説明

粘度指数向上剤及び潤滑油組成物

【課題】粘度指数向上効果が高く、潤滑油組成物の低温粘度が低く、酸化安定性に優れる粘度指数向上剤を提供する。
【解決手段】アルケン(a1)、ビニルエーテル(a2)、アリルエーテル(a3)、ビニルエステル(a4)、ビニルケトン(a5)及び芳香環を有するビニル化合物(a6)からなる群から選ばれる少なくとも一種である重合性単量体(a)、炭素数8〜40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)及び窒素原子を有する重合性単量体(c)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度指数向上剤及び粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の省燃費性の観点から、低粘度潤滑油組成物のニーズが益々高まりつつある。しかし、潤滑油組成物を単に低粘度にするだけでは高温時に潤滑性が悪化し、摩耗等のトラブルに繋がる。また、長期間の使用において酸化劣化することで、潤滑油組成物中にスラッジ等の不溶性堆積物が発生し、これらの不溶性堆積物は、内燃機関や駆動系機関の潤滑部位を汚染して摩耗させ、動力損失を増加させるといった種々の問題を誘発する。
そこで、潤滑油組成物の高温下での粘度を高く保持し、スラッジ分散性に優れる分散型粘度指数向上剤が使用されていて、そのような粘度指数向上剤としては、メタクリル酸エステル共重合体(特許文献−1〜3)等が知られている。
しかしながら、上記の粘度指数向上剤は、粘度指数向上効果が十分ではなく、また酸化安定性が十分でないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献−1】特許第2006−233196号公報
【特許文献−2】特開平7−331273号公報
【特許文献−3】特開平9−3131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、潤滑油組成物を低粘度化した際に必要とされる粘度指数向上効果が高く、潤滑油組成物の低温粘度が低く、酸化安定性に優れる粘度指数向上剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、アルケン(a1)、ビニルエーテル(a2)、アリルエーテル(a3)、ビニルエステル(a4)、ビニルケトン(a5)及び芳香環を有するビニル化合物(a6)からなる群から選ばれる少なくとも一種である重合性単量体(a)、炭素数8〜40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)及び窒素原子を有する重合性単量体(c)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤、並びに前記粘度指数向上剤及び基油を含有してなる潤滑油組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物は、粘度指数向上効果が高く、低温粘度が低く、酸化安定性に優れる、といった効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の粘度指数向上剤は、重合性単量体(a)、炭素数8〜40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)及び窒素原子を有する重合性単量体(c)を必須構成成分とする(共)重合体(A)を含有してなる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0008】
本発明における重合性単量体(a)は、アルケン(a1)、ビニルエーテル(a2)、アリルエーテル(a3)、ビニルエステル(a4)、ビニルケトン(a5)及び芳香環を有するビニル化合物(a6)からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0009】
アルケン(a1)としては、炭素数2〜20のアルケンが挙げられ、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等が挙げられる。
【0010】
ビニルエーテル(a2)としては、アルキル基又はアルコキシアルキル基を有する炭素数1〜12のビニルエーテルが挙げられ、具体的にはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル及びビニル−2−ブトキシエチルエーテル等が挙げられる。
【0011】
アリルエーテル(a3)としては、アルキル基又はアルコキシアルキル基を有する炭素数1〜12のアリルエーテルが挙げられ、具体的にはメチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、2−エチルヘキシルアリルエーテル、フェニルアリルエーテル、アリル−2−メトキシエチルエーテル及びアリル−2−ブトキシエチルエーテル等が挙げられる。
【0012】
ビニルエステル(a4)としては、炭素数2〜12のビニルエステルが挙げられ、具体的には酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及びオクタン酸ビニル等が挙げられる。
【0013】
ビニルケトン(a5)としては、アルキル基又はアリール基を有する炭素数1〜8のビニルケトンが挙げられ、具体的にはメチルビニルケトン、エチルビニルケトン及びフェニルビニルケトン等が挙げられる。
【0014】
芳香環を有するビニル化合物(a6)としては、芳香環を有する炭素数8〜24のビニル化合物が挙げられ、具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ベンジルスチレン、4−クロチルベンゼン及び2−ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0015】
(a)のうち好ましいのは、重合性の観点から(a2)、(a4)及び(a6)であり、更に好ましいのは、炭素数1〜8のアルキル基を有する(a2)、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン及び2,4−ジメチルスチレンであり、特に好ましいのは、ブチルビニルエーテル、酢酸ビニル及びスチレンである。
【0016】
炭素数8〜40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)としては、炭素数8〜40の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)及び炭素数8〜40の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b2)が挙げられる。
炭素数8〜40の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)としては、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸n−トリアコンチル及び(メタ)アクリル酸n−テトラコンチル等が挙げられる。
【0017】
