説明

粘着フィルム

【課題】
合成樹脂板、化粧合板、金属板および塗装鋼板のような物品の表面、特に多数の凹凸を有している被着面に対して、十分な粘着強度を保持しながら、かつ、剥離も容易であるという粘着強度と剥離強度の適度なバランスを有する粘着フィルムを提供する。
【解決手段】
非晶性オレフィン共重合体(a);20〜80質量部、結晶性オレフィン系重合体(b);3〜30質量部およびスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c);10〜50質量部〔(a)(b)および(c)の合計で100質量部とする〕からなる粘着層を有し、当該粘着層の表面がRa=4.5μmのメタクリル樹脂の製樹脂板からなる被着面に対する粘着強度が450〜800N/50mmであることを特徴とする粘着フィルム。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成樹脂板、化粧合板、金属板および塗装鋼板のような物品の表面、特に多数の凹凸を有している被着面に対して、十分な粘着強度を保持しながら、かつ、剥離も容易であるという粘着強度と剥離強度の適度なバランスを有する粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂からなる基材層と、EVAや低密度ポリエチレンのような低結晶性または非晶性の重合体からなる粘着剤層とからなる粘着フィルムや、該基材層と、スチレン系ブロック共重合体若しくはその水添物のようなエラストマーからなる粘着剤層とからなる粘着フィルムが知られている。
これらの粘着フィルムは、高温下において経時変化し、その結果、粘着強度が上昇して被着体からの剥離が困難となったり、剥離後の被着体の表面に粘着剤が残存したり、その粘着の性能のばらつきが大きく、粘着の性能が経時変化することが多く、一定の範囲にコントロールすることは困難であった。
【0003】
粘着フィルムは通常、数百メートルから数千メートルの長さのものをロール状に巻き上げた状態で保管され、流通している。粘着フィルムをロール状からの巻き戻す際に、基材層と粘着層の間でブロッキングを起こし、場合によっては、粘着層が接する基材層側の表面に移行し残存することもある。
一方、ロールからの巻き戻しを容易にするため基材層に離型剤などを配合することも知られているが、離型剤が粘着層に移行して粘着強度を低下させ、基材層のスリップ性が大きくなり過ぎることもある。
【0004】
さらに、これら粘着フィルムが使用される被着体の状態、特に凹凸の粗度によって、粘着フィルムの粘着強度と剥離強度は異なり、粘着フィルムをフラットパネルの工程紙やプロテクトフィルムとして利用する際、被覆の作業の確実性、剥離の作業性の効率にも影響を与えるものである。
また、従来から粘着フィルムの粘着層に、炭素数2〜12のα−オレフィンの共重合体を主成分とし、スチレン・ジエン共重合体またはその水素添加物を配合した粘着剤が知られている(特許文献1)。
また、プロピレン系共重合体と高密度ポリエチレン等を含有してなる粘着剤組成物層を有する粘着シートが提案され、接着性の向上を目的としてスチレン系ブロックポリマーを添加してもよいとの開示もある(特許文献2)。
しかし、これらのいずれにも被着体の状態、特に凹凸の粗度に応じて、本願のような特定の粘着力を有する粘着材について提案されていない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−21519号公報(請求項5)
【特許文献2】特開2002−226814号公報(請求項6、段落0039)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、適度な粘着強度(剥離強度)と剥離時に剥離速度を変えても安定した剥離強度を有し(剥離速度依存性が少ない)、粘着強度の経時変化の少ない粘着フィルムであって、比較的粗い表面の被着体に対して粘着強度が確保され、かつ効率よく剥離できる粘着フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本の1の態様によれば、発明は上記の目的を達成し得る粘着フィルムを提供するものである。すなわち本発明は、非晶性オレフィン共重合体(a);20〜80質量部、結晶性オレフィン系重合体(b);3〜30質量部およびスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c);10〜50質量部〔(a)(b)および(c)の合計で100質量部とする〕からなる粘着層を有し、当該粘着層の表面がRa=4.5であるアクリル樹脂製の樹脂板からなる被着面に対する粘着強度が450〜800N/50mmであることを特徴とする粘着フィルムに関する。
【0008】
また本発明の他の態様によれば、本発明は非晶性オレフィン共重合体(a);20〜80質量部、結晶性オレフィン系重合体(b);3〜30質量部およびスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c);10〜50質量部〔(a)(b)および(c)の合計で100質量部とする〕からなる粘着層を有し、当該粘着層を構成するブロック共重合体(c)のショアA硬度が、30から50であるブロック共重合体(c)であることを特徴とする粘着フィルムに関する。
