紙幣又は情報記録媒体の取出装置
【課題】ATM内のカセットに収納されている紙幣等の情報危篤媒体アイテムを取り出す際に生じる媒体アイテムのカセット内における詰まりを有効に防止する。
【解決手段】取出装置のフレームと、ピックアップアセンブリとを備える。フレームは(i)通貨カセットを収容する1つ又は複数のガイドと、(ii)カムフォロワを案内し支持する蛇行経路と、(iii)デテントとを備える。ピックアップアセンブリは(i)ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時にデテントに当接するように構成されたガイド縁部と、(ii)着脱式ピックアップアセンブリが初期アライメント位置から係合位置へ移動した時に経路に整列するように構成されたカムフォロワと、(iii)着脱式ピックアップアセンブリがカムフォロワが蛇行経路の端部に達した係合位置へ移動した時にピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列とを備える。
【解決手段】取出装置のフレームと、ピックアップアセンブリとを備える。フレームは(i)通貨カセットを収容する1つ又は複数のガイドと、(ii)カムフォロワを案内し支持する蛇行経路と、(iii)デテントとを備える。ピックアップアセンブリは(i)ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時にデテントに当接するように構成されたガイド縁部と、(ii)着脱式ピックアップアセンブリが初期アライメント位置から係合位置へ移動した時に経路に整列するように構成されたカムフォロワと、(iii)着脱式ピックアップアセンブリがカムフォロワが蛇行経路の端部に達した係合位置へ移動した時にピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常、セルフサービス端末装置(SST)内にあるディスペンサモジュール内に収納されたカセットから紙幣又は切手、クーポン券又はパス等の情報記録媒体(以下、本願では適宜「情報記録媒体アイテム」という)を取り出すピックアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスペンサモジュールは、通常、カセット内に収納された媒体アイテムを取り出して顧客に提供する提供ユニットと、ディスペンサ内の1つ又は複数の保管領域から個々の媒体アイテムをつまみ上げて、つまみ上げた情報記録媒体アイテムを提供ユニットへ搬送する提供ユニットに連結された1つ又は複数のピックアップユニットとを含む。
【0003】
ディスペンサモジュールは、一般に顧客に情報記録媒体アイテムを払い出すために現金自動預け払い機(ATM)内で使用される。これらの媒体アイテムは、通常、紙幣であるが、切手、クーポン、パス等の記録媒体を含む。
【0004】
紙幣ディスペンサ(普通、通貨ディスペンサと呼ばれる)は、通常、各ピックアップユニット内に摺動可能に配置された着脱式通貨カセットを含む。
【0005】
例えば、各通貨のピックアップユニットは、1つ又は複数のピックアップモジュールを備える。例えば、4重ピックアップユニットは、共に連結された2つの2重ピックアップモジュールを含んでもよい。2重ピックアップモジュールは、2つのピックアップ機構(上下に並んだ)を有するモジュールを指す。1つの2重ピックアップユニットは、2重ピックアップモジュールを備えてもよい。
【0006】
各ピックアップ機構は、(i)情報記録媒体アイテムをカセットから取り出すピックアップ端部と、(ii)ピックアップ端部と反対側の積載端部とを備える。通貨カセットは、積載端部へ挿入され、そこから取り出される。
【0007】
カセットから情報記録媒体アイテムをつまみ上げる作業は複雑な電気機械的動作であり、つまみ上げられた情報記録媒体アイテムは詰まりやすい。したがって、つまみ上げ動作はディスペンサ故障の高い割合を占める。これは、サービスマンがピックアップユニットをきわめて頻繁に交換しなければならないことを意味する。ピックアップユニットは比較的大型で重量があるため、ピックアップユニット(又はピックアップユニット内のピックアップモジュール)を交換する必要がある場合に、ピックアップユニットの交換にはサービスマンが大型のアイテム(1つ又は複数のピックアップユニット又はピックアップモジュール)をATMの場所まで運ばなければならない。ピックアップユニット(又はピックアップモジュール)が大型で重量があるということは、交換作業に極めて時間がかかりサービスマンにとって実行が困難であるということを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の欠点又は従来技術のピックアップユニット及びピックアップモジュールに関連する他の欠点の1つ以上を未然に防止し又は緩和できれば有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、ピックアップアセンブリを交換する際に固定部を交換する必要がないように、固定部と、固定部に着脱可能に連結されたピックアップアセンブリとを備える改良型ピックアップユニットのための方法、システム、及び装置を提供する。
【0010】
上記の「発明の概要」と下記の「発明を実施するための形態」で開示する主題に加えて、この項の以下の各節では、必要に応じて、本出願の手続中に使用することがある代替の請求項表現をさらに基礎固めすることが意図されている。本出願が認可された場合、いくつかの態様は本出願の手続中に追加された請求項に関連する可能性があり、別の態様は本出願の手続中に削除された請求項に関連する可能性があり、また別の態様は請求項に記載しなかった主題に関連する可能性がある。さらに、以下に詳細に説明する様々な態様は、他に別段の記載がない限り、互いに独立している。1つの態様に対応するいかなる請求項も、請求項に明記しない限り、残りの態様のいかなる要素又は特徴も組み込んでいると解釈すべきではない。
【0011】
第1の態様によれば、ピックアップユニットであって、対向する側壁を備え、(i)通貨カセットを収容する1つ又は複数のガイドと、(ii)カムフォロワを案内し支持する蛇行経路と、(iii)デテントとを画定するフレームと、フレームに着脱可能に連結するピックアップアセンブリであって、(i)ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時にデテントに当接するように構成されたガイド縁部と、(ii)着脱式ピックアップアセンブリが初期アライメント位置から係合位置へ移動した時に経路に整列するように構成されたカムフォロワと、(iii)着脱式ピックアップアセンブリがカムフォロワが蛇行経路の端部に達した係合位置へ移動した時にピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列とを備えるピックアップアセンブリと、を備えるピックアップユニットが提供される。
【0012】
蛇行経路は、ギヤ列を上側ギヤの下方で移動させる下側通路と、ギヤ列を上方へ移動させて上側ギヤに係合させる直立通路とを画定できる。
【0013】
蛇行経路は、着脱式ピックアップアセンブリが係合位置にある時にカムフォロワを介して着脱式ピックアップアセンブリを支持するように構成されてもよい。
【0014】
蛇行経路は、フック形状であってもよい。
【0015】
着脱式ピックアップアセンブリは、ピックアップユニットの上方の外部ユニットに連結する1つ又は複数のラッチをさらに備えてもよい。外部ユニットは、別のピックアップユニット又は提供ユニットをさらに備えてもよい。1つ又は複数のラッチは、オーバセンタトグルラッチを備えてもよい。
【0016】
フレームは、着脱式ピックアップアセンブリが係合位置へ移動した時に、着脱式ピックアップアセンブリ上のアパーチャに位置合わせしてねじ付き固定具(ねじ又はボルトなど)が着脱式ピックアップアセンブリをフレームに固定することを可能にするアパーチャを画定してもよい。フレームのアパーチャはねじ付きであってもよい。
【0017】
カムフォロワは、植込みボルトを備えてもよい。植込みボルトは、蛇行経路内に収容される寸法の心棒を画定する曲面植込みボルトと、心棒を蛇行経路内に保持するために蛇行経路よりも大きいフランジとを備えてもよい。
【0018】
フレームは、真空発生器を含んでもよい。あるいは、真空発生器は、外部ユニット(提供ユニットなど)上にあってもよい。
【0019】
フレームは、1つ又は複数のフレームパイプを含んでもよい。該1つ又は複数のフレームパイプは、他のパイプに接続し、また真空発生器に接続する封止可能なカップリングを含んでもよい。
【0020】
着脱式ピックアップアセンブリは、真空ピックアップアームと、真空ピックアップアームと流体連通する真空パイプと、真空パイプをフレームパイプの1つに接続する真空カップリングとをさらに備えてもよい。これによって真空発生器は、真空ピックアップアームへ低減した圧力を搬送してフレーム内に装着された保管容器から情報記録媒体アイテムをつまみ上げることができる。あるいは、着脱式ピックアップアセンブリは、摩擦ピックアップローラを備えてもよい。摩擦ピックアップローラを使用する場合、真空パイプ又は真空発生器は不要である。
【0021】
保管容器は、通貨カセットを含んでもよい。
【0022】
着脱式ピックアップアセンブリは、複数の真空ピックアップアームを備えてもよい。例えば、着脱式ピックアップアセンブリは、各々が単一のピックアップアセンブリが2つの通貨カセットのどちらからも紙幣をピックアップできるように、通貨カセットに整列した2つの真空ピックアップアームを備えてもよい。
