説明

経路探索装置、経路探索方法及びコンピュータプログラム

【課題】 目的地まで確実に到着可能な経路を電気自動車の搭乗者に提供する。
【解決手段】 本発明の経路探索装置1は、充電せずに目的地まで直行する場合の直行経路を探索し、その直行経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、電気自動車20が当該直行経路により目的地に到着可能となる前記電装機器の設定状態を判定する。また、本発明の経路探索装置1は、充電ポイントのある中継地を経由して目的地に向かう場合の中継経路を探索し、中継経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、電気自動車20が当該中継経路により目的地に到着可能となる電装機器の設定状態を判定する。到着可能と判定された直行経路又は中継経路若しくはその双方と、この経路に対応する電装機器の設定状態を表示部7で搭乗者に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車が目的地まで到着可能な経路を探索して搭乗者に提供する経路探索装置と、その経路探索方法及びコンピュータプログラムに関し、電気自動車の電装機器の設定状態を考慮した経路の探索方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関で駆動する自動車に搭載され、出発地から目的地までの最適経路を探索する経路探索装置は既に実用化されている。しかし、現在市販の経路探索装置は、電気自動車への搭載を前提にしておらず、電気自動車特有の航続距離や充電時間については特に考慮されていない。
従って、通常の経路探索装置によって最適経路を探索しても、電気自動車は内燃機関の自動車に比べて航続距離が短いため目的地まで到着できない場合がある。
【0003】
そこで、電気自動車向けの経路探索装置として、目的地までの経路が電気自動車の航続距離を超えた場合に、充電ポイント(「充電ステーション」ともいう。)を経由する別の経路を探索することにより、目的地まで確実に到着可能な経路を提供する電気自動車の経路探索装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−170293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の経路探索装置では、バッテリの残容量だけを考慮した電気自動車の航続距離に基づいて、目的地までの経路を探索するようになっており、走行中の電力消費に大きな影響を与える電装機器(例えば、エアコンやヘッドライト等)の使用状況が考慮されていない。
このため、特許文献1に記載の経路探索装置では、実際に走行中の電装機器の設定状態によっては、充電ポイントを経由するか否かに拘わらず、経路探索装置が推奨する経路に従って走行しても目的地まで到着できなくなる恐れがある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、目的地まで確実に到着可能な経路を電気自動車の搭乗者に提供することができる経路探索装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 第1の本発明に係る経路探索装置は、充電せずに目的地まで直行する場合の直行経路を探索する第1の経路探索部と、前記直行経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の前記電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、電気自動車が当該直行経路により前記目的地に到着可能となる前記電装機器の設定状態を判定する第1の判定部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、第1の本発明に係る経路探索装置は、充電ポイントのある中継地を経由して前記目的地に向かう場合の中継経路を探索する第2の経路探索部と、前記中継経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の前記電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、前記電気自動車が当該中継経路により前記目的地に到着可能となる前記電装機器の設定状態を判定する第2の判定部と、前記各判定部が到着可能と判定した前記直行経路又は前記中継経路若しくはこれら双方の経路と、この経路に対応する前記電装機器の設定状態とを搭乗者に表示する表示部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
第1の本発明に係る経路探索装置によれば、第1の判定部が、電気自動車が直行経路により目的地に到着可能となる電装機器の設定状態を判定し、第2の判定部が、電気自動車が中継経路により目的地に到着可能となる電装機器の設定状態を判定し、表示部が、各判定部が到着可能と判定した直行経路又は中継経路若しくはこれら双方の経路と、この経路に対応する電装機器の設定状態とを搭乗者に表示するので、目的地まで確実に到着可能な直行経路又は中継経路若しくはこれら双方の経路を搭乗者に提供することができる。
【0010】
また、第1の本発明に係る経路探索装置によれば、少なくとも1つの直行経路又は中継経路若しくはこれら双方の経路とともに、それらの経路に対応する電装機器の設定状態が搭乗者に表示されるので、電装機器の設定状態を考慮して搭乗者が提供された経路を選択することができ、バリエーションに富んだ経路案内を搭乗者に提供できるという利点もある。
【0011】
