説明

置換4−ヒドロキシピリミジン−5−カルボキサミド

本発明は、貧血および同様の状態を治療するための、HIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤として有用な、置換4−ヒドロキシピリミジン−5−カルボキサミドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
細胞および組織への酸素の不十分な送達は、血液の酸素運搬能の欠損と定義される貧血、および血管の狭窄または閉塞に起因して血液供給が制限される虚血に、関係づけられる。貧血は、赤血球の喪失(出血)、過剰な赤血球破壊(溶血)または赤血球生成(骨髄に見られる前駆体からの赤血球の生産)の不全によって引き起こされる場合がある。貧血の症状としては、虚弱、めまい、疲労、蒼白、認知機能障害および生活の質の全般的低下を挙げることができる。慢性および/または重度貧血は、心筋、脳または末梢虚血の憎悪におよび心不全につながることがある。虚血は、組織または器官への酸素の絶対的または相対的不足と定義され、およびアテローム性動脈硬化症、糖尿病、血栓塞栓症、低血圧などの疾患の結果として生じる場合がある。心臓、脳および腎臓は、少ない血液供給により引き起こされる虚血ストレスに対してとりわけ敏感である。
【0002】
貧血の主な薬理治療は、組換えヒトエリスロポエチン(EPO)の何らかの変異体の投与である。腎臓疾患と関連づけられる貧血、化学療法誘導性貧血、HIV療法からの貧血または失血による貧血については、ホルモンの供給を増進させるために、赤血球の不足を修正するために、および血液の酸素運搬能を増大させるために、組換えEPOが投与される。EPO置換は、最適な赤血球生成を刺激するために必ずしも十分とは限らず(例えば、鉄のプロセッシングに欠陥のある患者の場合)、付随するリスクがある。
【0003】
低酸素誘導因子(HIF)は、低酸素に対する細胞応答の主要調節因子として確認されている。HIFは、高度に調節されたα−サブユニット(HIF−α)と構成的に発現されるβ−サブユニット(HIF−β;ARNT、すなわちアリール炭化水素受容体核輸送体、としても公知)とから成るヘテロ二量体遺伝子転写因子である。HIFターゲット遺伝子は、赤血球生成(例えば、エリスロポエチン(EPO)およびEPO受容体)、解糖および血管形成(例えば、血管内皮増殖因子(VEGF))の、様々な態様に関連づけられることが報告されている。鉄吸収、輸送および利用ならびにヘム合成に関与するタンパク質についての遺伝子も、HIFのターゲットである。
【0004】
正常な酸素化のもとで、HIF−αは、分子酸素との反応における基質であり、この反応は、PHD−1(EGLN2、すなわち産卵異常9ホモログ2)、PHD2(EGLN1)およびPDH3(EGLN3)と呼ばれる、鉄(II)依存性、2−ケトグルタラート依存性およびアスコルバート依存性ジオキシゲナーゼのファミリーによって触媒される。HIF−αのプロリン残基(例えば、HIF−1αのPro−402およびPro−564)は、ヒドロキシル化され、その結果として得られる生成物は、タンパク質ユビキチン化に関与するE3ユビキチンリガーゼ多タンパク質複合体の構成要素である、腫瘍サプレッサータンパク質フォン・ヒッペル・リンダウ(von−Hippel Lindau)のターゲットである。低酸素化のもとでは、HIF−αヒドロキシル化反応があまり効率的でなく、HIF−αをHIF−βとの二量体化に利用できる。HIF二量体は、細胞核に移行され、そこでHIFターゲット遺伝子の低酸素応答性エンハンサーエレメントに結合する。
【0005】
低酸素条件下でおよび低酸素模倣剤(hypoxia mimetic agent)への暴露後にHIFの細胞レベルが増加することは公知である。後者(低酸素模倣剤)としては、特定の金属イオン(例えば、コバルト、ニッケル、マンガン)、鉄キレート剤(例えば、デスフェリオキサミン)および2−ケトグルラート(2−ketoglurate)の類似体(例えば、N−オキサリルグリシン)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物は、HIFプロリルヒドロキシラーゼ(PHD−1、PHD−2、PHD−3)を阻害し、およびHIFレベルを調節する役割も果たすことができる。従って、これらの化合物は、HIF調節が望ましい疾患または状態、例えば貧血および虚血、の治療および/または予防に役立つ。組換えエリスロポエチン療法の代替として、本発明の化合物は、より簡単でより幅広い貧血管理方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害する式Iの化合物:
【化1】

、エリスロポエチンの体内生産を増進させるためのそれらの使用、およびエリスロポエチンの体内生産減少に関係づけられる状態、例えば貧血および同様の状態、を治療するためのそれらの使用、ならびにそのような化合物と製薬用担体とを含む医薬組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、式Iの化合物もしくはそれらの医薬的に許容される塩、またはそれらの立体異性体、またはその立体異性体の医薬的に許容される塩を提供する:
【化2】

