説明

第VIIおよび第VIIa因子組成物

本発明は、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントおよび緩衝剤としてヒスチジンを含んでなる安定化組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本願は、2006年12月20日に出願された米国仮特許出願第60/870,948号への優先権およびその利益を請求し、その開示は全ての目的のためにその全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントの貯蔵安定性組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
血液凝固カスケードにおける重要な血液凝固タンパク質、第VII因子(FVII)は、肝臓において合成されそして50キロダルトン(kDa)の分子量を有する一本鎖糖タンパク質として血液中に分泌されるビタミンK依存性血漿タンパク質である。FVIIチモーゲンは、単一部位R152−I153でのタンパク質分解切断により活性型第VIIa因子(FVIIa)に転化され、単一のジスルフィド架橋により連結された2本鎖をもたらす。組換ヒトFVIIaは、NovoSeven(R)の名称でNovo Nordiskから市販されており、そして出血エピソードの処置に、例えば血友病もしくは外傷において使用され、血液凝固/凝血を促進する。ヒトFVIIもしくはFVIIaの組換えで製造されたバリアントもまた、報告されている。
【0004】
NovoSeven(R)は、使用前に再構成されなければならない凍結乾燥したFVIIa製品である。NovoSeven(R)のバイアル(1.2mg)は、1.2mgの組換えヒトFVIIa(rhFVIIa)、5.84mgのNaCl、2.94mgのCaCl,2HO、2.64mgのグリシルグリシン、0.14mgのポリソルベート80および60.0mgのマンニトールを含有し;それは2.0mlの注射用水によりpH5.5に再構成される。再構成されると、該タンパク質は使用のために2〜8℃で24時間安定である。
【0005】
使いやすさのために液体形態でFVII/FVIIaのような治療用タンパク質を提供できることは一般に好都合であるが、乾燥形態とは対照的に液体形態のタンパク質の減少した安定性のために、そのようなタンパク質は、十分な長期貯蔵安定性を得るために乾燥形態、例えば凍結乾燥(lyophilized)(凍結乾燥(freeze−dried))形態で提供されることが多い。貯蔵中のタンパク質の不安定性は、変性もしくは凝集の結果としての物理的不安定性、および加水分解、アミド分解もしくは酸化の結果としての化学的不安定性を包含する様々な原因を有し得る。この化学的および/もしくは物理的分解の結果には、FVII活性のかなりの喪失だけでなく、タンパク質凝集体の存在に起因する免疫原性反応も包含することができる。さらに、自己タンパク質分解ドメインを有するタンパク質およびペプチドは、液体投与形態物における貯蔵の際に自己消化する傾向があるので、これらによって特別な課題が提示される。
【0006】
FVII/FVIIaタンパク質の凍結乾燥製剤は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4に記述される。FVII/FVIIaの様々な組成物もしくは製剤が既知であるが、まだ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 01/12653
【特許文献2】WO 03/092731
【特許文献3】WO 2004/000347
【特許文献4】WO 2005/058283
【発明の概要】
【0008】
[発明の要約]
1つの態様において、本発明は、再構成組成物におけるヒスチジンの濃度が少なくとも約5ミリモル(mM)である、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチド(例えば、rhFVIIもしくはrhFVIIa)および緩衝剤としてヒスチジンを含んでなる、水での再構成に適当な凍結乾燥組成物を提供する。組成物は、賦形剤もしくは担体を含んでなることができる。ある態様において、組成物は、再構成組成物におけるヒスチジンの濃度が少なくとも約5mMである、製薬学的に許容しうる賦形剤もしくは担体および第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドおよび緩衝剤としてヒスチジンを含んでなる製薬学的組成物である。
【0009】
別の態様において、本発明は、再構成組成物におけるヒスチジンの濃度が少なくとも約5mMである、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドバリアント(例えば、本明細書に記述されるような凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント)および緩衝剤としてヒスチジンを含んでなる、水での再構成に適した凍結乾燥組成物を提供する。組成物は、賦形剤もしくは担体を含んでなることができる。ある態様において、そのような組成物は、再構成組成物におけるヒスチジンの濃度が少なくとも約5mMである、製薬学的に許容しうる賦形剤もしくは担体および第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドバリアント(例えば、本明細書に記述されるような凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント)および緩衝剤としてヒスチジンを含んでなる製薬学的組成物である。
【0010】
別の態様において、本発明は、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチド(例えば、rhFVIIもしくはrhFVIIa)を含んでなる貯蔵安定性組成物を製造する方法を提供し、該方法は、ヒスチジン緩衝剤および水と第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドの混合物を準備して少なくとも5mMのヒスチジン濃度を有する水性組成物をもたらすこと、および得られる水性組成物を凍結乾燥に供して凍結乾燥組成物をもたらすことを含んでなる。組成物は、賦形剤もしくは担体を含んでなることができる。ある態様において、そのような組成物は製薬学的に許容しうる賦形剤もしくは担体を含んでなる製薬学的組成物である。
【0011】
別の態様において、本発明は、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドバリアント(例えば、本明細書に記述されるような凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント)を含んでなる貯蔵安定性組成物を製造する方法を提供し、該方法は、ヒスチジン緩衝剤および水と第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドバリアントの混合物を準備して少なくとも5mMのヒスチジン濃度を有する水性組成物をもたらすこと、および得られる水性組成物を凍結乾燥に供して凍結乾燥組成物をもたらすことを含んでなる。組成物は、賦形剤もしくは担体を含んでなることができる。ある態様において、そのような組成物は製薬学的に許容しうる賦形剤もしくは担体を含んでなる製薬学的組成物である。
【0012】
別の態様において、本発明は、組成物が水で再構成されている、FVIIもしくはFVIIaポリペプチド(例えば、rhFVIIもしくはrhFVIIa)またはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント(例えば、本明細書に記述されるような凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント)を含んでなる本発明の組成物の治療的に有効な量を処置もしくは予防を必要とする患者に投与することを含んで
なる、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの投与により処置できる症状を処置するかもしくは予防する方法を提供する。
【0013】
別の態様において、本発明は、賦形剤もしくは担体および哺乳類における血餅形成を増加するために有効な量の活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチド(例えば、rhFVIIもしくはrhFVIIa)またはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含んでなる本発明の組成物を哺乳類に投与することを含んでなる、増加した血餅形成が望ましい疾患もしくは症状を有する哺乳類における血餅形成を増加する方法を提供する。
【0014】
本発明のさらなる態様は、以下に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】同じ温度で貯蔵した液体形態の同じ組成物および対照として−80℃で貯蔵した同一の凍結乾燥組成物と比較した40℃で28日間貯蔵後の本発明の組成物の、本明細書に記述される「第X因子活性化アッセイ」を用いて決定される、FVIIa活性(U/mg)を示す(T0、T7、T14、T21、T28=それぞれ、0、7、14、21および28日で行われた分析)。
【図2】同じ温度で貯蔵した液体形態の同じ組成物および対照として−80℃で貯蔵した同一の凍結乾燥組成物と比較した40℃で28日間貯蔵後の本発明の組成物における、SEC−HPLCにより決定される、凝集タンパク質の量(ダイマーおよびポリマーパーセントにおける)を示す。
【図3】同じ温度で貯蔵した液体形態の同じ組成物および対照として−80℃で貯蔵した同一の凍結乾燥組成物と比較した40℃で28日間貯蔵後の本発明の組成物における、RP−HPLCにより決定される、酸化タンパク質のパーセンテージを示す。
【図4】同じ温度で貯蔵した液体形態の同じ組成物および対照として−80℃で貯蔵した同一の凍結乾燥組成物と比較した40℃で28日間貯蔵後の本発明の組成物における、RP−HPLCにより決定される、重鎖分解のパーセンテージを示す。
【図5】異なる温度で1年までの間貯蔵後の本発明の組成物における、本明細書に記述されるPACTアッセイにより決定される、相対効能を示す。
【図6】異なる温度で1年までの間貯蔵後の本発明の組成物における、SEC−HPLCにより決定される、凝集タンパク質の量(ダイマーおよびポリマーパーセントにおける)を示す。
【図7】−80℃で貯蔵した同じ組成物に対する5℃、25℃および40℃の温度で1年までの間貯蔵後の本発明の組成物における、RP−HPLCにより決定される、重鎖分解度を示す。
【図8】異なる温度で1年までの間貯蔵後の本発明の組成物における、下記の通り決定される、オスモル濃度を示す。
【図9】−80℃で貯蔵した同じ組成物に対する5℃、25℃および40℃の温度で1年までの間貯蔵後の本発明の組成物における、下記の通り決定される、酸化度を示す。
【0016】
[発明の詳細な記述]
本発明は、第VIIもしくは第VIIa因子ポリペプチド(例えば、rhFVIIもしくはrhFVIIaポリペプチド)または第VIIもしくは第VIIa因子ポリペプチドバリアント(例えば、本明細書に記述されるような凝固活性を有する組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント)の安定化組成物もしくは製剤、特に貯蔵安定性凍結乾燥組成物もしくは製剤、そして1つの態様において、室温で貯蔵安定性である組成物もしくは製剤を提供する。
【0017】
本発明は、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチド(例えば、組換えhFVIIもしくはhFVIIaポリペプチド)または第VIIもしくは第VIIa因子ポリペプチドバリアント(例えば、本明細書に記述されるような凝固活性を有する組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント)およびヒスチジン、グリシン、アルギニン、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩およびリン酸塩、ならびにその塩から選択される緩衝剤を含んでなる、水もしくは別の液体での再構成に適当な、製薬学的組成物もしくは製剤を包含する、凍結乾燥組成物もしくは製剤に関する。好ましい態様において、緩衝剤はアミノ酸、特にヒスチジンである。
【0018】
1つの態様において、本発明は、再構成組成物もしくは製剤におけるヒスチジンの濃度が少なくとも約5mMである、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチド(例えば、組換えhFVIIもしくはhFVIIaポリペプチド)または第VIIもしくは第VIIa因子ポリペプチドバリアント(例えば、本明細書に記述される組換えhFVIIもしくはhFVIIaポリペプチドバリアント)および緩衝剤としてヒスチジンを含んでなる、水もしくは他の媒質での再構成に適当な凍結乾燥製薬学的組成物もしくは製剤を提供する。さらに詳細に以下に記述されるように、組成物は典型的には張性調整剤(tonicity modifying agent)、カルシウムのような2価の陽イオン、界面活性剤、酸化防止剤および/もしくは防腐剤のような1つもしくはそれ以上の追加成分を含む。