(2) 第2の本発明に係る経路探索装置は、電装機器の設定状態を搭乗者の操作により入力可能な入力部と、充電せずに目的地まで直行する場合の直行経路を探索する第1の経路探索部と、前記直行経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される入力された前記電装機器の設定状態での消費電力とに基づいて、電気自動車が前記直行経路により前記目的地に到着可能か否かを判定する第1の判定部と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
また、第2の本発明に係る経路探索装置は、充電ポイントのある中継地を経由して前記目的地に向かう場合の中継経路を探索する第2の経路探索部と、前記中継経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される入力された前記電装機器の設定状態での消費電力とに基づいて、前記電気自動車が前記中継経路により前記目的地に到着可能か否かを判定する第2の判定部と、前記各判定部が到着可能と判定した前記直行経路又は前記中継経路若しくはこれら双方の経路を搭乗者に表示する表示部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
第2の本発明に係る経路探索装置によれば、第1の判定部が、入力部に入力された電装機器の設定状態において、電気自動車が直行経路により目的地に到着可能か否かを判定し、第2の判定部が、その入力された電装機器の設定状態において、電気自動車が中継経路により目的地に到着可能か否かを判定し、表示部が、各判定部が到着可能と判定した直行経路又は中継経路若しくはこれら双方の経路を搭乗者に表示するので、搭乗者が入力した所望の電装機器の設定状態に応じて、目的地まで確実に到着可能な直行経路又は中継経路若しくはこれら双方の経路を搭乗者に提供することができる。
【0014】
(3) 上記第1及び第2の本発明に係る経路探索装置において、前記表示部が表示した前記経路の途中で前記電装機器の設定状態が変化した場合に、前記各経路探索部による探索処理と前記各判定部による判定処理とを再度実行させる、再実行部を更に備えていることが好ましい。
この場合、電装機器の設定状態が変化した場合に再実行部が探索処理と判定処理を再度実行させるので、搭乗者が設定状態を変化させるごとに、目的地まで確実に到着可能な直行経路や中継経路を搭乗者に提供することができる。
【0015】
(4) 第1の本発明に係る経路探索方法は、第1の本発明に係る経路探索装置が行う方法であって、当該経路探索装置と同様の作用効果を奏する。
(5) 第2の本発明に係る経路探索方法は、第2の本発明に係る経路探索装置が行う方法であって、当該経路探索装置と同様の作用効果を奏する。
【0016】
(6) 第1の本発明に係るコンピュータプログラムは、第1の本発明に係る経路探索方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、当該経路探索方法と同様の作用効果を奏する。
(7) 第2の本発明に係るコンピュータプログラムは、第2の本発明に係る経路探索方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、当該経路探索方法と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0017】
以上の通り、本発明によれば、目的地まで確実に到着可能な経路を電気自動車の搭乗者に提供することができる。このため、提供された経路の途中で電気自動車が電力切れで停止するのを未然に防止でき、車両交通の安全に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る経路探索装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】電装機器の種類ごとの消費電力を示す参照テーブルの一例を示す図である。
【図3】車載コンピュータの処理内容を示すフローチャート(前半)である。
【図4】車載コンピュータの処理内容を示すフローチャート(後半)である。
【図5】直行経路及び中継経路の走行電力と使用可能電力を示す説明図である。
【図6】ディスプレイによる出力表示例を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る経路探索装置における、ディスプレイによる入力設定画面の一例を示す図である。
【図8】車載コンピュータの処理内容を示すフローチャート(前半)である。
【図9】車載コンピュータの処理内容を示すフローチャート(後半)である。
【図10】上記各実施形態の変形例に係る経路探索装置の全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
〔経路探索装置の全体構成〕
図1は、第1実施形態に係る経路探索装置1の全体構成を示すブロック図である。
この経路探索装置1は、電気自動車(以下、「車両」と略称する場合がある。)20に適した経路探索を行うものであり、その経路探索と車内の各電子機器の動作制御とを行う電子制御装置である車載コンピュータ2を有する。
【0020】
この車載コンピュータ2には、GPS受信機3、車速センサ4、ジャイロセンサ5、記憶装置6、ディスプレイ7、スピーカ8、入力デバイス9、無線通信機10、バッテリ制御部11及び機器制御部12がそれぞれ接続されている。
【0021】
上記GPS受信機3、車速センサ4及びジャイロセンサ5は、電気自動車20の走行位置、速度及び向きを把握するセンサ類である。
車載コンピュータ2は、GPS受信機3が定期的に取得するGPS信号により自車の絶対位置を求めるとともに、車速センサ4及びジャイロセンサ5から随時入力される入力信号に基づいてその位置及び方位を補間し、車両20の正確な現在位置及び方位を常に把握している。
