説明

美容または治療方法および装置

光若返り、しわ除去、創傷治癒および/または疼痛軽減の方法が、略610−680nmの範囲内、かつ好ましくは約630nmに最大強度を有し、または略800−880nmの範囲内、かつ好ましくは約830nmの最大強度を有する波長の光による照射を含む。光若返りの方法が、略550−600nmの範囲内、かつ好ましくは約585nmの最大強度を有する波長の光による照射を含む。創傷または組織損傷の治癒を促進する方法が、略405から904nmの範囲の波長内の多色放射で患部を照射する工程を含む。好ましくは、放射は、DNA/RNA合成を刺激するために、633、680、または780nmの1つもしくはそれ以上の波長で実質的な強度を有する。好ましくは、放射は、タンパク質合成を促進するために750nmの波長で実質的な強度を有する。好ましくは、放射は、細胞増殖の増大をもたらすために、890nmで実質的な強度を有する。好ましくは、放射は、線維芽細胞増殖を抑制するために、880nmの波長で実質的な強度を有する。あるいは、放射は、刺激因子の放出を強化するために、820nmおよび/または870nmで実質的な強度を有する。白斑などの色素脱失皮膚疾患を治療する方法が、低強度の紫外線放射で患者の皮膚の脱色部分を照射する工程を含む。好ましくは、低強度の紫外線放射は、365、400−420、および434nmの少なくとも1つの波長で実質的な強度を有する。好ましくは、放射は、約630nmまたは760nmの波長で実質的な強度をも有する。放射は、光を放射するように配置されたディスクリート発光ダイオードのアレイによって供給されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、光感作物質を用いてまたは用いずに、光を使用し、特に、但し限定されないが、発光ダイオード(LED)を使用する美容または治療方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
US2003/0004499号は、創傷治癒およびしわ除去のためのLEDの使用を開示している。
【0003】
EP−A−0320080号は、生物刺激のためのLEDの使用を開示している。
【0004】
米国特許第6602275号は、疼痛の緩和および治癒のためのLEDの使用を開示している。
【0005】
WO95/19809号パンフレットおよびWO95/19810号パンフレットは、第1の期間中にパルス赤外光を、第2の期間中に赤色光を放出する発光要素によって創傷および痛みを治癒するためのデバイスを開示している。この文献によれば、治療は赤外光の後に可視光の順で行われることがきわめて重要である。発光要素は、ディスクリート赤外および赤色発光ダイオードを含む。ある実施例において、赤色放射は660nmであり、赤外放射は950nmである。
【0006】
創傷修復、組織修復を強化し、かつ/または光若返り治療およびしわの軽減など美容上の皮膚科治療のための改善された治療の方法、およびかかる方法において使用するためのデバイスを獲得することが望ましいであろう。
【0007】
疼痛の管理のための改善された治療の方法、およびかかる方法において使用するためのデバイスを獲得することも望ましいであろう。
【0008】
色素脱失皮膚疾患のための改善された治療の方法、およびかかる方法において使用するためのデバイスを獲得することも望ましいであろう。
【0009】
白斑など一部の色素脱失皮膚疾患は、表皮からのメラニン細胞の喪失によって特徴づけられるが、これは結果としてメラニンの欠乏、すなわち色素脱失をもたらす。白斑の問題は、小児、成人、および妊婦において耐容性良好な、かつ色素脱失の進行を停止する治療が存在すれば本質的に解決されるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の説明
本発明の第1の態様によれば、略610−680nmの範囲内、かつ好ましくは約630nmの最大強度を有する波長の光で患部を照射することによる光若返り治療、しわ除去、および/または創傷治癒の方法が提供される。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、略800−880nmの範囲内、かつ好ましくは約830nmの最大強度を有する波長の光で患部を照射することによる光若返り、しわ除去、創傷治癒および/または疼痛軽減の方法が提供される。
【0012】
第1または第2の態様によれば、放射の強度は、0.1−1000mW/cmの範囲、好ましくは1−100mW/cmの範囲内でありうる。総光線量は、0.1−200J/cmの範囲、かつ好ましくは0.5−100J/cmの範囲内でありうる。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、略550−600nmの範囲内、かつ好ましくは約585nmの最大強度を有する波長の光で患部を照射することによる光若返りの方法が提供される。これは、575nm−585nmでのヘモグロビンの強い吸収帯域と一致した波長を有する光を用いることによってエネルギーの吸収を増大させる。エネルギーが生体マトリクスに有効に結合されると、結果として生物刺激が起こる。