【0019】
本発明の別の態様は、ヒスチジン緩衝剤および水、ならびに場合により下記のような追加成分と第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチド(例えば、組換えhFVIIもしくはhFVIIaポリペプチド)またはそのポリペプチドバリアントの混合物を準備して少なくとも5mMのヒスチジン濃度を有する水性組成物をもたらすこと、および得られる水性組成物を凍結乾燥に供して凍結乾燥組成物をもたらすことを含んでなる、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチド(例えば、組換えhFVIIもしくはhFVIIaポリペプチド)またはそのポリペプチドバリアントを含んでなる貯蔵安定性組成物を製造する方法に関する。
【0020】
本発明のさらなる態様には、本発明の再構成組成物の治療的に有効な量を処置もしくは予防を必要とする患者に投与することを含んでなる、第VIIもしくは第VIIa因子ポリペプチド(例えば、組換えhFVIIもしくはhFVIIa)またはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント(例えば、以下にさらに記述されるような凝固活性を有する組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント)の投与により処置できる症状を処置するかもしくは予防する方法、ならびに第VIIもしくは第VIIa因子ポリペプチドまたはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの投与により処置できる症状を処置するかもしくは予防するための薬剤の製剤のための本発明の組成物の使用が包含される。
【0021】
定義
以下の記述および請求項において、以下の定義が適用される:
「FVII」もしくは「FVIIポリペプチド」という用語は、一般に、一本鎖形態で提供されるFVII分子をさす。
【0022】
「FVIIa」もしくは「FVIIaポリペプチド」という用語は、一本鎖形態のR152とI153の間のペプチド結合が切断されている、その活性化二本鎖形態で提供されるFVIIaポリペプチド分子をさす。
【0023】
「rFVII」および「rFVIIa」という用語は、それぞれ、組換え技術により製造される、それぞれ、FVIIおよびFVIIa分子をさす。これらは野生型ヒト配列を有することができ、もしくはヒト配列のバリアントであることができる。
【0024】
「hFVII」および「hFVIIa」という用語は、それぞれ、野生型ヒトFVIIおよびFVIIaをさす。ヒトFVII/FVIIaタンパク質のポリペプチド配列は周知であり、そして例えばUS4,784,950にそして受託番号P08709でSwiss−Protに開示され;それはまた配列番号:1として以下に再生される。「rhFVII」および「rhFVIIa」という用語は、それぞれ、組換え技術によって製造される、それぞれ、ヒトFVIIおよびヒトFVIIa分子をさす。
【0025】
「FVII/FVIIa」という用語は、FVIIもしくはFVIIaを意味する。
【0026】
「親」FVIIもしくはFVIIa分子は、それからFVIIもしくはFVIIaバリアントが例えばアミノ酸置換、挿入もしくは欠失によって得られるFVIIもしくはFVIIa分子を示すものとする。親FVIIもしくはFVIIaポリペプチドは任意のFVIIもしくはFVIIaポリペプチドであり、従って、任意の起源、例えば非ヒト哺乳類起源に由来することができるが、親ポリペプチドはhFVIIもしくはhFVIIaであることが多い。
【0027】
ポリペプチド「バリアント」は、その親ポリペプチドと1個もしくはそれ以上のアミノ酸残基において、通常は1〜15個のアミノ酸残基において(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくは15個のアミノ酸残基において)、例えば1〜12個のアミノ酸残基、1〜10個のアミノ酸残基において、例えば1〜8、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3もしくは1〜2個のアミノ酸残基において異なるポリペプチドであり、ここで、親ポリペプチドとポリペプチドバリアントとの間の違いは、例えばアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失である。
【0028】
「ポリペプチド配列」は、文脈により、アミノ酸のポリマー(タンパク質、ポリペプチドなど)もしくはアミノ酸ポリマーを表す文字列である。遺伝暗号の縮重を考慮して、特定のポリペプチド配列をコードする1つもしくはそれ以上の核酸、またはその相補的な核酸をポリペプチド配列から決定することができる。
【0029】
アミノ酸位置を同定するために使用する用語は、以下のとおり説明される:G124は、位置124がヒトFVIIのアミノ酸配列においてグリシン残基により占められることを示す。G124Rは、位置124のグリシン残基がアルギニン残基で置換されていることを示す。代替置換は、「/」で示される。多数の置換は、「+」で示され、例えばK143N+N145S/Tは、アスパラギン残基での位置143におけるリシン残基の置換およびセリンもしくはトレオニン残基での位置145におけるアスパラギン残基の置換を含んでなるアミノ酸配列を意味する。さらなるアミノ酸残基の挿入、例えばG124の後のアラニン残基の挿入は、G124GAにより示される。
【0030】
一般に、本発明の組成物の本明細書における説明は、再構成組成物における、すなわち
、水性の液体、典型的には注射用滅菌水の適量に本発明の凍結乾燥組成物を溶解することにより調製される水性組成物における様々な成分の量をさす。再構成後の組成物における水の量は、凍結乾燥前の元の組成物における水の量に対応することが多い。従って、本発明の組成物における様々な成分の量は、あるいはまた、凍結乾燥前の同じ成分の量であると考えることができ、すなわち、本記述および請求項において定義される組成物は、あるいはまた、示される成分量、濃度もしくはpH値を有する水性組成物の凍結乾燥から調製されているかもしくはそれにより得ることができると特徴付けることができる。
【0031】
本発明の組成物および方法
1つの態様において、本発明は少なくとも1つのFVIIもしくはFVIIaポリペプチド(例えば、組換えhFVIIもしくはhFVIIa)および/または本明細書に記述される少なくとも1つのFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント(例えば、本明細書に記述される凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント)の新規組成物もしくは製剤を提供する。あるそのような組成物もしくは製剤は、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントへの任意の実質的な損傷(例えば、タンパク質分解もしくは他の分解、または凝集または変性、ここで、分解、凝集もしくは変性は、例えば減少した効能もしくは免疫原性の危険性のために治療的使用に不適当な組成物をもたらす)を被ることなしに長期貯蔵の間(例えば少なくとも約3ヶ月、例えば少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年の期間にわたって)安定である。
【0032】
本発明によれば、組換え第VIIもしくは第VIIa因子ポリペプチド(例えば、組換えhFVIIもしくはhFVIIaポリペプチド)または組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、好ましくは少なくとも約5mMの濃度で(ここで、該濃度は再構成組成物に基づく)、緩衝剤としてヒスチジンを含有しそして典型的には張性調整剤、カルシウムもしくは別の2価の陽イオン、界面活性剤、酸化防止剤または防腐剤のような1つもしくはそれ以上の追加成分とともに凍結乾燥組成物において調合される。好ましくは、組成物はその活性型のFVII/FVIIaポリペプチドまたはFVII/FVIIaポリペプチドバリアント、例えば、それぞれ、組換えヒト第VIIa因子もしくは組換えFVIIaポリペプチドバリアントを含有する。
【0033】
緩衝剤
本発明によれば、組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチド(例えば、組換えhFVIIもしくはhFVIIaポリペプチド)または本明細書に記述される組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの組成物もしくは製剤は、緩衝剤としてヒスチジンを含有する凍結乾燥組成物に基づいて提供され、特にここで、再構成組成物は少なくとも約5mM、好ましくは少なくとも約10mMの、そして好ましくは約10mMより大きい濃度で、例えば約100mMまでの濃度でヒスチジンを含んでなる。再構成組成物におけるヒスチジンの濃度は典型的には約50mMまで、例えば約40mMまで、例えば約30mMもしくは25mMまでであり、そして一般に少なくとも約10mM、しばしば少なくとも約12mM、例えば少なくとも約15mMである。1つの態様において、ヒスチジン緩衝剤は約12〜50mM、例えば約12〜40mM、例えば約12〜30mM、例えば約15〜25mMの範囲の濃度で再構成組成物において存在することができる。ヒスチジンバッファーは、好ましくは、pHを調整する場合にナトリウムイオンの添加を避けるために、ヒスチジン塩基およびヒスチジン塩、例えばヒスチジン−HCl、ヒスチジン硫酸塩もしくはヒスチジン−アルギニンを混合することにより調製される。あるいはまた、所望の値にpHを調整するためにヒスチジンに酸もしくは塩基を加えることができる。
【0034】
本発明の組成物のpHは、好ましくは、患者への投与の際の苦痛もしくは不快感を最小
限に抑えるように、すなわち、極めて中性のpH値を選択し、そして例えばFVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントの安定性へのpHの影響を考慮に入れることにより選択される。pHは一般に約2.5〜約9.0の範囲である。適当なpH範囲は例えば約2.5〜約4.0、例えば約3.0もしくは3.5;約4.0〜約8.0、例えば約5.0〜約7.0、例えば約5.5、6.0もしくは6.5;または約5.0〜約9.0、例えば約6.0〜約8.0、例えば約6.0、6.5、7.0もしくは7.5であることができる。好ましい態様において、pHは約5.5〜約7.0、典型的には約6.0〜約7.0、例えば約6.2〜約6.8、例えば約6.4〜6.6の範囲、例えば約6.5である。
【0035】
追加成分
FVIIもしくはFVIIaポリペプチドおよび/またはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントならびに緩衝剤に加えて、本発明の組成物は張性調整剤、カルシウムのような2価の陽イオン、界面活性剤、酸化防止剤および/もしくは防腐剤のような1つもしくはそれ以上の追加の賦形剤もしくは担体を含むことができる。本発明の製薬学的組成物は、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドおよび/またはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントならびに緩衝剤に加えて、張性調整剤、カルシウムのような2価の陽イオン、界面活性剤、酸化防止剤および/もしくは防腐剤のような1つもしくはそれ以上の追加の製薬学的に許容しうる賦形剤もしくは担体を含むことができる。等張化剤もしくは張性調整剤は、等張性を保証するかもしくはそうでなければ液体組成物の張性を所望のレベルに調整するために加えられ、そしてグリセロール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールもしくはマンニトールのような多価糖アルコール、好ましくは3価以上の糖アルコール、ショ糖もしくはトレハロースのような糖、またはグリシンもしくはアルギニンのようなアミノ酸が包含される。また、張性調整剤としての使用に適当であるのは、例えば塩化物を対イオンとする、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩もしくはマグネシウム塩のような中性塩、例えば塩化ナトリウムである。2つもしくはそれ以上の張性調整剤の混合物もまた用いることができる。1つの態様において、張性調整剤は糖、好ましくはショ糖もしくはトレハロース、より好ましくはトレハロースである。張性調整剤が糖アルコールもしくは糖である場合、再構成組成物における張性調整剤の濃度は典型的には約50mM〜約1000mM、例えば約100mM〜約500mM、例えば、約150mM〜約300mM、例えば約200mM〜約250mMである。張性調整剤が塩もしくはアミノ酸のようなイオン化合物である場合、イオン化合物の量は、糖アルコールもしくは糖についての上記の範囲に対応するイオン強度をもたらすように適応される。
【0036】
