説明

細胞培養方法、および細胞培養装置

【課題】コンタミネーションの原因となる外部空気が細胞培養装置の内部の作業空間に流入しないようにして、コンタミネーションの防止および細胞培養にかかる時間の短縮化を図ることができる細胞培養方法を提供する。
【解決手段】筐体内で細胞培養にかかる作業を実行する設備と、筐体内の気体を清浄化する設備とが装備された細胞培養装置に培養容器14を搬入する際に、筐体内に配置されているパスボックス12の内部へ筐体の外部から培養容器14を搬入し、パスボックス12内の気体を筐体内の清浄化された気体に入れ替えた後、パスボックス12から筐体の内部へ培養容器14を搬出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞の培養にかかる作業を自動的に実行する細胞培養装置において、細胞の培養にかかる作業をクリーンベンチや安全キャビネット等と称される無菌環境を形成するキャビネット筐体内で自動的に行うに当たり、筐体内部と筐体外部との間で培養容器等の容器を搬送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞の培養には、培養容器内の培地の交換操作や、培養容器内で所定の増殖状態になった細胞を複数の他の培養容器へ分配する継代操作といった煩雑な操作が必要であり、一般的には、それらの細胞培養にかかる操作は熟練した作業者により手作業で行われる。また、細胞培養にかかる操作は、コンタミネーションの防止を図るために、一般的にキャビネット筐体内の作業空間(無菌環境)で行われる。作業者は、キャビネットの手前側のシャッターを開け、前面開口部から作業空間へ手を挿入して、細胞培養にかかる操作を行う。キャビネットには、HEPAフィルタにより清浄化された空気が奥側から手前側へ水平方向に流れる水平気流タイプ、天井側から床側へ垂直方向に流れる垂直気流タイプがある。また、キャビネットには、HEPAフィルタにより清浄化された空気の大半を循環させるものがある。しかし、キャビネットは、前面開口部付近に障害物が存在すると、その障害物によって作業空間の空気の流れが乱れて渦が発生し、その渦に巻き込まれた外部空気が作業空間に流入するという問題を有する。そのため、作業者は、作業空間の空気の流れを考慮に入れて、渦が発生しないように細胞培養にかかる操作を行う必要がある。このように、細胞培養は、手作業で行うため時間がかかり、また熟練した技能が必要となるため、容易には実施することができなかった。
【0003】
そこで、近年、細胞培養にかかる作業を自動的に実行する細胞培養装置が開発されてきている。例えば、特許文献1には、一般的なクリーンベンチに設置されて、クリーンベンチ内部の作業空間において培地の交換操作や細胞の継代操作を自動的に行う細胞培養装置が提案されている。この細胞培養装置は、細胞が播種されている培養容器の作業空間への搬入や、継代された細胞が播種されている培養容器の外部への搬出を行いやすいように、クリーンベンチの前面開口部付近に培養容器の載置台が設けられた構成となっている。つまり、培養容器の搬入や搬出が前面開口部を介して手作業で行われる構成となっている。
【0004】
以上のように、上記した従来の細胞培養装置は、クリーンベンチの手前に培養容器を載置する構成となっている。そのため、作業空間と外部とを連通させる前面開口部が開いているときに、クリーンベンチの手前に載置された培養容器によって作業空間の空気の流れが乱れて渦が発生し、コンタミネーションの原因となる外部空気が作業空間に流入する可能性がある。また、クリーンベンチの前面開口部は、作業者が作業空間において細胞培養にかかる操作を手作業で行えるように広く形成されているので、外部空気が作業空間に流入しやすい。したがって、上記した従来の細胞培養装置は、コンタミネーションの防止を促進させるために、清浄化された空気の大半を循環させる循環気流タイプのキャビネットに設置して使用する。循環気流タイプのキャビネットを用いた場合には、培養容器の搬入時および搬出時にのみシャッターを開ければよいからである。
【0005】
しかしながら、上記した従来の細胞培養装置では、循環気流タイプのキャビネットを用いた場合であっても、培養容器の搬入時および搬出時には外部空気が流入し、その流入した外部空気が清浄化されるまで次の作業を行うことができない。上述したように作業空間と外部とを連通させる前面開口部は広く、流入する外部空気の量も多くなる。そのため、流入した外部空気を清浄化するのに時間がかかり、ひいては細胞培養にかかる時間の短縮化が阻害される。
【特許文献1】特開2005−218413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、コンタミネーションの原因となる外部空気(細胞培養装置の外部の気体)が細胞培養装置の内部の作業空間に流入しないようにするか、または細胞培養装置の内部に流入する外部空気の量を少なくすることができ、コンタミネーションの防止および細胞培養にかかる時間の短縮化を図ることができる細胞培養方法、および細胞培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の細胞培養方法は、筐体内で細胞培養にかかる作業を実行する設備と、前記筐体内の気体を清浄化する設備とが装備された細胞培養装置に容器を搬入する際もしくはその細胞培養装置から容器を搬出する際に、前記筐体内に配置されている箱体の内部へ前記筐体の外部もしくは前記筐体の内部から容器を搬入し、前記箱体内の気体を前記筐体内の清浄化された気体に入れ替えた後、前記箱体から前記筐体の内部もしくは前記筐体の外部へ容器を搬出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2記載の細胞培養方法は、請求項1記載の細胞培養方法であって、前記細胞培養装置に容器を搬入する際もしくは前記細胞培養装置から容器を搬出する際に、前記箱体に形成されている複数の開口部をそれぞれ遮断する各ゲートを、前記箱体内の気体が前記清浄化された気体に入れ替わるように開閉することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3記載の細胞培養方法は、請求項2記載の細胞培養方法であって、前記細胞培養装置に容器を搬入する際もしくは前記細胞培養装置から容器を搬出する際に、前記箱体に形成されている前記箱体の内部と前記筐体の外部との間で容器を搬送するための第1開口部を遮断する第1ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるための第2開口部を遮断する第2ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体の内部と前記筐体の内部との間で容器を搬送するための第3開口部を遮断する第3ゲートとを、前記箱体内の気体が前記清浄化された気体に入れ替わるように開閉することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4記載の細胞培養方法は、請求項3記載の細胞培養方法であって、前記箱体内の気体を前記清浄化された気体に入れ替えるとき、前記第1および第2ゲートを開いた状態にするか、または前記第2および第3ゲートを開いた状態にすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5記載の細胞培養方法は、請求項4記載の細胞培養方法であって、前記細胞培養装置に容器を搬入する際に、前記第2および第3ゲートを閉じた状態で前記第1ゲートを開けて、前記第1開口部を介して前記筐体の外部から前記箱体の内部へ容器を搬入した後、前記第2ゲートを開けて、前記第2開口部を介して前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるとともに前記第1開口部を介して前記箱体の内部から気体を流出させ、その後、前記第1および第2ゲートを閉じてから前記第3ゲートを開け、前記箱体から前記筐体の内部へ容器を搬出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6記載の細胞培養方法は、請求項4記載の細胞培養方法であって、前記細胞培養装置に容器を搬入する際に、前記第2および第3ゲートを閉じた状態で前記第1ゲートを開けて、前記第1開口部を介して前記筐体の外部から前記箱体の内部へ容器を搬入した後、前記第1ゲートを閉じてから、前記第2および第3ゲートを開けて、前記第2開口部を介して前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるとともに前記第3開口部を介して前記箱体の内部から気体を流出させ、その後、前記第2ゲートを閉じてから、前記箱体から前記筐体の内部へ容器を搬出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項7記載の細胞培養方法は、請求項2記載の細胞培養方法であって、前記細胞培養装置に容器を搬入する際もしくは前記細胞培養装置から容器を搬出する際に、前記箱体に形成されている前記箱体の内部と前記筐体の外部との間で容器を搬送するための第1開口部を遮断する第1ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるための第2開口部を遮断する第2ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体の内部と前記筐体の内部との間で容器を搬送するための第3開口部を遮断する第3ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体から前記筐体の内部へ気体を流出させるための第4開口部を遮断する第4ゲートとを、前記箱体内の気体が前記清浄化された気体に入れ替わるように開閉することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項8記載の細胞培養方法は、請求項7記載の細胞培養方法であって、前記箱体内の気体を前記清浄化された気体に入れ替えるとき、前記第2および第4ゲートを開いた状態にすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項9記載の細胞培養方法は、請求項8記載の細胞培養方法であって、前記細胞培養装置に容器を搬入する際に、前記第2および第3ゲートを閉じた状態で前記第1ゲートを開けて、前記第1開口部を介して前記筐体の外部から前記箱体の内部へ容器を搬入した後、前記第1ゲートを閉じてから、前記第2および第4ゲートを開けて、前記第2開口部を介して