説明

缶蓋巻締装置

【課題】缶体の缶胴径の変更に容易に対応でき、また、缶体へのダメージを防止することのできる缶蓋巻締装置の提供を目的とする。
【解決手段】缶蓋巻締装置1が、載置台5、バルブターレット6、ターレットガイド8及びリフタープレート9を備え、バルブターレット6のターレットポケット7が、缶体11をガイドする回転方向側ガイド部7a、内側ガイド部7b、及び缶体11を押圧すると共にガイドする缶押圧ガイド部7cを有し、リフタープレート9の上面に、缶底13の凸部14を収容し、缶体11を位置決めする溝10が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋巻締装置に関し、特に、缶胴径の変更に、容易に対応できる缶蓋巻締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、缶胴及び缶底を有する缶体などに、缶蓋を巻き締める装置として、缶蓋巻締装置が使用されてきた。
この缶蓋巻締装置は、通常、缶体を搬送する搬送手段、及び、缶体に缶蓋を巻き締める巻締手段などを有しており、密封性能の向上や軽量化に伴うダメージ防止などを目的として、様々な技術が開発されてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1には、缶底を有する缶体を載せるリフタープレートの技術が開示されている。このリフタープレートは、焼き入れ鋼材からなるリフタープレート本体に、缶体を載置させたときに缶底と接触する部位に、表面が粗面をもつ上端開放の溝部を設け、溝部にリフタープレート本体よりも摩擦係数の大きいウレタンゴムからなる滑り止め部材が配設されている。
なお、缶蓋巻締装置は、缶の種類などに応じて、様々な構造を有している。
次に、本発明に関連する缶蓋巻締装置について、図面を参照して説明する。
【0004】
(従来例)
図6乃至8は、従来例にかかる缶蓋巻締装置を説明するための要部の概略平面図を示している。
図6に示すように、従来例の缶蓋巻締装置1は、缶胴12及び缶底13を有する缶体11(図8参照)を搬送する搬送手段2、及び、缶体11に缶蓋15を巻き締める巻締手段(図示せず)、投入部3、排出部4などを備えている。また、搬送手段2は、載置台5、バルブターレット6、ターレットガイド8、及び、リフタープレート9などを備えている。
なお、缶体11は、通常、DR缶(Draw Can)であり、また、比較的缶高の低い缶である。DR缶とは、あらかじめ塗装、印刷された金属板を、ダイとパンチで絞り加工によりカップ状に成形した缶であり、胴部12、凸部14が形成された缶底13から成る缶をいう。
また、投入部3から投入される缶体11は、あらかじめ、内容物(たとえば、魚肉や鶏肉など)が充填され、缶蓋15が缶胴12に仮締めされている。
【0005】
(バルブターレット)
このような、従来の缶蓋巻締装置1は、投入部3から載置台5上面に缶体11が搬送可能に載置され、載置された缶体11は、複数のターレットポケット7を有する回転可能なバルブターレット6によって搬送される。そして、ターレットポッケト7には、同じ高さ(H)の回転方向側ガイド部7a、内側ガイド部7b、及び缶押圧ガイド部7cが形成され、缶体11は、これらのガイド部7a、7b及び7cと接する仮想円(直径は、D´である。)の内側に収められることによって位置決めされる。
なお、これらのガイド部の上方には、仮締めされた缶蓋14を受け入れる凹部7dが形成されている。
【0006】
(ターレットガイド)
前記バブルターレット6と共に缶体11の搬送を行うターレットガイド8は、断面形状が鉤状で、上方から見るとほぼ円弧状であり、回転方向に沿って投入部3と排出部4との間の部分に形成され、載置台5の縁部上に設けられている。このターレットガイド8は、内周面が、バルブターレット6のターレットポケット7の仮想円と接しており、搬送される缶体11をガイドする(外側方向への移動を規制する)と共に位置決めする。なお、ターレットガイド8は、缶蓋15の高さ位置より低いので、缶蓋15と干渉することはない。
【0007】
(リフタープレート)
図7は、従来例にかかる缶蓋巻締装置のリフタープレートを説明するための概略拡大図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はC−C断面図を示している。
