説明

胃癌および転移性胃癌診断キット

【課題】 胃癌組織で特異的に発現される遺伝子の発現程度の測定を用いた胃癌診断方法および診断キット、並びに転移性胃癌組織で特異的に発現される遺伝子の発現程度の測定を用いた転移性胃癌診断方法および診断キットを提供する。
【解決手段】 本発明は、胃癌および転移性胃癌診断キットに関し、さらに詳しくは、胃癌に対する高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現程度を測定して胃癌を診断する胃癌診断キットと、転移性胃癌に対する高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現程度を測定して癌転移を通じての癌の悪性診断に非常に有効に使用できるように開発された転移性胃癌診断キットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃癌および転移性胃癌診断キットに関し、さらに詳しくは、胃癌に対する高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現程度を測定して胃癌を診断する胃癌診断キットと、転移性胃癌に対する高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現程度を測定して癌転移を通じての癌の悪性診断に非常に有効に使用できるように開発された転移性胃癌診断キットに関する。
胃癌は、韓国および日本などのアジアにおいて最も頻繁に発生する癌であって、死亡率1位を占める癌である[Parkinら、Int. J. Cancer 80: 827-841, 1999; Neugutら、Semin. Oncol. 23: 281-291, 1996]。しかし、現在まで胃癌関連遺伝子についてはさほど多くの報告がされていない。既存の研究によれば、癌の発生および癌の転移(metastasis)は、いくつかの特定遺伝子の役割によって行われるのではなく、癌の悪性化が進行するにつれて発生する細胞中の様々な信号伝達と調節機構に関与する多くの遺伝子の複合的な相互作用によるものであることが分かる[Fang, Chin. Med. J., 81: 193-194, 2001]。したがって、いくつかの特定な遺伝子に重点を置いて胃癌発生機構および胃癌転移機構を研究するよりは、正常の胃組織と胃癌細胞株/胃癌組織との間または原発癌性胃癌と転移性胃癌細胞株との間の多量の遺伝子発現程度を比較分析して胃癌発生および胃癌転移に係わる新しい遺伝子を発見する研究は非常に重要な意味があるであろう。このように癌の発生および癌の転移は様々な遺伝子とこれらの遺伝子の発現および調節機構が複合的に係わって進行され、現在まで胃癌機構および胃癌転移機構については明確に明らかにされていない。
【0002】
最近の分子生物学的分析方法によれば、p53[Yokozakiら、Int. Rev. Cytol. 204: 49-95, 2001]、β−カテニン[Parkら、Cancer Res. 59: 4257-4260, 1999]、E−カドヘリン[Berxら、Hum. Mutat. 12: 226-237, 1998]、トレフォイル(三つ葉状)因子1(trefoil factor 1)[Parkら、Gastroenterology 119: 691-698, 2000]、c−met[李ら、Oncogene 19: 4947-4953, 2000]のような遺伝子の遺伝的変異が胃癌において多発すると報告されている。そして、CA11[Yoshikawaら、Jpn. J. Cancer Res. 91: 459-463, 2000; Shiozakiら、Int. J. Oncol. 19: 701-707, 2001]と胃腸粘膜で合成されるトレフォイル因子であるTFF1とTFF2[Shiozakiら、Int. J. Oncol. 19: 701-707, 2001; KirikoshiとKatohKirikoshi、Int. J. Oncol. 21: 655-659, 2002]のような遺伝子が胃癌で低発現されると報告されている。また、Hasegawaらは、消火器癌で発現される23,040個の遺伝子からなるcDNAマイクロアレイーを用いてRPL10,HSPCB,LOC56287,IGHM,PGC,REGIA,RNASE1,TFF1,TFF2遺伝子の発現が胃癌の転移に関与すると報告している[Hasegawaら、Cancer Res. 62: 7012-7017, 2002]。しかし、このような遺伝子のみで胃癌を診断するのにはまだ不十分である。
【0003】
なお、実際の癌患者のうち、約90%程度の患者は原発癌(primary tumor)状態で死亡するよりも転移癌に悪化した後死亡に至っている。しかし、胃漿膜まで浸潤が起こった転移性胃癌の診断に関する研究はまだ不十分である[Yamazakiら、Cancer 63: 613-617, 1989; Shimadaら、Cancer 1: 1657-1668, 1999]。近来、原発癌性胃癌から転移されて悪性腫瘍に進行する一連の過程に関与する遺伝子を発見するため、多量の遺伝子を含むcDNAマイクロアレイーや遺伝子チップを用いて転移に係わる遺伝子の発現率を比較し、これから胃癌転移の新しい診断や治療のマーカーを発見するための研究が行われている[Sakakuraら、Br. J. Cancer 87: 1153-1161, 2002; Wangら、J. Cancer Res. Clin. Oncol. 128: 547-553, 2002]。既存の報告によれば、癌細胞の移動(migration)、浸潤(invasion)、そして転移(metastasis)に重要な役割を果す付着レセプター(adhesion receptor)であるE−カドヘリン(cadherin)レセプターとα−カテニン(catenin)タンパク質の減少が胃癌の脱分化とリンパ節転移に関与するという報告があり[Streitら、J. Mol. Med. 74: 253-268, 1996]、CD44レセプターの様々な変異体のうちCD44−6v変異体の過発現は胃癌細胞がリンパ節へ転移されるのに重要な役割を果すと報告されている[Streitら、Recent Results Cancer Res. 142: 19-50, 1996]。細胞の成長因子として知られているEGF(epidermal growth factor)とEGF−レセプター(EGFR)、そしてc−erbB−2の過発現は、胃癌組織において病理学的に胃癌細胞の胃壁浸潤とリンパ節転移に関与すると報告されている[Tokunagaら、Cancer 75: 1418-1425, 1995]。また、Sakakuraらは、21,168個の遺伝子からなる高密度のcDNAマイクロアレイーを用いて原発癌性胃癌細胞と転移がなされた複数の細胞に由来する細胞株との間の発現形態を比較、分析した後、CD44、ケラチン7、ケラチン8、ケラチン14、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(aldehyde dehydrogenase)、CD9、IP3レセプタータイプ3、IL−2レセプター、IL−4 Stat、p27、そしてインテグリン4遺伝子の発現が胃癌転移に関与すると報告している[Sakakuraら、Br. J. Cancer 87: 1153-1161, 2002]。しかし、既存の研究の大部分は単一遺伝子或いはいくつかの転移に係わる遺伝子の機能のみを研究したものであり、近来、癌の転移過程に係わる細胞内信号伝達(signal transduction)、アポトーシス(apoptosis)、細胞付着(cell adhesion)などに関与する数多くの遺伝子の比較、分析が行われている[Sakakuraら、Br. J. Cancer 87: 1153-1161, 2002;Wangら、J. Cancer Res. Clin. Oncol. 128: 547-553, 2002;Weissら、Oncogene 22: 1872-1879, 2003]。したがって、正確な遺伝子を用いた診断にはさらに多くの新しい遺伝子の検索と確認が行われなければならない。
【0004】
本発明で用いた胃癌細胞株は、Parkらが製造した11種の細胞株(SNU−1,SNU−5,SNU−16,SNU−216,SNU−484,SNU−520,SNU−601,SNU−620,SNU−638,SNU−668,SNU−719)と、韓国生命工学研究院で製造した1種(KMS5)の細胞株である。これらのうち、原発癌性胃癌(primary gastric cancer)から作製した細胞株はSNU−1,SNU−484,SNU−719,SNU−520細胞株であり、胃癌が悪性化された後の複数の細胞から作製した転移性胃癌細胞株はSNU−5,SNU−16,SNU−601,SNU−620,SNU−638,SNU−668の細胞株である[Parkら、Cancer Res. 50: 2773-2780, 1990; Parkら、Int. J. Cancer 70: 443-449, 1997]。また、本発明で用いた胃癌臨床組織は、忠南大学(韓国)の医学部が提供した総30個の胃組織(4個の正常の胃組織、1個の胃癌組織、4対の胃の正常/癌組織、10個の原発性胃癌組織、7個の転移性胃癌組織)である。現在までSNU細胞株を用いてSNU細胞株間の特異的な発現を示す遺伝子に関しては多くの研究が行われている実情である。たとえば、SNU−16細胞ではc−met発癌遺伝子の発現が増加され、SNU−1,SNU−5、そしてSNU−16細胞ではTGF−型IIレセプター、CEA、CA19−9およびc−erbB 2遺伝子が過発現されると報告されている[Haraら、Lab. Invest. 78: 1143-1153, 1998; Parkら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 8772-8776, 1994;Baeら、J Korean Med. Sci. 8: 153-159, 1993]。しかし、これらの細胞株において同一に遺伝子発現の変化を示す遺伝子についてはまだ糾明されていない。したがって、胃癌細胞株と正常の胃組織において類似する発現変化を示す胃癌関連遺伝子の発見、または種々の種類の原発癌性胃癌細胞株と悪性化された転移性胃癌細胞株において類似する発現変化を示す転移性胃癌関連遺伝子を選定して胃癌または転移性胃癌マーカーとしての可能性を確認した。
【背景技術】
【0005】
ヒトゲノムプロジェクトの研究分野の一つとして行われてきた「EST(expressed sequence tag) 収集」は、特定の組織や細胞株でcDNAライブラリーを製造し、これらから任意的に選別したcDNAクローンの塩基配列を分析することによって特定の組織や細胞株で発現される遺伝子を収集するプロジェクトである。このようなEST収集方法を通じて新しい遺伝子の発見[Adamsら、Science 252: 1651-1656, 1991;Adamsら、Nature 377:(Suppl.) 3-174, 1995; Hillierら、Genome Res. 6: 807-828, 1996; Marraら、Nat. Genet. 21:191-194,1999]、特定の組織や細胞株で発現される遺伝子の発現パターンの分析、遺伝子の量的分析[Okuboら、Nat. Genet. 2: 173-179, 1992; Adamsら、Science 252: 1651-1656, 1991; Adamsら、Nature 377:(Suppl.) 3-174, 1995; Liewら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 10645-10649, 1994; Maoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 8175-8180, 1998; Ryoら、Nucleic Acids Res. 26: 2586-2592, 1998; Sterkyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13330-13335, 1998]が可能であると報告されている。したがって、特定の細胞中で特定の遺伝子の発現頻度を分析することによって胃癌に係わる遺伝子の発見が可能であり、これを通じて胃癌進行による分子的メカニズムを理解でき、さらに胃癌の診断が可能となるであろう。
【0006】
