説明

端末検索装置、端末検索方法、及び、プログラム

【課題】移動端末と端末検索装置との距離の変化を容易に安定して測定できる端末検索装置等を提供する。
【解決手段】端末検索装置100は、移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し取得する時刻取得部161と、時刻を計時し、移動端末の時刻を取得した時刻を、端末検索装置の時刻として取得する時刻計時部162と、時刻と時刻との差分に基づいて、移動端末との距離の変化を算出する距離算出部163と、距離の変化を表示する表示部140と、を備える。時刻取得部161は、移動端末の時刻を要求し取得した後、第2の移動端末の時刻を取得する。また、時刻計時部162は、第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2の端末検索装置の時刻として取得する。また、距離算出部163は、移動端末の時刻と端末検索装置の時刻との差分と第2の移動端末の時刻と第2の端末検索装置の時刻との差分とに基づいて、移動端末との距離の変化を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末検索装置、端末検索方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線携帯端末等の移動端末の普及及び小型化に伴い、ユーザが移動端末を持ち歩くことにより、置き忘れ等による移動端末の紛失が急増している。そこで、紛失した移動端末を検索(捜索)するために、移動端末と通信を行う端末検索装置を用いて、移動端末から受信した信号の電波の電界強度を解析することにより、移動端末と端末検索装置との距離を算出(測定)する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−311019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、移動端末を検索するために電界強度を用いており、当該電界強度は、移動端末がある場所、移動端末と端末検索装置との間にある遮蔽物等の周囲の環境によって、大きく変化してしまうため、移動端末と端末検索装置との距離の変化を安定して測定することが困難な場合があった。このため、移動端末と端末検索装置との距離の変化を容易に安定して測定するための新たな方法が求められている。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、移動端末と端末検索装置との距離の変化を容易に安定して測定できる端末検索装置、端末検索方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る端末検索装置は、
移動端末に対して、当該移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し、当該移動端末の時刻を取得する時刻取得部と、
時刻を計時し、前記移動端末の時刻を取得した時刻を、端末検索装置の時刻として取得する時刻計時部と、
時刻と時刻との差分に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する距離算出部と、
前記算出された距離の変化を表示する表示部と、を備え、
前記時刻取得部は、前記移動端末の時刻を要求し取得した後、前記移動端末が計時する第2の移動端末の時刻を取得し、
前記時刻計時部は、前記第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2の端末検索装置の時刻として取得し、
前記距離算出部は、前記移動端末の時刻と前記端末検索装置の時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2の端末検索装置の時刻との差分と、に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する、
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の観点に係る端末検索方法は、
移動端末に対して、当該移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し、当該移動端末の時刻を取得する時刻取得工程と、
時刻を計時し、前記移動端末の時刻を取得した時刻を、端末検索装置の時刻として取得する時刻計時工程と、
時刻と時刻との差分に基づいて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化を算出する距離算出工程と、
前記算出された距離の変化を表示する表示工程と、を備え、
前記時刻取得工程では、前記移動端末の時刻を要求し取得した後、前記移動端末が計時する第2の移動端末の時刻を取得し、
前記時刻計時工程では、前記第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2の端末検索装置の時刻として取得し、
前記距離算出工程では、前記移動端末の時刻と前記端末検索装置の時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2の端末検索装置の時刻との差分と、に基づいて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化を算出する、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
移動端末に対して、当該移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し、当該移動端末の時刻を取得する時刻取得部、
時刻を計時し、前記移動端末の時刻を取得した時刻を、コンピュータの時刻として取得する時刻計時部、
時刻と時刻との差分に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する距離算出部、
前記算出された距離の変化を表示する表示部、として機能させ、
