繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法
【課題】繊維強化樹脂シートに繊維と樹脂を掻き分けて貫通孔を開けるとき、貫通孔の部分にて繊維強化樹脂シートがよりよく補強されるように貫通孔を形成する方法を提供する。
【解決手段】繊維強化樹脂シートの貫通孔24となる部分に存在する繊維および樹脂を周りに掻き分けることにより貫通孔24を形成し、掻き分けによって貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を貫通孔24内に延在する張力部材30,32により相互に引き付けて保持する。
【解決手段】繊維強化樹脂シートの貫通孔24となる部分に存在する繊維および樹脂を周りに掻き分けることにより貫通孔24を形成し、掻き分けによって貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を貫通孔24内に延在する張力部材30,32により相互に引き付けて保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法に係る。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法として、下記の特許文献1には、連続した強化繊維と熱可塑性樹脂のマトリックスとからなる繊維強化樹脂材に対して、加熱されて先端の尖った加工部材により、強化繊維を押し分けるように加工部材の周縁に移動させながら、熱可塑性樹脂のマトリックスを溶融させて穿孔することを特徴とする繊維強化樹脂材の孔明け加工方法が記載されている。また同じく繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法として、下記の特許文献2には、扁平で実質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を織糸とする補強織物に円錐状の治具を差し込むことにより織糸を局部的に目ずれさせて開孔を形成し、その補強織物に樹脂を含浸させた後硬化させることを特徴とする孔を有するFRP(繊維強化プラスチック)の製造方法が記載されている。
【特許文献1】特開平7-186100
【特許文献2】特開平7-242756
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の特許文献1および2に記載されている如く、繊維強化樹脂シートに孔を開けるに当って、孔となる部分に於ける繊維を切断することなく、孔の両側に掻き分けておくことにより、孔開けによって繊維が切断された場合に繊維が切断された孔の部分か始まって繊維強化樹脂シートの破損が進行することによる繊維強化樹脂シートの強度の著しい劣化を回避することができる。
【0004】
しかし、繊維強化樹脂シートに限らず、シート状の物体に孔が開けられると、シートに沿って力が作用したとき、孔の部分では支持が得られず、一方では孔の周りに応力集中が生ずるので、孔の部分にてシート状物体の強度が低下することは避けられない。かかる孔開けによるシート状物体の孔の部分に於ける強度低下は、上記特許文献1および2に記載されている如く、繊維強化樹脂シートに孔を開けるに当って、繊維を切断しない工夫が施されても本質的には不可避である。
【0005】
ところで、繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成するに当たって、貫通孔となる部分に存在していた繊維および樹脂が、除去されるのではなく、貫通孔の周りに掻き分けられると、貫通孔の周りには繊維と樹脂の混合隆起部が生じる。かかる繊維と樹脂の混合隆起部は、これを担力手段として有効に利用することができれば、繊維強化樹脂シートの孔開けによって不可避となる孔部の強度低下を相殺し、或いは更にそれ以上に、繊維強化樹脂シートをその貫通孔の周りに於いて貫通孔のない部分よりもより高い強度を有するものとすることも可能であると考えられる。繊維強化樹脂シートに貫通孔が開けられるのは、通常、その貫通孔に繊維強化樹脂シートを他の物体に取付け或いは他の物体を繊維強化樹脂シートに取り付けるための金具等の係合手段を係合させるためであり、繊維強化樹脂シートの貫通孔の周りは、通常、貫通孔のない部分よりもより大きな強度が望まれるものである。
【0006】
本発明は、上記の事情に着目し、繊維強化樹脂シートに繊維と樹脂を掻き分けて貫通孔を開けるとき、掻き分けによって貫通孔の周りに生ずる繊維と樹脂の混合隆起部を担力手段として有効に利用することにより、貫通孔の部分にて繊維強化樹脂シートがよりよく補強されるように貫通孔を形成する方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するものとして、本発明は、繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法にして、該繊維強化樹脂シートの該貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を周りに掻き分けることにより該貫通孔を形成し、掻き分けによって該貫通孔の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部を該貫通孔内に延在する張力部材により相互に引き付けて保持することを特徴とする方法を提案するものである。
