説明

簡易建物の骨組み構造

【課題】建設コストを大幅に低減しつつ、高強度の簡易建物の骨組み構造を提供すること
を目的とする。
【解決手段】複数本の湾曲部材が棟木部接手によって平面視X字状正面視アーチ状に接合
された骨組みユニットを1単位として複数単位からなるアーチ材と、前記棟木部接手によ
って前記アーチ材の頂部において該アーチ材に接合された棟木材と、肩部接手によって前
記アーチ材の肩部において該アーチ材に接合された桁材と、からなる簡易建物の骨組み構
造において、前記アーチ材は、隣り合う前記骨組みユニットの前記湾曲部材同士が、前記
棟木材と前記桁材との間において交差するように配設され、その下端部が土中に挿入され
た骨組み構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室、サクランボハウス、畜舎、露地野菜用防虫ハウス等の簡易建物の骨組
み構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、枠組構成が簡単かつ強固にしてシート等の被覆体と枠体の自重による変形の防止
と保形を完璧ならしめると共に大型化を図りうるハウスを得ることを目的として、図8(
a)〜(e)に示される、複数のPC鋼線からなる枠体51を弧状に彎曲せしめて、その
両外端を地中に挿し込み適宜連結して骨組構成しビニールその他のシートまたはフィルム
を展張してなる農業用または園芸用ハウスにおいて、前記枠体51を交互に反対方向に傾
斜させて地中に挿し込み、少くとも各枠体の交叉部を斜金または金具54、55等により
固縛連結すると共に各枠体51を引締部材53により枠体51を彎曲する方向に引締めて
なる農業用または園芸用ハウスが提案されている。
【特許文献1】実開昭53−106449号公報
【0003】
他方、従来の農業用ハウスは、複数本のアーチ型彎曲材61を左右の基礎台62へ間隔
をおいて平行状に装着し、これら複数のアーチ型彎曲材はブレース及びタイバーにより連
結して枠体を組成した後、該枠体の表面を覆膜で覆って構成されていたことから、従前の
枠組みにあっては同一材により梁間の増減と柱ピッチの増減ができないため、その組成に
際しては農業ハウスの大きさに合わせてアーチ型彎曲材は勿論のこと、ブレースやタイバ
ーも異なる寸法のものをいちいち用意する必要が生じ、製作費が高価となるばかりか、組
立に多くの時間がかかる外、強度的にも弱くなる等の欠点が生じ、これを改善することを
目的として、図9に示される、左右基礎台62の対称位置に間隔を置いて複数設けた連結
金具67a、67bへ、基端側をそれぞれ装着した同一部材の彎曲材61を4本宛交叉状
に付き合せ、該彎曲材61の付き合せ部は、枢支軸を軸として互いに回動できるよう交叉
状に連結された一対の継合金具67a、67bで順次連結して形成した交叉式アーチ枠A
を、複数組連続に隣接して組成せしめると共に前記連続に組成された交叉式アーチ枠Aの
表面に補助部材をもって覆膜を覆った交叉式アーチ型農業用ハウスが提案されている。
【特許文献2】特開昭57−181621号公報
【0004】
前記特許文献1に記載された発明について、図9を参照して概説すると、明細書には、
複数のPC鋼線からなる枠体51を弧状に彎曲せしめて、その両外端を地中に挿し込み、
枠体51を交互に交叉せしめて交叉部を金具54、55等にて適宜連結して骨組構成する
とのみ記載されていて、この骨組みは、図9の(a)、(b)を参酌しても棟方向の骨組
み部材を具備するものではない。それ故この骨組みは、荷重を棟方向の骨組み部材を介し
て他の枠体に応力を伝達して分散することができないことから、枠体自体の剛性を高いも
のにする必要があり、コスト高となる。さらに、図9の(d)、(e)に示されるように
、枠体51のPC鋼線は、X字状連結金具55の部位において接合されていて、それ自体
は非連続とされており、しかもX字状連結金具55には引締部材53を貫通するための孔
56が穿設されていることから、農業用ハウスに対する荷重は、連結金具55の部位に応
力が集中して構造上の弱点となりかねず、高価なPC鋼線を材料とする割には剛性をさほ
ど高くすることはできない。
【0005】
一方、前記特許文献2に記載された発明は、図10の(d)に示されるように、コンク
リート基礎を打設する必要があることから、施工期間が長期化してコストアップの要因と
なる。また、骨組みの材料として使用するパイプ径は、従来のものと変わらないので、パ
イプ材料の使用総量を減らすことはできないから、この面でのコストダウンは望めない。
さらに、交叉式アーチ枠の交叉部には棟方向の部材が存在しないから、特に棟方向の荷重
に対する強度は高くはなく、風が吹いたときの覆膜のバタツキが大きく覆膜の強度の劣化
を招きやすく、雨水がハウスの天井部に溜まった場合、ハウス内から覆膜を突き上げて排
