説明

粉体塗料樹脂組成物

【課題】
平滑性や光沢性に優れた塗膜を形成し得る、硬化型アクリル樹脂、ならびに該硬化型アクリル樹脂中のエポキシ基と反応し得る硬化剤からなる粉体塗料組成物を提供する。
【解決手段】
少なくとも2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート(A)およびエポキシ基含有不飽和化合物(B)を含む原料モノマーを重合して得られた数平均分子量が1000〜20000であり、かつガラス転移温度が30〜90℃の硬化型アクリル樹脂、ならびに該硬化型アクリル樹脂中のエポキシ基と反応し得る硬化剤からなる粉体塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化型アクリル樹脂、ならびに該硬化型アクリル樹脂中のエポキシ基と反応し得る硬化剤からなる粉体塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、粉体塗料は、溶剤排出の極めて少ない環境対応型塗料であり、特にVOC規制の厳しい欧米を中心に市場が拡大している。
このような粉体塗料として、例えばグリシジル基を有する硬化型アクリル樹脂と脂肪族二塩基酸に代表される硬化剤を含有するアクリル系粉体塗料が知られている。
【0003】
また、粉体塗料は、一般に、硬化型樹脂、硬化剤、塗料用添加剤及び顔料を乾式混合した後、溶融混練機で混練分散し、次いで粉砕、分級させることにより製造されている。しかしながら、この方法では硬化型樹脂と硬化剤とを熱で溶融させて混練させる際、硬化型樹脂と硬化剤との架橋反応の進行を抑制する必要がある。このため、混練を硬化剤の融点以下の温度で行なう等の制約を受け、樹脂と硬化剤とを均一に分散することが困難であった。また、このようにして製造された粉体塗料により形成される塗膜は、外観、特に表面平滑性に欠けるといった問題点を有している。更に、顔料の分散性も悪く、液体型塗料に匹敵するような鮮映性のある塗膜が得られないという問題があった。
【0004】
このような問題点を改善する方法として、硬化型樹脂と硬化剤等とを、湿式で、すなわち溶剤中で混合する方法が提案されている(特許文献1〜3参照。)。
これらの方法によっても、硬化型樹脂と硬化剤等との均一分散が必ずしも十分でなく、キシレンなどの高沸点溶剤を脱揮・除去するための大型脱揮・回収装置が必要となる等、未だ多くの問題点を残している。
また、硬化型アクリル樹脂をメタノール溶媒中で重合し、得られた樹脂溶液と硬化剤を湿式混合する方法が開示されている(特許文献4〜5参照。)。しかし、メタノールは低沸点であり脱揮・除去は容易であるが、硬化型アクリル樹脂の製造工程及び粉体塗料の製造工程の双方にメタノール溶媒を使用すると、エポキシ基を加熱下でメタノールと長時間接触させることになり、その結果、エポキシ基を開環させるので、得られた塗料の耐ブロッキング性や塗膜の機械的物性を損なうおそれがある。
【特許文献1】特公昭54−25531号公報
【特許文献2】特開平11−302567号公報
【特許文献3】特開2000−103866号公報
【特許文献4】特開平11−349859号公報
【特許文献5】特開2000−34426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、平滑性や光沢性に優れた塗膜を形成し得る、硬化型アクリル樹脂、ならびに該硬化型アクリル樹脂中のエポキシ基と反応し得る硬化剤からなる粉体塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決することを目的として鋭意検討した結果、第3級水酸基を有する2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレートを硬化型アクリル樹脂中に共重合させることで、平滑性や光沢性に優れた塗膜を形成できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、少なくとも2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート(A)およびエポキシ基含有不飽和化合物(B)を含む原料モノマーを重合して得られた数平均分子量が1000〜20000であり、かつガラス転移温度が30〜90℃の硬化型アクリル樹脂、ならびに該硬化型アクリル樹脂中のエポキシ基と反応し得る硬化剤からなる粉体塗料組成物に関するものである。なお、(メタ)アクリレートの表記は、メタクリレートとアクリレートの両方を意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粉体塗料組成物により、平滑性や光沢性に優れた塗膜が得られ工業上の意義は深い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の方法について詳細に説明する。
本発明の粉体塗料組成物は、少なくとも2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート(A)及びエポキシ基含有不飽和化合物(B)を含む原料モノマーを重合して得られた数平均分子量が1000〜20000であり、かつガラス転移温度が30〜90℃の硬化型アクリル樹脂、ならびに該硬化型アクリル樹脂中のエポキシ基と反応し得る硬化剤からなる粉体塗料組成物である。
