説明

紙幣収納カセット

【課題】払い出される紙幣に輪郭を与えるプロファイルベースを備える紙幣収納カセットのための方法、システム及び装置を提供する。
【解決手段】紙幣収納カセットは、紙幣のスタックを載置できるベースと、ベースの方向に付勢されるプッシャープレートと、プロファイル面の下に位置し、プロファイル面内に画定された開口を通って部分的に突出する複数の駆動ローラとを備える。ベースは、ベース軸に沿って配置された中央の低い領域から中央の低い領域の反対側の比較的高い領域へと延在するプロファイル面を含む。プッシャープレートは、紙幣のスタックをプロファイル面へと付勢するように動作する。複数の駆動ローラは、プロファイル面と接触する紙幣を紙幣収納カセットの外側に駆動するように動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機(ATM)等に用いられる紙幣収納カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の紙幣収納カセットは、紙幣の整然とした配列を収納するために使用され、紙幣ディスペンサに挿入することができる。紙幣ディスペンサは、顧客の取引を行うために紙幣収納カセットから1回ずつ紙幣を引き出す。
【0003】
新品の折り目のないお札から古いよれたお札まで、どんな状態の紙幣をも確実に払い出すことができることが望ましい。さらに、これを実行できる低コストの紙幣ディスペンサを提供できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、払い出される紙幣に輪郭を与えるプロファイルベースを備える紙幣収納カセットのための方法、システム及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明の第1の態様によれば、紙幣のスタックが載置されるベースであって、ベース軸に沿って配置された中央の低い領域から中央の低い領域の反対側の比較的高い領域へと延在するプロファイル面を有するベースと、ベースの方向に付勢され、紙幣のスタックをプロファイル面へと付勢するように動作可能であるプッシャープレートと、プロファイル面の下に位置し、プロファイル面内に画定された開口を通って部分的に突出する複数の駆動ローラと、を備え、複数の駆動ローラが、プロファイル面と接触する紙幣を紙幣収納カセットの外側に駆動するように動作可能である紙幣収納カセットが提供される。
【0006】
プロファイル面は、中央の低い領域から比較的高い領域の1つへと延在する第1の面と、(第1の面に向かうベース軸の反対側の)中央の低い領域から別の比較的高い領域へと延在する第2の面とを含む。
【0007】
あるいは、プロファイル面は湾曲面を有してもよい。湾曲面は第1の高い面から中央の低い面へと下方に延在し、次に第1の高い領域の反対側の第2の高い領域へと再び上方に延在してもよい。
【0008】
プッシャープレートは、プロファイル面の形状に対応する輪郭を画定する付勢面を含み、それによって紙幣を付勢してプロファイル面の形状に適合させてもよい。
【0009】
プッシャープレートは、ばねなどの弾性部材によってベース方向に付勢されてもよい。代替的に又は追加的に、プッシャープレートは重りを含んでもよく、重りに作用する重力によってベース方向に付勢されてもよい。重りをプッシャープレートに組み込んでもよい。
【0010】
複数の駆動ローラは、円錐台形の外表面を画定してもよい。
【0011】
複数の駆動ローラを、プロファイル面の下にあり、ベース軸に対して横向きに位置する軸上に取り付けてもよい。各々の軸がプロファイル面の下に位置し、各々の軸がベース軸に対して横向きに配置された2つの軸上に複数の駆動ローラを取り付けてもよい。
【0012】
各々の軸は、ベース軸の各側に1対の駆動ローラを含んでもよい。
【0013】
円錐台形の各外表面の短径は、該円錐台形の外表面の長径よりもベース軸の近位に位置してもよい。
【0014】
紙幣収納カセットはさらに、紙幣引出し機構を備えてもよい。
【0015】
紙幣引出し機構は、紙幣をカセットのベースから引き出す送りローラを含んでもよい。
【0016】
紙幣引出し機構はさらに、プロファイル面の形状に対応し、送りローラに極めて近接して維持される下部プロファイルエッジを有するリタードブロックを含んでもよい。
【0017】
リタードブロックを、調整可能な静的取付け具(ねじ、ボルトなど)を使用して送りローラに極めて近接して維持してもよい。あるいは、コイルばね、板ばねなどの弾性部材によって、リタードブロックを送りローラに極めて近接して維持してもよい。