【0008】
この場合、貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を貫通孔の両側に掻き分けると同時に貫通孔の周縁に沿う複数の箇所にて繊維および樹脂を掻き分けて繊維強化樹脂シートを貫通する複数の補助小孔を形成し、貫通孔と補助小孔とを通って張力部材を環状に延在させてよい。この場合、更に複数の補助小孔を巡って追加の張力部材を延在させてよい。
【0009】
或いはまた、張力部材は貫通孔に金属等よりなる展延性管部材を通し、その両端部を拡径し且つ折り返して鳩目状にしたものとされてもよいし。
【0010】
貫通孔は尖った先端より貫通孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき該先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されてよい。補助小孔もまた尖った先端より補助小孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されてよい。
【0011】
樹脂が熱可塑性樹脂であるときには、繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態は繊維強化樹脂シートを加熱することによりもたらされるものであってよく、樹脂が熱硬化性樹脂であるときには、繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態は樹脂が熱硬化前の粉末状態とされていることによりもたらされるものであってよい。
【発明の効果】
【0012】
上記の如く、繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成するに当って、繊維強化樹脂シートの貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を周りに掻き分けることにより貫通孔を形成したとき、掻き分けによって貫通孔の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部を貫通孔内に延在する張力部材により相互に引き付けて保持しておけば、貫通孔の形成のために貫通孔となる部分より掻き分けられて貫通孔の両端の周りに生じた繊維と樹脂の混合隆起部を貫通孔の周りに延在する担力部材として孔周りの補強に有効に作用させることができ、これによって貫通孔の部分に於ける繊維強化樹脂シートの強度を高め、貫通孔を開けたことによるシートの強度低下を相殺し、場合によっては、更に貫通孔の部分に於ける強度を貫通孔のない部分に於ける強度以上とすることができる。
【0013】
この場合、貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を貫通孔の両側に掻き分けると同時に貫通孔の周縁に沿う複数の箇所にて繊維および樹脂を掻き分けて繊維強化樹脂シートを貫通する複数の補助小孔を形成し、これら貫通孔と補助小孔とを通って張力部材を環状に延在させるようにすれば、適当な引き張り強度を有する索体等によりそのような環状張力部材を適確に形成することができる。この場合、更に複数の補助小孔を巡って追加の張力部材を延在させれば、かかる追加の張力部材によっても貫通孔の両端の周りに生じた繊維と樹脂の混合隆起部を相互に引き付けられた状態に保持し、繊維樹脂混合隆起部による貫通孔周縁の補強度を高めることができる。
【0014】
或いはまた、張力部材が貫通孔に金属の如き展延性に富んだ材料よりなる展延性管部材を通し、その両端部を拡径し且つ折り返して鳩目状にしたものとされれば、貫通孔の両端の周りに生じた繊維と樹脂の混合隆起部と相互に引き付けて貫通孔周りを補強することを、従来から慣用されている鳩目リベットの技術を利用して好都合に行うことができる。
【0015】
貫通孔が、尖った先端より貫通孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されれば、繊維の太さや柔軟性或いは弾力性および樹脂の流動性に対応させて錐体のテーパ形状を適当に設計しまたそれを先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させる速度等を適当に設定することにより、貫通孔の両端の周りに形成される繊維と樹脂の混合隆起部を孔周りの補強に最適な形状とすることができる。補助小孔もまた尖った先端より補助小孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されれば、その両端開口部を繊維と樹脂の混合隆起により好適に補強された形状とすることができる。
【0016】
樹脂が熱可塑性樹脂であり、繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態が繊維強化樹脂シートを加熱することによりもたらされるものであるときには、樹脂が一度溶融され固化されてシート製品となっている繊維強化樹脂シートに加熱された錐体を押しつけることにより貫通孔を形成することができる。
【0017】
