説明

腱の人工装具およびその製造方法

【課題】靱帯組織の再建のための改良デバイスを提供する。
【解決手段】編成靱帯装具100は少なくとも2つの編成部分112,114を有し、各編成部分は少なくとも1つのファイバ編み段を有する。編成装具デバイスはまた、少なくとも2つの編成部分の間に配置された少なくとも1つの関節内部分122も有する。さらに、少なくとも1つの関節内部分は、少なくとも1つの関節内部分および少なくとも2つの編成部分を横断する少なくとも1つの単一の連続ファイバを有し、ここで、少なくとも1つの単一の連続ファイバは、少なくとも2つの編成部分の間に延在する複数の横断部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2007年3月20日に出願された米国特許仮出願第60/919,126号の恩典を主張し、その出願の内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
1. 発明の分野
本発明は靱帯再構築のための装具デバイスに関し、より詳細には、靱帯組織の再建のために使用される編物装具デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
2. 関連技術の説明
毎年、何十万もの人々が膝、肘、手、肩、手首および顎の靱帯ならびに腱を捻挫し、裂傷し、または断裂する。1つのそのような靱帯は膝の前十字靱帯(ACL)である。米国だけで、200,000人を超える者が毎年ACLを裂傷し、または断裂する。ACLは前脛骨平行移動の一次安定器としておよび外-内反膝角形成の二次安定器として機能し、しばしば、スポーツでの怪我および交通事故に関連する屈曲-旋回-外反力による断裂または裂傷を受けやすい。断裂または裂傷により、しばしば下記が起こる:運動の重度の制限;疼痛および不快;スポーツおよびエクササイズへの参加不能。ACL損傷は3つのカテゴリーに分類される:(1)靱帯、この場合、引張り応力により靱帯線維が引き離される;(2)骨折無しで骨-靱帯界面での損傷;(3)骨と靱帯の付着部位での骨折を伴う骨-靱帯界面での損傷。靱帯損傷はACL損傷の最も一般的な型である。
【0004】
ACLは治癒能力が低いことは広く公知である。ACLが著しい裂傷または断裂を受けている場合、外科的全置換および再建が必要となる。最も一般的な治療は、裂傷した靱帯を患者自身の組織と置換することにより裂傷したACLを再建するものであり、自家移植としても公知である。膝蓋腱または膝腱の中部3分の1が一般に自家移植片として使用される。代用靱帯の別の選択肢としては、同種移植片としても公知の、屍体由来のドナー組織、ならびに人工移植片が挙げられる。
【0005】
従来、ACLを再建するための技術は、頸骨および大腿トンネルを開け、自家移植片、同種移植片、または人工靱帯を、トンネルを介して引き入れる段階を含む。置換靱帯をその後、機械的固定デバイスにより骨に固定する。アンカーは懸垂固定、ステープル、ならびにインターフェランススクリューおよびクロスピンを含んでもよい。しばしば、移植片は半分に折り畳まれ、天然のヒトACLをより厳密に模倣するように二重束を生成する。開けた骨のトンネルのサイズは移植片のサイズに依存し、移植片サイズは移植片材料の強度に依存する。
【0006】
自家移植片の使用が一般的であるが、技術は不都合なことに、自家移植片が取られる追加手術部位における病的状態が付きものである。例えば、膝蓋骨の疲労骨折または四頭筋の脱力が起こる可能性があり、長期のリハビリテーション期間が必要になる場合がある。さらに、自家組織の収集および準備により手術時間が長くなり、患者に更なるトラウマを引き起こすことになる。
【0007】
骨トンネルおよびデバイスの周囲での内殖によりデバイスの強度および機能が時間とともに改善される。さらに、十分な内殖が起こらない場合、従来のデバイスは適切なフレキシビリティ、完全性または張力を長期にわたって維持することができない可能性がある。
【0008】
置換靱帯により膝の安定性を回復するために、移植片の正確な引張りもまた確立し、維持しなければならない。従来のデバイスの破損の共通モードは、埋め込み部位の周りで骨侵食および分解によりデバイスが緩んだ場合である。そのような場合、十分な内殖が骨トンネル内のデバイスの周りで起こることができない。その後、このため、靱帯が緩み、最終的に膝機能障害に戻ってしまう。
【0009】
従来のデバイスでの別の不利点は、損傷した靱帯からのデブリの放出を含み、これにより関節の慢性炎症が生じる。別の不利点は靱帯付着部内およびその周りの骨溶解を含む。さらに、デバイス摩耗が骨トンネル開口で起こる可能性がある。
【発明の概要】
【0010】
前記のことを考慮すると、本発明の局面による態様は、従来のデバイスの不利点に対処し、靱帯組織の再建のための改良デバイスを提供する。
【0011】
好都合なことに、態様は、靱帯組織の自然構造、例えば自然ACLを厳密に模倣し、新規組織内殖を可能にする複数の繊維束を有する再建デバイスまたは装具デバイスを提供する。さらに、態様は広範囲の解剖学における実行を可能にする十分なフレキシビリティを提供する。
【0012】
さらに、態様は従来の固着システムと適合する可能性があり、自然の靱帯組織と同じフットプリントに移植してもよい。さらに、態様は等しい引張りを可能にし、荷重を均一に再建デバイス全体に分布させることができ、一方、再建デバイスは生理的負荷に耐える。態様の別の局面は骨トンネル開口または他の場所での摩耗の最小化である。態様はまた、骨トンネルを通して引かれる場合、例えば、解体または限界寸法の変化などの損傷を受けることなく外科的処置に耐える。
【0013】
特別な態様は、少なくとも2つの編成部分を有する編成装具デバイスを提供し、ここで、各編成部分は少なくとも1つのファイバ編み段を有する。編物装具デバイスはまた、少なくとも2つの編成部分の間に配置された少なくとも1つの関節内部分を有する。さらに、少なくとも1つの関節内部分は、少なくとも1つの関節内部分および少なくとも2つの編成部分を横断する少なくとも1つの単一の連続ファイバを有し、ここで、少なくとも1つの単一の連続ファイバは少なくとも2つの編成部分の間に延在する複数の横断部を形成する。
【0014】
別の態様は、複数の編成部分および2つの連続する編成部分の間に配置された関節内部分を有する編成装具デバイスを提供する。編成部分および関節内部分は少なくとも1つの単一の連続ファイバを有し、ここで、少なくとも1つの単一の連続ファイバは少なくとも2つの編成部分の間に延在する複数の横断部を形成する。
【0015】
態様は3つの部分、すなわち、1つの関節内部分により分離された2つの編成部分、または5つの部分、すなわち、2つの関節内部分により分離された3つの編成部分を有してもよい。さらに、本発明による編成装具デバイスの態様は、少なくとも2つの編成部分の各々を患者の骨部分に固着することにより使用してもよい。例えば、態様は、ループおよび/またはボタンホールなどのデバイス引張りに対応する特徴、および/または装具デバイスを定位置に維持するように作用する様々な固定もしくは固着デバイスを有してもよい。
【0016】
さらに、態様は、好ましくは絹であるが、これに限定されない強いポリマから構築されてもよく、ここで、ポリマは生体吸収性であり、デバイス自体ならびに骨トンネル内およびその周りの両方で実質的に内殖が可能であり、デバイス-組織構築物は時間と共に維持され、または改善される。そのようなポリマを使用する態様は、組織内殖前に膝を支持するのに十分長く関節内に存在するが、荷重負荷責任(load bearing responsibility)が新しく発達した組織に移されるにつれ、生体吸収される。
【0017】
本明細書で記載したいくつかの態様は、ACLを再建するための人工靱帯として特定的に適用されてもよいが、本発明の局面による態様を別の腱およびサポート構造のために使用してもよいことは理解される。本発明のさらに別の局面、特徴および利点は、本発明を実施するために企図された最良の様式を含む、多くの例示的な態様および実行を説明することにより、下記詳細な記載から容易に明らかになる。本発明はまた、他のおよび異なる態様が可能であり、そのいくつかの詳細は、本発明の精神および範囲から逸脱しなければ、様々な点で改変することができる。したがって、図面および説明は本質的に説明的なものであり、制限的なものとして考えるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の局面による装具デバイスの1つの態様を示す。
【図2】本発明の局面による装具デバイスの別の態様を示す。
【図3】図3A〜Cは、挿入糸に対し異なる旋回中心を有する図2のデバイスを示す。
【図4】膝関節に固着された図1のデバイスを示す。
【図5A】本発明の局面による装具デバイスの別の態様を示す。
【図5B】折り畳まれた構造の図5Aのデバイスを示す。
【図6】膝関節に固着された図5Aのデバイスを示す。
【図7】図5Aの態様を実行するための例示的な工程を示す。
【図8A】本発明の局面による装具デバイスの態様の断面図である。
【図8B】本発明の局面による装具デバイスの態様の細孔を示す。
【図9】本発明の局面による装具デバイスの態様の繰り返し疲労寿命のグラフを示す。
【図10】実行後の本発明の局面による装具デバイスの態様のインビトロ質量損失のグラフを示す。
【図11】実行後の本発明の局面による装具デバイスの態様のインビトロ強度損失のグラフを示す。
【図12】本発明による装具デバイスを製造するためのシステムと共に使用するためのニットパターン設計図である。
【図13】本発明の局面による製造システムにより製造した一連のデバイスを示す。
【図14】本発明の局面による製造システムにより製造した一連の装具デバイスを有するシートを示す。
【図15】本発明の局面による各コースで可変数の横入れ糸を有する5つのコースを含む編地を示す。
【図16】本発明の局面によるデバイスの編成部分における横入れ糸のタックの拡大図を示す。
【図17】別のニットパターン設計により製造した一連の5つの部分からなる人工靱帯を備えた編成シートを示す。
【図18A】本発明の局面による装具デバイスのさらに別の態様を示す。
【図18B】折り畳まれた構造の図18Aのデバイスを示す。
【図18C】図18Aのデバイスを示す。
【図18D】折り畳まれた構造の図18Aのデバイスを示す。
【図19A】膝関節に固着された図18Aのデバイスを示す。
【図19B】膝関節に固着された図18Aのデバイスをさらに示す。
【図20A】本発明の局面による装具デバイスと組み合わせてもよい単一の編成ソックデバイスを示す。
【図20B】図20Aのソックデバイスを示す。
【図20C】本発明の局面による装具デバイスと組み合わせてもよい単一の編成ソックデバイスの別の態様を示す。
【図21】図20AおよびBの一連のソックデバイスを有する編成シートを示す。
【図22】装具デバイス上でソックデバイスを組み立てるための例示的な技術を示す。
【図23】本発明の局面による装具デバイスの組み立てられた態様を示す。
【図24A】編成部分内の可変デバイス直径を有する、本発明の局面による装具デバイスの態様を示す。
【図24B】図24Aのデバイスを示す。
【図24C】図24Bの拡大部分を示す。
【図25A】より低いゲージニットを有する、本発明の局面による装具デバイスの態様を示す。
【図25B】図25Aのデバイスを示す。
【図25C】図25Bの拡大部分を示す。
【図26A】先細になったニットを有する、本発明の局面による装具デバイスの態様を示す。
【図26B】図26Aのデバイスを示す。
【図26C】図26Bの拡大部分を示す。
【図27A】スペーサニットパネルを備えた本発明の局面による装具デバイスの態様を示す。
【図27B】図27Aのデバイスを示す。
【図27C】図27Bの拡大部分を示す。
【図28】広がったニット端を備えた本発明の局面による装具デバイスの態様を示す。
【図29A】連続ループデバイスとしての、本発明の局面による装具デバイスの態様を示す。
【図29B】図29Aのデバイスを示す。
【図29C】図29Bの拡大部分を示す。
【図29D】図29Cの拡大部分を示す。
【図30】延長された筒状カフスを備えた本発明の局面による装具デバイスの態様を示す。
【図31】ニット部分内にポケットを備えた本発明の局面による装具デバイスの態様を示す。
【図32】改良ソックスリーブデバイスを備えた本発明の局面による装具デバイスの態様アセンブリを示す。
【図33】改良ソックスリーブデバイスを備えた本発明の局面による装具デバイスの別の態様を示す。
【図34A】5.5mmのループ長を有する本発明の局面による装具デバイスの態様の断面を示す。
【図34B】5.0mmのループ長を有する本発明の局面による装具デバイスの態様の断面を示す。
【図35】ニット内に追加の横糸部分を有する本発明の局面による装具デバイスの態様を示す。
【図36】2つのソックデバイスを備えた連続ループデバイスとしての、本発明の局面による装具デバイスの態様アセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好ましい態様の詳細な説明
本発明の局面を、本明細書では、ACLを再建するのに使用される、複数部分からなる移植片、または装具デバイスに関する例示的な態様を参照して記載する。特に、図1は、長手方向軸101に沿って配列された3つの部分112、114および122を有する人工靱帯100の第1の態様を示す。人工靱帯100は2つの編成骨内部分112および114を有し、これらは関節内部分122により分離されている。人工靱帯100をACLの再建に使用する場合、編成部分112および114は骨トンネルまたはアンカー部分に係合する。その一方、関節内部分122は人工装具100の靱帯部分として機能する。
【0020】
好ましくは、人工靱帯100は一般にポリマ、例えばタンパク質生体材料から形成される。特に、態様は絹、例えばカイコ(Bombyx mori)の、カイコ絹フィブロインから形成されてもよい。生絹ファイバはセリシンとして公知の天然の球状タンパク質コーティングを有し、これは抗原性の特性を有する可能性があり、埋め込む前に抽出しなければならない。したがって、糸は抽出過程を介して得られる。セリシンの抽出は、例えば、Gregory H. Altman et al.,「Silk matrix for tissue engineered anterior cruciate ligaments,」 BIOMATERIALS 23 (2002), pp.4131-4141によりさらに説明されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。結果として、標準化された生体材料試験法を用いて測定または予測することができる限りにおいては、デバイス態様で使用される絹材料は実質的に感作物質を含まない。
【0021】
セリシンはフィブロインファイバから抽出、または除去されてもよく、その後に、整列されて糸とされるか、またはファイバ構築物の階層形状においてより高いレベルにあるものとされる。糸は好ましくは、低張力で取り扱われ、すなわち、構築物に適用される力はいかなる処理工程中にも材料の降伏点を超えることはない。しかしながら、糸がデバイス中で非繰り返し荷重負荷糸として使用されることになっている場合、材料の降伏点を超える可能性がある。さらに、糸はセリシンが除去された後、注意して取り扱われる。処理デバイス設備は、脆いフィブロインファイバを損傷から保護するために、処理中に糸と接触して誘導するガイド固定具における摩損および鋭角を減少させるように、同様に構成される。例えば、抽出滞留時間は大体、瞬間の浸漬〜10時間の範囲であってよい。一般に、抽出は曝露されたフィラメントへの損傷を最小に抑える程度にゆっくりであり、処理される糸の構成により決定される。平行に組織化された複数のファイバを有する絹ファイバ構築物がこれらの条件下で抽出された場合、「単一の」より大きな、セリシンを含まない糸が得られる。言い換えれば、個々のファイバは、ひとたび抽出中に曝露されると、より小さなフィブロインフィラメント間の機械的相互作用により構築物から分離できない。さらに、セリシンを含まないマイクロフィラメント間の機械的相互作用のために、撚り糸およびケーブル糸の抽出は典型的には、より「弾力」の低い糸および構造をもたらす。結果として、糸および得られる編地の設計では、より大きな程度のフレキシビリティが存在する;例えば、1インチあたりの撚り数(TPI)レベルのより高いものを使用してもよく、これにより、通常、編地に形成するのは困難な弾力性のある糸が生成される可能性がある。より高いTPIの別の利点は、糸および編地の剛性の減少であり、すなわち、マトリクス弾性が増加する可能性がある。