前記時刻取得部は、前記移動端末の時刻を要求し取得した後、前記移動端末が計時する第2の移動端末の時刻を取得し、
前記時刻計時部は、前記第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2のコンピュータの時刻として取得し、
前記距離算出部は、前記移動端末の時刻と前記コンピュータの時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2のコンピュータの時刻との差分と、に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動端末と端末検索装置との距離の変化を容易に安定して測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る端末検索装置の構成を示すブロック図である。
【図2】端末検索装置にて行われる通信の概略を示す図である。
【図3】距離算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】移動端末と端末検索装置との間における信号のやり取りを説明するための図である。
【図5】移動端末の時刻と端末検索装置の時刻の例を示す図である。
【図6】差分時刻の例を示す図である。
【図7】移動端末と端末検索装置との距離の変化表示の例を示す図である。
【図8】移動端末と端末検索装置との距離の変化表示の変形例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る端末検索装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施形態2に係る距離算出処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下に本発明の実施形態を説明する。各種のコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯端末機などの情報処理装置において本発明を適用することができる。すなわち、以下に記載する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0012】
本発明の実施形態1に係る端末検索装置100は、図1に示すように、通信部110、時計部120、操作部130、表示部140、記憶部150、制御部160から構成される。
【0013】
通信部110は、例えば、無線アクセスに利用されるアンテナ、通信用の無線通信回路等から構成され、所定の通信プロトコルに沿って、アンテナを介して、基地局と端末検索装置100との間で無線通信を行う。通信部110が、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access)等のセルラー方式移動通信システムを介しての通信を行うことにより、端末検索装置100の基本機能の1つであるデータ通信が実現される。
【0014】
図2は、端末検索装置100にて行われる通信の概略を示す図である。同図に示すように、端末検索装置100が備える通信部110は、任意の基地局との間で通信経路を確立し、通信網を介して、移動端末200との間で通信を行う。これにより、端末検索装置100と移動端末200との間でのデータ通信が実現される。
【0015】
移動端末200は、端末検索装置100によって、当該移動端末200が存在する位置の検索が行われる被検索装置である。移動端末200は、CDMA等のセルラー方式移動通信システムを介しての通信を行うことができ、また、時刻を計時する時計部を備える、典型的な携帯電話機である。移動端末200は、端末検索装置100との間でデータ通信を行い、端末検索装置100からの要求に応じて、端末検索装置100に対してデータ(具体的には、時刻)を送信する。移動端末200との間でデータ通信が行われる端末検索装置100を所持するユーザが移動すると、端末検索装置100と移動端末200との距離が変化する。端末検索装置100には、データ通信によって得られたデータに基づいて算出される端末検索装置100と移動端末200との距離の変化が表示され、ユーザは、当該表示された距離の変化を視認しながら、移動端末200がある位置(場所)の検索(探索)を行う。
【0016】
図1に戻って、時計部120は、例えば、水晶振動子や発振回路等から構成され、日時(年月日時分秒及び曜日を含む)を計時(カウント)することにより、現在時刻を提供する。
【0017】
操作部130は、ユーザからの指示を受け付けるための各種のキー、ボタン若しくはタッチパネル等を備え、制御部160によって処理される各種の指示やデータを受け付ける。
【0018】
表示部140は、例えば、ドットマトリクスタイプのLCD(Liquid Crystal Display)、もしくは、有機ELパネル、及び、ドライバ回路等から構成され、任意の画像を適宜表示する。
【0019】
記憶部150は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)等から構成され、制御部160が実行する動作プログラム(アプリケーション)の他、各処理の実行に必要なデータや各処理の実行によって生成されたデータなどを格納する。記憶部150に格納される動作プログラムは、端末検索装置100の基本動作を司る任意の基本プログラム(すなわち、OS(Operating System))などの他に、後述する各処理を実現するための動作プログラム(アプリケーションプログラムなど)が格納されている。後述する端末検索装置100による処理は、制御部160がこれらの動作プログラムを実行することで実現される。また、記憶部150は、移動端末200から送信されたデータ、制御部160が取得・算出したデータ等を記憶する。
【0020】
制御部160は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部150に格納された動作プログラムに従って、端末検索装置100全体の動作を制御する。記憶部150に格納されている動作プログラムを実行することで、制御部160は、時刻取得部161、時刻計時部161、距離算出部163などとして機能する。以下に制御部160の各構成要素について説明する。
