説明

窓の断熱性能の表示方法及びそのシステム

【課題】統一化された窓の断熱性能表示を時間的にもコスト的にも負担がかからずに行なうことができる窓の断熱性能表示方法を提供する。
【解決手段】窓の断熱性能表示方法を(a)窓を構成するサッシとガラスのそれぞれについて、認識コード記録媒体からサッシの認識コードとガラスの認識コードを読取る第一工程と、(b)読取った二つの認識コードを定の断熱性能照会センターに送信する第二工程と、(c)断熱性能照会センターにおいて受信した二つの認識コードの組み合わせに基づいて前記窓の断熱性能を演算し、等級決定手段によりその演算した窓の熱断熱性能が含まれる所定の断熱性能等級を決定する第三工程と、(d)決定された断熱性能等級のデータを断熱性能照会センターから送信する第四工程と、(e)受信した窓の断熱性能等級データを出力手段に入力する第五工程と、(f)出力手段において入力した窓の断熱性能等級データを用いて所定フォーマットの断熱性能表示ラベルのプリントなどする第六工程とから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシにガラスを組み込んでなる窓の断熱性能を表示する方法及びそのシステムに関する。
ここで、「窓」は、サッシにガラスを組み込んで完成した窓と、既存のサッシをそのまま活用し、ガラスだけを入れ替えてリフォームした窓とを含む。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策に寄与する省エネルギーの一環として、住宅の窓の断熱性能の向上が望まれている。窓の断熱性能の向上の促進策として、住宅エコポイント制度が実施されている。一般消費者がこの住宅エコポイント制度の適用を受けるには、選択対象の窓がどの程度の断熱性能を有するかを知る必要がある。
【0003】
窓等の断熱性能に係る情報を提供することにより、断熱性能のより高い窓等の普及を図るため、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」に基づき、窓等の製造事業者が一般消費者に対して情報提供を行なう上で参考とするべき「窓等の断熱性能に係る情報提供に関するガイドライン」が策定・公表され、平成20年4月1日から施行されている。そのガイドラインによれば、サッシ、ガラス、窓のそれぞれに性能表示を行なうことが可能となっている。すなわち、サッシの断熱性について省エネ法基準区分に基づき★印(4星まで)を表示し、ガラスの断熱性についてガラスのJIS規格の性能区分に基づき★印(4星まで)を表示し、窓の断熱性について省エネ法基準区分に基づき★印(4星まで)を表示するというものである。
【0004】
窓の流通形態には、大別して次の2つがある。第1の形態は、窓の製造事業者(工務店等の建築会社)がサッシメーカーからサッシを、ガラスメーカーからガラスをそれぞれ購入し、そのサッシにそのガラスを組み込んで窓を完成して取り付ける形態。第2の形態は、窓の製造事業者(サッシメーカー)が自社のサッシにガラスメーカーから購入したガラス又は自社製造のガラスを組み込んで窓を完成し、窓の取付事業者(工務店等の建築会社)に販売する形態。
【0005】
従来、窓の断熱性能表示は、義務ではなく任意であった。そして、窓の製造事業者は、一般消費者により高い断熱性能を視覚的にアピールできるように、上記ガイドラインに従い熱貫流率の等級を星の数で表わした性能表示ラベルを貼付することにより、断熱性能表示を行なっていた。また、性能表示には、上記ガイドラインに従い、サッシメーカーが行なうサッシの断熱性能表示と、ガラスメーカーが行なうガラスの断熱性能表示と、窓の製造事業者が行なう窓の断熱性能表示の3種類があり、それぞれに対応する性能表示ラベルが使用されていた。さらに、各性能表示ラベルには、窓の性能を担保する者を明らかにする事業者名やブランドなどが表示されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)第86条
【非特許文献2】窓等の断熱性能に係る情報提供に関するガイドライン(平成19年12月28日経済産業省告示第321号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、例えば、上記第1の形態の流通に置かれる窓には、サッシの断熱性能表示ラベルとガラスの断熱性能表示ラベルの2種類の断熱性能表示ラベルが貼付され、上記第2の形態の流通に置かれる窓には、窓の断熱性能表示ラベルの1種類のみが貼付される。
そのため、2種類の性能表示ラベルが貼付された窓の星の数は、1種類の性能表示ラベルのみが貼付された窓の星の数よりも多くなる場合があり、このような場合は、一般消費者に真の断熱性能はどちらの窓が優れているかについて誤解を招く虞があった。また、どちらの断熱性能表示ラベルに記載されている者が最終的な窓の断熱性能の担保者であるかを決定することが困難であった。
【0008】
このような不明確な3種類の窓の断熱性能表示を止め、断熱性能を一般消費者にわかり易く伝えるため、平成23年4月から、窓の断熱性能表示のみに統一することが決定された。
【0009】
現在、窓の断熱性能表示に関しては、熱貫流率から性能を示す「性能規定」と、建具の仕様とガラス中央部の熱貫流率から性能を示す「仕様規定」とがある。従って、窓の断熱性能表示の統一化の後は、窓の断熱性能表示ラベルを窓に貼付して窓の性能を担保する事業者は、所定の方法による試験評価により窓の性能を測定する必要がある。その測定には、大掛かりな試験設備が必要であり、1回の試験にかかる費用も少なくない。さらに、試験体(サッシ及びガラス)には、様々な種類(材質)と大きさがある。従って、特定の窓を構成するサッシとガラスの組み合わせのそれぞれについて一つずつ試験しながら断熱性能を測定しなければならないので、時間的にもコスト的にも窓の製造事業者に大きな負担となることが考えられる。特に、上記第1の形態の流通に置かれる窓に関しては、工務店等の建築会社が取り付ける特定のサッシとガラスの組み合わせについてその都度、試験評価による窓性能の測定を行なうことは不可能である。
