説明

紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法

【課題】動作モードを、ディップスイッチ、専用のカードなどを用いることなく、簡単な操作により切り替え可能な紙幣識別装置を提案すること。
【解決手段】紙幣識別装置1に電源を投入した後の一定時間の間において、紙幣挿入口3に対して紙幣Pの挿入および引き出し操作を繰り返して、動作モード切り替え用の検出出力d6を発生させる。判別部14では、検出出力d6が動作モード記憶部16に記憶されている時間的変化形態D1〜Dnのいずれかに一致するか否かを判別し、動作モード切り替え制御部15では、一致する場合には、当該時間的変化形態に対応付けされている動作モード(D1’〜Dn’)を、紙幣識別処理制御部12にセットする。紙幣Pを用いて入口センサ6の検出出力を所定の状態となるように変化させるという操作によって動作モードを切り替えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、商品券、クーポン券などの各種の紙葉類の種類、真偽、受入の可否などを識別するために用いる紙葉類識別装置に関し、特に、その動作モードを簡単な操作により切り替えることのできる紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙葉類識別装置、例えば、自動販売機、自動両替機、遊技機などに搭載されている紙幣識別装置においては、挿入された紙幣に担持されている光学的情報、磁気的情報などを読み取り、読み取った情報を予め設定されている識別情報と比較して、その種類、真偽、受入の可否などの識別を行うようになっている。
【0003】
紙幣識別装置が組み込まれた機器が設置場所において稼動を開始した後に、紙幣識別装置に設定されている識別仕様を変更する必要が生ずる場合がある。例えば、紙幣の改札から一定期間が経過した場合、旧紙幣の受入を禁止する場合、偽造紙幣の対策のために、特定の紙幣の真偽判定の基準を厳しくする場合などがある。識別仕様を変更する場合には、紙幣識別装置の動作モードを、紙幣の識別を行う通常動作モードから、識別仕様を設定するための識別仕様設定モードに切り替える必要がある。また、識別仕様を設定した後には、所望の識別動作が行われるか否かを確認するために、紙幣識別装置の動作モードを試験動作モードに切り替える必要がある。
【0004】
紙幣識別装置の動作モードを切り替えることができるようにするために、紙幣識別装置には動作モード切り替え用のスイッチが設けられている。例えば、ディップスイッチを用いて動作モードを切り替えるようにしている。かかるスイッチは、不正操作などが行われることの無いように、紙幣識別装置の背面側に配置される。したがって、動作モード切り替え時には、紙幣識別装置が組み込まれている機器から当該紙幣識別装置を外すなどの作業が必要である。
【0005】
そこで、特許文献1には、ディップスイッチなどを用いることなく紙幣識別装置の動作モードを切り替え可能な方法が提案されている。ここに開示の紙葉類識別装置では、本体の識別対象の紙葉類とは異なる専用の承認カードを使用して紙葉類識別装置の動作モードを切り替えるようにしている。
【特許文献1】特開平11−353517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、動作モード切り替えのために、専用の承認カードを用いる方法では、承認カードの作成および保管が必要になる。承認カードを紛失した場合には動作モードの切り替えが出来ないので不便である。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、専用の承認カードを用いることなく、動作モードを切り替えることのできる紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、挿入口に配置された入口センサにより紙葉類が挿入されたことを検出すると、当該入口センサよりも内部の位置において紙葉類の先端をくわえ込み、当該紙葉類を内部に送り込み識別を行う紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法であって、前記挿入口に対して、識別対象の紙葉類あるいはそれ以外の紙葉類を挿入する動作および引き出す動作を繰り返して、前記入口センサの検出出力を、予め定めた時間的変化形態となるように変化させ、前記時間的変化形態で変化する前記入口センサの検出出力を用いて、紙葉類識別装置の動作モードの切り替えを行うことを特徴としている。
【0009】