ある場合において、例えば中性塩の使用により与えられる、組成物における高いイオン強度、例えば少なくとも約250mM、少なくとも300mMもしくは少なくとも400mM、例えば約500mMまでもしくは約1000mMまでを有することは好都合であり得る。FVIIのそのような高イオン強度組成物は、WO 2004/112828に記述される。
【0037】
凍結乾燥保護剤(Lyoprotectant)および/もしくは凍結保護剤は、それぞれ、水分除去および凍結中に生じる応力からタンパク質を保護するために本発明の組成物に含むことができる。凍結保護剤はまた、凍結乾燥の後の貯蔵中にその凍結乾燥形態のタンパク質を保護する働きをすることもできる。さらに、ある凍結保護剤はまた凍結乾燥保護剤として働くこともでき、そして張性調整剤として組成物に含むことができる糖アルコールもしくは糖のようなある成分は、凍結乾燥保護剤および/もしくは凍結保護剤としてさらに働くことができる。
【0038】
凍結乾燥保護剤は例えば糖、例えばショ糖もしくはトレハロースのような二糖、または
ヒスチジン、アルギニンおよび/もしくはグリシンのようなアミノ酸であることができる。凍結保護剤は例えば糖、特にショ糖もしくはトレハロースのような二糖、またはグリセロール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールもしくはマンニトールのような糖アルコール、またはヒスチジン、アルギニンもしくはグリシンのようなアミノ酸であることができる。好ましい態様において、ショ糖もしくはトレハロースのような糖、特にトレハロースが凍結乾燥保護剤/凍結保護剤としてそして張性調整剤として用いられる。この場合、糖の総量は張性調整剤を扱う段落において上記に示したとおりである。
【0039】
本発明の組成物は、組成物を安定化するのに役立つように、典型的には塩化カルシウムのようなカルシウム塩もしくは塩化マグネシウムのようなマグネシウム塩、例えば塩化カルシウムの形態の、2価の陽イオンを含有することが多い。再構成組成物におけるカルシウムイオンもしくは他の2価の陽イオンの濃度は、通常は約1mM〜約40mM、例えば約2mM〜約30mM、例えば約2mM〜約20mM、例えば約5mM〜約15mM、例えば約10mMである。
【0040】
界面活性剤もしくは洗剤、特に非イオン性界面活性剤は、ポリペプチドの可溶化を助けるためにならびに表面誘起(攪拌もしくは凍結)凝集からポリペプチドを保護する(それはまた剪断表面応力にさらされた際のタンパク質の変性および凝集の危険性も減らす)ために存在することができる。適当な非イオン性界面活性剤には、例えば、ポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリソルベート20(Tween(R)−20)、ポリソルベート80(Tween(R)−80)など)、ポリオキサマー(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー、例えばポロキサマー184、ポロキサマー188など)およびプルロニック(Pluronic)(R)ポリオールが包含される。好ましい非イオン性界面活性剤の例は、ポリソルベート20(Tween(R)−20)である。界面活性剤は、典型的には約0.001%(w/v)〜約0.5%、例えば約0.001%〜約0.05%、例えば約0.005%〜約0.025%、例えば約0.01%もしくは約0.02%の濃度で再構成組成物において存在する。
【0041】
さらに、組成物は酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、メチオニン、ベンジルアルコールもしくはビタミンE;充填剤もしくは増量剤、例えば澱粉;またはキレート剤、例えばEDTAのような様々な賦形剤を含んでなることができる。好ましい態様において、酸化防止剤はメチオニンである。再構成組成物における酸化防止剤の濃度は、典型的には約1mM〜約40mM、例えば約2mM〜約30mM、例えば約5mM〜約20mM、例えば約10mMである。
【0042】
防腐剤は微生物増殖を遅らせるために加えることができ、そして典型的には例えば約0.1%〜2%(w/v)の量で加えられる。本発明での使用に適当な防腐剤にはフェノール、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール、オルト−クレゾール、パラ−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ハロゲン化ベンザルコニウム(例えば、塩化、臭化もしくはヨウ化ベンザルコニウム)、塩化ヘキサメトニウム、メチルもしくはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノールおよび3−ペンタノールが包含される。
【0043】
好ましい態様において、本発明の組成物はヒスチジン、トレハロース、塩化カルシウム、Tween(R)−20およびメチオニンを含んでなる。より好ましくは、その再構成形態の本発明のこの態様の組成物は約6.0〜約7.0のpHを有し、そして約10mM〜約30mMのヒスチジン、例えば約15〜約25mMのヒスチジン、約150mM〜約300mMのトレハロース、約2mM〜約20mMの塩化カルシウム、約0.001%〜約
0.05%(w/v)のTween(R)−20および約5mM〜約30mMのメチオニンを含んでなる。
【0044】
さらなる態様において、組成物はグリシルグリシンを含有しない。
【0045】
水分含量
FVIIもしくはFVIIaポリペプチド(例えば、組換えhFVIIもしくはhFVIIaポリペプチド)または本明細書に記述される組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、液体形態で貯蔵される場合よりも乾燥形態で貯蔵される場合により安定であることが見出されているので、本発明の組成物は長期貯蔵用の乾燥形態で提供されることは上記の説明から明らかである。任意の凍結乾燥サイクルの成功の重要な決定要因は、凍結乾燥生成物に残存するのが見出される残留水の量であることは当該技術分野において既知である。従って、本発明の組成物の分水量(もしくは「水分含量」)は3%(w/w)以下、好ましくは2%以下、例えば約1%以下であるべきである。凍結乾燥した製薬学的組成物の含水量の決定方法は、当該技術分野において周知である;例えばWO 2003/092731を参照。周知の技術の一例はカール・フィッシャー滴定であり、それはサンプル中の微量の水を決定するために電量もしくは容量滴定を用いる。
【0046】
安定性
本発明の組成物は、約2〜8℃の温度で、そして好ましくは約20〜25℃、すなわち「室温」のようなより高い温度で貯蔵することができる例えば使い捨てもしくはマルチ用途(multi−use)バイアル、プレフィルドシリンジ、アンプルまたはカートリッジにおける長期貯蔵に適していると考えられる。「長期貯蔵」および「貯蔵安定性」という用語は、組成物が、ポリペプチドへの任意の実質的な損傷(例えば、タンパク質分解もしくは他の分解、または凝集または変性、ここで、分解、凝集もしくは変性は、例えば減少した効能もしくは免疫原性の危険性のために治療的使用に不適当な組成物をもたらす)を被ることなしに、既定温度、例えば2〜8℃、例えば約5℃で、そしてより好ましくは20〜25℃で、長期間、典型的には少なくとも約3ヶ月、好ましくは少なくとも約6ヶ月、より好ましくは少なくとも約1年、例えば少なくとも約18ヶ月、例えば約2年までの期間にわたって貯蔵できることをさす。タンパク質の貯蔵安定性は、例えば、同じ貯蔵条件に供された対照組成物と比較するかまたは貯蔵に供されていないかもしくは例えば約−80℃での低温貯蔵に供されている同じ組成物と比較した場合の活性に関して測定することができる。測定される活性は、例えばアミド分解活性もしくは凝固活性、例えば以下の材料および方法の節に記述される「第X因子活性化アッセイ」もしくは「PACTアッセイ」により決定されるような活性であることができる。FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントのアミド分解もしくは凝固活性を決定するための適当なアッセイならびに他のFVII/FVIIaアッセイは当該技術分野において既知であり、そして例えばWO 01/58935およびWO
03/093465に記述される。また、以下の材料および方法の節に記述される「全血アッセイ」および「凝固活性を測定する方法」も参照。
【0047】
貯蔵安定性は、あるいはまたもしくはさらに、例えばサイズ排除クロマトグラフィー、分析超遠心または他の直交もしくは補足法を用いて、当該技術分野において既知である方法により凝集体形成のレベルに関して測定することができる。従って、本発明の組成物の改善された貯蔵安定性は、物理的安定性、例えば減少した凝集体形成、および/または化学的安定性、例えば減少した分解もしくは減少した酸化を含んでなるものとする。
【0048】
好ましい態様において、本発明の貯蔵安定性組成物は「熱安定性」であり、組成物が約20℃の周囲温度で貯蔵される場合に、そして好ましくは約25℃の温度で貯蔵される場合に上記に概説したような安定性特性を有することを意味する。従って、FVIIもしく
はFVIIaポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントを含んでなる本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも約3ヶ月、好ましくは少なくとも約6ヶ月、より好ましくは少なくとも約1年、例えば少なくとも約18ヶ月、例えば約2年までの期間にわたる貯蔵の際に、20℃の温度で、そして好ましくは25℃で安定なものである。
【0049】
本発明の組成物は、例えば上記に説明したような、定義された条件(温度および時間)下での貯蔵後に以下の基準の1つもしくはそれ以上をそれが満たす場合に「安定である」と見なすことができる。安定性の評価のために、試験する貯蔵組成物は、時間0での(すなわち、貯蔵期間の開始時の)同じ組成物もしくは−80℃で同じ時間の長さにわたって凍結乾燥形態で貯蔵されている同じ組成物のいずれかであることができる対照と比較される。対照組成物は、典型的には、−80℃で貯蔵した凍結乾燥組成物である。
・例えば本明細書に記述される「第X因子活性化アッセイ」もしくは「PACTアッセイ」を用いて決定される、生物活性:少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、例えば少なくとも98%の対照と比較した生物活性。
・例えば下記のようなSEC−HPLCを用いて決定される、凝集度:3%以下(絶対的に)、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下、さらにより好ましくは1.5%以下、例えば1%以下の対照と比較した凝集の増加。
・例えば下記のようなRP−HPLCにより決定されるような、酸化:酸化は、対照の酸化度と比較して5%以下(絶対的に)、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、そして最も好ましくはわずか1%以下しか増加すべきではない。
・例えば下記のようなRP−HPLCにより決定されるような、重鎖分解は、対照の重鎖分解度と比較して5%以下(絶対的に)、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、最も好ましくはわずか1%以下しか増加すべきではない。
【0050】
凍結乾燥組成物は、例えば、使用直前の溶媒での再構成用に使い捨てもしくは再使用バイアル、プレフィルドシリンジ、アンプルまたはカートリッジにおいて包装することができる。溶媒は典型的には滅菌水であるが、場合により凍結乾燥組成物において他に存在することができる1つもしくはそれ以上の成分、例えば張性調整剤、非イオン性界面活性剤、酸化防止剤もしくは防腐剤を含んでもよい。投与を容易にするために、本発明の凍結乾燥組成物はあるいはまたプレフィルド2コンパートメントシリンジにおいて包装することができ、ここで、コンパートメントの一方はFVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントを含んでなる凍結乾燥組成物を含有し、そしてもう一方のコンパートメントは溶媒、典型的には滅菌水を含有し、従って、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントを含んでなる乾燥組成物を投与の直前に適量の水と迅速にそして容易に混合することを可能にする。本発明の組成物の再構成に使用する水は、製薬産業においてこの目的のために一般に用いられるタイプの滅菌水、例えば注射用滅菌水(WFI)、点眼用溶解液、緩衝用水もしくは食塩水である。FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントの量に対する再構成に使用する水の量は、凍結乾燥前の元の組成物における水の量に対応することが多いが必ずしもそうではない。下記のように、本発明の再構成組成物におけるポリペプチドもしくはポリペプチドバリアントの濃度は典型的には約0.01〜10mg/ml、より典型的には0.1〜5mg/ml、例えば約0.2〜2mg/ml、典型的には約0.4〜1.5mg/ml、例えば約0.5〜1.0mg/mlの範囲である。所望に応じて、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントを濃縮する手段として凍結乾燥を用いることができ、その場合、再構成組成物における水の量は、凍結乾燥前の元の組成物における量より少ない。
