説明

管球および照明装置

【課題】落下防止機能を有する金属板製のアダプタにより内管および外管を支持するようにした、構造簡単で組立作業も容易であるとともに安全性の向上がはかれた高圧放電ランプなどの管球およびこの管球を用いた照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】内部に発光源1を収容し端部に封止部31が形成された内管3と、この内管3を囲繞するとともに開口部41近傍の内面側に凸状または凹状の係止部45が設けられた有底筒状の外管4と、上記内管3の封止部31を受入れる受容部53、この受容部53から外方向に折り曲げられ延在して弾性が付与された複数の腕部55を有し、この腕部55に上記外管4内面の係止部45と係合する凹状または凸状の係止部56が設けられたアダプタ5と、一端側に上記アダプタ5の受容部53を受入れる装着溝62と外管4の開口部41側を受入れる環状の装着溝63が形成された基体部61および他端側に受電部65を有する口金6とを備えている管球L1およびこの管球L1を用いた照明装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に発光源を封装するとともに端部に封止部を形成した内管となる気密容器をさらに外管で囲繞した多重管形のメタルハライドランプなどの高圧放電ランプやハロゲン電球などの管球およびこの管球を装着した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧放電ランプは、高効率、高演色性の光源として、店舗、工場、ホールやスポーツ施設などの照明用として広く用いられている。この高圧放電ランプ、たとえばメタルハライドランプは高効率化をはかるに伴う発光管の保温のためおよび破損時の対応として、透光性のガラスからなる最外管が非密封の二重管や三重管化された内部に収容され、これら発光管や外管などが口金に固定支持されるとともに電気的な接続がなされている。
【0003】
この種メタルハライドランプを特許文献1や2を参照してさらに詳述すると、内部に発光管を封装し端部に圧潰封止(シール)部を形成した石英ガラス製の内管が、有底筒状をなすガラス製外管内に収容され構成している。
【0004】
また、口金には内管および外管を受け入れる受容部内に環状溝が形成されているとともに環状溝によって中央部に残った円柱状部分にはその直径方向に直線状溝が形成され、かつ、環状溝と直線状溝とは連通していて、内管は、その封止部側が直線状溝内に、また、外管は、開口部側が環状溝内に配置され、耐熱性の無機接着剤を介し接合することで内管および外管が口金に固定される構造をなしている。
【0005】
また、発光源をタングステン(W)線でコイル状に巻回したフィラメントを用いる電球、特にハロゲン電球などは効率向上のため内部に封入する不活性ガスの圧力が高いことから、容器(バルブ)に傷などがあると点灯時に破壊することがあり容器を二重管構造としたものがあり、この電球においても口金に外管を接着剤を介し固定している。
【特許文献1】特許第4130829号公報
【特許文献2】特開2010−056031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記メタルハライドランプやハロゲン電球は、多重管構造とすることにより発光管の保温がはかれるとともに、発光管や内管に異常が生じ万一、破損しても外管によりガラス片などの飛散を防ぎ人や商品などを守ることができ、また、照明装置(器具)などにおいて多重管構造とすることにより装置(器具)側の開口部に設けられる保護カバー部材を不要とすることができる。
【0007】
しかし、上記ランプは点灯経過に伴う受熱や紫外線によって耐熱性の無機接着剤とはいえ接合力が徐々に劣化することや製造時の接着剤付着の不均一などに起因する接合強度の低下により、使用中にガラス製の外管が不所望に落下する虞がありその対策が要望されていた。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、落下防止機能を有する金属板製のアダプタにより内管および外管を支持するようにした、構造簡単で組立作業も容易であるとともに安全性の向上がはかれた高圧放電ランプなどの管球およびこの管球を用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の管球は、内部に発光源を収容し端部に封止部が形成された透光性の気密容器からなる内管と、この内管を囲繞するとともに開口部近傍の内面側に凸状または凹状の係止部が設けられた有底筒状の外管と、上記内管の封止部を受入れる受容部、この受容部から外方向に折り曲げられ延在して弾性が付与された複数の腕部を有し、この腕部に上記外管内面の係止部と係合する凹状または凸状の係止部が設けられたアダプタと、一端側に上記アダプタの受容部を受入れる装着溝と外管の開口部側を受入れる環状の装着溝が形成された基体部および他端側に受電部を有する口金とを具備していることを特徴とする。