樹脂が熱硬化性樹脂であり、繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態が樹脂が熱硬化前の粉末状態とされていることによりもたらされるものであるときには、樹脂を熱硬化させてシート製品とするに先立って、熱硬化性樹脂がまだ粉末状態にあるシート製品素材に常温ないし加熱された錐体を押しつけることにより貫通孔を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明により繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法に於ける第一の段階であって、まず繊維強化樹脂シートに貫通孔を開ける要領を一つの実施の形態について示す孔開け用錐体と繊維強化樹脂シートの側面図であり、図2は図1の線2−2による孔開け用錐体の断面とその下方に位置する繊維強化樹脂シートの表面を示す図である。
【0019】
これらの図に示す例に於いては、繊維強化樹脂シート10は、図にて水平の方向に並列に配置された繊維12−1、12−3、12−5、12−7、12−9およびこれに直交する方向に並列に配置された繊維12−2、12−4、12−6、12−8と、これらの繊維の層の間に充填された樹脂層14とを含んでいる。
【0020】
孔開け用錐体16は、先端より貫通孔の断面輪郭まで横断面が拡大する円錐状の作動部を有し、この円錐状の作動部にてその先端から始まって繊維強化樹脂シート10に押しつけられ、該先端が当接する位置より両側にある繊維12−1〜12−9を両側に掻き分けて繊維強化樹脂シート内へ侵入し且つこれを貫通するよう、図1でみて繊維強化樹脂シート10に対し下方へ駆動されるようになっている。図1および2に示す実施の形態の於いては、繊維強化樹脂シートに貫通孔を開けるための錐体16に加えて、これによって開けられる貫通孔の周縁に沿う複数の箇所にて繊維および樹脂を掻き分けて繊維強化樹脂シートを貫通する複数の補助小孔を同時に開ける補助小孔形開け用錐体18も設けられている。錐体16および18は共通のプラテン20により担持され、ピストン22により上下に駆動されるようになっている。補助小孔開け用の錐体18は貫通孔開け用の錐体16が貫通孔をほぼ開け終わった時点から補助小孔を開け始めるようになっている。尚、図1および2には示されていないが、繊維強化樹脂シート10は、錐体16をおよび18を受け入れる適当な孔を備えた支持台上に載置されている。図示の例では、補助小孔開け用錐体18は16個設けられている。
【0021】
図3は、上に説明した要領にて錐体16および18が繊維強化樹脂シート10にその最終孔開け位置まで貫通され、繊維強化樹脂シート10に一つの貫通孔24とその周りに配列された16個の補助小孔26とが形成された状態を、錐体16および18についてはそれらの断面にて、また繊維強化樹脂シート10についてはその上面にて示す図である。図3に於いて半ば解図的に示す如く、貫通孔24が開けられることによりこの部分から押し出された繊維と樹脂の混合物は、貫通孔24の周りに隆起した隆起部28を形成している。
【0022】
樹脂が熱可塑性樹脂であるときにも熱硬化性樹脂であるときにも、図3に示す状態に樹脂が固化した状態が得られた後、錐体16および18が繊維強化樹脂シート10より引き抜かれと、繊維強化樹脂シート10は、図4に示す如く、貫通孔24とその周りに補助小孔26が開けられ、また補助小孔26が位置する貫通孔の周縁部には繊維と樹脂の混合隆起部28が形成された状態となる。図5は図4の線5−5による断面図である。
【0023】
図6および7は、上記の要領にて貫通孔24と補助小孔26とが開けられた繊維強化樹脂シート10の貫通孔24と補助小孔26を巡って索体が環状に張設され、貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材30が設けられている状態の一例を示す。
【0024】
貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材としては、貫通孔24と補助小孔26を巡って索体が環状に張設された上記の張力部材30のみであってもよいが、図示の例では、更に、複数の補助小孔26を巡って索体を延在させて張設し、貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する追加の張力部材32も設けられている。張力部材32は互いに隣り合った2つの補助小孔26を巡る環状とされてよく、或いはまた3個或いはそれ以上の個数の補助小孔26を8字型に巡る張力部材とされてもよい。
【0025】
これらの張力部材30および32は針金の如き索体により形成されてよく、それらが貫通孔24と補助小孔26或いは隣り合った2つまたはそれ以上の補助小孔を巡る環状或いは8字型に張られた後の端部どうしの結合は溶接等により行われてよい。
【0026】
図8〜図11は、図1および2について説明したのと同じ要領ではあるが、補助小孔形成開け用錐体18を無くし、貫通孔を開ける錐体16のみを用いて貫通孔24が形成された繊維強化樹脂シート10に於いて、貫通孔24の両端の周りに形成された繊維と樹脂の隆起部28を互いに引き付けて保持する手段として、貫通孔に金属等よりなる展延性管部材34を通し、その両端部を拡径し且つ折り返して鳩目状にする本発明の他の一つの実施の形態を示す一連の断面図である。
【0027】
