説明

経口用液体組成物

【課題】不快な味を有する成分を含む経口用液体組成物の味を充分に改善できるようにする。
【解決手段】グルクロノラクトン,鉄化合物などの不快な味を有する成分と、リュウガンニクより抽出してなる甘味生薬などの甘味生薬を配合して経口用液体組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口用液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
内服用薬剤等の経口用液体組成物に含まれる有効成分の中には、不快な味を呈するものもある。
例えば、グルクロノラクトンは肝機能の改善、蕁麻疹、湿疹、中毒疹、妊娠悪阻、妊娠中毒症等の治療等に使用される薬剤である。また、アルコールや脂肪の多量摂取に起因するアルコール性脂肪肝の予防剤としての効果も知られている。
【0003】
また、鉄は体内で必要なミネラルのひとつであり、赤血球のヘモグロビンの構成成分として酸素の運搬に働き、筋肉ではミオグロビンの成分として血液中の酸素を筋肉に取り入れる役割をする。各細胞では酸素の活性化成分として酸素を活性化しエネルギーの生産を助ける。鉄が不足すると体が酸欠状態になり、息切れ、めまいなどの貧血による症状が現れることが知られている。このため、必要に応じて、鉄を有効成分として含む剤や飲食品を経口摂取して鉄を補給することが行われる。
【0004】
しかし、グルクロノラクトンも鉄も、非常に不快な味を呈するため、経口投与する場合は、その不快な味を抑制することが必要である。特に、製剤の味が服用性に大きく影響する内服用液剤においては、重要な解決課題である。
【0005】
下記特許文献1には、グルクロノラクトンを含有する内服用液剤に、塩酸および/またはリン酸を配合することにより、経時的に「えぐみ」が増して飲みにくくなるのを抑えた内服液剤が提案されている。
【特許文献1】特開2005−104960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に薬剤の不快な味の問題に対しては、白糖などの甘味剤を多量に配合してマスキングする手法が採られているが、グルクロノラクトン及び/又は鉄を含有する液剤のように、不快な味が強く感じられる組成物においてはマスキング効果が不充分である。
また、上記特許文献1に記載されている方法では、グルクロノラクトンの不快な味を良好にマスキングすることはできない。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、不快な味を有する成分を含む経口用液体組成物の味を充分に改善できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、不快な味を有する成分および甘味生薬を含有することを特徴とする経口用液体組成物である。
第2の態様は、前記不快な味を有する成分が、グルクロノラクトンおよび鉄化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む第1の態様の経口用液体組成物である。
第3の態様は、前記甘味生薬が、ムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬を含む第1の態様または第2の態様の経口用液体組成物である。
第4の態様は、前記ムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬が、リュウガンニクより抽出してなる甘味生薬である第1〜3の態様の経口用液体組成物である。
第5の態様は、組成物pHが1.5〜3.0である、第1〜4の態様の経口用液体組成物である。
第6の態様は、さらに、水溶性高分子を含有する、第1〜5の態様の経口用液体組成物である。
第7の態様は、さらに、甘味剤を含有する、第1〜6の態様の経口用液体組成物である。
第8の態様は、さらに、グルコン酸カルシウムを含有する、第1〜7の態様の経口用液体組成物である。
【0009】
本発明において、組成物pHとは、最終製品として、保管され、経口投与または経口摂取に供される経口用液体組成物のpHを意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、不快な味を有する成分を含む経口用液体組成物の味を充分に改善でき、服用感に優れた経口用液体組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の経口用液体組成物は経口投与される液剤(内服用液剤)および経口摂取される液状の食品の両方を含む概念である。
本発明における不快な味を有する成分は、経口投与される液剤や経口摂取される液状の食品等に含まれる成分であって、例えば苦味、渋味等の不快な味を有する成分であれば特に制限されない。
特に、白糖などの甘味剤を多量に配合する一般的なマスキング法では充分にマスキングできないグルクロノラクトンおよび鉄化合物が不快な味を有する成分として好適である。
本発明の経口用液体組成物に含まれる不快な味を有する成分は1種でもよく、2種以上であってもよい。
本発明の経口用液体組成物における「不快な味を有する成分」の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.001〜20質量%程度である。
【0012】
<グルクロノラクトン>
グルクロノラクトンは、肝臓の働きをよくする成分であり、具体的には、肝臓の血流を増やし、解毒能力を高める効果を有し、副作用がほとんどなく、蕁麻疹、湿疹、妊娠中毒等にも適用可能である。
グルクロノラクトンの性状は、白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。グルクロノラクトン自体が特有の不快な味(苦味)を持ち、その不快な味は配合量が増加するにしたがってより顕著になる。
グルクロノラクトンは、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。なお、グルクロノラクトンを合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0013】
