説明

立体表示システム

【課題】小型の装置により、明るく色再現性の高い、高品質な立体画像を観賞することができる立体表示システムの提供。
【解決手段】ピーク波長がR、G、及びBである3色の光源を1組とした第1の光源と、ピーク波長がR、G、及びBである3色の光源を1組とした第2の光源と、カラーフィルタと、液晶層とを有する光変調素子とを有する画像表示装置と、左目レンズ及び右目レンズの近傍に特定の発光波長の光だけを透過するフィルタを有し、前記左目用画像を左目のみに知覚させ、前記右目用画像を右目のみに知覚させるように構成した波長選択眼鏡とを組み合わせてなり、前記波長選択眼鏡を通して前記左目用及び前記右目用画像を観ることにより1つの立体画像を見ることができる立体表示システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の装置により、明るく色再現性の高い、高品質な立体画像を観賞することができる立体表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像表示装置と眼鏡とを組み合わせて立体画像を観賞することができる立体表示システムとしては、例えばデュアルスタック方式、RealD方式、XpanD方式、ドルビー3D方式などが挙げられる。
【0003】
前記デュアルスタック方式は、例えば右目用及び左目用の2台のプロジェクターを用い、それぞれ異なる円偏光でシルバースクリーンに投影し、偏光眼鏡で立体画像を見る方式である。しかし、前記デュアルスタック方式は、シルバースクリーンが必要であり、該シルバースクリーン上で高い画像の重ね合わせ精度が要求される。また、投射型であるため設置が簡便でなく、大型の装置になるという問題がある。
【0004】
前記RealD方式は、例えば右目用及び左目用の映像を液晶素子で偏光を切り替えながら、時間的に交互にシルバースクリーンに投影し、偏光眼鏡で立体画像を見る方式である。しかし、前記RealD方式は、シルバースクリーンが必要である。また、投射型であるため設置が簡便でなく、大型の装置が必要となるという問題がある。
【0005】
前記XpanD方式は、例えば入射光を遮る液晶シャッターを右目用、左目用にそれぞれ設けた眼鏡を用い、画面に右目用画像が表示されたときには右目用の液晶シャッターのみを開け、画面に左目用画像が表示されたときには左目用の液晶シャッターのみを開けて、右目用画像と左目用画像に視差を付けて、立体画像を見る方式である(特許文献1参照)。しかし、前記XpanD方式により3D画像を表示する場合、同時に表示できる画像が1つであるという制約から右目と左目に同時に映像を見せることができず、左右の画像の切り替えサイクルが十分に早くないと、画像がちらついたり、暗くなってしまうと共に、眼鏡の重量が重くなってしまうという課題がある。
【0006】
前記ドルビー3D方式は、例えば左右の映像ソースを交互に分割表示し、右目用及び左目用画像をカラーホイール(分光フィルター)でRGBの波長帯域を切り替えながら、時間的に交互にホワイトスクリーンに投影し、左目及び右目レンズの近傍に特定の発光波長だけを透過するフィルタを有し、前記左目用画像を左目のみに知覚させ、前記右目用画像を右目のみに知覚させるように構成した波長選択眼鏡で見ることにより、立体画像を観賞できるものである(特許文献2参照)。このドルビー3D方式は、ホワイトスクリーンが使用可能で、色再現性に優れ、高画質の立体画像を観賞できる。しかし、前記ドルビー3D方式は、投射型であるため設置が簡便でなく、プロジェクター、カラーホイール及びその駆動手段などが必要となるため大型の装置となり、暗所でしか立体画像が映らないという問題がある。
【0007】
したがって、明るく色再現性の高い、高品質な立体画像を観賞することができる立体表示システムの速やかな提供が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平6−48490号公報
【特許文献2】特許第4348409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、波長をずらした2組のRGB光源及び光変調素子を有する画像表示装置と、波長選択眼鏡とを組み合わせた小型の装置により、明るく色再現性の高い、高品質な立体画像を観賞することができる立体表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、波長をずらした2組のRGB光源を用い、該2組のRGB光源を交互に発光させ、そのタイミングに応じて、カラーフィルタ及び液晶層を有する光変調素子で変調させて右目用及び左目用画像を合成する。そして、前記右目用及び左目用画像を、右目用発光波長だけを通過するフィルタを右目レンズ近傍に、左目用発光波長だけを通過するフィルタを左目レンズ近傍に、それぞれ有する波長選択眼鏡で見ることにより、小型の装置であっても、明るく色再現性の高い、高品質な立体画像を観賞できる立体表示システムが提供できることを知見した。
【0011】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> ピーク波長がR、G、及びBである3色の光源を1組とした第1の光源と、
ピーク波長がR、G、及びBである3色の光源を1組とした第2の光源と、
ピーク波長がRf、Gf、及びBfであり、かつピーク透過率の50%が透過する半値幅がRfw、Gfw、及びBfwである3色の画素を含むカラーフィルタと、液晶層とを有し、前記第1及び第2の光源を交互に発光させた光を変調して左目用画像及び右目用画像を形成する光変調素子と、を有する画像表示装置と、
左目レンズ及び右目レンズの近傍に特定の発光波長の光だけを透過するフィルタを有し、前記左目用画像を左目のみに知覚させ、前記右目用画像を右目のみに知覚させるように構成した波長選択眼鏡と、を組み合わせてなり、
