説明

綾巻ボビンを製造する繊維機械の巻取り部

【課題】紡績コップの巻管上の所定位置に下降する部材と、紡績コップの巻管の上側に位置決めされた糸ガイド装置とを有する繰り出し補助装置を備えた、綾巻ボビンを製造する繊維機械の巻取り部を改良して、高い巻取り速度でも丁寧な糸ガイドが保証され、糸の太さ及び糸材料とは無関係に、紡績コップによって受容された糸をグリッパ管に確実に引き渡すことができるようにする。
【解決手段】糸走行方向Fで糸ガイド装置36の端部側に、グリッパ管25を連結するためのアダプタ40が配置され、紡績コップ9から解された糸の引き取り中に、負圧負荷されたグリッパ管25を漏れなしに糸ガイド装置36に接続し、グリッパ管25に発生した負圧が、糸ガイド装置36を介して、繰り出し位置10に位置決めされた紡績コップ9のコップ先端の領域までガイドされ、前記アダプタは、その構成部分が正規の糸道経路の範囲内に突入するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載した、綾巻ボビンを製造する繊維機械の巻取り部に関する。
【背景技術】
【0002】
巻取り機においては、このような形式の繊維機械の紡績部の領域内に、紡績コップから糸を引き出すための装置と、引き取り位置に位置決めされ、かつ負圧負荷可能なグリッパ管に糸を引き渡すための装置とを設けることが、従来より公知である。
【0003】
このような形式の紡績部は、例えばドイツ連邦共和国特許公開第19617525号明細書、同第19617469号明細書に記載されている。この公知の紡績部は、繰り出し位置の領域内でそれぞれ1つの糸端部受容装置を有しており、この糸端部受容装置は、紡績コップ上に下降可能で、旋回管によって吸込みキャップに接続可能である。吸込みキャップは、正規の糸道経路の隣で側方にずらして配置されていて、吸込み空気負荷可能なグリッパ管を連結するための接続開口を有している。吸込みキャップはさらに、吸込みキャップから糸を引き出すための、つまり糸を正規の糸道経路の領域内に移行させるための、貫通するスリットを有している。
【0004】
この公知の装置においては、紡績コップの巻管先端の領域内に準備された糸端部は、糸端部受容装置を介して供給される圧縮空気によって、吸込みキャップに向かって吹き付けられ、吸込みキャップにおいて負圧負荷されるグリッパ管によって引き取られる。つまり、この公知の装置においては、吸込みキャップに形成されたスリットによって、並びにグリッパ管の連結中にグリッパ管と吸込みキャップとの間に所定の間隔が保たれていることによって、グリッパ管の開口部に形成される負圧が紡績コップの巻管先端まで作用しない。特に重い糸においては、このようなブローエア流(吹き付け空気流)による糸引き渡し作業は、糸引き渡し時にしばしば問題がある。
【0005】
さらにまた、ドイツ連邦共和国特許公開第4406076号明細書によれば、複数の繰り出し補助装置を有している、綾巻ボビンを製造する繊維機械の巻取り部について記載されている。つまり各紡績部に、紡績コップ上に下降可能な第1の管状の部材が配置されている。この第1の管状の部材は、第2の管に沿って高さ調節可能にガイドされており、この第2の管は、緊締手段を介して、別の管状の構成部分に緊締されている。この別の管状の構成部分自体は、紡績部のガイドプレートに定置に配置されている。第1の管状の部材は、その下縁部の領域が円錐体の形に形成されていて、巻き返し過程中に所属の駆動装置によって、この円錐体が紡績コップのいわゆるコップ円錐形部の領域内に位置決めされるように、紡績コップ上に正確に下降せしめられる。
【0006】
巻き返えそうとする紡績コップの糸端部をグリッパ管(引き取り位置において前記装置の上に間隔を保って位置決めされている)に引き渡すために、第2の管内に噴射装置が設けられている。
【0007】
つまり、第2の管は、狭い箇所の領域内に、圧縮空気源に接続された環状通路を有しており、この環状通路から、糸走行方向に整列された複数の通路が分岐している。紡績コップに又は紡績コップ巻管に前もって保持されている糸端部を、紡績部のグリッパ管に引き渡すために、第1の管状の部材が紡績コップ上に下降せしめられ、第2の管内に噴射流が生ぜしめられる。つまり、第1の管状の部材を紡績コップ上に下降させた後で、第2の管内に噴射流が生ぜしめられ、次いでこの噴射流は、負圧負荷されたグリッパ管の開口部の領域内にさらに供給される。