本発明の経口用液体組成物におけるグルクロノラクトンの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。グルクロノラクトンによる良好な効果を得るために、質量%単位では、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。mg/mL単位では、例えば、10mg/100mL以上が好ましく、100mg/100mL以上がより好ましい。
グルクロノラクトン含有量の上限は、えぐみ等の不快な味の点から、質量%単位では、10.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。またmg/mL単位では、2,000mg/20mL以下が好ましく、1,000mg/20mL以下がより好ましい。
【0014】
<鉄化合物>
鉄は、赤血球のヘモグロビンの構成成分として酸素の運搬に働き、筋肉ではミオグロビンの成分として血液中の酸素を筋肉に取り入れる役割をする。各細胞では酸素の活性成分として酸素を活性化しエネルギーの生産を助ける作用を有する。不足すると体が酸欠状態になり、息切れ、めまいなどの貧血による症状が現れると知られている薬物であり、食事や栄養剤などから適度な補給が必要となる。
【0015】
鉄化合物は、鉄(Fe)を含有する化合物であり、経口投与される液剤や経口摂取される液状の食品等に含有させることができる公知の鉄化合物を適宜使用できる。例えば、クエン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄などが挙げられる。
本発明の経口用液体組成物に含まれる鉄化合物は1種でもよく、2種以上であってもよい。
クエン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄は、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。なお、クエン酸鉄アンモニウム及びフマル酸第一鉄をそれぞれ合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0016】
本発明の経口用液体組成物における鉄化合物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。鉄(Fe)としての質量%単位では、例えば、0.001〜0.05質量%が好ましく、0.001〜0.01質量%がより好ましい。また、鉄(Fe)としてのmg/mL単位では、例えば、1mg/100mL〜10mg/20mLが好ましく、1mg/100mL〜2mg/20mLがより好ましい。
上記含有量の下限値以上であれば、鉄による良好な効果が得られる。鉄化合物による不快な味を抑える点からは上記含有量の上限値以下が好ましい。
【0017】
本発明の経口用液体組成物は、グルクロノラクトンおよび鉄化合物の一方を含有してもよく、両方を含有してもよい。両方含有する場合、これらの割合は特に制限されず、上述したそれぞれの含有量の好ましい範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0018】
<甘味生薬>
甘味生薬は、生薬であって甘味を呈するものであり、特に限定されない。好ましい例としては、リュウガン等のムクロジ科植物から得られる甘味生薬、トウキ等のセリ科植物から得られる甘味生薬、ブクリョウ等のサルノコシカケ科植物から得られる甘味生薬、ビャクジュツ等のキク科植物から得られる甘味生薬、オウギ等のマメ科植物から得られる甘味生薬などが挙げられる。これらの甘味生薬は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でもムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬が好ましい。
本発明の経口用液体組成物における甘味生薬の含有量は、特に制限されないが、好ましくは原生薬換算量(抽出に用いた生薬原料の質量)として、0.01〜10質量%程度である。
【0019】
<ムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬>
ムクロジ科植物より抽出される甘味を有する生薬は、特にグルクロノラクトンまたは鉄に起因する不快な味をマスキングする効果が高い。該ムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬は、滋養強壮と鎮静効果を併せ持つ成分でもある。
ムクロジ科植物から得られる甘味生薬の抽出方法および製剤形態は特に制限されず、単味エキス、流エキス、チンキ剤のいずれも用いることができる。
これらは1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
ムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬の中でも、特にリュウガンニクとよばれるリュウガンの果実の乳白色の仮種皮から抽出して得られる甘味生薬が好ましい。具体的には、リュウガンニクから調製された単味エキス、流エキス、およびチンキ剤からなる群から選ばれる1種または2種以上が好適に用いられる。リュウガンニクから得られる甘味生薬と、それ以外の甘味生薬とを適宜併用してもよい。
【0021】
本発明の経口用液体組成物における「ムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬」の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えばリュウガンニクから調製された甘味生薬を用いる場合、リュウガンニクとしての質量%単位では、例えば、0.01〜0.5質量%が好ましく、0.05〜0.3質量%がより好ましい。また、mg/mL単位では、例えば、10mg/100mL〜100mg/20mLが好ましく、50mg/100mL〜60mg/20mLがより好ましい。