【0022】
記憶装置6は、地図データベースを備える。この地図データベースは、車載コンピュータ2に道路地図データを提供するものであり、この道路地図データはリンクデータやノードデータを含み、DVD等の記録媒体に格納されている。なお、この道路地図データには、電気自動車20に給電可能な充電ポイントの位置も含まれている。
記憶装置6は、車載コンピュータ2からの指令に応じて記録媒体から必要な道路地図データを読み出して当該コンピュータ2に提供する。なお、記録媒体としては、DVD以外にも、CD−ROMやメモリカード、ハードディスク等の種々の記録媒体を採用できる。
【0023】
ディスプレイ7とスピーカ8は、車載コンピュータ2が生成した各種情報を車両20の搭乗者に提示するために利用される。具体的には、ディスプレイ7は、経路探索の際の入力設定画面、自車周辺の地図画像及び目的地までの経路情報等を表示し、スピーカ8は、自車を目的地に誘導するためのアナウンスを音声出力する。
なお、本実施形態では、車載コンピュータ2が、探索した経路(後述の直行経路及び中継経路)の走行中に使用可能な電装機器の設定状態を判定するが、判定した設定状態についてもディスプレイ7によって表示される。
【0024】
入力デバイス9は、車両20のドライバが経路探索に関する各種入力を行うためのものである。
具体的には、この入力デバイス9は、操舵ハンドルに設けられた操作スイッチ、ジョイスティック、或いは、ディスプレイ7に設けたタッチパネル等の各種入力手段の組み合わせよりなる。なお、ドライバの音声認識によって入力を受け付ける音声認識装置を入力デバイス9とすることもできる。この入力デバイス9にドライバ等の搭乗者が行った入力信号は車載コンピュータ2に送られる。
【0025】
無線通信機10は、図示しない情報センターとの間の無線通信を介して、当該情報センターから各種の提供情報を取得するものである。
すなわち、無線通信機10は、車載コンピュータ2の指令により移動体通信網21を利用して情報センターにアクセスし、渋滞情報等の提供情報が情報センターから送信されると、この提供情報を受信して車載コンピュータ2に通知する。
【0026】
車載コンピュータ2は、例えば、各種の制御プログラムを実装したマイクロコンピュータなどの演算処理装置よりなり、その制御プログラムを実行することにより、ディスプレイ7に地図画像を表示させる機能、出発地から目的地までの経路(中継地がある場合はその位置を含む。)を算出する機能、その経路に従って車両20を目的地まで誘導する機能等、各種のナビゲーション機能を実行可能である。
また、本実施形態の車載コンピュータ2は、目的地までの経路が探索された場合に、車両20が現在のバッテリ残容量で到着できるか否かを判定する機能も備えている。
【0027】
車載コンピュータ2は、上記各機能を実現させる所定のコンピュータプログラムをインストールすることによって構成されており、このプログラムは、CD−ROM、DVD−ROMなどの記録媒体に格納して販売又は譲渡することができる。また、このプログラムの販売又は譲渡は、サーバコンピュータからネットワーク経由でダウンロードすることによって行ってもよい。
【0028】
バッテリ制御部11と機器制御部12は、車内の通信ケーブルを介して車載コンピュータ2と通信可能に接続されている。
バッテリ制御部11は、自車のバッテリの電力状態を監視しつつ、バッテリの充放電動作を制御する。また、機器制御部12は、自車のエアコン、リア電熱線、ヘッドライト、ワイパー及びオーディオ等の各種電装機器の動作状態を検出し、その検出情報を車載コンピュータ2に通知するものである。
【0029】
車載コンピュータ2は、バッテリ制御部11からバッテリ残容量の情報を取得し、また、機器制御部12からは、上記各電装機器の設定状態(機器のON/OFF状態とエアコンの場合は設定温度)に関する情報を取得する。
【0030】
〔参照テーブルの例〕
記憶装置6は、電装機器の種類ごとの単位時間当たりの消費電力を示す参照テーブル22を備える。図2はその参照テーブル22の一例を示す図である。
図2に示すように、この参照テーブル22は、走行時における単位時間(例えば、10分)当たりの消費電力を電力機器の機器番号ごとにテーブル化したものである。
図2に例示する参照テーブル22では、例えば、エアコンが動作中の場合には単位時間当たりでw1の消費電力となり、リア電熱線が動作中の場合には単位時間当たりでw2の消費電力となっている。
【0031】
なお、エアコンの単位時間当たりの消費電力w1は、エアコンが車室内温度を設定温度に自動制御するオートエアコンであることを想定して、設定温度と現時点の外気温との温度差に応じてその都度変更される。
また、記憶装置6は、自車走行に必要な走行電力を演算するためのデータとして、自車が単位距離(例えば1km)だけ走行する間に、走行駆動源である電動モータにて消費される平均電力量を、例えば一般道走行時や高速道路走行時などの道路種別ごとに記憶している。
【0032】
本実施形態の車載コンピュータ2は、前記制御プログラムの実行によって実現される機能実現部として、経路探索部2Aと判定部2Bとを備えている。
このうち、経路探索部2Aは、車両20が充電せずに目的地まで直行する場合の「直行経路」の探索機能(第1探索機能)と、充電ポイントのある中継地を経由して目的地に向かう場合の「中継経路」の探索機能(第2探索機能)とを有する。
【0033】
また、判定部2Bは、直行経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、電気自動車20が当該直行経路により目的地に到着可能となる電装機器の設定状態を判定する機能(第1判定機能)と、中継経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、電気自動車20が当該中継経路により目的地に到着可能となる電装機器の設定状態を判定する機能(第2判定機能)とを有する。