【0010】
そこで、本発明は、窓の製造事業者が統一化された窓の断熱性能表示を時間的にもコスト的にも負担がかからずに行なうことができる窓の断熱性能表示方法を提供することを第一の目的としている。
第二の目的は、上記窓の断熱性能表示方法を使用するためのシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記第一の目的を達成する本発明による第一の窓の断熱性能表示方法は、(a)窓を構成する特定のサッシ及び特定のガラスのそれぞれについて、前記サッシの認識コードを記録した認識コード記録媒体から前記サッシの認識コードを、前記ガラスの認識コードを記録した認識コード記録媒体から前記ガラスの認識コードをそれぞれ読取手段により読取る第一工程と、(b)前記読取手段により読取ったサッシの認識コード及びガラスの認識コードを第1通信手段により所定の断熱性能照会センターに送信する第二工程と、(c)その断熱性能照会センターにおいて、第2通信手段により受信した前記サッシの認識コードとガラスの認識コードの組み合わせに基づいて演算手段により前記窓の断熱性能を演算するとともに、等級決定手段によりその演算した窓の断熱性能が含まれる所定の断熱性能等級を決定する第三工程と、(d)その決定された前記断熱性能等級のデータを前記断熱性能照会センターから前記第2通信手段により前記第1通信手段に送信する第四工程と、(e)前記第1通信手段により受信した窓の断熱性能等級のデータを出力手段に入力する第五工程と、(f)前記出力手段において入力した前記窓の断熱性能等級のデータを用いて所定のフォーマットの断熱性能表示ラベルのプリント、文字又は記号などによる窓の断熱性能等級の表示、窓の断熱性能等級の音声出力の少なくとも一つを行う第六工程とからなることを特徴としている(請求項1)。
本明細書において、「読取」の用語は「撮影」の意味を含むものとする。すなわち、読取手段は、読取機能又は撮影機能を有する。
【0012】
上記構成により、サッシメーカーから購入したサッシにガラスメーカーから購入したガラスを組込んで窓を完成する窓の製造事業者が、読取手段によりサッシ及びガラスのそれぞれの認識コード記録媒体から当該サッシの認識コード及び当該ガラスの認識コードを読取り、第1通信手段により所定の断熱性能照会センターに送信すると、その断熱性能照会センターにおいて第2通信手段により受信した前記サッシの認識コード及び前記ガラスの認識コードに基づいて演算手段によりそのサッシとガラスの組合せからなる窓の断熱性能が演算されるとともに、等級決定手段によりその演算結果であるその窓の断熱性能が含まれる窓の断熱性能等級が決定される。その決定された窓の断熱性能等級のデータは第2通信手段により前記窓の製造事業者の第1通信手段に送信される。その窓の断熱性能等級のデータを受信した前記窓の製造事業者の第1通信手段は出力手段にその窓の断熱性能等級のデータを入力する。出力手段はその窓の断熱性能等級データを用いて当該窓の断熱性能等級を出力する。出力内容は、当該窓の断熱性能等級を記録した所定のフォーマットの断熱性能表示ラベルのプリント、文字又は記号などによる当該窓の断熱性能等級の表示、当該窓の断熱性能等級の音声出力のいずれか一つ又は任意の組合せとすることができる。
【0013】
サッシの認識コード記録媒体は、サッシ又はサッシの梱包箱に貼付されているQRコード又はバーコード等の当該サッシの認識コードを記録したシールであることが好ましい(請求項2)。
サッシの認識コード記録媒体は、QRコード又はバーコード等の当該サッシの認識コードが掲載された一覧表(ボード)であっても良い(請求項3)。
【0014】
ガラスの認識コード記録媒体は、ガラス又はガラスの梱包箱に貼付されているQRコード又はバーコード等の当該ガラスの認識コードを記録したシールであることが望ましい(請求項4)。
ガラスの認識コード記録媒体は、QRコード又はバーコード等の当該ガラスの認識コードが掲載された一覧表(ボード)であっても良い (請求項5)。
【0015】
上記第一の目的を達成する本発明による第二の窓の断熱性能表示方法は、(a)窓を構成しているサッシ及びガラスにそれぞれ貼付されていて、当該サッシに関するデータ(本明細書ではこれをサッシデータという。)を記録したサッシデータ記録媒体及び当該ガラスに関するデータ(本明細書ではこれをガラスデータという。)を記録したガラスデータ記録媒体をそれぞれ読取手段により読取って、第1通信手段により所定の断熱性能照会センターに送信する第一工程と、(b)その断熱性能照会センターにおいて、コンピュータを用いて各種サッシのサッシデータと各種ガラスのガラスデータの組合わせに基づいて窓の断熱性能(熱貫流率又は断熱性能等級)が記録された断熱性能テーブルから前記第1通信手段から受信した前記サッシデータ及び前記ガラスデータの組み合わせに対応する特定の窓の断熱性能をルックアップし、そのルックアップした特定の窓の断熱性能のデータを第2通信手段により前記第1通信手段に送信する第二工程と、(c)前記第1通信手段により受信した前記窓の断熱性能データを出力手段に入力する第三工程と、(d)前記出力手段において入力した前記窓の断熱性能データを用いて前記窓の断熱性能を出力する第四工程からなることを特徴としている(請求項7)。
【0016】
上記構成により、サッシメーカーから購入したサッシにガラスメーカーから購入したガラスを組込んで窓を完成する窓の製造事業者が、サッシ及びガラスにそれぞれ貼付されているデータ記録媒体を読取手段により読取り、第1通信手段により所定の断熱性能照会センターに送信すると、その断熱性能照会センターからそのサッシとガラスとからなる窓の断熱性能(熱貫流率又は断熱性能等級)のデータを受信することができる。そして、その受信した窓の断熱性能のデータを出力手段に入力すると、その窓の断熱性能を出力することができる。窓の断熱性能の出力は、当該窓の熱貫流率又は断熱性能等級を記録した所定のフォーマットの断熱性能表示ラベルのプリント、文字又は記号などによる当該窓の熱貫流率又は断熱性能等級の表示、当該窓の熱貫流率又は断熱性能等級の音声出力のいずれか一つ又は任意の組合せとすることができる。
