説明

端末装置及びプログラム

【課題】ユーザの煩雑な操作を必要とすることなく、複数のICカード機能の中から所望するICカード機能を容易に選択できるようにする。
【解決手段】中央制御部11は、外部装置4に近接した場合に、ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶する機能情報記憶部M2を指情報取得部19から取得した指情報に基づいて参照することによって、複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択し、このICカード機能の所定の処理を外部装置4との間で実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置に近接した際に近距離通信によって当該外部装置との間で所定の処理を実行するICカード機能を複数備える端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの端末装置においては、買物をする際に電子決済処理を実行するICカード機能、交通機関での乗車券処理や定期券処理を実行するICカード機能、施設の入り口などで個人認証処理を実行するICカード機能などのように、所定の処理を近距離通信によって外部装置との間で実行するICカード機能が複数搭載されている。また、電子決済処理を実行するICカード機能であってもユーザが複数の電子決済サービス会社と契約することによって、電子決済処理を実行するICカード機能が複数搭載されている場合もある。また、電子決済処理に限らず、乗車券処理、定期券処理、個人認証処理なども同様に、類似の処理を実行するICカード機能が複数搭載されている場合もある。なお、これらのICカード機能は、一般にプログラムとして、インターネットなどの通信網を介して端末装置にダウンロードすることができるようになっている。
【0003】
上述のように複数のICカード機能が搭載されている端末装置においては、それら複数のICカード機能の中から利用するICカード機能をユーザ操作によって選択しなければならない。例えば、店で買物をするときには、店の決済用の外部装置に端末装置を近づける前に、予め今回の電子決済に利用するICカード機能をユーザ操作によって選択しておく必要がある。このようにユーザ操作によってICカード機能を選択するのは煩雑である。特にICカード機能を頻繁に利用するような場合に毎回ユーザ操作を行うことは非常に煩雑なものとなる。
【0004】
ところで、従来では、特許文献1のように複数の機能の中から目的とする機能を迅速かつ簡単に選択することができる携帯端末装置が開示されている。この携帯端末装置では、複数のアプリケーション機能の中から主アプリケーション機能と、その主アプリケーション機能に関連付ける関連付けアプリケーション機能とをユーザ操作によって選択し、両者を対応付けて記憶しておくことによって、以降は、主アプリケーション機能が利用された場合に、その主アプリケーション機能に関連付けて記憶されている関連付けアプリケーション機能を優先的に選択可能な様態で選択画面に表示するようにしている。なお、特許文献1では、電子決済機能や乗車券機能などの個別の機能を「アプリケーション機能」と称し、それらの総称を「ICカード機能」と称している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−076958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した先行技術の携帯端末装置では、事前の設定として、主アプリケーション機能と関連付けアプリケーション機能とを対応付けて記憶しておくようにしているため、ユーザ操作が煩雑となり、また、アプリケーション機能を利用する際には、関連付けアプリケーション機能が選択画面に表示されるだけなので、結局は選択するためのユーザ操作が必要になってしまう。
【0007】
この発明の課題は、ユーザの煩雑な操作を必要とすることなく、複数のICカード機能の中から所望するICカード機能を容易に選択できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の端末装置は、外部装置に近接した際に近距離通信によって当該外部装置との間で所定の処理を実行するICカード機能を複数備える端末装置であって、ユーザの指情報を取得する取得手段と、前記外部装置に近接した場合に、前記取得手段にユーザの指が接触しているか否かを判別する第1判別手段と、前記第1判別手段によって接触していると判別された場合に、前記ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶する記憶手段を前記取得手段によって取得された指情報に基づいて参照することによって、前記複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択する第1選択手段と、この第1選択手段によって選択されたICカード機能の前記所定の処理を前記外部装置との間で実行する実行手段と、を具備したことを特徴とする端末装置である。
【0009】
本発明のプログラムは、コンピュータに対して、ユーザの指情報を取得する機能と、外部装置に近接した場合に、指情報を取得する領域に前記ユーザの指が接触しているか否かを判別する機能と、前記ユーザの指が接触していると判別された場合に、前記ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶する記憶手段を前記取得された指情報に基づいて参照することによって、複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択する機能と、前記選択されたICカード機能の所定の処理を前記外部装置との間で実行する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ユーザの煩雑な操作を必要とすることなく、指情報を取得するだけで、複数のICカード機能の中から所望するICカード機能を容易に選択することができ、操作性を大幅に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】端末装置として適用した携帯電話機が利用可能な通信ネットワークシステムを示したブロック図。
【図2】携帯電話機1の外観図で、(1)は、操作部筐体1Aと表示部筐体1Bとの折り畳みを開いたオープンスタイルを示した図、(2)は、操作部筐体1Aと表示部筐体1Bとを折り畳んだクローズスタイルを示した図。
【図3】携帯電話機1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図4】機能情報記憶部M2を説明するための図。