水するための作業を要し、メンテナンスが容易でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の実状に鑑み、本発明は前記従来技術の欠点を克服することを課題とし、簡易建物
の骨組み構造を極めて特異の構造とすることで、従来簡易建物の骨組みとして使用してい
た炭素鋼製パイプ材料の使用総量を重量ベースで削減すること、及び、基礎工事自体を不
要とするとともに組立作業を簡略化すること、によって建設コストを大幅に低減しつつ、
高強度の簡易建物の骨組み構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、複数本の湾曲部材が棟木部接手によって平面視X字状正面視ア
ーチ状に接合された骨組みユニットを1単位とする複数単位からなるアーチ材と、前記棟
木部接手によって前記アーチ材の頂部において該アーチ材に接合された棟木材と、肩部接
手によって前記アーチ材の肩部において該アーチ材に接合された桁材と、からなる簡易建
物の骨組み構造において、前記アーチ材は、隣り合う前記骨組みユニットの前記湾曲部材
同士が、前記棟木材と前記桁材との間において交差するように配設され、その下端部が土
中に挿入されていることを特徴とする簡易建物の骨組み構造である。
請求項2に係る発明は、前記アーチ材が、一つ置きの前記骨組みユニットの前記湾曲部
材の柱部下端同士が、略近接して位置するように配設され、前記桁材と平行な裾材に固定
されていることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、簡易建物の間口に少なくとも2本の平行するアーチ部材が立設
されていることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、前記骨組みユニットが、前記湾曲部材が間口と平行なタイバー
によって連結補強されていることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、前記アーチ材が、隣り合う前記骨組みユニットの前記湾曲部材
同士が、X字接手によって前記棟木材と前記桁材との間において交差していることを特徴
としている。
請求項6に係る発明は、前記骨組みユニットが、4本の前記湾曲部材を前記棟木部接手
によって接合していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の簡易建物の骨組み構造は、請求項1に係る発明にあっては、複数本の湾曲部材
が棟木部接手によって平面視X字状正面視アーチ状に接合された骨組みユニットを1単位
とする複数単位からなるアーチ材と、前記棟木部接手によって前記アーチ材の頂部におい
て該アーチ材に接合された棟木部材と、肩部接手によって前記アーチ材の肩部において該
アーチ材に接合された桁部材と、からなる簡易建物の骨組み構造において、前記アーチ材
を、隣り合う前記骨組みユニットの前記湾曲部材同士が、前記棟木部材と前記桁部材との
間において交差するように配設し、その下端部が土中に挿入することによって、従来簡易
建物の骨組みとして使用していた炭素鋼製パイプの使用総量を重量ベースで削減すること
、及び、基礎工事自体を不要とするとともに組立作業を簡略化すること、によって建設コ
ストを大幅に低減しつつ、高強度の簡易建物の骨組み構造を提供することができる。
請求項2に係るものにあっては、前記アーチ材を、一つ置きの前記骨組みユニットの前
記湾曲部材の脚部下端同士が、略近接して位置するように配設され、前記桁材と平行な裾
材に固定されているから、請求項1に係るものに比べさらに、骨組みの強度を向上するこ
とができる。
請求項3に係るものにあっては、簡易建物の間口に少なくとも2本の平行するアーチ材
を立設したから、請求項1に係るものに比べさらに、間口の骨組みを強化することができ
る。
請求項4に係るものにあっては、前記骨組みユニットの前記湾曲部材を間口と平行なタ
イバーによって連結補強したから、請求項1に係るものに比べさらに、請求項1に係るも
のに比べ、骨組みの強度、特に下方向と棟と直交する方向の荷重に対する耐力を向上する
ことができる。
請求項5に係るものにあっては、前記アーチ材は、隣り合う前記骨組みユニットの前記
湾曲部材同士を肩部接手によって前記棟木部材と前記桁部材との間において交差するもの
としたから、請求項1に係るものに比べさらに、骨組みの強度、特に棟方向の荷重に対す
る耐力を向上することができる。
請求項6に係るものにあっては、前記骨組みユニットを、4本の前記湾曲部材が前記棟
木部接手によって接合して構成したから、請求項1に係るものに比べさらに、該部材の製
作、搬送、保管を容易にし、組立時の労力を軽減することができる。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明に係る簡易建物の骨組み構造の実施例の斜視図、図2は、同平面図、図