【0023】
着脱式ピックアップアセンブリは、フレーム内に積載された通貨カセットに係合可能な1つ又は複数の爪をさらに備えてもよい。爪は、通貨カセットがピックアップユニット内に挿入された時に通貨カセット内のシャッターを上げてもよい。
【0024】
第2の態様によれば、第1の態様のピックアップユニットを含む情報記録媒体のディスペンサが提供される。
【0025】
情報記録媒体のディスペンサは、回路基板を有する提供ユニットを含んでもよい。フレームは、回路基板から引き回された複数のケーブルを備える第1の電気接続をさらに含んでもよい。着脱式ピックアップアセンブリは、着脱式ピックアップアセンブリと提供ユニットとの間で電力とデータとを供給するために第1の電気接続に係合可能な第2の電気接続をさらに有してもよい。
【0026】
第3の態様によれば、第2の態様による情報記録媒体のディスペンサを含むセルフサービス端末装置が提供される。
【0027】
第3の態様によれば、ピックアップユニットであって、真空供給パイプを含むフレームと、フレームを取り外すことなくピックアップアセンブリを取り外して交換できるように、フレームに着脱可能に連結し、真空供給パイプに着脱可能に連結する真空パイプを含むピックアップアセンブリと、を備えるピックアップユニットが提供される。
【0028】
フレームは、カムトラックを画定してもよい。カムトラックは、入り口付近の突起部を含む非直線経路の形態であってもよい。
【0029】
第5の態様によれば、ピックアップアセンブリを移動させてフレームに係合させてピックアップユニットを提供する方法であって、ピックアップアセンブリ上に位置してピックアップアセンブリが下方にも後方にも脱落しないようにするカムフォロワを支持するステップと、カムフォロワを非直線経路に沿って誘導してピックアップアセンブリを外部ユニット上に位置するギヤの下方で移動させ、次にギヤに係合させてピックアップアセンブリがそこから回転運動を受けるようにするステップと、を含む方法が提供される。
【0030】
第6の態様によれば、ピックアップユニットのための着脱式ピックアップアセンブリであって、(i)ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時にデテントに当接するように構成されたガイド縁部と、(ii)着脱式ピックアップアセンブリが初期アライメント位置から係合位置へ移動した時にピックアップユニット上の経路に整列するように構成されたカムフォロワと、(iii)ピックアップアセンブリがカムフォロワが経路の端部に達した係合位置へ移動した時にピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列と、を備えるピックアップアセンブリが提供される。
【0031】
ギヤ列は、上側ギヤから回転力を受ける伝達ギヤを備えてもよい。ギヤ列は、ピックアップアセンブリの下に位置する着脱式ピックアップアセンブリ上の任意の伝達ギヤに回転力を付与する動力取出ギヤをさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
説明を分かりやすく簡潔にするために、上記の態様で提供された要素はそのすべての組合せを明示しているわけではない。それにもかかわらず、技術的に不可能でない限り、又はその逆の内容が明示されていない限り、1つの態様を指すコンシストリクローズ(consistory clause)は、それらのコンシストリクローズが関連する可能性があるすべての他の態様のオプションの特徴として準用されることを当業者であれば直接かつ明確に認識することができるであろう。
【0033】
上記及びその他の態様は、添付の図面を参照しながら以下の具体的な説明を読むことで明らかになるだろう。これらの図や説明は例示としてのものに過ぎない。
【0034】
【図1】本発明の一実施形態による4重ピックアップユニットを含む情報記録媒体のディスペンサの正面右側からの概略斜視図である。
【図2】図1の情報記録媒体のディスペンサの正面左側からの概略斜視図である。
【図3】図1及び図2の情報記録媒体のディスペンサの一部分(4重ピックアップユニット)の正面右側からの概略斜視図である。
【図4】図3の4重ピックアップユニットの一部分(着脱式2重ピックアップアセンブリ)の概略図である。
【図5】図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの概略側面図である。
【図6】図3の4重ピックアップユニットの別の部分(フレーム)の概略斜視図である。
【図7】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図8】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図9】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図10】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図11】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図12】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図13】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【0035】
提供された図面の一部は、実際の物理的な実施形態を生成するためのコンピュータ図面に基づいていることを理解されたい。したがって、上記図面の一部は、これらの実施形態を理解するために必須ではない複雑な詳細を含有するが当業者に有用な情報を伝える。したがって、図面のすべての部分を具体的に参照しなくてもよい。さらに図面を見やすくして多数の引き出し線で図面が複雑にならないように、すべての図面ですべての参照符号を示している訳ではない。さらに、図面によっては、特徴の一部を省略して見やすさを優先している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の一実施形態による4重ピックアップユニット12と、4重ピックアップユニット12の上方に位置しそれに連結された情報記録媒体の提供装置14(紙幣提供装置の形態)とを含む情報記録媒体のディスペンサ10(通貨ディスペンサの形態)の概略正面図である図1及び図2について最初に説明する。
【0037】
紙幣提供装置14は、本体16と、そこから延在する突起部18とを有する。本体16は、4重ピックアップユニット12から個別に受け取った紙幣を揃え、揃えた紙幣を束として突起部18を介して提供する種々のベルトとすべり板(従来技術で周知の)とを囲む薄板金を備える。
【0038】
本体16は、紙幣ディスペンサ10(紙幣提供装置14と4重ピックアップユニット12の両方)内に機械的デバイス(ベルト及びプーリなど)に動力を提供するメインモータ(図示せず)と、メインギヤ20とをさらに備える。メインギヤ20は手動ギヤ21(紙幣提供装置14への動力が切られた時にサービスエンジニアが手で回転させるためそのように呼ばれる)を回転させ、手動ギヤ21は伝達ギヤ22を回転させ、伝達ギヤ22を用いて回転力が4重ピックアップユニット12に伝達される。
【0039】
本体16は、また、低圧を生成する真空ポンプ(図示せず)と、真空ポンプ(図示せず)と流体連通する真空源パイプ(図示せず)とをさらに備える。
【0040】
通貨ディスペンサ10の4重ピックアップユニット12の正面右側からの概略斜視図である図3について説明する。
【0041】
4重ピックアップユニット12は、その間に延在する金属棒32によって離間関係に保持される1対の薄板金側壁31a、bの形態のフレーム30を備える。
【0042】
真空供給パイプ33(このごく一部だけが図3に見える)が側壁31aの一方の内面を下方に延在する。真空供給パイプ33は、真空源パイプ(図示せず)に連結する。
【0043】
4重ピックアップユニット12は、フレーム30に連結された1対の相互に連結した2重着脱式ピックアップアセンブリ34a、bをさらに備える。
【0044】
上記ピックアップアセンブリの一方34aは、他方のピックアップアセンブリ34bの上方に位置する。2つのピックアップアセンブリ34a、34bは互いに同一である。
【0045】
各ピックアップアセンブリ34は、ピックアップアセンブリ34の上部付近の1対のオーバセンタトグルラッチ36を含む。各ピックアップアセンブリ34は、また、ピックアップアセンブリ34の底部付近に位置しオーバセンタトグルラッチ36に垂直に整列した1対のピックアップラッチ突起部38を画定する。紙幣提供ユニット14は、1対の提供装置のラッチ突起部(図示しないが、ピックアップラッチ突起部38と同一である)を画定する。提供装置のラッチ突起部(図示せず)は、トグルラッチ36に整列し、それを補完してトグルラッチ36がそこに固定されるようにする。
【0046】
ピックアップアセンブリ34aの1つの詳細図である図4及び図5について説明する。
【0047】