【0010】
本発明の管球は、多重管の構成を発光源を封装した内管の封止部が装着される受容部に連接してばね性を有する腕部が設けられ、この腕部の先端部近傍に凹状または凸状の係止部を形成したアダプタが用いられ、この係止部と外管に設けられた係止部との凹凸による係合で、外管は、常時、弾性を有する腕部を介し係止部により押圧されている機械的に一体化した固定で外管を支持している。
【0011】
この凹凸による係止部は、外管軸を中心として対向する箇所や等間隔(等角度)で2か所以上に配設されていればよい。
【0012】
なお、本発明は、上記アダプタの受容部内での内管の封止部の固定や口金基体部内での受容部の固定のため補助的に接着剤を併用することは差し支えない。
【0013】
さらに、本発明でいう管球とは、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプや水銀ランプなどの高圧放電ランプおよびハロゲン電球などの電球を指す。
【0014】
なお、本発明および以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0015】
〔発光源について〕
発光源とは、内部に放電電極および水銀Hgなどの発光金属、アルゴン(Ar)などの希ガスからなる放電媒体を封装した放電ランプ用のセラミックス製やガラス製の発光管あるいは発光用のタングステン(W)線を巻回したコイル状のフィラメントを指し、内管はこれら発光管やコイル状のフィラメントを封装したガラス製の気密容器からなる放電ランプや電球である。
【0016】
〔内管について〕
内管のガラス材質は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスやアルミノシリケートガラスなどの酸化ケイ素(SiO)を主成分とした硬質ガラスあるいはソーダライムガラスなどの軟質ガラスを用いることができるが、硬質ガラスで形成することにより耐熱性、耐圧性や耐衝撃性が向上するので好ましい。内管の形状は、直管形や中央部が膨出した球形や長円形などあるいはこれら形状の複合形などをなしていて、端部に封止部が形成されている。
【0017】
この内管端部の封止部内にはガラスと熱膨脹係数が同じか近似している、硬質ガラスの場合にはモリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)やプラチナ(Pt)などのうちから選ばれた金属箔や金属線が、また、軟質ガラスの場合にはジュメット線が用いられ気密封止用の導入部材として封止されている。
【0018】
この封止部は、内管の端部を加熱し、軟化溶融したガラスを圧潰や焼絞りなどの手段あるいはステムを介し気密閉塞することにより形成でき、また、封止部は、バルブの一端側のみで複数組の導入部材が封止されていても、両端に形成されていて一端側に1組ないし複数組の導入部材が封止されているものであってもよい。
【0019】
また、内管内部は、放電ランプの場合には真空またはアルゴン(Ar)などの不活性ガスや窒素(N)などの雰囲気に、電球の場合にはアルゴン(Ar)やクリプトン(Kr)などの不活性ガスと窒素(N)との混合ガスあるいはこれら不活性ガスなどとハロゲン(ヨウ素(I)、臭素(Br)や塩素(Cl)など)との混合ガスが封入されている。
【0020】
また、内管は、発光管を所要に始動するために必要に応じて始動用の部品要素、たとえば紫外線発生源、高電圧パルス発生器または近接導体などを内部の所定位置に収納することができる。
【0021】
〔外管について〕
外管は、その内部に内管を収納して、内管(発光管を含む)の保温、内管(発光管を含む)破損時の破片の飛散防止あるいは触指による汚損などに対して保護する。この外管の材質は、特段限定されず内管に用いられる硬質ガラスや軟質ガラスにより形成することができる。また、この外管および前述した内管は、発光源からの光を透過して外部に放出できる程度の光透過性を有し、透明に限らず光拡散性やカラー発光するものであってもよく、また、端部など光放射を主としない部分は遮光性であってもよい。