本発明では、24種の胃癌高発現遺伝子と6種の胃癌低発現遺伝子が発見され、これらは胃癌との関連性が全く報告されていないものであって、現在これらの遺伝子について知られている内容は次の通りである。
TUBA6(tubulin-alpha 6 chain)は微小管の重要要素であり、FKBP1A(FK506 binding protein 1A)は骨格筋筋小胞体のカルシウム分泌経路の構成要素であって、リアノジン(ryanodine)レセプター同形−1(isoform-1)の調節機能を有する。RPL4(ribosomal protein L4)はまだ正確な機能が明らかにされておらず、ARF1(ADP-ribosylation factor 1)はGTP−結合タンパク質であって、クロレラトキシン触媒サブユニットのヘテロトロピックなアロステリック(allosteric)活性酵素として作用する。FTH1(ferritin, heavy polypeptide 1)は鉄分を貯蔵する細胞内の分子物質であり、SH3GLB2(SH3-domain GRB2-like endophilin B2)はリング3タンパク質と類似し、HSPCA(heat shock 90kDa protein 1, alpha)はATPaseの活性を有する。TMSB4X(thymosin, beta 4, X chromosome)は細胞骨格の構成に重要な役割を果たし、PYCR1(pyrroline-5-carboxylate reductase 1)は触媒の活性に関与するもので、前立腺癌と関わりがあると報告されている[Ernstら、Am. J. Pathol. 160: 2169-2180, 2002]。ATF4(activating transcription factor 4)はtax反応増幅子要素(enhancer element)であり、SURF4(surfeit 4)は膜タンパク質である。ACTB(actin, beta)、K−ALPHA−1、KRT8(keratin 8)は細胞構造形成に関与し、LDHA(lactate dehydrogenase A)、GAPD(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)、PKM2(pyruvate kinase, muscle)、PGK1(phosphoglycerate kinase 1)は糖分解経路、HMGIY(high mobility group AT-hook 1)、JUN(v-jun sarcoma virus 17 oncogene homolog (avian))、CD44(CD44 antigen (homing function and Indian blood group system)は信号伝達経路、HSPA8(heat shock 70kDa protein 8)、HSPCB(heat shock 90kDa protein 1, beta)、HSPB1(heat shock 27kDa protein 1)は熱衝撃関連タンパク質、EEF1A1(eukaryotic translation elongation factor 1 alpha 1)は真核タンパク質合成の補助因子として知られている。 一方、正常の胃組織で多く発現される遺伝子であるCD74(invariant polypeptide of major histocompatibility complex)、LOC131177(FAM3D)、AGR2(anterior gradient 2 homolog, Xenopus laevis)、IMAGE:4296901(pepsin A)、 およびIGKC(immunoglobulin kappa constant)についてはあまり知られていない。
【0007】
さらに、本発明では、9種の転移性胃癌高発現遺伝子と9種の転移性胃癌低発現遺伝子が発見され、これらのうちCD44の過発現は既に胃癌細胞のリンパ節転移と悪性化に重要な役割を果すと知られている[Streitら、J. Mol. Med. 74: 253-268, 1996; Jooら、Anticancer Res. 23: 1581-1588, 2003]。反面、細胞付着物質であって、細胞の浸潤と関わりがあると知られているケラチン8は、本発明の結果では発現が減少する遺伝子として糾明されたが、Sakakuraらは発現が増加する遺伝子として分類した[Sakakuraら、Br. J. Cancer 87: 1153-1161, 2002]。これは、本発明で用いた原発癌性胃癌細胞株の種類が多様であるため異なる結果を示すこともあるが、実際Sakakuraらの研究結果のように、本発明の実験においても原発癌性胃癌細胞株よりもSNU−16細胞株でケラチン8遺伝子の発現が高く現れていることを示している。それ以外の遺伝子は胃癌の転移との関連性が報告されていないもので、現在これらの遺伝子について知られている内容は次の通りである。
【0008】
まず、転移性胃癌細胞株で発現が増加する遺伝子のうち、GADD45b(growth arrest and DNA-damage-inducible gene 45beta)は細胞死滅の際に過発現される信号伝達物質であって、最近肝癌細胞株で正常な肝細胞に比べてGADD45b遺伝子の発現が著しく低いことが報告され、既存に報告されていない癌抑制との関連性を示唆している[Abdollahiら、Oncogene 6: 165-167, 1991; Qiuら、Am. J. Pathol. 162:1961-1974, 2003]。JUN(v-jun sarcoma virus 17 oncogene homolog (avian))は原癌遺伝子(proto-oncogene)中の一つで、細胞内信号伝達物質であり、AP−1という転写活性因子を調節して細胞増殖に関与する[Shaulianら、Nat. Cell. Biol. 4: E131-136, 2002]。この遺伝子の発現は種々の種類の癌細胞において増加されており、特に乳房癌、卵巣癌、血液癌、骨肉腫などの悪性腫瘍に関わりがあると報告されている[Selvamuruganら、Mol. Cell. Biol. Res. Commun. 3: 218-223, 2000; Volmら、Clin. Exp. Metastasis 14: 209-214, 1996; Rossiら、Int. J. Cancer 57: 86-89, 1994; Honokiら、Mol. Carcinog. 7: 111-115, 1993]。しかし、胃癌転移機構と関連性があるという報告はまだされていない。HMGIY(high mobility group protein isoforms I and Y)はDNA結合転写調節因子であって、良性間葉系腫瘍においてこの遺伝子が位置する染色体6p21.3地域の非正常(abnomality)が報告されている[Kazmierczakら、Genes Chromosomes Cancer 23: 279-285, 1998]。
【0009】
しかし、これまでHMGIY遺伝子の発現が他の腫瘍や腫瘍の悪性化に関連するという報告はされていない。GSTP1(Glutathione S-transferase P1)は種々の種類の発癌性(carcinogen)の解毒(detoxification)に関与するGST(Glutathione S-transferase)酵素中の一つで、肺癌、胃癌、乳房癌などの種々の癌において発現量が増加する酵素として知られており、特にこの遺伝子のメチル化(methylation)が胃癌の癌化機構と密接な関わりがあるということが最近報告されている[Howieら、Carcinogenesis 11: 451-458, 1990; Kangら、Lab. Investigation 83: 635-641, 2003]。LMNA(Lamin A/C)遺伝子は核膜タンパク質の一つで、癌化機構における機能はほとんど明らかにされていない[Wydnerら、Genomics 32: 474-478, 1996]。ESRRA(Estrogen-related receptor alpha)遺伝子はヒトの生殖と骨形成に重要なホルモンであるエストロゲンの膜レセプターであって、エストロゲン信号伝達機構に必ず必要なタンパク質でる[Giguere, Trends Endocrinol. Metab. 13: 220-225, 2002]。そして、最近は悪性化された乳房癌患者の治療ターゲット物質としてESRRAの可能性を報告した研究もある[Ariaziら、Cancer Res. 62: 6510-6518, 2002]。PLK(Polo-like kinase)はセリン−トレオニンリン酸化酵素であって、有糸分裂(mitosis)の正確な調節に必要な酵素であり、ヒトの肺癌、頭および首癌、そして大腸癌においてこの遺伝子およびタンパク質の発現が増加すると報告されている[Wolfら、Oncogene 14: 543-549, 1997; Knechtら、Cancer Res. 59: 2794-2797, 1999; Takahashiら、Cancer Sci. 94: 148-152, 2003]。IGFBP3(insulin-like growth factor binding protein 3)は有糸分裂と細胞の死滅を調節するIGF(Insulin-like growth factor)信号伝達システムにおいて重要なタンパク質であり、種々の癌患者の血清中にIGFBP3タンパク質の増加は実際癌の進行を診断するのに重要なタンパク質である[Dealら、J. Clin. Endoclinol. Metab. 86: 1274-1280, 2001; Furstenbergerら、Lancet Oncol. 3: 298-302, 2002]。
【0010】
前述した遺伝子は、原発癌性胃癌細胞株よりも胃癌の転移がなされた複数の細胞に由来する細胞株で発現が増加した遺伝子である。これらのうち、大部分の遺伝子が癌と関わりのある遺伝子であることを証明する研究が行われてきたが、胃癌または胃癌の転移過程における機能的関連性に関する研究はほとんど行われていない実情である。
【0011】
以外にも、本発明では、胃癌転移が進行するにつれて発現が減少する遺伝子を選別して胃癌転移の診断マーカーとして使用しようとした。低発現遺伝子としては、実際胃癌細胞株と胃癌組織でその発現が増加する遺伝子として既に報告されたFKBP1A(FK506 binding protein 1A)とTMSB4X(thymosin, beta 4, X chromosome)は細胞骨格の構成に重要な役割を果たし、PKM2(pyruvate kinase, muscle)とGAPD(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)は糖分解経路の酵素として知られているが、胃癌が悪性化されるにつれてその発現が減少する現象を示した。KRT8(Keratin 8)は、既存の報告によれば、細胞移動(cell migration)と細胞浸潤(cell invasiveness)に関わりのある結合タンパク質である[Martensら、Cancer 87: 87-92, 1999; Sakakuraら、Bri. J. Cancer 87: 1153-1161, 2002]。しかし、本発明では低発現遺伝子として確認された。PTMA(prothymosin-alpha)は有糸分裂に関与する核タンパク質であって、c−myc転写調節因子によって発現が調節される遺伝子として胃癌や胃癌の転移に係わる研究は報告されていない[Szaboら、Hum. Genet. 90: 629-634, 1993; Haggertyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100: 5313-5318, 2003]。ATP5A1(ATP synthase alpha subunit)はミトコンドリアに位置する酵素としてエネルギー代謝に関与し、CALM2(calmodulin 2)はカルシウム信号伝達に重要な役割を果すタンパク質であって、特定癌との関連性があるかどうかは報告されていない。NET1(neuroepithelial cell transforming gene 1)は1996年にChanらが糾明した新しい原癌遺伝子(proto-oncogene)であって、これまで多くの研究が行われていない状態であり、最近子宮頚部癌細胞の分裂にNET1遺伝子の発現が係わっていると報告されている[Chanら、Oncogene 12: 1259-1266, 1996; Wollscheidら、Int. J. Cancer 99: 771-775, 2002]。
