説明

経路案内装置

【課題】 車両が交差点内を円滑に通過できず孤立するおそれがある孤立交差点を反映させて、指定された目的地までの経路を案内する。
【解決手段】 交差点の退出方向に存在する踏切、道路の車線減少部分などの要因地物ごとに、交差点が孤立交差点となる危険値スコアを与える危険値マトリックスを用意する。経路案内装置は、出発地から目的地までの経路探索結果に対し、その経路上の交差点ごとに、危険値マトリックスを参照して、危険値スコアを求め、退出路側に踏み切りが存在する交差点2など、危険値スコアが所定の閾値を超える交差点を孤立交差点として抽出する。そして、孤立交差点を回避する経路を探索し、案内する。
こうすることにより、ユーザは、孤立交差点を通行することを抑制でき、円滑に通行できる経路の案内を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定された目的地までの経路案内を行う経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子地図データを用いて、指定された出発地から目的地までの経路案内を行う経路案内装置が普及している。単に、経路を案内するだけでなく、併せて渋滞発生状況の情報を提供するなど、通行上の支援情報を提供する技術も提案されている。
例えば、特許文献1は、交差点の幅員や種別などによって、その交差点が運転ミスを犯しやすい要注意交差点か否かを評価し、その評価結果を運転者に提供する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−190596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
経路案内時には、その経路をできるだけ円滑に通行できる案内を行うことが要望される。経験的に明らかな通り、交差点によっては退出路側が非常に混雑し、交差点内に進入した後、信号が赤に変わってしまい、交差点内で身動きできなくなってしまう場合がある。このように交差点内で身動きとれなくなるおそれが高い交差点を、本明細書では、孤立交差点と呼ぶこととする。経路案内装置を利用するユーザは、道路の通行事情を熟知しているとは限らず、孤立交差点を意識せずに交差点内に進入し孤立してしまうと、他車の通行を妨げ、円滑な通行に支障が生じる。
本発明は、こうした課題に鑑み、孤立交差点を考慮した経路案内を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、指定された目的地までの経路を案内する経路案内装置であって、道路網をノードおよびリンクで表したネットワークデータ、車両が交差点内を通過できずに孤立する状況を生じさせる要因となる要因地物に関する要因地物データを記憶する地図データベース記憶部と、前記ネットワークデータおよび要因地物データに基づき、候補となる経路上に存在する交差点について該交差点から退出する道路である退出路における要因地物を特定し、該要因地物に対応づけられている特定規則に従って孤立する可能性のある孤立交差点を特定する孤立交差点特定部と、前記孤立交差点の特定結果を反映させて、前記ネットワークデータを参照して、前記経路を探索する経路探索部と、探索された経路に基づき案内を行う経路案内部とを備える構成とすることができる。
【0006】
本発明によれば、交差点の進入路以外の道路における要因地物によって孤立交差点を特定することができ、これを案内に反映させることによって、円滑な通行を支援することができる。反映の方法としては、交差点に進入する際に、孤立交差点であることをユーザに報知する方法、孤立交差点を回避する経路を案内する方法などが考えられる。
要因地物としては、交差点からの退出路の道路形状や、退出路に存在する地物などとすることができる。例えば、道路形状に基づく要因地物としては、幅員が狭くなっている状態、上り坂になっている状態、カーブになっている状態などを挙げることができる。退出路に存在する地物としては、踏切、信号、他の交差点、トンネル、橋、車両進入禁止その他の通行規制、など、交差点の円滑な通行に支障を与える種々の地物が挙げられる。
孤立交差点に当たるか否かを交差点ごとに判断するために用いる要因地物データは、個別の交差点ごとに要因地物を記憶させておくのではない。従って、孤立交差点に当たるか否かを交差点ごとに調査する必要はなく、交差点の周囲の状況が変化した場合、変化後の地物等の状況に応じて特定することができる利点がある。
孤立交差点の特定に用いられる要因地物は、自車が通行する経路上の退出路上のものに限らない。例えば、自車が直進する交差点について、その経路と交差する方向の要因地物を考慮し、自車の経路と交差する方向の車両にとって孤立交差点になるか否かを判断してもよい。他車が孤立する場合も、交差点の通行が円滑にできなくなるからである。
孤立交差点を特定するに当たり、時間帯、評価対象となる交差点との距離などに応じて、用いる要因地物を変化させたり、要因地物としてのウェイトを変化させしてもよい。
要因地物は退出路上に一つとは限らない。複数の要因地物が存在する場合には、一つ一つの要因地物に基づく孤立交差点の評価を求めてから全体を総合する方法、複数の要因地物を総合的に評価する方法など、種々の方法をとることができる。
【0007】