【0017】
サッシデータ記録媒体及びガラスデータ記録媒体は、サッシ及びガラスに貼付されたQRコード又はバーコードを印刷したシールであることを特徴としている(請求項8)。
前記読取手段及び第1通信手段は、携帯電話機であることを特徴としている(請求項6,9)。
前記出力手段は、窓の断熱性能等級を星の数で表現した所定のフォーマットの断熱性能表示ラベルにプリントするプリンタであっても良いし(請求項10)、窓の断熱性能等級を表す星の数を音声出力するスピーカであっても良い(請求項11)。
【0018】
窓の断熱性能等級を所定フォーマットの断熱性能表示ラベルにプリントする場合は、プリントされた断熱性能表示ラベルを直ちに窓に貼付することができるから、表示対象の取り違いや偽装表示を少なくすることができる。窓の断熱性能等級を表す星の数を音声出力する場合は、予め印刷して置いた断熱性能表示ラベルのうち、同数の星が印刷されている断熱性能表示ラベルを選り出して迅速に貼付することができるので、窓の断熱性能照会開始から断熱性能表示までの所要時間を短縮することができる。
【0019】
上記第二の目的を達成する本発明に係る第一の窓の断熱性能表示システムは、上記第一の窓の断熱性能表示方法を実現するためのシステムであり、窓を構成する特定のサッシ又はそのサッシの梱包箱に貼付されているサッシの認識コード記録媒体としてのQRコード又はバーコード等の認識コードを記録したシールから前記サッシの認識コードを読み取るとともに、ガラスの認識コード記録媒体としての各種のガラスのQRコード又はバーコード等の認識コードを掲載した一覧表(ボード)から前記窓を構成する特定のガラスの認識コードを読み取って、所定の断熱性能照会センターに送信する携帯電話機と、前記携帯電話機との間で通信する第2通信手段、前記携帯電話機から受信したサッシの認識コード及びガラスの認識コードに基づいて前記特定のサッシと前記特定のガラスの組合わせからなる窓の断熱性能を所定の演算式の実行により演算する演算手段、その演算結果に対して所定の等級区分基準に基づいて前記窓の断熱性能等級を決定する等級決定手段を有し、決定された窓の断熱性能等級のデータを前記第2通信手段により前記携帯電話機に送信する前記断熱性能照会センターに備えられた断熱性能決定装置と、前記携帯電話機からその携帯電話機が前記断熱性能照会センターから受信した窓の断熱性能等級データを入力され、その窓の断熱性能等級データを用いて所定フォーマットに従って窓の断熱性能等級及び断熱性能担保者の名称又はブランドを表示した窓の断熱性能表示ラベルを印刷するプリンタとからなることを特徴としている(請求項12)。
【0020】
上記第二の目的を達成する本発明に係る第二の窓の断熱性能表示システムは、上記第二の窓の断熱性能表示方法を実現するためのシステムであり、サッシ及びガラスに貼付されているサッシデータ記録媒体及びガラスデータ記録媒体としてのQRコードを印刷したシールからQRコードを読み取り、所定の断熱性能照会センターに送信する携帯電話機と、前記断熱性能照合センターに備えられた各種サッシのデータと各種ガラスのデータの組合わせに対して窓の断熱性能(熱貫流率又は断熱性能等級)が記録された断熱性能テーブルと、前記断熱性能照合センターに備えられ、前記携帯電話機から受信した前記サッシ及びガラスに関するデータの組み合わせに対応する窓の断熱性能を前記断熱性能テーブルからルックアップしてその窓の断熱性能データを前記携帯電話機に送信する処理部と,前記携帯電話機が受信した窓の断熱性能データに基づいて所定フォーマットに従って窓の断熱性能等級を星の数で表し、かつ、断熱性能担保者の名称又はブランドを表示した窓の断熱性能表示ラベルを印刷するプリンタとからなることを特徴としている(請求項13)。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、窓の製造事業者は、窓を構成する特定のサッシ及び特定のガラスのそれぞれに対応する認識コード記録媒体からサッシの認識コード及びガラスの認識コードを読取手段により読取り、第1通信手段により所定の断熱性能照会センターに送信するだけで、その窓の断熱性能等級データを受信し、そのデータに基づいて出力手段により当該窓の断熱性能等級を出力させることができる。すなわち、音声出力や文字又は記号などによる断熱性能等級表示をさせて、既印刷されている断熱性能表示ラベルの中から適合する断熱性能表示ラベルを選択して、あるいは直接に所定フォーマットの断熱性能表示ラベルをプリントして、その断熱性能表示ラベルをその窓に貼付することができる。従って、多種多様のサッシとガラスの組合せに対してその都度試験評価により窓の性能を測定する必要がなく、窓の製造事業者は統一化された窓の断熱性能表示を時間的にもコスト的にも負担がかからずに行なうことができる。
【0022】
請求項2及び請求項4の発明によれば、サッシ及びガラス又はそれらの梱包箱に貼付されているシールから認識コードを読み取って送信するので、認識コードの読取が容易であり、かつ、製品と送信される認識コードに不一致が生じる可能性が排除される。
【0023】
請求項3及び請求項5の発明によれば、サッシ又はガラスに対して認識コードが確立されていない場合にも、ボードから対応するサッシ又はガラスの認識コードを読み取ることにより、統一化された窓の断熱性能表示を行なうことができる。従って、認識コードが付与されていない場合であっても、サッシ会社がそれを認識していればよく、販売店等の組立て業者は性能基準を常に把握しておく必要がない。
【0024】
