説明

紫外線障害抑制剤

【課題】紫外線照射による皮膚の様々な障害を、抑制、改善または治癒する効果を有する新規な紫外線障害抑制剤、並びに、それを用いた皮膚外用剤、化粧品、食品、老化防止剤、浴用剤及び石鹸を提供すること。
【解決手段】本発明の紫外線障害抑制剤は、クミスクチンからの抽出物を有効成分として含有する、又は、パフィアからの抽出物を有効成分として含有するものである。また、本発明に係る皮膚外用剤その他の物は、クミスクチン又はパフィア由来の紫外線障害抑制剤を含有するものである。これらの紫外線障害抑制剤によれば、ヒト皮膚の真皮及び表皮におけるUV−B障害を抑制等することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来の抽出物を有効成分とする紫外線障害抑制剤、並びに、該抑制剤を含有する皮膚外用剤、化粧品、食品、老化防止剤、浴用剤及び石鹸に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚の構造は、外側から「表皮」、「真皮」及び「皮下組織」の三層に分かれている。表皮の厚さは0.2mm〜0.07mmで、外側から角質層、顆粒層、有棘層および基底層から成っている。表皮の最上層にあたる角質層は、皮膚の最も外側にあって、厚さ約0.02mmで、10数枚から20枚の薄い角質細胞が層状に重なり合って形成されている。正常な角質層は異物の侵入を防ぐ等のバリア機能を有しており、肌健康を維持するうえで大変重要な層である。表皮は外部環境に晒されており、外部環境に応じて皮脂腺や汗腺を開口させて皮脂や汗を分泌する。皮膚のターンオーバー(新陳代謝)は表皮の最下層の基底層で生まれて、一定の周期で最上層の角質層へ押し上げられ、やがて剥がれ落ちていく。皮膚表面には皮脂膜が広がっており、この皮脂膜は、皮脂や汗から構成された天然のクリームであり、乾燥や外部の刺激から肌を守っている。
【0003】
表皮の下に保護され外部からのダメージを受けにくい真皮は、水分を保持して皮膚の機能を支えている。この真皮に存在する線維芽細胞で生成されたコラーゲンやエラスチンといった線維成分とヒアルロン酸など保湿成分により、皮膚の弾力性を保持するスポンジ構造を形成している。
【0004】
このようにヒトの皮膚は、それぞれの層において、肌を保護し健やかに保ち、免疫情報を介して生体を防御する機能を有している。
【0005】
ところで、紫外線は人体に対して様々な弊害を及ぼすことが知られている。この紫外線は、波長の長さによって、紫外線A(UV−A,315〜400nm)、紫外線B(UV−B,280〜315nm)及び紫外線C(UV−C,100〜280nm)の3種類に分けられる。一般に波長が短ければ短いほど、紫外線が人体に与える影響が強いが、紫外線Cはオゾン層によって吸収され、地上にはほとんど届かないため、今のところ問題視はされていない。
【0006】
ヒトが浴びている紫外線のうち、約90%以上は紫外線Aである。紫外線Aは1年中降り注いでおり、波長が長いため、気候に関係なく地上まで届き、窓ガラスを通り抜けて室内にまで届く。この紫外線Aは皮膚の奥深くの真皮まで到達し、肌のハリや弾力にとって重要な働きをするコラーゲン・エラスチン線維を切断し、シワ、肌の乾燥、たるみや老化の原因になる。また、ケラチノサイトを刺激して、サイトカインを産生し、メラニン産生を促進するため、シミの原因となる。更に、活性酸素を発生させ、遺伝子を傷つけるなどして、皮膚の免疫力を低下させる。遺伝子の損傷が激しい場合には、アポトーシスが誘導される。
【0007】
紫外線Bの多くはオゾン層によって吸収されるが、近年のオゾン層破壊により、地表にも少し届くようになった。紫外線Bは真皮には到達せず表皮に作用するに過ぎないが、紫外線Bの有害性は、紫外線Aの100〜1000倍といわれている。紫外線Bは、シミ、シワ、肌の乾燥などの美容に悪影響を及ぼすだけでなく、メラニンの生成を過剰にするほか、免疫力の低下、皮膚がん、白内障などの病気とも深くかかわっている。
【0008】
したがって、紫外線(UV−A,UV−B)により生じる障害を防止することは、皮膚のシミ、シワ、たるみ、乾燥等を防ぎ、肌の老化を防止することにつながるだけでなく、免疫力の維持、皮膚がんの予防等にもつながる。
【0009】
一般的に、このような紫外線の悪影響から皮膚を保護するために、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤等が含まれる日焼け止め剤が使用されている。紫外線散乱剤とは、肌を覆うことで、紫外線を反射して皮膚への浸透を防ぐものであり、酸化チタンあるいは酸化亜鉛等の白色の無機粉体が使用されている。紫外線吸収剤とは、紫外線を吸収し、熱エネルギーに変えて放出することで、皮膚への浸透を防止するものである。これには、ベンゾフェノン誘導体等の合成化合物のほか、天然系のものも使用されている。例えば、特許文献1(特開平8−120255号公報)は、金銀花、杜仲葉、パセリ葉、グァバ葉及びマテ葉からの抽出物を天然系の紫外線吸収剤として使用できることを開示する。
【0010】
しかしながら、紫外線散乱剤および紫外線吸収剤には、効果の持続性に限界があること及び肌への負担が大きいこと等の問題があった。また、これらは紫外線に対して予防的に使用するものであり、一旦紫外線を浴びた後には何の効力も発揮し得ず、かかる日焼け止め剤を使用したとしてもなお、紫外線による障害を受ける可能性が存在していた。そのため、紫外線曝露後の障害を抑制、改善ないし治癒する効果を持つ製剤が求められていた。
