説明

腫瘍関連抗原を発現する癌に対するペプチドワクチン

【課題】免疫療法の適用可能な標的癌を治療または予防する方法の提供。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を有する細胞障害性T細胞誘導能を有するアミノ酸約15個未満の単離されたペプチド。CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌を治療または予防するための薬物。該ペプチドは、ワクチンとしてさらに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年2月21日に出願された米国特許仮出願第60/902,949号の恩典を主張し、その開示内容全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、生物科学の分野、より具体的には癌療法の分野に関する。特に、本発明は、癌ワクチンとして極めて有効に働く新規な免疫原性ペプチド、ならびにそのようなペプチドを含む、腫瘍を治療および予防するための薬物に関する。
【背景技術】
【0003】
CD8+細胞障害性Tリンパ球(CTL)が、MHCクラスI分子上に提示される腫瘍関連抗原(TAA)に由来するエピトープペプチドを認識し、続いて腫瘍細胞を溶解することが実証された。MAGEファミリーがTAAの最初の例として発見されて以来、他の多くのTAAが免疫学的アプローチによって発見された(Boon T.(1993)Int J Cancer 54:177-80;Boon T. et al.,(1996)J Exp Med 183:725-9;van der Bruggen P et al.,(1991)Science 254:1643-7;Brichard V et al.,(1993)J Exp Med 178:489-95;Kawakami Y et al.,(1994)J Exp Med 180:347-52)。これらのうちいくつかは、現在、免疫療法の標的として臨床開発中である。今日までに発見されたTAAには、MAGE(van der Bruggen P et al.,(1991)Science 254:1643-7)、gp100(Kawakami Y et al.,(1994)J Exp Med 180:347-52)、SART(Shichijo S et al.,(1998)J Exp Med 187:277-88)、およびNY-ESO-1(Chen Y.T. et al.,(1997)Proc. Natl. Acd. Sci. USA, 94:1914-8)が含まれる。その一方で、腫瘍細胞でいくらか特異的に過剰発現されることが実証されたいくつかの遺伝子産物は、細胞性免疫応答を誘導するための標的として認識されることが示された。このような遺伝子産物には、p53(Umano Y et al.,(2001)Br J Cancer, 84:1052-7)、HER2/neu(Tanaka H et al.,(2001)Br J Cancer, 84:94-9)、およびCEA(Nukaya I et al.,(1999)Int. J. Cancer 80, 92-7)などが含まれる。
【0004】
TAAに関する基礎的かつ臨床的な研究において著しい進歩があるものの(Rosenberg SA et al.,(1998)Nature Med, 4:321-7;Mukherji B. et al.,(1995)Proc Natl Acad Sci USA, 92:8078-82:Hu X et al.,(1996)Cancer Res, 56:2479-83)、癌の治療に適した候補TAAは、ごく限られた数しか現在利用可能ではない。癌細胞で大量に発現され、その発現が癌細胞に限られているTAAは、免疫療法の標的として有望な候補であると考えられる。
【0005】
HLA-A24およびHLA-A0201の両方とも、日本人集団および白人集団において共通なHLA対立遺伝子である(Date Y et al.,(1996)Tissue Antigens 47:93-101;Kondo A et al.,(1995)J Immunol 155:4307-12;Kubo RT et al.,(1994)J Immunol 152:3913-24;Imanishi et al., Proceeding of the eleventh International Histocompatibility Workshop and Conference Oxford University Press, Oxford, 1065(1992);Williams F et al.,(1997)Tissue Antigen 49:129-33)。したがって、これらのHLA対立遺伝子によって提示される癌の抗原ペプチドは、日本人患者および白人患者において癌を治療する際に特に有用であり得る。さらに、インビトロでの低親和性CTLの誘導は、通常、これらのCTLを効果的に活性化すると考えられる高レベルの特異的ペプチド/MHC複合体を抗原提示細胞(APC)上で生成する、高濃度のペプチドへの曝露の結果として生じることが公知である(Alexander-Miller et al.,(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93:4102-7)。
【0006】
最近では、アルゴリズムを用いて、HLAクラスI結合ペプチド配列を予想することができる(Jounal of Immunological Methods,(1995)、185巻、181〜190頁、J. Immunol.,(1994)、152巻、163〜175頁、protein science,(2000)、9巻、1838〜1846頁)。しかしながら、予想されたエピトープペプチドが、特定のサイズに切断され、HLA分子と共に標的細胞表面上で発現され、かつCTLによって認識され得るとは言い難い。さらに、アルゴリズム、例えばBIMAS(http://bimas.dcrt.nih.gov/cgi-bin/molbio/ken_parker_comboform)(Parker KC, et al.,(1994)J Immunol.;152(1):163-75;Kuzushima K, et al.,(2001)Blood.;98(6):1872-81))により、HLA分子結合ペプチドを示すことができるが、示されるペプチドはそれほど正確ではない(Bachinsky MM, et. al., Cancer Immun. 2005 Mar 22;5:6)。したがって、TAAスクリーニングには、依然として、多くの課題および困難が残っている。
【0007】
cDNA マイクロアレイ技術の最近の発展により、正常細胞と比べた、悪性細胞における遺伝子発現の包括的プロファイルの作成が可能になった(Okabe, H. et al.,(2001)Cancer Res., 61, 2129-37;Lin YM. et al.,(2002)Oncogene, 21;4120-8;Hasegawa S. et al.,(2002)Cancer Res 62:7012-7)。このアプローチにより、癌細胞の複雑な性質および発癌のメカニズムをより完全に理解することが可能になり、かつ、腫瘍において発現が脱制御されている遺伝子の同定が容易になる(Bienz M. et al.,(2000)Cell 103, 311-20)。癌において上方制御されていることが特定された転写物のうちでは、CDH3(GenBankアクセッション番号NM_001793;SEQ ID NO:1、2)、EPHA4(GenBankアクセッション番号L36645;SEQ ID NO:3、4)、ECT2(GenBankアクセッション番号AY376439;SEQ ID NO:5、6)、HIG2(GenBankアクセッション番号NM_013332;SEQ ID NO:7、8)INHBB(GenBankアクセッション番号NM_002193;SEQ ID NO:9、10)、KIF20A(GenBankアクセッション番号NM_005733;SEQ ID NO:11、12)、KNTC2(GenBankアクセッション番号AF017790;SEQ ID NO:13、14)、TTK(GenBankアクセッション番号NM_003318;SEQ ID NO:15、16)、およびURLC10(GenBankアクセッション番号NM_017527;SEQ ID NO:17、18)が最近発見された。参考文献の内容全体は、参照により本明細書に組み入れられる。これらの遺伝子は、本発明者らにとって特に興味深く、解析した症例の様々な癌組織の腫瘍細胞において特異的に上方制御されている(下記を参照されたい)。したがって、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10に由来する免疫原性ペプチドは、このような抗原を発現する腫瘍細胞を選択的に死滅させる際に有用な場合がある。本発明は、これらおよび他の必要性に対処する。
【0008】
M-VACのような細胞障害性薬物は、重度の有害反応をしばしば引き起こすため、十分に特徴付けられている作用メカニズムに基づいて新規な標的分子を慎重に選択することが、副作用のリスクを最小限に抑えた有効な抗癌薬物を開発する際に非常に役立つことは明らかである。この目標に向けて、発現プロファイル解析が、様々な癌および正常なヒト組織において以前に実施された。このような研究により、癌において特異的に過剰発現される多数の遺伝子が発見された(Lin YM, et al., Oncogene. 2002 Jun 13;21:4120-8;Kitahara O, et al., Cancer Res. 2001 May 1;61:3544-9;Suzuki C, et al., Cancer Res. 2003 Nov 1;63:7038-41;Ashida S, Cancer Res. 2004 Sep 1;64:5963-72;Ochi K, et al., Int J Oncol. 2004 Mar;24(3):647-55;Kaneta Y, et al., Int J Oncol. 2003 Sep;23:681-91;Obama K, Hepatology. 2005 Jun;41:1339-48;Kato T, et al., Cancer Res. 2005 Jul 1;65:5638-46;Kitahara O, et al., Neoplasia. 2002 Jul-Aug;4:295-303;Saito-Hisaminato A et al., DNA Res 2002, 9:35-45)。様々な癌において過剰発現されることが特定されたこのような遺伝子の例には、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10が含まれるがこれらに限定されるわけではない。CDH3は、膀胱癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、結腸直腸癌、子宮内膜症、胃癌、びまん型胃癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、膵臓癌、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍において過剰発現されることが以前に特定されている。EPHA4は、膀胱癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、子宮内膜症、びまん型胃癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、および軟部組織腫瘍において同定された。ECT2は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸癌、食道癌、NSCLC、リンパ腫、前立腺癌、腎癌、および小細胞肺癌(SCLC)において同定された。HIG2は、腎癌およびSCLCにおいて同定された。INHBBは、胆管細胞癌、食道癌、NSCLC、腎癌、SCLC、および軟部組織腫瘍において同定された。KIF20Aは、膀胱癌、乳癌、胆管細胞癌、食道癌、NSCLC、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、およびSCLCにおいて同定された。KNTC2は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、食道癌、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、および軟部組織腫瘍において同定された。TTKは、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、食道癌、肝臓癌、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、前立腺癌、SCLC、および軟部組織腫瘍において同定された。URLC10は、膀胱癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、食道癌、胃癌、NSCLC、骨肉腫、膵臓癌、およびSCLCにおいて同定された。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、免疫療法の適用可能な標的の発見に一部基づいている。TAAは免疫原性を有さないことがしばしばあるため、適切な標的の発見が極めて重要である。上記のように、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10は、様々な癌において上方制御されることが特定されている。より具体的には、これらの遺伝子は、ゲノム全域に渡るcDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイリングによって同定された。上述したように、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10の発現は、膵臓癌細胞から腎細胞癌に至る様々な腫瘍細胞において特異的に上方制御されることが示されている。表1で説明するように、CDH3発現は、膀胱癌34例中26例、子宮頸癌19例中17例、胆管細胞癌19例すべて、結腸直腸癌34例中30例、子宮内膜症21例中20例、胃癌20例中13例、びまん型胃癌8例中7例、NSCLC37例中36例、膵臓癌16例すべて、軟部組織腫瘍21例すべて、および精巣腫瘍10例すべてにおいて確かに上昇している。
【0010】
表1は、以下のことをさらに示す:
EPHA4発現は、膀胱癌34例中14例、子宮頸癌14例中8例、胆管細胞癌25例中10例、子宮内膜症15例中5例、びまん型胃癌8例中5例、卵巣癌5例すべて、膵臓癌14例すべて、前立腺癌51例中20例、および軟部組織腫瘍23例中14例において確かに上昇している。
ECT2発現は、膀胱癌19例中17例、乳癌12例中5例、子宮頸癌14例すべて、胆管細胞癌13例すべて、CML 5例すべて、結腸直腸癌8例中7例、食道癌16例中12例、NSCLC 16例中6例、リンパ腫10例中8例、膵臓癌1例中1例、前立腺癌13例中10例、腎癌6例中3例、およびSCLC癌13例中12例において確かに上昇している。
HIG2発現は、腎臓癌20例中19例および軟部組織腫瘍9例中7例において確かに上昇している。
INHBB発現は、胆管細胞癌21例中10例、食道癌12例すべて、NSCLC 13例中10例、腎癌24例中22例、SCLC癌14例中8例、および軟部組織腫瘍49例中45例において確かに上昇している。
KIF20A発現は、膀胱癌31例すべて、乳癌61例中38例、胆管細胞癌11例中10例、食道癌19例中7例、NSCLC 22例中21例、卵巣癌6例すべて、前立腺癌36例中17例、腎癌11例中6例、およびSCLC 15例すべてにおいて確かに上昇している。
KNTC2発現は、膀胱癌32例中30例、乳癌56例中47例、子宮頸癌10例すべて、胆管細胞癌22例中16例、CML 37例中17例、結腸直腸癌10例中3例、食道癌46例中11例、NSCLC 19例中15例、リンパ腫8例中7例、骨肉腫24例中20例、卵巣癌5例中3例、膵臓癌2例すべて、前立腺癌37例中15例、腎癌19例中14例、SCLC 15例すべて、および軟部組織腫瘍59例中40例において確かに上昇している。
TTK発現は、膀胱癌27例すべて、乳癌30例中25例、子宮頸癌16例中15例、胆管細胞癌10例すべて、CML 7例中5例、結腸直腸癌10例中6例、食道癌44例中24例、肝臓癌15例中8例、NSCLC 12例すべて、リンパ腫6例すべて、骨芽細胞腫16例中13例、前立腺癌17例中12例、SCLC 15例すべて、および軟部組織腫瘍33例中16例において確かに上昇している。
URLC10発現は、膀胱癌29例すべて、子宮頸癌16例中15例、胆管細胞癌7例すべて、食道癌19例中7例、胃癌3例すべて、NSCLC 27例中24例、骨肉腫19例中15例、膵臓癌5例中4例、軟部組織腫瘍43例中33例において確かに上昇している。
【0011】
本発明は、対応する分子に特異的な細胞障害性Tリンパ球(CTL)を誘導する能力を有する、これらの遺伝子(CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10)の遺伝子産物の特異的エピトープペプチドの同定に、少なくとも一部基づいている。下記に詳細に考察するように、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10に由来するHLA-A*2402結合候補ペプチドまたはHLA-A*0201結合候補ペプチドを用いて、健常なドナーの末梢血単核細胞(PBMC)を刺激した。次いで、これらの各候補ペプチドをパルスしたHLA-A24陽性標的細胞またはHLA-A2陽性標的細胞に対して特異的細胞障害性を有するCTLクローンおよび/またはCTL株を樹立した。これらの結果から、これらのペプチドが、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10を発現する細胞に対する強力かつ特異的な免疫応答を誘導することができる、HLA-A24拘束性エピトープペプチドまたはHLA-A2拘束性エピトープペプチドであることが実証される。
【0012】
したがって、本発明は、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌を治療または予防するための方法を提供する。このような方法は、本発明のCDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10ポリペプチドをそれを必要とする対象に投与する段階を含む。このようなペプチドの投与により、これらのポリペプチドの投与によって誘導される抗腫瘍免疫が誘導される。したがって、本発明は、対象において抗腫瘍免疫を誘導するための方法を提供し、本方法は、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10ポリペプチドを含む、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌を治療または予防するための薬学的組成物と同様に、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10ポリペプチドを対象に投与する段階を含む。このような癌の例には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0013】
本発明はさらに、前述の疾患の術後再発を防止するための方法も提供する。上記に挙げた具体的な目標および目的に関して、本発明の1つまたは複数の局面がいくつかの目的を達成でき、1つまたは複数の他の局面がいくつかの他の目的を達成できることが当業者に理解されると考えられる。各目的は、本発明のすべての局面にすべての点で同等に当てはまるとは限らない場合がある。したがって、本明細書における目的は、本発明の任意の1つの局面に関する代替法において見出すことができる。
【0014】
本発明のさらなる目的および特徴は、添付図面および実施例と共に以下の詳細な説明を読むと、より完全に明らかになる。しかしながら、本発明の前述の概要および以下の詳細な説明の両方とも、好ましい態様のものであり、本発明も本発明の他の代替の態様も限定しないことを理解すべきである。特に、いくつかの特定の態様を参照して本明細書で本発明を説明する一方、その説明は本発明の例示であり、本発明を限定すると解釈されないことが理解されると考えられる。添付の特許請求の範囲によって説明するように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者は様々な修正および応用に至る可能性もある。同様に、本発明の他の目的、特徴、利益、および利点は、本概要および後述するいくつかの態様から明らかになり、当業者には容易に明らかになるであろう。このような目的、特徴、利益、および利点は、添付の実施例、データ、図面、およびそれらから導かれるすべての妥当な推論と組み合わせて、単独で、または本明細書に組み入れられる参考文献を考慮して、前述の内容から明らかになるであろう。
[請求項101]
SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、80、100、101、110、111、387、112、394、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、または223のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択される、アミノ酸約15個未満の単離されたペプチド。
[請求項102]
SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、80、100、101、110、111、387、112、394、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、または223からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、細胞障害性T細胞誘導能を有するペプチドであって、1個、2個、またはいくつかのアミノ酸が、置換、欠失、または付加されている、ペプチド。
[請求項103]
N末端から2番目のアミノ酸が、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、またはトリプトファンである、請求項102記載のペプチド。
[請求項104]
C末端アミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、またはメチオニンである、請求項102または103記載のペプチド。
[請求項105]
SEQ ID NO:376、379、114、116、117、121、227、228、233、254、271、272、または288のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択される、アミノ酸約15個未満の単離されたペプチド。
[請求項106]
SEQ ID NO:376、379、114、116、117、121、227、228、233、254、271、272、または288からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、細胞障害性T細胞誘導能を有するペプチドであって、1個、2個、またはいくつかのアミノ酸が、置換、欠失、または付加されている、ペプチド。
[請求項107]
N末端から2番目のアミノ酸が、ロイシンまたはメチオニンである、請求項106記載のペプチド。
[請求項108]
C末端アミノ酸がバリンまたはロイシンである、請求項106または107記載のペプチド。
[請求項109]
SEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子の過剰発現に関連した疾患を治療または予防するための薬学的組成物であって、請求項101〜108のいずれか一項記載の1種もしくは複数種のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、薬学的組成物。
[請求項110]
SEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子に関連した疾患に癌が含まれる、請求項109記載の薬学的組成物。
[請求項111]
癌に、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれる、請求項110記載の薬学的組成物。
[請求項112]
請求項101〜104のいずれか一項記載のペプチドとHLA抗原とを含む複合体をその表面に提示するエキソソーム。
[請求項113]
HLA抗原がHLA-A24である、請求項112記載のエキソソーム。
[請求項114]
HLA抗原がHLA-A2402である、請求項113記載のエキソソーム。
[請求項115]
請求項105〜108のいずれか一項記載のペプチドとHLA抗原とを含む複合体をその表面に提示するエキソソーム。
[請求項116]
HLA抗原がHLA-A2である、請求項115記載のエキソソーム。
[請求項117]
HLA抗原がHLA-A0201である、請求項116記載のエキソソーム。
[請求項118]
抗原提示細胞を請求項101〜108のいずれか一項記載のペプチドと接触させる段階を含む、高い細胞障害性T細胞誘導能を有する抗原提示細胞を誘導する方法。
[請求項119]
T細胞を請求項101〜108のいずれか一項記載のペプチドと接触させることによって細胞障害性T細胞を誘導する方法。
[請求項120]
請求項101〜108のいずれか一項記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子を抗原提示細胞に移入する段階を含む、高い細胞障害性T細胞誘導能を有する抗原提示細胞を誘導する方法。
[請求項121]
T細胞を請求項101〜108のいずれか一項記載のペプチドと接触させることによって誘導されるか、またはHLA-A24もしくはHLA-A2と関連した請求項101〜108のいずれか一項記載のペプチドと結合するTCRサブユニットポリペプチドをコードする核酸により形質導入される、単離された細胞障害性T細胞。
[請求項122]
HLA抗原と請求項101〜108のいずれか一項記載のペプチドで形成された複合体を含む、抗原提示細胞。
[請求項123]
請求項118〜120のいずれか一項記載の方法によって誘導される、抗原提示細胞。
[請求項124]
請求項101〜108のいずれか一項記載のペプチドを活性成分として含む、1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子を発現する細胞の増殖を阻害するためのワクチン。
[請求項125]
1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子を発現する細胞に癌が含まれる、請求項124記載のワクチン。
[請求項126]
癌に、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれる、請求項125記載のワクチン。
[請求項127]
HLA抗原がHLA-A24またはHLA-A2である対象に投与するために製剤化される、請求項126記載のワクチン。
[請求項128]
対象において1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子の過剰発現に関連した疾患を治療または予防する方法であって、請求項101〜108のいずれか一項記載のペプチドを含むワクチン、免疫学的に活性なその断片、または該ペプチドもしくは免疫学的に活性な断片をコードするポリヌクレオチドを該対象に投与する段階を含む、方法。
[請求項129]
1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子に関連した疾患に癌が含まれる、請求項128記載の方法。
[請求項130]
癌細胞に、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれる、請求項129記載の癌を治療または予防する方法。
[請求項131]
(a)1個、2個、またはいくつかのアミノ酸の置換物の配列全体に対して有意な配列相同性が無いことを確認する段階と、
(b)候補の置換ペプチドのCTL誘導能を測定する段階と、
(c)CTL誘導能が元のペプチドと同じであるかまたはそれより高いペプチドを選択する段階と
を含む、1個、2個、またはいくつかのアミノ酸が置換されているペプチドをスクリーニングする方法であって、
該ペプチドがSEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、80、100、101、110、111、387、112、394、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、または223からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の様々な局面および応用は、以下の図面の簡単な説明ならびに本発明およびその好ましい態様の詳細な説明を考察することにより、当業者に明らかになるであろう。