本発明の方法では、挿入口に配置されている入口センサの検出出力を所定の状態で変化させることにより動作モードを切り替えるようにしている。入口センサの検出出力は、識別対象の紙葉類あるいはそれ以外の紙葉類を挿入口に対して挿入および引き出す動作を繰り返すことにより、変化させることができるので、動作モード切り替えのための専用のカードを用いる必要がない。
【0010】
ここで、動作モードを、2種類の動作モードのいずれかに切り替える場合には、入口センサの検出出力に基づき、動作モードを交互に切り替えるようにすればよい。また、3種類以上の動作モードのいずれかに切り替える場合には、入口センサの検出出力に基づき、サイクリックに動作モードを切り替えるようにすればよい。
【0011】
この代わりに、複数の前記時間的変化形態と、これらの時間的変化形態に対応付けされた複数の動作モードを予め定めておき、前記入口センサの検出出力を、予め定められている時間的変化形態のいずれかに一致するように変化させると、当該時間的変化形態に対応付けされている動作モードに切り替わるようにしてもよい。このようにすれば、多数の動作モードのいずれか一つへの切り替えを効率良く行うことができる。
【0012】
前記時間的変化形態としては、一定時間内における、前記入口センサの検出出力の紙葉類有りを表す状態から紙葉類無しを表す状態への切り替わり回数を採用することができる。この代わりに、一定時間内における、前記入口センサの検出出力の紙葉類無しを表す状態から紙葉類有りを表す状態への切り替わり回数としてもよい。
【0013】
また、前記時間的変化形態としては、前記入口センサの検出出力の紙葉類有りを表す状態から紙葉類無しを表す状態への切り替わり回数および切り替わりの時間間隔を採用することができる。この代わりに、前記入口センサの検出出力の紙葉類無しを表す状態から紙葉類有りを表す状態への切り替わり回数および切り替わりの時間間隔を採用してもよい。
【0014】
次に、入口センサの検出出力が、偶然に、予め定めた時間的変化形態で変化し、この結果動作モードが不必要に切り替わってしまうことを防止するためには、前記紙葉類識別装置に電源を投入した後の一定時間のみ、前記入口センサの検出出力に基づく動作モードの切り替えを行うことが望ましい。
【0015】
また、動作モード切り替え時に、紙葉類が斜めに挿入された場合などにおいては意図する入口センサの検出出力が発生しない可能性がある。このような弊害を解消するためには、前記入口センサを複数配置し、各入口センサの検出出力の合成出力の変化形態に基づき動作モードを切り替えることが有効である。
【0016】
なお、前記紙葉類識別装置の動作モードとして、挿入された紙葉類の種類、真偽などを識別する通常動作モードに加えて、一般的には、次の動作モード(1)および(2)がある。
(1)前記紙葉類識別装置の動作状態を確認するための試験動作モード
(2)前記紙葉類識別装置による紙葉類の種類、真偽などを識別するために用いる識別仕様を設定するための識別仕様設定モード
【0017】
一方、本発明の紙幣識別装置は上記の方法により動作モードの切り替えを行うようになっており、識別対象の紙葉類を挿入するための挿入口と、当該挿入口に挿入された紙葉類の有無を検出するための入口センサと、当該入口センサにより紙葉類の挿入が検出されると、当該入口センサよりも内部の位置において紙葉類の先端をくわえ込み、当該紙葉類を搬送する搬送機構と、当該搬送機構によって搬送される紙葉類に担持されている情報を読み取る読み取りセンサと、当該読み取りセンサによる読み取り情報に基づき、挿入された紙葉類の種類、真偽などの識別を行う識別処理制御部と、前記入口センサの検出出力の時間的変化形態が予め定められている時間的変化形態に一致するか否かを判別する判別部と、一致する場合に、動作モードの切り替えを行う動作モード切り替え制御部とを有していることを特徴としている。
【0018】
ここで、複数の前記時間的変化形態と、これらの時間的変化形態に対応付けされた複数の動作モードとが記憶されている記憶部を有し、前記判別部は、前記入口センサの検出出力の時間的変化形態が、前記記憶部に記憶されている時間的変化形態のいずれかと一致するか否かを判別し、前記動作モード切り替え制御部は、一致する時間的変化形態に対応付けされている前記動作モードへの切り替えを行うことができる。
【0019】
また、前記時間的変化形態は、一定時間内における、前記入口センサの検出出力の紙葉類有りを表す状態から紙葉類無しを表す状態への切り替わり回数とすることができる。この代わりに、一定時間内における、前記入口センサの検出出力の紙葉類無しを表す状態から紙葉類有りを表す状態への切り替わり回数としてもよい。
【0020】