【0034】
判定部2Bは、到着可能と判定した少なくとも1つの直行経路及び中継経路がある場合には、その経路と、対応する電装機器の設定状態とをディスプレイ7に送って出力させる。これにより、その経路と対応する設定状態とが搭乗者に提供される。
【0035】
〔車載コンピュータの処理内容〕
図3及び図4は、車載コンピュータ2の処理内容を示すフローチャートである。
以下、このフローチャートを参照しつつ、第1実施形態において車載コンピュータ2が行う電気自動車20のための経路探索方法を説明する。
図3に示すように、車載コンピュータ2の経路探索部2Aは、まず、ディスプレイ7の入力操作画面にて搭乗者が入力した出発地と目的地を読み込む(ステップST1)。
【0036】
なお、上記入力操作画面にて搭乗者が「出発地」を入力しない場合には、GPS受信機3によって得られた「現在位置」が出発地として設定される。
その後、経路探索部2Aは、上記出発地から目的地までを、充電せずに車両20が直行する場合の「直行経路」を、ダイクストラ法やポテンシャル法等の所定の経路探索ロジックによって探索する(ステップST2)。
【0037】
次に、車載コンピュータ2の判定部2Bは、現時点のバッテリ残容量Woを読み込むとともに(ステップST3)、上記直行経路を目的地まで走破するのに必要な走行電力Wrを算出する(ステップST4)。
この走行電力Wrは、電動モータにより消費される単位距離当たりの平均電力量に、直行経路の累積距離を乗算することによって算出することができる。
【0038】
次に、判定部2Bは、バッテリ残容量Woと、複数種類の電装機器の設定状態ごとの消費電力Wc(i)を用いて、直行経路を目的地まで走破する場合に電動モータに充てることができる使用可能電力Ws(i)を、次式によって算出する(ステップST5)。
Ws(i)=Wo−Wc(i)
【0039】
上記の式における変数「i」は、想定する複数種類の電力機器のON/OFFの組み合わせのバリエーションごとに順番に割り当てた番号を示す。
すなわち、例えば、図2に示す「エアコン」、「リア電熱線」及び「ヘッドライト」の3種類の電装機器を想定する場合を例に取ると、そのON/OFF状態によって次の8通りのバリエーションがあり得る。
【0040】
i=1 エアコンON リア電熱線ON ヘッドライトON
i=2 エアコンOFF リア電熱線ON ヘッドライトON
i=3 エアコンON リア電熱線OFF ヘッドライトON
i=4 エアコンON リア電熱線ON ヘッドライトOFF
i=5 エアコンOFF リア電熱線OFF ヘッドライトON
i=6 エアコンOFF リア電熱線ON ヘッドライトOFF
i=7 エアコンON リア電熱線OFF ヘッドライトOFF
i=8 エアコンOFF リア電熱線OFF ヘッドライトOFF
【0041】
この場合、参照テーブル22を参照すると、変数i=1〜8の場合の単位時間当たりの消費電力は、それぞれ次のようになる。
i=1の場合:w1+w2+w3
i=2の場合: w2+w3
i=3の場合:w1 +w3
i=4の場合:w1+w2
i=5の場合: w3
i=6の場合: w2
i=7の場合:w1
i=8の場合:ゼロ
【0042】
従って、直行経路の走破に要する推定時間をTとすると、電装機器の設定状態ごとの消費電力Wc(i)は単位時間当たりの上記消費電力にTを掛けた値となるので、当該設定状態ごとの使用可能電力Ws(i)は、それぞれ次のように算出することができる。
Ws(1)=Wo−(w1+w2+w3)×T
Ws(2)=Wo−(w2+w3)×T
Ws(3)=Wo−(w1+w3)×T
Ws(4)=Wo−(w1+w2)×T
Ws(5)=Wo−w3×T
Ws(6)=Wo−w2×T
Ws(7)=Wo−w1×T
Ws(8)=Wo
【0043】
上記のようにして、電装機器の設定状態ごとの使用可能電力Ws(i)を算出すると、判定部2Bは、各使用可能電力Ws(i)が走行電力Wr以上となるか否かを、変数iごとに逐次判定する(ステップST6)。なお、このステップST6の判定では、変数iが最大数になった後は、自動的に次のステップST7に移行する。
そして、判定部2Bは、ステップST6の判定を充足する変数iが少なくとも1つあるか否かを判定する(ステップST7)。
【0044】
この判定の結果、走行電力Wr以上となる変数iが存在する場合には、判定部2Bは、探索結果である1つの直行経路と、その変数iに対応する電装機器の設定状態をディスプレイ7に出力する(ステップST8)。
これに対して、上記ステップST7の判定の結果、走行電力Wr以上となる変数iが存在しない場合には、判定部2Bは、充電しないで目的地に向かう「直行経路」では目的地に到着することができないと判定し(ステップST9)、その判定結果をディスプレイ7に出力する。
【0045】
図4に移り、次に、車載コンピュータ2の経路探索部2Aは充電ポイントのある中継地を選択し(ステップST10)、選択した中継地を経由して目的地に向かう場合の「中継経路」を、前記所定の探索ロジックによって探索する(ステップST11)。
なお、上記の選択処理は、例えば、前記直行経路に含まれるリンクノードを中心として所定の半径(例えば、10km)以内にある充電ポイントを逐次検出することによって行うことができる。
【0046】
図5は、充電ポイントがある任意の中継地が選択された場合における、直行経路及び中継経路の走行電力と使用可能電力を示す説明図である。
