説明

精度予測装置、精度予測方法及び精度予測プログラム

【課題】後処理型の移動体自己位置計測装置において、経験のない運用者によっても計測を行えるようにすることを目的とする。また、位置の計測精度を均一化することを目的とする。
【解決手段】精度情報記憶部18は、位置を計測するための情報を観測する観測装置の過去の観測状態と、その観測状態を取得した時の位置の計測精度とを記憶する。誤差予測演算部17は、精度情報記憶部18が記憶した過去の観測状態とその観測状態を取得した時の位置の計測精度とに基づき、観測装置の現在の観測状態での位置の計測精度を予測する。運用者は、誤差予測演算部17が予測した計測精度に基づき、衛星からの電波を受信させるか否か等の判断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、GPS(Global Positioning System)やIMU(internal measurement unit,ジャイロスコープ)等の観測装置(搭載センサ)により観測された情報に対して、後処理を行い位置を計測する後処理型の位置計測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
GPSとIMUを組み合わせた後処理型の移動体自己位置計測装置において衛星が不可視の時(衛星からの電波を受信できない時)に計測精度が低下していく。後処理型の移動体自己位置計測装置において、計測時に一定以上の計測精度を維持するためには、適切なタイミングで衛星からの電波を受信させ計測精度を改善する運用を行う必要がある。
【0003】
従来、衛星からの電波を受信させる運用ルールとしては、以下のようなものがある。
(1)一定時間又は一定距離毎に見開きの良い場所に移動して衛星からの電波を受信させる。
(2)簡易的に計算した自己位置についての方位角の誤差推定値が一定以上になった場合に衛星からの電波を受信させる。
【特許文献1】特開平6−26865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後処理型の移動体自己位置計測装置では、リアルタイムに計測精度を知ることができない。後処理型の移動体自己位置計測装置を一定精度以上で計測する場合には、観測装置から取得している一部の情報から運用者が経験によって衛星からの電波を受信させるタイミングを計り、計測精度を確保している。そのため、専門的な知識、経験がある者以外には、適切なタイミングで衛星からの電波を受信させる運用を行うことが困難であり、計測精度を確保することが困難である。
また、同様に、衛星からの電波を受信させた場合に、計測精度が十分に改善されているかどうかを計る指標がなく、計測者の経験に依存している。そのため、専門的な知識、経験のある者以外には、衛星からの電波の受信を継続するか否かの判断を行うことは困難である。
つまり、計測者の経験に頼った運用のため、計測精度に個人差が発生するという課題がある。言い換えると、計測精度を一定化させることができないという課題がある。
この発明は、例えば、衛星からの電波を受信させるタイミング等を機械的に計り、経験のない運用者によっても計測を行えるようにするとともに、計測精度を均一化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る精度予測装置は、例えば、位置を計測するための情報を観測する観測装置の過去の観測状態と、その観測状態を取得した時の位置の計測精度とを記憶装置に記憶する精度情報記憶部と、
上記精度情報記憶部が記憶した過去の観測状態とその観測状態を取得した時の位置の計測精度とに基づき、上記観測装置の現在の観測状態での位置の計測精度を処理装置により予測する精度予測部と、
上記精度予測部が予測した計測精度を出力装置へ出力する出力部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る精度予測装置は、GPSやIMU等の観測装置の過去の観測状態と現在の観測状態とから現在の位置の計測精度を予測する。そのため、本発明に係る精度予測装置によれば、予測した精度により衛星からの電波を受信させるタイミングを決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
まず、位置の計測精度の予測方法について説明する。
現在の有効衛星数、衛星からの受信電波強度、加速度、角加速度の情報等から現在の位置の計測精度を予測することができる。
具体的には、例えば、有効衛星数が多ければ、計測精度が高く(向上し)、少なければ計測精度が低い(低下する)。また、受信電波強度が強ければ計測精度が高く、受信電波強度が弱ければ計測精度が低い。計測精度が高い状態(衛星数が多い状態)から計測精度が低い状態(状態衛星数が少ない状態)になった場合、有効衛星数の減り方(いくつ減ったか)と、有効衛星数が減ってからの経過時間とに対応して計測精度が低下する。逆に、計測精度が低い状態(状態衛星数が少ない状態)から計測精度が高い状態(衛星数が多い状態)になった場合、有効衛星数の増え方(いくつ減ったか)と、有効衛星数が増えてからの経過時間とに対応して計測精度が向上する。この際、有効衛星数だけでなく、受信電波強度も関連して計測精度が変化する。