【0022】
外管の形状は一端側が閉塞し、他端(基端)側が開放した開口部を有するA形、BT形、G形、R形、S形、T形やPS形など各種形状のものを所望に応じて適宜選択して採用することができ、また、開口部側が中央部に比べ径が小径や大径など徐々にあるいは段階的に変化していてもよい。
【0023】
なお、開口部近傍の内面側には後述するアダプタの係止部と係合する凹状または凸状の係止部が複数設けられている。
【0024】
〔アダプタについて〕
アダプタは、内管などを利用して外管を保持する手段であり、外管と口金との間の接合が不所望に離脱した際に外管を保持して口金から落下するのを阻止し得る手段として機能する。
【0025】
そのために、アダプタは、基体部が内管の封止部に支持され、この基体部より延在した複数の延在部が外管の内面との間の隙間に弾性が付与され介在するとともに形成された凹状や凸状の係止部として作用する。
【0026】
さらに詳述すると、アダプタは、内管の封止部を受入れる凹状をなす受容部と、この受容部の開口部から等間隔の複数個所で直角方向に折り曲げられ延出した複数の平面部と、この平面部を折り返えし折曲げ弾性を付与するよう形成した腕部と、この腕部の先端部近傍に上記外管内面の係止部と係合する凹状または凸状の係止部が形成された縦断面が略W字形状をなしている。
【0027】
上記封止部を受入れる受容部は、内管封止部の全周を囲う必要はないが外形にほぼ合わせた凹部形状をなしていて、封止部を外方から押圧して挟持や封止部と凹凸による係止ができる構造であるのが好ましい。
【0028】
また、腕部は折り返えすことにより弾性が付与される。この腕部の形成数は外管の中心軸を隔てた対向位置や等間隔(等角度)で外管の重量などを考慮して2か所以上に設けておけばよい。また、腕部に形成される凹状または凸状の係止部は、外管内面の係止部と係合するよう配設位置や相互の形状を決めておくことを要する。
【0029】
なお、アダプタおよび上記外管に設けられた係止部をなす凹状または凸状部は、係合面を半球状などの曲面や傾斜面としておくことにより、アダプタと外管との両者の係止部の係合作業が円滑に行える。
【0030】
上記構成のアダプタの形成材料は特段限定されないが、高圧放電ランプなどの管球の点灯中の高温に耐え、かつ弾性が阻害されない程度の耐熱性を有している必要がある。これらの条件を満たす材料としては、たとえば板厚が0.1
〜0.3mm程度のばね鋼ステンレスが適するが、一般のステンレスなどの金属板であってもよく、金属板を打ち抜くプレス加工などの手段で容易に成形できる。また、金属の他、ランプ点灯時の高温に耐え、かつ、弾性が損なわれない材料であれば耐熱性のプラスチックであってもよい。
【0031】
なお、本発明で上記外管およびアダプタに形成された凹状の係止部とは、外管壁やアダプタを貫通した透孔を含むものである。
【0032】
〔口金について〕
口金は、発光管などの発光源や外管などをソケットに保持させるとともに、電源と電気的に接続する機能を有する。本発明においてはねじ込み形(E形など)や差込み形(G形やS形など)などの口金において上記に加えて一端側に内管および外管を支持する弾性が付与された金属板からなる上記アダプタおよび外管の装着溝を、他端側にソケットとの支持と電気的な接続をなす受電部を備えていて、その余の構造は自由で、口金は既知の多様な構造を採用することができる。
【0033】
また、口金は、アダプタおよび受電部を機能的な位置に配置するために、電気的絶縁性が確保できれば金属製でもよいが、好ましくはたとえばステアタイトなどのセラミックスにより一体的に形成された耐熱・電気絶縁物製の口金基体部を配設することができる。すなわち、基体部がシェル部であっても、金属製などのシェル部に耐熱・電気絶縁物製や金属製の口金基体部が連設されていてもよい。
【0034】
(アダプタなどの装着溝について)
口金の一端側に臨み配設されたセラミックスなどからなる柱状の口金基体部は、中央部に上記アダプタの受容部を受入れる装着溝が、また、基体部の端縁部近傍にはアダプタの腕部および外管の開口部側を受入れる環状の装着溝が形成されている。また、環状の装着溝は基体部の外周壁とシェル部内周壁とで形成される隙間であってもよい。
【0035】
