説明

端末発信制御装置

【課題】アドレス情報に含まれた分類情報に基づいて、所望の発信元端末を選択し、発信先端末と通信することのできる端末発信制御装置を提供する。
【解決手段】発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部とを備え、選択した前記発信元端末と前記発信先端末との通話を制御する端末発信制御装置において、前記発信先端末のアドレス情報を記憶するアドレス帳記憶部と、前記アドレス情報に基づいて前記発信先端末を設定する発信先端末設定部とを備え、前記発信元端末選択部は、設定された前記発信先端末の前記アドレス情報に含まれている前記分類情報に基づいて、前記発信元端末を選択可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末発信制御装置に関し、特に、接続された複数台の端末から1台の端末を選択して発信を行う端末発信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機の著しい普及乃至高機能化に伴い、歩行中に携帯電話機を使用するだけでなく、車両による移動中やパソコンでの作業中に携帯電話機を使用する状況が増加している。しかしながら、特に車両による移動中にドライバが携帯電話機を使用することは、安全面において非常に問題となり、法令により禁止事項とされている。
【0003】
このような状況に対応するため、ハンズフリーの状態で通話を行うことのできるハンズフリー通話装置が開発されている。例えば、下記特許文献1(特開2003−102058号公報)には、車両に搭載可能な携帯端末管理システムが開示されている。この携帯端末管理システムでは、車両に搭載された携帯端末管理システムと携帯電話機とを無線接続し、携帯端末管理システムのマイク、スピーカを用いて、ハンズフリーの状態で外部と通話を行うことができる。
【0004】
ところで、上記のハンズフリー通話装置を利用して、例えば、会社から支給される携帯電話機及び個人所有の携帯電話機の複数の携帯電話機を所持するユーザが、使用目的に応じてこれらの携帯電話機を使い分けたい場合がある。また、車両に複数の乗員が乗車しているときのように、ユーザ毎に携帯電話機を選択して通話を行いたい場合もある。
【0005】
このような要望に対応すべく、複数台の携帯電話機を登録しておき、使用目的や発信先に応じて携帯電話機を切り替え可能としたハンズフリー通話装置がある。例えば、下記特許文献2(特開2007−266755号公報)に開示されたハンズフリー通話装置では、発信先電話番号と、この発信先電話番号を使用する携帯電話機との対応関係を携帯電話機毎に設定した電話帳データを記憶しており、ユーザが発信先電話番号を入力すると、対応する携帯電話機を電話帳データに応じて選択し、自動的に切り替えて通話を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−102058号公報(段落[0007]〜[0010])
【特許文献2】特開2007−266755号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたハンズフリー通話装置では、携帯電話機の個別の電話帳データによって発信先電話番号と使用する携帯電話機との対応関係が予め決められているため、ハンズフリー通話装置に接続されている複数の携帯電話機から任意の携帯電話機を選択して使用することはできない。
【0008】
例えば、携帯電話機では、発信元の携帯電話機が加入している電話通信事業者(発信元通信キャリア)と、発信先の携帯電話機が加入している携帯電話サービスを提供する携帯電話通信事業者(発信先通信キャリア)とが同じ場合、利用する時間帯や家族割引等により利用料金を安くするサービスを提供しているものがある。そのため、ユーザとしては、これらのサービスを享受できることが望ましい。
【0009】
しかしながら、発信元の携帯電話機と発信先の携帯電話機との関係が固定されていると、上記のサービスを享受できない場合がある。また、発信元の携帯電話機と発信先の携帯電話機との関係が固定されていると、発信元の携帯電話機の電池残量が少なくなっている場合であっても、他の携帯電話機に切り替えて通信を行うことができない。その一方で、発信元の携帯電話機を自由に選択できるようにすると、発信先(着信相手)の電話機において、発信元(発信者)を判別できなくなる恐れがある。
【0010】
例えば、発信先が友人や家族である場合に、個人用の携帯電話機でなく仕事用の携帯電話機から発信した場合には、当該友人や家族の電話機のアドレス帳に仕事用の携帯電話機の電話番号等が記憶されていないと、誰からの通話であるか発信元が識別できなくなるおそれがある。発信元が誰であるか不明の電話には応答しないとしている発信先ユーザであると、緊急の通話であっても応答して貰えないという不都合が生じる。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、アドレス帳に設定された分類情報に基づいて、所望の発信元端末を選択し、発信先端末と通信することのできる端末発信制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部とを備え、選択した前記発信元端末と前記発信先端末との通話を制御する端末発信制御装置において、
