説明

緑化基盤用シート、緑化基盤材、並びに建物の緑化システム

【課題】軽量であることや取り扱い性に優れる合成樹脂材の利点を従来と遜色なく確保しつつ、耐候性を向上することが可能な緑化基盤用シート、緑化基盤材、並びに建物の緑化システムを提供する。
【解決手段】合成樹脂製の保水性不織布5の上に、合成樹脂製の遮光性不織布4を重ね合わせて緑化基盤用シート1を形成する。遮光性不織布は、着色された原糸で形成される。緑化基盤用シートの保水性不織布の下に重ね合わせて、複数の通孔を有して表面が多孔状に形成された発泡ポリスチレン製基材6を設けて、緑化基盤材2を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量であることや取り扱い性に優れる合成樹脂材の利点を従来と遜色なく確保しつつ、耐候性を向上することが可能な緑化基盤用シート、緑化基盤材、並びに建物の緑化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋上や壁に適用可能な合成樹脂材を用いた植栽基盤はよく知られている。従来、合成樹脂材で構成された植生基盤として、特許文献1が知られている。この特許文献1の「植物育成用人工土壌構造及びそれを用いた建築物屋上緑地化構造」では、板状、箱状、樋状、すのこ状、凹凸状又は波板状であり、多数の貫通孔が穿設されている基材の上面に、不織布、活性炭が付着若しくは含浸されている不織布、網状体及び2枚の不織布が格子状に接合され、生じた格子目の上下不織布の間に肥料又は肥料と活性炭の混合物が封入されてなる植物育成シートのうち少なくとも一つが積層され、更に、その上にロックウール繊維からなる成形体及び/又は土壌層が積層されて構成されている。
【0003】
基材を構成する材料は、合成樹脂材等で成形されている。合成樹脂及びゴムで成形されている場合は、耐候性、耐光性、耐熱性、成形性等を向上させるために、合成樹脂の成形の際に一般に使用されている熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、無機充填剤、可塑剤等が添加されてもよい。基材の他面には、補強、耐候性、耐光性、耐熱性等の付与のために、合成樹脂フィルムが積層されてもよい。不織布は、合成樹脂繊維よりなる不織布が好ましい。網状体を構成する材料は、熱可塑性樹脂繊維から製造されている。
【特許文献1】特開2005−137363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の植栽基盤では、耐候性の面で一般的な対処をしているに過ぎないために十分な耐久性が確保されておらず、特に紫外線を含む日射によって短期間に劣化し、さらに風雨に晒されて、脆くなり、植栽基盤として必要な根を保持する機能や、保水機能が喪失されてしまうという課題があった。植栽基盤上に土壌層を積層すれば、紫外線を含む日射による劣化を防止することはできるが、土壌の飛散や、雨水や散水により土壌を通過した水が流れ出して、建物の屋上や壁などを汚損するなどの課題が生じる。また、このように脆く壊れやすくなった植栽基盤は、そのまま放置すると、建物の屋上や壁などの設置面を汚損したり、飛散して周囲に悪影響を及ぼすおそれもあった。
【0005】
繊維系材料の繊維径が小さく嵩密度が大きいほど保水性が良くなる特性を利用して、薄くて保水性の高い繊維系材料で形成した植栽基盤が、屋内での水耕栽培に用いられている。ところが、繊維径が小さく嵩密度が大きいほど保水性は良くなるが、蒸散量(繊維表面より蒸発する水量)も多くなる。蒸散量は日射量に比例して増大する傾向にあり、厚さが薄いと、散水した水が植物の根に行き渡る前に蒸発してしまうなどの問題が生じる一方、湿潤率を高めるため植栽基盤を厚くすれば、重量が増して建物の床や壁に構造的な負担を強いるなどの問題が生じていた。そのため、屋内での水耕栽培に用いられる薄くて保水性の高い繊維系材料で形成した植栽基盤を屋外で使用するには、紫外線等による劣化だけでなく、直射日光に晒されることによる蒸散量を抑制しなければならないという課題もあった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、軽量であることや取り扱い性に優れる合成樹脂材の利点を従来と遜色なく確保しつつ、耐候性を向上することが可能な緑化基盤用シート、緑化基盤材、並びに建物の緑化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる緑化基盤用シートは、合成樹脂製の保水性不織布の上に、合成樹脂製の遮光性不織布を重ね合わせて形成したことを特徴とする。