【図5】指情報記憶部M3を説明するための図。
【図6】報知情報記憶部M4を説明するための図。
【図7】優先順位情報記憶部M5を説明するための図。
【図8】電源投入に伴って実行開始される携帯電話機1の全体動作を示したフローチャート。
【図9】ICカード機能処理(図8のステップA12)を詳述するためのフローチャート。
【図10】「手動フラグ」が“1”のICカード機能が存在する場合に実行開始される処理A(図9のステップB3)を詳述するためのフローチャート。
【図11】「手動フラグ」が“1”のICカード機能が存在していない場合に実行開始される処理B(図9のステップB4)を詳述するためのフローチャート。
【図12】外部装置4に近接された際に、指センサF1あるいは指センサF2に指を接触させていない場合に実行開始される処理C(図9のステップB5)を詳述するためのフローチャート。
【図13】指に対応付けてICカード機能を記憶させる記憶処理(図12のステップE8)を詳述するためのフローチャート。
【図14】複数のICカード機能が選択候補としてメニュー表示されている選択画面を示した図。
【図15】ICカード機能と指情報とを対応付けて機能情報記憶部M2に記憶させた場合の記憶結果報知画面を示した図。
【図16】ICカード機能として電子決済処理を実行した場合の実行結果報知画面を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜図17を参照して本発明の実施形態を説明する。
この実施形態は、端末装置として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機が利用可能な通信ネットワークシステムを示したブロック図である。
携帯電話機1には、音声通話機能(電話機能)、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、ICカード機能などが備えられている。ICカード機能は、非接触通信のような近距離通信によって、外部装置との間で例えば、電子決済処理(電子マネー処理など)、乗車券処理(定期券処理も含む)、個人認証処理(電子チケット処理、身分証明書処理など)の各種処理を実行する。
【0013】
なお、ICカード機能で利用される近距離通信としては、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信などの非接触タイプの通信であってもよいし、接触タイプの通信であってもよい。また、上述したように特許文献1では、電子決済機能、乗車券機能、個人認証機能などの総称を「ICカード機能」としているが、この実施形態では、電子決済機能、乗車券機能、個人認証機能などの個別の機能を「ICカード機能」と称し、それらの総称を「複数のICカード機能」とする。
【0014】
携帯電話機1は、最寄りの基地局2A、交換機2Bから無線通信網(移動体通信網)2に接続されると、この無線通信網2を介して他の携帯電話機1との間で通話可能状態となる。また、携帯電話機1は、無線通信網2を介してインターネット3に接続されると、Webサイトをアクセスして閲覧可能な状態となる。また、携帯電話機1は、外部装置4に近接した際に、近距離通信によって当該外部装置4との間で所定の処理を実行する。この外部装置4は、電子決済機、自動改札機、個人認証機であり、インターネット3を介して乗車券機能サーバ5、電子決済サーバ6、個人認証サーバ7に接続されている。なお、乗車券機能サーバ5、電子決済サーバ6、個人認証サーバ7は、携帯電話機1と外部装置4との間で実行される処理として、対応する乗車券処理、電子決済処理、個人認証処理を制御するほか、ICカード機能として、対応する乗車券処理プログラム、電子決済処理プログラム、個人認証処理プログラムをインターネット3を介して携帯電話機1側に提供するようにしている。
【0015】
図2は、携帯電話機1の外観図である。
携帯電話機1は、その機器本体を構成する操作部筐体1Aと表示部筐体1Bとを折り畳み自在に開閉可能なもので、図2(1)は、操作部筐体1Aと表示部筐体1Bとの折り畳みを開いたオープンスタイルを示している。操作部筐体1Aの内側にはキーボードKBが配設され、表示部筐体1Bの内側の略全域にはメイン画面MDが配設されている。このキーボードKBに配設されている決定/カーソルボタンDCの上面には指センサF1が設けられている。
【0016】
指センサF1は、指紋センサによって構成され、決定/カーソルボタンDCをタッチ操作した際に、その指情報を取得するもので、指紋の凹凸に応じた電荷量を電圧値に変換したデジタル画像(指紋パターン)を指情報として取得するようにしている。なお、指情報は、指紋、指の種類、指の血管、指の本数などであるが、この実施形態では指紋や指の種類を指情報としている。図2(2)は、操作部筐体1Aと表示部筐体1Bとを折り畳んだクローズスタイルを示している。表示部筐体1Bの外側にはサブ画面SDが配設されている。このサブ画面SDの略全域には透明な指センサF2が設けられている。この指センサF2は、サブ画面SDに指が接触された際に、上述の指センサF1と同様に指情報を取得する指紋センサを構成するほか、サブ画面SDの上に表示されるタッチボタン用のタッチパネルを構成する。
【0017】
図3は、携帯電話機1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
中央制御部11は、ROM12内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機1の全体動作を制御する中央演算処理装置などを有している。ROM12は、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図8〜図13に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納されている。RAM13は、ワーク領域を有する内部メモリで、ユーザの各指に対応付けて予め登録されている指紋情報を指情報として記憶する指紋登録部M1のほか、後述する機能情報記憶部M2、指情報記憶部M3、報知情報記憶部M4、優先順位情報記憶部M5などを有している。指紋登録部M1は、各指(例えば、10本の指)の個々に対応して指の種類を示す情報(指情報ID)と共に、その指から採取した指紋情報を記憶する構成となっている。
【0018】
無線通信部14は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などの動作時に、最寄りの基地局2Aとの間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調した後、音声信号処理部15を介して送話スピーカSPから音声出力させ、また、受話マイクMCからの入力音声データを音声信号処理部15から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化した後、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。