【0008】
(Rは、−C1−10アルキル、−C2−10アルケニル、−C2−10アルキニルおよび−C1−6アルコキシから選択され、ここで、Rにおける前記アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシは、それぞれ、1、2または3個のR置換基で場合により置換されており;
は、ハロ、ヒドロキシルおよび−OC1−10アルキルから選択される1、2または3個の置換基で場合により置換されている、C3−8シクロアルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから選択され;
V、W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、NおよびCHから選択され、ここで、V、W、X、YまたはZは、1または2個の窒素で置換されており、およびVまたはWの少なくとも一方はNであり;ならびに
は、ハロゲン、ヒドロキシル、−C1−10アルキル、−C1−10アルケニル、−C1−10アルキニル、シアノ、オキソ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシおよび2,2,2−トリフルオロエトキシから選択される)。
【0009】
本発明の化合物の実例となる、しかし非限定的な、例は、(R)−4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミド;(S)4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミド;4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミド;またはその医薬的に許容される塩もしくは混合物である。
【0010】
1つの実施形態において、Rは、−C1−10アルキル、−C2−10アルケニルおよびC2−10アルキニルから選択され、この場合のRにおいて前記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、それぞれ、1、2または3個のR置換基で場合により置換されている。
【0011】
本発明のもう1つの実施形態において、Rは、−C1−10アルキルおよび−C1−6アルコキシから選択され、前記アルキルおよびアルコキシは、それぞれ、1、2または3個のR置換基で場合により置換されている。
【0012】
本発明のもう1つの実施形態において、Rは、1、2または3個のR置換基で場合により置換されている−C1−6アルコキシから選択される。この実施形態の変形において、Rは、メトキシである。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、Rは、ハロ、ヒドロキシルおよび−OC1−10アルキルから選択される1、2または3個の置換基で場合により置換されている、C3−8シクロアルキルである。この実施形態の変形において、C3−8シクロアルキルは、ハロ、ヒドロキシルおよび−OC1−10アルキルから選択される1、2または3個の置換基で場合により置換されている、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルから選択される。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、Rは、ハロ、ヒドロキシルおよび−OC1−10アルキルから選択される1、2または3個の置換基で場合により置換されている、C3−8ヘテロシクロアルキルである。この実施形態の変形において、Rは、モルホリノ、モルホリニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピロリジニル、ピロリジノ、ウレチジニル、オキサニル、オキソラニル、ジオキサニル、チオモルホリノ、ピラゾリジニル、ピペリジニルおよびピペラジニルから選択され、ならびにRは、ハロ、ヒドロキシルおよび−OC1−10アルキルから選択される1、2または3個の置換基で場合により置換されている。この実施形態のさらにもう1つの変形において、Rは、オキサニルである。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、Wは、Nであり、ならびにV、X、YおよびZは、それぞれ、CHである。1つの実施形態において、WおよびXは、Nである。本発明のもう1つの実施形態において、WおよびYは、Nである。本発明のもう1つの実施形態において、WおよびZは、Nである。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、Vは、Nであり、ならびにW、X、YおよびZは、それぞれ、CHである。本発明のもう1つの実施形態において、VおよびZは、Nである。本発明のもう1つの実施形態において、VおよびYは、Nである。本発明のさらにもう1つの実施形態において、WおよびXは、Nである。
【0017】
本発明のもう1つの実施形態において、WおよびVは、Nであり、ならびにX、YおよびZは、それぞれ、CHである。
【0018】
本発明の化合物、特に実施例1(式中、Rはメトキシであり、Rはオキサニルであり、W=X=N、ならびにV、YおよびZはそれぞれCHである、またはV=Z=N、ならびにW、XおよびYはそれぞれCHである)は、2009年3月9日出願の国際PCT出願PCT/US09/036501に開示されている構造的に関連性のある実施例(実施例163および実施例190)に比べて、予想外により望ましい薬物動態プロフィールを提供する。
【0019】
本明細書において用いる場合、注記のある場合を除き、「アルキル」は、すべての異性体を含めて、指定数の炭素原子を有する、分岐鎖飽和脂肪族炭化水素基と直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことを意図したものである。アルキル基について一般に用いられる略記を、本明細書をとおして用いており、例えば、メチルを「Me」もしくはCHによって表すことがあり、エチルを「Et」もしくはCHCHによって表すことがあり、プロピルを「Pr」もしくはCHCHCHによって表すことがあり、またはブチルを「Bu」もしくはCHCHCHCHによって表すことなどがある。例えば、「C1−6アルキル」(または「C−Cアルキル」)は、すべての異性体を含めて、指定数の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する。C1−6アルキルは、ヘキシルアルキルおよびペンチルアルキル異性体ならびにn−、イソ−、sec−およびt−ブチル、n−およびイソプロピル、エチルならびにメチルのすべてを含む。「C1−4アルキル」は、n−、イソ−、sec−およびt−ブチル、n−およびイソプロピル、エチルならびにメチルを意味する。
【0020】
用語「アルコキシ」は、酸素架橋によって連結している指示された数の炭素原子の線状または分岐アルキル基を表す。
【0021】
用語「C3−8シクロアルキル」(または「C−Cシクロアルキル」)は、合計3から8個の炭素原子を有するアルカンの環式環(すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル)を意味する。用語「C3−7シクロアルキル」、「C3−6シクロアルキル」、「C5−7シクロアルキル」およびこれらに類するものは、類似の意味を有する。
【0022】
用語「ハロゲン」(または「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素(代替的に、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、およびヨード(I)とも呼ばれる)を指す。
【0023】
用語「複素環(heterocycle)」(およびその語尾変化形、例えば「複素環式(heterocyclic)」または「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」)は、(i)安定な4から8員、飽和または不飽和単環式の環を指し、その環構造は、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子(例えば、1から6個のヘテロ原子または1から4個のヘテロ原子)およびバランスの炭素原子を含有し(前記単環式の環は、典型的には少なくとも1個の炭素原子を含有し、および前記環構造は、典型的には少なくとも2個の炭素原子を含有する);ならびに前記窒素および硫黄ヘテロ原子のいずれか1個以上は、場合により酸化されており、ならびに前記窒素ヘテロ原子のいずれか1個以上は、場合により四級化されている。別の指定がない限り、前記複素環式環は、結合が結果として安定な構造を生じさせるならば、いずれのヘテロ原子または炭素原子で結合していてもよい。別の指定がない限り、複素環式環が置換基を有するとき、該置換基は、結果として安定な化学構造を生じさせるならば、ヘテロ原子であろうと炭素原子であろうと、該環のいずれの原子に連結していてもよい。
【0024】
複素環式部分の非限定的な例としては、次のものが挙げられるが、それらに限定されない:カルバゾリル、カルボリニル、フラニル、イミダゾリル、インドラジニル、イソベンゾフリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル(オキサニル)、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリジニル、ピリミジル、ピロリル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、アジリジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロフリル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフリル、およびテトラヒドロチエニル。
【0025】
飽和複素環式のものは、前記複素環のサブセットを構成する;すなわち、用語「飽和複素環式」は、一般に、(単環式であろうと、多環式であろうと)環構造全体が飽和している、上で定義したとおりの複素環を指す。用語「飽和複素環式環」は、炭素原子と、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子とから成る、4から8員飽和単環式環または安定な7から12員二環式環構造を指す。代表的な例としては、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、およびテトラヒドロフリル(またはテトラヒドロフラニル)が挙げられる。
【0026】
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環内に、窒素、硫黄、酸素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1から3個のヘテロ原子、を含有する、飽和または部分飽和単環式、二環式または多環式の環を指す。各環は、好ましくは3から10員、さらに好ましくは4から7員である。適するヘテロシクロアルキル置換基の例としては、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルホリノ、1,3−ジアゼパン、1,4−ジアゼパン、1,4−オキサゼパン、および1,4−オキサチアパンが挙げられる。この基は、末端基であることがあり、または架橋基であることがある。
【0027】
ただ「非置換の」とだけもしくはただ「置換されている」とだけで別の具体的な注記がない限り、または置換基が具体的に列挙されているときを除き、シクロアルキル、アリール(フェニルを含む)および複素環(ヘテロアリールを含む)基は、非置換であり、または置換されている。本明細書で用いる場合、用語「置換C−C10シクロアルキル」、「置換アリール(フェニルを含む)」、および「置換複素環」は、その化合物の残りの部分への結合点に加えて、1から3個の置換基を含有する環式の基を包含することを意図したものである。
【0028】
特に相反する言明がない限り、「不飽和」環は、部分または完全不飽和環である。例えば、「不飽和単環式C炭素環」は、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、およびベンゼンを指す。
【0029】
特に相反する言明がない限り、本明細書に列挙するすべての範囲は、包括的である。例えば、「1から4個のヘテロ原子」を含有すると記載されている複素環は、その複素環が1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する場合があること意味する。
【0030】
本発明の化合物を描写および説明するいずれの構造においてもまたはいずれの式においても、いずれかの変数が1回より多く出現する場合、各出現時のその定義は、いずれの他の出現時におけるその定義とも無関係である。また、置換基および/または変数の組合せは、そのような組合せが結果として安定な化合物を生じさせる場合にのみ許容される。
【0031】
用語「置換されている」(例えば、「1個以上の置換基で場合により置換されているアリール」の場合)は、指名されている置換基による一および多置換を、そのような一または多置換(同じ部位での多置換を包む)が化学的に許される限り、含む。
【0032】
用語「オキシ」は、酸素(O)原子を意味する。用語「チオ」は、硫黄(S)原子を意味する。用語「オキソ」は、「=O」を意味する。用語「カルボニル」は、「C=O」を意味する。
【0033】
いずれの置換基においても、または式I〜IIIにおいて、いずれかの変数(例えば、R、Rなど)が1回より多く出現する場合、各出現時のその定義は、いずれの他の出現時におけるその定義とも無関係である。また、置換基および/または変数の組合せは、そのような組合せが結果として安定な化合物を生じさせる場合にのみ許容される。
【0034】
本開示全体をとおして用いている標準的な命名法の下では、示す側鎖の末端部分を最初に記載し、その後、隣接する官能基を結合点に向かって記載する。例えば、C1−5アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル置換基は、
【化3】