【0022】
本発明の装具デバイスは、絹の使用に限定されるものではなく、編むことができる強いポリマから形成させてもよいことを認識するべきである。特に、ポリマは好ましくは生体吸収性であり、デバイス自体内ならびに骨トンネル内およびその周囲で実質的に内殖することができ、時間とともにデバイス-組織構築物の強度の改善が維持される。内殖過程は下記でさらに詳細に記載する。
【0023】
さらに、態様は表面処理により処理されてもよく、これにより材料親水性、生体適合性、およびカッティングおよび移植片貫通のための取り扱いの容易さが増加し、ならびに抗菌および抗真菌コーティングで処理されてもよい。表面処理の具体例としては、プラズマ改質、フィブロネクチン、変性コラーゲン、コラーゲンゲル、親水性および疎水性端を有するペプチド、共有結合されたタンパク質およびペプチド、物理的に結合され、化学的に安定化されたペプチドおよびゲル、DNA/RNAアプタマー、ペプチド核酸、アヴィマー(avimer)、修飾もしくは非修飾多糖コーティング、炭水化物コーティング、抗菌コーティング、抗真菌コーティングならびに/またはホスホリルコリンコーティングが挙げられるが、それらに限定されない。より小さなタンパク質およびペプチド(1000kDa〜20,000kDaの範囲)に対する好ましい濃度範囲は、0.01μg/mgデバイス〜100μg/mgデバイスである。より大きなタンパク質に対しては、好ましい濃度範囲は0.01mg/mL〜5mg/mLである。
【0024】
一般に、本発明の態様は永久埋め込みデバイスに対するISO-10993勧告に従い、広範な生体適合性試験を受けている材料を使用する。一般に、材料は生体適合性、非細胞毒性、非刺激性、非毒性、非発熱性、非変異原性、非染色体異常誘発性、非溶血性、および感作または補体活性化がない非抗原性である。
【0025】
再び図1について説明すると、編成部分112および114は横編地または縦編地から形成されてもよい。1つまたは複数の単一の連続横入れ糸123は関節内部分122を形成し、1つまたは複数の長手方向ファイバが編成部分112および114を連結している。編成部分112および114の各々が1つまたは複数の、コース(course)としても公知の編み段を有する。図16に示されるように、編み段75は複数のループ76から形成させてもよい。単一の連続横入れ糸123が、各編成部分112および114内の1つまたは複数のコース内に置かれるか、または受け入れられ、かつ、編成部分112および114を横断する。
【0026】
人工靱帯100中の単一の連続横入れ糸123とは、関節内部分122ならびに編成部分112および114を横断し、編成部分112と114との間に延在する複数の横断部を形成する単一糸を指す。例えば、連続糸123は反復S字またはZ字パターンで置かれて横断してもよく、第1の編成部分から第2の編成部分まで延在し、そこで旋回して第1の編成部分に戻り、そこで再び旋回し、この連続を数回繰り返してもよい。S字またはZ字パターンの例について下記でさらに説明する。言い換えれば、単一の連続糸123の各横断部は、対向する長手方向軸方向に延在する、前の横断部の継続である。このように、1つより多い横断部を有する単一の連続糸123は、2つの編成部分112および114を連結し、関節内部分122を形成してもよい。旋回中心はいかなる1つの位置にも限定されない。
【0027】
当然、人工靱帯100は、第1の編成部分と第2の編成部分との間に延在する反復パターンで置かれて横断している1つより多い単一の連続糸123を含んでもよく、これにより2つの編成部分112および114が、1つより多い単一の連続糸123由来の1つより多い横断部と連結される。複数の単一の連続糸123の横断部は、同じ方向、反対方向、またはこれらの任意の組み合わせで延在してもよい。
【0028】
1つまたは複数の単一の連続糸123は、複数の、平行で、非離散的かつ非独立的に平行移動可能な要素を形成し、これらの要素は組織化され、束、すなわち複数の長手方向のファイバとなる。好都合なことに、非独立的に平行移動可能なファイバは、力が編成部分112および114を引き離すように作用した場合に、人工靱帯100の平行要素の全てを等しく引っ張ることができる。
【0029】
人工靱帯100が横編地である場合、単一の連続糸123の各横断部は、少なくとも1つの編成部分のコース内に置かれ、コース内で少なくとも一回押し込まれるか、または固定される。押し込みは連続糸123を編成部分内に効果的に固定し、糸が編成部分に対して滑るか、またはその逆を最小に抑え、関節内部分122の任意の寸法変化を最小に抑える。単一の連続糸123の1つまたは複数の横断部は、編成部分の単一コース内に置かれてもよく、および/または押し込まれてもよく、この横断部の束が形成され、その後、編成部分の次のコース、または編み段に移る。一般に、編成部分112および114は、1段または複数段の編み段を含んでもよく、ここで、各編み段は単一の連続糸由来の1つまたは複数の横断部を有する。
【0030】
本明細書で記載した態様は、各ニット部分で押し込まれる糸を含んでもよいが、横編み機で作製されていないニットは、必ずしも各糸が各編成部分に押し込まれる必要はないことに注意すべきである。そのようなものとして、本発明の態様は各ニット部分で連続糸を押し込むものに限定されない。
【0031】
さらに図1で示されるように、編成部分112および114の長手方向縁113および115はそれぞれ、ニットがほつれないように仕上げられる。1つの態様では、縁113および115は閉じ編みで止められる。この止めにより、更なる処理、例えば人工装具100のねじりは一般に必要とされない。または、縁113および115で密に編まれた部分を使用することにより、ほつれないようにしてもよい。この別の態様では、縁は密に編まれた部分が鋭く切られた場合に仕上げられる。
【0032】
図4で示されるように、使用においては、関節内部分122は、編成部分112が脛骨12で骨トンネル13内に固着され、編成部分114が膝10内の大腿骨14の、対向する骨トンネル15内に固着された場合、機能的な靱帯として機能する。人工装具100の関節内部分122は、膝関節10の完全な機能を可能にしながら、組織化された組織の内殖および再構築のために必要な足場および空隙容量を提供する。上記のように、好都合なことに、関節内部分122は骨内編成部分112および114を連結させる1つまたは複数の単一の連続糸により形成される。
【0033】
本発明のデバイスの別の態様を図2に示す。人工靱帯200は長手方向軸201に沿って配列された5つの部分212、214、216、222および224を有する。人工靱帯200は2つの編成骨内端部分212および216ならびに1つの編成骨内中間部分214を有する。編成部分212および214は関節内部分222により分離され、編成部分214および216は関節内部分224により分離される。
【0034】
編成部分212、214および216は横編地または縦編地から形成させてもよい。図2に示されるように、1つまたは複数の単一の連続横入れ糸223が関節内部分222および224を形成し、1つまたは複数の長手方向ファイバが編成部分212、214および216を連結させる。編成部分212、214および216の各々が1つまたは複数の編み段またはコースを有する。単一の連続横入れ糸223が、各編成部分212、214および216内の1つまたは複数のコース内に置かれるか、または受け入れられ、かつ、編成部分212、214および216を横断する。
【0035】
前に記載した、人工靱帯100を使用した場合のように、人工靱帯200は、編むことができる強いポリマ、例えば、カイコのカイコ絹フィブロインから形成してもよく、これは前に記載した特性を有する。
【0036】
人工靱帯200中の単一の連続横入れ糸223は関節内部分224および224、ならびに編成部分212、214および216を横断し、編成部分212、214および216の間に延在する複数の横断部を形成する。例えば、連続糸223は反復S字またはZ字パターンで置かれて横断し、第1の編成端部分から、編成中間部分を通って、第2の編成端部分まで延在し、そこで旋回して、編成中間部分を通って第1の編成端部分に戻り、そこで再び旋回し、この連続を数回繰り返してもよい。S字またはZ字パターンの例については、下記で記載する、図3A〜3Cの挿入糸223により説明する。このように、1つより多い横断部を有する単一の連続糸223は編成部分212、214および216を連結させてもよく、関節内部分222および224を形成してもよい。
【0037】
当然、人工靱帯200は、第1の編成端部分と第2の編成端部分との間に延在し反復パターンで置かれて横断する、1つより多い単一の連続糸223を含んでもよく、これにより編成部分212、214および216が、1つより多い単一の連続糸223由来の1つより多い横断部と連結される。複数の単一の連続糸223の横断部は、同じ方向、反対方向、またはこれらの任意の組み合わせで延在してもよい。
【0038】
単一の連続糸223の各横断部は、編成部分のコース内に配置され、コース内で少なくとも一回押し込まれるか、または固定される。押し込みは連続糸223を編成部分内に効果的に固定し、糸が編成部分に対し滑る、またはその逆を最小に抑え、関節内部分222および224の任意の寸法変化を最小に抑える。単一の連続糸223の1つまたは複数の横断部は編成部分の単一コース内に置かれてもよく、および/または押し込まれてもよく、この横断部の束が形成され、その後、編成部分の次のコース、または編み段に移る。一般に、編成部分212、214および216は1段または複数段の編み段を含んでもよく、ここで、各編み段は単一の連続糸由来の1つまたは複数の横断部を有する。
【0039】
人工靱帯100を用いた場合のように、単一の連続横入れ糸223に対する旋回中心はいかなる1つの位置にも限定されない。図3A〜Cは、横入れ糸223に対し異なる旋回中心を有する人工靱帯200の態様を示す。図3Aは編成部分212の縁218にある旋回中心225、および編成部分216の縁219を超えた旋回中心226を有する、単一の連続挿入糸223を示す。図3Aの旋回中心226は側方ループを形成し、これは人工靱帯200の関節外固着、引張りまたは位置づけのための延長部として機能する可能性がある。他方、図3Bは、それぞれ、編成部分212および216の縁218および219にある旋回中心225および226に加えて、編成部分212と214との間の旋回中心227を有する単一の連続挿入糸223を示す。旋回中心227は内側ループを形成し、これは任意の関節位置で追加の固定能力を提供してもよく、または第3の骨トンネル内で使用されてもよい。一方、図3Cは編成部分216中のボタンホール229の縁に旋回中心228を有する単一の連続挿入糸223を示す。または、ボタンホールは図3Cで示した位置と垂直に位置づけしてもよく、横糸間に形成しもよい。図3Cはまた、固着のために使用される可能性のあるボタンホール229を部分的に成形するために、挿入糸223と組み合わされて追加の挿入糸230が使用されることも示す。挿入糸230は一般にボタンホール229と縁219との間で旋回する。挿入糸223とは異なり、挿入糸230は関節内部分222または224を形成するように編成部分212、214および216の間を横断することがない。図3A〜Cで示した旋回中心の型のいずれも、任意の数の別の旋回中心との任意の組み合わせで使用してもよい。さらに、旋回中心は、1つまたは複数の挿入糸と任意の組み合わせで使用してもよい。さらに、本発明の態様における旋回中心は、図3A〜Cで示した例示的な旋回中心に限定されないことが理解される。
【0040】
さらに図2に示されるように、それぞれ、編成部分212、214および216の長手方向縁213、215、および217は、ニットがほつれるのを最小に抑えるように仕上げられる。1つの態様では、縁213、215、および217は、閉じ編みで仕上げられる。この止めにより、更なる処理、例えば人工装具200のねじりは一般に必要とされない。また、縁213、215、および217で密に編まれた部分を使用することにより、ほつれないようにしてもよい。この別の態様では、後で図14において記載するように、縁は、密に編まれた部分が鋭く切られた場合に仕上げられる。
【0041】
移植片、例えば5つの部分からなる人工靱帯200を、43匹のヤギを含むGLP大規模動物試験でACL再建のために使用した。特に、人工靱帯200は下記のように適用した。関節鏡関連手順で、各動物の右ACLを除去し、置換した。ACLを鋭く切除した。ガイドピンを大腿骨に刺入し、6mmドリルを用いて順行性の穿孔を実施する。直接見ながら脛骨トンネルを開けた。膝腱移植片を模倣するように設計された5つの部分からなる人工靱帯200を、大腿骨上のポストおよびワッシャーの周りに関節外固着した。移植片をその後、約50Nまで引張り、膝を約30回回し、その後、人工装具を、ポストの周りに縫合糸で支えられたスパイク付きステープルを用いて脛骨に固定した。
【0042】
本研究では、動物は全て手術後直ぐに歩き回らせた。本研究では、ヤギモデルにおけるACL置換のための5つの部分からなる移植片200について、手術後3、6および12ヶ月目に評価した。動物は3、6および12ヶ月目に剖検され、膝が組織学的および機械的に評価された。Lachmann、x-線、歩行分析、および包括的な剖検を含む追加の評価が実施された。
【0043】
本研究では、動物は3、6および12ヶ月目に体重を支えることができることが示された。95%を超えるヤギが、6ヶ月目までに正常歩行に戻ることができ、12ヶ月目において維持された。Lachmannにより、大多数の膝が全ての点において臨床的に安定であったことが示されている。関節表面または半月板において肉眼的軟骨傷害は観察されなかった。デバイスの結果としての滑膜炎は滑膜内で観察されず、滑液は良好な粘度および色であった。移植片内およびその周囲でのコラーゲン形成および再構築が時間とともに増加した。逆に、デバイスの生体吸収のために必要な炎症は時間とともに減少した。デバイスの生体吸収速度は予測可能であることが示された。X-線は、骨トンネル内またはその周囲での異常所見を示さず、これは、活性表面モデリングを用いてトンネル内で観察されたデバイスに対する反応がないことにより、組織学的に確認された。予備的なAP弛緩データから、大部分の膝は安定であったことが示された。移植物摩耗がヤギの膝のメカニックスおよび移植片配置により様々な程度まで観察された。破損までの片引き試験(single-pull-to-failure)では、内殖が、時間とともに増加する荷重負荷をサポートすることが明らかになった。
【0044】
そのため、研究結果から、5つの部分からなるACL移植片200は、12ヶ月の期間にわたり関節を安定化した、機械的に強固で、生物学的に生存可能な靱帯の自己発達をサポートしたことが示される。そのようなものとして、移植物は、ドナー部位の病的状態ならびに同種間および異種間移植片に関連する有害な副作用無しに、ACL置換移植片を提供する。
【0045】
5つの部分からなる人工靱帯の別の態様を図5Aに示す。具体的には、人工靱帯300は複数の部分からなり、2つの束302を有する移植片である。各束302は編成部分312、平行な束の関節内部分322、編成部分314、平行な束の関節内部分322、および編成部分316を有する。好ましくは、2つの束302は対応する編成部分314の間のニットにより接合され、一方、対応する編成部分312および316は接合されない。部分312、314、316、322、および324はそれぞれ、上に記載の、部分212、214、216、222、および224に類似する。
【0046】
さらに、図5Aはまた、編成部分312、314および316の縁に位置づけされ、これらの縁で起こる摩耗を最小に抑える、任意の筒状保護部分340を示す。
【0047】
5つの部分からなる人工靱帯の例示的な適用を、図5Aに示されている、人工靱帯300を参照して提供する。この適用では、編成部分312および316が、脛骨ニット部分312および316として使用され、およびそう呼ばれてもよく、一方、編成部分314は大腿骨ニット部分314として使用され、およびそう呼ばれてもよい。