また、中央部の装着溝からアダプタが抜け出ないよう、装着溝壁面に係止孔などを、受容部側に切起片を設けておき、装着(挿入)は容易だが離脱(抜出し)させる後退が困難な構造としておいてもよい。
【0036】
(受電部について)
受電部は、管球に投入する電力を電源から受電して管球本体に供給する手段であり、既知の各種口金形態における受電部を適宜所望により選択的に採用することができる。
【0037】
ねじ込み形口金における受電部は、シェル部およびセンターコンタクト部が絶縁基体の所定の位置に互いに絶縁関係を保持して配設されることによって構成されていて、内管から導出された一対の外部リード部材の一方がシェル部に、他方がセンターコンタクト部にそれぞれ接続される。
【0038】
本発明の請求項2に記載の管球は、内管の端部に形成された封止部が圧潰封止部であって、この圧潰封止部がアダプタに形成された凹状をなす受容部内に挿入支持されていることを特徴とする。
【0039】
圧潰封止部はウエッジ形ランプに代表されるように、アダプタおよび口金の基体部に形成する凹部が、略長四角形をなすシンプルな形状であるので封止部などを確実強固に受容支持させることができるとともに形成が容易である。
【0040】
本発明の請求項3に記載の管球は、アダプタには、管軸を中心として腕部が等間隔に複数配設されていることを特徴とする。
【0041】
係止部が形成された各腕部間の間隔や高さは揃えておいたり正対位置に配設したりすることにより外管の保持力やセンタリングなどバランスがとれて好ましい。
【0042】
本発明の請求項4に記載の管球は、アダプタの係止部の近傍には、口金の基体部側に突出した突起が形成されていることを特徴とする。
【0043】
アダプタの腕部は、係止部5外面側が外管の係止部の内表面に当接して反対側の基体部側に押圧されているとともに係止部の近傍に設けられた突起の先端部が基体部に当接して腕部を外管側に戻すばね性を高める作用をしているので、両者の係合部には強い押圧力が働き両者の係合を一層強固にできる。
【0044】
本発明の請求項5に記載の管球は、アダプタまたは外管に設けられた凹状または凸状の係止部は、曲面または傾斜面を有することを特徴とする。
【0045】
係止部をなす凹状または凸状部を半球状などの曲面や傾斜面としておくことにより、アダプタと外管との両者の係止部の係合作業が円滑に行える。
【0046】
本発明の請求項6に記載の照明装置は、照明装置本体と、この照明装置本体に配設された上記請求項1ないし5のいずれか一に記載の管球とを備えていることを特徴とする。
【0047】
上記請求項1ないし5に記載の作用を奏する管球が装着された照明装置は、装置から管球の外管が分離脱落することを防止できる。また、多重管からなる管球であるので、照明装置(器具)の光放射開口部に設けられる透光性の保護カバーを省略することもできる。
【0048】
なお、この照明装置は、照明器具を含み装置本体内に点灯回路装置を備えていても、本体外に点灯回路装置を設け管球と接続されるものであってもよい。また、本体内に反射鏡や、光放射側にレンズや透光性のカバー部材が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0049】
請求項1の発明によれば、口金にアダプタを介した機械的な手段で外管を固定支持させているので、所定寿命中における固定強度の低下がなく外管の不所望な分離脱落を防ぎ、人や物品などに損傷を与えることのない安全性の向上がはかれた高圧放電ランプなどの管球を提供することができる。
【0050】
請求項2の発明によれば、内管に圧潰封止部を形成した管球において、上記請求項1に記載されたと同様な効果を奏する管球を提供することができる。
【0051】
請求項3の発明によれば、バランスよく外管を係止して上記請求項1または2に記載されたと同様な効果を奏する管球を提供することができる。
【0052】
請求項4の発明によれば、上記請求項1ないし3に記載されたと同様な効果を奏するとともに、さらに外管の強固な固定支持がはかれる管球を提供することができる。
【0053】
請求項5の発明によれば、上記請求項1ないし4に記載されたと同様な効果を奏するとともに、アダプタと外管との係合作業が円滑に行える管球を提供することができる。
【0054】