に相当する。
【0035】
本発明の化合物を選択する際、様々な置換基、すなわちR、R、Rなど、が、化学構造結合性についての周知の原理に従って選択されることは、通常の当業者には理解されるであろう。
【0036】
置換基から環構造内へ描かれている線は、示されている結合が、置換可能な環原子のいずれに連結していてもよいことを示す。環構造が多環式である場合、その結合は、もっぱら近位の環上の適する炭素原子のいずれかに連結していることが、意図されている。
【0037】
本発明化合物上の置換基および置換パターンを、通常の当業者が、化学的に安定な化合物であって、容易に入手できる出発原料から当該技術分野において公知の技術および下に示す方法によって容易に合成できる化合物を生じさせるように選択できることは、理解される。ある置換基が、それ自体、1個以上の基で置換されている場合、結果として安定な構造が生ずるならば、これら多数の基が、同じ炭素上にあってもよいし、異なる炭素上にあってもよいことは理解される。句「1個以上の置換基で場合により置換されている」は、句「少なくとも1個の置換基で場合により置換されている」と同等であると理解されるべきであり、そのような場合、1つの実施形態は、ゼロから3個の置換基を有するであろう。
【0038】
メチル基を末端とする置換基を有する化合物の構造表示は、末端メチル基を、文字「CH」、例えば「−CH」、を用いて表示することもあり、メチル基の存在を表す直線、例えば「
【化4】

」、を用いて表示することもあり、すなわち、「
【化5】

」と「
【化6】

」は、同等の意味を有する。
【0039】
反復項を有する項、例えば(CR(この場合、rは、整数2であり、Rは被定義変数であり、およびRは、被定義変数である)、を含有する変数の定義について、Rの値は、それが出現するそれぞれの事例で異なることがあり、およびRの値は、それが出現するそれぞれの事例で異なることがある。例えば、RおよびRが、メチル、エチル、プロピル、およびブチルから成る群より、独立して選択される場合には、(CRは、
【化7】

であることがある。
【0040】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
本明細書に記載する化合物は、不斉中心を含有することがあり、従って、エナンチオマーとして存在することがある。本発明による化合物が2つ以上の不斉中心を有する場合、それらは、さらに、ジアステレオマーとして存在することがある。本発明は、実質的に純粋な分割されたエナンチオマー、それらのラセミ混合物、ならびにジアステレオマーの混合物などの、可能な立体異性体すべてを含む。上記式Iは、一定の位置での明確な立体化学を伴わず示されている。本発明は、式Iのすべての立体異性体ならびにそれらの医薬的に許容される塩および溶媒和物を含む。別の具体的な論究がない限り、一方の異性体への言及は、可能な異性体のいずれにも適用される。異性体の組成が明記されていない場合は常に、すべての可能な異性体が含まれる。エナンチオマーのジアステレオ異性体ペアは、例えば、適する溶媒からの分別結晶によって分離することができ、このようにして得たエナンチオマーのペアは、従来の手段により、例えば、光学活性酸または塩基を分割剤として使用することにより、またはキラルHPLCカラムを用いて、個々の立体異性体に分離することができる。さらに、一般式Iの化合物のいずれのエナンチオマーまたはジアステレオマーも、光学的に純粋な出発原料または立体配置がわかっている試薬を使用する立体特異的合成によって得ることができる。
【0041】
本明細書に記載する化合物が、オレフィン二重結合を含有する場合、特に別の指定がない限り、そのような二重結合は、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むことを意図したものである。
【0042】
本明細書に記載する化合物の一部は、異なる水素結合点を伴って存在することがあり、これらは互変異性体と呼ばれる。例えば、カルボニル−CHC(O)−基を含む化合物(ケト型)は、互変異性を受けて、ヒドロキシル−CH=C(OH)−基(エノール型)になることがある。ケト型とエノール型の両方が、個々に、ならびにそれらの混合物として、本発明の範囲内に含まれる。
【0043】

