説明

経口の延長放出性医薬品剤形

+,K+−ATPアーゼ阻害剤の延長された血漿濃度プロフィルを与える、H+,K+−ATPアーゼ阻害剤の腸溶性コーティングされた延長放出性医薬品剤形を提供するもので延長された血漿プロフィルは、親水性若しくは疎水性マトリックスおよびH+,K+−ATPアーゼ阻害剤、並びに任意に薬学的許容賦形剤のコア材料を含む医薬組成物により得られる。この剤形は1日に1回投与し得る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、プロトンポンプ阻害剤、即ちH+,K+−ATPアーゼ阻害剤を含む新規な医薬品剤形に関する。この新規な剤形は腸溶性コーティング製剤であり、それは小腸および/又は大腸でH+,K+−ATPアーゼ阻害剤を長く且つ連続的に放出して、延長された血漿プロフィルを生じる。この製剤は親水性若しくは疎水性マトリックスを含むので、H+,K+−ATPアーゼ阻害剤を好ましくは最低2時間そして最高12時間、延長(長時間)放出する。更に本発明は、かかる延長放出性製剤の製造、およびそれらの医療での使用に関する。
【0002】
【発明の背景および先行技術】
酸不安定性H+,K+−ATPアーゼ阻害剤は胃プロトンポンプ阻害剤とも呼ばれ、例えば一般名オメプラゾール(omeprazole)、ランソプラゾール(lansoprazole)、パントプラゾール(pantoprazole)、ラベプラゾール(rabeprazole)
およびレミノプラゾール(leminoprazole)として知られた化合物である。これらの化合物のいくつかは、EP-A1-0005129、EP-A1-124495、WO 94/27988、EP-A1-174726、EP-A1-166287およびGB 2163747に開示されている。
【0003】
これらの医薬物質は、ヒトを含む哺乳類における胃酸分泌を、酸分泌経路の最終段階で胃酸分泌を抑制することにより阻害するのに有用であり、従って基本的および刺激された胃酸分泌を刺激に関係なく減少させる。更に一般的な意味で、それらは哺乳類およびヒトの胃酸に関係した病気、例えば還流食道炎、胃炎、十二指腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍およびゾリンジャーエリソン症候群を含む病気の予防および治療に使用し得る。更にそれらは、胃酸阻害作用が望ましいその他の胃腸障害の治療、例えばNSAID治療中の患者、非潰瘍消化不良(NUD)の患者、症候的胃−食道還流疾患(GORD)の患者における治療に使用し得る。それらはまた、集中治療の状態にある患者、急性上部胃腸出血の患者に手術前および手術後に使用して、胃酸の吸引を予防し、ストレス性潰瘍形成を予防および治療することができる。更に、乾癬の治療、並びにヘリコバクター感染およびそれらに関連する疾病の治療に有用であろう。
胃酸分泌の治療上の抑制はこれらの疾病のすべてに基本的であるが、最適な臨床的効果に必要な胃酸阻害の程度および持続期間は十分には理解されていない
【0004】
本出願人によりWO 97/48380(1997年12月24日発行、即ち本願の優先日の後に発行)で、2から12時間(幾つかの手段のいずれかによって)にわたる血漿レベルを与える投与計画はプロトンポンプの大部分を阻害する結果になるであろうことが提案された。従って、延長された血漿レベルは酸分泌をより効果的に阻害し、GORDにおいて改良された効能、胃潰瘍のより急速な治癒、およびヘリコバクターピロリの改良された根絶をもたらすはずである。本発明は、かかる延長された血漿レベルを、薬剤の延長された放出により達成する医薬品剤形を提供する。
【0005】
オメプラゾールまたはその他のプロトンポンプ阻害剤を含む医薬品剤形は、腸溶性コーティング層により酸性胃液との接触から最もよく防御される。米国特許第4,786,505号および米国特許第4,853,230号には、かかる腸溶性コーティング製剤が記載されている。これらの製剤は、薬剤のアルカリ塩を含むコアまたは薬剤をアルカリ反応性化合物と共に含むコアを有し、このコアは水溶性層または水中で急速に崩壊する分離層で被覆されそして次に腸溶性コーティング層で被覆されている。WO 96/01623およびWO 96/01624は、オメプラゾールおよび他のプロトンポンプ阻害剤の錠剤化剤形を記載し、ここでは腸溶性コーティング積層ペレットは圧縮されて多重単位の錠剤化剤形とされる。これらの錠剤化製剤では、腸溶性コーティング層が圧縮力に耐えることが不可欠である。本出願人が前に記載した製剤はいずれも、延長された血漿プロフィルを生じる薬剤の延長された放出を与えない。
【0006】
WO 97/02020は、抗生物質と一緒になったパントプラゾールのための剤形を記載し、その剤形は中間層として置かれた放出遅延膜を有する。この膜は水不溶性フィルム形成剤を剤形の重要な特徴として含む。WO 97/02021は、可逆プロトンポンプ阻害剤と抗生物質との組み合わせのための同じタイプの剤形を記載する
【0007】
半透膜を適用するのに匹敵する延長放出性剤形を調製するのに便利な方法は、マトリックス単位を含む剤形を作ることである。かかるマトリックスのいくつかの利点は、例えば、主として普通の造粒および錠剤化装置の使用による容易な加工法があること、およびある場合は溶媒の取り扱い、エネルギーおよび製造時間の利得等に関することである。
【0008】
延長された薬剤放出の原理として親水性マトリックス錠剤の使用は、初めに1960年代の初期に記載され、例えば米国特許第3,065,143号を参照されたい。
また、延長された放出のための疎水性マトリックス錠剤の原理は1960年代に始まり、例えばキニジンデュレレス(qiunidine dureles)は1963年に市販された。