請求項7の発明によれば、窓の製造事業者は、窓のサッシ及びガラスにそれぞれ貼付されているデータ記録媒体を読取装置により読取り、所定の断熱性能照会センターに送信するだけで、その窓の断熱性能のデータを受信し、そのデータに基づいて音声出力や文字又は記号などによる断熱性能の表示をさせ、既印刷されている断熱性能表示ラベルの中から適合する断熱性能表示ラベルを選択して、あるいは直接に所定フォーマットの断熱性能表示ラベルをプリントして、その断熱性能表示ラベルをその窓に貼付することができるから、多種多様のサッシとガラスの組合せに対してその都度試験評価により窓の性能を測定する必要がなく、窓の製造事業者は統一化された窓の断熱性能表示を時間的にもコスト的にも負担がかからずに行なうことができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、普及しているQRコードと携帯電話機を用いて、窓を構成しているサッシとガラスのデータを簡単に読取って断熱性能照会センターに送信することができ、また、断熱性能照会センターから窓の製造事業者に当該窓の断熱性能を送信し、窓の断熱性能表示を行なうことができる。従って、特定の窓の断熱性能表示を迅速に行うことができる。
【0026】
請求項11の発明によれば、プリントされた断熱性能表示ラベルを直ちに窓に貼付することができるので、窓の断熱性能表示を時間的にもコスト的にも負担がかからずに行なうことができる。断熱性能の表示対象の間違いや偽装表示を少なくすることができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、予め印刷して置いた断熱性能表示ラベルのうち、同数の星が印刷されている断熱性能表示ラベルを選り出して迅速に貼付することができるので、窓の断熱性能照会開始から断熱性能表示までの所要時間が短縮される。
【0028】
請求項12の発明によれば,窓の製造事業者は、移動性に優れ,普及している携帯電話機を用いて、断熱性能表示の対象である窓のサッシ又はそのサッシの梱包箱に貼付されているシールからそのサッシの認識コードを読み取るとともに、一覧表(ボード)から前記窓を構成するガラスの認識コードを読み取って所定の断熱性能照会センターに送信すると、断熱性能照会センターにおいて前記携帯電話機から受信したサッシの認識コード及びガラスの認識コードに基づいて前記窓の断熱性能が演算され、かつ、その演算結果に対応する窓の断熱性能等級が決定され、その窓の断熱性能等級データが前記断熱性能照会センターから前記携帯電話機に送信され、その携帯電話機が受信した窓の断熱性能等級データがプリンタに入力されて、そのプリンタにより所定フォーマットに従って窓の断熱性能等級及び断熱性能担保者の名称又はブランドを表示した窓の断熱性能表示ラベルが印刷されるので、窓の製造事業者は統一化された窓の断熱性能表示を時間的コスト的に大きな負担なしに行なうことができる。
【0029】
請求項13の発明によれば,窓の製造事業者は、簡単迅速にサッシデータ及びガラスデータを読み取って所定の断熱性能照会センターに送信すると,性能照会センターから特定の窓の断熱性能データを受信し,プリンタにより迅速に断熱性能表示ラベルを印刷してその窓に貼付することにより,その窓の断熱性能表示を行うことができる。従って,窓の製造事業者は統一化された窓の断熱性能表示を時間的にもコスト的にも負担がかからずに行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による窓の断熱性能の表示方法を説明する工程図である。
【図2】上記窓の断熱性能の表示方法を実施するための本発明による窓の断熱性能表示システムの構成を概念的に示すブロックである。
【図3】図2の読取装置により図1の第一工程及び第二工程を実現する動作手順を示すフローチャートである。
【図4】図2の断熱性能照会センターの断熱性能決定装置により図1の第三工程及び第四工程を実現する動作手順を示すフローチャートである。
【図5】図2の読取装置により図1の第五工程を実現する動作手順を示すフローチャートである。
【図6】図2の出力装置により図1の第六工程を実現する動作手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明方法の他の実施の形態を説明する工程図である。
【図8】断熱性能表示の対象であるサッシにガラスを組み込んでなる窓の一例の正面図である。
【図9】本発明に関係するデータベースの一例の概念図であり,(a)はサッシメーカーが保有するサッシに関するデータベース、 (b)はガラスメーカーが保有するガラスに関するデータベース、(c)は断熱性能照会センターに備えられる窓の断熱性能に関するデータベースである。
【図10】窓の断熱性能表示ラベルの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
[概要説明]
本発明の基本的要件を概略的に説明すると、次のとおりである。
(1)サッシの梱包箱にQRコード又はバーコード等の認識コードを付す。
(2)ガラスのQRコード又はバーコード等の認識コードを記載した一覧表を作成する。
(3)断熱性能表示対象の窓のサッシとガラスの認識コードを読取装置により読取り、パーソナルコンピュータに格納してある専用ソフトウェアを用いて、その窓の断熱性能を算出する。
(4)算出した断熱性能に基づいて前記窓の断熱性能表示ラベルをプリンタで印刷し、その断熱性能表示ラベルを前記窓に貼付する。
(5)前記専用ソフトウェアは、パーソナルコンピュータに格納してあるサッシの断熱性能データベースとガラスの断熱性能データベースを用い、当該窓のサッシとガラスの認識コードを基に当該窓の断熱性能を算出するものである。
【0032】
前記断熱性能データベースとガラスの断熱性能データベースは、定期的又は必要時に更新される。更新方法には、メール等で送付されてくるデータの入力、CDからの取り込み、インターネットによるダウンロード等が可能である。
【0033】
[具体的説明]