ピックアップアセンブリ34aは、下板42とスペーサバー44によって相互に離間した1対の薄板金側壁40a、40bを備える。ピックアップアセンブリ34aは、上側ピックアップアーム50aと、下側ピックアップアーム50bとをさらに備える。ピックアップアーム50a、bの各々は、中空で側壁40bから離間し、ピックアップアーム50a、bから電磁弁54a、bを通って真空カップリング56a、bへ延在する真空パイプ52a、bと流体連通する。真空カップリング56a、bを用いて真空パイプ52a、bは、フレーム30内の真空供給パイプ33に連結される。従来技術で周知のように、電磁弁54a、bを用いてピックアップアーム50に対して真空(真空発生器によって生成された)を印加/除去してピックアップアーム50が通貨カセットから紙幣を取り出せるようにする。
【0048】
側壁40a、bは、ガイド縁部60a、bを画定する。この実施形態では、ガイド縁部60a、bは、側壁40に対して外側にほぼ90度に曲げられた薄板金側壁40a、bの切開部を有する。
【0049】
ピックアップアセンブリ34aは、また上側カセットガイド64aと下側カセットガイド64bに加えて1対の上側爪62aと、1対の下側爪62bとを有する。上側カセットガイド64aは、1対の上側爪62aが通貨カセット内のスロットに入るまで通貨カセット(図示せず)がピックアップアセンブリ34aの上側部分に挿入される際に通貨カセットを支持し案内することでピックアップアーム50aによって紙幣をつまみ上げるための通貨カセット内の窓を開ける役割を果たす。同様に、下側カセットガイド64bは、1対の下側爪62bが通貨カセット内のスロットに入るまで通貨カセット(図示せず)がピックアップアセンブリ34aの下側部分に挿入される際に通貨カセットを支持し案内することで、ピックアップアーム50bによって紙幣をつまみ上げるための通貨カセット内の窓を開ける役割を果たす。
【0050】
ピックアップアセンブリ34aは、上側及び下側ピックアップアーム50a、bを回転させ、つまみ上げた紙幣を紙幣提供装置14の方へ各ピックアップアーム50から上方に移動させる垂直搬送路74(エンドレスベルト及びすべり板を備える)に動力を供給する様々な他のギヤと噛み合う連結ギヤ72を有するギヤ列70をさらに備える。ギヤ列70内の最下段のギヤ(本明細書では動力取出ギヤ76と呼ばれる)は、以下に詳述するように、ピックアップアセンブリ34aの下に位置する任意のピックアップアセンブリ34bに動力を伝達する役割を果たす。
【0051】
紙幣提供装置14の下にピックアップアセンブリ34aが装着されると、連結ギヤ72は伝達ギヤ22に係合し、そこから動力を受ける。
【0052】
ピックアップアセンブリ34aは、ピックアップアセンブリ34aの上部の対向する側壁40a、b上に装着された1対の曲面植込みボルト78をさらに備える。以下に詳述するように、曲面植込みボルト78はカムフォロワとして動作する。
【0053】
フレーム30の詳細の概略斜視図である図6について説明する。
【0054】
フレームの側壁31a、bは、紙幣提供装置本体16上の植込みボルト82に係合してフレーム30を紙幣提供装置14に連結可能にする装着フック80(また、ねじを受けるアパーチャを画定する)をその上部に含む。
【0055】
フレームの側壁31a、bは、側壁31a、bの内面上の4組のカセット装着ガイド84a、b、c、dを画定する。これらのカセット装着ガイド84によって4つの通貨カセットはフレーム30に別々に装着され、そこから取り出すことができ、またそれぞれのピックアップアーム50、窓開放爪62、及びカセットガイド64に整列して通貨カセット内に装着できる。
【0056】
また、フレームの側壁31a、bは、同一でフック形状の上側及び下側の蛇行経路86a、bを画定する。各蛇行経路86は、それに沿って曲面植込みボルト78を案内する1対の幅広の入口壁88a、bと、幅広の入口壁88a、bの先の突起部89a、bと、それに沿って曲面植込みボルト78が移動できる突起部89a、bの先の狭いガイド通路壁90a、bとを含む。狭いガイド通路壁90a、bは、下側停止位置92a、bと、下側停止位置92a、bの上方に垂直に配置された上側停止位置94a、bとを画定する。
【0057】
曲面植込みボルト78の各々は、蛇行経路86内に収容される寸法の心棒(図面には明示されていない)と、曲面植込みボルト78がそれに沿って移動する間に心棒(図示せず)を蛇行経路86内に保持する蛇行経路86よりも大きいフランジとを画定する。
【0058】
また、フレームの側壁31a、bは、各側壁31から外側に延在する上及び下フランジ96a、bを画定する。上フランジ96aは、正確なアライメント時にピックアップアセンブリ34aのガイド縁部60a、bが当接する表面を提供する。同様に、下フランジ96bは、正確なアライメント時にピックアップアセンブリ34bのガイド縁部60a、bが当接する表面を提供する。以下に詳述するように、上及び下フランジ96a、bは、ピックアップアセンブリ34a、bをフレーム30上に装着する時にデテント(又は停止)機能を提供する。
【0059】
連結工程の様々な段階におけるピックアップアセンブリ34aとフレーム30とを示す概略側面図である図7〜図13を参照しながらピックアップアセンブリ34aをフレーム30に連結する方法について以下に説明する。
【0060】
最初に、サービスエンジニア(又はその他の有資格者)が、曲面植込みボルト78が上フランジ96aに当接するまで(図8に示す)ピックアップアセンブリ34aをフレーム30の方へ持ち上げる(図7に示す)。
【0061】
次に、サービスエンジニアは、曲面植込みボルト78がフレーム30の入口壁88a付近に達するまでピックアップアセンブリ34aを持ち上げ(曲面植込みボルト78を上フランジ96aに接触させながら)、次にピックアップアセンブリ34aのガイド縁部60a、bの下部が上フランジ96aに接触するまで(図9に示す)ピックアップアセンブリ34aを曲面植込みボルト78を中心に枢動させる。この位置で、上フランジ96aは、ピックアップアセンブリ34aがフレーム30の内部にそれ以上進入しないようにするデテントとして動作する。この位置を初期アライメント位置と呼ぶ。
【0062】
この初期アライメント位置から、サービスエンジニアは、曲面植込みボルト78がフレーム30の入口壁88aの上部を移動する(図10に示す)までピックアップアセンブリ34aを持ち上げる。
【0063】
サービスエンジニアは、曲面植込みボルト78が突起部89aの上を移動し、狭いガイド通路90a内に落ち込む(図11に示す)までピックアップアセンブリ34aを押し込む。これを係合位置と呼ぶ。ピックアップアセンブリ34aが係合位置にある時に、曲面植込みボルト78が突起部89aと狭いガイド通路90aとに係合してピックアップアセンブリ34aが後方にも下方にも脱落しないようにするので、サービスエンジニアはピックアップアセンブリ34aを離す。さらに、ピックアップアセンブリ34aが係合位置にある(図11に示す)時には、ピックアップアセンブリ34aのガイド縁部60a、bの下部は上フランジ96aに接触しているため、ピックアップアセンブリ34aはそれ以上フレーム30内部に進入できない。この段階で、サービスエンジニアは、ピックアップアセンブリ34aをフレーム30上に突き出た状態にしておき、所望であれば何か別の作業を実行できる。
【0064】
サービスエンジニアがピックアップアセンブリ34aとフレーム30との間の連結を完了する決心を固めると、サービスエンジニアは、ピックアップアセンブリ34aのガイド縁部60a、bが上フランジ96aと面一になるまでピックアップアセンブリ34aの下部を持ち上げる(曲面植込みボルト78を中心にピックアップアセンブリ34aを上方に枢動させる)。次にサービスエンジニアは、曲面植込みボルト78が本明細書ではプリ係合位置と呼ぶ下側停止位置92aに達する(図12に示す)までピックアップアセンブリ34aをフレーム30内に押し込む。
【0065】
次にサービスエンジニアは、曲面植込みボルト78が下側停止位置92aから上側停止位置94aへ移動する(図13に示す)までプリ係合位置から垂直にピックアップアセンブリ34aを持ち上げる。その結果、ピックアップアセンブリ34a上の連結ギヤ72は紙幣提供装置14の伝達ギヤ22と噛み合い係合するため、手動ギヤ21、伝達ギヤ212、及び連結ギヤ72を介して紙幣提供装置14上のメインギヤ20からピックアップアセンブリ34aまで動力が伝達される。この位置を本明細書では係合位置と呼ぶ。
【0066】
係合位置で、トグルラッチ36を提供装置のラッチ突起部(図示せず)に連結してピックアップアセンブリ34aを所定位置に固定することができる。さらに、ピックアップアセンブリ34aが係合位置にある時にアパーチャが位置合わせされるように、アパーチャをガイド縁部60a、bと上フランジ96a内に提供してもよい。これによって、ねじ又はボルトを用いてピックアップアセンブリ34aをフレーム30にさらに固定してもよい。
【0067】
次にサービスエンジニアは、必要な任意の電気的接続(図示せず)をピックアップアセンブリ34aに連結し、またフレーム30上の真空供給パイプ33を真空カップリング56a、bを介して真空パイプ52a、bに連結する。
【0068】
ピックアップアセンブリ34aが係合位置にある時には、第2のピックアップアセンブリ34bを同様に連結できる。ピックアップアセンブリ34aの連結とピックアップアセンブリ34bとの主たる差異は以下の通りである。ピックアップアセンブリ34b上のトグルラッチ36がピックアップアセンブリ34aの下部上のピックアップラッチ突起部38に連結する(紙幣提供装置のラッチ突起部(図示せず)に連結する代わりに)。第2のピックアップアセンブリ34b上の連結ギヤ72は、第1のピックアップアセンブリ34aの動力取出ギヤと噛み合う(紙幣提供装置14の伝達ギヤ22と噛み合う代わりに)。
【0069】