マトリックス中にいろいろな薬剤を含む延長放出性剤形は従来技術に記載されている。しかしながら、これらのマトリックス剤形のいずれもそのままでH+,K+−ATPアーゼ阻害剤には適しない。
【0009】
いくつかの延長放出性親水性マトリックス剤形は、例えば次の文献に記載されている:In Journal of Pharmaceutical Sciences、第84巻、第3号、1995年3月、ここでKimはテオフィリンまたはジルチアゼム塩酸塩を含む剤形を記載している。米国特許第5,273,758号は、例えばフマル酸クレマスチンを含む剤形を記載している。欧州特許第0249587号はフェロジピン(felodipine)製剤を論じている。ベンゾジアゼピン誘導体を含む剤形はFranz外によって、Journal of Controlled Release、1987年、5、159−72頁に記載されている。延長放出性疎水性マトリックスを含む剤形は、例えばRomero外によるInternational Journal of Pharmacy 1991年、73、239-48頁に記載されている。
【0010】
追加のコーティング層を有する延長放出性錠剤もまた、例えばSangalli外のInternational Journal of Pharmaceutics、91(1993年)、151-6頁に記載されている。例示された薬剤はメトプロロール酒石酸塩およびベンフルオレックスである。記載された剤形は、錠剤の真中に穴を明けるために穿孔された不浸透性コーティングを有し、内部のコアを溶解するために、即ち活性薬剤を溶解するために、出発表面積を露出させている。
【0011】
幾分複雑な剤形は、米国特許第5,178,867号に記載された。この剤形は薬剤を含むコアを有し、このコアは、溶解した薬剤の出口として貫通した少なくとも一つの穴を有する半透過性壁(その物理的一体性を剤形の寿命の間維持する)で被覆されていた。腸溶性コーティング層を適用して胃内での薬剤の送達を制限しそして小腸内で薬剤を放出させ得ることも述べられている。この剤形はマトリックス単位よりも製造がずっと複雑である。プロトンポンプ阻害剤化合物を含む調製された剤形について、および酸性胃液が半透膜を浸透しないことを確認するためのかかる剤形の試験、および活性物質が吸収位置に完全に送達されたことについての詳細な記述がない。
【0012】
これらの剤形のいずれも、プロトンポンプ阻害剤のような酸感受性物質を、胃内で見られるような酸性環境と接触すると起こる分解から保護する、製造が容易なマトリックス剤形を提供しない。
【0013】
【発明の要約】
従って本発明は、H+,K+−ATPアーゼ阻害剤若しくはその一つの単一エナンチオマー、又はH+,K+−ATPアーゼ阻害剤のアルカリ塩若しくはその単一エナンチオマーの一つを混入した、親水性若しくは疎水性マトリックスを含む延長放出性の腸溶性コーティング製剤に関する。
【0014】
本発明は、酸感受性H+,K+−ATPアーゼ阻害剤、例えばオメプラゾール又は別のプロトンポンプ阻害剤を含む、かかる延長放出性剤形を簡単な方法で製造する問題に解決を与える。特定の問題は、本発明による医薬品剤形は、米国薬局方(23版)に特定された、腸溶性コーティング物品についての胃酸抵抗性に関するある種の要件を満たさなければならないことである。例えば、剤形は腸溶性コーティングで保護されて、完全な薬剤を胃腸管内の吸収される適当な部位に確実に安全に送達されなければならない。
【0015】
本発明によると、延長された血漿プロフィルは、延長された期間、好ましくは最低2時間そして最高12時間、プロトンポンプ阻害剤を放出する腸溶性コーティング剤形を1日に1回投与することで与えられる。このように、全用量は2時間以内に又は最高12時間以内に送達される。オメプラゾールおよび類似の物質の治療効果は、延長された血漿プロフィルを与えることによりおよび毎日1回投与するための剤形を与えることにより改良され得る。
本願の延長放出性製剤は、1日の間に2又はそれ以上の単位用量を連続して投与することからなる投与計画に対する改善された患者のコンプライアンスが得られる。
【0016】
【発明の詳述】
本発明による延長された放出を与える剤形は、腸溶性コンプライアンス錠剤の形態の単位である。あるいは、この単位は腸溶性コンプライアンスペレットであり、このペレットはカプセルに充填されるか、又は錠剤賦形剤と共に圧縮して複数単位の錠剤化された剤形にされる。
【0017】
個々の単位、即ち錠剤又はペレットは、・ 任意にシード/スフェアの上に積層されたコア材料であって、このコア材料は、活性薬剤および任意に薬学的許容賦形剤を含有する親水性若しくは疎水性マトリックスを含む、および・ 任意の取り囲む分離層、および最後に・ 腸溶性コーティング層として構成することができる。
【0018】
コア材料 上記単位、即ち錠剤又は個々のペレットのためのコア材料は、いろいろな原理に従って構成することができる。コア材料は均一であるか又は不均一であってもよい。
【0019】
I) 均一なコア材料 コア材料が均一である場合、活性物質はコア材料全体に均一に分布している 活性物質は、親水性又は疎水性マトリックスを形成する物質および任意に薬学的に許容される賦形剤と混合される。コア材料は酸性物質を含まないようにしなければならない。従って、親水性又は疎水性マトリックスとコア中の他の材料との組み合わせは、コア材料中で酸反応を生じてはならない。酸反応は酸感受性プロトンポンプ阻害剤化合物に有害である。プロトンポンプ阻害剤化合物の周りのミクロ環境は、上記混合物の粒子に水が吸収された場合又は上記混合物に少量の水が添加された場合、好ましくはpH=7以上、更に好ましくはpH=8以上のpHをもたなければならない。