【0012】
そこで、本発明者らは、胃癌細胞株、胃癌組織および正常の胃組織と、胃癌の転移がなされた複数の細胞株から製造したcDNAライブラリーの遺伝子塩基配列を分析し、これらの遺伝子の発見頻度に基づいて胃癌および転移性胃癌高発現または低発現される遺伝子を見出し、実時間(real-time)RT−PCRおよび競争的RT−PCR方法によって胃癌および転移性胃癌の高発現遺伝子と低発現遺伝子を確認し、胃癌および転移性胃癌を検出できる新しい胃癌および転移性胃癌遺伝子マーカーを確立することによって本発明を完成した。
【0013】
【非特許文献1】Parkinら著、Int. J. Cancer 80: 827-841, 1999年発行
【非特許文献2】Neugutら著、Semin. Oncol. 23: 281-291, 1996年発行
【非特許文献3】Fang, Chin. Med. J., 81: 193-194, 2001年発行
【非特許文献4】Yokozakiら著、Int. Rev. Cytol. 204: 49-95, 2001年発行
【非特許文献5】Parkら著、Cancer Res. 59: 4257-4260, 1999年発行
【非特許文献6】Berxら著、Hum. Mutat. 12: 226-237, 1998年発行
【非特許文献7】Parkら著、Gastroenterology 119: 691-698, 2000年発行
【非特許文献8】李ら著、Oncogene 19: 4947-4953, 2000年発行
【非特許文献9】Yoshikawaら著、Jpn. J. Cancer Res. 91: 459-463, 2000年発行
【非特許文献10】Shiozakiら著、Int. J. Oncol. 19: 701-707, 2001年発行
【非特許文献11】KirikoshiとKatohKirikoshi、Int. J. Oncol. 21: 655-659, 2002年発行
【非特許文献12】Hasegawaら著、Cancer Res. 62: 7012-7017, 2002年発行
【非特許文献13】Yamazakiら著、Cancer 63: 613-617, 1989年発行
【非特許文献14】Shimadaら著、Cancer 1: 1657-1668, 1999年発行
【非特許文献15】Sakakuraら著、Br. J. Cancer 87: 1153-1161, 2002年発行
【非特許文献16】Wangら著、J. Cancer Res. Clin. Oncol. 128: 547-553, 2002年発行
【非特許文献17】Streitら著、J. Mol. Med. 74: 253-268, 1996年発行
【非特許文献18】Streitら著、Recent Results Cancer Res. 142: 19-50, 1996年発行
【非特許文献19】Tokunagaら著、Cancer 75: 1418-1425, 1995年発行
【非特許文献20】Sakakuraら著、Br. J. Cancer 87: 1153-1161, 2002年発行
【非特許文献21】Weissら著、Oncogene 22: 1872-1879, 2003年発行
【非特許文献22】Parkら著、Cancer Res. 50: 2773-2780, 1990年発行
【非特許文献23】Parkら著、Int. J. Cancer 70: 443-449, 1997年発行
【非特許文献24】Haraら著、Lab. Invest. 78: 1143-1153, 1998年発行
【非特許文献25】Parkら著、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 8772-8776, 1994年発行
【非特許文献26】Baeら著、J Korean Med. Sci. 8: 153-159, 1993年発行
【非特許文献27】Adamsら著、Science 252: 1651-1656, 1991年発行
【非特許文献28】Adamsら著、Nature 377:(Suppl.) 3-174, 1995年発行
【非特許文献29】Hillierら著、Genome Res. 6: 807-828, 1996年発行
【非特許文献30】Marraら著、Nat. Genet. 21:191-194,1999年発行
【非特許文献31】Okuboら著、Nat. Genet. 2: 173-179, 1992年発行
【非特許文献32】Liewら著、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 10645-10649, 1994年発行
【非特許文献33】Maoら著、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 8175-8180, 1998年発行
【非特許文献34】Ryoら著、Nucleic Acids Res. 26: 2586-2592, 1998年発行
【非特許文献35】Sterkyら著、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 13330-13335,1998年発行
【非特許文献36】Ernstら著、Am. J. Pathol. 160: 2169-2180, 2002年発行
【非特許文献37】Mastumotoら著、Int. J. Cancer 74: 482-91, 1997年発行
【非特許文献38】Inkiら著、Br. J. Cancer 70: 319-323, 1994年発行
【非特許文献39】Dayら著、Virchows Arch. 434: 121-125, 1999年発行
【非特許文献40】Jooら著、Anticancer Res. 23: 1581-1588, 2003年発行
【非特許文献41】Abdollahiら著、Oncogene 6: 165-167, 1991年発行
【非特許文献42】Qiuら著、Am. J. Pathol. 162:1961-1974, 2003年発行
【非特許文献43】Shaulianら著、Nat. Cell. Biol. 4: E131-136, 2002年発行
【非特許文献44】Selvamuruganら著、Mol. Cell. Biol. Res. Commun. 3: 218-223, 2000年発行
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【非特許文献63】Wollscheidら著、Int. J. Cancer 99: 771-775, 2002年発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、胃癌組織で特異的に発現される遺伝子の発現程度の測定を用いた胃癌診断方法および診断キットを提供することにその目的がある。
また、本発明は、転移性胃癌組織で特異的に発現される遺伝子の発現程度の測定を用いた転移性胃癌診断方法および診断キットを提供することに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、胃癌特異的遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN, HSPB1,IGKC,SNC73,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2およびIMAGE:4296901(pepsin A)からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に対する発現程度の測定を通じて胃癌を診断する胃癌診断方法および診断キットをその特徴とする。
【0016】
また、本発明は、転移性胃癌特異的遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44,IGFBP3,PKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に対する発現程度の測定を通じて悪性化された胃癌転移を診断する転移性胃癌診断方法および診断キットを他の特徴とする。
【0017】
さらに、本発明に係る胃癌診断キットは、胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN, HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーと、胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,SNC73,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを含む。
【0018】
さらに、本発明に係る胃癌診断キットは、胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN, HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブと、胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,SNC73,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブを含む。
【0019】
また、本発明に係る胃癌診断キットは、胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN, HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体と、胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,SNC73,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体を含む。
【0020】
さらに、本発明に係る転移性胃癌診断キットは、転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上の遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーと、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを含む。
さらに、本発明に係る転移性胃癌診断キットは、転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブと、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブを含む。
【0021】
さらに、本発明に係る転移性胃癌診断キットは、転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体と、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、胃癌の診断に有用な腫瘍マーカーとして正常の胃組織で測定された6種の胃癌低発現遺伝子と胃癌細胞株および胃癌組織で測定された24種の胃癌高発現遺伝子が提供され、前記腫瘍マーカーは患者組織で迅速かつ敏感に定量できるため、胃癌の診断に非常に有効に利用できる。
さらに、本発明は、悪性化された胃癌転移の診断に有用なマーカーとして原発癌性胃癌細胞株で測定された9種の転移性胃癌低発現遺伝子と、転移性胃癌細胞株で測定された9種の転移関連高発現遺伝子が提供され、これらの腫瘍転移マーカー遺伝子は患者組織で迅速かつ敏感に定量して胃癌をはじめとする様々な癌患者の腫瘍の悪性化による転移癌を効果的に診断するのに使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、30種の胃癌マーカー遺伝子、具体的に24種の胃癌特異的高発現遺伝子および6種の胃癌特異的低発現遺伝子の胃癌診断用途を提供する。
また、本発明は、18種の転移性胃癌マーカー遺伝子、具体的に9種の転移性胃癌高発現遺伝子および9種の転移性胃癌特異的低発現遺伝子の転移性胃癌診断用途を提供する。
本発明の胃癌マーカー遺伝子は胃癌組織で高発現できるか、又は低発現できる遺伝子の全長およびその断片を含む。
本発明の転移性胃癌マーカー遺伝子は転移性胃癌組織で高発現できるか、又は低発現できる遺伝子の全長およびその断片を含む。
本発明で確認された胃癌マーカー遺伝子の配列情報を下記表1に示し、転移性胃癌マーカー遺伝子の配列情報を下記表2に示す。










