【0008】
前記遮光性不織布は、着色された原糸で形成されることを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる緑化基盤材は、上述した緑化基盤用シートの前記保水性不織布の下に重ね合わせて、複数の通孔を有して表面が多孔状に形成された発泡ポリスチレン製基材を設けて形成したことを特徴とする。
【0010】
前記保水性不織布と前記基材との間に、保水性を有し、これら保水性不織布および基材に粘着するゲル化保水材が設けられたことを特徴とする。
【0011】
前記ゲル化保水材は吸水性を有する粉末であって、吸水によりゲル化するとともに粘着性を発現することを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる建物の緑化システムは、上述した緑化基盤材を、屋上や壁に設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる緑化基盤用シート、緑化基盤材、並びに建物の緑化システムにあっては、軽量であることや取り扱い性に優れる合成樹脂材の利点を従来と遜色なく確保しつつ、耐候性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる緑化基盤用シート、緑化基盤材、並びに建物の緑化システムの好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる緑化基盤用シート1、緑化基盤材2、そして建物の緑化システム3が特長とするところは少なくとも、日射に直接晒される部位に、合成樹脂製の遮光性不織布4を備えたことにある。しかしながら、直接日射に晒されない部位であっても、適宜に合成樹脂製遮光性不織布4を備えて、日射、殊に紫外線による材料劣化を抑制する対策を講じるように構成してよいことはもちろんである。
【0015】
本実施形態にかかる緑化基盤用シート1は基本的には、図1に示すように、合成樹脂製の保水性不織布5の上に、合成樹脂製の遮光性不織布4を重ね合わせて形成される。保水性不織布5としては、繊維径が5μm、嵩密度が0.35g/cm3,繊維一本あたりの引張強度が0.5g程度の合成樹脂製極細繊維を用いたものが好ましい。このような嵩密度が大きく極細の繊維で保水性不織布5を形成することにより、水の良好な拡散性が確保される。このような保水性不織布5としては、例えば、特開昭51−70366号公報に記載された方法に従って作成されるものを使用することができる。この不織布は、ポリエステル構成部分とポリアミド構成部分が交互に隣接されて環状に配置され、かつ繊維の長手方向に延び、全体として管状体を構成している中空複合繊維であって、全ポリエステル構成部分と全ポリアミド構成部分の重量比が1:1で、個々の構成部分の繊径が0.16de、中空複合繊維の繊径が2.5de、中空率(全ポリエステル構成部分と全ポリアミド構成部分および中空部分の体積の合計に対する中空部分の体積の割合)が10%の繊維を製糸し、捲縮加工を施した上で、カット長6.3mmの短繊維を作成した後、公知のウォーターニードル法を用いて、当該中空複合繊維を絡合、細化させて得られる。
【0016】
また、遮光性不織布4としては、繊維径が40μm、嵩密度が0.07g/cm3,繊維一本あたりの引張強度が60g程度の合成樹脂製繊維を用いたものが好ましい。遮光性不織布4には、着色された原糸(原着糸)を用いる。この原着糸は、顔料を繊維製造過程で混ぜることによって製造されるもので、本実施形態にあっては、顔料として黒色や緑色を使用する。この原着糸は、出来上がった不織布に着色したものとは異なる。これにより、日射を不織布で80%以上吸収・拡散して、紫外線の透過量を減少させる性能が発揮される。このような遮光性不織布4としては、例えば、株式会社オーツカ製の遮光性保護用マット「あんしん(NF−1013G,NF−1017G)」(商品名)の表層に用いられている不織布などを使用することができる。
【0017】