医薬的に許容される塩は、金属(無機)塩と有機塩の両方を含み;これらのリストは、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,17th Edition、pg.1418(1985)、に与えられている。適切な塩形態が、物理および化学的安定性、流動性、吸湿性(hydro−scopicity)および溶解度に基づいて選択されることは、当業者に周知である。用語「医薬的に許容される塩」は、医薬的に許容される非毒性の塩基または酸から調製される塩を指す。本発明の化合物が酸性であるとき、その対応する塩を無機塩基または有機塩基から適便に調製することができる。そのような無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二銅および第一銅)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二マンガンおよび第一マンガン)、カリウム、ナトリウム、および亜鉛およびこれらに類するものの塩が挙げられる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウム塩が好ましい。有機塩基から調製される塩としては、自然に存在する源および合成の源、両方から誘導される、第一級、第二級および第三級アミンの塩が挙げられる。塩を形成することができる医薬的に許容される有機非毒性塩基としては、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンおよびこれらに類するものが挙げられる。
【0044】
本発明の化合物が塩基性である場合、その対応する塩を無機または有機酸から適便に調製することができる。そのような酸としては、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸およびこれらに類するものが挙げられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、および酒石酸が好ましい。
【0045】
溶媒
本発明は、その範囲内に、式Iの化合物の溶媒和物を含む。本明細書で用いる場合、用語「溶媒和物」は、溶質(すなわち、式Iの化合物)またはその医薬的に許容される塩と、該溶質の生物活性に干渉しない溶媒とによって形成される、可変化学量論比の複合体を指す。溶媒の例としては、水、エタノール、および酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒が水であるとき、その溶媒和物は、水和物として公知であり;水和物としては、半−、一、セスキ−、二−、および三水和物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
プロドラッグ
本発明は、その範囲内に、本発明の化合物のプロドラッグの使用を含む。一般に、そのようなプロドラッグは、本発明の化合物の官能性誘導体であって、所望の化合物へインビボで容易に変換可能なものであろう。従って、本発明の治療方法において、用語「投与すること」は、記載する様々な状態の、式Iの化合物での、または式Iの化合物でないことがあるが、患者への投与後にインビボで式Iの化合物に変換する化合物での、治療を含むものとする。適するプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来の手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、ed.H.Bundgaard、Elsevier、1985、に記載されている。
【0047】
有用性
本発明の化合物は、低酸素誘導性因子(HIF)プロリルヒドロキシラーゼの阻害剤であり、それ故、HIF調節が望ましい疾患および状態、例えば貧血および虚血、の治療および予防において有用である。選択的で管理された方法で本発明の化合物を使用して、低酸素誘導性因子の安定化を誘導すること、ならびにエリスロポエチン産生および分泌を迅速かつ可逆的に刺激することができる。従って、本発明のもう1つの態様は、哺乳動物における疾患または状態を治療または予防する方法を提供し、この治療または予防は、HIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害によって果たされるまたは助長されるものであり、この方法は、HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害するために有効である式Iの化合物の量を投与することを含む。本発明のこの態様は、HIFプロリルヒドロキシラーゼによって変調される疾患または症状を治療または予防するための薬物の製造における式Iの化合物に使用をさらに含む。
【0048】
1つの実施形態には、哺乳動物におけるエリスロポエチンの内因産生を増進させる方法があり、この方法は、エリスロポエチンの体内産生を増進させるために有効である式Iの化合物の量を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0049】
もう1つの実施形態は、哺乳動物における貧血を治療する方法であり、この方法は、式Iの化合物の治療有効量を前記哺乳動物に投与することを含む。「貧血」としては、慢性腎疾患性貧血、化学療法誘発性貧血(例えば、HIVおよびC型肝炎ウイルスなどの感染性疾患、のための抗ウイルス薬レジメンの結果として生ずる貧血)、慢性疾患からの貧血、癌状態に関連づけられる貧血、癌の放射線治療の結果として生ずる貧血、慢性免疫障害、例えば関節リウマチ、炎症性腸疾患および狼瘡、からの貧血、ならびに月経による、または老化にからの、または鉄のプロセッシングに欠陥がある他の個体、例えば鉄を十分にもっているが鉄を適切に利用することができない個体、における貧血が挙げられる。
【0050】
もう1つの実施形態は、哺乳動物における虚血性疾患を治療する方法であり、この方法は式Iの化合物の治療有効量を前記哺乳動物に投与することを含む。
【0051】
併用療法
式Iの化合物を、式Iの化合物が有効である疾患または状態の治療/予防/抑制または改善において使用される他の薬物と、併用することができる。そのような他の薬物を、それらが一般に使用される経路によりおよび量で、式Iの化合物と同時にまたは逐次的に投与することができる。式Iの化合物を1つ以上の他の薬物と同時に使用するとき、そのような他の薬物を式Iの化合物に加えて含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分も含有するものを含む。
【0052】
投与経路/用量
本発明の化合物は、本発明による苦痛、疾患および疾病の治療または予防のために、活性成分化合物と温血動物の身体の作用部位とを接触させる任意の手段によって投与することができる。例えば、投与は、経口投与、局所投与(経皮投与を含む)、眼投与、口腔内投与、鼻腔内投与、吸入投与、膣内投与、直腸内投与、槽内投与および非経口投与である場合がある。本明細書において用いる場合の用語「非経口的」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内注射もしくは注入、胸骨内および腹腔内を含む投与方式を指す。本開示に関連して、温血動物は、恒常性メカニズムをもつ動物界のメンバーであり、哺乳類および鳥類を含む。
【0053】
前記化合物は、医薬との併用に利用できる任意の従来の手段により、個々の治療薬として、または治療薬の合剤で投与することができる。それらを単独で投与することができるが、一般には、選ばれる投与経路および標準的な薬務に基づいて選択される製薬用担体とともに投与される。
【0054】
投与される用量は、レシピエントの年齢、健康状態および体重、疾患の程度、併用療法の種類(あれば)、治療の頻度、および所望の効果の性質に依存するであろう。通例、活性成分化合物の日用量は、1日あたり約0.1〜2000ミリグラムであろう。通常、1回以上の適用で1日あたり10から500ミリグラムが、所望の結果を得るために有効である。これらの用量は、上記記載の苦痛、疾患および疾病、例えば貧血、の治療および予防のための有効量である。
【0055】
医薬組成物
本発明のもう1つの態様は、式Iの化合物と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物におけるような用語「組成物」は、活性成分(単数または複数)と、担体を構成する不活性成分(単数または複数)(医薬的に許容される賦形剤)とを含む生成物ばかりでなく、任意の2つ以上の成分の会合、複合体化もしくは凝集の結果として、または1つ以上の成分の解離の結果として、または1つ以上の成分の別のタイプの反応もしくは相互作用の結果として、直接もしくは間接的に生ずる任意の生成物も包含することを意図したものである。従って、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物と追加の活性成分(単数または複数)と医薬的に許容される賦形剤とを混合することによって作られた、任意の組成物を包含する。
【0056】
本発明の医薬組成物は、活性成分としての、式Iによって表される化合物(またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物)と、医薬的に許容される担体と、場合により他の治療成分もしくはアジュバントとを含む。前記組成物は、経口投与、直腸内投与、局所投与および非経口投与(皮下投与、筋肉内投与および静脈内投与を含む)に適する組成物を含むが、いずれの所与の場合においても、最も適する経路は、個々の宿主に、ならびに活性成分を投与することとなる状態の性質および重症度に依存するであろう。前記医薬組成物を単位剤形で適便に与えることができ、および薬学技術分野において周知の任意の方法によって調製することができる。
【0057】