この場合、まず図8に示す如く、貫通孔24とその両端開口の周りに繊維と樹脂の隆起部28が形成された繊維強化樹脂シート10の貫通孔24に金属の如く展延性に富む材料よりなる展延性管部材34が装填され、その両端部にプレスヘッド36および38が当てられる。その後、プレスヘッド36、38が押し合わされると、図9に示す如き状態を経て図10に示す如く展延性管部材34の両端部は拡径され且つ折り返されて鳩目状とされる。図11はこうして展延性管部材34により貫通孔24内に延在し貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材40が形成された状態を示す。
【0028】
以上に於いては本発明をいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらの実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明により繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する第一の段階として繊維強化樹脂シートに貫通孔を開ける要領を一つの実施の形態について示す孔開け用錐体と繊維強化樹脂シートの側面図。
【図2】図1の線2−2による孔開け用錐体の断面とその下方に位置する繊維強化樹脂シートの表面を示す図。
【図3】錐体16および18が繊維強化樹脂シート10にその最終孔開け位置まで貫通された状態を、錐体16および18についてはそれらの断面にて、また繊維強化樹脂シート10についてはその上面にて示す図。
【図4】図3に示す状態に樹脂が固化した状態が得られた後、錐体16および18が繊維強化樹脂シート10より引き抜かれ後の繊維強化樹脂シート10の表面を示す図。
【図5】図4の線5−5による断面図。
【図6】繊維強化樹脂シート10の貫通孔24と補助小孔26を巡って貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材30、32が設けられている状態の一例を示す平面図。
【図7】図6の線7−7による断面図。
【図8】貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材を展延性管部材34により形成する例の開始段階を示す断面図。
【図9】図8に続く中間段階を示す断面図。
【図10】図9に続く最終段階を示す断面図。
【図11】図9の最終段階を経て貫通孔が仕上がった状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0030】
10…繊維強化樹脂シート、12−1〜12−9…繊維、14…樹脂層、16…貫通孔開け用錐体、18…補助小孔開け用錐体、20…補助小孔形成用錐体、22…ピストン、24…貫通孔、26…補助小孔、28…繊維と樹脂の混合隆起部、30,32…張力部材、34…展延性管部材、36,38…プレスヘッド、40…張力部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法に係る。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法として、下記の特許文献1には、連続した強化繊維と熱可塑性樹脂のマトリックスとからなる繊維強化樹脂材に対して、加熱されて先端の尖った加工部材により、強化繊維を押し分けるように加工部材の周縁に移動させながら、熱可塑性樹脂のマトリックスを溶融させて穿孔することを特徴とする繊維強化樹脂材の孔明け加工方法が記載されている。また同じく繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法として、下記の特許文献2には、扁平で実質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を織糸とする補強織物に円錐状の治具を差し込むことにより織糸を局部的に目ずれさせて開孔を形成し、その補強織物に樹脂を含浸させた後硬化させることを特徴とする孔を有するFRP(繊維強化プラスチック)の製造方法が記載されている。
【特許文献1】特開平7-186100
【特許文献2】特開平7-242756
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の特許文献1および2に記載されている如く、繊維強化樹脂シートに孔を開けるに当って、孔となる部分に於ける繊維を切断することなく、孔の両側に掻き分けておくことにより、孔開けによって繊維が切断された場合に繊維が切断された孔の部分か始まって繊維強化樹脂シートの破損が進行することによる繊維強化樹脂シートの強度の著しい劣化を回避することができる。
【0004】
しかし、繊維強化樹脂シートに限らず、シート状の物体に孔が開けられると、シートに沿って力が作用したとき、孔の部分では支持が得られず、一方では孔の周りに応力集中が生ずるので、孔の部分にてシート状物体の強度が低下することは避けられない。かかる孔開けによるシート状物体の孔の部分に於ける強度低下は、上記特許文献1および2に記載されている如く、繊維強化樹脂シートに孔を開けるに当って、繊維を切断しない工夫が施されても本質的には不可避である。
【0005】