【図1−1】図1は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、CDH3-A24-10-332(SEQ ID NO:34)、CDH3-A24-10-470(SEQ ID NO:358)、CDH3-A24-9-513(SEQ ID NO:19)、CDH3-A24-9-406(SEQ ID NO:22)、CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)、およびCDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「a」は、HLA-A*2402との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL誘導能は検出され得ない陰性ペプチドの例を示す。「b」は、CDH3-A24-10-332(SEQ ID NO:34)のCTL誘導能を示す。CDH3-A24-10-332(SEQ ID NO:34)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル4番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「c」は、CDH3-A24-10-470(SEQ ID NO:358)のCTL誘導能を示す。CDH3-A24-10-470(SEQ ID NO:358)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル4番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「d」は、CDH3-A24-9-513(SEQ ID NO:19)のCTL誘導能を示す。CDH3-A24-9-513(SEQ ID NO:19)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示した。左のパネルの四角で囲んだウェルに示すウェル6番は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。さらに、中央のパネルの四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル5番から樹立したCTL株も、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「e」は、CDH3-A24-9-406(SEQ ID NO:22)のCTL誘導能を示す。CDH3-A24-9-406(SEQ ID NO:22)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル2番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。
【図1−2】図1は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、CDH3-A24-10-332(SEQ ID NO:34)、CDH3-A24-10-470(SEQ ID NO:358)、CDH3-A24-9-513(SEQ ID NO:19)、CDH3-A24-9-406(SEQ ID NO:22)、CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)、およびCDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「f」は、CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)のCTL誘導能を示す。CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル5番からCTL株およびクローンを樹立した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTLクローンは、完全長CDH3遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して特異的CTL活性を示した(右下のグラフ)。その一方で、完全長CDH3をトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしないCOS7、およびHLA-A24をトランスフェクトするが完全長CDH3をトランスフェクトしないCOS7を陰性対照として調製した。CTLクローンは、CDH3およびHLA-A24の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して高い特異的CTL活性を示した。「g」は、CDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)のCTL誘導能を示す。CDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル1番からCTL株およびクローンを樹立した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTLクローンは、完全長CDH3遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して特異的CTL活性を示した(右下のグラフ)。その一方で、完全長CDH3をトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしないCOS7、およびHLA-A24をトランスフェクトするが完全長CDH3をトランスフェクトしないCOS7を陰性対照として調製した。CTLクローンは、CDH3およびHLA-A24の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して高い特異的CTL活性を示した。
【図2】図2は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、Epha4-A24-9-453(SEQ ID NO:41)、Epha4-A24-9-5(SEQ ID NO:44)、Epha4-A24-9-420(SEQ ID NO:48)、Epha4-A24-9-869(SEQ ID NO:46)、Epha4-A24-10-24(SEQ ID NO:78)、Epha4-A02-9-501(SEQ ID NO:376)、およびEpha4-A02-9-165(SEQ ID NO:379)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「a」は、HLAとの結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL誘導能は検出され得ない陰性ペプチドの例を示す。「b」は、Epha4-A24-9-453(SEQ ID NO:41)のCTL誘導能を示す。Epha4-A24-9-453(SEQ ID NO:41)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル3番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「c」は、Epha4-A24-9-5(SEQ ID NO:44)のCTL誘導能を示す。Epha4-A24-9-5(SEQ ID NO:44)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル2番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「d」は、Epha4-A24-9-420(SEQ ID NO:48)のCTL誘導能を示す。Epha4-A24-9-420(SEQ ID NO:48)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示した。上側のパネルの四角で囲んだウェルに示すウェル6番は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。さらに、中央のパネルの四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル6番から樹立したCTL株も、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「e」は、Epha4-A24-9-869(SEQ ID NO:46)のCTL誘導能を示す。Epha4-A24-9-869(SEQ ID NO:46)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル5番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「f」は、Epha4-A24-10-24(SEQ ID NO:78)のCTL誘導能を示す。Epha4-A24-10-24(SEQ ID NO:78)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル4番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「g」は、Epha4-A02-9-501(SEQ ID NO:376)のCTL誘導能を示す。Epha4-A02-9-501(SEQ ID NO:376)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル8番からCTL株およびクローンを樹立した。ペプチドをパルスした標的細胞に対する樹立したCTL株の細胞障害活性をCr放出アッセイ法(CRA)によって測定したところ(下側のグラフ)、CTL株は、ペプチドをパルスした標的細胞に対する非常に強力な特異的細胞障害活性を有していた。「h」は、Epha4-A02-9-165(SEQ ID NO:379)のCTL誘導能を示す。Epha4-A02-9-165(SEQ ID NO:379)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル3番からCTL株を樹立した。ペプチドをパルスした標的細胞に対する樹立したCTL株の細胞障害活性をCr放出アッセイ法(CRA)によって測定したところ(右側のグラフ)、CTL株は、ペプチドをパルスした標的細胞に対する非常に強力な特異的細胞障害活性を有していた。
【図3】図3は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、ECT2-A24-9-515(SEQ ID NO:80)、ECT2-A24-10-40(SEQ ID NO:100)、およびECT2-A24-10-101(SEQ ID NO:101)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「a」は、HLAとの結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL誘導能は検出され得ない陰性ペプチドの例を示す。「b」は、ECT2-A24-9-515(SEQ ID NO:80)のCTL誘導能を示す。ECT2-A24-9-515(SEQ ID NO:80)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示した。左のパネルの四角で囲んだウェルに示すウェル5番および7番は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。さらに、2つ目のパネルの四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル7番から樹立したCTL株も、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。ECT2およびHLA-A24を内因的に発現する癌細胞株TE6に対するCTL株の細胞障害活性をCr放出アッセイ法(CRA)によって測定したところ、CTLクローンは、TE6に対する非常に強力な細胞障害活性を有していた。その一方で、エフェクター細胞は、ECT2のみを発現する癌細胞株TE5に対するCTL株の細胞障害活性を示さず、検出されなかった。「c」は、ECT2-A24-10-40(SEQ ID NO:100)のCTL誘導能を示す。ECT2-A24-10-40(SEQ ID NO:100)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル2番からCTL株およびクローンを樹立した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTLクローンは、完全長ECT2遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して特異的CTL活性を示した。その一方で、完全長ECT2をトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしないCOS7、HLA-A24および完全長ECT2の代用物としてのURLC10遺伝子をトランスフェクトしたCOS7、ならびにHLA-A24をトランスフェクトしECT2-10-101でパルスしたCOS7を陰性対照として調製した。CTLクローンは、ECT2およびHLA-A24の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して高い特異的CTL活性を示した。「d」は、ECT2-A24-10-101(SEQ ID NO:101)のCTL誘導能を示す。ECT2-A24-10-101(SEQ ID NO:101)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル1番からCTL株を樹立した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTL株は、完全長ECT2遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して特異的CTL活性を示した。完全長ECT2をトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしないCOS7、HLA-A24および完全長ECT2の代用物としてのURLC10遺伝子をトランスフェクトしたCOS7、ならびにHLA-A24をトランスフェクトしECT2-10-40でパルスしたCOS7を陰性対照として調製した。CTLクローンは、ECT2およびHLA-A24の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して高い特異的CTL活性を示した。
【図4−1】図4は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、HIG2-A24-9-19(SEQ ID NO:110)、HIG2-A24-9-22(SEQ ID NO:111)、HIG2-A24-9-8(SEQ ID NO:387)、HIG2-A24-10-7(SEQ ID NO:112)、HIG2-A24-10-18(SEQ ID NO:394)、HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)、HIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)、およびHIG2-A02-10-8(SEQ ID NO:121)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「a」は、HLAとの結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL誘導能は検出され得ない陰性ペプチドの例を示す。「b」は、HIG2-A24-9-19(SEQ ID NO:110)のCTL誘導能を示す。HIG2-A24-9-19(SEQ ID NO:110)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル6番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「c」は、HIG2-A24-9-22(SEQ ID NO:111)のCTL誘導能を示す。HIG2-A24-9-22(SEQ ID NO:111)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル7番から樹立したCTL株およびクローンは、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「d」は、HIG2-A24-9-8(SEQ ID NO:387)のCTL誘導能を示す。HIG2-A24-9-8(SEQ ID NO:387)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル5番から樹立したCTL株およびクローンは、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「e」は、HIG2-A02-9-8(SEQ ID NO:114)のCTL誘導能を示す。HIG2-A02-9-8(SEQ ID NO:114)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル10番からCTL株を樹立した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTL株は、完全長HIG2遺伝子およびHLA-A02分子の両方をトランスフェクトした293Tに対して特異的CTL活性を示す。完全長HIG2をトランスフェクトするがHLA-A02をトランスフェクトしない293T、HLA-A02および完全長HIG2の代用物としてのFoxP3遺伝子をトランスフェクトした293T、ならびにHLA-A02をトランスフェクトしHIG2-9-15でパルスした293Tを陰性対照として調製した。CTL株は、HIG2およびHLA-A02の両方をトランスフェクトした293Tに対して高い特異的CTL活性を示した。
【図4−2】図4は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、HIG2-A24-9-19(SEQ ID NO:110)、HIG2-A24-9-22(SEQ ID NO:111)、HIG2-A24-9-8(SEQ ID NO:387)、HIG2-A24-10-7(SEQ ID NO:112)、HIG2-A24-10-18(SEQ ID NO:394)、HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)、HIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)、およびHIG2-A02-10-8(SEQ ID NO:121)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「f」は、HIG2-A24-10-7(SEQ ID NO:112)のCTL誘導能を示す。HIG2-A24-10-7(SEQ ID NO:112)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル1番および7番から樹立したCTL株またはクローンは、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「g」は、HIG2-A24-10-18(SEQ ID NO:394)のCTL誘導能を示す。HIG2-A24-10-18(SEQ ID NO:394)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル7番から樹立したCTL株およびクローンは、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「h」は、HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)のCTL誘導能を示す。HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル10番からCTL株を樹立した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTL株は、完全長HIG2遺伝子およびHLA-A02分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して特異的CTL活性を示した。完全長HIG2をトランスフェクトするがHLA-A02をトランスフェクトしないCOS7、およびHLA-A02をトランスフェクトしHIG2-9-8ペプチドをパルスしたCOS7を陰性対照として調製した。CTL株は、HIG2およびHLA-A02の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して高い特異的CTL活性を示した。
【図4−3】図4は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、HIG2-A24-9-19(SEQ ID NO:110)、HIG2-A24-9-22(SEQ ID NO:111)、HIG2-A24-9-8(SEQ ID NO:387)、HIG2-A24-10-7(SEQ ID NO:112)、HIG2-A24-10-18(SEQ ID NO:394)、HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)、HIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)、およびHIG2-A02-10-8(SEQ ID NO:121)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「i」は、HIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)のCTL誘導能を示す。HIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル10番からCTL株およびクローンを樹立した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTL株は、完全長HIG2遺伝子およびHLA-A02分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して特異的CTL活性を示した(中央のグラフ)。また、完全長HIG2をトランスフェクトするがHLA-A02をトランスフェクトしないCOS7、HLA-A02および完全長HIG2の代用物としてのTTK遺伝子をトランスフェクトしたCOS7、ならびにHLA-A02をトランスフェクトしHIG2-9-8でパルスしたCOS7を陰性対照として調製した。完全長HIG2遺伝子およびHLA-A02分子の両方をトランスフェクトした293T、ならびにHIG2およびHLA-A02を内因的に発現する癌細胞株Caki-1に対するCTLクローンの細胞障害活性をCr放出アッセイ法(CRA)によって測定したところ(下側のグラフ)、CTLクローンは、HIG2遺伝子およびHLA-A02両方によるトランスフェクタントならびにCaki-1に対する非常に強力な細胞障害活性を有していた。その一方で、エフェクター細胞は、HIG2のみまたはHLA-A02のみをトランスフェクトした293T、およびHIG2のみを発現する癌細胞株A498に対するCTL株の細胞障害活性を示さず、検出されなかった。「j」は、HIG2-A02-10-8(SEQ ID NO:121)のCTL誘導能を示す。HIG2-A02-10-8(SEQ ID NO:121)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル9番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。
【図5−1】図5は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)、INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)、INHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)、INHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)、およびINHBB-A24-10-212(SEQ ID NO:426)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「a」は、HLAとの結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL誘導能は検出され得ない陰性ペプチドの例を示す。「b」は、INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)のCTL誘導能を示す。INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル7番からCTL株およびクローンを樹立した。INHBB およびHLA-A02の両方を発現する腫瘍細胞Miapaca2に対する樹立したCTLクローンの細胞障害活性をCr放出アッセイ法(CRA)によって測定したところ、エフェクター細胞は、Miapaca2に対する高い特異的細胞障害活性を示した。その一方で、これは、INHBBを発現するがHLA-A02を発現しないCaki-1に対しては有意な特異的細胞障害活性を示さなかった。「c」は、INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)のCTL誘導能を示す。INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル3番からCTL株を樹立した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTL株は、完全長INHBB遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトした293Tに対して高い特異的CTL活性を示した。また、完全長INHBBをトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしない293T、およびHLA-A24をトランスフェクトしINHBB-10-305ペプチドをパルスした293Tを陰性対照として調製した。
【図5−2】図5は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)、INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)、INHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)、INHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)、およびINHBB-A24-10-212(SEQ ID NO:426)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「d」は、INHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)のCTL誘導能を示す。INHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル2番からCTL株およびクローンを樹立した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTLクローンは、完全長INHBB遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトした293Tに対して高い特異的CTL活性を示した。また、完全長INHBBをトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしない293T、およびHLA-A24をトランスフェクトしINHBB-10-180ペプチドをパルスした293Tを陰性対照として調製した。「e」は、INHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)のCTL誘導能を示す。INHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、上側のパネルの四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル8番および下側のパネルの四角で囲んだウェルに示す2番からCTL株を樹立した。8番ウェルに由来するCTL株は、完全長INHBB遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトした293Tに対して特異的CTL活性を示した。また、完全長INHBBをトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしない293T、およびHLA-A24をトランスフェクトしINHBB-10-40ペプチドをパルスした293Tを陰性対照として調製した。「f」は、INHBB-A24-10-212(SEQ ID NO:426)のCTL誘導能を示す。INHBB-A24-10-212(SEQ ID NO:426)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル1番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。
