によって第1開始条件が満たされたと判断された場合、スピーカー96、お知らせLED93に対して報知に関する制御信号を送信する(ステップS5)。この結果、スピーカー96からブザー音が鳴り、かつ、お知らせLED93が点灯或いは点滅する。
【0111】
その後、ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、クリーンボタン84が押されることで、第1クリーン運転の運転開始に関する制御信号が入力された場合(ステップS6)、クリーン運転制御部64によって、ヒータ42、駆動モータ49、再生ファン43及びメインファン12が稼働されることで、ロータクリーン運転が開始される(ステップS7)。なお、判断部65によって第1開始条件が満たされたと判断された場合、制御部60は、第1クリーン運転以外の運転(空気清浄運転、除湿運転、及び、加湿運転)が禁止されるように、空気清浄運転制御部61、加湿運転制御部63、及び、除湿運転制御部62を制御する(ステップS8)。例えば、ステップS5において、現在実行している空気清浄運転、或いは、加湿運転を自動的に終了させた後に、ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、運転切換ボタン82が押されて「空気清浄」が選択されることで、空気清浄運転の運転開始に関する制御信号が入力された場合であっても、空気清浄運転制御部61は、空気清浄運転を開始させない。また、本実施形態では、制御部60は、判断部65によって第1開始条件が満たされたと判断された場合、運転停止に関する制御信号以外の入力を受け付けないものとする。
【0112】
ステップS7においてロータクリーン運転が開始され、ロータクリーン運転が実行されている間、判断部65によって、第1終了条件が満たされているか否かが判断される(ステップS9)。ステップS9において、判断部65によって第1終了条件が満たされていると判断される前に、運転停止に関する制御信号が入力された場合(ステップS10)、クリーン運転制御部64は、ロータクリーン運転を終了させ、アフタークリーン運転を開始させる(ステップS11)。具体的には、クリーン運転制御部64は、ヒータ42及び駆動モータ49の稼働を停止し、再生ファン43及びメインファン12を継続して稼働させることで、ロータクリーン運転からアフタークリーン運転に運転内容を切り換える。その後、判断部65によってアフタークリーン運転終了条件が満たされていると判断された場合に、クリーン運転制御部64は、再生ファン43及びメインファン12の稼働を停止することで、アフタークリーン運転を終了させる。なお、このとき、記憶部69に記憶されている積算補正運転時間はリセットされない。
【0113】
一方、ステップS9において、運転停止に関する制御信号が入力される前に、判断部65によって第1終了条件が満たされていると判断された場合、クリーン運転制御部64は、ロータクリーン運転を終了させ、アフタークリーン運転を開始させる(ステップS12)。具体的には、クリーン運転制御部64は、ヒータ42及び駆動モータ49の稼働を停止させ、再生ファン43及びメインファン12を継続して稼働させることで、ロータクリーン運転からアフタークリーン運転に運転内容を切り換える。その後、判断部65によってアフタークリーン運転終了条件が満たされていると判断された場合(ステップS13)、クリーン運転制御部64は、再生ファン43及びメインファン12の稼働を停止することで、アフタークリーン運転を終了させる。また、ステップS9において、判断部65によって第1終了条件を満たしたと判断されてロータクリーン運転を終了させた場合、クリーン運転制御部64は、記憶部69に記憶されている積算補正運転時間をリセットする(ステップS14)。さらに、クリーン運転制御部64は、判断部65によって第1終了条件が満たされていると判断されてロータクリーン運転を終了させた場合、水交換LED95に報知に関する制御信号を送信する(ステップS14)。この結果、水交換LED95が点灯する。
【0114】
(6−2)第2クリーン運転のバッチクリーン運転及びアフタークリーン運転
ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、運転切換ボタン82が押されて「空気清浄」が選択されることで、空気清浄運転の運転開始に関する制御信号が入力された場合(ステップS21)、空気清浄運転制御部61によって、設定風量となるようにメインファン12が稼働される。これにより、空気清浄運転が開始される。また、ユーザによって運転入/切ボタン81が押され、運転切換ボタン82が押されて「加湿」が選択されることで、加湿運転の運転開始に関する制御信号が入力された場合(ステップS21)、加湿運転制御部63によって、設定風量となるようにメインファン12が稼働され、かつ、加湿ユニット30の駆動モータ34が稼働される。