本発明に係る窓の断熱性能表示方法は、図1に示すように、6つの工程S1〜S6からなっている。
第一工程S1及び第二工程S2は、窓の製造事業者(工務店等の建築会社)が読取装置を用いて行う工程である。第三工程及び第四工程は、所定の断熱性能照会センターに備えられる断熱性能決定装置が行う工程である。また、第五工程は、再び窓の製造事業者(工務店等の建築会社)が読取装置により行う工程である。そして、第六工程は、窓の製造事業者(工務店等の建築会社)の出力装置により行う工程である。
【0034】
第一工程S1においては、断熱性能表示対象である特定の窓を構成するサッシの認識コードと、同じ窓を構成するガラスの認識コードを読取装置により読み取る。
【0035】
サッシの認識コードは、当該サッシの製造者名と仕様等のサッシに関するデータ(サッシデータ)が読取装置により読取可能に例えばQRコード(又はバーコード。以下、同じ。)で記録されたものである。サッシの仕様等は、例えば、三重・二重・一重のいずれか、オールアルミ製サッシ、アルミとアルミの間に断熱材が介在されているサッシ、アルミと合成樹脂の複合サッシ、オール合成樹脂製サッシ、木製サッシなどのいずれかである。
【0036】
サッシの認識コードの読取は、窓の製造事業者(サッシメーカー)がサッシ又はそのサッシの梱包箱に貼付したQRコードを記録したシール(以下、QRコードシールという。)からそのQRコードを読み取ることが望ましい。これにより、サッシと読み取る認識コードの乖離を防止することができる。
【0037】
しかし、サッシメーカーによっては、QRコードシールを用意していない場合がある。その場合は、例えば、窓の断熱性能表示制度を実行する機関がQRコードシールが用意されていないサッシを特定するための認識コードを設定するとともに、それらのサッシの認識コードの一覧表(ボード)を作成し、その一覧表を窓の製造事業者(工務店等の建築会社)が備置すれば、特定の窓の断熱性能表示を行う時に、その一覧表の中の当該サッシの認識コードを読み取ることができる。
【0038】
ガラスの認識コードは、当該ガラスの製造者名及び製品番号などのガラスに関するデータ(ガラスデータ)が読取装置により読取可能に例えばQRコードで記録されたものである。
【0039】
ガラスの認識コードの読取は、ガラスメーカーがガラス又はそのガラスの梱包箱に貼付したQRコードシールからそのQRコードを読み取ることが望ましい。しかし、ガラスの種類(大きさ及び厚さ等)は非常に多いため、ガラス業界では、統一されたガラスの認識コードが作成されていないのが現状である。従って、本発明を実施するため、例えば、窓の断熱性能表示制度を実行する機関がガラスメーカーが提供している窓に使用されるガラスに関するデータを利用して、QRコードシールが用意されていないガラスを特定するための認識コードを設定するとともに、それらのガラスの認識コードの一覧表(ボード)を作成し、その一覧表を窓の製造事業者(工務店等の建築会社)に備置させれば、特定の窓の断熱性能表示を行う時に、その一覧表の中の当該ガラスの認識コードを読み取ることができる。ガラスメーカーが配布するガラスのカタログに、各ガラスの認識コードが掲載される場合には、前記一覧表の代わりに、そのカタログを利用することができる。
【0040】
図1に示された本発明方法の実施の形態を実施する断熱性能表示システムは、図2に示すように、窓の製造事業者(工務店等の建築会社)が用いる読取装置10と、断熱性能照会センターに備えられる断熱性能決定装置20と、前記窓の製造事業者の下に設置される出力装置30とで構成される。
読取装置10は、少なくとも通信手段(第1通信手段)11と、読取手段12と、制御手段13と、出力手段14を有する。読取装置10には、特に限定されないが、移動性、簡便性、操作性に優れ、カメラ(撮影機能)・記憶機能・通信機能・表示機能を備えている携帯電話機を用いることが最も望ましい。
【0041】
第二工程S2においては、第一工程において読み取ったサッシの認識コード及びガラスの認識コードを読取装置10の通信手段11により所定の断熱性能照会センターに送信して、窓の製造事業者が断熱性能表示の対象である窓の断熱性能を断熱性能照会センターに照会する。
【0042】
読取装置10に携帯電話機を用いる場合は、図3に示すように、カメラを用いて当該窓のサッシの認識コード及びガラスの認識コードを写真撮影し(P11,P12)、その二つの認識コードを1セットとして、所定の電話番号を発呼して断熱性能照会センターに転送する(P13)ことにより、第一工程S1と第二工程S2を簡単に行うことができる。
【0043】
本発明方法を実施するためには、所定の断熱性能照会センターが設置され、その断熱性能照会センターには、図2に示すように、断熱性能決定装置20が備えられる。断熱性能決定装置20は、コンピュータにより構成される通信手段(第2通信手段)21、演算手段22、断熱性能等級決定手段23、記憶手段24及び表示手段25を含む。
断熱性能決定装置20は、第三工程S3として、図4に示すように、2通信手段21により携帯電話機10から送信されてきた1セットの認識コード(サッシの認識コード及びガラスの認識コード)を受け入れて記憶手段24に一時記憶し(P21〜P23)、その1セットの認識コードに対して演算手段22により所定の演算式を実行して(P24〜P26)、その特定の1セットの認識コードの組み合わせに対応する窓の断熱性能(熱貫流率)を演算するとともに、その演算結果である断熱性能(熱貫流率)が所定の等級区分基準のどの区分に含まれるかを断熱性能等級決定手段23により判断して、含まれる区分に基づいて断熱性能等級を決定する(P26)。
【0044】
また、断熱性能決定装置20は、第四工程として、第三工程において決定された断熱性能等級のデータを第2通信手段により、前記1セットの認識コードを送信してきた読取装置(携帯電話機)10に送信する(P27)。すなわち、携帯電話機10から1セットの認識コードを受信した時に併せて登録した電話番号に発呼して断熱性能照会に対する回答を送る。
