説明

紙搬送部材

【課題】帯電防止性、耐摩耗性、表面平滑性に優れた紙搬送部材を提供する。
【解決手段】紙搬送部材は、ポリアミド樹脂と高分子型帯電防止剤と充填剤とを含む熱可塑性樹脂組成物で形成する。前記高分子型帯電防止剤はポリアミドエラストマーであってもよい。ポリアミドエラストマーは、ポリエーテルエステルアミドであってもよく、融点が200℃以下であってもよい。高分子型帯電防止剤の割合は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、10〜150重量部程度である。前記充填剤はガラス繊維であってもよい。充填剤の割合は、熱可塑性樹脂組成物全体に対して、10〜50重量%程度である。さらに、熱可塑性樹脂組成物はスチレン系樹脂[例えば、ゴム成分に少なくとも芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体とがグラフト重合したグラフト共重合体など]を含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性、耐摩耗性、表面平滑性などに優れた紙搬送部材に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機などの電子機器に用いられる部品は、静電気による電子機器の障害を防止するため、帯電防止性などを有する樹脂組成物で形成することが提案されている。例えば、特開平5−262971号公報(特許文献1)には、(A)ポリアミドエラストマー、(B)ポリカーボネート樹脂、(C)ポリアミド樹脂、(D)カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシド基またはそれらの誘導体から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する変性ビニル系重合体、および(E)スチレン系樹脂及び/又はアクリル系樹脂を配合してなる熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
【0003】
特公平7−10946号公報(特許文献2)には、(a)炭素原子数6以上のアミノカルボン酸またはラクタム、もしくは炭素原子数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩、(b)数平均分子量200〜6000のポリエチレングリコールおよび(c)炭素原子数4〜20のジカルボン酸から構成されるポリエーテルエステルアミドで、ポリエーテルエステル単位が95〜10重量%であるポリエーテルエステルアミドと、(B)(a)ゴム質重量体に(b)芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体からなる単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト共重合体と、(C)芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体混合物を重合してなる共重合体からなり、かつゴム質重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物が開示され、ポリアミドなどの相溶性がある他の熱可塑性重合体を混合できることが記載されている。
【0004】
しかし、これらの熱可塑性樹脂組成物を用いて、紙搬送部材を形成すると、機械的強度が充分でなく、紙の摺動による摩耗を有効に抑制できない。特に、高速で紙幣などの紙が通過する通紙部(又は接触部)を有する紙幣カウント機、投票用紙のカウント機などの通紙部材(又は接触部材)を形成すると、紙詰まりを起こしたり、紙との摺接により、紙を正確にカウントできない。また、紙搬送部材にはバリが生成し易く、紙詰まりの原因となる。
【0005】
特開2008−284515号公報(特許文献3)には、熱可塑性樹脂と半導電性成分と難燃剤とで構成された集塵エレメント用電圧印加部材が開示されている。この文献の実施例では、熱可塑性樹脂としてのポリアミド樹脂、ABS樹脂、及びAS樹脂と、半導電成分としてのポリエーテルエステルアミドと、充填剤としてのガラス繊維と、ハロゲン系難燃剤と、難燃助剤とで構成された集塵エレメント用電圧印加部材が作製されている。しかし、この文献には紙搬送部材について何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−262971号公報(特許請求の範囲、[0002])
【特許文献2】特公平7−10946号公報(特許請求の範囲、[従来の技術])
【特許文献3】特開2008−284515号公報(特許請求の範囲、実施例)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、帯電防止性、耐摩耗性、及び表面平滑性に優れた紙搬送部材(通紙部材又は接触部材)を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、高速で通紙させても、帯電を防止でき、摩耗も抑制できる紙搬送部材を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、バリの生成を有効に抑制でき、紙に対する摺動性が向上した紙搬送部材を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、耐熱性が向上した紙搬送部材を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、反りを抑制でき、寸法精度の高い紙搬送部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂と高分子型帯電防止剤と充填剤とを組み合わせて紙搬送部材を形成すると、帯電防止性、耐摩耗性、及び表面平滑性を向上できることを見いだし、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の紙搬送部材は、ポリアミド樹脂と高分子型帯電防止剤と充填剤とを含む熱可塑性樹脂組成物で形成されている。
【0014】
前記高分子型帯電防止剤は、ポリアミドエラストマーであってもよい。ポリアミドエラストマーは、ポリエーテルエステルアミドであってもよい。ポリアミドエラストマーの融点は200℃以下(例えば、150〜200℃程度)であってもよい。高分子型帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー)の割合は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、10〜150重量部程度である。前記充填剤はガラス繊維であってもよい。充填剤の割合は、熱可塑性樹脂組成物全体に対して、10〜50重量%程度である。前記熱可塑性樹脂組成物は、さらにスチレン系樹脂[例えば、ゴム成分に、少なくとも芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体とがグラフト重合したグラフト共重合体など]を含んでいてもよい。前記熱可塑性樹脂組成物は、さらに難燃剤を含んでいてもよい。
【0015】
