説明

端末発信制御装置

【課題】サービスを受けられる発信元通信キャリアを選択して、安価な料金で発信することのできる端末発信制御装置を提供する。
【解決手段】発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部と備え、選択した前記発信元端末を制御して前記発信先端末に発信する端末発信制御装置において、前記発信先端末の通信キャリアにかかる発信先通信キャリア情報と、前記複数の発信元端末の通信キャリアにかかる発信元通信キャリア情報とを取得する通信キャリア情報取得部を備え、前記発信元端末選択部は、取得した前記発信先通信キャリア情報と前記発信元通信キャリア情報とを対比し、前記発信先端末と通信を行う際の利用料金が最も安価な前記発信元端末を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末発信制御装置に関し、特に、接続された複数台の端末から1台の端末を選択して発信を行う端末発信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機の著しい普及乃至高機能化に伴い、歩行中に携帯電話機を使用するだけでなく、車両による移動中やパソコンでの作業中に携帯電話機を使用する状況が増加している。しかしながら、特に車両による移動中にドライバが携帯電話機を使用することは、安全面において非常に問題となり、法令により禁止事項とされている。
【0003】
このような状況に対応するため、ハンズフリーの状態で通話を行うことのできるハンズフリー通話装置が開発されている。例えば、下記特許文献1(特開2003−102058号公報)には、車両に搭載可能な携帯端末管理システムが開示されている。この携帯端末管理システムでは、車両に搭載された携帯端末管理システムと携帯電話機とを無線接続し、携帯端末管理システムのマイク、スピーカを用いて、ハンズフリーの状態で外部と通話を行うことができる。
【0004】
ところで、上記のハンズフリー通話装置を利用して、例えば、会社から支給される携帯電話機及び個人所有の携帯電話機の複数の携帯電話機を所持するユーザが、使用目的に応じてこれらの携帯電話機を使い分けたい場合がある。また、車両に複数の乗員が乗車しているときのように、ユーザ毎に携帯電話機を選択して通話を行いたい場合もある。
【0005】
このような要望に対応すべく、複数台の携帯電話機を登録しておき、使用目的や発信先に応じて携帯電話機を切り替え可能としたハンズフリー通話装置がある。例えば、下記特許文献2(特開2007−266755号公報)に開示されたハンズフリー通話装置では、発信先電話番号と、この発信先電話番号を使用する携帯電話機との対応関係を携帯電話機毎に設定した電話帳データを記憶しており、ユーザが発信先電話番号を入力すると、対応する携帯電話機を電話帳データから選択し自動的に切り替えて通話を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−102058号公報(段落[0007]〜[0010])
【特許文献2】特開2007−266755号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、携帯電話機では、発信元の携帯電話機が加入している電話通信事業者(発信元通信キャリア)と、発信先の携帯電話機が加入している携帯電話サービスを提供する携帯電話通信事業者(発信先通信キャリア)とが同じ場合、利用する時間帯や家族割引等により利用料金を安くするサービスを提供しているものがある。そのため、ユーザとしては、これらのサービスを享受できることが望ましい。
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたハンズフリー通話装置では、携帯電話機の個別の電話帳データによって発信先電話番号と使用する携帯電話機との対応関係が予め決められているため、利用料金のサービスを享受できない場合がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、サービスを受けられる発信元通信キャリアに加入している携帯電話機を選択して、安価な料金で発信することのできる端末発信制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部と備え、選択した前記発信元端末を制御して前記発信先端末に発信する端末発信制御装置において、前記発信先端末の通信キャリアにかかる発信先通信キャリア情報と、前記複数の発信元端末の通信キャリアにかかる発信元通信キャリア情報とを取得する通信キャリア情報取得部を備え、前記発信元端末選択部は、取得した前記発信先通信キャリア情報と前記発信元通信キャリア情報とを対比し、前記発信先端末と通信を行う際の利用料金が最も安価となる前記発信元端末を選択することを特徴とする。