図5において、Psは出発地、Pdは目的地、P1及びP2は選択された任意の中継地を示している。図5に示すように、この例では、2つの中継地P1,P2が選択されている。この場合、出発地Psから目的地Pdまでの中継経路として、次の3種類の経路が考えられる。
【0047】
(1) Ps→P1→P2→Pd
(2) Ps→P2→Pd
(3) Ps→P1→Pd
次に、車載コンピュータ2の判定部2Bは、上記3種類の中継経路(1)〜(3)を目的地まで走破するのに必要な走行電力Wr(j)を、それらの中継経路(1)〜(3)を構成する区間ごとに算出する(ステップST12)。
この場合の変数「j」は、想定する中継経路に含まれる全区間の総数を最大数として、各々の区間に任意に割り当てた区間番号である。
【0048】
例えば、図5の例では、Ps〜P1の区間にj=1、P1〜P2の区間にj=2、P2〜Pdの区間にj=3、Ps〜P2の区間にj=4、P2〜Pdの区間にj=5が割り当てられている。
判定部2Bは、電動モータにより消費される単位距離当たりの平均電力量に、区間番号j=1〜5の各区間の累積距離を乗算することにより、その区間ごとの走行電力Wr(j)を算出する。
【0049】
次に、判定部2Bは、現時点のバッテリ残容量Wo或いは充電後のバッテリ残容量Wmaxと、上記各区間についての複数種類の電装機器の設定状態ごとの消費電力Wc(i,j)を用いて、各区間を走破する場合に電動モータに充てることができる使用可能電力Ws(i,j)を、次式によって算出する(ステップST13)。
Ws(i,j)={Wo,Wmax}−Wc(i,j)
【0050】
上記の式における変数「i」は、ステップST5の場合と同様である。また、上記式における{Wo,Wmax}は、区間の始点が出発地Psである区間番号jの場合は、現時点のバッテリ残容量Woを適用し、区間の始点が中継地P1,P2である区間番号jの場合は、充電後のバッテリ残容量Wmaxを適用することを意味する。
なお、充電後のバッテリ残容量Wmaxは、必ずしもフル充電の場合のバッテリ残容量でなくてもよく、所定距離(例えば、50km)の航続距離を確保できる分の容量であってもよい。
【0051】
上記のようにして、中継経路を構成する各区間番号jについて、電装機器の設定状態ごとの使用可能電力Ws(i,j)を算出すると、判定部2Bは、その各使用可能電力Ws(i,j)が走行電力Wr(j)以上となるか否かを、変数iごとに逐次判定する(ステップST14)。なお、このステップST14の判定では、変数iが最大数になった後は、自動的に次のステップST15に移行する。
そして、判定部2Bは、ステップST14の判定を充足する変数iが少なくとも1つある複数の区間番号jを特定し、この複数の区間番号jの区間により中継経路(1)〜(3)のいずれかを構成できるか否かを判定する(ステップST15)。
【0052】
この判定の結果、上記中継経路(1)〜(3)のいずれかを構成できる場合には、判定部2Bは、その中継経路と、各区間番号jにおいて変数iに対応する電装機器の設定状態をディスプレイ7に出力する(ステップST16)。
これに対して、上記ステップST16の判定の結果が否定的である場合には、判定部2Bは、「中継経路」では目的地に到着することができないと判定し(ステップST17)、その判定結果をディスプレイ7に出力する。
【0053】
ここで、図5の経路図において、図4のステップST14における判定結果が次の通りであった場合を想定する。
1)区間番号j=1(区間Ps→P1)
変数i=2,5,6,8にてWr(1)≧Ws(i,1)を充足
2)区間番号j=2(区間P1→P2)
変数i=1〜8にてWr(2)≧Ws(i,2)を充足
【0054】
3)区間番号j=3(区間P2→Pd)
変数i=1〜8にてWr(3)≧Ws(i,3)を充足
4)区間番号j=4(区間Ps→P2)
Wr(4)≧Ws(i,4)を充足する変数iがなし
5)区間番号j=5(区間P1→Pd)
Wr(5)≧Ws(i,5)を充足する変数iがなし
【0055】
この場合、3種類の中継経路(1)〜(3)のうち、出発地Psから目的地Pdに到着可能であるものは、Ps→P1→P2→Pdを辿る中継経路(3)しかないので、判定部2Bは、次のステップST15の判定によって中継経路(3)のみを抽出する。
また、上記の想定例では、区間番号j=1の場合には、設定状態の変数i=3〜8の場合に区間Ps→P1の走破が可能であり、区間番号j=2及び3の場合には、すべての変数1〜8で区間P1→P2及び区間P2→Pdの走破が可能である。
【0056】
そこで、判定部2Bは、ステップST16において中継経路(3)を出力する場合に、変数iに対応する使用可能な電装機器の設定状態についても、中継経路(3)を構成する区間ごとに出力する。
すなわち、判定部2Bは、区間番号j=1の区間Ps→P1については、変数i=2,5,6,8に対応する設定状態(エアコン以外の電装機器が使用可能)を出力し、区間番号j=2の区間P1→P2と区間番号j=3の区間P2→Pdについては、変数i=1〜8に対応する設定状態(すべての電装機器が使用可能)を出力する。
【0057】
〔ディスプレイによる出力表示例〕
図6は、ディスプレイ7による出力表示例を示す図である。
この表示例では、中継数が「2」(必要充電回数が2回)でかつすべての電装機器が使用可能とされた「経路1」と、中継数が「1」(必要充電回数が1回)でかつエアコンのみが使用可能とされた「経路2」と、中継数が「0」(充電不要)であるが使用可能機器がない「経路3」とが、ディスプレイ7の画面に表示されている。
【0058】
なお、中継数が1以上の経路1,2は、前記中継経路の場合であり、中継数が0の経路3は前記直行経路の場合である。
図6の表示例を見た搭乗者は、表示された経路1〜3の中から所望の経路を、入力デバイス9を用いて選択することができる。この場合、ディスプレイ7は、搭乗者が選択した経路を地図とともに次画面で提示する。