【0014】
第1、第2、または第3の態様によれば、光がパルス状または連続的でありうる。
【0015】
上記の態様の各々は、内因的または体外から適用される光感作物質の有無による年代的に老化した皮膚または光により老化した皮膚の光若返りのために使用されうる。
【0016】
第1、第2、または第3の態様は、しわの除去または軽減のために使用されうる。
【0017】
第2の態様は、例えば、乾癬の光力学的治療中など他の臨床応用における疼痛効果や、負傷の結果としての疼痛の軽減または管理のためのために使用されうる。
【0018】
第1または第2の態様は、損傷組織の治癒のために、スポーツ関連負傷の治療のために、または皮膚潰瘍の治療のために使用されうる。
【0019】
上記の態様の各々は、動物、特にヒトまたはヒト以外の哺乳動物を治療するために使用されうる。
【0020】
本発明の第4の態様によれば、略405から904nmの波長範囲内の多色放射で患部を照射することによって創傷または組織損傷の治癒を促進する方法が提供される。好ましくは、放射は、DNA/RNA合成を刺激するために、633、680、または780nmの1つもしくはそれ以上の波長で実質的な強度を有する。好ましくは、放射は、タンパク質合成を促進させるために750nmの波長で実質的な強度を有する。好ましくは、放射は、細胞増殖の増大をもたらすために、890nmでの実質的な強度を有する。好ましくは、放射は、線維芽細胞増殖を抑制するために、880nmの波長で実質的な強度を有する。あるいは、放射は、刺激因子の放出を強化するために、820nmおよび/または870nmで実質的な強度を有する。
【0021】
本発明の第5の態様によれば、低強度の紫外線放射および/または赤色光で患者の皮膚の脱色部分を照射することによって、白斑など色素脱失皮膚疾患を治療する方法が提供される。好ましくは、低強度の紫外線放射は、365、400−420(好ましくは404)、および434nmの少なくとも1つの波長で実質的な強度を有する。好ましくは、赤色放射は、約630nmまたは760nmの波長で実質的な強度を有する。
【0022】
上記の態様のいずれかによれば、光を放射するように配置された発光ダイオードのアレイを含む、方法を実行するための光源が提供されうる。
【0023】
好ましくは、光源は複数のアレイを含み、複数のアレイの構成は、好ましくは、使用者によって調節可能である。複数のアレイは調節可能なアーム上に取付けられうる。
【0024】
次に、本発明の具体的な実施形態を添付の図面を参考にして説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
実施形態の説明
以下の説明においては、角括弧の文献は説明の末尾における文献の部に見出される。
【0026】
光生物学の第1法則、光化学および光物理学の科学によると、吸収なしに反応はあり得ないと述べられている。したがって、生体組織にどのような特定のターゲットが目的とされているのかを知ることが重要である。例えば、われわれの皮膚を形成するコラーゲンを合成する線維芽細胞と呼ばれる細胞を標的とするためには、赤色光が最も有効である[Karu]、[Smith]、[Abergel]。これは、創傷治癒および光老化皮膚の光若返りにおけるコラーゲン形成を促進する点で最も有用である。創傷治癒の第1の炎症段階における白血球および肥満細胞、かつ第2の増殖および早期の第3のリモデリング段階におけるマクロファージ細胞などの炎症プロセス細胞(inflammatory process cells)をターゲティングするためには、約830nmの近赤外光が最も有効である[Karu]、[Young]。
【0027】
各波長は生細胞における特定のターゲットを持ち、かつこれらのターゲットは発色団、または光受容体として知られている。典型的な細胞は、細胞の中央にDNAを含む核を有し、母細胞は、複製として知られる過程において該DNAから同様の娘細胞を構成することができる。細胞の周りには、細胞を取囲み、外部環境からそれを保護する細胞膜がある。細胞内の流体は細胞質と呼ばれ、ここには多くの重要な細胞内小器官、例えば、リボソーム(RNAファクトリー)、リソソーム(酵素ファクトリー)、かつ最も重要なのは、ミトコンドリア(細胞の最強グループ、および細胞の燃料であるアデニン三リン酸(ATP)の製造元および調節因子など)が浮いている。
【0028】
以下の実施形態においては、特定の波長および強度の光を用いて細胞の特定部分をターゲティングし、有利な効果を得る。
【0029】
可視赤色光による治療