これら不織布4,5はその構造上、適度な通気性があって、保水性不織布5の上に遮光性不織布4を重ね合わせることで、保水性不織布5に保水性を、遮光性不織布4に遮光性によるそれ自体および保水性不織布5の耐候性を確保できて植物Pの根を定着させることができ、植栽用の緑化基盤用シート1としての機能を持たせることが可能となる。
【0018】
遮光性不織布4で日射を遮断することによって、遮光性不織布4よりも繊維径が小さく嵩密度が大きい極細不織布からなる保水性不織布5に蓄えた水の蒸散作用を抑制でき、保水性不織布5の厚さを薄くしても、保水性不織布5が保持する水を効率よく植物Pの根Rに供給することが可能となる。また、保水性不織布5をその上方から覆う遮光性不織布4を、保水性不織布5よりも繊維径が大きく嵩密度が小さな不織布で形成することによって、遮光性不織布4内に保水される水の粒子の大きさを、保水性不織布5に保水される水の粒子よりも大きなものとし、これにより遮光性不織布4での水の蒸散作用を抑制して、結果的にその下の保水性不織布5からの水の蒸散を抑制できるように構成している。すなわち、遮光性能に優れ、また大きな繊維径で小さな嵩密度であって保水する水の粒子が大きくなる遮光性不織布4によって、保水性不織布5からの蒸散作用を抑制することができ、優れた水の拡散作用を確保しつつ活発な蒸散作用を抑制して、保水性能の良好な緑化基盤用シート1が得られる。
【0019】
これら不織布4,5は合成樹脂材で形成されるので、軽量および取り扱い性に関し、従来と遜色のない性能を発揮する。また、保水性不織布5と遮光性不織布4とを予め一体化して緑化基盤用シート1を形成することにより、持ち運びや緑化場所での取り付け作業を容易化でき、施工効率を向上できる。さらに、保水性不織布5および遮光性不織布4はそれぞれ、それらの上を人が歩行しても破損しないだけの強度(引張強度)を有しており、このような不織布4,5を重ね合わせて形成した緑化基盤用シート1なので、その上での歩行やその上に乗っての植栽作業に対し、十分な耐久性を発揮する。
【0020】
次に、本実施形態にかかる緑化基盤材2は基本的には、図2に示すように、複数の通孔を有して表面が多孔状に形成された発泡ポリスチレン製基材6を備え、これを上記緑化基盤用シート1の保水性不織布5の下に重ね合わせて設けることで形成される。発泡ポリスチレン製基材6は、多数のポリスチレン薄片を所定空間内に入れて発泡させることによって、ポリスチレン薄片が折れ曲がり湾曲した状態で積層溶着されて、複数の通孔が錯綜状態で絡み合いつつ適宜に連通し合う構造を有する。当該通孔により通気性・通水性が確保され、これにより不必要な量の水が滞留することによる植物Pの根腐れを防止でき、そしてまた、適度な空気が流通されて植物Pの根Rの育成や定着作用の助けとなるとともに、ポリスチレン薄片の湾曲部で水を貯め込む(図2中、Wで示す)機能が得られて、植物Pの根Rへの給水も適切に確保することができる。発泡ポリスチレン製基材6としては、例えば、玉井化成株式会社製のタミーブロック(商品名)を使用することができる。
【0021】
このような緑化基盤材2にあっては、保水性不織布5の下に発泡ポリスチレン製基材6を重ね合わせることで、不織布4,5はその構造上、適度な通気性があり、遮光性不織布4の遮光性によるそれ自体および保水性不織布5や発泡ポリスチレン製基材6の耐候性を、保水性不織布5に保水性を、さらに発泡ポリスチレン製基材6によって、これら不織布4,5下での通気性・通水性、保水性、植物Pの根Rが定着する作用を確保して、植栽用の緑化基盤材2としての機能を持たせることができる。またこれらはいずれも合成樹脂材で形成されるので、軽量および取り扱い性に関し、従来と遜色のない性能を発揮する。
【0022】
緑化基盤材2としては、図3に示すように、これらを多層に積層して用いるようにしてもよい。この場合は、下層の緑化基盤材2の遮光性不織布4上に、上層の緑化基盤材2の発泡ポリスチレン製基材6を重ね合わせる。下層の緑化基盤材2の遮光性不織布4は省略してもよい。しかしながら、遮光性不織布4と保水性不織布5を一体化した緑化基盤用シート1に形成しておけば、施工効率が向上するので、下層の緑化基盤材2についても、遮光性不織布4をそのまま使用することが好ましい。
【0023】