3は、同正面図、図4は、本発明に係る簡易建物の骨組みの骨組みユニットを示す図であ
る。図5は、棟木材とアーチ材を接合する棟木部接手を示す図、図6は、アーチ材同士を
X字状に接合するX字接手を示す図、図7は、水平の桁材と垂直からやや傾いたアーチ材
を接合する十字接手を示す図である。図8は、本発明の簡易建物の骨組み構造を間口方向
に2棟連続した、いわゆる連棟構造の斜視図である。図9は、従来の温室を示すもので、
(a)から(e)の順番に、平面図、同側面図、同正面図、接続金具の側面図、同正面図
である。図10は、その他の従来の温室を示すもので、(a)から(d)の順番に、その
正面図、同側面図、同平面図、その基礎の一部拡大図である。
【0010】
図1乃至図7を参照して、本発明に係る簡易建物の骨組み構造の実施例について詳細に
説明する。
1は、一般構造用炭素鋼管から組成された簡易建物の骨組み構造を表わすものであり、
通常この骨組みには、ビニル系、ポリオレフィン系、フッ素系等のフィルム、シートや防
虫ネット等の被覆材が被覆されて、温室、サクランボハウス、畜舎、露地野菜用防虫ハウ
ス、倉庫等の簡易な建物として利用される。
【0011】
2は、正面視左右対称形状の湾曲部材である2本の湾曲した鋼管パイプ2a、2bを公
知の接手によって接合した逆U字状の端部アーチ部材であり、簡易建物の棟方向両端部に
おいて、梁間方向に配されている。この実施例では、所定の間隔をあけて2本の端部アー
チ部材2が、建物両端部にそれぞれ設置されて端部アーチ材を構成しているが、その数は
1本でも、3本でもよい。
【0012】
3は、図4に示されるように、平面視X字状に、正面視アーチ状となるように、図5に
示される棟木部接手11によって接合された骨組みユニットである。
この棟木部接手11は、上段に棟木材5に固定される棟木固定部12と、該棟木固定部
の下方にボルト等の固定具19にて連結され、後述する4本の鋼管パイプの一端を開口部
から挿入固定して接続するX字接続管16とから構成されている。
棟木固定部12は、棟木5に固定される半円形湾曲板13と、X字接続管16と固定具
19にて一体化された取付板14とから構成されており、鋼板を折曲げ加工して形成され
たものである。
半円形湾曲板12は、正面視逆U字状を呈し、側板の中央部には円管の棟木5の外形に
沿わせる切起し15が内方に突出形成され、側板の下端部には内方及び上方へ折曲げられ
て溝が形成され、該溝には後述する台座の突起が係合する係合凹部が形成されている。
台座14は、平板の両端に下方に延びる脚を有する断面コ字状の板材で、該脚の中央部
に上記係合凹部に係合する突起が設けられている。台座14の長手方向中央には、棟木5
を収容する収容部が凹設されている。
X字接続管16は、2本の接続管17、18がX字状に重なって交差しており、上記台
座14とともにボルト、ナット等の固定具15にて一体化されている。
【0013】
骨組みユニット3は、上述の端部アーチ材用の鋼管パイプ2a、2bと同じ高さで、正
面視したときの幅がやや広く、平面視して斜めに配置したときに端部アーチ材用の鋼管パ
イプの形状と同じになる、正面視左右対称形状の4本の湾曲した鋼管パイプ3a、3b、
3c、3dの先端を、上述のX字接続管16に挿入固定して交差状に組み立てられている

このとき、X字接続管16には台座14が固定されているので、棟木5を挟持した状態
で上記半円形湾曲板13の溝に台座14の脚を当接し、半円形湾曲板13を棟木5に沿っ
て滑らせて、棟木5と骨組みユニット3とを接合する。
このようにして組み立てられた骨組みユニット3は、平面視してX字状を、正面視して
アーチ状を呈する。
この実施例では、4本の湾曲した鋼管パイプ3a、3b、3c、3dにて骨組みユニッ
ト3を構成したが、この実施例に限らず、それ自体アーチ形状をした2本の湾曲部材を上
記のものとは異なるX字接手により立体的に交差した状態に接合してもよい。
【0014】
4は、図2に示されるように、連続的に設置されたものの一つ置きのX字状骨組みユニ
ット3に取り付けられるタイバーである。このタイバーは、骨組みユニットの平面視右側
に位置する湾曲部材3a、3dを連結している。
なお、タイバーの取り付け方については、全ての骨組みユニット3に取り付けてもよい
。また、骨組みユニット3の左側、あるいは両側に取り付けることも可能である。要する
に、風の強さや降雪量等の地域特性を考慮して決定すればよい。
5は、上記端部アーチ材と上記アーチ材の頂部に接合された棟木、6、7は、該両アー
チ材の肩部、柱部下端部に接合された桁材、裾材である。
【0015】
以下、上述の端部アーチ材、アーチ材、棟材、桁材、裾材の具体的な設置例について説
明する。
間口6m、地表面より桁材までの柱高2mの端部アーチ部材2aは、簡易建物の棟方向
