説明

粉末化粧料

【課題】粉末化粧料に環状アミノ酸誘導体であるエクトインを効率的に含有せしめ、優れた肌バリアー機能向上効果を付与する。
【解決手段】板状粉体を環状アミノ酸誘導体であるエクトインで被覆してなる複合粉体を含有することを特徴とする粉末化粧料により解決される。さらに、エクトインが(S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸又は(S、S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末化粧料に関し、さらに詳細には、肌バリアー機能向上効果に優れる粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メークアップ化粧料は、肌を美しく見せる演色効果を得ることを主目的として、使用されてきた。しかしながら、近年、肌を取り巻く外部環境の変化は著しく、メークアップ化粧料、特に、ファンデーション等のベースメークアップ化粧料には様々なスキンケア効果が求められるようになってきた。特に近年、肌が、種々の化学物質による化学的外部刺激や、エアコン等による、乾燥等の物理的外部刺激に暴露される機会が多くなり、肌のバリアー機能が低下した肌、いわゆる、敏感肌が増加している。したがって、メークアップ化粧料に肌バリアー機能の向上効果を付与することは重要な課題となりつつある。
【0003】
一方、砂漠などの過酷な環境に生息する微生物が持つ、環状アミノ酸誘導体である、エクトインは肌への水分補給効果、乾燥による皮膚障害の抑制、皮膚に於けるストレスタンパク質の保護効果、UV誘発性の免疫抑制の予防効果等に優れることが知られており、広く化粧料に用いられてきた。(例えば特許文献1,2,3及び4参照)
【0004】
ベースメークアップとしては、使用性の簡便さから、パウダーファンデーション等の粉末化粧料が重用されてきており、これら粉末化粧料にエクトインを含有せしめ、その効果を付与することは、粉末化粧料のパフォーマンスを向上させるという大きなメリットを有している。しかしながら、エクトインは極性の高い化合物であり、極性の比較的低い油剤によりコーティングされている粉末化粧料へのエクトインの均一配合は困難であり、エクトインの有する肌への優れた効果を粉末化粧料へ付与することは困難であった。
【0005】
一方、エクトインをタルク等の板状粉体に被覆させ、該複合粉体を粉末化粧料に含有せしめることは、全く知られておらず、該複合粉体を含有せしめた粉末化粧料がエクトインの有する肌への効果を効率的に発揮することも知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−330535号公報
【特許文献2】特開2002−302444号公報
【特許文献3】特表2003−528122号公報
【特許文献4】特表2003−528132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、粉末化粧料に環状アミノ酸誘導体であるエクトインを効率的に含有せしめ、優れた肌バリアー機能向上効果を付与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような状況に鑑み、本発明者等は環状アミノ酸誘導体であるエクトインの粉末化粧料への効率的な配合手段を求めて鋭意研究した結果、エクトインを板状粉体に被覆した複合粉体を粉末化粧料に配合することにより、前記課題を解決することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下に示す通りである。

(1)板状粉体を下記一般式式(I)及び/又は(II)の化合物で被覆してなる複合粉体を含有することを特徴とする粉末化粧料。
【化1】

(I)

【化2】

(II)

ただし、式中、RはHまたは炭素数1〜4のアルキルであり、
は(a)H、(b)COOH、(c)COOR、(d)CO−NH−Rからなる群から選択され、
は及びRはそれぞれの場合において互いに独立に、HまたはOHであり、
は炭素数1〜4のアルキルであり、
は(a)H、(b)炭素数1〜4のアルキル、(c)アミノ酸基、(d)ジペプチド基、(e)トリペプチド基からなる群から選択され、
nは1〜3の整数である。
(2)一般式(I)又は(II)の化合物が(S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸又は(S、S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸であることを特徴とする、(1)記載の粉末化粧料。
(3)板状粉体が有機物及び/又は無機物で表面処理されていても良い、タルク、セリサイト、マイカからなる群から選択される、一種又は二種以上であることを特徴とする(1)又は(2)記載の粉末化粧料。
(4)複合粉体の含有量が、化粧料全体に対して0.1〜15質量%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載の粉末化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、粉末化粧料に環状アミノ酸誘導体であるエクトインを効率的に含有せしめ、優れた肌バリアー機能向上効果を付与することできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1) 本発明の複合粉体
本発明の複合粉体は、板状粉体を下記一般式(I)及び/又は(II)の化合物で被覆してなることを特徴とする。
【化3】