また、例えば、急激に加速度、角加速度が変化した場合、計測精度が低下する。特に、衛星数が少ない状態で急激に加速度、角加速度が変化した場合、計測精度が低下する。
【0008】
そこで、従来運用者は、表示装置に表示された有効衛星数や、体感加速度、体感角加速度に基づき、過去の経験を頼りに計測精度低下の度合いを予測している。運用者は、計測精度の低下の度合いが許容範囲外となったと判断した場合には、衛星からの電波を多く受信できる場所に移動する。衛星からの電波を多く受信できる場所であるか否かも、表示装置に表示された有効衛星数と衛星の配置とを見て経験により判断する。
しかし、以上の運用では、計測精度の予測に関する多くは運用者の経験によってされたものである。そのため、運用者の経験や、運用者の能力により計測精度にばらつきが出る。また、経験を積んだ運用者であっても誤りを犯す等の課題がある。
【0009】
この実施の形態に係る精度予測装置10は、計測精度を決定する要因である衛星数、衛星からの受信電波強度、加速度、角加速度を計測する。精度予測装置10は、計測したこれらの情報と計測したこれら情報の履歴と、過去の計測精度情報とから現在の計測精度を予測し、表示する。これにより、運用者の経験に頼って行っていた計測精度の劣化、改善等の判断を、経験のない運用者であっても表示された情報から容易に行うことができる。特に、現在の計測精度の予測結果が許容範囲を超えればアラームを発し運転者に対応を求めることで、計測精度を均一化して計測のし直しを防止できる。
【0010】
計測した情報と計測した情報の履歴と、過去の計測精度情報とから現在の計測精度を予測する方法について説明する。
図1は、過去の計測精度情報の説明図である。図1(a)は、走行の履歴を示す図である。図1(b)は、図1(a)に示す走行を行った場合に記録された過去の計測精度情報を示す図である。図1(b)に示すように、過去の計測精度情報には、過去の走行時における所定の時間毎の衛星数、受信電波強度、加速度、角加速度と、その走行における終了地点の位置誤差とが格納されている。また、過去の計測精度情報には、さらに、上記情報から得られる過去の走行時におけるGPS受信状態が劣化してからの走行距離、GPS受信状態が劣化してからの走行時間、交差点などの角を曲がった回数等をデータベースとして格納されていてもよい。なお、GPS受信状態が劣化したか否かは、衛星数、受信電波強度に基づき予め定めておく。なお、GPS受信状態が劣化した状態では、IMUの結果だけで測位演算を行う。位置誤差は、高精度シミュレータを用いた後処理によって算出される。
つまり、過去の計測精度情報は、走行を行った場合に計測された上記のような情報と、その結果の位置誤差とが、データベースとして多数(数百以上)記録されている。
そして、この多数記録された「過去の計測精度情報」を解析することで、現在の位置誤差を推定する推定式を算出する。例えば、過去の計測精度情報から得られるGPS受信状態が劣化してからの走行距離、GPS受信状態が劣化してからの経過時間、交差点などで角を曲がった角度の積算量、加速度が所定値を超えた時間と走行距離、角加速度が所定値を超えた時間とその間の走行距離から位置誤差に関する推定式を算出する。つまり、
位置誤差に関する推定式=f(GPS受信状態が劣化してからの走行距離、GPS受信状態が劣化してからの経過時間、交差点などで角を曲がった角度の積算量、加速度が所定値を超えた時間と走行距離、角加速度が所定値を超えた時間とその間の走行距離)
である。
この推定式に対して、計測した情報(衛星数、衛星からの受信電波強度、加速度、角加速度)と計測した情報の履歴とから計算したGPS受信状態が劣化してからの走行距離、GPS受信状態が劣化してからの経過時間、交差点などで角を曲がった角度の積算量、加速度が所定値を超えた時間と走行距離、角加速度が所定値を超えた時間とその間の走行距離を入力として、現在の計測精度を予測する。
【0011】
図2は、この実施の形態に係る後処理型の移動体自己位置計測装置を搭載した車両1の構成図である。
車両1は、GPS2、IMU3の観測装置と、精度予測装置10とを備える。
GPS2は、位置計測用人工衛星からの電波を受信(観測)する。IMU3は、GPS2が電波を受信できなくなった場合に、車両1の加速度、角加速度等から車両1の位置を予測するためのデータを計測(観測)する。
精度予測装置10は、位置の計測精度を処理装置により予測する。精度予測装置10は、通信装置11、観測データ取得部12、観測データ記憶部13、精度予測部14、精度情報記憶部18、表示部19(出力部)、表示装置20を備える。精度予測部14は、IMU演算部15、GPS演算部16、誤差予測演算部17を備える。表示装置20は、スカイプロット21、誤差予測グラフ22、Roughインジケータ23、Fixインジケータ24を備える。精度予測装置10の各機能については、精度予測装置10の動作とともに説明する。
【0012】
図3は、精度予測装置10の動作である精度予測処理を示すフローチャートである。
<S11:観測データ取得ステップ>
観測データ取得部12は、通信装置11を介して、GPS2、IMU3が観測したデータを受信して、観測データ記憶部13に記憶する。
<S12:精度予測ステップ>
精度予測部14は、観測データ取得部12が観測装置が観測したデータから位置の計測精度を処理装置により予測する。具体的には、以下のように動作する。