【0024】
【表1】








【0025】
【表2】

【0026】
本発明では、14種の胃癌細胞株(SNU5,SNU668,SNU16,SNU484,SNU1[3種]、SNU620,SNU719,SNU638,SNU601,SNU216,SNU520,KMS5)、1種の胃癌組織標本(T665307)および4種の正常の胃組織標本(K402,N258215,N669761,N665307)を用いて総19種のcDNAライブラリーを製造し、これらから約65,209個のEST塩基配列を決定し、胃癌試料(胃癌細胞株+胃癌組織)と正常の胃試料(正常の胃組織)で各遺伝子の発見頻度を分析し、胃癌試料で発見頻度が高い24種の胃癌高発現遺伝子、すなわち、発癌候補遺伝子(EEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN, HSPB1)と発見頻度が低い6種の胃癌低発現遺伝子、すなわち、胃癌抑制候補遺伝子(IGKC,SNC73,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A))をそれぞれ選別して胃癌マーカー遺伝子を発見した。
【0027】
また、本発明では、前記で製造した総19種のcDNAライブラリーのうち6種の原発癌性胃癌細胞株(SNU−1[3種],SNU−484,SNU−719,SNU−520)と6種の悪性化された胃癌細胞株から転移された複数の細胞株(SNU−5,SNU−668,SNU−16,SNU−620,SNU−638,SNU−601)から製造された総12種のcDNAライブラリーを選別し、これらから約39,315個のEST塩基配列を決定し、原発癌性胃癌細胞株試料と悪性化された胃癌細胞から転移された複数の細胞株試料において各遺伝子の発見頻度を分析し、転移性胃癌細胞株試料で発見頻度の高い9種の転移性胃癌高発現遺伝子(GADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44,IGFBP3)と発見頻度の低い9種の転移性胃癌低発現遺伝子(PKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2,NET1)をそれぞれ選別して転移性胃癌マーカー遺伝子を発見した。
【0028】
遺伝子発見頻度分析に用いられた胃癌試料および正常の胃試料で本発明の24種の胃癌発癌候補遺伝子と6種の胃癌抑制候補遺伝子の発現量を定量的RT−PCR方法によって比較した結果、胃癌発癌候補遺伝子は胃癌試料で高発現されることが観察され、胃癌抑制候補遺伝子は胃癌試料で低発現されることが観察されることによって、本発明の胃癌マーカー遺伝子と胃癌との関連性が確認された。
また、遺伝子発見頻度分析に用いられた原発癌性胃癌細胞株試料および転移性胃癌細胞株試料で本発明の9種の転移性胃癌高発現遺伝子と9種の転移性胃癌低発現遺伝子の発現量を定量的RT−PCR方法によって比較した結果、転移性胃癌高発現遺伝子は転移性胃癌細胞株試料で高発現されることが観察され、転移性胃癌低発現遺伝子は転移性胃癌細胞株試料で低発現されることが観察されることによって、本発明の転移性胃癌マーカー遺伝子と胃癌転移との関連性が確認された。
【0029】
したがって、胃癌特異的遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN, HSPB1,IGKC,SNC73,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)の遺伝子の発現程度を測定することによって胃癌を診断でき、転移性胃癌特異的遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44,IGFBP3,PKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2,NET1の遺伝子の発現程度を測定することによって胃癌転移を診断できる。
なお、本発明はまた下記の段階を含む胃癌特異的遺伝子の発現程度を測定して胃癌を診断する方法を提供する:
【0030】
(a)試験胃組織において、EEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN, HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(b)正常の胃組織において、EEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN, HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(c)試験胃組織において、IGKC,SNC73,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(d)正常の胃組織において、IGKC,SNC73,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、および
(e)前記(a)によって得られた測定値を前記(b)で得られた測定値と比較し、前記(c)によって得られた測定値を前記(d)で得られた測定値と比較して胃癌であるかどうかを判定する段階。
【0031】
さらに、本発明に係る転移性胃癌特異的遺伝子の発現程度を測定して転移性胃癌を診断する方法を提供する:
(a)試験転移性胃癌組織において、GADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の転移性胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(b)原発癌性胃組織においてGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の転移性胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(c)試験転移性胃癌組織において、PKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の転移性胃癌低発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(d)原発癌性胃組織において、PKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の転移性胃癌低発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、および
(e)前記(a)によって得られた測定値を前記(b)で得られた測定値と比較し、前記(c)によって得られた測定値を前記(d)で得られた測定値と比較して胃癌が転移されたかどうかを判定する段階。
【0032】
本発明の胃癌および転移性胃癌マーカー遺伝子の発現量はマーカー遺伝子またはその断片に対して相補的な塩基配列を有するセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを用いた公知の方法を通じて測定できる。たとえば、実時間RT−PCR、または競争的RT−PCRなどの方法で測定できる。このようなプライマーは、前記マーカー遺伝子のDNA領域中でタンパク質をコーディングするDNA領域の一部または全部の配列が含有され、少なくとも15bp長さのDNAでなければならない。たとえば、下記実施例上の表5〜表7に記載されたプライマーを使用してもよい。本発明において「相補的」とは、少なくとも15個の連続塩基配列において完全に相補的な配列の場合に制限されず、塩基配列上で70%、好ましくは80%以上の相同性があればよい。
【0033】
さらに、本発明の胃癌および転移性胃癌マーカー遺伝子の発現量はマーカー遺伝子またはその断片をプローブとして用いた公知のハイブリダイゼーション反応を通じて測定できる。たとえば、ノーザンハイブリダイゼーション[“Molecular Cloning - A Laboratory Manual”Cold Spring Habor Laboratory, NY, Maniatis, T. at al., 1982, section 7.37-7.52]、In situハイブリダイゼーション[Jacquemierら、Bull Cancer 90: 31-8, 2003]またはマイクロアレイー[Macgregor, Expert Rev Mol Diagn 3: 185-200, 2003]などの方法によって測定できる。プローブは32種の遺伝子の塩基配列を含有する通常200〜1000bpであり、好ましくは400〜800bpの長さを有する。塩基配列は胃癌および転移性胃癌マーカー遺伝子の塩基配列と70%以上の類似性を有していればよい。本発明の胃癌および転移性胃癌マーカー遺伝子のプローブは前記で製造された胃癌および転移性胃癌マーカー遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを用いた遺伝子増幅法(PCR)などの通常の方法によって製造できる。
【0034】