請求項6の発明によれば、請求項1ないし5に記載の効果を奏する管球を備えているので、外管の分離脱落による事故の防止がはかれる照明装置(器具)を提供することができる。また、外管の分離脱落がないことから装置(器具)において、光放射開口部における透光性の保護カバーは必須のものではなく、用いない場合は装置(器具)のコスト低減がはかれる。
【0055】
なお、この照明装置(器具)は、店舗、ホール、地下街、事務所やスポーツ施設などの照明用として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の管球(高圧放電ランプ)の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【図2】図1中の要部(外管と口金との係止部近傍)の拡大断面図である。
【図3】図1中の発光管部分を示す拡大断面正面図である。
【図4】図1中の外管部分を示し、(a)図は正面図、(b)図は側面縦断面図と要部の拡大断面図、(c)図は(a)図中の矢視IV−IV線に沿って切断した部分の横断面図である。
【図5】図1中のアダプタを拡大して示し、(a)図は正面図、(b)図は側面図、(c)図は上面図である。
【図6】口金の基体部の上面図である。
【図7】本発明の管球(高圧放電ランプ)の他の実施の形態を示す要部の断面正面図である。
【図8】本発明の管球(高圧放電ランプ)を装着した照明装置(器具)の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図6を参照して説明する。
【0058】
図1は管球(高圧放電ランプ)の一部断面正面図、図2は図1中の要部(外管と口金との係止部近傍)の拡大断面図、図3は図1中の発光管部分を示す拡大断面正面図、図4は図1中の外管部分を示し、(a)図は正面図、(b)図は側面縦断面図と要部の拡大断面図、(c)図は(a)図中の矢視IV−IV線に沿って切断した部分の横断面図、図5は図1中のアダプタを拡大して示し、(a)図は正面図、(b)図は側面図、(c)図は上面図、図6は口金の基体部の上面図である。
【0059】
なお、以下において構造などを示す上下左右などの位置関係は図面上の説明であって、使用の形態などにより上下左右が変わり特定されるものではない。
【0060】
本実施の形態に示す管球たとえば高圧放電ランプは、図1に示すように、発光管(発光源)1、内管3、外管4、アダプタ5および口金6を主要部材として構成されている。
【0061】
中心にある発光管1は、多結晶アルミナなどのセラミックスあるいは石英ガラスなどからなる長円形をなす膨出部11の両端に小径筒状部12が設けられた透光性の気密容器となるバルブ13を有し、このバルブ13内に導入導体2,2に接続支持された一対の電極20,20が対峙して設けられているとともにこのバルブ13の内部にはツリウム(Tm)、ナトリウム(Na)、タリウム(Tl)、スカンジウム(Sc)やディスプロシウム(Dy)などの少なくとも一種の発光金属のハロゲン化物や水銀(Hg)およびアルゴンなどの希ガスを封入して構成されている。
【0062】
たとえばセラミックス製のバルブ13の場合、小径筒状部12内に挿通される上記導入導体2は、ニオブ(Nb)やタンタル(Ta)などからなる外部導入導体21と、サーメットやモリブデン(Mo)からなる中間導入導体22と、タングステン(W)からなる電極軸23との3〜4部材を直列接続したものからなり、小径筒状部12の開口端部において外部導入導体21をセラミックス封止用コンパウンド25からなるフリットガラスを溶融し、固化させることにより固定するとともに開口部を閉塞して気密封止している。また、電極軸23の先端にはコイル状の電極20が設けられている。
【0063】
内管3は直管(T)形の石英ガラスからなり、一端側(図において上方側)には金型により成形した圧潰封止部31が、他端側は縮径された中央部に排気管の封切部32が形成してあり、上記圧潰封止部31内に気密封止されたモリブデン(Mo)箔26の一端側には内部リード部材27が、他端側には口金6の端子部に接続される外部リード部材28が接続してある。
【0064】
そして、上記発光管1は内管3内において両端から導出している外部導入導体21が内部リード部材27に直接あるいは導体を介し接続されているとともに内管3と同軸上に在るよう配設支持されている。(なお、図1,2中では下方に向かう内部リード部材は図示していない。)
また、内管3内は、真空かアルゴン(Ar)などの不活性ガスや窒素(N)雰囲気としてある。
【0065】