【0021】
時刻取得部161は、通信部110を介して、移動端末200に対して、当該移動端末200が計時する移動端末の時刻を、端末検索装置200に対して送信するよう要求する。そして、時刻取得部161は、移動端末200が送信した移動端末の時刻を取得する。ここで、移動端末の時刻とは、移動端末200が計時する現在時刻であり、年月日、時分秒に加えて、ナノ秒程度の精度の時刻情報を含んでいる。
【0022】
時刻計時部162は、時計部120を機能させることにより現在時刻を計時し、時刻取得部161が移動端末の時刻を取得した時刻を、端末検索装置の時刻として取得する。端末検索装置の時刻は、移動端末の時刻と同様に、年月日、時分秒に加えて、ナノ秒程度の精度の時刻情報を含んでいる。
【0023】
距離算出部163は、時刻と時刻との差分に基づいて、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化を算出する。距離の変化を算出する方法については、後述する。
【0024】
次に、端末検索装置100の動作について説明する。図3は、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化を算出するための距離算出処理を説明するためのフローチャートである。以下、図面を参照して説明する。
【0025】
端末検索装置100は、ユーザに対して操作入力を行うように促して、当該ユーザからの命令(要求)を受け付けることにより、距離算出処理を開始する。
【0026】
まず、移動端末の時刻を取得するために、制御部160は、操作部130を制御して、移動端末200に対して移動端末の時刻の送信を促すユーザからの要求があるか否かを判定する(ステップS101)。
【0027】
移動端末の時刻を取得するための要求がない場合(ステップS101;No)、所定時間待機した後、制御部160は、移動端末の時刻を取得するための要求があるか否かを再び判定する(ステップS101)。
【0028】
一方、移動端末の時刻を取得するための要求がある場合(ステップS101;Yes)、制御部160は、第nの移動端末の時刻を取得するために初期値(n=1(n:整数値))を設定し(ステップS102)、時刻取得部161及び通信部110を制御して、移動端末の時刻の送信を促す要求を、移動端末200に送信する(ステップS103)。
【0029】
次に、制御部160は、時刻取得部161及び通信部110を制御して、移動端末200が送信した第nの移動端末の時刻を取得したか否かを判定する(ステップS104)。ここで、後述のステップにおいて、nをインクリメントするステップがある。そのため、移動端末200が端末検索装置100に対してはじめに送信した移動端末の時刻を、第1の移動端末の時刻とし、端末検索装置100が第1の移動端末の時刻を取得した後、移動端末200が再び送信した移動端末の時刻を、第2の移動端末の時刻とし、移動端末200がさらに送信した移動端末の時刻を、第3の移動端末の時刻、第4の移動端末の時刻、・・・、とする。ここでは、n=1の初期値であるため、制御部160は、まず、第1の移動端末の時刻を取得したか否かを判定する(ステップS104)。
【0030】
第nの移動端末の時刻(ここでは、n=1)を取得していない場合(ステップS104;No)、所定時間待機した後、制御部160は、第1の移動端末の時刻を取得したか否かを再び判定する(ステップS104)。
【0031】
一方、第nの移動端末の時刻(ここでは、n=1)を取得した場合(ステップS104;Yes)、制御部160は、時刻計時部162及び時計部120を制御して、第nの端末検索装置の時刻を取得する(ステップS105)。ここで、後述のステップにおいて、nをインクリメントするステップがある。そのため、端末検索装置100が第1の移動端末の時刻を取得した後、はじめに取得する端末検索装置の時刻を、第1の端末検索装置の時刻とし、端末検索装置100が第2の移動端末の時刻を取得した後、取得する端末検索装置の時刻を、第2の端末検索装置の時刻とし、端末検索装置100がさらに取得する端末検索装置の時刻を、第3の移動端末の時刻、第4の移動端末の時刻、・・・、とする。ここでは、n=1の初期値であるため、制御部160は、まず、第1の移動端末の時刻を取得した時刻を、第1の端末検索装置の時刻として取得する(ステップS105)。
【0032】
ここで、端末検索装置100と移動端末200との間における信号(命令)のやり取りについて、図4を参照して説明する。まず、端末検索装置100は、移動端末の時刻を要求する命令を移動端末200に対して送信する(ステップS103)。次に、移動端末200は、時刻要求命令を受信すると、移動端末200が備える時計部が計時する現在時刻を取得し、当該現在時刻を移動端末の時刻(ここでは、第1の移動端末の時刻)として、端末検索装置100に対して送信する。次に、端末検索装置100は、移動端末200が送信した、第1の移動端末の時刻を受信する(ステップS104)。そして、端末検索装置100は、第1の移動端末の時刻を受信した後、第1の移動端末を受信した時刻を、第1の端末検索装置の時刻として取得する(ステップS105)。
【0033】
図3に戻って、制御部160は、距離算出部163を制御して、第nの移動端末の時刻と第nの端末検索装置の時刻との差分である、第nの差分時刻を算出する(ステップS106)。制御部160は、第nの差分時刻を、第nの移動端末の時刻−第nの端末検索装置の時刻、として算出する。ここでは、n=1であるため、制御部160は、第1の差分時刻=(第1の移動端末の時刻−第1の端末検索装置の時刻)として、第1の差分時刻を算出する。そして、制御部160は、図5に示すように、移動端末の時刻、端末検索装置の時刻、差分時刻を記憶部150に記憶させる。
【0034】