また、前記胃癌および転移性胃癌マーカー遺伝子の発現量は各遺伝子によってコードされるタンパク質の量を測定することによって測定できる。前記方法においてタンパク質は胃癌および転移性胃癌マーカータンパク質に特異的に結合する抗体を用いて通常のELISAおよび免疫沈降法などによって定量化できる。
【0035】
本発明の胃癌および転移性胃癌高発現遺伝子または胃癌および転移性胃癌低発現遺伝子のそれぞれに対する抗体は、各遺伝子を通常の方法に従って発現ベクターにクローニングして前記マーカー遺伝子によってコーディングされるタンパク質を得た後、得られたタンパク質から通常の方法によって製造できる。これには前記タンパク質から誘導されたペプチド断片も含まれ、本発明のペプチド断片としては、少なくとも7個のアミノ酸、好ましくは少なくとも9個のアミノ酸、さらに好ましくは少なくとも12個以上のアミノ酸を含む。本発明の抗体の形態は特に制限されず、ポリクロナール抗体[Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. Jhon Wiley & Sons Section 11.12-11.13]、モノクロナール抗体[Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. Jhon Wiley & Sons Section 11.4-11.11]または抗原結合性を有するものであればそれの一部も本発明の抗体に含まれ、すべての免疫グロブリン抗体が含まれる。さらに、本発明の抗体にはヒト化抗体[Methods in Enzymology 203, 99-121 (1991)]などの特殊抗体も含まれる。
【0036】
本発明の30種の胃癌マーカー遺伝子またはタンパク質は単独または組合せて胃癌診断に使用してもよく、18種の転移性胃癌マーカー遺伝子またはタンパク質は単独または組合せて転移性胃癌診断に使用してもよい。
また、本発明の胃癌および転移性胃癌診断キットは、前記胃癌および転移性胃癌特異的マーカー遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーまたはプローブ以外にRNAまたはポリ(A)+RNA分離試薬をさらに含んでもよく、マイクロアレイーを通じて発現量を調査する場合は前記マーカー遺伝子の固形支持体を含む。
さらに、30種の胃癌マーカー遺伝子は胃癌発癌遺伝子または抑制遺伝子である可能性が高いので、このような標的遺伝子がコーディングするタンパク質に結合する小さい分子の化合物は標的タンパク質を阻害または促進する化合物の候補となり得、これは抗癌剤、治療剤などの医薬品として使用できる。
【0037】
なお、18種の転移性胃癌マーカー遺伝子は転移遺伝子または転移抑制遺伝子である可能性が高いので、このような標的遺伝子がコーディングするタンパク質に結合する小さい分子の化合物は標的タンパク質を阻害または促進する化合物の候補となり得、これは抗癌剤、治療剤などの医薬品として使用できる。
このような化合物をスクリーニングする方法としては、32種の胃癌マーカー遺伝子または18種の転移性胃癌マーカー遺伝子がコーディングするタンパク質をアフィニティー・カラムに固定し、これを被検試料と接触させて精製する方法[Pandyaら、Virus Res 87: 135-143, 2002]、ツーハイブリッド法を用いる方法[Fields, S and Song, O., Nature 340: 245 -246, 1989]、ウェスタンブロッティング法[“Molecular Cloning - A Laboratory Manual”Cold Spring Habor Laboratory, NY, Maniatis, T. et al. (1982) section 18.30-18.74]、ハイスループットスクリーニング(HTS)法[Aviezerら、J Biomol Screen 6: 171-7, 2001]など多数の公知の方法を使用してもよい。スクリーニングに用いる被検試料としては細胞抽出液、遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物、合成ペプチド、天然化合物などがあるが、これに制限されない。
【0038】
(実施例)
以下、本発明を下記実施例によってさらに詳細に説明する。ただし、これらは本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を制限しない。
【実施例1】
【0039】
胃癌細胞株、胃癌組織および正常の胃組織からの総RNA分離
胃癌細胞株であるSNU5,SNU668,SNU16,SNU1,SNU484,SNU620,SNU719,SNU638,SNU601,SNU216,SNU520(韓国細胞株銀行、http://cellbank.snu.ac.kr/)、KMS5(韓国生命工学研究院)は10%FBSを含むRPMI培養液で培養し、1種の胃癌組織標本であるT665307および4種の正常の胃組織標本であるK402,N258215,N669761,N665307(忠南大学の医学部)は外科的に除去された組織から得、分析するまでこれを液体窒素に保管した。
細胞および組織の総RNAはQIAGENキット(RNeasy Maxiキット:cat#75162)を用いて分離した。まず、付着細胞はEDTAとトリプシンを用いて回収した後、150μlのβ−メルカプトエタノール(Mercaptoethanol)を添加した15mlのキット内分解緩衝液に溶解した。一方、組織を約1g取ってβ−メルカプトエタノールを添加した15mlのキット中のRLT緩衝液に溶解し、ホモゲナイザーで粉砕した。試料溶液を3000gで10分間遠心分離して上澄液を分離し、これに15mlの70%EtOHを添加してよく混合した後、3000gで5分間遠心分離して総RNAを膜に付着した。2回の洗浄過程を行った後、1.2mlのRNaseが除去された水を添加して総RNAを溶出、分離した。
【実施例2】
【0040】
EST発見頻度による胃癌および転移性胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子の選別
本発明者は、胃癌および悪性化された転移性胃癌で発現される遺伝子を分析するために、原発癌性胃癌細胞株と転移性胃癌細胞株を含む胃癌細胞株、胃癌組織と正常の胃組織で各種のcDNAライブラリーを構築し、これから無作為にクローンを選別、分析することによってEST発見頻度に基づく胃癌および転移性胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子を選別しようとした。
【0041】
1)cDNAライブラリーの製造
前記実施例1で得られた各試料の総RNA各100μgをBAP酵素反応液(100mM Tris−Hcl(PH7.0)、RNA 2mM DTT、80U Rnasin(promega社))で3UのBAP(Bacterial alkaline Phosphatase, TakaRa)酵素で処理し、次いでTAP(Waco)酵素反応液(50mM sodium acetate (PH5.5)、1mM EDTA、2mM DTT、80U Rnasin(promega))で100UのTAP(Tabbaco acid pyrophosphatase)酵素を反応させた。その後、50mM Tris−HCl(PH7.5)、5mM MgCl2、2mM DTT、0.5mM ATP、26% PEG、100U Rnasin、配列番号1のオリゴリボヌクレオチド40pmole、250U RNA ligase(TakaRa社)の反応を行い、リン酸基を有する未分解のmRNAにのみオリゴマーが添加できるように反応させた。
【0042】
以上の反応で処理した総RNAからオリゴテックス(oligotex)mRNA精製キット(QIAGEN社)を用いてmRNAを分離し、dT17を含有する配列番号2のオリゴマーをプライマーとして用いて1st cDNAを合成した。 その後、 XL PCRキット(Perkin Elmer)およびDNA挿入体の5’−プライマー(配列番号3)と3’−プライマー(配列番号4)を含有するPCR反応槽で1stcDNAを 少量増幅させた。PCR産物をSfiIの酵素で処理した後、アガロースゲル電気泳動を行って1.3kb以上のcDNA断片を分離した。分離されたcDNA断片はTaKaRa連結キットを用いてDraIII酵素で処理したpCNS−D2ベクターに連結した後、電気穿孔法(electroporation)によって大腸菌Top10F’(Invitrogen)菌株に形質転換させてcDNAライブラリーを製造した。
前記方法によって14種の胃癌細胞株cDNAライブラリー、1種の胃癌組織cDNAライブラリーと4種の正常の胃組織cDNAライブラリーを製造した(表3)。


【0043】
各種のcDNAライブラリーの製造およびEST分析
【表3】

【0044】
また、本発明の方法によって製造されたライブラリーのうち、6種の原発癌性胃癌細胞株cDNAライブラリーと6種の転移性胃癌細胞株cDNAライブラリーは表4の通りである。