【0011】
このような要請に基づいてこれまでに、紫外線による障害を抑制等する効果を持つものとして、杜仲抽出物を含むもの(特開2001−348336)、ラン科カトレヤの抽出物を有効成分とするもの(特開2006−282538)、及び、ヒラマメ、ベンガルボダイジュ、サルサパリラ、ホーリーバジル又はミムソプス・エレンギの抽出物を有効成分とするもの(特開2008−184440)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−120255号公報
【特許文献2】特開2001−348336号公報
【特許文献3】特開2006−282538号公報
【特許文献4】特開2008−184440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、紫外線照射による皮膚の様々な障害を、抑制、改善または治癒する効果を有する新規な紫外線障害抑制剤を提供することを目的とする。また、紫外線照射による皮膚の様々な障害を、抑制、改善または治癒する効果を有する皮膚外用剤、化粧品、食品、老化防止剤、浴用剤及び石鹸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、クミスクチン(Kumiskuhing)またはパフィア(Pfaffia)からの抽出物についての研究から生まれたものである。即ち、本発明は、クミスクチンまたはパフィアからの抽出物を有効成分として含有する紫外線障害抑制剤である。また、本発明は、かかる紫外線障害抑制剤を含有する皮膚外用剤、化粧品、食品、老化防止剤、浴用剤及び石鹸である。
【0015】
なお、本発明における「紫外線障害抑制」とは、紫外線による皮膚障害を抑制することを意味するのは勿論のこと、皮膚障害の改善や皮膚障害の治癒をも含むことを意味するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の紫外線障害抑制剤、並びに、それを用いた皮膚外用剤、化粧品、食品、老化防止剤、浴用剤及び石鹸によれば、紫外線照射による皮膚の様々な障害を、抑制、改善または治癒することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】紫外線障害抑制効果の確認試験の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の詳細な内容とその実施形態について説明する。
本発明は、クミスクチン又はパフィアの抽出物を有効成分として含有する紫外線障害抑制剤に関する。
【0019】
本発明に用いるクミスクチン(Kumiskuhing)は、学名がOrthosiphon aristatusである東南アジア原産のシソ科の多年草植物であり、ネコノヒゲとも呼ばれている。インドから東南アジア、オーストラリア北部等で栽培されており、日本では沖縄や温室で栽培されている。古くから民間薬として、腎炎、尿路結石、膀胱炎、むくみ、水虫、関節炎などに使用されてきた。
【0020】
また、本発明に用いるパフィア(Pfaffia)は、学名がPfaffia Paniculataであるブラジル原産のヒユ科の多年草植物であり、ブラジルニンジン、アマゾンニンジン、スマ等とも呼ばれている。古くから滋養強壮に用いられてきた。
【0021】
なお、本発明で使用するこれらの植物の産地(入手先)は、当然のことながら特に限定されるものではない。クミスクチン及びパフィアは、葉、茎、芽、花、木質部、木皮部(樹皮)などの地上部及び根、塊茎などの地下部、種子、果実、樹脂などすべての部位(以下「原体」と称する)が使用可能であるが、クミスクチンの場合には、好ましくは葉が用いられ、パフィアの場合には、好ましくは根が用いられる。
【0022】
植物の抽出物の調整方法は、原体を乾燥し又は乾燥することなく粉砕した後、常温又は加温下に、溶剤により抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得ることができる。ここで、使用される溶剤は特に限定されず、例えば、水(精製水)、メチルアルコール、エチルアルコール等の1級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール、酢酸エチルエステル等の低級アルキルエステル、ベンゼン、へキサン等の炭化水素、エチルエーテル、アセトン等の公知の溶媒が挙げられ、これら溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
原体からの好ましい抽出方法としては、各植物の乾燥粉砕物0.1〜10kgに対して1〜100倍の溶媒を加え、5〜121℃で0.5〜24時間抽出する。抽出後、濾過を行って固形物を取り除き抽出液を得る。このようにして得られた抽出物は、抽出された溶液のまま使用してもよいが、必要により、効果に影響のない範囲で、さらに、濾液をエバポレーター等で減圧濃縮を行った後、噴霧乾燥してエキス粉末として使用することができる。また、液体クロマトグラフィー等により、成分に分離した上で、活性の高い分画のみを用いることもできる。