なお、移動端末の時刻と端末検索装置の時刻との差分時刻は、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化に応じて変化する。そして、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化を数メートル単位で表示するためには、差分時刻がナノ秒(ns)程度の精度が必要となる。ここでは、差分時刻がナノ秒程度の精度があるものとして説明するが、差分時刻の精度は、マイクロ秒(μs)、ピコ秒(ps)等、任意である。
【0035】
次に、制御部160は、第nの差分時刻と基準となる第1の差分時刻とがあるか否かを判定する(ステップS107)。最初の段階ではnがまだインクリメントされておらず、n=1であり、第nの差分時刻(ここでは、第1の差分時刻)と基準となる第1の差分時刻との2つの差分時刻がないため、当該ステップにおいて、制御部160は、「No」と判定する。
【0036】
第nの差分時刻と第1の差分時刻との2つの差分時刻がない場合(ステップS107;No)、制御部160は、nをインクリメントして(ステップS108)、移動端末200が送信した第nの移動端末の時刻(ここでは、n=2)を取得したか否かを判定する(ステップS104)。
【0037】
次に、制御部160は、第2の移動端末の時刻に対応する第2の端末検索装置の時刻を取得し(ステップS105)、第2の移動端末の時刻と第2の端末検索装置の時刻との差分である第2の差分時刻を算出する(ステップS106)。そして、制御部160は、第nの差分時刻と基準となる第1の差分時刻とがあるか否かを再び判定する(ステップS107)。この時点においてnは、ステップS108においてインクリメントされてn=2となっており、第2の差分時刻と第1の差分時刻との2つの差分時刻が存在する。このため、制御部160は、当該ステップにおいて、「Yes」と判定する。二回目以降の当該ステップの処理においては、n≧2であるため、制御部160は、「Yes」と判定する。
【0038】
第nの差分時刻と第1の差分時刻との2つの差分時刻がある場合(ステップS107;Yes)、制御部160は、距離算出部163及び表示部140を制御して、第nの差分時刻と基準となる第1の差分時刻との差分である距離算出差分時刻(第nの距離算出差分時刻)を算出し、当該距離算出差分時刻に基づいて、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化を表示する(ステップS109)。例えば、図6に示すように、第1の差分時刻=100ns、第2の差分時刻=60nsの場合、第2の距離算出差分時刻=(第2の差分時刻−第1の差分時刻)=(60ns−100ns)=−40nsとなる。また、基地局を介して、端末検索装置100と移動端末200との間で行われる無線通信において、電波伝達速度≒3.0×10m/sである。このため、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化=距離算出差分時刻×電波伝達速度=40ns×3.0×10m/s=−12mとなる。そして、図7に示すように、制御部160は、表示部140を制御して、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化を「−12m」と表示する。ここで、距離の変化がマイナスで表示されている。当該距離の変化は、端末検索装置100と移動端末200との距離ではなく、あくまで距離の変化である。端末検索装置100が計時する時刻と移動端末200が計時する時刻との間にずれ(差)がある場合、当該時刻のずれの値によって、端末検索装置100と移動端末200との距離が同じであっても、表示される距離の変化は変わってくる。そして、当該距離の変化が最小となるときが、端末検索装置100と移動端末200との距離が最小となる。このため、時刻のずれの値によって、距離の変化の最小値が、例えば、「+10m」、「0m」、「−5m」と異なることとなる。端末検索装置100を所持するユーザは、移動しながら当該距離の変化が最小となる位置(場所)を探索することにより、移動端末200の位置(場所)の検索(探索)を行う。
【0039】
次に、制御部160は、操作部130を制御して、移動端末200に対して、移動端末の時刻の取得を停止するための要求があるか否かを判定する(ステップS110)。
【0040】
移動端末の時刻の取得を停止するための要求がない場合(ステップS110;No)、制御部160は、nをインクリメントして(ステップS108)、移動端末200が送信した第nの移動端末の時刻を取得したか否かを判定する(ステップS104)。制御部160は、移動端末の時刻の取得を停止するための要求があるまで、第3の移動端末の時刻、第3の端末検索装置の時刻、第4の移動端末の時刻、第4の端末検索装置の時刻、・・・、と時刻を取得して、それぞれの差分時刻を算出する。そして、制御部160は、それぞれの差分時刻から、それぞれの距離算出差分時刻(=第nの差分時刻−第1の差分時刻)を算出し、当該距離算出差分時刻に基づいて、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化を表示する。例えば、制御部160は、表示部140を制御して、図8に示すように、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化を複数表示することにより、距離の変化の履歴を表示することもできる。これにより、ユーザは、端末検索装置100が移動端末200に近づいているか否かを明確に把握することができる。ステップS104〜S110が繰り返されることにより、複数の距離算出差分時刻が算出され、当該距離算出差分時刻に基づいて算出された距離の変化が表示される。
【0041】
一方、移動端末の時刻の取得を停止するための要求がある場合(ステップS110;Yes)、移動端末の時刻の送信停止を促す停止要求を移動端末200に対して送信して、本処理は終了する。
【0042】
以上の処理により、置き忘れ等により紛失した移動端末を、容易に検索(探索)することができる。また、時刻差と電波伝達速度とを用いているため、移動端末と端末検索装置との距離の変化を容易に安定して算出(測定)することができる。
【0043】
(実施形態2)