【0048】
図5Bに示されるように、人工靱帯300は長手方向軸301に沿って半分に折り畳まれ、その後、大腿骨部分314で横方向に折り畳まれる。このように折り畳まれた場合、両方の束の関節内部分322および324は全て整合され、4つの束の移植片、または人工靱帯が得られる。さらに、脛骨ニット部分312および316は整合され、骨内固着のための1つの部分として機能し、一方、大腿骨部分314は、今や折り畳まれ、整合され、対向する固着部分として機能する。
【0049】
別の態様、例えば人工靱帯200では、人工靱帯は、適用中に、中間のニット部分、例えば、部分214で半分に横方向に折り畳まれてもよく、一方、長手方向軸、例えば長手方向軸201に沿っては折り畳まれないことに注意されたい。
【0050】
図6で示されるように、脛骨部分312および316は脛骨12に固着され、一方、大腿骨部分214は大腿骨14に固着される。好都合なことに、人工靱帯300は二重の束の、単一トンネル膝腱移植片を用いたACL再建のための標準的外科技術に従って設置されてもよい。さらに、人工靱帯300は従来の固着デバイスを用いて埋め込まれてもよい。人工靱帯300は、EndoButton(登録商標)CL(Smith & Nephew, MA)、または同様の懸垂固定、例えばToggleLOC(商標)(Arthrotek)、EasyLOC(商標)(Arthrotek)、XOButton(商標)(ConMed)、Intrafix(Depuy Mitek, MA)、ポストおよびワッシャー、インターフェランススクリュー、ピン/クロスピン、スパイク付きステープル、ボタン、ならびに縫合を含むが、それらに限定されない、標準的ACL固着デバイスと適合性がある。ACL固定のために市販されているいずれのアンカーも、一般に靱帯デザインと適合性がある。2つの主な型の固定または固着デバイスが存在する:懸垂デバイス、例えばEndoButton(登録商標)CLまたはクロスピンは、その周囲で移植片が包まれる構造を提供し;インターフェランスデバイス、例えば、Intrafixは、骨トンネル内で締まりばめを生成する。さらに、靱帯デバイス自体をアンカーとして使用することができ、トンネル内に圧入される。
【0051】
図7は人工靱帯300を埋め込むための例示的な技術の工程を示す。工程502では、単一の、例えば、10mm直径の脛骨トンネルが開けられる。測定分画を備えたガイドピンを用いて単一大腿骨トンネルが開けられる(図示せず)。その後、大腿骨トンネル長およびACL長、すなわち、脛骨および大腿骨トンネルの関節内開口間の長さ(図示せず)に対し、測定が行われる。その後、人工靱帯300に対する適当なサイズが決定される(図示せず)。さらに、適当な穴あけの深さ、例えば、8mm直径の大腿骨トンネルは、適切な固着が可能になるように決定される(図示せず)。したがって、図7の工程504として示されるように、単一直径大腿骨トンネルが特定の深さまで開けられる。工程506では、人工靱帯300が先細になった針を用いて脛骨ニット部分312および316を通ってかがり縫いされ、デバイスの設置および引張りが助けられる。工程508では、人工靱帯300が脛骨トンネルを通って大腿骨トンネルに引き込まれる。人工靱帯300は、固着デバイス、例えばEndoButton(登録商標)CLにより要求されるように大腿骨内に設置される。工程510では、人工靱帯300は従来のACL再建技術に従い適当な角度で引っ張られる。工程512では、人工靱帯は、従来の干渉固定デバイス、例えばIntrafixを用いて脛骨トンネル内に固定される。このように、人工靱帯300の設置は、懸垂および干渉固定デバイスの組み合わせを使用してもよい。
【0052】
別の例示的な設置手順では、単一の8.5mm直径の脛骨トンネルが、トンネル配置ガイドを用いて、またはそれ無しで開けられてもよい。外科医の好みにより、オーバーザトップ(over-the-top)ガイドを用いて、またはそれ無しで、単一の7.5mm直径の大腿骨ソケットを脛骨を通して、または内側ポータル(medial portal)を介して位置づけしてもよく、総トンネル長に基づき適当な深さまで開けてもよい。トンネルの全長および最小の本来のACL長を測定してもよい。適当なサイズの靱帯デバイスは、サイジングガイドから識別してもよい。靱帯デバイスは、膝腱移植片となるように調製してもよく;移植片は標準的懸垂固定上でループとされてもよく、ソックデバイス(下記で詳細に記載)を大腿骨部分上に配置してもよく、縫合糸をかがり縫いするか、または縫合糸をデバイスループを通して挿入することにより脛骨端に適用してもよい。デバイスは骨トンネル内に挿入され、引っ張られ、標準的固定により固着されてもよい。
【0053】
さらに、人工靱帯は、(i)靱帯デバイスを、脛骨トンネルを通して関節内空間内に、その後大腿骨トンネルを通して配置する;(ii)靱帯デバイスを、大腿骨トンネルを通して関節内空間内に、その後脛骨トンネルを通して配置する;または(iii)関節内空間から内側ポータルを通して、トンネル内に配置する、のいずれかにより設置されてもよい。
【0054】
人工靱帯300の編成部分312、314、316は、関節内部分322および324を構成するファイバ束を引っ張るように機能する。さらに、編成部分312、314、316は骨トンネルの断面全体に糸を分布させる。図7で示されるように、例えば、人工靱帯300は、単一の8mm直径の大腿骨トンネルおよび単一の10mm直径の脛骨トンネル内に適合するように設計される。
【0055】
さらに、人工靱帯300に対し様々な長さを使用してもよく、患者の解剖学的変動に順応するのに有効である可能性がある。
【0056】
関節内部分322および324を組み合わせたものは、脛骨部分312および316が膝10内の大腿骨部分314と対向して固着された場合、機能性靱帯として機能する。人工装具の関節内部分322および324を組み合わせると、膝関節10の完全な機能が可能になり、一方、組織化された組織の内殖および再構築のために必要な足場および空隙容量が提供される。上記のように、好都合なことに、関節内部分322は、脛骨部分312および316を連結する1つまたは複数の単一の連続糸323により形成される。1つまたは複数の単一の連続糸323は複数の、平行で、非離散的かつ非独立的に平行移動可能な要素を形成し、これらの要素は組織化され、束、すなわち複数の長手方向のファイバとなる。好都合なことに、非独立的に平行移動可能なファイバは、力が脛骨部分312および316を大腿骨部分314から引き離すように作用した場合に、人工靱帯300の平行要素の全てを等しく引っ張ることができる。
【0057】
人工靱帯300の別の適用では、2つの大腿骨トンネルが単一の脛骨トンネルと対向して開けられてもよい。そのようなものとして、整合された大腿骨部分312は一方の大腿骨トンネル内に固着され、一方、整合された大腿骨部分316は他方の大腿骨トンネル内に固着される。一方、整合された脛骨部分314は単一の脛骨トンネル内に固着される。人工靱帯は、下記構成のいずれかで埋め込まれてもよい:(i)単一の脛骨トンネルおよび単一の大腿骨トンネル、(ii)単一の脛骨トンネルおよび二つの大腿骨トンネル、(iii)二つの脛骨トンネルおよび単一の大腿骨トンネル、(iv)二つの脛骨トンネルおよび二つの大腿骨トンネル、ならびに、(v)単一の脛骨トンネルおよび大腿骨上でのオーバーザトップ位置づけ。
【0058】
態様、例えば人工靱帯300は、外科的修復後直ぐに、膝関節の安定化を提供する一時的な足場として機能するように設計され、患者自身の内なる修復機構および増殖環境を利用し、新しい生存靱帯組織の形成を促進する。埋め込み部分での身体自体の再生過程が実施されている間、移植片の一時的な性質は、足場の必要性が減少して組織治癒および活性化が可能になるように、かつ、自然な局所組織の再構築によって生体吸収されるように、設計される。このアプローチは移植片埋め込み後に、患者に気付かれることなく起こる、身体自体の炎症、血管新生、治癒、機械的および再構築カスケードを期待し、使用する。
【0059】
上記のように、態様は強いポリマ、例えば、カイコのカイコ絹フィブロインから形成してもよい。そのようなものとして、人工靱帯300は機械的に強靱な平行ファイバ束を有する。材料の優れた強度により、人工靱帯300で使用される材料を少なくできる一方、機能的ACL組織の機械的要件が依然として満たされる。それに応じて、組織の内殖に対し50%を超える大きな空隙容量が生成される可能性がある。50%を超える空隙容量が好ましい;しかしながら、解剖学的に位置づけされたトンネル内に適切に適合するデバイスから得られる任意の空隙が許容される。
【0060】
人工靱帯300の特別な態様は、膝関節の最初の術後無血管環境での物質移行の制限を克服するために、直径が400μm以下の個々の糸である個々の束322または324を使用してもよい。代謝産物および栄養の拡散は血管網からの能動輸送無しで約200μmの細胞内殖をサポートすることができる。直径が400μm以下の束が好ましいが、直径が最大2mmまでの束を有する靱帯デバイスが許容される。関節内部分322および324の複数の束からなる構造はまた、靱帯の長手方向軸に沿った組織化された組織の内殖も促進する。
【0061】
本発明の態様の物理、機械および化学的特性を特徴づけるために、様々な技術を使用することができる。ISO10993推奨の生体適合性試験および寿命安定性試験もまた、適用してもよい。実質的な前臨床動物試験、例えば、前に記載した研究を実施して、デバイスの生体適合性および安全性を確立してもよい。さらに、標準アンカーおよび外科技術とのデバイス適合性を決定するために、死体へのデバイス埋め込みを実施してもよい。
【0062】
一例として、人工靱帯の態様に関する主なパラメータに対する試験法および結果を下記に示す。表1は、人工靱帯300の長さ、幅および厚さを含む例示的な物理測定値を提供する。この例では、人工靱帯300の全長および幅はそれぞれ、約170mm×20mmである。
【0063】
【表1】

【0064】
本発明の態様の別の物理的特質もまた決定してもよい。移植片サイジングブロックにより態様のゲージ直径を決定してもよい。例えば、人工靱帯300は、8mm直径のサイズジングブロックを通して適合してもよい。さらに、各試料は色、欠陥の存在および8mmトンネル内での分布について視覚的に検査されてもよい。そのような目視検査は好ましくは、人工靱帯が、物理的に欠陥がなく完全であることを明らかにする。さらに、人工靱帯300は8mmトンネル内でエポキシに埋め込まれてもよく、断面はデバイス、例えばSZX7実体顕微鏡(Olympus Corporation, Melville NY)を用いて画像化されてもよく、トンネルを通る靱帯の分布が決定される。図8Aは人工靱帯300の一例を示し、その断面310はトンネル80全体で均一である。さらに、態様の細孔サイズは組織形態計測的に決定してもよい。図8Bは、細孔311の最小寸法が100μmの好ましいインプット要件より大きな人工靱帯300の一例を示す。
【0065】
本発明の態様はまた、破損までの片引き引張り力、繰り返し疲労、およびアンカー引き抜きを測定する試験を使用することにより機械的に特徴づけられてもよい。態様の試料は、湿潤環境での特徴を提供するために、機械的分析前に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で2±0.5時間、37±2℃でインキュベートしてもよい。機械的試験は、水圧サーボInstron8871機械的試験システム上で、周囲環境条件下、Blue Hill and WaveMaker-Runtime Software(Instron Corporation, MA, USA)を用いて実施してもよい。
【0066】
引張り試験では、試料はインキュベーション後、長手方向の半分に切断されてもよく、半分がそれぞれ、独立して試験されてもよい。試料は金属バーの周りに折り畳まれ、空気圧式ファブリッククランプ内に固着されてもよい。試料はその後、1秒あたり100%の歪み速度で変位制御試験により荷重されてもよい。決定された機械特性は、(1)極限引張り強度(UTS)、(2)線形剛性、(3)UTSでの伸長割合(%)、(3)降伏強度、および(4)破損モードを含んでもよい。極限引張り強度の結果は、全体のUTSを決定するために同じデバイスの各半分から組み合わされてもよい。例えば、人工靱帯300に対する測定値は下記を含んでもよい:4338±286NのUTS;2330±195Nのオフセット降伏強度;721±38N/mmの、天然のACL長である30mmの長さにわたる剛性;および29.7±2.5%のUTSでの伸長割合(%)。
【0067】
引張り繰り返し疲労試験では、試料はインキュベーション後、長手方向の半分に切断されてもよく、空気圧式ファブリッククランプ内に固着されてもよい。試料は好ましくはサイクル中、室温でPBSにより湿潤状態で維持される。引張り正弦繰り返し疲労試験は平均UTSの60%および80%で実施されてもよい。そのようなものとして、破損までのサイクルおよび破損モードを決定してもよい。繰り返し疲労寿命は好ましくは、膝関節における平均ACL応力に対し概算される。例えば、人工靱帯300は60%のUTSで1549±784サイクル後、および80%のUTSで173±40サイクル後、完全な断裂により機能しなくなる可能性がある。破損時のサイクル数とサイクル振幅との間の対数傾向が観察される可能性がある。図9で示されるように、400N荷重、すなわち、歩行中の平均ACL荷重までの外挿から、破損前に800万回を超えるサイクルが完了される可能性があることが示された。
【0068】
アンカー引き抜き試験は、大腿骨固定に対してはEndoButton(登録商標)CL(Smith & Nephew, Andover, MA)または等価の懸垂もしくは干渉固定、ならびに脛骨固定に対してはIntrafix(商標)(Depuy Mitek, Raynham, MA)または等価の懸垂もしくは干渉固定を用いて実施してもよい。2mmフォーム(40pcf)(Sawbones, Vashon, Washington 98070)と張り合わされた生体力学的固体剛性ポリウレタン試験フォームブロック(20pcf)を、大腿骨アンカー引き抜き試験に対して使用し、EndoButton(登録商標)で達成された皮質固定を模倣してもよい。細胞剛性ポリウレタン試験フォームブロック(10pcf)を脛骨アンカー引き抜き試験に対して使用し、Intrafixを用いて達成された海綿骨固定を模倣してもよい。したがって、UTSおよび破損モードを決定してもよい。例えば、大腿骨アンカー引き抜き試験中には1130±56NのUTSが観察され、破損はEndoButton断裂により起こる可能性がある。脛骨アンカー引き抜き試験中には1202±30NのUTSが観察され、破損はSawboneの断裂により起こる可能性がある。インターフェランススクリュー、ボタン、クロスピン、ステープル、骨外ポストおよびそれらの組み合わせの脛骨アンカー試験は、200N〜4000Nの引き抜き強度を達成する可能性がある。
【0069】
本発明の態様は、エチレンオキシド(EO)滅菌されてもよい。動物実験および生体適合性試験、例えば、上記人工靱帯200に対し実施したものはEO滅菌の有害な効果を示しておらず;高いEO残留を示す結果は観察されていない。インビトロの特徴付けは、滅菌後に重要な機械的完全性が存在することを示している。滅菌は、「過剰殺滅」滅菌過程を用いる単一ロットの放出により達成してもよい。パッケージングは二重Poly/Tyvekピールシールパウチ;Tyvek 1059Bに結合された48ゲージPET/LDPE、PE0001(Peel-Master Niles, IL)から構成されてもよい。過剰殺滅滅菌過程では、戦略的に配置された生物学的指標(個体数1.0×106のBI)が全て、半曝露滅菌サイクルで死滅されることが要求される。半休止曝露滅菌は、本発明の態様に好ましくは要求される10-6のSALを送達し、その後、態様は完全曝露滅菌サイクルに供せられる。EO残留試験を滅菌後に実施してもよい。本発明の態様での最大許容残留物は、250ppmエチレンオキシド、250ppmエチレンクロロヒドリン、および5,000ppmエチレングリコールとして確立されてもよい。
【0070】