さらに、上層および下層いずれの緑化基盤材2にあっても、保水性不織布5と発泡ポリスチレン製基材6との間に、ゲル化保水材7を設けるようにしてもよい。ゲル化保水材7は、保水性を有し、またゲル化状態でこれら保水性不織布5および発泡ポリスチレン製基材6に粘着する作用を呈する。このゲル化保水材7は粉状であって、保水性不織布5もしくは発泡ポリスチレン製基材6に対し散布し、その後散水することで、膨潤しゲル化する。散布によるので、保水性不織布5および発泡ポリスチレン製基材6いずれに対しても、連続的に一面にゲル層となってこれらに粘着することはなく、まばらに数多くの多点でこれらと粘着し、これにより、通気性や通水性が確保される。
【0024】
ゲル化保水材7は、吸水してゲル化し粘着性を発揮するので、通水によって流失することがない。またゲル化保水材7は、ゲル化状態を保ったまま、周辺温度に応じて水を吸排するので、植物Pの根Rに対する給水に寄与する。このようなゲル化保水材7としては、例えば、株式会社興人製のサーモゲル(商品名)を使用することができる。そしてこのゲル化保水材7により、緑化基盤材2内部の保水能力を高めることが可能であるとともに、発泡ポリスチレン製基材6と緑化基盤用シート1との固定が確保される。ゲル化保水材7は、緑化基盤材2が多層である場合に限らず、単層の場合に適用してもよいことはもちろんである。
【0025】
本実施形態にかかる建物の緑化システム3は、緑化基盤材2が建物の屋上や壁に設置されて、構築される。取り付け施工の一例が図4に示されている。建物のコンクリート面8に防水施工を施した後、緑化基盤材2を取り付ける。まず、防水施工面9に第1保持部材としての針状アルミ鋲10と第2保持部材としてのフック状アルミ鋲11を固定する。フック状アルミ鋲11は、緑化基盤材2間に配置され、針状アルミ鋲10は、緑化基盤材2設置位置に配置される。
【0026】
緑化基盤材2を単層で設ける場合には、発泡ポリスチレン製基材6を針状アルミ鋲10に刺し通し、その上にゲル化保水材7を散布して散水し、その後緑化基盤用シート1を重ね合わせて針状アルミ鋲10に刺し通す。多層の場合には、さらにその上に発泡ポリスチレン製基材6を載せて針状アルミ鋲10に刺し通し、ゲル化保水材7を施工し、その上に緑化基盤用シート1を重ね合わせて針状アルミ鋲10に刺し通す。その後、表層となる緑化基盤用シート1上に差し渡したアルミ製の押さえ14に、当該緑化基盤用シート1上へ突き出す針状アルミ鋲10を折り曲げて固着し、これにより単層もしくは多層の緑化基盤材2を防水施工面9に保持させる。さらに、互いに隙間を隔てて隣接する緑化基盤材2間に固定部材としてのアルミ製の押さえ12を差し渡して固着し、この押さえ12を、緊結部材としてのステンレスワイヤー13などを用いて、フック状アルミ鋲11に緊結する。緑化システム3の他の施工例としては、予め施工現場以外で、単層または多層の緑化基盤材2を針状アルミ鋲10および押さえ14で保持することによってユニットとして組み立て、かつ表層の緑化基盤用シート1上に植栽を施しておき、このようにしてユニット化したものを施工現場に搬入し、防水施工面9に固着したフック状アルミ鋲11に対してステンレスワイヤー13などで押さえ12を緊結して、設置固定するようにしても良い。
【0027】
これにより、屋上等に緑化基盤材2を固定して建物の緑化システム3が構築される。必要に応じて、緑化基盤用シート1のみを上記と同様にして、直接防水施工面9に固定して、建物の緑化システム3を構築するようにしてもよい。
【0028】
本実施形態にかかる緑化基盤材2を屋上に設置した具体例が図5に示されている。緑化基盤材2は、適宜な大きさの可搬性ユニットに分けられて施工される。上述した取り付け施工例に従って、まず、防水施工面9に下層の発泡ポリスチレン製基材6が設置され、必要に応じてゲル化保水材7が施工された後、緑化基盤用シート1が載置される。隣接する緑化基盤材2間には、下層の緑化基盤材2よりも上方に配置して、スプリンクラー14を備える灌水用設備の配管15が施工される。その後、上層の緑化基盤材2が施工される。そして最後に、表層となる緑化基盤用シート1上に、植物Pが植えられる。本実施形態にかかる建物の緑化システム3にあっては、灌水設備による給水により、土を使用することなく、水耕栽培に近い形態で植栽が行われる。
【0029】