【図6−1】図6は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)、KIF20A-A24-9-383(SEQ ID NO:178)、KIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)、およびKIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「a」は、HLAとの結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL誘導能は検出され得ない陰性ペプチドの例を示す。「b」は、KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)のCTL誘導能を示す。KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示した。右下のパネルの四角で囲んだウェルに示すウェル5番は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。さらに、左上のパネルの四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル5番から樹立したCTL株およびクローンもまた、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。ペプチドに対して産生させ樹立したCTLクローンは、完全長KIF20A遺伝子をトランスフェクトした24-LCLに対して特異的CTL活性を示した。また、モックベクターをトランスフェクトしたA24-LCLを陰性対照として調製した。KIF20AおよびHLA-A24の両方を発現する腫瘍細胞Miapaca2に対するCTLクローンの細胞障害活性をCr放出アッセイ法(CRA)によって測定したところ、CTLクローンは、Miapaca2に対する非常に強力な特異的細胞障害活性を有していた(右下のグラフ)。その一方で、これは、KIF20Aを発現するがHLA-A24を発現しないPK59に対しては有意な特異的細胞障害活性を示さなかった。「c」は、KIF20A-A24-9-383(SEQ ID NO:178)のCTL誘導能を示す。KIF20A-A24-9-383(SEQ ID NO:178)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示した。右のパネルの四角で囲んだウェルに示すウェル3番および4番は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。さらに、左のパネルの四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル3番から樹立したCTL株もまた、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。樹立したCTL株は、完全長KIF20A遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して高い特異的CTL活性を示した。また、完全長KIF20AをトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしないCOS7、およびHLA-A24をトランスフェクトしKIF20A-9-621ペプチドをパルスしたCOS7を陰性対照として調製した。
【図6−2】図6は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)、KIF20A-A24-9-383(SEQ ID NO:178)、KIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)、およびKIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「d」は、KIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)のCTL誘導能を示す。KIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、左上のパネルの四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル6番および下側中央のパネルの四角で囲んだウェルに示す3番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。さらに、6番ウェル由来のCTL株から限界希釈によって選択したCTLクローンも、標的細胞に対して特異的CTL活性を示した。樹立したCTLクローンは、完全長KIF20A遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して特異的CTL活性を示した。また、完全長KIF20AをトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしないCOS7、HLA-A24および完全長KIF20Aの代用物としてのURLC10遺伝子をトランスフェクトしたCOS7、ならびにHLA-A24をトランスフェクトしKIF20A-10-308ペプチドをパルスしたCOS7を陰性対照として調製した。「e」は、KIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)のCTL誘導能を示す。KIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、左上のパネルの四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル2番および下側中央のパネルの四角で囲んだウェルに示す6番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。さらに、2番ウェル由来のCTL株から限界希釈によって選択したCTLクローンも、標的細胞に対して特異的CTL活性を示した。KIF20AおよびHLA-A24の両方を発現する腫瘍細胞MIapaca2に対するCTLクローンの細胞障害活性をCr放出アッセイ法(CRA)によって測定したところ、CTLクローンは、MIapaca2に対する非常に強力な細胞障害活性を有していた。その一方で、これは、KIF20Aを発現するがHLA-A24を発現しないPK59に対しては有意な特異的細胞障害活性を示さなかった。
【図7−1】図7は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、KNTC2-A24-9-309(SEQ ID NO:196)、KNTC2-A24-9-124(SEQ ID NO:202)、KIF20A-A24-9-154(SEQ ID NO:210)、KNTC2-A24-9-150(SEQ ID NO:213)、KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)、KNTC2-A24-10-227(SEQ ID NO:217)、およびKNTC2-A24-10-273(SEQ ID NO:223)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「a」は、HLAとの結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL誘導能は検出され得ない陰性ペプチドの例を示す。「b」は、KNTC2-A24-9-309(SEQ ID NO:196)のCTL誘導能を示す。KNTC2-A24-9-309(SEQ ID NO:196)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル8番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「c」は、KNTC2-A24-9-124(SEQ ID NO:202)のCTL誘導能を示す。KNTC2-A24-9-124(SEQ ID NO:202)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル5番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「d」は、KIF20A-A24-9-154(SEQ ID NO:210)のCTL誘導能を示す。KIF20A-A24-9-154(SEQ ID NO:210)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル5番から樹立したCTL株およびクローンは、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「e」は、KNTC2-A24-9-150(SEQ ID NO:213)のCTL誘導能を示す。KNTC2-A24-9-150(SEQ ID NO:213)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル7番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。
【図7−2】図7は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、KNTC2-A24-9-309(SEQ ID NO:196)、KNTC2-A24-9-124(SEQ ID NO:202)、KIF20A-A24-9-154(SEQ ID NO:210)、KNTC2-A24-9-150(SEQ ID NO:213)、KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)、KNTC2-A24-10-227(SEQ ID NO:217)、およびKNTC2-A24-10-273(SEQ ID NO:223)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「f」は、KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)のCTL誘導能を示す。KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、左上のパネルの四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル4番および中央のパネルの四角で囲んだウェルに示す5番から樹立したCTL株およびクローンは、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。さらに、5番ウェル由来のCTL株から限界希釈によって選択したCTLクローンも、標的細胞に対して特異的CTL活性を示した。4番ウェルから樹立したCTL株は、完全長KNTC2遺伝子およびHLA-A24分子の両方をトランスフェクトしたHEK293に対して特異的CTL活性を示した。また、完全長KNTC2をトランスフェクトするがHLA-A24をトランスフェクトしないHEK293、HLA-A24をトランスフェクトするが完全長KNTC2をトランスフェクトしないHEK293、ならびにHLA-A24をトランスフェクトしKNTC-9-309ペプチドをパルスしたHEK293を陰性対照として調製した。「g」は、KNTC2-A24-10-227(SEQ ID NO:217)のCTL誘導能を示す。KNTC2-A24-10-227(SEQ ID NO:217)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル1番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「h」は、KNTC2-A24-10-273(SEQ ID NO:223)のCTL誘導能を示す。KNTC2-A24-10-273(SEQ ID NO:223)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル8番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。
【図8−1】図8は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、TTK-A02-9-462(SEQ ID NO:227)、TTK-A02-9-719(SEQ ID NO:233)、TTK-A02-9-547(SEQ ID NO:228)、およびTTK-A02-10-462(SEQ ID NO:254)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「a」は、HLAとの結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL誘導能は検出され得ない陰性ペプチドの例を示す。「b」は、TTK-A02-9-462(SEQ ID NO:227)のCTL誘導能を示す。TTK-A02-9-462(SEQ ID NO:227)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル4番から樹立したCTL株および2種のクローンは、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的な応答を示した。樹立したCTLクローンは、完全長TTK遺伝子およびHLA-A02分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して高い特異的CTL活性を示した。また、完全長TTKをトランスフェクトするがHLA-A02をトランスフェクトしないCOS7、HLA-A02をトランスフェクトするが完全長TTKをトランスフェクトしないCOS7、ならびにHLA-A02をトランスフェクトしTTK-9-547ペプチドをパルスしたCOS7を陰性対照として調製した。「c」は、TTK-A02-9-719(SEQ ID NO:233)のCTL誘導能を示す。TTK-A02-9-719(SEQ ID NO:233)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル1番からCTL株およびクローンを樹立した。樹立したCTL株は、完全長TTK遺伝子およびHLA-A02分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して高い特異的CTL活性を示した。また、完全長TTKをトランスフェクトするがHLA-A02をトランスフェクトしないCOS7、ならびにHLA-A02および完全長TTKの代用物としてのHIG2遺伝子をトランスフェクトしたCOS7を陰性対照として調製した。
【図8−2】図8は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、TTK-A02-9-462(SEQ ID NO:227)、TTK-A02-9-719(SEQ ID NO:233)、TTK-A02-9-547(SEQ ID NO:228)、およびTTK-A02-10-462(SEQ ID NO:254)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「d」は、TTK-A02-9-547(SEQ ID NO:228)のCTL誘導能を示す。TTK-A02-9-547(SEQ ID NO:228)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル2番からCTL株およびクローンを樹立した。樹立したCTL株は、完全長TTK遺伝子およびHLA-A02分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して特異的CTL活性を示した。また、完全長TTKをトランスフェクトするがHLA-A02をトランスフェクトしないCOS7、HLA-A02をトランスフェクトするが完全長TTKをトランスフェクトしないCOS7、ならびにHLA-A02をトランスフェクトしTTK-10-462でパルスしたCOS7を陰性対照として調製した。
【図8−3】図8は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、TTK-A02-9-462(SEQ ID NO:227)、TTK-A02-9-719(SEQ ID NO:233)、TTK-A02-9-547(SEQ ID NO:228)、およびTTK-A02-10-462(SEQ ID NO:254)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「e」は、TTK-A02-10-462(SEQ ID NO:254)のCTL誘導能を示す。TTK-A02-10-462(SEQ ID NO:254)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル8番からCTL株および3種のクローンを樹立した。樹立したCTLクローンは、完全長TTK遺伝子およびHLA-A02分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して特異的CTL活性を示した。また、完全長TTKをトランスフェクトするがHLA-A02をトランスフェクトしないCOS7、HLA-A02をトランスフェクトするが完全長TTKをトランスフェクトしないCOS7、ならびにHLA-A02をトランスフェクトしTTK-9-547ペプチドをパルスしたCOS7を陰性対照として調製した。
【図9−1】図9は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、URLC10-A02-9-206(SEQ ID NO:271)、URLC10-A02-9-212(SEQ ID NO:272)、およびURLC10-A02-10-211(SEQ ID NO:288)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「a」は、HLAとの結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL誘導能は検出され得ない陰性ペプチドの例を示す。「b」は、URLC10-A02-9-206(SEQ ID NO:271)のCTL誘導能を示す。URLC10-A02-9-206(SEQ ID NO:271)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル7番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「c」は、URLC10-A02-9-212(SEQ ID NO:272)のCTL誘導能を示す。URLC10-A02-9-212(SEQ ID NO:272)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル3番から樹立したCTL株は、エピトープペプチドをパルスした標的細胞に対して特異的応答を示した。「d」は、URLC10-A02-10-211(SEQ ID NO:288)のCTL誘導能を示す。URLC10-A02-10-211(SEQ ID NO:288)は、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、四角で囲んだウェルに示す陽性ウェル5番からCTL株およびクローンを樹立した。
【図9−2】図9は、エピトープペプチドのスクリーニングの結果を示し、その結果として、URLC10-A02-9-206(SEQ ID NO:271)、URLC10-A02-9-212(SEQ ID NO:272)、およびURLC10-A02-10-211(SEQ ID NO:288)が強力なIFN-γ産生を示すことが実証される。「dの続き」。樹立したCTLクローンは、完全長URLC10遺伝子およびHLA-A02分子の両方をトランスフェクトしたCOS7、Hek293、および293Tに対して高い特異的CTL活性を示した。また、完全長URLC10をトランスフェクトするがHLA-A02をトランスフェクトしないCOS7、Hek293、または293T、およびHLA-A02をトランスフェクトしURLC10-10-64でパルスしたCOS7、Hek293、または293Tを陰性対照として調製した。この図面において、「+」は、ペプチドパルスした標的を意味し、「-」はペプチドパルスしなかった標的を意味し、「R」は応答細胞(Responder)を意味し、「S」は刺激細胞(Stimulator)を意味し、「E」はエフェクター細胞(Effector)を意味し、「T」は標的細胞(Target)を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本明細書において使用される単語「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」は、他で具体的に特定されない限り、「少なくとも1つ」を意味する。他に規定されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0017】
本発明は、免疫療法の適用可能な標的の発見に部分的に基づいている。新しいTAA、特に、強力かつ特異的な抗腫瘍免疫応答を誘導するものの同定により、様々なタイプの癌におけるペプチドワクチン接種法の臨床適用のさらなる発展が保証される(Boon T et al.,(1996)J Exp Med 183:725-9;van der Bruggen P et al.,(1991)Science 254:1643-7;Brichard V et al.,(1993)J Exp Med 178:489-95;Kawakami Y et al.,(1994)J Exp Med 180:347-52;Shichijo S et al.,(1998)J Exp Med 187:277-88;Chen YT et al.,(1997)Proc.Natl.Acd. Sci.USA, 94:1914-8;Harris CC,(1996)J Natl Cancer Inst 88:1442-55;Butterfield LH et al.,(1999)Cancer Res 59:3134-42;Vissers JL et al.,(1999)Cancer Res 59:5554-9;van der Burg SH et al.,(1996)J. Immunol 156:3308-14;Tanaka F et al.,(1997)Cancer Res 57:4465-8;Fujie T et al.,(1999)Int J Cancer 80:169-72;Kikuchi M et al.,(1999)Int J Cancer 81:459-66;Oiso M et al.,(1999)Int J Cancer 81:387-94)。TAAは免疫原性を有さないことがしばしばあるため、適した標的の発見が極めて重要な問題である。
【0018】
上記のように、cDNAマイクロアレイ技術を用いて、
CDH3(GenBankアクセッション番号NM_001793;SEQ ID NO:1、2)、
EPHA4(GenBankアクセッション番号L36645;SEQ ID NO:3、4)、
ECT2(GenBankアクセッション番号AY376439;SEQ ID NO:5、6)、
HIG2(GenBankアクセッション番号NM_013332;SEQ ID NO:7、8)、
INHBB(GenBankアクセッション番号NM_002193;SEQ ID NO:9、10)、
KIF20A(GenBankアクセッション番号NM_005733;SEQ ID NO:11、12)、
KNTC2(GenBankアクセッション番号AF017790;SEQ ID NO:13、14)、
TTK(GenBankアクセッション番号NM_003318;SEQ ID NO:15、16)、および
URLC10(GenBankアクセッション番号NM_017527;SEQ ID NO:17、18)
が様々な癌において過剰発現されることが以前に特定されている。
【0019】
本発明において、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10に由来するペプチドは、日本人集団および白人集団において共通に見出されるHLA対立遺伝子であるHLA-A24およびHLA-A02によって拘束されるTAAエピトープであることが示される。具体的には、HLA-A24またはHLA-A2に対する結合親和性を用いて、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10に由来するHLA-A24結合ペプチドまたはHLA-A2結合ペプチドの候補を同定した。これらのペプチドを負荷した樹状細胞(DC)によってT細胞をインビトロで刺激した後、以下のペプチドを用いて、CTLを成功裡に樹立した。
CDH3-A24-9-513(SEQ ID NO:19)、
CDH3-A24-9-406(SEQ ID NO:22)、
CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)、
CDH3-A24-10-332(SEQ ID NO:34)、
CDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)、
CDH3-A24-10-470(SEQ ID NO:358)、
EphA4-A24-9-453(SEQ ID NO:41)、
EphA4-A24-9-5(SEQ ID NO:44)、
EphA4-A24-9-869(SEQ ID NO:46)、
EphA4-A24-9-420(SEQ ID NO:48)、
EphA4-A24-10-24(SEQ ID NO:78)、
EphA4-A02-9-501(SEQ ID NO:376)、
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URLC-A02-9-212(SEQ ID NO:272)および
URLC-A02-10-211(SEQ ID NO:288)。
【0020】
これらのペプチドは、HLA-A24またはHLA-A2によって拘束される各TAAのエピトープペプチドである。これらの抗原は、大半の癌において過剰発現され、腫瘍細胞増殖に関連しているため、癌に対する免疫療法標的として有用である。例示的な癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0021】
したがって、本発明は、対象においてCDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌を治療または予防する方法をさらに提供し、このような方法は、アミノ酸約40個未満、しばしばアミノ酸約20個未満、通常アミノ酸約15個未満であり、かつSEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、または288のアミノ酸配列を有する免疫原性ペプチドを対象に投与する段階を含む。
【0022】
あるいは、免疫原性ペプチドは、結果として生じるバリアントペプチドが免疫原活性(すなわち、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10を発現している細胞、例えば癌に特異的なCTLを誘導する能力)を保持しているという条件で、1個、2個、またはいくつか(例えば、最大5個)のアミノ酸が置換、欠失、または付加された、SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、または288に示すアミノ酸配列を有してもよい。
【0023】
置換、欠失、または付加される残基の数は、一般に、アミノ酸5個またはそれ未満、好ましくはアミノ酸4個またはそれ未満、より好ましくはアミノ酸3個またはそれ未満、さらにより好ましくはアミノ酸1個または2個である。企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。さらに、本発明は、前述のこれらの疾患の術後再発を防止するための方法も提供する。
【0024】
バリアントペプチド(すなわち、元のアミノ酸配列に対して1個、2個、またはいくつかのアミノ酸残基を置換、欠失、または付加することによって改変されたアミノ酸配列を有するペプチド)は、元の生物活性を保持していることが公知である(Mark DF et al.,(1984)Proc Natl Acad Sci USA 81:5662-6;Zoller MJおよびSmith M,(1982)Nucleic Acids Res 10:6487-500;Dalbadie-McFarland G et al.,(1982)Proc Natl Acad Sci USA 79:6409-13)。本発明の文脈において、アミノ酸改変は、元のアミノ酸側鎖の特性を結果として保存することが好ましい(保存的アミノ酸置換として公知のプロセス)。アミノ酸側鎖の特性の例には、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、ならびに以下の官能基または特徴を共通して有する側鎖が含まれる:脂肪族側鎖(G、A、V、L、I、P);ヒドロキシル基を含む側鎖(S、T、Y);硫黄原子を含む側鎖(C、M);カルボン酸およびアミドを含む側鎖(D、N、E、Q);塩基を含む側鎖(R、K、H);ならびに芳香族を含む側鎖(H、F、Y、W)。括弧内の文字は、アミノ酸の1文字記号を示すことに留意されたい。
【0025】
好ましい態様において、免疫原性ペプチドは、ノナペプチド(9 mer)またはデカペプチド(10 mer)である。本発明は、対象においてCDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌に対する抗腫瘍免疫を誘導する方法をさらに提供し、このような方法は、それを必要とする対象に、本発明の免疫原性ペプチド、すなわちSEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、もしくは288のアミノ酸配列を有するもの、またはそのバリアント(すなわち、1個、2個、もしくはいくつか(例えば、最大5個)のアミノ酸置換、欠失、もしくは付加を含むもの)を対象に投与する段階を含む。企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0026】