【0018】
あるいは、紙幣引出し機構はさらに、(リタードブロックの代わりに)リタードローラを含んでもよい。リタードローラは波状外面を有してもよく、波状面の半径方向の最外部はプロファイル面の形状と一致している。送りローラはさらに、リタードローラの半径方向の大きい部分が送りローラの半径方向の小さい部分と位置合わせされ、またその逆に位置合わせされることで、紙幣が存在しない場合はリタードローラの一部が送りローラの一部と重なるように、リタードローラの波状外面と相反し、且つこれと位置合わせされた(半径方向の寸法が大小交互の)波状外面を備えてもよい。
【0019】
プロファイル面の下にあり、ベース軸に対して横向きに位置する複数の軸の1つ(又は1つの軸のみを使用する場合は1つの軸)は、駆動軸を備えてもよい。ある駆動ローラを駆動軸上に取り付けてもよく、別の駆動ローラを駆動軸に平行な補助軸上に取り付けてもよい。
【0020】
駆動軸は紙幣収納カセットの外側からアクセス可能な動力ギヤを含んでもよい。動力ギヤは、紙幣ディスペンサ内に位置する対応するギヤによって回転させてもよい。動力ギヤはさらに、直接、又は駆動軸を介して補助軸を回転させてもよい。
【0021】
紙幣収納カセットは、紙幣がそれを通って払い出される出口を送りローラの近傍に画定してもよい。
【0022】
尚、本願における「紙幣」とは、他の形態の情報記録媒体として、切手、商品券、クーポン券、チケット、領収書等であってもよい。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様による紙幣収納カセットを含む紙幣ディスペンサが提供される。
【0024】
紙幣ディスペンサは、紙幣収納カセット内の動力ギヤと噛み合うトランスファギヤを含んでもよい。トランスファギヤは、ばねなどの弾性部材によってディスペンサの筐体に連結されてもよい。トランスファギヤを弾性連結することで、紙幣収納カセットが紙幣ディスペンサに挿入される際のトランスファギヤと動力ギヤとの相互の噛み合いが促進される。
【0025】
紙幣ディスペンサは複数のカセットベイを含んでもよく、各カセットベイは紙幣収納カセットを受ける動作を行う。
【0026】
各カセットベイが動力ギヤを含んでもよい。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様による紙幣ディスペンサを含むセルフサービス端末が提供される。
【0028】
セルフサービス端末は、現金自動預払機、情報キオスク、金融サービスセンタ、紙幣払い出しキオスク、宝くじキオスク、郵便サービス機、又は小売業、ホテル、レンタカー、ゲーム、医療、航空業界などで使用されるチェックイン及び/又はチェックアウト端末であってもよい。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、紙幣を紙幣収納カセットから払い出す方法であって、前記紙幣収納カセット内の前記紙幣をプロファイルされた非平坦な形状に変形するステップと、前記変形された紙幣の前記プロファイル形状に適合するプロファイルされた外面を有するローラを使用して前記紙幣収納カセットから前記変形された紙幣を付勢するステップと、を含む方法が提供される。
【0030】
本発明の第5の態様によれば、払い出す前に紙幣のスタックが載置されるプロファイル面を画定するベースを備える紙幣収納カセットが提供される。
【0031】
プロファイル面は、周囲の領域よりも高い中央領域、周囲の領域よりも低い中央領域、又はある周囲領域よりも高いが、別の周囲領域よりも低い中央領域を有してもよい。
【0032】
説明を分かりやすく簡潔にするために、上記の態様で提供された要素はそのすべての組合せを明示しているわけではない。それにもかかわらず、技術的に不可能でない限り、又はその逆の内容が明示されていない限り、1つの態様を指すコンシストリクローズ(consistory clause)は、それらのコンシストリクローズが関連する可能性があるすべての他の態様のオプションの特徴として準用されることを当業者であれば直接かつ明確に認識することができるであろう。
【0033】
上記及びその他の態様は、添付の図面を参照しながら以下の具体的な説明を読むことで明らかになるだろう。これらの図や説明は例示としてのものに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態による紙幣収納カセットの破断斜視図である。