さらに本発明の他の態様によれば、本発明は非晶性オレフィン共重合体(a);20〜80質量部、結晶性オレフィン系重合体(b);3〜30質量部およびオレフィン系ブロックまたはスチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c);10〜50質量部〔(a)(b)および(c)の合計で100質量部とする〕からなる粘着層を有し、当該粘着層を構成するブロック共重合体(c)のスチレン含量が10〜16質量%であることを特徴とする粘着フィルムに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、適度な粘着強度があり、剥離安定性に優れ、経時変化を防止して好適な粘着性を維持し、使用後の被着体表面に糊残りの発生のなく、粘着性能のばらつきの少ない優れた粘着フィルムであって、比較的粗い被着体に対して粘着強度が確保されると共に、効率よく剥離できる粘着フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔非晶性オレフィン共重合体(a)〕
本発明に用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)は、非晶性であり、好ましくは、JIS K 7122に基づき、DSC(示差走査熱量測定)において、20〜250℃の範囲で、結晶融解熱量が1J/g以上のピーク、より好ましくは0.5J/g以上のピークを有しない共重合体である。
本発明に用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)は、二種以上のα−オレフィンの共重合体である。これらα―オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどの炭素数2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィンが例示される。
本発明に用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)は、上記α−オレフィン以外に、必要に応じて、ブタジエン、イソプレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等のポリエン化合物単位、環状オレフィン単位およびビニル芳香族化合物単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の単位を含んでいてもよい。
【0011】
本発明に用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)の具体例としては、例えば、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・環状オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン・ブタジエン共重合体、プロピレン・1−ブテン・スチレン共重合体等が挙げられる。これら共重合体の中でも、プロピレン・エチレン共重合体またはプロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体が最も好ましい。
本発明に用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)の分子量分布(Mw/Mn)は、得られる粘着フィルムの特に高温下での粘着強度および被着体表面への粘着剤の残り難さの観点から、好ましくは3以下、より好ましくは2.8以下、更に好ましくは2.5以下である。
本発明に用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)の極限粘度[η]は、得られる粘着フィルムの粘着強度、被着体表面への粘着剤の残り難さ、高温下での粘着強度の観点から、好ましくは0.5〜10dL/g、より好ましくは1.0〜8.0dL/g、更に好ましくは1.3〜6.0dL/gの範囲にある。
本発明に用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)は、非晶性である限り、ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれであってもよい。また、ブロック共重合体の場合、主成分となるα-オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテンなどがアタクチック構造で結合しているポリマーであることが好ましい。
本発明に用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)は、単一の共重合体であっても二種以上の共重合体であってもよい。
【0012】
本発明に用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)は、公知のチーグラー・ナッタ型触媒やシングルサイト触媒(たとえば、メタロセン系触媒)のような重合触媒を用いて製造することができるが、特には、得られる非晶性オレフィン共重合体(a)の組成分布の均一性という観点から、好ましい触媒は、チーグラー・ナッタ型触媒である一般式VO(OR)n3-n(式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン、nは0≦n≦3を充足する数値を表す)で示されるバナジウム化合物や、メタロセン系触媒のようなシングルサイト触媒である。
【0013】
〔結晶性オレフィン系重合体(b)〕
本発明に用いられる結晶性オレフィン系重合体(b)は、結晶性であり、好ましくは、JIS K 7121に基づき、DSC(示差走査熱量測定)において、95〜250℃、好ましくは100〜170℃、より好ましくは110〜156℃の範囲のピーク(融点;Tm)を有する重合体である。
本発明に用いられる結晶性オレフィン系重合体(b)は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体、二種以上の異なるα−オレフィンの共重合体あるいはα−オレフィンと酢酸ビニル、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体の他の重合性化合物とのα−オレフィンを主体とする重合体で、結晶性の重合体である。