ところで、繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成するに当たって、貫通孔となる部分に存在していた繊維および樹脂が、除去されるのではなく、貫通孔の周りに掻き分けられると、貫通孔の周りには繊維と樹脂の混合隆起部が生じる。かかる繊維と樹脂の混合隆起部は、これを担力手段として有効に利用することができれば、繊維強化樹脂シートの孔開けによって不可避となる孔部の強度低下を相殺し、或いは更にそれ以上に、繊維強化樹脂シートをその貫通孔の周りに於いて貫通孔のない部分よりもより高い強度を有するものとすることも可能であると考えられる。繊維強化樹脂シートに貫通孔が開けられるのは、通常、その貫通孔に繊維強化樹脂シートを他の物体に取付け或いは他の物体を繊維強化樹脂シートに取り付けるための金具等の係合手段を係合させるためであり、繊維強化樹脂シートの貫通孔の周りは、通常、貫通孔のない部分よりもより大きな強度が望まれるものである。
【0006】
本発明は、上記の事情に着目し、繊維強化樹脂シートに繊維と樹脂を掻き分けて貫通孔を開けるとき、掻き分けによって貫通孔の周りに生ずる繊維と樹脂の混合隆起部を担力手段として有効に利用することにより、貫通孔の部分にて繊維強化樹脂シートがよりよく補強されるように貫通孔を形成する方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するものとして、本発明は、繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法にして、該繊維強化樹脂シートの該貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を周りに掻き分けることにより該貫通孔を形成し、掻き分けによって該貫通孔の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部を該貫通孔内に延在する張力部材により相互に引き付けて保持することを特徴とする方法を提案するものである。
【0008】
この場合、貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を貫通孔の両側に掻き分けると同時に貫通孔の周縁に沿う複数の箇所にて繊維および樹脂を掻き分けて繊維強化樹脂シートを貫通する複数の補助小孔を形成し、貫通孔と補助小孔とを通って張力部材を環状に延在させてよい。この場合、更に複数の補助小孔を巡って追加の張力部材を延在させてよい。
【0009】
或いはまた、張力部材は貫通孔に金属等よりなる展延性管部材を通し、その両端部を拡径し且つ折り返して鳩目状にしたものとされてもよいし。
【0010】
貫通孔は尖った先端より貫通孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき該先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されてよい。補助小孔もまた尖った先端より補助小孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されてよい。
【0011】
樹脂が熱可塑性樹脂であるときには、繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態は繊維強化樹脂シートを加熱することによりもたらされるものであってよく、樹脂が熱硬化性樹脂であるときには、繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態は樹脂が熱硬化前の粉末状態とされていることによりもたらされるものであってよい。
【発明の効果】
【0012】
上記の如く、繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成するに当って、繊維強化樹脂シートの貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を周りに掻き分けることにより貫通孔を形成したとき、掻き分けによって貫通孔の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部を貫通孔内に延在する張力部材により相互に引き付けて保持しておけば、貫通孔の形成のために貫通孔となる部分より掻き分けられて貫通孔の両端の周りに生じた繊維と樹脂の混合隆起部を貫通孔の周りに延在する担力部材として孔周りの補強に有効に作用させることができ、これによって貫通孔の部分に於ける繊維強化樹脂シートの強度を高め、貫通孔を開けたことによるシートの強度低下を相殺し、場合によっては、更に貫通孔の部分に於ける強度を貫通孔のない部分に於ける強度以上とすることができる。
【0013】
この場合、貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を貫通孔の両側に掻き分けると同時に貫通孔の周縁に沿う複数の箇所にて繊維および樹脂を掻き分けて繊維強化樹脂シートを貫通する複数の補助小孔を形成し、これら貫通孔と補助小孔とを通って張力部材を環状に延在させるようにすれば、適当な引き張り強度を有する索体等によりそのような環状張力部材を適確に形成することができる。この場合、更に複数の補助小孔を巡って追加の張力部材を延在させれば、かかる追加の張力部材によっても貫通孔の両端の周りに生じた繊維と樹脂の混合隆起部を相互に引き付けられた状態に保持し、繊維樹脂混合隆起部による貫通孔周縁の補強度を高めることができる。
【0014】
或いはまた、張力部材が貫通孔に金属の如き展延性に富んだ材料よりなる展延性管部材を通し、その両端部を拡径し且つ折り返して鳩目状にしたものとされれば、貫通孔の両端の周りに生じた繊維と樹脂の混合隆起部と相互に引き付けて貫通孔周りを補強することを、従来から慣用されている鳩目リベットの技術を利用して好都合に行うことができる。