前記波長選択眼鏡を通して前記左目用及び前記右目用画像を観ることにより1つの立体画像を見ることができる立体表示システムであって、
前記第1の光源及び前記第2の光源が、10nm≦|R−R|、10nm≦|G−G|、及び10nm≦|B−B|の関係を満たし、
前記カラーフィルタと前記第1及び第2の光源とが、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、Bf−Bfw<B<Bf+Bfw、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、及びBf−Bfw<B<Bf+Bfwの関係を満たし、
前記左目レンズ近傍のフィルタが、(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)>(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)、(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)>(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)、及び(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)>(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)の関係を満たし、
前記右目レンズ近傍のフィルタが、TR<TR、TG<TG、及びTB<TBの関係を満たすことを特徴とする立体表示システムである。
該<1>に記載の立体表示システムにおいては、前記第1の光源と前記第2の光源を交互に発光させ、そのタイミングに応じて、カラーフィルタ及び液晶層を有する光変調素子で変調させて右目用及び左目用画像を合成する。そして、前記右目用及び左目用画像を、右目用発光波長だけを通過するフィルタを右目レンズ近傍に、左目用発光波長だけを通過するフィルタを左目レンズ近傍に、それぞれ有する波長選択眼鏡で見ることにより、小型の装置であっても、明るく色再現性の高い、高品質な立体画像を観賞することができる。
<2> ピーク波長がR、G、B、R、G、及びBの6つの光源における光源半値幅は、いずれも1nm以上50nm以下である前記<1>に記載の立体表示システムである。
該<2>に記載の立体表示システムにおいては、ピーク波長がR、G、B、R、G、及びBの6つの光源における光源半値幅は、いずれも1nm以上50nm以下である。このようにシャープな波長の光源であると、クロストークの発生が防止でき、高画質の立体画像を観賞できる。
<3> ピーク波長RとGの光源が、R>Gであり、R−G>10nmを満たし、
ピーク波長GとBの光源が、G>Bであり、G−B>10nmを満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体表示システムである。
該<3>に記載の立体表示システムにおいては、ピーク波長RとGの光源、及びピーク波長GとBの光源の光源波長差が一定以上であることにより、高画質の立体画像を観賞することができる。
<4> 左目レンズ近傍のフィルタが、TR≧50%、TR≦10%、TG≧50%、TG≦10%、TB≧50%、TB≦10%であり、
右目レンズ近傍のフィルタが、TR≦10%、TR≧50%、TG≦10%、TG≧50%、TB≦10%、TB≧50%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体表示システムである。
該<4>に記載の立体表示システムにおいては、左目レンズ近傍のフィルタが、TR≧50%、TR≦10%、TG≧50%、TG≦10%、TB≧50%、TB≦10%であり、
右目レンズ近傍のフィルタが、TR≦10%、TR≧50%、TG≦10%、TG≧50%、TB≦10%、TB≧50%である。これにより、前記右目レンズが、ピーク波長がB、G、及びRの1組の光源からの光を透過し、かつピーク波長がB、G、及びRの1組の光源からの光を透過しないように構成される。また、前記左目レンズが、ピーク波長がB、G、及びRの1組の光源からの光を透過し、ピーク波長がB、G、及びRの1組の光源からの光を透過しないように構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、波長をずらした2組のRGB光源及び光変調素子を有する画像表示装置と、波長選択眼鏡とを組み合わせた小型の装置により、明るく色再現性の高い、高品質の立体画像を見ることができる立体表示システムを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の立体表示システムの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の立体表示システムの他の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、従来のドルビー3D方式による立体表示システムの一例を示す概略図である。
【図4】図4は、実施例で用いたフィルタ2の波長と透過率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の立体表示システムは、画像表示装置と、波長選択眼鏡と、を組み合わせてなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
前記立体表示システムにおいては、前記波長選択眼鏡を通して、前記画像表示装置で作成された左目用及び前記右目用画像を見ることにより、1つの合成された明るく色再現性の高い、高品質の立体画像を観賞することができる。
【0015】
<画像表示装置>
前記画像表示装置は、第1の光源と、第2の光源と、光変調素子とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
【0016】
<<第1の光源及び第2の光源>>