【0115】
そして、空気清浄機10において空気調和運転或いは加湿運転が実行されている間に、判断部65によって第2開始条件が満たされているか否かが判断される(ステップS22)。このとき、判断部65によって第2開始条件が満たされていると判断される前に、運転停止に関する制御信号が入力された場合(ステップS23)、クリーン運転制御部64は、稼働しているメインファン12又はメインファン12及び駆動モータ34の稼働を停止して、現在実行している空気清浄運転、或いは、加湿運転を終了させる(ステップS24)。このとき、記憶部69は、積算補正運転時間及び積算運転時間を導出して記憶する(ステップS24)。
【0116】
一方、運転停止に関する制御信号が入力される前に、判断部65によって第2開始条件が満たされたと判断された場合、クリーン運転制御部64は、第2クリーン運転のバッチクリーン運転が必要であると認定し、ヒータ42、再生ファン43及びメインファン12を稼働することで、バッチクリーン運転を自動的に開始させる(ステップS25)。なお、ステップS22において、判断部65によって第2開始条件が満たされていると判断された場合、制御部60は、現在実行している空気清浄運転、或いは、加湿運転を終了させる制御は行われない。この結果、バッチクリーン運転と、空気清浄運転、或いは、加湿運転とは、同時に行われる。また、本実施形態では、判断部65によって第2開始条件が満たされたと判断された場合であっても、制御部60は、空気清浄運転、除湿運転、及び、加湿運転の運転が禁止されるように制御しない。さらに、本実施形態では、制御部60は、バッチクリーン運転実行中であっても、操作パネル80からの制御信号の入力を受け付ける。このため、例えば、風量設定ボタン83が押された場合、クリーン運転制御部64は、設定された風量に切り換わるようにメインファン12の駆動を制御する。さらに、判断部65によって第2開始条件が満たされたと判断された場合、スピーカー96やお知らせLED93等に対して報知に関する制御信号は送信されない。この結果、バッチクリーン運転が開始されたこと、及び、バッチクリーン運転が実行されていることは、報知されない。
【0117】
ステップS25においてバッチクリーン運転が開始され、バッチクリーン運転が実行されている間、判断部65によって、第2終了条件が満たされているか否かが判断される(ステップS26)。ステップS26において、判断部65によって第2終了条件が満たされていると判断される前に、運転停止に関する制御信号が入力された場合(ステップS27)、クリーン運転制御部64は、バッチクリーン運転を終了させ、アフタークリーン運転を開始させる(ステップS28)。具体的には、クリーン運転制御部64は、ヒータ42の稼働を停止し、再生ファン43及びメインファン12を継続して稼働させることで、バッチクリーン運転からアフタークリーン運転に運転内容を切り換える。その後、判断部65によってアフタークリーン運転終了条件が満たされていると判断された場合(ステップS29)に、クリーン運転制御部64は、再生ファン43及びメインファン12の稼働を停止することで、アフタークリーン運転を終了させる(ステップS30)。なお、このとき、記憶部69に記憶されている積算運転時間はリセットされない。
【0118】
一方、ステップS26において、運転停止に関する制御信号が入力される前に、判断部65によって第2終了条件が満たされていると判断された場合、クリーン運転制御部64は、吸着ロータ41を所定角度θだけ回転させてバッチクリーン運転を終了させ、アフタークリーン運転を開始させる(ステップS31)。具体的には、クリーン運転制御部64は、ヒータ42の稼働を停止し、駆動モータ49の稼働を開始し、再生ファン43及びメインファン12を継続して稼働させることで、吸着ロータ41を所定角度θだけ回転させてバッチクリーン運転を終了させる。続いて、クリーン運転制御部64は、駆動モータ49の稼働を停止させ、再生ファン43及びメインファン12を継続して稼働させることで、バッチクリーン運転からアフタークリーン運転に運転内容を切り換える。その後、判断部65によってアフタークリーン運転終了条件が満たされていると判断された場合(ステップS32)に、クリーン運転制御部64は、再生ファン43の稼働を停止することで、アフタークリーン運転を終了させる(ステップS33)。なお、ステップS33において、クリーン運転制御部64はメインファン12の稼働を停止しないため、バッチクリーン運転が行われる前に行われていた運転(ここでは、加湿運転、又は、空気清浄運転)に運転内容が切り換わる。また、ステップS26において、判断部65によって第2終了条件を満たしたと判断されてバッチクリーン運転を終了させた場合、クリーン運転制御部64は、記憶部69に記憶されている積算運転時間をリセットする(ステップS33)。
