説明

耐熱性シート

【課題】耐熱性に優れ、反りが低減され、低伸縮性を示し、表面硬度の高い耐熱性積層シート及び該シートを用いて得られる加飾シートを提供する。
【解決手段】上記耐熱性シートを、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する一次延伸に引き続き、引抜ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に二次延伸して得られる延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートからなる基材の表面に、紫外線硬化塗膜又は電子線硬化塗膜が少なくとも表面に施された表面保護材で被覆してなるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性シートに関し、さらに詳しくは耐熱性に優れ、反りが低減され、低伸縮性を示し、表面硬度の高い耐熱性シート及びそれを用いて得られる加飾シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁、床、天井等の建築物内装材、建築物外装材、キッチン扉表面材、キッチンバックパネル、浴室壁面材、家具表面材、家電製品表面材、自動車や電車等の車両、船舶、航空機等の乗物の内装材、回縁、幅木、扉枠、階段等の造作部材、標識等の道路関連材等において、被着体の表面に加飾シートを貼り合わせた加飾物品が広く使われている。
【0003】
かかる加飾物品に用いられる加飾シートとしては、用途に応じ、紙系、樹脂系、金属系等からなる基材シートに絵柄印刷層等の装飾層を適宜形成したものが多用され、さらに表面の透明性、装飾層の耐摩耗性等の要求特性に応じ、装飾層の表面側には透明な熱可塑性樹脂からなる表面シートを、また装飾層の裏面側には加飾シート貼着時等の装飾層の傷付き防止等の装飾層保護などの目的で、熱可塑性樹脂からなる裏面シートを設けたものがある。
【0004】
このような加飾シートとしては、裏側から順に、熱可塑性樹脂シートから成る裏面シート、接着剤層、装飾層、透明な熱可塑性樹脂樹脂シートから成る表面シートが積層されて成るものが多用され、例えばその裏面シートがポリオレフィン系樹脂製、表面シートが延伸ポリエステル樹脂製のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
しかし、上記の加飾シートは、耐熱性が低く、熱による変形や伸縮の度合いが大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3083040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、このような事情の下、反りが低減され、低伸縮性を示し、表面硬度が高く、耐熱性に優れる耐熱性シート及び該シートを用いて得られる加飾シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、耐熱性シートにおいて、その基材とそれを被覆する表面保護材として、特定のポリエステル樹脂と、紫外線硬化塗膜又は電子線硬化塗膜が少なくとも表面に施されたものとを組み合わせて用いることにより、上記課題が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する一次延伸に引き続き、引抜ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に二次延伸して得られる延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートからなる基材の表面を、紫外線硬化塗膜又は電子線硬化塗膜が少なくとも表面に施された表面保護材で被覆してなる耐熱性シートが提供される。
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、表面保護材が、プライマー層を下地とする電子線硬化塗膜又は紫外線硬化塗膜であることを特徴とする耐熱性シートが提供される。
【0010】
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、熱可塑性ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする耐熱性シートが提供される。
【0011】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明の耐熱性シートの基材の裏面に印刷が施されてなることを特徴とする加飾シートが提供される。
【0012】
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、基材と印刷面の間にプライマー層が介在されていることを特徴とする加飾シートが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の耐熱性シート及び加飾シートは、反りが低減され、低伸縮性を示し、表面硬度が高く、耐熱性に優れるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の耐熱性シートは、その基材が、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する一次延伸に引き続き、引抜ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に二次延伸して得られる延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートからなり、かつ該基材の表面が、紫外線硬化塗膜又は電子線硬化塗膜が少なくとも表面に施された表面保護材で被覆されてなるものであることで特徴付けられる。
【0015】