活性成分を、固体剤形、例えばカプセル、錠剤、トローチ、糖衣丸、顆粒および粉末、で、または液体剤形で、例えばエリキシル、シロップ、エマルジョン、分散液および懸濁液、で、経口投与することができる。活性成分を、滅菌液体剤形、例えば分散液、懸濁液または溶液、で、非経口投与することもできる。局所投与のための軟膏、クリーム、滴剤、経皮パッチもしくは粉末のような、眼投与のための眼科用溶液もしくは懸濁製剤、すなわち点眼剤、のような、吸入もしくは鼻腔内投与のためのエアロゾルスプレーもしくは粉末組成物のような、または直腸内もしくは膣投与のためのクリーム、軟膏、噴霧剤もしくは坐剤のような、他の剤形も、活性成分を投与するために使用することができる。
【0058】
ゼラチンカプセルは、活性成分および粉末担体、例えばラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびこれらに類するもの、を含有する。類似の希釈剤を使用して、圧縮錠剤を作ることができる。錠剤も、カプセルも、一定時間にわたる薬物の継続的放出を生じさせる徐放性製品として製造されることがある。圧縮錠剤は、一切の不快な味をマスクするためにおよびその錠剤を雰囲気から保護するために糖衣が施されるもしくはフィルムコートされることがあり、または胃腸管内での選択的溶解のために腸溶コートされることがある。
【0059】
経口投与のための液体剤形は、患者の受容を増すために着色剤および着香剤を含有することがある。
【0060】
一般に、水、適する油、食塩水、水性デキストロース(グルコース)、ならびに関連糖溶液およびグリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール、は、非経口溶液に適する担体である。非経口投与のための溶液は、好ましくは、活性成分の水溶性塩、適する安定剤および、必要な場合には、緩衝物質を含有する。単独または併用いずれかでの抗酸化物質、例えば重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸、は、適する安定剤である。クエン酸およびその塩ならびにナトリウムEDTAも使用される。加えて、非経口溶液は、保存薬、例えばベンズアルコニウムクロリド、メチル−またはプロピルパラベン、およびクロロブタノール、を含有することがある。
【0061】
適する製薬用担体は、本分野の標準的な参考テキストである、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、A.Osolに記載されている。
【0062】
吸入による投与のために、本発明の化合物を、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で適便に送達することができる。調合することができる粉末として前記化合物を送達することができ、吹入粉末吸入装置を使ってその粉末組成物を吸入することができる。吸入のための好ましい送達系は、定量噴霧式吸入(MDI)エアロゾルであり、これは、適する噴射剤、例えばフルオロカーボンまたは炭化水素、中の式Iの化合物の懸濁液または溶液として調合することができる
眼投与については、適切な眼科用ビヒクル中の式Iの化合物の適切な重量パーセントの溶液もしくは懸濁液を用いて、該化合物を眼の角膜または内部領域に浸透させるために十分な時間、該化合物が眼表面と接触した状態で維持されるように、眼科用製剤を調合することができる。
【0063】
本発明の化合物の投与に有用な医薬剤形としては、硬および軟ゼラチンカプセル、錠剤、非経口注射剤、および経口懸濁剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
標準的な2ピース硬ゼラチンカプセルの各々に、100ミリグラムの粉末活性成分、150ミリグラムのラクトース、50ミリグラムのセルロースおよび6ミリグラムのステアリン酸マグネシウムを充填することによって、多数の単位カプセルを調製する。
【0065】
可消化油、例えば大豆油、綿実油またはオリーブ油、中の活性成分の混合物を調製し、容積式ポンプによってゼラチンに注入して、100ミリグラムの活性成分を含有する軟ゼラチンカプセルを形成する。カプセルを洗浄し、乾燥させる。
【0066】
多数の錠剤を、従来の方法により、投薬単位が100ミリグラムの活性成分、0.2ミリグラムのコロイド状二酸化ケイ素、5ミリグラムのステアリン酸マグネシウム、275ミリグラムの微結晶性セルロース、11ミリグラムのデンプンおよび98.8ミリグラムのラクトースとなるように調製する。適切な被覆剤を塗布して、美味性を増すことまたは吸収を遅らせることができる。
【0067】
1.5重量%の活性成分を10容量%のプロピレングリコール中で攪拌することにより、注射による投与に適する非経口組成物を調製する。この溶液を注射用蒸留水で嵩増しし、滅菌する。
【0068】
経口投与のために、水性懸濁液を、各5ミリリットルが100ミリグラムの微粉活性成分、100ミリグラムのカルボキシメチルセルロースナトリウム、5ミリグラムの安息香酸ナトリウム、1.0グラムのソルビトール溶液、U.S.P.、および0.025ミリリットルのバニリンを含有するように調製する。
【0069】
本発明の化合物を段階的にまたは別の治療薬と併用で投与するとき、一般に、同じ剤形を使用することができる。薬物を物理的併用で投与するとき、併用する薬物の相溶性に依存して剤形および投与経路を選択すべきである。従って、用語「併用投与」は、2つの薬剤の同時もしくは逐次的投与、または代替的に、2つの活性成分の固定用量合剤としての投与を含むと解する。
【0070】
本発明の化合物を単独の活性成分として投与することができ、または患者のエリスロポエチンレベルの改善に有用であることが公知の他の活性成分をはじめとする第2の活性成分と併用で投与することができる。
【0071】
本発明の化合物の調製の説明において用いる略記:
AcOH 酢酸
aq 水性の
ブライン 塩化ナトリウム飽和水溶液
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
CO 一酸化炭素
DCM ジクロロメタン
Dppf 1,1’’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DIEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
Et(et) エチル
EtOH エタノール
EtOまたはエーテル ジエチルエーテル
g グラム
hまたはhr 時間
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスファート
HCl 塩酸
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
i−PrOHまたはIPA イソプロピルアルコール
m−CPBA 3−クロロ過安息香酸
mg ミリグラム
mL ミリリットル
mmol ミリモル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
msまたはMS 質量スペクトル
MTBE メチルtert−ブチルエーテル
μg マイクログラム(単数または複数)
μL マイクロリットル
NaHSO 重硫酸ナトリウム
NaOEt ナトリウムエトキシド
NaOMe ナトリウムメトキシド
NaSO 硫酸ナトリウム
NHCl 塩化アンモニウム
NHOH 水酸化アンモニウム
PPTS ピリジニウム・p−トルエンスルホナート
保持時間
rt 室温
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0072】
一般法
湿分または空気に敏感な反応は、無水溶媒および試薬を用いて窒素下で行なった。E.MerckのTLC用プレコートプレート、シリカゲル60F−254、層厚0.25mmを用いて行なう分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)、または液体クロマトグラフィー−質量スペクトル(LC−MS)、いずれかによって、反応の進行を判定した。分析用HPLC/MS−標準法:質量分析は、Waters Micromass(登録商標)ZQ(商標)により、陽イオン検出モードでのエレクトロスプレーイオン化を用いて行った。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Agilent 1100シリーズHPLCにより、Waters C18 XTerra 3.5μm 3.0×50mmカラムを用いて、3.75分にわたって勾配10:90〜100 v/v CHCN/HO+v0.05%TFA、その後、1.75分間、100 CHCN+v0.05%TFAで保持;流量1.0mL/分、UV波長254nmで行った(別の指示がない限り、すべてのHPLC/MSデータをこの方法で生成した)。分析用HPLC/MS−基本法:質量分析は、Waters Micromass(登録商標)ZQ(商標)により、陽イオン検出モードでのエレクトロスプレーイオン化を用いて行った。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Agilent 1100シリーズHPLCにより、Waters C18 XBridge 3.5μm 3.0×50mmカラムを用いて、3.25分にわたって勾配10:90〜98:2 v/v CHCN/HO+v0.025%NHOH、その後、2.25分間、98:2 CHCN+v0.025%NHOHで保持;流量1.0mL/分、UV波長254nmで行った。溶液の濃縮は、ロータリーエバポレータにより減圧下で行なった。フラッシュクロマトグラフィーは、充填済みカートリッジでのシリカゲル(32〜63μM 粒径、KP−Sil60Å充填材タイプ)を用いるBiotage HorizonもしくはSP1フラッシュクロマトグラフィー装置(Dyax Corp.)を使用して、または充填済みカートリッジでのシリカゲル(32〜63μM、60Å)を用いるISCO CombiFlash(商標)Sq 16xもしくはCombiFlash(登録商標)Companion(商標)装置を使用して、行った。マイクロ波反応は、Biotage Iniciator(商標)2.0またはCEM Discover(商標)システムを用いて行なった。
【0073】
中間体1
【化8】