【0011】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1記載の端末発信制御装置において、前記発信先通信キャリア情報及び前記発信元通信キャリア情報を記憶する通信キャリア情報記憶部を備え、前記通信キャリア情報取得部は、前記通信キャリア情報記憶部から、前記発信先通信キャリア情報及び前記発信元通信キャリア情報を取得することを特徴とする。
【0012】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または2記載の端末発信制御装置において、前記発信元選択部は、前記通信キャリアが前記発信先端末と同一である前記発信元端末を選択することを特徴とする。
【0013】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項3記載の端末発信制御装置において、前記発信元端末選択部は、前記発信先端末と割引対象の関係にある前記発信元端末を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる発明においては、発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部と備え、選択した前記発信元端末を制御して前記発信先端末に発信する端末発信制御装置において、前記発信先端末の通信キャリアにかかる発信先通信キャリア情報と、前記複数の発信元端末の通信キャリアにかかる発信元通信キャリア情報とを取得する通信キャリア情報取得部を備え、前記発信元端末選択部は、取得した前記発信先通信キャリア情報と前記発信元通信キャリア情報とを対比し、前記発信先端末と通信を行う際の利用料金が最も安価となる前記発信元端末を選択する。
【0015】
かかる構成によれば、発信先通信キャリアとの関係でサービスを受けられる発信元通信キャリアを選択することにより、通信キャリアが提供するサービスを有効に利用して、安価な料金で発信することができるようになる。
【0016】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記発信先通信キャリア情報及び前記発信元通信キャリア情報を通信キャリア情報記憶部に記憶させておくことにより、前記通信キャリア情報記憶部から情報を取得して、安価な料金で発信できる発信元端末を選択することができるようになる。
【0017】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または2にかかる発明において、前記通信キャリアが前記発信先端末と同一である前記発信元端末を選択することにより、安価な料金で発信することができるようになる。
【0018】
請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかる発明において、前記発信先端末と割引対象の関係にある前記発信元端末を選択することにより、安価な料金で発信することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置を用いたハンズフリー通話システムの概略説明図である。
【図2】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置の構成ブロック図である。
【図3】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に接続される携帯電話機の構成ブロック図である。
【図4】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に登録される携帯電話機のアドレス帳の説明図である。
【図5】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に登録される携帯電話機の登録情報の説明図である。
【図6】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置におけるハンズフリー通話のフローチャートである。
【図7】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置におけるメニュー画面の説明図である。
【図8】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に登録されている携帯電話機の登録画面の説明図である。