前記第1の光源は、ピーク波長がR、G、及びBである3色(3つ)の光源を1組とした光源である。
前記第2の光源は、ピーク波長がR、G、及びBである3色(3つ)の光源を1組とした光源である。
前記第1及び第2の光源は、左目用及び前記右目用画像のいずれかの形成に用いられる。
【0017】
前記ピーク波長がR、G、B、R、G、及びBの6つの光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、各色の発光ダイオード(LED)、各色のレーザダイオード(LD)、蛍光発光素子などが挙げられる。これらの中でも、発光効率の点でLEDが特に好ましい。
【0018】
青色(B)光源(B、B)における中心波長範囲は、420nm以上500nm未満が好ましく、430nm以上490nm以下がより好ましい。
緑色(G)光源(G、G)における中心波長範囲は、500nm以上580nm未満が好ましく、510nm以上570nm以下がより好ましい。
赤色(R)光源(R、R)における中心波長範囲は、580nm以上680nm以下が好ましく、590nm以上670nm以下がより好ましい。
前記光源の中心波長範囲は、例えば分光測定器(USB2000、オーシャンオプティクス社製)などにより測定することができる。
【0019】
前記ピーク波長がR、G、B、R、G、及びBの6つの光源は、10nm≦|R−R|、10nm≦|G−G|、及び10nm≦|B−B|の関係を満たすことが、左右の眼に入る画像光のクロストーク低減の点で必要である。
前記|B−B|、即ち、BとBの差の絶対値は、上限値で70nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。また、下限値は10nm以上であり、20nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。
前記|B−B|が、10nm未満であると、左右の眼に入る画像光のクロストークが生ずることがあり、70nmを超えると、長波側では緑光との混色、短波側では視感度の低下が生ずることがある。
【0020】
前記|G−G|、即ち、GとGの差の絶対値は、上限値で75nm以下が好ましく、65nm以下がより好ましく、55nm以下が更に好ましい。また、下限値は10nm以上であり、20nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。
前記|G−G|が、10nm未満であると、左右の眼に入る画像光のクロストークが生ずることがあり、75nmを超えると、青色や赤色との混色が生ずることがある。
【0021】
前記|R−R|、即ち、RとRの差の絶対値は、上限値で80nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、60nm以下が更に好ましい。また、下限値は10nm以上であり、20nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。
前記|R−R|が、10nm未満であると、左右の眼に入る画像光のクロストークが生ずることがあり、80nmを超えると、短波側では緑光との混色、長波側では視感度の低下となることがある。
【0022】
前記ピーク波長がR、G、B、R、G、及びBの6つの光源における光源半値幅は、いずれも上限値で50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下が更に好ましい。また、下限値は1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上が更に好ましい。
ここで、前記光源半値幅とは、ピーク波長における光量の半分光量になる波長で、長波側から短波側の差を意味し、例えば分光測定器(USB2000、オーシャンオプティクス社製)などにより測定することができる。
前記光源半値幅が、50nmを超えると、右目用に発光したものが、左目レンズ近傍のフィルタにも少量光が透過してクロストークとなり、画像が2重に見えてしまうことがある。一方、前記光源半値幅が、1nm未満であると、斜めから見たときに、急激に暗くなってしまうことがある。
【0023】
前記ピーク波長がRとGの光源は、R>Gであり、R−G>10nmを満たすことが、クロストーク低減の点で好ましい。
前記ピーク波長がGとBの光源は、G>Bであり、G−B>10nmを満たすことが、クロストーク低減の点で好ましい。
【0024】
前記赤色光源(R、R)と前記緑色光源(G、G)において、(R+R)/2と(G+G)/2との差は、50nm以上であることが好ましく、50nm〜150nmであることがより好ましい。前記(R+R)/2と(G+G)/2との差が、50nm未満であると、クロストークが発生することがある。
【0025】
前記緑色光源(G、G)と前記青色光源(B、B)において、(G+G)/2と(B+B)/2との差は、50nm以上であることが好ましく、50nm〜150nmであることがより好ましい。前記(G+G)/2と前記(B+B)/2との差が、50nm未満であると、クロストークが発生することがある。
【0026】
前記赤色光源(R、R)と前記青色光源(B、B)において、(R+R)/2と(B+B)/2との差は、100nm以上であることが好ましく、100nm〜300nmであることがより好ましい。前記(R+R)/2と(B+B)/2との差が、100nm未満であると、波長範囲が狭く、色再現不足となることがある。
また、max(B1、B2)<min(G1、G2)、max(G1、G2)<min(R1、R2)の関係を満たすことが好ましい。この関係を満たさないと、色再現が悪くなることがある。
ここで、前記max(P,Q)は、波長Pと波長Qのうちの、長波の波長を示す。前記min(P,Q)は、波長Pと波長Qのうちの、短波の波長を示す。
【0027】
<<光変調素子>>