【0014】
これら結晶性オレフィン系重合体(b)の具体例の一つとして、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)及び高密度ポリエチレンの名称で製造・販売されているエチレンの単独重合体あるいはエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等の他の一種以上のα−オレフィンとのランダム共重合体で、通常、密度が0.900〜0.970g/cm、好ましくは0.905〜0.940g/cmの範囲にあるエチレンを主体とする重合体〔エチレン系重合体(b−1)〕を例示することができる。
結晶性オレフィン系重合体(b)の具体例の一つとして、ポリプロピレンの名称で製造・販売されているプロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等の他の一種以上α−オレフィンとのランダム若しくはブロック共重合体で、通常、融点(Tm)が100〜170℃、好ましくは110〜156℃の範囲にあるプロピレンを主体とする重合体〔プロピレン系重合体(b−2)〕を例示することができる。
結晶性オレフィン系重合体(b)の具体例の一つとして、ポリブテンの名称で製造・販売されている1−ブテンの単独重合体あるいは1−ブテンとエチレン、プロピレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等の他の一種以上のα−オレフィンとのランダム共重合体で、通常、融点(Tm)が95〜130℃、好ましくは95〜127℃の範囲にある1−ブテンを主体とする重合体(1−ブテン系重合体)を例示することができる。
結晶性オレフィン系重合体(b)の具体例の一つとして、4−メチル・1−ペンテンの名称で製造・販売されている4−メチル・1−ペンテンの単独重合体あるいは4−メチル・1−ペンテンとエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の他の一種以上のα−オレフィンとのランダム共重合体で、通常、融点(Tm)が200〜250℃、好ましくは220〜240℃の範囲にある4−メチル・1−ペンテンを主体とする重合体(4−メチル・1−ペンテン系重合体)を例示することができる。
結晶性オレフィン系重合体(b)の具体例の一つとして、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の他の重合性化合物、好ましくはビニル化合物との共重合体(エチレン・ビニル化合物共重合体)を例示することができる。
本発明に用いられる結晶性オレフィン系重合体(b)は、単一の重合体であっても二種以上の重合体であってもよい。
これら結晶性オレフィン系重合体(b)の中でも、融点(Tm)が100〜160℃、中でも110〜156℃の範囲にあるプロピレン系重合体が好ましい。
【0015】
〔スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c)〕
本発明に用いられるスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c)には、スチレン・ジエンブロック共重合体(c1)、オレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(c2)、オレフィン系ブロック共重合体エラストマー(c3)がある。
【0016】
〔スチレン・ジエンブロック共重合体(c1)〕
本発明に用いられるスチレン・ジエンブロック共重合体(c1)は、ジエンブロック(ジエン重合体部)からなるソフトセグメントとスチレンブロック(スチレン重合体部)からなるハードセグメントとを有するブロック共重合体であり、いわゆる熱可塑性エラストマーとして製造・販売されているブロック共重合体の一種であって、具体的には、スチレンーブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)若しくはそれらブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。こ
このような水素添加物は、スチレンブロックとジエンブロックの全てが水素添加されたブロック共重合体であっても、ジエンブロックのみ水素添加されたブロック共重合体あるいはスチレンブロックとジエンブロックの一部が水素添加されたブロック共重合体等の部分水素添加物であってもよい。
これらブロック共重合体若しくはその水素添加物を粘着剤組成物として用いる際には、単独でも2種以上用いてもよい。
これらブロック共重合体の中でも、スチレンーブタジエンブロック共重合体(SB)の水素添加物、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物、スチレンーイソプレンブロック共重合体(SI)の水素添加物等のスチレンブロックとジエンブロックとを含有するブロック共重合体の水素添加物がより好ましく、具体的には、スチレンーブタジエンブロック共重合体(SB)の水素添加物であるスチレンーエチレン・ブテンブロック共重合体(SEB)、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレンーエチレン・ブテンースチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物であるスチレンーエチレン・プロピレンースチレンブロック共重合体(SEPS)が押出成形時の熱安定性に優れ、加工時の安定性や、劣化物の発生及び臭いの発生を抑制する点で好ましい。これらの市販品として、シェル化学株式会社製 商品名:クレイトンG、旭化成株式会社製 商品名:タフテック等がある。