前記発信先端末の分類情報を含むアドレス情報を記憶するアドレス帳記憶部と、
前記アドレス情報に基づいて前記発信先端末を設定する発信先端末設定部と、を備え、
前記発信元端末選択部は、前記発信先端末の前記アドレス情報に設定されている前記分類情報に基づいて、前記発信元端末を選択可能とすることを特徴とする。
【0013】
また、前記アドレス帳記憶部に記憶されたアドレス情報は、前記各発信元端末に記憶されたアドレス情報であることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の端末発信制御装置において、前記発信元端末選択部は、前記分類情報に従い、選択可能な複数台の前記発信元端末のうち、いずれの前記発信元端末を選択するのかをユーザに問い合わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1にかかる発明においては、発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部とを備え、選択した前記発信元端末と前記発信先端末との通話を制御する端末発信制御装置において、前記発信先端末の分類情報を含むアドレス情報を記憶するアドレス帳記憶部と、前記アドレス情報に基づいて前記発信先端末を設定する発信先端末設定部と、を備え、前記発信元端末選択部は、前記発信先端末の前記アドレス情報に設定されている前記分類情報に基づいて、前記発信元端末を選択可能とする。
【0016】
かかる構成によれば、ユーザがアドレス情報に基づいて発信先端末を設定したとき、そのアドレス情報に設定されている当該発信先端末の分類情報に従って発信元端末を選択し、選択した発信先端末と通信を行うことができる。
【0017】
請求項2にかかる発明においては、前記アドレス帳記憶部に記憶されたアドレス情報は、前記各発信元端末に記憶されたアドレス情報である。
【0018】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1または2にかかる発明において、前記発信元端末選択部は、前記分類情報に従い、選択可能な複数台の前記発信元端末のうち、いずれの前記発信元端末を選択するのかをユーザに問い合わせる。
【0019】
かかる構成によれば、ユーザは、問い合わせに応じて所望の発信元端末を選択することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置を用いたハンズフリー通話システムの概略説明図である。
【図2】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置の構成ブロック図である。
【図3】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に接続される携帯電話機の構成ブロック図である。
【図4】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に登録される携帯電話機のアドレス情報の説明図である。
【図5】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に登録される携帯電話機の登録情報の説明図である。
【図6】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置におけるハンズフリー通話のフローチャートである。
【図7】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置におけるメニュー画面の説明図である。
【図8】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置に登録されている携帯電話機の登録画面の説明図である。
【図9】本発明の実施例にかかる端末発信制御装置における端末選択画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための端末発信制御装置を例示するものであって、本発明をこの端末発信制御装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の端末発信制御装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の実施例にかかる端末発信制御装置を用いたハンズフリー通話システムの概略説明図である。ハンズフリー通話システムは、車両10に搭載されるナビゲーション装置11(端末発信制御装置)と、ナビゲーション装置11を介して、外部の携帯電話機12(発信先端末)と通信可能な複数台の携帯電話機13a、13b(発信元端末)とから構成される。なお、携帯電話機13a、13bは、車両10のドライバや同乗者の端末であり、車両10内において同乗者に携帯され、あるいは、設置台などに設置される携帯電話である。