炭素数8〜40の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b2)としては、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸3,5,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリメチルヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−n−ドデシル、(メタ)アクリル酸2−メチル−n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2−n−オクチル−n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸1−n−ヘキシル−n−トリデシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−n−ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸イソイコシル、(メタ)アクリル酸1−n−オクチル−n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸2−n−デシル−n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸2−n−ドデシル−n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸イソトリアコンチル、(メタ)アクリル酸2−n−テトラデシル−n−ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2−n−ヘキサデシル−n−ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2−n−ヘプタデシル−n−イコシル及び(メタ)アクリル酸2−n−ヘキサデシル−n−ドコシル等が挙げられる。
(b)のうち、粘度指数向上効果及び潤滑油組成物の低温粘度の観点から好ましいのは、炭素数12〜20の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び炭素数16〜40の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、更に好ましいのは、炭素数23〜40の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
【0018】
窒素原子を有する重合性単量体(c)としては、以下の単量体(c1)〜(c6)が挙げられる。
【0019】
アミド基含有ビニル単量体(c1):
(メタ)アクリルアミド、モノアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が1つ結合したもの;例えばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN−n−又はイソブチル(メタ)アクリルアミド等]、モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアミノ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド及びN−n−又はイソブチルアミノ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等]、ジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が2つ結合したもの;例えばN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等]、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−n−ブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド等]、N−ビニルカルボン酸アミド[N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−又はイソプロピオニルアミド及びN−ビニルヒドロキシアセトアミド等]等のアミド基のみに窒素原子を有するものが挙げられる。なお、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
【0020】
ニトロ基含有単量体(c2):
4−ニトロスチレン等が挙げられる。
【0021】
1〜3級アミノ基含有ビニル単量体(c3):
1級アミノ基含有ビニル単量体{炭素数3〜6のアルケニルアミン[(メタ)アリルアミン及びクロチルアミン等]、アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]};2級アミノ基含有ビニル単量体{モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1〜6のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、炭素数6〜12のジアルケニルアミン[ジ(メタ)アリルアミン等]};3級アミノ基含有ビニル単量体{ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1〜6のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、窒素原子を有する脂環式(メタ)アクリレート[モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]、芳香族ビニル系単量体[ジフェニルアミン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノスチレン、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルチオピロリドン等]}、及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は低級アルキル(炭素数1〜8)モノカルボン酸(酢酸及びプロピオン酸等)塩等が挙げられる。なお、(メタ)アリルはアリル又はメタリルを意味し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0022】
4級アンモニウム塩基含有ビニル単量体(c4):
前記3級アミノ基含有ビニル単量体を、4級化剤(炭素数1〜12のアルキルクロライド、ジアルキル硫酸、ジアルキルカーボネート及びベンジルクロライド等)を用いて4級化したもの等が挙げられる。具体的には、アルキル(メタ)アクリレート系4級アンモニウム塩[(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド及び(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等];アルキル(メタ)アクリルアミド系4級アンモニウム塩[(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド及び(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等];その他の4級アンモニウム塩基含有ビニル系単量体(ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート及びトリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等)等が挙げられる。なお、(メタ)アクリロイルはアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