【0020】
活性物質は更なる成分と混合して、好ましい取扱い性および加工性と、最終混合物中に活性物質の適当な濃度とを得ることができる。かかる成分は、結合剤、界面活性剤、滑沢剤、滑剤、充填剤、アルカリ性添加剤又は他の薬学的に許容される成分の単独又は混合物であることができる。
上記コア材料は、混合成分の直接圧縮又は成分の造粒、次いで乾燥造粒材料の圧縮により製造し得る。
直接圧縮においては、成分を混合しそして通常の錠剤化装置を用いて圧縮する。
【0021】
造粒には、文献に述べられた多くの造粒工程の代替法があり、ローラ圧縮(Chilsonator)および結合剤を添加した又は添加しない造粒溶液を用いた湿式法がある。湿式法の変形は流動床内での噴霧造粒である。
湿式造粒法のためには、有機溶媒、水溶液又は純粋な水が造粒溶液を調製するために使用し得る。環境を考慮すると、純粋な水が好ましい。しかしながら、親水性マトリックス成分として使用するいくつかの材料については、アルコールのような有機溶媒を使用した場合、生成した粒の技術的性質はより良いであろう。このことは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースについて特に著しい。
【0022】
疎水性マトリックス成分の造粒には、湿式造粒法においてアルコール性溶媒を使用するのも好ましい。これらの溶液中の結合剤として、以下に掲げるポリマーの1種又はそれ以上をマトリックス形成ポリマーとして選択できる。
一般的原理として、活性成分をマトリックス形成ポリマーおよび任意に薬学的に許容される賦形剤と共に混合しそして造粒する。乾燥粒は任意に薬学的に許容される賦形剤と混合し、そして次に一般の装置を用いて錠剤に圧縮する。
配合されたコア材料のサイズは、錠剤の製剤についてはほぼ2mmから14mmの間、好ましくは3mmから9mmの間であり、そしてペレットの製剤については0.1mmから4mmの間、好ましくは0.1mmから2mmの間である。
【0023】
II) 不均一コア材料 あるいは、コア材料は、内側帯域、例えばシード又はスフェアが活性物質を含まない不均一であってもよい。このシード又はスフェアは、活性物質を含む親水性又は疎水性マトリックスの層で囲まれており、任意に薬学的に許容される賦形剤がマトリックス中に混入される シード又はスフェアは溶解性又は不溶性であり得る。任意に、シード又はスフェア(内側帯域)を不活性層で被覆して、活性物質および親水性又は疎水性の侵食物質を含む層をシード/スフェアに適用する前に、滑らかな表面を製造してもよい。
【0024】
不溶性のシード/スフェアは、いろいろな酸化物、セルロース、有機ポリマーおよび他の材料を単独で又は混合物として含み得る。水溶性のシード/スフェアは、いろいろな無機塩、砂糖およびその他の材料を単独で又は混合物として含み得る。シードのサイズはほぼ0.1mmから2mmの間で変わり得る。活性物質を含むマトリックスを積層したシードは、例えば造粒若しくは噴霧コーティング/層形成装置を用いて、粉末若しくは溶液/懸濁液層形成により調製される。
【0025】
薬学的に許容される添加剤 親水性マトリックス用の結合剤は、以下に述べる親水性侵食性マトリックス、そして更に砂糖、ポリビニルピロリドン、澱粉およびゼラチンから選ぶことができる。
疎水性マトリックス用の結合剤は、以下に述べる疎水性侵食性マトリックスから選ぶことができる。
下記の成分の中に掲げた添加剤は親水性マトリックスおよび疎水性マトリックスの両方に適する。
【0026】
適したアルカリ性添加剤は、リン酸、カルボン酸、クエン酸又はその他の適当な弱い無機酸若しくは有機酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩;水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウム共沈殿物;水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムのような、酸中和製剤に通常使用される物質;酸化マグネシウム若しくは複合物質、例えばAl23.6MgO.CO2.12H2O,(Mg6Al2(OH)16CO3.4H2O),MgO.Al23.2SiO2.nH2O若しくは類似の化合物;トリヒドロキシメチルアミノメタン、アルギニンのような塩基性アミノ酸、およびそれらの塩若しくはその他の類似の薬学的に許容されるpH−緩衝物質のような有機pH−緩衝物質のような物質から選ぶことができるが、それらに限定されない。
【0027】
適した界面活性剤は、薬学的に許容される非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80、又はイオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムの群中に見られる。
滑沢剤は、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(商標名))、およびパルミチン酸セチルである。
【0028】
充填剤は、例えばナトリウムアルミニウムシリケート、ラクトース、リン酸カルシウム等である。
滑剤は、例えばタルクおよびエーロシルである。
酸化防止剤は適当な場合、添加してもよい。
【0029】
活性物質 本発明による新規な延長放出性剤形用の興味ある化合物は、一般式Iの化合物、そのアルカリ塩、その単一のエナンチオマーの一つ、又はそのエナンチオマーの一つのアルカリ塩である:
【化5】