【0019】
近距離通信部16は、外部装置4から送信される電波によって電磁誘導される起電力を動作電力とし、外部装置4との間で微弱電波を利用してデータの送受信を行うことによって、乗車券処理、電子決済処理、個人認証処理などを行う。表示部17は、上述したメイン画面MD、サブ画面SDを有し、それらの表示動作を制御するもので、高精細液晶あるいは有機ELなどを使用し、例えば、文字情報、待受画像などを表示させる。操作部18は、上述したキーボードKB、サブ画面SDに設けられたタッチパネルを有し、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、中央制御部11は、入力操作信号に応じた処理を実行する。
【0020】
指情報取得部19は、決定/カーソルボタンDCの上に設けられた指センサF1と、サブ画面SDの上に設けられた指センサF2とを有し、それらの読み取り動作を制御するもので、指センサF1あるいは指センサF2によって読み取られた指情報(指紋情報)を中央制御部11に与える。ここで、中央制御部11は、今回のタッチ操作で得られた指紋情報と指紋登録部M1に予め登録されている登録指紋情報との特徴部分(例えば、指紋中心点、分岐点、端点、三角州など)を比較し、両者が特徴的に一致するか否かに基づいて接触された指の種類を特定するようにしている。
【0021】
RTC(リアルタイムクロックモジュール)20は、時計部を構成するもので、中央制御部11は、RTC20から現在日時を取得する。報知部21は、サウンドスピーカ21A、LED(発光ダイオード)21B、振動モータ21Cを備え、着信時に駆動されて着信報知を行うほか、アラーム報知時にも駆動される。
【0022】
図4は、機能情報記憶部M2を説明するための図である。
機能情報記憶部M2は、ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶するもので、「機能ID」、「機能名」、「プログラム」、「関連情報」、「指情報ID」、「手動フラグ」の各項目を有している。「機能ID」はICカード機能を識別する識別情報(一連Noなど)であり、「機能名」は、例えば、“電子決済A”、“電子決済B”、“電子決済C”、“個人認証A”、“個人認証B”のように、そのICカード機能の名称を示している。「プログラム」は、ICカード機能を構成する電子決済プログラム、個人認証プログラムなどであり、「関連情報」は、残高など、その機能に必要な各種の関連情報である。「指情報ID」は、ユーザの両手の各指のうち、どの指(種類)を示すかの指識別情報である。「手動フラグ」は、複数のICカード機能の中からユーザ操作によって選択されたICカード機能を特定するためのフラグで、“1”はユーザ操作によって選択されたICカード機能であることを示している。
【0023】
このようにICカード機能と指情報との対応付けが機能情報記憶部M2に記憶されている状態において、中央制御部11は、携帯電話機1が外部装置4に近接した際に、指情報取得部19から取得した指情報に基づいて複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択し、このICカード機能の所定の処理(例えば、乗車券処理、電子決済処理、個人認証処理)を外部装置4との間で実行するようにしている。例えば、ユーザがクローズスタイルの状態においてサブ画面SDの略全域に配置されている透明な指センサF2を任意の指で接触しながら外部装置4にかざすと(近接させると)、中央制御部11は、その指に対応付けられている何れか一つのICカード機能を起動対象として選択した後、当該ICカード機能を起動させるようにしている。例えば、選択されたICカード機能が電子決済機能であれば、その決済処理を実行するようにしている。また、サブ画面SDに接触されている間、その実行結果(決済結果)を報知するようにし、その接触を離した際に、実行結果の報知を停止するようにしている。
【0024】
図5は、指情報記憶部M3を説明するための図である。
指情報記憶部M3は、「指情報ID」、「実データ」、「報知ID」の各項目を有する構成で、「指情報ID」は、上述のように機能情報記憶部M2にリンクされている指識別情報で、この機能情報記憶部M2のほか、予め登録されている各指の指紋情報を記憶する指紋登録部M1にもリンクされている。すなわち、指紋登録部M1は、「指情報ID」に対応付けてユーザの指紋情報を記憶する構成で、この指紋登録部M1内の「指情報ID」と指情報記憶部M3内の「指情報ID」とを介してICカード機能と指情報(指紋情報)とが対応付けられている。「実データ」は、指の種類を示すデータである。「報知ID」は、報知方法を識別する識別情報である。本実施形態では、どのICカード機能にどのような指が対応付けられているかの対応関係を報知する場合に、指の種類毎に報知方法を異ならせるために、複数の報知方法を有している。
【0025】
図6は、報知情報記憶部M4を説明するための図である。
報知情報記憶部M4は、どのICカード機能にどの指が対応付けられているかの対応関係を報知するための報知情報を記憶するもので、中央制御部11は、ICカード機能と指情報とを対応付けて機能情報記憶部M2に記憶させた際に、その記憶結果を報知するようにしている。この場合、報知情報記憶部M4の内容に基づいて指毎に画面全体の色(背景色)などを変えて表示させるようにしている。すなわち、報知情報記憶部M4は、「報知ID」、「内容」を記憶する構成で、「報知ID」は、報知方法を識別する識別情報であり、「内容」は、画面を着色する色や点滅状態などである。
【0026】
図7は、優先順位情報記憶部M5を説明するための図である。
優先順位情報記憶部M5は、機能情報記憶部M2にICカード機能と指情報とを対応付けて記憶させる場合に、その対応付けを新たに記憶させるか否かを指定する指示情報として優先順位情報する。すなわち、優先順位情報記憶部M5は、今回のICカード機能と指情報との対応付け記憶を有効とするか否かを予めユーザ操作によって指定された指示情報として優先順位情報を記憶するもので、「項目」、「内容」、「設定フラグ」の各項目を有し、この「項目」が示す優先順位として、その「内容」には“先優先”と“後優先”が記憶されている。
【0027】