両端に1本ずつ、その内側に0.45〜0.55m間隔を設けてもう1本ずつ建て込まれ
、柱部下端部が土中に挿入されて立設され、端部アーチ材2を構成している。
その中間には、複数単位の骨組みユニット3が連続的に0.8〜0.9mスパンで建て
込まれているが、図1、図2に示されるように、隣り合う骨組みユニット3、例えば図3
に示される3の1と3の2の湾曲部材同士3aと3c、3dと3bは、棟木材5と桁材6
との間において、X字接手21によって重なって交差するように配設され、また、一つ置
きの骨組みユニット3、例えば3の1と3の3の湾曲部材の柱部下端同士が、略近接して
位置するように配設され、その下端部が土中に挿入されている。
【0016】
図6を参照して、X字接手21について説明する。
図6(b)は、パイプ3a、3cを実装した平面図である。
X字接手21は、短冊状の鋼板を折曲加工して形成されていて、短手方向に対して20
°傾斜した溝状受入部23を有している鋼板22を、該溝状受入部23同士を対向させて
重合して、図示しないボルト、蝶ナット等の固定具にて固定される。
一方の鋼板22の1端部には、長孔26が穿設されるとともに、他端部と他の鋼板23
の両端部には、円孔24、25及び27が穿設されている。
円孔27は、鋼管パイプ3a、3cが40度の角度で交差するとき、長孔26の中央に
位置する。
鋼板22、23は、円孔24、25を貫通するボルトを中心として±5度程度回動し得
るから、鋼管パイプ3a、3c同士の交角が多少変化しても、鋼板22を回動することに
より微調整可能である。
【0017】
次いで肩部接手31について、図7を参照して説明する。
図7(a)は側面図、図7(b)は平面図、図7(c)は正面図である。
この肩部接手31は、前記アーチ材2、3の肩部及び裾部において、桁材6または裾材
7と該アーチ材とを、アーチ材がやや傾斜した十字状に接合する接手である。肩部接手と
裾部接手とは構造が同一であるので、以下、肩部接手について説明する。
肩部接手31は、短冊状の鋼板を折曲加工して形成されるもので、水平方向に伸びる桁
材6または裾材7を収容する半円形湾曲板32と、その側板35に形成された開口部33
に挿通され、アーチ材2または端部アーチ材を収容するU字状係合片34と、半円形湾曲
板32の側板下端に形成された内方折曲片37と鋼管パイプの間隙に打ち込まれる楔片3
8とから構成されている。
半円形湾曲板32に形成された開口部33の幅は、上記U字状係合片34の幅より大き
くされて、開口部33の上縁には、U字状係合片34の端縁を直交方向と±10度の範囲
で回動して、任意の角度で受け入れる係合凹部が刻設されている。
また、U字状係合片34の上縁部には、桁材等6(7)を受け入れる円弧状凹部40が
設けられている。
桁材6と裾材7は、この肩部接手31と同様の構造の裾部接手により、上記アーチ材2
、3に固定される。
【0018】
以上の説明から明らかなように、この実施例の簡易建物の骨組み構造によれば、棟部に
おいて、4本の鋼管パイプをX字接続管16にて一体化して骨組みユニット3を構成し、
この骨組みユニット3を半円形湾曲板13と台座14にて棟木5に固定し、棟木5と桁材
6の中間部位において、X字接手21にて隣り合う骨組みユニットのアーチ材同士を接合
して、肩部において1つ置きに隣り合う骨組みユニット3のアーチ材同士を近接させて桁
材6と接合して、屋根面を構成している。
屋根面の棟木5と桁材6の間では、棟木5を上弦材とし桁材6を下弦材とするトラスが
二重に配置された構造となっており、強度的に優れた架構を構築することができる。
【0019】
本発明の骨組み構造を22.2mmの口径の鋼管パイプで、間口5.4m、骨組みユニ
ットのスパン0.9mの建物を構築したものと、従来型の口径25.4mmの口径の鋼管
パイプで、間口5.4m、スパン0.45mで棟木方向に平行に間隔を置いて構築した骨
組み構造のものを比較試験した結果を以下に示す。
《水平方向引張試験》
この試験は、棟方向に引張荷重をかけて、妻部アーチ材の移動距離を計測した。その結
果は、表1のとおりである。
【表1】


《垂直方向引張試験》
この試験は、垂直方向に荷重をかけて、棟木とアーチ材の下降距離を計測した。その結
果は、表2のとおりである。
【表2】

この試験結果によれば、本発明の骨組み構造が、従来型のものより口径が小さいものか
ら構築されているにも拘らず、従来型に比べ、棟方向の強度は引張荷重30kgで約6倍
、垂直方向の強度は荷重65kgで約4倍あることが理解できる。
【0020】
以上のとおり、アーチ材の使用量は、本発明の骨組み構造は、スパンを従来型に比べて
2倍前後に設定しているので、骨組みユニットを斜めに配した部材によって構成している
分、若干その使用長さが増加するものの、使用する鋼管パイプの口径を小さくでき、使用