【0059】
上述の通り、第1実施形態の経路探索装置1によれば、車載コンピュータ2の判定部2Bが、電気自動車20が直行経路により目的地に到着可能となる電装機器の設定状態を判定するとともに、電気自動車20が中継経路により目的地に到着可能となる電装機器の設定状態を判定し、到着可能と判定した直行経路又は中継経路若しくはこれら双方の経路とこの経路に対応する電装機器の設定状態とをディスプレイ7により搭乗者に表示するので、目的地まで確実に到着可能な直行経路又は中継経路を搭乗者に提供することができる。
【0060】
また、第1実施形態の経路探索装置1によれば、ディスプレイ7により、少なくとも1つの直行経路又は中継経路若しくはこれら双方の経路だけでなく、それらの経路に対応する電装機器の設定状態が搭乗者に表示されるので、表示された電装機器の設定状態を考慮して搭乗者が所望の経路を選択することができる。このため、バリエーションに富んだ経路案内を搭乗者に提供することができる。
【0061】
〔第2実施形態〕
〔ディスプレイの入力設定画面〕
上述の第1実施形態では、車載コンピュータ2が、参照テーブル22から読み込んだ単位時間当たりの各電装機器の消費電力に基づいて、目的地まで到着可能な直行経路や中継経路を探索しているが、第2実施形態では、搭乗者が好みの電装機器の設定状態を人為的に設定し、搭乗者が決めた設定状態にて経路を探索する。
図7は、その第2実施形態に係る経路探索装置1における、ディスプレイ7による入力設定画面の一例を示す図である。
【0062】
図7に示すように、ディスプレイ7の入力画面には、出発地と目的地の「位置入力アイコン」と、高速優先、時間優先又は料金優先のいずれかを1つを選択する「優先設定アイコン」と、走行中に作動させる電装機器を選択するための「機器設定アイコン」とが表示されている。
車両20の搭乗者は、「機器設定アイコン」の右側に表示されている各種の電装機器の中から少なくとも1つを入力デバイス9にて選択することができる。
【0063】
〔車載コンピュータの処理内容〕
図8及び図9は、車載コンピュータ2の処理内容を示すフローチャートである。
以下、このフローチャートを参照しつつ、第2実施形態において車載コンピュータ2が行う電気自動車20のための経路探索方法を説明する。
図8に示すように、車載コンピュータ2の経路探索部2Aは、まず、ディスプレイ7の入力操作画面にて搭乗者が入力した出発地と目的地を読み込む(ステップSS1)。
【0064】
その後、経路探索部2Aは、上記出発地から目的地までを、充電せずに車両20が直行する場合の「直行経路」を、ダイクストラ法やポテンシャル法等の所定の経路探索ロジックによって探索する(ステップSS2)。
なお、上記入力操作画面にて搭乗者が「出発地」を入力しない場合には、GPS受信機3によって得られた「現在位置」が出発地として設定される。
【0065】
次に、車載コンピュータ2の判定部2Bは、現時点のバッテリ残容量Woを読み込むとともに(ステップSS3)、搭乗者によって入力された電装機器の設定状態を読み込み(ステップSS4)、上記直行経路を目的地まで走破するのに必要な走行電力Wrを算出する(ステップSS5)。
この走行電力Wrは、電動モータにより消費される単位距離当たりの平均電力量に、直行経路の累積距離を乗算することによって算出することができる。
【0066】
次に、判定部2Bは、バッテリ残容量Woと、入力された電装機器の設定状態での消費電力Wcを用いて、直行経路を目的地まで走破する場合に電動モータに充てることができる使用可能電力Wsを、次式によって算出する(ステップSS6)。
Ws=Wo−Wc
上記の式における消費電力Wcは、搭乗者が選択した電装機器の単位時間当たりの消費電力を図2の参照テーブル22から読み出し、その消費電力に、直行経路の走破に要する推定時間Tを掛けることによって算出することができる。
【0067】
上記のようにして、使用可能電力Wsを算出すると、判定部2Bは、その使用可能電力Wsが走行電力Wr以上となるか否かを判定する(ステップSS7)。
この判定の結果、使用可能電力Wsが走行電力Wr以上の場合には、判定部2Bは、探索結果である1つの直行経路をディスプレイ7に出力する(ステップSS8)。なお、図8に示すように、直行経路の出力が行われた場合には処理が終了し、図9に示す中継経路の探索は行われない。
【0068】
これに対して、上記ステップSS7の判定の結果、使用可能電力Wsが走行電力Wr未満の場合には、判定部2Bは、充電しないで目的地に向かう「直行経路」では目的地に到着することができないと判定する(ステップSS9)。
判定部2Bが上記ステップSS9の判定を行うと、経路探索部2Aは、充電ポイントを経由する「中継経路」の探索処理を実行する。
【0069】
すなわち、車載コンピュータ2の経路探索部2Aは充電ポイントのある中継地を選択し(ステップSS10)、選択した中継地を経由して目的地に向かう場合の「中継経路」を探索する(ステップSS11)。
なお、上記の選択処理は、例えば、前記直行経路に含まれるリンクノードを中心として所定の半径(例えば、10km)以内にある充電ポイントを逐次検出することによって行うことができる。
【0070】
次に、車載コンピュータ2の判定部2Bは、探索された1又は複数の中継経路を目的地まで走破するのに必要な走行電力Wr(j)を、それらの中継経路を構成する区間ごとに算出する(ステップSS12)。
この場合の変数「j」は、想定する中継経路に含まれる全区間の総数を最大数として、各々の区間に割り当てた区間番号を示す。この点は、第1実施形態において述べた図5の場合と同様である。
【0071】