EO滅菌の効果は、滅菌前、1回滅菌後、および2回滅菌後に装具デバイスに対し極限引張り強度および表面処理濃度を試験することにより決定してもよい。好ましくは、3つの群全ての間でUTSの有意な差が観察されない。例えば、非滅菌、1回滅菌、および2回滅菌に対するUTSの例示的な値はそれぞれ、100±1.5%、101.8±5.4%、および100.1±4.2%であってもよい。
【0071】
寿命安定性研究もまた、本発明の態様に対し実施してもよい。特に、試験は、ペーパーフィルムパウチにパッケージされてシールされ、エチレンオキシド(EO)滅菌に供せられ、周囲環境条件で、間欠照明中で保存されたデバイスに適用してもよい。さらに、破損するまで片引き試験を適用して引張り強度を測定してもよい。表2は人工靱帯200のそのような寿命安定性試験に対する値の例を提供する。この場合、結果から、18ヶ月間の実時間周囲環境貯蔵後に、機械的完全性の有意の有害な変化がなかったことが示される。そのようなものとして、この場合、EO滅菌後、周囲環境貯蔵条件下では18ヶ月間、機械的完全性が安定であると結論づけてもよい。
【0072】
【表2】

【0073】
特別な滅菌技術を本明細書で詳細に記載しているが、滅菌のための他のアプローチ、例えば、γ、蒸気、e-ビーム、化学物質、オゾン、気化過酸化水素などを使用してもよいことは理解される。実際、あるアプローチ、例えば「過剰殺滅」滅菌過程は臨床試験に対してのみ適用可能であるにすぎず、例えば、商業的に使用される製品を滅菌するには別の技術が必要である可能性がある。
【0074】
インビボモデルにおいて観察された傾向に対する相関に関し、移植片の生体吸収をモデリングするためにベンチ研究を実施してもよい。特に、インビトロの生体吸収特徴付けは、ヤギにおいてACLを交換するために埋め込まれた態様、例えば、前に記載した人工靱帯200に対する研究を用いて評価してもよい。態様は0.25mg/mlのProtease XIV(Sigma, MO)中、37℃でインキュベートしてもよく、1週間に3度洗浄し、吸着したプロテアーゼを除去してもよい。人工靱帯の質量損失割合(%)および破損までの片引き力を時間とともに決定してもよい。例えば、質量損失は1週間に3度、9週間測定してもよい。破損までの片引きはまた、最初の14日を通して前に記載したように実施されてもよい。図10および11は、人工靱帯例200に対する試料の結果を示す。図10に示されるように、インビトロ生体吸収により、61日後に約36%のACL移植片の直線的な質量損失が得られる。生体吸収速度はニットおよび糸構造ならびに表面処理により変更することができる。一方、図11に示されるように、破損までの片引き試験により、インビトロでの時間経過に伴う強度の指数関数的低下が証明され、14日までに、移植片は極限引張り強度の90%の減少を示した。
【0075】
本発明による装具デバイスの態様はファインゲージクローシェ編み機で編んでもよい。下記は本研究で使用される5つの部分からなる移植片を製造することができるクローシェ編み機のリストである:Jakob Muller;Comez Acotronic;Zhangjiagang Kingkangda;Kyang Yhe;Ledmak Makina;Skytex Enterprise;Valentin Rius Clapers;Zhangjiagang Victor Textile;Suzhou Textile;Dah Heer Industrial;Jiangsu Victor;Taesin Co.;Arushi Consultancy & Engineering;Jiangsu Hongyaun Textile;Zhangjiagang City Tianjiang;Taiwan Giu Chun;P.K. International;Alfamatex;Wenli Weaving & Zipper;およびNingbo Poli。
【0076】
本発明の態様を製造するための例示的なシステムを、図2で示した一般的な5つの部分からなる人工靱帯200を参照して記載する。特に、20ゲージComez Acotronicクローシェ編み機を使用してもよく、これは下記の仕様を用いて構成されてもよい:1ガイドあたり1本の縦糸を有する155のガイドを備えた1つのBPO(Barre Passette Ordito)縦糸ガイドチューブバー、1ガイドあたり1本の縦糸を有する146のガイド、ならびに、各々がそれぞれ2本の横糸を入れた1つのガイドを有する2つの横入れバーを備えた1つのBPO/STR(Barre Passette Ordito Supplementare Tronic)縦糸ガイドチューブバー。縦糸は12フィラメント絹糸であり、一方、横入れ糸は36フィラメント絹糸であり、それぞれ、2段階および3段階撚糸過程で構築される。機械の速度は、編み過程の安定性が維持され、一貫した編地寸法が保証されるように調整される。この構築のために、好ましい速度設定は75RPMであったが、1RPM〜3,000RPMの範囲の速度が本適用ではうまくいく可能性がある。125左/124右位置クリールは、動作中の糸の交差を阻止する様式で糸を機械に送るように構成される。BPO/STR糸は上面を横断する編み段に位置づけされ、横入れ糸は中央に位置づけされ、BPO糸は底面を横断する編み段に位置づけされる。BPO/STRおよびBPO糸の糸巻きは、デルール(derule)様式でほどけ、編み過程中に糸上に撚りが付与されるのを阻止し、一方、横糸はデフィレ(defile)様式でほどかれ、急速な供給が可能になり、所望の速度での動作が支援される。多くのクリール位置スキームは糸の交差を阻止し、適切にほどけることを保証するように考案されているので、この過程は前記クリール設定に限定されない。糸の交差が編み過程を阻害しない場合があることも起こりうる。さらに、ビーム、例えばワープビームまたは任意の他の糸保持/給糸構造を使用してもよい。
【0077】
上記のように、態様は絹、例えば、カイコのカイコ絹フィブロインから形成されてもよい。例えば、特別な態様では、絹は20デニール、約40〜60μm直径の生絹ファイバから製造された撚糸である。好ましくは、10〜30デニールの生絹ファイバを使用してもよい;しかしながら、デバイス束を2mm未満とすることができ、ACLデバイスとして使用された場合に膝関節を安定化するのに十分な強度、または臓器の対象の組織構造を懸垂もしくは置換するのに十分な強度を提供する任意のファイバ直径が許容可能である。
【0078】
1つの例では、編成部分212、214および216に対し、絹糸の製造は2つの工程を含む:i)4本の20デニールのファイバを反時計方向(s方向)に、1インチあたり6撚り(tpi)で施撚する;および、ii)第1の工程由来の3つのプライを時計方向(z方向)に、3tpiで共に施撚する。結果として、約220〜323μmの直径を有する12フィラメント糸が得られる。
【0079】
横入れ糸223に対し、絹糸の製造は3つの工程を含む:i)4本の20デニールのファイバを時計方向(z方向)に、10tpiで施撚する;ii)第1の工程由来の3つのプライを反時計方向(s方向)に、19tpiで共に施撚する;および、iii)第2の工程由来の3つのプライを時計方向(z方向)に、9tpiで施撚する。結果として、約350〜400μmの直径を有する36フィラメント糸が得られる。
【0080】
特別な型の部分、すなわち編成部分212、214および216または関節内部分222および224に対する糸サイズは、好ましくは、あるデバイス内、またはあるデバイスのある部分内で変動しない。好都合なことに、実質的に一定の糸サイズでは、人工靱帯の部分全体にわたる、糸の機械的特性、例えば、剛性、伸長などの均一性が最大となる可能性がある。しかしながら、下記でさらに記載する別の態様では、糸サイズは同じ移植片の特定の部分において、または移植片の任意の単一部分内で変動してもよく、埋め込まれた場合に、異なる位置で異なる機械、物理および/または生物的特性が達成される。例えば、トンネル開口に、より近接した移植片領域は、耐摩耗性を最大にするためにより大きな糸サイズを有してもよい。他方、骨トンネルからさらに遠い領域は可撓性を増加させるために、より小さな糸サイズを有してもよい。さらに、移植片のある1つまたは複数の部分が特別な型の固定デバイスに適合すること、または骨トンネル内への圧入を達成することを可能にするために、糸サイズは変動してもよい。編み糸は、デバイスが2つの異なる直径のトンネルに適合できるように、骨トンネル部分の各々で異なっていてもよい。
【0081】
糸サイズに影響する可能性のある因子としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:極限引張り強度(UTS);降伏強度、すなわち糸が永久的に変形される点;伸長割合(%);疲労および動的弛緩(クリープ);生体吸収速度;移植片内への、および移植片からの移行(細胞/栄養素);有効な骨トンネル内での埋め込みのために装具デバイスをサイジングする能力;骨トンネル全体にファイバを分布させる能力;ならびに剛性プロファイルの平滑度、これは好ましくは、ブレード糸(braided yarn)で典型的に見られるように「ステッピング(stepping)」しない。
【0082】
図12は、記載した例示的な製造システムと共に使用するためのニットパターン設計400の技術図を示す。パターン400は168の針を横切って広げられ、所望のデバイス全長が達成される。図13でさらに示されるように、左から右へ、デバイスは3つの編成部分412、414および416からなる。編成部分412および414は部分422により分離され、同様に、編成部分414および416は部分424により分離される。部分422および424は連続挿入横糸のみを含む。編成部分412は44の針を横切って広がり、続いて、部分422のための8の針空間が存在し、続いて、64の針を横切る編成部分414が存在し、続いて部分424のための8の針空間が存在し、最後に、別の44の針を横切る編成部分416が存在する。繰り返しの一連の3針アトラス編みを、BPO/STRバーにより、編成部分412に対しては42ガイド、編成部分414に対しては62ガイド、および編成部分316に対しては42ガイドを用いて実施する。繰り返しの一連の3針アトラス編みは、BPOバーにより、編成部分412に対しては45ガイド、編成部分414に対しては65ガイド、および編成部分416に対しては45ガイドを用いて実施される2針閉じトリコット編みと共に同時に編まれ、コースが生成され、装具デバイスに寸法安定性が提供され、挿入横糸の組織化が可能になる。
【0083】
図12のニットパターン設計400を使用すると、部分412、414および416の幅はそれぞれ、約52mm、79mmおよび52mmとなる可能性がある。しかしながら、本発明の態様はこれらの特別な寸法に限定されない。異なるゲージクローシェ編み機を用い、異なる数の針を使用することにより、同様の寸法を達成することができる。さらに、部分412、414および416の寸法はまた編み機の能力によって変動してもよい。表3は異なるゲージ編み機で、異なる数の針を用いて達成しうる編地幅の概略を示す。表3中の寸法は、使用した糸サイズの編目設計、編目密度、およびサイズに依存する収縮率により近似されることが理解される。
【0084】
【表3】

【0085】
図12の例示的なニットパターン設計400をさらに参照すると、各編み段またはコースが生成されるにつれ、2つの横糸バーは、反対方向に作用し、それぞれ、2つの連続横入れ糸を、3つの部分412、414および416の全てを横切るコースに配置させてもよい。4つの横入れ糸の各々は、前のコースの編み段由来の同じ糸の続きである。この過程を繰り返し、14編み段のコースを作成してもよい。結果として、組織化されて編成部分412、414および416の間の2つの部分422および424に対する束となる、複数の、平行で、非離散的かつ非独立的に平行移動可能な、糸または要素が得られる。
【0086】
14の編み段が生成され、装具デバイスの1つのユニットが完了した時点で、横糸挿入が中止される。しかしながら、アトラス編みおよび閉じトリコット編みの6つの追加のコースがその後、同時に実施され、装具デバイスの個々のユニットが分離される。図13はここで記載した製造技術により作成した一連の2つの、5つの部分からなる人工靱帯200を示す。特に、2つの、5つの部分からなる人工靱帯200は、アトラス編みおよび閉じトリコット編みの複数のコースにより形成される分離部分205により分離される。
【0087】
さらに、編目密度が、例えば1cmあたり9から15編目まで増加し、分離部分205でより密な編地が作成される。これにより、機械的にロックされた部分が提供され、そのため、装具デバイスのユニットは、ニットのほつれを引き起こすことなく、連続系から切断される可能性がある。結果として、前に記載したように、ある型の仕上がり縁が得られる。図14はさらに、ここで記載した製造技術によりシート204で作成された一連の、5つの部分からなる人工靱帯200を示す。特に、図14は機械的にロックされたコースの1つの、例えば、分離部分205の6のコースのうちの第3および第4コースの間にある線に沿ってシート上で実施したカット207を示す。図2を参照して上記で記載したように、シートからカットした各人工靱帯200は3つの骨内編成部分212、214および216を有し、ここで、部分212および214は関節内部分222により分離され、部分214および216は関節内部分224により分離される。そのようなものとして、図12のニットパターン400で示された編成部分412、414、および416は一般に、シート204内の人工靱帯200に対する骨内編成部分212、214および216と対応する。さらに、ニットパターン400の部分422および424は人工靱帯200に対する関節内部分222および224と対応する。
【0088】
上記のアトラスおよび閉じトリコット編みの組み合わせは、ほつれを最小に抑えながらニット構成物の密度を最小にし、多孔度を最大にするので好ましい可能性がある。しかしながら、各々が2つまたそれ以上の隣接する、または隣接しない針上でループを形成する、少なくとも2つの独立したバーを用いて作成された編目の任意の組み合わせにより、カットした時にほつれない編地構造を効果的に作成することができる。編目の組み合わせの選択は所望の密度、摩耗耐性などに依存する。
【0089】
この例で示される、コース数および1コースあたりに挿入される横糸数により、組織化されて関節内部分222および224に対する束とされる56の平行要素が得られる。しかしながら、1つの装具デバイスあたりのコースおよび1つの横糸バーあたりの糸(1つのコースあたりの糸)の数の異なる組み合わせを使用することにより、同じ数の平行要素を達成させることができる。例えば、表4は56の平行要素を作成する異なる組み合わせを示す。表4は、各横糸バーが同じ数の横糸を使用すること、横入れ糸は各コース内に配置され全長にわたって均一な編地が生成されることを仮定する。
【0090】
【表4】

【0091】
表4は組み合わせの包括的なリストではない。例えば、1つの横糸バーあたりの横糸の数が変動しても、人工靱帯において56の全平行要素が得られることは理解される。製造システムの1つの別の態様では、1つの横糸バーが29の横糸を、第2の横糸バーが27の横糸を、1つのコースを有する人工靱帯に入れる場合、56の平行要素が達成される可能性がある。一方、別の例示的な態様は、たった1つの横糸バーのみ、または12もの横糸バーを使用し、糸を入れてもよい。このように、多くの可能な組み合わせにより、人工靱帯において所望の数の平行要素が達成される可能性がある。可能な組み合わせの範囲を表5に示す。
【0092】
【表5】

【0093】
さらに、1を超える横糸バーが使用される場合、糸をいずれかのあるコースに入れる横糸バーの数を変動させながら、各横糸バーが入れる糸の数を変動させることが好ましい。そのような構造により装具デバイスの断面形状が変更される。例えば、図15は5つのコースの幅61を有し、各コース内の横入れ糸の数が変動する編地60の断面を示す。特に、図15の断面は2つの横糸バーにより達成されてもよく、1つが2つの糸を、もう一方が3つの糸を入れる。第1の横糸バーは2つの糸をコース番号1およびコース番号2に入れ、一方、第2のバーは3つの糸をコース番号2および4に入れる。両方のバーがそれらの糸を中央のコース番号3に入れると、総数5つの糸となる。