本発明の文脈において、対象は好ましくは哺乳動物である。例示的な哺乳動物には、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、および雌ウシが含まれるがそれらに限定されるわけではない。本発明において、ペプチドは、インビボまたはエクスビボのプロトコールによって対象に投与することができる。さらに、本発明はまた、SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、または288のアミノ酸配列を有するペプチド(およびそれらのバリアント)より選択されるノナペプチドまたはデカペプチドを、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌を治療または予防するための免疫原性組成物を製造するために使用することも提供する。企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0027】
以下のペプチドの相同性解析により、それらが、いかなる公知のヒト遺伝子産物に由来するペプチドとも有意な相同性を有していないことが実証される。
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URLC-A02-9-206(SEQ ID NO:271)、
URLC-A02-9-212(SEQ ID NO:272)および
URLC-A02-10-211(SEQ ID NO:288)。
【0028】
したがって、これらの分子に対する免疫療法に伴う未知または望ましくない免疫応答の可能性は有意に低下する。
【0029】
HLA抗原に関して、本明細書において提供するデータから、(日本人において高発現されると言われている)A-24タイプ抗原またはA-2タイプ抗原の使用が、効果的な結果を得るために有利であることが実証される。A-2402およびA-0201などのサブタイプの使用がさらにより好ましい。典型的には、診察において、治療を必要とする患者のHLA抗原のタイプを前もって調査し、結果として、患者抗原に対して高いレベルの結合親和性を有するか、または抗原提示による細胞障害性T細胞(CTL)誘導能を有する適切なペプチドを選択することが可能になる。さらに、高い結合親和性およびCTL誘導能を有するペプチドを得るために、天然に存在するCDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10の部分ペプチドのアミノ酸配列に基づいて、1個、2個、またはいくつか(例えば、最大5個)のアミノ酸の置換、欠失、または付加を実施してもよい。本明細書において、「いくつかの」という用語は、5個またはそれ未満、より好ましくは3個またはそれ未満を意味する。さらに、天然に表示されるペプチドに加えて、HLA抗原への結合によって表示されるペプチドの配列の規則性は既知であるため(Kubo RT, et al.,(1994)J. Immunol., 152, 3913-24;Rammensee HG, et al.,(1995)Immunogenetics. 41:178-228;Kondo A, et al.,(1995)J. Immunol. 155:4307-12)、このような規則性に基づいた改変も、本発明の免疫原性ペプチドに対して実施することができる。例えば、N末端から2番目のアミノ酸がフェニルアラニン、チロシン、メチオニン、またはトリプトファンで置換された、高いHLA-A24結合親和性を有するペプチドが、好都合に使用され得る。同様に、C末端アミノ酸がフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、またはメチオニンで置換されたペプチドもまた、好都合に使用され得る。これに対して、N末端から2番目のアミノ酸がロイシンまたはメチオニンで置換された高いHLA-A2結合親和性を有するペプチド、およびC末端アミノ酸がバリンまたはロイシンで置換されているペプチドが、好都合に使用され得る。置換は、末端アミノ酸でだけではなく、ペプチドの潜在的なTCR認識位置でも実施される。いくつかの研究により、あるペプチドのアミノ酸置換物が、元のもの、例えば、CAP1、p53(264〜272)、Her-2/neu(369〜377)、もしくはgp100(209〜217)と等しいか、またはそれより優れている場合があることが実証された(Zaremba et al. Cancer Res. 57, 4570-4577, 1997, T. K. Hoffmann et al. J Immunol.(2002)Feb 1;168(3):1338-47., S. O. Dionne et al. Cancer Immunol immunother.(2003)52:199-206 、およびS. O. Dionne et al. Cancer Immunology, Immunotherapy(2004)53, 307-314)。さらに、1個〜2個のアミノ酸が、ペプチドのN末端および/またはC末端に付加されてもよい。
【0030】
しかしながら、ペプチド配列が、異なる機能を有する内因性タンパク質または外因性タンパク質のアミノ酸配列の一部分と同一である場合、自己免疫障害または特定の物質に対するアレルギー症状などの副作用が誘導される場合がある。したがって、免疫原性配列が公知のタンパク質のアミノ酸配列と一致する状況を回避することが好ましい。この状況は、利用可能なデータベースを用いてホモロジー検索を実施することによって回避してもよい。1個、2個、またはいくつかの異なるアミノ酸を有するペプチドが天然には存在しないことがホモロジー検索によって確認される場合には、例えば、HLA抗原との結合親和性を高め、かつ/またはCTL誘導能を高める、前述のアミノ酸配列の改変による危険を回避することができる。
【0031】
前述したHLA抗原に対して高い結合親和性を有するペプチドは、癌ワクチンとして著しく効果的であると予想されるが、指標としての高い結合親和性の存在に基づいて選択される候補ペプチドは、CTL誘導能の実際の存在に関して検査されなければならない。CTL誘導能は、ヒトMHC抗原を有する抗原提示細胞(例えば、Bリンパ球、マクロファージ、および樹状細胞)、またはより具体的には、ヒト末梢血単核白血球に由来する樹状細胞を誘導し、かつ関心対象のペプチドで刺激した後に、CD8陽性細胞と混合し、標的細胞に対する細胞障害活性を測定することによってルーチン的に確認することができる。反応系として、ヒトHLA抗原を発現するように作製されたトランスジェニック動物(例えば、BenMohamed L, et al.,(2000)Hum. Immunol;61(8):764-79 Related Articles, Books, Linkout.に記載されているもの)を使用してもよい。例えば、標的細胞を51Crなどで放射性標識することができ、標的細胞から放出された放射能から細胞障害活性を算出することができる。あるいは、固定化したペプチドを有する抗原提示細胞の存在下でCTLによって産生および放出されたIFN-γを測定すること、および抗IFN-γモノクローナル抗体を用いて培地上の阻止帯を可視化することによって検査することもできる。
【0032】
前述のようにペプチドのCTL誘導能を検査した結果、HLA抗原に対して高い結合親和性を有するペプチドが必ずしも高い誘導能を有するわけではないことが発見された。しかしながら、以下のペプチドによって示されるアミノ酸配列を有するペプチドの群より選択されるノナペプチドまたはデカペプチドは、特に高いCTL誘導能を示した。
CDH3-A24-9-513(SEQ ID NO:19)、
CDH3-A24-9-406(SEQ ID NO:22)、
CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)、
CDH3-A24-10-332(SEQ ID NO:34)、
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CDH3-A24-10-470(SEQ ID NO:358)、
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HIG2-A02-10-8(SEQ ID NO:121)、
INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)、
INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)、
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INHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)、
INHBB-A24-10-212(SEQ ID NO:426)、
KIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)、
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KNTC2-A24-9-309(SEQ ID NO:196)、
KNTC2-A24-9-124(SEQ ID NO:202)、
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KNTC2-A24-9-150(SEQ ID NO:213)、
KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)、
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KNTC2-A24-10-273(SEQ ID NO:223)、
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TTK-A02-9-547(SEQ ID NO:228)、
TTK-A02-9-719(SEQ ID NO:233)、
TTK-A02-10-462(SEQ ID NO:254)、
URLC-A02-9-206(SEQ ID NO:271)、
URLC-A02-9-212(SEQ ID NO:272)、および
URLC-A02-10-211(SEQ ID NO:288)。
【0033】
上記のように、本発明は、細胞障害性T細胞誘導能を有するペプチド、すなわち、SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、もしくは288のアミノ酸配列を有するもの、またはそのバリアント(すなわち、1個、2個、もしくはいくつかのアミノ酸が置換、欠失、もしくは付加されているもの)を提供する。
【0034】
SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、もしくは288に示す9個もしくは10個のアミノ酸から構成されるアミノ酸配列またはそのバリアントが、別の内因性タンパク質に関連するアミノ酸配列と一致しないことが好ましい。
【0035】
特に、N末端から2番目のアミノ酸におけるロイシンまたはメチオニンへのアミノ酸置換、C末端アミノ酸におけるバリンまたはロイシンへのアミノ酸置換、ならびにN末端および/またはC末端への1個〜2個のアミノ酸のアミノ酸付加が、好ましいバリアントの例である。
【0036】
当業者は、アミノ酸の置換物および付加物の他に、これらのペプチドの免疫学的に活性な断片もまた本発明の方法において使用され得ることを認識するであろう。活性断片を決定するための方法は、当技術分野において周知である。これらの改変ペプチドによる刺激によって得られるCTLクローンは、元のペプチドを認識し、元のペプチドを発現する細胞に障害を与えることができる。
【0037】
本発明のペプチドは、周知の技術を用いて調製することができる。例えば、これらのペプチドは、組換えDNA技術または化学合成のいずれかを用いて、合成によって調製することができる。本発明のペプチドは、個別に、または2個もしくはそれ以上のペプチドから構成されるより長いポリペプチドとして合成してもよい。本発明のペプチドは、好ましくは単離され、すなわち、天然に存在する他の宿主細胞タンパク質およびそれらの断片を実質的に含まない。
【0038】
本発明のペプチドは、改変が本明細書において説明するペプチドの生物活性、すなわちHLA抗原に結合し、CTLを誘導する能力を消失させない限りにおいて、グリコシル化、側鎖酸化、またはリン酸化などの改変を含んでよい。他の改変には、例えば、ペプチドの血清半減期を延長させるために使用することができるD-アミノ酸または他のアミノ酸模倣体の組入れが含まれる。
【0039】
さらに、本発明は、1個、2個、またはいくつかのアミノ酸が置換されたペプチドをスクリーニングする方法を含み、このペプチドはSEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、80、100、101、110、111、387、112、394、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、または223からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、本方法は、以下の段階を含む:
(a)1個、2個、またはいくつかのアミノ酸の置換物の配列全体に対して有意な配列相同性が無いことを確認する段階;
(b)候補の置換ペプチドのCTL誘導能を測定する段階;および
(c)CTL誘導能が元のペプチドと同じであるか、またはそれより高いペプチドを選択する段階。
【0040】
例えば、好ましい態様において、本発明は、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10からなる群より選択される抗原である少なくとも1種の腫瘍関連抗原を発現する細胞に対してCTLを誘導する能力を有するペプチドを同定する方法を提供し、本方法は、以下の段階を含む:
(i)SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、80、100、101、110、111、387、112、394、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、または223からなる群より選択される元のアミノ酸配列に対して1個、2個、またはいくつかのアミノ酸残基を置換、欠失、または付加することによって改変されたアミノ酸配列からなる少なくとも1つの候補配列を提供または作製する段階;
(ii)前記腫瘍関連抗原以外のいかなる公知のヒト遺伝子産物に由来するペプチドとも実質的に有意な相同性を有していない候補配列を選択する段階;
(iii)段階(ii)において選択した候補配列からなるペプチドを抗原提示細胞と接触させる段階;
(iv)段階(c)の抗原提示細胞をT細胞と接触させて、そのペプチドがT細胞を刺激する能力を評価する段階;および
(v)CTL誘導能が元のアミノ酸配列からなるペプチドと同じであるか、またはそれより高いペプチドを同定する段階。
【0041】
好ましくは、アミノ酸は、アミノ酸側鎖の特性が保存されている異なるアミノ酸に置換される(保存的アミノ酸置換として公知のプロセス)。アミノ酸側鎖の特性の例は、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、ならびに以下の官能基または特徴を共通して有する側鎖である:脂肪族側鎖(G、A、V、L、I、P);ヒドロキシル基を含む側鎖(S、T、Y);硫黄原子を含む側鎖(C、M);カルボン酸およびアミドを含む側鎖(D、N、E、Q);塩基を含む側鎖(R、K、H);ならびに芳香族を含む側鎖(H、F、Y、W)。括弧内の文字は、アミノ酸の1文字記号を示すことに留意されたい。本発明において、実質的に有意な相同性とは、例えば、比較しようとする公知のヒト遺伝子産物との90%超、好ましくは95%、より好ましくは99%、または100%の同一性である。
【0042】
本発明のペプチドは、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌に対するワクチン、例えばCTLをインビボで誘導するワクチンとして使用するために、2種またはそれ以上の本発明のペプチドを含む組合せとして調製することができる。企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。これらのペプチドは、カクテル中に含まれてよく、または標準技術を用いて互いに結合されてもよい。例えば、これらのペプチドは、単一のポリペプチド配列として発現させることができる。組合せ中のペプチドは、同じまたは異なってよい。
【0043】
本発明のペプチドを投与することによって、これらのペプチドは抗原提示細胞のHLA抗原上に高密度で提示され、その結果として、表示されたペプチドとHLA抗原で形成された複合体に対して特異的に反応するCTLを誘導する。あるいは、対象から樹状細胞を取り出すことによって得た、本発明のペプチドを細胞表面に固定化した抗原提示細胞は、本発明のペプチドによって刺激され得る。これらの細胞をそれぞれの対象に再投与することによってCTLを誘導し、結果として、標的細胞に対する攻撃性を高めることができる。
【0044】
より具体的には、本発明は、1種もしくは複数種の本発明のペプチドまたはそれらのペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌の増殖および転移などを治療および/または予防するための薬物を提供する。本発明のこれらのペプチドまたはポリヌクレオチドは、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10に関連した疾患、例えば癌の治療において特に有用である。企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0045】
本発明のペプチドは、従来の製剤方法によって製剤化された薬学的組成物として対象に直接投与することができる。このような場合、本発明のペプチドの他に、担体、賦形剤、および薬物のために通常使用されるそのようなものを、特に制限無く適宜含めることができる。本発明の免疫原性組成物は、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌の治療および予防のために使用され得る。企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0046】
本発明の1種または複数種のペプチドを活性成分として含む、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌の治療および/または予防用の免疫原性組成物は、細胞免疫が効果的に確立されるようにアジュバントをさらに含むことができる。あるいは、それらを、抗癌剤のような他の活性成分と共に投与してもよい。
【0047】
企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。適切な製剤には、顆粒剤が含まれる。適切なアジュバントは、文献に記載されている(Johnson AG.(1994)Clin. Microbiol. Rev., 7:277-89)。
【0048】
例示的なアジュバントには、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、およびミョウバンが含まれるがこれらに限定されるわけではない。さらに、リポソーム製剤、薬物が直径数mcmのビーズに結合されている顆粒状の製剤、および脂質がペプチドに結合されている製剤を便宜的に使用してもよい。投与方法は、経口、皮内、皮下、または静脈注射などでよく、全身投与または標的とされる腫瘍の近傍への局所投与が含まれ得る。
【0049】
本発明のペプチドの用量は、治療すべき疾患、患者の年齢、体重、および投与方法などに応じて適切に調整することができる。投薬量は、通常0.001mg〜1000mg、好ましくは0.01mg〜100mg、より好ましくは0.1mg〜10mgであり、好ましくは、数日間〜数ヶ月間に1回投与されるが、これらのパラメーターの選択および最適化はごく普通の技能で十分に対応できる範囲内であるため、当業者は、適切な用量および投与方法を容易に選択することができる。
【0050】
本発明はさらに、本発明のペプチドとHLA抗原で形成された複合体を表面に提示する、エキソソームと呼ばれる細胞内小胞を提供する。エキソソームは、例えば、国際公開の公開された日本語訳である特表平11-510507号および特表2000-512161号において詳細に説明されている方法を用いることによって調製することができ、好ましくは、治療および/または予防の標的である対象から得られる抗原提示細胞を用いて調製される。本発明のエキソソームは、本発明のペプチドと同様に、癌ワクチンとして接種することができる。
【0051】
使用するHLA抗原のタイプは、治療および/または予防を必要とする対象のタイプと一致しなければならない。例えば、日本人集団の場合、HLA-A24またはHLA-A2、特にHLA-A2402またはHLA-A0201が適切であることが多い。
【0052】
いくつかの態様において、本発明のワクチン組成物は、細胞障害性Tリンパ球を初回刺激する成分を含む。脂質は、ウイルス抗原に対してインビボでCTLを初回刺激することができる作用物質と同定されている。例えば、パルミチン酸残基をリシン残基のε-アミノ基およびα-アミノ基に結合させ、次いで本発明の免疫原性ペプチドに連結させることができる。次いで、脂質付加したペプチドを、ミセルもしくは粒子中に入れて直接投与するか、リポソーム中に組み入れるか、またはアジュバント中に乳化することができる。CTL応答の脂質初回刺激の別の例として、トリパルミトイル-S-グリセリルシステインリセリル-セリン(P3CSS)のような大腸菌(E. coli)リポタンパク質が、適切なペプチドに共有結合される場合、CTLを初回刺激するのに使用することができる(例えば、Deres K, et al.,(1989)Nature 342:561-4.を参照されたい)。
【0053】
本発明の免疫原性組成物はまた、本明細書において開示する1種または複数種の免疫原性ペプチドをコードする核酸も含んでよい。例えば、Wolff JA et al.,(1990)Science 247:1465-8;米国特許第5,580,859号;同第5,589,466号;同第5,804,566号;同第5,739,118号;同第5,736,524号;同第5,679,647号;およびWO98/04720を参照されたい。DNAに基づいた送達技術の例には、「裸DNA」、促進された(ブピビカイン、ポリマー、ペプチドを媒介とした)送達、カチオン性脂質複合体、および粒子を媒介とした(「遺伝子銃」)または圧力による送達が含まれる(例えば、米国特許第5,922,687号を参照されたい)。
【0054】
本発明の免疫原性ペプチドはまた、ウイルスベクターまたは細菌ベクターによって発現させることもできる。適切な発現ベクターの例には、ワクシニアまたは鶏痘などの弱毒化したウイルス宿主が含まれる。このアプローチは、例えば、ペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させるためのベクターとしてワクシニアウイルスを使用することを含む。宿主中に導入すると、組換えワクシニアウイルスは、免疫原性ペプチドを発現し、それによって免疫応答を誘発する。免疫化プロトコールにおいて有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば米国特許第4,722,848号に記載されている。別の適切なベクターはBCG(カルメット・ゲラン杆菌(Bacille Calmette Guerin)である。BCGベクターは、Stover CK, et al.,(1991)Nature 351:456-60に記載されている。治療的投与または免疫化のために有用な多種多様の他のベクター、例えば、アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、チフス菌(Salmonella typhi)ベクター、ならびに無毒化した炭疽毒素ベクターなどが、当技術分野において公知である。例えば、Shata MT, et al.,(2000)Mol. Med. Today 6:66-71;Shedlock DJおよびWeiner DB., et al.,(2000)J. Leukoc. Biol. 68:793-806;ならびにHipp JD, et al.,(2000)In Vivo 14:571-85を参照されたい。
【0055】
本発明はまた、本発明の1種または複数種のペプチドを用いて抗原提示細胞を誘導する方法も提供する。抗原提示細胞は、末梢血単球から樹状細胞を誘導し、次いでそれらをインビトロ、エクスビボ、またはインビボで本発明の1種または複数種のペプチドと接触させる(それらで刺激する)ことによって誘導することができる。本発明のペプチドを対象に投与すると、本発明のペプチドがそれらに固定化された抗原提示細胞が、対象の体内で誘導される。あるいは、本発明のペプチドを抗原提示細胞に固定化した後、これらの細胞をワクチンとして対象に投与することもできる。例えば、エクスビボの投与は、以下の段階を含んでもよい:
a:対象から抗原提示細胞を採取する段階;および
b:段階aの抗原提示細胞を本発明のペプチドと接触させる段階。
【0056】
あるいは、本発明により、抗原提示細胞を誘導する薬学的組成物を製造するための本発明のペプチドの使用も提供される。さらに、本発明はまた、抗原提示細胞を誘導するための本発明のペプチドも提供する。段階bによって得られた抗原提示細胞は、ワクチンとして対象に投与することができる。
【0057】
本発明はまた、高レベルの細胞障害性T細胞誘導能を有する抗原提示細胞を誘導するための方法を提供し、本方法は、本発明の1種または複数種のペプチドをコードするポリヌクレオチドから構成される遺伝子をインビトロで抗原提示細胞に移入する段階を含む。導入される遺伝子は、DNAまたはRNAの形態でよい。導入の方法については、特に限定されず、当分野で慣例的に実施される様々な方法、例えば、リポフェクション、エレクトロポレーション、およびリン酸カルシウム法を適切に使用してよい。より具体的には、Reeves ME, et al.,(1996)Cancer Res., 56:5672-7;Butterfield LH, et al.,(1998)J. Immunol., 161:5607-13;Boczkowski D, et al.,(1996)J. Exp. Med., 184:465-72.;国際公開の公開された日本語訳である特表2000-509281号に記載されているように、トランスフェクションを実施してもよい。遺伝子を抗原提示細胞中に移入することにより、遺伝子は細胞中で転写および翻訳などを経て、次いで、得られたタンパク質がMHCクラスIまたはクラスIIによってプロセッシングされ、提示経路を経て部分ペプチドを提示する。
【0058】
本発明はさらに、本発明の1種または複数種のペプチドを用いてCTLを誘導するための方法も提供する。本発明のペプチドが対象に投与される場合、対象の体内でCTLが誘導され、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10を発現する細胞、例えば腫瘍組織中の癌細胞を標的とする免疫系の強さがそれによって向上する。
【0059】
企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。あるいは、本発明のペプチドは、エクスビボの治療方法の状況で使用されてもよく、その場合、対象に由来する抗原提示細胞およびCD8陽性細胞または末梢血単核白血球をインビトロで本発明の1種または複数種のペプチドと接触させ(それらで刺激し)、CTLを誘導した後、それらの細胞を対象に戻す。例えば、この方法は、以下の段階を含んでもよい:
a:対象から抗原提示細胞を採取する段階;
b:段階aの抗原提示細胞を本発明のペプチドと接触させる段階、
c:段階bの抗原提示細胞をCD8+T細胞と混合しかつ同時培養して、細胞障害性T細胞を誘導する段階:および
d:段階cの同時培養物からCD8+T細胞を採取する段階。
【0060】
あるいは、本発明により、CTLを誘導する薬学的組成物を製造するための本発明のペプチドの使用も提供される。さらに、本発明はまた、CTLを誘導するための本発明のペプチドも提供する。段階dによって得られた細胞障害活性を有するCD8+T細胞は、ワクチンとして対象に投与することができる。
【0061】
本発明はさらに、本発明のペプチドを用いて誘導された、単離された細胞障害性T細胞も提供する。本発明の1種または複数種のペプチドを提示する抗原提示細胞による刺激によって誘導される細胞障害性T細胞は、好ましくは、治療および/または予防の標的である対象に由来し、単独で、または本発明の1種もしくは複数種のペプチドまたは抗腫瘍活性を有するエキソソームを含む他の薬物と組み合わせて投与することができる。得られた細胞障害性T細胞は、本発明のペプチド、または好ましくは誘導のために使用されるのと同じペプチドを提示する標的細胞に対して特異的に作用する。標的細胞は、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/もしくはURLC10を内因的に発現する細胞、またはCDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/もしくはURLC10遺伝子をトランスフェクトした細胞でよい。これらのペプチドによる刺激が原因で細胞表面に本発明のペプチドを提示する細胞もまた、攻撃の標的となることができる。