更に、判定部2Bは、現時点のバッテリ残容量Wo或いは充電後のバッテリ残容量Wmaxと、上記各区間についての入力された電装機器の設定状態の消費電力Wc(j)を用いて、各区間を走破する場合に電動モータに充てることができる使用可能電力Ws(j)を、次式によって算出する(ステップSS13)。
Ws(j)={Wo,Wmax}−Wc(j)
【0072】
なお、本実施形態においても、上記式における{Wo,Wmax}は、区間の始点が出発地Psである区間番号jの場合は、現時点のバッテリ残容量Woを適用し、区間の始点が中継地P1,P2(図5参照)である区間番号jの場合は、充電後のバッテリ残容量Wmaxを適用することを意味する。
【0073】
上記のようにして、中継経路を構成する各区間番号jについての使用可能電力Ws(j)を算出すると、判定部2Bは、使用可能電力Ws(j)が走行電力Wr(j)以上となる複数の区間番号jを特定し、この複数の区間番号jの区間により中継経路(1)〜(3)のいずれかを構成できるか否かを判定する(ステップSS14)。
【0074】
この判定の結果、上記中継経路(1)〜(3)のいずれかを構成できる場合には、判定部2Aは、その中継経路をディスプレイ7に出力する(ステップSS15)。
これに対して、上記ステップSS14の判定の結果が否定的である場合には、判定部2Bは、「中継経路」では目的地に到着することができないと判定し(ステップSS16)、その判定結果をディスプレイ7に出力する。
【0075】
上述の通り、第2実施形態の経路探索装置1によれば、車載コンピュータ2の判定部2Bが、搭乗者が入力した電装機器の設定状態において、電気自動車20が直行経路により目的地に到着可能か否かを判定するとともに、その入力された電装機器の設定状態において、電気自動車20が中継経路により目的地に到着可能か否かを判定し、到着可能と判定した直行経路又は中継経路をディスプレイ7により搭乗者に表示するので、搭乗者が入力した所望の電装機器の設定状態に応じて、目的地まで確実に到着可能な直行経路又は中継経路を搭乗者に提供することができる。
【0076】
上記第2実施形態では、目的地まで到着可能な直行経路が見つかれば中継経路は不要であるとの想定の下で、直行経路を出力した場合(図8のステップSS8)にはその時点で処理を終了し、直行経路がなかった場合(図8のステップSS9)にのみ中継経路の探索処理(図9)に移行している。
もっとも、中継経路の要否を搭乗者が入力デバイス9で選択可能に構成してもよい。この場合には、中継経路が必要とされていることを条件として、直行経路がある場合(図8のステップSS8)でも更に中継経路の探索処理(図9)を行うことにすればよい。
【0077】
〔第1及び第2実施形態の変形例1〕
上述の第1及び第2実施形態では、電気自動車20に搭載された車載コンピュータ2が、自車で得られる各種のセンサ情報等に基づいて本発明の経路探索を自律的に実行しているが、図10に示すように、車両20自体では本発明の経路探索を行わず、外部の情報センター23が代わりに本発明の経路探索装置1による経路探索を行って、その結果を車両20に返すようにしてもよい。
【0078】
図10に示す例では、情報センター23は、記憶装置26と無線通信機24が接続されたセンターコンピュータ25を備え、センターコンピュータ25は、前記車載コンピュータ2の場合と同様の処理を実行する経路探索部2Aと判定部2Bとを有する。
情報センター23の記憶装置26には、電装機器ごとの消費電力に関する参照テーブル22(図5)が車両IDごとに格納されている。また、無線通信機24は、移動体通信網21を通じて電気自動車20の無線通信機10との通信が可能である。
【0079】
車載コンピュータ2は、情報センター23に本発明の経路探索を要求する場合、情報センターの無線通信機24に対して、電装機器での電力消費を考慮した本発明の経路探索に必要な初期情報(出発地、目的地、バッテリ残容量、電装機器の設定状態を自ら選択する場合にはその選択内容など)と自車の車両IDとを含むアップリンク情報を、無線通信機10を通じて送信する。
【0080】
そのアップリンク情報を受けたセンターコンピュータ25は、第1実施形態や第2実施形態で述べた所定の処理内容(図3及び図4或いは図8及び図9)を実行し、その処理結果である経路情報や電装機器の設定状態をダウンリンク情報に含めて所定の車両ID宛に送信する。
ダウンリンク情報を車両20の無線通信機10が受信すると、車載コンピュータ2は、ダウンリンク情報に含まれる経路や電装機器の設定状態をディスプレイ7に表示させて搭乗者に提供する。
【0081】
〔第1及び第2実施形態の変形例2〕
ところで、上述の第1及び第2実施形態において、例えばエアコンがOFFである直行経路がいったん選択され、車両20のドライバが提示された直行経路に従って走行中であったが、その後、車内の暑さが増したのでエアコンをONにしたような場合には、そのまま直行経路を維持するとバッテリ残容量が無くなって、車両20が目的地まで到着できなくなる可能性がある。
【0082】
そこで、上述の第1及び第2実施形態において、ディスプレイ7が表示した直行経路又は中継経路を車両20が走行している途中で、電装機器による消費電力が増大する設定状態の変化が生じた場合には、経路探索部2Aによる探索処理と判定部2Bによる判定処理とを再度実行させる機能を、車載コンピュータ2に付加することにしてもよい。
【0083】
この場合、変化後の電装機器の設定状態にて探索処理と判定処理とが再度実行されるので、その設定状態の変化に伴う経路変更の必要性(例えば、中継経路の採用の必要性等)を、搭乗者に提示できるようになる。
なお、上述の各実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更は、本発明の権利範囲に包含される。
【符号の説明】
【0084】
1 経路探索装置
2 車載コンピュータ(再実行部)