【0023】
両性ビニル単量体(c5):
N−(メタ)アクリロイルオキシ(又はアミノ)アルキル(炭素数1〜10)−N,N−ジアルキル(炭素数1〜5)アンモニウム−N−アルキル(炭素数1〜5)カルボキシレート(又はサルフェート)[N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−メチルカルボキシレート、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−メチルカルボキシレート及びN−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピルサルフェート等]。
【0024】
ニトリル基含有ビニル単量体(c6):
(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0025】
(c)のうち好ましいのは、(c1)及び(c3)であり、更に好ましいのは、(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び窒素原子を有する脂環式(メタ)アクリレートであり、特に好ましいのは、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。
【0026】
(A)は、(a)〜(c)に加え、炭素数1〜7の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)を構成単量体とする共重合体であることが、粘度指数向上効果の観点から好ましい。
【0027】
炭素数1〜7の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル及び(メタ)アクリル酸n−ヘプチルが挙げられる。
(d)のうち好ましいのは、炭素数1〜3の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、更に好ましいのは(メタ)アクリル酸メチルである。
【0028】
(A)は、単量体(a)〜(d)に加え、以下の単量体(e)〜(k)を構成単量体としてもよい。
【0029】
脂環式炭化水素系ビニル単量体(e);
シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等が挙げられる。
【0030】
エポキシ基含有ビニル単量体(f);
グリシジル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0031】
ハロゲン元素含有ビニル単量体(g);
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル及びハロゲン化スチレン(ジクロロスチレン等)等が挙げられる。
【0032】
不飽和ポリカルボン酸のエステル(h);
不飽和ポリカルボン酸のアルキル、シクロアルキル又はアラルキルエステル[不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等)の炭素数1〜8のアルキルジエステル(ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルマレエート及びジオクチルマレエート)]等が挙げられる。
【0033】
ヒドロキシル基含有ビニル単量体(i);
ヒドロキシル基含有芳香族ビニル単量体(p−ヒドロキシスチレン等)、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、モノ−又はジ−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N−ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等]、ビニルアルコール、炭素数3〜12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−オクテノール及び1−ウンデセノール等]、炭素数4〜12のアルケンモノオール又はアルケンジオール[1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール及び2−ブテン−1,4−ジオール等]、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜6)アルケニル(炭素数3〜10)エーテル(2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル等)、多価(3〜8価)アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、糖類及び蔗糖等)のアルケニル(炭素数3〜10)エーテル又は(メタ)アクリレート[蔗糖(メタ)アリルエーテル等]等が挙げられる。
【0034】
ポリオキシアルキレン鎖含有ビニル単量体(j);
ポリオキシアルキレングリコール(アルキレン基の炭素数2〜4、重合度2〜50)、ポリオキシアルキレンポリオール[上記3〜8価のアルコールのポリオキシアルキレンエーテル(アルキレン基の炭素数2〜4、重合度2〜100)]、ポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレンポリオールのアルキル(炭素数1〜4)エーテルのモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコール(数平均分子量100〜300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(数平均分子量130〜500)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(数平均分子量110〜310)(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物(2〜30モル)(メタ)アクリレート及びモノ(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン(数平均分子量150〜230)ソルビタン等]等が挙げられる。
【0035】
イオン性基含有ビニル単量体(k);
カルボキシル基含有ビニル単量体(k1):
カルボキシル基を1つ有するビニル単量体{不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、α−メチル(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等]、不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル及びイタコン酸モノアルキルエステル等)};カルボキシル基を2つ有するビニル単量体(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸等)等が挙げられる。
【0036】
スルホン酸基含有ビニル単量体(k2):