上記含有量の下限値以上であれば、該甘味生薬による不快な味のマスキング効果が良好に得られる。上記含有量の上限値以下とすることにより、生薬由来のオリ(澱)の析出等を抑え、安定性への影響を低減できる。
【0022】
<pH調製剤>
本発明の経口用液体組成物の組成物pHは1.5〜3.0が好ましく、必要に応じてpH調製剤が添加される。該組成物pHのより好ましい範囲は2.0〜3.0であり、特に好ましい範囲は2.2〜2.8である。
組成物pHが上記範囲内であれば、組成物の不快な味をマスキングする効果が良好に得られる。
特にグルクロノラクトンは上記の組成物pHの範囲内で安定性が良好である。
【0023】
pH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩酸、希塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリシン、グルコノ−δ−ラクトン、コハク酸、酢酸、酒石酸、D−酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸、乳酸カルシウム、氷酢酸、フマル酸−ナトリウム、マレイン酸、無水クエン酸、DL−リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アジピン酸、グルコン酸、フマル酸、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤が挙げられる。上記のpH調整剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
<水溶性高分子>
本発明の経口用液体組成物に水溶性高分子を含有させてもよい。水溶性高分子を適量含有させることにより、生薬など各成分の、液中における安定性を向上させることができる。
水溶性高分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポビドン、プルラン、デキストリンなどが挙げられる。
水溶性高分子は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経口用液体組成物における水溶性高分子の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜1質量%程度である。
【0025】
<甘味剤>
本発明の経口用液体組成物には、上記甘味生薬以外の甘味剤、すなわち生薬に分類されない甘味剤を含有させてもよい。該甘味剤を適量添加することにより、経口用液体組成物の風味を向上させることができる。
甘味剤は、経口投与される液剤や経口摂取される液状の食品等に添加できる甘味剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがる。
具体例としては、ショ糖、液糖、果糖、果糖ブドウ糖液、ブドウ糖果糖液糖、還元麦芽糖水アメ、黒砂糖、高果糖液糖、ブドウ糖、粉末還元麦芽糖水アメ、水アメ、高ブドウ糖水アメ、乳糖、白糖、精製白糖、精製白糖球状顆粒、ハチミツ、精製ハチミツ、単シロップなどの糖類;
エリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、D−ソルビトール液、マルチトール、マルチトール液、マルトース、D−マンニトールなどの糖アルコール類;
アスパルテーム 、アセスルファムカリウム、アマチャ抽出物、甘草抽出物、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア抽出物、ネオテーム、ソーマチン、グリシン、グリセリン、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、甘草、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等の、糖類および糖アルコール類のいずれにも分類されない甘味料が挙げられる。
これらの甘味剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経口用液体組成物における甘味剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.0001〜20質量%程度である。
【0026】
<グルコン酸カルシウム>
本発明の経口用液体組成物にグルコン酸カルシウムを含有させてもよい。グルコン酸カルシウムを含有させることにより、不快な味のマスキング効果が向上する。
グルコン酸カルシウムを配合する場合、本発明の経口用液体組成物におけるグルコン酸カルシウムの含有量は、0.05〜1質量%程度が好ましい。
グルコン酸カルシウムの含有量が上記範囲の下限値以上であれば、良好な添加効果が得られ、上記範囲の上限値以下であれば、グルコン酸カルシウム自体の、味への影響を抑えることができる。
【0027】
<その他の成分>
本発明の経口用液体組成物には、上記に挙げた成分の他に本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を含有させることができる。
任意成分の具体例としては、ビタミン類、保存剤、安定化剤、防腐剤、可溶化剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁剤、酸化防止剤、着香剤・香料、清涼化剤、着色剤、緩衝剤、甘味生薬以外の生薬、カフェイン、ローヤルゼリー等が挙げられる。
また、本発明の経口用液体組成物が食品である場合は、食品への使用が認められている各種の食材や成分を適宜含有させることができる。
なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量配合することができる。
【0028】
前記ビタミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンA、硝酸チアミン等のビタミンB1、リン酸リボフラビンナトリウム等のビタミンB2、ニコチン酸アミド、塩酸ピリドキシン等のビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、アスコルビン酸等のビタミンC、パントテン酸カルシウム等のビタミン類が挙げられる。上記のビタミン類は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