“先優先”は、ICカード機能と指情報との対応付けが既に記憶されている場合に、その対応付けを書き替えずにそのまま優先すべきことを示している。また、“後優先”は、ICカード機能と指情報との対応付けが既に記憶されている場合でも既に記憶されている対応付けに変えて新たな対応付けに書き替えるべきことを示している。「設定フラグ」は、この“先優先”を指定するか、“後優先”を指定するかを示すもので、ユーザ操作によって任意に指定可能となっている。なお、図示の例では、“先優先”に対応する「設定フラグ」が“1”で、ユーザ操作によって“先優先”が選択指定されていることを示している。
【0028】
次に、この実施形態における携帯電話機の動作概念を図8〜図13に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0029】
図8は、電源投入に伴って実行開始される携帯電話機1の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、電源を投入する電源オン操作が行われると(ステップA1でYES)、電源供給を開始させて所定のメモリなどを初期化する電源オン処理を実行した後(ステップA2)、所定の待受画像を読み出して表示させたり、基地局2Aとの間で通信を行って位置登録をしたりする待受処理を行う(ステップA3)。そして、操作部18をアクセスして操作有無をチェックしたり(ステップA4、A5、A8、A9)、近距離通信部16をアクセスして外部装置4に近接検出されたかをチェックしたり(ステップA6)、無線通信部14をアクセスして着信検出の有無をチェックしたりする(ステップA7)。
【0030】
いま、情報設定を指示する設定操作が行われたときには(ステップA4でYES)、その設定操作に応じた設定処理に移り、例えば、報知情報記憶部M4、優先順位情報記憶部M5に対して報知情報、優先順位情報の設定を行ったり、無線通信網2、インターネット3を介してICカード機能(例えば、乗車券処理プログラム、電子決済処理プログラム、個人認証処理プログラムなど)をダウンロードして登録したりする(ステップA10)。また、複数のICカード機能が選択候補としてメニュー表示されている選択画面(図14参照)の中から所望するICカード機能を起動対象として選択する選択操作が行われると(ステップA5でYES)、ユーザ選択されたICカード機能に基づいて機能情報記憶部M2を検索し、そのICカード機能に対応する「手動フラグ」を“1”とする(ステップA11)。なお、図14の選択画面は、サブ画面SDに表示されるもので、図示の例では、“電子決済B”を選択した場合を示している。そして、この選択画面には複数のICカード機能の中から所望するICカード機能を選択すべきことを示すメッセージと共に、指で選択画面を接触しながら外部装置4に近づけるべき旨のメッセージが表示される。
【0031】
また、外部装置4への近接を検出すると(ステップA6でYES)、後述するICカード機能処理に移る(ステップA12)。また、着信を検出すると(ステップA7でYES)、回線接続に応じて通話可能状態とする通話処理を行い(ステップA13)、電源オフ操作が行われると(ステップA8でYES)、電源オフ処理を行い(ステップA14)、その他の操作として、例えば、発信操作やメール送信操作などが行われると(ステップA9でYES)、その操作に応じた処理として、発信処理、メール送信処理などを行う(ステップA15)。
【0032】
図9は、ICカード機能処理(図8のステップA12)を詳述するためのフローチャートであり、図10〜図13は、このICカード機能処理の一部の処理(処理A/処理B/処理C/記憶処理)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、外部装置4に近接した際に、中央制御部11は、ユーザの指が指情報取得部19を構成する指センサF1、F2の何れかに接触されているかを調べる(図9のステップB1)。すなわち、指センサF1、F2によって採取された指紋情報に基づいて指紋登録部M1を参照し、登録されている指紋情報と採取した指紋情報とを照合することによって指センサF1あるいは指センサF2にユーザの指が接触されているかを調べる。この場合、指の接触を検出したときには、指紋登録部M1を参照することによって、どの指が接触されているかも併せて判別して接触された指の種類を特定するようにしている。
【0033】
いま、指を接触させながら外部装置4に近接させたときには(ステップB1でYES)、機能情報記憶部M2を検索して「手動フラグ」が“1”のICカード機能の有無を調べるが(ステップB2)、図4の例では、個人認証AのICカード機能に対応する「手動フラグ」が“1”であるから、後述する処理Aに移る(ステップB3)。また、「手動フラグ」が“1”のICカード機能が存在していなければ(ステップB2でNO)、後述する処理Bに移る(ステップB4)。また、外部装置4に近接した際に、ユーザの指が指センサF1あるいは指センサF2に接触されていなければ(ステップB1でNO)、後述する処理Cに移る(ステップB5)。
【0034】
図10は、「手動フラグ」が“1”のICカード機能が存在する場合に実行開始される処理A(図9のステップB3)を詳述するためのフローチャートである。この処理Aは、複数のICカード機能の中からユーザ操作によって何れかのICカード機能が選択されている状態(“手動フラグ=1”のICカード機能が存在している状態)において、ユーザの指を指センサF1あるいは指センサF2に接触させながら外部装置4に近接させた場合に実行開始される処理である。
先ず、中央制御部11は、どの指が接触されているかの指の種類に応じた「指情報ID」を指紋登録部M1から取得した後(ステップC1)、機能情報記憶部M2を参照し、この「指情報ID」に対応付けて、“手動フラグ=1”のICカード機能とは異なる別のICカード機能が記憶されているかを調べる(ステップC2)。
【0035】
例えば、右手の親指の接触を検出した場合に、“手動フラグ=1”のICカード機能が“電子決済A”で、右手の親指が別のICカード機能である“電子決済B”に対応付けられていれば、上述のステップC2で“NO”と判断されるが、右手の親指が何れのICカード機能にも対応して記憶されていなければ、上述のステップC2で“YES”と判断される。このように今回取得の「指情報ID」に対応付けて別のICカード機能が記憶されていなければ(ステップC2でYES)、機能情報記憶部M2を参照し、“手動フラグ=1”のICカード機能に対応付けて、今回接触された指とは異なる別の指の「指情報ID」が記憶されているかを調べる(ステップC3)。例えば、右手の親指の接触を検出した場合に、“手動フラグ=1”のICカード機能である“電子決済A”に、右手の人差し指が対応付けられていれば、上述のステップC3で“NO”と判断されるが、この“電子決済A”にはどの指も対応付けられていなかったり、右手の親指が対応付けられていたりするときには、上述のステップC3で“YES”と判断される。
【0036】