【0024】
本発明の紫外線障害抑制剤は、クミスクチン又はパフィアの抽出物を有効成分として含有し、賦形剤等の添加物と混合して非経口投与、経口投与又は外部投与に適した、例えば、医薬品、医薬部外品、食品、皮膚外用品、化粧品等の形で使用することができる。
【0025】
本発明の紫外線障害抑制剤は、紫外線、特にUV−Bの照射により生じる障害を抑制、改善ないし治癒する効果を有する抑制剤である。
【0026】
本発明の皮膚外用剤は、前記紫外線障害抑制剤を含有し、紫外線、特にUV−Bの照射により生じる障害を改善する作用を有する。
【0027】
本発明の紫外線障害抑制作用を有するクミスクチン又はパフィアの抽出物を含有する組成物を用いた皮膚外用剤及び化粧品は、ローション、懸濁液、乳剤、クリーム、軟膏、粉末等の形態をとることができる。またさらに、柔軟性化粧水、収斂性化粧水、洗浄用化粧水等の化粧水類、エモリエントクリーム、モイスチュアクリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、メイクアップクリーム等のクリーム類、エモリエント乳液、ナリシング乳液、クレンジング乳液等の乳液類、ゼリー状パック、ピールオフパック、洗い流しパック、粉末パック等のパック類、美容液、洗顔料、化粧下地用ローションまたはクリーム、乳液状、クリーム状、軟膏状、固形状の各種ファンデーション等のメイクアップ化粧料、日焼け止めローションまたはクリーム等の日焼け止め化粧料、ハンドローションまたはクリーム、レッグローションまたはクリーム、ボディローションまたはクリーム等のボディ化粧料といった種々の製剤形態として提供することができる(また、リポソームやマイクロカプセルに内包させた状態とすることもできる)。
【0028】
本発明の皮膚外用剤及び化粧品は、常法に従い、様々な形態の基材に本発明の紫外線障害抑制剤を配合して、製剤化することができる。本発明の皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、外用剤又は化粧品に通常用いられる成分を配合することができる。例えば、保湿剤、美白剤、抗酸化剤、防菌防黴剤、紫外線吸収剤、顔料、色素類、香料等、皮膚外用剤添加成分を加えることができる。さらに、油剤、界面活性剤、pH調節剤、セラミド類、擬セラミド類、ステロール類、アルコール類、キレート剤、抗炎症剤、一重項酸素消去剤、防腐剤、増粘剤等を必要に応じて配合することができる。
【0029】
ここで用いる油剤としては特に限定されないが、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、フタル酸ジエチル、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸セチル、乳酸セチル、1−イソステアロイル−3−ミリストイルグリセロール、コレステリルイソステアレート、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸−2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、ジ−パラメトキシ桂皮酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のエステル類;2−ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール、バチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素;ユーカリ油、ハッカ油、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油、アボカド油、ラノリン、牛脂、豚脂、卵黄脂等の油脂;その他ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、パルミチン酸デキストリン、d−δ−トコフェロール;各種シリコーン誘導体などが用いられる。
【0030】
また界面活性剤としては特に限定されないが、ポリオキシエチレン(以下、POEと略記)硬化ヒマシ油、POEアルキルエーテル、POE分岐アルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビトール脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油アルキル硫酸エステル、POEアルキル硫酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルリン酸エステル、POEアルキルリン酸エステル、脂肪酸アルカリ金属塩、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸ナトリウム、エーテル変性シリコーン等が用いられる。
【0031】
pH調節剤としては特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の金属水酸化物、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、L−アルギニン、L−リジン等の塩基性アミノ酸、尿素、ε−アミノカプロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸等が用いられる。なお、本発明の化粧料は、これらによりpH4〜10の領域に調節することが好ましい。