【0094】
本明細書で記載したコース数の範囲は、単に一例として示したものにすぎず、コース数は特別な範囲に限定されないことは理解される。例えば、1つの特別な態様は約208のコースを使用する。コース数の範囲は0〜6000コースであり、この場合、6000コースデバイスは、対象の組織構造または器官を懸架し、または置換するのに十分強力なACLデバイスとして使用された場合に膝関節を安定化するのに十分な単一フィラメントまたはより多くのコースを含む靱帯デバイスであってもよい。生体吸収靱帯デバイスでは、1000N〜5000Nの強度が好ましい。非生体吸収性靱帯デバイスでは、1000N〜4000Nの強度が好ましい。
【0095】
移植片の断面形状を変化させる可能性のある別の因子は、前に記載した、使用する糸サイズである。それに応じて、別の因子は製造機上の針のサイズ、例えば、20ゲージ複合針である。このように、糸サイズ、横糸バーの数、および1つの横糸バーあたりの横糸数の組み合わせにより、1コースあたりに入れられる平行要素の直径が決定される。この直径は10μm〜8,000μmの範囲としてもよい(例えば、それぞれ、2mm直径の4つの平行要素)。
【0096】
利点は移植片の断面形状の変化と関連する可能性がある。例えば、1つのコースあたりより多くの横入れ糸を使用してもよく、そのため、移植片が骨トンネル内に埋め込まれた場合、より多くの横入れ糸が、ある領域内に存在する。特に、大腿骨トンネルの外側端でより多くの横入れ糸が使用される可能性があり、この場合、生体吸収速度は移植片に対しより高くなる傾向がある。さらに、断面形状が変化すると、移植片が埋め込まれた時に折り畳まれている、丸められている、などにより、横入れ糸束がより効果的に骨トンネル直径内に分布される。
【0097】
5つの部分からなる人工靱帯200に対して提供した開示は、図1を参照して記載した3つの部分からなる人工靱帯100を製造するのに、同様の様式で適用することができる。そのようなものとして、表6は3つの部分からなる人工靱帯100および5つの部分からなる人工靱帯200に対する寸法の範囲ならびに例示的な寸法を提供する。表6で示されるように、「第1編成部分の長さ」および「第2編成部分の長さ」という見出しは、それぞれ、3つの部分からなる人工靱帯100に対する編成部分112および114の長手方向の長さを示す。同様に、「第1編成部分の長さ」、「第2編成部分の長さ」および「第3編成部分」は、それぞれ、5つの部分からなる人工靱帯200に対する編成部分212、214および216の長手方向の長さを示す。「関節内部分の長さ」という見出しは、人工靱帯100の関節内部分122または人工靱帯200の関節内部分222の長手方向の長さのいずれかを示す。「編目密度」は、1cmあたりの編目数を示し、使用した糸のサイズに依存する。「ウェール密度」は単位長さあたりの針のサイズおよび数を示し、使用した機械のゲージに依存する。
【0098】
【表6】

【0099】
3つの部分からなる人工靱帯100または5つの部分からなる人工靱帯200はある適用に対して好ましい可能性があるが、本発明はこれらの特別な態様に限定されない。したがって、態様は任意の数の編成部分を有してもよく、この場合、1つまたは複数の単一の連続横入れ糸が編成部分内に入れられ、編成部分を分離する複数の長手方向要素が形成される。
【0100】
図17は、別のニットパターン設計に従い作成された一連の5つの部分からなる人工靱帯200を有するシート203を示す。図2を参照して記載したように、5つの部分からなる人工靱帯の各々は3つの編成部分212、214および216を有し、これらは編成部分212、214および216内に配置された1つまたは複数の単一の連続横入れ糸により形成された関節内部分222および224により分離される。この別のニット設計は、全ての側に閉じられた縁を有する各人工靱帯200を提供する。図14の技術により機械的にロックされた部分をカットする以外に、「引きひも(draw-thread)」法を用いて、編んだ後に、連続糸から人工靱帯ユニットを分離してもよい。このアプローチは、単一の連続糸が各編成部分を横断するにつれ、単一の連続糸を1つまたは複数の場所に押し込み、編成部分を永久にその個々の箇所にロックし、実行中に編成部分が滑らないようにする工程を含む。
【0101】
図17の別のニットパターン設計は、インターシャ(Intarsia)糸ガイドを有するように構成された16ゲージのShima Seiki SES122si平床式編み機上で編まれてもよい。特に、図17は前に記載した人工靱帯300を示す。機械にはシンカーシステムが取り付けられ、前に編まれた編み段が押し下げられ、連続する編み段が編まれる間、よけて保持され、より高い編目密度が可能になる。編み機の引き下げシステムとしては、櫛、サブローラーおよびメインローラーが挙げられる。総計7つの糸ガイドを使用し、できるだけガイドレールの中央に近接させて維持されるように位置づけする。ガイドは編み機の8つの平行レールのいずれかに沿ったいずれかの点で位置づけしてもよいが、中心により近接して維持すると、確実に編み安定性が大きくなる。
【0102】
最初に、編み機上の実際のガイド数に関しては、図17に示されるように、編み機のガイド8は、SSUPY糸(Shima Start Up Yarn)308を用いて編み出しされる。SSUPY糸308は製品の幅を決定する針の的確な数に広がる。その弾力性のため、SSUPY糸308は引き下ろしシステムを支援し、開始過程を通じて的確な櫛梳張力を提供する。ガイド7は開始、または捨て(waste)、糸を用いて編み出しされ、ローラシステムが、製品が編まれるにつれ係合し、張力をかけて保持し、実際のニット製品を損傷させないようにするのに十分な編地を提供する。捨て糸部分309は図17により示される。ガイド2、3および4は12の絹の撚糸を用いて編み出しされ、糸は左から右へ、各人工靱帯300の編成部分312、314および316を編むように送達される。ガイド5は施撚された36フィラメントの絹挿入糸で編み出しされ、その糸は編成部分312、314および316を横切って、連続して配置され、編成部分312、314および316を分離する関節内部分322および324が形成される。
【0103】
ガイド6は、「引きひも」糸を用いて編み出しされ、これは捨て糸および人工靱帯の第1ユニットの間、および連続ユニットの間でループにされる。したがって、引きひも306を引くと、各ユニットがその他から分離される。前に記載したように、人工靱帯300の1つのユニットは2つの束302を含み、束はそれぞれ編成部分312、314、および316ならびに関節内部分322および324を有する。そのため、図17は、人工靱帯300の2つのユニットを形成する一連の4つの束302を示す。したがって、1つおきの束302の間の引きひも306を使用して、人工靱帯300の各ユニットを完全に分離する。これもまた前に記載されているように、束302は好ましくは、中間、または大腿骨部分314で接合され、一方、端、または大腿骨部分312および316は接合されない。そのようなものとして、引きひも306を使用して、全ての束302の間の隣接する脛骨部分312および316を分離してもよいが、一方、1つおきの束302の間の隣接脛骨部分314を分離するにすぎない。このように、1つおきの束302は大腿骨部分314により接合され、人工靱帯300の好ましい態様が形成される。
【0104】
表7は、左から右の順での、インターシャ糸ガイド設定の詳細を提供する。各インターシャガイドに供給される糸は、デジタル制御されたステッチカムにより測定される。ニットループの長さは10μmに調節することができ、カムは連続して糸の巻き戻しを調節し、そのため、全ての編み段における各ニットループの長さが製品全体にわたり一貫している。
【0105】
【表7】

【0106】
5つの部分からなる人工靱帯に対する別のニットパターンは平床式編み機上で実施される。SSUPY糸308が適当な針に引っかけられ、櫛に把持された後、捨て編地309が捨て糸からいくつかの編み段を横断して編まれ、筒状の単一の天竺編とされる。捨て編地309の端に向かって、捨て糸の編み段が1/2ゲージ筒状単一天竺編に配置され、その後、全ての前の編目が後の針床に移行される。筒状単一天竺編の1つのコースは捨て糸から製造され、続いて、「引きひも」糸を有するさらに2つのコースが存在する。次に、部分312および314の領域内のニットループが前の針床に移行される。その後、編み機はガイド4内で部分314の領域内のニットループを運搬し、後の針床に移行する。次に、編み機はガイド3内で部分312の領域内のニットループを運搬し、後の針床に移行する。これにより、全ての3つの12フィラメント糸ガイド、ガイド2、3および4は、3つの編成部分312、314および316を作成する位置にある。各々の部分で、ダブル天竺編の1つのコースが実施され、その後、前の針床上の単一天竺編の2つのコース、ならびに後の針床上のもう1つの単一天竺編が続く。次に、1/2ゲージの2つのコースが実施され、インターロックが生成される。インターロックニットループは針上に保持され、一方、36tの挿入糸がインターロックの2つのコースの幅に沿って左から右へ置かれ、それから、3つ全ての編成部分およびその間の空間を横切って再び戻り、合計8の横断部が得られる。各横断のコース中、挿入糸は前または後の針床のいずれか上で針により「押し込まれ」、または引き入れられ、および保持され、そのため、8の横断部およびインターロックが解放された後、36t糸の押し込まれた部分は、インターロックのループ76と共に固定される。図16はタック70を示し、この場合、36フィラメント横糸71が、左から右へ、1つのインターロック72中に入れられ、次のインターロック74のループ76と共に押し込まれる。
【0107】
各人工靱帯300において挿入糸を押し込むための1つの例示的な技術は下記のように達成されてもよい。左から右へ、部分312で始まり、挿入糸は1つの後の針により直ちに押し込まれ、およびいくつかの針(約5〜20針)の後、1つの前の針により押し込まれる。少数の針(約1〜5針)の後、再び前の針に向かって押し込まれ、部分312において総数3つのタックが得られる。挿入糸は部分312と314の間の分離部分を横切って自由に存在する。挿入糸は部分314に入れられる。挿入糸は部分314と316の間の分離部分を横切って自由に存在する。挿入糸は部分316に入った時点で、挿入糸は後の針により2度、短い距離で押し込まれる(上記部分312に対する鏡像で)。その後、部分316に広がった後、糸は最後の針により前に押し込まれ、その後、糸ガイドが反転し、右から左へ横断して部分312に戻る。挿入糸は、前及び後のタックが反転していることを除き、前の横断と同じように押し込まれる。
【0108】
タックがアンカー点として機能するので、タッキングは連続横糸全体に均一に荷重を分布させる能力に影響する可能性があることは知られている。このように、タック量を制限することは好都合である可能性がある。例えば、部分312および316、すなわち、それぞれ脛骨部分では最低2つのタックが使用される可能性があり、一方、部分314、すなわち大腿骨部分ではタックは使用されない。この技術により、各編成部分による滑りを最小に抑えながら、均一なテンショニングが可能になる。
【0109】
5つの部分からなる人工靱帯に対する別のニットパターン設計をさらに説明すると、2つの新しいコースを編んで、挿入糸の8つの横断後に次のインターロックを作成させる。これにより完全に、前の挿入糸の8つの横断部が獲得されながら、同様の様式で入れられ、押し込まれる次の8つの横断部に対する床が提供される。この過程が繰り返され、8つの連続インターロックが作成され、各々が挿入糸の8つの組織化された、平行横断部、または束を有する。
【0110】
別のニットパターンは、各人工靱帯300に対する「伏せ目(bind-off)」編み段で終結する。部分312の左端から開始して、例示的な伏せ目技術はニットループを後の針床から前の床の反対の針に移す。ニットループはその後、引きひもを有する後の床上の空の針上に置かれる。後の床はその後ラッキングされ、前の針上のニットループが後の床に1針だけ右側に移動される。この順序を3つの全ての編成部分312、314、および316全体にわたり繰り返す。したがって、各5つの部分からなる人工靱帯300は仕上げ縁を有するようにうまく閉じられ、引きひもを用いると他のユニットから簡単に引き離すことができる。
【0111】
この別のニットパターンに対して提供した開示は、図1を参照して記載したように、3つの部分からなる人工靱帯100を製造するのに適用できることは理解される。そのようなものとして、表8は別のニットパターン設計を使用した場合の、3つの部分からなる人工靱帯100および5つの部分からなる人工靱帯300に対する寸法範囲および例示的な寸法を提供する。表8に示されるように、「第1編成部分の長さ」および「第2編成部分の長さ」という見出しは、それぞれ、3つの部分からなる人工靱帯100に対する編成部分112および114の長手方向の長さを示す。同様に、「第1編成部分の長さ」、「第2編成部分の長さ」および「第3編成部分」は、それぞれ、5つの部分からなる人工靱帯300に対する編成部分312、314および316の長手方向の長さを示す。「関節内部分の長さ」という見出しは、人工靱帯100の関節内部分122または人工靱帯300の関節内部分322および324の長手方向の長さのいずれかを示す。
【0112】
【表8】

【0113】
図5Aを参照して記載したように、任意の筒状部分340を編成部分312、314および316の縁で使用して、これらの縁で起こる摩耗を最小に抑えてもよい。筒状部分340は単一の天竺編から形成させてもよい。また、片あぜ編みを使用してもよい。単一の天竺編および片あぜ編の両方により、高い編目密度を有する編地部分が生成される。しかしながら、単一の天竺編は、より高い収縮率(編目を針からおろした後の幅の減少)のために好ましい可能性があり、編目密度が増加し、よい良好な摩耗耐性が提供される。
【0114】
5つの部分からなる人工靱帯の別の態様を図18Aおよび18Cに示す。具体的には、人工靱帯600は複数の部分からなる移植片であり、2つの束602'および602''を有する。束602'は、連続して、第1の編成部分612'、第1の関節内部分622'、第2の編成部分614'、第2の関節内部分624'、および第3の編成部分616'を有する。同様に、束602''は、連続して、第1の編成部分612''、第1の関節内部分622''、第2の編成部分614''、第2の関節内部分624''、および第3の編成部分616''を有する。2つの束602'および602''は、対応する編成部分614'と614''の間の連結ニット部分603により接合され、その一方、対応する編成部分612'/612''および616'/616''は接合されない。
【0115】
別の態様では、2つの束602'および602''は、例えば、図27A〜Bにおいてニット部分604および605を連結することによって示されるように、対応する編成部分612'および612''ならびに/または616'および616''の間のニットにより接合されてもよい。好都合なことに、接続編成部分603、604および605の組み合わせにより、骨トンネル内に埋め込んだ場合に、均一な束の分布が可能になる。連結ニット部分603、604および605は、編成部分612'/612''、614'/614''および616'/616''と同様の様式で編まれてもよく、異なる糸サイズ、異なるニットループサイズ、異なるループ軸間、またはそれらの任意の組み合わせなどの変更を有し、束に対する所望の分配特性が達成される。
【0116】
さらに、図18Aはまた、編成部分612'/612''および616'/616''の縁に位置づけされ、これらの縁で起こる摩耗を最小に抑える筒状保護部分640を示している。筒状部分640は前に記載した筒状部分340と同様である。いくつかの態様では、任意の筒状保護部分640を次の隣接する編成部分まで延長させ、その結果、平行な関節内束622'/622''および624'/624''を被覆することにより、別の摩耗保護を達成させてもよい。筒状部分640はまた、大腿骨編成部分614'/614''に追加してもよい。一般に、筒状保護部分はいかなる特定の編成部分にも限定されず、任意の数および組み合わせの編成部分から延在してもよい。