【0051】
ポリペプチド
本発明に従って調合することができるポリペプチドには、特に組換えヒトFVIIもしくはFVIIaポリペプチド(そのポリペプチド配列は、配列番号:1に示される)ならびにその組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント(例えば、配列番号:1に示されるヒトFVIIもしくはFVIIaポリペプチドのポリペプチドバリアント)が包含され、本明細書に詳細に記述されるもの、そして好ましくは活性型を包含する。興味のあるFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントには、例えば、WO 01/58935、WO 03/093465、WO 2004/029091、WO 2004/111242、WO 99/20767、WO 00/66753、WO 88/10295、WO 92/15686、WO 02/29025、WO 01/70763、WO 01/83725、WO 02/02764、WO 02/22776、WO 02/38162、WO 02/077218、WO 03/027147、WO 03/037932、WO 2004/000366、WO 2004/029090およびWO 2004/108763に記述されるものが包含される。
【0052】
FVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、例えば、野生型ヒトFVII(配列番号:1)のアミノ酸配列と1〜15個のアミノ酸残基において(例えば、1〜15個以下のアミノ酸残基において)、典型的には1〜12もしくは1〜10個のアミノ酸残基において、例えば1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3もしくは1〜2個のアミノ酸残基または1個のアミノ酸残基において異なるポリペプチドバリアントをもたらす、配列番号:1に示される野生型ヒトFVIIもしくはFVIIaポリペプチド配列と比較して1個もしくはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を含むことができ、ここで、配列番号:1に示される野生型FVII/FVIIa配列とのアミノ酸配列の違い(1つもしくは複数)は、典型的には1個もしくはそれ以上のアミノ酸置換である。そのようなアミノ酸置換は、例えば、N−グリコシル化部位(例えば、インビボで(例えば、グリコシル化哺乳類細胞におけるポリペプチドの製造によって)もしくはインビトログリコシル化(すなわち、場合により架橋剤を用いて、ポリペプチドバリアントの結合基に炭水化物分子を共有結合することを通常は伴うインビトロで行われる合成的グリコシル化)によりグリコシル化することができるN−グリコシル化部位)を包含する1個もしくはそれ以上のグリコシル化部位を導入するか、またはポリペプチドに1個もしくはそれ以上のPEG化部位を導入する目的で、そして/あるいは例えば凝固活性を改善するためのG1aドメイン(hFVIIaのアミノ酸残基1〜45)における1個もしくはそれ以上のアミノ酸置換によって、野生型ポリペプチドの凝固活性を改善するかもしくはそうでなければ改変するために行うことができる。FVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、典型的に凝固活性を有する。凝固活性は、本明細書に記述される凝固アッセイの1つもしくは当該技術分野において既知である多数の凝固アッセイの1つを用いて測定することができる。凝固活性を有する典型的なFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは以下に説明され、そしてWO 01/58935、WO 03/093465、WO 2004/029091およびWO 2004/111242にさらに詳細に記述される。あるいはまた、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントが抗凝固剤として働くように設計される場合、本発明の組成物は減少した凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含んでなることができる。
【0053】
本発明の組成物における使用に適当な好ましいFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、G1aドメイン(ヒトFVIIもしくはFVIIaの残基1〜45)における少なくとも1つの改変および/もしくは非ポリペプチド部分の結合部位を導入する少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。非ポリペプチド部分には、例えば糖部分もしくは非ポリペプチドポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)ポリマーが包含される。そのような改変の限定されない例は、以下に提供される。
【0054】
G1aドメインの改変:1つの態様において、本発明は15個以下のアミノ酸残基(例えば12個以下、10、8、7、6、5、4、3、2、1個のアミノ酸残基)において配列番号:1におけるhFVIIもしくはhFVIIaのポリペプチド配列と異なるポリペプチド配列を含んでなる凝固活性を有する組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを提供し、該ポリペプチドバリアントはG1aドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸改変、特にG1aドメインにおける該改変のない同様のポリペプチドと比較して増加したリン脂質膜結合親和性をもたらす少なくとも1つの改変を有する。G1aドメインにおけるそのような改変は、例えばWO 99/20767、WO 00/66753およびWO 03/093465に開示され、そして配列番号:1に対して位置10、11、28、32、33および34の1つもしくはそれ以上における改変を含む。バリアントにおけるアミノ酸位置は、典型的に、配列番号:1のアミノ酸位置に従って番号を付けられる。好ましくは、バリアントは少なくとも位置10もしくは32、好ましくは両方における改変を含む。従って、バリアントは位置10におけるグルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸もしくはアスパラギン残基、好ましくはグルタミン残基の置換;および/または位置32におけるグルタミン酸もしくはアスパラギン酸残基、好ましくはグルタミン酸の置換を含むことができる。好ましくは、バリアントは位置10および32の両方での置換、より好ましくは置換P10Q+K32Eを含む。
【0055】
別の態様において、本発明は、配列番号:1におけるhFVIIもしくはhFVIIaのポリペプチド配列と15個以下のアミノ酸残基(例えば12個以下、10、8、7、6、5、4、3、2、1個のアミノ酸残基)において異なるポリペプチド配列を含んでなる凝固活性を有する組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを提供し、該ポリペプチドバリアントは、配列番号:1のアミノ酸位置10、11、28、32、33、34および/もしくは36における1個もしくはそれ以上のアミノ酸少なくとも1個のアミノ酸置換を有し、ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1に従って番号が付けられる。
【0056】
別の態様において、凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、配列番号:1の位置28でグルタミン酸もしくはフェニルアラニン残基のアミノ酸置換;または位置33における疎水性アミノ酸残基の置換を含み、置換は配列番号:1のD33I、D33L、D33M、D33V、D33F、D33YおよびD33Wよりなる群、特にD33Fから選択される。
【0057】
別の態様において、凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、配列番号:1の位置34における負に荷電した残基のアミノ酸置換、すなわちA34EもしくはA34D、好ましくはA34Eを含む。あるいはまた、バリアントは配列番号:1の位置34における置換により導入される疎水性アミノ酸残基を含むことができる。この場合、配列番号:1の位置34に導入される疎水性アミノ酸残基はI、L、M、V、F、YおよびWよりなる群から選択することができる。この位置における好ましい置換には、A34EおよびA34Lが包含される。
【0058】
別の態様において、凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、配列番号:1の位置36におけるアミノ酸置換を含む。好ましくは、位置36における置換により導入されるアミノ酸残基は負に荷電したアミノ酸残基、すなわちR36EもしくはR36D、特にR36Eである。
【0059】
別の態様において、凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリア
ントは、配列番号:1の位置38におけるアミノ酸置換、特に位置38における置換より導入される負に荷電したアミノ酸残基、すなわちK38EもしくはK38D、特にK38Eを含む。
【0060】
別の態様において、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、配列番号:1の位置3と4の間に少なくとも1個の(典型的には1個の)アミノ酸残基の挿入を含む。挿入されるアミノ酸残基は、好ましくは疎水性アミノ酸残基である。典型的な挿入は、配列番号:1の位置3のアミノ酸残基(アラニン)と位置4のアミノ酸残基(フェニルアラニン)との間にチロシン残基の導入を含んでなり、この挿入はA3AYと表される。
【0061】
G1aドメインに多数の置換を有するそのようなFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの具体例には:配列番号:1に対してP10Q+K32E;P10Q+K32E+A34E;P10Q+K32E+R36E;P10Q+K32E+K38E;P10Q+K32E+A34E+R36E;P10Q+K32E+R36E+K38E;P10Q+K32E+A34E+K38E;P10Q+K32E+A34E+R36E+K38E;P10Q+K32E+A34L;P10Q+K32E+A34L+R36E;P10Q+K32E+A34L+K38E;およびP10Q+K32E+A34L+R36E+K38Eが包含される。バリアントにおけるアミノ酸位置は、配列番号:1に従って番号が付けられる。多数のそのようなバリアントは凝固活性を有する。凝固活性は、本明細書に記述される凝固アッセイの1つもしくは当該技術分野において既知である多数の凝固アッセイの1つを用いて測定することができる。
【0062】
グリコシル化部位の導入:別の態様において、本発明の組成物において使用する、凝固活性を有するものを包含する、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、野生型配列(配列番号:1)を有するhFVIIもしくはhFVIIaと比較してN−グリコシル化部位(例えばインビボN−グリコシル化部位を包含する)を導入する1つもしくはそれ以上のアミノ酸改変、典型的にはアミノ酸置換を含んでなるポリペプチド配列を含んでなる。N−グリコシル化部位は配列N−X−S/T/Cを有し、ここで、Xはプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり、Nはアスパラギンであり、そしてS/T/Cはセリン、トレオニンもしくはシステインのいずれか、好ましくはセリンもしくはトレオニン、そして最も好ましくはトレオニンである。従って、例えばインビボN−グリコシル化を包含するN−グリコシル化のための結合部位は、バリアント配列において必要なN−X−S/T/Cトリプレットを得るために1もしくは2個のアミノ酸残基のアミノ酸改変、典型的にはアミノ酸置換により導入することができる。
【0063】
hFVIIもしくはhFVIIaポリペプチド配列(配列番号:1)に対して1個もしくはそれ以上の導入されたN−グリコシル化部位を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、天然hFVII/hFVIIa配列(配列番号:1)に対して1〜5個の追加のN−グリコシル化部位、例えば1〜4もしくは1〜3個の追加のN−グリコシル化部位、例えば1、2もしくは3個の追加のN−グリコシル化部位を含んでなることができる。1つの特定の態様において、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、天然hFVII/hFVIIa配列に対して1〜5個の追加のインビボN−グリコシル化部位、例えば1〜4もしくは1〜3個の追加のインビボN−グリコシル化部位、例えば1、2もしくは3個の追加のインビボN−グリコシル化部位を含んでなることができる。ヒトFVIIもしくはFVIIaは、位置N145、N322、S52およびS60で4個の天然に存在するグリコシル化部位を有し、ここで、S52およびS60はO−グリコシル化部位であり、そしてN145およびN322はN−グリコシル化部位である。1個もしくはそれ以上のN−グリコシル化部位への糖部分の結合は、インビトロで(例えば、場合により架橋剤を用いて、典型的にはポリペプチドバリアントの結合基に炭水化物分子を共有結合することを伴う、インビトロで行われる既知の合成的グリコシル化