炭素数2〜6のアルケンスルホン酸[ビニルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸等]、炭素数6〜12の芳香族ビニル基含有スルホン酸[α−メチルスチレンスルホン酸等]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルエステル系単量体[スルホプロピル(メタ)アクリレート及び2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸等]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体[2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等]、スルホン酸基と水酸基を含有するビニル単量体[3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等]、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸エステル[ドデシルアリルスルホコハク酸エステル等]等が挙げられる。
【0037】
硫酸エステル基含有ビニル単量体(k3):
ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等:結合形態は、単独、ランダム結合又はブロック結合のいずれでもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル、ポリ(重合度2〜30)オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等:結合形態は、単独、ランダム結合又はブロック結合のいずれでもよい。)ビスフェノールAモノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル等が挙げられる。
【0038】
リン酸基含有ビニル単量体(k4):
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2〜6)リン酸モノエステル[(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等]及び(メタ)アクリロイルオキシホスホン酸[2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等]等が挙げられる。
【0039】
(k)としては、これらの1価金属塩、2価金属塩、アミン塩又はアンモニウム塩でもよい。1価金属塩としては、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられ、2価金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩及び亜鉛塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
アミン塩としては、モノ、ジ又はトリアルキル(炭素数1〜8)アミン塩[モノメチルアミン塩、ジメチルアミン塩及びトリメチルアミン塩等];モノ、ジ−又はトリアルカノール(炭素数1〜8)アミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩及びジイソプロパノールアミン塩等);複素環アミン(ピリジンニウム塩及びモルホリン塩等)が挙げられる。
【0040】
(A)を構成する(a)の割合は、酸化安定性及び粘度指数向上効果の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは0.01〜30重量%であり、更に好ましくは0.02〜20重量%、特に好ましくは0.05〜10重量%である。
(A)を構成する(b)の割合は、粘度指数向上効果及び溶解性の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは1〜90重量%であり、更に好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜75重量%である。
(A)を構成する(c)の割合は、粘度指数向上効果及び潤滑油組成物の低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは0.5〜30重量%であり、更に好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%である。
(A)を構成する(d)の割合は、粘度指数向上効果及び潤滑油組成物の低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは0〜70重量%であり、更に好ましくは2〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。
(A)を構成する(e)〜(k)の割合は、粘度指数向上効果の観点から、(A)の重量に基づいて、それぞれ独立に好ましくは0〜95重量%であり、更に好ましくは0〜90重量%、特に好ましくは0〜80重量%である。
【0041】
(A)の重量平均分子量(以下、Mwと略記する)は、粘度指数向上効果及び潤滑油組成物の低温粘度の観点から、好ましくは5,000〜1,000,000であり、更に好ましい範囲は、潤滑油組成物の用途によって異なり、表1に記載の範囲である。
【表1】

* :オートマチックトランスミッション油
** :ベルト−コンティニュアスリーバリュアブルトランスミッション油
*** :マニュアルトランスミッション油
【0042】
なお、(A)のMwは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより、以下の条件で測定することができる。
<Mwの測定条件>
装置 :「HLC−802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:200μl
検出装置 :屈折率検出器
標準 :ポリスチレン
【0043】
(A)の溶解性パラメーター(以下、SP値と略記する)は、粘度指数向上効果及び潤滑油組成物の低温粘度の観点から、好ましくは7.3〜9.5(cal/cm1/2であり、更に好ましくは9.0〜9.4(cal/cm1/2、特に好ましくは9.1〜9.3(cal/cm1/2である。
なお、(A)のSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14、No.2 P.147〜154)に記載の方法で算出される値である。
(A)のSP値は、(A)を構成する単量体それぞれのSP値を前記の方法で算出し、それぞれの単量体のSP値を、構成単量体単位のモル分率に基づいて平均した値である。
(A)のSP値は、使用する単量体のSP値、モル分率を適宜調整することにより7.3〜9.5(cal/cm1/2にすることができる。
【0044】
(A)の結晶化温度は、低温粘度の観点から好ましくは−30℃以下であり、更に好ましくは−40℃以下、特に好ましくは−50℃以下である。
なお、(A)の結晶化温度は、示差走査熱量計「UNIXDSC7」(PERKIN−ELMER社製)を使用し、粘度指数向上剤5mgを試料とし、10℃/分の等温速度で100℃から−60℃まで冷却したときに観測される結晶化温度である。
【0045】
(A)は、公知の製造方法によって得ることができ、具体的には前記単量体を溶剤中で重合触媒存在下に溶液重合することにより得る方法が挙げられる。