本発明に用いられるスチレン・ジエンブロック共重合体(c1)のMFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重5kg、温度200℃)は特に限定はされないが、通常0.5〜20g/10分、好ましくは1〜15g/10分の範囲である。
【0017】
〔オレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(c2)〕
本発明に用いられるオレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(c2)は、少なくと、も分子内に一つの非晶性オレフィンブロック(非晶性オレフィン重合体部)からなるソフトセグメントと結晶性オレフィンブロック(結晶性オレフィン重合体部)からなるハードセグメントとを有するブロック共重合体であり、所謂、熱可塑性エラストマーとして製造・販売されているブロック共重合体の一種である。
オレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(c2)は非晶性オレフィンブロックAと結晶性オレフィンブロックBをそれぞれ分子内に少なくとも1個有する限りその構造は特に制限されず、(B−A)n1、(B−A)n2 −B、(A−B)n3 −A(n1、n2、n3は1以上の整数)や、これらをカップリング剤で結合した構造が例示される。
これらの中ではトリブロックの共重合体またはそれ以上の数のブロックを有する共重合体が好適である。
【0018】
かかるブロック共重合体(c2)としては、具体的には、ジエン化合物を主体とする重合体ブロックあるいはそれら重合体ブロックを水素添加処理してエチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体に類似した構造を持つ非晶性オレフィンブロックからなるソフトセグメントと、ジエン化合物を主体とし水素添加処理などにより結晶性ポリオレフインとなり得る重合体部からなるハードセグメントとを有するブロック共重合体を例示できる。また、ジエン化合物を主体とし水素漆加処理などにより結晶性ポリオレフインとなり得る重合体部の一部をスチレンなどのビニル芳香化合物の重合体部からなるハードセグメントで置き換えたブロック共重合体を例示できる。ジエン化合物としては、具体的には1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルー1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチルー1,3−ペンタジエンが例示される。
【0019】
ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを水素添加処理してエチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体に類似した構造を持つ非晶性オレフィンブロックからなるソフトセグメントは、例えば、ポリブタジエンのビニル結合(1,2−及び3,4一結合の含有量)を、25〜85%程度にした重合体ブロックを水素添加することにより、非晶性のエチレン・ブテン共重合体と類似した構造を持つ非晶性オレフィンブロックが得られる。
【0020】
ジエン化杏物を主体とし水素添加処理などにより結晶性ポリオレフインとなり得る重合体部は、例えばポリブタジエンのビニル結合(1,2一及び3,4一結合の含有量)を、25%以下にした重合体ブロックを水素添加することにより、エチレン重合体に類似した構造を持つ結晶性オレフィンブロックが得られる。
これらのブロック共重合体(c2)としては、具体的には、結晶性オレフィン(結晶性エチレン重合体部)−エチレン・ブテン(非晶性オレフィン重合体部)一結晶性オレフィン(結晶性エチレン重合体部)ブロック共重合体(CEBC)、スチレンーエチレン・ブテン(非晶性オレフィン重合体部)一結晶性オレフィン(結晶性エチレン重合体部)ブロック共重合体(SEBC)が挙げられ、JSR株式会社から商品名:DYNARONとして、DR6100P、DR6200P(CEBC)、DR4600P、DR4630P(EBC)の各種銘柄が市販されている。
【0021】
ブロック共重合体(c2)の他の例としては、プロピレンの単独重合体若しくはプロピレンと少量のエチレンあるいは1一ブテン等の他のα−オレフィンとのプロピレンを主体とした結晶性プロピレン系重合体をリビング重合して結晶性オレフィン重合体部を得、次いでプロピレンとエチレン、1−ブテン等の他のα−オレフィンとを共重合して非晶性のオレフィン重合体部を得てなるプロピレンープロピレン・α−オレフィンープロピレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0022】
〔オレフィン系ブロック共重合体エラストマー(c3)〕
オレフィン系ブロック共重合体エラストマー(c3)とは、分子内に少なくとも一つのオレフィン系エラストマー重合体部からなる所謂非晶性のソフトセグメントと少なくとも一つの所謂ハードセグメントを有するブロック共重合体である。オレフィン系エラストマー重合体部からなるソフトセグメントは、通常、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィンのランダム重合体部、ブタジエン、イソプレンなどのジエン化合物(ジオレフィン)の重合体部あるいはその水素添加物であり、ハードセグメントは、通常、ポリスチレン重合体部などのガラス転移点が常温以上の重合体部、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィン重合体部で結晶性を有するもの、あるいはブタジエン重合体部の水素添加物で結晶性を有するものである。