【図9】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置における端末選択画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための端末発信制御装置を例示するものであって、本発明をこの端末発信制御装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の端末発信制御装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の実施例にかかる端末発信制御装置を用いたハンズフリー通話システムの概略説明図である。ハンズフリー通話システムは、車両10に搭載されるナビゲーション装置12(端末発信制御装置)と、ナビゲーション装置12を介して、外部の携帯電話機14(発信先端末)と通信可能な複数台の携帯電話機16a、16b(発信元端末)とから構成される。なお、携帯電話機16a、16bは、車両10のドライバや同乗者の端末であり、車両10内において同乗者に携帯され、あるいは、設置台などに設置される携帯電話である。
【0022】
図2は、ナビゲーション装置12の構成ブロック図であり、図3は、ナビゲーション装置12に接続可能な携帯電話機16a、16bの構成ブロック図である。
【0023】
ナビゲーション装置12は、車両10の現在位置を検出して地図画像とともに表示部に表示し、ユーザが目的地まで移動するための支援を行う機能を備えるとともに、車両10内の携帯電話機16a、16bを選択して、ハンズフリーによる通話制御を行う端末発信制御装置である。
【0024】
ナビゲーション装置12は、制御部18、現在位置検出部20、経路探索部22、地図情報記憶部24、アドレス帳記憶部26、携帯電話機登録情報記憶部28、携帯電話機選択部30(発信元端末選択部)、近距離無線通信部34、操作部36、表示部38、マイク40及びスピーカ42を備えて構成される。なお、制御部18は、通信キャリア情報取得部として機能し、アドレス帳記憶部26及び携帯電話機登録情報記憶部28は、通信キャリア情報記憶部として機能する。
【0025】
制御部18は、CPU44、ROM46、RAM48を備えて構成され、ROM46及び/又はRAM48に記憶された制御プログラムをCPU44が実行することにより、ナビゲーション装置12の各部の動作を制御・統括する。
【0026】
現在位置検出部20は、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの信号を所定の時間間隔で受信し、この信号に含まれている時刻情報及び衛星位置情報に基づいて車両10の現在位置を算出する。
【0027】
経路探索部22は、ユーザが入力した経路探索条件に従い、地図情報記憶部24に記憶されている地図情報を参照して最適な経路(案内経路)を探索するものである。経路探索部22は、出発地又は現在位置に対応する道路のノードから目的地に対応するノードに至るまでのリンクをダイクストラ法等の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を案内経路として探索する。なお、経路探索部22は、外部の情報提供サーバから通信手段を介して地図情報を取得し、経路探索を行うものであってもよい。また、地図情報とともに経路探索部を外部の情報提供サーバに設置し、ナビゲーション装置12が外部から案内経路を取得するように構成することもできる。
【0028】
地図情報記憶部24は、道路データ、建物データ、背景データ及びテキストデータから構成される地図情報を保持する。道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータとから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標、交差点情報や交差点名称を示す情報等のノード属性、接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、高速道路や一般道や街路等を区別するための道路種別、それぞれの道路の本線や連結路、分岐路を区別するための道路種別、距離及び/又は所要時間、国道○号線のような道路名称、進行方向のデータを含んで構成される。
【0029】
リンクデータには、上記に加えて、リンク属性として、橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが付与される。建物データは、建物の位置座標、駅、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる位置座標、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標のデータを含んで構成される。
【0030】
アドレス帳記憶部26は、ナビゲーション装置12に接続可能な複数台の携帯電話機が持つそれぞれのアドレス帳(電話帳とも称される)の情報を記憶する。図4は、1台の携帯電話機にかかるアドレス帳の一例を示す。電話帳は通話先の電話番号等を記録したものであり、発信の際に電話帳から所望の通話先を選択するために用いられる。従って、アドレス帳記憶部26には、発信先端末である携帯電話機の所有者の名前、電話番号、所有者を分類するグループ、発信先端末の通信キャリアが記憶される。発信先端末の通信キャリア(以下単にキャリアと称する)は、例えば、発信先端末の携帯電話機が契約している携帯電話会社である。なお、発信先端末の携帯電話会社は、当該携帯電話機のメールアドレスから識別することができるため、アドレス帳には、通信キャリアとして発信先端末のメールアドレスを設定してもよい。