フレーム30からピックアップアセンブリ34a、bを連結解除するために、図7〜図13に関する上記の手順を逆に実行し、最下段のピックアップアセンブリ34bを最初に取り外すことができる。
【0070】
あるいは、上側ピックアップアセンブリ34aをアンラッチして両方のピックアップアセンブリ34a、bがプリ係合位置に落ち込む(上側アセンブリ34aに関して図12に示す)ようにできる。次にサービスエンジニアは、上側ピックアップアセンブリ34aから下側ピックアップアセンブリ34bをアンラッチして下側ピックアップアセンブリ34bを所定位置に残したまま上側ピックアップアセンブリ34aを取り外すことができる。次に、新しい上側ピックアップアセンブリ34aをプリ係合位置に装着し(図7〜図12の工程に従って)、下側ピックアップアセンブリ34bにラッチすることができる。この段階で、ピックアップアセンブリ34a、bは、相互に連結し、プリ係合位置にある。プリ係合位置から、両方のピックアップアセンブリ34a、bを単一のユニットとして係合位置まで持ち上げ(図13)、上側ピックアップアセンブリ34上のラッチ36によってそこに固定できる。
【0071】
この実施形態は、サービスエンジニアがピックアップユニット全体ではなくピックアップユニットの一部を取り外すことができるという利点を有することを理解されたい。実際、4重ピックアップユニットの場合、サービスエンジニアは、2重ピックアップモジュールの全体ではなく、2重ピックアップモジュールの一部を取り外すことができる。取り外し可能なピックアップモジュールの部分(ピックアップアセンブリ34b)は電気機械デバイスを収容するため、交換を最も要するのはこの部分である。サービスエンジニアがフレーム30を交換しなければならない機会はめったにないはずである。この実施形態では、ピックアップモジュールを着脱式ピックアップアセンブリと着脱式フレーム部分とに分割する。この実施形態のように、着脱式フレーム部分は、複数のピックアップモジュールによって共用できる(すなわち、同じフレームを複数のピックアップアセンブリが使用できる)。ピックアップアセンブリと比較してフレームの交換はめったに必要ないため、この方式は実際的である。
【0072】
本発明の範囲内で上記実施形態を様々に変更できる。例えば、別の実施形態では、ピックアップアセンブリは1つのピックアップアーム、1対の爪などを含むだけでもよい。
【0073】
別の実施形態では、ディスペンサは、1重、2重、3重、5重、又は6重ピックアップユニット、あるいは、任意の所望の数のピックアップユニットを含んでもよい。
【0074】
別の実施形態では、ディスペンサは、紙幣以外の情報記録媒体アイテムを払い出してもよい。
【0075】
別の実施形態では、フレームは、各ピックアップアセンブリに対して1つずつ、複数のフレーム部分を含んでもよい。
【0076】
別の実施形態では、各ピックアップアセンブリは、上記実施形態で記載したようなピックアップアセンブリ当たり2つのピックアップ機構ではなく1つのピックアップ機構だけを含んでもよい。
【0077】
別の実施形態では、提供装置は、両方のピックアップアセンブリ34a、bを同時に連結し(トグルラッチ36を用いて両者をまず連結することで)、次に結合したピックアップアセンブリ34a、bを持ち上げて直接プリ係合位置に押し込み、次に垂直に係合位置に押し込むような設計であってもよい。係合位置に入ると、第1の(上側)ピックアップ機構34a上のトグルラッチ36を提供装置のラッチ突起部(図示せず)に固定することができる。
【0078】
そのような実施形態では、提供装置のラッチ突起部(図示せず)からトグルラッチ36をアンラッチし(結合したピックアップアセンブリ34a、bを係合位置からプリ係合位置に落ち込ませ)、次に結合したピックアップアセンブリ34a、bを外側に突起部89a、bの上方に引き出して、フレーム30の外側に完全に取り出すことで、結合したピックアップアセンブリ34a、bを単一のユニットとして取り外すことができる。この方法は、連結解除工程の間、サービスエンジニアがピックアップアセンブリ34a、bの一方ではなく、結合したピックアップアセンブリ34a、bの重量に耐えなければならないという欠点を有する。
【0079】
本明細書に記載する方法のステップは、適宜、任意の好適な順序で、又は同時に実行できる。本明細書に記載する方法は、有形の格納情報記録媒体上の機械可読形式のソフトウェアによって、又は伝搬信号として実行することができる。
【0080】
本明細書では、「備える」、「含む」、「組み込む」及び「有する」という用語は、限定されたリストではなく、1つ又は複数の要素又はステップの拡張可能なリストを記載するために使用される。そのような用語が使用される時には、リスト内に記載した要素又はステップはリストに追加できる他の要素又はステップを除外するものではない。
【0081】
文脈によって別の意味になる場合を除き、「ある」という用語はそれに続く少なくとも1つの要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を示すために使用されるが、追加の要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を除外するものではない。
【0082】
いくつかの例での「1つ又は複数の」、「少なくとも」、「これらに限定されない」などの拡大する単語及び語句又は他の同様な語句の存在は、より狭い事例が、このような拡大語句が使用されない例で意図される、あるいは必要とされることを意味することはなく、また意味すると解釈してはならない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常、セルフサービス端末装置(SST)内にあるディスペンサモジュール内に収納されたカセットから紙幣又は切手、クーポン券又はパス等の情報記録媒体(以下、本願では適宜「情報記録媒体アイテム」という)を取り出すピックアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスペンサモジュールは、通常、カセット内に収納された媒体アイテムを取り出して顧客に提供する提供ユニットと、ディスペンサ内の1つ又は複数の保管領域から個々の媒体アイテムをつまみ上げて、つまみ上げた情報記録媒体アイテムを提供ユニットへ搬送する提供ユニットに連結された1つ又は複数のピックアップユニットとを含む。
【0003】
ディスペンサモジュールは、一般に顧客に情報記録媒体アイテムを払い出すために現金自動預け払い機(ATM)内で使用される。これらの媒体アイテムは、通常、紙幣であるが、切手、クーポン、パス等の記録媒体を含む。
【0004】
紙幣ディスペンサ(普通、通貨ディスペンサと呼ばれる)は、通常、各ピックアップユニット内に摺動可能に配置された着脱式通貨カセットを含む。
【0005】
例えば、各通貨のピックアップユニットは、1つ又は複数のピックアップモジュールを備える。例えば、4重ピックアップユニットは、共に連結された2つの2重ピックアップモジュールを含んでもよい。2重ピックアップモジュールは、2つのピックアップ機構(上下に並んだ)を有するモジュールを指す。1つの2重ピックアップユニットは、2重ピックアップモジュールを備えてもよい。
【0006】
各ピックアップ機構は、(i)情報記録媒体アイテムをカセットから取り出すピックアップ端部と、(ii)ピックアップ端部と反対側の積載端部とを備える。通貨カセットは、積載端部へ挿入され、そこから取り出される。
【0007】
カセットから情報記録媒体アイテムをつまみ上げる作業は複雑な電気機械的動作であり、つまみ上げられた情報記録媒体アイテムは詰まりやすい。したがって、つまみ上げ動作はディスペンサ故障の高い割合を占める。これは、サービスマンがピックアップユニットをきわめて頻繁に交換しなければならないことを意味する。ピックアップユニットは比較的大型で重量があるため、ピックアップユニット(又はピックアップユニット内のピックアップモジュール)を交換する必要がある場合に、ピックアップユニットの交換にはサービスマンが大型のアイテム(1つ又は複数のピックアップユニット又はピックアップモジュール)をATMの場所まで運ばなければならない。ピックアップユニット(又はピックアップモジュール)が大型で重量があるということは、交換作業に極めて時間がかかりサービスマンにとって実行が困難であるということを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の欠点又は従来技術のピックアップユニット及びピックアップモジュールに関連する他の欠点の1つ以上を未然に防止し又は緩和できれば有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、ピックアップアセンブリを交換する際に固定部を交換する必要がないように、固定部と、固定部に着脱可能に連結されたピックアップアセンブリとを備える改良型ピックアップユニットのための方法、システム、及び装置を提供する。
【0010】
上記の「発明の概要」と下記の「発明を実施するための形態」で開示する主題に加えて、この項の以下の各節では、必要に応じて、本出願の手続中に使用することがある代替の請求項表現をさらに基礎固めすることが意図されている。本出願が認可された場合、いくつかの態様は本出願の手続中に追加された請求項に関連する可能性があり、別の態様は本出願の手続中に削除された請求項に関連する可能性があり、また別の態様は請求項に記載しなかった主題に関連する可能性がある。さらに、以下に詳細に説明する様々な態様は、他に別段の記載がない限り、互いに独立している。1つの態様に対応するいかなる請求項も、請求項に明記しない限り、残りの態様のいかなる要素又は特徴も組み込んでいると解釈すべきではない。