【0117】
図19Aは、膝10内で脛骨12と大腿骨14の間に延在する人工靱帯600を示す。図19Bにおいてさらに示されているように、人工靱帯600は、膝10内に埋め込まれた場合、軸601に沿って長手方向に、編成部分614'および614''を横切って折り畳まれる。図18Bにも示されているように、編成部分612'、612''、616'および616''は脛骨トンネル13に広がる脛骨ニット部分619を形成する。一方、編成部分614'および614''は大腿骨トンネル15を埋める大腿骨編成部分620を形成する。好ましくは、埋め込まれた場合、人工靱帯600の端は、人工靱帯600が骨トンネル内にとどまっているので、いずれのカッティングも必要とされない。いくつかの態様では、人工靱帯600の端は、固定後にカットされてもよく、または骨トンネルの外側では骨外固定を使用してもよい。
【0118】
図19Bで示されるように、大腿骨ニット部分620は編成ソックデバイス、またはカバリング700内に配置され、大腿骨ニット部分620およびソックデバイス700の組み合わせが大腿骨骨トンネル15を埋める。さらに、ソックデバイス700は、大腿骨トンネル15の縁に隣接するカラー720を含む。ソックデバイス700は、さらに詳細に下記で記載されているが、大腿骨トンネル開口に対する摩耗を最小に抑え、開口で圧入を提供してもよい。
【0119】
図19Bで示されるように、関節内部分622'、622''、624'、および624''は結合し、機能性靱帯として機能する。関節内部分622'、622''、624'、および624''のこの組み合わせにより、膝関節10の完全な機能が可能になり、その一方、組織化された組織の内殖および再構築のために必要な足場および空隙容量が提供される。前に記載した態様と同様に、関節内部分622'/622''および624'/624''は1つまたは複数の単一の連続糸623'/623''、すなわち、横糸束により形成され、編成部分612'/612''、614'/614''、および616'/616''を連結する。
【0120】
また、図19Bで示されるように、脛骨ニット部分619は懸垂固定により膝10に固着されてもよく、この場合、縫合糸650が脛骨ニット部分619から長手方向に延在してもよい。図18Bおよび19Bで示されるように、縫合糸650を使用して、脛骨ニット部分619を形成する部分612'、612''、616'および616''の各々においてかがり縫い652をしてもよい。縫合糸650のこれらの延長部は、例えば、デバイス600の固着中のプレテンション結合として、および/または任意の固定機構として使用してもよい。一方、大腿骨ニット部分620は懸垂固定デバイス660により膝10に固着されてもよい。懸垂固定デバイス660は、作動可能に大腿骨ニット部分620に結合され、それを固着する連結部を含んでもよい。固着はまた、トンネルのうちの1つまたは両方における干渉固定により達成されてもよく、連結部または縫合糸の使用を必要としない可能性がある。
【0121】
図31に示されるように、人工靱帯600のいくつかの態様はまた、脛骨部分619においてポケット621を含んでもよく、これにより、スクリューを挿入させ、または含有領域を骨フィラーで満たすことができる。
【0122】
図18Aは、それぞれ、編成部分612'/612''および616'/616''から長手方向に延在する、ループ状に編まれた筒状構造613および617を示す。人工靱帯600が図18Bおよび19Bで示されるように折り畳まれた場合、筒状構造613および617は縫合糸650を収容でき、これは伸長し、および/または脛骨ニット部分619を膝10に固着することができる。一般に、そのような筒状構造は、上記別の3つの部分および5つの部分からなる人工靱帯を含むいずれの態様に適用してもよい。
【0123】
筒状構造613および617のニット構造は単一の連続糸623'/623''により形成された横糸束を含んでもよい。そのようなものとして、筒状構造613および617は横糸束を妨害しないが、実際には横糸束を平行な方向に組織化する方法を提供する。さらに、横糸束は筒状構造613および617を通って延在するので、筒状構造613および617を通過する縫合糸650に適用される荷重により、横糸束の均一な伸長および/または固着荷重分布が得られる。
【0124】
1つの技術例では、筒状構造613および617は、上記のように、インターシャ糸ガイドを有するように構成された16ゲージのShima Seiki SES122si平床式編み機上で、下記編み順序を用いて形成させてもよい。左から開始して右へ、ガイド2は18t糸を置き、筒状構造613を含むことになる人工靱帯600の予め決められた部分内の後の針床上で1つおきの針上で一連のループを形成させる。筒状構造部分613の幅に及んだ後、ガイド2は反転し、右から左へ筒状構造部分613を横切って戻り、18t糸をおき、前に荷重をかけた針と対向する前の針床上の針上で一連のループを形成させる。元の開始点に戻った後、18t糸は反転し、左から右へ筒状構造部分613を横切り、18t糸を置き、第1のパスで荷重されない残りの針上で一連のループを形成させる。筒状構造部分613の幅に及んだ後、ガイド2は反転し、右から左へ戻り、18t糸をおき、後の針床状の前の位置で荷重された針と対向する前の針床上で一連のループを形成させる。上記順序を1回または複数回繰り返し、部分613の底部を安定化させてもよい。同じ順序を編成部分617に対し繰り返す。編成部分612'/612''および616'/616''、すなわち筒状部分613および617の外側の部分では、18t糸が36t糸をインターロックループで固定してもよい。筒状構造613および617では、18t糸は単一の天竺編みを形成し、36t糸を固定してもよい。
【0125】
18t糸を用いて筒状構造613および617を形成した後、人工靱帯300に対し説明した順序と同様の様式で、横入れ糸を編成部分612'/612''および616'/616''に押し込んでもよい。筒状構造613および617では、横入れ糸は糸ガイドが左から右へ移動するにつれ同じ針床上で押し込まれてもよく、糸ガイドが右から左へ移動するにつれ反対の針床で押し込まれてもよい。好ましくは、18t糸を有する単一天竺編みの編み段が形成される前に、1つを超えない36t糸が同じ針により押し込まれ、保持され、36t糸および針への損害が阻止される。
【0126】
1つまたは複数の筒状構造を有する人工靱帯を作成するための別の技術が企図されている。例えば、図26は、筒状構造1010を提供する連続ループ移植片1000を示す。脛骨ニット部分1011は前部分1021および後部分1026により構成される。関節内部分1012は前部分1022および後部分1025により構成される。大腿骨部分1013は前部分1023および後部分1024により構成される。
【0127】
人工靱帯600を折り畳んだ構造とした場合に編成部分612'、612''、616'、および616''の整合を容易にするために、束602'の編成部分614'は、もう一方の束602''の対応する編成部分614''よりも短い長手方向長さを有してもよい。人工靱帯600が編成部分614'および614''で横方向に折り畳まれた場合、より長い編成部分614''を有する束602''はより短い編成部分614'を有する束602'上に折り重ねられてもよく、人工靱帯600の外側の束が形成される。より長い大腿骨部分614''を有する外側の束602''に対するより大きな折り畳みのために、両方の束602'および602''の対応する部分612'/612''および616'/616''はより容易に整合される。好ましくは、内側の束は、1.5×π×移植片厚さとして計算される、折り畳まれた時の靱帯デバイスの曲率半径だけ短くされる。靱帯デバイスの2つの束の間の長さの違いの範囲は、0から30mmであってもよく、ここで、アンカー設計における変動に対処するために違いが大きい方が望ましい可能性がある。さらに、束602'は束602''よりも横方向に狭くてもよく、そのため、束602''はより簡単に、束602'上に外側の束を形成することができ、アンカーおよび/またはトンネルによりよく適合することができる。好ましくは、均衡のとれたニットパターンを作成するために、奇数の横入れ糸群(この場合、各挿入群は複数の糸を含んでもよい)をデバイスの各束内に含有させてもよい。実行例では、各群が4つの横糸束/横糸を含む、26の横糸挿入群を有するデバイスにおいて、好ましくは、より広いデバイス束が15の挿入群を含み、狭い束が11含む。この例では、より広い束における25の挿入および狭い束における1つの挿入〜両方のデバイスの束における13の挿入の範囲を有する、挿入の総数が26となる奇数の任意の組み合わせを有することが許容される。図25A〜Cは、縫合および/または増殖のための空間を可能にするニット部分612'/612''および616'/616''における半ゲージトンネル部分を有する人工靱帯600の別の態様を示す。
【0128】
実行例では、編成部分614'および614''により形成される大腿骨編成部分620は、脛骨トンネル13を通して引っ張られ、その後、大腿骨トンネル15内で固着される。前に記載したように、大腿骨ニット部分620はカラー720を有するソックデバイス700内に配置される。脛骨トンネル13を通る大腿骨ニット部分620およびソック構造の移動を容易にするために、脛骨トンネル13は大腿骨トンネル15よりも大きくしてもよい。例えば、脛骨トンネル13は幅または直径が約8.5mmであり、一方、大腿骨トンネル15は幅または直径が約7.5mmであってもよい。
【0129】
編成部分612'、612''、616'、および616''に対しより大きな糸サイズを使用することにより、より厚い頸骨ニット部分619を形成させてもよく、そのため、より大きな脛骨トンネル13内での脛骨ニット部分619の適合度が、より小さな大腿骨トンネル15内での大腿骨ニット部分620の適合度に匹敵する。言い換えると、脛骨ニット部分619と脛骨トンネル13との間には隙間があるのではなく、脛骨ニット部分619は脛骨トンネル13を塞ぎ、圧入が達成され、トンネル13が密閉される。例えば、脛骨ニット部分619は12t〜36tの範囲の糸で形成させてもよく、一方、大腿骨ニット部分620は12t糸で形成されてもよく、208の横糸で、8.5mmの脛骨トンネルおよび7.5mm大腿骨トンネル内に適合する。ヒトおよび/またはイヌ膝関節における別のより大きなおよび小さなトンネル直径では、トンネル直径、所望の空隙容量、ならびに横糸数およびサイズの関数として、より小さな直径内の編み糸は5μm〜2mmの範囲であり、より大きな直径内は5μm〜2mmの範囲としてもよい。(別の態様では、移植片は逆方向に設置されてもよく、すなわち、脛骨部分が大腿骨トンネル15を通して引っ張られ、その後、脛骨トンネル13内に固着され、この場合、大腿骨トンネル15は脛骨トンネル13よりも大きくてもよい)。図24A〜Cは、ニット部分612'/612''および616'/616''での編み糸直径および/または移植片直径を変動させ、骨トンネルの開口を塞ぐ一方、アンカーのための空間を提供することができる人工靱帯600の別の態様を示す。
【0130】
また、ニット部分619/620においてニットループの長さを調節することにより、どちらかのニット部分619/620と骨トンネル13/15の間で所望の適合度が達成されてもよい。特に、ループの長さを増加させることにより、より密接な適合が提供される一方、脛骨ニット部分619および大腿骨ニット部分320の両方に対し、脛骨トンネルが大腿骨トンネルより直径が大きい場合に、同じ糸サイズ、例えば、12t糸を使用することができる。さらに、より長いループを使用すると、ニット部分619/620が骨トンネル13/15の形状により容易に適合することができる。ループ長は10μmという小さな増分で調節してもよい。表8は、使用することができるループ長の範囲を含む。ニット部分619/620の骨トンネル13/15に対する適合性の差の例を図34Aおよび34Bに示すが、この場合、2つのデバイスは同じ24フィラメント糸で編まれ、ループ長さは5.5mm〜5.0mmまで変動した。図34Aは「緩い」適合性を示し、図34Bは「密な」適合性を示す。さらに、ループ長は、靱帯デバイスまたは骨トンネルを必要としない他の組織サポートおよび置換構造の適合性を変更するために変動させてもよい。
【0131】
別の代案として、脛骨ニット部分619と脛骨トンネル13との間の所望の適合度は、補償編み糸サイズを使用することと共に、2つの隣接するループ間の軸間を変動させることにより、達成してもよい。例えば、大腿骨部分620に対する糸サイズより、例えば、1.5または2倍大きな、脛骨部分に対する編み糸を使用しながら、同じ16ゲージ編み機をハーフゲージで使用し、8ゲージニットを作成してもよい。好都合なことに、この技術により圧入およびトンネル密閉が提供される可能性があり、一方、骨内殖、アンカーインタフェース、および/または縫合位置づけのための空き領域が可能になる。
【0132】
図26A〜Cは、人工靱帯600の別の態様を示し、横糸が他のものより遠くまで延在し、ここで、移植片端は固着のためにより小さな距離まで先細となる。図28は移植片端が広がり、先細の骨トンネル内に圧入される、人工靱帯600の別の態様を示す。図35は、追加の横糸部分を、アンカー、例えばステープルまたはポストとのインタフェースのためにニット部分内に含有させることができる人工靱帯600の別の態様を示す。
【0133】
前に記載したように、大腿骨ニット部分620はソックデバイス700内に配置される。図20Aおよび20Bはさらに、本明細書で記載した人工靱帯の態様と組み合わせ、対応する骨トンネルに対する摩耗を最小に抑え、および/またはトンネル、例えば大腿骨トンネル15内で圧入を生成させることができる編成ソックデバイス700を示す。図20Bに示されるように、ソックデバイス700は4つの異なる部分を含む:36t糸で作成された部分711、続いて18t糸で作成された部分712、続いて12t糸で作成された部分713、続いて18t糸で作成された部分714。図20で示されるように、筒状ニット設計により、あらゆる側で閉じられた縁を有するソックデバイス700が提供される。1つの例では、ソックデバイス700はインターシャ糸ガイドを有するように構成された16ゲージのShima Seiki SES122si平床式編み機上で編まれてもよい。前に記載したように、編み機には押し下げシンカー、引き下げシステム、および糸ガイドが取り付けられている。図21は、そのよう編み機で生成される可能性のある一連のソックデバイスユニット700を示す。しかしながら、ソックデバイス700は、前に記載したものを含むがそれらに限定されない多くの別のシステム上で編まれてもよいことは、考えられる。
【0134】
1つの例では、まず、機械のガイド数について説明すると、機械のガイド8は、図21に示されるように、SSUPY糸(Shima Start Up Yarn)701を用いて編み出しされる。SSUPY糸701は、10またはそれ以上の針/側、好ましくは12針/側に加えて、製品の所望の幅に対応する多くの針に及ぶ。これらの追加の針は開始過程を通して的確な櫛梳張力を提供する。ガイド7は開始、または捨て糸702で編みだしされ、主ローラシステムが、製品が編まれるにつれ、それと係合し、それを張力をかけて保持するのに十分な編物を提供するが、実際の編まれた製品には損傷はない。ガイド2は12t糸を用いて編み出しされ、糸は左から右へソックデバイス700の編成部分713を編むように送達される。ガイド3は18t糸を用いて編み出しされ、糸は左から右へソックデバイス700の編み部分712および714を編むように送達される。ガイド5は36t糸を用いて編み出しされ、糸は左から右へ、ソックデバイス700の編成部分711を編むように送達される。ガイド6は15t糸を用いて編み出しされ、糸は左から右へ図21で示した分離部分703を編むように送達される。分離部分703は「引きひも」糸を提供し、これは捨て糸と第1の筒状デバイスユニットとの間、および連続ユニット間でループにされる。したがって、引きひもを引っ張ると各ユニットが残りから分離される。
【0135】
表9は、平床式編み機上で編み出されるのに伴い、前から後の順で、インターシャ糸ガイドの詳細を提供する。各インターシャガイドに供給される糸はデジタル制御されたステッチカムにより測定される。ニットループの長さは10μmに調節することができ、カムは連続して糸の巻き戻しを調節し、そのため、全ての編み段における各ニットループの長さが製品全体にわたり一貫している。