【0031】
携帯電話機登録情報記憶部28は、ナビゲーション装置12に接続可能な複数台の携帯電話機にかかる登録情報を記憶する。図5は、ナビゲーション装置12に登録されている4台の携帯電話機にかかる登録情報を示す。携帯電話機登録情報記憶部28には、発信元端末である登録携帯電話機、電話番号、登録携帯電話機がナビゲーション装置12に接続されているか否かを示す接続有無、登録携帯電話機のキャリア、登録携帯電話機に対して割引対象に設定されている発信先端末の携帯電話機の電話番号(端末番号)が記憶される。登録携帯電話機のキャリアとは、例えば、登録携帯電話機が契約している通信事業会社である。なお、発信元端末の携帯電話会社は、発信先端末と同様に当該携帯電話機のメールアドレスから識別することができるため、キャリアとして発信元端末のメールアドレスを設定してもよい。
【0032】
携帯電話機選択部30は、ナビゲーション装置12に接続されている携帯電話機16a、16bから、所定の条件に従い、外部の携帯電話機14との間で通信する携帯電話機16a、16bの1つを選択するものである。
【0033】
近距離無線通信部34は、車両10に持ち込まれた携帯電話機16a、16bとの間で無線通信を行い、携帯電話機16a、16bからアドレス帳の情報を取得するとともに、携帯電話機16a、16bを介して、外部の携帯電話機14と通話のための音声情報の送受信を行うものである。近距離無線通信部34には、例えば、ブルートゥース技術を利用することができる。
【0034】
操作部36は、ナビゲーション装置12の各種操作、例えば、経路探索のための出発地、目的地、経由地等の経路探索条件を入力する手段、携帯電話機16a、16bから必要な情報を取得するための指示を行う手段、携帯電話機16a、16bの登録情報を設定する手段、使用する携帯電話機16a、16bを選択する手段等として機能するものであり、例えば、キーやタッチパネルから構成される。
【0035】
表示部38は、車両10の現在位置、地図画像、案内経路等を表示する手段、操作部36を用いた作業に必要な操作画像を表示する手段等として機能するものであり、例えば、液晶表示パネルから構成される。
【0036】
マイク40は、ナビゲーション装置12に対して音声による指示を行い、また、携帯電話機16a、16bを介して発信先とハンズフリー通話を行う手段である。また、スピーカ42は、経路案内情報にかかる音声情報を出力するとともに、携帯電話機16a、16bを介して発信先からの音声を出力する手段である。
【0037】
図3において、ナビゲーション装置12に接続される携帯電話機16a、16bは、制御部50、電池残量検出部52、アドレス帳記憶部54、通話送受信部56、近距離無線通信部58、操作部60、表示部62、マイク64及びスピーカ66を備えて構成される。
【0038】
制御部50は、CPU68、ROM70、RAM72を備えて構成され、ROM70及び/又はRAM72に記憶された制御プログラムをCPU68が実行することにより、携帯電話機16a、16bの各部の動作を制御・統括する。
【0039】
電池残量検出部52は、携帯電話機16a、16bの電池の残量を検出するものである。アドレス帳記憶部54は、各携帯電話機16a、16bに登録されているアドレス帳、例えば、図4に示すアドレス帳の情報を記憶する。通話送受信部56は、発信元端末である携帯電話機16a、16bと、外部の発信先端末である携帯電話機14との間で通話のための通信を行うものである。
【0040】
近距離無線通信部58は、ナビゲーション装置12との間で無線通信を行い、携帯電話機16a、16bのアドレス帳の情報をナビゲーション装置12に送信するとともに、ナビゲーション装置12との間で通話のための音声情報の送受信を行うものである。近距離無線通信部58には、例えば、ブルートゥース技術を利用することができる。
【0041】
操作部60は、携帯電話機16a、16bの各種操作、例えば、発信先である携帯電話機14の電話番号を入力する手段、ナビゲーション装置12に対してアドレス帳の情報の送信を指示する手段等として機能するものであり、例えば、キーやタッチパネルから構成される。表示部62は、通話中の所定の画像を表示する手段、操作部60を用いた作業に必要な操作画像を表示する手段等として機能するものであり、例えば、液晶表示パネルから構成される。マイク64は、発信先と通話を行う手段であり、スピーカ66は、発信先からの音声を出力する手段である。
【0042】
次に、以上のように構成されるハンズフリー通話システムの動作について説明する。
【0043】