このようなオレフィン系ブロック共重合体エラストマー(c3)として好ましい例としては、少なくとも一つのジエンブロック(ジエン重合体部;ジオレフィン重合体部)からなるソフトセグメントと少なくとも一つのスチレンブロック(スチレン重合体部)からなるハードセグメントとを有するスチレン・ジエンブロック共重合体(c1)及び少なくとも一つの非晶性オレフィンブロック(非晶性オレフィン重合体部)からなるソフトセグメントと少なくとも一つの結晶性オレフィンブロック(結晶性オレフィン重合体部)からなるハードセグメントとを有するオレフィン・非晶性オレフィンブロック共重合体(c2)を例示することができ、これらブロック共重合体は、一般的に熱可塑性エラストマーとして製造・販売されている。
【0023】
〔スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c)の好適な態様〕
本発明の粘着フィルムの態様の1つによれば、これらのスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c1)のショアA硬度を30から50の範囲とすることにより、粘着フィルムの粘着層に適度な粘着強度をもたらし、かつ剥離安定性に優れ、経時変化を防止して好適な粘着性を維持し、使用後の被着体表面に糊残りの発生のない粘着フィルムを提供することができる。ショア硬度Aが30未満では、粘着強度が大きくなり過ぎ、また50を越えると粘着強度が小さくなる傾向がある。
また、この態様において、用いられるスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c1)として、スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c1)を選び、そのスチレン含量を10〜16質量%とすることにより、さらに粘着フィルムの粘着層に適度な粘着強度をもたらすと共に、剥離安定性に優れ、経時変化を防止して好適な粘着性を維持し、より使用後の被着体表面に糊残りの発生のない粘着フィルムを提供することができる。
【0024】
また、本発明の粘着フィルムの他の1つの態様によれば、これらのスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c1)として、スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c1)を選び、そのスチレン含量を10〜16質量%とすることにより、同様に粘着フィルムの粘着層に適度な粘着強度をもたらし、かつ剥離安定性に優れ、経時変化を防止して好適な粘着性を維持し、使用後の被着体表面に糊残りの発生のない粘着フィルムを提供することができる。スチレン含量が10質量%未満では、粘着強度が大きくなり過ぎる傾向があり、16質量%を越えると、粘着強度が小さくなる傾向がある。
【0025】
また、この態様において、用いられるスチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c1)のショアA硬度を30〜50とすることにより、さらに粘着フィルムの粘着層に適度な粘着強度をもたらし、かつ剥離安定性に優れ、経時変化を防止して好適な粘着性を維持し、より使用後の被着体表面に糊残りの発生のない粘着フィルムを提供することができる。
【0026】
〔粘着層〕
本発明の粘着フィルムの粘着層は、上記の非晶性オレフィン共重合体(a)、結晶性オレフィン(b)、およびスチレン系のブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c)からなる組成物から構成される。
【0027】
粘着層に適した組成物を調製する目安として、組成部中に含まれる各成分が非晶性オレフィン共重合体(a)20〜80質量部、結晶性オレフィン(b)3〜30質量部、スチレン系のブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c)10〜50質量部((a)(b)および(c)の合計で100質量部とする)の範囲とすることが望ましい。
本発明の態様の他の1つによれば、本発明の粘着フィルムはその粘着層の表面がRa=4.5であるメタクリル樹脂製の樹脂板からなる被着面に対する粘着強度を450〜800N/50mmの範囲内に制御することにより、適度な粘着強度と共に、剥離安定性に優れ、経時変化を防止して好適な粘着性を維持し、使用後の被着体表面に糊残りの発生のない粘着フィルムを提供することができる。
そして、この粘着強度の範囲であって、粘着層に用いられるスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c1)のショアA硬度を30から50の範囲に制御することにより、粘着フィルムの粘着層にさらに適度な粘着強度をもたらし、かつ剥離安定性に優れ、経時変化を防止して好適な粘着性を維持し、より使用後の被着体表面に糊残りの発生のない粘着フィルムを提供することができる。ショア硬度Aが35未満では、粘着強度が大きくなり過ぎ、また50を越えると粘着強度が小さくなる傾向がある。
【0028】
また、本発明の粘着フィルムの他の1つの態様によれば、これらのスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c1)として、スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c1)を選び、そのスチレン含量を10〜16質量%に制御することにより、さらに粘着フィルムの粘着層に適度な粘着強度をもたらし、かつ剥離安定性に優れ、経時変化を防止して好適な粘着性を維持し、より使用後の被着体表面に糊残りの発生のない粘着フィルムを提供することができる。スチレン含量が10質量%未満では、粘着強度が大きくなり過ぎる傾向があり、16質量%を越えると、粘着強度が小さくなる傾向がある。