【0032】
セラミド類としては、脳や皮膚から抽出、精製されたものであってもよく、また、化学的方法によって合成されたものでもよい。セラミド類として特に好ましいものとしては、N−オレオイルスフィンゴシン、N−(12−ヒドロキシオクタデカノイル)スフィンゴシン、N−(16−ヒドロキシヘキサデカノイル)スフィンゴシン、牛脳セラミド等が挙げられる。
【0033】
また、本発明の紫外線障害抑制作用を有するクミスクチン又はパフィアの抽出物を含有する組成物は、食品組成物としても利用することができる。食品組成物としては、本発明の紫外線障害抑制作用を有するクミスクチン又はパフィアの抽出物をそのまま液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳、サラダ油、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、粉末状または液状の乳製品、パン、クッキー等に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や栄養補助食品等として利用できる。これらの食品類あるいは食用組成物における本発明の紫外線障害抑制剤の配合量は、当該食品や組成物の種類や状態等により一律に規定しがたいが、好ましくは0.01〜90重量%、より好ましくは0.1〜80重量%である。配合量が0.01重量%未満では経口摂取による所望の効果が小さく、90重量%を超えると食品の種類によっては風味を損なったり当該食品を調製できなくなったりする場合がある。
【0034】
また、本発明の紫外線障害抑制作用を有するクミスクチン又はパフィアの抽出物を含有する組成物は、老化防止剤としても使用することができる。老化防止剤として用いられる形態としては、例えば、錠剤、またはトローチ剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性散剤または顆粒剤、エマルション、シロップまたはエリキシルのような経口使用に適した形であり得る。これらの製剤中の紫外線障害抑制剤の配合量は特に限定されるものではなく適宜設計することができる。
【0035】
経口使用を対象とする組成物は、本発明の抽出物を含有する組成物を製造するための当技術分野で公知のいずれかの方法にしたがって調製でき、このような組成物には、甘味料、香味剤、着色剤および保存剤等を含めてもよい。錠剤には、本発明の紫外線障害抑制作用を有するクミスクチン又はパフィアの抽出物を含有する組成物と、錠剤の製造に適した非毒性の製薬上許容される賦形剤との混合物が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、造粒および崩壊剤、結合剤、および滑沢剤であり得る。錠剤はコーティングを施してなくてもよいし、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたって持続作用を提供するために、既知の技術によってコーティングを施してもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質を使用できる。
【0036】
ここで、結合剤として、デンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等を例示できる。崩壊剤としては、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等を例として挙げることができる。流動性促進剤では、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等を例として挙げることができる。また、本発明の紫外線障害抑制剤は懸濁液、エマルション剤、シロップ剤、エリキシル剤としても投与することができ、これらの各種剤形には、矯味矯臭剤、着色剤を含有させてもよい。
【0037】
水性懸濁液には、本発明の紫外線障害抑制作用を有するクミスクチン又はパフィアの抽出物を含有する組成物と、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物が含まれる。このような賦形剤としては、カルボキシメチル−セルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムなどの沈殿防止剤があり、分散剤または湿潤剤としては、天然リン脂質、例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステルとヘキシトールとの縮合生成物、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、またはエチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステルと無水ヘキシトールとの縮合生成物、例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタンであり得る。
【0038】