【0023】
図2は、ナビゲーション装置11の構成ブロック図であり、図3は、ナビゲーション装置11に接続可能な携帯電話機13a、13bの構成ブロック図である。
【0024】
ナビゲーション装置11は、車両10の現在位置を検出して地図画像とともに表示部に表示し、ユーザが目的地まで移動するための支援を行う機能を備えるとともに、車両10内の携帯電話機13a、13bを選択して、ハンズフリーによる通話制御を行う端末発信制御装置である。
【0025】
ナビゲーション装置11は、制御部14、現在位置検出部15、経路探索部16、地図情報記憶部17、アドレス帳記憶部18、携帯電話機登録情報記憶部19、携帯電話機選択部20(発信元端末選択部)、近距離無線通信部21(送受信部)、操作部22(発信先端末設定部)、表示部23、マイク24及びスピーカ25を備えて構成される。なお、制御部14は、通信キャリア情報取得部として機能し、アドレス帳記憶部18及び携帯電話機登録情報記憶部19は、通信キャリア情報記憶部として機能する。
【0026】
制御部14は、CPU26、ROM27、RAM28を備えて構成され、ROM27及び/またはRAM28に記憶された制御プログラムをCPU26が実行することにより、ナビゲーション装置11の各部の動作を制御・統括する。
【0027】
現在位置検出部15は、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの信号を所定の時間間隔で受信し、この信号に含まれている時刻情報及び衛星位置情報に基づいて車両10の現在位置を算出する。
【0028】
経路探索部16は、操作部22を介してユーザが入力した経路探索条件に従い、地図情報記憶部17に記憶されている地図情報を参照して最適な経路(案内経路)を探索するものである。経路探索部16は、出発地又は現在位置に対応する道路のノードから目的地に対応するノードに至るまでのリンクをダイクストラ法等の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を案内経路として探索する。なお、経路探索部16は、外部の情報提供サーバから通信手段(図示せず)を介して地図情報を取得し、経路探索を行うものであってもよい。また、地図情報とともに経路探索部を外部の情報提供サーバに設置し、ナビゲーション装置11が外部から案内経路を取得するように構成することもできる。
【0029】
地図情報記憶部17は、道路データ、建物データ、背景データ及びテキストデータから構成される地図情報を保持する。道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータとから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標、交差点情報や交差点名称を示す情報等のノード属性、接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、高速道路や一般道や街路等を区別するための道路種別、それぞれの道路の本線や連結路、分岐路を区別するための道路種別、距離及び/又は所要時間、国道○号線のような道路名称、進行方向のデータを含んで構成される。
【0030】
リンクデータには、上記に加えて、リンク属性として、橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが付与される。建物データは、建物の位置座標、駅、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる位置座標、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標のデータを含んで構成される。
【0031】
アドレス帳記憶部18は、ナビゲーション装置11に接続可能な複数台の携帯電話機が持つそれぞれのアドレス情報を記憶する。図4は、1台の携帯電話機にかかるアドレス情報をアドレス帳(電話帳としても称される)としてリスト表示した一例を示す。アドレス情報は、通話先の電話番号等を記録したものであり、発信の際に電話帳から所望の通話先を選択するために用いられる。従って、アドレス帳記憶部18には、発信先端末である携帯電話機の所有者の名前、電話番号、所有者を分類するグループ(分類情報)、発信先端末の通信キャリアがアドレス情報として記憶される。グループは、発信元端末である当該携帯電話機の所有者が、発信先端末である携帯電話機の所有者を、個人的な関係であるか(例えば、「友人」として分類)、仕事上の関係であるか(例えば、「会社」として分類)、それ以外の関係であるか(例えば、「その他」として分類)に応じて分類したものである。発信先端末の通信キャリア(以下単にキャリアと称する)は、例えば、発信先端末の携帯電話機が契約している携帯電話会社である。なお、発信先端末の携帯電話会社は、当該携帯電話機のメールアドレスから識別することができるため、アドレス情報には、通信キャリアとして発信先端末のメールアドレスを設定してもよい。