外管4は直管(T)形の石英ガラスからなり、一端側(図において上方側)には開放された開口部41が、他端側は略半球状に閉塞された閉塞部42が形成された有底筒状をなしていて、開口部41近傍の相対する内面の2か所には凹状または凸状ここでは内方に突出した凸状の係止部45,45が形成してある。
【0066】
アダプタ5は、ステンレスなどのばね性金属板をプレス加工などの打ち抜き手段で成形されたものからなる。アダプタ5は上記内管3の対向する圧潰封止部31の圧潰面を両側から挟むよう基体部51を介し相似形に立ち上げた一対の壁面52,52で形成した略長四角形状の空洞をなす凹状の封止部31の受容部53と、この受容部53の開口部から等間隔の複数個所で直角方向、ここでは対向する2か所で反対側に折り曲げ延出した平面状の肩部54と、この肩部54を折り返えし折曲げ弾性を付与するよう形成した腕部55と、この腕部55の先端部近傍に上記外管4内面の係止部45と係合する凹状または凸状のここでは凹状の透孔からなる係止部56が形成された縦断面が略逆M字形状をなしている。また、57,…は必須のものではないが腕部55に形成された口金基体部61側に突出した突起である。
【0067】
また、上記受容部53を形成する壁面52,52は平板状でもよいが、図示のように波状に形成して弾性をもたせることにより圧潰封止部31を強く挟持することができる。
【0068】
たとえば内径D1が約24.4mm、一対の凸状係止部45,45の頂部間の間隔D2が約21.6mmの外管4を支持する上記アダプタ5の概略寸法は、厚さが約0.2mmのステンレス板を用い受容部53を形成する壁面52の幅が約15mmm、壁面の高さ(深さ)が約15.5mm、波状の壁面52,52間の最大外側寸法が約5.8mm、肩部54の幅が約6mm、腕部55の長さ(高さ)が約10mm(外管4内面の湾曲面に対応して約9mmの曲率で湾曲)、腕部55に形成された係止部56の孔径が約5mm、基体部51(受容部53)と延在する両肩部54,54と両腕部55,55とで形成される略逆M字形状をなす最大寸法W1が約26.2mmで、外管4とアダプタ5とはD2<D1<W1の関係にある。
【0069】
口金6は、一端側に切頭円錐体などの略円柱形状をなすステアタイトなどの電気絶縁体からなる口金基体部61が、また、他端側には受電部65が設けられている。そして、基体部61の中央部には直径方向にアダプタ5の受容部53を受入れる装着溝62が、基体部61の周囲には外管4の開口部41側およびアダプタ5の腕部55を受入れる環状の装着溝63が設けられている。図中、64,64は装着溝62,63の形成によるランド部、68,68は装着溝62の底部に設けられた外部リード部材28,28の挿通孔である。
【0070】
また、口金基体部61の反対側にはシェル部66およびセンターコンタクト部67が所定の位置に互いに絶縁関係を保持して配設されることによって受電部65を構成している。
【0071】
そして、内管3は圧潰封止部31がアダプタ5に形成した凹状の受容部53内に挿入され、さらにこの受容部53は口金基体部61の装着溝62内に挿入されることにより内管3がアダプタ5を介し口金6に支持されることになる。なお、このとき内管3の端部から導出された一対の外部リード部材28,28は、アダプタ5の基体部51および口金6の基体部61の装着溝62底部の挿通孔68,68を挿通し、口金6内での相互の短絡を防ぐため張力がかかる状態で、封止部31の端面がアダプタ5を口金6の基体部61に押し付けその先端部が口金6のシェル部66およびセンターコンタクト部67などに溶接やろう付けなどの手段で接続してあるため、この外部リード部材28,28が内管3を吊下支持していることにもなり、内管3を強固に支持することができる。
【0072】
また、内管3の圧潰封止部31の圧潰面外表面と、この外表面と当接するアダプタ5の凹状の受容部53の内表面あるいはこの凹状の受容部53の外表面と、この外表面と当接する口金基体部61の装着溝62内表面とが相互に係合するよう両者の当接部に係合する凹凸部を形成して、その支持固定力を高めアダプタ5が抜け出すことを防ぐようにしてもよい。
【0073】
また、上記内管3と口金6とを係合した後、内管3を覆うよう被せた外管4は、開口部41を金口基体部61の側面に折り返されたアダプタ5の腕部55に滑らしながら移動させ、開口部41近傍の内面側に突出して設けた凸状の2か所の係止部45をアダプタ5の凹状ここでは透孔からなる2か所の係止部56に合わせることにより係合して、外管4をアダプタ5に固定支持させることができる。