【0062】
本発明はまた、HLA抗原と本発明の1種または複数のペプチドで形成された複合体を提示する抗原提示細胞も提供する。本発明のペプチドまたはそれらのペプチドをコードするヌクレオチドとの接触によって得られる抗原提示細胞は、好ましくは、治療および/または予防の標的である対象に由来し、単独で、または本発明のペプチド、エキソソーム、もしくは細胞障害性T細胞を含む他の薬物と組み合わせて、ワクチンとして投与することができる。
【0063】
本発明はまた、T細胞受容体(TCR)のサブユニットを形成することができるポリペプチドをコードする核酸から構成される組成物、およびそれを使用する方法も提供する。TCRサブユニットは、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10を提示する腫瘍細胞に対してT細胞への特異性を与えるTCRを形成する能力を有する。当技術分野において公知の方法を用いることによって、本発明の1種または複数種のペプチドを用いて誘導したCTLのTCRサブユニットとしてα鎖およびβ鎖の核酸を同定することができる(WO2007/032255およびMorgan et al., J Immunol, 171, 3288(2003))。誘導体TCRは、好ましくは、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10ペプチドを表示する標的細胞に高い結合力で結合し、任意で、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10ペプチドを提示する標的細胞のインビボおよびインビトロでの効率的な死滅を媒介する。
【0064】
TCRサブユニットをコードする核酸は、適切なベクター、例えばレトロウイルスベクター中に組み入れることができる。これらのベクターは、当技術分野において周知である。これらの核酸またはそれらを含むベクターは、好ましくは患者に由来するT細胞中に有用に移入することができる。有利には、本発明は、患者自身のT細胞(または別の哺乳動物のもの)の迅速な改変を可能にして、癌細胞を死滅させる優れた特性を有する改変T細胞を迅速かつ容易に産生させる既製の組成物を提供する。
【0065】
また、本発明は、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10ペプチド、例えば、HLA-A24またはHLA-A2と関連したSEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、または288と結合するTCRサブユニットポリペプチドをコードする核酸を用いて形質導入することによって調製されるCTLも提供する。形質導入されたCTLは、インビボで癌細胞へと戻ることができ、かつ周知の培養法によってインビトロで増殖する(例えば、Kawakami et al., J Immunol., 142, 3452-3461(1989))。本発明のT細胞は、療法または保護を必要とする患者において癌を治療または予防するのに有用な免疫原性組成物を形成するために使用することができる(WO2006/031221)。
【0066】
本発明の文脈において、「ワクチン」(免疫原性組成物とも呼ばれる)という用語は、動物に接種すると抗腫瘍免疫を誘導するかまたは癌を抑制する物質を意味する。本発明によれば、SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、80、100、101、110、111、387、112、394、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、または223のアミノ酸配列を有するポリペプチドは、HLA-A24拘束性エピトープペプチドであることが示され、SEQ ID NO:376、379、114、116、117、121、227、228、233、254、271、272、または288のものはHLA-A2拘束性エピトープペプチドであることが示され、これらは、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10を発現する細胞、例えばCDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10を発現する癌細胞に対する強力かつ特異的な免疫応答を誘導し得る。企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0067】
したがって、本発明はまた、SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、もしくは288のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはそのバリアント(すなわち、1個、2個、もしくはいくつか(例えば最高5個)のアミノ酸置換、欠失、もしくは付加を含む)を用いて抗腫瘍免疫を誘導する方法も包含する。一般に、抗腫瘍免疫は以下のような免疫応答を含む:
- CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10を発現する細胞を含む腫瘍に対する細胞障害性リンパ球の誘導、
- CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10を発現する細胞を含む腫瘍を認識する抗体の誘導、ならびに
- 抗腫瘍サイトカイン産生の誘導。
【0068】
したがって、ある種のペプチドが、動物に接種された際にこれらの免疫応答のいずれか1つを誘導する場合、そのペプチドは、抗腫瘍免疫を誘導する効果を有すると決定される。ペプチドによる抗腫瘍免疫の誘導は、そのペプチドに対する、宿主の免疫系の応答をインビボまたはインビトロで観察することによって検出することができる。
【0069】
例えば、細胞障害性Tリンパ球の誘導を検出するための方法が周知である。生体に侵入する外来物質は、抗原提示細胞(APC)の作用によって、T細胞およびB細胞に対して提示される。APCによって提示される抗原に抗原特異的な様式で応答するT細胞は、抗原による刺激により細胞障害性T細胞(細胞障害性Tリンパ球またはCTLとも呼ばれる)に分化し、次いで増殖する。このプロセスは、本明細書においてT細胞の「活性化」と呼ばれる。したがって、ある種のペプチドによるCTL誘導は、APCによってそのペプチドをT細胞に提示し、かつCTLの誘導を検出することによって評価することができる。さらに、APCは、CD4+T細胞、CD8+T細胞、マクロファージ、好酸球、およびNK細胞を活性化する効果を有する。CD4+T細胞はまた、抗腫瘍免疫において重要であるため、ペプチドの抗腫瘍免疫誘導作用は、これらの細胞の活性化効果を指標として用いて評価することができる。
【0070】
樹状細胞(DC)をAPCとして用いたCTLの誘導作用を評価するための方法は、当技術分野において周知である。DCは、APCのうちで最も強力なCTL誘導作用を有する代表的なAPCである。この方法では、試験ポリペプチドを最初にDCと接触させ、次いでこのDCをT細胞と接触させる。DCと接触させた後に、関心対象の細胞に対する細胞障害性効果を有するT細胞が検出される場合、その試験ペプチドが、細胞障害性T細胞を誘導する活性を有することが示される。腫瘍に対抗するCTLの活性は、例えば、51Crで標識された腫瘍細胞の溶解を指標として用いて、検出することができる。あるいは、3H-チミジン取り込み活性またはLDH(ラクトースデヒドロゲナーゼ)放出を指標として用いて腫瘍細胞の損傷の程度を評価することも周知である。さらに、ELISPOTアッセイ法のように、抗IFN-γ抗体を用いて可視化することにより、固定化したペプチドを有する抗原提示細胞の存在下でCTLによって産生および放出されたIFN-γを測定することによって、検査することもできる。
【0071】
DC以外では、末梢血単核細胞(PBMC)もまたAPCとして使用してよい。CTLの誘導は、GM-CSFおよびIL-4の存在下でPBMCを培養することによって亢進されることが報告されている。同様に、CTLは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびIL-7の存在下でPBMCを培養することによって誘導されることも示された。
【0072】
これらの方法によってCTL誘導活性を有することが確認された試験ポリペプチドは、DC活性化作用およびそれに続くCTL誘導活性を有するポリペプチドである。したがって、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10を発現する細胞に対抗するCTLを誘導するポリペプチドは、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10に関連する疾患、例えば癌に対するワクチンとして有用である。さらに、これらのポリペプチドと接触することにより、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌に対抗するCTLを誘導する能力を獲得したAPCも、その疾患に対するワクチンとして有用である。さらに、APCによるポリペプチド抗原の提示によって細胞障害性を獲得したCTLもまた、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10に関連する疾患、例えば癌に対するワクチンとして使用することができる。APCおよびCTLの寄与による抗腫瘍免疫を用いた、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10に関連する疾患、例えば癌に対するこのような治療方法は、細胞性免疫療法と呼ばれる。企図される癌には、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0073】
一般に、細胞性免疫療法のためにポリペプチドを使用する場合、CTL誘導の効率は、異なる構造を有する複数のポリペプチドを組合せ、かつそれらをDCと接触させることによって上昇させることができる。したがって、DCをタンパク質断片で刺激する場合、複数のタイプの断片の混合物を使用することが有利である。
【0074】
あるポリペプチドによる抗腫瘍免疫の誘導は、腫瘍に対する抗体産生の誘導を観察することによってさらに確認することができる。例えば、あるポリペプチドに対する抗体が、そのポリペプチドで免疫化された実験動物において誘導される場合、および腫瘍細胞の成長、増殖、および/または転移がそれらの抗体によって抑制される場合、そのポリペプチドは、抗腫瘍免疫を誘導すると判定される。
【0075】
抗腫瘍免疫は、本発明のワクチンを投与することによって誘導することができ、抗腫瘍免疫の誘導により、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌の治療および予防が可能になる。CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌に対する療法または発症の予防は、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10を発現する細胞、例えば癌細胞の成長の阻害、これらの細胞の退縮、およびこれらの細胞、例えば癌細胞の発生の抑制を含んでよい。CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10に関連する疾患、例えば癌に罹患している個体の死亡率の低下、血液中の疾患マーカーの減少、および疾患に付随する検出可能な症状の軽減などもまた、疾患、例えば癌の療法または予防に含まれる。このような治療効果および予防効果は、好ましくは統計学的に有意であり、例えば、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10に関連する疾患、例えば癌に対するワクチンの治療効果または予防効果が、ワクチン投与を伴わない対照と比較される場合、5%またはそれ未満の有意水準で観察される。例えば、スチューデントのt検定、マン・ホイットニーU検定、またはANOVAを、統計的有意性の判定のために使用してもよい。
【0076】
本発明は、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌を治療または予防するための方法を提供するので、治療的化合物または治療的組成物を、疾患に罹患しているか、または発症するリスクがある(もしくは発症しやすい)対象に予防的または治療的に投与してもよい。このような対象は、標準的な臨床的方法を用いて特定することができる。本発明の状況において、疾患または障害が予防されるか、または他の方法でその進行が遅延されるように、疾患の明らかな臨床症状が発現する前に、予防的投与を実施する。医学分野の文脈において、「予防する」という用語は、疾患の死亡率または罹患率の負担(burden)を軽減させる任意の活性を包含する。予防は、第一次、第二次、および第三次の予防レベルで存在し得る。一次予防は疾患の発症を回避するのに対し、二次レベルおよび三次レベルの予防は、疾患の進行および症状の発生を防ぐことに加え、機能を修復しかつ疾患に関連した合併症を減少させることにより、既に確立した疾患の負の影響を減少させることを狙いとした活動を包含する。
【0077】
癌治療の文脈において、「有効な」という用語は、対象において癌のサイズ、蔓延、または転移能の低減がもたらされる治療を意味する。ある治療が予防的に適用される場合、「有効な」とは、その治療が、非癌の発生を遅延もしくは予防するか、または癌の臨床症状を緩和することを意味する。癌の評価は、標準的な臨床的プロトコールを用いて実施することができる。さらに、治療の有効性は、癌を診断または治療するための任意の公知の方法によって決定してもよい。例えば、癌は、組織病理学的に、または症候性の異常を特定することによって診断することができる。
【0078】
免疫学的活性を有する前述のペプチド、またはこのようなペプチドをコードするポリヌクレオチドもしくはベクターは、アジュバントと組み合わせてよい。アジュバントとは、免疫学的活性を有するペプチドと一緒に(または連続的に)投与された場合に、ペプチドに対する免疫応答を増強する化合物を意味する。適切なアジュバントの例には、コレラ毒素、サルモネラ毒素、およびミョウバンなどが含まれるが、これらに限定されるわけではない。さらに、本発明のワクチンは、薬学的に許容される担体と適切に組み合わせてもよい。このような担体の例は、滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝液、および培養液などである。さらに、ワクチンは、必要に応じて、安定化剤、懸濁剤、保存剤、および界面活性剤なども含んでよい。ワクチンは、全身的または局所的に投与される。ワクチン投与は、単回投与によって実施するか、または複数回投与によって追加免疫してよい。
【0079】
APCまたはCTLを本発明のワクチンとして使用する場合、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌は、例えばエクスビボの方法によって治療または予防することができる。より具体的には、治療または予防を受けている対象のPBMCを採取し、本発明のペプチドとエクスビボで接触させる。APCまたはCTLの誘導後、それらの細胞を対象に投与してもよい。APCは、ペプチドをコードするベクターをエクスビボでPBMC中に導入することによっても、誘導することができる。インビトロで誘導したAPCまたはCTLは、クローニングした後に投与することができる。標的細胞を障害する活性が高い細胞をクローニングし、増殖させることによって、細胞性免疫療法をより効果的に実施することができる。さらに、この様式で単離されたAPCおよびCTLは、それらの細胞が由来する個体に対してだけでなく、他の個体の同様のタイプの疾患に対しても、細胞性免疫療法のために使用され得る。
【0080】
本発明の局面を以下の実施例において説明する。これらの実施例は、本発明を例示し、かつ当業者がそれらを作製および使用するのを補助するためにのみ提供される。これらの実施例は、本発明の範囲を別な具合に限定することを決して意図しない。
【0081】
本明細書において説明されるものと同様または等価な方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を後述する。
【0082】
実施例
以下に、本発明を以下の実施例によって例示するが、これらによって限定はされない。しかしながら、本明細書において説明する材料および方法などは、本発明の局面を例示するに過ぎず、本発明の範囲を限定することを決して意図しない。したがって、本明細書において説明するものと同様または等価な材料および方法などを、本発明の実施または試験において使用してよい。
【0083】
材料および方法
細胞株
エプスタイン-バーウイルスを用いて形質転換することによって、ヒトBリンパ芽球様細胞株であるA24-LCL細胞(HLA-A24)を樹立した。T2細胞、COS7、A498、Caki-2、およびHEK293はATCCから購入した。Caki-1およびMIAPaca-2はJCRBから購入した。PK-45P、PK-59、TE-5、およびTE-6は、TKGから購入した。293Tは、GenHunterから購入した。
【0084】
CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10に由来するペプチドの候補選択
HLA-A*2402分子またはHLA-A*0201分子に結合する、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10由来の9 merおよび10 merのペプチドを、結合予測ソフトウェア「BIMAS」(http://bimas.dcrt.nih.gov/cgi-bin/molbio/ken_parker_comboform)を用いて予測した(Parker KC, et al.,(1994)J Immunol.;152(1):163-75;Kuzushima K, et al.,(2001)Blood.;98(6):1872-81)。これらのペプチドを、標準の固相合成方法に従ってSigma(Sapporo, Japan)によって合成し、逆相HPLCによって精製した。これらのペプチドの純度(>90%)および同一性は、それぞれ分析用HPLCおよび質量分析解析によって決定した。ペプチドをジメチルスルホキシド(DMSO)中に20mg/mlで溶解し、-80℃で保存した。
【0085】
インビトロCTL誘導
単球由来の樹状細胞(DC)を抗原提示細胞(APC)として使用して、HLA上に提示されるペプチドに対するCTL応答を誘導した。別の文献で記載されているように(Nukaya I et al.,(1999)Int. J. Cancer 80, 92-7., Tsai V et al.,(1997)J. Immunol 158:1796-802)、DCをインビトロで作製した。簡潔には、Ficoll-Paque(Pharmacia)溶液を用いて正常なボランティア(HLA-A*2402および/またはHLA-A*0201)から単離した末梢血単核細胞(PBMC)を、プラスチック製の組織培養フラスコ(Becton Dickinson)への接着によって分離して、単球画分のためにそれらを濃縮した。単球の豊富な集団を、2%の加熱不活性化した自己血清(AS)を含むAIM-V(Invitrogen)中、1000U/mlのGM-CSF(Genzyme)および1000U/mlのIL-4(Genzyme)の存在下で培養した。7日間培養した後、サイトカインを用いて作製したDCを、AIM-V中、20℃で4時間、3μg/mlのβ2-ミクログロブリンの存在下、20μg/mlの合成ペプチドをパルスした。次いで、ペプチドパルスしたこれらのDCをMMCによって不活性化し(30μg/ml、30分間)、かつ、Dynabeads M-450 CD8(Dynal)およびDETACHa BEAD(商標)(Dynal)を用いたポジティブ選択によって得た自己CD8+T細胞と1:20の比で混合した。これらの培養物を48ウェルプレート(Corning)中に配置した。各ウェルは、0.5mlのAIM-V/2%AS中にペプチドパルスしたDC 1.5×104個、CD8+T細胞3×105個、および10ng/mlのIL-7(Genzyme)を含んだ。3日後、これらの培養物に、最終濃度が20IU/mlになるまでIL-2(CHIRON)を添加した。7日目および14日目に、ペプチドパルスした自己DCでT細胞をさらに再刺激した。前述したのと同じようにして、DCを毎回調製した。21日目に3回目のペプチド刺激をした後、ペプチドパルスしたA24-LCL細胞またはT2細胞に対してCTLを試験した。
【0086】
CTL増殖手順
Riddell SR, et al.,(Walter EA et al.,(1995)N Engl J Med 333:1038-44;Riddel SR, et al.,(1996)Nature Med. 2:216-23)によって説明されているのと同様の方法を用いて、CTLを培養して増殖させた。合計5×104個のCTLを、40ng/mlの抗CD3モノクローナル抗体(Pharmingen)の存在下、MMCによって不活性化した2種類のヒトBリンパ芽球様細胞株と共に、25mlのAIM-V/5%AS中に再懸濁した。培養開始後1日目に、120IU/mlのIL-2を培養物に添加した。5日目、8日目、および11日目に、30IU/mlのIL-2を含む新鮮なAIM-V/5%ASを培養物に供給した。
【0087】
CTLクローンの樹立
96ウェル丸底マイクロタイタープレート(Nalge Nunc International)中で、ウェル当たり0.3個、1個、および3個のCTLを有する希釈物を作製した。合計150μl/ウェルの5%AS含有AIM-V中で、細胞7×104個/ウェルの2種類のヒトBリンパ芽球様細胞株、30ng/mlの抗CD3抗体、および125U/mlのIL-2と共にCTLを培養した。10日後、IL-2の最終濃度が125U/mlになるように、50μl/ウェルのIL-2を培地に添加した。14日目にCTLのCTL活性を試験し、上記と同じ方法を用いてCTLクローンを増殖させた。
【0088】
特異的CTL活性
特異的CTL活性を検査するために、IFN-γELISPOTアッセイ法およびIFN-γELISAアッセイ法を実施した。簡潔には、ペプチドパルスしたA24-LCL細胞またはT2細胞(1×104個/ウェル)を刺激細胞として調製した。48ウェルで培養した細胞または限界希釈後のCTLクローンを、応答細胞として使用した。製造手順のもとに、IFN-γELISPOTアッセイ法およびELISAアッセイ法を実施した。
【0089】
標的遺伝子およびHLA-A02またはHLA-A24のいずれかまたは両方を強制的に発現する細胞の樹立
標的遺伝子またはHLA-A02もしくはHLA-A24のオープンリーディングフレームをコードするcDNAをPCRによって増幅した。このPCR増幅産物を、pcDNA3.1 myc-Hisベクター(Invitrogen)中にクローニングした。製造業者の推奨する手順に従ってリポフェクタミン(Invitrogen)を用いて、これらのプラスミドを、標的遺伝子、HLA-A02およびHLA-A24が無い正常ヒト細胞株COS7または293T中にトランスフェクトした。あるいは、GenePulserII(Biorad)を用いたエレクトロポレーションによって、標的遺伝子を含むプラスミドをA24-LCL中にトランスフェクトした。簡潔には、140Vおよび1000μFで、A24-LCL細胞2.5×106個をプラスミド10mcgでパルスした。トランスフェクションから2日後に、トランスフェクトした細胞を細胞解離溶液で処理し、CTL活性アッセイ法用の標的細胞として使用した。
【0090】
細胞障害性アッセイ法
4時間の51Cr放出アッセイ法によって細胞障害活性を評価した。濃度20μg/mLのペプチドで標的細胞を一晩パルスした。37℃で1時間、100μCiのNa251CrO4で標的細胞を標識し、次いで、RPMI1640で3回洗浄した。標的細胞(1×104個/100μL)および様々な数のエフェクター細胞100μLを合計体積200μLで丸底96ウェルマイクロタイタープレート(Corning)中に播種し、CO2インキュベーター中、37℃で4時間、培養した。培養後、上清100μLを各ウェルから採取し、ガンマカウンターを用いて放射能を測定した。自発的放出は、エフェクター細胞の不在下で培地を用いた場合の標的細胞に由来する放射能であり、最大放出は、1M HClを用いた場合の標的細胞に由来する放射能であった。特異的細胞障害性のパーセンテージは、以下の式のように計算することによって決定した:
特異的溶解率(%)=[(実験による放出-自発的放出)/(最大放出-自発的放出)]×100。
【0091】
結果
癌において増大したCDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10の発現
cDNAマイクロアレイを用いて様々な癌から得た包括的遺伝子発現プロファイルデータから、以下の遺伝子の発現が増加していることが明らかになった。
CDH3(GenBankアクセッション番号NM_001793;SEQ ID NO:1、2)、
EPHA4(GenBankアクセッション番号L36645;SEQ ID NO:3、4)、
ECT2(GenBankアクセッション番号AY376439;SEQ ID NO:5、6)、
HIG2(GenBankアクセッション番号NM_013332;SEQ ID NO:7、8)、
INHBB(GenBankアクセッション番号NM_002193;SEQ ID NO:9、10)、
KIF20A(GenBankアクセッション番号NM_005733;SEQ ID NO:11、12)、
KNTC2(GenBankアクセッション番号AF017790;SEQ ID NO:13、14)、
TTK(GenBankアクセッション番号NM_003318;SEQ ID NO:15、16)、および
URLC10(GenBankアクセッション番号NM_017527;SEQ ID NO:17、18)。
CDH3発現は、対応する正常組織と比べて、以下の癌において確かに上昇していた。
膀胱癌34例中26例、
子宮頸癌19例中17例、
胆管細胞癌19例中19例、
結腸直腸癌34例中30例、
子宮内膜症21例中20例、
胃癌20例中13例、
びまん型胃癌8例中7例、
NSCLC37例中36例、
膵臓癌16例中16例、
軟部組織腫瘍21例中21例、および
精巣腫瘍10例中10例。
【0092】
EPHA4発現は、対応する正常組織と比べて、以下の癌において確かに上昇していた。
膀胱癌34例中14例、
子宮頸癌14例中8例、
胆管細胞癌25例中10例、
子宮内膜症15例中5例、
びまん型胃癌8例中5例、
卵巣癌5例中5例、
膵臓癌14例中14例、
前立腺癌51例中20例、および
軟部組織腫瘍23例中14例。
【0093】
ECT2発現は、対応する正常組織と比べて、以下の癌において確かに上昇していた。
膀胱癌19例中17例、
乳癌12例中5例、
子宮頸癌14例中14例、
胆管細胞癌13例中13例、
CML 5例中5例、
結腸直腸癌8例中7例、
食道癌16例中12例、
NSCLC 16例中6例、
リンパ腫10例中8例、
膵臓癌1例中1例、
前立腺癌13例中10例、
腎癌6例中3例、および
SCLC癌13例中12例。
HIG2発現は、対応する正常組織と比べて、腎臓癌20例中19例、および軟部組織腫瘍9例中7例において確かに上昇していた。
INHBB発現は、対応する正常組織と比べて、以下の癌において確かに上昇していた。
胆管細胞癌21例中10例、
食道癌12例中12例、
NSCLC 13例中10例、
腎癌24例中22例、
SCLC癌14例中8例、および
軟部組織腫瘍49例中45例。
【0094】
KIF20A発現は、対応する正常組織と比べて、以下の癌において確かに上昇していた。
膀胱癌31例中31例、
乳癌61例中38例、
胆管細胞癌11例中10例、
食道癌19例中7例、
NSCLC 22例中21例、
卵巣癌6例中6例、
前立腺癌36例中17例、
腎癌11例中6例、および
SCLC15例中15例。
【0095】
KNTC2発現は、対応する正常組織と比べて、以下の癌において確かに上昇していた。
膀胱癌32例中30例、
乳癌56例中47例、
子宮頸癌10例中10例、
胆管細胞癌22例中16例、
CML 37例中17例、
結腸直腸癌10例中3例、
食道癌46例中11例、
NSCLC 19例中15例、
リンパ腫8例中7例、
骨肉腫24例中20例、
卵巣癌5例中3例、
膵臓癌2例中2例、
前立腺癌37例中15例、
腎癌19例中14例、
SCLC 15例中15例、および
軟部組織腫瘍59例中40例。
【0096】
TTK発現は、対応する正常組織と比べて、以下の癌において確かに上昇していた。
膀胱癌27例中27例、
乳癌30例中25例、
子宮頸癌16例中15例、
胆管細胞癌10例中10例、
CML 7例中5例、
結腸直腸癌10例中6例、
食道癌44例中24例、
肝臓癌15例中8例、
NSCLC 12例中12例、
リンパ腫6例中6例、
骨芽細胞腫16例中13例、
前立腺癌17例中12例、
SCLC 15例中15例、および
軟部組織腫瘍33例中16例。
【0097】
URLC10発現は、対応する正常組織と比べて、以下の癌において確かに上昇していた。
膀胱癌29例29例、
子宮頸癌16例中15例、
胆管細胞癌7例中7例、
食道癌19例中7例、
胃癌3例中3例、
NSCLC 27例中24例、
骨肉腫19例中15例、
膵臓癌5例中4例、
軟部組織腫瘍43例中33例。
【0098】
(表1)対応する正常組織と比べて癌組織においてCDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10の上方制御が観察された症例の比率