第1の実施形態においては、患部は、略610−680nmの範囲内、かつ好ましくは約630nmで最大強度を有する可視赤色光で照射される。光の強度は、0.1−1000mW/cmの範囲、かつ好ましくは1−100mW/cmの範囲内でありうる。総光線量は0.1−200J/cmの範囲内、かつ好ましくは0.5−100J/cmの範囲内でありうる。光はパルスまたは連続的でありうる。
【0030】
可視赤色光に対しては、ミトコンドリア内部に主要な光受容体、すなわち細胞のエネルギーレベルまたは代謝を制御し、かつレドックスチェーンとして知られるミトコンドリア呼吸器系の一部が確認されている。可視光光がレドックスチェーンによって吸収されると、それらはそのエネルギーを呼吸器系に移動させる。十分な光が吸収されると、イベントの光調節カスケードが細胞内で誘発され、かつ全細胞のエネルギーレベルが劇的に増大する。これは次には外膜を浸透性に変化させ、今励起された細胞は、その細胞質からのエネルギー荷電粒子、特にカルシウムイオン(Ca2+)およびプロトン(H)を他の隣接する細胞と細胞外環境を介して交換する。したがって、照射されていない細胞も、照射された細胞からのメッセージによって励起される。こうして、ターゲット細胞は光活性化され、細胞の複製が迅速に起こるか、または細胞は刺激されてその機能を十分に果たすようになる。例えば、光調節線維芽細胞はより多くより良いコラーゲン線維を産生することになる。したがって、可視赤色光は細胞の内部から外部へ働くと言える。
【0031】
本実施形態は、美容治療方法を提供しうる。この方法は、内因的または体外から適用される光感作物質の有無のいずれかによる老化または光損傷皮膚の光若返りのために適切である。この方法は、しわの削除または除去のために使用されうる。
【0032】
近赤外光による治療
第2の実施形態においては、患部は近赤外光、好ましくは略800−880nmの範囲内、かつ好ましくは約830nmで最大強度を有する波長の光で照射される。光の強度は、0.1−1000mW/cmの範囲、かつ好ましくは1−100mW/cmの範囲内でありうる。総光線量は0.1−200J/cmの範囲内、かつ好ましくは0.5−100J/cmの範囲内でありうる。光はパルスまたは連続的でありうる。
【0033】
近赤外光(800nm−880nm)に対しては、主要な光受容体が、細胞の外膜において第一に、細胞内小器官の膜上で第二に確認される。十分なエネルギーが吸収されると、細胞膜の浸透性は変化し、より多くのカルシウムイオンおよびプロトンが細胞質で生じ、より多くの光が細胞へ浸透し、その膜上で直接作用することによりミトコンドリアのエネルギーレベルを上昇しうる。したがって、赤色可視光光の場合と同じであるが、異なる段階から、イベントの光カスケードが開始される。したがって、同じ評価項目はIR光調節で達成され、すなわち細胞増殖、または細胞の活動電位は調節される。したがって、IR光は細胞の外部から内部へ働き、次いで再び後退して出ると言える。
【0034】
したがって、細胞が特定の光受容体を有するという事実により、線維芽細胞機能を調節するためには赤色光が最良であるが、炎症管理における白血球およびマクロファージ、かつ疼痛管理におけるニューロン(神経細胞)のためにはIR光が最良である理由が説明される。しかし、IR光は可視赤色光よりもはるかに深く浸透しうるので、IR光は依然として線維芽細胞に対する一部のphotocybomodulatory効果を有し、かつ赤色光は依然として、特により表面的に位置した炎症および神経細胞に対する一部のphotocybomodulatory効果を有するだろう。
【0035】
本実施形態は、美容治療方法を提供しうる。この方法は、内因的または体外から適用される光感作物質の有無のいずれかによる老化または光損傷皮膚の光若返りのために適切である。この方法は、しわの削除または除去のために使用されうる。
【0036】
疼痛管理
光は神経細胞に対するきわめて有利な効果を示し、これらの細胞によって脳へ伝えられる疼痛を遮断する。諸研究により、レーザー光がATP依存NaKポンプの活性を増大させることが示されている。この場合、レーザー光は細胞膜上に電位差を増大させ、さらに静止電位を発火閾値から移動させ、したがって、神経終末感度を減少させる。あまり理解されていない疼痛遮断機序には、光による刺激の結果として、脳、副腎、および他の部分からのエンドルフィンおよびエンケファリンなど高レベルの痛み止め化学物質の産生が関与する。
【0037】
疼痛療法においても、肩、肘、腰、膝、および足関節など主要な関節へ深く光子が達するために、赤外光の良好な浸透は光子のターゲット細胞へのより深い送達を可能にする。
【0038】
したがって、第2の実施形態は、例えば、乾癬の光力学的治療中の疼痛の軽減または管理のために、他の臨床的用途中、または損傷の結果としての鎮痛効果のために使用されうる。