実施形態1に係る端末検索装置100では、ユーザからの停止要求を受け付けて、移動端末の時刻等の取得を停止する場合について説明した。本実施形態では、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化に応じて、移動端末の時刻等の取得を自動的に停止する場合について説明する。なお、実施形態1に係る端末検索装置100と同様の構成、動作については、説明を適宜省略する。
【0044】
本発明の実施形態2に係る端末検索装置101は、図9に示すように、通信部110、時計部120、操作部130、表示部140、記憶部150、制御部160から構成される。そして、制御部160は、時刻取得部161、時刻計時部162、距離算出部163、距離判定部164などとして機能する。距離判定部164以外の構成は、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0045】
距離判定部164は、距離算出部163が算出した、端末検索装置101と移動端末200との距離の変化が、所定の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、所定の閾値とは、例えば、サンプルとして取得した複数の距離の変化の最低値、ユーザがあらかじめ設定した値、前回設定された値等、任意の値である。距離判定部164は、端末検索装置101と移動端末200との距離の変化と所定の閾値とを比較することにより判定を行う。そして、時刻取得部161は、端末検索装置101と移動端末200との距離の変化が所定の閾値以下になるまで、移動端末の時刻を繰り返し取得する。一方、端末検索装置101と移動端末200との距離の変化が所定の閾値以下となった場合、時刻取得部161は、移動端末の時刻の送信を停止するための要求を、移動端末200に対して送信することにより、移動端末の時刻の取得を中断する。
【0046】
次に、本実施形態の端末検索装置101の動作について説明する。図10は、実施形態2に係る、端末検索装置101と移動端末200との距離の変化を算出するための距離算出処理を説明するためのフローチャートである。以下、図面を参照して説明する。なお、実施形態2に係る距離算出処理におけるステップS101〜S109の処理は、実施形態1に係る距離算出処理と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
ステップS109において、端末検索装置101と移動端末200との距離の変化が表示された後、制御部160は、距離判定部164を制御して、当該距離の変化が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS201)。例えば、閾値が−18mであり、端末検索装置101と移動端末200との距離の変化が、図8に示すように、−12m→−15m→−21mと変化してきた場合で説明する。距離の変化が−12m及−15mの場合、制御部160は、当該距離の変化が閾値以下でないと判定し(ステップS201;No)、nをインクリメントして(ステップS108)、移動端末の時刻を取得し続ける(ステップS104)。そして、距離の変化が−21mとなった場合、制御部160は、当該距離の変化が閾値以下になったと判定し(ステップS201;Yes)、移動端末の時刻の送信停止を促す停止要求を移動端末200に対して送信して、本処理は終了する。
【0048】
以上の処理により、端末検索装置101と移動端末200との距離の変化が所定の閾値以下となると、移動端末200に対して停止要求が自動的に送信されるため、ユーザの操作入力の負担を軽減することができる。
【0049】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0050】
通信部110は、例えば、IEEE(the Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n規格等の無線LAN(Local Area Network)、赤外線通信、RFID、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式により、基地局又は移動端末200との間で通信を行うこともできる。
【0051】
また、通信部110は、端末検索装置100が計時する時刻を、移動端末200に対してあらかじめ送信しておく、また、移動端末200が計時する時刻を、あらかじめ受信しておくこともできる。そして、端末検索装置100が計時する時刻と移動端末200が計時する時刻とを同期させることもできる。
【0052】
端末検索装置100が備える時計部120、及び、移動端末200が備える時計部は、通信網を介して、インターネット時刻と時計部が計時する時刻とを同期させることもできる。
【0053】
端末検索装置100と移動端末200との距離の変化をユーザに表示(提示)する方法は任意である。例えば、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化が大きいほど、大きな音声が出力され、端末検索装置100と移動端末200との距離の変化が小さいほど、小さな音声が出力されるようにしてもよい。
【0054】
時刻を計時し、要求に基づいて、他の装置(端末)との間で時刻情報の送受信できればよいため、端末検索装置100と移動端末200とを同一の構成とすることもできる。
【0055】
その他、前記のハードウエェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0056】
通信部110、時計部120、操作部130、表示部140、記憶部150、制御部160などから構成される端末検索装置100、101の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する端末検索装置100、101を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで端末検索装置100、101を構成してもよい。
【0057】