【0074】
なお、上記アダプタ5および外管4に設けられた凹状または凸状の係止部45,56は、係合面を半球状などの曲面や傾斜面としておくことにより、アダプタ5と外管4との両者の係止部45,56の係合作業が円滑に行える利点がある。
【0075】
また、アダプタ5の腕部55は、係止部56の外面側が外管4の係止部45の内表面に当接して反対側の基体部61側に押圧されているとともに係止部56の近傍に設けられた突起57,…の先端部がランド部64壁面に当接することによって腕部55の変形量が規制される。このため、腕部55の不所望な変形による外管4の支持力の低下を抑制することができる。
【0076】
本発明は上述したように、多重管構造として内部に配設した発光源の保護や保温などをはかる管球において、金属板で形成したアダプタ5で弾性を利用して外管4を支持固定するようにしたもので、シンプルな構造でプレス作業などにより製造も容易で、経時劣化がないかあっても接着剤に比べて僅少で、口金6側が上方にくる鉛直あるいは傾斜した状態のベースアップでランプL1を点灯しても、照明装置に装着され所定寿命途中における外管4の脱落防止がはかれ、人や物品などに損傷を与えない安全性の向上したメタルハライドランプL1を提供することができる。
【0077】
図7は本発明の高圧放電ランプ(管球)の他の実施の形態を示す概略の一部断面正面図で、図中、図1と同一部分には同一の符合を付してその説明は省略する。
【0078】
この図7に示す高圧放電ランプL2は、内管3およびアダプタ5は図1や2と略同一構造で、上記実施の形態と変わるところは、外管4の形状および外管4と口金6との接続部である。
【0079】
この外管4はT形バルブの開口部(基端部)41側が中間部などに比べ径大に成形されていて、かつ、開口部(基端部)41端部の周縁部には外方に突出した鍔部43が形成してある。
【0080】
そして、アダプタ5による外管4の固定支持手段は上記実施の形態と同じであるが、口金6の基体部61にも上記外管4の開口部(基端部)41端部に形成したのと略同形の鍔部69が形成してあって、この両者の鍔部43,69を重合した重合部を縦断面が略コ字形をなすアルミニウム(Al)などの金属板製の環状リング60を嵌めることによって接合一体化されている。
【0081】
ランプ構造としてアダプタ5を有しない従来のこの種環状のリング60により一体化されているランプは知られているが、このガラス製外管4に形成される鍔部43の一様な成形形状を得るのが難しいとともにこの鍔部43に嵌めるリング60の固定にばらつきが生じ外管4がリング60から離脱して落下することがある。
【0082】
そこで、本発明に係わるアダプタ5による外管4の支持手段を、この環状リング60による支持手段と併用することにより、万一、環状リング60による支持が破損しても残るアダプタ5による外管4の支持が維持されているので、
外管4が口金6から離脱するのを防止できる上記実施の形態に示すと同様な作用効果を奏する高圧放電ランプL2を提供することができる。
【0083】
図8は、本発明の上記高圧放電ランプL1を装着した照明装置(照明器具)を示す一部断面正面図である。
【0084】
この照明装置(器具)9は屋内照明用のスポットライトで、照明装置本体91は、天井取付部92、支柱93、本体ケース94、ソケット95、反射鏡96、遮光キャップ97および上記実施の形態で示した高圧放電ランプ(メタルハライドランプ)L1を主な構成要素として構成されている。なお、本体ケース94は、支柱93に対して水平面内および鉛直面内の回動が可能になっている。
【0085】
この照明装置(器具)9は、たとえば商品が並んだウインドの天井面などに取付部92が反射鏡96の開口部側を下方にして取付られ、電源スイッチを入れることにより電源から天井裏などに配設された点灯回路装置(図示しない。)−ソケット95を介し放電ランプL1に給電される。
【0086】
そして、反射鏡96内で口金6側を上方(ベースアップ)にした垂直状態にあるランプL1が点灯されると、ランプL1からの直射光および反射鏡96で反射された反射光が開口部から放射され、下方にある商品などを照射して所定の照度を得ることができる。
【0087】
本発明においては、上述した高圧放電ランプL1が装着されているので外管4の脱落を防止できることから人や商品などに損傷を与えることがない安全性の高い照明装置(器具)9を提供することができる。
【0088】