本発明を更に具体的に説明するために、以下に、実施例、処方例等を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、代替的な材料や方法を用いて、類似の結果を得ることも可能である。
【実施例】
【0039】
[実施例1](クミスクチン抽出物の調製)
クミスクチンの乾燥葉を1〜5mm程度の細片に裁断し、その細切れ乾燥葉10gに対し精製水100mlを加え、80℃で1時間加温し抽出した。その後、濾過を行い、固形物を取り除き抽出液を得た。得られた抽出液を減圧濃縮した後、噴霧乾燥し、粉末状の抽出物1.2gを得た。
【0040】
[実施例2](パフィア抽出物の調製)
パフィア及びその同属植物の乾燥した根を1〜5mm程度の細片に裁断し、その細片10gに対し含水エタノール水溶液100mlを加え、80℃で1時間加温し、還流下で抽出した。その後、濾過を行い、固形物を取り除き抽出液を得た。得られた抽出液を減圧濃縮した後、噴霧乾燥し、粉末状の抽出物1gを得た。
【0041】
[比較例1]
植物由来抽出物を含まない比較対象として、50v/v%のエタノール水溶液を準備した。
【0042】
[紫外線障害抑制効果の評価試験]
上記実施例1のクミスクチン抽出物、実施例2のパフィア抽出物および比較例1について、紫外線障害抑制効果の評価試験を行った。なお、クミスクチン抽出物およびパフィア抽出物については、50v/v%エタノール水溶液に溶かした溶液形態で以下に説明する試験に供した。
表皮角化細胞増殖用培地(クラボウ株式会社製)にて培養した正常ヒト表皮角化細胞(クラボウ株式会社製)と、10%FBS含有DMEM培地(invitrogen株式会社製)にて培養した正常ヒト真皮線維芽細胞(クラボウ株式会社製)とを、24ウェルプレート(Nunc社製)に播種した。細胞がコンフルエントになったところで培地を除き、100mJ/cmのUV-Bを照射した。
照射後直ちに、評価対象物(クミスクチン抽出物エタノール水溶液またはパフィア抽出物エタノール水溶液)を最終濃度100μg/mlになるように添加した。なお、コントロール(比較対象)として、比較例1の50%エタノール水溶液を用いた。それぞれの試料を24時間培養後、WST−1Cell Proliferation Assay System(TaKaRa社製)を用いて細胞生存率を評価した。細胞生存率は、UV−Bを照射していない細胞の生存率を100%とし、以下の計算式により計算した。
(計算式)
細胞生存率(%)={抽出物サンプルAbs/50%エタノールAbs(UV照射なし)}×100
【0043】
上記試験による評価結果を図1のグラフに示す。そのグラフは、各試料における表皮細胞の生存率と、真皮細胞の生存率とを対比して示す。このグラフからわかるように、クミスクチン抽出物(実施例1)及びパフィア抽出物(実施例2)ともに、比較例1に比べて優位な生存率の高さを示し、表皮角化細胞及び真皮線維芽細胞のUV−Bによる障害を抑制することが確認され、優れた紫外線障害抑制剤であることが立証された。
【0044】
以下、実施例1及び2の抽出物を各種の用途に応用したいくつかの処方例を示す。ここで、「処方例」とは、本発明に係る抽出物を適用した実施例のことである。なお、下記処方例1−1,2から処方例3−1,2までの錠剤/カプセル錠類は、少なくとも老化防止剤の具体例である。
【0045】
[処方例1−1]
抽出物100mgを含有する錠剤を以下の方法で製造した。
<処方>(100錠当たりの配合処方)
抽出物(実施例1) ……… 10.0g
乳糖 ……… 50.7g
小麦デンプン ……… 7.5g
ポリエチレングリコール(MW:6000) ……… 5.0g
タルク ……… 5.0g
マグネシウム ステアレート ……… 1.8g
脱イオン水 ……… 適量
まず、抽出物、乳糖、タルク、マグネシウムステアレート、及び処方半量の小麦デンプンを混和した。残余半量の小麦デンプンを上記水40mLに懸濁し、ついで、前記水100mL中にポリエチレングリコールの処方量が含まれ煮沸された溶液に加えた。得られたパスタに賦形剤(pulverulent)を加え、もし必要ならば水を追加して、この混合物を顆粒化する。得られた顆粒を35℃で一夜乾燥、1.2mmメッシュの篩を通して整粒した後、両面がレンズ状の錠剤を打錠して製造した。
【0046】
[処方例1−2]
上記処方例1−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例1−1に基づいて同様の錠剤を得た。
【0047】
[処方例2−1]
抽出物100mgを含有する、チューイング錠(tablet for chewing)を以下の方法で製造した。
<処方>(100錠当たりの配合処方)
抽出物(実施例1) ……… 10.0g
マンニトール ……… 230.0g
乳糖 ……… 150.0g
タルク ……… 21.0g
グリシン ……… 12.5g
ステアリン酸 ……… 10.0g
サッカリン ……… 1.5g
5%ゼラチン溶液 ……… 適量
まず、マンニトールと乳糖を混和し、ゼラチン溶液を添加して顆粒化、2mmメッシュ篩を用いて整粒化、50℃で乾燥した後、1.7mmメッシュの篩を用いて整粒した。グリシンとサッカリンとを注意深く混合した抽出物、マンニトール、乳糖顆粒、ステアリン酸、及びタルクを混和した。ついで、この完全に混和した組成物を、両面がレンズ状で上面に割り溝を形成した錠剤を打錠して製造した。