【図2】図1と同様であるが、やや異なる角度から見た破断斜視図である。
【図3】図1の紙幣収納カセットの部品(ベース及び駆動ローラ)をより詳細に示す斜視断面図である。
【図4】図3のカセットベース及び駆動ローラの上方に取り付けた紙幣収納カセットの別の部品(プッシャープレート)を示す、図1の紙幣収納カセットの概略側面図である。
【図5】紙幣引出し動作中の図1の紙幣収納カセットの一部(紙幣引出し機構)を示す概略斜視図である。
【図6】図1の紙幣収納カセットと共に使用される紙幣ディスペンサの部品(紙幣引出し機構)の斜視図である。
【図7】図1の紙幣収納カセットと共に使用される紙幣ディスペンサの部品(紙幣引出し機構)の斜視図である。
【図8】図7の機構の代替の紙幣引出し機構を示す概略上部斜視図である。
【図9】図8の代替紙幣引出し機構を示す概略正面図である。
【0035】
提供された図面の一部は、実際の物理的な実施形態を生成するためのコンピュータ図面に基づいていることを理解されたい。したがって、上記図面の一部は、これらの実施形態を理解するために必須ではない複雑な詳細を含有するが当業者に有用な情報を伝える。したがって、図面のすべての部分を具体的に参照しなくてもよい。さらに図面を見やすくして多数の引き出し線で図面が複雑にならないように、すべての図面ですべての参照符号を示している訳ではない。さらに、図面によっては、特徴の一部を省略して見やすさを優先している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
最初に、本発明の一実施形態による紙幣収納カセットの破断斜視である図1及び図2を参照する。紙幣収納カセット10は、最初に紙幣の短辺を取り出せるように紙幣を収納する紙幣収納カセット10の形態である。
【0037】
紙幣収納カセット10は、対向する長辺側壁14、16と、長辺側壁14、16の間に延在する短辺側壁18、20と、長辺側壁14、16と短辺側壁18、20とに連結された床面22とを備える。
【0038】
第1の短辺側壁18はハンドル端側壁と呼ばれる。第2の短辺側壁20はピック端側壁と呼ばれる。
【0039】
紙幣収納カセット10はさらに、プッシャープレート24と床面22との間に連結された1対のばね26によって下方に付勢されるプッシャープレート24を備える。
【0040】
紙幣収納カセット10はさらに、ピック端側壁20の近傍で長辺側壁14、16に連結された内部ブロック取付け壁28を含む。
【0041】
次に、紙幣収納カセット・紙幣収納カセット10の部品をより詳細に示す斜視断面図である図3を参照する。
【0042】
紙幣収納カセット10はさらに、床面22上に載置されたカセット下部に取り付けられたベース30(又は支持プラットフォーム)を備える。ベース30は、紙幣収納カセット10の中心部に沿って延在する(図3の破線32で示す)長手方向軸を画定する。
【0043】
ベース30は、長手方向軸32の位置に低い領域36と、長手方向軸32の反対側に1対の高い領域38、40とを有する。
【0044】
ベース30は、直立する紙幣ガイド44を挿入可能な紙幣幅スロット42を画定する。(紙幣には別の紙幣よりも幅広い紙幣があるので)これらの紙幣ガイド44は、紙幣収納カセット10を別の紙幣用に再構成できるようにするために備えられる。
【0045】
ベース30はさらに、4つの開口を画定する(図2に最もよく示されている)。第1の開口対56は長手方向軸32に対して横向きであり、第1の開口対56に対して平行な第2の開口対56よりもピック端側壁20に近接している。
【0046】
ベース30はさらに、長辺側壁14、16に対して横向きに、プロファイル面34の下方に平行な関係で取り付けられた駆動軸60と、補助軸61とを備える(図2に最もよく示されている)。これらの軸60、61には各々2つの駆動ローラ62a、b及び64a、bが取り付けられている。4つの開口54、6は、プロファイル面34の下方に取り付けられた4つの駆動ローラ62、64と位置合わせされて構成される。
【0047】
次に、プロファイル面34の上方に取り付けられたプッシャープレート24の一部を示す図4を参照する。
【0048】
プッシャープレート24は、プロファイル面34上に位置するいずれかの紙幣が撓んでプロファイル面34の形状に対応する形状になるように、プロファイル面34の形状にほぼ対応する形状を有する下面(付勢面)68を有する。
【0049】
次に、紙幣71を引き出す紙幣引き出し機構70(図1及び図2にも示す)の概略斜視図である図5を参照する。