【0039】
創傷治癒
第1および第2の実施形態の波長および強度は創傷治癒のためにも使用されうる。
【0040】
良好かつ予測可能な創傷治癒は最も重要である。しかし、時々、創傷はしかるべく治癒することはなく、肥厚性もしくは萎縮性瘢痕または慢性潰瘍化をひき起こしうる。形成外科医にとって、これらは受け入れ難い結果である。創傷治癒の3段階、すなわち炎症段階、増殖段階、およびリモデリング段階がある。創傷治癒関連細胞は、光療法の主要なターゲットである。創傷治癒と関連した明確な細胞周期がある。炎症段階においては、肥満細胞および多形核白血球は最も早くピークに達し、炎症段階の終了によってほぼ完全に減少する。マクロファージに転換する単球も第1の段階中に出現し、十分に第2の段階へ入るまで分化マクロファージ細胞として多量に残存する。一部のマクロファージ細胞はリモデリング段階中にも依然として確認される。創傷にすでに存在し、または創傷に引付けられた周皮細胞から分化した線維芽細胞は、過程の約2日目から出現し始め、増殖段階中にピークに達する。多くがこの段階の終了に向かって筋線維芽細胞転換を示し、大部分が次第に80から100日後に不活性線維芽細胞へ転換し、創傷治癒の過程へ入る。調査により、入射光線エネルギーの特定の波長が特定の細胞ターゲットを有することがわかっている。細胞ターゲットの波長特異性は、インビトロレベルで大いに解明されている。インビトロデータ[Abergel]、[Karu]、[Smith]、および[Young]は、可視赤色光線エネルギーが線維芽細胞の活動電位の上昇に対する最大の効果を有するが、肥満細胞脱顆粒、多核白血球に対しても顕著な効果を有し、単核マクロファージ細胞に対してはそれほどの効果を有さないことを示す。それらは、830nmが肥満細胞の脱顆粒を促進させる点できわめて有効であり、白血球およびマクロファージ細胞の活動電位を顕著に上昇させることも示す。しかし、830nmは線維芽細胞の活動電位を上昇させる点であまり有効ではないが、線維芽細胞の筋線維芽細胞への転換を促進させる。
【0041】
創傷治癒は、組織損傷の直後に始まる複雑な生化学過程である。凝固過程は、低酸素圧および血小板血栓の形成によって特徴づけられる。マクロファージ、多形核好中球、およびリンパ球が残屑および感染管理のために炎症段階中に出現し、線維増殖、新脈管形成、および再上皮形成のために成長因子が分泌される。
【0042】
上記の第1および第2の実施形態は、損傷組織、スポーツ関連損傷、または皮膚潰瘍化の治癒のために使用されうる。
【0043】
585nmによる光若返り
第3の実施形態においては、患部は黄色光、好ましくは略560−610nmの範囲内、かつ好ましくは約585nm±10nmの最大強度を有する波長の光で照射される。光の強度は、0.01−100mW/cmの範囲、かつ好ましくは0.1−30mW/cmの範囲内でありうる。総光線量は0.01−200J/cmの範囲内、かつ好ましくは0.1−30J/cmの範囲内でありうる。光はパルスまたは連続的でありうる。
【0044】
黄色光(560nm−610nm)に対して、主要な光受容体がヘモグロビンの主要な吸収帯域で確認される。十分な光子が吸収されると、イベントの光調節カスケードが細胞内で誘発され、かつ全細胞のエネルギーレベルが劇的に増大する。今励起された細胞は、その細胞質からのエネルギー荷電粒子、特にカルシウムイオン(Ca2+)およびプロトン(H)を他の隣接する細胞と細胞外環境を介して交換する。したがって、照射されていない細胞もメッセージによって励起されると、それらは照射細胞から得られる。したがって、ターゲット細胞は光活性化され、細胞の複製が迅速に起こるか、または細胞は刺激されてその仕事を十分にこなすようになる。したがって、可視赤色光線と同様に、黄色光は細胞の内部から外部へ働くと言える。
【0045】
本実施形態は、美容治療方法を提供しうる。この方法は、内因的または体外から適用される光感作物質の有無のいずれかによる老化または光損傷皮膚の光若返りのために適切である。この方法は、しわの削除または除去のために使用されうる。
【0046】
多色光
本発明の第4の実施形態は、例えば、皮膚に浸透し、細胞膜およびミトコンドリアにおける光受容体によって吸収される405nm−904nmの波長範囲内の非コヒーレント多色可視および赤外光を用いる創傷または損傷組織の治癒に関する。光子は生化学反応をひき起こし、一重項酸素、細胞シトクロム、および一時的なフリーラジカル産生を刺激するが、これは結果としてプロトン勾配の形成をもたらし、これにより生理的変化が促進され、疼痛の停止および炎症の軽減、かつ創傷および組織修復における改善が生じる。
【0047】
[Agaiby]は、創傷治癒の細胞成分の光子刺激に対する反応性を示した。細胞エネルギーおよび組織酸化の増大、微小循環の増大、および成長因子などの特殊なシグナルタンパク質の合成は、光子によって影響されることが示されており、これが創傷治癒の促進をもたらしうる。