【0029】
粘着層には上記の条件を満たす範囲内において、非晶性オレフィン共重合体(a)、結晶性オレフィン(b)および結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c)と共に、必要に応じて、他の成分を配合することができる。なお、粘着性能を制御しそのばらつきを少なくするためには、他のポリマー成分は配合する場合でも少量に留めることが望ましい。
【0030】
本発明において、必要に応じて配合される他の成分としては、エチレンを60〜85モル%含むエチレン−α−オレフィン共重合体が望ましく、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが例示される。これらのエチレン−α−オレフィン共重合体の融点は20ないし80℃の範囲にあるものが好適である。このようなオレフィン系熱可塑性エラストマーには例えば、三井化学株式会社から市販されているタフマーP、タフマーA、タフマーSなどがある。
さらに、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、及び、光安定剤のような安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、着色剤、分散剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤のような添加剤を必要に応じて配合することが行われる。
【0031】
粘着層に用いられる組成物を調製するには、例えば、各成分を、ラバーミル、ブラベンダーミキサー、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ルーダーおよび二軸押出機のような通常の混練り装置で混練する方法を例示することができる。
【0032】
混練り装置は、密閉式および開放式のいずれの形式であってもよいが、不活性ガスによって置換し得る密閉式装置が好ましい。
混練り温度は、通常120〜250℃、好ましくは140〜240℃である。混練り時間は、用いられる成分の種類や量および、混練り装置の種類に依存し、加圧ニーダーやバンバリーミキサーのような混練り装置を使用する場合、通常、約3〜10分程度である。
混練り工程においては、各成分を一括して混練する方法を採用してもよいし、各成分の一部を混練りした後、残部を添加して混練りを継続する多段分割混練り法を採用してもよい。
【0033】
〔基材層〕
本発明の粘着フィルムに係る基材層は従来公知の種々の材料を用いることができる。基材層用の熱可塑性樹脂も特に限定されず、結晶性ポリプロピレン、プロピレンの単独重合体および、プロピレンと少量のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体のようなポリプロピレン系樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび線状低密度ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、エチレン−α−オレフィン共重合体。α−オレフィン単位を主単位とするプロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−n−ブチルアクリレート共重合体およびこれらの組合せが例示される。
【0034】
これらの中では、粘着性および剥離性に優れた粘着フィルムを得る観点から、基材層と粘着剤層とが剥離し難い粘着フィルムを得る観点および、粘着フィルムのリサイクル性の観点から、本発明で用いられる非晶性オレフィン共重合体(a)との相溶性のよいポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0035】
さらに粘着剤層にポリプロピレンを主成分とする樹脂を用いた場合は、基材層にポリプロピレン系樹脂を用いると粘着層との親和性が大きいことから、ロール状に巻いたときに基材層と粘着層が必要以上に粘着性を示す場合がある。従って、基材層の粘着層を積層する面とは反対側の面にはポリエチレンを主成分とする樹脂を用いることが好ましい。ポリエチレンには、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび直鎖低密度ポリエチレンなどが例示され、特に低密度ポリエチレンを主成分とする面が好適である。
【0036】
基材層は、単層であっても良いし、少なくとも2層からなる多層であっても良い。基材層の表面は、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理、電子線照射処理および紫外線照射処置のような周知の表面処理法で処理されていても良い。基材層は、無色透明の層であっても良いし、着色された又は印刷された層であっても良い。
基材層が多層の態様としては、基材層がポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、硬質アクリル樹脂などのフィルム、クラフト紙、合成紙などの比較的剛性の高い中間層と、その表面のポリエチレンを主成分とする表面層とする基材層がある。中間層/表面層の厚さは、それぞれ3〜100μm/3〜50μm程度が通常である。
基材層の表面をポリエチレンにすることで、粘着フィルムの粘着剤が表面層と接触してロール状に巻き取られた後であっても、粘着フィルムを再度巻き戻して用いる際の巻き戻し性(粘着剤層と基材層の表面の間の剥離性)がスムーズであり、優れた取扱い性が得られる。
【0037】
〔粘着フィルム〕
本発明の粘着フィルムは、上記の基材層の片面に上記の粘着剤層を有する粘着フィルムであっても良いし、上記の基材層の両面に上記の粘着剤層を有する粘着フィルムであってもよい。