本発明においては、前記地図データベース記憶部は、前記要因地物データに代えて、前記孤立交差点を生じさせる危険性を表す指標である危険値と前記要因地物とを対応させた危険値マトリックスを記憶し、前記孤立交差点特定部は、前記危険値マトリックスを参照して、特定された前記要因地物に応じた危険値を求め、該危険値に基づいて前記孤立交差点を特定するようにしてもよい。
こうすることにより、孤立交差点を容易に特定可能とできる。危険値マトリックスは、種々の型式をとることができる。それぞれの要因地物に対して基礎的な危険値を与え、通行の時間帯、交差点を直進、右左折などの通行方向等の要素に応じて、この値を加減する補正値を与えるようにしてもよい。また、要因地物に対して、上述の各要素に応じて危険値を与える多次元マトリックスとしてもよい。
危険値マトリックスは、危険値とを対応づける形で要因地物を記憶しているのであるから、要因地物データの一形式ということもできる。
危険値マトリックスにおいては、上述の各要素は、必ずしも離散的な値とする必要はない。各要素を表す指標値に対して危険値を与える関数の形で危険値マトリックスを設定してもよい。
【0008】
また、本発明においては、前記ネットワークデータを参照して、特定された前記孤立交差点の優先度を下げて、前記目的地に至る経路を探索する経路探索部を備え、前記経路案内部は、前記探索された経路を案内するようにしてもよい。
こうすることによって、孤立交差点を通る可能性を抑制することができる。経路探索は、孤立交差点を除外して経路を探索する方法、孤立交差点のコストを増加させて経路を探索する方法などをとることができる。孤立交差点のコストを増大させる方法によれば、孤立交差点を回避する経路と、孤立交差点を通過する経路とで、距離や所要時間などを比較して経路を決定することができる。従って、孤立交差点を回避するために極端に大回りの経路をとるなどの弊害を回避できる。
【0009】
本発明は、他の態様として、孤立交差点をコストに反映させることによって、ユーザから指定された出発地から目的地までの経路を探索する経路案内装置として構成することもできる。
この場合には、指定された出発地と目的地とに基づいて定まる所定領域内の各交差点について、要因地物を考慮して孤立交差点を特定し、特定された孤立交差点に対し、経路探索用のコストを設定し、該設定された孤立交差点のコストおよびネットワークデータを参照して、出発地から目的地までの経路を探索するものとできる。
こうすれば、孤立交差点の優先度を下げた経路探索が実現される。孤立交差点のコストは、例えば、危険値マトリックスで与えられる危険値に基づいて設定することができる。
【0010】
本発明は、上述した態様の他、経路案内装置を構成するコンピュータによって経路案内を行う経路案内方法として構成してもよいし,かかる経路案内をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして構成してもよい。また,かかるコンピュータプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体として構成してもよい。記録媒体としては,フレキシブルディスクやCD−ROM,光磁気ディスク,ICカード,ROMカートリッジ,パンチカード,バーコードなどの符号が印刷された印刷物,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等,コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】経路案内装置の構成例である。
【図2】経路案内例を示す説明図である。
【図3】危険値マトリックス例を示す説明図である。
【図4】危険値スコアの算出例を示す説明図である。
【図5】危険値マトリックスの変形例を示す説明図である。
【図6】経路探索処理のフローチャートである。
【図7】迂回経路探索処理のフローチャートである。
【図8】経路案内処理のフローチャートである。
【図9】第2実施例における経路探索処理のフローチャートである。
【図10】危険値スコア設定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
A.装置構成:
実施例として、車載用の経路案内装置としての構成例を示す。この経路案内装置は、出発地から目的地までの経路を探索し、経路上の孤立交差点を考慮して、経路案内を行う装置である。
図1は、経路案内装置の構成例である。経路案内装置は、端末100とサーバ200とをネットワークNEで接続して構成される。端末100としては、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、PND(Personal Navigation Device)などを用いることができる。端末100およびサーバ200は、それぞれCPU、RAM、ROMを備えたコンピュータである。本実施例では、図示する各機能を実現するコンピュータプログラムをインストールすることによって、ソフトウェア的にシステムを構成するものとした。
実施例では、端末100とサーバ200とからなる構成としたが、図示する機能を単体で備えたスタンドアロンで稼働する構成としてもよいし、更に多くのコンピュータからなる分散システムとして構成してもよい。
【0013】
サーバ200は、地図データベース記憶部210、送受信部201、およびデータベース管理部202を備えている。