図7において、リフタープレート9は、上方から見ると、前述したバルブターレット6の回転方向側ガイド部7a、内側ガイド部7b、及び缶押圧ガイド部7cにそれぞれ対応する切欠部9a、9b、9cを有している。このリフタープレート9は、載置台5に昇降可能に埋設されている。また、リフタープレート9は、バルブターレット6が停止した際、後述する缶体11に缶蓋15の巻き締めを行う巻締手段の位置に対応して設けられており、バルブターレット6のターレットポケット7の中心に、その中心が一致する。
【0008】
そして、前述したバルブターレット6によって搬送された缶体11及び缶蓋15は、リフタープレート9上に載置され、かつ、バルブターレット6の回転方向側ガイド部7a、内側ガイド部7b、缶押圧ガイド部7c及びターレットガイド8によって、ターレットポケット7の仮想円(直径は、D´である。)の内側に位置決めされる。
【0009】
(巻締手段)
巻締手段は、図示してないが、シーミングチャック及びシーミングロールなどを備えている(前述した特許文献1参照)。この巻締手段は、缶蓋15が仮締めされた缶体11がリフタープレート9上に載置されると、リフタープレート9が上昇し、シーミングチャック(図示せず)が缶蓋15に係合し、シーミングチャックとリフタープレート9との間に、缶体11及び缶蓋15が挟持される。続いて、シーミングロールにより、缶胴12に缶蓋15を巻き締めた後、リフタープレート9が降下して、缶蓋15の巻き締めが完了する。
【0010】
上記構成の缶蓋巻締装置1は、内容物が充填され、缶蓋15が仮締めされた缶体11を投入部3から載置台5に投入し、この缶体11を、載置台5上に載置した状態で、バルブターレット6のターレットポケット7に収める。
次に、バルブターレット6が間欠的に回転し、停止する動作を繰り返して缶体11及び缶蓋15を搬送する。この際、缶体11は、載置台5上に載置され、バルブターレット6が回転すると、缶押圧ガイド部7cが缶胴12を押し、ターレットポケット7に缶体11が収められた状態で搬送される。
【0011】
続いて、缶体11及び缶蓋15は、リフタープレート9上に載置され、この缶体11は、ターレットガイド8の内周面、バルブターレット6の回転方向側ガイド部7a、内側ガイド部7b及び缶押圧ガイド部7cによって、ターレットポケット7の仮想円(直径は、D´である。)の内側に位置決めされる。(図8参照)。
そして、リフタープレート9上に載置された缶体11は、前述したように巻締手段によって缶蓋15が巻き締められ、缶蓋15が巻き締められた缶体11は、バルブターレット6によって搬送され、排出部4から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実公平2−30112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前述した缶蓋巻締装置1は、図8に示すように、リフタープレート9上に載置された缶体11を、ターレットガイド8の内周面、バルブターレット6の回転方向側ガイド部7a、内側ガイド部7b及び缶押圧ガイド部7cによって、ターレットポケット7の仮想円(直径は、D´である。)の内側に位置決めし、缶体11をリフタープレート9に搬送した際に、リフタープレート9の中心位置に載置されるようにしている。このため、缶体11の缶胴12の胴径の変更により、ターレットポケット7の仮想円の直径D´と缶体10の缶胴径d´のクリアランス(D´−d´)が1mmを超えると、リフタープレート9上に載置された缶体11に前述した缶蓋14を巻き締める際に、シーミングチャックによる缶蓋15の缶胴12への押圧途中で、シーミングロールを支持するサポートリング、またはシーミングロールの内、1stシーミングロールと缶蓋15の外周部(カール部)が当たり、巻き締め不良が発生する。
このため、従来は、缶体11の缶胴12の胴径が変更され、バルブターレット6のターレットポケット7の仮想円の直径D´と缶体11の缶胴径d´のクリアランス(D´−d´)が1mmを超える場合には、新たにバルブターレット6、ターレットガイド8等を新規に製作する必要があった。
【0014】
また、リフタープレート9は、缶高の低い缶を上昇、下降させるため、通常、切欠部9a、9b、9cを形成し、前述したバルブターレット6の回転方向ガイド部7a、内側ガイド7b及び缶押圧ガイド部7cとそれぞれ係合させて、リフタープレート9の上昇、下降時のガイドを行っている。
このため、リフタープレート9に、この切欠部9a、9b、9cが形成されていると、リフタープレート9上にバルブターレット6によって缶体11を載置した際に、缶体11の缶底13のリフタープレート9との接地円(直径は、d´である。)が途切れる場合があり、このような場合、缶蓋15を缶体11に巻き締める際に、シーミングチャックによる缶蓋15、缶胴12への押圧時の衝撃によって、缶体11の缶底13における変形の発生の要因となっていた。