IMU演算部15は、IMU3から取得したデータに基づき、過去から現在にいたる加速度、角加速度の状態をモニタし、加速度、角加速度の変化を観測状態として処理装置により計算する。また、IMU演算部15は、加速度、角加速度の変化による精度劣化を処理装置により検出する。
GPS演算部16は、GPS2から取得したデータに基づき、過去から現在にいたる衛星状態の変化をモニタし、衛星の変化(有効性整数と受信電波強度との変化)を観測状態として処理装置により計算する。
誤差予測演算部17は、IMU演算部15と誤差予測演算部17とが計算した観測状態と、後述する精度情報記憶部18が記憶した観測装置の過去の観測状態と、その観測状態を取得した時の後処理後の位置の計測精度とから総合的に現在の位置の計測精度(計測誤差)を処理装置により予測する。つまり、誤差予測演算部17は、過去の観測状態から得られる推定式にGPS2、IMU3が計測した情報から得られた情報を入力して、現在の計測誤差を予測する。なお、後処理とは、例えば、高精度シミュレータを用いてGPS2から取得したデータにより計測された位置を、IMU3から取得したデータやその他の情報に基づき補正して高精度化する処理である。
精度情報記憶部18は、過去の衛星状態及び加速度、角加速度等である過去の観測状態と、その観測状態において後処理の結果得られた位置の計測精度とを記憶したデータバンクである。
<S13:出力ステップ>
表示部19は、観測データ取得部12が通信装置11を介して受信したデータと、精度予測部14が予測した情報とを表示装置20に以下のように表示する。
スカイプロット21には、有効衛星数等、衛星の状態を表示する。
誤差予測グラフ22には、誤差予測演算部17が予測した位置の計測精度の予測値を数値やグラフ等により表示する。
Roughインジケータ23には、荒い運転がされた場合等、IMU演算部15により計測精度を劣化させる観測状態の変化を検出した場合に点滅又は点灯する。つまり、Roughインジケータ23には、荒い運転に対する警告を表示する。
Fixインジケータ24には、計測精度の予測値が所定の閾値よりも劣化した後、再び予測した計測精度が所定の閾値よりも改善した場合に点灯又は点滅する。つまり、Fixインジケータ24には、有効衛星数や受信電波強度が確保できる場所へ移動して静止したことにより、誤差予測値が十分に低下し(計測精度が十分に改善し)、再計測を開始してよいことを示す。
また、誤差予測グラフ22には、閾値が設定されており、計測精度が閾値よりも劣化したか否かを運用者が認識し易いようにしている。表示部19は、計測精度が閾値よりも劣化した(閾値よりも計測精度が低くなった)場合には警告音などを発し、衛星数が確保できる場所への移動を運用者に促してもよい。また、同様に、表示部19は、他の情報についても表示装置20に表示させることに代え、音等を出力するとしてもよい。
【0013】
図4は、位置計測処理の流れを示すフローチャートである。
計測を開始すると、上述したように、観測データ取得部12は、GPS2とIMU3とからデータを取得する。精度予測部14は、観測データ取得部12が取得したデータから現在の計測精度を予測する。表示部19は、観測データ取得部12が取得したデータと、精度予測部14が予測した計測精度とを、表示装置20のスカイプロット21、誤差予測グラフ22に表示する。また、荒い運転等をした場合には、Roughインジケータ23を点灯又は点滅させる。
<S21:精度確認ステップ>
運用者は、誤差予測グラフ22に表示された計測精度が閾値よりも劣化していないか(閾値を超えていないか)を確認する。つまり、運用者は、計測精度が許容範囲内か確認する。表示部19によって、警告音が発せられている場合には、運用者はその音によって計測精度が閾値よりも劣化したと判断してもよい。
計測精度よりも劣化している場合(S21でNO)、S22へ進む。一方、計測精度が閾値よりも劣化していない場合(S21でYES)、S24へ進む。
<S22:衛星確保ステップ>
運用者は、計測精度が閾値を超えているため、一旦衛星からの電波を多く受信できる場所へ移動し静止する。運用者は、スカイプロット21に表示された有効衛星数等により、衛星からの電波を多く受信できる場所か否かを判断することができる。
<S23:改善確認ステップ>
運用者は、衛星からの電波を多く受信できる場所へ移動し静止した後、誤差予測グラフ22に表示された計測精度が閾値を切り、十分に小さい値になったことにより、計測精度が十分に改善したと判断する。なお、Fixインジケータ24は、計測精度の予測値が所定の閾値よりも劣化した後、再び予測した計測精度がある閾値よりも改善した場合に点灯又は点滅する。そのため、運用者は、Fixインジケータ24が点灯又は点滅したことにより、計測精度が十分に改善したと判断してもよい。
計測精度が十分に改善していない場合(S23でNO)、S22へ戻り、衛星からの電波を多く受信できる場所で静止を継続する。一方、計測精度が十分に改善した場合(S23でYES)、S24へ進む。
<S24:運転確認ステップ>
運用者は、Roughインジケータ23が点灯又は点滅していないかを確認する。つまり、運転者が荒い運転をしていないかをRoughインジケータ23の表示により確認する。