また、照明装置(器具)9において、光放射開口部における透光性のガラスカバーなどの保護部材は必須のものではなく、用いない場合は照明装置(器具)9のコスト低減がはかれる。
【0089】
なお、本発明は上記実施の形態に限るものではない。たとえば管球としてメタルハライドランプについて述べたが、メタルハライドランプに限らず、水銀ランプや高圧ナトリウムランプなど種々の高圧放電ランプあるいは発光源としてタングステン(W)線を巻回したコイル状のフィラメントを気密容器(バルブ)内に配設し、不活性ガスとともにハロゲンを封入したハロゲン電球などに適用して上記ランプと同様な作用効果を奏する。
【0090】
また、放電ランプにおいては、内管内または外管内にランプ始動用の点灯管、バイメタルスイッチやエンハンサ(紫外線発生素子)などが設けられていてもよい。
【0091】
また、アダプタは上記実施の形態に示した逆W字形状の構造に限らず、中央部に管球の封止部を収容支持する凹状の受容部、この受容部から等間隔や等角度を隔て延在し先端側において外管に形成した係止部と係合する係止部が形成された複数のばね性の腕部が設けられていればよく、腕部の形成数は支持する外管の重量や係止部の形状を考慮して決めればよい。また、アダプタの形成材料はステンレスなどの金属板製に限らず、点灯時の高温に耐え、かつ、弾性が損なわれない耐熱性のプラスチック材料製のものであってもよい。
【0092】
また、照明装置は、高圧放電ランプや電球の発光を何らかの目的で用いる各種照明装置(器具)に適用することができる。
【0093】
この照明装置は、店舗、ホール、地下街、事務所やスポーツ施設などの照明用として用いることができる。
【符号の説明】
【0094】
L1、L2;管球(高圧放電ランプ)、 1;発光管(発光源)、
3;内管、 31;封止部、 4;外管、 41;開口部、
45、56;係止部、 5;アダプタ、 51;基体部、
53;受容部、 54;肩部、 55;腕部、 57;突起、
6;口金、 61;口金基体部、 62,63;装着溝、
65;受電部、 9;照明装置(器具)、 91;装置(器具)本体、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に発光源を収容し端部に封止部が形成された透光性の気密容器からなる内管と;
この内管を囲繞するとともに開口部近傍の内面側に凸状または凹状の係止部が設けられた有底筒状の外管と;
上記内管の封止部を受入れる受容部、この受容部から外方向に折り曲げられ延在して弾性が付与された複数の腕部を有し、この腕部に上記外管内面の係止部と係合する凹状または凸状の係止部が設けられたアダプタと;
一端側に上記アダプタの受容部を受入れる装着溝と外管の開口部側を受入れる環状の装着溝が形成された基体部および他端側に受電部を有する口金と;
を具備していることを特徴とする管球。
【請求項2】
内管の端部に形成された封止部が圧潰封止部であって、この圧潰封止部がアダプタに形成された凹状をなす受容部内に挿入支持されていることを特徴とする請求項1に記載の管球。
【請求項3】
アダプタには、管軸を中心として腕部が等間隔に複数配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の管球。
【請求項4】
アダプタの係止部の近傍には、口金の基体部側に突出した突起が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載の管球。
【請求項5】
アダプタまたは外管に設けられた凸状の係止部は、曲面または傾斜面を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の管球。
【請求項6】
照明装置本体と;
この照明装置本体に配設された上記請求項1ないし5のいずれか一に記載の管球と;
を備えていることを特徴とする照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−238398(P2011−238398A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107326(P2010−107326)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(301010951)オスラム・メルコ・東芝ライティング株式会社 (37)
【Fターム(参考)】