【0008】
この公知の装置においても、糸引き取り中にガイドプレートに配置された第2の管状の部材の開口に対して間隔を保って配置されたグリッパ管の領域内に、吹き付け空気流によって糸端部を搬送することは不都合であることが分かった。つまり、この公知の装置によって、特に重い糸をグリッパ管に確実に糸引き渡することは、常に保証される訳ではない。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第19617525号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許公開第19617469号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許公開第4406076号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、前記冒頭に述べた装置を改良して、一方では高い巻取り速度においても丁寧な糸ガイドが保証され、他方では、糸の太さ及び糸の材料とは無関係に、いつでも、紡績コップによって受容された糸をグリッパ管に確実に引き渡すことができるようなものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決した本発明によれば、糸走行方向で糸ガイド装置の端部側に、グリッパ管を連結するためのアダプタが配置されていて、このアダプタは、紡績コップから解きほぐされた糸の引き取り中に、負圧負荷されたグリッパ管が十分に漏れなしに糸ガイド装置に接続されることを保証し、それによって、グリッパ管に発生した負圧が、糸ガイド装置を介して、繰り出し位置に位置決めされた紡績コップのコップ先端の領域までガイドされるようになっており、前記アダプタは、このアダプタの構成部分が正規の糸道経路の範囲内に突入するように形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有利な実施態様は、従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明による装置は、アダプタを糸ガイド装置の端部側に配置したことによって、またアダプタの特別な構成によって、糸引き渡し位置に位置決めされた、負圧負荷されたグリッパ管を十分に漏れなしに、糸ガイド装置に確実に接続することができる、という利点を有している。つまり、グリッパ管の開口部に形成される負圧が、繰り出し位置に位置決めされた紡績コップの巻管先端の領域内まで達するようになっている。このような形式で、例えば空圧式に紡績コップの巻管先端から解きほぐされた糸が、十分に真っ直ぐに整列されて装置全体を通して送られ、確実にグリッパ管に引き渡すことができる。アダプタの本発明の実施例によって、特に定置の構成部分が正規の糸道経路の外に位置するように構成されたカバー壁部によって、巻取り駆動中に糸がアダプタに接触することは確実に避けられ、それによって走行ガイドされた糸の損傷が避けられるだけではなく、アダプタの損傷も避けられる。
【0013】
請求項2に記載されているように、定置に配置されたアダプタは、管状の空気流ガイド区分と、部分的に開放した制御ケーシングとを有しており、該制御ケーシングが、グリッパ管の旋回時に、グリッパ管及びグリッパ管フラップと対応せしめられるようになっている。つまり、制御ケーシングは、連結されたグリッパ管若しくはグリッパ管フラップと共に閉じた構造ユニットを形成しており、この構造ユニットによって、グリッパ管に供給される負圧が接続された糸ガイド装置内においても確実に作用することが保証される。
【0014】
請求項3に記載した有利な実施例によれば、制御ケーシングの領域内に制御輪郭部が配置されており、該制御輪郭部は、グリッパ管フラップを、グリッパ管の開口部が部分的に開放せしめられる位置に旋回させる。この制御輪郭部は、制御ケーシングに直接配置されるか、又は請求項4に記載したように、制御輪郭部が、制御ケーシングの領域内で、例えば制御ケーシングの直ぐ下に位置決めされた別個の制御部材の構成部分であってもよい。グリッパ管フラップを強制ガイドすることによって、アダプタ内で反復繰り返し可能な流過比が得られ、これは糸引き渡しプロセスの確実性に非常に効果的に作用する。