【0030】
ここで、Het1
【化6】


であり、
【0031】
Het2
【化7】


であり、
【0032】
X=
【化8】


であり、
【0033】
ここで、 ベンズイミダゾール基中のNは、R6−R9で置換された環炭素原子の一つが場合によっては置換基のない窒素原子で交換されてもよいことを意味し; R1、R2およびR3は同じか又は異なり、そして水素、アルキル、任意にフッ素で置換されてもよいアルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルコキシ、ジアルキルアミノ、ピペリジノ、モルホリノ、ハロゲン、フェニルおよびフェニルアルコキシから選ばれ;
4およびR5は同じか又は異なり、そして水素、アルキルおよびアリールアルキルから選ばれ;
【0034】
6′は水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキル又はアルコキシであり; R6−R9は同じか又は異なり、そして水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、オキサゾリニル、トリフルオロアルキルから選ばれるか、又は隣接する基R6−R9は、更に置換されてもよい環構造を形成し;
10は水素であるか、又はR3と一緒にアルキレン鎖を形成し、そして R11およびR12は同じか又は異なり、そして水素、ハロゲン又はアルキルから選ばれる。
【0035】
式Iの特に興味ある化合物の例は、
【化9】


である。
【0036】
本発明による延長放出性製剤に使用するのに適した化合物は、中性形態又はアルカリ塩の形態、例えばMg2+、Ca2+、Na+又はK+塩、好ましくはMg2+塩の形態で使用し得る。この化合物はその単一のエナンチオマーの一つ、又は単一エナンチオマーのアルカリ塩の形態でも使用し得る。
【0037】
本発明による経口の医薬製剤に好ましい化合物は、オメプラゾール、オメプラゾールのマグネシウム塩、又はオメプラゾールの(−)−エナンチオマーのマグネシウム塩である。オメプラゾールおよび関連物質、並びにそれらの製剤は、EP 5129、EP 124495、WO 95/01977、WO 94/27988に記載され、全体を参照用に本願に含める。
【0038】
上記化合物は、酸性および中性媒体中で分解/変換し易い。一般に、分解は酸反応性化合物により触媒され、そして活性化合物はアルカリ反応性化合物により安定化される。オメプラゾール並びに従来技術で記載されたその他のプロトンポンプ阻害剤を含むいろいろな腸溶性コーティング積層製剤がある。例えばUS-A4,853,230、WO 95/01783およびWO 96/01623を参照。特に後者は、オメプラゾールおよび類似の化合物を含む腸溶性コーティング積層ペレットの製剤の別の製造方法を記載する。これらの特許は全体を参照用に本願に含める。
【0039】
親水性マトリックス 活性物質、即ち薬剤は親水性ポリマー中に、任意に薬学的に許容される賦形剤と共に埋め込まれる。適した親水性ポリマーは、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、トラガカント、およびキサンタンである。これらのポリマーは単独で又は互いの混合物として使用できる。
【0040】
マトリックス中の親水性ポリマーの量は、好ましくは15〜80%(単位重量に基づき計算)であり、親水性ポリマーは上記の中から選ばれる。
親水性マトリックス単位中の特に好ましいポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポリエチレンオキシドである。
【0041】
マトリックス中の好ましい賦形剤は、良好な技術的錠剤化性を生じる充填剤、即ちナトリウムアルミニウムシリケート、マンニトール又はリン酸カルシウム(Emcompress(商標名))である。好ましいマトリックスは、上記のように選ばれた親水性ポリマーを15〜80重量%(単位重量基準で計算)、そしてナトリウムアルミニウムシリケート又はリン酸カルシウム(Emcompress(商標名))を10〜60重量%(単位重量基準で計算)含む。
【0042】
疎水性マトリックス 活性物質、即ち薬剤は疎水性マトリックス中に、任意に薬学的に許容される賦形剤と共に埋め込まれる。疎水性マトリックスは疎水性化剤および/又は疎水性ポリマーを含む。疎水性マトリックスに適した材料は、例えばセタノール、セトステアリルアルコール、パルミチン酸セチル、カルナバワックスのようなワックス、パラフィン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、および中鎖又は長鎖のグリセロールエステルの単独又は混合物のような疎水性化剤である。疎水性ポリマーは、例えば塩化ポリビニル、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニルおよびアクリル酸コポリマー、例えばEudragith(商標名)RSおよびRLにより例示される。このポリマーは単独で又は混合物として使用できる。
疎水性マトリックス用の結合剤として、親水性又は疎水性ポリマーのいずれかが使用し得る。
【0043】
マトリックスは、腸液のような媒体に可溶性の少なくとも一つの成分を含むことが重要である。この成分は溶解し、そして溶解性流体および溶解した薬剤を通すために開いた多孔性ネットワークを残す。この可溶性成分は活性薬剤自体であるか、砂糖のような可溶性成分であってもよい。好ましくは可溶性成分は2重量%以上(単位重量に基づいて計算)そして60重量%までの量で存在する。
マトリックスは、上記の疎水性化剤若しくは疎水性ポリマー、又はそれらのあらゆる組み合わせを10重量%以上(単位重量に基づいて計算)そして80重量%までの量で含むのが好ましい。
【0044】