【0032】
携帯電話機登録情報記憶部19は、ナビゲーション装置12に接続可能な複数台の携帯電話機にかかる登録情報を記憶する。図5は、ナビゲーション装置11に登録されている4台の携帯電話機にかかる登録情報を示す。携帯電話機登録情報記憶部19には、発信元端末である登録携帯電話機、電話番号、登録携帯電話機がナビゲーション装置11に接続されているか否かを示す接続有無、登録携帯電話機のキャリア、登録携帯電話機に対して割引対象に設定されている発信先端末の携帯電話機の電話番号(端末番号)が記憶される。登録携帯電話機のキャリアとは、例えば、登録携帯電話機が契約している通信事業会社である。なお、発信元端末の携帯電話会社は、発信先端末と同様に当該携帯電話機のメールアドレスから識別することができるため、キャリアとして発信元端末のメールアドレスを設定してもよい。
【0033】
携帯電話機選択部20は、ナビゲーション装置11に接続されている携帯電話機13a、13bから、所定の条件に従い、外部の携帯電話機12との間で通信する携帯電話機13a、13bの1つを選択するものである。
【0034】
近距離無線通信部21は、車両10に持ち込まれた携帯電話機13a、13bとの間で無線通信を行い、携帯電話機13a、13bからアドレス情報や、各携帯電話機13a、13bの電池残量情報を取得するとともに、携帯電話機13a、13bを介して、外部の携帯電話機12と通話のための音声情報の送受信を行うものである。近距離無線通信部21には、例えば、ブルートゥース技術を利用することができる。
【0035】
操作部22は、ナビゲーション装置11の各種操作、例えば、経路探索のための出発地、目的地、経由地等の経路探索条件を入力する手段、携帯電話機13a、13bから必要な情報を取得するための指示を行う手段、携帯電話機13a、13bの登録情報を設定する手段、使用する携帯電話機13a、13bを選択する手段等として機能するものであり、例えば、キーやタッチパネルから構成される。
【0036】
表示部23は、車両10の現在位置、地図画像、案内経路等を表示する手段、操作部22を用いた作業に必要な操作画像を表示する手段等として機能するものであり、例えば、液晶表示パネルから構成される。
【0037】
マイク24は、ナビゲーション装置11に対して音声による指示を行い、また、携帯電話機13a、13bを介して発信先とハンズフリー通話を行う手段である。また、スピーカ25は、経路案内情報にかかる音声情報を出力するとともに、携帯電話機13a、13bを介して発信先からの音声を出力する手段である。
【0038】
図3において、ナビゲーション装置11に接続される携帯電話機13a、13bは、制御部29、電池残量検出部30、アドレス帳記憶部31、通話送受信部32、近距離無線通信部33、操作部34、表示部35、マイク36及びスピーカ37を備えて構成される。
【0039】
制御部29は、CPU38、ROM39、RAM40を備えて構成され、ROM39及び/またはRAM40に記憶された制御プログラムをCPU38が実行することにより、携帯電話機13a、13bの各部の動作を制御・統括する。
【0040】
電池残量検出部30は、携帯電話機13a、13bの電池の残量を検出するものである。
【0041】
アドレス帳記憶部31は、各携帯電話機13a、13bに登録されているアドレス情報、例えば、図4に示すアドレス情報を記憶する。通話送受信部32は、発信元端末である携帯電話機13a、13bと、外部の発信先端末である携帯電話機12との間で通話のための通信を行うものである。
【0042】
近距離無線通信部33は、ナビゲーション装置11との間で無線通信を行い、携帯電話機13a、13bのアドレス情報をナビゲーション装置11に送信し、また、電池残量検出部30により検出された携帯電話機13a、13bの電池残量情報をナビゲーション装置11に送信するものである。また、近距離無線通信部33は、ナビゲーション装置11との間で通話のための音声情報の送受信を行うものである。近距離無線通信部33には、例えば、ブルートゥース技術を利用することができる。
【0043】
操作部34は、携帯電話機13a、13bの各種操作、例えば、発信先である携帯電話機12の電話番号を入力する手段、ナビゲーション装置11に対してアドレス情報の送信を指示する手段等として機能するものであり、例えば、キーやタッチパネルから構成される。表示部35は、通話中の所定の画像を表示する手段、操作部34を用いた作業に必要な操作画像を表示する手段等として機能するものであり、例えば、液晶表示パネルから構成される。マイク36は、発信先と通話を行う手段であり、スピーカ37は、発信先からの音声を出力する手段である。