【0015】
請求項5によれば、アダプタの制御ケーシングが、閉じた後壁と、グリッパ管の形状に合致した、巻取り部に近い側壁と、この側壁に向き合う、グリッパ管フラップの形状に合致した、巻取り部から遠い側壁とを有している。
【0016】
つまり、グリッパ管を介して負圧負荷された制御ケーシングの内部が雰囲気に対してシールされ、それによってアダプタの制御ケーシングが完全に閉鎖されている限りは、制御ケーシングの側壁は、侵入旋回されたグリッパ管において、グリッパ管によって若しくはグリッパ管フラップによってそれぞれ補足される。
【0017】
有利な実施態様によれば、制御ケーシングは、糸道経路の外に配置されたシールエッジを備えたカバー壁部を有している。該シールエッジに、グリッパ管フラップが糸引き取り中に当接するようになっており、それによって制御ケーシングはグリッパ管の連結中に上方に対してシールされている(請求項6)。この場合、シールエッジを正規の糸道経路の外に配置したことによって、巻取り運転中に走行する糸がシールエッジに接触すること確実に避けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の詳細を以下に図示の実施例を用いて説明する。
【0019】
図1には、綾巻ボビンを製造するための繊維機械、図示の実施例ではいわゆる自動綾巻機の側面図が概略的に示されている。このような形式の自動綾巻機1は、(図示していない)2つの端部フレーム間に同形式の複数の作業部2を有している。これらの作業部2には、図示していないリング精紡機で製造される、比較的少量の糸材料を有する紡績コップ9が大容積の綾巻ボビン11に巻き返される。これは公知であるので詳しく説明されていない。
【0020】
次いで、完成された綾巻ボビン11は自動的に作業するサービス装置(例えば綾巻ボビン交換機)によって、機械長さに亘って設置された綾巻ボビン搬送装置21に引き渡され、機械の側面に配置されたボビン積み込みステーション(図示せず)又はこれと類似のものに搬送される。
【0021】
このような自動綾巻機1は、図1に示したような、ボビン及び巻管搬送システム3として構成された補給装置を有しているか、又は多数の作業部2の領域内に、作業部に適したそれぞれ1つのボビンマガジン有利にはいわゆる丸いマガジンが配置されている。
【0022】
ボビン及び巻管搬送システム3内を、搬送プレート8上に垂直な整列方向で固定された紡績コップ9若しくは空管34が循環移動する。このボビン及び巻管搬送システム3のうちの、図1にはコップ供給区間4、逆転駆動可能な貯蔵区間5、作業部(巻取り部)2に通じている横方向搬送区間6、並びに巻管戻しガイド区分7だけが示されている。図示のように、この場合、供給された紡績コップ9はまず、横方向搬送区分6の領域内で巻取り部2に位置している繰り出し部10内に位置決めされ、巻き返される。
【0023】
このために、各作業部2は種々異なる糸処理及び糸操作装置(公知であるので概略的にのみ示されている)を有しており、この糸処理及び糸操作装置は、紡績コップ9が大容積の綾巻ボビン11に巻き返されることを保証するだけでなく、巻き返し過程中に糸が監視され、検出された糸欠陥が確実に処理されるようになっている。
【0024】
このような公知の装置のうちの1つは巻取り装置24であって、この巻取り装置24は、旋回軸19を中心にして可動に支承されたボビンフレーム18と、ボビン駆動装置26と糸トラバース装置28とを有している。図1に示した実施例では、綾巻ボビン11は、巻取りプロセス中に例えばこの綾巻ボビン11の外周面が、独立モータ式に負荷可能な駆動ドラム26に接触し、この駆動ドラム26によって摩擦接続(摩擦による束縛)を介して連行される。
【0025】
つまり、駆動ドラム26の駆動は、例えば回転数制御可能で、逆転可能(図示せず)駆動装置を介して行われる、ということである。
【0026】
綾巻ボビン11に巻き返される際に、糸は、糸トラバース装置28によってトラバースされる。この糸トラバース装置28は、図示の実施例では糸ガイドフィンガー29を有している。このような糸トラバース装置は公知であって、例えばドイツ連邦共和国特許公開第19858548号明細書に詳しく記載されている。