送受信部201は、端末100とネットワークNEを介した通信を行う。通信内容としては、出発地、目的地などの経路探索に必要な指定、経路探索結果などが挙げられる。
データベース管理部202は、端末100から要求された地図情報を、地図データベース記憶部210から読み出す。地図データベース記憶部210には、地図情報として、地物データ211、危険値マトリックス212、およびネットワークデータ213が格納されている。地物データ211は、道路や建物など地図に描画すべき地物のポリゴン、および各地物の形状等の属性を表すデータである。危険値マトリックス212は、孤立交差点を判断するための危険値スコアを与えるデータである。その具体的な内容については後述する。ネットワークデータ213は、道路網をノード、リンクのつながりで表したデータである。ネットワークデータ213には、各道路の種別、車線数、道路幅、勾配などの属性データも格納されている。これらの属性データは、地物データに付与するようにしてもよい。
【0014】
端末100には、主制御部101の下で稼働する種々の機能ブロックが構成されている。
送受信部102は、サーバ200とのネットワークNEを介した通信を行う。サーバ200に限らず、交通情報を提供するサーバにアクセスし、渋滞情報を取得してもよい。
コマンド入力部103は、端末100の操作を通じて、経路探索の出発地、目的地の指定など、ユーザからの指示を入力する。
センサ入力部104は、経路案内等に使用する種々の情報をセンサから入力する。入力対象となる情報としては、例えば、GPS(Global Positioning System)で検出される現在位置などが挙げられる。
地図データベース記憶部105は、サーバ200から提供された各データを格納する。サーバ200が備える地図データベースの全体を格納してもよいし、経路探索や地図表示に必要となる部分のみを、その都度、サーバ200から取得し格納してもよい。
経路探索部107は、地図データベース記憶部105を参照して、経路探索を行う。経路探索は、ダイクストラ法など周知の方法を適用して行う。探索された結果は、経路案内部106に提供され、経路案内に活用される。
危険値スコア算出部108は、探索された経路上の交差点から、孤立交差点を特定するための危険値スコアを算出する。危険値スコアの算出方法については、後述する。
経路案内部106は、地図データベース記憶部105を参照して地図を表示して、経路探索部107によって探索された経路を案内する。この際、危険値スコア算出部108によって算出された危険値スコアに基づいて特定される孤立交差点を考慮し、そのような孤立交差点への進入前にユーザを警告したり、孤立交差点を回避する経路を探索、案内したりする。
【0015】
B.経路案内例:
図2は、経路案内例を示す説明図である。孤立交差点を回避する経路を案内する例であり、孤立交差点に当たるか否かが時間帯によって変化する例を示した。
図2(a)は、午前中の経路案内例を示している。出発地から目的地までの経路探索の結果、交差点Aを矢印Aaのように右折して、踏切を通る経路が得られたものとする。しかし、電車が通過するときには踏切は通行できなくなるから、踏切は一般に車列ができやすい地物であり、この結果、踏切に近い交差点Aは、退出路が車列でふさがる可能性があることになる。交差点Aに漫然と進入すると、退出路に車列があるため、信号が赤になっても退出できず交差点内に取り残されて孤立してしまう可能性があるという意味で、交差点Aは孤立交差点に相当する。本実施例では、孤立交差点になる可能性を、危険値スコアで表す。危険値スコアの算出方法は後述するが、仮に、交差点Aについては危険値スコアが、孤立交差点と判断される閾値(仮に、ここでは3に設定されているとする)以上の値である「3」と求められたとする。
このように予定された経路上に孤立交差点が存在することが分かると、経路案内装置は、他の経路を探索する。図の例では、交差点Bで矢印Bbのように右折する経路を得ることができる。交差点Bについても、交差点Aと同様、危険値スコアに基づいて孤立交差点に当たるか否かが判断される。この例では、交差点Bの危険値スコアは、閾値より小さい値である「2」と求められており、孤立交差点には当たらないと判断されているとする。この結果、経路案内装置は、当初予定されていた交差点Aを通る経路に代えて、交差点Bを通る経路を案内する。交差点Aを通る経路は、片側1車線の広い幅の道路であり、交差点Bを通る経路は中央線がない狭い幅の道路であるが、踏切の存在を考慮すると、幅が狭い道路を通る方が円滑に通行できると判断できるからである。
【0016】
図2(b)は、深夜の経路案内例を示している。経路探索の結果、図2(a)と同様、交差点Aを矢印Abのように右折する経路が得られているとする。経路上には踏切が存在するが、深夜は電車が運行しないため、踏切は通行の大きな支障とはならない。従って、交差点Aの危険値スコアは、孤立交差点と判断するための閾値よりも低い「2」と求められたとする。この結果、交差点Aは孤立交差点とは判断されなくなるから、経路案内装置は、当初の探索結果に従い、交差点Aを矢印Abのように右折する経路を案内する。このように、本実施例では、通行する時間帯も考慮して、危険値スコアを求めるため、孤立交差点も時間帯に応じて変化する。例えば、図示するように、幅が狭い道は深夜には通行しづらいことを考慮し、交差点Bについて危険値スコア「3」と求められたとすると、仮に事前の経路探索で、交差点Bを通る経路が得られていたとしても、交差点Bでの右折(矢印Bb)を回避し、交差点Aを通る経路が案内されることになる。