【0048】
微小循環の増大は結果として、新しい毛細血管および新しい血管の増大をもたらし、損傷したものに取って代わる。これは、血管が老廃物除去の増大に加えて治癒に必要なより多くの酸素および栄養素を送達しうるため治癒過程の増大につながる。コラーゲンの刺激は、損傷組織を修復し、かつ古い組織を置換する身体能力を増大させる。アデノシン三リン酸(ATP)の刺激は、全細胞へのエネルギーの輸送を起動する。ATPの増加は細胞による栄養素の吸収、および老廃物処理を増大させる。リンパ系活動の増大が、リンパ血管径およびリンパ流量の増大によってもたらされうる。したがって、本発明者は、創傷治癒および/または組織修復の調節が、赤外および可視光によって同時に創傷または損傷組織を照射することによって達成されることを完全に理解した。静脈径および動脈径も同様にして増大されうるであろう。
【0049】
組織内の光受容体による赤外光の吸収は、シグナル変換および増幅をもたらし、最終的に光反応が生じる。赤外線および長波長可視光は呼吸鎖(すなわち、フラビンデヒドロゲナーゼ、シトクロム、およびシトクロムオキシダーゼ)の成分によって吸収され、これらは呼吸鎖の活性化をもたらすとともに、ミトコンドリアと細胞質の両方のレドックス状態の変化をひき起こすMASプールの酸化をもたらす。これは同様に膜浸透性/輸送に対する効果を有し、Na’/H’比の変化およびNa’/K’−ATPase活性の増大を伴い、これは同様にCa++フラックスに対する効果を有する。Ca++フラックスは環状ヌクレオチドのレベルに影響を及ぼすが、これは細胞増殖を調節する(すなわち、生物刺激)DNAおよびRNA合成を調節する。赤外光は、生物刺激をもたらす分子イベントの全カスケードの約中間で膜レベルでの反応を(おそらくCa++チャンネルに対する光物理的効果により)開始させるが、長波長可視光は、おそらくミトコンドリアにおける酵素を光活性化することによって、分子イベントのカスケードを開始させ、光反応をもたらす。
【0050】
創傷治癒および組織修復に関与する光生化学過程は、作用スペクトルによって左右される。[Beauvoit]は、ミトコンドリアが、シトクロムaa3、シトクロムオキシダーゼ、および他のミトコンドリア発色団により、組織吸収係数の50%および780nmで散乱する光の100%を供給することを明らかにしている。[Karu 89]は、633、680、および780nmの波長での放射によるRNA/DNA合成の増大のピーク、750nmでのタンパク質合成の増大、および890nmでの細胞増殖の増大を明らかにしている。
【0051】
赤外光は、数センチメートルの深さに浸透しうるが、これは骨、関節、筋等の全層治療をより有効にさせる。マクロファージは多くの種類の細胞の活動を抑制または強化しうる。異なる波長の光は、上記の効果をひき起こす因子を放出するマクロファージの能力に影響を及ぼす。したがって、赤外光療法は創傷修復の調節因子として大きな潜在的能力を有する。
【0052】
1つの実施形態においては、肥大またはケロイド形成の傾向のある創傷が、線維芽細胞活動を抑制する抑制因子(例えば、プロスタグランジン)の放出を刺激する波長で治療される。インビトロ試験では、880nm光が線維芽細胞増殖に対する抑制効果を有したことが示されている。
【0053】
別の実施形態においては、例えば、遅延修復による問題の1つである、静脈瘤性潰瘍などの症例に適用可能な、刺激因子(例えば、モノカイン)の放出を強化する波長が適用され、肉芽組織の活性および進展を促進する。インビトロ試験では、820nmおよび870nm光が刺激性であったことが示されている。
【0054】
第4の実施形態は、皮膚の美容治療方法にも適用されうる。
【0055】
色素脱失皮膚疾患の治療
本発明の第5の実施形態は、紫外線(UV)または近UV光を用いる色素脱失皮膚疾患の治療の方法に関する。
【0056】
低強度のUV照射は、メラニン細胞の増殖のためにメラノサイト遊走および増殖、かつマイトジェン放出を刺激し、白斑など色素脱失における再色素沈着を誘発するための微環境を提供しうる[Tjioe]。365、404、および434nmでのRNA/DNA合成/刺激作用スペクトルにおけるきわめて高感度の(近)紫外線ピークがあり[Karu 89]、これは結果として少なくとも450、560、および630nmで必要とされるものより低い規模(すなわち、500−5,000J/mに対して5−50J/m)での線量をもたらしうる。さらに、ATPの刺激増大に対応する約760nmのピークがある。
【0057】
第5の実施形態における治療の方法においては、治療すべき患者の体外の患部(例えば、創傷または損傷組織)が、好ましくは1〜50mW/cmであるが、0.1〜500mW/cmでありうる強度で1つもしくはそれ以上の適切な波長に曝露される。適切な治療線量範囲は0.5から20J/cmであるが、0.1から200J/cmの範囲でありうる。治療時間は好ましくは2分から10分の範囲であるが、0.5分から30分の範囲でありうる。治療コースは、0.5日から7日の間隔で30回までの治療で構成されうる。