前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるとともに前記第4開口部を介して前記箱体の内部から気体を流出させ、その後、前記第2および第4ゲートを閉じてから、前記第3ゲートを開け、前記箱体から前記筐体の内部へ容器を搬出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項10記載の細胞培養方法は、請求項2ないし9のいずれかに記載の細胞培養方法であって、前記箱体は、前記清浄化された気体を流入させるための開口部から前記箱体の内部へ気体を送るための気体送り機構を有しており、その開口部を遮断するゲートを開ける際に前記気体送り機構の動作を開始させ、そのゲートを閉じる際に前記気体送り機構の動作を停止させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項11記載の細胞培養装置は、筐体内で細胞培養にかかる作業を実行する設備と、前記筐体内の気体を清浄化する設備とが装備された細胞培養装置であって、前記筐体内に配置されている箱体と、前記箱体に形成されている複数の開口部をそれぞれ遮断する各ゲートと、前記筐体へ容器が搬入されるとき、前記筐体の内部から隔てられた前記箱体の内部に容器が搬入されると、前記箱体内の気体が前記筐体内の清浄化された気体に入れ替わるように前記各ゲートの一部または全部の開閉動作を制御する制御部と、前記箱体の内部と前記筐体の内部との間で容器を搬送する搬送機構と、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項12記載の細胞培養装置は、請求項11記載の細胞培養装置であって、前記箱体には、前記箱体の内部と前記筐体の外部との間で容器を搬送するための第1開口部と、前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるための第2開口部と、前記箱体の内部と前記筐体の内部との間で容器を搬送するための第3開口部と、が形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項13記載の細胞培養装置は、請求項12記載の細胞培養装置であって、前記箱体には、前記箱体から前記筐体の内部へ気体を流出させるための第4開口部がさらに形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項14記載の細胞培養装置は、請求項11ないし13のいずれかに記載の細胞培養装置であって、前記箱体は、前記清浄化された気体を流入させるための開口部から前記箱体の内部へ気体を送るための気体送り機構を有し、前記気体送り機構は、前記清浄化された気体を流入させるための開口部を遮断するゲートが開くと動作を開始し、そのゲートが閉じると動作を停止することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項15記載の細胞培養装置は、請求項11ないし14のいずれかに記載の細胞培養装置であって、前記筐体から容器が搬出されるとき、前記筐体の外部から隔てられた前記箱体の内部へ容器を搬入し、前記箱体の内部が前記筐体の内部から遮断されるように前記各ゲートの一部または全部の開閉動作を制御した後、前記箱体の内部と前記筐体の外部との間で容器を搬送するための開口部を遮断するゲートを開けることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項16記載の細胞培養装置は、請求項15記載の細胞培養装置であって、前記筐体から容器が搬出されるとき、前記箱体へ容器が搬入される前、または前記箱体へ容器が搬入された後、または前記箱体から前記筐体の外部へ容器が搬出された後に、前記制御部が、前記箱体内の気体が前記筐体内の清浄化された気体に入れ替わるように前記各ゲートの一部または全部の開閉動作を制御することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項17記載の細胞培養装置は、請求項11ないし16のいずれかに記載の細胞培養装置であって、前記筐体は、複数台のユニットが連接してなり、前記ユニットのうちの少なくとも一台に前記箱体が装備されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の好ましい形態によれば、コンタミネーションの原因となる外部の気体が、細胞培養装置の筐体内部に流入しないようにするか、または細胞培養装置の筐体内部に流入する外部の気体の量を少なくすることができ、コンタミネーションの防止および細胞培養にかかる時間の短縮化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置の外観の一例を示す斜視図、図2は本発明の実施の形態1にかかる作業ユニットの外観の一例を示す斜視図、図3は本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。ここでは、図1に示すように、互いの側壁を当接させて連接された複数台(図1においては2台)の作業ユニット2からなる細胞培養装置1を例に説明を行う。細胞培養装置1の筐体は、これら連接された複数台の作業ユニット2の筐体からなる。これら連接された複数台の作業ユニット2に、細胞培養にかかる作業を実行するための設備が分散されて装備されている。
【0026】
図2に示すように、作業ユニット2には、他の作業ユニットに当接させる側壁に開口部3が形成されている。作業ユニット2は、連接された複数台の作業ユニットの筐体内部が開口部3により互いに連通される構成となっている。この開口部3を介して、隣接する作業ユニット2間で、培養容器等の細胞培養にかかる作業に使用する容器が搬送される。また、作業ユニット2の側壁には、開口部3を遮断する遮断扉4が設けられている。遮断扉4は、隣接する作業ユニットの一方にのみ設けてもよい。また、作業ユニット2の前壁には、その前壁に形成されている開口部(図示せず)を遮断する前扉5が設けられている。この構成によれば、前扉5を開けて、作業ユニット2の内部に装備されている設備のメンテナンスを行うことができる。
【0027】
図1に示すように、細胞培養装置1は、筐体外部に上位制御装置6を備える。また、図3に示すように、作業ユニット2は制御部7を備える。上位制御装置6は、細胞培養装置1を構成する各作業ユニット2の制御部7に接続し、細胞培養装置1全体の動作を管理・制御する。詳しくは、上位制御装置6は、細胞培養装置1の現在の状況を把握して、作業ユニットの制御部7へ指令を送る。作業ユニットの制御部7は、上位制御装置6からの指令に基づき、当該作業ユニットに装備されている設備の動作を制御する。上位制御装置6と作業ユニットの制御部7は、有線で接続してもよいし、無線で接続してもよい。
【0028】
また図1に示すように、細胞培養装置1は、筐体外部に、過酸化水素ガス(VHP:Vaporized Hydrogen Peroxide)等の滅菌ガスにより筐体内部を滅菌するための滅菌装置8を備える。図示しないが、細胞培養装置1の筐体には、ガス注入管に繋がるガス注入口とガス排気管に繋がるガス排気口が形成されている。滅菌装置8は、ガス注入管を介して細胞培養装置1へ滅菌ガスを注入し、ガス排気管を介して細胞培養装置1から滅菌ガスを吸引する。滅菌装置8から細胞培養装置1を構成する複数台の作業ユニットそれぞれへ滅菌ガスを注入してもよいし、滅菌装置8から一台の作業ユニットへ滅菌ガスを注入して、他の作業ユニットへは、その滅菌ガスが注入された作業ユニットから開口部3を介して滅菌ガスを流入させてもよい。滅菌ガスを排気する構成についても、滅菌ガスを注入する構成と同様に構成できる。ガス注入管とガス排気管が繋がるガス注入口とガス排気口は、例えば作業ユニット2の奥壁に形成すればよい。
【0029】
細胞培養装置1の筐体内部の滅菌化処理は、細胞培養にかかる作業を開始する前に実行する。図4は、滅菌化処理の一例を説明するための図であり、過酸化水素ガスにより滅菌化処理を行う場合について示している。図4に示すように、まず、細胞培養装置の筐体内部の除湿を行ってから(除湿工程)、過酸化水素ガスを細胞培養装置に注入し(コンディション工程)、所定時間が経過した後に(除染工程)、細胞培養装置から過酸化水素ガスを排気して、細胞培養装置の筐体内部の過酸化水素ガスの濃度を低下させる(エアレーション工程)。
【0030】
続いて、作業ユニット2の筐体の構成について説明する。図5は、本発明の実施の形態1にかかる作業ユニットの筐体の構成の一例を示す透視斜視図である。作業ユニット2には、その筐体内部の奥側(後側)の空間および天井側(上側)の空間と、細胞培養にかかる作業が行われる作業空間とを隔てる仕切り板9が設置されている。また、作業ユニット2には、作業空間の底面を区画するための床部が設けられており、その床部は二重となっている。作業空間は、仕切り板9、床部の上側床10、並びに筐体の左右の側壁および前壁により区画される。また、筐体の前壁と上側床10との間には隙間が形成されており、仕切り板9により作業空間と隔てられている奥側の空間と天井側の空間は、床部(二重床)の内部空間を介して作業空間と連通している。このように、作業ユニット2の筐体は二重ボックス構造となっている。
【0031】
続いて、作業ユニット2の筐体内部の空気(気体の一例)の清浄化方法について、図5を用いて説明する。図5に示すように、仕切り板9の天井側には、ファン付きのHEPAフィルタ(細胞培養装置の筐体内の気体を清浄化する設備の一例)11が設置されている。HEPAフィルタ11は、仕切り板9により作業空間と隔てられている天井側の空間へ流れてきた空気を清浄化して、作業空間へ送風する。この送風された空気は床部側へエアーカーテンのようにダウンフローされて作業空間を流れる。このダウンフローされた空気は、筐体の前壁と上側床10との間の隙間、床部(二重床)の内部空間、および仕切り板9により作業空間と隔てられている奥側の空間を経由して、天井側の空間へ送られる。このように、作業ユニット2は、筐体内部の空気を清浄化しながら循環させる。
【0032】
図5には、細胞培養装置の筐体内部と筐体外部との間で、培養容器等の細胞が収容されている容器を搬送するときに使用するパスボックス(箱体の一例)12を示している。パスボックス12は、細胞培養装置1を構成する複数台の作業ユニット2の少なくとも1台に、少なくとも1個設ける。ここでは、一台の作業ユニット2に1個設けられたパスボックス12を介して、細胞が収容されている容器の搬入および搬出を行う場合について説明する。このように、細胞が収容されている容器の搬入および搬出に1個のパスボックスを共用してもよいが、細胞が収容されている容器の搬入用および搬出用にそれぞれ別個にパスボックスを設けてもよい。