【0050】
紙幣引き出し機構70は、送り軸上に取り付けられた送りローラ72と、送りローラ72から垂直にオフセットされ、内部ブロック取付け壁28上に取り付けられたリタードブロック76とを備える。送りローラ72は、長手方向軸32に対して中心に取り付けられている。この実施形態では、この実施形態では、送りローラ72とリタードブロック76の双方ともエラストマー材から製造される。
【0051】
送りローラ72は、城郭状外周を画定し、中央の円筒形部分を有しており、中央の円筒形部分から各方向に半径を増して各長辺側壁14、16の方向に延在し、それによってプロファイル面34の形状に合致する外面が得られる。
【0052】
送り軸74は、以下により詳細に記載するように、送りローラ72に回転力を付与するために使用されるトランスファギヤ78を支持する。
【0053】
リタードブロック76は、プロファイル面34の形状に適合する下面80を画定する。下面80は高い摩擦係数を有する。
【0054】
リタードブロック76は、スロット84内に取り付けたボルト82を介して、且つブラケット88に連結された(コイルばねの形態の)弾性部材86を介して内部ブロック取付け壁28に連結される。コイルばね86によって、リタードブロックの下面80が常に送りローラ72へと付勢されることが確実になる。コイルばね86を使用することで、送りローラ72に対するリタードブロック76の位置を較正する必要がなくなる。
【0055】
次に、紙幣収納カセット10と共に使用される紙幣ディスペンサ100の部品の斜視図である図6及び図7を参照する。
【0056】
紙幣ディスペンサ100は、プーリ軸106を介してプーリ104がその上に取り付けられる側壁102を備える。プーリ104は駆動軸108に連結される。駆動軸108は、ピボット軸112に枢動可能に連結された支持ブラケット110を支持する。支持ブラケット110は、コイルばねの形態の弾性部材116によってディスペンサの側壁102上のラグ114に連結される。駆動軸108は、駆動ギヤ118にも連結されている(図6に最もよく示されている)。枢動可能な支持ブラケット110によって、駆動ギヤ118は、トランスファギヤ78と接触すると移動可能になる。これによって、コイルばね116が2つのギヤ78、118を互いに噛み合うように付勢するので、駆動ギヤ118はトランスファギヤ78と噛み合うことが可能になる。
【0057】
紙幣71を紙幣収納カセット10から引き出すため、プーリ104が回転してトランスファギヤ78を回転させる。トランスファギヤ78が回転すると、駆動軸60及び補助軸61を回転させる。これが駆動ローラ62、64を回転させ、紙幣71を送りローラ72及びリタードブロック76の方向に付勢する。
【0058】
リタードブロック76(特にリタードブロックの下面80)は、紙幣71と同時に引き出される紙幣があればそれを押し戻す役割を果たす。これによって、マルチピック(すなわち、複数の紙幣が1枚の紙幣としてピックアップされること)が防止される。リタードブロック76によって、2枚の紙幣71が単一のアイテムとして移送されると、リタードブロックの下面80が上の紙幣の給送を遅らせて、下の紙幣71だけが紙幣収納カセット10から放出されることが確実になる。これは、上の紙幣とリタードブロックの下面80との間の摩擦が隣接する紙幣間の摩擦よりも高いことによって行われる。
【0059】
ベース30、プロファイル面34、プッシャープレート付勢面68、駆動ローラ62、64、送りローラ72、及びリタードブロックの下面80の形状は、プロファイル形状により(すなわち、この実施形態では前短辺が湾曲形状を有している)、紙幣71が紙幣収納カセット10内に収納され、紙幣収納カセット10から搬出されることを確実にする。これによって紙幣71の構造的剛性が大幅に高まるので、よれた紙幣を確実に紙幣収納カセット10から取り出すことができる。
【0060】
紙幣71は、一旦紙幣ディスペンサ71内に入ると、従来通り移送される。
【0061】
次に、本発明の別の実施形態による代替の紙幣引き出し機構170を示す図8及び図9を参照する。
【0062】
紙幣引き出し機構170は、送り軸174上に取り付けられた送りローラ172と、送りローラ172から垂直にオフセットされ、リタード軸178上に取り付けられたリタードローラ176とを備える。送りローラ172とリタードローラ176とは、長手方向軸32に対して中心に取り付けられている。この実施形態では、送りローラ172とリタードローラ176の双方ともエラストマー材から製造される。