【0074】
2−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−3−カルボニトリル。DCM(30mL)中のピリダジン(1.807mL、24.98mmol)、塩化アルミニウム(0.010g、0.075mmol)およびシアン化トリメチルシリル(6.03mL、45.0mmol)の溶液を窒素雰囲気下、0℃で20分間攪拌した。DCM(60mL)中のp−トルエンスルホニルクロリド(8.19g、43.0mmol)の溶液を1時間かけて1滴ずつ添加した。その反応物を室温に温め、さらに65時間攪拌して濃縮した。残留物をEtOH(50mL)で処理し、得られた固体を濾過して表題化合物を得た。HPLC/MS:262.1(M+1);R=2.51分。
【0075】
中間体2
【化9】

【0076】
ピリダジン−3−カルボニトリル。THF(50mL)中の中間体1の生成物(4.98g、19.06mmol)にDBU(3.59mL、23.82mmol)を添加した。その反応物を室温、窒素雰囲気下で1時間攪拌した。NHCl飽和水溶液(50mL)を添加し、その反応物を水(50mL)に注入した。水性媒体をEtOAcで抽出し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。残留物を、0〜50%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲル勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を得た。HPLC/MS:106.2(M+1);R=0.38分。
【0077】
中間体3
【化10】

【0078】
アミノ(ピリダジン−3−イル)メタンイミニウム・クロリド。MeOH(10mL)中の中間体2の生成物(1.7g、16.18mmol)にナトリウムメトキシド(0.370mL、1.618mmol、MeOH中25重量%)を添加した。その反応物を一晩、室温で攪拌し、そのときに塩化アンモニウム(0.952g、17.79mmol)を添加した。反応物を2.5時間還流させ、室温に冷却し、MeOHで希釈し、濃縮して、表題化合物を得た。HPLC/MS:123.1(M+1);R=0.34分。
【0079】
中間体4
【化11】

【0080】
4−ヒドロキシ−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボン酸。EtOH(8.0mL)中の中間体3の生成物(0.500g、3.15mmol)に、エトキシメチレンマロン酸ジエチル(0.637mL、3.15mmol)およびナトリウムメトキシド(0.793mL、3.47mmol、MeOH中25重量%)を添加した。その反応物を10分間、120℃で、マイクロウェーブで加熱した。追加のエトキシメチレンマロン酸ジエチル(0.319mL、1.576mmol)を添加し、その反応物を10分間、120℃で、マイクロウェーブで加熱した。水酸化カリウム(4.73mL、9.46mmol、2.0M)を添加し、その反応物を10分間、120℃で、マイクロウェーブで加熱した。反応物を水で希釈し、濃縮した。残留物を最少量の水に溶解し、EtOAcで抽出した。濃HCl水溶液を使用して水性層をpH=2に調整し、15分間攪拌した。固体を濾過し、水およびヘキサンですすいで、表題化合物を得た。HPLC/MS:219.0(M+1);R=0.28分(基本法)。
【実施例1】
【0081】
【化12】

【0082】
(R)−または(S)−4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミド(E−1)
【化13】

【0083】
工程A:(R)−N−[(1E)−(6−メトキシピリジン−3−イル)メチレン]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(A−1)
6−メトキシニコチンアルデヒド、(a−1)、(20.0g、146mmol)および(R)−(+)−2−メチル−2−プロパンスルフィンアミド、(a−2)、(21.2g、175mmol)をクロロホルム(140mL)に溶解し、PPTS(1.8g、7.3mmol)、硫酸マグネシウム(17.6g、146mmol)および硫酸銅(II)(46.6g、292mmol)を添加した。その混合物を一晩、65℃に加熱した。その材料を放置して冷却し、Solka Flocパッドによって濾過し、真空下で濃縮した。その材料を、ヘキサン中の0〜40%EtOAcで溶出するシリカゲル勾配でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、生成物(1−A)を得た。HPLC/MS:241.0(M+1);R=2.84分。
【0084】
工程B:(R)−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−メチルプロパン−2−スルフィンアミド(B−1)
Mg(10.6g、438mmol)をTHF(160mL)に分散させ、Iの結晶1個および1,2−ジブロモエタン(0.25mL)を添加した。THF(50mL)に溶解した4−クロロテトラヒドロ−2H−ピランを1滴ずつ添加し、その混合物を70℃で1.5時間加熱した。その溶液を0℃に冷却し、工程Aからの生成物をトルエン中の溶液(100mL)として1滴ずつ添加した。反応を室温で2時間熟成させ、その混合物を、MTBEで溶出しながら濾過した。飽和NHCl(水溶液)で反応を停止させ、EtOAcで2回抽出した。有機層を併せ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた油を、100%EtOAcからEtOAc中8%MeOHで溶出するシリカゲル勾配でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、所望の遅く溶出するジアステレオマー、(B−1)を得た。HPLC/MS:327.1(M+1);R=2.31分。シリカゲルにより速く溶出する異性体(B−2)も単離した。HPLC/MS:327.1(M+1);R=2.15分。
【0085】
工程C:(R)または(S)1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メタンアミン・塩酸塩(C−1)
工程Bからの遅く溶出するジアステレオマー、(B−1)、(14.7g、44.9mmol)をDCM(100mL)およびMeOH(100mL)に溶解し、ジオキサン中のHCl(2M、33.7mL、67.3mmol)を、温度を35℃未満に保つように、ゆっくりと添加した。その反応物を室温で1時間攪拌し、追加のHCl(3mL)を添加した。反応物をさらに30分攪拌し、HCl(3mL)を再び添加した。その反応物を最後にもう30分攪拌し、その材料を濃縮して生成物を得た。HPLC/MS:223.0(M+1);R=0.65分。
【0086】
工程D:(R)または(S)4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミド(E−1)
中間体4(4−ヒドロキシ−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボン酸)(8.8g、40.3mmol)をNMP(45mL)に溶解し、TEA(11.2mL、81mmol)を添加し、そのスラリーを15分間、室温で熟成させた。CDI(7.2g、44.4mmol)を添加し、その反応物を70℃で1時間加熱した。その高温溶液に、工程Cからの固体アミン生成物、(C−1)、を一度に添加し、加熱をさらに4時間継続し、その反応物を一晩放置して室温にした。その混合物を水およびTEA(7.6mL、40.5mmol)で希釈し、水性層をEtOAcで2回抽出した。得られた水性部分を、HCl(2M、水溶液)を使用してpH約5.5にし、CHClで2回抽出した。
【0087】
併せたCHCl部分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。その生成物を次のように分取HPLC/MSによって精製した:質量分析は、Waters Micromass(登録商標)ZQ(商標)により、陽イオン検出モードでのエレクトロスプレーイオン化を用いて行った。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Waters分取HPLCシステムにより、Waters C18 XBridge 5μm 50×100mmカラムを用いて、11分にわたって勾配10:90〜22:78 v/v CHCN/HO(NHOHでpH=10);流量100mL/分、UV波長210〜400nmで行った。所望の画分を濃縮して表題化合物を得た。HPLC/MS:423.1(M+1);R=2.01分。H NMR(500MHz,DMSO−d):δ 10.87(d,J=8.41Hz,1H);9.35(dd,J=4.96,1.65Hz,1H);8.58(s,1H);8.39(dd,J=8.55,1.65Hz,1H);8.10(d,J=2.40Hz,1H);7.86(dd,J=8.56,4.98Hz,1H);7.64(dd,J=8.57,2.47Hz,1H);6.80(d,J=8.55Hz,1H);4.84(t,J=8.18Hz,1H);3.87(dd,J=11.41,3.98Hz,1H);3.89−3.71(m,4H);3.38−3.28(m,+HO);2.03−1.95(m,1H);1.64(d,J=13.08Hz,1H);1.32−1.22(m,4H)。
【0088】
比較例
実施例1(E−1)の薬物動態を評価し、実施例163および実施例190のもの(両方とも、2009年3月9日出願の国際PCT出願番号PCT/US09/036501に開示されている)と比較した。PEG200:水の(体積で)1:1の溶液で化合物を調合し、0.5mg/(体重のkg)で投与した。調合物を2匹のイヌ(ビーグル犬)に静脈内投与し、次の時点(時間)で採血した:0.08、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24。下の表に示す血漿濃度は、タンパク質沈殿、その後の液体クロマトグラフィー−タンデム質量分光分析によって決定した。
【表1】