【0045】
各種のcDNAライブラリーの製造およびEST分析
【表4】

【0046】
2)cDNA塩基配列の決定およびデータ分析
製作したcDNAライブラリーを、アンピシリン(100μg/ml)を含有するLB寒天培地に塗抹して多数のcDNAクローンを培養した。培養されたクローンの塩基配列を分析するためにMWG 96 well plasmid prep systemでプラスミドDNAを分離し、自動化塩基配列決定機であるABI 3700で塩基配列分析を行った。決定されたDNAデータの類似性検索はBLASTNを用いてUni Geneデータベース(Hs. seq. all, build #151)で行った。
前記表3の19種の胃癌関連cDNAライブラリーにおいて約65,209個のEST塩基配列を決定し、UniGeneデータベースで分析を行った結果、総19,762種の遺伝子が発見された。各ライブラリー別の決定されたEST数と発見された遺伝子の種類は前記表3に示した通りである。
製造されたライブラリーのうち、原発癌性胃癌細胞株ライブラリーと転移性胃癌細胞株ライブラリーを含む前記表4の総12種のcDNAライブラリーにおいて約39,315個のEST塩基配列を決定し、UniGeneデータベースで分析を行った結果、総15,242種の遺伝子が発見された。各ライブラリー別の決定されたEST数と発見された遺伝子の種類は前記表4に示した通りである。
【0047】
3)遺伝子発見頻度分析
14種の胃癌細胞株cDNAライブラリーと1種の胃癌組織cDNAライブラリーは胃癌試料(cancer pool)に、3種の正常の胃組織cDNAライブラリーは正常の胃試料(normal pool)に大きく2つに分類した。
また、6種の原発癌性胃癌細胞株cDNAライブラリーを原発癌性胃癌試料に、6種の転移性胃癌細胞株cDNAライブラリーは転移性胃癌試料に大きく2つに分類した。
各遺伝子の発見頻度は各々の試料で発見された特定の遺伝子の数を発見された総遺伝子数の比として示した。また、各ライブラリーにおける各遺伝子の発見頻度は各ライブラリーで発見された特定の遺伝子の数を発見された総遺伝子数の比で計算し、これを色として示した。
前記のような分析によって、胃癌試料で発見頻度が増加する24種の高発現遺伝子と発見頻度が減少する低発現遺伝子6種が各々選別された(図1)。
また、前記のような分析によって、転移性胃癌細胞株試料における発見頻度が増加する9種の高発現遺伝子と発見頻度が減少する低発現遺伝子9種が各々選別された(図2)。
【実施例3】
【0048】
RT−PCR反応による選別された標的遺伝子の発現量の分析
前記で選別された胃癌高発現遺伝子と胃癌低発現遺伝子の発現量および転移性胃癌高発現遺伝子と転移性胃癌低発現遺伝子の発現量をRT−PCR方法を通じて定量的に分析した。

1)逆転写酵素反応
前記実施例1で分離した総17種の総RNA各々5μgを用いて下記の逆転写反応緩衝液で42℃、60分間反応させて総17種の1st cDNAを合成した。その後、70℃加熱ブロック(heating block)で15分間反応させることによってcDNA合成を終了した。
poly dT(12-18)プライマー(0.4μg/μl) 1μl
5X first-strand buffer 4μl
10mM dNTP混合物 1μl
0.1M DTT 2μl
RNaseOUT(40U/μl) 1μl
逆転写酵素(200U/μl) 1μl
総RNA(5μg) Xμl
蒸留水 (10−X)μl
合計 20μl
【0049】
2)実時間PCR反応によるcDNAの増幅および発現量の確認
a)実時間PCR反応によるcDNAの増幅
実時間PCRは、FastStart-DNA Master SYBR Green Iキット(Roche社、スイス)を用いて行い、全反応量を総20μlとした。すなわち、各遺伝子のセンスおよびアンチセンスプライマーを含有する次の実時間PCR反応液に前記1)の逆転写酵素反応で合成したcDNAを1/500に希釈して2μlずつ添加した。下記表5に記載された14種の胃癌高発現遺伝子と3種の胃癌低発現遺伝子のPCRプライマーはタンパク質コーディング領域内部でデザインし、各プライマーの長さは17〜20bp、GC含量は50〜70%程度である(ジェノテック、韓国)。PCR反応は95℃(15秒)、55℃(5秒)、72℃(30秒)の条件で45回行った。
cDNA(0.5ng/μl) 2μl
25mM MgCl2 0.8μl
センスプライマー(5pmole/μl) 2μl
アンチセンスプライマー(5pmole/μl) 2μl
SYBR Green I重合酵素混合物 2μl
蒸留水 11.2μl
総 20μl





【0050】
実時間PCRに用いた各胃癌マーカー遺伝子のプライマー
【表5】

【0051】
マーカー遺伝子を定量するための標準遺伝子としてβ2マイクログロブリン(B2M)を用いた。すなわち、1.2μgのB2M DNAを原液および1/10,1/100,1/1000,1/10000に希釈し、これを各々2μlずつ用いて前記のような実時間PCRを行い、増幅されたPCR産物からB2M量の標準化グラフを作成した。これを用いてマーカー遺伝子のPCR産物からマーカー遺伝子の量を定量化した。B2MのPCR反応の際に各々5’−プライマー(配列番号39)および3’−プライマー(配列番号40)を用いた。このプライマーは、B2M遺伝子塩基配列のうちタンパク質コーディング領域内のDNA塩基配列部でデザインした。
【0052】
b)実時間PCR反応による発現量の確認
実時間RT−PCRによって増幅されたマーカー遺伝子のPCR産物の量は、標準遺伝子のPCR産物の量(3回行って得られたB2Mの平均量)で割った。その後、高発現遺伝子の発現量は、胃癌組織で発現される標的遺伝子の量を正常の胃組織で発現される標的遺伝子の発現量の平均量に対する比率として示し、低発現遺伝子の発現量は、正常の胃組織で発現される標的遺伝子の量を胃癌細胞株および胃癌組織で発現される標的遺伝子の発現量の平均量に対する比率として図3に示す(S14,S17,S18,S19:正常の胃組織,S1,S2,S3,S5,S6,S7,S8,S9,S10,S12,S13,S21:胃癌細胞株、S20:胃癌組織)。
その結果、胃癌で発見頻度が高い胃癌高発現遺伝子(実施例2の3)データ)の実時間RT−PCR産物の量は胃癌試料で高く、胃癌で発見頻度が低い胃癌低発現遺伝子のRT−PCR産物の量は胃癌試料で低く現れた。すなわち、EEFA1A,FKBP1A,PKM2,LDHA,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,ACTB,HSPCA,HSPB1遺伝子は胃癌発癌マーカーとしての有用性が明らかになり、これとともにIGKC,SNC73,IMAGE:4296901(pepsin A)遺伝子は胃癌抑制マーカーとして使用可能であることが明らかになった。
【0053】
3)競争的(Competitive)RT−PCRを用いたcDNAの増幅および発現量確認
a)競争的RT−PCRのための鋳型の濃度補正
本実験では、マーカー遺伝子を定量するための標準遺伝子としてB2M遺伝子を用いた。
標準遺伝子とプライマーのプライミング部分は同じであるが、PCR産物のサイズが異なる競争DNA(competitor)を標準遺伝子とともにPCR反応を行って、試料間の標準遺伝子の発現量と競争DNAの発現量が同一な濃度を見出し、PCRに用いられる各鋳型の濃度が同一になるように試料の濃度を補正した。
B2M競争DNAは3μlのpCNSベクターDNA(2ng)、10μlの5x PCR premix(バイオニア社)、1μlの5’−プライマー(20pmole:配列番号41)、1μlの3’−プライマー(20pmole:配列番号42)、35μlの蒸留水を含有する50μlの反応液でPCR反応を行って製造した。この際、PCR反応は94℃(30秒)、50℃(30秒)、72℃(30秒)の条件で30回行い、B2M競争DNAであるPCR産物の長さは322bpであった。
【0054】
調製したB2M競争DNAを7/108,1/107,3/107,7/107,1/106,3/106の6段階に希釈した後、2μlを前記実施例3の1)逆転写酵素反応液(逆転写反応に用いられたRNAの10ngに該当する量)と各々混合した後、4μlの5X Taq DNA重合酵素混合液、2μlのB2Mプライマー(5pmole/μl)(配列番号39および40)、8μlの蒸留水を含有する総20μlの6個のPCR反応液を用いて競争的PCRを行った。この際、PCR反応は94℃(40秒)、55℃(1分)、72℃(1分)の条件で25回ずつ行った。
PCR産物を3%アガロースゲルに3μlずつローディングして100Vで30分間電気泳動させた後、Frog(商標)機械(ゲルイメージ分析システム)[Core Bio社]を用いてゲル写真を撮影した。最終的に得られたゲルバンドイメージファイル(.tif)をToltalLab v1.0プログラム(NonLinear Dynamix Ltd.)を用いて、二つのバンド(B2M競争DNAでは322bp、本来B2M遺伝子では390bp)の同様な感度が同様な濃度を選別、定量化した後、各試料の濃度を補正した。
【0055】
b)RT−PCRを用いたcDNAの増幅
前記a)で補正した試料のcDNAを胃癌マーカー遺伝子のセンスおよびアンチセンスプライマーを含有する表6のPCR反応液と転移性胃癌マーカー遺伝子のセンスおよびアンチセンスプライマーを含有する表7のPCR反応液で増幅させた。この際、PCR反応は94℃(1分)、55℃(30秒)、72℃(1分)の条件で25回ずつ行った。
下記表6の遺伝子と表7の遺伝子のプライマーは、タンパク質コーディング領域内部でデザインし、各プライマーの長さは17〜20bp、GC含量は50〜70%程度である(コアバイオシステム、韓国)。以下にPCR反応液の組成を示す。
Cdna 5μl
5X PCR反応mix(バイオニア、韓国) 3μl
センスプライマー(10pmole/μl) 1μl
アンチセンスプライマー(10pmole/μl) 1μl
蒸留水 5μl
総 15μl