【0017】
C.孤立交差点の特定方法:
危険値スコアに基づいて孤立交差点を特定する方法について、以下、説明する。本実施例では、踏切のように孤立交差点を生じさせる要因となる地物(以下、「要因地物」という)と、危険値スコアとを対応づけた危険値マトリックスを用いて、危険値スコアを求めるものとした。
図3は、危険値マトリックス例を示す説明図である。ここでは、図示する5つの要因地物に対して、危険値スコアが設定されている。
「踏切」に対しては、次の通りである。交差点を左折した先に踏み切りがある場合(以下、単に「左折の場合」と言う。直進、右折も同様である。)には、危険値スコアは0点(図中では、設定無しという意味で「−」と示した)。直進の場合には危険値スコアは「1」、右折の場合には危険値スコアは「2」と設定されている。これらの危険値スコアの基本値に対して、要因地物までの距離や時間帯といった危険要素に応じて、更に危険値スコアが加算される。左折の場合は、いずれの要素に対しても加算値は0である(図中の「−」)。直進、右折の場合は、交差点から踏切までの距離が10m未満であれば「2」、10〜20m未満であれば「1」、20m以上であれば「0」が加算される。また、それぞれ時間帯に応じて、「0」または「1」が加算される。午前0時〜5時の深夜時間帯は、「0特」と設定されている。これは、この時間帯については、基本値、要因地物との距離にかかわらず、危険値スコアを「0」に設定することを意味している。このような深夜には、電車は運行されておらず、踏切は要因地物として評価する必要がないことを考慮した設定である。
「交差点」とは、孤立交差点か否かの判定対象となっている交差点の先に存在する他の交差点を要因地物として捉えることを意味する。交差点に対しても、左折、直進、右折に対して、それぞれ基本の危険値スコアが設定され、要因地物までの距離に応じて加算値が設定されている。時間帯による設定は、この例では、いずれも「0」である。
「車線減少」する地点とは、道路が狭くなり、片側2車線から1車線に減少するなどしている地点である。交差点の進入道路よりも退出道路の方の車線数が少ない場合も、これに該当する。かかる地点に対しても、交差点の場合と同様、基本の危険値スコアが設定され、要因地物までの距離に応じた加算値が設定されている。時間帯による設定は、この例では、いずれも「0」である。
「車線数が1」とは、退出路の車線数が上下線で1であること、つまり中央線が引かれていないことを意味する。図の例では、かかる状態に対しては、基本の危険値スコアのみが設定されている。
「ゆるやかな登り坂」は、退出路が登り坂となっていることを意味する。必ずしも山などの登り坂に限らず、高架道路の登りなども含まれる。こうしたゆるやかな登り坂では車の速度が減速され、渋滞が発生する頻度が高くなる傾向にあるからである。図の例では、かかる状態に対しては、基本の危険値スコアのみが設定されている。「ゆるやかな登り坂」とは別に、「急な登り坂」という要因地物に対する設定を設けても良い。
この他にも種々の要因地物を設定可能である。例えば、カーブ、点滅信号、トンネル、橋、車両進入禁止その他の通行規制などを挙げることができる。危険要素も種々の項目を設定可能である。評価対象となっている交差点への進入道路の車線数などに応じて、加算値または減算値を設けるようにしてもよい。危険値スコアは、図に例示した設定に限らず、孤立交差点を生じさせる危険に応じて種々の設定が可能である。
【0018】
図4は、危険値スコアの算出例を示す説明図である。図3に示した危険値マトリックスを用いて危険値スコアを算出した。
まず図4(b)により、算出対象の道路形状を説明する。この例では、リンク1〜4が交差する交差点Aについて、危険値スコアを算出する。各リンク上の要因地物は、次の通りである。リンク1、2上には、交差点Aから30m離れた地点にそれぞれ交差点が存在する。リンク3上には、交差点Aから18m離れた地点に他の交差点が存在する。リンク4上には交差点から15m離れた地点に踏み切りが存在する。
図4(a)は危険値スコアの算出結果を示している。まず、リンク1から進入する場合を考える。リンク2を退出リンクとするときは右折に相当する。リンク2上の要因地物は他の交差点であるから、図3の「交差点」(右折)により、基本の危険値スコアは「2」と求まる。他の交差点は、交差点Aから30mの距離にあるから、同欄の「20m以上」により、加算値は「0」である。時間帯による加算値も「0」である。従って、リンクL1から進入し、リンクL2に退出する場合の危険値スコアは、時間帯によらず「2」となる。
リンク3に退出する場合は直進に相当する。リンク3上の要因地物は他の交差点であり、18mの地点にある。従って、図3の「交差点」「直進」により基本の危険値スコアが「1」、「10〜20m未満」の加算値「1」と求まる。時間帯による加算値は「0」である。従って、リンク3に退出する場合の危険値スコアは、時間帯によらず「2(=1+1)」となる。
リンク4に退出する場合は左折に相当する。リンク4上の要因地物は踏切であるが、左折に対しては危険値スコアは「0」である。従って、リンク4に退出する場合の危険値スコアは、時間帯によらず「0」となる。