本発明は、ポリアミド樹脂と、高分子型帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー)と、充填剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を成形(射出成形など)することにより紙搬送部材を製造する方法も包含する。また、本発明は、ポリアミド樹脂と、高分子型帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー)と、充填剤とを含む熱可塑性樹脂組成物で紙搬送部材を成形(射出成形など)することにより、紙搬送部材の表面平滑性を向上させる方法も包含する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、ポリアミド樹脂と高分子型帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー)と充填剤とを組み合わせて紙搬送部材(通紙部材又は接触部材)を形成するため、帯電防止性、耐摩耗性、及び表面平滑性に優れる。特に、高速で通紙させても、高い帯電防止性及び耐摩耗性を付与でき、紙詰まりを防止したり、紙を正確にカウントできる。また、本発明では、ポリアミド系樹脂を含んでいるにも拘わらず、バリの生成を有効に抑制でき、紙に対する摺動性を向上できる。さらに、本発明では、紙の摺動(特に、高速の摺動)に対する耐久性を向上でき、例えば、紙の摺動に伴う摩擦熱に耐え得る高い耐熱性を付与できる。本発明の紙搬送部材は、さらにスチレン系樹脂を組み合わせて形成すると、反りを有効に抑制でき、寸法精度を向上できるとともに、耐衝撃性などの機械的特性も向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[紙搬送部材]
本発明の紙搬送部材(又は紙搬送用成形体)は、ポリアミド樹脂(非エラストマー性ポリアミド樹脂)と高分子型帯電防止剤と充填剤とを含む熱可塑性樹脂組成物(又はポリアミド系樹脂組成物)で形成されている。
【0018】
(A)熱可塑性樹脂(又は樹脂成分)
(A1)ポリアミド樹脂
ポリアミド樹脂は、アミド形成成分の単独重合体(ホモポリアミド)又は複数のアミド形成成分の共重合体(コポリアミド)のいずれであってもよい。アミド形成成分としては、一対の成分(ジアミン成分とジカルボン酸成分とを組合せた両成分)、ラクタム成分、アミノカルボン酸成分などが例示できる。
【0019】
前記一対の成分のうち、ジアミン成分としては、脂肪族ジアミン又はアルキレンジアミン成分(例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカンジアミンなどのC4−16アルキレンジアミンなど)、脂環族ジアミン成分[ジアミノシクロヘキサンなどのジアミノC5−10シクロアルカン;水添メタキシリレンジアミンなどのジ(アミノC1−4アルキル)C6−10シクロアルカン;ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどのビス(アミノC5−8シクロアルキル)C1−3アルカンなど)など]、芳香族ジアミン成分[メタキシリレンジアミンなどのジ(アミノC1−4アルキル)C6−10アレーンなど]などが例示できる。これらのジアミン成分は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらのジアミン成分のうち、脂肪族ジアミン成分が好ましい。
【0020】
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸又はアルカンジカルボン酸成分(例えば、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸又はその水素添加物などのC4−20アルカンジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸成分(シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸などのC6−10アレーン−ジカルボン酸など)などが例示できる。なお、ジカルボン酸成分には、前記ジカルボン酸の低級アルキルエステル(メチルエステルなどのC1−4アルキルエステル)、酸ハライドなども含まれる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらのジカルボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸成分が好ましい。
【0021】
前記ラクタム成分としては、例えば、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−ヘプタラクタム、ω−オクタラクタム、ω−デカンラクタム、ω−ウンデカンラクタム、ω−ラウロラクタム(又はω−ラウリンラクタム)などのC4−20ラクタムなどが例示でき、前記アミノカルボン酸成分としては、例えば、ω−アミノデカン酸、ω−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸などのC4−20アミノカルボン酸などが例示できる。これらのラクタム成分及びアミノカルボン酸成分も単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
【0022】
これらのアミド形成成分は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。二種以上のアミド形成成分によるコポリアミドには、(i)第1のアミド形成成分(ジアミン成分及びジカルボン酸成分)によるコポリアミドであって、ジアミン成分及びジカルボン酸成分のうち少なくとも一方の成分が炭素数の異なる複数の成分で構成されたコポリアミド;(ii)第1のアミド形成成分(ジアミン成分及びジカルボン酸成分)と、第2のアミド形成成分(ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分から選択された少なくとも一種の成分)とのコポリアミド;(iii)第2のアミド形成成分(ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分から選択された少なくとも一種の成分)で形成されたコポリアミドであって、ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分のうち一方の成分が炭素数の異なる複数の成分で構成されたコポリアミド;(iv)炭素数が同一又は互いに異なるラクタム成分とアミノカルボン酸成分とのコポリアミドなどが含まれる。コポリアミドは、多元共重合体(例えば、二元共重合体〜四元共重合体など)であってもよい。
【0023】
ポリアミド樹脂は、少量のポリカルボン酸成分及び/又はポリアミン成分由来の単位を含んでいてもよい。すなわち、ポリアミド樹脂は、分岐鎖構造が導入されたポリアミドなどの変性ポリアミドであってもよい。
【0024】
代表的なポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド、例えば、脂肪族ジアミン成分と脂肪族ジカルボン酸成分との縮合体(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212など);ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのC4−20ラクタムなど)又はアミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸などのC4−20アミノカルボン酸など)の単独重合体(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など);これらのアミド形成成分が共重合したコポリアミド(例えば、コポリアミド6/11、コポリアミド6/12、コポリアミド66/6、コポリアミド66/11、コポリアミド66/12など)などが挙げられる。
【0025】