【0038】
本発明の粘着フィルムの製造する方法としては、インフレーションフィルム製造装置やTダイフィルム製造装置のような装置を用いて、基材層と粘着剤層とを共押出する方法や押出コーティングする方法(「押出ラミネート法」ともいう)を例示することができる。特に、基材層および粘着層を構成する素材を、それぞれ溶融加熱して共押出し成形し、所定の厚さを有する積層フィルムを製造する方法が、高効率でしかも安価に本発明のフィルムを製造できる点で好ましい。
【0039】
基材層は、必要に応じて、予め一軸方向または二軸方向に延伸されていてもよい。一軸延伸の好ましい方法として、通常用いられているロール延伸法を例示することができる。二軸延伸の方法として、一軸延伸の後に二軸延伸を行う逐次延伸法や、チューブラ延伸法のような同時二軸延伸法を例示することができる。
【0040】
本発明の粘着フィルムの粘着層の厚さは特に限定されないが、通常は1〜200μm程度であり、共押出によって本発明のフィルムを製造する場合には、フィルムの層構成の制御しやすさ、貼着や剥離の作業性から、3〜50μmとすることが望ましい。また、粘着フィルムの全体の厚さも特に限定されないが、通常は10〜300μm程度、好ましくは30〜200μm程度である。基材層および粘着剤層のそれぞれの厚さは、被着体の種類や、粘着フィルムに要求される物性に応じて決めることができる。
【実施例】
【0041】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、これらは例示のためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0042】
実施例1〜4および比較例1〜5
(1)粘着層用の原料樹脂を調製した。
すなわち、以下に示す各成分を表1に示す割合で用いた。

(イ)非晶性オレフィン共重合体(非晶性PO−1)およびランダムPP(r−PP)
下記の非晶性オレフィン共重合体および融点132℃のプロピレンランダム共重合(r−PP)(非晶性PO/r−PPの質量比は85/15)からなる(230℃、2.16Kg荷重におけるMI=3g/10分、住友化学株式会社製タフセレンT3714)
【0043】
非晶性PO−1
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体
エチレン含有量 [mol%] 14
プロピレン含有量 [mol%] 83
1−ブテン含有量 [mol%] 3
結晶融点 [℃] なし
結晶融解熱量 [mj/mg] なし
結晶化温度 [℃] なし
結晶化熱量 [mj/mg] なし
分子量分布 Mw/Mn [−] 2.1

(ロ)非晶性オレフィン共重合体(非晶性PO−2)およびランダムPP(r−PP)
下記の非晶性オレフィン共重合体および融点132℃のプロピレンランダム共重合(r−PP)(非晶性PO/r−PPの質量比は85/15)からなる(230℃、2.16Kg荷重におけるMI=3g/10分、住友化学株式会社製タフセレンT3712)

非晶性PO−2
プロピレン−1−ブテンランダム共重合体
プロピレン含有量 [mol%] 97
1−ブテン含有量 [mol%] 3
結晶融点 [℃] なし
結晶融解熱量 [mj/mg] なし
結晶化温度 [℃] なし
結晶化熱量 [mj/mg] なし
分子量分布 Mw/Mn [−] 2.19
【0044】
(ハ)スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(SEBS−1)
旭化成(株)製タフテックH1221(スチレン含量13質量%)、MFR(230℃、荷重2.16Kg)4.5g/10分
(ニ)スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(SEBS−2)
JSR(株)製ダイナロン8601P(スチレン含量15質量%)MFR(230℃、荷重2.16Kg)3.5g/10分
(ホ)スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(SEBS−3)
旭化成(株)製タフテックH1062(スチレン含量18質量%)MFR(230℃、荷重2.16Kg)4.5g/10分
(ヘ)スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(SEBC)
JSR(株)製ダイナロン4600P(スチレン含量20質量%)MFR(230℃、荷重2.16Kg)5.6g/10分
(ト)スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(SEBS−4)
JSR(株)性ダイナロン8600P(スチレン含量15質量%)MFR(230℃、荷重2.16Kg)30g/10分
(チ)スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(SEPS)
(株)クラレ製セプトンS2063(スチレン含量13質量%)MFR(230℃、荷重2.16Kg)7g/10分、
【0045】
(2)基材層は中間層および表面層からなり、それぞれの原料樹脂を調製した。

中間層:プロピレン・エチレンランダム共重合体(ランダムPP:三井化学(株)社製プロピレン・エチレンランダム共重合体(三井ポリプロF327、密度0.91g/c m 、融点;138℃)96質量部および高密度ポリエチレン(密度0.953g/cm)4質量部。

表面層:高密度ポリエチレン(密度:0.953g/cm)40質量部および低密度ポリエチレン(密度:0.917g/cm)60質量部
【0046】
これらの原料樹脂を用いて、粘着層(厚さ:8μm)と基材層(中間層(厚さ:37μm)、表面層(厚さ:5μm)からなる粘着フィルム(厚さ:50μm)を、共押出しT−ダイフィルム成形法によって成形した。