【0056】
競争的PCRに用いた各胃癌マーカー遺伝子のプライマー
【表6】

【0057】
競争的PCRに用いた各転移性胃癌マーカー遺伝子のプライマー
【表7】

【0058】
c)競争的PCRを用いた発現量の確認
PCR反応によって増幅されたPCR産物を確認するために、PCR反応液を2%のアガロースゲルに100Vで30分間電気泳動させた後、PCR産物を前記実施例3−3)−a)と同様にToltalLab v1.0プログラム(NonLinear Dynamix Ltd.)を用いて定量化した。
その結果、図4に示すように、胃癌で発見頻度が高い胃癌高発現遺伝子(実施例2の3)データ)の競争的RT−PCR産物の量は胃癌試料で高く、胃癌で発見頻度が低い胃癌低発現遺伝子の競争的RT−PCR産物の量は胃癌試料で低く現れた。すなわち、10種の胃癌発癌候補遺伝子であるTMSB4X,RPL4,TUBA6,HMGIY,ATF4,JUN, ARF1,PYCR1,SURF4,SH3GLB2 は胃癌発癌マーカーとして有用であることが明らかになり、これとともに3個の非腫瘍遺伝子CD74,AGR2,LOC131177(FAM3D)は胃癌抑制マーカーとして使用可能であることが確認された。
また、図5に示すように、転移性胃癌細胞株で発見頻度が高い高発現遺伝子の競争的RT−PCR産物の量は転移性胃癌細胞株試料で高く、転移性胃癌細胞株で発見頻度が低い低発現遺伝子の競争的RT−PCR産物の量は転移性胃癌細胞株試料で低く現れた。すなわち、9種の転移性胃癌高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44,IGFBP3および転移性胃癌低発現遺伝子PKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2,NET1は転移性胃癌マーカーとして使用可能であることが確認された。
【実施例4】
【0059】
臨床試料における胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現量および転移性胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現量の確認を通じての胃癌および転移性胃癌診断
本実験では、忠南大学の医学部で提供した4名の胃癌疑い患者から直接採取した試験組織/正常の組織(各々T1〜T4およびN1〜N4)の対となっている4種の臨床試料(376454,663593,668217,670500)において、胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現量を確認した。胃癌高発現遺伝子のうちFKBP1A,LDHA,HSPCB,TUBA6遺伝子を、胃癌低発現遺伝子のうちSNC73,IGKC,LOC131177(FAM3D),CD74遺伝子を任意的に選別して競争的RT−PCR法を用いて行った。
また、忠南大学の医学部で提供した10名の原発癌性胃癌患者(E1〜E10)と7名の転移性胃癌患者(A1〜A7)から直接採取した臨床試料において、転移性胃癌高発現遺伝子のうちJUN,GSTP1,LMNA,CD44遺伝子を、転移性胃癌低発現遺伝子のうちPKM2,FKBP1A,GAPD,ATP5A1遺伝子を任意的に選別して各遺伝子の発現量を競争的RT−PCR法を用いて確認した。
【0060】
1)総RNA分離および逆転写酵素反応
前記実施例1と同様な方法で総RNAを分離し、前記実施例3の1)と同様に各試料の総RNA5μgを用いて42℃で60分間逆転写反応を行うことによって、胃癌臨床試料からは総8種の1st cDNAを合成し、転移性胃癌臨床試料からは総17種の1st cDNAを合成した。その後、70℃heating blockで15分間反応させることによってcDNA合成を終了した。
【0061】
2)競争的PCRを用いた各胃癌遺伝子の発現量の確認
前記実施例3−3)−a)と同様な方法でPCRに用いられる各鋳型の濃度が同一になるように試料の濃度を補正した。すなわち、最も低い濃度で定量されたT1、N4およびT4の4/107の濃度を基準として、残りの5個の試料の濃度を蒸留水で希釈して補正した。補正した試料の逆転写反応液を10μlずつ鋳型として用いて各遺伝子のセンスおよびアンチセンスプライマーを含有する総15μlのPCR反応液で増幅させた。この際、PCR反応は94℃(1分)、55℃(30秒)、72℃(1分)の条件で30回ずつ行った。用いられたプライマーは前記表5と表6の通りである。増幅されたPCR産物を確認するために、PCR反応液の全てを2%のアガロースゲルに100Vで30分間電気泳動させた後、PCR産物を前記実施例3−3)−a)と同様にToltalLab v1.0プログラム(NonLinear Dynamix Ltd.)を用いて定量化した。
その結果、図6に示すように、胃癌高発現遺伝子であるFKBP1A,LDHA,HSPCB,TUBA6遺伝子の競争的RT−PCR産物の量は、同一患者から採取した正常の胃組織よりも大部分の試験癌組織でさらに高く、胃癌低発現遺伝子であるSNC73,IGKC,LOC131177(FAM3D)、CD74遺伝子の競争的RT−PCR産物の量は試験組織よりも大部分の正常の胃組織でさらに低く現れた。すなわち、4つの(T1〜T4)試験組織はいずれも胃癌として判定され、これは従来の臨床学的胃癌検査結果(T1:胃癌段階IV、T2:胃癌段階IIIA、T3とT4:胃癌段階II)と一致した。
【0062】
3)競争的PCRを用いた各転移性胃癌遺伝子の発現量の確認
前記実施例3−3)−a)と同様な方法でPCRに用いられる各鋳型の濃度が同一になるように試料の濃度を補正した。すなわち、最も低い濃度の試料を基準として残りの13個の試料の濃度を希釈した。遺伝子の種類によって鋳型として用いられた試料の濃度が異なるが、少なくとも1st cDNAの1/50希釈した濃度の試料を用いた。補正した試料の逆転写反応液を2μlずつ鋳型として用いて各遺伝子のセンスおよびアンチセンスプライマーを含有する総15μlのPCR反応液で増幅させた。この際、PCR反応は94℃(30秒)、55℃(1分)、72℃(1分)の条件で25回ずつ行った。用いられたプライマーは前記表7に示した通りである。増幅されたPCR産物を確認するために、PCR反応液の全てを2%のアガロースゲルに100Vで30分間電気泳動させた後、PCR産物を前記実施例3−3)−a)と同様にToltalLab v1.0プログラム(NonLinear Dynamix Ltd.)を用いて定量化した。その結果は、図7に示すように、転移性胃癌高発現遺伝子であるJUN,GSTP1,LMNA、そしてCD44の発現量は原発癌性胃癌組織よりも転移性胃癌組織で平均的にさらに高く、転移性胃癌低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,GAPD,ATP5A1の発現量は原発癌性胃癌組織よりも転移性胃癌組織で平均的に低く現れた。すなわち、17個(E1〜E10およびA1〜A7)の試験組織はいずれも胃癌組織であり、10個の原発癌性胃癌組織は胃癌段階IAであり、7個の転移性胃癌組織は胃癌段階IVに該当する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】胃癌遺伝子の発見頻度を分析した結果を示す。
【図2】転移性胃癌遺伝子の発見頻度を分析結果を示す。
【図3】各種の試料における胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現程度を実時間RT−PCR方法を行って示したものである[(a)〜(n)は高発現遺伝子を、(o)〜(q)は低発現遺伝子を示す。X軸は各種の試料を示したものであって、S14,S17,S18,S19は正常の胃組織、S1,S2,S3,S5,S6,S7,S8,S9,S10,S12,S13,S21は胃癌細胞株であり、S20は胃癌組織である。Y軸は各種の試料における標的遺伝子の発現量を示したものであって、高発現遺伝子の発現量は正常の胃組織で発現される発現量の平均量に対する比率として示し、低発現遺伝子の発現量は胃癌細胞株および胃癌組織で発現される発現量の平均量に対する比率として示したものである。各遺伝子の発現量は各種の試料で発現されるB2Mの発現量で割った値である]。
【図4】各種の試料における胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現程度を競争的(competitive)RT−PCR方法を行って示したものである[(a)〜(l)は高発現遺伝子を、(m)〜(o)は低発現遺伝子を示す。X軸は各種の試料を示したものであって、S14,S18,S19は正常の胃組織、S1,S2,S3,S5,S6,S7,S8,S9,S10,S12,S13,S21は胃癌細胞株であり、S20は胃癌組織である。Y軸は各種の試料における標的遺伝子の発現量を示したものであって、高発現遺伝子の発現量は正常の胃組織で発現される発現量の平均量に対する比率として示し、低発現遺伝子の発現量は胃癌細胞株および胃癌組織で発現される発現量の平均量に対する比率として示したものである。各遺伝子の発現量は各種の試料で発現されるB2Mの発現量で割った値である]。
【図5】各種の試料における転移性胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現程度を競争的(competitive)RT−PCR法を行って示したものである[(a)〜(i)は高発現遺伝子、(j)〜(r)低発現遺伝子、X軸は各種の試料を示したものであって、S10,S5,S7,S21は原発癌性胃癌細胞株であり、S1,S2,S3,S6,S8,S9は転移性胃癌細胞株である。Y軸は各種の試料における標的遺伝子の発現量を示したものであって、高発現遺伝子の発現量は原発癌性胃癌細胞株で発現される発現量の平均量に対する比率として示し、低発現遺伝子の発現量は転移性胃癌細胞株で発現される発現量の平均量に対する比率として示したものである。各遺伝子の発現量は各種の試料で発現されるB2Mの発現量で割った値である]。
【図6】胃癌臨床試料における胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現程度を競争的(competitive)RT−PCR方法を行って示したものである[(a)〜(d)は高発現遺伝子を、(e)〜(h)は低発現遺伝子を示す。X軸は4名の胃癌患者から採取した臨床試料を示すものであって、N1,N2,N3,N4は正常の胃組織、T1,T2,T3,T4は胃癌組織である。Y軸は臨床試料における標的遺伝子の発現量を示すものであって、各遺伝子の発現量を臨床試料で発現されるB2Mの発現量で割った値である]。
【図7】転移性胃癌臨床試料における転移性胃癌高発現遺伝子と低発現遺伝子の発現程度を競争的RT−PCR方法で確認した結果である[(a)〜(d)は高発現遺伝子を、(e)〜(h)は低発現遺伝子を示す。X軸は10名の原発癌性胃癌患者と7名の転移性胃癌患者から採取した臨床試料を示すものであって、E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7,E8,E8,E9,E10は原発癌性胃癌組織であり、A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7は転移性胃癌組織である。Y軸は臨床試料における標的遺伝子の発現量を示すものであって、各遺伝子の発現量を臨床試料で発現されるB2Mの発現量で割った値である]。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)手術によって除去された試験胃組織において、EEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X,PYCR1,ATF4,JUN,HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(b)手術によって除去された正常の胃組織において、EEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X,PYCR1,ATF4,JUN, HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(c)手術によって除去された試験胃組織において、IGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(d)手術によって除去された正常の胃組織において、IGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、および
(e)前記(a)によって得られた測定値を前記(b)で得られた測定値と比較し、前記(c)によって得られた測定値を前記(d)で得られた測定値と比較して胃癌であるかどうかを判定する段階を含むことを特徴とする胃癌診断方法。
【請求項2】