前記保存剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、エタノール、エデト酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、クエン酸、グリセリン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、D−ソルビトール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、プロピレングリコール等の保存剤が挙げられる。上記の保存剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、アミノエチルスルホン酸、DL−アラニン、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、L−アルギニン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、アルブミン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、イオウ、イノシトール、エタノール、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、エルソルビン酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸システイン、カカオ脂、カルボキシビニルポリマー、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥亜硫酸ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥炭酸ナトリウム、キサンタンガム、クエン酸、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、グリシン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、グルコノ−δ−ラクトン、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酢酸、酢酸トコフェロール、酢酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸フェニル、β−シクロデキストリン、ジブチルヒドロキシトルエン、酒石酸、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、精製ゼラチン、精製大豆レシチン、セスキオレイン酸ソルビタン、セタノール、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆油不けん化物、デキストラン、天然ビタミンE、トコフェロール、d−δ−トコフェロール、ニコチン酸アミド、乳酸、乳糖、濃グリセリン、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸メチル、パントテン酸カルシウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、氷酢酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、プロピレングリコール、ベントナイト、ホウ酸、没食子酸プロピル、ポビドン、ポリアクリル酸部分中和物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ジブチルエーテル混合物、マクロゴール、マレイン酸、マロン酸、無水クエン酸、無水クエン酸ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム、無水マレイン酸、メタリン酸ナトリウム、メチルセルロース、l−メントール、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、薬用炭、ラウリル硫酸ナトリウム、卵白アルブミン、DL−リンゴ酸等の安定化剤が挙げられる。上記の安定化剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
前記防腐剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノエチルスルホン酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、エタノール、エデト酸ナトリウム、カンテン、dl−カンフル、クエン酸、クエン酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸フェニル、ジブチルヒドロキシトルエン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、2−ナフトール、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、l−メントール、ユーカリ油等の防腐剤が挙げられる。上記の防腐剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
本発明の経口用液体組成物を調製する方法は、特に制限はなく、公知の方法を適宜用いることができる。
例えば、日本薬局法製剤総則「液剤」の項に準じて製造し、ろ過、滅菌して製造することができる。
本発明の経口用液体組成物は、液体の内服剤または食品として経口投与または経口摂取される。投与量または摂取量は、特に制限はなく、目的に応じ適宜選択することができる。
例えばグルクロノラクトンを含有する場合、成人においては、グルクロノラクトンの一回当たりの摂取量(投与量)が0.03〜10gの範囲で、1日1回摂取(投与)することが好ましい。