さらに、前記時間的変化形態は、前記入口センサの検出出力の紙葉類有りを表す状態から紙葉類無しを表す状態への切り替わり回数および切り替わりの時間間隔とすることができる。この代わりに、前記入口センサの検出出力の紙葉類無しを表す状態から紙葉類有りを表す状態への切り替わり回数および切り替わりの時間間隔としてもよい。
【0021】
次に、前記動作モード切り替え制御部は、電源投入後の一定時間のみ、前記入口センサの検出出力に基づく動作モードの切り替え制御を行うようにしてもよい。
【0022】
また、複数の前記入口センサを有し、前記判別部は、各入口センサの検出出力の合成出力の変化形態が予め定められている時間的変化形態に一致するか否かを判別することもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、紙葉類を挿入する挿入口に配置されている入口センサの検出出力を利用して、紙葉類識別装置の動作モードを切り替えるようにしている。入口センサの検出出力は、それが配置されている挿入口に対して識別対象の紙葉類あるいはそれ以外の紙葉類を挿入および引き出す動作を繰り返すことにより変化させることができる。したがって、動作モード切り替えのための専用のカードなどを用いることなく、しかも、簡単な操作によって動作モードを切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した紙葉類識別装置の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は本発明を適用した紙幣識別装置を示す全体構成図である。本例の紙幣識別装置1は、その装置ハウジング2の前面に形成した紙幣挿入口3と、ここから挿入された紙幣Pを搬送するための紙幣搬送路4と、この紙幣搬送路4に沿って紙幣Pを搬送する紙幣搬送機構5を有している。
【0026】
紙幣搬送路4における紙幣挿入口3の近傍には、当該紙幣挿入口3に紙幣Pが挿入されたか否かを検出するための入口センサ6が配置されている。紙幣搬送路4の途中位置には、紙幣搬送機構5によって紙幣搬送路4に沿って搬送される紙幣Pに担持されている情報を読み取るための紙幣読取センサ7が配置されている。紙幣搬送機構5は、例えば、左右一対の紙幣搬送ベルト51、当該紙幣搬送ベルト51の紙幣挿入口側の端に押圧されている紙幣押さえローラ52、紙幣搬送ベルト51の他方の端に押圧されている紙幣押さえローラ53などを備えており、入口センサ6よりも内側の位置において、挿入された紙幣Pの先端を紙幣搬送ベルト51と紙幣押さえローラ52の間にくわえ込み、紙幣読取センサ7の側に送り込み可能となっている。
【0027】
紙幣読取センサ7としては、紙幣Pの明暗パターンまたは透過光パターンを形成する光学的特徴を検出する光学センサ、紙幣Pに印刷されたインクの成分によって磁気パターンを形成する磁気的特徴を検出する磁気センサなどを用いることができる。勿論、これら双方のセンサを備えた構成とすることもできる。
【0028】
入口センサ6の検出信号および紙幣読取センサ7の読取情報は、制御ユニット10に供給される。制御ユニット10は、マイクロコンピュータを中心に構成されており、入口センサ6によって紙幣Pが挿入されたことを検出すると、紙幣搬送機構5を駆動して、挿入された紙幣Pの先端をくわえ込み、紙幣搬送路4に沿って送り込む。また、紙幣読取センサ7によって搬送される紙幣Pの担持情報を読み取り、読取情報に基づき紙幣Pの種類、真偽、受入可否の識別処理を行う。紙幣の識別処理においては、紙幣読取センサ7により読み取られた読取情報を、予め設定されている判定基準などの識別仕様と照合することにより、挿入紙幣Pの識別処理を行う。受入可能な真札が挿入されたことを検出すると、紙幣搬送路4の後端4aから後段側の紙幣収納部(図示せず)に紙幣Pを送り出す。受入不可の紙幣であると識別された場合には、紙幣搬送機構5によって紙幣Pを逆方向に搬送して、紙幣挿入口3から紙幣Pを排出する。
【0029】
図2は制御ユニット10の機能ブロック図である。制御ユニット10は、紙幣Pの判定基準などの識別仕様d11が記憶保持されている識別仕様記憶部11と、紙幣読取センサ7で読み取られた紙幣読取情報d7を識別仕様記憶部11に保持されている識別仕様d11に照合して紙幣Pの識別を行う紙幣識別処理制御部12と、この紙幣識別処理制御部12での識別結果に基づいて紙幣搬送機構5を駆動する駆動制御部13とを有している。また、制御ユニット10は、入口センサ6の検出出力の変化状態が、予め設定されている時間的変化形態に一致するか否かを判別するための判別部14と、判別部14の判別結果に基づき、動作モードの切り替え制御を行う動作モード切り替え制御部15を有している。
【0030】