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂シートにおける樹脂材の熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート/乳酸、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレナジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレート等が挙げられ、中でも耐熱性の優れたポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0016】
熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは非晶状態であるのが好ましく、さらには結晶化度が10%未満、中でも5%未満であるのが好ましい。結晶化度は、例えば示差走査熱量計等で測定される。
【0017】
引抜延伸の際の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、その温度が低すぎると延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートが白化したり、また、硬すぎて裂けたり、引き抜けなくなるので、引抜延伸前に、熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度に予熱するのが好ましい。
【0018】
引抜延伸の際の一対の引抜ロールは、その温度が低すぎると延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートの温度が低下して該シートが白化したり、また、硬すぎて引き抜けなくなるし、また、高すぎても引抜延伸の際の摩擦熱等により樹脂温度が上昇して分子配向性が十分でなくなるので、好ましくは熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃以上で、かつ該ガラス転移温度+20℃未満である。
【0019】
なお、上述したガラス転移温度は、昇温速度1℃/minで測定した示差走査熱量曲線から得られた値である。
【0020】
延伸倍率は、特に限定されるものではないが、低すぎると引張強度、引張弾性率に優れたシートが得られにくいし、また、高すぎても延伸時にシートの破断が生じやすくなるので、2〜9倍が好ましく、さらに好ましくは4〜8倍である。
なお、ここでいう延伸倍率とは、延伸前のシートの断面積と延伸後のシートの断面積の比をいう。
【0021】
本発明においては、引抜延伸は、一次延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に二次延伸する、好ましくは一軸延伸することで行われる。
【0022】
一次延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートのポリエステル系樹脂は、延伸の阻害要因となる熱による等方的な結晶化及び配向が抑えられた状態で分子鎖は高度に配向しているので強度及び弾性率が優れているが結晶化度は低いので、加熱されると配向は容易に緩和され弾性率は低下してしまうという欠点を有している。
【0023】
しかし、この一次延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該ロールの温度より高い温度で二次延伸することにより配向が緩和されることなく結晶化度が上昇し、加熱されても配向が容易に緩和されない耐熱性の優れた延伸シートが得られる。
【0024】
上記一軸延伸方法としてはロール延伸法が好適に用いられる。ロール延伸法とは、速度の異なる2対のロール間に熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを挟み、該シートを加熱しつつ引っ張る方法であり、一軸方向のみに強く分子配向させることができる。
なお、この際に2対のロールの速度比が延伸倍率となる。
【0025】
一軸延伸する際の温度は、一次延伸する際の一対のロールの温度より高い温度であればよいが、高すぎると一次延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが溶融して切断されるので、昇温速度1℃/minで測定した示差走査熱量曲線での延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの結晶化ピークの立ち上がり温度以上融解ピークの立ち上がり温度以下の範囲が好ましい。
【0026】
なお、ポリエチレンテレフタレートの結晶化ピークの立ち上がり温度は約130℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約255℃である。従って、ポリエチレンテレフタレートシートを引抜延伸方向に延伸する際は約130℃〜255℃で延伸するのが好ましい。
【0027】
かかる延伸時の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低すぎると、引張強度、引張弾性率等の機械的強度に優れたシートが得られにくいし、また高すぎても延伸時にシートの破断が生じやすくなるので、1.1〜3倍が好ましく、さらに好ましくは1.2〜2倍である。また、一次延伸と後続の延伸の合計延伸倍率は、同様の理由で、2.5〜10倍が好ましい。
【0028】
また、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、上記引抜延伸の方向と直交する方向に延伸してもよく、この場合二軸延伸となり、引抜延伸方向に沿って屈曲させても割れ発生等の強度低下がなくなる。
【0029】