なお、溶融温度(押出機設定温度)は、基材層(中間層220℃、表面層220℃)であり、粘着層210℃である。また、共押出温度(ダイス設定温度)は210℃である。
得られた粘着フィルムの粘着強度を下記の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0047】
(表1)


【0048】
<ショア硬度A>
JIS K-7215 1986に準じて測定した。

<粘着強度の測定>
粘着フィルム(50mm×50mm)をRa=4.5およびRa=0.005のメタクリル樹脂製(*)の平板(50mm×50mm)の表面に23℃で2Kgの圧着ローラを用いて貼り付け、23℃で30分放置後、剥離幅50mm、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件下で平板から粘着フィルムを剥離させ、そのときに要する力を粘着強度(g/50mm)とした。
*(株)クラレ製コモグラスDFA2(Ra=4.5)、コモグラスP(Ra=0.005)

<表面粗さ(中心面平均粗さSRa;μm)>
フィルムの塗工膜の表面粗さは、小坂研究所製の3次元表面粗さ測定器 SE−30Kを用い、触針式で
検出器:PU−DJ2S、触針先端半径 :R2μm、測定力:0.7mN、測定長 :1mm、Y送りピッチ :2μm、測定本数:201本、低域カットオフ値:0.25、広域カットオフ値:R+Wで測定した。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の粘着フィルムは、その優れた粘着性能を利用して半導体ウエハーのバックグラインドテープ、ダイシングテープ、プリント基板保護テープ、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズなどのエレクトロニクス用途、窓ガラス保護用フィルム、装飾用マーキングフィルム、医療、衛生用薬剤の基材などの広い用途に用いられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶性オレフィン共重合体(a);20〜80質量部、結晶性オレフィン系重合体(b);3〜30質量部およびスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c);10〜50質量部〔(a)(b)および(c)の合計で100質量部とする〕からなる粘着層を有し、当該粘着層の表面がRa=4.5μmのメタクリル樹脂の製樹脂板からなる被着面に対する粘着強度が450〜800N/50mmであることを特徴とする粘着フィルム。
【請求項2】
非晶性オレフィン共重合体(a);20〜80質量部、結晶性オレフィン系重合体(b);3〜30質量部およびスチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c);10〜50質量部〔(a)(b)および(c)の合計で100質量部とする〕からなる粘着層を有し、当該粘着層を構成するブロック共重合体(c)のショアA硬度が30から50であるブロック共重合体(c)であることを特徴とする粘着フィルム。
【請求項3】
非晶性オレフィン共重合体(a);20〜80質量部、結晶性オレフィン系重合体(b);3〜30質量部およびオレフィン系ブロックまたはスチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c);10〜50質量部〔(a)(b)および(c)の合計で100質量部とする〕からなる粘着層を有し、当該粘着層を構成するブロック共重合体(c)のスチレン含量が10〜16質量%であることを特徴とする粘着フィルム。
【請求項4】
スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c)が、スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c)であり、そのスチレン含量が10〜16質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着フィルム。
【請求項5】
スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c)のショア硬度A(JIS K-7215 1986)が35〜50であることを特徴とする請求項1または3に記載の粘着フィルム。
【請求項6】
粘着層の表面がRa=4.5のメタクリル樹脂製樹脂板からなる被着面に対する粘着強度が450〜800N/15mmであることを特徴とする請求項2または3に記載の粘着フィルム。
【請求項7】
スチレン系ブロックまたは結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c)が、スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粘着フィルム。
【請求項8】
スチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c)のスチレン含量が10〜16質量%であり、かつ、そのショアA硬度が35〜50であることを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルム。

【公開番号】特開2007−76127(P2007−76127A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266174(P2005−266174)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000220099)東セロ株式会社 (177)
【Fターム(参考)】