なお、ポリアミド樹脂は、ポリアミドエラストマー(特に、後述の高分子型帯電防止剤としてのポリアミドエラストマー)を含まない。
【0026】
これらのポリアミド樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリアミド樹脂は、ポリアミド6及びポリアミド66から選択されたアミド形成成分に由来する単位を含む場合が多い。
【0027】
ポリアミド樹脂の数平均分子量は、例えば、ポリスチレン換算で、6,000〜100,000、好ましくは8,000〜50,000、さらに好ましくは10,000〜30,000程度であってもよい。なお、ポリアミド樹脂の分子量は、例えば、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定できる。
【0028】
ポリアミド樹脂は、非晶性であってもよく、結晶性を有していてもよい。ポリアミド樹脂の融点(又は軟化点)は、例えば、200〜280℃(例えば、220〜280℃)、好ましくは230〜270℃、さらに好ましくは240〜260℃程度であってもよい。なお、ポリアミド樹脂の融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
【0029】
ポリアミド樹脂のメルトフローレート(MFR)は、荷重1kg及び230℃の条件下において、例えば、1〜200g/10分、好ましくは5〜150g/10分、さらに好ましくは10〜120g/10分程度であってもよい。
【0030】
ポリアミド樹脂は、通常、ベース樹脂として使用される。ポリアミド樹脂の割合は、熱可塑性樹脂組成物全体に対して、例えば、20〜80重量%、好ましくは25〜70重量%、好ましくは30〜60重量%程度であってもよい。
【0031】
(A2)高分子型帯電防止剤
高分子型帯電防止剤は、帯電防止性及び帯電減衰性に優れているため、静電気力による電子機器への障害を有効に防止できるとともに、成形体の表面に埃などの不純物が付着するのを防止できる。また、高分子型帯電防止剤は、成形体の表面を平滑化し、紙に対する摺動性を向上できる。さらに、高分子型帯電防止剤は、耐衝撃性、成形加工性なども向上できる。なお、前記ポリアミド樹脂と高分子型帯電防止剤とを組み合わせることにより、紙の摺動(特に、高速の摺動)による摩擦力や摩擦熱に対する耐久性(成形体の強度や耐熱性など)も確保できる。
【0032】
高分子型帯電防止剤としては、特に制限されず、例えば、オレフィン系ブロック(例えば、エチレン、プロピレンなどのC2−6オレフィン系単量体で構成されたポリオレフィンブロックなど)と親水性ブロック(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドなどのポリC2−4アルキレンオキシドなど)とのブロック共重合体などであってもよいが、ポリアミド樹脂との親和性の点から、ポリアミドエラストマーが好ましい。
【0033】
ポリアミドエラストマー(ポリアミドブロック共重合体)としては、ハードセグメント(又はハードブロック)としてのポリアミドとソフトセグメント(又はソフトブロック)とで構成されたポリアミドブロック共重合体、例えば、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体、ポリアミド−ポリエステルブロック共重合体、ポリアミド−ポリカーボネートブロック共重合体などが挙げられる。
【0034】
ハードセグメントを構成するポリアミドとしては、前記アミド形成成分の単独又は共重合体(例えば、C6−12アルキレン鎖を含むポリアミド、特に、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、及びポリアミド1010から選択されたアミド形成成分に由来する単位を含むポリアミドなど)が挙げられる。ハードセグメントとしてのポリアミドは、通常、6−アミノヘキサン酸、12−アミノドデカン酸などのC6−12アミノカルボン酸成分由来の単位を含んでいる。
【0035】
ハードセグメントの割合は、全セグメント(ハードセグメント及びソフトセグメントの合計)に対して、例えば、20〜70重量%、好ましくは25〜50重量%程度である。
【0036】
代表的なポリアミドエラストマーは、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体である。ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体において、ポリエーテル(ポリエーテルブロック)としては、例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、又は芳香族ジオールのアルキレンオキシド付加体(ポリアルキレンオキシド)などであってもよい。
【0037】
前記脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−、1,3−、1,4−、又は2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのC2−10アルカンジオールが例示できる。前記脂環族ジオールとしては、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロオクタンジオールなどのジヒドロキシC5−10シクロアルカン又はジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−10シクロアルカンなどが例示できる。前記芳香族ジオールとしては、ジヒドロキシアレーン(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ナフタレンジオールなどのジヒドロキシC6−10アレーンなど)、ジヒドロキシビアリール(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1’−ビ−2−ナフトールなどのジヒドロキシビC6−10アリールなど)、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン[ビスフェノールA、B、C、F、S、ADなどのビス(ヒドロキシC6−10アリール)C1−4アルカンなど]などが例示できる。
【0038】
前記ジオールに付加するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのC2−6アルキレンオキシドなどが例示できる。アルキレンオキシドは、必要により、置換基(エポキシ基など)で置換されていてもよい。これらのアルキレンオキシドは、単独で又は二種以上組み合わせて、前記ジオールに付加してもよい。2種以上のアルキレンオキシドが付加する場合の付加形式は、ランダム及び/又はブロックのいずれであってもよい。これらのアルキレンオキシドのうち、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシドが好ましい。
【0039】
アルキレンオキシドの平均付加モル数は、1〜300(例えば、5〜200)、好ましくは10〜150、さらに好ましくは10〜100(例えば、20〜80)程度であってもよい。
【0040】
代表的なポリエーテル(又はポリエーテルブロック)は、脂肪族ジオールのアルキレンオキシド付加体(ポリアルキレングリコール)などである。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリC2−6アルキレングリコール(好ましくはポリC2−4アルキレングリコール)などが挙げられる。
【0041】
ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体としては、例えば、反応性末端基を有するポリアミドブロックと反応性末端基を有するポリエーテルブロックとの共重縮合により得られるブロック共重合体、例えば、ポリエーテルアミド(例えば、ジアミン末端を有するポリアミドブロックとジカルボキシル末端を有するポリエーテルブロックとのブロック共重合体、ジカルボキシル末端を有するポリアミドブロックとジアミン末端を有するポリエーテルブロックとのブロック共重合体など)、ポリエーテルエステルアミド(ジカルボキシル末端を有するポリアミドブロックとジヒドロキシ末端を有するポリエーテルブロック)とのブロック共重合体などが挙げられる。好ましいポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体は、ポリエーテルエステルアミドである。
【0042】
これらの高分子型帯電防止剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0043】
高分子型帯電防止剤[例えば、ポリアミドエラストマー(ポリアミドブロック共重合体)]の数平均分子量は、ポリスチレン換算で、1000以上(例えば、1000〜100000)、好ましくは2000〜60000、さらに好ましくは2000〜50000(例えば、3000〜20000)程度である。なお、高分子型帯電防止剤の分子量は、例えば、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定できる。
【0044】
高分子型帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー)の融点は、例えば、150〜250℃、好ましくは160〜240℃、さらに好ましくは170〜230℃(例えば、180〜220℃)程度であってもよく、200℃以下(例えば、150〜200℃程度)であってもよい。なお、高分子型帯電防止剤の融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
【0045】
高分子型帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー)の表面固有抵抗値(Ω)は、例えば、温度23℃、湿度50%RHで24時間放置したとき、1×10〜1×1010、好ましくは5×10〜1×10、さらに好ましくは1×10〜1×10(例えば、2×10〜5×10)程度であってもよい。
【0046】
前記高分子型帯電防止剤は、単独でも高い帯電防止性を有しているが、さらに金属塩類と組み合わせて用いてもよい。金属塩類を組み合わせると、金属塩類から解離した金属イオンが、高分子型帯電防止剤の親水性ブロック(例えば、ポリエーテルブロックなど)に対して作用してイオン伝導性を発現することにより、帯電防止剤の持続性などをさらに向上できる。なお、このようなイオン伝導性を付与可能な金属塩類は、例えば、特開2003−277622号公報や特開2004−175945号公報などに記載されている金属塩類などを使用できる。
【0047】
金属塩類としては、通常、アルカリ金属塩類、アルカリ土類金属塩類が使用され、特に、ハロゲン含有酸類の金属塩、例えば、過塩素酸アルカリ金属塩(過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウムなど)、過塩素酸アルカリ土類金属塩(過塩素酸マグネシウムなど)、トリフルオロメタンスルホン酸アルカリ金属塩(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタン酸ナトリウムなど)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのアルカリ金属塩[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムなど]、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドのアルカリ金属塩[トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドナトリウムなど]などが挙げられる。これらの金属塩類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属塩類のうち、リチウム塩類、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオメタンスルホニル)イミドリチウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウムなどのフッ素原子及びスルホニル基又はスルホン酸基を有するリチウム金属塩が好ましい。
【0048】
金属塩類の割合は、高分子型帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー)100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度である。
【0049】
高分子型帯電防止剤は、公知の方法により、調製してもよいが、三洋化成工業(株)から商品名「ペレスタットNC6321」「ペレスタットHC6800」などとして入手できる。
【0050】
高分子型帯電防止剤[例えば、ポリアミドエラストマー(例えば、ポリエーテルエステルアミド)]の割合は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、例えば、10〜150重量部程度の範囲から選択でき、10〜100重量部、好ましくは20〜90重量部、さらに好ましくは30〜80重量部(例えば、35〜75重量部)程度であってもよい。また、高分子型帯電防止剤[例えば、ポリアミドエラストマー(例えば、ポリエーテルエステルアミド)]の割合は、熱可塑性樹脂組成物全体に対して、例えば、1〜50重量%(例えば、5〜40重量%)、好ましくは10〜35重量%、さらに好ましくは15〜30重量%程度であってもよい。本発明では、高分子型帯電防止剤の割合が大きくても、機械的強度や耐熱性を充分に確保でき、帯電防止性、表面平滑性、耐衝撃性、成形加工性などを向上できる。
【0051】
(A3)他の熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂組成物は、さらに、ポリアミド樹脂及び高分子型帯電防止剤以外の他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロース誘導体、熱可塑性エラストマーなどが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、成形加工性に優れ、成形体の反りを防止し、寸法精度を向上できる点、及びバリの生成を有効に抑制できる点から、スチレン系樹脂が好ましい。
【0052】
スチレン系樹脂は、芳香族ビニル単量体を主構成単位として形成される単独又は共重合体である。スチレン系樹脂を形成するための芳香族ビニル単量体(又はスチレン系単量体)としては、例えば、スチレン、ベンゼン環にアルキル基が置換したスチレン(例えば、ビニルトルエン、ビニルキシレン、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどのC1−6アルキル置換スチレンなど)、ベンゼン環にハロゲン原子が置換したスチレン(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレンなど)、α位にアルキル基が置換したα−アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレンなどのα−C1−6アルキルスチレンなど)などが例示できる。これらの芳香族ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの単量体のうち、通常、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが使用され、特にスチレンが使用される。