【0048】
[処方例2−2]
上記処方例2−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例2−1に基づいて同様の錠剤を得た。
【0049】
[処方例3−1]
抽出物100mgを含有する、ゼラチン硬カプセル剤を以下の方法で製造した。
<処方>(100カプセル錠当たりの配合処方)
抽出物(実施例1) ……… 10.0g
微結晶セルロース ……… 30.0g
コーンスターチ ……… 17.5g
ラウリル硫酸ナトリウム ……… 2.0g
マグネシウム ステアレート……… 8.0g

抽出物中に、ラウリル硫酸ナトリウムを加えて、両者を10分間良く混和した。0.9mmメッシュ篩を通した微結晶セルロースおよびコーンスターチを同時に加え、全体を10分間良く混和した。最後に、0.8mmメッシュ篩を通したマグネシウムステアレートを加えてさらに3分間混和した後、得られた混合物をゼラチン硬カプセル中にそれぞれ充填した。
【0050】
[処方例3−2]
上記処方例3−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例3−1に基づいて同様のゼラチン硬カプセルを得た。
【0051】
[処方例4−1]
本発明の紫外線障害抑制剤を含む組成物である化粧水の処方は以下の通りである。
(1)抽出物(実施例1) 0.1 部
(2)1,3−ブチレングリコール 8.0 部
(3)グリセリン 2.0 部
(4)キサンタンガム 0.02部
(5)クエン酸 0.01部
(6)クエン酸ナトリウム 0.1 部
(7)エタノール 5.0 部
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 部
(9)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1 部
(10)香料 適量
(11)精製水にて全量を100部とする
製造方法:成分(1)〜(6)及び(11)を均一溶解したものと、成分(7)〜(10)を均一溶解したものとを準備し、両者を混合し濾過して製品とする。
【0052】
[処方例4−2]
上記処方例4−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例4−1に基づいて同様の化粧水を得た。
【0053】
[処方例5−1]
本発明の紫外線障害抑制剤を含む組成物であるクリーム(皮膚外用剤/化粧品)の処方は以下の通りである。
(1)抽出物(実施例1) 0.05部
(2)スクワラン 5.5 部
(3)オリーブ油 3.0 部
(4)ステアリン酸 2.0 部
(5)ミツロウ 2.0 部
(6)ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5 部
(7)ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0 部
(8)ベヘニルアルコール 1.5 部
(9)モノステアリン酸グリセリン 2.5 部
(10)香料 0.1 部
(11)パラオキシ安息香酸メチル 0.2 部
(12)パラオキシ安息香酸エチル 0.05部
(13)1,3−ブチレングリコール 8.5 部
(14)精製水にて全量を100部とする
製造方法:成分(2)〜(9)を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分(1)及び(11)〜(14)を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分(10)を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0054】
[処方例5−2]
上記処方例5−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例5−1に基づいて同様のクリーム(皮膚外用剤/化粧品)を得た。
【0055】
[処方例6−1]
本発明の紫外線障害抑制剤を含む組成物である乳液(皮膚外用剤/化粧品)の処方は以下の通りである。
(1)抽出物(実施例1) 0.01部
(2)スクワラン 5.0 部
(3)オリーブ油 5.0 部
(4)ホホバ油 5.0 部
(5)セタノール 1.5 部
(6)モノステアリン酸グリセリン 2.0 部
(7)ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0 部
(8)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0 部
(9)香料 0.1 部
(10)プロピレングリコール 1.0 部
(11)グリセリン 2.0 部
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.2 部
(13)精製水にて全量を100部とする
製造方法:成分(2)〜(8)を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分(1)及び(10)〜(13)を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分(9)を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0056】