【0119】
(7)特徴
(7−1)
デシカント式の除湿部を備える空気清浄機では、ヒータが所定出力以上の出力で使用されない運転が長期間行われることで、(例えば、空気清浄機能のみが長期間使用されることで、)空気清浄ユニットで取り除くことができなかった物質(特に有機物)が吸着ロータに蓄積することがあり、このような物質が蓄積した状態の吸着ロータがヒータで加熱されると、吸着ロータに蓄積した物質が熱せられることで吸着ロータが異常な温度になったり、吸着ロータに大量の付着物が蓄積することで吸着ロータから煙が発生したりするという問題が生じることがある。
【0120】
そこで、本実施形態では、バッチクリーン運転において、ヒータ42を除湿運転及びロータクリーン運転時の所定出力よりも低い出力(例えば、180W)で稼働されている。このため、吸着ロータ41が停止していても、吸着ロータ41が高温になり過ぎるおそれを低減することができる。また、バッチクリーン運転では、吸着ロータ41が360度未満の所定角度θだけ回転される。このため、例えば、バッチクリーン運転において吸着ロータが同じ速度で360度回転される場合と比較して、1回のバッチクリーン運転の実行時間を短くすることができる。さらに、バッチクリーン運転の終了後は、バッチクリーン運転の開始前に行われていた運転(空気清浄運転、又は、加湿運転)が行われるため、ユーザの所望する運転の行われる時間が短くならないようにすることができる。また、バッチクリーン運転が複数回行われて吸着ロータ41が1回転(360度)以上回転することで、吸着ロータ全体から水以外の除去対象物質を除去することができる。
【0121】
これによって、除湿機能の低下を低減することができ、かつ、短時間のクリーン運転で、吸着ロータ41に除去対象物質が蓄積するおそれを低減することができている。
【0122】
また、バッチクリーン運転では、ヒータ42が、除湿運転時の最大出力よりも低い出力で駆動される。この結果、例えば、バッチクリーン運転時にヒータが除湿運転時の最大出力で駆動される場合と比較して、吸着ロータ41を通過する空気の温度を下げることができるため、吸着ロータ41の第1領域41aを通過した空気の流れる熱交換部44の温度が上昇し過ぎないようにすることができる。したがって、送風管が熱変形するおそれを低減することができている。
【0123】
(7−2)
吸着ロータ41に付着する除去対象物質には、吸着ロータ41に熱を短い時間かけることで除去可能な低沸点の物質と、吸着ロータ41に熱を長時間かけなければ除去できない物質とがある。本実施形態では、積算運転時間が第2所定時間を超えた場合に、第2開始条件が満たされていると判断されている。このため、第2所定時間が21時間であるなど、短い時間に設定されている場合には、バッチクリーン運転をこまめに行うことができる。この結果、除去対象物質のうち特に低沸点の有機物(例えば、ジオキサン、アセトアルデヒド、トルエンなど)が吸着ロータ41に蓄積する前に、吸着ロータ41から除去することができる。このように、短い期間の間隔で吸着ロータ41に熱をかけることで、発火点が低く、かつ、吸着ロータ41への付着量が一定量以上となることで発熱する低沸点の物質を、吸着ロータ41への付着量が少ないときに吸着ロータ41から脱離させることができる。したがって、除去対象物質のうち短時間で除去可能な低沸点の物質を早期に除去することで、吸着ロータ41の発煙及び発熱の危険性を下げることができる。
【0124】
(7−3)
本実施形態では、除湿運転が第8所定時間以上継続して行われた場合、第1クリーン運転が行われた場合、或いは、第2クリーン運転のバッチクリーン運転が終了した場合にのみ、記憶部69に記憶されている積算運転時間がリセットされる。除湿運転が第8所定時間以上継続して行われた場合、又は、第1クリーン運転が行われた場合、すなわち、除去対象物質が吸着ロータ41から除去されたことが期待される場合には、記憶部69に記憶されている積算運転時間がリセットされることで、第2開始条件が満たされないようにし、結果として、バッチクリーン運転が開始されないようにすることができる。これにより、一定時間毎にバッチクリーン運転が行われる場合と比較して、ユーザの所望する運転の行われる時間が短くならないようにすることができている。
【0125】
また、バッチクリーン運転が終了することで、記憶部69に記憶されている積算運転時間がリセットされる。このため、第2終了条件が満たされて積算運転時間がリセットされてから第2開始条件が満たされるまでに、除湿運転又は第1クリーン運転が行われなかった場合には、積算運転時間が第2所定時間以上となることで第2開始条件が満たされ、この結果、バッチクリーン運転が開始される。これにより、除去対象物質が吸着ロータ41から除去されたことが期待されない場合には、除去対象物質を吸着ロータ41から除去する運転を自動的に開始することができる。