前記光変調素子は、カラーフィルタと、液晶層のような屈折率変調層とを有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記第1及び第2の光源を交互に発光させた光は、前記光変調素子によって、例えば位相、強度、偏光、方向、波長、色、色相、又は光に固有の任意の特性を変調され、左目用画像及び右目用画像が形成される。
【0028】
−カラーフィルタ−
前記カラーフィルタは、ピーク波長がRf、Gf、及びBfであり、かつピーク透過率の50%が透過する半値幅がRfw、Gfw、及びBfwである3色の画素(B画素、G画素、及びR画素)を含み、更に必要に応じてその他の部材を含んでなる。
【0029】
前記カラーフィルタの赤色(R)画素のピーク波長Rfは、420nm〜500nmであることが好ましい。
前記カラーフィルタの緑色(G)画素のピーク波長Gfは、500nm〜580nmであることが好ましい。
前記カラーフィルタの青色(B)画素のピーク波長Bfは、580nm〜680nmであることが好ましい。
前記カラーフィルタの各画素のピーク波長は、例えば分光測定器(USB2000、オーシャンオプティクス社製)などにより測定することができる。
【0030】
前記カラーフィルタの赤色(R)画素の半値幅Rfwは、10nm〜150nmであることが好ましい。
前記カラーフィルタの緑色(G)画素の半値幅Gfwは、10nm〜150nmであることが好ましい。
前記カラーフィルタの青色(B)画素の半値幅Bfwは、10nm〜150nmであることが好ましい。
前記カラーフィルタの各画素の半値幅は、例えばハロゲンランプのような光源からの光を、カラーフィルタを通し、その透過光量を分光器(USB2000、オーシャンオプティクス社製)により測定することができる。
【0031】
本発明においては、前記カラーフィルタと前記第1及び第2の光源とが、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、Bf−Bfw<B<Bf+Bfw、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、及びBf−Bfw<B<Bf+Bfwの関係を満たすことが好ましい。これにより、前記カラーフィルタの青色(B)画素は、ピーク波長がBとBの光源からの光を透過することができる。前記カラーフィルタの緑色(G)画素は、ピーク波長がGとGの光源からの光を透過することができる。前記カラーフィルタの赤色(R)画素は、ピーク波長がRとRの光源からの光を透過することができる。
【0032】
前記カラーフィルタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば富士フイルム株式会社製トランサー等の液晶ディスプレイ用カラーフィルタ、富士フイルム株式会社製カラーモザイクRGB3000等のCCD用カラーフィルタなどを用いることができる。
【0033】
−液晶層−
前記液晶層は、少なくとも液晶化合物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0034】
前記液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばネマティック液晶、コレステリック液晶などが挙げられる。
【0035】
−その他の部材−
前記光変調素子におけるその他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば1/4波長板、電極、TFTトランジスタなどが挙げられる。
【0036】
<波長選択眼鏡>
前記波長選択眼鏡は、左目及び右目レンズと、該左目及び右目レンズの近傍に特定の発光波長の光だけを透過するフィルタとを有し、フレーム、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記波長選択眼鏡は、繰り返して使用可能なものが好ましく、一般の眼鏡と同じタイプの形状が好適であるが、ゴーグル形状、手持ち形状であっても構わない。
【0037】
<<フィルタ>>
前記フィルタは、左目レンズ及び右目レンズの近傍であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記左目レンズ及び右目レンズ表面に直接配置してもよいし、中間層などを介して配置してもよい。
【0038】
前記右目レンズの近傍には、ピーク波長がB、G、及びRの1組の光源からの光を透過し、かつピーク波長がB、G、及びRの1組の光源からの光を透過しないフィルタを設置する。
前記左目レンズの近傍には、ピーク波長がB、G、及びRの1組の光源からの光を透過し、ピーク波長がB、G、及びRの1組の光源からの光を透過しないフィルタを設置する。あるいは、上記と逆にフィルタを配置した(右目と左目のフィルタを入れ替えた)ものでも構わない。これにより、前記左目用画像を左目のみに知覚させ、前記右目用画像を右目のみに知覚させることができる。
【0039】
前記左目レンズ近傍のフィルタは、(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)>(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)、(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)>(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)、及び(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)>(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)の関係、即ち、TR>TR、TG>TG、及びTB>TBを満たすことが、クロストークを低減する点で好ましい。
【0040】