【0027】
冒頭に述べたように、このような作業箇所2は、一般的にそれぞれ糸継ぎ装置13有利な形式で空圧式に作業する撚り継ぎ装置と、負圧で負荷可能な吸込み管12と、同様に負圧で負荷可能なグリッパ管25とを有している。この場合、吸込み管12とグリッパ管25とは、機械固有の負圧トラバース32に接続されており、この負圧トラバース32自体は負圧源33に接続されている。
【0028】
このような作業部2はさらに、下糸センサ22と、糸緊張装置14と、糸切断装置17を備えた糸クリアラ15と、糸張力センサ20と、パラフィン塗布装置16とを有している。また、作業部(巻取り部)2は、紡績コップ9で準備された下糸を、負圧負荷されたグリッパ管25に処理し、かつ空圧式に引き渡すための糸繰り出し補助装置23を備えている。
【0029】
この繰り出し補助装置23の詳細を、以下に図2〜図4を用いて詳しく説明する。
【0030】
図2に斜視図で示されているように、各巻取り部2の領域内に配置された繰り出し補助装置23は、主に、垂直方向に摺動可能に支承された部材27と、糸ガイド装置36と、アダプタ40とから成っている。つまり、部材27は、駆動装置30を介して垂直方向Rに所定に調節可能であって、部材27が、巻取りプロセス中に紡績コップ9の繰り出し運動に従って下方に移動せしめられるようになっている。この場合、有利な形式で、部材27の下縁部50は常に、ほぼ紡績コップ9のコップ円錐形部51の高さ位置に位置決めされている。この垂直方向の移動運動中に、部材27は十分に定置の糸ガイド装置36のガイド付加部36に沿ってガイドされる。部材27は、除塵装置31と対応しており、この除塵装置31は、巻取りプロセス中に紡績コップ9のコップ円錐形部51を包囲し、例えばテレスコープ運動可能な管35を介して負圧負荷される負圧トラバース(吸込みトラバース)32に接続されている。除塵装置31内にはさらに、図示されていない空圧式の糸端部解し装置が配置されており、この糸端部解し装置は、紡績コップ9上で準備された糸端部に、まず一般的なように、紡績コップ9から解される。
【0031】
図2に示されているように、糸ガイド装置36は有利な形式で複数の部分より構成されている。つまり、糸ガイド装置36は、定置に配置されたアダプタ40に固定された上部管37と、該上部管37に関連して摺動可能に配置され、かつその組み込み高さを調節可能な下部管38とから成っている。組み込んだ状態で、下部管38は常に、下部管38に配置されたガイド付加部39(有利な形式で円錐形に構成された糸導入領域を有している)が繰り出しボビン10に位置決めされた紡績コップ9の巻管先端の直ぐ上側に配置されている高さ位置で上部管7に固定されている。
【0032】
定置に配置されたアダプタ40(このアダプタ40に前述のように糸ガイド装置36が固定されている)は、特に図3に示されているように、管状の空気流ガイド区分41と、部分的に開放した制御ケーシング42とから成っている。制御ケーシング42の下には制御部材48に制御滑子案内44が配置されており、この制御滑子案内44は、グリッパ管25が制御ケーシング42内に侵入旋回せしめられる際に、グリッパ管フラップ43が所定に開放せしめられるように配慮する。
【0033】
制御ケーシング42の後壁45は、有利な形式で閉じた壁部区分として構成されており、これに対して側壁46,47は凹状に湾曲した、つまりグリッパ管25若しくはグリッパ管フラップ43の輪郭形状に適合した切欠を有している。
【0034】
図4に示されているように、侵入旋回せしめられて糸引き渡し位置に位置決めされている、制御ケーシング42を備えたグリッパ管25は機能ユニットを有しており、この機能ユニットは、グリッパ管25が漏れなしにアダプタ40及びひいては糸ガイド装置36に接続されることを保証する。
【0035】
装置の機能:
コップ供給区間4並びに、搬送装置3の、逆転駆動可能な貯蔵区間5は常に、紡績コップ9を作業部2の領域内に送り、作業部2において巻き返すために必要に応じて横方向搬送区間6を介して分配する。
【0036】