【0099】
CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、またはURLC10に由来するHLA-A24結合ペプチドまたはHLA-A2結合ペプチドの予測
表2は、CDH3のHLA-A*2402結合ペプチドを結合親和性の順に示す。表2Aは、CDH3に由来する9 merペプチドを示し、表2Bは、CDH3に由来する10 merペプチドを示す。
表3は、EPHA4のHLA-A*2402結合ペプチドおよびHLA-A*0201結合ペプチドを結合親和性の順に示す。表3Aは、EPHA4に由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチドを示し、表3Bは、EPHA4に由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチドを示し、表3Cは、EPHA4に由来する9 merのHLA-A*0201結合ペプチドを示す。
表4は、ECT2のHLA-A*2402結合ペプチドを結合親和性の順に示す。表4Aは、ECT2に由来する9 merペプチドを示し、表4Bは、ECT2に由来する10 merペプチドを示す。
表5は、HIG2のHLA-A*2402結合ペプチドおよびHLA-A*0201結合ペプチドを示し、表5Aは、HIG2に由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチドを示し、表5Bは、HIG2に由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチドを示し、表5Cは、HIG2に由来する9 merのHLA-A*0201結合ペプチドを示し、表5Dは、HIG2に由来する10 merのHLA-A*0201結合ペプチドを示す。
表6は、INHBBのHLA-A*2402結合ペプチドおよびHLA-A*0201結合ペプチドを示し、表6Aは、INHBBに由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチドを示し、表6Bは、INHBBに由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチドを示し、表6Cは、INHBBに由来する9 merのHLA-A*0201結合ペプチドを示し、表6Dは、INHBBに由来する10 merのHLA-A*0201結合ペプチドを示す。
表7は、KIF20AのHLA-A*2402結合ペプチドを結合親和性の順に示す。表7Aは、KIF20Aに由来する9 merペプチドを示し、表7Bは、KIF20Aに由来する10 merペプチドを示す。
表8は、KNTC2のHLA-A*2402結合ペプチドを結合親和性の順に示す。表8Aは、KNTC2に由来する9 merペプチドを示し、表8Bは、KNTC2に由来する10 merペプチドを示す。
表9は、TTKのHLA-A*0201結合ペプチドを結合親和性の順に示す。表9Aは、TTKに由来する9 merペプチドを示し、表9Bは、TTKに由来する10 merペプチドを示す。
表10は、URLC10のHLA-A*0201結合ペプチドを結合親和性の順に示す。表10Aは、URLC10に由来する9 merペプチドを示し、表10Bは、URLC10に由来する10 merペプチドを示す。
【0100】
表中の用語に関する説明および定義
開始位置は、N末端から数えたアミノ酸の番号を示す。結合スコアは、「材料および方法」で説明した「BIMAS」に由来する。陽性ドナー数は、抗原提示細胞を用いたエクスビボ刺激によって、CD8+T細胞が特異的CTLへ誘導され得るドナーの数を示す。これは、(陽性ドナー数/全ドナー数)として示される。陽性ウェル数は、特異的なIFN-γ産生がIFN-γ ELISPOTアッセイ法によって検出され得るウェルの数を示す。4〜8個のウェルを1人のドナーから調製した。これは、(陽性ウェル数/IFN-γ ELISPOTアッセイ法によって試験される全ウェル数)として示される。陽性CTL株は、陽性ウェルから樹立されたCTL株の数を示す。CTL株の生成はELISAによって判定される。これは、(樹立されたCTL株数/IFN-γ ELISPOTアッセイ法によって試験される陽性ウェル数)として示される。陽性ドナーが無いことは、検出可能な陽性ウェルが無いことによって定義されるのではなく、樹立されたCTL株が無いことによって定義される。表中で太字で示したペプチドは、T細胞の刺激活性を有する。陽性ドナー数、陽性ウェル数、および陽性CTL株のデータが無いことを示す「-」は、それらのペプチドが何らかの理由によって合成できないことを意味する。
【0101】
(表2A−1)CDH3に由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチド

(表2A−2)

【0102】
(表2B−1)CDH3に由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチド

(表2B−2)

【0103】
(表3A)EPHA4に由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0104】
(表3B)EPHA4に由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0105】
(表3C)EPHA4に由来する9 merのHLA-A*0201結合ペプチド

【0106】
(表4A)ECT2に由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0107】
(表4B)ECT2に由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0108】
(表5A)HIG2に由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0109】
(表5B)HIG2に由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0110】
(表5C)HIG2に由来する9 merのHLA-A*0201結合ペプチド

【0111】
(表5D)HIG2に由来する10 merのHLA-A*0201結合ペプチド

【0112】
(表6A)INHBBに由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0113】
(表6B)INHBBに由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0114】
(表6C)INHBBに由来する9 merのHLA-A*0201結合ペプチド

【0115】
(表6D)INHBBに由来する10 merのHLA-A*0201結合ペプチド

【0116】
(表7A)KIF20Aに由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0117】
(表7B)KIF20Aに由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0118】
(表8A)KNTC2に由来する9 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0119】
(表8B)KNTC2に由来する10 merのHLA-A*2402結合ペプチド

【0120】
(表9A)TTKに由来する9 merのHLA-A*0201結合ペプチド

【0121】
(表9B)TTKに由来する10 merのHLA-A*0201結合ペプチド

【0122】
(表10A)URLC10に由来する9 merのHLA-A*0201結合ペプチド

【0123】
(表10B)URLC10に由来する10 merのHLA-A*0201結合ペプチド

【0124】
HLA-A*2402によって拘束されるCDH3由来の予測ペプチドを用いたT細胞の刺激およびCDH3由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
CDH3に由来するこれらのペプチドに対するCTLを、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って作製した。IFN-γELISPOTアッセイ法によって判定した際に検出可能な特異的CTL活性を有する、結果として生じるこのCTLを、図1に示す。特に、CDH3-A24-9-513(SEQ ID NO:19)、CDH3-A24-9-406(SEQ ID NO:22)、CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)、CDH3-A24-10-332(SEQ ID NO:34)、CDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)、およびCDH3-A24-10-470(SEQ ID NO:358)は、IFN-γELISPOTアッセイ法により、対照と比較して強力なIFN-γ産生を示し、SEQ ID NO:19で刺激した陽性ウェル番号5番、SEQ ID NO:22で刺激した2番、SEQ ID NO:30で刺激した5番、SEQ ID NO:34で刺激した4番、SEQ ID NO:344で刺激した1番、およびSEQ ID NO:358で刺激した4番の細胞を増殖させ、CTL株を樹立した。ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対する特異的CTL活性がより高いこれらのCTL株は、ELISAによって決定した。結果を図1に示す。一方、表2に示す他のペプチドは、HLA-A*2402との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL株を樹立することができなかった。例えば、典型的な陰性ペプチド(CDH3-A24-10-248)を図1aに示した。本発明において、CTL株を樹立することができるペプチドを、強力なCTL刺激ペプチドとして選択した。
【0125】
CDH3由来ペプチドで刺激したCTLクローンの樹立
さらに、これらのCTL株の限界希釈を、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って実施した。CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)の5番およびCDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)の1番のCTL株からのCTLクローンの樹立を図1fおよびgに示す。CTLクローンは、ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対して強力かつ特異的なCTL活性を有した。
【0126】
CDH3およびHLA-A*2402を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して産生させ樹立したCTL株を、CDH3およびHLA-A*2402を発現する標的細胞を認識する能力に関して検査した。内因的にCDH3およびHLA-A*2402を発現する標的細胞の特異的モデルとなる、完全長のCDH3遺伝子およびHLA-A*2402分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対する特異的CTL活性を、CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)およびCDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)によって産生させたCTL株をエフェクター細胞として用いて試験した。完全長CDH3をトランスフェクトするがHLA-A*2402をトランスフェクトしないCOS7およびHLA-A*2402をトランスフェクトするが完全長CDH3をトランスフェクトしないCOS7を、対照として調製した。CTLクローンは、CDH3およびHLA-A2402の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して最も高い特異的CTL活性を示した(図1fおよびg)。これらの結果から、CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)およびCDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)が、HLA-A2402分子と共に標的細胞表面に天然に発現され、CTLを認識することが明確に実証される。さらに、これらのペプチドはエピトープペプチドであり、CDH3が発現した腫瘍を標的とする癌ワクチンとして役立ち得る。
【0127】
HLA-A*2402またはHLA-A*0201によって拘束されるEPHA4由来の予測ペプチドを用いたT細胞の刺激およびEPHA4由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
IFN-γELISPOTアッセイ法によって、EphA4由来のペプチドに対するこれらのCTLを作製した。IFN-γELISPOTアッセイ法によって判定した際に検出可能な特異的CTL活性を有する、結果として生じるこのCTLを、図2に示す。特に、EphA4-A24-9-453(SEQ ID NO:41)、EphA4-A24-9-5(SEQ ID NO:44)、EphA4-A24-9-869(SEQ ID NO:46)、EphA4-A24-9-420(SEQ ID NO:48)、EphA4-A24-10-24(SEQ ID NO:78)、EphA4-A02-9-501(SEQ ID NO:376)、およびEphA4-A02-9-165(SEQ ID NO:379)は、IFN-γELISPOTアッセイ法により、強力なIFN-γ産生を示し、EphA4-A24-9-453(SEQ ID NO:41)で刺激した陽性ウェル番号3番、EphA4-A24-9-5(SEQ ID NO:44)で刺激した2番、EphA4-A24-9-869(SEQ ID NO:46)で刺激した5番、EphA4-A24-9-420(SEQ ID NO:48)で刺激した6番、EphA4-A24-10-24(SEQ ID NO:78)で刺激した4番、EphA4-A02-9-501(SEQ ID NO:376)で刺激した8番、およびEphA4-A02-9-165(SEQ ID NO:379)で刺激した3番の細胞を増殖させ、CTL株を樹立した。ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対する特異的CTL活性がより高いこれらのCTL株は、ELISAによって決定した。特に、EphA4-A02-9-501(SEQ ID NO:376)およびEphA4-A02-9-165(SEQ ID NO:379)で刺激したCTL株を、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って、51Cr放出アッセイ法によって試験した。結果を図2a〜hに示す。一方、表3に示す他のペプチドは、HLA-A*2402またはHLA-A*0201との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL株を樹立することができなかった。例えば、典型的な陰性ペプチド(EphA4-A24-9-384)を図2aに示した。本発明において、CTL株を樹立することができるペプチドを、強力なCTL刺激ペプチドとして選択した。
【0128】
HLA-A*2402によって拘束されるECT2由来の予測ペプチドを用いたT細胞の刺激およびECT2由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
ECT2に由来するこれらのペプチドに対するCTLを、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って作製した。IFN-γELISPOTアッセイ法によって判定した際に検出可能な特異的CTL活性を有する、結果として生じるCTLを、図3に示す。特に、ECT2-A24-9-515(SEQ ID NO:80)、ECT2-A24-10-40(SEQ ID NO:100)、およびECT2-A24-10-101(SEQ ID NO:101)は、強力なIFN-γ産生を示し、ECT2-A24-9-515(SEQ ID NO:80)で刺激した陽性ウェル番号7番、ECT2-A24-10-40(SEQ ID NO:100)で刺激した2番、およびECT2-A24-10-101(SEQ ID NO:101)で刺激した1番の細胞を増殖させ、CTL株を樹立した。ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対する特異的CTL活性がより高いこれらのCTL株は、ELISAによって決定した。結果を図3a〜dに示す。一方、表4に示す他のペプチドは、HLA-A*2402との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL株を樹立することができなかった。例えば、典型的な陰性ペプチド(ECT2-A24-10-322、ECT2-A24-9-657、およびECT2-A24-10-811)を図2aに示した。本発明において、CTL株を樹立することができるペプチドを、強力なCTL刺激ペプチドとして選択した。
【0129】
ECT2由来ペプチドで刺激したCTLクローンの樹立
さらに、これらのCTL株の限界希釈を、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って実施した。ECT2-A24-10-40(SEQ ID NO:100)の2番のCTL株からのCTLクローンの樹立を図3cに示す。CTLクローンは、ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対して強力かつ特異的なCTL活性を有した。
【0130】
ECT2およびHLA-A*2402を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して産生させ樹立したCTL株を、ECT2およびHLA-A*2402を発現する標的細胞を認識する能力に関して検査した。内因的にECT2およびHLA-A*2402を発現する標的細胞の特異的モデルとなる、完全長のECT2遺伝子およびHLA-A*2402分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対する特異的CTL活性を、ECT2-A24-10-40(SEQ ID NO:100)を用いて産生させたCTLクローンおよびECT2-A24-10-101(SEQ ID NO:101)を用いて産生させたCTL株をエフェクター細胞として用いて試験した。完全長ECT2をトランスフェクトするがHLA-A*2402をトランスフェクトしないCOS7およびHLA-A*2402をトランスフェクトするが完全長ECT2をトランスフェクトしない(他の遺伝子、例えばURLC10またはINHBBで置換した)COS7を、対照として調製した。CTL株は、ECT2およびHLA-A2402の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して最も高い特異的CTL活性を示した(図3cおよびd)。これらの結果から、ECT2-A24-10-40(SEQ ID NO:100)およびECT2-A24-10-101(SEQ ID NO:101)が、HLA-A2402分子と共に標的細胞表面に天然に発現され、CTLを認識することが明確に実証される。さらに、これらのペプチドはエピトープペプチドであり、ECT2が発現した腫瘍を標的とする癌ワクチンとして役立ち得る。
【0131】
HLA-A*2402およびECT2を内因的に発現する癌細胞株に対する細胞障害活性
さらに、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って、細胞障害性アッセイ法により、細胞障害活性を検討した。結果として、図3bに示すように、ECT2-A24-9-515(SEQ ID NO:80)で刺激したCTLクローンは、HLA-A24陰性かつECT陽性の癌細胞株TE5に対する細胞障害効果と比べて、際立って高い細胞障害効果をHLA-A24陽性かつECT陽性の癌細胞株TE6に対して示した。
【0132】
HLA-A*2402またはHLA-A*0201によって拘束されるHIG2由来の予測ペプチドを用いたT細胞の刺激およびHIG2由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
HIG2に由来するこれらのペプチドに対するCTLを、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って作製した。IFN-γELISPOTアッセイ法によって判定した際に検出可能な特異的CTL活性を有する、結果として生じるCTLを、図4に示す。特に、HIG2-A24-9-19(SEQ ID NO:110)、HIG2-A24-9-22(SEQ ID NO:111)、HIG2-A24-9-8(SEQ ID NO:387)、HIG2-A24-10-7(SEQ ID NO:112)、HIG2-A24-10-18(SEQ ID NO:394)、HIG2-A02-9-8(SEQ ID NO:114)、HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)、HIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)、およびHIG2-A02-10-8(SEQ ID NO:121)が、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、強力なIFN-γ産生を示し、HIG2-A24-9-19(SEQ ID NO:110)で刺激した陽性ウェル番号6番、HIG2-A24-9-22(SEQ ID NO:111)で刺激した7番、HIG2-A24-9-8(SEQ ID NO:387)で刺激した5番、HIG2-A24-10-7(SEQ ID NO:112)で刺激した1番、HIG2-A24-10-18(SEQ ID NO:394)で刺激した7番、HIG2-A02-9-8(SEQ ID NO:114)で刺激した10番、HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)で刺激した10番、HIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)で刺激した10番、およびHIG2-A02-10-8(SEQ ID NO:121)で刺激した9番の細胞を増殖させ、CTL株を樹立した。ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対する特異的CTL活性がより高いこれらのCTL株は、ELISAによって決定した。結果を図4a〜jに示す。一方、表5に示す他のペプチドは、HLA-A*2402との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL株を樹立することができなかった。例えば、典型的な陰性ペプチド(HIG2-A24-9-7)を図4aに示した。本発明において、CTL株を樹立することができるペプチドを、強力なCTL刺激ペプチドとして選択した。
【0133】
HIG2由来ペプチドで刺激したCTLクローンの樹立
さらに、これらのCTL株の限界希釈を、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って実施した。HIG2-A24-9-22(SEQ ID NO:111)の7番のCTL株、HIG2-A24-9-8(SEQ ID NO:387)の5番のCTL株、HIG2-A24-10-7(SEQ ID NO:112)の1番のCTL株、HIG2-A24-10-18(SEQ ID NO:394)の7番のCTL株、およびHIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)の10番のCTL株からのCTLクローンの樹立を図4c、e、f、g、およびiに示す。CTLクローンは、ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対して強力かつ特異的なCTL活性を有した。
【0134】
HIG2およびHLA-A*0201を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して産生させ樹立したCTL株を、HIG2およびHLA-A*0201を発現する標的細胞を認識する能力に関して検査した。内因的にHIG2およびHLA-A*0201を発現する標的細胞の特異的モデルとなる、完全長のHIG2遺伝子およびHLA-A*0201分子の両方をトランスフェクトした293TまたはCOS7に対する特異的CTL活性を、HIG2-A02-9-8(SEQ ID NO:114)、HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)を用いて産生させたCTL株およびHIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)を用いて産生させたCTLクローンをエフェクター細胞として用いて試験した。完全長ECT2をトランスフェクトするがHLA-A*0201をトランスフェクトしない293TまたはCOS7、およびHLA-A*0201をトランスフェクトするが完全長ECT2をトランスフェクトしない(または他の遺伝子、例えばFoxP3もしくはTTKで置換した)293TまたはCOS7を、対照として調製した。CTL株は、ECT2およびHLA-A*0201の両方をトランスフェクトした293TまたはCOS7に対して最も高い特異的CTL活性を示した(図4e、h、およびi)。
【0135】
これらの結果から、HIG2-A02-9-8(SEQ ID NO:114)、HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)、およびHIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)が、HLA-A2402分子またはHLA-A0201分子と共に標的細胞表面に天然に発現され、CTLを認識することが明確に実証される。さらに、これらのペプチドはエピトープペプチドであり、HIG2が発現した腫瘍を標的とする癌ワクチンとして役立ち得る。
【0136】
HLA-A*0201およびHIG2を内因的に発現する癌細胞株に対する細胞障害活性
さらに、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って、細胞障害性アッセイ法により、細胞障害活性を検討した。結果として、図4iに示すように、HIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)で刺激したCTLクローンは、HLA-A02陰性かつECT陽性の癌細胞株CAki-1に対する細胞障害効果と比べて、際立って高い細胞障害効果をHLA-A02陽性かつECT陽性の癌細胞株A498に対して示した。
【0137】
HLA-A*2402またはHLA-A*0201によって拘束されるINHBB由来の予測ペプチドを用いたT細胞の刺激およびINHBB由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
INHBBに由来するこれらのペプチドに対するCTLを、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って作製した。IFN-γELISPOTアッセイ法によって判定した際に検出可能な特異的CTL活性を有する、結果として生じるCTLを、図5に示す。特に、INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)、INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)、INHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)、INHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)、およびINHBB-A24-10-212(SEQ ID NO:426)が、IFN-γ ELISPOTアッセイ法により、強力なIFN-γ産生を示し、INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)で刺激した陽性ウェル番号7番、INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)で刺激した3番、INHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)で刺激した2番、INHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)で刺激した8番および2番、ならびにINHBB-A24-10-212(SEQ ID NO:426)で刺激した1番の細胞を増殖させ、CTL株を樹立した。ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対する特異的CTL活性がより高いこれらのCTL株は、ELISAによって決定した。結果を図5b〜eに示す。一方、表6に示す他のペプチドは、HLA-A*2402およびHLA*0201との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL株を樹立することができなかった。例えば、典型的な陰性ペプチド(INHBB-A24-9-238)を図5aに示した。本発明において、CTL株を樹立することができるペプチドを、強力なCTL刺激ペプチドとして選択した。
【0138】
INHBB由来ペプチドで刺激したCTLクローンの樹立
さらに、これらのCTL株の限界希釈を、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って実施した。INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)の7番のCTL株、およびINHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)の2番のCTL株からのCTLクローンの樹立を図5bおよびdに示す。CTLクローンは、ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対して強力かつ特異的なCTL活性を有した。
【0139】
INHBBおよびHLA-A*2402を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して産生させ樹立したCTL株を、INHBBおよびHLA-A*2402を発現する標的細胞を認識する能力に関して検査した。内因的にINHBBおよびHLA-A*2402を発現する標的細胞の特異的モデルとなる、完全長のINHBB遺伝子およびHLA-A*2402分子の両方をトランスフェクトした293Tに対する特異的CTL活性を、INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)およびINHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)を用いて産生させたCTL株ならびにINHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)を用いて産生させたCTLクローンをエフェクター細胞として用いて試験した。完全長INHBBをトランスフェクトするがHLA-A*2402をトランスフェクトしない293TおよびHLA-A*2402をトランスフェクトするが完全長INHBBをトランスフェクトしない293Tを、対照として調製した。CTL株は、INHBBおよびHLA-A*2402の両方をトランスフェクトした293Tに対して最も高い特異的CTL活性を示した(図5c、d、およびe)。
【0140】
これらの結果から、INHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)、INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)、およびINHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)が、HLA-A2402分子と共に標的細胞表面に天然に発現され、CTLを認識することが明確に実証される。さらに、これらのペプチドはエピトープペプチドであり、INHBBが発現した腫瘍を標的とする癌ワクチンとして役立ち得る。
【0141】
HLA-A*2402およびINHBBを内因的に発現する癌細胞株に対する細胞障害活性
さらに、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って、細胞障害性アッセイ法により、細胞障害活性を検討した。結果として、図5bに示すように、INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)で刺激したCTLクローンは、HLA-A24陰性かつINHBB陽性の癌細胞株CAki-2に対する細胞障害効果と比べて、際立って高い細胞障害効果をHLA-A24陽性かつINHBB陽性の癌細胞株MIAPaca2に対して示した。
【0142】
HLA-A*2402によって拘束されるKIF20A由来の予測ペプチドを用いたT細胞の刺激およびKIF20A由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
KIF20Aに由来するこれらのペプチドに対するCTLを、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って作製した。IFN-γELISPOTアッセイ法によって判定した際に検出可能な特異的CTL活性を有する、結果として生じるCTLを、図6に示す。特に、KIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)、KIF20A-A24-9-383(SEQ ID NO:178)、KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)、およびKIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)は、IFN-γELISPOTアッセイ法により、強力なIFN-γ産生を示し、KIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)で刺激した陽性ウェル番号2番、KIF20A-A24-9-383(SEQ ID NO:178)で刺激した3番、KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)で刺激した5番、およびKIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)で刺激した6番の細胞を増殖させ、CTL株を樹立した。ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対する特異的CTL活性がより高いこれらのCTL株は、ELISAによって決定した。結果を図6a〜eに示す。一方、表7に示す他のペプチドは、HLA-A*2402との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL株を樹立することができなかった。例えば、典型的な陰性ペプチド(KIF20A-A24-9-647およびKIF20A-A24-10-182)を図6aに示した。本発明において、CTL株を樹立することができるペプチドを、強力なCTL刺激ペプチドとして選択した。
【0143】
KIF20A由来ペプチドで刺激したCTLクローンの樹立
さらに、これらのCTL株の限界希釈を、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って実施した。KIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)の2番のCTL株、KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)の5番のCTL株、およびKIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)の6番のCTL株からのCTLクローンの樹立を図6b、d、およびeに示す。CTLクローンは、ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対して強力かつ特異的なCTL活性を有した。
【0144】
KIF20AおよびHLA-A*2402を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して産生させ樹立したCTL株を、KIF20AおよびHLA-A*2402を発現する標的細胞を認識する能力に関して検査した。内因的にKIF20AおよびHLA-A*2402を発現する標的細胞の特異的モデルとなる、完全長のKIF20A遺伝子およびHLA-A*2402分子の両方をトランスフェクトしたCOS7、ならびに完全長のKIF20A遺伝子をエレクトロポレーションによってトランスフェクトしたA24-LCLに対する特異的CTL活性を、KIF20A-A24-9-383(SEQ ID NO:178)およびKIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)を用いて産生させたCTL株、ならびにKIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)を用いて産生させたCTLクローンをエフェクター細胞として用いて試験した。完全長KIF20AをトランスフェクトするがHLA-A*2402をトランスフェクトしないCOS7およびHLA-A*2402をトランスフェクトするが完全長KIF20Aをトランスフェクトしない(または完全長URLC10遺伝子で置換した)COS7、HLA-A*2402をトランスフェクトしかつKIF20A-10-308でパルスしたCOS7、ならびにモックベクターをトランスフェクトしたA24-LCLを、対照として調製した。CTL株は、KIF20AおよびHLA-A*2402の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して最も高い特異的CTL活性を示した(図6b、c、およびd)。あるいは、KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)で刺激したCTL株が、KIF20AをトランスフェクトしたA24-LCLに対して示した。