前記右目レンズ近傍のフィルタは、(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)<(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)、(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)<(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)、及び(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)<(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)の関係、即ち、TR<TR、TG<TG、及びTB<TBを満たすことが、クロストークを低減する点で好ましい。
【0041】
前記左目レンズ近傍のフィルタの透過率は、TR≧50%、TR≦10%、TG≧50%、TG≦10%、TB≧50%、TB≦10%であることが好ましく、TR≧80%、TR≦6%、TG≧80%、TG≦6%、TB≧80%、TB≦6%であることより好ましい。前記右目レンズ近傍のフィルタの透過率が、上記の範囲を満たすことにより、クロストークの低減を図ることができる。
【0042】
前記右目レンズ近傍のフィルタの透過率は、TR≦10%、TR≧50%、TG≦10%、TG≧50%、TB≦10%、TB≧50%であることが好ましく、TR≦6%、TR≧80%、TG≦6%、TG≧80%、TB≦6%、TB≧80%であることがより好ましい。前記右目レンズ近傍のフィルタの透過率が、上記の範囲を満たすことにより、クロストークの低減を図ることができる。
前記フィルタの透過率は、例えば分光測定器(USB2000とハロゲン光源、いずれもオーシャンオプティクス社製)などを用いて測定することができる。
【0043】
−フィルタの作製方法−
前記フィルタは、前記眼鏡基材上に、例えば「HLHL(2H)LHLH」のように高屈折率(H)の薄膜と低屈折率(L)の薄膜を積層することにより作製される。
【0044】
前記眼鏡基材としては、その材質、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記材質としては、無機物、有機物などが挙げられ、前記形状としては平板状などが挙げられ、前記構造としては単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては用途等に応じて適宜選択することができる。
前記無機物としては、ガラス、サファイア、シリコン(Si)、石英(SiO)などが挙げられる。
前記有機物としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、低融点フッ素樹脂、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、トリアセテートセルロース(TAC)、などが挙げられる。
前記基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましい。
【0045】
前記Hは、屈折率の大きな材料であり、その膜厚はλ/(4n)で表され、波長600nmで屈折率2.0の材料であれば、75nmの膜厚となる。
前記Lは、屈折率の小さな材料であり、その膜厚はλ/(4n)で表され、波長600nmで屈折率1.5の材料であれば、100nmの膜厚となる。
なお、2Hは、Hの2倍の膜厚の薄膜である。
前記Hと前記Lとの屈折率差(H−L)は、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましい。
【0046】
前記H及びLの材料としては、例えば下記表Aに示す材料などが挙げられ、これらの中から、屈折率の大きなものと小さなものを適宜選択することができる。
前記Hの材料としては、Al、Ta、ZnO、CeO、TiO、CeF、ZnSなどが好ましい。
前記Lの材料としては、SiO、Al、LiF、CaF、MgFなどが好ましい。
【0047】
【表A】

【0048】
前記H及びLからなるフィルタの成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、ゾル−ゲル法などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法、スパッタリング法が特に好ましい。
前記真空蒸着法としては、例えば反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着、イオンプレーティング法、などが挙げられる。
前記スパッタリング法としては、例えば反応性スパッタリング法などが挙げられる。
【0049】
前記画像表示装置は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせでありうる。1つの実施形態において、画像表示装置の1つ以上の構成要素は、コンピュータ、コンピュータサーバ、又は一連の論理演算を実行することができる他のマイクロプロセッサベースのシステムに含まれる。また、ハードディスクドライブ、他の永久記憶装置等の不揮発性メモリを含むか、又はランダムアクセスメモリ(RAM)等の揮発性メモリを含みうる。
【0050】
<<その他の手段>>
前記画像表示手段におけるその他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば制御手段などが挙げられる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器、などが挙げられる。
【0051】
ここで、本発明の立体表示システムについて、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る立体表示システム100を示す概略図である。