【0033】
パスボックス12は作業ユニット2内部の作業空間に設けられている。ここでは、パスボックス12が作業ユニット2の一方の側壁に連接して設置されている場合について説明する。なお、パスボックス12は、作業ユニット2の筐体と一体に形成してもよい。
【0034】
パスボックス12の側壁には、細胞培養装置の外部とパスボックス12の内部との間で培養容器等の細胞が収容されている容器を搬送するための開口部(第1開口部の一例)である外側口(図示せず)が形成されている。また、パスボックス12の側壁には、外側口を遮断するための外側扉(第1ゲートの一例)13が設けられている。また、作業ユニット2の側壁には、パスボックス12の外側口に繋がる開口部(図示せず)が形成されている。なお、作業ユニット2の側壁に外側扉13を設けてもよい。外側扉13は、操作者が開閉できるように構成されている。操作者が開閉する構成としては、例えば外部から操作者が手動で開閉する構成としてもよいし、操作者が上位制御装置または作業ユニットの制御部へ外側扉13の開閉を命令し、その命令に応じて作業ユニットの制御部が外側扉13の開閉を制御する構成としてもよいし、外側扉13を開閉する駆動装置に操作者が直接命令する構成としてもよい。
【0035】
この細胞培養装置1は、細胞が収容されている容器の搬入の際に、細胞が収容されている容器を、外側口を介して、作業空間から遮断されているパスボックス12に搬入し、細胞が収容されている容器の搬出の際に、細胞が収容されている容器を、外側口を介して、作業空間から遮断されているパスボックス12から搬出する構成となっている。
【0036】
詳細は後述するが、この細胞培養装置1は、細胞が収容されている容器の搬入の際に、細胞が収容されている容器がパスボックス12に搬入されると、パスボックス12の内部の空気(気体の一例)を作業ユニット2の筐体内部(作業空間)の清浄化された空気(気体の一例)に入れ替える構成となっている。
【0037】
続いて、複数台の作業ユニット2へ分散して装備された設備の一例について、細胞培養装置を単層培養の継代操作に用いる場合を例に説明する。また、ここでは、作業ユニット2として細胞継代ユニット2Aと細胞培養ユニット2Bが連接されている場合を例に説明する。なお、無論、本発明は、この構成に限定されるものではない。また、ここでは、細胞培養装置へ搬入する細胞が収容されている容器、および細胞培養装置から搬出する細胞が収容されている容器として、丸型の培養容器(ディッシュ)を用いる場合について説明する。
【0038】
図6は細胞継代ユニット2Aに装備された設備の一構成例を説明するための透視斜視図、図7は細胞継代ユニット2Aに装備された設備の一構成例を説明するための平面図である。なお、図6には、HEPAフィルタは図示していない。
【0039】
この細胞継代ユニット2Aには、パスボックス12や、パスボックス12の内部と作業空間との間で培養容器を搬送するハンドリング部、培養容器や細胞計数プレート(試料容器の一例)内の細胞を観察するための観察部、培養容器や遠沈管内の培地等を廃棄するためのアスピレータ部、培養容器や遠沈管内への培地等の注入等を行うためのピペッター部、遠沈管を搬送するための遠沈管ハンドリング部、遠心分離機等が装備されている。
【0040】
まず、細胞継代ユニット2Aに装備されているハンドリング部(搬送機構の一例)について説明する。ハンドリング部は、細胞継代ユニット2Aの筐体手前側に配置されており、培養容器14や培養容器14の蓋等を把持するための把持部15を有する。また、図示しないが、ハンドリング部は、細胞継代ユニット2Aの左右方向、前後方向および上下方向へ把持部15を移動させる機構を有する。
【0041】
図6に示すように、パスボックス12の前壁には、パスボックス12の内部と作業空間との間で培養容器14を搬送するための開口部(第3開口部の一例)である内側口16が形成されている。また、パスボックス12の前壁には、内側口16を遮断するための内側扉(第3ゲートの一例)17が設けられている。ここでは、パスボックス12の前壁に内側口16が形成されている場合について説明するが、内側口16は、パスボックス12の側壁のうちの作業ユニット2の内壁に連接させない側壁に形成すればよい。ハンドリング部は、内側口16を介して、パスボックス12の内部と作業空間との間で培養容器14を搬送する。また、ハンドリング部は、把持部15により把持した培養容器14や培養容器14の蓋を、パスボックス12と、観察部の観察ステージと、載置台18との間で搬送する。また、ハンドリング部は、培養容器14から蓋を外したり、培養容器14に蓋を被せたりもする。
【0042】
載置台18は、細胞継代ユニット2Aと細胞培養ユニット2Bの筐体内部同士を連通させる開口部3付近に設置されており、培養容器14や培養容器14の蓋がハンドリング部により載置される。また、後述する細胞培養ユニット2Bに装備されている搬送ロボットは、開口部3を介して把持部を細胞継代ユニット2Aの内部へ進入させて、載置台18に載置された培養容器を把持し、その把持した培養容器を細胞培養ユニット2Bの内部へ搬入する。また、細胞培養ユニット2Bから細胞継代ユニット2Aの内部へ、培養容器を把持した把持部を進入させて、その把持している培養容器を載置台18上に載置する。
【0043】
細胞継代ユニット2Aに装備されている観察部は、観察ステージ19と、観察ステージ19の下側に配置された顕微鏡付きカメラ20を有する。図6、図7には、観察ステージ19を左右方向および前後方向へ移動させるためのレールを示している。観察ステージ19の上方には、観察ステージ19を上方から照らす照明部21が配置されている。
【0044】
観察ステージ19は、培養容器14内の細胞を下側から撮影できるように、培養容器14が載置される載置領域22が透明な部材で構成されている。ハンドリング部は、観察ステージ19の載置領域22に培養容器を載置する。また、細胞計数プレート内の細胞を下側から撮影できるように、観察ステージ19には、細胞計数プレートが載置されているプレート載置台が嵌合される切り欠き部23が形成されている。細胞計数プレート内の細胞を観察するときには、観察ステージ19の切り欠き部23に、細胞計数プレート24が載置されているプレート載置台25が嵌合するように、観察ステージ19が移動する。
【0045】
顕微鏡付きカメラ20は、細胞継代ユニット2Aの制御部7に接続しており、制御部7は、顕微鏡付きカメラ20で撮像された画像を画像処理して、培養容器内で培養されている細胞が所定の増殖状態か否かの判定処理や、細胞計数プレート内の細胞数をカウントする処理等を実行し、それらの結果を上位制御装置6へ送る。
【0046】
細胞継代ユニット2Aに装備されているアスピレータ部は、軸部26と、軸部26に設けられたアーム部27と、アーム部27に垂設されたピペット28を有する。この細胞継代ユニット2Aには、アスピレータ部の後端側に、液体を廃棄するための廃液ボックス29が装備されており、アスピレータ部は、観察ステージ19に載置されている蓋が外された培養容器や、遠沈管ストック部にストックされている蓋が外された遠沈管内にピペット28を差し込み、培地等の液体を吸引して、その吸引した液体を廃液ボックス29へ廃棄する。
【0047】
遠沈管ストック部30は、複数本(図6、図7においては2本)の遠沈管31を立てた状態でストックする台であり、遠沈管ストック部30には、細胞培養にかかる作業を実行する前に、蓋付きの遠沈管31が空の状態でストックされる。
【0048】
細胞継代ユニット2Aに装備されているピペッター部は、移動ステージ32と、移動ステージ32上に設けられた軸部33と、軸部33に設けられたアーム部34と、アーム部34に垂設されたピペット35を有する。図6、図7には、移動ステージ32を左右方向および前後方向へ移動させるためのレールを示している。
【0049】
この細胞継代ユニット2Aには、培地(FBS)が収容された容器36と、細胞洗浄液(例えばPBS(リン酸バッファ))が収容された容器37と、培養容器の底面から細胞を剥離したり、細胞同士の接着を切るための細胞剥離液(例えばトリプシン)が収容された容器38がストックされる薬液ストック部39が装備されており、ピペッター部は、それらの容器36、37、38にピペット35を差し込んでピペット35に培地等を吸入した後、観察ステージ19に載置されている蓋が外された培養容器14や、遠沈管ストック部30にストックされている蓋が外された遠沈管31に、ピペット35に吸入した培地等を注入する。また、ピペッター部は、遠沈管ストック部30にストックされている蓋が外された遠沈管31にピペット35を差し込み、遠沈管31内の細胞懸濁液の定量的な吸入および吐出を繰り返して、遠沈管31内の細胞懸濁液を攪拌するピペッティング等も行う。
【0050】
細胞継代ユニット2Aに装備されている遠沈管ハンドリング部は、移動ステージ40と、移動ステージ40上に設けられた軸部41と、軸部41に設けられた遠沈管引っ掛け部42を有し、遠沈管31を遠沈管引っ掛け部42に引っ掛けた状態で搬送する。図6、図7には、移動ステージ40を左右方向および前後方向へ移動させるためのレールを示している。
【0051】
細胞継代ユニット2Aに装備されている遠心分離機43は、遠沈管ハンドリング部によりセットされた蓋付きの遠沈管31を回転して、遠心力により細胞懸濁液から細胞を分離する。この遠心分離作業により、遠沈管31の底部に細胞塊が形成される。
【0052】
なお、この細胞継代ユニット2Aには、使用済みの培養容器を廃棄するための廃棄ボックス44が装備されており、ハンドリング部が廃棄ボックス44に使用済みの培養容器を廃棄する。また、この細胞継代ユニット2Aには、使用済みの細胞計数プレートや遠沈管等を廃棄するための廃棄ボックス45が装備されている。また、図示しないが、使用済みの細胞計数プレートや遠沈管等を廃棄ボックス45へ廃棄するための設備や、遠沈管31の蓋を開閉するための設備が装備されている。
【0053】
続いて、細胞培養ユニット2Bについて説明する。図8は、細胞培養ユニット2Bに装備された設備の一構成例の概略を説明するための図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。但し、図8には、HEPAフィルタは図示していない。
【0054】