また、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートにおいては、結晶化度が低いと機械的強度が低下するし、また、高いと割れやすくなるので、結晶化度は20〜50%が好ましく、30〜45%がより好ましい。
【0030】
また、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、耐熱性や、機械的強度を向上させるために熱固定するのが好ましい。
【0031】
また、熱固定温度は、上記後続の引抜延伸温度より低いと熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化が進まないので耐熱性が向上せず、前記した熱可塑性ポリエステル系樹脂の融解ピークの立ち上がり温度より高くなると熱可塑性ポリエステル系樹脂が溶解して延伸(配向)が消滅し、機械的強度等が低下するので、かかる融解ピークの立ち上がり温度以下であるのが好ましい。加熱手段は特に限定されず、例えば熱風、ヒーター等によればよい。
【0032】
また、熱固定する際に、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸され、張力がかかっていないか、非常に小さい状態では収縮するので、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが実質的に変化しない状態で行うことが好ましく、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。
【0033】
例えば、熱固定された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが、熱固定前の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さの0.95〜1.1になるように熱固定するのが好ましい。
【0034】
熱固定する時間は、特に限定されず、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さや熱固定温度により異なるが、一般に10秒〜10分が好ましい。
【0035】
次に、本発明の耐熱性シートは、上記基材の表面が、紫外線硬化塗膜又は電子線硬化塗膜が少なくとも表面に施された表面保護材で被覆されてなるものである。
上記表面保護材は、透明性に優れたものが好ましく、また、プライマー層を下地とする電子線硬化塗膜又は紫外線硬化塗膜であるのが好ましい
【0036】
電子線硬化塗膜又は紫外線硬化塗膜は、基材又は基材上に設けられたプライマー層の上に塗布された電子線硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂を電子線又は紫外線で硬化させることにより得られる。
【0037】
電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合を有する樹脂が挙げられ、具体的には以下の化合物が例示される。
【0038】
(1)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の多価アルコール又はポリアルキレングリコールのポリ(メタ)アクリレート
(2)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート
(3)ポリエステルポリ(メタ)アクリレート
(4)ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート
(5)エポキシポリ(メタ)アクリレート
(6)ポリアミドポリ(メタ)アクリレート
(7)ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸エステル
これらの樹脂は、1種用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
電子線硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂を塗布するには、一般的に各種コータ、例えばグラビアロールおよびトランスファロールコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ブレードコーター、ディップコーター、バーコーター、ロッドコーター、キスコーター、ゲートロールコーター、スクイズコーター、落下カーテンコーター、スライドコーター、ダイコーターなどが用いられる。
また、塗布は、無溶剤で行うこともできるし、溶剤で希釈して行うこともできるし、エマルジョン状態で行うこともできる。
また、塗布に際し、上記硬化性樹脂に減摩材を配合させてもよい。減摩材としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0040】
電子線や紫外線で硬化するには、このような塗布面に電子線や紫外線を照射すればよい。電子線照射は、例えば加速電圧100〜1000kVの電子線加速器を用い、ワンパスの吸収線量が0.5〜20Mradになるようにするなどして行われる。電子線加速器としては、例えば、エレクトロカーテンシステム、スキャンニングタイプ、ダブルスキャンニングタイプ等が挙げられる。
紫外線照射は、光反応開始剤の存在下に行うのが好ましい。光反応開始剤としてはジおよびトリクロロアセトフェノンのようなアセトフェノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、アゾ化合物、各種銀塩等があり、光反応開始剤の使用量は、紫外線硬化性樹脂に対して、通常0.1〜10%の範囲である。また、光開始剤にハイドロキノンのような貯蔵安定剤が使用される場合もある。紫外線照射装置としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等があり、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。一般に出力30w/cm以上のランプが複数本平行して使用される。