なお、特許文献1の技術は、本発明に関連する技術ではあるものの、上記の要望に応えることはできない技術である。
【0015】
本発明は、以上のような従来の問題を解決するために提案されたものであり、缶体の缶胴径の変更に容易に対応でき、また、缶体へのダメージを防止することのできる缶蓋巻締装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の缶蓋巻締装置は、缶体に缶蓋を巻き締める缶蓋巻締装置であって、缶体の載置台と、この載置台上に回転可能に設けられ、複数のターレットポケットを有し、缶体を搬送するバルブターレットと、載置台上に設けられ、搬送される缶体をガイドするターレットガイドと、搬送された缶体を昇降させるリフタープレートとを備え、バルブターレットのターレットポケットが、缶体をガイドする回転方向側ガイド部、内側ガイド部、及び缶体を押圧すると共にガイドする缶押圧ガイド部を有し、リフタープレートの上面に、缶底に形成した凸部を収容して缶体を位置決めする溝が形成されている構成としてある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の缶蓋巻締装置によれば、缶体の缶胴径の変更があっても、新たなバルブターレット、ターレットガイド等の新規製作を不要として容易に対応でき、また、缶蓋を缶体に巻き締める際に、シーミングチャックの押圧時の衝撃による缶体の缶底における変形等のダメージを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる缶蓋巻締装置を説明するための要部の概略平面図を示している。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる缶蓋巻締装置のリフタープレートを説明するための概略拡大図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はA−A断面図を示しており、(c)はB部拡大図を示している。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる缶蓋巻締装置の動作(位置決めされた状態)を説明するための要部の概略拡大断面図を示している。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる缶蓋巻締装置の動作(搬送の良い例)を説明するための要部の概略拡大断面図を示している。
【図5】図5は、本発明の一実施形態の比較例にかかる缶蓋巻締装置の動作(搬送の好ましくない例)を説明するための要部の概略拡大断面図を示している。
【図6】図6は、従来例にかかる缶蓋巻締装置を説明するための要部の概略平面図を示している。
【図7】図7は、従来例にかかる缶蓋巻締装置のリフタープレートを説明するための概略拡大図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はC−C断面図を示している。
【図8】図8は、従来例にかかる缶蓋巻締装置の動作(位置決めされた状態)を説明するための要部の概略拡大断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[缶蓋巻締装置の一実施形態]
図1は、本発明の一実施形態にかかる缶蓋巻締装置を説明するための要部の概略平面図を示している。
また、図2は、本発明の一実施形態にかかる缶蓋巻締装置のリフタープレートを説明するための概略拡大図であり、(a)は平面図を示しており、(b)はA−A断面図を示しており、(c)はB部拡大図を示している。
図1、2において、本実施形態の缶蓋巻締装置1は、前述した従来例の缶蓋巻締装置1と同様に、搬送手段2を有し、搬送手段2が、載置台5、バルブターレット6、ターレットガイド8、及びリフタープレート9を備えている。
【0020】
なお、缶蓋巻締装置1において、従来の缶蓋巻締装置1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0021】
(バルブターレット)
本実施形態の缶蓋巻締装置1のバルブターレット6においては、このバルブターレット6のターレットポケット7は、従来例と同様に、回転方向側ガイド部7a、内側ガイド部7b及び缶押圧ガイド部7cと接する仮想円(直径は、D´である。)の内側に、缶体11が収まる。