【0126】
(7−4)
本実施形態では、バッチクリーン運転において、ヒータ42が稼働している場合、吸着ロータ41の回転は停止している。このため、ヒータ42の出力が除湿運転及びロータクリーン運転時の所定出力よりも低くても、吸着ロータ41から除去対象物質のうち特に低沸点の物質を除去可能な程度まで吸着ロータ41を加熱することができている。
【0127】
また、本実施形態のバッチクリーン運転では、ヒータ42が稼働している場合吸着ロータ41の回転は停止しているため、ヒータ42を除湿運転及びロータクリーン運転時の所定出力よりも低い出力(例えば、180W)で駆動することで、熱交換部44の温度が上昇し過ぎないようにすることができる。
【0128】
(7−5)
本実施形態では、バッチクリーン運転において、駆動しているヒータ42の駆動が停止された後に、吸着ロータ41が360度未満の所定角度θだけ回転される。このため、バッチクリーン運転が行われる毎に、ヒータ42によって加熱された空気の通る吸着ロータ41の部位を変更することができる。すなわち、次回のバッチクリーン運転では、今回のバッチクリーン運転で吸着ロータ41が所定角度θだけ回転されたときにヒータ42に対向している吸着ロータ41の領域(第1領域)が加熱される。したがって、バッチクリーン運転が複数回行われることで、吸着ロータ41全体から除去対象物質を除去することができる。
【0129】
(7−6)
本実施形態では、吸着ロータ41の所定角度領域41cは、ヒータ42の吸着ロータ41加熱可能領域に相当する第1領域41aよりも小さくなるように設計されている。このため、バッチクリーン運転において、吸着ロータ41で、加熱された空気が通過しない部位が生じるおそれを低減することができる。すなわち、吸着ロータ41全体における加熱ムラの生じるおそれを低減することができる。
【0130】
これによって、吸着ロータ41全体から除去対象物質を除去することができている。
【0131】
(7−7)
本実施形態では、バッチクリーン運転の後に、アフタークリーン運転が行われる。このため、吸着ロータ41の第1領域41aを通過した空気の流れる送風管の温度を下げることができる。したがって、送風管が熱変形するおそれを低減することができている。
【0132】
(7−8)
本実施形態では、バッチクリーン運転を実行する場合、ユーザによって設定されている設定風量となるようにメインファン12を稼働させる。また、メインファン12が稼働されると、空気清浄機10が設置されている対象空間の空気は、空気清浄ユニット20や加湿ユニット30を必ず通過するため、バッチクリーン運転実行時であっても、空気清浄ユニット20における空気の清浄化が行われ、さらに、加湿ユニット30の駆動時には加湿ユニット30における加湿が行われる。このため、バッチクリーン運転が行われていることを、ユーザに認識させにくくすることができる。
【0133】
また、本実施形態では、バッチクリーン運転実行中に、ユーザによって設定風量が変更された場合には、変更後の設定風量となるようにメインファン12が稼働される。さらにバッチクリーン運転実行中に、ユーザによって運転内容が変更された場合(例えば、空気清浄運転から加湿運転に変更された場合や、加湿運転から空気清浄運転に変更された場合)には、変更された運転が行われるように、各構成機器が制御される。このため、バッチクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0134】
(7−9)
本実施形態では、空気清浄運転又は加湿運転が実行されている時に判定部によって第2開始条件が満たされていると判断された場合には、バッチクリーン運転を自動的に開始される。また、バッチクリーン運転の開始時、及び、実行中に、スピーカー96や各LED等が制御されないため、バッチクリーン運転が行われていることがユーザに報知されない。このため、バッチクリーン運転が行われていることを、ユーザに認識させにくくすることができる。
【0135】
(7−10)
本実施形態では、バッチクリーン運転が終了する前に、空気清浄機10の運転を停止された場合には、記憶部69に記憶されている積算運転時間はリセットされない。このため、運転が再開された時には、第2開始条件を満たしているため、バッチクリーン運転を最初から開始させることができる。また、バッチクリーン運転の実行中に空気清浄機10の運転内容が、除湿運転及び第1クリーン運転以外の運転内容の範囲で切り換えられた場合(例えば、空気清浄運転中に加湿運転に切り換えられたり、加湿運転中に空気清浄運転に切り換えられたりした場合)であっても、第2終了条件が満たされるまでは、バッチクリーン運転を継続して行うことができる。このため、吸着ロータ41から除去対象物質が除去されないおそれを低減することができる。