【0011】
第1の態様によれば、ピックアップユニットであって、対向する側壁を備え、(i)通貨カセットを収容する1つ又は複数のガイドと、(ii)カムフォロワを案内し支持する蛇行経路と、(iii)デテントとを画定するフレームと、フレームに着脱可能に連結するピックアップアセンブリであって、(i)ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時にデテントに当接するように構成されたガイド縁部と、(ii)着脱式ピックアップアセンブリが初期アライメント位置から係合位置へ移動した時に経路に整列するように構成されたカムフォロワと、(iii)着脱式ピックアップアセンブリがカムフォロワが蛇行経路の端部に達した係合位置へ移動した時にピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列とを備えるピックアップアセンブリと、を備えるピックアップユニットが提供される。
【0012】
蛇行経路は、ギヤ列を上側ギヤの下方で移動させる下側通路と、ギヤ列を上方へ移動させて上側ギヤに係合させる直立通路とを画定できる。
【0013】
蛇行経路は、着脱式ピックアップアセンブリが係合位置にある時にカムフォロワを介して着脱式ピックアップアセンブリを支持するように構成されてもよい。
【0014】
蛇行経路は、フック形状であってもよい。
【0015】
着脱式ピックアップアセンブリは、ピックアップユニットの上方の外部ユニットに連結する1つ又は複数のラッチをさらに備えてもよい。外部ユニットは、別のピックアップユニット又は提供ユニットをさらに備えてもよい。1つ又は複数のラッチは、オーバセンタトグルラッチを備えてもよい。
【0016】
フレームは、着脱式ピックアップアセンブリが係合位置へ移動した時に、着脱式ピックアップアセンブリ上のアパーチャに位置合わせしてねじ付き固定具(ねじ又はボルトなど)が着脱式ピックアップアセンブリをフレームに固定することを可能にするアパーチャを画定してもよい。フレームのアパーチャはねじ付きであってもよい。
【0017】
カムフォロワは、植込みボルトを備えてもよい。植込みボルトは、蛇行経路内に収容される寸法の心棒を画定する曲面植込みボルトと、心棒を蛇行経路内に保持するために蛇行経路よりも大きいフランジとを備えてもよい。
【0018】
フレームは、真空発生器を含んでもよい。あるいは、真空発生器は、外部ユニット(提供ユニットなど)上にあってもよい。
【0019】
フレームは、1つ又は複数のフレームパイプを含んでもよい。該1つ又は複数のフレームパイプは、他のパイプに接続し、また真空発生器に接続する封止可能なカップリングを含んでもよい。
【0020】
着脱式ピックアップアセンブリは、真空ピックアップアームと、真空ピックアップアームと流体連通する真空パイプと、真空パイプをフレームパイプの1つに接続する真空カップリングとをさらに備えてもよい。これによって真空発生器は、真空ピックアップアームへ低減した圧力を搬送してフレーム内に装着された保管容器から情報記録媒体アイテムをつまみ上げることができる。あるいは、着脱式ピックアップアセンブリは、摩擦ピックアップローラを備えてもよい。摩擦ピックアップローラを使用する場合、真空パイプ又は真空発生器は不要である。
【0021】
保管容器は、通貨カセットを含んでもよい。
【0022】
着脱式ピックアップアセンブリは、複数の真空ピックアップアームを備えてもよい。例えば、着脱式ピックアップアセンブリは、各々が単一のピックアップアセンブリが2つの通貨カセットのどちらからも紙幣をピックアップできるように、通貨カセットに整列した2つの真空ピックアップアームを備えてもよい。
【0023】
着脱式ピックアップアセンブリは、フレーム内に積載された通貨カセットに係合可能な1つ又は複数の爪をさらに備えてもよい。爪は、通貨カセットがピックアップユニット内に挿入された時に通貨カセット内のシャッターを上げてもよい。
【0024】
第2の態様によれば、第1の態様のピックアップユニットを含む情報記録媒体のディスペンサが提供される。
【0025】
情報記録媒体のディスペンサは、回路基板を有する提供ユニットを含んでもよい。フレームは、回路基板から引き回された複数のケーブルを備える第1の電気接続をさらに含んでもよい。着脱式ピックアップアセンブリは、着脱式ピックアップアセンブリと提供ユニットとの間で電力とデータとを供給するために第1の電気接続に係合可能な第2の電気接続をさらに有してもよい。
【0026】
第3の態様によれば、第2の態様による情報記録媒体のディスペンサを含むセルフサービス端末装置が提供される。
【0027】
第3の態様によれば、ピックアップユニットであって、真空供給パイプを含むフレームと、フレームを取り外すことなくピックアップアセンブリを取り外して交換できるように、フレームに着脱可能に連結し、真空供給パイプに着脱可能に連結する真空パイプを含むピックアップアセンブリと、を備えるピックアップユニットが提供される。
【0028】
フレームは、カムトラックを画定してもよい。カムトラックは、入り口付近の突起部を含む非直線経路の形態であってもよい。
【0029】
第5の態様によれば、ピックアップアセンブリを移動させてフレームに係合させてピックアップユニットを提供する方法であって、ピックアップアセンブリ上に位置してピックアップアセンブリが下方にも後方にも脱落しないようにするカムフォロワを支持するステップと、カムフォロワを非直線経路に沿って誘導してピックアップアセンブリを外部ユニット上に位置するギヤの下方で移動させ、次にギヤに係合させてピックアップアセンブリがそこから回転運動を受けるようにするステップと、を含む方法が提供される。
【0030】
第6の態様によれば、ピックアップユニットのための着脱式ピックアップアセンブリであって、(i)ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時にデテントに当接するように構成されたガイド縁部と、(ii)着脱式ピックアップアセンブリが初期アライメント位置から係合位置へ移動した時にピックアップユニット上の経路に整列するように構成されたカムフォロワと、(iii)ピックアップアセンブリがカムフォロワが経路の端部に達した係合位置へ移動した時にピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列と、を備えるピックアップアセンブリが提供される。
【0031】
ギヤ列は、上側ギヤから回転力を受ける伝達ギヤを備えてもよい。ギヤ列は、ピックアップアセンブリの下に位置する着脱式ピックアップアセンブリ上の任意の伝達ギヤに回転力を付与する動力取出ギヤをさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
説明を分かりやすく簡潔にするために、上記の態様で提供された要素はそのすべての組合せを明示しているわけではない。それにもかかわらず、技術的に不可能でない限り、又はその逆の内容が明示されていない限り、1つの態様を指すコンシストリクローズ(consistory clause)は、それらのコンシストリクローズが関連する可能性があるすべての他の態様のオプションの特徴として準用されることを当業者であれば直接かつ明確に認識することができるであろう。
【0033】
上記及びその他の態様は、添付の図面を参照しながら以下の具体的な説明を読むことで明らかになるだろう。これらの図や説明は例示としてのものに過ぎない。
【0034】
【図1】本発明の一実施形態による4重ピックアップユニットを含む情報記録媒体のディスペンサの正面右側からの概略斜視図である。
【図2】図1の情報記録媒体のディスペンサの正面左側からの概略斜視図である。
【図3】図1及び図2の情報記録媒体のディスペンサの一部分(4重ピックアップユニット)の正面右側からの概略斜視図である。
【図4】図3の4重ピックアップユニットの一部分(着脱式2重ピックアップアセンブリ)の概略図である。
【図5】図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの概略側面図である。
【図6】図3の4重ピックアップユニットの別の部分(フレーム)の概略斜視図である。
【図7】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図8】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図9】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図10】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図11】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図12】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【図13】図6のフレームに係合する図4の着脱式2重ピックアップアセンブリの様々なステージを示す概略側面図である。
【0035】