【0010】
本発明で用いられる硬化型アクリル樹脂は、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート(A)、エポキシ基含有不飽和化合物(B)を含む原料モノマーを重合して得られる。
【0011】
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート(A)の共重合量は10〜70重量%が好ましく、さらに20〜60重量%が好ましい。10重量%未満では、得られる塗膜の平滑性、光沢性が向上しにくく、70重量%を越えると、エポキシ基含有不飽和化合物(B)の共重合量が少なくなるため、架橋率が小さくなり、塗膜物性が低下する。
【0012】
エポキシ基含有不飽和化合物(B)の例を示すと、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、N−グリシジル(メタ)アクリル酸アミド、アリルグリシジルエーテル、ビニルスルフォン酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中では、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジルメタクリレートがより好ましい。これらは、単独でまたは複数を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ基含有不飽和化合物(B)の共重合量は10〜60重量%が好ましく、さらに20〜50重量%が好ましい。10重量%未満では得られる塗膜の耐食性や硬度が低下し、一方、60重量%を越えると粉体塗料の貯蔵安定性や塗膜の平滑性が低下し、外観が劣る。
【0013】
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート(A)、エポキシ基含有不飽和化合物(B)以外に原料モノマーとして用いられるその他のビニル化合物は、限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、カプロラクトン変性メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、カプロラクトン変性アクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレン、αメチルスチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。これらは、単独でまたは複数を組み合わせて用いてもよい。上記のビニル化合物は、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート(A)及びエポキシ基含有不飽和化合物(B)が好ましい共重合量となる範囲内で、その使用量は特に制限されないが、一般的には、全モノマー当たり5〜40重量%の範囲で、主成分(A)の共重合量を超えないことが好ましい。
【0014】
本発明で用いられる硬化型アクリル樹脂は、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、及び塊状重合法などのラジカル重合法により調製できる。特に、溶液重合法が好適である。
【0015】
具体的な例として、原料モノマーをアゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤と共に重合溶媒中に溶解させ、50〜150℃、常圧〜20MPaの重合条件で行われ、重合終了後、重合溶媒を脱揮・除去することにより、目的とする常温で固体の硬化型アクリル樹脂を得ることができる。
【0016】
重合溶媒としては、アルコール溶剤、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等やその他溶剤、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を使用することができる。
【0017】
また、重合溶媒は、通常、全重合反応成分(重合溶媒を含む)中の濃度が10〜90重量%となるような量で使用される。また、上記の共重合は、重合率が98モル%以上、好ましくは99モル%以上、最も好適には、99.5モル%以上となる程度行うのがよい。重合率が低いと、未反応単量体の脱揮に多大な労力を要するからである。
【0018】
このようにして得られる常温で固体の硬化型アクリル樹脂は、数平均分子量が1000〜20000、好ましくは1000〜10000、更に好ましくは1000〜5000の範囲にあるのがよく、そのガラス転移温度は、30〜90℃、好ましくは35〜80℃、更に好ましくは40〜70℃の範囲にあるのがよい。数平均分子量やガラス転移温度が上記範囲よりも低いと、得られる粉体塗料の保存安定性が低下し、かかる塗料により得られる塗膜が、可撓性のないものとなるおそれがある。
また、数平均分子量やガラス転移温度が上記範囲よりも高いと、平滑性に優れた塗膜を形成することが困難となるおそれがある。
【0019】