また鉄化合物を含有する場合、成人においては鉄の一回当たりの摂取量(投与量)が0.0001〜0.05gの範囲で、1日1回摂取(投与)することが好ましい。
【0033】
本発明の経口用液体組成物は、不快な味を有する成分を含有するにもかかわらず、甘味生薬が添加されているので、かかる不快な味が良好にマスキングされた風味を実現することができる。
特に、リュウガンニクより抽出してなる甘味生薬は、グルクロノラクトンおよび/または鉄に起因する不快な味をマスキングするのに好適である。その理由は、甘味生薬における成分組成(甘味成分および有効成分の含有割合)と、グルクロノラクトンおよび/または鉄化合物との相性が良いと考えられる。
また、特に組成物pHを1.5〜3.0の範囲内にすることによって、不快な味が良好にマスキングされる。その理由は、グルクロノラクトンおよび/または鉄化合物が安定的に存在でき、分解物による影響が少ないためと考えられる。
またグルクロノラクトンを含有する経口用液体組成物によれば、優れた肝臓機能改善効果が得られる。鉄化合物を含有する経口用液体組成物によれば、鉄の不足に起因する各種症状の改善効果が得られる。ムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬を含有する経口用液体組成物によれば、滋養強壮および鎮静効果が得られる。
【0034】
なお、リュウガンニクについては、特開平8−38124号公報[0003]にリュウガンニクの乾燥物が、鎮静、滋養強壮作用に優れ、神経衰弱による不眠、健忘症、動悸、肺結核の咳などにともなう出血、病後の衰弱などに対する効用が知られており、煎じて服用されることが記載されているが、リュウガンニク抽出物と、例えばクロノラクトンまたは鉄化合物等の不快な味を有する成分との関連性は知られていない。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜15及び比較例1〜4)
<経口用液体組成物の調製>
下記表に示す組成及び製剤pHになるように100mLの経口用液体組成物(内服用液剤)を常法により調製した。
なお、表中の「リュウガンニクエキス」はリュウガンニクより調製された単味エキスである。
リュウガンニクエキスとしては竜眼肉エキス(商品名、日本粉末薬品社製)、リュウガンニク流エキスとしては竜眼肉流エキス(商品名、日本粉末薬品社製)を用いた。
【0036】
得られた経口用液体組成物について、以下の方法で不快な味に対するマスキング効果を評価した。評価結果を下記表に示す。
すなわち、褐色のガラス瓶に経口用液体組成物を充填し、パネラー10名が、実施例、比較例の経口用液体組成物を飲用し、薬物(グルクロノラクトンおよび鉄)由来の不快な味に対するマスキング効果を下記評価基準に基づいて官能評価し、平均値を求めた。なお、平均値3.5点以上で、本発明の効果を確認できたと判断する。
[評価基準]
5:薬物由来の不快な味をまったく感じない。
4:薬物由来の不快な味をあまり感じない。
3:どちらともいえない。
2:薬物由来の不快な味をやや感じる。
1:薬物由来の不快な味を感じる。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
上記表1〜4に示されるように、本発明にかかる実施例1〜15は、いずれも薬物由来の不快な味に対するマスキング効果が良好であった。
これに対して、甘味生薬が配合されていない比較例1〜4はいずれもマスキング効果が不充分であった。
なお、上記実施例1〜15では、グルクロノラクトンおよび鉄の両方を含む組成物において良好なマスキング効果が得られていることから、グルクロノラクトンを含み鉄を含まない組成物、または鉄を含みグルクロノラクトンを含まない組成物においても、同様に甘味生薬を配合すれば、良好なマスキング効果が得られると言える。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の経口用液体組成物は、医療業等の分野および食品分野で利用することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲料等として好適に使用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不快な味を有する成分および甘味生薬を含有することを特徴とする経口用液体組成物。
【請求項2】
前記不快な味を有する成分が、グルクロノラクトンおよび鉄化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む請求項1に記載の経口用液体組成物。
【請求項3】
前記甘味生薬が、ムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬を含む請求項1または2に記載の経口用液体組成物。
【請求項4】
前記ムクロジ科植物より抽出してなる甘味生薬が、リュウガンニクより抽出してなる甘味生薬である請求項1〜3のいずれか一項に記載の経口用液体組成物。
【請求項5】
組成物pHが1.5〜3.0である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の経口用液体組成物。
【請求項6】
さらに、水溶性高分子を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の経口用液体組成物。
【請求項7】
さらに、甘味剤を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の経口用液体組成物。
【請求項8】
さらに、グルコン酸カルシウムを含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の経口用液体組成物。



【公開番号】特開2007−176852(P2007−176852A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376805(P2005−376805)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】