Roughインジケータ23が点灯又は点滅していない場合(S24でNO)、S26へ進む。一方、Roughインジケータ23が点灯又は点滅している場合(S24でYES)、S25へ進む。
<S25:運転指導ステップ>
運用者は、運転者へ運転指導を行う。つまり、荒い運転をしないように警告して、運転を安定させる。
<S26:計測ステップ>
運用者は、計測精度が閾値よりも劣化していない状態であり、運転も安定した状態であるため、計測を開始する。
<S27:終了確認ステップ>
運用者は、計測を終了したか否かを判断する。計測を終了していない場合(S27でNO)、S21へ戻り、表示装置20の表示を確認する。一方、計測を終了した場合(S27でYES)、計測処理を終了する。
【0014】
つまり、運用者は誤差予測グラフ22を確認し、衛星からの電波が確保できる場所に移動すべきかどうかを判断する。次に荒い運転に対する警告を出していないかどうかを判断し、運転者に対して運転指導を行うべきかを判断する。どちらも不必要な場合は計測を実行する。
【0015】
以上のように、精度予測装置10によれば、経験に基づいていた部分を演算装置に移行することにより、計測精度が向上する。また、経験に基づいて判断していた部分を演算装置に移行することにより、熟練者の育成の費用と時間を削減できる。また、計測精度の閾値を設定することにより、運用者によって不均一であった計測精度を規定し品質の安定化を図れる。同様に、荒い運転に対して指導を与える規準を設けられ、精度低下の要素を取り払うことができる。さらに、新たなセンサ等を追加せずに、精度予測装置10による演算機能により以上の機能を実現しているため、計測装置の追加費用を低く抑えることができる。
【0016】
以上の説明において車両1として説明した移動体自己位置計測装置をまとめると、次のようになる。
上記移動体自己位置計測装置は、現在の計測精度誤差を観測装置と観測装置の過去の履歴とから演算装置を用いて予測し、予測した情報を表示装置20に表示する後処理型の移動体自己位置計測装置である。
また、上記移動体自己位置計測装置は、精度を低下させる行為を行った場合にこの行為を観測装置から演算装置を用いて予測し、予測した情報を表示装置20に表示、警告する。
さらに、上記移動体自己位置計測装置は、現在の計測精度誤差を観測装置と観測装置の過去の履歴から演算装置を用いて予測する場合に、過去の後処理の結果を参照し、これらと照らし合わせて予測誤差の精度を向上させる。
また、さらに、上記移動体自己位置計測装置は、現在の計測精度誤差を観測装置と観測装置の過去の履歴から演算装置を用いて予測し、予測した情報を表示装置20に表示する際、設定された閾値を超えた場合に、警告を与える。
また、上記移動体自己位置計測装置は、現在の計測精度誤差を観測装置と観測装置の過去の履歴から演算装置を用いて予測し、予測した情報を表示装置20に表示する際、十分に精度向上した事を示す。
【0017】
次に、上記実施の形態における精度予測装置10のハードウェア構成について説明する。
図5は、精度予測装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5に示すように、精度予測装置10は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901(Liquid Crystal Display)、キーボード902、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
【0018】
ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913とRAM914と磁気ディスク装置920とは、記憶装置の一例である。「観測データ記憶部13」、「精度情報記憶部18」は、記憶装置又は記憶装置へ記憶するソフトウェアやプログラムである。また、通信ボード915は、通信装置11の一例である。さらに、LCD901は、表示装置20の一例である。また、表示装置20は、出力装置の一例である。
【0019】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0020】
プログラム群923には、上記の説明において「観測データ取得部12」、「精度予測部14」、「IMU演算部15」、「GPS演算部16」、「誤差予測演算部17」、「表示部19」等として説明した機能を実行するソフトウェアやプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の説明において「観測データ記憶部13」、「精度情報記憶部18」が記憶する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「ファイル」や「データベース」の各項目として記憶される。「ファイル」や「データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPU911の動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPU911の動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、上記の説明におけるフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、その他光ディスク等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0021】