細胞培養ユニット2Bには、培養容器を搬送するための搬送ロボットが装備されている。搬送ロボットは、培養容器14を把持する把持部46を有する。また、図示しないが、搬送ロボットは、細胞培養ユニット2Bの上下方向を中心軸として把持部46を回動させる機構と、細胞培養ユニット2Bの左右方向、前後方向および上下方向へ把持部46を移動させる機構を有する。図8には、細胞培養ユニット2Bの左右方向へ把持部46を移動させるためのレール47と、細胞培養ユニット2Bの前後方向へ把持部46を移動させるためのレール48を示している。
【0055】
また、細胞培養ユニット2Bには、培養容器ストック部49が装備されている。培養容器ストック部49は、複数個の蓋付きの培養容器14を積み重ねた状態でストックする台であり、培養容器ストック部49には、細胞培養にかかる作業を実行する前に複数個の空の培養容器14がストックされる。細胞培養ユニット2Bの搬送ロボットは、培養容器ストック部49にストックされている培養容器14を把持して、その把持した培養容器14を細胞継代ユニット2Aの載置台18に載置する。
【0056】
また、細胞培養ユニット2Bには、培養容器に播種されている細胞を所定の環境で培養するための細胞培養モジュール(培養室)50が装備されている。図9は細胞培養モジュール50の一例を説明するための図である。
【0057】
図9に示すように、細胞培養モジュール50の筐体には、培養容器14を搬入および搬出するための開口部51が形成されている。また、開口部51を開閉する遮断扉52が設けられている。遮断扉52は、開口部51から培養容器14を搬入および搬出するときに開閉する。
【0058】
また、細胞培養モジュール50は、複数個の培養容器14が載置される載置台53と、この載置台53を開口部51から搬入および搬出する機構(図示せず)を備える。載置台53は、細胞培養モジュール50の内部へ培養容器14を搬入するとき、および細胞培養モジュール50の内部から培養容器14を搬出するときに、開口部51から搬入および搬出される。細胞培養ユニット2Bの搬送ロボットは、細胞継代ユニット2Aの載置台18に載置されている培養容器を把持し、その把持した培養容器を、細胞培養モジュール50の開口部51から突出する載置台53に載置したり、載置台53に載置されている培養容器14を把持して、その把持した培養容器14を細胞継代ユニット2Aの載置台18に載置したりする。
【0059】
続いて、細胞培養装置へ培養容器等の細胞が収容された容器を搬入する際に、パスボックス内の空気(気体の一例)を、作業空間の清浄化された空気(気体の一例)に入れ替える方法の3つの例について、上記した細胞継代ユニット2Aと細胞培養ユニット2Bからなる細胞培養装置1へ培養容器を搬入する場合を例に説明する。
【0060】
図10は、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第1の方法に用いるパスボックスの一例を説明するための図である。図10に示すように、パスボックス12の天井に、作業空間を流れるダウンフローされた空気をパスボックス12の内部に流入させるための開口部(第2開口部の一例)である気体流入口54が形成されている。また、パスボックス12の天井には、気体流入口54を遮断する流入口扉(第2のゲートの一例)55が設けられている。なお、気体流入口54は、空気が流れる方向を向いて開口させるのが好適である。
【0061】
図11は、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第1の方法を用いた培養容器の搬入工程(動作)の一例を説明するための図である。まず、図11(a)に示すように、操作者が外側扉13を開ける。次に、図11(b)に示すように、操作者が、外側口56を介してパスボックス12へ培養容器14を搬入する。パスボックス12に培養容器14が搬入されると、図11(c)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により流入口扉55が開く。培養容器の搬入は、センサにより検知する構成としてもよいし、操作者が上位制御装置6または細胞継代ユニット2Aの制御部7へ知らせる構成としてもよい。外側扉13が開いている状態で、流入口扉55を開けることにより、図11(d)に示すように、パスボックス12の内部に、気体流入口54を介して、作業空間を流れる清浄化された空気が流入し、その流入した空気により、パスボックス12の内部の空気が、外側口56を介して細胞培養装置1の筐体外部へ流出し、パスボックス12の内部の空気が清浄化された気体に入れ替わる。
【0062】
その後、図11(e)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により外側扉13および流入口扉55が閉じる。なお、外側扉13については、操作者が閉じてもよい。操作者が閉じる場合には、外側扉13が閉じられてから、流入口扉55を閉じるようにする。
【0063】
次に、図11(f)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により内側扉17が開く。内側扉17が開くと、図11(g)に示すように、ハンドリング部により、内側口16を介してパスボックス12から培養容器14が作業空間へ搬出される。その後、図11(h)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により内側扉17が閉じる。
【0064】
このようにすれば、コンタミネーションの原因となる外部空気(細胞培養装置の外部の気体)が作業空間に流入しないようにすることができ、コンタミネーションの防止および細胞培養にかかる時間の短縮化を図ることができる。また、気体流入口から流れてくる空気により、培養容器の表面に付着している塵を取り除くことができる(培養容器の外面の清浄)。なお、このようにパスボックス内の気体を細胞培養装置の筐体外部へ流出させる場合には、作業ユニットを完全に密閉するのではなく、作業ユニットの筐体に給気口と排気口を形成しておく。
【0065】
続いて、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第2の方法について説明する。この第2の方法では、前述した図10に示すパスボックスを使用する。図12は、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第2の方法を用いた培養容器の搬入工程(動作)の一例を説明するための図である。
【0066】
まず、図12(a)に示すように、操作者が外側扉13を開ける。次に、図12(b)、図12(c)に示すように、操作者が、外側口56を介してパスボックス12へ培養容器14を搬入した後、外側扉13を閉める。なお、パスボックス12に培養容器14が搬入されると、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により外側扉13が閉まる構成としてもよい。培養容器の搬入は、センサにより検知する構成としてもよいし、操作者が上位制御装置6または細胞継代ユニット2Aの制御部7へ知らせる構成としてもよい。
【0067】
外側扉13が閉まると、図12(d)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により流入口扉55と内側扉17が開く。外側扉13が閉じている状態で、流入口扉55と内側扉17を開けることにより、図12(e)に示すように、パスボックス12の内部に、気体流入口54を介して、作業空間を流れる清浄化された空気が流入し、その流入した空気により、パスボックス12の内部の空気が内側口16を介して作業空間へ流出し、パスボックス12の内部の空気が清浄化された気体に入れ替わる。パスボックス12から作業空間へ流出した空気は、細胞継代ユニット2Aの筐体内部を循環する空気の流れに乗って、筐体の床部側へダウンフローされ、床部(二重床)の内部空間、仕切り板9により作業空間から隔てられた筐体の奥側の空間を経由して、仕切り板9により作業空間から隔てられた筐体の天井側の空間へ流れ、HEPAフィルタ11により清浄化されて、作業空間へ送風される。
【0068】
その後、図12(f)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により流入口扉55が閉じると、図12(g)に示すように、ハンドリング部により、内側口16を介してパスボックス12から培養容器14が作業空間へ搬出される。その後、図12(h)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により内側扉17が閉じる。
【0069】
このようにすれば、作業空間に流入する外部空気の量を少なくすることができ、コンタミネーションの防止および細胞培養にかかる時間の短縮化を図ることができる。また、気体流入口から流れてくる空気により、培養容器の表面に付着している塵を取り除くことができる。
【0070】
続いて、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第3の方法について説明する。図13は、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第3の方法に用いるパスボックスの一例を説明するための図であり、(a)は斜視図、(b)は底面図である。図13に示すように、パスボックス12の床に、パスボックス12から作業空間へ空気を流出させるための開口部(第4開口部の一例)である気体流出口57がさらに形成されている。また、その気体流出口57の上側がメッシュ体により塞がれている。また、パスボックス12の床には、気体流出口57を遮断する流出口扉(第4のゲートの一例)58が設けられている。なお、気体流出口57は、気体流入口54が形成されている面に対向する面に形成するのが好適である。
【0071】
図14は、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第3の方法を用いた培養容器の搬入工程(動作)の一例を説明するための図である。まず、図14(a)に示すように、操作者が外側扉13を開ける。次に、図14(b)、図14(c)に示すように、操作者が、外側口56を介してパスボックス12へ培養容器14を搬入した後、外側扉13を閉める。なお、パスボックス12に培養容器14が搬入されると、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により外側扉13が閉まる構成としてもよい。培養容器の搬入は、センサにより検知する構成としてもよいし、操作者が上位制御装置6または細胞継代ユニット2Aの制御部7に知らせる構成としてもよい。
【0072】