このように“手動フラグ=1”のICカード機能に対応して別の指の「指情報ID」が記憶されていなければ(ステップC3でYES)、報知情報記憶部M4を参照し、指情報記憶部M3に記憶されていない報知情報「報知ID」、つまり、未使用の「報知ID」を検索し(ステップC4)、この「報知ID」を報知情報記憶部M4から読み出すと共に、この「報知ID」と今回取得の「指情報ID」とを対応付けて指情報記憶部M3に追加記憶させる(ステップC5)。
【0037】
そして、“手動フラグ=1”のICカード機能と今回取得の「指情報ID」とを対応付けて機能情報記憶部M2に追加記憶させた後(ステップC6)、その記憶結果を報知する(ステップC7)。図15は、この記憶結果報知画面を示し、図14のようにICカード機能として“電子決済B”が選択されている場合には、指情報と「電子決済B」とを対応付けて記憶した旨のメッセージが表示される。この場合、報知情報記憶部M4を参照し、この「指情報ID」に対応する「報知ID」の「内容」で画面全体を赤色点滅などによって報知するようしている。すなわち、ICカード機能と指情報とを対応付けて機能情報記憶部M2に記憶させた場合に、その記憶結果をその指情報に基づいて区別可能に報知するようにしている。そして、“手動フラグ=1”のICカード機能を起動対象として選択した後(ステップC8)、このICカード機能に対応する「手動フラグ」を“1”から“0”に変更する(ステップC9)。
【0038】
一方、今回取得の「指情報ID」に対応付けて別のICカード機能が記憶されている場合(ステップC2でNO)、あるいは“手動フラグ=1”のICカード機能に対応付けて別の指の「指情報ID」が記憶されている場合には(ステップC3でNO)、優先順位情報記憶部M5を参照し、「設定フラグ」が“1”の優先順位として“後優先”がユーザ指定されているかを調べる(ステップC10)。いま、“後優先”が指定されている場合には(ステップC10でYES)、機能情報記憶部M2から所定の指情報を削除した後(ステップC11)、“手動フラグ=1”のICカード機能に対応付けて指情報を機能情報記憶部M2に記憶させる(ステップC6)。
【0039】
言い換えれば、ユーザ操作によって選択されたICカード機能を指情報に対応付けて機能情報記憶部M2に記憶させる際に、既にその指情報が別のICカード機能に対応付けて記憶されている状態であったり、既にそのICカード機能が別の指情報に対応付けて記憶されている状態であったりするときには、予めユーザ操作によって指定されている優先順位を参照し、それが後優先であれば、既に記憶されている指情報を削除した後、今回のICカード機能と指情報との対応付けを新たに記憶するようにしている。例えば、右手の親指の接触を検出したときに、“手動フラグ=1”のICカード機能が“電子決済B”で、右手の親指が別のICカード機能である“電子決済A”に対応付けられている場合には、“電子決済A”に対応する指情報を削除した後、“手動フラグ=1”の“電子決済B”に右手の親指を対応付けて記憶させる。また、“手動フラグ=1”の“電子決済B”に別の指(右手の人差し指)が対応付けられている場合には、この指情報(右手の差し指)を削除した後に、この“電子決済B”に右手の親指を対応付けて記憶させる。
【0040】
他方、“設定フラグ=1”の優先順位情報が“先優先”の場合(優先順位として“先優先”が指定されている場合)には(ステップC10でNO)、起動対象となるICカード機能を選択する処理を行った後(ステップC12)、「手動フラグ」を“1”から“0”に変更する処理を行う(ステップC13)。例えば、右手の親指の接触を検出したときに、“手動フラグ=1”のICカード機能が“電子決済B”で、右手の親指が別のICカード機能である“電子決済A”に対応付けられている場合には、右手の親指に対応する“電子決済A”が選択され、“電子決済B”の手動フラグが“0”となる。また、“手動フラグ=1”の“電子決済B”に別の指(右手の人差し指)が対応付けられている場合には、この“電子決済B”が選択され、この“電子決済B”の手動フラグが“0”となる。
【0041】
図11は、「手動フラグ」が“1”のICカード機能が存在していない場合に実行開始される処理B(図9のステップB4)を詳述するためのフローチャートである。この処理Bは、“手動フラグ=1”のICカード機能が存在していない状態において、ユーザの指を指センサF1あるいは指センサF2に接触させながら外部装置4に近接させた場合に実行開始される処理である。
先ず、中央制御部11は、どの指が接触されているかの指の種類に応じた「指情報ID」を指紋登録部M1から取得した後(ステップD1)、機能情報記憶部M2を参照し、この「指情報ID」にはICカード機能が対応付けて記憶されているかを調べ(ステップD2)、ICカード機能が対応付けて記憶されていれば(ステップD2でYES)、当該ICカード機能を起動対象として選択する(ステップD3)。いま、右手の親指の接触を検出した場合に、右手の親指が“電子決済B”に対応付けられていれば、この“電子決済B”が起動対象として選択される。
【0042】
また、今回接触された指に対応付けてICカード機能が記憶されていなければ(ステップD2でNO)、所望するICカード機能をユーザ操作で選択すべきことを指示する選択画面(図14参照)を表示させる(ステップD4)。ここで、ICカード機能を選択する操作が行われると(ステップD5でYES)、機能情報記憶部M2をアクセスして、ユーザ操作で選択された当該ICカード機能の“手動フラグ”を“1”に変更した後(ステップD6)、図9のステップB3に戻り、上述した処理Aの実行に移る。
【0043】
このようにして処理A(図9のステップB3)あるいは処理B(図9のステップB4)が行われると、図9のステップB6に移り、選択されたICカード機能の所定の処理として、例えば、乗車券処理、電子決済処理、個人認証処理などを外部装置4との間で実行し、その実行結果を報知(表示)させる(ステップB7)。図16は、ICカード機能として電子決済処理を実行した場合の実行結果報知画面を示したもので、この報知画面には決済年月日、決済金額、残高が表示される。この場合、指情報記憶部M3、報知情報記憶部M4を参照し、接触された指に対応する「報知ID」を読み出し、この「報知ID」で示される報知方法で画面全体を識別表示(例えば、赤色点滅表示)させる。そして、指情報取得部19を構成する指センサF1、F2から指が離れると(ステップB8でYES)、実行結果の報知を終了させる(ステップB9)。
【0044】