【0045】
読取装置(携帯電話機)10は、図5に示すように、断熱性能照会センターから断熱性能照会に対する回答を受信したときは、第五工程として、受信した断熱性能等級データを出力装置30に入力する(P31,P32)。読取装置10に携帯電話機を用いる場合は、携帯電話機の出力端子と出力装置の入力端子とをケーブルなどで接続して、断熱性能等級データを前者から後者に与えることができる。携帯電話機にセットしたUSBメモリに断熱性能照会センターから断熱性能照会に対する回答(断熱性能等級データ)を記録し、そのUSBメモリを出力装置30に移動・セットして断熱性能等級データを入力しても良い。
【0046】
そして、最後の第六工程として、出力装置30において、図6に示すように、入力した断熱性能等級データを用いて、前記窓の断熱性能等級を出力する(P41〜P44)。出力装置30は、プリンタ、表示器、スピーカのいずれか一つ又はそれらの組み合わせで構成することができる。
【0047】
出力装置30がプリンタである場合は、そのプリンタにあらかじめ設定し記憶させてあるフォーマットに従い、図10に例示するような断熱性能表示ラベルLを印刷する。
【0048】
断熱性能表示ラベルLには、窓の断熱性能等級を★(星)の数で表す場合の所定数の星、あるいは「断熱性能○○等級」等の文字、及び断熱性能担保者の名称又はブランドが印刷される。
そして、窓の断熱性能照会を求めた窓の製造事業者が、その印刷された断熱性能表示ラベルLを当該窓の所定の位置に貼付することにより、その窓の断熱性能表示がされる。
【0049】
[実施の形態2]
本発明の他の実施の形態による窓の断熱性能表示方法は、図7に示すように、4つの工程S1〜S4からなっている。
第一工程S1においては、窓の製造事業者が、図8に例示するように、窓を構成しているサッシS及びガラスGにそれぞれ貼付されていて、当該サッシ及びガラスに関するデータ(サッシデータとガラスデータ)を読取装置により読取可能に記録したデータ記録媒体SS,GSを読取装置10により読取って、断熱性能照会センターの断熱性能決定装置20に送信する。
すなわち、本発明方法を実施するためには、まず、窓を構成するサッシとガラスのそれぞれに対して予め、上記認識コード記録媒体に相当するサッシデータ記録媒体SSとガラスデータ記録媒体GSが備え付けられる。
【0050】
サッシデータ記録媒体SSは、当該サッシの製造者名と当該サッシの仕様などのデータ(サッシデータ)が読取装置により読取可能に記録されたものである。ガラスデータ記録媒体GSは、当該ガラスの製造者名と当該ガラスの種類などのデータ(ガラスデータ)が読取装置により読取可能に記録されたものである。
サッシデータ記録媒体SSは、図9の(a)に例示するようなサッシメーカーが作成保存しているサッシに関するデータベースDB1に基づいて作成される。そのデータベースは、製造者名Sd1及び製品番号Sd2ごとのサッシの仕様Sd3及び大きさSd4のデータで構成されている。
サッシの仕様は、例えば、三重・二重・一重のいずれか、オールアルミ製サッシ、アルミとアルミの間断熱材が介在されているサッシ、アルミと合成樹脂の複合サッシ、オール合成樹脂製サッシ、木製サッシなどのいずれかである。
【0051】
ガラスデータ記録媒体GSは、図9の(b)に例示するようなガラスメーカーが作成保存しているガラスに関するデータベースDB2に基づいて作成される。そのデータベースは、製造者名Gd1及び製品番号Gd2ごとのガラスの種類又は材質Gd3、そのガラスの大きさ及び厚さに対応する熱貫流率Gd4のデータで構成されている。ガラスの熱貫流率は、ガラスの種類すなわち単層ガラス、複層ガラス、網入りガラスと所定の各大きさ(試験体)に対して断熱性能試験と評価確認により得られた熱貫流率である。
【0052】
サッシデータ記録媒体SSとガラスデータ記録媒体GSは、既知の読取装置により読取可能に記録されたものであれば、その体裁・構造は問わない。読取装置も、サッシデータ記録媒体とガラスデータ記録媒体からサッシデータとガラスデータを光学的・電気的に読取可能なものであれば、接触式・非接触式その他の種類を問わない。
【0053】
サッシデータ記録媒体SSとガラスデータ記録媒体GSにサッシデータとガラスデータをQRコードで記録したQRコードシールを用い、読取装置にカメラ付携帯電話機を用いる場合は、サッシにガラスを組み込んで窓を完成した時点に、又は、特定の窓を選択した時点に、そのサッシとガラスに貼付されているQRコードシールのQRコードを携帯電話機で簡単に撮影して読取ることができる。
【0054】
サッシデータ記録媒体とガラスデータ記録媒体は、それぞれの予め定められた位置に貼付されることが好ましい。これにより、サッシデータ記録媒体とガラスデータ記録媒体が貼付されている場所をその都度捜すことなく、常に迅速にサッシデータとガラスデータを読み取ることができる。既存のサッシをそのまま活用し、ガラスだけを入れ替えてリフォームした窓の場合も,そのサッシとガラスに貼付されているサッシデータ記録媒体とガラスデータ記録媒体を読取装置で読み取ればよい。
【0055】
読み取られたサッシデータとガラスデータは、読取装置(携帯電話機)から断熱性能照会センターに送信される。読み取られたサッシデータとガラスデータを一旦、読取装置の記憶部に格納し、そのサッシデータとガラスデータを読み出して送受信装置により、断熱性能照会センターに送信するようにしても良い。
しかし、読取装置に携帯電話機を用いる場合は、読み取ったサッシデータとガラスデータを直ちに断熱性能照会センターに送信することができる利点がある。従って、特定の窓のサッシとガラスに貼付されているQRコードを携帯電話機で読取って、そのまま断熱性能照会センターに送信することができる利便性がある。
【0056】