溶剤としては、トルエン、キシレン、炭素数9〜10のアルキルベンゼン、メチルエチルケトン及び鉱物油等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、公知のアゾ系開始剤(アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスバレロニトリル等)、過酸化物系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド及びラウリルパーオキサイド等)、及びレドックス系開始剤(ベンゾイルパーオキサイドと第三アミンの混合物等)が挙げられる。更に必要により、公知の連鎖移動剤(炭素数2〜20のアルキルメルカプタン等)を使用することもできる。
重合温度は、好ましくは25〜140℃であり、更に好ましくは50〜120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合により(A)を得ることができる。
(A)の重合形態としては、ランダム付加重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
【0046】
本発明の粘度指数向上剤は、(A)と、(A)以外のアルキル(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体(B)を併用してもよい。
(B)としては、(A)以外のアルキル(メタ)アクリル酸エステル系重合体であれば特に限定しないが、炭素数1〜15の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
(B)の具体例としては、メタクリル酸n−オクタデシル/メタクリル酸n−ドデシル(モル比10〜30/90〜70)共重合体、メタクリル酸n−テトラデシル/メタクリル酸n−ドデシル(モル比10〜30/90〜70)共重合体、メタクリル酸n−ヘキサデシル/メタクリル酸n−ドデシル/メタクリル酸メチル(モル比20〜40/55〜75/0〜10)共重合体及びアクリル酸n−ドデシル/メタクリル酸n−ドデシル(モル比10〜40/90〜60)共重合体等が挙げられ、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0047】
(A)と(B)を併用する場合の(B)の使用量は、(A)の重量に基づいて、低温粘度の観点から好ましくは0.01〜30重量%であり、更に好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.01〜10重量%である。
【0048】
本発明の潤滑油組成物は、本発明の粘度指数向上剤及び基油を含有してなる。基油としては、鉱物油(溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有する高粘度指数油、イソパラフィンの水素化分解による高粘度指数油及びナフテン油等)、合成潤滑油[炭化水素系合成潤滑油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油等)及びエステル系合成潤滑油等]及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうち好ましいのは鉱物油である。
【0049】
基油の100℃における動粘度(JIS−K2283で測定したもの)は、粘度指数向上効果の観点から好ましくは1〜15mm/sであり、更に好ましくは2〜5mm/sである。
基油の粘度指数(JIS−K2283で測定したもの)は、粘度指数向上効果の観点から好ましくは90以上であり、更に好ましくは100以上である。
【0050】
基油の曇り点(JIS K2269で測定したもの)は、好ましくは−5℃以下であり、更に好ましくは−15℃以下である。基油の曇り点がこの範囲内であると潤滑油組成物の低温粘度が良好である。
【0051】
本発明の潤滑油組成物における粘度指数向上剤の含有率は、基油の重量に基づいて、粘度指数向上剤中の(A)の重量に換算して、好ましくは1〜30重量%である。
潤滑油組成物がエンジン油として使用される場合には、100℃の動粘度が4〜10mm/sの基油に、(A)を2〜10重量%含有しているものが好ましい。
潤滑油組成物がギヤ油として使用される場合には、100℃の動粘度が2〜10mm/sの基油に、(A)を3〜30重量%含有しているものが好ましい。
潤滑油組成物が自動変速機油(ATF及びベルトCVT油等)として使用される場合には、100℃の動粘度が2〜6mm/sの基油に、(A)を3〜25重量%含有しているものが好ましい。
潤滑油組成物がトラクション油として使用される場合には、100℃の動粘度が1〜5mm/sの基油に、(A)を0.5〜10重量%含有しているものが好ましい。
【0052】
本発明の潤滑油組成物は、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、以下のものが挙げられる。
(1)清浄剤:
塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキル
ベンゼンスルフォネート及びアルキルナフタレンスルフォネート等)の過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物;
(2)分散剤:
コハク酸イミド類(ビス−又はモノ−ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮
合物及びボレート類等;
(3)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等;
(4)油性向上剤:
長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミ
ン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等;
(5)摩擦摩耗調整剤:
モリブデン系及び亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオ
カーバメート及びジンクジアルキルジチオフォスフェート等)等;
(6)極圧剤:
硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド及び硫黄フォスファイド化合
物)、フォスファイド化合物及び塩素系化合物(塩素化パラフィン等)等;
(7)消泡剤:
シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等;
(8)抗乳化剤:
4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェー
ト(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)等;
(9)腐食防止剤:
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4−チオジアゾリル−2,5−
ビスジアルキルジチオカーバメート等)等。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載において「部」は重量部を示す。
【0054】