また、端末検索装置100、101の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0058】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS; Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0059】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0060】
(付記1)
移動端末に対して、当該移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し、当該移動端末の時刻を取得する時刻取得部と、
時刻を計時し、前記移動端末の時刻を取得した時刻を、端末検索装置の時刻として取得する時刻計時部と、
時刻と時刻との差分に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する距離算出部と、
前記算出された距離の変化を表示する表示部と、を備え、
前記時刻取得部は、前記移動端末の時刻を要求し取得した後、前記移動端末が計時する第2の移動端末の時刻を取得し、
前記時刻計時部は、前記第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2の端末検索装置の時刻として取得し、
前記距離算出部は、前記移動端末の時刻と前記端末検索装置の時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2の端末検索装置の時刻との差分と、に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する、
ことを特徴とする端末検索装置。
【0061】
(付記2)
前記距離算出部は、前記移動端末の時刻と前記端末検索装置の時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2の端末検索装置の時刻との差分と、から距離算出差分時刻を算出し、当該距離算出差分時刻に電波伝達速度を乗じて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化を算出する、
ことを特徴とする付記1に記載の端末検索装置。
【0062】
(付記3)
前記時刻取得部は、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化が所定の閾値以下になるまで、移動端末の時刻を繰り返し取得し、
前記時刻計時部は、前記繰り返し取得された複数の移動端末の時刻に対応する、複数の端末検索装置の時刻を取得し、
前記距離算出部は、前記複数の移動端末の時刻と、前記複数の端末検索装置の時刻との、それぞれ差分に基づいて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化をそれぞれ算出し、
前記表示部は、前記算出された距離の変化をそれぞれ表示する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の端末検索装置。
【0063】
(付記4)
前記時刻取得部は、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化が所定の閾値以下となった場合、前記移動端末からの時刻の取得を中断する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の端末検索装置。
【0064】
(付記5)
移動端末に対して、当該移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し、当該移動端末の時刻を取得する時刻取得工程と、
時刻を計時し、前記移動端末の時刻を取得した時刻を、端末検索装置の時刻として取得する時刻計時工程と、
時刻と時刻との差分に基づいて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化を算出する距離算出工程と、
前記算出された距離の変化を表示する表示工程と、を備え、
前記時刻取得工程では、前記移動端末の時刻を要求し取得した後、前記移動端末が計時する第2の移動端末の時刻を取得し、
前記時刻計時工程では、前記第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2の端末検索装置の時刻として取得し、
前記距離算出工程では、前記移動端末の時刻と前記端末検索装置の時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2の端末検索装置の時刻との差分と、に基づいて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化を算出する、
ことを特徴とする端末検索方法。
【0065】
(付記6)
コンピュータを、
移動端末に対して、当該移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し、当該移動端末の時刻を取得する時刻取得部、
時刻を計時し、前記移動端末の時刻を取得した時刻を、コンピュータの時刻として取得する時刻計時部、
時刻と時刻との差分に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する距離算出部、
前記算出された距離の変化を表示する表示部、として機能させ、
前記時刻取得部は、前記移動端末の時刻を要求し取得した後、前記移動端末が計時する第2の移動端末の時刻を取得し、
前記時刻計時部は、前記第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2のコンピュータの時刻として取得し、
前記距離算出部は、前記移動端末の時刻と前記コンピュータの時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2のコンピュータの時刻との差分と、に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する、