第二工程S2においては、断熱性能照会センターにおいて、受信したサッシデータ及びガラスデータに基づいて、それぞれのデータに対応する熱貫流率を予め記録させてある記憶部から読み出し、各種サッシの熱貫流率と各種ガラスの熱貫流率の組み合わせに対応する窓の断熱性能(熱貫流率又は断熱性能等級)が記録された断熱性能テーブルから、前記読み出したサッシ及びガラスの熱貫流率の組み合わせに対応する窓の断熱性能をルックアップしてその窓の熱断熱性能を照会元である読取装置(携帯電話機)に送信する。
【0057】
上記断熱性能照会センターには、前記読取装置(携帯電話機)から送信されるサッシデータとガラスデータを受信し、格納し、当該サッシデータとガラスデータのそれぞれに対応する熱貫流率を読み出し、熱貫流率の組合せに対応する断熱性能を検索する断熱性能決定装置が備えられている。この断熱性能決定装置は、図9の(c)に例示するような断熱性能テーブルDB3を有している。この断熱性能テーブルは、サッシメーカーから提供されたあらゆる種類のサッシの熱貫流率とガラスメーカーから提供されたあらゆる種類のガラスの熱貫流率の組合せについて、実物の当該サッシに当該ガラスを組み込んだ窓に対して性能測定あるいは試験評価により確認された窓の熱貫流率のマトリックスデータから構成されている。断熱性能テーブルDB3の窓の熱貫流率x1y1,x2y1・・・xnynは、窓(サッシとガラスのセット)の性能規定の熱貫流率に適合するものである。性能測定は、前記サッシデータとガラスデータの熱貫流率の組合わせに基づくコンピュータによるシミュレーションその他の計算の結果により行うこともできる。
【0058】
そして、読取装置(携帯電話機)から窓の断熱性能照会要求においてサッシデータとガラスデータを受信すると、そのサッシデータ(サッシの熱貫流率)とガラスデータ(ガラスの熱貫流率)の組合せに対応する窓の熱貫流率を断熱性能テーブルDB3からルックアップして、当該窓の熱貫流率を得る。この窓の熱貫流率を得た断熱性能決定装置は、通信手段により、その窓の熱貫流率データを断熱性能情報として送信元である読取装置(携帯電話機)に送信する。
【0059】
第三工程S3においては、窓の断熱性能照会要求を出した窓の製造事業者は、断熱性能情報を受信した読取装置(携帯電話機)からその断熱性能情報を出力装置に与える。出力装置がプリンタである場合は、そのプリンタにあらかじめ設定してあるフォーマットに従い、図10に例示するような窓の断熱性能表示ラベルLを印刷する。
【0060】
本発明方法を実施する窓の製造事業者は、サッシとガラスの組立をした後、それぞれに貼付されているQRコードを例えば携帯電話機で読み取り、所定の断熱性能照会センターに送信すれば、そのQRコード情報に対するIDが携帯電話機に発行され、そのID情報から当該窓の断熱性能表示ラベルが印刷されるので、その窓の断熱性能表示ラベルをその窓(サッシ又はガラス)の所定の位置,例えば、図8に例示するように、ガラスGの下部に貼付して、その窓の断熱性能の表示を行うことができる。QRコードは、窓の断熱性能表示ラベルの貼付後に剥がしてもよい。
【0061】
また、一般消費者は、選択対象の窓に貼付されている単一の窓の性能表示ラベルを見るだけで、当該窓の断熱性能及び性能担保者を知ることができ、窓の性能表示に対する信頼性が向上する。
なお、上には、サッシデータとガラスデータの読取を、シールに印刷されたQRコードを携帯電話機で読み取るようにしたが、シールに印刷されたバーコードをスキャナー又は携帯電話機で読み取るようにしてもよい。
また、上には、出力装置が窓の断熱性能表示ラベルを印刷するプリンタである場合について説明したが、出力装置には、断熱性能を音声出力するスピーカー又は断熱性能と性能担保者を文字で表示する装置を単独で使用してもよい。この場合は、予め印刷されている断熱性能表示ラベルの中からスピーカーで出力されたもの又は表示装置に表示されたものを選択して当該窓に貼付すればよい。この出力態様の場合は、断熱性能表示ラベルを断熱性能照会の都度に印刷する必要がない。
【0062】
さらに、断熱性能照会センターのデータベースは、サッシメーカー又はガラスメーカーからのダウンロードにより更新することができる。また、読取装置と断熱性能照会センターの断熱性能決定装置との間を公衆電話回線やインターネット回線で接続し、読取装置と出力装置との間をRS-232Cで接続しても良い。
【符号の説明】
【0063】
S サッシ
G ガラス
SS サッシデータ記録媒体(QRコードシール)
GS ガラスデータ記録媒体(QRコードシール)
L 窓の断熱性能表示ラベル
10 読取装置
20 断熱性能決定装置
30 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)窓を構成する特定のサッシ及び特定のガラスのそれぞれについて、前記サッシの認識コードを記録した認識コード記録媒体から前記サッシの認識コードを、前記ガラスの認識コードを記録した認識コード記録媒体から前記ガラスの認識コードをそれぞれ読取手段により読取る第一工程と、
(b)前記読取手段により読取ったサッシの認識コード及びガラスの認識コードを第1通信手段により所定の断熱性能照会センターに送信する第二工程と、
(c)その断熱性能照会センターにおいて、第2通信手段により受信した前記サッシの認識コードとガラスの認識コードの組み合わせに基づいて演算手段により前記窓の断熱性能を演算するとともに、等級決定手段によりその演算した窓の断熱性能が含まれる所定の断熱性能等級を決定する第三工程と、
(d)その決定された前記断熱性能等級のデータを前記断熱性能照会センターから前記第2通信手段により前記第1通信手段に送信する第四工程と、
(e)前記第1通信手段により受信した窓の断熱性能等級のデータを出力手段に入力する第五工程と、
(f)前記出力手段において入力した前記窓の断熱性能等級のデータを用いて所定のフォーマットの断熱性能表示ラベルのプリント、文字又は記号などによる窓の断熱性能等級の表示、窓の断熱性能等級の音声出力の少なくとも一つを行う第六工程と、
からなることを特徴とする窓の断熱性能の表示方法。