技術により)もしくはインビボグリコシル化ができる宿主細胞(例えば、酵母、真菌もしくは哺乳類細胞のような真核細胞)におけるポリペプチドバリアントの発現により行うことができる。典型的な哺乳類細胞には、COS細胞、CHO細胞(例えば、CHO−I細胞)、BHK細胞、HEK細胞などが包含される。
【0064】
アミノ酸置換(1個もしくは複数)により導入されるN−グリコシル化部位(例えばインビボN−グリコシル化部位)をもたらす置換の具体例には、A51N、G58N、T106N、K109N、G124N、K143N+N145T、A175T、I205S、I205T、V253N、T267N、T267N+S269T、S314N+K316S、S314N+K316T、R315N+V317S、R315N+V317T、K316N+G318S、K316N+G318T、G318NおよびD334Nよりなる群から選択されるアミノ酸置換が包含され、ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1における位置に従って番号が付けられる。好ましいアミノ酸置換には、T106N、I205TおよびV253Nの1つもしくはそれ以上が包含される。
【0065】
1つの態様において、1個のみのN−グリコシル化部位(例えばインビボN−グリコシル化部位)がアミノ酸置換により導入されている。別の態様において、2個もしくはそれ以上のN−グリコシル化部位(例えばインビボN−グリコシル化部位)がアミノ酸置換により導入されている。2個のN−グリコシル化部位をもたらす好ましいアミノ酸置換には、T106N+A175T、T106N+I205T、T106N+V253N、T106N+T267N+S269T、A175T+I205T、A175T+V253N、A175T+T267N+S269T、I205T+V253N、I205T+T267N+S269TおよびV253N+T267N+S269Tよりなる群から、より好ましくはT106N+I205T、T106N+V253NおよびI205T+V253Nよりなる群から選択されるアミノ酸置換が包含され、ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1における位置に従って番号が付けられる。
【0066】
さらなる態様において、3個もしくはそれ以上のN−グリコシル化部位(例えばインビボN−グリコシル化部位)が置換により導入されている。3個のN−グリコシル化部位をもたらす好ましい置換の例には、I205T+V253N+T267N+S269TおよびT106N+I205T+V253Nよりなる群から選択される置換が包含され、ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1における位置に従って番号が付けられる。
【0067】
G1aドメインにおける改変および導入されたN−グリコシル化部位を有するポリペプチドバリアント:さらなる態様において、本発明の組成物は、上記のそれぞれの節に記述されるようなG1aドメインにおける少なくとも1つの改変および少なくとも1個の導入されたN−グリコシル化部位(例えばインビボN−グリコシル化部位)を有するポリペプチド配列を含んでなる凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含んでなることができる。
【0068】
G1aドメインにおける多数の置換および少なくとも1個の導入されたN−グリコシル化部位を含んでなる凝固活性を有する「組み合わされた」FVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの具体例には:P10Q+K32E+T106N;P10Q+K32E+A34E+T106N;P10Q+K32E+R36E+T106N;P10Q+K32E+A34E+R36E+T106N;P10Q+K32E+I205T;P10Q+K32E+A34E+I205T;P10Q+K32E+R36E+I205T;P10Q+K32E+A34E+R36E+I205T;P10Q+K32E+V253N;P10Q+K32E+A34E+V253N;P10Q+K32E+R36E+V253N;P10Q+K32E+A34E+R36E+V253N;P10Q+K32E+T
106N+I205T;P10Q+K32E+A34E+T106N+I205T;P10Q+K32E+R36E+T106N+I205T;P10Q+K32E+A34E+R36E+T106N+I205T;P10Q+K32E+T106N+V253N;P10Q+K32E+A34E+T106N+V253N;P10Q+K32E+R36E+T106N+V253N;P10Q+K32E+A34E+R36E+T106N+V253N;P10Q+K32E+I205T+V253N;P10Q+K32E+A34E+I205T+V253N;P10Q+K32E+R36E+I205T+V253N;P10Q+K32E+A34E+R36E+I205T+V253N;P10Q+K32E+T106N+I205T+V253N;P10Q+K32E+A34E+T106N+I205T+V253N;P10Q+K32E+R36E+T106N+I205T+V253N;P10Q+K32E+A34E+R36E+T106N+I205T+V253N;P10Q+K32E+A34L+T106N;P10Q+K32E+A34L+I205T;P10Q+K32E+A34L+V253N;P10Q+K32E+A34L+T106N+I205T;P10Q+K32E+A34L+T106N+V253N;P10Q+K32E+A34L+I205T+V253N;P10Q+K32E+A34L+T106N+I205T+V253N;P10Q+K32E+A34L+R36E+T106N;P10Q+K32E+A34L+R36E+I205T;Pl0Q+K32E+A34L+R36E+V253N;P10Q+K32E+A34L+R36E+T106N+I205T;P10Q+K32E+A34L+R36E+T106N+V253N;P10Q+K32E+A34L+R36E+I205T+V253N;およびP10Q+K32E+A34L+R36E+T106N+I205T+V253Nが包含され;ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1における位置に従って番号が付けられる。
【0069】
組織因子結合部位における改変を有するポリペプチドバリアント:別の態様において、本発明の組成物は、L39、I42、S43、K62、L65、F71、E82およびF275よりなる群から選択される配列番号:1における少なくとも1つのアミノ酸位置におけるアミノ酸置換を有するポリペプチド配列を含んでなる凝固活性を有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含んでなることができ、ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1における位置に従って番号が付けられる。FVII/FVIIa分子の組織因子(TF)結合部位におけるこれらのアミノ酸置換は、hFVII/hFVIIaと比較して改善された凝固活性をもたらす。TF結合部位中のこれらのアミノ酸位置における好ましい置換には以下のもの:L39E、L39QもしくはL39H;I42R;S43Q;K62EもしくはK62R;L65QもしくはL65S;F71D、F71E、F71N、F71QもしくはF71Y;E82QもしくはE82N;F275Hが包含され、ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1における位置に従って番号が付けられる。この態様のFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、例えば、配列番号:1におけるこれらのアミノ酸置換の1、2もしくは3つを含んでなることができる。好ましい置換にはS43Q、K62E、L65QおよびF71Yの1つもしくはそれ以上、特にS43Q、K62EおよびL65Qの1つもしくはそれ以上が包含され、ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1における位置に従って番号が付けられる。TF結合部位における改変を有するこのタイプのバリアントについてのさらなる情報は、WO 2004/029091に見出されることができる。TF結合部位におけるこれらの置換は、所望に応じて、本明細書において他の所で記述される他のタイプの改変、例えば上記のようなG1aドメインにおける改変(例えば、アミノ酸置換、挿入もしくは欠失)、少なくとも1個のN−グリコシル化部位(例えばインビボN−グリコシル化部位)の導入および/もしくは下記のようなPEGポリマーとの連結の1つもしくはそれ以上と組み合わせることができることが理解される。
【0070】
導入されたPEG化部位を有するポリペプチドバリアント:さらなる態様において、本
発明の組成物は、リシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、ヒスチジン残基およびチロシン残基よりなる群、好ましくはシステインもしくはリシン残基から選択される結合基に連結された少なくとも1個のポリマー分子、特にポリエチレングリコール(PEG)もしくは他のポリアルキレンオキシドを有するFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含んでなることができる。
【0071】
様々なポリペプチドをポリエチレングリコール部分と連結する方法(「PEG化」)は、当該技術分野において既知である。例えば、WO 01/58935は、PEG化のための少なくとも1個の導入されたそして/もしくは除かれた結合部位、例えば、場合によりPEG化が所望されない位置における1個もしくはそれ以上のリシン残基の除去と組み合わせて、1個もしくはそれ以上の導入されたリシン残基、または1個もしくはそれ以上の導入されたシステイン残基(この場合、場合により1個もしくはそれ以上のシステイン残基の除去と組み合わせて)を有するようにhFVIIもしくはhFVIIa配列(配列番号:1)に対して改変されているFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントにPEG部分を結合することができる方法を記述する。PEG化に関するさらなる情報は、例えば、PEGポリマーに連結されたFVIIaのようなビタミンK依存性ポリペプチド、例えば野生型ヒトFVIIもしくはFVIIaおよび置換P10QおよびK32Eを有するFVIIもしくはFVIIaのバリアントを開示するWO 02/02764に、そしてN末端でPEG化されたタンパク質を製造する方法を記述するWO 96/11953に、そしてNektar Advanced PEGylation Catalog 2005−2006,“Polyethylene Glycol and Derivatives for Advanced PEGylation”(Nektar
Therapeutics)に見出されることができる。本発明の組成物における使用のためのFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントはまた、1個もしくはそれ以上のPEGポリマーの結合に加えて、例えば増加したリン脂質膜結合親和性および/もしくは増加した組織因子非依存性活性を与えるために、そして/または1個もしくはそれ以上の導入されたN−グリコシル化部位(例えば、導入されたインビボN−グリコシル化部位)を与えるために本明細書において他に記述されるアミノ酸改変の1つもしくはそれ以上を含むこともできることが理解される。
【0072】
他の改変:さらなる態様において、本発明の組成物における使用のためのバリアントは、場合により上記の改変の1つもしくはそれ以上に加えて、位置74、77および116よりなる群から選択される位置における少なくとも1個のさらなるアミノ酸置換、特にP74S、E77Aおよび/もしくはE116Dを含んでなることができ、ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1における位置に従って番号が付けられる。なおさらなる態様において、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは、ポリペプチドの固有の活性を増加することが既知である1つもしくはそれ以上の突然変異を含んでなるポリペプチド配列を含んでなることができる、例えばWO 02/22776に記述されるもの。例えば、バリアンントは、157、158、296、298、305、334、336、337および374よりなる群から選択される配列番号:1のアミノ酸位置における少なくとも1つのアミノ酸改変(例えば置換)を含んでなることができ、ここで、バリアントにおけるアミノ酸位置は配列番号:1における位置に従って番号が付けられる。そのような置換の例には、V158D、E296D、M298Q、L305VおよびK337Aの1つもしくはそれ以上が包含される。