図12は、外部装置4に近接された際に、指センサF1あるいは指センサF2に指を接触させていない場合に実行開始される処理C(図9のステップB5)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、所望するICカード機能をユーザ操作によって選択するか、指情報取得部19を構成する指センサF1あるいは指センサF2に指を接触するかを指示する案内メッセージを表示させた後(ステップE1)、その選択操作待ち状態となる(ステップE2)。この操作待ち状態において指接触を検出したときには(ステップE9でYES)、図9のステップB2に移り、上述した場合と同様、“手動フラグ=1”のICカード機能の有無に応じて処理Aあるいは処理Bの実行に移る(ステップB2〜B4)。
【0045】
また、ICカード機能を選択する操作が行われたときには(ステップE2でYES)、このICカード機能を起動対象として選択した後(ステップE3)、上述した場合と同様に、選択されたICカード機能の所定の処理を外部装置4との間で実行すると共に(ステップE4)、その実行結果を報知する(ステップE5)。図16は、ICカード機能として電子決済処理を実行した場合の実行結果報知画面を示したもので、この報知画面には決済年月日、決済金額、残高が表示される。この場合、指接触を検出していないので、指に応じた報知は行われない。
【0046】
そして、実行結果報知を終了させた後(ステップE6)、所定時間(例えば、10秒)が経過するまで指接触の検出有無を調べ(ステップE7、E10)、所定時間が経過しても指が接触されなければ(ステップE10でYES)、この処理Cが終了して図8のステップA4に戻るが、所定時間が経過する前に指接触を検出したときには(ステップE7でYES)、指に対応付けてICカード機能を記憶させる記憶処理に移る(ステップE8)。
【0047】
図13は、指に対応付けてICカード機能を記憶させる記憶処理(図12のステップE8)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、上述した処理Aの場合と基本的に同様に、どの指が接触されているかの指の種類に応じた「指情報ID」を指紋登録部M1から取得した後(ステップF1)、この「指情報ID」に対応付けて、ユーザ選択されたICカード機能とは異なる別のICカード機能が記憶されているかを調べ(ステップF2)、別のICカード機能が記憶されていなければ(ステップF2でYES)、ユーザ選択されたICカード機能には、今回接触された指とは異なる別の指の「指情報ID」が対応付けて記憶されているかを調べる(ステップF3)。
【0048】
いま、別の指の「指情報ID」が記憶されていなければ(ステップF3でYES)、指情報記憶部M3に記憶されていない「報知ID」を検索し(ステップF4)、この「報知ID」と今回取得の「指情報ID」とを対応付けて指情報記憶部M3に追加記憶させると共に(ステップF5)、ユーザ選択のICカード機能と今回取得の「指情報ID」とを対応付けて機能情報記憶部M2に追加記憶させた後(ステップF6)、その記憶結果を報知する(ステップF7)。
【0049】
一方、今回取得の「指情報ID」に対応付けて別のICカード機能が記憶されている場合(ステップF2でNO)、あるいはユーザ選択のICカード機能に対応付けて別の指の「指情報ID」が記憶されている場合には(ステップF3でNO)、「設定フラグ」が“1”の優先順位として“後優先”がユーザ指定されているか否かを調べる(ステップF8)。ここで、“先優先”が指定されているときには(ステップF8でNO)、このフローから抜けるが、“後優先”がユーザ指定されているときには(ステップF8でYES)、機能情報記憶部M2から指情報を削除する処理を行った後(ステップF9)、上述したステップF6に移り、ICカード機能と「指情報ID」とを対応付けて記憶させる。
【0050】
以上のように、この実施形態において中央制御部11は、外部装置4に近接した場合に、指情報取得部19からの指情報に基づいて機能情報記憶部M2を参照すると共に、複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択し、このICカード機能の所定の処理を外部装置4との間で実行するようにしたので、ユーザの煩雑な操作を必要とすることなく、指情報を取得するだけで、複数のICカード機能の中から所望するICカード機能を容易に選択することができ、操作性を大幅に向上させることが可能となる。
【0051】
複数のICカード機能の中からユーザ操作によって何れかのICカード機能が選択されている状態において、指センサF1あるいは指センサF2に指を接触させて外部装置に近接させた場合に、このICカード機能と今回接触された指の指情報とを対応付けて機能情報記憶部M2に記憶させるようにしたので、次回以降、携帯電話機1を外部装置4に近接させた場合に、ユーザは煩雑な操作をする必要がなく、携帯電話機1に同じ指情報を取得させるだけで、同じICカード機能を選択させることができる。例えば、最初、ユーザ操作で何れかの電子決済機能を選択しておいた状態で、指を接触させながら外部装置4に近接させると、この電子決済機能を起動対象として選択して電子決済処理を行うが、その際、この指の指情報と電子決済機能とを対応付けて記憶するようにしたので、次回以降は、同じ指の接触によって同じ電子決済機能を起動対象として選択して電子決済処理を行うことができる。
【0052】
ICカード機能と指情報とを対応付けて機能情報記憶部M2に記憶させた場合に、その記憶結果をその指情報に基づいて区別可能に報知するようにしたので、ユーザはどの指情報に対応付けてICカード機能が記憶されたかを直感的に認識することができる。
【0053】
ユーザ操作によって選択されたICカード機能を指情報に対応付けて機能情報記憶部M2に記憶させる際に、既にそのICカード機能が別の指情報に対応付けて記憶されている状態にあれば、予めユーザ操作によって指定されている優先順位を参照し、後優先が指定されているときには今回の対応付けを新たに記憶するようにしたので、指情報を重複して記憶してしまうことを効果的に防止することができる。
【0054】
ユーザ操作によって選択されたICカード機能を指情報に対応付けて記憶する際に、このICカード機能とは別のICカード機能がその指情報に対応付けて記憶されている状態にあれば、予めユーザ操作によって指定されている優先順位を参照し、後優先が指定されているときには今回の対応付けを新たに記憶するようにしたので、指情報を重複して記憶してしまうことを効果的に防止することができる。
【0055】
ICカード機能の所定の処理を外部装置4との間で実行した場合に、ユーザが指を指センサF1あるいは指センサF2に接触している間、その実行結果を報知するようにしたので、煩雑な操作を必要とすることなく、ユーザは実行結果の報知する時間を指定することができるほか、第三者に実行結果を知られることを防止することができる。
【0056】