さらに、制御ユニット10は動作モード記憶部16を有している。この動作モード記憶部16には、入口センサ6の検出出力の時間的変化形態として複数の時間的変化形態D1〜Dn(nは正の整数)と、各種の動作モードD1’〜Dn’とが、対応付けした形態で記憶保持されている。判別部14では、入口センサ6の検出出力d6を、動作モード記憶部16に記憶されている時間的変化形態D1〜Dnと比較して、一致するものがあるか否かを判別する。動作モード切り替え制御部15では、一致する時間的変化形態に対応付けされている動作モードとなるように、紙幣識別処理制御部12を切り替える。
【0031】
なお、紙幣識別装置1による識別結果、動作モードの切り替えなどの情報は、当該紙幣識別装置1が組み込まれている機器、あるいは当該紙幣識別機1が接続されている機器(上位の機器)の制御部にも供給される。
【0032】
ここで、紙幣識別装置1の動作モードには、挿入された紙幣の種類、真偽などを識別する通常動作モードD1’に加えて、紙幣識別装置1の動作状態を確認するための試験動作モードD2’、および、紙幣識別装置1による紙幣の種類、真偽などを識別するために用いる識別仕様を設定するための識別仕様設定モードD3’が含まれている。
【0033】
また、時間的変化形態としては、一定時間内における、入口センサ6の検出出力の紙幣有りを表す状態から紙幣無しを表す状態への切り替わり回数を採用することができる。逆への切り替わり回数であってもよい。図3(a)には、かかる時間的変化形態の一例を示してあり、一定時間tにおいて、入口センサ6の検出出力d6が紙幣有りのオン状態から紙幣無しのオフ状態に2回切り替わる場合である。かかる時間的変化形態で入口センサ6の検出出力を変化させるためには、紙幣挿入口3に対して、紙幣Pを挿入して引き出す動作を2回繰り返せばよい。勿論、紙幣P以外の紙葉類を用いても同様な検出出力を得ることができる。
【0034】
時間的変化形態としては、入口センサの検出出力の紙幣有りを表す状態から紙幣無しを表す状態への切り替わり回数および切り替わりの時間間隔を用いることもできる。逆への切り替わり回数と、その切り替わりの時間間隔であってもよい。図3(b)には、かかる時間的変化形態の一例を示してあり、入口センサ6の検出出力が紙幣有りのオン状態から紙幣無しのオフ状態に1回切り替わり、オン状態の時間がt1であり、オフ状態の時間がt2の場合である。かかる時間的変化形態で入口センサ6の検出出力を変化させるためには、紙幣挿入口3に対して、紙幣Pを挿入して引き出す動作を1回行った後に紙幣Pを挿入したままの状態に保持し、最初の挿入時間をt1とし、次に挿入するまでの時間をt2とすればよい。手作業によって紙幣Pの挿入、引き出し操作が行われるので、時間t1、t2としては、充分な許容幅を設けておくことが望ましい。
【0035】
次に、図4は紙幣識別装置1の動作モード切り替え制御動作を中心に示す概略フローチャートである。まず、図4(a)に示すように、紙幣識別装置1に電源が投入されて初期設定が行われた後は、電源投入時から予め定めた時間が経過するまで、動作モード切り替え可能状態に設定され、この時間内において、紙幣Pが挿入されて入口センサ6から動作モード切り替え用の検出出力が得られると、動作モード切り替え制御に移行する(ステップST1→ST3→ST4)。動作モードの切り替え用の検出出力が得られない場合には、時間経過後に自動的に通常の紙幣識別動作モードに設定される(ステップST1→ST2)。
【0036】
次に、図4(b)に示すように、動作モード切り替え制御(ステップST4)においては、まず、入口センサ6からの検出出力を読み込み(ステップST41)、判別部14において、読み込まれた検出出力d6を動作モード記憶部16内の時間的変化形態D1〜Dnと比較する(ステップST42)。一致する時間的変化形態が有る場合には、動作モード切り替え制御部15は、その時間的変化形態に対応付けされている動作モードを読み出して、紙幣識別処理制御部12にセットして、動作モードを切り替える(ステップST43→ST44)。
【0037】
以上説明したように、本例の紙幣識別装置1においては、紙幣挿入口3に配置されている入口センサ6の検出出力d6を利用して動作モードを切り替えるようにしている。検出出力d6は、紙幣Pあるいはその他の紙葉類を紙幣挿入口3に対して挿入する操作および引き出す操作を繰り返すことにより、簡単に変化させることができる。したがって、本例によれば、ディップスイッチや専用のカードを用いることなく、しかも、紙幣などを抜き差しするという簡単な操作によって、動作モードを切り替えることができる。
【0038】
また、電源投入後の一定時間においてのみ動作モードの切り替えを可能としてあるので、通常の紙幣識別動作モードにおいて、偶然に検出出力d6の変化状態が動作モード切り替え用の時間的変化形態に一致して、不必要に動作モードが切り替わってしまうこともない。