[処方例6−2]
上記処方例6−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例6−1に基づいて同様の乳液(皮膚外用剤/化粧品)を得た。
【0057】
[処方例7−1]
本発明の紫外線障害抑制剤を含む組成物であるゲル剤(皮膚外用剤/化粧品)の処方は以下の通りである。
(1)抽出物(実施例1) 1.0部
(2)エタノール 5.0部
(3)パラオキシ安息香酸メチル 0.1部
(4)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1部
(5)香料 適量
(6)1,3−ブチレングリコール 5.0部
(7)グリセリン 5.0部
(8)キサンタンガム 0.1部
(9)カルボキシビニルポリマー 0.2部
(10)水酸化カリウム 0.2部
(11)精製水にて全量を100部とする
製造方法:成分(2)〜(5)を均一溶解したものと、成分(1)及び(6)〜(11)を均一溶解したものとを準備し、両者を混合して製品とする。
【0058】
[処方例7−2]
上記処方例7−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例7−1に基づいて同様のゲル剤(皮膚外用剤/化粧品)を得た。
【0059】
[処方例8−1]
本発明の紫外線障害抑制剤を含む組成物であるパック(化粧品)の処方は以下の通りである。
(1)抽出物(実施例1) 0.1〜0.3部
(2)ポリビニルアルコール 12.0部
(3)エタノール 5.0部
(4)1,3−ブチレングリコール 8.0部
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.2部
(6)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5部
(7)クエン酸 0.1部
(8)クエン酸ナトリウム 0.3部
(9)香料 適量
(10)精製水にて全量を100部とする
製造方法:成分(1)〜(10)を均一に溶解し製品とする。
【0060】
[処方例8−2]
上記処方例8−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例8−1に基づいて同様のパック(化粧品)を得た。
【0061】
[処方例9−1]
本発明の紫外線障害抑制剤を含む組成物であるファンデーション(化粧品)の処方は以下の通りである。
(1)抽出物(実施例1) 1.0部
(2)ステアリン酸 2.4部
(3)ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.0部
(4)ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0部
(5)セタノール 1.0部
(6)液状ラノリン 2.0部
(7)流動パラフィン 3.0部
(8)ミリスチン酸イソプロピル 6.5部
(9)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1部
(10)ベントナイト 0.5部
(11)プロピレングリコール 4.0部
(12)トリエタノールアミン 1.1部
(13)パラオキシ安息香酸メチル 0.2部
(14)二酸化チタン 8.0部
(15)タルク 4.0部
(16)ベンガラ 1.0部
(17)黄酸化鉄 2.0部
(18)香料 適量
(19)精製水にて全量を100部とする
製造方法:成分(2)〜(8)を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分(19)に成分(9)をよく膨潤させ、続いて、成分(1)及び(10)〜(13)を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分(14)〜(17)を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。この水相に前記油相をかき混ぜながら加え、冷却し、45℃で成分(18)を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0062】
[処方例9−2]
上記処方例9−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例9−1に基づいて同様のファンデーション(化粧品)を得た。
【0063】
[処方例10−1]
本発明の紫外線障害抑制剤を含む組成物である軟膏(皮膚外用剤)の処方は以下の通りである。
(1)抽出物(実施例1) 0.01〜0.5部
(2)ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0部
(3)モノステアリン酸グリセリン 10.0部
(4)流動パラフィン 5.0部
(5)セタノール 6.0部
(6)パラオキシ安息香酸メチル 0.1部
(7)プロピレングリコール 10.0部
(8)精製水にて全量を100部とする
製造方法:成分(3)〜(6)を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分(1)及び(7)〜(8)を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0064】