提供された図面の一部は、実際の物理的な実施形態を生成するためのコンピュータ図面に基づいていることを理解されたい。したがって、上記図面の一部は、これらの実施形態を理解するために必須ではない複雑な詳細を含有するが当業者に有用な情報を伝える。したがって、図面のすべての部分を具体的に参照しなくてもよい。さらに図面を見やすくして多数の引き出し線で図面が複雑にならないように、すべての図面ですべての参照符号を示している訳ではない。さらに、図面によっては、特徴の一部を省略して見やすさを優先している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の一実施形態による4重ピックアップユニット12と、4重ピックアップユニット12の上方に位置しそれに連結された情報記録媒体の提供装置14(紙幣提供装置の形態)とを含む情報記録媒体のディスペンサ10(通貨ディスペンサの形態)の概略正面図である図1及び図2について最初に説明する。
【0037】
紙幣提供装置14は、本体16と、そこから延在する突起部18とを有する。本体16は、4重ピックアップユニット12から個別に受け取った紙幣を揃え、揃えた紙幣を束として突起部18を介して提供する種々のベルトとすべり板(従来技術で周知の)とを囲む薄板金を備える。
【0038】
本体16は、紙幣ディスペンサ10(紙幣提供装置14と4重ピックアップユニット12の両方)内に機械的デバイス(ベルト及びプーリなど)に動力を提供するメインモータ(図示せず)と、メインギヤ20とをさらに備える。メインギヤ20は手動ギヤ21(紙幣提供装置14への動力が切られた時にサービスエンジニアが手で回転させるためそのように呼ばれる)を回転させ、手動ギヤ21は伝達ギヤ22を回転させ、伝達ギヤ22を用いて回転力が4重ピックアップユニット12に伝達される。
【0039】
本体16は、また、低圧を生成する真空ポンプ(図示せず)と、真空ポンプ(図示せず)と流体連通する真空源パイプ(図示せず)とをさらに備える。
【0040】
通貨ディスペンサ10の4重ピックアップユニット12の正面右側からの概略斜視図である図3について説明する。
【0041】
4重ピックアップユニット12は、その間に延在する金属棒32によって離間関係に保持される1対の薄板金側壁31a、bの形態のフレーム30を備える。
【0042】
真空供給パイプ33(このごく一部だけが図3に見える)が側壁31aの一方の内面を下方に延在する。真空供給パイプ33は、真空源パイプ(図示せず)に連結する。
【0043】
4重ピックアップユニット12は、フレーム30に連結された1対の相互に連結した2重着脱式ピックアップアセンブリ34a、bをさらに備える。
【0044】
上記ピックアップアセンブリの一方34aは、他方のピックアップアセンブリ34bの上方に位置する。2つのピックアップアセンブリ34a、34bは互いに同一である。
【0045】
各ピックアップアセンブリ34は、ピックアップアセンブリ34の上部付近の1対のオーバセンタトグルラッチ36を含む。各ピックアップアセンブリ34は、また、ピックアップアセンブリ34の底部付近に位置しオーバセンタトグルラッチ36に垂直に整列した1対のピックアップラッチ突起部38を画定する。紙幣提供ユニット14は、1対の提供装置のラッチ突起部(図示しないが、ピックアップラッチ突起部38と同一である)を画定する。提供装置のラッチ突起部(図示せず)は、トグルラッチ36に整列し、それを補完してトグルラッチ36がそこに固定されるようにする。
【0046】
ピックアップアセンブリ34aの1つの詳細図である図4及び図5について説明する。
【0047】
ピックアップアセンブリ34aは、下板42とスペーサバー44によって相互に離間した1対の薄板金側壁40a、40bを備える。ピックアップアセンブリ34aは、上側ピックアップアーム50aと、下側ピックアップアーム50bとをさらに備える。ピックアップアーム50a、bの各々は、中空で側壁40bから離間し、ピックアップアーム50a、bから電磁弁54a、bを通って真空カップリング56a、bへ延在する真空パイプ52a、bと流体連通する。真空カップリング56a、bを用いて真空パイプ52a、bは、フレーム30内の真空供給パイプ33に連結される。従来技術で周知のように、電磁弁54a、bを用いてピックアップアーム50に対して真空(真空発生器によって生成された)を印加/除去してピックアップアーム50が通貨カセットから紙幣を取り出せるようにする。
【0048】
側壁40a、bは、ガイド縁部60a、bを画定する。この実施形態では、ガイド縁部60a、bは、側壁40に対して外側にほぼ90度に曲げられた薄板金側壁40a、bの切開部を有する。
【0049】
ピックアップアセンブリ34aは、また上側カセットガイド64aと下側カセットガイド64bに加えて1対の上側爪62aと、1対の下側爪62bとを有する。上側カセットガイド64aは、1対の上側爪62aが通貨カセット内のスロットに入るまで通貨カセット(図示せず)がピックアップアセンブリ34aの上側部分に挿入される際に通貨カセットを支持し案内することでピックアップアーム50aによって紙幣をつまみ上げるための通貨カセット内の窓を開ける役割を果たす。同様に、下側カセットガイド64bは、1対の下側爪62bが通貨カセット内のスロットに入るまで通貨カセット(図示せず)がピックアップアセンブリ34aの下側部分に挿入される際に通貨カセットを支持し案内することで、ピックアップアーム50bによって紙幣をつまみ上げるための通貨カセット内の窓を開ける役割を果たす。
【0050】
ピックアップアセンブリ34aは、上側及び下側ピックアップアーム50a、bを回転させ、つまみ上げた紙幣を紙幣提供装置14の方へ各ピックアップアーム50から上方に移動させる垂直搬送路74(エンドレスベルト及びすべり板を備える)に動力を供給する様々な他のギヤと噛み合う連結ギヤ72を有するギヤ列70をさらに備える。ギヤ列70内の最下段のギヤ(本明細書では動力取出ギヤ76と呼ばれる)は、以下に詳述するように、ピックアップアセンブリ34aの下に位置する任意のピックアップアセンブリ34bに動力を伝達する役割を果たす。
【0051】
紙幣提供装置14の下にピックアップアセンブリ34aが装着されると、連結ギヤ72は伝達ギヤ22に係合し、そこから動力を受ける。
【0052】
ピックアップアセンブリ34aは、ピックアップアセンブリ34aの上部の対向する側壁40a、b上に装着された1対の曲面植込みボルト78をさらに備える。以下に詳述するように、曲面植込みボルト78はカムフォロワとして動作する。
【0053】
フレーム30の詳細の概略斜視図である図6について説明する。
【0054】
フレームの側壁31a、bは、紙幣提供装置本体16上の植込みボルト82に係合してフレーム30を紙幣提供装置14に連結可能にする装着フック80(また、ねじを受けるアパーチャを画定する)をその上部に含む。
【0055】
フレームの側壁31a、bは、側壁31a、bの内面上の4組のカセット装着ガイド84a、b、c、dを画定する。これらのカセット装着ガイド84によって4つの通貨カセットはフレーム30に別々に装着され、そこから取り出すことができ、またそれぞれのピックアップアーム50、窓開放爪62、及びカセットガイド64に整列して通貨カセット内に装着できる。
【0056】
また、フレームの側壁31a、bは、同一でフック形状の上側及び下側の蛇行経路86a、bを画定する。各蛇行経路86は、それに沿って曲面植込みボルト78を案内する1対の幅広の入口壁88a、bと、幅広の入口壁88a、bの先の突起部89a、bと、それに沿って曲面植込みボルト78が移動できる突起部89a、bの先の狭いガイド通路壁90a、bとを含む。狭いガイド通路壁90a、bは、下側停止位置92a、bと、下側停止位置92a、bの上方に垂直に配置された上側停止位置94a、bとを画定する。
【0057】
曲面植込みボルト78の各々は、蛇行経路86内に収容される寸法の心棒(図面には明示されていない)と、曲面植込みボルト78がそれに沿って移動する間に心棒(図示せず)を蛇行経路86内に保持する蛇行経路86よりも大きいフランジとを画定する。
【0058】
また、フレームの側壁31a、bは、各側壁31から外側に延在する上及び下フランジ96a、bを画定する。上フランジ96aは、正確なアライメント時にピックアップアセンブリ34aのガイド縁部60a、bが当接する表面を提供する。同様に、下フランジ96bは、正確なアライメント時にピックアップアセンブリ34bのガイド縁部60a、bが当接する表面を提供する。以下に詳述するように、上及び下フランジ96a、bは、ピックアップアセンブリ34a、bをフレーム30上に装着する時にデテント(又は停止)機能を提供する。
【0059】
連結工程の様々な段階におけるピックアップアセンブリ34aとフレーム30とを示す概略側面図である図7〜図13を参照しながらピックアップアセンブリ34aをフレーム30に連結する方法について以下に説明する。
【0060】
最初に、サービスエンジニア(又はその他の有資格者)が、曲面植込みボルト78が上フランジ96aに当接するまで(図8に示す)ピックアップアセンブリ34aをフレーム30の方へ持ち上げる(図7に示す)。
【0061】
次に、サービスエンジニアは、曲面植込みボルト78がフレーム30の入口壁88a付近に達するまでピックアップアセンブリ34aを持ち上げ(曲面植込みボルト78を上フランジ96aに接触させながら)、次にピックアップアセンブリ34aのガイド縁部60a、bの下部が上フランジ96aに接触するまで(図9に示す)ピックアップアセンブリ34aを曲面植込みボルト78を中心に枢動させる。この位置で、上フランジ96aは、ピックアップアセンブリ34aがフレーム30の内部にそれ以上進入しないようにするデテントとして動作する。この位置を初期アライメント位置と呼ぶ。