ことを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0066】
100、101 端末検索装置
110 通信部
120 時計部
130 操作部
140 表示部
150 記憶部
160 制御部
161 時刻取得部
162 時刻計時部
163 距離算出部
164 距離判定部
200 移動端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末に対して、当該移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し、当該移動端末の時刻を取得する時刻取得部と、
時刻を計時し、前記移動端末の時刻を取得した時刻を、端末検索装置の時刻として取得する時刻計時部と、
時刻と時刻との差分に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する距離算出部と、
前記算出された距離の変化を表示する表示部と、を備え、
前記時刻取得部は、前記移動端末の時刻を要求し取得した後、前記移動端末が計時する第2の移動端末の時刻を取得し、
前記時刻計時部は、前記第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2の端末検索装置の時刻として取得し、
前記距離算出部は、前記移動端末の時刻と前記端末検索装置の時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2の端末検索装置の時刻との差分と、に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する、
ことを特徴とする端末検索装置。
【請求項2】
前記距離算出部は、前記移動端末の時刻と前記端末検索装置の時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2の端末検索装置の時刻との差分と、から距離算出差分時刻を算出し、当該距離算出差分時刻に電波伝達速度を乗じて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末検索装置。
【請求項3】
前記時刻取得部は、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化が所定の閾値以下になるまで、移動端末の時刻を繰り返し取得し、
前記時刻計時部は、前記繰り返し取得された複数の移動端末の時刻に対応する、複数の端末検索装置の時刻を取得し、
前記距離算出部は、前記複数の移動端末の時刻と、前記複数の端末検索装置の時刻との、それぞれ差分に基づいて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化をそれぞれ算出し、
前記表示部は、前記算出された距離の変化をそれぞれ表示する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末検索装置。
【請求項4】
前記時刻取得部は、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化が所定の閾値以下となった場合、前記移動端末からの時刻の取得を中断する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末検索装置。
【請求項5】
移動端末に対して、当該移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し、当該移動端末の時刻を取得する時刻取得工程と、
時刻を計時し、前記移動端末の時刻を取得した時刻を、端末検索装置の時刻として取得する時刻計時工程と、
時刻と時刻との差分に基づいて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化を算出する距離算出工程と、
前記算出された距離の変化を表示する表示工程と、を備え、
前記時刻取得工程では、前記移動端末の時刻を要求し取得した後、前記移動端末が計時する第2の移動端末の時刻を取得し、
前記時刻計時工程では、前記第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2の端末検索装置の時刻として取得し、
前記距離算出工程では、前記移動端末の時刻と前記端末検索装置の時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2の端末検索装置の時刻との差分と、に基づいて、前記移動端末と前記端末検索装置との距離の変化を算出する、
ことを特徴とする端末検索方法。
【請求項6】
コンピュータを、
移動端末に対して、当該移動端末が計時する移動端末の時刻を要求し、当該移動端末の時刻を取得する時刻取得部、
時刻を計時し、前記移動端末の時刻を取得した時刻を、コンピュータの時刻として取得する時刻計時部、
時刻と時刻との差分に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する距離算出部、
前記算出された距離の変化を表示する表示部、として機能させ、
前記時刻取得部は、前記移動端末の時刻を要求し取得した後、前記移動端末が計時する第2の移動端末の時刻を取得し、
前記時刻計時部は、前記第2の移動端末の時刻を取得した時刻を、第2のコンピュータの時刻として取得し、
前記距離算出部は、前記移動端末の時刻と前記コンピュータの時刻との差分と、前記第2の移動端末の時刻と前記第2のコンピュータの時刻との差分と、に基づいて、前記移動端末との距離の変化を算出する、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−175404(P2012−175404A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35472(P2011−35472)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】