【0044】
次に、以上のように構成されるハンズフリー通話システムの動作について説明する。
【0045】
先ず、ナビゲーション装置11による経路探索の動作について、簡単に説明する。ユーザが、操作部22を用いて出発地、経由地及び目的地を入力すると、経路探索部16は、地図情報記憶部17に記憶されている地図情報に基づき、出発地から経由地を経由して目的地までの最適な案内経路を探索し、その案内経路を地図画像とともに表示部23に表示する。また、表示部23には、現在位置検出部15により検出された車両10の現在位置が案内経路とともに表示される。ユーザは、表示されたこれらの情報に従い、目的地まで容易に移動することが可能となる。
【0046】
次に、ナビゲーション装置11を用いて、ハンズフリー通話を行う場合の動作を、図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0047】
先ず、ハンズフリー通話を行うための準備作業として、操作部22を用いて、ナビゲーション装置11に複数台の携帯電話機の情報を登録する。この場合、表示部23に表示された図7に示すメニュー画面から「設定」のボタンを選択すると、図8に示す携帯電話登録一覧の画面が表示される。ユーザは、この画面から「詳細」のボタンを選択して必要な情報を登録する。携帯電話機の情報としては、例えば、図5に示すように、発信元端末である登録携帯電話機、電話番号、登録携帯電話機がナビゲーション装置11に接続されているか否かを示す接続有無、登録携帯電話機のキャリア、登録携帯電話機に対して割引対象に設定されている発信先端末の携帯電話機の電話番号を設定する。設定されたこれらの情報は、携帯電話機登録情報記憶部19に記憶される。
【0048】
次に、登録した各携帯電話機のアドレス帳記憶部31に記憶されているアドレス情報をナビゲーション装置11に登録する。この場合、ナビゲーション装置11の近距離無線通信部21と、携帯電話機13a、13bの近距離無線通信部33とを用いて携帯電話機13a、13bからナビゲーション装置11にアドレス情報を転送することができる。アドレス情報としては、例えば、図4に示すように、発信先端末である携帯電話機の所有者の名前、電話番号、所有者を分類するグループ(先に説明した「友人」、「会社」、「その他」等の分類)、発信先端末のキャリアの各情報が転送される。転送されたこれらのアドレス情報は、アドレス帳記憶部18に記憶される。
【0049】
以上の準備作業が終了した後、ハンズフリー通話を開始する。
【0050】
ハンズフリー通話を行う場合、ナビゲーション装置11の表示部23には、図7に示すハンズフリーメニュー画面が表示される。この画面を用いて、発信先端末である携帯電話機12をナビゲーション装置11に設定する(ステップS101)。この場合、ユーザは、ハンズフリーメニュー画面から「ダイヤル」のボタンを選択した後、発信先端末である携帯電話機12の電話番号を直接入力する。また、ハンズフリーメニュー画面から「アドレス帳」のボタンを選択した後、アドレス帳記憶部18からアドレス情報を読み出してアドレス帳として表示部23に表示させ(図4参照)、発信先端末である携帯電話機12を選択することもできる。
【0051】
ナビゲーション装置11に複数の携帯電話機13a、13bが接続されている場合(ステップS102、YES)(図8では、「T003」及び「P905i」の2台の携帯電話機13a、13bが接続されている。)、携帯電話機選択部20は、ステップS101での発信先端末である携帯電話機12の設定方法が、電話番号を直接入力する方法によるのか、アドレス帳から選択する方法によるのかを判定する(ステップS103)。
【0052】
電話番号を直接入力して発信先端末である携帯電話機12を設定した場合(ステップS103、YES)、制御部14は、ナビゲーション装置11に接続されている2台の携帯電話機13a、13bから1台を選択する端末選択画面を表示部23に表示させる(図9参照)。ユーザは、表示された携帯電話機13a、13bの1台を選択し(ステップS104)、その携帯電話機13aまたは13bと携帯電話機12とを接続して通話を行う。
【0053】
この場合、ユーザは、ナビゲーション装置11に接続されている任意の携帯電話機13a、13bを選択することができる。例えば、キャリアが発信先端末である携帯電話機12と同じである携帯電話機13a、13bを選択すれば、安価な料金で通話を行うことができる。また、近距離無線通信部21を介して、ナビゲーション装置11に接続されている各携帯電話機13a、13bから電池残量情報を取得し、この情報を図9に示す端末選択画面に併せて表示させることにより、電池残量の最も多い携帯電話機13a、13bを選択して通話を行うことができる。