しかしながら、缶体11が、後述するように、リフタープレート9の上面に形成された溝10によってガイドされつつ、リフタープレート9の中心に位置決めされるため、缶体11の缶胴径が変更となる場合に、従来例より大きな変更量に対応することができる。
なお、バルブターレット6の他の構成は、従来例の缶蓋巻締装置1のバルブターレット6とほぼ同様である。
【0022】
(ターレットガイド)
本実施形態の缶蓋巻締装置1のターレットガイド8においては、前述したバルブターレット6と同様に、リフタープレート9の溝10によってガイドされつつ位置決めされるため、缶体11の缶胴径が変更となる場合に、従来例より大きな変更量に対応することができる。
【0023】
(リフタープレート)
本実施形態の缶蓋巻締装置1のリフタープレート9においては、図2に示すように、リフタープレート9の上面に溝10が形成されている点が従来例と相違する(図7参照)。
すなわち、リフタープレート9は、上面に、缶底13に形成した凸部14(図3参照)を収容し、缶体11を位置決めする円環状の溝10が形成されている。
【0024】
このようにすると、バルブターレット6によって缶体11がリフタープレート9上に搬送され、缶底13に形成された凸部14が、リフタープレート9の溝10に収容されて係合するので、缶体11を精度よく位置決めすることができる。すなわち、従来例の缶蓋巻締装置1の位置決め精度は、前述したように、ターレットポケット7の仮想円の直径D´と缶体11の缶胴径d´のクリアランス(D´−d´)が1mm以下である。これに対し、リフタープレート9の上面に溝10を形成することにより、缶体11の缶胴径が変更となる場合、ターレットガイド8は、従来例より大きな変更量に対応することが可能となる。この結果、缶体11の缶胴径が変更されても、リフタープレート9の上面に載置された缶体11は、缶底13の凸部14が溝10に係合された状態となり、常に、缶体11をリフタープレート9の中心位置に載置することができる。
したがって、缶蓋15の巻き締めにおいて、シーミングロールを支持するサポートリング、またはシーミングロールの内、1stシーミングロールと缶蓋15の外周部(カール部)が当たり、巻き締め不良が発生するといった不具合を防止することができる。また、リフタープレート9上面にバルブターレット6によって缶体11を載置した際に、缶底13の円環状の凸部14とリフタープレート9との接地円(直径は、dである(図3参照)。)が、切欠部9a、9b、9cにかかり途切れることはない。これにより、缶蓋15を缶体11に巻き締める際に、シーミングチャックによる缶蓋15及び缶胴12への押圧時の衝撃が発生せず、あるいは、大幅に低減され、缶体11の缶底13におけるダメージの発生を防止することができる。
【0025】
そして、リフタープレート9の上面に形成される溝10は、外周側に、缶底13の円弧状の凸部14に対応する曲面10aを有し、内周側に、傾斜面10bを有した形状とすることが好ましい。
このようにすると、缶体11を位置決めする際、傾斜面10b及び曲面10aがガイドとして機能し、円滑に、かつ、確実に缶体11をリフタープレート9の溝10に位置決めすることができる。また、内周側の傾斜面10bによって、ガイド可能な領域が増加し、ガイドとしての性能を向上させることができる。また、缶蓋15が巻き締められた缶体11を、バブルターレット6によってリフタープレート9から排出部4へ搬送する際、溝10に収容された缶底13の凸部14が、容易に、かつ、円滑にリフタープレート9の溝10から抜け出ることができ、缶底13(凸部14を含む。)にダメージを与えるといった不具合を防止することができる。
【0026】
そして、傾斜面10bの傾斜角αは20°以上40°以下が好ましく、25°以上35°以下がより好ましく、このような傾斜角αとすることにより、缶体11の缶胴径の変化に対して、傾斜面10bのガイドとしての機能を良好に発揮でき、缶体11を円滑に、かつ、確実に位置決めすることができる。
なお、傾斜角αを20°以上40°以下とする理由は、20°未満であると、凸部13が傾斜面10b上に留まり、ガイドされないおそれがあり、40°を超えると、ガイド可能な領域が減少するからである。
【0027】