【0073】
組換えFVII/FVIIaポリペプチド(例えば、hFVIIもしくはhFVIIa)または本明細書に記述されるその任意の組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントは任意の適当な生物により、例えば哺乳類、酵母もしくは細菌細胞、真核細胞が好ましいが、より好ましくはインビボグリコシル化ができる宿主細胞、特にCHO細胞、HEK細胞もしくはBHK細胞のような哺乳類細胞において製造することができる。
例えば哺乳類細胞を用いる組換えFVII/FVIIaポリペプチドならびにそのポリペプチドバリアントの製造方法は、組換えポリペプチドのその後の精製および単離の方法がそうであるように、当該技術分野において周知である。例えば、WO 01/58935、WO 03/093465およびWO 2005/002615を参照。
【0074】
本発明の組成物(再構成後)におけるFVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの濃度は異なることができ、そして約0.001〜100mg/ml、例えば約0.01〜10mg/ml、典型的には約0.1〜5mg/ml、例えば約0.2〜2mg/ml、例えば約0.4〜1.5mg/ml、例えば約0.5〜1.0mg/mlの範囲である。例えば、濃度は水での再構成後のNovoSeven(R)のものと同様であることができ、それは約0.6mg/mlであるか、もしくは約1.0mg/mlのようにわずかに高い。凝固活性を有する組換えFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントについて、ポリペプチドの濃度はある場合においてわずかに低い、例えば約0.1〜0.5mg/ml、例えば約0.2〜0.4mg/mlであることができる。
【0075】
さらなる態様
さらなる態様において、本発明は、ヒスチジン緩衝剤および水とFVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントの混合物を準備して少なくとも5mMのヒスチジン濃度を有しそして場合により張性調整剤、カルシウムもしくは別の2価の陽イオン、界面活性剤、酸化防止剤または防腐剤の1つもしくはそれ以上のような他の成分を有する水性組成物をもたらすこと、および得られる水性組成物を凍結乾燥に供して例えば本明細書において他の所で記述されるような凍結乾燥組成物をもたらすことを含んでなる、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントを含んでなる貯蔵安定性組成物を製造する方法に関する。このタイプの凍結乾燥タンパク質組成物は、「凍結乾燥ケーキ」と呼ばれることが多い。FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはそのポリペプチドバリアントの組成物を安定させるためにこの方法において使用する緩衝剤および任意の他の追加成分の性質および量は上記のとおりであることが理解される。バイアルもしくはプレフィルド2コンパートメントシリンジのような別のタイプの容器への調合された薬剤物質の充填および凍結乾燥方法は、凍結乾燥されるタンパク質の量ならびに凍結乾燥が行われる容器のタイプにより決まる。タンパク質もしくはポリペプチド組成物もしくは製剤および凍結乾燥に適当な方法は文献に記述され、そして当業者に既知である。
【0076】
なおさらなる態様において、本発明は、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたは本明細書に記述されるようなFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含んでなる本発明の再構成組成物の治療的に有効な量を処置もしくは予防を必要とする哺乳類に投与することを含んでなる、FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの投与により処置できる哺乳類(例えば、非ヒト霊長類、ヒト、マウス、サルなど)における症状を治療的にもしくは予防的に処置するかもしくは予防する方法、ならびにFVIIもしくはFVIIaまたはそのポリペプチドバリアントの投与により処置できる哺乳類における症状を処置するかもしくは予防するための薬剤の製造のためのFVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたは本明細書に記述されるようなFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含んでなる本発明の組成物の使用に関する。
【0077】
FVIIもしくはFVIIaまたはそのポリペプチドバリアントの投与により(そして/またはその組成物により)哺乳類において予防的にもしくは治療的に処置できる症状には、例えば血液因子欠乏症、特に血友病AもしくはB、ならびに外傷(鈍的および穿通性外傷の両方)と関連する出血、脳内出血(ICH)、外傷性脳損傷(TBI)、熱傷、静
脈瘤出血、胃腸出血、外科的出血、移植(例えば、組織移植もしくは臓器移植)、フィブリン溶解処置、抗凝固処置、分娩後出血、ウイルス誘発性出血、フォンヴィルブラント病および血小板減少症が包含されるがこれらに限定されるものではない。FVIIもしくはFVIIaまたはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの投与により処置することができる症状に関するさらなる情報についてはWO 2006/114105を参照。
【0078】
本発明はまた、哺乳類における血餅形成を増加するために有効な量の少なくとも1つのFVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたは少なくとも1つのFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含んでなる本発明の組成物を増加した血餅形成を必要とする哺乳類に投与することを含んでなる、増加した血餅形成が望ましい疾患もしくは症状を有する哺乳類における血餅形成を増加する方法も提供する。増加した血餅形成が望ましい疾患もしくは症状には、血友病AもしくはBのような血友病、ならびに外傷(鈍的および穿通性外傷の両方)と関連する出血、脳内出血(ICH)、外傷性脳損傷(TBI)、熱傷、静脈瘤出血、胃腸出血、外科的出血、移植(例えば、組織移植もしくは臓器移植)、フィブリン溶解処置、抗凝固処置、分娩後出血、ウイルス誘発性出血、フォンヴィルブラント病および血小板減少症が包含されるがこれらに限定されるものではない。FVIIもしくはFVIIaまたはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの投与により増加した血餅形成が促進され得る疾患および症状に関するさらなる情報についてはWO 2006/114105を参照。
【0079】
本発明の組成物は、単回もしくは頻回注射(ボーラスもしくは注入)として哺乳類に投与することができ、そして例えば非経口、例えば皮下、筋肉内もしくは静脈内投与することができる。典型的には、本発明の組成物は哺乳類に静脈内投与される。ポリペプチドの投薬量は、例えば処置される症状および患者の体重により決まるが、rhFVIIa(NovoSeven(R))に使用される投薬量と同様であることが多く、例えば約20〜約300μg/kg、典型的には約25〜約150μg/kg、例えば約40〜約120μg/kgである。
【実施例】
【0080】
本発明は、本発明の組成物を説明する以下の限定されない実施例によりさらに記述される。
【0081】
材料および方法
組換えFVIIaポリペプチドバリアントの製造
以下の実施例において使用する組換え第VIIa因子ポリペプチドバリアントは、組換えhFVIIaのバリアントであった。このポリペプチドバリアントは、配列番号:1に示される野性型ヒトFVIIaのポリペプチド配列と比較して置換P10Q+K32E+A34E+R36E+T106N+V253Nを含んでなった。凝固活性を有するこのFVIIaポリペプチドバリアントは、実質的にWO 2004/111242に記載の通りCHO−K1細胞において製造され、そして実質的にWO 2006/074664に記載の通り精製された。
【0082】
FVII組成物もしくは製剤の製造
上記に概説した通り製造した凍結薬剤物質を融解し、滅菌濾過し、そして実施例1および3において以下に示される凍結乾燥パラメーターを用いて凍結乾燥した。タンパク質(ポリペプチド)もしくは賦形剤濃度についての調整は行わなかった。
【0083】
吸光度
タンパク質(ポリペプチド)濃度およびタンパク質回収パーセントは、A280で吸光
度を測定することにより決定した。組成物もしくは製剤は、吸光度を測定する前に微量遠心した。分析は、96ウェル石英プレートを用いて二重反復(150μl/ウェル)で行った。各組成物もしくは製剤のそれぞれのバッファーは、読み取りのブランクに使用した。補正mg/ml計算は、1.2の消衰係数に基づいた。
【0084】
pH測定
pHの読み取りは、Corning pHメーター440を用いて較正後に行った。
【0085】
再構成時間
凍結乾燥組成物もしくは製剤を下記のように滅菌水において再構成した:バイアルを45℃の角度で傾け、そして水をガラスに滴下した。タイマーを開始し、そしてバイアルを回転させ、そして完全に溶解しているか視覚的に調べた。再構成が目視検査により認められるとタイマーを止めた。
【0086】
オスモル濃度
3つの基準(100、290および1000mmol/kg)を用いて較正しそしてクリーンテスト(clean test)で試験したVapro(R)浸透圧計をオスモル濃度を決定するために使用した。組成物もしくは製剤を測定するために以下の基準を用いた:100±2、290±3、1000+5および10未満のクリーンテストレベル。試験するために、溶質を含まないペーパーディスク上に10μlのサンプルを置いた。周囲チャンバー温度と密閉空間内の露点温度との差を測定するために細線熱電対湿度計を使用した。これらの温度間の差は露点温度降下であり、それは溶液蒸気圧の関数である。サンプルの読み取り中に、装置が較正を維持していることを保証するために全ての3つのサンプルについて290スタンダード(290 standard)を測定した。
【0087】
凝集度
凝集度は、50mMホウ酸、500mM NaCl pH8.5においてAmersham Bioscience(Cat.#17−1571−01)からのSuperdexTM 200 HR 10/300カラムを使用してSEC−HPLCを用いて決定した。凝集パーセントは、全タンパク質ピーク面積と比較した高分子型の相対ピーク面積として計算される。全回収パーセント(%TRc)は、tのピーク面積の合計をその後の時間点のピーク面積の合計で割ることにより計算される。
【0088】
重鎖分解および酸化
重鎖分解および酸化は、Phenomenex JupiterTM C5、2.0x250mm、300A、5ミクロンカラムを用いた逆相HPLC(RP−HPLC)の結果の分析により決定された。ジスルフィド結合を切断するためにFVIIaポリペプチドバリアントサンプルを還元剤(ジチオスレイトール)で処理しそして75℃に10分間加熱した。その結果として、以下の成分の相対的存在を単離しそして定量するために、両方ともトリフルオロ酢酸で酸性化した水およびアセトニトリルの直線勾配におけるRP−HPLC分離を用いることが可能であった:
・FVIIaポリペプチドバリアントの軽鎖
・FVIIaポリペプチドバリアントの重鎖
・FVIIaポリペプチドバリアントの4つの重鎖分解産物
・FVIIaポリペプチドバリアントの重鎖の3つの酸化形態
・一本鎖FVIIポリペプチドバリアント、および
・des−Gla FVIIaポリペプチドバリアント。
【0089】
生物活性(第X因子活性化アッセイ)
実施例2および3の生物活性(効能)は、リン脂質依存性(組織因子非依存性)第X因子活性化アッセイを用いて決定された。このアッセイは、Nelsestuen et al.,J Biol Chem,2001;276:39825−39831における39826頁に詳細に記述されている。簡潔に言えば、アッセイするFVIIaポリペプチドもしくはFVIIaポリペプチドバリアントをBSAを含有するTrisバッファーにおいてリン脂質源(好ましくは、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルセリンの組み合わせ)および再脂質化第X因子と混合する。特定のインキュベーション時間後に過剰のEDTAの添加により反応を止める。次に、第Xa因子の濃度を発色性基質(S−2765、Chromogenix)の添加後に405nmでの吸光度変化から測定する。バックグラウンドの補正後にFVIIaポリペプチドもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの組織因子非依存性活性を10分後の吸光度変化として決定する。U/mg単位のFVIIaポリペプチドもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの比活性は、同じサンプル上で、U/ml単位で表される第X因子活性化アッセイの結果をmg/ml単位で表されるA280吸光度測定の結果で割ることにより見出されることができる。