【0054】
ナビゲーション装置11のマイク24に入力されたユーザの音声は、近距離無線通信部20から携帯電話機13aまたは13bの近距離無線通信部33に音声信号とし送信された後、通話送受信部32から外部の携帯電話機12に送信される。一方、携帯電話機12からの音声信号は、携帯電話機13aまたは13bの通話送受信部32により受信された後、近距離無線通信部33からナビゲーション装置11の近距離無線通信部21に送信され、次いで、ナビゲーション装置11のスピーカ25から出力される。
【0055】
アドレス帳から発信先端末である携帯電話機12の電話番号を選択して設定した場合(ステップS103、NO)、携帯電話機選択部20は、アドレス帳から選択したアドレス情報に対して設定されている携帯電話機12のグループが、「その他」に分類されているか否かを判定する(ステップS105)。グループが「その他」に分類されている場合(ステップS105、YES)、ナビゲーション装置11に接続されているどの携帯電話機13a、13bを発信元端末に選択しても、発信先端末である携帯電話機12に不都合が生じるおそれはない。そこで、ユーザは、表示部23に表示された端末選択画面を用いて、携帯電話機13a、13bから任意の1台を選択し(ステップS104)、その携帯電話機13aまたは13bと携帯電話機12とを接続して通話を行うことができる。
【0056】
一方、アドレス帳から選択したアドレス情報に対して設定されている携帯電話機12のグループが、「友人」または「会社」に分類されている場合(ステップS105、NO)、選択した電話番号に対応するアドレス情報を持つ携帯電話機13aまたは13bを発信元端末として選択し(ステップS106)、その携帯電話機13aまたは13bと携帯電話機12とを接続する。この場合、発信先の携帯電話機12には、対応関係が予め設定されている携帯電話機13aまたは13bから通信が行われていることを示す情報が必要に応じて送信されるため、発信先端末である携帯電話機14と支障なく通話することができる。
【0057】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0058】
例えば、端末発信制御装置としては、車両10に搭載されるナビゲーション装置11に限られるものではなく、端末と通信可能なものであれば、パソコンを含む種々の装置を適用することができる。また、端末発信制御装置に接続される端末としては、外部の端末と通信を行うものであれば、携帯電話機13a、13b以外の通信機器でもよく、また、その台数は、複数台であれば、2台に限られるものではない。
【符号の説明】
【0059】
10・・・車両
11・・・ナビゲーション装置
12、13a、13b・・・携帯電話機
14、29・・・制御部
15・・・現在位置検出部
16・・・経路探索部
17・・・地図情報記憶部
18、31・・・アドレス帳記憶部
19・・・携帯電話機登録情報記憶部
20・・・携帯電話機選択部
21、33・・・近距離無線通信部
22、34・・・操作部
23、35・・・表示部
24、36・・・マイク
25、37・・・スピーカ
30・・・・・・電池残量検出部
32・・・通話送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信先端末と通信可能な複数台の発信元端末と送受信を行う送受信部と、前記発信先端末と通信する1台の前記発信元端末を選択する発信元端末選択部とを備え、選択した前記発信元端末と前記発信先端末との通話を制御する端末発信制御装置において、
前記発信先端末の分類情報を含むアドレス情報を記憶するアドレス帳記憶部と、
前記アドレス情報に基づいて前記発信先端末を設定する発信先端末設定部と、を備え、
前記発信元端末選択部は、前記発信先端末の前記アドレス情報に設定されている前記分類情報に基づいて、前記発信元端末を選択可能とすることを特徴とする端末発信制御装置。
【請求項2】
前記アドレス帳記憶部に記憶されたアドレス情報は、前記各発信元端末に記憶されたアドレス情報であることを特徴とする請求項1に記載の端末発信制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の端末発信制御装置において、
前記発信元端末選択部は、前記分類情報に従い、選択可能な複数台の前記発信元端末のうち、いずれの前記発信元端末を選択するのかをユーザに問い合わせることを特徴とする端末発信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−95115(P2012−95115A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240869(P2010−240869)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】