【0039】
なお、本例では一個の入口センサ6を配置してあるが、紙幣挿入口3の幅方向に沿って一定間隔で複数個の入口センサ6を配置してもよい。この場合には、各入口センサ6からの検出出力の合成出力を生成し、これを予め記憶されている時間的変化形態と比較すればよい。紙幣挿入口3に対して斜めに紙幣Pの挿入および引き抜きが繰り返された場合などにおいては、操作者の意図するような入口センサ6の検出出力の変化状態を形成できないことがある。複数個の入口センサ6を配置しておけば、斜めに紙幣が挿入された場合においても一方の側の入口センサによって紙幣が検出されるので、操作者の意図した検出出力d6を発生させることができる。
【0040】
また、本例は紙幣識別装置に関するものであるが、紙幣以外の紙葉類、例えば、商品券、クーポン券などの識別を行う紙葉類識別装置に対しても、本発明を同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本例の紙幣識別装置を示す全体構成図である。
【図2】図1に示す制御ユニットの機能ブロック図である。
【図3】図1の紙幣識別装置における動作モード切り替えのために利用可能な検出出力の時間的変化形態の例を示す信号波形図である。
【図4】図1の紙幣識別装置の動作モード切り替え制御を中心に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 紙幣識別装置
2 装置ハウジング
3 紙幣挿入口
4 紙幣搬送路
4a 後端
5 紙幣搬送機構
6 入口センサ
7 紙幣読取センサ
10 制御ユニット
11 識別仕様記憶部
12 紙幣識別処理制御部
13 駆動制御部
14 判別部
15 動作モード切り替え制御部
16 動作モード記憶部
51 紙幣搬送ベルト
52、53 紙幣押さえローラ
P 紙幣
d6 入口センサの検出出力
d7 紙幣読取情報
d11 識別仕様
D1〜Dn 時間的変化形態
D1’〜Dn’ 動作モード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口に配置された入口センサにより紙葉類が挿入されたことを検出すると、当該入口センサよりも内部の位置において紙葉類の先端をくわえ込み、当該紙葉類を内部に送り込み識別を行う紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法であって、
前記挿入口に対して、紙葉類を挿入する動作および引き出す動作を繰り返して、前記入口センサの検出出力を、予め定めた時間的変化形態となるように変化させ、
前記時間的変化形態で変化する前記入口センサの検出出力を用いて、紙葉類識別装置の動作モードの切り替えを行うことを特徴とする紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法。
【請求項2】
請求項1において、
複数の前記時間的変化形態と、これらの時間的変化形態に対応付けされた複数の動作モードを予め定めておき、
前記入口センサの検出出力を、予め定められている時間的変化形態のいずれかに一致するように変化させると、当該時間的変化形態に対応付けされている動作モードに切り替わることを特徴とする紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記時間的変化形態は、
一定時間内における、前記入口センサの検出出力の紙葉類有りを表す状態から紙葉類無しを表す状態への切り替わり回数、または、
一定時間内における、前記入口センサの検出出力の紙葉類無しを表す状態から紙葉類有りを表す状態への切り替わり回数であることを特徴とする紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記時間的変化形態は、
前記入口センサの検出出力の紙葉類有りを表す状態から紙葉類無しを表す状態への切り替わり回数および切り替わりの時間間隔、または、
前記入口センサの検出出力の紙葉類無しを表す状態から紙葉類有りを表す状態への切り替わり回数および切り替わりの時間間隔であることを特徴とする紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記紙葉類識別装置に電源を投入した後の一定時間のみ、前記入口センサの検出出力に基づく動作モードの切り替えを行うことを特徴とする紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちのいずれかの項において、
前記入口センサを複数配置し、