【0053】
前記芳香族ビニル単量体は、共重合可能な単量体と組み合わせて使用してもよい。共重合可能な単量体としては、例えば、シアン化ビニル系単量体[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど]、不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸又はその酸無水物など)、イミド系単量体[例えば、マレイミド、N−アルキルマレイミド(例えば、N−C1−4アルキルマレイミドなど)、N−シクロアルキルマレイミド(例えば、N−C5−10シクロアルキルマレイミドなど)、N−アリールマレイミド(例えば、N−フェニルマレイミドなど)]、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−16アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C5−10シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸C6−10アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸C6−10アラルキル;(メタ)アクリル酸グリシジル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−4アルキルエステルなど]などが例示できる。これらの共重合可能な単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合可能な単量体のうち、少なくとも(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体が汎用される。
【0054】
スチレン系樹脂において、芳香族ビニル単量体(又は芳香族ビニル成分由来の単位)と共重合可能な単量体(又は共重合性成分由来の単位)との割合(モル比)は、例えば、前者/後者=50/50〜99/1、好ましくは60/40〜97/3、さらに好ましくは70/30〜95/5程度であってもよい。
【0055】
スチレン系樹脂は、ゴム含有スチレン系樹脂(又はゴム強化スチレン系樹脂)であってもよい。ゴム含有スチレン系樹脂は、耐衝撃性及び緩衝性を改善するために使用され、前記スチレン系樹脂で構成されたマトリックス中にゴム成分が粒子状に分散した形態を有している。ゴム含有スチレン系樹脂は、例えば、スチレン系樹脂とゴム成分との混合物(又はブレンド物)、又はゴム成分に少なくとも芳香族ビニル単量体を共重合(グラフト重合、ブロック重合など)させた共重合体であってもよいが、通常、ゴム成分に少なくとも芳香族ビニル単量体を、慣用の方法(塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、乳化重合など)によりグラフト重合させたグラフト共重合体(ゴムグラフトポリスチレン系重合体)である。
【0056】
ゴム含有スチレン系樹脂のゴム成分(ゴム状重合体)としては、例えば、ジエン系ゴム[ポリブタジエン(低シス型又は高シス型ポリブタジエン)、ポリイソプレン、共重合ゴム(例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソブチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン−ジエン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体など)]、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム(ポリアクリル酸C2−8アルキルエステルを主成分とする共重合エラストマーなど)、エチレン−α−オレフィン系共重合体[エチレン−プロピレンゴム(EPR)など]、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体[エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など]、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、水添ジエン系ゴム(水素化スチレン−ブタジエン共重合体、水素化ブタジエン系重合体など)、ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。なお、これらのゴム成分において、共重合体はランダム又はブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体は、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型などの構造を有していてもよい。これらのゴム成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0057】
好ましいゴム成分は、ジエン系ゴム(特にブタジエン系ゴム)、例えば、ポリブタジエン(ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体)である。
【0058】
ゴム成分の含有量は、ゴム含有スチレン系樹脂全体に対して、1〜60重量%、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%(例えば、10〜30重量%)程度である。
【0059】
スチレン系樹脂で構成されたマトリックス中に分散するゴム状重合体の形態は、特に限定されず、サラミ構造、コア/シェル構造、オニオン構造などであってもよい。
【0060】
分散相を構成するゴム状重合体の粒子径は、例えば、体積平均粒子径0.5μm以上(例えば、0.5〜30μm)、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.5〜7μm(例えば、0.5〜5μm)程度の範囲から選択できる。また、ゴム状重合体のグラフト率は、5〜150%、好ましくは10〜150%程度である。
【0061】
これらのスチレン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのスチレン系樹脂のうち、ゴム含有スチレン系樹脂が好ましい。代表的なゴム含有スチレン系樹脂は、(i)ゴム成分に、芳香族ビニル単量体がグラフト重合した耐衝撃性ポリスチレン(又はゴム強化ポリスチレン、HIPS)、(ii)ゴム成分に、芳香族ビニル単量体と、シアン化ビニル系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸C1−4アルキルなど]と、必要により不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物、及び/又はイミド系単量体とが重合(グラフト重合など)した重合体が挙げられる。これらのゴム含有スチレン系樹脂としては、具体的には、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂)、変性ABS樹脂[例えば、メタクリル酸メチル変性ABS樹脂(透明ABS樹脂)、カルボン酸変性ABS樹脂、無水カルボン酸変性ABS樹脂、イミド変性ABS樹脂など]、AXS樹脂[ゴム成分X(アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)にアクリロニトリルAとスチレンSとがグラフト重合した樹脂、例えば、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン樹脂)など]、変性AXS樹脂(例えば、メタクリル酸メチル変性AXS樹脂など)、MBS樹脂(メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂)などが例示できる。