このように、危険値スコアは、交差点の進行方法、交差点の退出側にある要因地物の種類によって異なるため、進入リンク、退出リンクの組合せごとに、危険値スコアが求められる。
【0019】
他のリンクを進入リンクとした場合も、図3に示した危険値マトリックスを、上述の要領で参照することによって、危険値スコアを算出することができる。
リンク2を進入リンクとした場合は、次の通りである。リンク1を退出リンクとする場合は、交差点、左折、20m以上の危険値スコアを求めればよい。リンク3を退出リンクとする場合は、交差点、右折、10〜20m未満の危険値スコアを求めればよい。リンク4を退出リンクとする場合は、踏切、直進、10〜20m未満の危険値スコアを求めればよい。踏切が要因地物となる場合には、深夜の時間帯には危険値スコアは「0特」となる。
リンク3を進入リンクとした場合は、次の通りである。リンク1を退出リンクとする場合は、交差点、直進、20m以上の危険値スコアを求めればよい。リンク2を退出リンクとする場合は、交差点、左折、20m以上危険値スコアを求めればよい。リンク4を退出リンクとする場合は、踏切、右折、10〜20m未満の危険値スコアを求めればよい。踏切が要因地物となる場合には、深夜の時間帯には危険値スコアは「0特」となる。
リンク4を進入リンクとした場合は、次の通りである。リンク1を退出リンクとする場合は、交差点、右折、20m以上の危険値スコアを求めればよい。リンク2を退出リンクとする場合は、交差点、直進、20m以上危険値スコアを求めればよい。リンク3を退出リンクとする場合は、交差点、左折、10〜20m未満の危険値スコアを求めればよい。
図4(a)に示した危険値スコアは、予め各交差点に対し、進入リンク、退出リンクの組合せに応じて算出しておいてもよいが、本実施例では、経路案内時に、その都度、算出するものとした。
【0020】
危険値マトリックスは、種々の形式で設定可能である。図3では、基本の危険値スコアに対して、危険要素に応じた加算値を与える形で設定した場合を例示した。これに対し、危険値マトリックスは、要因地物の種類や危険要素に応じた多次元マトリックスとして構成してもよい。
図5は、危険値マトリックスの変形例を示す説明図である。要因地物までの距離、時間帯、経路(進行方向)に応じて定まる3次元空間内の格子点に、それぞれ危険値スコアが格納される3次元マトリックスの例である。例えば、要因地物まで20m未満、昼の時間帯であれば、右折、直進、左折の3通りの経路に対して、それぞれ図中に示す3つの格子点が対応する。この格子点ごとに危険値スコアが設定されているのである。図3の態様では、危険要素による影響を、要素ごとに分割して設定する必要があるが、多次元マトリックスとする場合には、危険要素の相乗的な影響も考慮することで、より現実に即した危険値スコアを設定できる利点がある。
図5の例では、要因地物までの距離、時間帯、経路などについて、それぞれ離散的な値をとるものとして説明したが、これらの各要素は連続的な値をとるものとしてもよい。例えば、要因地物までの距離は、「距離」を用い、時間帯は「時刻」を用い、経路については進行方向を0度、右折を−90度、左折を+90度とする連続的な角度で表すのである。危険値スコアは、多次元関数として与えられることになる。こうすることで、「斜め右方向への進路」(−45度)など、より実状に即した形でそれぞれの要素を危険値スコアの算出に反映させることが可能となる。
【0021】
D.経路探索・案内処理:
以上で説明した危険値スコアを用いた経路探索、経路案内の処理の内容について、次に説明する。ここで示すのは、危険値スコアを考慮せずに、通常の方法で出発地から目的地に至る経路を探索した後、危険値スコアに基づいて経路上の孤立交差点を特定し、その迂回路を探索するという処理である。
【0022】
D1.経路探索処理:
図6は、経路探索処理のフローチャートである。主として経路探索部107が実行する処理であり、ハードウェア的には端末100のCPUが実行する処理である。
処理を開始するとCPUは、ユーザの操作に基づき出発地、目的地を入力する(ステップS11)。出発地は、現在位置としてもよいし、ユーザが指定するようにしてもよい。次に、CPUは、指定された出発地から目的地までの経路を探索する(ステップS12)。経路探索は、ネットワークデータ213を参照し、ダイクストラ法などの周知の方法で行うことができる。以上の処理により、危険値スコアを考慮しない通常の経路を得ることができる。
CPUは、経路上の交差点について、順次、危険値スコアを算出し、危険値スコアが閾値Thよりも大きくなる交差点を、孤立交差点として抽出する(ステップS13)。図中には、孤立交差点の抽出処理例を示した。図示する通り、出発地から目的地までの経路上に交差点1〜3が存在し、これらの交差点の危険値スコアが交差点1,3については「0」、交差点2については「3」であったとする。危険値スコアの算出方法は、図3、4で説明した通りである。危険値スコアは、通行時間帯によって異なる値となるため(図3、4参照)、ステップS13の処理では、経路を通過する時間を指定する必要がある。経路探索の直後に走行するのが通常であるから、通行時間帯は、経路探索時の時刻を用いればよい。探索された経路が長い場合には、出発地からの道のりに応じて、各交差点の通過時刻を予測し、危険値コスト算出に用いても良い。また、走行に先立って経路探索を行う場合には、通行予定時刻をユーザが指定するようにしてもよいし、ステップS13の処理を走行開始直前に行うようにしてもよい。