(I)

【化4】

(II)

ただし、式中、RはHまたは炭素数1〜4のアルキルであり、
は(a)H、(b)COOH、(c)COOR、(d)CO−NH−Rからなる群から選択され、
は及びRはそれぞれの場合において互いに独立に、HまたはOHであり、
は炭素数1〜4のアルキルであり、
は(a)H、(b)炭素数1〜4のアルキル、(c)アミノ酸基、(d)ジペプチド基、(e)トリペプチド基からなる群から選択され、
nは1〜3の整数である。
【0011】
一般式(I)又は(II)の化合物としては、(S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸又は(S、S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸が特に好ましい。一般式(I)又は(II)の化合物は、例えば、特開平7−330535号記載の方法により、製造することができるが、市販品も存在するので、市販品を入手し使用することも可能である。具体的な市販品としては、「Rona Care(登録商標) Ectoin」(メルク社製)等が例示できる。
【0012】
本発明の複合粉体は、例えば、板状粉体と極性溶媒に溶解した一般式(I)又は(II)の化合物をヘンシェルミキサーなどにより、機械的に混合し、溶媒を蒸発除去するという手法等で製造することが可能である。複合粉体に用いる板状粉体としては、具体的には、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、板状硫酸バリウム、窒化硼素等があげられ、これらの粉体の表面が、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等の無機化合物、シリコーン、シラン化合物、金属セッケン等の有機化合物で処理された表面処理粉体を使用することも可能である。
【0013】
本発明の複合粉体に於ける一般式(I)又は(II)の化合物の被覆量は、被覆粉体の0.1〜7.0質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましい。下限以下では、複合粉体を含有せしめた粉末化粧料において、効果が充分に発揮されない場合があり、好ましくない。上限以上では、複合粉体同志の凝集力が強く、複合粉体が粉末化粧料中に均一に分散されず、効果が充分に発揮されない場合があり、好ましくない。
【0014】
以下に本発明の複合粉体の製造例を示す。
<製造例1>
(S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸(メルク社製 「Rona Care(登録商標) Ectoin」)5gを溶解した30容量%エタノール水溶液50ml及びタルク95gをヘンシェルミキサー中で混合した後、処理物を110℃で24時間乾燥し、本発明の処理粉体1を得た。
【0015】
<製造例2>
(S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸(メルク社製 「Rona Care(登録商標) Ectoin」)1gを溶解した30容量%エタノール水溶液50ml及びタルク99gをヘンシェルミキサー中で混合した後、処理物を110℃で24時間乾燥し、本発明の処理粉体2を得た。
【0016】
<製造例3>
(S、S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸5gを溶解した30容量%エタノール水溶液50ml及びセリサイト95gをヘンシェルミキサー中で混合した後、処理物を110℃で24時間乾燥し、本発明の処理粉体3を得た。
【0017】
(2) 本発明の粉末化粧料
本発明の粉末化粧料は、必須成分として、前述の複合粉体を含有することを特徴とする。本発明の粉末化粧料に於ける複合粉体の含有量は、好ましくは、0.1〜15質量%であり、0.5〜10質量%であることがより好ましい。含有量が下限以下では、効果が充分に発揮されない場合があり好ましくない。上限以上では、複合粉体同志の凝集が強くなり、粉末化粧料の肌上での延展性が低下する等の使用性が低下する場合があり、好ましくない。
【0018】
本発明の粉末化粧料は上記必須成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を発明の範囲を損なわない範囲で含有することができる。かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、酸化コバルト、群青、紺青、酸化亜鉛の無機顔料類、表面処理されていても良い、酸化鉄二酸化チタン焼結体等の複合顔料、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、表面処理されていても良い、微粒子酸化亜鉛、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤等のB領域の紫外線吸収剤、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0019】
本発明の粉末化粧料は、上記必須成分と任意成分とを常法により処理することにより製造することができる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
【0021】
<実施例1〜4、比較例1〜4>
下記、表1に示す処方に従って、本発明の粉末化粧料及び比較例の粉末化粧料を調製した。すなわち、(イ)成分をヘンシェルミキサーで混合し、丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕した。さらに、この混合物を再びヘンシェルミキサーで攪拌しながら、(ロ)成分を添加して混合し、さらに、ヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、半自動プレス機によりアルミ中皿に充填し、パウダーファンデーションを得た。なお表1中の数字は、質量%を表す。
【0022】
【表1】