【0136】
(7−11)
本実施形態では、クリーン運転には、第1クリーン運転と第2クリーン運転とが含まれる。また、空気清浄運転又は加湿運転が実行されている時に判断部65によって第1開始条件が満たされていると判断された場合、すなわち、除湿機能を一定期間使用していない場合には、第1クリーン運転が強制的に実行されることで、吸着ロータ41に付着した除去対象物質を除去することができる。これにより、吸着ロータ41の機能保持をすることができる。さらに、本実施形態では、空気清浄運転又は加湿運転が実行されている時に判断部65によって第1開始条件が満たされていると判断された場合、現在実行されている運転が停止される。このため、吸着ロータ41が異常な温度になったり、吸着ロータから煙が発生したりする前に、現在行われている運転を停止させることができる。この結果、ユーザに第1クリーン運転の実行を促すことができるため、第1クリーン運転が実行されないおそれを低減することができる。また、運転が停止された後に、第1クリーン運転が実行されることで、吸着ロータ41に付着した除去対象物質を除去することができる。
【0137】
これによって、第1クリーン運転が実行されないおそれを低減することで、吸着ロータ41に除去対象物質が蓄積するおそれを低減することができている。
【0138】
(7−12)
本実施形態では、判断部65によって第1開始条件が満たされたと判断された場合、第1クリーン運転以外の運転(空気清浄運転、除湿運転、及び、加湿運転)が禁止される。このため、第1開始条件が満たされている状態であるにもかかわらず、第1クリーン運転が行われずに、他の運転が行われないようにすることができる。
【0139】
これによって、第1クリーン運転が行われないおそれを低減することができている。
【0140】
また、本実施形態では、第1クリーン運転が行われている状態で、判断部65によって第1終了条件が満たされていると判断される前に、運転が停止された場合には、記憶部69に記憶されている積算補正運転時間はリセットされない。このため、運転が再開された時には、第1開始条件を満たしているため、スピーカー96からブザー音が鳴り、かつ、お知らせLED93が点灯或いは点滅する。したがって、第1クリーン運転を最初から行うように、ユーザに第1クリーン運転の実行を促すことができる。このため、吸着ロータ41から除去対象物質が除去されないおそれを低減することができる。
【0141】
(7−13)
本実施形態では、第2所定時間が、1日を24時間とした場合の24時間の約数を除く時間に設定されている。このため、例えば、第2所定時間が24時間に設定されている場合には、ヒータが所定出力未満の出力で駆動され、かつ、メインファンが駆動される運転が24時間継続されると、第2開始条件が満たされてバッチクリーン運転が開始されることから、毎日同じ時間にバッチクリーン運転が開始される可能性が生じる。そこで、本実施形態では、第2所定時間が24時間の約数を除く時間に設定されているため、毎日同じ時間にメインクリーン運転が開始されるおそれを低減することができる。
【0142】
これによって、メインクリーン運転が行われていることをユーザに認識させにくくすることができる。
【0143】
(8)変形例
(8−1)変形例A
上記実施形態では、除湿運転時のヒータ42の出力は、所定出力と一定であるが、これに限定されず、例えば、除湿運転時のヒータ42の出力が段階的に設定されていてもよい。この場合、除湿運転が行われても、ヒータ42の出力が所定出力以下である場合には、計測部67によって運転実行時間が計測され、記憶部69に積算運転時間が記憶される。この結果、除湿運転が行われても、除去対象物質が吸着ロータ41から除去されたことが期待されない場合には、バッチクリーン運転が行われるため、吸着ロータ41が異常な温度になるおそれを低減することができる。
【0144】
(8−2)変形例B
上記実施形態では、バッチクリーン運転において、駆動しているヒータ42の駆動が停止された後に、吸着ロータ41が360度未満の所定角度θだけ回転されている。これに代えて、バッチクリーン運転が行われる毎にヒータ42によって加熱された空気の通る吸着ロータ41の部位が変更されるのであれば、バッチクリーン運転において、ヒータ42の駆動が開始される前に、吸着ロータ41が360度未満の所定角度θだけ回転されてもよい。
【0145】
(8−3)変形例C
上記実施形態では、第2開始条件が満たされているか否かを判断するための第2所定時間は、デフォルト値として記憶部69に記憶されている。
【0146】