<実施例1〜7、比較例1〜3>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、鉱油100部、表2に記載の単量体混合物を合計100部、nDMを加え、更に表2に記載の(I−1)及び(I−2)を投入し、窒素置換(気相酸素濃度100ppm)を行った後、密閉下表2に記載の重合温度で4時間重合反応を行い、それぞれ共重合体(A1)〜(A7)、(H1)〜(H3)溶液を得た。得られた共重合体(A1)〜(A7)、(H1)〜(H3)のMw、結晶化温度を前記の方法で測定し、転化率は以下の方法で測定した。結果を表2に示す。
【0055】
<転化率>
1H−NMR分析により、不飽和基に由来するピーク(例えば、メタクリル酸メチルでは約5.5と約6.0のピーク)の消失率を転化率とした。
装置 :核磁気共鳴吸収分析装置「A−300」[日本ブルカー(株)製]
測定溶媒:重クロロホルム
周波数 :300MHz
【0056】
表2に記載した原料の組成、記号等は以下の通りである。
(1)単量体
(a−1):n−ブチルビニルエーテル
(a−2):n−プロピルビニルエーテル
(a−3):酢酸ビニル
(a−4):スチレン
(a−5):1−ヘプテン
(a−6):エチルビニルケトン
(b−1):メタクリル酸2−エチルヘキシル
(b−2):メタクリル酸イソデシル
(b−3):メタクリル酸2−デシル−n−テトラデシル
(b−4):炭素数9〜11の1価アルコール混合物とメタクリル酸のエステル化物
(b−5):炭素数12〜13の1価アルコール混合物とメタクリル酸のエステル化物
(b−6):炭素数14〜15の1価アルコール混合物とメタクリル酸のエステル化物
(b−7):炭素数16〜18の1価アルコール混合物とメタクリル酸のエステル化物
(c−1):N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
(c−2):N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート
(c−3):N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
(d−1):メタクリル酸メチル
(d−2):メタクリル酸n−ブチル
(2)溶剤
鉱油 :「YUBASE−4」(SKコーポレーション製)
(3)連鎖移動剤
nDM :n−ドデシルメルカプタン
(4)ラジカル重合開始剤
(I−1):2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
[「V−65」和光純薬(株)製]
(I−2):2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
[「V−59」和光純薬(株)製]
【0057】
【表2】

【0058】
<実施例8〜14、比較例4〜6>
撹拌装置を備えたステンレス製容器に、鉱油(100℃の動粘度:4.2mm/s、粘度指数:128)を投入し、得られる潤滑油組成物の100℃の動粘度が6.2±0.1(mm/s)になるように、それぞれ(A1)〜(A7)、(H1)〜(H3)の添加量を調整して添加し、それぞれ潤滑油組成物(X1)〜(X7)、(Y1)〜(Y3)を得た。
潤滑油組成物(X1)〜(X7)、(Y1)〜(Y3)の粘度指数、低温粘度を以下の方法で測定し、酸化安定性を以下の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0059】
(1)潤滑油組成物の粘度指数
JIS−K2283の方法に従って測定した。
(2)潤滑油組成物の低温粘度
JPI−5S−26−85の方法に従って−40℃での粘度を測定した。
(3)潤滑油組成物の酸化安定性
JIS−K2514に準拠し、165.5℃で120時間酸化安定性試験を実施し、
試験前後での潤滑油組成物の全酸価の増加量(mgKOH/g)を測定した。数値が小さいほど、酸化安定性に優れることを表す。
【0060】
【表3】

【0061】
表3の結果から明らかなように、本発明の粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物(実施例8〜14)は、比較例4〜6の潤滑油組成物と比較して、粘度指数向上効果が高く、低温粘度が低く、酸化安定性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物は、駆動系潤滑油(マニュアルトランスミッション油、デファレンシャルギヤ油、オートマチックトランスミッション油及びベルトCVT油等)、作動油(機械の作動油、パワーステアリング油及びショックアブソーバー油等)、エンジン油(ガソリン用及びディーゼル用等)及びトラクション油として好適である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルケン(a1)、ビニルエーテル(a2)、アリルエーテル(a3)、ビニルエステル(a4)、ビニルケトン(a5)及び芳香環を有するビニル化合物(a6)からなる群から選ばれる少なくとも一種である重合性単量体(a)、炭素数8〜40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)及び窒素原子を有する重合性単量体(c)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤。
【請求項2】
(a2)が炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルである請求項1記載の粘度指数向上剤。
【請求項3】
(b)が、炭素数23〜40の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである請求項1又は2記載の粘度指数向上剤。
【請求項4】
(c)が(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び窒素原子を有する脂環式(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
【請求項5】
(A)が、(A)の構成単量体として、更に炭素数1〜7の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)を含有してなる重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
【請求項6】
(A)が、構成単量体として(A)の重量に基づいて(a)を0.01〜30重量%、
(b)を1〜90重量%、(c)を0.5〜30重量%及び(d)を0〜70重量%含有する共重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
【請求項7】
(A)の重量平均分子量が5,000〜1,000,000である請求項1〜6のいず
れかに記載の粘度指数向上剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の粘度指数向上剤及び基油を含有してなる潤滑油組成
物。
【請求項9】
基油の100℃の動粘度が1〜15mm/sであり、かつ基油の粘度指数が90以上である請求項8記載の潤滑油組成物。


【公開番号】特開2013−10886(P2013−10886A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145264(P2011−145264)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】