【0023】
<試験例1>皮膚バリアー機能の回復度評価
パネラーの上腕内側部に紫外線照射部位を作成し、2MEDのUVBを照射した。照射後、実施例1〜4,比較例1〜4のパウダーファンデーションを毎日一週間塗布し、紫外線照射から一週間後、スキコン(SKICON-200EX;アイ・ビィ・エス社製)を用いて、パウダーファンデーション塗布部位の角層水分量を測定した。測定値は、紫外線照射前の角層水分量を100として表した。数値が高いほど、紫外線照射による肌バリアー機能低下からの回復度が高いことを意味する。結果を表2に示す。
【0024】
<試験例2>皮膚内部構造の評価
試験例1と同様にUVBの照射とパウダーファンデーションの塗布を行った後、キュートメーター(CUTOMETER MPA580;(インテグラル社製)を用いてパウダーファンデーション塗布部位のパラメーターR7(測定マニュアル参照)を測定した。測定値は、紫外線照射前の測定値を100として表した。数値が高いほど、紫外線照射による皮膚内部の構造の乱れからの回復度が高いことを意味する。結果を表2に示す。
【0025】
【表2】


表2から明らかなように、エクトインを表面処理した板状粉体を含有する本発明の粉末化粧料は、エクトインを直接含有させた比較例の粉末化粧料と比較して、紫外線による皮膚バリアー機能低下、皮膚内部構造の乱れからの回復度が高く、エクトインの有する効果が効率的に発揮されている。
【0026】
<実施例5〜8及び比較例5〜8>
下記、表3に示す処方に従って、本発明の粉末化粧料及び比較例の粉末化粧料を調製した。すなわち、(イ)成分をヘンシェルミキサーで混合し、丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕した。さらに、この混合物を再びヘンシェルミキサーで攪拌しながら、(ロ)成分を添加して混合し、さらに、ヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ルースパウダーを得た。なお表3中の数字は、質量%を表す。
また、実施例5〜8及び比較例5〜8のルースパウダーに関して、前記試験例1及び2の評価を行った。結果を表4に示す。
【0027】
【表3】

【0028】
【表4】


表4から明らかなようにルースパウダーにおいても、本発明の粉末化粧料において、エクトインの効果が効率的に発揮されることが確認された。

【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は化粧料等に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状粉体を下記一般式(I)及び/又は(II)の化合物で被覆してなる複合粉体を含有することを特徴とする粉末化粧料。
【化1】

(I)

【化2】

(II)

ただし、式中、RはHまたは炭素数1〜4のアルキルであり、
は(a)H、(b)COOH、(c)COOR、(d)CO−NH−Rからなる群から選択され、
は及びRはそれぞれの場合において互いに独立に、HまたはOHであり、
は炭素数1〜4のアルキルであり、
は(a)H、(b)炭素数1〜4のアルキル、(c)アミノ酸基、(d)ジペプチド基、(e)トリペプチド基からなる群から選択され、
nは1〜3の整数である。
【請求項2】
一般式(I)又は(II)の化合物が(S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸又は(S、S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸であることを特徴とする、請求項1記載の粉末化粧料。
【請求項3】
板状粉体が有機物及び/又は無機物で表面処理されていても良い、タルク、セリサイト、マイカからなる群から選択される、一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の粉末化粧料。
【請求項4】
複合粉体の含有量が、化粧料全体に対して0.1〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の粉末化粧料。

【公開番号】特開2013−6808(P2013−6808A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141666(P2011−141666)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】