別の好ましいマトリックスは、添加剤として僅かに可溶性の若しくは低溶解性の成分を含む。かかる成分として、下記のいずれかを添加し得る:ナトリウムアルミニウムシリケート、リン酸カルシウム、エーロシル、二酸化チタン、炭酸マグネシウム、又はその他の僅かに可溶性の若しくは低溶解性の中性若しくはアルカリ性の化合物。ここでは水中への溶解性に関する。僅かに可溶性とは欧州薬局方(第3版)の標題“一般的掲示”に従って定義される。かかるマトリックスは、疎水性化剤若しくは疎水性ポリマー、又はそれらのあらゆる組み合わせ10〜80重量%(単位重量基準で計算)を、僅かに可溶性の若しくは低溶解性の成分10%〜60%と共に含む。かかる成分として特に好ましいのはナトリウムアルミニウムシリケートである。
最終溶解プロフィルは時々、疎水性マトリックス単位を短時間熱処理することにより調整して、疎水性化剤の軟化温度又はそれ以上の温度にしてもよい。かかる処理は腸溶性コーティングが完了した後に行うのが最も適当である。
【0045】
腸溶性コーティング層および分離層 腸溶性コーティング層をコア材料に塗布する前に、ペレットまたは錠剤を任意に、例えばpH−緩衝化合物のようなアルカリ性化合物を任意に含む薬学的賦形剤を含む1つ又はそれ以上の分離層で覆ってもよい。この分離層はペレットまたは錠剤中の活性物質を外側の腸溶性コーティング層から分離する。
【0046】
分離層は、流動床装置(Wuster型を含む)中のコーティングパン(塗布槽)、コーティング造粒機、遠心分離造粒機のような適当な装置内でコーティング又は積層工程により、水及び/又はコーティング工程用の有機溶媒を使用して適用することができる。代替法として、この層は粉末コーティング又はプレスコーティング技術を用いて適用することができる。
【0047】
分離層用の適当な材料は、例えば砂糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース等のような薬学的許容化合物であり、単独で又は混合物として使用される。可塑剤、着色料、顔料、充填剤、粘着防止および静電防止剤、例えばステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、タルク、pH−緩衝物質およびその他の添加剤も分離層に含めてよい。
【0048】
任意の分離層をペレットまたは錠剤に適用する場合、可変の厚さを構成してもよい。任意の分離層の最大厚さは通常、加工条件によってのみ制限される。分離層は拡散バリヤー(障壁)として役立ち得、そしてpH−緩衝帯域として作用し得る。任意の分離層は活性物質の化学的安定性および/又は剤形の物性を改良し得る。
【0049】
最後に、単位、即ち錠剤又はペレットは、適当なコーティング技術を用いて、1つ又はそれ以上の腸溶性コーティング層により被覆される。腸溶性コーティング材料を、水又は適当な有機溶媒のいずれか中に分散又は溶解する。腸溶性コーティング層ポリマーとして、1種又はそれ以上の下記のものを別々に又は組み合わせて使用できる;例えば、メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、セラック又はその他の適当な腸溶性コーティング層ポリマーの溶液又は分散体
【0050】
分散剤、着色料、顔料、追加のポリマー、例えばポリ(エチルアクリレート、メチルアクリレート)、粘着防止および消泡剤もまた腸溶性コーティング層に含めてもよい。その他の化合物を添加して、膜の厚さを増加させそして酸性の胃液が酸感受性材料に拡散するのを減少させてもよい。腸溶性コーティング層はおよそ、少なくとも10μm、好ましくは20μmを越える厚さを構成する。適用された腸溶性コーティング層の最大厚さは通常、加工条件によってのみ制限される。
【0051】
腸溶性コーティング層は、所望の機械的性質を得るために、薬学的許容可塑剤を含んでもよい。かかる可塑剤は、例えばトリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセロールモノエステル、ポリソルベート又はその他の可塑剤、およびそれらの混合物であるが、それらに限定されない。可塑剤の量は、選択したポリマー、選択した可塑剤および上記ポリマーの適用量に関連して、各配合に最適にするのが好ましい。
【0052】
最終剤形 腸溶性コーティング錠剤又はペレットは、任意に錠剤賦形剤と混合してカプセルに充填するか、又は多重単位錠剤剤形に圧縮される。調製された腸溶性コーティング錠剤は任意に膜形成剤で覆われて、滑らかな錠剤表面を得、そして包装および輸送の間の錠剤の安定性を更に高められる。かかる錠剤コーティング層は更に粘着防止剤、着色料および顔料のような添加剤、又はその他の添加剤を含んで、外観の良い錠剤を得ることができる。
【0053】
本発明のよる剤形は経口投与に適する。用量は治療する病気の性質および重さに依存する。用量はまた、年齢、体重、および個々の患者の反応によって変わり得る。子供および肝臓疾患のある患者、並びに長期間の治療中の患者は一般に、平均よりも幾分低い用量が有利である。他の状態の治療においては、平均よりも高い用量が使用される。剤形はまた、例えばNSAID(s)、能動性薬剤(motility agent)、抗菌性物質、および/又は制酸剤を含むその他の剤形と組み合わせても使用し得る。
【0054】
プロトンポンプ阻害剤の単位用量は少なくとも1日に1回投与される。経口の医薬製剤は、最低2時間そして最大12時間の薬学的物質の延長放出を維持し、好ましくは最低4時間そして最大8時間維持する。かかる延長放出性製剤は500mgまでの上記物質を含み、好ましくは上記用量は約5〜100mgの物質、そして更に好ましくは10〜80mgを含み得る。
【0055】
【実施例】
本発明を下記の非限定的例により更に詳しく記載する。