【0062】
この初期アライメント位置から、サービスエンジニアは、曲面植込みボルト78がフレーム30の入口壁88aの上部を移動する(図10に示す)までピックアップアセンブリ34aを持ち上げる。
【0063】
サービスエンジニアは、曲面植込みボルト78が突起部89aの上を移動し、狭いガイド通路90a内に落ち込む(図11に示す)までピックアップアセンブリ34aを押し込む。これを係合位置と呼ぶ。ピックアップアセンブリ34aが係合位置にある時に、曲面植込みボルト78が突起部89aと狭いガイド通路90aとに係合してピックアップアセンブリ34aが後方にも下方にも脱落しないようにするので、サービスエンジニアはピックアップアセンブリ34aを離す。さらに、ピックアップアセンブリ34aが係合位置にある(図11に示す)時には、ピックアップアセンブリ34aのガイド縁部60a、bの下部は上フランジ96aに接触しているため、ピックアップアセンブリ34aはそれ以上フレーム30内部に進入できない。この段階で、サービスエンジニアは、ピックアップアセンブリ34aをフレーム30上に突き出た状態にしておき、所望であれば何か別の作業を実行できる。
【0064】
サービスエンジニアがピックアップアセンブリ34aとフレーム30との間の連結を完了する決心を固めると、サービスエンジニアは、ピックアップアセンブリ34aのガイド縁部60a、bが上フランジ96aと面一になるまでピックアップアセンブリ34aの下部を持ち上げる(曲面植込みボルト78を中心にピックアップアセンブリ34aを上方に枢動させる)。次にサービスエンジニアは、曲面植込みボルト78が本明細書ではプリ係合位置と呼ぶ下側停止位置92aに達する(図12に示す)までピックアップアセンブリ34aをフレーム30内に押し込む。
【0065】
次にサービスエンジニアは、曲面植込みボルト78が下側停止位置92aから上側停止位置94aへ移動する(図13に示す)までプリ係合位置から垂直にピックアップアセンブリ34aを持ち上げる。その結果、ピックアップアセンブリ34a上の連結ギヤ72は紙幣提供装置14の伝達ギヤ22と噛み合い係合するため、手動ギヤ21、伝達ギヤ212、及び連結ギヤ72を介して紙幣提供装置14上のメインギヤ20からピックアップアセンブリ34aまで動力が伝達される。この位置を本明細書では係合位置と呼ぶ。
【0066】
係合位置で、トグルラッチ36を提供装置のラッチ突起部(図示せず)に連結してピックアップアセンブリ34aを所定位置に固定することができる。さらに、ピックアップアセンブリ34aが係合位置にある時にアパーチャが位置合わせされるように、アパーチャをガイド縁部60a、bと上フランジ96a内に提供してもよい。これによって、ねじ又はボルトを用いてピックアップアセンブリ34aをフレーム30にさらに固定してもよい。
【0067】
次にサービスエンジニアは、必要な任意の電気的接続(図示せず)をピックアップアセンブリ34aに連結し、またフレーム30上の真空供給パイプ33を真空カップリング56a、bを介して真空パイプ52a、bに連結する。
【0068】
ピックアップアセンブリ34aが係合位置にある時には、第2のピックアップアセンブリ34bを同様に連結できる。ピックアップアセンブリ34aの連結とピックアップアセンブリ34bとの主たる差異は以下の通りである。ピックアップアセンブリ34b上のトグルラッチ36がピックアップアセンブリ34aの下部上のピックアップラッチ突起部38に連結する(紙幣提供装置のラッチ突起部(図示せず)に連結する代わりに)。第2のピックアップアセンブリ34b上の連結ギヤ72は、第1のピックアップアセンブリ34aの動力取出ギヤと噛み合う(紙幣提供装置14の伝達ギヤ22と噛み合う代わりに)。
【0069】
フレーム30からピックアップアセンブリ34a、bを連結解除するために、図7〜図13に関する上記の手順を逆に実行し、最下段のピックアップアセンブリ34bを最初に取り外すことができる。
【0070】
あるいは、上側ピックアップアセンブリ34aをアンラッチして両方のピックアップアセンブリ34a、bがプリ係合位置に落ち込む(上側アセンブリ34aに関して図12に示す)ようにできる。次にサービスエンジニアは、上側ピックアップアセンブリ34aから下側ピックアップアセンブリ34bをアンラッチして下側ピックアップアセンブリ34bを所定位置に残したまま上側ピックアップアセンブリ34aを取り外すことができる。次に、新しい上側ピックアップアセンブリ34aをプリ係合位置に装着し(図7〜図12の工程に従って)、下側ピックアップアセンブリ34bにラッチすることができる。この段階で、ピックアップアセンブリ34a、bは、相互に連結し、プリ係合位置にある。プリ係合位置から、両方のピックアップアセンブリ34a、bを単一のユニットとして係合位置まで持ち上げ(図13)、上側ピックアップアセンブリ34上のラッチ36によってそこに固定できる。
【0071】
この実施形態は、サービスエンジニアがピックアップユニット全体ではなくピックアップユニットの一部を取り外すことができるという利点を有することを理解されたい。実際、4重ピックアップユニットの場合、サービスエンジニアは、2重ピックアップモジュールの全体ではなく、2重ピックアップモジュールの一部を取り外すことができる。取り外し可能なピックアップモジュールの部分(ピックアップアセンブリ34b)は電気機械デバイスを収容するため、交換を最も要するのはこの部分である。サービスエンジニアがフレーム30を交換しなければならない機会はめったにないはずである。この実施形態では、ピックアップモジュールを着脱式ピックアップアセンブリと着脱式フレーム部分とに分割する。この実施形態のように、着脱式フレーム部分は、複数のピックアップモジュールによって共用できる(すなわち、同じフレームを複数のピックアップアセンブリが使用できる)。ピックアップアセンブリと比較してフレームの交換はめったに必要ないため、この方式は実際的である。
【0072】
本発明の範囲内で上記実施形態を様々に変更できる。例えば、別の実施形態では、ピックアップアセンブリは1つのピックアップアーム、1対の爪などを含むだけでもよい。
【0073】
別の実施形態では、ディスペンサは、1重、2重、3重、5重、又は6重ピックアップユニット、あるいは、任意の所望の数のピックアップユニットを含んでもよい。
【0074】
別の実施形態では、ディスペンサは、紙幣以外の情報記録媒体アイテムを払い出してもよい。
【0075】
別の実施形態では、フレームは、各ピックアップアセンブリに対して1つずつ、複数のフレーム部分を含んでもよい。
【0076】
別の実施形態では、各ピックアップアセンブリは、上記実施形態で記載したようなピックアップアセンブリ当たり2つのピックアップ機構ではなく1つのピックアップ機構だけを含んでもよい。
【0077】
別の実施形態では、提供装置は、両方のピックアップアセンブリ34a、bを同時に連結し(トグルラッチ36を用いて両者をまず連結することで)、次に結合したピックアップアセンブリ34a、bを持ち上げて直接プリ係合位置に押し込み、次に垂直に係合位置に押し込むような設計であってもよい。係合位置に入ると、第1の(上側)ピックアップ機構34a上のトグルラッチ36を提供装置のラッチ突起部(図示せず)に固定することができる。
【0078】
そのような実施形態では、提供装置のラッチ突起部(図示せず)からトグルラッチ36をアンラッチし(結合したピックアップアセンブリ34a、bを係合位置からプリ係合位置に落ち込ませ)、次に結合したピックアップアセンブリ34a、bを外側に突起部89a、bの上方に引き出して、フレーム30の外側に完全に取り出すことで、結合したピックアップアセンブリ34a、bを単一のユニットとして取り外すことができる。この方法は、連結解除工程の間、サービスエンジニアがピックアップアセンブリ34a、bの一方ではなく、結合したピックアップアセンブリ34a、bの重量に耐えなければならないという欠点を有する。
【0079】
本明細書に記載する方法のステップは、適宜、任意の好適な順序で、又は同時に実行できる。本明細書に記載する方法は、有形の格納情報記録媒体上の機械可読形式のソフトウェアによって、又は伝搬信号として実行することができる。
【0080】
本明細書では、「備える」、「含む」、「組み込む」及び「有する」という用語は、限定されたリストではなく、1つ又は複数の要素又はステップの拡張可能なリストを記載するために使用される。そのような用語が使用される時には、リスト内に記載した要素又はステップはリストに追加できる他の要素又はステップを除外するものではない。
【0081】
文脈によって別の意味になる場合を除き、「ある」という用語はそれに続く少なくとも1つの要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を示すために使用されるが、追加の要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を除外するものではない。
【0082】
いくつかの例での「1つ又は複数の」、「少なくとも」、「これらに限定されない」などの拡大する単語及び語句又は他の同様な語句の存在は、より狭い事例が、このような拡大語句が使用されない例で意図される、あるいは必要とされることを意味することはなく、また意味すると解釈してはならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する側壁を備え、(i)通貨カセットを収容する1つ又は複数のガイドと、(ii)カムフォロワを案内し支持する蛇行経路と、(iii)デテントとを画定するフレームと、