【0136】
【表9】

【0137】
SSUPY糸701が適当な針に引っかけられ、櫛に把持された後、捨て編地が捨て糸702からいくつかの編み段を横切って編まれ、筒状の単一の天竺編とされる。捨て編地の端に向かって、的確な櫛梳張力を提供するために必要とされる追加の針が閉じられる704。2つのコースの筒状の単一の天竺編が捨て糸702から作成され、続いて、もう2つのコースが「引きひも」糸703を用いて作成される。次に、ガイド5は36t糸を置き、後の針床上の部分711を横切って1つおきの針上で一連のループを形成させる。その後、36t糸は反転し、部分711を右から左に横切って戻り、36t糸を置き、前に荷重した針と反対の前の針床上の針上で一連のループを形成させる。開始点に戻った後、36t糸は反転し、部分711を左から右へ横切り、36t糸を置き、第1のパスで荷重していない残りの針上で一連のループを形成させる。その後、36t糸は反転し、右から左へ部分711を横切って戻り、36t糸を置き、後の針床上の前の位置で荷重した針と反対の前の針床上で一連のループを形成させる。この順序を一回または複数回繰り返し、部分711の底部を安定化してもよい。次に、前および後の針床上の2つのコースの単一の天竺編を36t糸を用いて形成させ、部分711を完了する。この後、総数31のコースの前および後の針床単一の天竺編を18t糸により形成させる。その後、前の針床の最右針が後の針床の右から二番目の針に移り、その一方、後の針床の最右針が前の針床の右から2番目の針に移る。得られた筒状の編地は、ここで、開始時に比べ針床あたり1つの針だけ狭く、人工靱帯の輪郭に従う構造が得られる。この成形手順を合わせて3度、右側および左側を交代させて繰り返し、前および後の針床上の1〜3の単一の天竺編コースにより分離する。成形手順は左側から、右側に連続して交代する。例えば、最も遠い前の右ループは第2の左の後の針に移り、最も遠い後の左ループは第2の前のループに移る。前および後の針床で、12t糸を用いた10コースの単一の天竺編が完了した後、上記のようなさらに8つの成形工程が18t糸を用いて起こり、筒状編地の幅が前の針床上で4つの針に、後の針床上で4つの針に減少する。最終の針量は平床式編み機ゲージに基づいて選択され、好ましい固定デバイスが筒状部分714の端を通過することができる。
【0138】
ソックデバイス700の形成は、前および後の筒状構造に対する「伏せ目」編み段で終了する。例示的な伏せ目技術は部分714の最左から開始し、後の針床を右に1つの針の位置だけラッキングし、前の針床の第1の左ループを後の床で左に1つの針位置だけ移す。新しいニットループを後の針床上の第1のループ上に配置し、その後、前の床上の対応する空の針に移す。後の床をその後、1つの針位置だけ左にラッキングし、前の針上の第1のニットループを後の床へ1つの針だけ右に移す。この順序を部分714の終わりまで繰り返す。
【0139】
伏せ目手順方向を反転させ、引きひもが挿入される時に、後の針床上の残ったループ全てに伏せ目をする。ニットループを後の針床から前の床の対向する針に移す。その後、新しいニットループを後の床上の空の針上で15t引きひもと共に置く。後の床をその後ラッキングし、前の針上のニットループを後の床へ、1つの針だけ左に移す。1つのループのみが残るまでこの順序を繰り返し、ソックデバイス700を、仕上がり縁でうまく閉じると、引きひもを用いて他のユニットから簡単に引き離すことができる。
【0140】
ソックデバイス700のためのパターンに対して提供した開示を適用して、例えば、人工靱帯の大腿骨部分の長さに対応する第2編成部分の長さに対する表8で示した寸法範囲ならびに靱帯デバイスの直径範囲に適合させることができる。したがって、ソックデバイス700を形成する領域の数は、前に記載した4つの部分711、712、713および714から、例えば単一の部分に変動してもよい。ソックデバイス700は懸垂固定のための開口を有してもよく、または有さなくてもよい。ソックデバイス700を編むために、約5μm〜2mmの範囲の糸直径を、骨トンネルおよび移植片直径の関数として使用してもよい。
【0141】
編成部分711、712、713および714で使用されるループサイズは、各部分の機能に従い変動してもよい。摩耗耐性の増加および編地の剛性を達成するには、より小さなループサイズを使用してもよい。他方、弾性の増加および多孔性の増加を達成するには、より大きなループサイズを使用してもよい。例えば、部分713のループサイズがより大きくなると、ソックデバイス700は、特に固着するために扱われる場合に、より容易に伸長することができる。例えば、Endo-Button(登録商標)を使用して上記人工靱帯300を固着する場合、大腿骨トンネル15から出ていき、部分711が大腿骨トンネル15の入口で固定されるように、固定デバイスをトグルで動かさなければならない。この技術は、ソックを、トンネルに通過させる手段およびアンカーを配置させる強度を提供しながら、ソックの構造および寸法完全性を維持する。さらに、ニットパターンは骨内殖を可能にするように維持することができる。部分713におけるループサイズは部分711よりも大きく、これは、より低いフィラメント糸が使用され、摩耗耐性がこの領域ではより高いに違いないからである。一方、部分714におけるループサイズは部分713よりも高いが、これは、組み合わせがトンネル13および15を通過する時に、人工靱帯がソックデバイス700を破壊しないようにするために剛性を増加させる必要があるからである。
【0142】
また、人工靱帯600は、上記で記載したように、長手方向に折り畳まれ、懸垂固定デバイス660を通り、固定デバイス660上方の編成部分614'および614''で横方向に折り畳まれてよい。前に懸垂固定デバイス660に通してあるひもリーダー662は、ソック構図700内のラソ様(laso-like)糸715(図20Aに図示)の閉じられた端に送り込まれてもよい。ラソ様糸715の自由端は、ソック構造700から引き抜かれてもよく、ひもリーダー662がソック構造700を通って配置される。ラソ様糸715はその後廃棄されてもよい。ソック構造700はその後、人工靱帯の大腿骨ニット部分620上を、大腿骨部分上に完全に配置されるまで移動されてもよい。埋め込む前に、縫合糸を通し、ソック構造700ならびに大腿骨ニット部分620に結びつけてもよく、取り扱い中に的確な整合が確実に得られる。
【0143】
したがって、図22はソックデバイス700と組み合わせた人工靱帯600を示す。要するに、図22で示したアセンブリは縫合糸650を用いて脛骨トンネル13に設置された脛骨ニット部分619を含む。さらに、このアセンブリはソックデバイス700内に配置され、懸垂固定デバイス660を用いて大腿骨トンネル15内に設置された大腿骨ニット部分を含む。大腿骨ニット部分アンカーおよび脛骨ニット部分619上のかがり縫い652は、固着前のプレテンショニングのための技術を提供する。前に記載したように、靱帯設計は、ACL固定のための任意の市販のアンカーと適合する可能性がある。本発明の局面による態様をオーバーザトップ位置に設置してもよく、例えば、大腿骨トンネルが必要なくなることもまた理解される。
【0144】
さらに、記載した異なる変形により、現在のおよびおそらく将来のアンカー設計に対し、脛骨ニット密度、形状およびサイズを変化させることにより編地構成を調節できることが証明される。例えば、脛骨のアンカー端を先細にすることにより、圧入アンカーが可能となり、脛骨の端を超えて全てまたは一部の挿入横糸を延在させると、各束に対する荷重の分配が提供される。
【0145】
ソックデバイス700は追加の特徴を有してもよいことは企図される。例えば、図20Cは、ソックデバイス700の最も広い部分の端に取り付けられた細長い通常構造770が追加されたソックデバイス700の態様を示す。細長い筒状構造770は人工靱帯の関節内部分を被覆し、その領域を摩耗から保護するように延在する。別の態様では、細長い筒状構造770は、人工靱帯の脛骨部分を通り過ぎ、関節内部分を越えて延在し、関節内部分および脛骨部分における摩耗を阻止する。
【0146】
さらに、図32はソックデバイス1100の別の適用を示す。脛骨に対する摩耗を阻止するために、ソックデバイス1100が、脛骨ニット部分619の周りに位置づけされる。ソックデバイス1100はまた、ループサイズおよびまたは糸サイズに従いトンネル内の束の分布を決定してもよい。同様に、図33はソックデバイス1200の異なる適用を示し、ここで、ソックデバイス1100は、折り畳む前に大腿骨移植片1111上に設置される筒状単一スリーブ形状を有する。
【0147】
本明細書で記載したいくつかの態様は、ACLを再建するための人工靱帯として特定的に適用してもよいが、本発明の局面による態様はそのような適用に限定されないことは理解される。態様は、膝、後膝関節、足首、足、肘、肩、手首、手および脊柱の靱帯および腱を含むがそれらに限定されない、全ての軟組織サポートおよび交換、膀胱および尿道スリング、首および顔のリフトサポート、体壁修復、骨盤底の回復、ヘルニア修復、膣傍修復、ステープルラインの補強および強化、腹部切開の閉鎖、肛門直腸瘻孔の修復、硬膜を修復するための硬膜置換、ならびに器官修復または懸垂のために使用することができる。
【0148】
さらに、靱帯デバイスはヒト、霊長類および/またはイヌを含むいずれかの四肢動物において使用してもよい。例えば、図30は、イヌACLのオーバーザトップ再建のために使用してもよいイヌ人工靱帯910の態様を示す。特に、人工靱帯910は2つの骨内編成部分912および関節内編成部分914を有し、関節内編成部分は2つの骨内編成部分912間に延在する1つまたは複数の単一の連続横入れ糸916を含む。イヌ人工靱帯910はまたニットアンカー部分913を含む。図30に示されるように、イヌ人工靱帯910は1つの骨内編成部分912からもう一方まで延在する筒状保護部分918を使用し、これにより関節内編成部分914が被覆される。筒状部分918はイヌ人工靱帯910に接触する骨領域上で起こる可能性のある摩耗を最小に抑える。オーバーザトップ実行では、骨内編成部分912はそうでなければ、そのような摩耗を引き起こす。
【0149】
本発明について多くの例示的な態様、および実行との関連で記載してきたが、本発明はそのように制限されるものではなく、むしろ、様々な改変および等価な配列を含み、それらは予定の特許請求の範囲内に含まれる。本明細書で提供した全ての寸法、測定値などは例示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各編成部分が少なくとも1つのファイバ編み段を含む、少なくとも2つの編成部分;および
少なくとも2つの編成部分の間に配置された少なくとも1つの関節内部分
を含む、装具デバイスであって、
該少なくとも1つの関節内部分が、該少なくとも1つの関節内部分および該少なくとも2つの編成部分を横断する少なくとも1つの単一の連続ファイバを含み、
該少なくとも1つの単一の連続ファイバが、該少なくとも2つの編成部分の間に延在する複数の横断部を形成する、
装具デバイス。
【請求項2】
少なくとも2つの編成部分の間に延在する複数の横断部が、実質的に平行である、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、各編成部分の少なくとも1つの編み段に受け入れられる、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、各編成部分の少なくとも1つの編み段に押し込まれる、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが押し込まれ、各編成部分の少なくとも1つのループとされる、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
少なくとも1つのループが、少なくとも1つの単一の連続ファイバにより形成される、請求項5記載のデバイス。
【請求項7】
少なくとも1つのループが各編成部分において形成される、請求項5記載のデバイス。
【請求項8】
少なくとも2つの編成部分の少なくとも1つの編み段が複数の編み段を含み、かつ少なくとも1つの単一の連続ファイバが、少なくとも一回、該複数の編み段の各々を横断する、請求項1記載のデバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが複数の編み段に受け入れられる、請求項8記載のデバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、一回を超えて、複数の編み段の各々に受け入れられる、請求項9記載のデバイス。
【請求項11】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分のうち少なくとも1つにおいて旋回することにより、一回を超えて、少なくとも2つの編成部分の間を横断する、請求項1記載のデバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分のうち少なくとも1つの第1の縁をすぎて旋回し、該第1の縁が関節内部分に隣接する、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分のうち少なくとも1つの第2の縁で旋回し、該第2の縁が関節内部分に隣接する第1の縁に対向する、請求項11記載のデバイス。
【請求項14】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分のうち少なくとも1つの第2の縁を越えて旋回し、該第2の縁が関節内部分に隣接する第1の縁に対向する、請求項11記載のデバイス。
【請求項15】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分のうち少なくとも1つの、少なくとも1つの編み段内で、一回を超えて旋回する、請求項11記載のデバイス。
【請求項16】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、一回を超えて、編成部分のうち少なくとも1つの、少なくとも1つの編み段に受け入れられる、請求項1記載のデバイス。
【請求項17】
編成部分の各々の縁に位置づけされた筒状保護部分をさらに含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項18】
少なくとも2つの編成部分および少なくとも1つの単一の連続ファイバが生体吸収性である、請求項1記載のデバイス。
【請求項19】
少なくとも2つの編成部分および少なくとも1つの単一の連続ファイバが絹を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項20】
少なくとも2つの編成部分および少なくとも1つの単一の連続ファイバが表面処理を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項21】
各編成部分の少なくとも1つの編み段が複数の編み段を含み、少なくとも1つの単一の連続ファイバが複数の単一の連続ファイバを含み、ならびに、少なくとも1つの関節内部分が複数の単一の連続ファイバを含み、かつ編成部分の複数の編み段を連結する、請求項1記載のデバイス。
【請求項22】
少なくとも2つの編成部分が横編み部分を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項23】
少なくとも2つの編成部分が縦編み部分を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項24】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、第1の編成部分から、少なくとも1つの関節内部分を通り、第2の編成部分を通り、かつ、該少なくとも1つの関節内部分および該第1の編成部分を通って戻る繰り返しパターンで、少なくとも2つの編成部分に受け入れられ、かつこれらを横断する、請求項1記載のデバイス。
【請求項25】
繰り返しパターンがS字パターンである、請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