【0058】
第5の実施形態における治療の方法においては、偽カタラーゼ(pseudocatalase)(例えば、SESデルマ(スペイン、バレンシア(Valencia))のVitises(商標))を1日2回適用し、脱色患者においてしばしば見られる低カタラーゼ活動を起動することができる。過剰な偽カタラーゼは光の適用直前に除去される。患者の皮膚の脱色部分が、好ましくは0.1〜50mW/cmであるが、0.05〜100mW/cmでありうる強度で1つもしくはそれ以上の適切な波長に曝露される。適切な治療線量範囲は0.01から100J/cmであるが、0.05から100J/cmの範囲でありうる。治療時間は好ましくは0.5分から10分の範囲であるが、0.1分から30分の範囲でありうる。治療コースは、1日から7日の間隔で100回までの治療で構成されうる。
【0059】
装置
上記の実施形態における使用に適した装置は図1から図4に示されている。治療光源は、土台2、多関節アーム4、および発光ヘッド6を含む。土台2は、電力を発光ヘッド6に供給する電源3、およびヘッド6への電力の供給を制御するためのコントローラー5を含有する。コントローラー5は、ヘッドがスイッチオンとなり、発光する間隔を決定するスイッチを制御するためのスイッチおよびタイマーを含む。ヘッドは間隔にわたって連続的にスイッチオンされ、またはコントローラー5によって制御される周期性および負荷サイクルでパルスオンおよびオフされうる。間隔、周期性、および負荷サイクルは、キーパッドおよびディスプレイスクリーン(図示せず)を用いて使用者によってコントローラー5へプログラミングされる。
【0060】
多関節アーム4は、ヒンジ式の継手7aによって土台2に接続され、別のヒンジ式の継手7bおよび7cによってその長さにそって関着され、適所における十分な自由度およびヘッド6の角度が得られる。アーム4は、コントローラー5からヘッド6への電源コネクタを有する。
【0061】
ヘッド6は、図2aによってより詳しく示されているように、並んで配置され、ヒンジ9a、9b、9cによってその端で接続された4枚の長方形のパネル6a、6b、6c、6dで構成されている。各パネル6は、その前面において、ディスクリート発光ダイオード(LED)の対応するマトリクス8a、8b、8c、8dを有する。図2bに示されているように、パネル6a−6bは、ある角度に曲げられ、LEDによって放出される光Lが治療すべき患者の部分に集中するように、凹面を形成しうる。
【0062】
図3は、マトリクス8におけるLEDの物理的配置を示すが、図4はLED10間の一連の並列電気接続を示す。直流(DC)電圧+Vは、電力がヘッド6に供給されるとマトリクス上に加えられる。
【0063】
第1の実施形態においては、LED10は、610から680nmの範囲内、かつ好ましくは略630nmでの狭いスペクトルで発光する。例えば、ピーク発光は625〜635nmでありうる。
【0064】
第2の実施形態においては、LED10は、800から880nmの範囲内、かつ好ましくは略830nmでの狭いスペクトルで発光する。例えば、ピーク発光は810〜850nmでありうる。
【0065】
第3の実施形態においては、LED10は、550から600nmの範囲内、かつ好ましくは略585nmでの狭いスペクトルで発光する。例えば、ピーク発光は575〜595nmでありうる。
【0066】
第4の実施形態においては、LED10は、赤色および近赤外スペクトル、例えば、略660−950nmの範囲で発光する。LEDはGaA1A基板物質を有しうる。1つの然るべき種類のLEDがOsram(商標)パーツ番号(part no.)SFH4289であり、その発光スペクトルは図5に示されている。このスペクトルは880nmでピークを有する。LED10は2つもしくはそれ以上の種類でありうるが、そのうち少なくとも1つはスペクトルの赤外範囲で発光し、また1つは赤色範囲で発光しうる。両方の種類はいっしょにスイッチを入れることができる。
【0067】
好ましくは、LED10の結合発光スペクトルは、第1から第4の実施形態に関連して上記の波長の1つ、または好ましくは2つ以上で実質的な強度を有する。
【0068】
第5の実施形態においては、LED10は、近UVスペクトルで実質的に発光スペクトルを有する紫外線(UV)放出LEDである。これらのLEDは、InGaNもしくはGaNまたはInGaNSiC基板材料を有しうる。1つの然るべき種類のLEDが、400−410nmでピークを有し、かつ図6に示されている発光スペクトルを有するHero(商標)パーツ番号(part no.)HUVL400−315である。