実施例1オメプラゾール−Mg(ほぼ20mg)を含む延長放出性マトリックス錠剤 錠剤コア用の顆粒を下記の組成に従って製造した(重量部);
オメプラゾール−Mg 45 ポリエチレンオキシド(分子量約4000000),Polyox(R)WSR301 195 エタノール95%(重量/容量) 97
【0056】
粉末をミキサー中で混合し、その後エタノールを均一な流れの中に添加した。塊を50℃の乾燥オーブン中で乾燥させた。
振動ミル中で1.0mmスクリーンを通して粉砕した後、得られた顆粒を下記の組成(重量部)に従って錠剤潤滑剤と混合した;
錠剤コア用の顆粒 235 ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(R)) 1
【0057】
混合はケンウッドミキサー内で行い、混合物を単一パンチ打錠機(Diaf)上で、平均重量123mgの錠剤(直径6mm)に圧縮した。
溶解速度を、固定バスケットを備えそして100rpmおよび37℃で作動するUSP溶解装置No.2(パドル)を使用して個々の錠剤を分析することにより試験した。溶解媒体はリン酸緩衝液pH6.8であった。
得られた放出速度(n=2)を下記の表に示す;
【0058】
【表1】
時間(時間) 放出(用量の%) 0.5 4−4 1 7−8 3 20−21 5 31−33 10 59−67 15 84−86 20 95−96 製造された錠剤は更に実施例3又は4に従って更に加工する、即ち錠剤に腸溶性コーティングを適用することができる。
【0059】
実施例2S−オメプラゾールMg−塩(ほぼ32mg)を含む延長放出性マトリックス錠剤 錠剤コア用の顆粒を下記の組成に従って製造した(重量部);
S−オメプラゾールMg−塩 300 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 50cps 80 エタノール95%(重量/容量) 356 ポリビニルピロリドンK−90 40
【0060】
粉末をミキサー中で混合し、その後エタノールを均一な流れの中に添加した。塊を50℃の乾燥オーブン中で乾燥させた。
振動ミル中で1.0mmスクリーンを通して粉砕した後、得られた顆粒を下記の組成(重量部)に従って錠剤滑沢剤と混合した;
錠剤コア用の顆粒 380 ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(R)) 4
【0061】
混合はケンウッドミキサー内で行い、その後混合物を単一パンチ打錠機(Diaf)上で、平均重量175mgの錠剤(直径7mm)に圧縮した。
製造された錠剤は更に実施例3又は4に従って更に加工する、即ち錠剤に腸溶性コーティングを適用することができる。
【0062】
実施例3S−オメプラゾールMg−塩(ほぼ32mg)を含む腸溶性コーティング延長放出性マトリックス錠剤 実施例2からの錠剤を流動床コーティング装置内で下記の組成のコーティング懸濁液を用いてまず分離層で被覆した;
EtOH 99.5%(重量/容量) 85重量部 精製水 85重量部 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6cps 10重量部 タルク、ミクロ化 2重量部 合計 182部
【0063】
錠剤200gを加工し、コーティングを平均重量が181mgになるまで続けた。
分離層で被覆した錠剤を、前のコーティング段階と同じ装置で腸溶性コーティング層で被覆した。使用したコーティング溶液は下記の組成を有していた;
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP-55(R)) 19重量部 セタノール 1重量部 アセトン 182重量部 エタノール(95%重量/容量) 78重量部 合計 280部 分離層でコーティング錠剤100gを加工し、コーティングを平均重量が194mgになるまで続けた。
錠剤を0.1MのHClに2時間露出した。酸抵抗性は98%であることが測定された。
【0064】
実施例4S−オメプラゾールMg−塩(ほぼ32mg)を含む腸溶性コーティング延長放出性マトリックス錠剤 実施例2で得られた錠剤を流動床コーティング装置内で、腸溶性コーティング層で直接被覆した。使用したコーティング溶液は下記の組成を有していた;
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP-55(R)) 19重量部 セタノール 1重量部 アセトン 182重量部 エタノール(95%重量/容量) 78重量部 合計 280部 錠剤100gを加工し、コーティングを平均錠剤重量が187mgになるまで続けた。
錠剤を0.1MのHClに2時間露出した。酸抵抗性は99%であることが測定された。
【0065】
実施例5S−オメプラゾールMg−塩(ほぼ45mg)を含む延長放出性マトリックス錠剤 錠剤コア用の顆粒を下記の組成に従って製造した(重量部);
S−オメプラゾールMg−塩 45 ポリエチレンオキシド(分子量約4000000),Polyox(R)WSR301 145 ナトリウムアルミニウムシリケート 50 没食子酸プロピル 0.1 エタノール99.5%(重量/容量) 140
【0066】
粉末をミキサー中で混合し、エタノールで湿らせ、その後塊を50℃の乾燥オーブン中で乾燥させた。
振動ミル中で1.0mmスクリーンを通して粉砕した後、得られた顆粒を下記の組成(重量部)に従って錠剤滑沢剤と混合した;
錠剤コア用の顆粒 232 ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(R)) 1 成分を混合し、その後混合物を単一パンチ打錠機(Diaf)上で、平均重量241mgの錠剤(直径10mm)に圧縮した。
溶解速度を実施例1に記載したようにして試験した。
得られた放出速度(n=2)を下記の表に示す;
【0067】
【表2】