これに代えて、計測部67によってヒータ42が所定出力以上の出力で稼働され、かつ、メインファン12が稼働している駆動時間が更に計測される場合には、判断部65は、予め設定され記憶部69に記憶されている第10所定時間(第3所定時間に相当)に、計測部67が計測した駆動時間を加えた時間を、第2所定時間とみなして、第2開始条件が満たされているか否かを判断してもよい。これにより、積算運転時間が一定時間となる毎にメインクリーン運転が行われる場合と比較して、ユーザの所望する運転の行われる時間が短くならないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、除湿機能の低下を低減することができ、かつ、短時間の動作で、吸着ロータに除去対象物質が蓄積するおそれを低減することができるため、吸着ロータにより除湿を行う除湿機能を有する空気清浄機への適用が有効である。
【符号の説明】
【0148】
10 空気清浄機
12 メインファン
20 空気清浄ユニット(空気清浄部)
40 除湿ユニット(除湿部)
41 吸着ロータ
41a 第1領域
41b 第2領域
41c 所定角度領域
42 ヒータ
43 再生ファン
60 制御部
65 判断部
66 積算部
82 運転切換ボタン(第1受付部)
83 風量設定ボタン(第2受付部)
90 表示部(報知部)
L1 第1仮想直線(第1直線)
L2 第2仮想直線(第2直線)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0149】
【特許文献1】特開2009―165956号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を清浄化する空気清浄部(20)と、
空気中の水分を吸着するための回転可能な吸着ロータ(41)と、前記吸着ロータの第1領域(41a)を通過する空気を加熱することで前記吸着ロータから水分を放出させるヒータ(42)と、前記ヒータによって加熱された空気を前記第1領域に流す再生ファン(43)と、を有する除湿部(40)と、
前記空気清浄部、及び、前記吸着ロータの前記第1領域とは別の第2領域(41b)に空気を流すメインファン(12)と、
対象空間の空気を清浄化する空気清浄運転と、前記対象空間を除湿する除湿運転と、前記吸着ロータに付着した物質を除去するためのクリーン運転と、を行う制御部(60)と、
を備え、
前記空気清浄運転、前記除湿運転、及び、前記クリーン運転では、前記メインファンが駆動されており、
前記クリーン運転は、開始条件が満たされた場合に開始され、終了条件が満たされた場合に終了する運転であって、前記ヒータが駆動されて前記第1領域を通過する空気が加熱され、かつ、前記吸着ロータが360度未満の所定角度(θ)だけ回転するメインクリーン運転を含み、
前記制御部は、
前記メインクリーン運転が終了しても、前記メインクリーン運転の開始前に行われていた運転を継続し、
前記クリーン運転において、前記メインクリーン運転を複数回行うことで、前記吸着ロータを360度以上回転させる、
空気清浄機(10)。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ヒータが所定出力未満の出力で駆動され、かつ、前記メインファンが駆動された時間を積算する積算部(66)と、
前記積算部に積算される積算時間が第1所定時間以上となった時に前記開始条件が満たされたと判断する判断部(65)と、
を有する、
請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記積算部は、前記判断部によって前記開始条件が満たされたと判断される前に、前記ヒータが前記所定出力以上の出力で駆動され、かつ、前記メインファンが第2所定時間以上駆動された場合には、積算した積算時間をリセットする、
請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記積算部は、前記メインクリーン運転が終了した時に、積算した積算時間をリセットする、
請求項2又は3に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記メインクリーン運転では、前記ヒータの駆動中は、前記吸着ロータの回転は停止されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記メインクリーン運転では、前記ヒータが駆動される前、又は、駆動中の前記ヒータの駆動が停止された後に、前記吸着ロータが前記所定角度だけ回転する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記吸着ロータの回転軸に直交しており、かつ、前記回転軸から延びる第1直線(L1)と第2直線(L2)とのなす角度を前記所定角度とした場合に、前記第1直線及び前記第2直線によって規定される前記吸着ロータの所定角度領域(41c)は、前記第1領域よりも小さい、
請求項1から6のいずれかに1項に記載の空気清浄機。
【請求項8】