各交差点の危険値スコアを求めた後、閾値Thとの比較によって孤立交差点を抽出する。仮に閾値Thが「2」に設定されているとすれば、交差点2は「危険値スコア(=3)>閾値Th(=2)」となるから、孤立交差点として抽出されることになる。閾値Thが「3」以上に設定されているときは、交差点2は孤立交差点とならない。
こうして、孤立交差点が抽出できると、CPUは、迂回経路探索処理を実行する(ステップS20)。これは孤立交差点の優先度を下げて経路を探索する処理である。処理の内容については後述する。
以上の処理によって、危険値スコアを考慮した経路が得られると、CPUは、探索結果を格納して(ステップS40)、経路探索処理を終了する。
【0023】
図7は、迂回経路探索処理のフローチャートである。孤立交差点の優先度を下げて経路探索を行う処理であり、経路探索処理(図6)のステップS20における処理に相当する。説明の便宜上、図6のステップS11,S12で得られた経路を、既存経路と呼ぶ。
CPUは、孤立交差点の前後のノードを特定し、それぞれ仮想的な出発地、目的地として迂回経路候補を探索する(ステップS21)。そして、孤立交差点の危険値スコアを経路探索のためのコストに反映させて、既存経路と、迂回経路候補のコストを比較する(ステップS22)。
図の右側に、ステップS21、S22の処理例を示した。既存経路は、リンクL1、L2、L3,L4(図中の実線矢印の経路A)とし、ノードN2が孤立交差点として抽出されているとする。ステップS21では、ノードN2の前に位置するノードN1を仮想出発地、ノードN2の後ろに位置するノードN3を仮想目的地として設定する。ノードN1またはノードN3が、孤立交差点に当たっている場合には、さらに、既存経路に沿って、さらに一つ前または後に存在するノードを用いればよい。仮想出発地、仮想目的地が設定されると、この間で経路探索を行う。図の例では、破線の経路(図中の経路B)が得られたとする。これが迂回経路候補となる。
次に、既存経路と迂回経路候補について、コストを算出する。この例では、各リンクのコストは全て「3」であるとする。また、各交差点の危険値スコアを、そのままノードのコストとして用いる。
既存経路(図中の経路A)については、次の通りである。ノードN1は、左折して通過するため危険値スコアは「0」である(図3参照)。ノードN2は孤立交差点に該当し、危険値スコアは「5」であったとする。ノードN3は、直進して通過するため、危険値スコアは「1」である(図3参照)。これらの各ノードの危険値スコアと、リンクL2、L3のコストを加えると、経路Aについては総コストが「12」(=0+3+5+3+1)となる。
迂回経路候補(図中の経路B)については、次の通りである。ノードN1は、右折して通過するため危険値スコアは「2」である(図3参照)。ノードN4、N5は左折であるため危険値スコアは「0」である。ノードN3は、右折であるため、危険値スコアは「2」である(図3参照)。これらの各ノードの危険値スコアと、リンクL5、L6、L7のコストを加えると、経路Bについては総コストが「10」(=2+3+3+3+2)となる。
既存経路および迂回経路候補のコストを算出すると、CPUはコストが低い経路を案内用経路として選択する(ステップS23)。上述した例では、既存経路(経路A)ではなく迂回経路候補(経路B)が選択されることになる。既存経路(経路A)の方のコストが低い場合には、孤立交差点が含まれる場合でも既存経路(経路A)を用いて経路案内することにある。迂回候補経路(経路B)をとった場合、その経路の孤立交差点の存否や、大回りになる可能性を考慮すると、既存経路の方が有利と考えられるからである。
このように、既存経路と迂回候補経路について、それぞれ危険値スコアをコストに反映させて経路を選択することにより、極端に大回りになる経路や、孤立交差点が含まれる経路が迂回経路として選択されることを回避できる。ステップS22,S23を省略し、ステップS21で得られる迂回経路候補をそのまま用いるようにしてもよい。この方法では、既存経路で抽出された孤立交差点を確実に回避する経路を提供することが出来る。
【0024】
D2.経路案内処理:
図8は、経路案内処理のフローチャートである。主として経路案内部106が実行する処理であり、ハードウェア的には端末100のCPUが実行する処理である。
まずCPUは、経路探索処理で得られた経路を読み込む(ステップS51)。そして、ユーザの現在位置を検出する(ステップS52)。
また、渋滞情報も取得する(ステップS53)。渋滞情報は、ネットワークを介して交通情報を提供しているサーバから取得すればよい。そして、渋滞情報に基づき、孤立交差点を抽出する(ステップS54)。図中に孤立交差点の抽出例を示した。交差点1、交差点2を通る経路が得られている場合において、リンクL2上で渋滞が発生しているとする。渋滞箇所は、図3等で示した要因地物と同様に、円滑な通行を阻害する要因となるため、渋滞箇所の手前にある交差点2は孤立交差点となり得る。リンクL1では渋滞は発生していないから、交差点1は孤立交差点とはならない。渋滞による危険値スコアは、例えば、渋滞の距離、渋滞箇所の通行時間に基づき危険値スコアを与える関数または危険値マトリックスを設定しておくことによって求めることができる。図3の危険値マトリックスと同じく、交差点から渋滞箇所までの距離によって危険値スコアの加算をしてもよい。