前記フレームに着脱可能に連結するピックアップアセンブリであって、
(i)前記ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時に前記デテントに当接するように構成されたガイド縁部と、
(ii)前記着脱式ピックアップアセンブリが前記初期アライメント位置から係合位置へ移動した時に前記経路に整列するように構成されたカムフォロワと、
(iii)前記着脱式ピックアップアセンブリが前記カムフォロワが前記蛇行経路の端部に達した係合位置へ移動した時に前記ピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列と、
を備えるピックアップアセンブリと、
を備えるピックアップユニット。
【請求項2】
前記蛇行経路が前記ギヤ列を前記上側ギヤの下方で移動させ、次に上方へ移動させて前記ギヤ列に係合させる、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項3】
前記蛇行経路が、前記着脱式ピックアップアセンブリが前記係合位置にある時に前記カムフォロワを介して前記着脱式ピックアップアセンブリを支持するように構成される、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項4】
前記蛇行経路がフック形状を有する、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項5】
前記着脱式ピックアップアセンブリが、前記ピックアップユニットの上方の外部ユニットに連結する1つ又は複数のラッチをさらに備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項6】
前記1つ又は複数のラッチが、オーバセンタトグルラッチを備える、請求項5に記載のピックアップユニット。
【請求項7】
前記フレームが、前記着脱式ピックアップアセンブリが前記係合位置へ移動した時に、前記着脱式ピックアップアセンブリ上のアパーチャに位置合わせしてねじ付き固定具が前記着脱式ピックアップアセンブリを前記フレームに固定することを可能にするアパーチャを画定する、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項8】
前記カムフォロワが、曲面植込みボルトを備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項9】
前記着脱式ピックアップアセンブリが、真空ピックアップアームと、前記真空ピックアップアームと流体連通する真空パイプと、前記真空パイプをフレームパイプに接続する真空カップリングとをさらに備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項10】
前記保管容器が、通貨カセットを備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項11】
前記着脱式ピックアップアセンブリが、複数の真空ピックアップアームを備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項12】
請求項1に記載のピックアップユニットを含む情報記録媒体のディスペンサ。
【請求項13】
請求項12に記載の情報記録媒体のディスペンサを含むセルフサービス端末装置。
【請求項14】
真空供給パイプを含むフレームと、
前記フレームを取り外すことなくピックアップアセンブリを取り外して交換できるように、前記フレームに着脱可能に連結し、前記真空供給パイプに着脱可能に連結する真空パイプを含むピックアップアセンブリと、
を備えるピックアップユニット。
【請求項15】
(i)前記ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時にデテントに当接するように構成されたガイド縁部と、
(ii)前記着脱式ピックアップアセンブリが前記初期アライメント位置から係合位置へ移動した時にピックアップユニット上の経路に整列するように構成されたカムフォロワと、
(iii)前記ピックアップアセンブリが前記カムフォロワが前記経路の端部に達した係合位置へ移動した時に前記ピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列と、
を備えるピックアップユニットのための着脱式ピックアップアセンブリ。
【請求項1】
対向する側壁を備え、(i)通貨カセットを収容する1つ又は複数のガイドと、(ii)カムフォロワを案内し支持する蛇行経路と、(iii)デテントとを画定するフレームと、
前記フレームに着脱可能に連結するピックアップアセンブリであって、
(i)前記ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時に前記デテントに当接するように構成されたガイド縁部と、
(ii)前記着脱式ピックアップアセンブリが前記初期アライメント位置から係合位置へ移動した時に前記経路に整列するように構成されたカムフォロワと、
(iii)前記着脱式ピックアップアセンブリが前記カムフォロワが前記蛇行経路の端部に達した係合位置へ移動した時に前記ピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列と、
を備えるピックアップアセンブリと、
を備えるピックアップユニット。
【請求項2】
前記蛇行経路が前記ギヤ列を前記上側ギヤの下方で移動させ、次に上方へ移動させて前記ギヤ列に係合させる、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項3】
前記蛇行経路が、前記着脱式ピックアップアセンブリが前記係合位置にある時に前記カムフォロワを介して前記着脱式ピックアップアセンブリを支持するように構成される、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項4】
前記蛇行経路がフック形状を有する、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項5】
前記着脱式ピックアップアセンブリが、前記ピックアップユニットの上方の外部ユニットに連結する1つ又は複数のラッチをさらに備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項6】
前記1つ又は複数のラッチが、オーバセンタトグルラッチを備える、請求項5に記載のピックアップユニット。
【請求項7】
前記フレームが、前記着脱式ピックアップアセンブリが前記係合位置へ移動した時に、前記着脱式ピックアップアセンブリ上のアパーチャに位置合わせしてねじ付き固定具が前記着脱式ピックアップアセンブリを前記フレームに固定することを可能にするアパーチャを画定する、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項8】
前記カムフォロワが、曲面植込みボルトを備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項9】
前記着脱式ピックアップアセンブリが、真空ピックアップアームと、前記真空ピックアップアームと流体連通する真空パイプと、前記真空パイプをフレームパイプに接続する真空カップリングとをさらに備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項10】
前記保管容器が、通貨カセットを備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項11】
前記着脱式ピックアップアセンブリが、複数の真空ピックアップアームを備える、請求項1に記載のピックアップユニット。
【請求項12】
請求項1に記載のピックアップユニットを含む情報記録媒体のディスペンサ。
【請求項13】
請求項12に記載の情報記録媒体のディスペンサを含むセルフサービス端末装置。
【請求項14】
真空供給パイプを含むフレームと、
前記フレームを取り外すことなくピックアップアセンブリを取り外して交換できるように、前記フレームに着脱可能に連結し、前記真空供給パイプに着脱可能に連結する真空パイプを含むピックアップアセンブリと、
を備えるピックアップユニット。
【請求項15】
(i)前記ピックアップアセンブリが初期アライメント位置へ移動した時にデテントに当接するように構成されたガイド縁部と、
(ii)前記着脱式ピックアップアセンブリが前記初期アライメント位置から係合位置へ移動した時にピックアップユニット上の経路に整列するように構成されたカムフォロワと、
(iii)前記ピックアップアセンブリが前記カムフォロワが前記経路の端部に達した係合位置へ移動した時に前記ピックアップユニットの外側の上側ギヤに係合するように構成されたギヤ列と、
を備えるピックアップユニットのための着脱式ピックアップアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−108903(P2012−108903A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241490(P2011−241490)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】
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