【請求項2】
サッシの認識コード記録媒体は、サッシ又はサッシの梱包箱に貼付されているQRコード又はバーコード等の当該サッシの認識コードを記録したシールであることを特徴とする請求項1に記載の窓の断熱性能の表示方法。
【請求項3】
サッシの認識コード記録媒体は、QRコード又はバーコード等の当該サッシの認識コードが掲載された一覧表であることを特徴とする請求項1に記載の窓の断熱性能の表示方法。
【請求項4】
ガラスの認識コード記録媒体は、ガラス又はガラスの梱包箱に貼付されているQRコード又はバーコード等の当該ガラスの認識コードを記録したシールであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の窓の断熱性能の表示方法。
【請求項5】
ガラスの認識コード記録媒体は、QRコード又はバーコード等の当該ガラスの認識コードが掲載された一覧表であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の窓の断熱性能の表示方法。
【請求項6】
読取手段及び第1通信手段は、携帯電話機であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の窓の断熱性能の表示方法。
【請求項7】
(a)窓を構成しているサッシ及びガラスにそれぞれ貼付されていて、当該サッシに関するデータを記録したサッシデータ記録媒体及び当該ガラスに関するデータを記録したガラスデータ記録媒体をそれぞれ読取手段により読取って、第1通信手段により所定の断熱性能照会センターに送信する第一工程と、
(b)その断熱性能照会センターにおいて、コンピュータを用いて各種サッシのサッシデータと各種ガラスのガラスデータの組合わせに基づいて窓の断熱性能(熱貫流率又は断熱性能等級)が記録された断熱性能テーブルから前記第1通信手段から受信した前記サッシデータ及び前記ガラスデータの組み合わせに対応する特定の窓の断熱性能をルックアップし、そのルックアップした特定の窓の断熱性能のデータを第2通信手段により前記第1通信手段に送信する第二工程と、
(c)前記第1通信手段により受信した前記窓の断熱性能データを出力手段に入力する第三工程と、
(d)前記出力手段において入力した前記窓の断熱性能データを用いて前記窓の断熱性能を出力する第四工程と、
からなることを特徴とする窓の断熱性能の表示方法。
【請求項8】
サッシデータ記録媒体及びガラスデータ記録媒体は、サッシ及びガラスに貼付されたQRコード又はバーコードを印刷したシールであることを特徴とする請求項7に記載の窓の断熱性能の表示方法。
【請求項9】
読取手段及び第1通信手段は、携帯電話機であることを特徴とする請求項7に記載の窓の断熱性能の表示方法。
【請求項10】
第四工程の出力として、プリンタで窓の断熱性能等級を星の数で表現した所定のフォーマットの断熱性能表示ラベルにプリントすることを特徴とする請求項7に記載の窓の断熱性能の表示方法。
【請求項11】
第四工程の出力として、スピーカで窓の断熱性能等級を表す星の数を音声出力することを特徴とする請求項7に記載の窓の断熱性能の表示方法。
【請求項12】
窓を構成する特定のサッシ又はそのサッシの梱包箱に貼付されているサッシの認識コード記録媒体としてのQRコード又はバーコード等の認識コードを記録したシールから前記サッシの認識コードを読み取るとともに、ガラスの認識コード記録媒体としての各種のガラスのQRコード又はバーコード等の認識コードを掲載した一覧表(ボード)から前記窓を構成する特定のガラスの認識コードを読み取って、所定の断熱性能照会センターに送信する携帯電話機と、前記携帯電話機との間で通信する第2通信手段、前記携帯電話機から受信したサッシの認識コード及びガラスの認識コードに基づいて前記特定のサッシと前記特定のガラスの組合わせからなる窓の断熱性能を所定の演算式の実行により演算する演算手段、その演算結果に対して所定の等級区分基準に基づいて前記窓の断熱性能等級を決定する等級決定手段を有し、決定された窓の断熱性能等級のデータを前記第2通信手段により前記携帯電話機に送信する前記断熱性能照会センターに備えられた断熱性能決定装置と、前記携帯電話機からその携帯電話機が前記断熱性能照会センターから受信した窓の断熱性能等級データを入力され、その窓の断熱性能等級データを用いて所定フォーマットに従って窓の断熱性能等級及び断熱性能担保者の名称又はブランドを表示した窓の断熱性能表示ラベルを印刷するプリンタとからなることを特徴とする窓の断熱性能表示システム。
【請求項13】
サッシ及びガラスに貼付されているサッシデータ記録媒体及びガラスデータ記録媒体としてのQRコードを印刷したシールからQRコードを読み取り、所定の断熱性能照会センターに送信する携帯電話機と、前記断熱性能照合センターに備えられた各種サッシのデータと各種ガラスのデータの組合わせに対して窓の断熱性能(熱貫流率又は断熱性能等級)が記録された断熱性能テーブルと、前記断熱性能照合センターに備えられ、前記携帯電話機から受信した前記サッシ及びガラスに関するデータの組み合わせに対応する窓の断熱性能を前記断熱性能テーブルからルックアップしてその窓の断熱性能データを前記携帯電話機に送信する処理部と,前記携帯電話機が受信した窓の断熱性能データに基づいて所定フォーマットに従って窓の断熱性能等級を星の数で表し、かつ、断熱性能担保者の名称又はブランドを表示した窓の断熱性能表示ラベルを印刷するプリンタとからなることを特徴とする窓の断熱性能表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−62740(P2012−62740A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226307(P2010−226307)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】