【0062】
ゴム含有スチレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ゴム含有スチレン系樹脂のうち、未変性又は変性ABS樹脂(例えば、未変性又はカルボン酸変性ABS樹脂)が好ましい。
【0063】
ゴム含有スチレン系樹脂において、変性成分[不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物、イミド系単量体など]に由来する単位の割合は、ゴム含有スチレン系樹脂のスチレン系樹脂を形成する単量体全体に対して、例えば、0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜10重量%(例えば、0.1〜10重量%)程度であってもよい。
【0064】
スチレン系樹脂(ゴム含有スチレン系樹脂の場合はマトリックス樹脂)の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000、さらに好ましくは100,000〜500,000程度である。
【0065】
他の熱可塑性樹脂(例えば、スチレン系樹脂)の割合は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、特に限定されず、ポリアミド樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部程度である。
【0066】
(B)添加剤
(B1)充填剤
充填剤(又は充填材又はフィラー)としては、有機充填剤(アラミド繊維、セルロース繊維などの繊維状充填剤;粉粒状充填剤など)、無機充填剤(ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、金属繊維などの繊維状充填剤;タルク、マイカ、ガラスフレークなどの粉粒状充填剤など)などが例示できる。これらの充填剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの充填剤のうち、表面平滑性を向上する点から、ガラス繊維などの繊維状充填剤が好ましい。なお、ガラス繊維などの繊維状充填剤は、表面処理剤(又は集束剤)で表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、カップリング剤(シランカップリング剤など)などが挙げられる。これらの表面処理剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0067】
繊維状充填剤の平均繊維径は、例えば、1〜30μm、好ましくは5〜20μm、さらに好ましくは10〜15μm程度であってもよい。
【0068】
繊維状充填剤は、短繊維(チョップド繊維)であってもよく、長繊維であってもよい。なお、ガラス繊維などの破断性繊維は、溶融混練により繊維長が短くなる場合がある。そのため、混練前の短繊維の重量平均繊維長は、例えば、0.01〜10mm、好ましくは0.05〜5mm(例えば、0.1〜4mm)程度であってもよい。繊維状充填剤として短繊維を含む樹脂組成物を溶融混練し成形された紙搬送部材において、繊維状充填剤の重量平均繊維長は、例えば、0.01〜1mm、好ましくは0.1〜1mm、さらに好ましくは0.1〜0.8mm程度であってもよい。
【0069】
長繊維が長さ方向に束ねられ、樹脂が含浸し一体化された繊維束を含む樹脂組成物ペレットのペレット長(混練前の長繊維の重量平均繊維長)は、例えば、4〜50mm、好ましくは5〜45mm(例えば、10〜40mm)程度であってもよい。繊維状充填剤として長繊維を含む樹脂組成物を溶融混練し成形された紙搬送部材において、繊維状充填剤の重量平均繊維長は、例えば、0.1〜10mm、好ましくは0.3〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mm程度であってもよい。
【0070】
なお、重量平均繊維長は、慣用の方法、例えば、繊維状充填剤(成形体の場合、繊維状充填剤の融点以下の温度で樹脂を焼却し、残存した繊維状充填剤など)を分散させた分散体について、所定サイズの顕微鏡写真を撮影し、200本の繊維長を測定し、下記式に基づいて算出できる。
【0071】
重量平均繊維長=(ΣNi×Li)/(ΣNi×Li)
(式中、Liは各繊維の繊維長を示し、Niは繊維長Liの本数を示す)
充填剤の割合は、樹脂成分全体[(A1)ポリアミド樹脂と(A2)高分子型帯電防止剤と(A3)他の熱可塑性樹脂との合計]100重量部に対して、例えば、10〜70重量部程度の範囲から選択でき、10〜60重量部、好ましくは15〜55重量部、さらに好ましくは20〜50重量部程度であってもよい。また、充填剤の割合は、熱可塑性樹脂組成物全体に対して、例えば、10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜35重量%程度であってもよい。
【0072】
(B2)他の添加剤
熱可塑性樹脂組成物は、必要であれば、充填剤以外の他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、低分子型帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、架橋剤、核剤、カップリング剤、滑剤、摺動剤(球状シリコーンゴム粒子又はシリコーン樹脂粒子などの粒子状摺動剤など)、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、流動性改良剤、着色剤(染料など)、分散剤、抗菌剤、防腐剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。熱可塑性樹脂組成物は、例えば、前記添加剤のうち、相溶化剤及び難燃剤から選択された少なくとも一種を含んでいてもよい。
【0073】
相溶化剤は、通常、熱可塑性樹脂組成物が(A3)他の熱可塑性樹脂を含む場合に使用される。相溶化剤としては、複数の熱可塑性樹脂を相溶可能であれば、特に制限されない。例えば、熱可塑性樹脂組成物がスチレン系樹脂(例えば、ABS樹脂などのゴム成分に芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル系単量体とがグラフト重合した樹脂)を含む場合、相溶化剤として、前記スチレン系樹脂とは異種の樹脂[例えば、変性AS樹脂(カルボン酸変性AS樹脂、無水カルボン酸変性AS樹脂、イミド変性AS樹脂など)、変性ABS樹脂(カルボン酸変性ABS樹脂、無水カルボン酸変性ABS樹脂、イミド変性ABS樹脂など)など]を含んでいてもよい。相溶化剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0074】
相溶化剤の割合は、(A3)他の熱可塑性樹脂(例えば、スチレン系樹脂)100重量部に対して、0.1〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部、さらに好ましくは40〜60重量部程度である。また、相溶化剤の割合は、樹脂成分全体[(A1)ポリアミド樹脂と(A2)高分子型帯電防止剤と(A3)他の熱可塑性樹脂との合計]に対して、例えば、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%程度であってもよい。