この図1の立体表示システム100は、ピーク波長をずらした2組のRGB光源L(B、G、R)、L(B、G、R)、即ち、B、G、R、B、G、及びRの6つの光源を用いている。これらの光源としては、各色のLEDが用いられている。なお、前記第1の光源と前記第2の光源は逆に配置しても構わない。
前記B、G、R、B、G、及びRの6つの光源は、10nm≦|R−R|、10nm≦|G−G|、及び10nm≦|B−B|の関係を満たしている。
前記B、G、R、B、G、及びRの6つの光源における光源半値幅は、いずれも1nm以上50nm以下である。
前記ピーク波長がRとGの光源は、R>Gであり、R−G>10nmを満たしている。
前記ピーク波長がGとBの光源は、G>Bであり、G−B>10nmを満たしている。
【0052】
次に、2組のRGB光源L及びLを交互に発光させ、そのタイミングに応じて、液晶層10とカラーフィルタ11を含む光変調素子12で変調して、右目用画像及び左目用画像を形成する。
カラーフィルタ11としては、富士フイルム株式会社製トランサーを用いている。
液晶層10としては、ネマティック液晶を用いている。
カラーフィルタ11は、各画素のピーク波長がRf、Gf、及びBfであり、かつピーク透過率の50%が透過する半値幅がRfw、Gfw、及びBfwである。
前記カラーフィルタ11と前記第1及び第2の光源とは、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、Bf−Bfw<B<Bf+Bfw、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、及びBf−Bfw<B<Bf+Bfwの関係を満たしている。
【0053】
次に、得られた右目用画像及び左目用画像を、右目用発光波長だけを通過するフィルタ2を右目レンズ近傍に、左目用発光波長だけを通過するフィルタ1を左目レンズ近傍に、それぞれ有する波長選択眼鏡21で見る。
前記フィルタ1としては、富士フイルム株式会社製トランサーを用いている。
前記フィルタ2としては、富士フイルム株式会社製トランサーを用いている。
前記左目レンズ近傍のフィルタ1は、(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)>(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)×(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)>(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)×(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)>(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)の関係を満たしている。
また、左目レンズ近傍のフィルタ1は、TR≧80%、TR≦1%、TG≧80%、TG≦1%、TB≧80%、TB≦1%を満たしている。
【0054】
前記右目レンズ近傍のフィルタ2は、TR<TR、TG<TG、及びTB<TBの関係を満たしている。
右目レンズ近傍のフィルタ2は、TR≦1%、TR≧80%、TG≦1%、TG≧80%、TB≦1%、TB≧80%を満たしている。
【0055】
この第1の実施形態の立体表示システム100によれば、波長をずらした2組のRGB光源及び光変調素子を有する画像表示装置20と、波長選択眼鏡21とを組み合わせた小型の装置により、明るく色再現性の高い高品質な立体画像を観賞できる。また、この第1の実施形態では、従来のドルビー3D方式のようなプロジェクター、カラーホイール及びその駆動手段などが不要となるので、小型の装置とすることができる。
【0056】
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態に係る立体表示システム200を示す概略図である。
この図2の立体表示システム200は、図1において、第1の光源Lと第2の光源Lを入れ替え、波長選択眼鏡21の右目近傍のフィルタ1と左目近傍のフィルタ2を入れ替えた以外は、第1の実施形態と同様にして組み立てた立体表示システムである。
この第2の実施形態の立体表示システムによれば、波長をずらした2組のRGB光源及び光変調素子を有する画像表示装置20と、波長選択眼鏡21とを組み合わせた小型の装置により、明るく色再現性の高い、高品質な立体画像を観賞できる。また、この第2の実施形態では、従来のドルビー3D方式のようなプロジェクター、カラーホイール及びその駆動手段などが不要となるので、小型の装置とすることができる。
【0057】
以上、本発明の立体表示システムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差支えない。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
図1に示す構成の本発明の立体表示システム100を組み立てた。その詳細は以下の通りである。
第1の光源Lとしては、ピーク波長がB=440nm、G=530nm、R=600nmの3色からなる1組のLED光源を用いた。
第2の光源Lとしては、ピーク波長がB=480nm、G=570nm、R=660nmの3色からなる1組のLED光源を用いた。
第1の光源L及び第2の光源Lにおいて、|R−R|は60nm、|G−G|は40nm、|B−B|は40nmであり、10nm≦|R−R|、10nm≦|G−G|、及び10nm≦|B−B|の関係を満たしている。
また、ピーク波長がB、G、R、B、G、及びRの6つの光源における光源半値幅は、いずれも20nmであり、1nm以上50nm以下を満たしている。
ピーク波長がRとGの光源は、R>Gであり、R−Gは130nmである。
ピーク波長がGとBの光源は、G>Bであり、G−Bは130nmである。