【0063】
送りローラ172は、プロファイル面34の形状と適合する波状の外形輪郭を有する。送りローラ172は、均一な半径と、コア180に沿って半径方向に離間した4つのディスク182a、b、c、dとを有するコア180を画定する。送りローラ172は、一体のユニットとしてモジュール化されている。4つのディスク182の各々は、コア180よりもやや小さい半径を有しており、内側の2つの各ディスク182b、cは、外側の2つの各ディスク182a、dよりもやや小さい半径を有している。実際には、各ディスク182は厳密には円板形ではなく、円錐台形の形状を有しており、長手方向軸32に近接した縁部での半径は長手方向軸32から遠位の縁部の半径よりもやや小さい。これによって、4つのディスク182が組み合わさってプロファイル面34の形状と適合する輪郭を呈することが確実になる。
【0064】
リタードローラ176は、また、プロファイル面34の形状と適合し、送りローラ172の形状と相反する波状の外形輪郭を有する。
【0065】
リタードローラ174は、均一な半径と、4つの送りローラディスク182から軸方向にオフセットするように、コア186に沿って軸方向に離間した3つのディスク188a、b、cとを有するコア186を画定する。中央のディスク188bは外側の2つの各ディスク188a、cよりも長い半径を有する。リタードローラ176は、一体のユニットとしてモジュール化されている。送りローラディスク182と同様に、外側の2つのリタードローラディスク188a、cの形状は実際には円錐台であるが、長手方向軸32に近接した縁部での半径は長手方向軸32から遠位の縁部の半径よりもやや大きい。
【0066】
送りローラ172とリタードローラ176との間に紙幣71がない場合は、送りローラディスク182とリタードローラディスク188とは、それらのコア180、186が回転すると互いに接触せずにインタレースする。その結果、紙幣がない時に送りローラとリタードローラとが接触する場合よりもトルクが低下し、部品への摩耗が低減する。
【0067】
紙幣71が送りローラ172によってプロファイル面34から引き出される場合は、リタードローラ176(送りローラ172と同方向に回転する)は、紙幣71と同時に引き出される紙幣があればこれを押し戻す。これによって、マルチピック(すなわち、複数の紙幣が単一の紙幣としてピックアップされること)が防止される。
【0068】
これらの実施形態の両方とも(すなわち、両方の紙幣引き出し機構70、170とも)、紙幣(紙幣など)が収納されている場合と紙幣収納カセットから引き出される(すなわちピックアップされる)場合の両方ともプロファイル形状が付与されるという利点を有している。これによって、紙幣のプロファイル形状が紙幣に構造的剛性を付与するため、紙幣(又はその他の紙幣)がよれていることの影響が低下し、そのためピックアップ動作の確実性が高まる。
【0069】
上記実施形態には本発明の範囲内で様々な修正を行ってもよく、例えば、別の実施形態では、本願における「紙幣」は、チケット、商品券、切手、入場券などであってもよい。
【0070】
別の実施形態では、リタードブロックは、上記第1の実施形態とは異なる形状を有してもよい。
【0071】
別の実施形態では、プロファイル面34は、上記とは異なる形状を画定してもよい。例えば、プロファイル面34はU形の、平坦なU形、波状U形、W形などであってもよい。使用される特定の形状は、選択される形状が紙幣収納カセットからピックアップされる紙幣に構造的剛性を付与する限り重要ではない。
【0072】
別の実施形態では、上記の駆動ローラ以上の、又はそれ以下の数の駆動ローラを使用してもよい。
【0073】
この実施形態では、送りローラ172とリタードローラ176とをポリマー材から製造してもよい。
【0074】
本明細書に記載した方法ステップは、適宜、任意の好適な順序で、又は同時に実行してもよい。
【0075】
本明細書では、「備える」、「含む」、「組み込む」及び「有する」という用語は、限定されたリストではなく、1つ又は複数の要素又はステップの拡張可能なリストを記載するために使用される。そのような用語が使用される時には、リスト内に記載した要素又はステップはリストに追加できる他の要素又はステップを除外するものではない。
【0076】