【0069】
LED10は2つもしくはそれ以上の異なる種類でありうるが、その両方はいっしょにスイッチを入れることができる。
【0070】
好ましくは、LED10の結合発光スペクトルは、第2の実施形態に関連して上記の波長の1つ、または好ましくは2つ以上で実質的な強度を有する。
【0071】
上記の実施形態は、単に一例として提示されている。他の変形は、上記の説明から明らかであろうが、いずれによせ以下の請求項の範囲内にありうる。
【0072】
文献
1. Agaibyet.al,'Laser modulation of T-lymphocyte proliferation in vitro', Laser Therapy,1998, 10, 153-158
2. Abergel RP et al: Biostimulation of wound healing by lasers. J Dermatol SurgOncol, 13, 1987, 127-133.
3. Beauvoit B et al.,'Analytical Biochemistry' 1995, 226, 1670-174
4. Karu TI: Low power laser therapy. Biomedical Photonics Handbook, Ch48. CRCPress 2003.
5. Karu TI: Primary and secondary mechanisms of action of visible to near-IRradiation on cells. J Photochem Photobiol B Biol, 49, 1999, 1-17.
6. KaruT,'Health Physics', 1989, 56, 691-704
7. Smith KC : The photobiological basis of low level laser radiation therapy.Laser Therapy 3, 1991, 19-25.
8. Tjioe M et al.'Acta Derm Venereol' 2002, 82 (5), 369-372
9. Young S et al. Macrophage responsiveness to light therapy. Lasers in
Surg and Med, 9, 1989, 497-505.
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態における治療光源を示す概略側面図である。
【図2a】各々LEDマトリクスを有するパネルを示す治療光源の発光ヘッドの正面斜視図である。
【図2b】照明の方向を示す発光ヘッドの上面図である。
【図3】LEDマトリクスの1つを示す立面図である。
【図4】各LEDマトリクスの一連の並列配置を示す回路図である。
【図5】本発明の第4の実施形態において使用するためのLEDの発光スペクトルである。
【図6】本発明の第5の実施形態において使用するためのLEDの発光スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
610から680nmの範囲内の主要波長を有する狭い帯域幅の非レーザー光で患部を照射する工程を含む、患者の美容治療方法。
【請求項2】
前記主要波長が、625から635nmの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記主要波長が、略630nmである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
800から880nmの範囲内の主要波長を有する狭い帯域幅の非レーザー光で患部を照射する工程を含む、患者の美容治療方法。
【請求項5】
前記主要波長が、810から850nmの範囲内である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記主要波長が、略830nmである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記光の強度が、0.1から1000mW/cmの範囲にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記光の強度が、1から100mW/cmの範囲にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
治療または治療セッションの総光線量が、0.1から200J/cmの範囲にある、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記総光線量が、0.5から100J/cmに範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記美容治療が、光若返り治療を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記治療が、照射の工程前に光感作物質を患部に適用する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光感作物質が、内因的に適用される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光感作物質が、外因的から適用される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記治療が、照射の工程前に光感作物質を患部に適用する工程を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記美容治療が、しわの軽減または除去を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
610から680nmの範囲内の主要波長を有する狭い帯域幅の非レーザー光で患部を照射する工程を含む、創傷または皮膚潰瘍の治療方法。
【請求項18】
前記主要波長が、625から635nmの範囲内である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記主要波長が、略630nmである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
800から880nmの範囲内の主要波長を有する狭い帯域幅の非レーザー光で患部を照射する工程を含む、創傷または皮膚潰瘍を治療する方法。
【請求項21】
前記主要波長が、810から850nmの範囲内である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記主要波長が、略830nmである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記光の強度が、0.1から1000mW/cmの範囲にある、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記光の強度が、1から100mW/cmの範囲にある、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
治療または治療セッションの総光線量が、0.1から200J/cmの範囲にある、請求項17〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記総光線量が、0.5から100J/cmに範囲にある、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
800から880nmの範囲内の主要波長を有する狭い帯域幅の非レーザー光で患部を照射する工程を含む、疼痛を軽減する方法。
【請求項28】
前記主要波長が、810から850nmの範囲内である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記主要波長が、略830nmである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記光の強度が、0.1から1000mW/cmの範囲にある、請求項27〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記光の強度が、1から100mW/cmの範囲にある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
治療または治療セッションの総光線量が、0.1から200J/cmの範囲にある、請求項27〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記総光線量が、0.5から100J/cmの範囲にある、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
560から610nmの範囲の主要波長を有する狭い帯域幅の非レーザー光で治療すべき部分を照射する工程を含む、皮膚の光若返り治療方法。
【請求項35】