重量を40〜50%相当程度縮減することができることから、簡易建物の建築コストを下
げつつ、強度が極めて大きいものを築造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上、単棟を実施例として説明したが、連棟にする場合は、図8に示すように、隣り合
骨組み構造のアーチ材2aと2b、3aと3d、3cと3bを近接または交差させ、アー
チ材が近接している互いのハウスの肩部に谷樋9を設置すればよい。被覆材は谷樋9の下
部以外の面に展張する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の簡易建物の骨組み構造の斜視図である。
【図2】本発明の簡易建物の骨組み構造の平面図である。
【図3】本発明の簡易建物の骨組み構造の側面図である。
【図4】本発明の骨組み構造の1単位の骨組みユニットの斜視図である。
【図5】本発明の棟木と骨組みユニットを接合する棟木部接手の斜視図である。
【図6】本発明の骨組みユニット同士を接合するX字接手の図面で、(a)図は正面図、(b)図は平面図である。
【図7】本発明の桁材または裾材と骨組みユニットとを接合する桁部接手または裾部接手の図面で、(a)図は正面図、(b)図は平面図、(c)図は斜視図である。
【図8】本発明の簡易建物の骨組み構造を間口方向に2棟連続した、いわゆる連棟構造の斜視図である。
【図9】従来例1の骨組み構造を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は側面図、(c)図は正面図、(d)図はX字接手の側面図、(e)図は同正面図である。
【図10】従来例2の骨組み構造を示す図で、(a)図は正面図、(b)図は側面図、(c)図は平面図、(d)図は基礎の側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 簡易建物の骨組み構造
2 端部アーチ材
3 アーチ材
4 タイバー
5 棟木材
6 桁材
7 裾材
9 谷樋
11 棟木部接手
12 棟木固定部
15 固定具
16 X字接続管
21 X字接手
31 肩部接手
51 枠体
61 アーチ型彎曲材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の湾曲部材が棟木部接手によって平面視X字状正面視アーチ状に接合された骨組
みユニットを1単位とする複数単位からなるアーチ材と、
前記棟木部接手によって前記アーチ材の頂部において該アーチ材に接合された棟木材と

肩部接手によって前記アーチ材の肩部において該アーチ材に接合された桁材と、
からなる簡易建物の骨組み構造において、
前記アーチ材は、隣り合う前記骨組みユニットの前記湾曲部材同士が、前記棟木材と前
記桁材との間において交差するように配設され、その下端部が土中に挿入されていること
を特徴とする簡易建物の骨組み構造。
【請求項2】
前記アーチ材は、一つ置きの前記骨組みユニットの前記湾曲部材の柱部下端同士が、略
近接して位置するように配設され、前記桁材と平行な裾材に固定されていることを特徴と
する請求項1に記載された簡易建物の骨組み構造。
【請求項3】
簡易建物の間口に少なくとも2本の平行するアーチ部材が立設されていることを特徴と
する請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された簡易建物の骨組み構造。
【請求項4】
前記骨組みユニットは、前記湾曲部材が間口と平行なタイバーによって連結補強されて
いることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された簡易建物の骨組み構
造。
【請求項5】
前記アーチ材は、隣り合う前記骨組みユニットの前記湾曲部材同士が、X字接手によっ
て前記棟木材と前記桁材との間において交差していることを特徴とする請求項1乃至請求
項4のいずれかに記載された簡易建物の骨組み構造。
【請求項6】
前記骨組みユニットは、4本の前記湾曲部材が前記棟木部接手によって接合されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された簡易建物の骨組み構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−312717(P2007−312717A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147473(P2006−147473)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000218362)渡辺パイプ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】