ここで、光源のピーク波長及び光源半値幅は、分光測定器(USB2000、オーシャンオプティクス社製)により測定した。
【0060】
光変調素子12としては、カラーフィルタ11と、液晶層10とを有する液晶光変調素子を用いた。
カラーフィルタ11としては、富士フイルム株式会社製トランサーを用いた。
カラーフィルタ11の各画素のピーク波長がRf=450nm、Gf=530nm、及びBf=640nmであり、かつカラーフィルタの各画素のピーク透過率の50%が透過する半値幅がRfw=120nm、Gfw=120nm、及びBfw=短波側半値幅:50nmであり、カラーフィルタ11と第1の光源L及び第2の光源Lとは、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、Bf−Bfw<B<Bf+Bfw、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、及びBf−Bfw<B<Bf+Bfwの関係を満たしている。
カラーフィルタ11のピーク波長及び半値幅は、分光測定器(USB2000とハロゲン光源、いずれもオーシャンオプティクス社製)を用いて測定した。
ここで、赤色フィルタはバンドパスフィルタではなくロングパスフィルタを用いた。
短波側半値幅とは、ピーク波長に対して半値になる波長までの、波長幅を意味する。
液晶層10としては、ネマティック液晶を用いた。
【0061】
波長選択眼鏡21としては、右目用発光波長だけを通過するフィルタ2を右目レンズ近傍に、左目用発光波長だけを通過するフィルタ1を左目レンズ近傍に、それぞれ有するものを用いた。
フィルタは、ガラス基板上にTiOとSiOを真空蒸着することにより作製した。
フィルタ1としては、下記表1に示すように、ガラス上にTiOとSiOを交互に9組を積層したものを用いた。各膜の膜厚は、下記表1に示す通りである。
【0062】
【表1】

【0063】
フィルタ2としては、下記表2に示すように、ガラス上にTiOとSiOを交互に11組を積層したものを用いた。各膜の膜厚は、下記表2に示す通りである。また、フィルタ2の波長と透過率の関係を図4に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
波長選択眼鏡21の左目レンズ近傍のフィルタ1は、ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR=85%、ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR=5%、ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG=85%、ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG=5%、ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB=85%、ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB=5%であり、TR>TR、TG>TG、及びTB>TBを満たしていた。
波長選択眼鏡21の右目レンズ近傍のフィルタ1は、ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR=80%、ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR=5%、ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG=80%、ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG=5%、ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB=80%、ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB=5%であり、TR<TR、TG<TG、及びTB<TBを満たしている。
波長選択眼鏡21のフィルタの透過率は、分光測定器(USB2000とハロゲン光源、いずれもオーシャンオプティクス社製)を用いて測定した。
【0066】
(実施例2)
図2に示す構成の本発明の立体表示システム200を組み立てた。即ち、実施例1において、第1の光源Lと第2の光源Lを入れ替え、波長選択眼鏡21の右目近傍のフィルタ1と左目近傍のフィルタ2を入れ替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の立体表示システム200を組み立てた。
【0067】
(比較例1)
比較例1として、図3に示す直線偏光方式の立体表示システム(ドルビー3D方式)を用いた。
図3は、R用画像ソース30及びL用画像ソース31を交互に分割表示し、右目用及び左目用画像をカラーホイール(分光フィルター;図示せず)でRGBの波長帯域を切り替えながら、時間的に交互にホワイトスクリーン33に投影し、左目及び右目レンズの近傍に特定の発光波長だけを透過するフィルタを有し、前記左目用画像を左目のみに知覚させ、前記右目用画像を右目のみに知覚させるように構成した直線偏光眼鏡32で見ることにより、立体画像を観賞できるシステムである。
【0068】
次に、実施例1〜2及び比較例1の立体表示システムについて、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0069】
<クロストークの評価>
クロストークは、ピーク波長がBの光源を発光させ、右目用フィルタと左目用フィルタを透過した時のそれぞれの光量を分光測定器(USB2000とハロゲン光源、いずれもオーシャンオプティクス社製)で測定し、右目用フィルタと左目用フィルタとの光量比を求め、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:光量比が10/1以上(良好)