また、前述した缶底13の凸部14の円弧形状の曲率半径がrであるとき、通常、曲面10aの曲率半径はrであり、凸部14は、曲面10aとほぼ面接触する。これにより、缶体11が傾いたりしないように、缶体11を安定的に支持することができ、缶蓋15を缶体11に巻き締める際に、シーミングチャックによる缶蓋15及び缶胴12への押圧時の衝撃によって、缶体11の缶底13にダメージを与えるといった不具合を防止することができる。
なお、溝64の深さHは、通常、0.5r〜r(rは、缶底13の凸部14の円弧形状の曲率半径である。)であり、缶底13の形状などに応じて、適宜、設定される。
【0028】
尚、前述したバルブターレット6のターレットポケット7において、図4に示すように、缶押圧ガイド部7cの高さHを、回転方向側ガイド部7a及び内側ガイド部7bの高Hよりも低く、H<H(たとえば、H≒h/3)とするのが好ましい。このような構成とすることにより、バブルターレット6の缶押圧ガイド部7cによって、缶体11の下部を確実に押すことが可能となり、前述したリフタープレート9の溝10に収容された缶底13の凸部14が、容易に溝10から抜け出して、リフタープレート9から缶体11を円滑に搬送することができる。
【0029】
特に、図5に示すように、通常、前述したDR缶は、スタッキング性を付与するため、底部から上方に向かって缶胴径が大きくなるテーパとなっているので、バブルターレット6の缶押圧ガイド部7cの上部だけが缶体11と当接し、缶体11の缶底13に形成された凸部14が、リフタープレート9の溝10から抜け出ない状態で回転方向に傾いてしまい、缶体11にダメージを与えるといった不具合が発生する場合がある。このため、ターレットポケット7の缶押圧ガイド部7cの高さHを、回転方向側ガイド部7a及び内側ガイド部7bの高さHよりも低くすることにより、図5に示す不具合を効果的に防止することができる。
【0030】
次に、上記構成の缶蓋巻締装置1の動作などについて、図面を参照して説明する。
まず、上記構成の缶蓋巻締装置1は、あらかじめ、内容物(たとえば、魚肉や鶏肉など)が充填され、缶蓋15が缶胴12に仮締めされた缶体11を投入部3から載置台5に投入し、この缶体11を、載置台5上に載置された状態で、バブルターレット6のターレットポケット7に収める。
次に、バルブターレット6が、例えば45°回転し停止するといった動作を繰り返し、缶体11及び缶蓋15を搬送する。この際、缶体11は、載置台5上に載置されており、バルブターレット6が回転すると、缶押圧ガイド部7cが缶体11の缶胴12を押し、バルブターレット6のターレットポケット7に収められた状態で搬送される。
【0031】
続いて、図3に示すように、缶体11及び缶蓋15は、リフタープレート9上に載置され、この缶体11は、缶底13の凸部14がリフタープレート9の上面に形成された溝10に係合しており、この溝10によって、位置決めされる。
【0032】
そして、缶体11は、前述したようにバルブターレット6のターレットポケット7に収められた状態で、缶押圧ガイド部7cが缶体11の缶胴12と当接して押すことにより、リフタープレート9上に搬送される。そして、缶底13の凸部14がリフタープレート9の上面に形成した溝10の曲面10a及び傾斜面10bにガイドされることによって溝10に係合し、缶体11は、円滑に、かつ、確実に位置決めされた状態で、リフタープレート9上の中心位置に載置される。
尚、この場合、図2(c)に示すように、凸部14の下端部14a(直径がdの仮想円)が、少なくとも溝10(溝10の幅Δ=所定のガイド距離)に収まっている必要があり、溝10の幅Δは、通常、1mmを超え、2mm程度である。すなわち、缶胴径4mm程度の変更に対応できる。
【0033】
このように、リフタープレート9の上面に曲面10a及び傾斜面10bから成る溝10を形成することにより、缶蓋巻締装置1は、D´−d<所定のガイド距離であればよく、缶体10の胴径dが変更となり、D´−dが1mmを超える場合であっても、D´−d<所定のガイド距離という条件を満足する限り、缶蓋巻締装置1は、リフタープレート9の上面に形成した曲面10a及び傾斜面10bから成る溝10が、缶底13の凸部14をガイドしつつ溝10に係合させて、缶体11をリフタープレート9上の中心に位置決めすることができる。したがって、缶蓋巻締装置1において、胴径の変更(D´−d´(d)>1mmとなる変更)が発生しても、新たなバルブターレット、ターレットガイド等の新規製作を不要として容易に対応することができる。
また、缶蓋巻締装置1は、缶蓋15の巻き締め時において、缶底13の円環状の凸部14が、リフタープレート9上の溝10に係合するため、リフタープレート9との接地円(直径は、dである。)が、切欠部9a、9b、9cにかかり途切れることはないので、缶蓋15を缶体11に巻き締める際に、缶体11の缶底13におけるダメージの発生を防止することができる。