各入口センサの検出出力の合成出力の変化形態に基づき動作モードを切り替えることを特徴とする紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項において、
前記紙葉類識別装置の動作モードには、挿入された紙葉類の種類、真偽などを識別する通常動作モードに加えて、次の動作モード(1)および(2)のうちの少なくとも一つが含まれていることを特徴とする紙葉類識別装置の動作モード切り替え方法。
(1)前記紙葉類識別装置の動作状態を確認するための試験動作モード
(2)前記紙葉類識別装置による紙葉類の種類、真偽などを識別するために用いる識別仕様を設定するための識別仕様設定モード
【請求項8】
識別対象の紙葉類を挿入するための挿入口と、
当該挿入口に挿入された紙葉類の有無を検出するための入口センサと、
当該入口センサにより紙葉類の挿入が検出されると、当該入口センサよりも内部の位置において紙葉類の先端をくわえ込み、当該紙葉類を搬送する搬送機構と、
当該搬送機構によって搬送される紙葉類に担持されている情報を読み取る読取センサと、
当該読取センサによる読取情報に基づき、挿入された紙葉類の種類、真偽などの識別を行う識別処理制御部と、
前記入口センサの検出出力の時間的変化形態が予め定められている時間的変化形態に一致するか否かを判別する判別部と、
一致する場合に、動作モードの切り替えを行う動作モード切り替え制御部とを有していることを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項9】
請求項8において、
複数の前記時間的変化形態と、これらの時間的変化形態に対応付けされた複数の動作モードとが記憶されている記憶部を有し、
前記判別部は、前記入口センサの検出出力の時間的変化形態が、前記記憶部に記憶されている時間的変化形態のいずれかと一致するか否かを判別し、
前記動作モード切り替え制御部は、一致する時間的変化形態に対応付けされている前記動作モードへの切り替えを行うことを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項10】
請求項8または9において、
前記時間的変化形態は、
一定時間内における、前記入口センサの検出出力の紙葉類有りを表す状態から紙葉類無しを表す状態への切り替わり回数、または、
一定時間内における、前記入口センサの検出出力の紙葉類無しを表す状態から紙葉類有りを表す状態への切り替わり回数であることを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項11】
請求項8または9において、
前記時間的変化形態は、
前記入口センサの検出出力の紙葉類有りを表す状態から紙葉類無しを表す状態への切り替わり回数および切り替わりの時間間隔、または、
前記入口センサの検出出力の紙葉類無しを表す状態から紙葉類有りを表す状態への切り替わり回数および切り替わりの時間間隔であることを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項12】
請求項8ないし11のうちのいずれかの項において、
前記動作モード切り替え制御部は、電源投入後の一定時間のみ、前記入口センサの検出出力に基づく動作モードの切り替え制御を行うことを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項13】
請求項8ないし12のうちのいずれかの項において、
複数の前記入口センサを有しており、
前記判別部は、各入口センサの検出出力の合成出力の変化形態が予め定められている時間的変化形態に一致するか否かを判別することを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項14】
請求項8ないし13のうちのいずれかの項において、
前記動作モードには、挿入された紙葉類の種類、真偽などを識別する通常動作モードに加えて、次の動作モード(1)および(2)のうちの少なくとも一つが含まれていることを特徴とする紙葉類識別装置。
(1)前記紙葉類識別装置の動作状態を確認するための試験動作モード
(2)前記紙葉類識別装置による紙葉類の種類、真偽などを識別するために用いる識別仕様を設定するための識別仕様設定モード

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−115054(P2007−115054A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306256(P2005−306256)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】