【0068】
実施例6S−オメプラゾールMg−塩(ほぼ45mg)を含む延長放出性マトリックス錠剤 錠剤コア用の顆粒を下記の組成に従って製造した(重量部);
S−オメプラゾールMg−塩 45 ポリエチレンオキシド(分子量約4000000),Polyox(R)WSR301 72.5 ポリエチレンオキシド(分子量約100000),Polyox(R)WSR N10 72.5 ナトリウムアルミニウムシリケート 50 没食子酸プロピル 0.1 エタノール99.5%(重量/容量) 140
【0069】
粉末をミキサー中で混合し、エタノールで湿らせ、その後塊を50℃の乾燥オーブン中で乾燥させた。
振動ミル中で1.0mmスクリーンを通して粉砕した後、得られた顆粒を下記の組成(重量部)に従って錠剤滑沢剤と混合した;
錠剤コア用の顆粒 234 ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(R)) 1 成分を混合し、その後混合物を単一パンチ打錠機(Diaf)上で、平均重量241mgの錠剤(直径10mm)に圧縮した。
溶解速度を上記実施例1に記載したようにして試験した。
得られた放出速度(n=2)を下記の表に示す;
【0070】
【表3】


【0071】
実施例7S−オメプラゾールMg−塩(ほぼ45mg)を含む延長放出性マトリックス錠剤 錠剤コア用の顆粒を下記の組成に従って製造した(重量部);
S−オメプラゾールMg−塩 45 ポリエチレンオキシド(分子量約100000),Polyox(R)WSR N10 145 ナトリウムアルミニウムシリケート 50 没食子酸プロピル 0.1 エタノール99.5%(重量/容量) 140
【0072】
粉末をミキサー中で混合し、エタノールで湿らせ、その後塊を50℃の乾燥オーブン中で乾燥させた。
振動ミル中で1.0mmスクリーンを通して粉砕した後、得られた顆粒を下記の製法に従って錠剤滑沢剤と混合した(重量部);
錠剤コア用の顆粒 229 ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(R)) 1 成分を混合し、その後混合物を単一パンチ打錠機(Diaf)上で、平均重量241mgの錠剤(直径10mm)に圧縮した。
溶解速度を実施例1に記載したようにして試験した。
得られた放出速度(n=2)を下記の表に示す;
【0073】
【表4】


【0074】
実施例8オメプラゾールMg−塩(ほぼ45mg)を含む延長放出性マトリックス錠剤 錠剤コア用の顆粒を下記の組成に従って製造した(重量部);
オメプラゾールMg−塩 80 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 50cps 300 ポリビニルピロリドン K−90 40 エタノール99.5%(重量/容量) 400 ポリビニルピロリドン(PVP)を上記アルコール中に溶解した。他の2成分を混合し、次にミキサー内でPVP溶液で湿らせた。その後、得られた塊を50℃の乾燥オーブン中で乾燥させた。
【0075】
振動ミル中で1.0mmスクリーンを通して粉砕した後、得られた顆粒を下記の組成(重量部)に従って錠剤滑沢剤と混合した;
錠剤コア用の顆粒 412 ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(R)) 4 成分を混合し、その後混合物を単一パンチ打錠機(Diaf)上で、平均重量265mgの錠剤(直径9mm)に圧縮した。
【0076】
実施例9S−オメプラゾールMg−塩(ほぼ45mg)を含む延長放出性マトリックス錠剤 錠剤コア用の顆粒を下記の組成に従って製造した(重量部);
S−オメプラゾールMg−塩 74 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 50cps 210 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10000cps 90 ポリビニルピロリドン K-90 40 エタノール99.5%(重量/容量) 400 ポリビニルピロリドン(PVP)を上記アルコール中に溶解した。他の成分を混合し、次にミキサー内でPVP溶液で湿らせた。その後、得られた塊を50℃の乾燥オーブン中で乾燥させた。
【0077】
振動ミル中で1.0mmスクリーンを通して粉砕した後、得られた顆粒を下記の組成(重量部)に従って錠剤滑沢剤と混合した;
錠剤コア用の顆粒 378 ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(R)) 4 混合はミキサー内で行い、混合物を単一パンチ打錠機(Diaf)上で、平均重量261mgの錠剤(直径9mm)に圧縮した。
溶解速度をリン酸緩衝液pH6.8中で実施例1に記載したようにして試験した。
得られた放出速度(n=6)を下記の表に示す;
【0078】
【表5】


【0079】
実施例10S−オメプラゾールMg−塩(ほぼ55mg)を含む延長放出性マトリックス錠剤 錠剤コア用の顆粒を下記の組成に従って製造した(重量部);
S−オメプラゾールMg−塩 40 ポリビニルアルコール 分子量22000,加水分解度97.5-99.5% 160 ポリビニルピロリドン K-90 14 エタノール99.5%(重量/容量) 49 ポリビニルピロリドン(PVP)を上記アルコール中に溶解した。他の2成分を混合し、次にミキサー内でPVP溶液で湿らせた。その後、得られた塊を50℃の乾燥オーブン中で乾燥させた。
【0080】
振動ミル中で1.0mmスクリーンを通して粉砕した後、得られた顆粒を下記の組成(重量部)に従って錠剤滑沢剤と混合した;
錠剤コア用の顆粒 215 ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(R)) 2 成分を混合し、その後混合物を単一パンチ打錠機(Diaf)上で、平均重量310mgの錠剤(直径9mm)に圧縮した。
溶解速度をリン酸緩衝液pH6.8中で実施例1に記載したようにして試験した。
得られた放出速度(n=2)を下記の表に示す;
【0081】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 H+,K+−ATPアーゼ阻害剤の腸溶性コーティングされた延長放出性医薬品剤形において、その剤形が親水性マトリックス若しくは疎水性マトリックスとH+,K+−ATPアーゼ阻害剤とのコア材料を含み、そしてH+,K+−ATPアーゼ阻害剤が一般式Iの化合物、そのアルカリ塩、その単一のエナンチオマーの一つ、又は式Iの化合物のエナンチオマーの一つのアルカリ塩であることを特徴とする、上記の腸溶性コーティングされた延長放出性医薬品剤形:
【化1】