外側扉13が閉まると、図14(d)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により流入口扉55が開く。また、図示しないが、流出口扉58も開く。外側扉13が閉じている状態で、流入口扉55と流出口扉58を開けることにより、図14(e)に示すように、パスボックス12の内部に、気体流入口54を介して、作業空間を流れる清浄化された空気が流入し、その流入した空気により、パスボックス12の内部の空気が、気体流出口57を介して作業空間へ流出して、パスボックス12の内部の空気が清浄化された気体に入れ替わる。パスボックス12から作業空間へ流出した空気は、細胞継代ユニット2Aの筐体内部を循環する空気の流れに乗って、筐体の床部側へダウンフローされ、床部(二重床)の内部空間、仕切り板9により作業空間から隔てられた筐体の奥側の空間を経由して、仕切り板9により作業空間から隔てられた筐体の天井側の空間へ流れ、HEPAフィルタ11により清浄化されて、作業空間へ送風される。
【0073】
その後、図14(f)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により流入口扉55が閉じる。また、図示しないが、流出口扉58も閉じる。流入口扉55と流出口扉58が閉じると、図14(g)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により内側扉17が開き、ハンドリング部により、内側口16を介してパスボックス12から培養容器14が作業空間へ搬出される。その後、図14(h)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により内側扉17が閉じる。
【0074】
このようにすれば、作業空間に流入する外部空気の量を少なくすることができ、コンタミネーションの防止および細胞培養にかかる時間の短縮化を図ることができる。また、気体流入口から流れてくる空気により、培養容器の表面に付着している塵を取り除くことができる。
【0075】
なお、図15に示すように、パスボックス12に、気体流入口からパスボックス12の内部へ空気を送るためのファン(気体送り機構の一例)59を設けて、流入口扉55が開くとファン59が動作を開始し、流入口扉55が閉じるとファン59が動作を停止する構成としてもよい。このようにすれば、培養容器の表面に付着している塵を取り除く能力を向上させることができる。また、気体流入口54が、空気が流れる方向を向いて開口していない場合であっても、パスボックス12内に清浄化された空気を十分に流入させることが可能となる。
【0076】
続いて、細胞培養装置から培養容器等の細胞が収容された容器を搬出する際の動作について、上記した細胞継代ユニット2Aと細胞培養ユニット2Bからなる細胞培養装置1から培養容器を搬出する場合を例に説明する。例えば、パスボックス12の構成が前述した図10に示す構成の場合、図16(a)に示すように、まず、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により内側扉17を開いてから、図16(b)に示すように、ハンドリング部により、内側口16を介してパスボックス12へ培養容器14を搬入し、その後、図16(c)、図16(d)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により、内側扉17を閉じてパスボックス12の内部を作業空間から遮断してから、外側扉13を開くようにしてもよい。なお、外側扉13を開けてもよいことを操作者に教示する構成にして、操作者が外側扉13を開けるようにしてもよい。
【0077】
このようにすれば、コンタミネーションの原因となる外部空気が作業空間に流入しないようにすることができ、コンタミネーションの防止および細胞培養にかかる時間の短縮化を図ることができる。
【0078】
なお、細胞培養装置から培養容器等の細胞が収容された容器を搬出するとき、パスボックスへ培養容器等の細胞が収容された容器を搬入する前に、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替えてもよい。パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える方法は、前述した培養容器等の細胞が収容された容器を搬入するときの入れ替え方法を利用すればよい。図10や図13に示すパスボックス12を例に説明すると、パスボックス12へ培養容器14を搬入する前に、外側扉13と流入口扉55を開いた状態にするか、内側扉17と流入口扉55を開いた状態にするか、または流入口扉55と流出口扉58を開いた状態にするかして、パスボックス12内の空気を清浄化された空気に入れ替えるようにすればよい。例えば、前述したパスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第1の方法を利用する場合について、細胞継代ユニット2Aと細胞培養ユニット2Bからなる細胞培養装置1から培養容器を搬出する場合を例に説明すると、図17(a)、図17(b)、に示すように、まず、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により外側扉13と流入口扉55を開き、パスボックス12の内部の空気を清浄化された気体に入れ替えてから、図17(c)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により外側扉13と流入口扉55を閉じた後、図17(d)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により内側扉17を開くようにしてもよい。内側扉17が開いた後の動作は、前述した図16(b)、図16(c)、図16(d)に示す動作と同様であるので、説明を省略する。なお、外側扉13の開閉を操作者に指示する構成にして、操作者が外側扉13を開閉するようにしてもよい。
【0079】
また、細胞培養装置から培養容器等の細胞が収容された容器を搬出するとき、パスボックスへ培養容器等の細胞が収容された容器を搬入してから、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替えてもよい。パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える方法は、前述した培養容器等の細胞が収容された容器を搬入するときの入れ替え方法を利用すればよい。図10や図13に示すパスボックス12を例に説明すると、パスボックス12へ培養容器14を搬入してから、外側扉13と流入口扉55を開いた状態にするか、内側扉17と流入口扉55を開いた状態にするか、または流入口扉55と流出口扉58を開いた状態にするかして、パスボックス12内の空気を清浄化された空気に入れ替えるようにすればよい。例えば、前述したパスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第1の方法を利用する場合について、細胞継代ユニット2Aと細胞培養ユニット2Bからなる細胞培養装置1から培養容器を搬出する場合を例に説明すると、図18(a)に示すように、まず、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により内側扉17を開いて、ハンドリング部により、内側口16を介してパスボックス12へ培養容器14を搬入した後、図18(b)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により内側扉17を閉じてパスボックス12の内部を作業空間から遮断してから、図18(c)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により外側扉13と流入口扉55を開いてパスボックス12の内部の空気を清浄化された気体に入れ替え、その後、図18(d)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により流入口扉55を閉じるようにしてもよい。なお、外側扉13の開閉を操作者に指示する構成にして、操作者が外側扉13を開閉するようにしてもよい。
【0080】
また、細胞培養装置から培養容器等の細胞が収容された容器が搬出されてから、パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替えてもよい。パスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える方法は、前述した培養容器等の細胞が収容された容器を搬入するときの入れ替え方法を利用すればよい。図10や図13に示すパスボックス12を例に説明すると、細胞培養装置1から培養容器14が搬出されてから、外側扉13と流入口扉55を開いた状態にするか、内側扉17と流入口扉55を開いた状態にするか、または流入口扉55と流出口扉58を開いた状態にするかして、パスボックス12内の空気を清浄化された空気に入れ替えた後、パスボックス12を密閉すればよい。例えば、前述したパスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第1の方法を利用する場合について、細胞継代ユニット2Aと細胞培養ユニット2Bからなる細胞培養装置1から培養容器を搬出する場合を例に説明すると、図19(a)に示すように、外側口56を介してパスボックス12から培養容器が細胞培養装置1の筐体外部へ搬出されると、図19(b)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により流入口扉55を開いてパスボックス12の内部の空気を清浄化された気体に入れ替え、その後、図19(c)に示すように、細胞継代ユニット2Aの制御部7の制御により外側扉13と流入口扉55を閉じるようにしてもよい。なお、外側扉13の開閉を操作者に指示する構成にして、操作者が外側扉13を開閉するようにしてもよい。
【0081】
続いて、上記した細胞継代ユニット2Aと細胞培養ユニット2Bからなる細胞培養装置1による継代操作の一例について、図20〜図22を用いて説明する。所定の培養環境に維持されたインキュベータから、細胞が播種された培地が収容された培養容器が取り出され、その取り出された培養容器がパスボックス12へ搬入されると(ステップS1)、パスボックス12内の空気を細胞継代ユニット2Aの筐体内部(作業空間)の清浄化された空気に入れ替えた後(ステップS2)、パスボックス12から観察ステージ19へ培養容器を搬送する。
【0082】