前記主要波長が、575から595nmの範囲内である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記主要波長が、略585nmである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記光の強度が、0.01から100mW/cmの範囲にある、請求項34〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記強度が、0.1から30mW/cmの範囲内である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記総光線量が、0.01から200J/cmの範囲内にある、請求項34〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記総光線量が、0.1から30J/cmの範囲内にある、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記光が、1個またはそれ以上の発光ダイオードによって放射される、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記光が、パルス状である、請求項1〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記光が、略連続的である、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
哺乳動物の治療用である、請求項1〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記哺乳動物が、ヒト以外である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
略405から904nmの波長範囲内の多色光を放射するように配置された治療光源。
【請求項48】
前記放射が、633、680、または780nmの1つまたはそれ以上の波長で、実質的な強度を有する、請求項47に記載の光源。
【請求項49】
前記放射が、750nmおよび/または890nmの波長で実質的な強度を有する、請求項47または48に記載の光源。
【請求項50】
前記放射が、880nmの波長で、実質的な強度を有する、請求項47〜49のいずれか1項に記載の光源。
【請求項51】
前記放射が、820および/または870nmの波長で、実質的な強度を有する、請求項47〜50のいずれか1項に記載の光源。
【請求項52】
多色光を放射するように配置された個別の発光ダイオードのアレイを含む、請求項47〜51のいずれか1項に記載の光源。
【請求項53】
多色光を放射するように配置された発光ダイオードのアレイを複数含み、該複数のアレイの配置を使用者が調節することができる、請求項47〜51のいずれか1項に記載の光源。
【請求項54】
前記複数のアレイが、調節可能なアームに取付けられている、請求項53に記載の光源。
【請求項55】
赤外光および可視光を含む同時のインコヒーレント放射で患部組織を照射する工程を含む、創傷および/または損傷組織の治癒を調節する方法。
【請求項56】
前記放射が、略405から904nmの波長範囲内の多色光を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記放射が、633、680、または780nmの1つまたはそれ以上の波長で、実質的な強度を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記放射が、750nmおよび/または890nmの波長で、実質的な強度を有する、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
前記放射が、880nmの波長で、実質的な強度を有する、請求項56〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記創傷が、肥大またはケロイド形成の傾向がある種類のものである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記放射が、820および/または870nmの波長で、実質的な強度を有する、請求項56〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記損傷組織が、遅延修復(delayed repair)から生じる、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記組織が、静脈瘤性潰瘍である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記放射が、0.1から500mWcm−2の総強度を有する、請求項55〜63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記放射が、1から50mWcm−2の総強度を有する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
治療1回当りの総放射量が、0.1から200Jcm−2である、請求項55〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
治療1回当りの総放射量が、0.5から20Jcm−2である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
治療1回当りの総時間が、0.5から20分である、請求項55〜67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
治療1回当りの総時間が、2から10分である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記放射が、発光ダイオードのアレイによって放出される、請求項55〜69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
低強度の紫外線放射を含む放射で患者の皮膚の脱色部分を照射する工程を含む、色素脱失皮膚疾患の治療方法。
【請求項72】
前記低強度の紫外線放射が、365、400から420、および434nmの少なくとも1つの波長で、実質的な強度を有する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記放射が、約630nmまたは760nmの波長で、実質的な強度をも有する、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
低強度の赤色光で患者の皮膚の脱色部分を照射する工程を含む、色素脱失皮膚疾患の治療方法。
【請求項75】
前記光が、約630nmまたは760nmの波長で、実質的な強度を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記放射の総強度が、0.05から100mW/cmである、請求項71〜75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記放射の総強度が0.1から50mW/cmである、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
治療1回当りの放射量が0.01から100J/cmである、請求項71〜77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
治療1回当りの放射量が0.05から100J/cmである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
照射の工程前に脱色部分に偽カタラーゼ(pseudocatalase)を適用する工程を含む、請求項71〜79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記皮膚疾患が白斑である、請求項71〜80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
820nm、870nm、880nm、および890nmの波長の少なくとも1つで、実質的なスペクトル強度を有するインコヒーレント赤外線放射で患部組織を照射する工程を含む、創傷および/または損傷組織の治癒を調節する方法。

【図1】
image rotate

image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2006−519047(P2006−519047A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502324(P2006−502324)
【出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000758
【国際公開番号】WO2004/075985
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(501117845)フォト セラピューティクス リミテッド (3)
【Fターム(参考)】