【0075】
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤[例えば、臭素系難燃剤(例えば、テトラブロモビスフェノールA、トリブロモフェニルアリルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(テトラブロモフタルイミド)エタン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、デカブロモジフェニルエーテルなどの臭素化低分子化合物;臭素化ポリスチレン系樹脂、臭素化ポリカーボネート系樹脂、臭素化エポキシ樹脂などの臭素化樹脂など);パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩、トリハロベンゼンスルホン酸金属塩などのハロゲン含有有機酸金属塩系難燃剤など]、リン系難燃剤{例えば、無機リン系難燃剤(赤リンなど)、有機リン系難燃剤[芳香族リン酸エステル類(縮合リン酸エステル及びハロゲン化芳香族リン酸エステルも含む)、例えば、トリフェニルホスフェートなどのトリ(アリール)ホスフェート又はトリ(アルキル置換アリール)ホスフェート;レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)などのアリーレンビス(アリール)ホスフェート又はアリーレンビス(アルキル置換アリール)ホスフェート;4,4’−ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)などのビスフェノールビス(アリール)ホスフェート又はビスフェノールビス(アルキル置換アリール)ホスフェートなど]}などが例示できる。これらの難燃剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの難燃剤のうち、ハロゲン化難燃剤(特に臭素系難燃剤)などが汎用される。
【0076】
難燃剤の割合は、樹脂成分全体[(A1)ポリアミド樹脂と(A2)高分子型帯電防止剤と(A3)他の熱可塑性樹脂との合計]に対して、例えば、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%程度であってもよい。
【0077】
難燃剤は、必要に応じて難燃助剤と組み合わせて用いてもよい。ハロゲン系難燃剤と組み合わせるのに好適な難燃助剤は、アンチモン含有化合物である。アンチモン含有化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどの酸化アンチモン;アンチモン酸ナトリウムなどのアンチモン酸金属塩などが挙げられる。これらのアンチモン含有化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい難燃助剤は、酸化アンチモン(特に三酸化アンチモン)である。
【0078】
難燃助剤の割合は、難燃剤100重量部に対して、1〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、10〜40重量部、好ましくは20〜30重量部程度であってもよい。
【0079】
[紙搬送部材の製造方法]
紙搬送部材を形成するための熱可塑性樹脂組成物は、慣用の方法、例えば、各成分を混合することにより調製できる。具体的には、必要により各成分を混合機(タンブラー、V型ブレンダー、押出混合機など)で予備混合し、溶融混練機(一軸又は二軸押出機など)で溶融混練することにより調製できる。溶融混練温度は、樹脂成分の融点以上の温度、例えば、250〜350℃、好ましくは260〜340℃程度であってもよい。溶融混練温度がこのような範囲にあると、例えば、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体のエーテル結合の切断を防止できる。なお、溶融混練物は、慣用のペレット化手段(ペレタイザーなど)でペレット化してもよい。
【0080】
紙搬送部材は、前記熱可塑性樹脂組成物を成形することにより得ることができる。成形方法としては、特に限定されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、インサート成形などが挙げられる。このような成形法で得られた成形品(一次成形品)は、必要に応じて、自由吹込成形、真空成形、折り曲げ加工、圧空成形(圧縮空気圧成形)、マッチモールド成形、熱板成形などの慣用の熱成形などで二次成形してもよい。これらの成形方法のうち、射出成形が好ましい。本発明では、前記熱可塑性樹脂組成物がポリアミド系樹脂を含んでいるにも拘わらず、通常の射出成形により、バリの生成を有効に抑制できる。そのため、本発明では、バリを除去する工程が不要であり、表面平滑性に優れた紙搬送部材を高い生産性で製造できる。
【0081】
紙搬送部材は、通常、紙を案内する案内部(凹部、案内溝又は案内壁など)を有する成形品である。紙搬送部材の形状は、特に限定されず、フィルム状又はシート状などの二次元構造であってもよく、紙との接触部(又は通紙部)を有する立体形状(板状など)などの三次元構造などであってもよい。
【0082】
本発明の紙搬送部材は、前記熱可塑性樹脂組成物により形成されているため、帯電防止性、耐摩耗性、表面平滑性などに優れている。例えば、本発明の紙搬送部材は、帯電防止性が高く、表面固有抵抗値は、温度23℃、湿度50%の条件で、例えば、1×10〜1×1012Ω、好ましくは2×10〜5×1011Ω、さらに好ましくは5×10〜1×1011Ω程度であり、体積固有抵抗値は、温度23℃、湿度50%の条件で、例えば、1×10〜5×10Ω・m、好ましくは2×10〜1×10Ω・m、さらに好ましくは5×10〜5×10Ω・m程度である。また、本発明の紙搬送部材は、帯電減衰率が短く、JIS L1094の半減期測定法に準拠して、例えば、0.3秒以下、好ましくは0.2秒以下、さらに好ましくは0.18秒以下(例えば、検出限界〜0.18秒程度)である。さらに、本発明の紙搬送部材は、表面平滑性が高く、表面平滑性の指標となる光沢度は、JIS K7105に準拠して、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上(例えば、85〜99%程度)である。
【0083】
紙搬送部材は、単独で、又は相手材と組み合わせて複合成形体として、紙搬送部(又は通紙部)を有する電子機器[例えば、コピー機(特に高速複写機又は電子方式を利用した印刷機)、ファクシミリ、スキャナ、又はこれらの複合機などの画像形成装置;印刷機の紙送り装置(通紙装置);現金自動預け払い機(ATM)、両替機、自動販売機などの紙幣計数機、投票用紙計数機などの計数機など]の構成部品に適用できる。
【0084】
紙搬送部材の通紙部を紙が通過する速度(通紙スピード)は、紙幣の場合、例えば、0.1〜5m/秒、好ましくは0.3〜3m/秒、さらに好ましくは0.5〜2m/秒程度であり、紙幣以外の紙の場合、例えば、0.1〜10m/秒、好ましくは0.5〜8m/秒、さらに好ましくは0.5〜5m/秒程度である。本発明では、通紙スピードが大きくても、紙搬送部品の帯電を防止し、摩耗を抑制できるため、紙詰まりを防止したり、紙を正確にカウントできる。
【実施例】
【0085】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における各評価項目の評価方法、及び用いた各成分の内容は以下の通りである。
【0086】
[引張強さ及び引張呼び歪み]