クローズスタイルの状態で携帯電話機1をユーザが把持して外部装置4に近接させた際に、指が当たるサブ画面SDの位置に指センサF2を配設するようにしたので、携帯電話機1をユーザが把持して外部装置4に近接させるだけで、ICカード機能を選択することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態においては、記憶結果報知と実行結果報知とを行う場合を例示したが、ICカード機能を選択した際の選択結果を指情報に基づいて区別可能に報知するようにしてもよい。これによってユーザはどの指情報に応じてICカード機能が選択されたかを直感的に認識することができる。特に、ICカード機能を指情報に対応付けて記憶した際の記憶結果と、ICカード機能を選択した際の選択結果とを、同じ指情報であれば同じ報知方法にすることによって、煩雑な操作を必要とすることなく、ユーザはどの指情報に基づいてICカード機能が記憶されたのか、選択されたのかを直感的に認識することができる。
【0058】
なお、上述した実施形態においては、指情報として指紋や指の種類を示したが、指の血管情報、指の本数情報などであってもよく、また、指紋情報、指の種類、指の血管情報、指の本数情報のうち、それら2以上を組み合わせたものを指情報としてもよい。このように指情報を指紋情報、指の血管情報とすることによって、ユーザを第三者と区別することが可能となるため、第三者による不正利用を防止することができ、また、指情報として指の本数情報、指の種類を示す情報とすることによって、指情報の取得を簡易的に行うことができる。
【0059】
また、上述した実施形態においては、ユーザの各指に対応付けて予め登録されている指紋情報を記憶する指紋登録部M1を設け、中央制御部11は、指センサF1、F2によって採取された指紋情報に基づいて指紋登録部M1を参照し、登録されている指紋情報と採取した指紋情報とを照合することによって指センサF1あるいは指センサF2にユーザの指が接触されているかを判別すると共に、接触された指の種類を特定するようにしたが、予めユーザの指紋情報を指紋登録部M1に登録しておかなくてもよい。
【0060】
すなわち、上述した実施形態においては、指情報取得部19の「実データ」に指の種類を記憶するようにしたが、この「実データ」に指紋情報を記憶しておき、外部装置4に近接させた際に取得した指紋情報に基づいて指情報取得部19の「実データ」を検索し、その結果、何れかの指紋情報に合致した場合には、それに対応するICカード機能を起動対象として選択するようにしてもよい。この際、指情報取得部19の「実データ」に正確な指紋情報が記憶されるように、その内容を更新するようにしてもよい。すなわち、外部装置4に近接させた際に取得した指紋情報と指情報取得部19の記憶されている指紋情報との優劣を比較し、今回取得した指紋情報のほうが良好であれば、指情報取得部19内の該当する指紋情報に置き換えて今回取得した指紋情報を記憶させるようにしてもよい。このようにユーザの指紋情報を予め登録する必要がないので、事前準備の必要がなくなる。
【0061】
また、上述した実施形態においては、外部装置4に近接した際に指情報を取得するようにしたが、指情報を取得するタイミングは、外部装置4に近接する前であってもよい。すなわち、指が指センサF1あるいは指センサF2に接触されたことを検出した際に、指情報を取得して一時記憶しておき、外部装置4への近接を検出した際に、一時記憶されている指情報を読み出すようにしてもよい。また、指センサF1は、決定/カーソルボタンDCに配置し、指センサF2は、サブ画面SDに配置したが、指で接触しやすい位置であれば、その位置に限らない。
【0062】
また、上述した実施形態においては、上述した記憶結果報知と実行結果報知を行う場合に画面全体の点滅表示を行うようにしたが、それらの報知方法は任意であり、例えば、画面の一部の色を変えたり、音や振動によって報知したりするなど、指に応じて区別可能な報知であればよい。更に、ユーザ操作あるいは定期的に機能情報記憶部M2の内容を読み出して一覧表示させてもよい。
【0063】
その他、上述した実施形態においては、ICカード機能として電子決済機能、乗車券機能、個人認証機能を示したが、任意のICカード機能であってもよい。
また、携帯電話機に限らず、例えば、パーソナルコンピュータ、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤーなどの端末装置であっても同様に適用可能である。
【0064】
以下、本発明の特徴を付記する。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
付記1記載の発明は、
外部装置4に近接した際に近距離通信によって当該外部装置4との間で所定の処理を実行するICカード機能を複数備える端末装置1であって、
ユーザの指情報を取得する取得手段19と、
前記外部装置4に近接した場合に、前記取得手段19にユーザの指が接触しているか否かを判別する第1判別手段11、A6、B1と、
前記第1判別手段11によって接触していると判別された場合に、前記ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶する記憶手段M2を前記取得手段19によって取得された指情報に基づいて参照することによって、前記複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択する第1選択手段11、B1、D1、D2、D3と、
この第1選択手段によって選択されたICカード機能の前記所定の処理を前記外部装置との間で実行する実行手段11と、
を具備したことを特徴とする端末装置である。
【0065】
(付記2)
前記取得手段は、当該端末装置に配設された指情報取得センサを含み、
当該端末装置をユーザが把持して前記外部装置に近接させた状態において、当該端末装置に指が当たる位置に前記指情報取得センサを配設する、
ことを特徴とする付記1記載の端末装置である。
【0066】
(付記3)
前記複数のICカード機能の中からユーザ操作によって何れかのICカード機能を選択する第2選択手段を更に備え、
前記実行手段は、前記第1判別手段によって前記取得手段にユーザの指が接触していないと判別された場合に、前記第2選択手段によって選択されたICカード機能の前記所定の処理を前記外部装置との間で実行する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の端末装置である。
【0067】
(付記4)
前記第1判別手段によって前記取得手段にユーザの指が接触していないと判別された場合に、前記取得手段に指を接触する旨を示する案内メッセージを表示させる表示手段と、
前記表示手段によって案内メッセージが表示された場合に、前記取得手段にユーザの指が接触しているか否かを判別する第2判別手段と、
を更に備え、