△:光量比が5/1以上、10/1未満(普通)
×:光量比が5/1未満(不良)
【0070】
<ゴーストの評価方法>
片目だけを開け、画像を観察することにより、ゴースト(右目を開けて見たときに見える左目用の画像)の有無を目視で評価し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:ゴーストが見えない
○:ゴーストがわずかに見える
△:ゴーストが見えるが気にならず、支障がないレベル
×:ゴーストが見えて気になり、文字が読めない等の支障が出るレベル
【0071】
<色再現性>
色再現性の評価について、光源波長の範囲で定義し、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:ピーク波長の最大と最小の差が200nm以上(良好)
△:ピーク波長の最大と最小の差が150nm以上、200nm未満(普通)
×:ピーク波長の最大と最小の差が150nm未満(不良)
【0072】
<斜め視認性>
波長選択眼鏡又は直線偏光眼鏡で斜め(±10°)方向から立体画像を見たときの斜め視認性の程度をゴーストの度合いで、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:ゴーストが見えない
○:ゴーストがわずかに見える
△:ゴーストが見えるが気にならず、支障がないレベル
×:ゴーストが見えて気になり、文字が読めない等の支障が出るレベル
【0073】
【表1】

表1の結果から、第1の光源と第2の光源を入れ替え、右目と左目のフィルタを入れ替えても同レベルの結果が得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の立体表示システムは、波長をずらした2組のRGB光源及び光変調素子を有する画像表示装置と、波長選択眼鏡とを組み合わせた小型の装置により、明るく色再現性の高い、高品質な立体画像を観賞することができるので、例えば3D映画、3Dプロジェクター、3Dテレビ、3Dビデオゲーム等の各種立体表示システムに幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 液晶層
11 カラーフィルタ
12 光変調素子
20 画像表示装置
21 波長選択眼鏡
30 R用映像ソース
31 L用映像ソース
32 直線偏光眼鏡
33 ホワイトスクリーン
100 立体表示システム
200 立体表示システム
300 立体表示システム
第1の光源
第2の光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーク波長がR、G、及びBである3色の光源を1組とした第1の光源と、
ピーク波長がR、G、及びBである3色の光源を1組とした第2の光源と、
ピーク波長がRf、Gf、及びBfであり、かつピーク透過率の50%が透過する半値幅がRfw、Gfw、及びBfwである3色の画素を含むカラーフィルタと、液晶層とを有し、前記第1及び第2の光源を交互に発光させた光を変調して左目用画像及び右目用画像を形成する光変調素子と、を有する画像表示装置と、
左目レンズ及び右目レンズの近傍に特定の発光波長の光だけを透過するフィルタを有し、前記左目用画像を左目のみに知覚させ、前記右目用画像を右目のみに知覚させるように構成した波長選択眼鏡と、を組み合わせてなり、
前記波長選択眼鏡を通して前記左目用及び前記右目用画像を観ることにより1つの立体画像を見ることができる立体表示システムであって、
前記第1の光源及び前記第2の光源が、10nm≦|R−R|、10nm≦|G−G|、及び10nm≦|B−B|の関係を満たし、
前記カラーフィルタと前記第1及び第2の光源とが、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、Bf−Bfw<B<Bf+Bfw、Rf−Rfw<R<Rf+Rfw、Gf−Gfw<G<Gf+Gfw、及びBf−Bfw<B<Bf+Bfwの関係を満たし、
前記左目レンズ近傍のフィルタが、(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)>(ピーク波長がRの光源からの光の透過率TR)、(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)>(ピーク波長がGの光源からの光の透過率TG)、及び(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)>(ピーク波長がBの光源からの光の透過率TB)の関係を満たし、
前記右目レンズ近傍のフィルタが、TR<TR、TG<TG、及びTB<TBの関係を満たすことを特徴とする立体表示システム。
【請求項2】
ピーク波長がR、G、B、R、G、及びBの6つの光源における光源半値幅は、いずれも1nm以上50nm以下である請求項1に記載の立体表示システム。
【請求項3】
ピーク波長RとGの光源が、R>Gであり、R−G>10nmを満たし、
ピーク波長GとBの光源が、G>Bであり、G−B>10nmを満たす請求項1から2のいずれかに記載の立体表示システム。
【請求項4】
左目レンズ近傍のフィルタが、TR≧50%、TR≦10%、TG≧50%、TG≦10%、TB≧50%、TB≦10%であり、
右目レンズ近傍のフィルタが、TR≦10%、TR≧50%、TG≦10%、TG≧50%、TB≦10%、TB≧50%である請求項1から3のいずれかに記載の立体表示システム。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−42613(P2012−42613A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182476(P2010−182476)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】