前記遺伝子の発現量を実時間RT−PCRまたは競争的RT−PCRを通じて特定することを特徴とする請求項1記載の胃癌診断方法。
【請求項3】
(a)手術によって除去された試験転移性胃癌組織において、GADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の転移性胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(b)手術によって除去された原発癌性胃組織において、GADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の転移性胃癌高発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(c)手術によって除去された試験転移性胃癌組織において、PKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の転移性胃癌低発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、
(d)手術によって除去された原発癌性胃組織において、PKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の転移性胃癌低発現遺伝子の発現量またはタンパク質の量を測定する段階、および
(e)前記(a)によって得られた測定値を前記(b)で得られた測定値と比較し、前記(c)によって得られた測定値を前記(d)で得られた測定値と比較して胃癌が転移されたかどうかを判定する段階を含むことを特徴とする転移性胃癌診断方法。
【請求項4】
前記遺伝子の発現量を実時間RT−PCRまたは競争的RT−PCRを通じて測定することを特徴とする請求項3記載の転移性胃癌診断方法。
【請求項5】
胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN,HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスおよびアンチセンスプライマー、および胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを含むことを特徴とする胃癌診断キット。
【請求項6】
前記プライマーが15bp以上のDNAであることを特徴とする請求項5記載の胃癌診断キット。
【請求項7】
胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X,PYCR1,ATF4,JUN,HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブ、および胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブを含むことを特徴とする胃癌診断キット。
【請求項8】
前記プローブを用いたハイブリダイゼーション反応を通じて前記遺伝子の発現量を測定することを特徴とする請求項7記載の胃癌診断キット。
【請求項9】
前記プローブが200〜1000bpであることを特徴とする請求項7または8記載の胃癌診断キット。
【請求項10】
胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X,PYCR1,ATF4,JUN,HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体、および胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体を含むことを特徴とする胃癌診断キット。
【請求項11】
抗原−抗体結合反応を通じて前記タンパク質の発現程度を測定することを特徴とする請求項10記載の胃癌診断キット。
【請求項12】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーと、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスおよびアンチセンスプライマーを含むことを特徴とする転移性胃癌診断キット。
【請求項13】
前記プライマーが15bp以上のDNAであることを特徴とする請求項12記載の転移性胃癌診断キット。
【請求項14】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブと、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブを含むことを特徴とする転移性胃癌診断キット。
【請求項15】
前記プローブを用いたハイブリダイゼーション反応を通じて前記遺伝子の発現量を測定することを特徴とする請求項14記載の転移性胃癌診断キット。
【請求項16】
前記プローブが200〜1000bpであることを特徴とする請求項14または15記載の転移性胃癌診断キット。
【請求項17】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体と転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体を含むことを特徴とする転移性胃癌診断キット。
【請求項18】
抗原−抗体結合反応を通じて前記タンパク質の発現程度を測定することを特徴とする請求項17記載の転移性胃癌診断キット。
【請求項19】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体と、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体を含むことを特徴とする転移性胃癌診断キット。
【請求項20】
胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN,HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質、および胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質に試験化合物を結合させ、試験化合物が前記タンパク質の作用を促進または抑制するかを確認することを特徴とする胃癌抑制剤のスクリーニング方法。
【請求項21】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質と、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質に試験化合物を結合させ、試験化合物が前記タンパク質の作用を促進または抑制するかを確認することを特徴とする転移性胃癌抑制剤のスクリーニング方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN,HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスおよびアンチセンスプライマー、および胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを含むことを特徴とする胃癌診断キット。
【請求項2】
前記プライマーが15bp以上のDNAであることを特徴とする請求項1記載の胃癌診断キット。
【請求項3】
胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X,PYCR1,ATF4,JUN,HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブ、および胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブを含むことを特徴とする胃癌診断キット。
【請求項4】
前記プローブを用いたハイブリダイゼーション反応を通じて前記遺伝子の発現量を測定することを特徴とする請求項3記載の胃癌診断キット。
【請求項5】
前記プローブが200〜1000bpであることを特徴とする請求項3または4記載の胃癌診断キット。
【請求項6】
胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X,PYCR1,ATF4,JUN,HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体、および胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体を含むことを特徴とする胃癌診断キット。
【請求項7】
抗原−抗体結合反応を通じて前記タンパク質の発現程度を測定することを特徴とする請求項6記載の胃癌診断キット。
【請求項8】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーと、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子のセンスおよびアンチセンスプライマーを含むことを特徴とする転移性胃癌診断キット。
【請求項9】
前記プライマーが15bp以上のDNAであることを特徴とする請求項8記載の転移性胃癌診断キット。
【請求項10】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブと、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子に相補的なプローブを含むことを特徴とする転移性胃癌診断キット。
【請求項11】
前記プローブを用いたハイブリダイゼーション反応を通じて前記遺伝子の発現量を測定することを特徴とする請求項10記載の転移性胃癌診断キット。
【請求項12】
前記プローブが200〜1000bpであることを特徴とする請求項10または11記載の転移性胃癌診断キット。
【請求項13】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体と転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体を含むことを特徴とする転移性胃癌診断キット。
【請求項14】
抗原−抗体結合反応を通じて前記タンパク質の発現程度を測定することを特徴とする請求項13記載の転移性胃癌診断キット。
【請求項15】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体と、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質を認識する抗体を含むことを特徴とする転移性胃癌診断キット。
【請求項16】
胃癌特異的高発現遺伝子であるEEFA1A,TUBA6,FKBP1A,PKM2,LDHA,RPL4,ARF1,SURF4,KRT8,GAPD,HSPCB,PGK1,HMGIY,K−ALPHA−1,FTH1,HSPA8,SH3GLB2,ACTB,HSPCA,TMSB4X, PYCR1,ATF4,JUN,HSPB1およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質、および胃癌特異的低発現遺伝子であるIGKC,CD74,LOC131177(FAM3D),AGR2,IMAGE:4296901(pepsin A)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質に試験化合物を結合させ、試験化合物が前記タンパク質の作用を促進または抑制するかを確認することを特徴とする胃癌抑制剤のスクリーニング方法。
【請求項17】
転移性胃癌特異的高発現遺伝子であるGADD45B,JUN,HMGIY,GSTP1,LMNA,ESRRA,PLK,CD44およびIGFBP3からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質と、転移性胃癌特異的低発現遺伝子であるPKM2,FKBP1A,KRT8,TMSB4X,GAPD,ATP5A1,PTMA,CALM2およびNET1からなる群から選ばれる一つ以上の遺伝子によってコードされるタンパク質に試験化合物を結合させ、試験化合物が前記タンパク質の作用を促進または抑制するかを確認することを特徴とする転移性胃癌抑制剤のスクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−526998(P2006−526998A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516902(P2006−516902)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000677
【国際公開番号】WO2005/001126
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(503312169)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (2)
【Fターム(参考)】