【0090】
生物活性(PACTアッセイ)
実施例4におけるサンプルの活性を決定するためにリン脂質活性化凝固時間(PACT)アッセイを用いた。PACTアッセイは改変された「活性化部分トロンボプラスチン時間」(APTT)アッセイであるが、通常のAPTTアッセイは凝固の接触経路(contact pathway)(内因系経路としても知られている)をモニターするが、PACTアッセイにおいて、一つにはAPTTアッセイにおいて用いられるカオリンもしくは他のケイ酸塩をリン脂質で置換することにより、接触経路は阻害され、従って、接触経路による第Xa因子への第X因子の転化を妨げる。結果として、トロンビン形成、従って、PACTアッセイにおける凝固時間は、FVIIaポリペプチドもしくはFVIIaポリペプチドバリアントとリン脂質との間の相互作用により決まる。
【0091】
PACTアッセイは、人工凝固活性化因子としてリン脂質小胞を用いて再石灰化クエン酸ヒトFVII欠乏血漿の組織因子非依存性FVIIa誘導性もしくはFVIIaバリアント誘導性凝固を測定する。簡潔に言えば、一定量の均質化したリン脂質小胞(ホスファチジルセリン:ホスファチジルコリン:ホスファチジルエタノールアミン(20:40:40の比率);8ミリリットル(ml)の血漿当たり320マイクロリットル(μl)の5mMの超音波処理したPS:PC:PEリン脂質小胞)をクエン酸ヒトFVII欠乏血漿に加える。次に、サンプルを加え(例えば、0.625nM〜10nMの間のFVIIaポリペプチド濃度、もしくはFVIIaポリペプチドバリアント濃度を用いて)、そしてカルシウムイオン(100μlの血漿に50μlのカルシウムバッファー(19.2mMのHEPES、144mMのNaCl、pH7.35、40mMのCaCl、57.6ミリグラム/ミリリットル[mg/ml]のBSAを含有する))の添加により凝固反応を開始する。凝固をリアルタイムで325ナノメートル(nm)で分光光度法でモニターする。凝固時間は、カルシウムイオンの添加による反応の開始から325nmでの吸光度により決定した場合の血餅検出までの経過時間である。対照基準を1.00の効能とみなし、そしてサンプルの効能は、同じPACT値を得るために必要とされる基準の量と比較してサンプルの相対量を測定することによりこの基準に対して決定される。
【0092】
全血アッセイ
FVIIaおよびそのFVIIaポリペプチドバリアントの凝固活性を1段階アッセイにおいて測定し、そして凝固時間をThrombotrack IV凝固計(Medinor)上で記録した。100μlのFVIIaもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを10mMのグリシルグリシン、50mMのNaCl、37.5mMのCaCl、pH7.35を含有するバッファーにおいて希釈し、そして反応カップに移した。抗凝固剤として10%の0.13Mクエン酸3ナトリウムを含有する50μlの血液の添加により凝固反応を開始した。データは、ExcelもしくはPRISMソフトウェアを用いて分
析した。凝固活性は、血餅形成を得るために必要な時間を反映する。従って、より少ない凝固時間は、より高い凝固活性に対応する。
【0093】
凝固活性を測定する方法
FVIIaもしくはFVIIaポリペプチドバリアントの凝固活性は、本質的にWO92/15686に記述されるように標準的な1段階凝固アッセイを用いて測定される。簡潔に言えば、試験するサンプルを50mM Tris(pH7.5)、0.1%BSAにおいて希釈し、そして100μlを100μlのFVII欠乏血漿および10mMのCa++を含有する200μlのトロンボプラスチンCとインキュベーションする。凝固時間を測定し、そして連続希釈でクエン酸正常ヒト血漿のプールを用いる標準曲線と比較する。
【0094】
抗凝固活性を測定する方法
不活性FVII/FVIIaポリペプチドもしくはそのバリアントの抗凝固活性は、上記(凝固活性を測定する方法)の1段階凝固アッセイを用いて測定することができ、ここで、不活性コンジュゲートは限られた量の再脂質化組織因子に関して野生型FVIIと競合する。アッセイは、本質的に参考文献として本明細書に組み込まれるWO 92/15686、実施例IIIに記載の通り行われる。野生型FVIIの凝固時間を延長する不活性コンジュゲートの能力を記録し、そして抗凝固活性の尺度とみなす。
【0095】
Mettler Toledo DO305乾燥オーブンを有するMettler Toledo DL36 KF電量計を用いてカール・フィッシャー分析により水分含量について凍結乾燥ケーキを分析した。
【実施例1】
【0096】
本実施例において、緩衝剤としてのヒスチジン、コハク酸塩および酢酸塩の適性を比較した。以下の表における「No.」という用語は、組成物もしくは製剤に与えられた識別番号をさす。試験した組成物もしくは製剤は、下記のとおりであった:
【0097】
【表1】

【0098】
水性組成物もしくは製剤の透析後に、0.5mg/mlのFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含有する、1mlの各組成物もしくは製剤を3mlの凍結乾燥バイアルに入れ(各製剤について20バイアル)、そして以下のパラメーターに従って凍結乾燥した。
【0099】
【表2】

【0100】
二次乾燥後に、全てのバイアルを600mTorrで窒素でバックフィルし(backfilled)、そして栓をした(13mm Westストッパー)。凍結乾燥組成物もしくは製剤を40℃で貯蔵し、そして0、7、14および28日で、
吸光度(A280、タンパク質回収%の決定用)、pH、再構成時間およびオスモル濃度を包含する様々な分析に供した。さらに、凝集度をSEC−HPLCを用いて決定し;重鎖分解および酸化をRP−HPLCにより決定し;そして効能を第X因子活性化アッセイを用いて決定した。
【0101】
結果
2つのコハク酸塩組成物もしくは製剤を除いて、組成物もしくは製剤は全て、40℃で28日までの後に許容しうるタンパク質回収(A280)およびオスモル濃度を示した。しかしながら、14日後に試験した場合、コハク酸塩組成物もしくは製剤は、他の組成物もしくは製剤と比較して非常に低いA280およびオスモル濃度を有した。これは、コハク酸カルシウムの沈殿に起因すると考えられる。
【0102】
コハク酸塩もしくはヒスチジンで緩衝化した組成物もしくは製剤は、28日までの間許容しうるpH安定性を示し、一方、酢酸塩で緩衝化した組成物もしくは製剤のpHは不安定であり、開始から比較的大きいpH増加を示した。
【0103】
凍結乾燥組成物もしくは製剤は全て、40℃で28日までの間貯蔵した場合に30秒以内に容易に再構成することができた。
【0104】
上記の結果を考慮して、ヒスチジンは緩衝剤として酢酸ナトリウムもしくはコハク酸ナトリウムのいずれかよりも有益であると結論付けられた。ヒスチジン組成物もしくは製剤の凝集度は全ての3つのpH値5.5、6.0および6.5で許容できるが、ヒスチジン組成物もしくは製剤のSEC−HPLC結果は、pHが増加するにつれてわずかに減少した凝集があることを示した。ヒスチジン組成物もしくは製剤は、SEC−HPLC(凝集)、RP−HPLC(重鎖分解および酸化)および第X因子活性化アッセイ(効能)により評価した場合にpH6.5で安定であることが見出された。従って、pH6.5のヒスチジンがさらなる実験のための緩衝剤として選択された。
【0105】
バッファーとして酢酸ナトリウムもしくはヒスチジンのいずれかを含有する組成物もしくは製剤について、上記のものと同一であるが張性調整剤としてトレハロースの代わりにショ糖を含有する(ショ糖の量は、それぞれの組成物もしくは製剤について上記の表に示されるトレハロースの量と同じである)組成物もしくは製剤もまた試験した。ショ糖を含有する組成物もしくは製剤の結果は、トレハロースを含有するものに匹敵した。しかしながら、ショ糖の存在下での酸化生成物の形成の任意の潜在的な増加した危険性を減らすために、トレハロースがその後の実験における張性調整剤として選択された。
【実施例2】
【0106】
実施例1における上記の通り以下の水性組成物もしくは製剤を製造しそして凍結乾燥に供した。組成物もしくは製剤の各々は、0.6mg/mlのFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントを含有し、そして6.5のpHを有した。以下の表における「No.」という用語は、組成物もしくは製剤に与えられた識別番号をさす。
【0107】
【表3】

【0108】
実施例1における上記の通りバイアルを40℃で28日間貯蔵しそして0、14および28日で分析した。比較目的のために、液体形態の同じ組成物もしくは製剤を40℃で21日間貯蔵し、そして0、7および21日で分析した。比活性(U/mg)もまた凍結乾燥組成物もしくは製剤については0、14および28日で、そして液体組成物もしくは製剤については0、7および21日で決定した。さらに、各液体組成物もしくは製剤の2つのバイアルを凍結融解分析用に−80℃で凍結した。
【0109】
結果
凍結乾燥バイアルにおける凍結乾燥ケーキの外観は、組成物もしくは製剤No.10を除いて組成物もしくは製剤間で均一であった。凍結乾燥組成物もしくは製剤は全て、40℃で28日間貯蔵した後に約30秒もしくはそれ未満以内に容易に再構成することができた。
【0110】
40℃で28日間のインキュベーション後の凍結乾燥組成物もしくは製剤は、21日間同じ温度で貯蔵した液体組成物もしくは製剤より低い凝集度および高い回収を有した。液体組成物もしくは製剤の凍結融解応力処理は、タンパク質に影響を与えないように思われた。10mMのCaClを含有する液体組成物もしくは製剤は、2mMのみのCaClを含有する匹敵する組成物もしくは製剤より7日および21日後に低い凝集度を有することが見出された。予想されるように、SE−HPLCにより分析した場合の総合的データは、凍結乾燥組成物もしくは製剤が液体組成物もしくは製剤より安定であることを示す。
【0111】
凍結乾燥組成物もしくは製剤は、0日と比較して14および28日で酸化の1%未満の増加を有し、メチオニンを含有する組成物もしくは製剤は、メチオニンなしの組成物もしくは製剤と比較して酸化のわずかに低い増加(0.2〜0.5%)を示した。
【0112】
Tween(R)−20の異なる量の効果は、液体もしくは凍結乾燥組成物もしくは製剤のいずれにおいても見られなかった。しかしながら、わずかに高い量のTween(R)−20(例えば、0.005%よりむしろ0.01%)もしくは他の界面活性剤は、凍結乾
燥の前の濾過もしくは他の精製工程後に界面活性剤が組成物もしくは製剤に存在することを保証するために好都合であり得る。
【0113】
凍結乾燥組成物もしくは製剤の水分含量を0および28日で測定した。28日での1つの組成物もしくは製剤(No.7)を除いて、0日および28日の両方での水分含量は3%未満であり、そして多くの場合において2%未満であった。0〜28日の間の各組成物もしくは製剤の水分含量の違いは、製剤No.7を除いて、1%未満であった。
【0114】
40℃で貯蔵した液体組成物もしくは製剤について、比活性は急速に減少し、平均して7日後に初期値の半分を少し上回るまで(54%)そして21日後に約18%まで下がった。対照的に、40℃で14もしくは28日間貯蔵した凍結乾燥組成物もしくは製剤の比活性は0日で決定された活性のものに近く、平均して14日で測定した場合に82%そして28日で90%のままであった。最も有望な組成物もしくは製剤(No.9)は、40℃で28日後に初期比活性の98.7%を有した。10mM CaClを含有する液体組成物もしくは製剤の比活性は、2mMのみのCaClを含有する液体組成物もしくは製剤のものより高かったが、これは凍結乾燥組成物もしくは製剤については当てはまらなかった。
【実施例3】
【0115】
FVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアント(0.62mgのバリアント/ml溶媒の濃度で366mgのポリペプチドバリアント)を含んでなる基本組成物もしくは製剤を20mMのヒスチジン、pH6.5、230mMのトレハロース、10mMのCaCl、10mMのメチオニンおよび0.005%のTween−20(R)において製造した。実施例2の組成物もしくは製剤No.8に対応する組成物もしくは製剤は、185.5mlの基本FVII/FVIIaバリアント組成物もしくは製剤に2.783mlの1%重量/容積(w/v)のストック溶液のTween−20(R)を加えそして0.2マイクロメーター(μm)膜を通して濾過することにより製造し、35個の20ml凍結乾燥バイアル(Mueller & Mueller)用に十分であった。残りの基本組成物もしくは製剤、249.5mlは、1248μlの1%(w/v)Tween−20(R)ストック溶を加えることにより実施例2の組成物もしくは製剤No.10に対応するように調合した。これは、49個の同様の20ml凍結乾燥バイアル用に十分であった。凍結乾燥を以下のパラメーターに従って行った:
【0116】
【表4】

【0117】
二次乾燥後に、全てのバイアルを600mTorrで窒素でバックフィルし、そして栓をした(20mm Daikyoストッパー)。これらの組成物もしくは製剤を40℃もしくは−80℃(−80℃=対照組成物もしくは対象製剤)のいずれかで貯蔵し、そして次に5.0mlの水で再構成し、そして実施例1および2における上記の通り14および28日後に分析した。さらに、40℃で液体形態で貯蔵した同一の組成物もしくは製剤を0、7および21日で比較目的のために分析した。40℃で28日間貯蔵した本発明の凍