尚、本発明において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定する。具体的には、測定試料はテトラヒドロフラン100重量部に対して樹脂0.3重量部を溶解したテトラヒドロフラン溶液とし、これをGPC、例えば東ソー(株)製8020型GPC等により測定し、ポリスチレン換算により数平均分子量を算出する。
また、ガラス転移温度(℃)は、DSC法(示差走査熱量測定法、昇温速度10℃/min)により測定し、中間点ガラス転移温度(Tmg)をガラス転移温度(Tg)とする。
【0020】
硬化剤は、前述した硬化型アクリル樹脂中のエポキシ基と反応性を有するものであり、アゼライン酸、ノナン二酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アジピン酸、マレイン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの二塩基酸もしくはその無水物;トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多塩基酸もしくはその無水物;メタフェニレンジアミン、メタキシレンジアミン、ジシアンジアミド、脂肪族アミン、脂環族アミンなどのアミンもしくはジアミン化合物;アミド化合物;メラミン化合物;ヒドラジン化合物、マレイミド化合物;シアネート化合物等を単独または複数組み合わせで使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、これらの中でも、二塩基酸、特にドデカン二酸が好適に使用される。
【0021】
硬化剤は、通常、硬化型アクリル樹脂中のエポキシ基当たり、0.7ないし1.3当量、好ましくは0.8ないし1.2当量、さらに好ましくは0.8ないし1.1当量の範囲で使用される。
【0022】
硬化型アクリル樹脂と硬化剤は、一般的な乾式混合してもよいし、溶剤を加えて、湿式混合でもよい。
乾式混合では、混合した後、溶融混練機で混練分散し、次いで粉砕、分級させ、粉体塗料を製造すればよい。
また、湿式混合法では、アルコール溶剤、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等やその他溶剤、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を添加して、混練、押し出し、次いで粉砕、分級させ、粉体塗料を製造すればよい。湿式混合で用いる溶媒は、重合溶媒と同じにした方が、工程削減のために都合がよい。
【0023】
硬化型アクリル樹脂や硬化剤に加えて、それ自体公知の塗料用添加剤、例えば、溶融流動調節剤、ピンホール防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、硬化触媒、可塑剤、耐ブロッキング性向上剤、粉体流動付与剤、脱泡剤等を、必要により使用することができる。
このような塗料用添加剤は、粉体塗料の塗膜形成能などの特性を損なわずに所定の機能が発揮される程度の量で使用される。例えば、硬化型アクリル樹脂100重量部当たり、0.1ないし10重量部の範囲で使用される。
【0024】
粉体塗料組成物の用途に応じて、更に顔料が使用される。顔料としては、酸化チタン、ベン柄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カーボンブラック、酸化鉄等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。かかる顔料は、通常、硬化型アクリル樹脂100重量部当たり、200重量部以下の量で使用される。
【実施例】
【0025】
本発明を、以下の参考例、実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみ限定されるものではない。また、これらの例において、配合量はすべて重量基準で示した。
尚、粉体塗料の物性等は以下のようにして評価した。
1)不揮発分濃度(wt%):粉体塗料2gを140℃で30分乾燥し、乾燥前後の重量保持率(wt%)を算出した。
2)塗膜外観(平滑性):粉体塗料を燐酸亜鉛処理鋼板に静電塗装し、150℃のオーブン中で30分硬化させて得た塗膜の表面平滑性を目視により評価判定した。
○…へこみ、凹凸などがまったく無く、平滑性が良好である。
△…少しへこみ、凹凸が認められ、やや平滑性が劣る。
×…相当にへこみ、凹凸が認められ、平滑性が劣る
3)膜厚:塗装・硬化後の塗膜の膜厚を(株)ケット科学研究所製、膜厚測定器(型式:LZ−300C)を用いて測定した。
4)中心線平均粗さRa:塗装・硬化後の塗膜の表面を(株)東京精密製、サーフコム(SURFCOM)蝕針式表面粗さ計を用い、凹凸の平均値を数値化した。カットオフは0.8mmであり、数値が小さい程、塗膜が平滑である。
5)光沢(60°):塗装・硬化後の塗膜表面の60°鏡面反射率(%)を測定した。JIS K5400 7.6に従った。
6)鉛筆硬度:塗膜の硬さを鉛筆により評価した。所定の硬さの鉛筆でひっかき、5本中2本までの傷が付いた硬度をその塗膜の硬度とした。
【0026】
<実施例1>