以上説明した本実施形態にかかる緑化基盤用シート1、緑化基盤材2、並びに建物の緑化システム3にあっては、合成樹脂製の遮光性不織布4によって、紫外線を含む日射により短期間に材料劣化が進行することを防止でき、従って風雨に晒されても相当の強度を継続的に維持することができて、耐候性に優れた高い耐久性の建物の緑化システム3を構築することができる。従って、劣化の進行による建物の汚損なども防止することができる。また、緑化基盤用シート1や緑化基盤材2は通気性や通風性、保水性も従来と遜色なく確保できて植物Pを良好に生育させることができるとともに、軽量でありかつ取り扱い性に優れる合成樹脂材の利点も従来と遜色なく維持することができる。さらに、遮光性不織布4および保水性不織布5はそれぞれ、その上を人が歩行しても破損しないだけの強度を有しており、緑化基盤用シート1上、あるいは緑化基盤用シート1下に発泡ポリスチレン製基材6を重ね合わせて形成した緑化基盤材2いずれにあっても、その上での歩行や植栽作業に対して十分な耐久性を発揮することができる。
【0030】
緑化基盤用シート1を構成する遮光性不織布4は、着色された原糸で形成されるので、不織布にしてから着色するのとは異なり、紫外線を含む日射の吸収・拡散効果を高く確保することができる。発泡ポリスチレン製基材6を緑化基盤用シート1の下に重ね合わせて設けて緑化基盤材2を形成したので、通水性・通気性に優れ、かつ高い保水性能を発揮し、また植物Pの根Rの定着作用も良好にすることができて、優れた緑化基盤材2を構成することができる。ゲル化保水材7により、緑化基盤材2の保水能力を向上できるとともに、それに加えて、粘着作用によって緑化基盤用シート1と発泡ポリスチレン製基材6とを接着することができて施工性を向上することもできる。ゲル化保水材7は、吸水性を有する粉末であって、散布され、散水によって吸水して粘着するので、緑化基盤用シート1と発泡ポリスチレン製基材6とを接着するにあたり、良好な通気性や通水性を確保できる。
【0031】
そして、本実施形態にかかる緑化基盤材2や緑化基盤用シート1を建物の屋上や壁に設置することで構成される建物の緑化システム3は、全体として軽量であって、施工性もよく、耐久性にも優れ、建物への悪影響を防止しつつ建物緑化を適切に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明にかかる緑化基盤用シートの好適な一実施形態を示す側断面図である。
【図2】本発明にかかる緑化基盤材の好適な一実施形態を示す側断面図である。
【図3】本発明にかかる緑化基盤材を多層に積層した例を示す側断面図である。
【図4】本発明にかかる緑化基盤材の取り付け施工例を示す側断面図である。
【図5】本発明にかかる建物の緑化システムの好適な一実施形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 緑化基盤用シート
2 緑化基盤材
3 建物の緑化システム
4 合成樹脂製の遮光性不織布
5 合成樹脂製の保水性不織布
6 発泡ポリスチレン製基材
7 ゲル化保水材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の保水性不織布の上に、合成樹脂製の遮光性不織布を重ね合わせて形成したことを特徴とする緑化基盤用シート。
【請求項2】
前記遮光性不織布は、着色された原糸で形成されることを特徴とする請求項1に記載の緑化基盤用シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の緑化基盤用シートの前記保水性不織布の下に重ね合わせて、複数の通孔を有して表面が多孔状に形成された発泡ポリスチレン製基材を設けて形成したことを特徴とする緑化基盤材。
【請求項4】
前記保水性不織布と前記基材との間に、保水性を有し、これら保水性不織布および基材に粘着するゲル化保水材が設けられたことを特徴とする請求項3に記載の緑化基盤材。
【請求項5】
前記ゲル化保水材は吸水性を有する粉末であって、吸水によりゲル化するとともに粘着性を発現することを特徴とする請求項4に記載の緑化基盤材。
【請求項6】
請求項3〜5いずれかの項に記載の緑化基盤材を、屋上や壁に設置したことを特徴とする建物の緑化システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−189936(P2007−189936A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10502(P2006−10502)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【出願人】(390018038)白水興産株式会社 (19)
【Fターム(参考)】