【0041】
前記プライマー層としては、例えば塩化ビニリデンと(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸のラテックス等が挙げられる。
【0042】
次に、本発明の加飾シートは、上記耐熱性シートの基材の裏面に印刷が施されてなるものである。
印刷方法は特に制限されず、例えばグラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インクジェット印刷、転写印刷等の公知の印刷法で形成できる。
加飾シートにおいては、加飾部、ひいてはその絵模様、柄、図案、デッサン、文様等の種々の装飾態様がよく目視しうるように、基材、表面保護材、適宜用いられるプライマー等が透明性に優れているのが好ましく、とりわけ基材と印刷面の間にプライマー層が介在されているのがよい。
【0043】
インクジェット式での印刷においては、印刷を容易にするため、耐熱性シートの基材の裏面に、インク受容層を、裏塗り層を介在させて設けるのが好ましい。また、裏塗り層は、必要に応じプライマー層を適宜介在させて、設けるようにしてもよい。
【実施例】
【0044】
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
厚さ3mm、幅200mmのポリエチレンテレフタレートシート(帝人化成社製、商品名「A−PETシートFR」、結晶化度4%)を延伸装置(協和エンジニアリング社製)に供給し、75℃に予熱した後、80℃に加熱された一対のロール(ロール間隔0.2mm)間を2m/minの速度で引き抜き、更に熱風加熱槽中でポリエチレンテレフタレートシート表面温度を170℃に加熱し、出口速度2.5m/minに設定して二次延伸(ロール延伸)して、延伸倍率が約6倍の延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。
【0046】
なお、上記ポリエチレンテレフタレートシートのガラス転移温度は72℃、昇温速度1℃/minで測定した示差走査熱量曲線での結晶化ピークの立ち上がり温度は約130℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約255℃であった。
【0047】
このようにして得られた延伸ポリエチレンテレフタレートシートを支持ロールに供給するとともに、ポリエステルポリ(メタ)アクリレートを塗布し加速電圧300〜kVの電子線加速器を用い、ワンパスの吸収線量が10Mradになるように照射し、耐熱性シートを得た。
【0048】
このようにして得られた耐熱性シートについて、その特性を以下の測定方法により求めた。その結果を表1に、比較のための一般のPETフイルム品の測定結果とともに示す。
測定評価方法
1)線膨張係数: 得られた耐熱性シートをJIS 7197に準拠して測定した。
2)加熱収縮率:
得られた耐熱性シートを90℃の恒温槽に放置し、24時間後の収縮率を測定した。尚、加熱収縮率の測定方法は、得られた耐熱性シートを、23℃、50%RHで0.5時間保持した後の長さをマイクロスコープで測定し、加熱処理後、同様に測定し、その差から計算した。
3)表面硬度(鉛筆硬度):得られた耐熱性シートをJIS K5600に準拠して測定した。
【0049】
【表1】

【0050】
これより、実施例の耐熱性シートは、線膨張係数、加熱収縮率が小さく、表面硬度の高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の耐熱性シート及びそれを用いて得られる加飾シートは、反りが低減され、低伸縮性を示し、表面硬度が高く、耐熱性に優れ、例えば壁、床、天井等の建築物内装材、建築物外装材、キッチン扉表面材、キッチンバックパネル、浴室壁面材、家具表面材、家電製品表面材、自動車や電車等の車両、船舶、航空機等の乗物の内装材、回縁、幅木、扉枠、階段等の造作部材、標識等の道路関連材等の加飾シート、中でも駅舎、公共施設、商業施設等の床、標識等の道路関連材、階段等の加飾シートとして利用しうるので、産業上大いに有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する一次延伸に引き続き、引抜ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に二次延伸して得られる延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートからなる基材の表面を、紫外線硬化塗膜又は電子線硬化塗膜が少なくとも表面に施された表面保護材で被覆してなる耐熱性シート。
【請求項2】
表面保護材が、プライマー層を下地とする電子線硬化塗膜又は紫外線硬化塗膜であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性シート。
【請求項3】
熱可塑性ポリエステル系樹脂シートがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1又は2記載の耐熱性シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱性シートの基材の裏面に印刷が施されてなることを特徴とする加飾シート。
【請求項5】
基材と印刷面の間にプライマー層が介在されていることを特徴とする請求項4に記載の加飾シート。


【公開番号】特開2012−111140(P2012−111140A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262367(P2010−262367)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】