前記第1選択手段は、前記第2判別手段によって接触していると判別された場合に、前記ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶する記憶手段を前記取得手段によって取得された指情報に基づいて参照することによって、前記複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の端末装置である。
【0068】
(付記5)
前記実行手段によって前記所定の処理が実行された場合に、前記取得手段にユーザの指が接触しているか否かを判別する第3判別手段と、
前記第3判別手段によって接触していると判別された場合に、前記実行手段によって所定の処理を実行したICカード機能と前記取得手段によって取得された指情報とを対応付けて前記記憶手段に記憶する記憶制御手段と、
を更に備えることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の端末装置である。
【0069】
(付記6)
コンピュータに対して、
ユーザの指情報を取得する機能と、
外部装置に近接した場合に、指情報を取得する領域に前記ユーザの指が接触しているか否かを判別する機能と、
前記ユーザの指が接触していると判別された場合に、前記ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶する記憶手段を前記取得された指情報に基づいて参照することによって、複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択する機能と、
前記選択されたICカード機能の所定の処理を前記外部装置との間で実行する機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0070】
1 携帯電話機
2 無線通信網
3 インターネット
4 外部装置
5 乗車券機能サーバ
6 電子決済サーバ
7 個人認証サーバ
11 中央制御部
12 ROM
14 無線通信部
16 近距離通信部
17 表示部
18 操作部
19 指情報取得部
21 報知部
1A 操作部筐体
1B 表示部筐体
MD メイン画面
SD サブ画面
F1、F2 指センサ
M1 指紋登録部
M2 機能情報記憶部
M3 指情報記憶部
M4 報知情報記憶部
M5 優先順位情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に近接した際に近距離通信によって当該外部装置との間で所定の処理を実行するICカード機能を複数備える端末装置であって、
ユーザの指情報を取得する取得手段と、
前記外部装置に近接した場合に、前記取得手段にユーザの指が接触しているか否かを判別する第1判別手段と、
前記第1判別手段によって接触していると判別された場合に、前記ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶する記憶手段を前記取得手段によって取得された指情報に基づいて参照することによって、前記複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択する第1選択手段と、
この第1選択手段によって選択されたICカード機能の前記所定の処理を前記外部装置との間で実行する実行手段と、
を具備したことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記取得手段は、当該端末装置に配設された指情報取得センサを含み、
当該端末装置をユーザが把持して前記外部装置に近接させた状態において、当該端末装置に指が当たる位置に前記指情報取得センサを配設する、
ことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記複数のICカード機能の中からユーザ操作によって何れかのICカード機能を選択する第2選択手段を更に備え、
前記実行手段は、前記第1判別手段によって前記取得手段にユーザの指が接触していないと判別された場合に、前記第2選択手段によって選択されたICカード機能の前記所定の処理を前記外部装置との間で実行する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記第1判別手段によって前記取得手段にユーザの指が接触していないと判別された場合に、前記取得手段に指を接触する旨を示する案内メッセージを表示させる表示手段と、
前記表示手段によって案内メッセージが表示された場合に、前記取得手段にユーザの指が接触しているか否かを判別する第2判別手段と、
を更に備え、
前記第1選択手段は、前記第2判別手段によって接触していると判別された場合に、前記ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶する記憶手段を前記取得手段によって取得された指情報に基づいて参照することによって、前記複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項5】
前記実行手段によって前記所定の処理が実行された場合に、前記取得手段にユーザの指が接触しているか否かを判別する第3判別手段と、
前記第3判別手段によって接触していると判別された場合に、前記実行手段によって所定の処理を実行したICカード機能と前記取得手段によって取得された指情報とを対応付けて前記記憶手段に記憶する記憶制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の端末装置。
【請求項6】
コンピュータに対して、
ユーザの指情報を取得する機能と、
外部装置に近接した場合に、指情報を取得する領域に前記ユーザの指が接触しているか否かを判別する機能と、
前記ユーザの指が接触していると判別された場合に、前記ICカード機能と指情報とを対応付けて記憶する記憶手段を前記取得された指情報に基づいて参照することによって、複数のICカード機能の中から何れかのICカード機能を選択する機能と、
前記選択されたICカード機能の所定の処理を前記外部装置との間で実行する機能と、
を実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−80474(P2013−80474A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224866(P2012−224866)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2008−110301(P2008−110301)の分割
【原出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】