繰り返しパターンがZ字パターンである、請求項24記載のデバイス。
【請求項27】
少なくとも1つの連続ファイバの横断部の1つまたは複数が、少なくとも2つの編成部分の単一の編み段に受け入れられて複数の横断部が形成され、その後に該少なくとも2つの編成部分の次の編み段に移行する、請求項24記載のデバイス。
【請求項28】
少なくとも2つの編成部分が少なくとも3つの編成部分を含み、関節内部分が該編成部分の対の間に配置され、かつ、該編成部分および該関節内部分が少なくとも1つの単一の連続ファイバから形成される、請求項1記載のデバイス。
【請求項29】
各編成部分の縁がほつれないように仕上げられる、請求項1記載のデバイス。
【請求項30】
仕上げられた縁が少なくとも1つの単一の連続ファイバに実質的に平行であり、かつ、閉じられた伏せ目で仕上げられる、請求項29記載のデバイス。
【請求項31】
少なくとも2つの編成部分および少なくとも1つの関節内部分の上縁に沿って延在する分離部分をさらに含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項32】
少なくとも2つの編成部分がアトラス編みおよび閉じトリコット編みパターンの組み合わせを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項33】
編成部分の1つから延在する少なくとも1つの筒状編成構造をさらに含み、少なくとも1つの単一の連続ファイバが該筒状構造を通過し、かつ、該筒状構造に適用された荷重を受ける、請求項1記載のデバイス。
【請求項34】
少なくとも2つの編成部分が異なるニット構造を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項35】
異なるニット構造がニットループサイズおよび糸サイズのうち少なくとも1つにより変動する、請求項34記載のデバイス。
【請求項36】
複数の編成部分;および
2つの連続した編成部分の間に配置された関節内部分
を含む、装具デバイスであって、
該編成部分および該関節内部分が少なくとも1つの単一の連続ファイバを含み、
該少なくとも1つの単一の連続ファイバが少なくとも2つの編成部分の間に延在する複数の横断部を形成する、
装具デバイス。
【請求項37】
複数の編成部分の間に延在する複数の横断部が実質的に平行である、請求項36記載のデバイス。
【請求項38】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、複数の編成部分の各々の少なくとも1つの編み段に受け入れられる、請求項36記載のデバイス。
【請求項39】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、複数の編成部分の各々の少なくとも1つの編み段に押し込まれる、請求項36記載のデバイス。
【請求項40】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが押し込まれ、複数の編成部分の各々において少なくとも1つのループとされる、請求項36記載のデバイス。
【請求項41】
少なくとも1つのループが、少なくとも1つの単一の連続ファイバにより形成される、請求項40記載のデバイス。
【請求項42】
少なくとも1つのループが、複数の編成部分の各々において形成される、請求項40記載のデバイス。
【請求項43】
複数の編成部分の少なくとも1つの編み段が複数の編み段を含み、かつ、少なくとも1つの単一の連続ファイバが、少なくとも一回、該複数の編み段の各々を横断する、請求項36記載のデバイス。
【請求項44】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、複数の編み段に受け入れられる、請求項43記載のデバイス。
【請求項45】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、一回を超えて、複数の編み段の各々に受け入れられる、請求項44記載のデバイス。
【請求項46】
複数の編成部分および少なくとも1つの単一の連続ファイバが生体吸収性である、請求項36記載のデバイス。
【請求項47】
複数の編成部分および少なくとも1つの単一の連続ファイバが絹を含む、請求項36記載のデバイス。
【請求項48】
複数の編成部分および少なくとも1つの単一の連続ファイバが表面処理を有する、請求項36記載のデバイス。
【請求項49】
複数の編成部分の各々の少なくとも1つの編み段が複数の編み段を含み、少なくとも1つの単一の連続ファイバが複数の単一の連続ファイバを含み、かつ、少なくとも1つの関節内部分が、該編成部分の複数の編み段を連結する該複数の単一の連続ファイバを含む、請求項36記載のデバイス。
【請求項50】
複数の編成部分が横編み部分を含む、請求項49記載のデバイス。
【請求項51】
複数の編成部分が縦編み部分を含む、請求項49記載のデバイス。
【請求項52】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、第1の編成部分から、少なくとも1つの関節内部分を通り、第2の編成部分を通り、かつ、該少なくとも1つの関節内部分および該第1の編成部分を通って戻る繰り返しパターンで、受け入れられ、かつ横断する、請求項49記載のデバイス。
【請求項53】
繰り返しパターンがS字パターンである、請求項52記載のデバイス。
【請求項54】
繰り返しパターンがZ字パターンである、請求項52記載のデバイス。
【請求項55】
少なくとも1つの連続ファイバの横断部の1つまたは複数が、複数の編成部分の単一の編み段に受け入れられて複数の横断部が形成され、その後に該少なくとも2つの編成部分の次の編み段に移行する、請求項52記載のデバイス。
【請求項56】
複数の編成部分が少なくとも3つの編成部分を含み、関節内部分が該編成部分の対の間に配置され、かつ、該編成部分および該関節内部分が少なくとも1つの単一の連続ファイバを含む、請求項36記載のデバイス。
【請求項57】
複数の編成部分の各々の縁がほつれないように仕上げられる、請求項36記載のデバイス。
【請求項58】
仕上げられた縁が少なくとも1つの単一の連続ファイバに実質的に平行であり、かつ閉じられた伏せ目で仕上げられる、請求項57記載のデバイス。
【請求項59】
複数の編成部分および少なくとも1つの関節内部分の上縁に沿って延在する分離部分をさらに含む、請求項36記載のデバイス。
【請求項60】
複数の編成部分がアトラス編みおよび閉じトリコット編みパターンの組み合わせを含む、請求項36記載のデバイス。
【請求項61】
各々の編成部分が少なくとも1つのファイバ編み段を含む、少なくとも2つの編成部分を編む工程;および
該少なくとも2つの編成部分の間に少なくとも1つの関節内部分を形成する工程
を含む、装具デバイスを形成するための方法であって、
該少なくとも1つの関節内部分が、該少なくとも1つの関節内部分および該少なくとも2つの編成部分を横断する少なくとも1つの単一の連続ファイバを含み、かつ、
該少なくとも1つの単一の連続ファイバが、該少なくとも2つの編成部分の間に延在する複数の横断部を形成する、
方法。
【請求項62】
少なくとも1つの関節内部分を形成する工程が、少なくとも1つの単一の連続ファイバを用いて、少なくとも2つの編成部分の間に延在する実質的に平行な複数の横断部を形成する工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
少なくとも1つの関節内部分を形成する工程が、少なくとも1つの単一の連続ファイバを各編成部分の少なくとも1つの編み段内に固定する工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つの関節内部分を形成する工程が、少なくとも1つの単一の連続ファイバを各編成部分の少なくとも1つのループに固定する工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1つのループが少なくとも1つの単一の連続ファイバにより形成される、請求項64記載の方法。
【請求項66】
少なくとも1つのループが各編成部分において形成される、請求項64記載の方法。
【請求項67】
編成部分の少なくとも1つの編み段が複数の編み段を含み、少なくとも1つの関節内部分を形成する工程が、複数の編み段の各々で少なくとも1つの単一の連続ファイバの少なくとも1つの横断部を形成する工程を含む、請求項61記載の方法。
【請求項68】
少なくとも1つの関節内部分を形成する工程が、少なくとも1つの単一の連続ファイバを用いて、編成部分のうち少なくとも1つにおいて該少なくとも1つの単一の連続ファイバを旋回させることにより、少なくとも2つの編成部分の間に延在する少なくとも2つの横断部を形成する工程をさらに含む、請求項67記載の方法。
【請求項69】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分のうち少なくとも1つの第1の縁を越えて旋回し、該第1の縁が関節内部分に隣接する、請求項68記載の方法。
【請求項70】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分のうち少なくとも1つの第2の縁で、少なくとも1つの編成部分内において旋回し、該第2の縁が関節内部分に隣接する第1の縁に対向する、請求項68記載の方法。
【請求項71】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分のうち少なくとも1つの第2の縁を越えて、少なくとも1つの編成部分内において旋回し、該第2の縁が関節内部分に隣接する第1の縁に対向する、請求項68記載の方法。
【請求項72】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分のうち少なくとも1つの、少なくとも1つの編み段内で、複数回旋回する、請求項68記載の方法。
【請求項73】
各編成部分の縁に筒状保護部分を提供する工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項74】
少なくとも2つの編成部分を編む工程が、複数の編み段を編成部分のうち少なくとも1つに編み込む工程を含む、請求項61記載の方法。
【請求項75】
少なくとも1つの関節内部分を形成する工程が、少なくとも1つの単一の連続ファイバを複数の編み段に受け入れる工程をさらに含む、請求項74記載の方法。
【請求項76】
少なくとも2つの編成部分を編む工程が、編成部分の縁を仕上げる工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項77】
少なくとも2つの編成部分を編む工程が、少なくとも1つの単一の連続ファイバに実質的に平行な縁を仕上げる工程をさらに含む、請求項76記載の方法。
【請求項78】
編成部分の縁を仕上げる工程が、閉じられた伏せ目で縁を仕上げる工程をさらに含む、請求項76記載の方法。
【請求項79】
各編成部分の少なくとも1つの編み段が複数の編み段を含み、少なくとも1つの単一の連続ファイバが複数の単一の連続ファイバを含み、かつ、少なくとも1つの関節内部分を形成する工程が、該編成部分の複数の編み段を該複数の単一の連続ファイバと連結させる工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項80】
少なくとも2つの編成部分を編む工程が、横編み部分を編む工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項81】
少なくとも2つの編成部分を編む工程が、縦編み部分を編む工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項82】
少なくとも1つの関節内部分を形成する工程が、少なくとも1つの単一の連続ファイバを、第1の編成部分から、少なくとも1つの関節内部分を通り、第2の編成部分を通り、かつ、該少なくとも1つの関節内部分および該第1の編成部分を通って戻る繰り返しパターンで横断させる工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項83】
繰り返しパターンがS字パターンである、請求項82記載の方法。
【請求項84】
繰り返しパターンがZ字パターンである、請求項82記載の方法。
【請求項85】
少なくとも1つの単一の連続ファイバが、編成部分の少なくとも1つの編み段に受け入れられて複数の横断部を形成し、その後に該編成部分の次の編み段に移行する、請求項82記載の方法。
【請求項86】
少なくとも2つの編成部分を編む工程が、少なくとも3つの編成部分を編む工程、および、該編成部分の対の間に少なくとも1つの関節内部分を形成する工程をさらに含み、該編成部分および該関節内部分が少なくとも1つの単一の連続ファイバから形成される、請求項61記載の方法。
【請求項87】
少なくとも2つの編成部分および少なくとも1つの関節内部分の上縁に沿って延在する分離部分を編む工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項88】
少なくとも2つの編成部分を編む工程が、少なくとも2つの編成部分をアトラス編みおよび閉じトリコット編みパターンの組み合わせで編む工程をさらに含む、請求項61記載の方法。
【請求項89】
少なくとも2つの編成部分、および該少なくとも2つの編成部分の間に配置された少なくとも1つの関節内部分を含み、該少なくとも1つの関節内部分が、該少なくとも1つの関節内部分および該少なくとも2つの編成部分を通って横断する少なくとも1つの単一の連続ファイバを含む、装具デバイスを提供する工程;および
少なくとも2つの編成部分の各々を患者の骨部分に固着する工程
を含む、装具デバイスを使用する方法。
【請求項90】
編成部分を固着する工程が、各編成部分を骨トンネル内に固着する工程をさらに含む、請求項89記載の方法。
【請求項91】
少なくとも1つの単一の連続ファイバに実質的に平行な長手方向軸に沿って、装具デバイスを巻く工程をさらに含む、請求項89記載の方法。
【請求項92】
少なくとも1つの単一の連続ファイバに実質的に平行な長手方向軸に沿って、装具デバイスを折り畳む工程をさらに含む、請求項89記載の方法。
【請求項93】
装具デバイスを構成する工程が、少なくとも1つの単一の連続ファイバに対し実質的に横断するラインに沿って装具デバイスを折り畳む工程をさらに含む、請求項92記載の方法。
【請求項94】
装具デバイスが、関節内部分により中央部分から各々分離された2つの側方部分を含み、該2つの側方部分および該中央部分が、各々編成部分から形成され、かつ、装具デバイスを構成する工程が、装具デバイスの該中央部分を、少なくとも1つの単一の連続ファイバに対し実質的に横断するラインに沿って折り畳む工程をさらに含む、請求項89記載の方法。
【請求項95】
少なくとも2つの編成部分を固着する工程が、中央部分に対向して2つの側方部分を固着する工程を含む、請求項94記載の方法。
【請求項96】
構成要素表面を有する構成要素;および
該構成要素表面上に位置づけされ、該構成要素表面よりも摩耗性が低い外表面を提供する編成カバリング
を含む、装具デバイス。
【請求項97】
編成カバリングが内部を有し、かつ、構成要素の一部が該内部に配置される、請求項94記載のデバイス。
【請求項98】
編成カバリングが異なるニット構造を有する複数の編成部分を有する、請求項94記載のデバイス。
【請求項99】
異なるニット構造が、ニットループサイズおよび糸サイズのうち少なくとも1つにより変動する、請求項94記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2013−63310(P2013−63310A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266923(P2012−266923)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2009−554755(P2009−554755)の分割
【原出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】