【0034】
次に、リフタープレート9上に載置された缶体11及び缶蓋15は、リフタープレート9によって上昇し、前述したように、巻締手段によって、缶蓋15が巻き締められ、缶蓋15が巻き締められた缶体11は、リフタープレート9によって降下する。
【0035】
続いて、バルブターレット6が回転し、缶押圧ガイド部7cが缶体11の缶胴12を押し、バルブターレット6のターレットポケット7に収められ、リフタープレート9上の缶蓋15が巻き締められた缶体11は、排出部4への排出のため搬送される。
この際、図4に示すように、缶蓋15が巻き締められた缶体11は、溝10が傾斜面10bを有することにより、溝10に収容された缶底13の凸部14が、容易に、かつ、円滑にリフタープレート9の溝10から抜け出ることができ、缶底13(凸部14を含む。)にダメージを与えるといった不具合を低減することができる。
【0036】
そして、バルブターレット6のターレットポケット7においては、前述したように、缶押圧ガイド部7cの高さ(H)を、回転方向側ガイド部7a、内側ガイド部7bの高さ(H)より低くすることにより、缶押圧ガイド部7cが缶体11の下部を確実に押し、リフタープレート9の上面に形成した溝10に収容される缶底12の凸部14が、溝10から抜け出し易くなり、缶蓋15を巻き締めた缶体11をリフタープレート9から円滑に排出することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の缶蓋巻締装置1によれば、缶体11の缶胴径dの変更に容易に対応でき、また、缶体11へのダメージを防止することができる。
【0038】
以上、本発明の缶蓋巻締装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る缶蓋巻締装置は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、缶蓋巻締装置1は、DR缶(Draw Can)である缶体11を用いる構成としてあるが、これに限定されるものではなく、様々な構成の缶に適用される。
【符号の説明】
【0039】
1 缶蓋巻締装置
2 搬送手段
3 投入部
4 排出部
5 載置台
6 バルブターレット
7 ターレットポケット
7a 回転方向側ガイド部
7b 内側ガイド部
7c 缶押圧ガイド部
7d 凹部
8 ターレットガイド
9 リフタープレート
9a 切欠部
9b 切欠部
9c 切欠部
10 溝
10a 曲面
10b 傾斜面
11 缶体
12 缶胴
13 缶底
14 凸部
15 缶蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体に缶蓋を巻き締める缶蓋巻締装置であって、
缶体の載置台と、
この載置台上に回転可能に設けられ、複数のターレットポケットを有し、缶体を搬送するバルブターレットと、
載置台上に設けられ、搬送される缶体をガイドするターレットガイドと、
搬送された缶体を昇降させるリフタープレートと
を備え、
バルブターレットのターレットポケットが、缶体をガイドする回転方向側ガイド部、内側ガイド部、及び缶体を押圧すると共にガイドする缶押圧ガイド部を有し、リフタープレートの上面に、缶底に形成した凸部を収容して缶体を位置決めする溝が形成されていることを特徴とする缶蓋巻締装置。
【請求項2】
前記溝が、外側に、前記凸部に対応する曲面を有し、内側に、傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の缶蓋巻締装置。
【請求項3】
前記傾斜面の傾斜角が、20°以上40°以下であることを特徴とする請求項2に記載の缶蓋巻締装置。
【請求項4】
前記缶押圧ガイド部の高さを、回転方向側ガイド部及び内側ガイド部よりも低くしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の缶蓋巻締装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−10108(P2013−10108A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142799(P2011−142799)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)