[処方例10−2]
上記処方例10−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例10−1に基づいて同様の軟膏(皮膚外用剤)を得た。
【0065】
[処方例11−1](食品)
実施例1の抽出物50g、デキストリン76gおよびリン酸三カルシウム24gを混合し、造粒、乾燥および16〜80メッシュにて篩過した後、常法に従って顆粒化して、顆粒剤形態の本発明の紫外線障害抑制剤を含む健康食品を得た。
【0066】
[処方例11−2](食品)
実施例2の抽出物50g、デキストリン76gおよびリン酸三カルシウム24gを混合し、造粒、乾燥および16〜80メッシュにて篩過した後、常法に従って顆粒化して、顆粒剤形態の本発明の紫外線障害抑制剤を含む健康食品を得た。
【0067】
[処方例12−1](食品)
実施例1の抽出物5.0gを100mlの蒸留水に再溶解し、ガラス製瓶に充填し、液剤化して液剤形態の本発明の紫外線障害抑制剤を含む食品(健康ドリンク)を得た。
【0068】
[処方例12−2](食品)
実施例2の抽出物5.0gを100mlの蒸留水に再溶解し、ガラス製瓶に充填し、液剤化して液剤形態の本発明の紫外線障害抑制剤を含む食品(健康ドリンク)を得た。
【0069】
[処方例13−1](浴用剤)
紫外線障害抑制剤を含む組成物である浴用剤の処方は以下の通りである。
(1)抽出物(実施例1) 5.0部
(2)炭酸水素ナトリウム 50.0部
(3)黄色202号(1) 適量
(4)香料 適量
(5)硫酸ナトリウムにて全量を100部とする
製造方法:成分(1)〜(5)を均一に混合し製品(浴用剤)とする。
【0070】
[処方例13−2](浴用剤)
上記処方例13−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例13−1に基づいて同様の製品(浴用剤)を得た。
【0071】
[処方例14−1](石鹸)
次の手順で固形石鹸を製造した。即ち、適量の水にアルカリを溶解させ、アルカリ溶液を調製した。さらに、脂肪を加熱して、溶解し、上記のアルカリ溶液の温度まで冷まして、脂肪を液体状にし、上記アルカリ溶液を、上記の液体状の脂肪に加えて、ゆっくりと攪拌する。この段階で、約1%〜約15%(w/w)の、実施例1の抽出物を加え、必要に応じて香料を加える。このようにして作られる固形石鹸は、植物の抽出物の特性である紫外線障害抑制作用を備えている。ちなみに、グリセリン固形石鹸の場合、グリセリン、陰イオン性又は非イオン性の界面活性剤、溶剤、スキンコンディショナー、乳化剤、並びに保存剤が含まれる。これら物質は、使用前に混合されてもよく、これら物質を含む、都合のよい固形物に成型して用いてもよい。上記固形物は、80℃より低い温度で液化する。この段階で、約1%〜15%(w/w)の、実施例1の植物の抽出物を加え、必要に応じて、香料を加える。このようにして作られる固形石鹸は、植物の抽出物の特性である紫外線障害抑制作用を備えている。
なお、液状石鹸の場合は、陰イオン性又は非イオン性界面活性剤、スキンコンディショナー、乳化剤、真珠光沢剤(pearlescent)、及び保存剤が含まれている。これら物質は、使用前に混合されてもよく、これら物質を含む、都合のよい液体として用いてもよい。約0.01%〜5%(w/w)の実施例1の植物の抽出物を加え、必要に応じて香料を加える。このようにして作られる液状石鹸は、植物の抽出物の特性である紫外線障害抑制作用を備えている。
【0072】
[処方例14−2](石鹸)
上記処方例14−1で使用した実施例1のクミスクチン抽出物に代えて、実施例2のパフィア抽出物を使用した。かかる処方例14−1に基づいて同様の製品(固形又は液状の石鹸)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クミスクチン、パフィアからの抽出物の少なくともいずれか1種を含有することを特徴とする紫外線障害抑制剤。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外線障害抑制剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項3】
請求項1に記載の紫外線障害抑制剤を含有する化粧品。
【請求項4】
請求項1に記載の紫外線障害抑制剤を含有する食品。
【請求項5】
請求項1に記載の紫外線障害抑制剤を含有する老化防止剤。
【請求項6】
請求項1に記載の紫外線障害抑制剤を含有する浴用剤。
【請求項7】
請求項1に記載の紫外線障害抑制剤を含有する石鹸。

【図1】
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【公開番号】特開2012−250921(P2012−250921A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123142(P2011−123142)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000106771)シーシーアイ株式会社 (245)
【Fターム(参考)】