【0089】
式中のRがテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルであり、およびRがメトキシである、本発明の実施例は、PCT/US09/036501の実施例190に比べて13.5倍速い固有クリアランスと、付随する平均停留時間(MRT)および半減期(t1/2)減少を有するという、予期せぬ利点を示す。より速いクリアランスは、薬物が循環から除去されるのにかかる時間を減少させること(これは、患者が有害事象を経験する可能性を減少させるであろう)により、化合物の安全性プロフィールを向上させる。
【0090】
PCT/US09/036501の他の実施例(実施例163)は、投与の24時間後、増加し続ける血漿濃度を示した。この好ましくないタイプの薬物動態プロフィールは、用量蓄積の可能性を暗示するものであり得、その化合物の安全な投与を複雑にし得る。本発明の実施例1(E−1)は、これらの薬物動態的態様の改善を示す。
【0091】
生物学的アッセイ
例示化合物(本発明の実施例1)は、PHD2とHIFペプチドとの相互作用を阻害すること、および0.1ナノモルから10マイクロモルの間にわたるIC50値を示すことが判明した。好適な活性を検出するために有用であり得るアッセイの非限定的な例は、次の出版物に開示されている:Oehme,F.ら、「Anal.Biochem.」、330:74−80(2004);Hirsila,M.ら、「J.Bio.Chem.」、278(33):30772−30780(2005);Hyunju,C.ら、「Biochem.Biophys.Res.Comm.」、330(2005)275−280;およびHewitson,K.S.ら、「Methods in Enzymology」(Oxygen Biology and Hypoxia);Elsevier Publisher(2007)、pg.25−42(ISSN:0076−6879)。
【0092】
本発明の化合物の生物学的活性は、本明細書において下で説明するアッセイを用いて評価することができる:
96ウェルプレートの各ウェルに、DMSO中の1μLの被験化合物と、バキュロウイルス感染Sf9細胞において発現されそこから精製した0.15μg/mL FLAGタグ付き完全長PHD2を含有する20μLのアッセイバッファー(50mM Tris pH7.4/0.01% Tween−20/0.1mg/mL ウシ血清アルブミン/10μM 硫酸第一鉄/1mM アスコルビン酸ナトリウム/20μg/mL カタラーゼ)とを添加した。室温で30分間のプレインキュベーション後、4μLの基質の添加により酵素反応を開始させた(0.2μM 2−オキソグルタラートおよび0.5μM HIF−1αペプチドビオチニル−DLDLEMLAPYIPMDDDFQLの最終濃度)。室温で2時間後、25μLのクエンチ/検出ミックスを添加して、1mM オルト−フェナントロリン、0.1mM EDTA、0.5nM 抗(His)LANCE試薬(Perkin−Elmer Life Sciences)、100nM AF647標識ストレプトアビジン(Invitrogen)、および2μg/mL (His)−VHL複合体(S.Tan(2001)「Protein Expr.Purif.」21、224−234)の最終濃度にすることによって、反応を停止させ、シグナルを発生させた。665nmでの時間分解蛍光シグナルと620nmでの時間分解蛍光シグナルの比を決定し、並行して実行した非阻害対照サンプルに対する阻害パーセントを計算した。
【0093】
HIF−PHD1およびHIF−PHD3の触媒活性の阻害を、同様に決定することができる。
【0094】
実施例1に開示する本発明の化合物についての、IC50(nM)で表す、PDH2結合活性は、≦10nMであることが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物もしくはその医薬的に許容される塩、またはその立体異性体、またはその立体異性体の医薬的に許容される塩:
【化1】

(Rは、−C1−10アルキル、−C2−10アルケニル、−C2−10アルキニルおよび−C1−6アルコキシから選択され、ここで、Rにおける前記アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシは、それぞれ、1、2または3個のR置換基で場合により置換されており;
は、ハロ、ヒドロキシルおよび−OC1−10アルキルから選択される1、2または3個の置換基で場合により置換されている、C3−8シクロアルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから選択され;
V、W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、NおよびCHから選択され、ここで、V、W、X、YまたはZは、1または2個の窒素で置換されており、およびVまたはWの少なくとも一方はNであり;ならびに
は、ハロゲン、ヒドロキシル、−C1−10アルキル、−C1−10アルケニル、−C1−10アルキニル、シアノ、オキソ、C2−6−ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシおよび2,2,2−トリフルオロエトキシから選択される)。
【請求項2】
が、−C1−10アルキルおよび−C1−6アルコキシから選択され、前記アルキルおよびアルコキシが、それぞれ、1、2または3個のR置換基で場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、−C1−6アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、場合により置換されているC3−8シクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、場合により置換されているC3−8ヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
3−8シクロアルキルが、ハロ、ヒドロキシルおよび−OC1−10アルキルから選択される1、2または3個の置換基でそれぞれ場合により置換されている、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルから選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
前記C3−8ヘテロシクロアルキルが、ハロ、ヒドロキシルおよび−OC1−10アルキルから選択される1、2または3個の置換基でそれぞれ場合により置換されている、モルホリノ、モルホリニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピロリジニル、ピロリジノ、ウレチジニル、オキサニル、オキソラニル、ジオキサニル、およびチオモルホリノ、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルから選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
3−8ヘテロシクロアルキルが、オキサニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
(R)−4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミド;(S)4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミド;4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミドから選択される化合物、またはそれらの医薬的に許容される塩。
【請求項10】
(R)−4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミドである請求項9に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
(S)−4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミドである請求項9に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
4−ヒドロキシ−N−[(6−メトキシピリジン−3−イル)(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル]−2−ピリダジン−3−イルピリミジン−5−カルボキサミド;またはその医薬的に許容される塩から選択される化合物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、またはその立体異性体、またはその立体異性体の医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項14】
エリスロポエチンの体内生産の増進に有効である量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、またはその立体異性体、またはその立体異性体の医薬的に許容される塩、を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物におけるエリスロポエチンの体内生産を増進させる方法。
【請求項15】
有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩、またはその立体異性体、またはその立体異性体の医薬的に許容される塩、を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における貧血の予防または治療のための方法。
【請求項16】
HIFプロリルヒドロキシラーゼによって媒介される状態の治療のための薬物の製造における、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物、の使用。

【公表番号】特表2012−532127(P2012−532127A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518547(P2012−518547)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/039289
【国際公開番号】WO2011/002623
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】