各作業部2においては繰り出しボビン10の領域内にそれぞれ1つの繰り出し補助装置23が配置されており、これらの繰り出し補助装置23の、垂直方向に摺動可能に支承された部材27は、この時点で、図1に略示された所期位置に位置決めされている。横方向搬送区間6を介して供給された紡績コップ9は、繰り出し位置10において、公知であるので詳しく図示されていない位置決め手段によって正確に、繰り出し補助装置23の下で停止される。この場合、図2に詳しく示した、定置のアダプタ40に接続された、繰り出し補助装置23の糸ガイド装置36は、処理しようとする紡績コップ9の長さに調節されている。
【0037】
紡績コップ9が繰り出し位置10に位置決めされると直ちに、駆動装置30を介して前記部材27は、該部材27の下縁部50が紡績コップ9のコップ円錐形部51の領域内にほぼ配置されるまで、下降される。それと同時に又はそれに続いて、グリッパ管25が、糸ガイド装置36の一端部側に配置されたアダプタ40の部分的に開放した制御ケーシング42内に侵入旋回せしめられ、アダプタ40に連結される。グリッパ管25を連結することによって、制御ケーシング42は負圧が漏れることなしに閉鎖される。
【0038】
つまり、グリッパ管25の開口部に作用する負圧は、糸ガイド装置36を通って、繰り出し位置10に位置決めされた紡績コップ9の巻管先端の領域内まで達し、巻管先端の領域内若しくは紡績コップ9のコップ円錐形部51の領域内に吸い込み空気流が発生するように作用する。
【0039】
次いで、例えば紡績コップ9のコップ円錐形部51において準備された糸端部は、除塵装置31に組み込まれた空圧式の糸端部解し装置によって処理される。つまり、糸端部は紡績コップ9のコップ円錐形部51によって解されるようになっている。次いで、負圧負荷されたグリッパ管25を介して供給された吸込み空気流が糸を、糸ガイド装置36を介して、ほぼ真っ直ぐに伸ばした状態で、アダプタ40に連結された、負圧負荷されたグリッパ管25まで供給し、このグリッパ管25が下糸を確実に吸い込むようになっている。
【0040】
本発明の別の実施態様によれば、この糸ガイド装置36内の吸込み空気流は、噴射装置によって補助される。この噴射装置は、有利な形式で糸ガイド装置36のガイド付加部39に配置されている。
【0041】
グリッパ管25が、いわゆる下糸を掴むと直ちに、グリッパ管25は掴んだ下糸を共にその上側の終端位置に旋回せしめられ、この場合、糸を空圧式の糸継ぎ装置13に挿入し、ここで、下糸が、綾巻ボビン11に残っているいわゆる上糸と接合する。
【0042】
下糸の糸端部と上糸の糸端部との接合が終了し、グリッパ管25が待機位置(図示せず)に旋回せしめられると、巻取りプロセスが新たに開始されるようになっている。
【0043】
この場合、アダプタ40の制御ケーシング42の特別な構成、特に制御ケーシング42のシールエッジ49を正規の糸道経路の外に配置することによって、糸は巻取りプロセス中に妨害されることなく、またアダプタ40の構成部分に接することなく、アダプタ40を通って走行できるようになっている。
【0044】
本発明による装置は、全体的にプロセスを確実に実施することができる繰り出し補助装置を構成している。この繰り出し補助装置は、紡績コップ9から糸端部を確実に引き取ることも、またこの引き取った糸端部を、旋回可能に支承され、かつ負圧負荷されたグリッパ管25に確実に引き渡すこともできる。しかも、この繰り出し補助装置によって、巻取りプロセス中に、糸を丁寧に扱うことができ、また高速の巻取り速度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】グリッパ管によって空圧式に糸引き渡しを行うための本発明に従って構成された繰り出し補助装置を備えた、綾巻ボビンを製造するための繊維機械の紡績部の概略的な側面図である。
【図2】図1に概略的に示した繰り出し補助装置の一部断面した斜視図である。
【図3】本発明に従って構成された繰り出し補助装置のアダプタの拡大図である。