ここで、Het1
【化2】


であり、 Het2
【化3】


であり、 X=
【化4】


であり、 ここで、 ベンズイミダゾール基中のNは、R6−R9で置換された環炭素原子の一つが場合によっては置換基のない窒素原子で交換されてもよいことを意味し; R1、R2およびR3は同じか又は異なり、そして水素、アルキル、場合によりフッ素で置換されてもよいアルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルコキシ、ジアルキルアミノ、ピペリジノ、モルホリノ、ハロゲン、フェニルおよびフェニルアルコキシから選ばれ;
4およびR5は同じか又は異なり、そして水素、アルキルおよびアリールアルキルから選ばれ;
6′は水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキル又はアルコキシであり; R6−R9は同じか又は異なり、そして水素、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、オキサゾリニル、トリフルオロアルキルから選ばれるか、又は隣接する基R6−R9は、更に置換されてもよい環構造を形成し;
10は水素であるか、又はR3と一緒にアルキレン鎖を形成し、そして R11およびR12は同じか又は異なり、そして水素、ハロゲン又はアルキルから選ばれる。
【請求項2】 H+,K+−ATPアーゼ阻害剤が、オメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールの(−)−エナンチオマーおよびオメプラゾールの(−)−エナンチオマーのアルカリ塩から成る群から選ばれる化合物であることを特徴とする、請求項1記載の剤形。
【請求項3】 アルカリ塩がマグネシウム塩であることを特徴とする、請求項2記載の剤形。
【請求項4】 H+,K+−ATPアーゼ阻害剤が、ランソプラゾール、パントプラゾール、それらのアルカリ塩、それらの単一エナンチオマー、およびそれらのアルカリ塩から成る群から選ばれる化合物であることを特徴とする、請求項1記載の剤形。
【請求項5】 コア材料が分離層を積層され、分離層は腸溶性コーティング層の下に存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の剤形
【請求項6】 コア材料が更に医薬上許容できる賦形剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の剤形。
【請求項7】 コア材料が更にアルカリ性添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の剤形。
【請求項8】 コア材料が、H+,K+−ATPアーゼ阻害剤および親水性若しくは疎水性マトリックス、並びに場合により医薬上許容できる賦形剤で積層されたシードを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の剤形
【請求項9】 コア材料が、H+,K+−ATPアーゼ阻害剤の周りにpH=7以上のミクロ環境を生じることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の剤形。
【請求項10】 親水性マトリックスが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、トラガカント、およびキサンタン、又はこれらの混合物から成る群から選ばれる親水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の剤形。
【請求項11】 親水性マトリックスが、更にナトリウムアルミニウムシリケートのような充填剤を含むことを特徴とする、請求項10記載の剤形。
【請求項12】 疎水性マトリックスが疎水性ポリマーおよび疎水性化剤を含み、その疎水性化剤がセタノール、セトステアリルアルコール、パルミチン酸セチル、カルナウバワックスのようなワックス、パラフィン、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、および中鎖若しくは長鎖のグリセロールエステルの単独若しくはその混合物から成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の剤形。
【請求項13】 疎水性ポリマーが塩化ポリビニル、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニルおよびアクリル酸コポリマーから成る群から選ばれることを特徴とする、請求項12記載の剤形。
【請求項14】 疎水性マトリックスが更に、ナトリウムアルミニウムシリケート、リン酸カルシウム、エーロシル、二酸化チタン、および炭酸マグネシウムから成る群から選ばれる僅かに可溶性の若しくは低溶解性の成分を含むことを特徴とする、請求項12又は13記載の剤形。
【請求項15】 H+,K+−ATPアーゼ阻害剤および親水性マトリックス若しくは疎水性マトリックス、並びに場合により医薬上許容できる賦形剤を含む腸溶性コーティング剤形の製造法において、下記の段階を含むことを特徴とする製造法: a) H+,K+−ATPアーゼ阻害剤および親水性マトリックス若しくは疎水性マトリックス、並びに場合により医薬上許容できる賦形剤を含むコア材料を形成し、 b) 場合により分離層をコア材料上に施し、そして c) 腸溶性コーティング層を段階a)又はb)からのコア材料上に施す。
【請求項16】 延長放出性が最低2時間そして最大12時間維持されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項記載の剤形。
【請求項17】 治療に使用するための請求項1〜14のいずれか1項記載の剤形。
【請求項18】 胃酸分泌の阻害が改良される医薬の製造における、請求項1〜14のいずれか1項記載の経口医薬組成物の使用。
【請求項19】 過剰な酸の分泌に関連する胃腸障害の治療において改良された治療効果を有する医薬の製造における、請求項1〜14のいずれか1項記載の経口医薬組成物の使用。
【請求項20】 延長放出性を有する医薬組成物の製造のための、請求項1に記載の式Iを有するH+,K+−ATPアーゼ阻害剤の使用。
【請求項21】 請求項1〜14のいずれか1項記載の経口医薬組成物を投与が必要な患者に投与することからなる、胃酸分泌の阻害を改良するための方法。
【請求項22】 請求項1〜14のいずれか1項記載の経口医薬組成物を投与が必要な患者に投与することからなる、過剰な酸の分泌に関連する胃腸障害の治療において治療効果を改良するための方法。
【請求項23】 請求項1〜14のいずれか1項記載の、H+,K+−ATPアーゼ阻害剤を投与が必要な患者に延長放出する医薬製剤を投与することにより、H+,K+−ATPアーゼ阻害剤の延長された血漿プロフィルを得るための方法。

【公表番号】特表2001−526211(P2001−526211A)
【公表日】平成13年12月18日(2001.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−525083(P2000−525083)
【出願日】平成10年12月17日(1998.12.17)
【国際出願番号】PCT/SE98/02368
【国際公開番号】WO99/32091
【国際公開日】平成11年7月1日(1999.7.1)
【出願人】
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【Fターム(参考)】