【0145】
これらの結果から、KIF20A-A24-9-383(SEQ ID NO:178)、KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)、およびKIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)が、HLA-A2402分子と共に標的細胞表面に天然に発現され、CTLを認識することが明確に実証される。さらに、これらのペプチドはエピトープペプチドであり、KIF20Aが発現した腫瘍を標的とする癌ワクチンとして役立ち得る。
【0146】
HLA-A*2402およびKIF20Aを内因的に発現する癌細胞株に対する細胞障害活性
さらに、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って、細胞障害性アッセイ法により、細胞障害活性を検討した。結果として、図6bおよびeに示すように、KIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)またはKIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)で刺激したCTLクローンは、HLA-A24陰性かつKIF20A陽性の癌細胞株PK59に対する細胞障害効果と比べて、際立って高い細胞障害効果をHLA-A24陽性かつKIF20A陽性の癌細胞株PK45PまたはMIAPaca2に対してそれぞれ示した。
【0147】
HLA-A*2402によって拘束されるKNTC2由来の予測ペプチドを用いたT細胞の刺激およびKNTC2由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
KNTC2に由来するこれらのペプチドに対するCTLを、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って作製した。IFN-γELISPOTアッセイ法によって判定した際に検出可能な特異的CTL活性を有する、結果として生じるCTLを、図7に示す。特に、KNTC2-A24-9-309(SEQ ID NO:196)、KNTC2-A24-9-124(SEQ ID NO:202)、KNTC2-A24-9-154(SEQ ID NO:210)、KNTC2-A24-9-150(SEQ ID NO:213)、KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)、KNTC2-A24-10-227(SEQ ID NO:217)、およびKNTC2-A24-10-273(SEQ ID NO:223)は、IFN-γELISPOTアッセイ法により、強力なIFN-γ産生を示し、KNTC2-A24-9-309(SEQ ID NO:196)で刺激した陽性ウェル番号8番、KNTC2-A24-9-124(SEQ ID NO:202)で刺激した5番、KNTC2-A24-9-154(SEQ ID NO:210)で刺激した5番、KNTC2-A24-9-150(SEQ ID NO:213)で刺激した7番、KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)で刺激した4番および5番、KNTC2-A24-10-227(SEQ ID NO:217)で刺激した1番、ならびにKNTC2-A24-10-273(SEQ ID NO:223)で刺激した8番の細胞を増殖させ、CTL株を樹立した。ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対する特異的CTL活性がより高いこれらのCTL株は、ELISAによって決定した。結果を図7a〜hに示す。一方、表8に示す他のペプチドは、HLA-A*2402との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL株を樹立することができなかった。例えば、典型的な陰性ペプチド(KNTC2-A24-10-610)を図7aに示した。本発明において、CTL株を樹立することができるペプチドを、強力なCTL刺激ペプチドとして選択した。
【0148】
KNTC2由来ペプチドで刺激したCTLクローンの樹立
さらに、これらのCTL株の限界希釈を、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って実施した。KNTC2-A24-9-154(SEQ ID NO:210)の5番のCTL株およびKNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)の5番のCTL株からのCTLクローンの樹立を図7dおよびfに示す。CTLクローンは、ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対して強力かつ特異的なCTL活性を有した。
【0149】
KNTC2およびHLA-A*2402を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して産生させ樹立したCTL株を、KNTC2およびHLA-A*2402を発現する標的細胞を認識する能力に関して検査した。内因的にKNTC2およびHLA-A*2402を発現する標的細胞の特異的モデルとなる、完全長のKNTC2遺伝子およびHLA-A*2402分子の両方をトランスフェクトしたHEK293に対する特異的CTL活性を、KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)を用いて産生させたCTLクローンをエフェクター細胞として用いて試験した。完全長KNTC2をトランスフェクトするがHLA-A*2402をトランスフェクトしないHEK293、HLA-A*2402をトランスフェクトするが完全長KNTC2をトランスフェクトしないHEK293、およびHLA-A*2402をトランスフェクトしかつKNTC2-9-309でパルスしたHEK293を、対照として調製した。CTL株は、KNTC2およびHLA-A*2402の両方をトランスフェクトしたHEK293に対して最も高い特異的CTL活性を示した(図7f)。
【0150】
これらの結果から、KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)が、HLA-A2402分子と共に標的細胞表面に天然に発現され、CTLを認識することが明確に実証される。さらに、これらのペプチドはエピトープペプチドであり、KNTC2が発現した腫瘍を標的とする癌ワクチンとして役立ち得る。
【0151】
HLA-A*0201によって拘束されるTTK由来の予測ペプチドを用いたT細胞の刺激およびTTK由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
TTKに由来するこれらのペプチドに対するCTLを、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って作製した。IFN-γELISPOTアッセイ法によって判定した際に検出可能な特異的CTL活性を有する、結果として生じるCTLを、図8に示す。図8b〜dに示すように、TTK-A2-9-462(SEQ ID NO:227)、TTK-A2-9-547(SEQ ID NO:228)、TTK-A2-9-719(SEQ ID NO:233)、およびTTK-A2-10-462(SEQ ID NO:254)は、IFN-γELISPOTアッセイ法により、強力なIFN-γ産生を示し、TTK-A2-9-462(SEQ ID NO:227)で刺激した陽性ウェル番号4番、TTK-A2-9-547(SEQ ID NO:228)で刺激した2番、TTK-A2-9-719(SEQ ID NO:233)で刺激した1番、およびTTK-A2-10-462(SEQ ID NO:254)で刺激した8番の細胞を増殖させた。ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対する特異的CTL活性がより高いこれらのCTL株は、ELISAによって決定した。一方、表9に示す他のペプチドは、HLA-A*0201との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL株を樹立することができなかった。例えば、典型的な陰性ペプチド(TTK-A2-9-278)を図8aに示した。本発明において、CTL株を樹立することができるペプチドを、強力なCTL刺激ペプチドとして選択した。
【0152】
TTK由来ペプチドで刺激したCTLクローンの樹立
さらに、これらのCTL株の限界希釈を、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って実施した。TTK-A2-9-462(SEQ ID NO:227)の4番のCTL株、TTK-A2-9-547(SEQ ID NO:228)の2番のCTL株、TTK-A2-9-719(SEQ ID NO:233)の1番のCTL株、およびTTK-A2-10-462(SEQ ID NO:254)の8番のCTL株からのCTLクローンの樹立を図8d、c、d、およびeに示した。CTLクローンは、ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対して強力かつ特異的なCTL活性を有した。
【0153】
TTKおよびHLA-A*0201を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して産生させ樹立したCTLクローンを、内因的にTTKおよびHLA-A*0201を発現する標的細胞を認識する能力に関して検査した。内因的にTTKおよびHLA-A*0201を発現する標的細胞の特異的モデルである、完全長TTK遺伝子およびHLA-A*0201分子の両方をトランスフェクトしたCOS7に対する特異的CTL活性を、TTK-A2-9-462(SEQ ID NO:227)、TTK-A02-9-547(SEQ ID NO:228)、TTK-A2-9-719(SEQ ID NO:233)、およびTTK-A2-10-462(SEQ ID NO:254)を用いて産生させたCTLクローンをエフェクター細胞として用いて試験した。完全長TTKをトランスフェクトするがHLA-A*0201をトランスフェクトしないCOS7、HLA-A*0201をトランスフェクトするが完全長TTKをトランスフェクトしない(または完全長HIG2遺伝子で置換した)COS7、およびHLA-A*0201をトランスフェクトしかつ異なる標的エピトープペプチドをパルスしたCOS7を、対照として調製した。CTLクローンは、TTKおよびHLA-A*0201の両方をトランスフェクトしたCOS7に対して最も高い特異的CTL活性を有した(図8b、c、d、およびe)。
【0154】
これらの結果から、TTK-A2-9-462(SEQ ID NO:227)、TTK-A02-9-547(SEQ ID NO:228)、TTK-A2-9-719(SEQ ID NO:233)、およびTTK-A02-10-462(SEQ ID NO:254)が、HLA-A2分子と共に標的細胞表面に天然に発現され、CTLを認識することが明確に実証される。さらに、これらのペプチドはエピトープペプチドであり、TTKが発現した腫瘍を標的とする癌ワクチンとして役立ち得る。
【0155】
HLA-A*0201によって拘束されるURLC10由来の予測ペプチドを用いたT細胞の刺激およびURLC10由来ペプチドで刺激したCTL株の樹立
URLC10に由来するこれらのペプチドに対するCTLを、上記「材料および方法」のセクションで説明したプロトコールに従って作製した。IFN-γELISPOTアッセイ法によって判定した際に検出可能な特異的CTL活性を有する、結果として生じるCTLを、図9に示す。図9b〜dに示すように、URLC-A2-9-206(SEQ ID NO:271)、URLC-A2-9-212(SEQ ID NO:272)、およびURLC-A2-10-211(SEQ ID NO:288)は、IFN-γELISPOTアッセイ法により、強力なIFN-γ産生を示し、URLC-A2-9-206(SEQ ID NO:271)で刺激した陽性ウェル番号7番、URLC-A2-9-212(SEQ ID NO:272)で刺激した3番、およびURLC-A2-10-211(SEQ ID NO:288)で刺激した5番の細胞を増殖させた。ペプチドパルス未実施の標的に対する活性と比べて、ペプチドパルスした標的に対する特異的CTL活性がより高いこれらのCTL株は、ELISAによって決定した。一方、表10に示す他のペプチドは、HLA-A*0201との結合活性が存在し得るにもかかわらず、CTL株を樹立することができなかった。例えば、典型的な陰性ペプチド(URLC-A2-9-58)を図9aに示した。本発明において、CTL株を樹立することができるペプチドを、強力なCTL刺激ペプチドとして選択した。
【0156】
URLC10およびHLA-A*0201を発現する標的細胞に対する特異的CTL活性
これらのペプチドに対して産生させ樹立したCTL株を、URLC10およびHLA-A*0201を内因的に発現する標的細胞を認識する能力に関して検査した。内因的にURLC10およびHLA-A*0201を発現する標的細胞の特異的モデルとなる、完全長のURLC10遺伝子およびHLA-A*0201分子の両方をトランスフェクトしたCOS7、Hek293、および293Tに対する特異的CTL活性を、URLC10-A02-10-211を用いて産生させたCTL株をエフェクター細胞として用いて試験した。完全長URLC10をトランスフェクトするがHLA-A*0201をトランスフェクトしない(HLA-A*2402で置換した)COS7、Hek293、または293T、HLA-A*0201をトランスフェクトするが完全長URLC10をトランスフェクトしないCOS7、Hek293、または293T、およびHLA-A*0201をトランスフェクトしかつ異なる標的エピトープペプチド(URLC10-A02-10-64)でパルスしたCOS7を、対照として調製した。CTL株は、URLC10およびHLA-A*0201の両方をトランスフェクトしたCOS7、Hek293、または293Tに対して最も高い特異的CTL活性を示した(図9-2)。
【0157】
これらの結果から、URLC10-A02-10-211が、HLA-A*0201分子と共に標的細胞表面に天然に発現され、CTLを認識することが明確に実証される。さらに、このペプチドはエピトープペプチドであった。これは、URLC10が発現した腫瘍を標的とする癌ワクチンとして利用してもよい。
【0158】
抗原ペプチドの相同性解析
以下のペプチドに対して樹立したCTLクローンは、強力な特異的CTL活性を示した。
CDH3-A24-9-513(SEQ ID NO:19)、
CDH3-A24-9-406(SEQ ID NO:22)、
CDH3-A24-10-807(SEQ ID NO:30)、
CDH3-A24-10-332(SEQ ID NO:34)、
CDH3-A24-10-655(SEQ ID NO:344)、
CDH3-A24-10-470(SEQ ID NO:358)、
EphA4-A24-9-453(SEQ ID NO:41)、
EphA4-A24-9-5(SEQ ID NO:44)、
EphA4-A24-9-869(SEQ ID NO:46)、
EphA4-A24-9-420(SEQ ID NO:48)、
EphA4-A24-10-24(SEQ ID NO:78)、
EphA4-A02-9-501(SEQ ID NO:376)、
EphA4-A02-9-165(SEQ ID NO:379)、
ECT2-A24-9-515(SEQ ID NO:80)、
ECT2-A24-10-40(SEQ ID NO:100)、
ECT2-A24-10-101(SEQ ID NO:101)、
HIG2-A24-9-19(SEQ ID NO:110)、
HIG2-A24-9-22(SEQ ID NO:111)、
HIG2-A24-9-8(SEQ ID NO:387)、
HIG2-A24-10-7(SEQ ID NO:112)、
HIG2-A24-10-18(SEQ ID NO:394)、
HIG2-A02-9-8(SEQ ID NO:114)、
HIG2-A02-9-15(SEQ ID NO:116)、
HIG2-A02-9-4(SEQ ID NO:117)、
HIG2-A02-10-8(SEQ ID NO:121)、
INHBB-A24-9-180(SEQ ID NO:395)、
INHBB-A24-10-180(SEQ ID NO:133)、
INHBB-A24-10-305(SEQ ID NO:135)、
INHBB-A24-10-7(SEQ ID NO:137)、
INHBB-A24-10-212(SEQ ID NO:426)、
KIF20A-A24-9-305(SEQ ID NO:174)、
KIF20A-A24-9-383(SEQ ID NO:178)、
KIF20A-A24-10-304(SEQ ID NO:186)、
KIF20A-A24-10-66(SEQ ID NO:194)、
KNTC2-A24-9-309(SEQ ID NO:196)、
KNTC2-A24-9-124(SEQ ID NO:202)、
KNTC2-A24-9-154(SEQ ID NO:210)、
KNTC2-A24-9-150(SEQ ID NO:213)、
KNTC2-A24-10-452(SEQ ID NO:214)、
KNTC2-A24-10-227(SEQ ID NO:217)、
KNTC2-A24-10-273(SEQ ID NO:223)、
TTK-A02-9-462(SEQ ID NO:227)、
TTK-A02-9-547(SEQ ID NO:228)、
TTK-A02-9-719(SEQ ID NO:233)、
TTK-A02-10-462(SEQ ID NO:254)、
URLC-A02-9-206(SEQ ID NO:271)、
URLC-A02-9-212(SEQ ID NO:272)、および
URLC-A02-10-211(SEQ ID NO:288)。
【0159】
これは、SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、または288の配列が、ヒト免疫系を感作することが公知である他の分子に由来するペプチドと相同であることを示唆する。
【0160】
この可能性を排除するために、BLASTアルゴリズム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/blast.cgi)により、これらのペプチド配列をクエリーとして用いて相同性解析を実施した。有意な配列相同性は明らかにならなかった。これらの結果から、SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、376、379、80、100、101、110、111、387、112、394、114、116、117、121、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、223、227、228、233、254、271、272、または288の配列が独特であり、したがって、任意の無関係の分子に対して意図されない免疫学的応答を生じさせるリスクは低いことが示唆される。
【0161】
考察
新しいTAA、特に、強力かつ特異的な抗腫瘍免疫応答を誘導するものの同定により、様々なタイプの癌におけるペプチドワクチン接種法の臨床応用のさらなる発展が保証される(Boon T. et al.,(1996)J Exp Med 183:725-9;van der Bruggen P et al.,(1991)Science 254:1643-7;Brichard V et al.,(1993)J Exp Med 178:489-95;Kawakami Y et al.,(1994)J Exp Med 180:347-52;Shichijo S et al.,(1998)J Exp Med 187:277-88;Chen YT et al.,(1997)Proc.Natl.Acd. Sci. USA, 94:1914-8;Harris CC.,(1996)J Natl Cancer Inst 88:1442-5;Butterfield LH et al.,(1999)Cancer Res 59:3134-42;Vissers JL et al.,(1999)Cancer Res 59:5554-9;van der Burg SH et al.,(1996)J. Immunol 156:3308-14;Tanaka F et al.,(1997)Cancer Res 57:4465-8;Fujie T et al.,(1999)Int J Cancer 80:169-72;Kikuchi M et al.,(1999)Int J Cancer 81 :459-66;Oiso M et al.,(1999)Int J Cancer 81:387-94)。
【0162】
cDNAマイクロアレイ技術は、悪性細胞の包括的な遺伝子発現プロファイルを明らかにすることができ(Lin YM, et al., Oncogene. 2002 Jun 13;21:4120-8;Kitahara O, et al., Cancer Res. 2001 May 1;61:3544-9;Suzuki C, et al., Cancer Res. 2003 Nov 1;63:7038-41;Ashida S, Cancer Res. 2004 Sep 1;64:5963-72;Ochi K, et al., Int J Oncol. 2004 Mar;24(3):647-55;Kaneta Y, et al., Int J Oncol. 2003 Sep;23:681-91;Obama K, Hepatology. 2005 Jun;41:1339-48;Kato T, et al., Cancer Res. 2005 Jul 1;65:5638-46;Kitahara O, et al., Neoplasia. 2002 Jul-Aug;4:295-303;Saito-Hisaminato A et al., DNA Res 2002, 9:35-45)、かつ潜在的なTAAの同定において有用であり得る。これらの技術を用いて、様々な癌において上方制御されている転写物の中から、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10と呼ばれる新規なヒト遺伝子を同定した。
【0163】
上記に示したように、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10は、様々な癌において過剰発現されているが、正常組織では最小限の発現しか示さない。さらに、これらの遺伝子は、細胞増殖に関係する重要な機能を有することが示されている。したがって、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10に由来するペプチドは、TAAエピトープとして機能することができ、さらには、癌細胞に対する顕著かつ特異的な免疫応答を誘導するために使用することができる。したがって、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、およびURLC10が新規なTAAであることから、これらのエピトープペプチドを用いたワクチンは、様々な癌腫またはこれらの分子を発現する他の疾患に対する免疫療法として有用である。
【0164】
産業上の利用可能性
本発明は、新しいTAA、特に、強力かつ特異的な抗腫瘍免疫応答を誘導するものを同定する。このようなTAAは、CDH3、EPHA4、ECT2、HIG2、INHBB、KIF20A、KNTC2、TTK、および/またはURLC10の過剰発現に関連した疾患、例えば癌に対するペプチドワクチンとしてのさらなる発展を保証する。本明細書において引用されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、参照により組み入れられる。
【0165】
詳細に、かつその特定の態様に関連して本発明を説明してきたが、前述の説明は本質的に例示的かつ説明的であり、本発明およびその好ましい態様を例示すると意図されることを理解すべきである。ルーチンな実験法によって、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正をその中で実施できることを容易に認識するであろう。したがって、本発明は、上記の説明によってではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって定義されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、80、100、101、110、111、387、112、394、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、または223のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択される、アミノ酸約15個未満の単離されたペプチド。
【請求項2】
SEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、80、100、101、110、111、387、112、394、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、または223からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、細胞障害性T細胞誘導能を有するペプチドであって、1個、2個、またはいくつかのアミノ酸が、置換、欠失、または付加されている、ペプチド。
【請求項3】
N末端から2番目のアミノ酸が、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、またはトリプトファンである、請求項2記載のペプチド。
【請求項4】
C末端アミノ酸が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、またはメチオニンである、請求項2または3記載のペプチド。
【請求項5】
SEQ ID NO:376、379、114、116、117、121、227、228、233、254、271、272、または288のアミノ酸配列を含むペプチドからなる群より選択される、アミノ酸約15個未満の単離されたペプチド。
【請求項6】
SEQ ID NO:376、379、114、116、117、121、227、228、233、254、271、272、または288からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、細胞障害性T細胞誘導能を有するペプチドであって、1個、2個、またはいくつかのアミノ酸が、置換、欠失、または付加されている、ペプチド。
【請求項7】
N末端から2番目のアミノ酸が、ロイシンまたはメチオニンである、請求項6記載のペプチド。
【請求項8】
C末端アミノ酸がバリンまたはロイシンである、請求項6または7記載のペプチド。
【請求項9】
SEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子の過剰発現に関連した疾患を治療または予防するための薬学的組成物であって、請求項1〜8のいずれか一項記載の1種もしくは複数種のペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、薬学的組成物。
【請求項10】
SEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子に関連した疾患に癌が含まれる、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項11】
癌に、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれる、請求項10記載の薬学的組成物。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチドとHLA抗原とを含む複合体をその表面に提示するエキソソーム。
【請求項13】
HLA抗原がHLA-A24である、請求項12記載のエキソソーム。
【請求項14】
HLA抗原がHLA-A2402である、請求項13記載のエキソソーム。
【請求項15】
請求項5〜8のいずれか一項記載のペプチドとHLA抗原とを含む複合体をその表面に提示するエキソソーム。
【請求項16】
HLA抗原がHLA-A2である、請求項15記載のエキソソーム。
【請求項17】
HLA抗原がHLA-A0201である、請求項16記載のエキソソーム。
【請求項18】
抗原提示細胞を請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチドと接触させる段階を含む、高い細胞障害性T細胞誘導能を有する抗原提示細胞を誘導する方法。
【請求項19】
T細胞を請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチドと接触させることによって細胞障害性T細胞を誘導する方法。
【請求項20】
請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子を抗原提示細胞に移入する段階を含む、高い細胞障害性T細胞誘導能を有する抗原提示細胞を誘導する方法。
【請求項21】
T細胞を請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチドと接触させることによって誘導されるか、またはHLA-A24もしくはHLA-A2と関連した請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチドと結合するTCRサブユニットポリペプチドをコードする核酸により形質導入される、単離された細胞障害性T細胞。
【請求項22】
HLA抗原と請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチドで形成された複合体を含む、抗原提示細胞。
【請求項23】
請求項18〜20のいずれか一項記載の方法によって誘導される、抗原提示細胞。
【請求項24】
請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチドを活性成分として含む、1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子を発現する細胞の増殖を阻害するためのワクチン。
【請求項25】
1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子を発現する細胞に癌が含まれる、請求項24記載のワクチン。
【請求項26】
癌に、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれる、請求項25記載のワクチン。
【請求項27】
HLA抗原がHLA-A24またはHLA-A2である対象に投与するために製剤化される、請求項26記載のワクチン。
【請求項28】
対象において1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子の過剰発現に関連した疾患を治療または予防する方法であって、請求項1〜8のいずれか一項記載のペプチドを含むワクチン、免疫学的に活性なその断片、または該ペプチドもしくは免疫学的に活性な断片をコードするポリヌクレオチドを該対象に投与する段階を含む、方法。
【請求項29】
1、3、5、7、9、11、13、15、および/または17の遺伝子に関連した疾患に癌が含まれる、請求項28記載の方法。
【請求項30】
癌細胞に、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胆管細胞癌、CML、結腸直腸癌、子宮内膜症、食道癌、胃癌、びまん型胃癌、肝臓、NSCLC、リンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、SCLC、軟部組織腫瘍、および精巣腫瘍が含まれる、請求項29記載の癌を治療または予防する方法。
【請求項31】
(a)1個、2個、またはいくつかのアミノ酸の置換物の配列全体に対して有意な配列相同性が無いことを確認する段階と、
(b)候補の置換ペプチドのCTL誘導能を測定する段階と、
(c)CTL誘導能が元のペプチドと同じであるかまたはそれより高いペプチドを選択する段階と
を含む、1個、2個、またはいくつかのアミノ酸が置換されているペプチドをスクリーニングする方法であって、
該ペプチドがSEQ ID NO:19、22、30、34、344、358、41、44、46、48、78、80、100、101、110、111、387、112、394、395、133、135、137、426、174、178、186、194、196、202、210、213、214、217、または223からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【公開番号】特開2010−209060(P2010−209060A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21234(P2010−21234)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【分割の表示】特願2009−534784(P2009−534784)の分割
【原出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】