こうして渋滞を考慮することで孤立交差点が抽出された場合には(ステップS55)、CPUは迂回経路探索処理を実行する(ステップS20)。この処理は、図7で説明した通りである。こうすることによって、極端に大回りとなる経路や、新たな孤立交差点を含む経路になる危険性を避けながら、渋滞箇所を回避できる経路を探索することが可能である。渋滞箇所による孤立交差点が存在しない場合には、この処理はスキップしてもよい(ステップS55)。また、渋滞情報を考慮した処理(ステップS53〜S55、S20)を全て省略してもよい。
CPUは、以上の処理を踏まえて、現在位置に応じた経路案内を行う(ステップS60)。地図上に経路を表示するとともに、音声出力等によって案内をすればよい。経路案内処理では、この処理を目的地に到着するまで(ステップS61)、繰り返し実行する。
【0025】
本実施例では、迂回経路探索処理において、迂回経路候補のコストが高い場合には、既存経路が選択されることもある。従って、経路案内処理において、孤立交差点を通る経路を案内することになる。このような場合、CPUは、ステップS60において、孤立交差点に進入する前に、ユーザに対して孤立交差点である旨を表示および音声などで報知することが好ましい。こうすることによって、ユーザは交差点への進入を慎重に行うようになり、交差点内で孤立することを回避できる。
【0026】
以上で説明した実施例1の経路案内装置によれば、孤立交差点を考慮した経路探索、経路案内を実現することができ、円滑な通行を実現することができる。
【実施例2】
【0027】
E.経路探索処理:
次に、第2実施例について説明する。第2実施例の経路案内装置も、第1実施例と同じ構成(図1)であり、同様の危険値マトリックス(図3〜5参照)を用いる。第2実施例では、経路探索処理の内容が第1実施例と異なる。つまり、第2実施例では、各交差点の危険値スコアを予め考慮して、出発地から目的地の経路探索を行う例を示す。
図9は、第2実施例における経路探索処理のフローチャートである。主として経路探索部107が実行する処理であり、ハードウェア的には端末100のCPUが実行する処理である。
CPUは、出発地、目的地を入力し(ステップS71)、危険値スコア設定処理を実行する(ステップS80)。危険値スコア設定処理とは、各交差点に対して、図4(a)に示したようにあらゆる通行方向を考慮して危険値スコアを算出する処理である。処理内容については、後述する。
CPUは、この危険値スコアをコストに反映させて経路を探索する(ステップS91)。危険値スコアをそのままコストとして用いても良いし、危険値スコアに応じて所定の関数でコストに変換するようにしてもよい。CPUは、こうして得られた探索結果を格納して(ステップS92)、経路探索処理を終了する。
【0028】
図10は、危険値スコア設定処理のフローチャートである。経路探索処理(図9)のステップS80に相当する処理である。主として危険値スコア算出部108が実行する処理であり、ハードウェア的には端末100のCPUが実行する処理である。
CPUは、まず処理の対象領域を設定する(ステップS81)。対象領域は、例えば、出発地、目的地を対称軸とする半幅Wの矩形領域とすることができる。半幅Wの値は、経路探索結果を包含しうる範囲で任意に設定可能である。対象領域の形状は、矩形には限られない。またこのように限定的な対象領域を設けず、全領域を対象領域としてもよい。
CPUは、対象領域内で三差路以上の交差点を対象交差点として選択する(ステップS82)。そして、対象交差点に対し、図4(a)に示したように、進入リンク、退出リンクの全組合せについて、次の手順で危険値スコアを算出する。
具体的には、まず、いずれかの退出リンクを選択し(ステップS83)、その先に要因地物があるか否かを判断する(ステップS84)。要因地物がある場合には、各進入リンクに対し危険値スコアを算出する(ステップS85)。図中に算出例を示した。リンクL14を退出リンクとしている場合には、進入リンクをL11、L12、L13と順次変えながら危険値スコアを算出するのである。この例では、退出リンクL14に向かう経路は、進入リンクL11の場合は左折、進入リンクL12については直進、進入リンクL13については右折となるから、それぞれ踏切を要因地物とする危険値マトリックス(図3)を参照し、基本値および危険要素に応じた加算値を求めることで、危険値スコアを算出できる。危険要素のうち、時間帯については、経路探索を行う時刻や、ユーザが指定した時刻などに基づいて算出すればよい。要因地物がなければ、危険値スコアを算出する処理はスキップする。
この処理を、対象交差点について、全ての退出リンク、進入リンクの組合せについて繰り返し実行し(ステップS86)、また、全交差点について繰り返し実行する(ステップS87)。
以上の処理によって、対象領域の交差点に関して、全ての進行方向についての危険値スコアが求められる。経路探索処理(図9)では、交差点ごとに危険値スコアを用いることにより、危険値スコアを考慮した経路探索を実現することができる。
【0029】
第2実施例(図9、図10)では、予め交差点ごとに危険値スコアを算出しておく例を示したが、経路探索の途中で、交差点から次の経路を選択するごとに、危険値スコアを算出する方法をとってもよい。
【0030】
F.効果および変形例:
以上の第1実施例、第2実施例で説明した経路案内装置によれば、交差点の進入路以外の道路における要因地物によって孤立交差点を特定することができ、これを案内に反映させることによって、円滑な通行を支援することができる。
また、個別の交差点ごとに用意するのではなく、一般化したルールとして危険値マトリックスを設定し、これを用いて孤立交差点を特定するため、孤立交差点に当たるか否かを交差点ごとに調査する必要はなく、交差点の周囲の状況が変化した場合でも、変化後の地物等の状況に応じて特定することができる利点がある。
【0031】
本発明は、実施例で説明した種々の特徴を全て備えているものに限らず、種々の変形例を構成することができる。
(1)実施例では、退出路側に一つの要因地物が存在する場合を例示したが、孤立交差点の判断に際しては、複数の要因地物を総合的に判断するようにしてもよい。例えば、一つ一つの要因地物に対する危険値スコアを加算する方法、複数の要因地物が存在する場合の危険値スコアを別途設定しておく方法などをとることができる。加算する際には、交差点から各要因地物までの距離などに応じたウェイトをかけるようにしてもよい。
(2)要因地物または危険要素の一つとして、交差点における進行方向の青信号の長さを考慮してもよい。青信号が短いほど、孤立交差点になる可能性が高いと考えられるからである。青信号の長さは、予め交差点ごとにデータベースとして用意しておいてもよいし、何度も通過したことがある経路であれば、従前の通行状態から推測するようにしてもよい。例えば、経路案内時に、各交差点で赤信号によって停車した時間、および停車せずに通行できた確率をログとして蓄積し、この停車時間の最大値をとれば、赤信号の時間を推測することができる。また、赤信号の時間(停車すべき時間)と、青信号の時間(通行可能な時間)との割合が、通行できた確率に合致するように、青信号の時間を推測することができる。
(3)実施例では、ユーザ自身の経路が孤立交差点に当たる場合の処理を例示した。孤立交差点の特定は、ユーザが通行する経路上の退出路以外の要因地物を考慮してもよい。例えば、ユーザが直進する交差点について、その経路と交差する方向の要因地物を考慮し、ユーザの経路と交差する方向の車両にとって孤立交差点になるか否かを判断してもよい。他車が孤立する場合も、交差点の通行が円滑にできなくなるからである。
かかる判断を行う際には、例えば、第2実施例の危険値スコア設定処理(図10)におけるステップS82〜S86の処理によって、経路上の交差点について、全方向の危険値スコアを算出すればよい。
(4)危険値スコアは、図3〜5で示した危険値マトリックスを用いずに算出する方法をとってもよい。例えば、図3、5などで挙げた種々の要因地物、危険要素などに応じて危険値スコアを算出する関数を定義する方法をとってもよいし、
(5)その他、実施例中でソフトウェア的に処理している部分はハードウェア的に実現することもできるし、その逆も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は,孤立交差点を考慮して、指定された目的地までの経路案内を行うために利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
100…端末
101…主制御部
102…送受信部
103…コマンド入力部
104…センサ入力部
105…地図データベース記憶部
106…経路案内部
107…経路探索部
108…危険値スコア算出部
200…サーバ
201…送受信部
202…データベース管理部
210…地図データベース記憶部
211…地物データ
212…危険値マトリックス
213…ネットワークデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された目的地までの経路を案内する経路案内装置であって、
道路網をノードおよびリンクで表したネットワークデータ、車両が交差点内を通過できずに孤立する状況を生じさせる要因となる要因地物に関する要因地物データを記憶する地図データベース記憶部と、
前記ネットワークデータおよび要因地物データに基づき、候補となる経路上に存在する交差点について該交差点から退出する道路である退出路における要因地物を特定し、該要因地物に対応づけられている特定規則に従って孤立する可能性のある孤立交差点を特定する孤立交差点特定部と、
前記孤立交差点の特定結果を反映させて、前記ネットワークデータを参照して、前記経路を探索する経路探索部と、
探索された経路に基づき案内を行う経路案内部と
を備える経路案内装置。
【請求項2】
請求項1記載の経路案内装置であって、
前記地図データベース記憶部は、前記要因地物データに代えて、前記孤立交差点を生じさせる危険性を表す指標である危険値と前記要因地物とを対応させた危険値マトリックスを記憶し、
前記孤立交差点特定部は、前記危険値マトリックスを参照して、特定された前記要因地物に応じた危険値を求め、該危険値に基づいて前記孤立交差点を特定する経路案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−247315(P2012−247315A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119628(P2011−119628)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】