引張強さ(引張弾性率、MPa)及び引張呼び歪み(引張破壊時呼び歪み、%)は、JIS K7113に準拠した方法で測定した。
【0087】
[曲げ強さ及び曲げ弾性率]
曲げ強さ(MPa)及び曲げ弾性率(MPa)は、ISO178に準拠した方法で測定した。
【0088】
[シャルピー衝撃値]
シャルピー衝撃値(kJ/m)は、ISO179に準拠した方法で測定した。
【0089】
[HDT(加熱変形温度)]
HDTは、ISO75に準拠し、荷重1.8MPaで測定した。
【0090】
[比重]
比重は、JIS K7112に準拠した方法で測定した。
【0091】
[表面固有抵抗]
表面固有抵抗(Ω/□)は、JIS K6911に準拠した方法で測定した。
【0092】
[体積固有抵抗]
体積固有抵抗(Ω・m)は、JIS K7194に準拠した方法で測定した。
【0093】
[バリ]
縦120mm×横120mm×厚み3mmの成形品を金型温度120℃で射出成形した時のバリの長さをキーエンス社製デジタルマイクロスコープYHX−200により測定した。なお、バリの長さは、任意に選択した3箇所で測定した値の平均値とした。
【0094】
[燃焼性]
米国アンダーライターラボラトリーズ発行のUL94に準拠した方法で、1.5mmの厚みの試験片について燃焼試験を実施した。この燃焼試験では、試験片のゲート側より着火した。
【0095】
[表面平滑性]
表面平滑性は、JIS K7105に準拠した方法で光沢度を測定することにより評価した。
【0096】
[帯電減衰率]
帯電減衰率(秒)は、JIS L1094の半減期測定法に準拠して測定した。
【0097】
[摺動性]
往復動摩擦摩耗試験機(オリエンテック社製、AFT−15MS、可動速度50mm/秒、ストローク(往復長)100mm)を用いて、円柱金属片(10mmφ)の先端に両面テープで貼り付けた紙片を、100gの荷重を作用させて、試験片(90mm×50mm×3mm)上を5000回往復摺動させた。なお、紙片としては、フォントサイズ10のアルファベットが印刷されたペーパーバックの1頁を所定サイズに切り取った紙片を用いた。
【0098】
摺動性は、往復摺動後の紙片の摩耗状態により評価した。具体的には、紙片のうち円柱金属片と接触する面の裏面内(10mmφの円内)の15〜20個程度の文字の削れ度合い(又は擦れ度合い)を以下の基準で評価し、削れ度合いの平均値(全文字に対する平均値及び削れた文字に対する平均値)を算出して評価した。
スコア(レベル)「0」…目視では、文字の削れは認められない
スコア(レベル)「1」…文字に若干の削れが認められる
スコア(レベル)「2」…文字に明らかな削れが認められる
スコア(レベル)「3」…文字の削れは激しいが、文字の判別はできる
スコア(レベル)「4」…文字の削れが激しく、文字が判別できない。
【0099】
[各成分の内容]
ポリアミド樹脂(ユニチカ(株)製、UN1020、ポリアミド6)
スチレン系樹脂1(テクノポリマー(株)製、DPG168、ABS樹脂)
スチレン系樹脂2(テクノポリマー(株)製、DPT651、カルボン酸変性ABS樹脂)
高分子型帯電防止剤1(三洋化成工業(株)製、ポリエーテルエステルアミド、ペレスタットNC6321)
高分子型帯電防止剤2(三洋化成工業(株)製、ポリエーテルエステルアミド、ペレスタットHC6800)
難燃剤(アルベマール日本(株)製、臭素系難燃剤、セイテックスS8010)
難燃助剤(東湖産業(株)製、三酸化アンチモン、APP)
充填剤(エヌ・エス・ジー・ヴェトロテックス(株)製、ガラス繊維、RES03−TP27、平均繊維径13μm、平均繊維長7mm)。
【0100】
実施例1〜5及び比較例1〜15
各成分を表1〜3に示す割合で、溶融混練機((株)日本製鋼所製、二軸押出機、TEX30α)で溶融混練し、ペレット化した。このペレットを射出成形機(住友重機械工業(株)製、SH−NIV−1・100)で射出成形することにより、試験片を作製した。結果を表1〜4に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

【0104】
【表4】

【0105】
なお、表4中、符号「*1〜*5」で示す各数値は文字の削れ度であり、符号「*6」で示すSは、S=n1+n2+n3+n4であり、符号「*7」で示すn(all)は、n(all)=S/N(all)であり、符号「*8」で示すn(wear)は、n(wear)=S/N(wear)である。
【0106】
表1〜4から明らかなように、比較例に比べ、実施例では、表面固有抵抗及び体積固有抵抗が小さく、帯電減衰時間も短いため、帯電防止性に優れる。また、実施例では、表面平滑性に優れ、バリの生成も有効に抑制されている。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の紙搬送部材は、帯電防止性、耐摩耗性、表面平滑性に優れているため、紙との接触部(又は通紙部)を有する電子機器[例えば、コピー機(特に高速複写機又は電子方式を利用した印刷機)、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ、又はこれらの複合機などの画像形成装置;現金自動預け払い機(ATM)、両替機、自動販売機などの紙幣計数機、投票用紙計数機などの数計数機など]に用いられる部品として好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂と高分子型帯電防止剤と充填剤とを含む熱可塑性樹脂組成物で形成された紙搬送部材。
【請求項2】
高分子型帯電防止剤がポリアミドエラストマーである請求項1記載の紙搬送部材。
【請求項3】
ポリアミドエラストマーがポリエーテルエステルアミドである請求項2記載の紙搬送部材。
【請求項4】
ポリアミドエラストマーの融点が200℃以下である請求項2記載の紙搬送部材。
【請求項5】
充填剤がガラス繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の紙搬送部材。
【請求項6】
高分子型帯電防止剤の割合が、ポリアミド樹脂100重量部に対して、10〜150重量部であり、充填剤の割合が、熱可塑性樹脂組成物全体に対して、10〜50重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の紙搬送部材。
【請求項7】
熱可塑性樹脂組成物が、さらにスチレン系樹脂を含む請求項1〜6のいずれかに記載の紙搬送部材。
【請求項8】
スチレン系樹脂が、ゴム成分に、少なくとも芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体とがグラフト重合したグラフト共重合体である請求項7記載の紙搬送部材。
【請求項9】
熱可塑性樹脂組成物が、さらに難燃剤を含む請求項1〜8のいずれかに記載の紙搬送部材。
【請求項10】
ポリアミド樹脂と高分子型帯電防止剤と充填剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を成形することにより紙搬送部材を製造する方法。
【請求項11】
ポリアミド樹脂と高分子型帯電防止剤と充填剤とを含む熱可塑性樹脂組成物で紙搬送部材を成形することにより、紙搬送部材の表面平滑性を向上させる方法。

【公開番号】特開2012−241153(P2012−241153A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114809(P2011−114809)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(501041528)ダイセルポリマー株式会社 (144)
【Fターム(参考)】