文脈によって別の意味になる場合を除き、「ある」という用語はそれに続く少なくとも1つの要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を示すために使用されるが、追加の要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を除外するものではない。
【0077】
いくつかの例での「1つ又は複数の」、「少なくとも」、「これらに限定されない」などの拡大する単語及び語句又は他の同様な語句の存在は、より狭い事例が、このような拡大語句が使用されない例で意図される、あるいは必要とされることを意味することはなく、また意味すると解釈してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣のスタックが載置されるベースであって、ベース軸に沿って配置された中央の低い領域から前記中央の低い領域の反対側の比較的高い領域へと延在するプロファイル面を有するベースと、
前記ベースの方向に付勢され、前記紙幣のスタックを前記プロファイル面へと付勢するように動作可能であるプッシャープレートと、
前記プロファイル面の下に位置し、前記プロファイル面内に画定された開口を通って部分的に突出する複数の駆動ローラとを備え、前記複数の駆動ローラが、前記プロファイル面と接触する紙幣を前記紙幣収納カセットの外側に駆動するように動作可能である紙幣収納カセット。
【請求項2】
前記プロファイル面が、前記中央の低い領域から前記比較的高い領域の1つへと延在する第1の面と、前記中央の低い領域から別の前記比較的高い領域へと延在する第2の面とを有する、請求項1に記載の紙幣収納カセット。
【請求項3】
前記プロファイル面が、第1の高い領域から前記中央の低い領域へと下方に延在し、前記第1の高い領域と反対側の第2の高い領域へと再び上方に延在する湾曲面を有する、請求項1に記載の紙幣収納カセット。
【請求項4】
前記プッシャープレートが、前記プロファイル面の形状に対応する輪郭を画定する付勢面を含み、これにより紙幣を付勢して前記プロファイル面の形状に適合させる、請求項1に記載の紙幣収納カセット。
【請求項5】
前記複数の駆動ローラ各々が、円錐台形の外面を画定する、請求項1に記載の紙幣収納カセット。
【請求項6】
前記複数の駆動ローラが2つの軸上に取り付けられ、各軸が前記プロファイル面の下に位置し、前記ベース軸に対して横向きに配置される、請求項1に記載の紙幣収納カセット。
【請求項7】
各軸が、前記ベース軸の各側に1対の駆動ローラを含む、請求項6に記載の紙幣収納カセット。
【請求項8】
円錐台形の各外面の短径が、前記円錐台形の外面の長径よりも前記ベース軸の近位に位置する、請求項5に記載の紙幣収納カセット。
【請求項9】
前記紙幣収納カセットが、紙幣引き出し機構をさらに備える、請求項1に記載の紙幣収納カセット。
【請求項10】
前記紙幣引き出し機構が、紙幣を前記カセットの前記ベースから引き出す送りローラを含む、請求項1に記載の紙幣収納カセット。
【請求項11】
前記紙幣引き出し機構が、前記プロファイル面の前記形状に対応するするプロファイルされた下縁を有し、弾性部材によって前記送りローラに極めて近接して維持されるリタードローラをさらに含む、請求項10に記載の紙幣収納カセット。
【請求項12】
前記紙幣引き出し機構が、波状外面を備えるリタードローラをさらに含み、前記波状面の半径方向最外部は前記プロファイル面の前記形状と一致する、請求項10に記載の紙幣収納カセット。
【請求項13】
請求項1に記載の紙幣収納カセットを含む紙幣ディスペンサ。
【請求項14】
紙幣を紙幣収納カセットから払い出す方法であって、
前記紙幣収納カセット内の前記紙幣をプロファイルされた非平坦な形状に変形するステップと、
前記変形された紙幣の前記プロファイル形状に適合するプロファイルされた外面を有するローラを使用して前記紙幣収納カセットから前記変形された紙幣を付勢するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
紙幣を払い出す前に前記紙幣のスタックが載置されるプロファイル面を画定するベースを備える紙幣収納カセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−118983(P2012−118983A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257720(P2011−257720)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】