次に、観察ステージ19上の培養容器の内部を、観察ステージ19の下側に設けた顕微鏡付きカメラ20により撮影し、その撮影した画像を画像処理して、培養容器内の細胞が所定の増殖状態か否かの判定を行う(ステップS3)。
【0083】
ステップS3における判定処理の結果、細胞が所定の増殖状態ではない場合(ステップS3のNo)、培養容器を細胞培養ユニット2Bへ搬送し、細胞培養ユニット2Bの細胞培養モジュール50の内部(培養室)に、所定時間、保管して細胞を培養した後(ステップS4)、観察ステージ19へ搬送して、再度、細胞が所定の増殖状態か否かの判定を行う(ステップS3)。
【0084】
ステップS3における判定処理の結果、細胞が所定の増殖状態の場合には(ステップS3のYes)、培養容器の蓋を外し、アスピレータ部により培養容器内の古い培地を吸引して廃棄した後(ステップS5)、ピペッター部により培養容器内に細胞洗浄液を所定量注入し(ステップS6)、培養容器を揺動させることにより、細胞洗浄液を培養容器の底面全面に行き渡らせ(ステップS7)、所定時間経過後、アスピレータ部により培養容器内の細胞洗浄液を吸引して廃棄する(ステップS8)。このステップS6〜ステップS8の操作を所定回数繰り返す。
【0085】
次に、ピペッター部により培養容器内に所定量の細胞剥離液を注入した後(ステップS9)、培養容器を揺動させることにより、細胞剥離液を培養容器の底面全面に行き渡らせる(ステップS10)。
【0086】
その後、蓋を被せた培養容器を細胞培養ユニット2Bへ搬送して、所定時間、培養室に保管する(ステップS11)。このように、細胞剥離液を注入した後、培養室で保温することで、培養容器の底面からの細胞の剥離、および細胞同士の接着の剥離を促進させることができる。
【0087】
次に、培養容器を観察ステージ19へ搬送し、培養容器の中を下側に設けた顕微鏡付きカメラ20により撮影し、その撮影した画像を画像処理して、培養容器の底面から細胞が剥がれているか否か、細胞同士の接着が切れているか否かの判定を行う(ステップS12)。
【0088】
ステップS12における判定処理の結果、培養容器の底面から細胞が剥がれており、且つ細胞同士の接着が切れている場合には(ステップS12のYes)、培養容器の蓋を外し、ピペッター部により培養容器内に所定量の培地を注入して、細胞剥離液の反応を止めた後(ステップS13)、ピペッター部のピペット35に培養容器内の細胞懸濁液を吸入する(ステップS14)。
【0089】
その後、培養容器の中を下側に設けた顕微鏡付きカメラ20により撮影し、その撮影した画像を画像処理して、培養容器内に細胞懸濁液が残存するか否かの判定を行う(ステップS15)。
【0090】
ステップS15における判定処理の結果、培養容器内に細胞懸濁液が残存しない場合には(ステップS15のNo)、遠沈管ストック部30にストックされている蓋が外された第1の遠沈管31aへ、ピペッター部のピペット35に吸入されている細胞懸濁液を吐出した後、第1の遠沈管31aの蓋を閉める(ステップS16)。なお、観察ステージ19上の使用済みの培養容器は、蓋を被せて廃棄ボックス44へ廃棄する。
【0091】
次に、遠沈管ハンドリング部により、蓋を閉めた第1の遠沈管31aを遠心分離機43にセットして、所定回転数で所定時間遠心分離を行い、細胞懸濁液から細胞を分離する(ステップS17)。
【0092】
遠心分離作業後、遠沈管ハンドリング部により遠心分離機43から第1の遠沈管31aを取り出し、遠沈管ストック部30に立て、その第1の遠沈管31aの蓋を開けて、アスピレータ部により第1の遠沈管31a内から上清液を吸引して廃棄する(ステップS18)。
【0093】
次に、ピペッター部により第1の遠沈管31a内に所定量の培地を注入した後(ステップS19)、ピペッター部により第1の遠沈管31a内の細胞懸濁液を攪拌する(ステップS20)。
【0094】
次に、ピペッター部のピペット35に、第1の遠沈管31a内の攪拌された細胞懸濁液のうちの一定量を吸入し(ステップS21)、その吸入した細胞懸濁液を細胞計数プレート24へ吐出する(ステップS22)。
【0095】
その後、細胞計数プレート24が載置されているプレート載置台25を観察ステージ19の切り欠き部23に嵌合し、細胞計数プレート24内の細胞懸濁液を撮影し、その撮影した画像を画像処理して、細胞計数プレート24内の一定量の細胞懸濁液に含まれる細胞数をカウントする。細胞継代ユニット2Aの制御部7は、そのカウントした細胞数に基づき、所定数の細胞ずつ分配されるように、細胞懸濁液を分配する量を決定する(ステップS23)。
【0096】
以後、第1の遠沈管31a内の細胞懸濁液中の細胞が所定数ずつ複数個の培養容器に播種されるように、ステップS24〜S32の処理を繰り返す。すなわち、まず、ピペッター部のピペット35に、第1の遠沈管31aから、所定数の細胞を含む量の細胞懸濁液を吸入し(ステップS24)、遠沈管ストック部30にストックされている蓋が開けられた第2の遠沈管31bへ、ピペッター部のピペット35に吸入されている細胞懸濁液を吐出し(ステップS25)、ピペッター部により第2の遠沈管31b内に所定量の培地を注入して細胞懸濁液を希釈し(ステップS26)、ピペッター部により第2の遠沈管31b内の細胞懸濁液を攪拌して(ステップS27)、その攪拌後の細胞懸濁液をピペッター部のピペット35に吸入する(ステップS28)。次に、細胞培養ユニット2Bの培養容器ストック部49にストックされている培養容器を観察ステージ19へ搬送して蓋を外し、その蓋を外した培養容器にピペッター部のピペット35内の細胞懸濁液を吐出する(ステップS29)。その後、細胞が播種された培養容器の中を下側に設けた顕微鏡付きカメラ20により撮影し、その撮影した画像を画像処理して、培養容器内に細胞が均一に播種されているか否かを判定する(ステップS30)。ステップS30における判定処理の結果、細胞が均一に播種されていない場合(ステップS30のNo)、培養容器を揺動させて(ステップS31)、再度観察を実施する(ステップS30)。ステップS30における判定処理の結果、細胞が均一に播種されている場合には(ステップS30のYes)、培養容器を細胞培養ユニット2Bへ搬送し、培養室に保管して培養する(ステップS32)。
【0097】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図面を交えて説明する。但し、前述の実施の形態1において説明した要素と同様の要素については同一符号を付して、説明を省略する。また、前述の実施の形態1において説明した構成および方法と同様の構成および方法についても、説明を省略する。
【0098】
本実施の形態2では、凍結された細胞が収容されている凍結チューブ(凍結用容器)が搬入されると、その凍結された細胞を解凍し、その解凍した細胞を継代培養する細胞培養装置について説明する。
【0099】
図23は本発明の実施の形態2にかかる細胞培養装置の外観の一例を示す斜視図である。この細胞培養装置1は、作業ユニットとして、細胞解凍ユニット60と、搬入搬出ユニット(搬入ユニットと搬出ユニットの一例)61と、細胞継代ユニット62と、細胞分離ユニット63と、2台の細胞培養ユニット64がこの順に連接されている。これらの作業ユニットの筐体の構成は、前述の実施の形態1で説明した図5に示す筐体の構成と同様である。また、これらの作業ユニットには、作業空間の空気を清浄化する設備として、図5に示す作業ユニットと同様にHEPAフィルタが装備されている。
【0100】
この細胞培養装置1では、細胞が収容されている容器として凍結チューブ(凍結用容器)が搬入搬出ユニット61に搬入される。また、継代培養された細胞が播種されている培養容器が搬入搬出ユニット61から搬出される。
【0101】
図24は、搬入搬出ユニット61を説明するための図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。また、図25は、搬入搬出ユニット61に装備されているパスボックスを説明するための図である。但し、図24には、HEPAフィルタは図示していない。また、図24(b)には、パスボックスは図示していない。
【0102】
搬入搬出ユニット61に装備されているパスボックス12は、搬入搬出ユニット61の前壁に連接している。このパスボックス12は、前壁に外側口(図示せず)が形成されており、その前壁に外側扉13が設けられている。搬入搬出ユニット61の前壁(前扉5)には、パスボックス12の外側口に繋がる開口部(図示せず)が形成されている。また、このパスボックス12は、奥壁に内側口(図示せず)が形成されており、その奥壁に内側扉17が設けられている。
【0103】
また搬入搬出ユニット61は、細胞培養にかかる作業に使用する容器を搬入搬出ユニット61の作業空間内で自在に搬送したり、細胞培養にかかる作業に使用する容器を開口部3を介して隣接する作業ユニットとの間で搬送するための搬送ロボットが装備されている。また、この搬入搬出ユニット61に装備された搬送ロボットは、パスボックス12の内部と搬入搬出ユニット61の作業空間との間で細胞培養にかかる作業に使用する容器を搬送する。この搬送ロボットは、凍結チューブや、遠沈管、培養容器を把持する把持部65を有する。また、図示しないが、この搬送ロボットは、搬入搬出ユニット61の上下方向を中心軸として把持部65を回動させる機構と、搬入搬出ユニット61の左右方向、前後方向および上下方向へ把持部65を移動させる機構を有する。図24には、搬入搬出ユニット61の左右方向へ把持部65を移動させるためのレール66と、搬入搬出ユニット61の前後方向へ把持部65を移動させるためのレール67を示している。
【0104】
細胞解凍ユニット60には、細胞培養にかかる作業を実行する設備として、搬送された凍結チューブ内の凍結された細胞を解凍させる設備や、その解凍された細胞を凍結チューブから遠沈管へ移す設備等が装備されている。また、上記した搬入搬出ユニット61に装備されている搬送ロボットと同様の搬送ロボットが装備されている。
【0105】
細胞継代ユニット62は、前述の実施の形態1で説明した細胞継代ユニット2Aと同様の構成であり、細胞培養にかかる作業を実行する設備として、観察部や、細胞計数プレート、アスピレータ部、ピペッター部等が装備されている。また、この細胞継代ユニット62には、ハンドリング部に代えて、上記した搬入搬出ユニット61に装備されている搬送ロボットと同様の搬送ロボットが装備されている。また、細胞継代ユニット62には、前述した実施の形態1と異なり、遠心分離機と遠沈管ハンドリング部は装備されていない。また、パスボックスも装備されておらず、細部継代ユニット62の搬入搬出ユニット61側の側壁には、細胞継代ユニット62と搬入搬出ユニット61との間で遠沈管や培養容器を搬送するための開口部が形成されている。その開口部付近に、遠沈管や培養容器を載置するための載置台を設けてもよい。