先ず、ナビゲーション装置12による経路探索の動作について、簡単に説明する。ユーザが、操作部36を用いて出発地、経由地及び目的地を入力すると、経路探索部22は、地図情報記憶部24に記憶されている地図情報に基づき、出発地から経由地を経由して目的地までの最適な案内経路を探索し、その案内経路を地図画像とともに表示部38に表示する。また、表示部38には、現在位置検出部20により検出された車両10の現在位置が案内経路とともに表示される。ユーザは、表示されたこれらの情報に従い、目的地まで容易に移動することが可能となる。
【0044】
次に、ナビゲーション装置12を用いて、ハンズフリー通話を行う場合の動作を、図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0045】
先ず、ハンズフリー通話を行うための準備作業として、操作部36を用いて、ナビゲーション装置12に複数台の携帯電話機の情報を登録する。この場合、表示部38に表示された図7に示すメニュー画面から「設定」のボタンを選択すると、図8に示す携帯電話登録一覧の画面が表示される。ユーザは、この画面から「詳細」のボタンを選択して必要な情報を登録する。携帯電話機の情報としては、例えば、図5に示すように、発信元端末である登録携帯電話機、電話番号、登録携帯電話機がナビゲーション装置12に接続されているか否かを示す接続有無、登録携帯電話機のキャリア、登録携帯電話機に対して割引対象に設定されている発信先端末の携帯電話機の電話番号を設定する。設定されたこれらの情報は、携帯電話機登録情報記憶部28に記憶される。
【0046】
次に、登録した各携帯電話機のアドレス帳記憶部54に記憶されているアドレス帳をナビゲーション装置12に登録する。この場合、ナビゲーション装置12の近距離無線通信部34と、携帯電話機16a、16bの近距離無線通信部58とを用いて携帯電話機16a、16bからナビゲーション装置12にアドレス帳を転送することができる。アドレス帳の情報としては、例えば、図4に示すように、発信先端末である携帯電話機の所有者の名前、電話番号、所有者を分類するグループ、発信先端末のキャリアの各情報が転送される。転送されたこれらのアドレス帳の情報は、アドレス帳記憶部26に記憶される。
【0047】
以上の準備作業が終了した後、ハンズフリー通話を開始する。
【0048】
ハンズフリー通話を行う場合、ナビゲーション装置12の表示部38には、図7に示すハンズフリーメニュー画面が表示される。この画面を用いて、発信先の携帯電話機14をナビゲーション装置12に設定する(ステップS101)。ユーザは、ハンズフリーメニュー画面から「アドレス帳」のボタンを選択した後、アドレス帳記憶部26からアドレス帳を読み出して表示部38に表示させ(図4参照)、発信先の携帯電話機14の電話番号を選択する。
【0049】
ナビゲーション装置12に複数の携帯電話機16a、16bが接続されている場合(ステップS102、YES)(図8では、「T003」及び「P905i」の携帯電話機16a、16bが接続されている。)、携帯電話機選択部30は、選択された発信先の携帯電話機14のキャリアを特定する(ステップS103)。例えば、図4において名前Aの発信先が選択された場合、発信先のキャリアは、「aaa」として特定される。
【0050】
次に、携帯電話機選択部30は、携帯電話機登録情報記憶部28から携帯電話機の登録情報を読み出し、ナビゲーション装置12に接続されている発信元の携帯電話機16a、16bのキャリアのうち、発信先のキャリアと同じキャリアの携帯電話機16a、16bが有るか否かを判定する。図5に示す例では、「T003」の携帯電話機16aのキャリアが「aaa」であり、発信先のキャリアと同じである。従って、携帯電話機選択部30は、特定した発信先のキャリアと同じキャリア「aaa」の携帯電話機16aが有ると判定する(ステップS104、YES)。次に、発信先の携帯電話機14が、携帯電話機登録情報記憶部28に記憶されている携帯電話機16aの割引対象端末番号の携帯電話機14である場合(ステップS105、YES)、例えば、家族割の関係にある携帯電話機14である場合、携帯電話機16aを発信元の端末として選択し(ステップS106)、携帯電話機16aと携帯電話機14とを接続する。
【0051】
そして、ナビゲーション装置12は、選択した携帯電話機16aを用いて携帯電話機14とハンズフリー通話を行う。この場合、ナビゲーション装置12のマイク40に入力されたユーザの音声は、近距離無線通信部34から携帯電話機16aの近距離無線通信部58に音声信号とし送信された後、通話送受信部56から外部の携帯電話機14に送信される。一方、携帯電話機14からの音声信号は、携帯電話機16aの通話送受信部56により受信された後、近距離無線通信部58からナビゲーション装置12の近距離無線通信部34に送信され、次いで、ナビゲーション装置12のスピーカ42から出力される。
【0052】