前記クリーン運転は、前記ヒータの駆動が停止され、前記再生ファンが駆動されるアフタークリーン運転を含み、
前記制御部は、前記メインクリーン運転の終了後に、前記メインクリーン運転から前記アフタークリーン運転に運転を切り換える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項9】
前記クリーン運転以外の運転から前記メインクリーン運転に運転が切り換わった場合、前記メインクリーン運転では、前記メインファンの風量として前記メインクリーン運転に切り換わる前の運転時の風量が維持されている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項10】
所定事項をユーザに報知可能な報知部(90)を更に備え、
前記制御部は、前記開始条件が満たされていると判断した場合には、前記メインクリーン運転を自動的に開始し、
前記報知部は、前記メインクリーン運転に関する報知を行わない、
請求項1から9のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項11】
ユーザからの運転内容の変更に関する運転変更指示を受け付ける第1受付部(82)を更に備え、
前記制御部は、
前記メインクリーン運転を行っている間に、前記第1受付部において前記運転変更指示が受け付けられた場合には、
現在行っている運転から前記運転変更指示に基づく運転に運転内容を切り換え、かつ、前記メインクリーン運転を継続して行う、
請求項1から10のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項12】
ユーザからの設定風量の変更に関する風量変更指示を受け付ける第2受付部(83)を更に備え、
前記制御部は、
前記メインクリーン運転を行っている間に、前記第2受付部において前記風量変更指示が受け付けられた場合には、
現在の設定風量から前記風量変更指示に基づく風量に切り換えて、前記メインクリーン運転を継続して行う、
請求項1から11のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項13】
前記第1所定時間は、24時間の約数を除く時間に設定されている、
請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項14】
前記メインクリーン運転では、前記ヒータが、前記除湿運転時の最大出力よりも低い出力で駆動される、
請求項1から13のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項15】
前記積算部は、前記ヒータが前記所定出力以上の出力で駆動され、かつ、前記メインファンが駆動された駆動時間を更に積算し、
前記判断部は、予め設定されている第3所定時間に前記駆動時間を加えた時間を、前記第1所定時間とみなして前記開始条件を判断する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項16】
空気を清浄化する空気清浄部(20)と、
空気中の水分を吸着するための回転可能な吸着ロータ(41)と、前記吸着ロータの第1領域(41a)を通過する空気を加熱することで前記吸着ロータから水分を放出させるヒータ(42)と、前記ヒータによって加熱された空気を前記第1領域に流す再生ファン(43)と、を有する除湿部(40)と、
前記空気清浄部、及び、前記吸着ロータの前記第1領域とは別の第2領域(41b)に空気を流すメインファン(12)と、
対象空間の空気を清浄化する空気清浄運転と、前記対象空間を除湿する除湿運転と、前記吸着ロータに付着した物質を除去するためのクリーン運転と、を行う制御部(60)と、
を備え、
前記空気清浄運転、前記除湿運転、及び、前記クリーン運転では、前記メインファンが駆動されており、
前記クリーン運転は、開始条件が満たされた場合に開始され、終了条件が満たされた場合に終了する運転であって、前記ヒータが駆動されて前記第1領域を通過する空気が加熱され、かつ、前記吸着ロータが360度未満の所定角度(θ)だけ回転するメインクリーン運転を含み、
前記制御部は、
前記メインクリーン運転の終了後に、前記メインクリーン運転の開始前に行われていた運転を行い、
前記クリーン運転において、前記メインクリーン運転を複数回行うことで、前記吸着ロータを360度以上回転させる、
空気清浄機(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−92983(P2012−92983A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238012(P2010−238012)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】