【0106】
細胞分離ユニット63には、細胞培養にかかる作業を実行する設備として、前述の実施の形態1で説明した遠心分離機が装備されている。また、上記した搬入搬出ユニット61に装備されている搬送ロボットと同様の搬送ロボットが装備されている。
【0107】
細胞培養ユニット64は、前述の実施の形態1で説明した細胞培養ユニット2Bと同様の構成である。図23には、細胞培養ユニットを2台使用する場合について例示しているが、無論、細胞培養ユニットの台数は2台に限定されるものではなく、細胞培養ユニットは1台以上連接させればよい。
【0108】
続いて、図26を用いて、この細胞培養装置1の動作の概要について説明する。図26は、本発明の実施の形態2にかかる細胞培養装置の動作の概略を示すブロック図である。図26に示すように、この細胞培養装置1では、細胞培養装置1の筐体外部から搬入搬出ユニット61に装備されたパスボックス12へ凍結チューブ68が搬入される。凍結チューブ68がパスボックス12に搬入されると、パスボックス12内の空気を搬入搬出ユニット61の筐体内部(作業空間)の清浄化された空気に入れ替えた後、パスボックス12から搬入搬出ユニット61の作業空間へ凍結チューブ68を搬出し、そのパスボックス12から搬出した凍結チューブ68を、搬入搬出ユニット61に隣接する細胞解凍ユニット60へ搬送する。
【0109】
細胞解凍ユニット60は、例えば、搬送された凍結チューブ68を温めた水等の液体に浸すことで、凍結チューブ68内の細胞を解凍する。なお、無論、凍結された細胞の解凍方法はこれに限定されるものではなく、例えば、凍結チューブ68内に温めた培地を注入した後に、ピペッティングを数回行う等してもよい。
【0110】
細胞解凍ユニット60は、解凍された細胞を遠沈管31へ移し、その解凍された細胞が入れられた遠沈管31に培地を注入した後、遠沈管31に蓋をして、その蓋が閉められた遠沈管31を搬入搬出ユニット61へ搬送する。
【0111】
なお、細胞解凍ユニット60には、温めた水等の液体に凍結チューブを浸漬させる設備や、凍結チューブや遠沈管の蓋を開閉する設備、凍結チューブ内の細胞懸濁液を遠沈管へ移す設備、遠沈管ストック部、遠沈管に培地を注入する設備、使用済みの凍結チューブを細胞培養装置の外部へ排出するための排出機構等が装備されている。
【0112】
解凍された細胞が入れられた遠沈管31は、搬入搬出ユニット61から、細胞継代ユニット62を介して細胞分離ユニット63へ搬送される。細胞分離ユニット63は、遠心分離作業により遠沈管31の底部に細胞塊を形成した後、この細胞塊が形成された遠沈管31を細胞継代ユニット62へ搬送する。
【0113】
細胞塊が形成された遠沈管31が搬送された細胞継代ユニット62は、まず遠沈管31内の上清液を吸引除去した後、遠沈管31に培地を注入し、その新たな培地が注入された遠沈管31内の細胞懸濁液を培養容器14へ移し、その培養容器14に蓋をする。この培養容器14は、細胞継代ユニット62から、細胞分離ユニット63を介して細胞培養ユニット64へ搬送される。細胞培養ユニット64は、その培養容器14内の細胞を培養室において培養する。培養容器14内の細胞を培養した後の動作は、前述の実施の形態1で説明した継代操作の動作と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0114】
ここでは、作業ユニットとして、細胞解凍ユニット60と、搬入搬出ユニット61と、細胞継代ユニット62と、細胞分離ユニット63と、細胞培養ユニット64が連接されている構成について説明したが、例えば、凍結チューブ内の凍結された細胞を人手で解凍する場合には、図27に示すように、細胞解凍ユニットを設けない構成としてもよい。なお、図27には、培養容器を搬入する場合について示している。
【0115】
また、ここでは、搬入搬出ユニットを連接させる場合について説明したが、図28に示すように、搬入搬出ユニットを設けない構成としてもよい。なお、図28には、培養容器を細胞継代ユニット62へ搬入する場合について示している。
【0116】
また、ここでは、遠心分離により細胞懸濁液から細胞を分離させる細胞分離ユニットを連接させる場合について説明したが、細胞懸濁液からの細胞の分離を行わずに継代操作を行うときには、図29に示すように、細胞分離ユニットを設けない構成としてもよい。なお、図29には、培養容器を細胞継代ユニット62へ搬入する場合について示している。
【0117】
以上説明した実施の形態1および2では、作業ユニットの作業空間に設けられたパスボックスが、作業ユニットの内壁に連接して設置されている場合について説明したが、パスボックスを作業空間内で移動させる構成にして、培養容器等の細胞が収容されている容器の搬入および搬出の際に、作業ユニットの内壁にパスボックスを連接させてもよい。この場合、外側口を遮断するゲートをパスボックスに設けるとともに、パスボックスの外側口に繋がる作業ユニットの開口部を遮断するゲートを作業ユニットに設ける。また、このように構成した場合、パスボックスに形成する、培養容器等の細胞が収容されている容器の搬入用の開口部と搬出用の開口部を、共用化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明にかかる細胞培養方法、および細胞培養装置は、コンタミネーションの原因となる外部空気が細胞培養装置の内部の作業空間に流入しないようにするか、または細胞培養装置の内部に流入する外部空気の量を少なくすることができ、コンタミネーションの防止および細胞培養にかかる時間の短縮化を図ることができ、ES細胞やiPS細胞、間葉系幹細胞、体性幹細胞等の様々な細胞の培養の自動化に有用である。また、単層(接着)培養や浮遊培養、包埋培養等の様々な培養方法による細胞培養の自動化に有用である。また、実験レベルの小規模な細胞培養から、工業的な大量培養の自動化に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置の外観の一例を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1にかかる作業ユニットの外観の一例を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置の制御ブロックの一例を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1にかかる滅菌化処理の一例を説明するためのタイムチャート図
【図5】本発明の実施の形態1にかかる作業ユニットの筐体の構成の一例を示す透視斜視図
【図6】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置を構成する細胞継代ユニットに装備されている設備の一構成例を説明するための透視斜視図
【図7】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置を構成する細胞継代ユニットに装備されている設備の一構成例を説明するための平面図
【図8】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置を構成する細胞培養ユニットに装備されている設備の一構成例を説明するための縦断面図および横断面図
【図9】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置を構成する細胞培養ユニットに装備されている細胞培養モジュールの一例を説明するための図
【図10】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置に用いるパスボックスの一例を説明するための図
【図11】本発明の実施の形態1にかかるパスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第1の方法を用いた培養容器の搬入工程の一例を説明するための図
【図12】本発明の実施の形態1にかかるパスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第2の方法を用いた培養容器の搬入工程の一例を説明するための図
【図13】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置に用いるパスボックスの他の例を説明するための図
【図14】本発明の実施の形態1にかかるパスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第3の方法を用いた培養容器の搬入工程の一例を説明するための図
【図15】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置に用いるパスボックスの他の例を説明するための図
【図16】本発明の実施の形態1にかかる培養容器の搬出工程の一例を説明するための図
【図17】本発明の実施の形態1にかかるパスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第1の方法を用いた培養容器の搬出工程の一例を説明するための図
【図18】本発明の実施の形態1にかかるパスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第1の方法を用いた培養容器の搬出工程の他の例を説明するための図
【図19】本発明の実施の形態1にかかるパスボックス内の空気を清浄化された空気に入れ替える第1の方法を用いた培養容器の搬出工程の他の例を説明するための図
【図20】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置による継代操作を示す第1フロー図
【図21】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置による継代操作を示す第2フロー図
【図22】本発明の実施の形態1にかかる細胞培養装置による継代操作を示す第3フロー図
【図23】本発明の実施の形態2にかかる細胞培養装置の外観の一例を示す斜視図
【図24】本発明の実施の形態2にかかる細胞培養装置を構成する搬入搬出ユニットに装備されている設備の一構成例を説明するための縦断面図および横断面図
【図25】本発明の実施の形態2にかかる細胞培養装置に用いるパスボックスの一例を説明するための図
【図26】本発明の実施の形態2にかかる細胞培養装置の動作の概略を示すブロック図