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素による圧力調整装置および底部抜き出し管を備えた反応器中にキシレン1200部を仕込んで110℃に加熱し、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルメタクリレート(2-HBMA)492部、グリシジルメタクリレート(GMA)360部、スチレン(SM)180部、アクリル酸n−ブチル(n−BA)168部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)72部を2時間かけて加え、同温度に1時間保持した。次に、ルパゾール570(アトフィナ吉富(株)、開始剤)8部、SM18部を追添加し、1時間保持し、さらに重合させ、硬化型アクリル樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液を110℃、8時間、減圧乾燥させ、キシレンを脱揮し、硬化型アクリル樹脂を得た。
次に、この硬化型アクリル樹脂805部と、硬化剤としてドデカン二酸(体積平均粒径:20μm、宇部興産(株))195部、ベンゾイン(脱泡剤)5部、PL−540(楠本化成(株)、流動調整剤)10部を混合し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)、FM10C/1)で2000rpm、5分間、粉砕、攪拌、混合させ、硬化型アクリル樹脂と硬化剤の混合物を得た。
この混合物を、単軸押し出し機(Buss、PCS―30)を用い、90℃で溶融混練、押し出し、硬化型アクリル樹脂と硬化剤の溶融混練組成物を得た。
この混練組成物を衝撃式粉砕機を用いて粉砕し、さらに分級し平均粒径25μmの粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料を燐酸亜鉛処理鋼板に静電塗装し、150℃のオーブン中で30分間硬化させて塗膜を得た。得られた塗膜について物性を評価した。結果を表1に記した。
【0027】
<実施例2>
2-HBMA492部の代わりに2-HBMA372部、メタクリル酸メチル(MMA)120部を重合させた以外は実施例1と同様にして、塗膜を作製し、評価を行なった。結果を表1に示す。
【0028】
<比較例1>
2-HBMA492部の代わりにMMA492部を重合させた以外は実施例1と同様にして、塗膜を作製し、物性評価を行なった。結果を表1に示す。
【0029】
<比較例2>
2−HBMA492部に代わりに、2−HBMA120部、MMA372部を重合させた以外は実施例1と同様にして、塗膜を作製し、物性評価を行なった。結果を表1に示す。
【0030】
<実施例3>
実施例1と同様の反応器中にイソプロパノール600部を仕込んで110℃に加熱し、2−HBMA630部、GMA810部、SM216部、n−BA144部、2,2’―アゾビスー(2―メチルブチロニトリル(ABNE、日本ヒドラジン工業(株))222部を2時間かけて加え、同温度に1時間保持した。
次に、ルパゾールTBEC(アトフィナ吉富(株)、開始剤)12部、SM23部を追添加し、1時間保持し、さらに重合させ、硬化型アクリル樹脂溶液を得た。
これとは別に、硬化剤としてドデカン二酸437部、ベンゾイン(脱泡剤)9部、PL−540 18部を混合し、硬化剤含有混合物を調製した。
上記で調製された樹脂溶液と硬化剤含有混合物とを、70℃に保温された連続式二軸混練機で短時間に均一混合して混練組成物を得た。また、上記の混練組成物を、連続式二軸混練機に直列に連結され、90℃に保温されている脱溶剤ベント付き押出機に通して溶剤を脱揮・除去し、混練組成物を得た。
この混練組成物を同様に粉砕、分級し、塗膜を作製し、物性を評価した。結果を表2に示す。
【0031】
<比較例3>
2−HBMA630部の代わりに、MMA630部を共重合した以外は実施例3と同様にして、塗膜を作製、評価した。結果を表2に示す。
【0032】
<比較例4>
2−HBMA630部、GMA810部、SM216部、n−BA144部の代わりに、2−HBMA1440部、GMA180部、SM90部、n−BA90部を共重合した以外は実施例3と同様にして、塗膜を作製、評価した。結果を表2に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート(A)およびエポキシ基含有不飽和化合物(B)を含む原料モノマーを重合して得られた数平均分子量が1000〜20000であり、かつガラス転移温度が30〜90℃の硬化型アクリル樹脂、ならびに該硬化型アクリル樹脂中のエポキシ基と反応し得る硬化剤からなる粉体塗料組成物。
【請求項2】
硬化型アクリル樹脂が、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート(A)10〜70重量%、およびエポキシ基含有不飽和化合物(B)10〜60重量%を含む原料モノマーを重合して得られた硬化型アクリル樹脂である請求項1記載の粉体塗料組成物。

【公開番号】特開2006−22273(P2006−22273A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203591(P2004−203591)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】