2A 経路探索部(第1の経路探索部、第2の経路探索部)
2B 判定部(第1の判定部、第2の判定部)
7 ディスプレイ(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電せずに目的地まで直行する場合の直行経路を探索する第1の経路探索部と、
前記直行経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の前記電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、電気自動車が当該直行経路により前記目的地に到着可能となる前記電装機器の設定状態を判定する第1の判定部と、
充電ポイントのある中継地を経由して前記目的地に向かう場合の中継経路を探索する第2の経路探索部と、
前記中継経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の前記電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、前記電気自動車が当該中継経路により前記目的地に到着可能となる前記電装機器の設定状態を判定する第2の判定部と、
前記各判定部が到着可能と判定した前記直行経路又は前記中継経路若しくはこれら双方の経路と、この経路に対応する前記電装機器の設定状態とを搭乗者に表示する表示部と、
を備えていることを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
電装機器の設定状態を搭乗者の操作により入力可能な入力部と、
充電せずに目的地まで直行する場合の直行経路を探索する第1の経路探索部と、
前記直行経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される入力された前記電装機器の設定状態での消費電力とに基づいて、電気自動車が前記直行経路により前記目的地に到着可能か否かを判定する第1の判定部と、
充電ポイントのある中継地を経由して前記目的地に向かう場合の中継経路を探索する第2の経路探索部と、
前記中継経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される入力された前記電装機器の設定状態での消費電力とに基づいて、前記電気自動車が前記中継経路により前記目的地に到着可能か否かを判定する第2の判定部と、
前記各判定部が到着可能と判定した前記直行経路又は前記中継経路若しくはこれら双方の経路を搭乗者に表示する表示部と、
を備えていることを特徴とする経路探索装置。
【請求項3】
前記表示部が表示した前記経路の途中で前記電装機器の設定状態が変化した場合に、前記各経路探索部による探索処理と前記各判定部による判定処理とを再度実行させる、再実行部を更に備えている請求項1又は2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
充填せずに目的地まで直行する場合の直行経路を探索するステップと、
前記直行経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の前記電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、電気自動車が当該直行経路により前記目的地に到着可能となる前記電装機器の設定状態を判定するステップと、
充電ポイントのある中継地を経由して前記目的地に向かう場合の中継経路を探索するステップと、
前記中継経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される複数種類の前記電装機器の設定状態ごとの消費電力とに基づいて、前記電気自動車が当該中継経路により前記目的地に到着可能となる前記電装機器の設定状態を判定するステップと、
前記各判定のステップにおいて到着可能と判定された前記直行経路又は前記中継経路若しくはこれら双方の経路と、この経路に対応する前記電装機器の設定状態とを搭乗者に表示するステップと、
を含むことを特徴とする経路探索方法。
【請求項5】
電装機器の設定状態を搭乗者の操作により入力するステップと、
充填せずに目的地まで直行する場合の直行経路を探索するステップと、
前記直行経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される入力された前記電装機器の設定状態での消費電力とに基づいて、電気自動車が前記直行経路により前記目的地に到着可能か否かを判定するステップと、
充電ポイントのある中継地を経由して前記目的地に向かう場合の中継経路を探索するステップと、
前記中継経路の走破に必要な走行電力と、その間に消費される入力された前記電装機器の設定状態での消費電力とに基づいて、前記電気自動車が前記中継経路により前記目的地に到着可能か否かを判定するステップと、
前記各判定のステップにおいて到着可能と判定された前記直行経路又は前記中継経路若しくはこれら双方の経路を搭乗者に表示するステップと、
を含むことを特徴とする経路探索方法。
【請求項6】
請求項4に記載の経路探索方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項5に記載の経路探索方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−137400(P2012−137400A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290467(P2010−290467)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【Fターム(参考)】