【図27】本発明の実施の形態2にかかる細胞培養装置の他例の動作の概略を示すブロック図
【図28】本発明の実施の形態2にかかる細胞培養装置の他例の動作の概略を示すブロック図
【図29】本発明の実施の形態2にかかる細胞培養装置の他例の動作の概略を示すブロック図
【符号の説明】
【0120】
1 細胞培養装置
2 作業ユニット
2A 細胞継代ユニット
2B 細胞培養ユニット
3 作業ユニットの開口部
4 作業ユニットの遮断扉
5 作業ユニットの前扉
6 上位制御装置
7 作業ユニットの制御部
8 滅菌装置
9 仕切り板
10 上側床
11 HEPAフィルタ
12 パスボックス
13 パスボックスの外側扉
14 培養容器
15 ハンドリング部の把持部
16 パスボックスの内側口
17 パスボックスの内側扉
18 載置台
19 観察ステージ
20 顕微鏡付きカメラ
21 照明部
22 観察ステージの載置領域
23 観察ステージの切り欠き部
24 細胞計数プレート
25 プレート載置台
26 アスピレータ部の軸部
27 アスピレータ部のアーム部
28 アスピレータ部のピペット
29 廃液ボックス
30 遠沈管ストック部
31 遠沈管
32 ピペッター部の移動ステージ
33 ピペッター部の軸部
34 ピペッター部のアーム部
35 ピペッター部のピペット
36 培地が収容された容器
37 細胞洗浄液が収容された容器
38 細胞剥離液が収容された容器
39 薬液ストック部
40 遠沈管ハンドリング部の移動ステージ
41 遠沈管ハンドリング部の軸部
42 遠沈管ハンドリング部の遠沈管引っ掛け部
43 遠心分離機
44、45 廃棄ボックス
46 搬送ロボットの把持部
47、48 レール
49 培養容器ストック部
50 細胞培養モジュール
51 細胞培養モジュールの開口部
52 細胞培養モジュールの遮断扉
53 載置台
54 パスボックスの気体流入口
55 パスボックスの流入口扉
56 パスボックスの外側口
57 パスボックスの気体流出口
58 パスボックスの流出口扉
59 ファン
60 細胞解凍ユニット
61 搬入搬出ユニット
62 細胞継代ユニット
63 細胞分離ユニット
64 細胞培養ユニット
65 搬送ロボットの把持部
66、67 レール
68 凍結チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内で細胞培養にかかる作業を実行する設備と、前記筐体内の気体を清浄化する設備とが装備された細胞培養装置に容器を搬入する際もしくはその細胞培養装置から容器を搬出する際に、前記筐体内に配置されている箱体の内部へ前記筐体の外部もしくは前記筐体の内部から容器を搬入し、前記箱体内の気体を前記筐体内の清浄化された気体に入れ替えた後、前記箱体から前記筐体の内部もしくは前記筐体の外部へ容器を搬出することを特徴とする細胞培養方法。
【請求項2】
前記細胞培養装置に容器を搬入する際もしくは前記細胞培養装置から容器を搬出する際に、前記箱体に形成されている複数の開口部をそれぞれ遮断する各ゲートを、前記箱体内の気体が前記清浄化された気体に入れ替わるように開閉することを特徴とする請求項1記載の細胞培養方法。
【請求項3】
前記細胞培養装置に容器を搬入する際もしくは前記細胞培養装置から容器を搬出する際に、前記箱体に形成されている前記箱体の内部と前記筐体の外部との間で容器を搬送するための第1開口部を遮断する第1ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるための第2開口部を遮断する第2ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体の内部と前記筐体の内部との間で容器を搬送するための第3開口部を遮断する第3ゲートとを、前記箱体内の気体が前記清浄化された気体に入れ替わるように開閉することを特徴とする請求項2記載の細胞培養方法。
【請求項4】
前記箱体内の気体を前記清浄化された気体に入れ替えるとき、前記第1および第2ゲートを開いた状態にするか、または前記第2および第3ゲートを開いた状態にすることを特徴とする請求項3記載の細胞培養方法。
【請求項5】
前記細胞培養装置に容器を搬入する際に、前記第2および第3ゲートを閉じた状態で前記第1ゲートを開けて、前記第1開口部を介して前記筐体の外部から前記箱体の内部へ容器を搬入した後、前記第2ゲートを開けて、前記第2開口部を介して前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるとともに前記第1開口部を介して前記箱体の内部から気体を流出させ、その後、前記第1および第2ゲートを閉じてから前記第3ゲートを開け、前記箱体から前記筐体の内部へ容器を搬出することを特徴とする請求項4記載の細胞培養方法。
【請求項6】
前記細胞培養装置に容器を搬入する際に、前記第2および第3ゲートを閉じた状態で前記第1ゲートを開けて、前記第1開口部を介して前記筐体の外部から前記箱体の内部へ容器を搬入した後、前記第1ゲートを閉じてから、前記第2および第3ゲートを開けて、前記第2開口部を介して前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるとともに前記第3開口部を介して前記箱体の内部から気体を流出させ、その後、前記第2ゲートを閉じてから、前記箱体から前記筐体の内部へ容器を搬出することを特徴とする請求項4記載の細胞培養方法。
【請求項7】
前記細胞培養装置に容器を搬入する際もしくは前記細胞培養装置から容器を搬出する際に、前記箱体に形成されている前記箱体の内部と前記筐体の外部との間で容器を搬送するための第1開口部を遮断する第1ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるための第2開口部を遮断する第2ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体の内部と前記筐体の内部との間で容器を搬送するための第3開口部を遮断する第3ゲートと、前記箱体に形成されている前記箱体から前記筐体の内部へ気体を流出させるための第4開口部を遮断する第4ゲートとを、前記箱体内の気体が前記清浄化された気体に入れ替わるように開閉することを特徴とする請求項2記載の細胞培養方法。
【請求項8】
前記箱体内の気体を前記清浄化された気体に入れ替えるとき、前記第2および第4ゲートを開いた状態にすることを特徴とする請求項7記載の細胞培養方法。
【請求項9】
前記細胞培養装置に容器を搬入する際に、前記第2および第3ゲートを閉じた状態で前記第1ゲートを開けて、前記第1開口部を介して前記筐体の外部から前記箱体の内部へ容器を搬入した後、前記第1ゲートを閉じてから、前記第2および第4ゲートを開けて、前記第2開口部を介して前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるとともに前記第4開口部を介して前記箱体の内部から気体を流出させ、その後、前記第2および第4ゲートを閉じてから、前記第3ゲートを開け、前記箱体から前記筐体の内部へ容器を搬出することを特徴とする請求項8記載の細胞培養方法。
【請求項10】
前記箱体は、前記清浄化された気体を流入させるための開口部から前記箱体の内部へ気体を送るための気体送り機構を有しており、その開口部を遮断するゲートを開ける際に前記気体送り機構の動作を開始させ、そのゲートを閉じる際に前記気体送り機構の動作を停止させることを特徴とする請求項2ないし9のいずれかに記載の細胞培養方法。
【請求項11】
筐体内で細胞培養にかかる作業を実行する設備と、前記筐体内の気体を清浄化する設備とが装備された細胞培養装置であって、
前記筐体内に配置されている箱体と、
前記箱体に形成されている複数の開口部をそれぞれ遮断する各ゲートと、
前記筐体へ容器が搬入されるとき、前記筐体の内部から隔てられた前記箱体の内部に容器が搬入されると、前記箱体内の気体が前記筐体内の清浄化された気体に入れ替わるように前記各ゲートの一部または全部の開閉動作を制御する制御部と、
前記箱体の内部と前記筐体の内部との間で容器を搬送する搬送機構と、
を備えることを特徴とする細胞培養装置。
【請求項12】
前記箱体には、前記箱体の内部と前記筐体の外部との間で容器を搬送するための第1開口部と、前記箱体の内部に前記清浄化された気体を流入させるための第2開口部と、前記箱体の内部と前記筐体の内部との間で容器を搬送するための第3開口部と、が形成されていることを特徴とする請求項11記載の細胞培養装置。
【請求項13】
前記箱体には、前記箱体から前記筐体の内部へ気体を流出させるための第4開口部がさらに形成されていることを特徴とする請求項12記載の細胞培養装置。
【請求項14】
前記箱体は、前記清浄化された気体を流入させるための開口部から前記箱体の内部へ気体を送るための気体送り機構を有し、前記気体送り機構は、前記清浄化された気体を流入させるための開口部を遮断するゲートが開くと動作を開始し、そのゲートが閉じると動作を停止することを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の細胞培養装置。
【請求項15】
前記筐体から容器が搬出されるとき、前記筐体の外部から隔てられた前記箱体の内部へ容器を搬入し、前記箱体の内部が前記筐体の内部から遮断されるように前記各ゲートの一部または全部の開閉動作を制御した後、前記箱体の内部と前記筐体の外部との間で容器を搬送するための開口部を遮断するゲートを開けることを特徴とする請求項11ないし14のいずれかに記載の細胞培養装置。
【請求項16】
前記筐体から容器が搬出されるとき、前記箱体へ容器が搬入される前、または前記箱体へ容器が搬入された後、または前記箱体から前記筐体の外部へ容器が搬出された後に、前記制御部が、前記箱体内の気体が前記筐体内の清浄化された気体に入れ替わるように前記各ゲートの一部または全部の開閉動作を制御することを特徴とする請求項15記載の細胞培養装置。
【請求項17】
前記筐体は、複数台のユニットが連接してなり、前記ユニットのうちの少なくとも一台に前記箱体が装備されていることを特徴とする請求項11ないし16のいずれかに記載の細胞培養装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−161931(P2010−161931A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4171(P2009−4171)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】