【図4】アダプタに接続されたグリッパ管に糸端部を引き渡す間の、繰り出し補助装置の概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1 自動綾巻装置、 2 作業部、巻取り部、 3 ボビン及び巻管搬送システム、 4 コップ供給区間、 5 貯蔵区間、 6 横方向搬送区間、 7 巻管戻しガイド区間、 8 搬送プレート、 9 紡績コップ、 10 繰り出し部、 11 綾巻ボビン、 12 吸込み管、 13 糸継ぎ装置、 16 パラフィン塗布装置、 17 糸切断装置、 18 ボビンフレーム、 19 旋回軸、 20 糸張力センサ、 21 綾巻ボビン搬送装置、 23 繰り出し補助装置、 24 巻取り装置、 25 グリッパ管、 26 ボビン駆動装置、駆動ローラ、駆動ドラム 27 部材、 28 糸トラバース装置、 29 糸ガイドフィンガー、 34 空管、 36 糸ガイド装置、 37 上部管、 38 下部管、 39 ガイド付加部、 40 アダプタ、 41 空気流ガイド区分、 42 制御ケーシング、 43 グリッパ管フラップ、 44 制御滑子案内、45 後壁、 46,47 制御部材、 48 制御部材、 50 下縁部、 51 コップ円錐形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綾巻ボビンを製造する繊維機械の巻取り部であって、繰り出し補助装置を備えており、該繰り出し補助装置が、紡績コップの巻管上の所定位置に下降させることができる部材と、紡績コップの巻管の上側に位置決めされた糸ガイド装置とを有している形式のものにおいて、
糸走行方向(F)で糸ガイド装置(36)の端部側に、グリッパ管(25)を連結するためのアダプタ(40)が配置されていて、このアダプタ(40)は、紡績コップ(9)から解きほぐされた糸の引き取り中に、負圧負荷されたグリッパ管(25)が十分に漏れなしに糸ガイド装置(36)に接続されることを保証し、それによって、グリッパ管(25)に発生した負圧が、糸ガイド装置(36)を介して、繰り出し位置(10)に位置決めされた紡績コップ(9)のコップ先端の領域までガイドされるようになっており、前記アダプタ(40)は、このアダプタ(40)の構成部分が正規の糸道経路の範囲内に突入するように形成されていることを特徴とする、綾巻ボビンを製造する繊維機械の巻取り部。
【請求項2】
定置に配置されたアダプタ(40)が、管状の空気流ガイド区分(41)と、部分的に開放した制御ケーシング(42)とを有しており、該制御ケーシング(42)が、グリッパ管(25)の旋回時に、グリッパ管(25)及びグリッパ管フラップ(43)と対応するようになっている、請求項1記載の巻取り部。
【請求項3】
制御ケーシング(42)の領域内に制御輪郭部(44)が配置されており、該制御輪郭部(44)は、グリッパ管フラップ(43)を、グリッパ管(25)の開口部が部分的に開放せしめられる位置に旋回させる、請求項2記載の巻取り部。
【請求項4】
前記制御輪郭部(44)が、制御ケーシング(42)の領域内に位置決めされた別個の制御部材(48)に配置されている、請求項3記載の巻取り部。
【請求項5】
制御ケーシング(42)が、閉じた後壁(45)と、グリッパ管(25)の形状に合致した側壁(46)と、この側壁(46)に向き合う、グリッパ管フラップ(43)の形状に合致した側壁(47)とを有している、請求項2記載の巻取り部。
【請求項6】
制御ケーシング(42)が、糸道経路の外に配置されたシールエッジ(49)を備えたカバー壁部(48)を有しており、糸引き取り中に前記シールエッジ(49)にグリッパ管フラップ(43)が当接する、請求項2記載の紡績部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−298647(P2006−298647A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116996(P2006−116996)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(503420235)ザウラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Saurer GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Landgrafen Str. 45, D−41069 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】