この場合、通話に使用される携帯電話機16a及び携帯電話機14は、キャリアが同じであり、且つ、家族割引等の割引適用対象となっているため、最も安価な料金でハンズフリー通話を行うことができる。なお、ステップS105における割引適用の条件としては、通話時刻を条件に設定することもできる。例えば、同一キャリア同士の通話の割引が夜9時〜朝5時までの間であることが条件である場合には、現在の時刻がこの条件を満たす場合に限り、割引適用有りとして携帯電話機16aを発信元に選択すればよい。
【0053】
一方、ステップS104において、ナビゲーション装置12に接続されている携帯電話機16a、16bに、発信先の携帯電話機14と同じキャリアが無い場合(ステップS104、NO)、または、キャリアが同じであっても割引の適用対象外である場合(ステップS105、NO)には、選択した発信先の電話番号に対応したアドレス帳に対応した携帯電話機16a、16b、または、ユーザが指定した携帯電話機16a、16bを選択する(ステップS107)。図9は、ユーザが携帯電話機16a、16bを選択する場合において、表示部38に表示される端末選択画面を示す。ユーザは、この画面を用いて、ナビゲーション装置12に接続された2台の携帯電話機16a、16bから任意の1台を選択することができる。
【0054】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。家族割引に限らず、友人同志や特定グループを対象とした割引など、通信キャリアが提供する割引対象の携帯電話同志が接続されるように発信元の携帯電話機を選択すればよい。
【0055】
例えば、ステップS101において発信先を設定する方法としては、図7に示すメニュー画面から「ダイヤル」のボタンを選択し、発信先の携帯電話機14の電話番号を直接入力するようにしてもよい。この場合、入力された電話番号に対応する携帯電話機14のキャリアは、アドレス帳記憶部26に記憶されたアドレス帳から特定することができる。また、端末発信制御装置としては、車両10に搭載されるナビゲーション装置12に限られるものではなく、端末と通信可能なものであれば、パソコンを含む種々の装置を適用することができる。さらに、端末発信制御装置に接続される端末としては、外部の端末と通信を行うものであれば、携帯電話機16a、16b以外の通信機器でもよく、また、その台数は、複数台であれば、2台に限られるものではない。
【符号の説明】
【0056】
10・・・車両
12・・・ナビゲーション装置
14、16a、16b・・・携帯電話機
18、50・・・制御部
20・・・現在位置検出部
22・・・経路探索部
24・・・地図情報記憶部
26、54・・・アドレス帳記憶部
28・・・携帯電話機登録情報記憶部
30・・・携帯電話機選択部
34、58・・・近距離無線通信部
36、60・・・操作部
38、62・・・表示部
40、64・・・マイク
42、66・・・スピーカ
52・・・電池残量検出部
56・・・通話送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部と備え、選択した前記発信元端末を制御して前記発信先端末に発信する端末発信制御装置において、
前記発信先端末の通信キャリアにかかる発信先通信キャリア情報と、前記複数の発信元端末の通信キャリアにかかる発信元通信キャリア情報とを取得する通信キャリア情報取得部を備え、
前記発信元端末選択部は、取得した前記発信先通信キャリア情報と前記発信元通信キャリア情報とを対比し、前記発信先端末と通信を行う際の利用料金が最も安価となる前記発信元端末を選択することを特徴とする端末発信制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の端末発信制御装置において、
前記発信先通信キャリア情報及び前記発信元通信キャリア情報を記憶する通信キャリア情報記憶部を備え、前記通信キャリア情報取得部は、前記通信キャリア情報記憶部から、前記発信先通信キャリア情報及び前記発信元通信キャリア情報を取得することを特徴とする端末発信制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の端末発信制御装置において、
前記発信元選択部は、前記通信キャリアが前記発信先端末と同一である前記発信元端末を選択することを特徴とする端末発信制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の端末発信制御装置において、
前記発信元端末選択部は、前記発信先端末と割引対象の関係にある前記発信元端末を選択することを特徴とする端末発信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−74788(P2012−74788A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216315(P2010−216315)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】