また、上記の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。また、「〜装置」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。さらに、「〜処理」として説明するものは「〜ステップ」であっても構わない。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ROM913等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、上記で述べた「〜部」としてコンピュータ等を機能させるものである。あるいは、上記で述べた「〜部」の手順や方法をコンピュータ等に実行させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】過去の計測精度情報の説明図。
【図2】後処理型の移動体自己位置計測装置を搭載した車両1の構成図。
【図3】精度予測装置10の動作である精度予測処理を示すフローチャート。
【図4】位置計測処理の流れを示すフローチャート。
【図5】精度予測装置10のハードウェア構成の一例を示す図。
【符号の説明】
【0023】
1 車両、2 GPS、3 IMU、10 精度予測装置、11 通信装置、12 観測データ取得部、13 観測データ記憶部、14 精度予測部、15 IMU演算部、16 GPS演算部、17 誤差予測演算部、18 精度情報記憶部、19 表示部、20 表示装置、21 スカイプロット、22 誤差予測グラフ、23 Roughインジケータ、24 Fixインジケータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置を計測するための情報を観測する観測装置の過去の観測状態と、その観測状態を取得した時の位置の計測精度とを記憶装置に記憶する精度情報記憶部と、
上記精度情報記憶部が記憶した過去の観測状態とその観測状態を取得した時の位置の計測精度とに基づき、上記観測装置の現在の観測状態での位置の計測精度を処理装置により予測する精度予測部と、
上記精度予測部が予測した計測精度を出力装置へ出力する出力部と
を備えることを特徴とする精度予測装置。
【請求項2】
上記精度情報記憶部は、観測装置の過去の観測状態と、その観測状態を取得した時に観測装置が観測した情報に後処理を行い計測した位置の計測精度とを記憶し、
上記精度予測部は、上記精度情報記憶部が記憶した過去の観測状態とその時の後処理後の位置の計測精度とに基づき、現在の観測状態での後処理後の位置の計測精度を予測する
ことを特徴とする請求項1に記載の精度予測装置。
【請求項3】
上記出力部は、上記精度予測部が予測した計測精度が所定の閾値よりも悪い場合、上記計測精度が所定の閾値よりも悪いことを示す情報を出力装置から出力する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の精度予測装置。
【請求項4】
上記精度予測部は、観測状態の変化を検出し、
上記出力部は、上記精度予測部が計測精度を劣化させる観測状態の変化を検出した場合、上記観測状態の変化を示す情報を出力装置から出力する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の精度予測装置。
【請求項5】
上記出力部は、上記精度予測部が予測した計測精度が所定の閾値よりも劣化した後、再び予測した計測精度が改善した場合、計測精度が改善したことを示す情報を出力装置から出力する
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の精度予測装置。
【請求項6】
予め記憶装置に記憶した位置を計測するための情報を観測する観測装置の過去の観測状態とその観測状態を取得した時の位置の計測精度とに基づき、上記観測状態取得ステップで取得した観測状態での位置の計測精度を処理装置により予測する精度予測ステップと
上記精度予測ステップで予測した計測精度を出力装置へ出力する出力ステップと
を備えることを特徴とする精度予測方法。
【請求項7】
予め記憶装置に記憶した位置を計測するための情報を観測する観測装置の過去の観測状態とその観測状態を取得した時の位置の計測精度とに基づき、上記観測装置の現在の観測状態での位置の計測精度を処理装置により予測する精度予測処理と、
上記精度予測処理で予測した計測精度を出力装置へ出力する出力処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする精度予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−300355(P2009−300355A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157576(P2008−157576)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】