結乾燥組成物もしくは製剤は:
・ケーキ外観
・水分含量:0日でそして28日後に2%未満
・再構成時間:13〜20秒(sec)
・pH安定性
・酸化
・生物活性:両方の凍結乾燥組成物もしくは製剤は、40℃で14もしくは28日後にそれらの完全な初期比活性を維持した。
・凝集体レベル:40℃で28日間貯蔵した両方の組成物もしくは製剤の凝集体レベルは、初期レベルとそして−80℃で40日間貯蔵した同じ組成物もしくは製剤のレベルと非常に類似し、優れた安定性を示した。
を包含する全ての試験したパラメーターにおいてよく機能することが見出された。
【0118】
比活性、凝集体形成、酸化および重鎖分解についての40℃で貯蔵した本発明の凍結乾燥組成物もしくは製剤の分析の結果は、40℃で貯蔵した液体組成物もしくは製剤ならびに−80℃で貯蔵した同じ凍結乾燥組成物もしくは製剤について得られる結果と比較して0.01%Tween(R)−20を含有する本発明の上記の組成物もしくは製剤について図1〜4に示される。これらの図は、本発明の凍結乾燥組成物もしくは製剤が40℃で28日の貯蔵後に十分に安定であり、−80℃で貯蔵した対照組成物もしくは製剤と同程度に優れた比活性、凝集体形成、酸化および重鎖分解のレベルを示すことを表す。対照的に、液体組成物もしくは製剤は、40℃で21日後に活性のかなりの喪失ならびに凝集体形成、酸化および重鎖分解の増加を示す。
【実施例4】
【0119】
他の実施例において使用する同じFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントおよび実施例3のものに対応する組成物もしくは製剤および実施例2の組成物もしくは製剤No.8(20mMのヒスチジン、10mMのCaCl、230mMのトレハロース、10mMのメチオニン、0.01%のTween(R)20、pH6.5)を用いて4つの異なる温度で長期安定性研究を行った。安定性研究は、−80℃、5℃、25℃および40℃の公称温度で貯蔵した凍結乾燥薬剤生成物に行った。全ての充填バイアルを直立位置で貯蔵し、そして研究中遮光した。サンプルを以下の時間点で再構成しそして分析した:15日、37日、88日、191日、268日および365日。25℃および40℃で貯蔵したサンプルは、再構成および分析の約2週前に輸送用に(for transport)5℃に冷却した。これらのサンプルについて、サンプルを5℃に冷却した時点を用いる(37、88および191日の代わりにそれぞれ28日、66日および175日)。5℃および−80℃で貯蔵したサンプルのみ最初の半年後に分析した。
【0120】
上記のように決定された、相対効能(PACTアッセイ)、凝集タンパク質の量(ダイマーおよびポリマーパーセント)、重鎖分解(−80℃サンプルに対する)、オスモル濃度、および酸化(−80℃サンプルに対する)のデータは、それぞれ、図5、6、7、8および9に示される。これらの図の各々において、点線は各図の平均値の上および下の2つの標準偏差を示し、一方、点線の間の横線は測定の全ての平均を表す。相対効能(図5)の決定について、各データ点は3つのサンプルの平均を表す。図6〜9について、各データ点は単一のサンプルをアッセイした結果である。
【0121】
全体で、図5〜9に提供されるデータは、FVIIaバリアントが、本発明の組成物において貯蔵される場合に、研究の全期間にわたって、すなわち1年までの間試験した温度で安定であることを示す。これは、図5に示されるようなバリアントの活性にならびに図6、7、8および9に示されるような化学的および物理的安定性に当てはまる。興味深いことに、25℃および40℃の比較的高い温度でさえ、FVIIaバリアントはこの組成
物において非常に安定であるように思われ、これは、本発明の組成物が周囲温度でのFVIIaの長期貯蔵に適していることを示唆する。1年までの間貯蔵したサンプルについて、5℃で貯蔵した組成物と−80℃で貯蔵したものとの間で有意な差は認められなかった。従って、本実施例の結果は、本発明の組成物が広範囲の温度条件下でFVIIaに長期貯蔵安定性を与えることを示す。
【0122】
前述の発明は明確さおよび理解の目的のために多少詳細に記述されているが、本発明の真の範囲からそれることなしに形態および詳細の様々な変更を行うことができることは、本開示の読み取りから当業者に明らかである。本明細書に記述される実施例および態様は説明目的のためだけであることそしてそれを踏まえた様々な改変もしくは変更が当業者に示唆されそして本願の精神および範囲ならびに添付の請求項の範囲内に包含されることが理解される。本願に引用される全ての公開、特許、特許出願および/もしくは他の文書は、各個々の公開、特許、特許出願および/もしくは文書が全ての目的のためにその全部が引用することにより本明細書に組み込まれることが個々に示される場合と同じ程度に全ての目的のためにそれらの全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再構成組成物におけるヒスチジンの濃度が少なくとも約5mMである、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドおよび緩衝剤としてヒスチジンを含んでなる、水での再構成に適した凍結乾燥した製薬学的組成物。
【請求項2】
再構成組成物におけるヒスチジンの濃度が少なくとも約10mMである請求項1の組成物。
【請求項3】
再構成組成物におけるヒスチジンの濃度が約12mM〜約50mM、例えば約12mM〜約40mM、例えば約15mM〜約25mMである請求項1の組成物。
【請求項4】
張性調整剤をさらに含んでなる前記請求項のいずれかの組成物。
【請求項5】
張性調整剤がグリセロール、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールもしくはマンニトールのような多価糖アルコール;ショ糖もしくはトレハロースのような糖;グリシンのようなアミノ酸;およびナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩もしくはマグネシウム塩のような中性塩よりなる群から選択される請求項4の組成物。
【請求項6】
張性調整剤がトレハロースである請求項5の組成物。
【請求項7】
再構成組成物における張性調整剤の濃度が約50mM〜約1000mM、例えば約100mM〜約500mM、例えば約150mM〜約300mMである請求項4〜6のいずれかの組成物。
【請求項8】
カルシウムもしくはマグネシウム塩をさらに含んでなる前記請求項のいずれかの組成物。
【請求項9】
塩化カルシウムを含んでなる請求項8の組成物。
【請求項10】
再構成組成物におけるカルシウムもしくはマグネシウム塩の濃度が約1mM〜約40mM、例えば約2mM〜約30mM、例えば約5mM〜約20mMである請求項8もしくは9の組成物。
【請求項11】
酸化防止剤をさらに含んでなる前記請求項のいずれかの組成物。
【請求項12】
酸化防止剤がアスコルビン酸、メチオニン、ベンジルアルコールおよびビタミンEよりなる群から選択される請求項11の組成物。
【請求項13】
酸化防止剤がメチオニンである請求項12の組成物。
【請求項14】
再構成組成物における酸化防止剤の濃度が約1mM〜約40mM、例えば約2mM〜約30mM、例えば約5mM〜約20mMである請求項11〜13のいずれかの請求項の組成物。
【請求項15】
界面活性剤をさらに含んでなる前記請求項のいずれかの組成物。
【請求項16】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項15の組成物。
【請求項17】
非イオン性界面活性剤がポリソルベート、ポリオキサマーおよびプルロニック(R)ポリ
オールよりなる群から選択される請求項16の組成物。
【請求項18】
非イオン性界面活性剤がTween(R)−20、Tween(R)−80もしくは別のポリソルベートである請求項17の組成物。
【請求項19】
再構成組成物における非イオン性界面活性剤の濃度が約0.001%(w/v)〜約0.5%、例えば約0.001%〜約0.05%である請求項16〜18のいずれかの組成物。
【請求項20】
再構成組成物のpHが約5.0〜約7.0である前記請求項のいずれかの組成物。
【請求項21】
再構成組成物のpHが約5.5、約6.0もしくは約6.5である請求項20の組成物。
【請求項22】
再構成組成物のpHが約6.0〜約7.0、例えば約6.2〜約6.8、例えば約6.4〜6.6である請求項20の組成物。
【請求項23】
再構成組成物におけるFVIIもしくはFVIIaポリペプチドの濃度が約0.1〜5mg/ml、例えば約0.2〜2mg/ml、典型的には約0.4〜1.5mg/ml、例えば約0.5〜1.0mg/mlである前記請求項のいずれかの組成物。
【請求項24】
ポリペプチドが組換えヒトFVIIaもしくはそのバリアントである前記請求項のいずれかの組成物。
【請求項25】
再構成した形態の組成物が約6.0〜約7.0のpHを有し、そして約10mM〜約30mMのヒスチジン、約150mM〜約300mMのトレハロース、約2mM〜約20mMの塩化カルシウム、約0.001%〜約0.05%(w/v)のTween(R)−20および約5mM〜約30mMのメチオニンを含んでなる請求項1の組成物。
【請求項26】
組成物がグリシルグリシンを含有しない前記請求項のいずれかの組成物。
【請求項27】
水分含量が3%(w/w)以下である前記請求項のいずれかの組成物。
【請求項28】
−80℃で同じ期間にわたって貯蔵した同一の凍結乾燥対照組成物と比較して2〜8℃で6ヶ月間貯蔵後に分析した場合に以下の特性:
a)対照組成物の生物活性の少なくとも80%である本明細書に記載の「第X因子活性化アッセイ」を用いて決定される生物活性、
b)対照組成物の凝集度より3%以下高いSEC−HPLCを用いて決定した場合の凝集度、
c)対照組成物の酸化度より5%以下大きいRP−HPLCを用いて決定される酸化度、および
d)対照組成物の重鎖分解度より5%以下大きいRP−HPLCを用いて決定される重鎖分解度
の1つもしくはそれ以上を示す前期請求項のいずれかの組成物。
【請求項29】
−80℃で同じ期間にわたって貯蔵した同一の凍結乾燥対照組成物と比較して2〜8℃で1年間貯蔵後に分析した場合に該特性の1つもしくはそれ以上を示す請求項28の組成物。
【請求項30】
−80℃で同じ期間にわたって貯蔵した同一の凍結乾燥対照組成物と比較して2〜8℃
で1年間貯蔵後に分析した場合に該特性の全てを示す請求項28の組成物。
【請求項31】
−80℃で同じ期間にわたって貯蔵した同一の凍結乾燥対照組成物と比較して20℃で6ヶ月間貯蔵後に分析した場合に該特性の1つもしくはそれ以上を示す請求項28の組成物。
【請求項32】
−80℃で同じ期間にわたって貯蔵した同一の凍結乾燥対照組成物と比較して20℃で6ヶ月間貯蔵後に分析した場合に該特性の全てを示す請求項28の組成物。
【請求項33】
ヒスチジン緩衝剤および水と第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドの混合物を準備して少なくとも5mMのヒスチジン濃度を有する水性組成物をもたらすこと、および得られる水性組成物を凍結乾燥に供して凍結乾燥組成物をもたらすことを含んでなる、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドを含んでなる貯蔵安定性組成物の製造方法。
【請求項34】
水性組成物が凍結乾燥の前に張性調整剤、カルシウムもしくはマグネシウム塩、非イオン性界面活性剤、酸化防止剤および防腐剤から選択されるの1つもしくはそれ以上の成分をさらに含んでなる請求項33の方法。
【請求項35】
組成物が水で再構成されている、請求項1〜32のいずれかに記載の組成物の治療的に有効な量を処置もしくは予防を必要とする患者に投与することを含んでなる、第VIIa因子の投与により処置できる症状の処置もしくは予防方法。
【請求項36】
第VIIa因子の投与により処置できる症状を処置するかもしくは予防するための薬剤の製造のための請求項1〜32のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項37】
哺乳類における血餅形成を増加するために有効な量の請求項1の組成物を哺乳類に投与することを含んでなる、増加した血餅形成が望ましい疾患もしくは症状を有する哺乳類における血餅形成の増加方法。
【請求項38】
FVIIもしくはFVIIaポリペプチドまたはFVIIもしくはFVIIaポリペプチドバリアントが凝固活性を有する請求項1の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−513462(P2010−513462A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542270(P2009−542270)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004338
【国際公開番号】WO2008/078189
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】