【0015】
貫通孔が、尖った先端より貫通孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されれば、繊維の太さや柔軟性或いは弾力性および樹脂の流動性に対応させて錐体のテーパ形状を適当に設計しまたそれを先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させる速度等を適当に設定することにより、貫通孔の両端の周りに形成される繊維と樹脂の混合隆起部を孔周りの補強に最適な形状とすることができる。補助小孔もまた尖った先端より補助小孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき先端より始まって繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されれば、その両端開口部を繊維と樹脂の混合隆起により好適に補強された形状とすることができる。
【0016】
樹脂が熱可塑性樹脂であり、繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態が繊維強化樹脂シートを加熱することによりもたらされるものであるときには、樹脂が一度溶融され固化されてシート製品となっている繊維強化樹脂シートに加熱された錐体を押しつけることにより貫通孔を形成することができる。
【0017】
樹脂が熱硬化性樹脂であり、繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態が樹脂が熱硬化前の粉末状態とされていることによりもたらされるものであるときには、樹脂を熱硬化させてシート製品とするに先立って、熱硬化性樹脂がまだ粉末状態にあるシート製品素材に常温ないし加熱された錐体を押しつけることにより貫通孔を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明により繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法に於ける第一の段階であって、まず繊維強化樹脂シートに貫通孔を開ける要領を一つの実施の形態について示す孔開け用錐体と繊維強化樹脂シートの側面図であり、図2は図1の線2−2による孔開け用錐体の断面とその下方に位置する繊維強化樹脂シートの表面を示す図である。
【0019】
これらの図に示す例に於いては、繊維強化樹脂シート10は、図にて水平の方向に並列に配置された繊維12−1、12−3、12−5、12−7、12−9およびこれに直交する方向に並列に配置された繊維12−2、12−4、12−6、12−8と、これらの繊維の層の間に充填された樹脂層14とを含んでいる。
【0020】
孔開け用錐体16は、先端より貫通孔の断面輪郭まで横断面が拡大する円錐状の作動部を有し、この円錐状の作動部にてその先端から始まって繊維強化樹脂シート10に押しつけられ、該先端が当接する位置より両側にある繊維12−1〜12−9を両側に掻き分けて繊維強化樹脂シート内へ侵入し且つこれを貫通するよう、図1でみて繊維強化樹脂シート10に対し下方へ駆動されるようになっている。図1および2に示す実施の形態の於いては、繊維強化樹脂シートに貫通孔を開けるための錐体16に加えて、これによって開けられる貫通孔の周縁に沿う複数の箇所にて繊維および樹脂を掻き分けて繊維強化樹脂シートを貫通する複数の補助小孔を同時に開ける補助小孔形開け用錐体18も設けられている。錐体16および18は共通のプラテン20により担持され、ピストン22により上下に駆動されるようになっている。補助小孔開け用の錐体18は貫通孔開け用の錐体16が貫通孔をほぼ開け終わった時点から補助小孔を開け始めるようになっている。尚、図1および2には示されていないが、繊維強化樹脂シート10は、錐体16をおよび18を受け入れる適当な孔を備えた支持台上に載置されている。図示の例では、補助小孔開け用錐体18は16個設けられている。
【0021】
図3は、上に説明した要領にて錐体16および18が繊維強化樹脂シート10にその最終孔開け位置まで貫通され、繊維強化樹脂シート10に一つの貫通孔24とその周りに配列された16個の補助小孔26とが形成された状態を、錐体16および18についてはそれらの断面にて、また繊維強化樹脂シート10についてはその上面にて示す図である。図3に於いて半ば解図的に示す如く、貫通孔24が開けられることによりこの部分から押し出された繊維と樹脂の混合物は、貫通孔24の周りに隆起した隆起部28を形成している。
【0022】
樹脂が熱可塑性樹脂であるときにも熱硬化性樹脂であるときにも、図3に示す状態に樹脂が固化した状態が得られた後、錐体16および18が繊維強化樹脂シート10より引き抜かれと、繊維強化樹脂シート10は、図4に示す如く、貫通孔24とその周りに補助小孔26が開けられ、また補助小孔26が位置する貫通孔の周縁部には繊維と樹脂の混合隆起部28が形成された状態となる。図5は図4の線5−5による断面図である。
【0023】
図6および7は、上記の要領にて貫通孔24と補助小孔26とが開けられた繊維強化樹脂シート10の貫通孔24と補助小孔26を巡って索体が環状に張設され、貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材30が設けられている状態の一例を示す。
【0024】
貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材としては、貫通孔24と補助小孔26を巡って索体が環状に張設された上記の張力部材30のみであってもよいが、図示の例では、更に、複数の補助小孔26を巡って索体を延在させて張設し、貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する追加の張力部材32も設けられている。張力部材32は互いに隣り合った2つの補助小孔26を巡る環状とされてよく、或いはまた3個或いはそれ以上の個数の補助小孔26を8字型に巡る張力部材とされてもよい。
【0025】
これらの張力部材30および32は針金の如き索体により形成されてよく、それらが貫通孔24と補助小孔26或いは隣り合った2つまたはそれ以上の補助小孔を巡る環状或いは8字型に張られた後の端部どうしの結合は溶接等により行われてよい。
【0026】
図8〜図11は、図1および2について説明したのと同じ要領ではあるが、補助小孔形成開け用錐体18を無くし、貫通孔を開ける錐体16のみを用いて貫通孔24が形成された繊維強化樹脂シート10に於いて、貫通孔24の両端の周りに形成された繊維と樹脂の隆起部28を互いに引き付けて保持する手段として、貫通孔に金属等よりなる展延性管部材34を通し、その両端部を拡径し且つ折り返して鳩目状にする本発明の他の一つの実施の形態を示す一連の断面図である。
【0027】
この場合、まず図8に示す如く、貫通孔24とその両端開口の周りに繊維と樹脂の隆起部28が形成された繊維強化樹脂シート10の貫通孔24に金属の如く展延性に富む材料よりなる展延性管部材34が装填され、その両端部にプレスヘッド36および38が当てられる。その後、プレスヘッド36、38が押し合わされると、図9に示す如き状態を経て図10に示す如く展延性管部材34の両端部は拡径され且つ折り返されて鳩目状とされる。図11はこうして展延性管部材34により貫通孔24内に延在し貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材40が形成された状態を示す。
【0028】
以上に於いては本発明をいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらの実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明により繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する第一の段階として繊維強化樹脂シートに貫通孔を開ける要領を一つの実施の形態について示す孔開け用錐体と繊維強化樹脂シートの側面図。
【図2】図1の線2−2による孔開け用錐体の断面とその下方に位置する繊維強化樹脂シートの表面を示す図。
【図3】錐体16および18が繊維強化樹脂シート10にその最終孔開け位置まで貫通された状態を、錐体16および18についてはそれらの断面にて、また繊維強化樹脂シート10についてはその上面にて示す図。
【図4】図3に示す状態に樹脂が固化した状態が得られた後、錐体16および18が繊維強化樹脂シート10より引き抜かれ後の繊維強化樹脂シート10の表面を示す図。
【図5】図4の線5−5による断面図。
【図6】繊維強化樹脂シート10の貫通孔24と補助小孔26を巡って貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材30、32が設けられている状態の一例を示す平面図。
【図7】図6の線7−7による断面図。
【図8】貫通孔24の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部28を相互に引き付けて保持する張力部材を展延性管部材34により形成する例の開始段階を示す断面図。
【図9】図8に続く中間段階を示す断面図。
【図10】図9に続く最終段階を示す断面図。
【図11】図9の最終段階を経て貫通孔が仕上がった状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0030】
10…繊維強化樹脂シート、12−1〜12−9…繊維、14…樹脂層、16…貫通孔開け用錐体、18…補助小孔開け用錐体、20…補助小孔形成用錐体、22…ピストン、24…貫通孔、26…補助小孔、28…繊維と樹脂の混合隆起部、30,32…張力部材、34…展延性管部材、36,38…プレスヘッド、40…張力部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法にして、該繊維強化樹脂シートの該貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を周りに掻き分けることにより該貫通孔を形成し、掻き分けによって該貫通孔の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部を該貫通孔内に延在する張力部材により相互に引き付けて保持することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を該貫通孔の両側に掻き分けると同時に該貫通孔の周縁に沿う複数の箇所にて繊維および樹脂を掻き分けて該繊維強化樹脂シートを貫通する複数の補助小孔を形成し、前記貫通孔と前記補助小孔とを通って前記張力部材を環状に延在させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に前記複数の補助小孔を巡って追加の張力部材を延在させることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記張力部材は前記貫通孔に展延性管部材を通し、その両端部を拡径し且つ折り返して鳩目状にしたものとされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記貫通孔は尖った先端より該貫通孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を前記繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき該先端より始まって該繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記補助小孔は尖った先端より該補助小孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を前記繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき該先端より始まって該繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂は熱可塑性樹脂であり、前記繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態は該繊維強化樹脂シートを加熱することによりもたらされるものであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記樹脂は熱硬化性樹脂であり、前記繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態は樹脂が熱硬化前の粉末状態とされていることによりもたらされるものであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項1】
繊維強化樹脂シートに貫通孔を形成する方法にして、該繊維強化樹脂シートの該貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を周りに掻き分けることにより該貫通孔を形成し、掻き分けによって該貫通孔の両端の周りに生じた一対の繊維と樹脂の混合隆起部を該貫通孔内に延在する張力部材により相互に引き付けて保持することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記貫通孔となる部分に存在する繊維および樹脂を該貫通孔の両側に掻き分けると同時に該貫通孔の周縁に沿う複数の箇所にて繊維および樹脂を掻き分けて該繊維強化樹脂シートを貫通する複数の補助小孔を形成し、前記貫通孔と前記補助小孔とを通って前記張力部材を環状に延在させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に前記複数の補助小孔を巡って追加の張力部材を延在させることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記張力部材は前記貫通孔に展延性管部材を通し、その両端部を拡径し且つ折り返して鳩目状にしたものとされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記貫通孔は尖った先端より該貫通孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を前記繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき該先端より始まって該繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記補助小孔は尖った先端より該補助小孔の断面輪郭まで横断面が拡大する錐体を前記繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態にあるとき該先端より始まって該繊維強化樹脂シートに貫通させることにより形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂は熱可塑性樹脂であり、前記繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態は該繊維強化樹脂シートを加熱することによりもたらされるものであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記樹脂は熱硬化性樹脂であり、前記繊維強化樹脂シートの樹脂が流動可能な状態は樹脂が熱硬化前の粉末状態とされていることによりもたらされるものであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−260142(P2008−260142A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102626(P2007−102626)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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