説明

膵リパーゼ阻害剤

【課題】膵リパーゼの阻害機能を有し、肥満の予防や改善に寄与でき、嗜好性が高く、連用しても副作用の恐れの殆どない、効果的で安全性の高い、膵リパーゼ阻害剤および脂質吸収抑制剤を提供することである。
【解決手段】本発明による膵リパーゼ阻害剤および脂質吸収抑制剤は、キイチゴ属に属する植物(例えばボイセンベリー)の抽出物を有効成分とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、キイチゴ属(Rubus L)に属する植物の抽出物を有効成分とし、脂肪分解酵素である、膵リパーゼを有効に阻害しうる膵リパーゼ阻害剤に関する。本発明はまた、そのような抽出物を含む脂質吸収抑制剤に関する。さらに本発明は、膵リパーゼ阻害剤または脂質吸収抑制剤を含む、飲食品または医薬組成物に関する。
【0002】
背景技術
メタボリックシンドローム、すなわち内臓脂肪型肥満と高血糖、高血圧および高脂血症の複数が重複した状態は、様々な疾病を引き起こすことが知られおり、国民の健康や生活の質(QOL)維持には、その回避が重要とされている。特に内臓脂肪の蓄積による肥満の予防や改善は重要であり、運動療法や食事療法が提案され実施されている。
【0003】
このうち、食事療法においては、脂肪の減量が最も効果的と考えられるが、食事制限による過度のストレスがかかり日常生活で継続することが困難なことが多い。このため、消化吸収抑制作用を有する食品の研究および開発が進められている。
【0004】
膵臓から分泌される膵リパーゼは、食事によって摂取された脂肪(中性脂肪)を、脂肪酸とグリセリンに分解する消化酵素である。これら膵リパーゼの分解物は、小腸から吸収された後、再合成された後、リン脂質、コレステロールおよびタンパク質とカイロミクロンを形成し、リンパ管に分泌され、胸管を通って大動脈中に移行する。脂肪が過剰の場合には再合成された脂肪類が体内に蓄積されてしまう。そこで、膵リパーゼの作用を阻害することによって、脂肪の消化と腸管からの吸収を阻害または抑制して、血中脂質を低下させることが期待される。
【0005】
このため、膵リパーゼの阻害活性を有する成分が着目され研究されている。
膵リパーゼ阻害活性を有するものとしては、例えば、欧米を中心に海外で承認され販売されている医療用医薬品として「オルリスタット」(Orlistat)が知られている。オルリスタットは、その膵リパーゼ阻害活性によって、食事によって摂取された脂肪の吸収を抑制して、抗肥満効果および高脂血症改善効果を示すとされている。しかしながら、便意急速、油・脂肪便、油性下痢、便秘等の副作用のあることが報告されている(肥満研究, Vol.7, No.3, pp.112-114, 2001)。
【0006】
このため、副作用がほとんど無く、安全で効果的な膵リパーゼ阻害剤および脂質吸収抑制剤が求められている。そこでこのような観点から、膵リパーゼ阻害活性を持つ植物素材について検討が行われてきた。
【0007】
例えば、果実やその種子の抽出物(明治大学農学部報告, 69, 15, 1985(非特許文献1))、温州みかんのヘスペリジン(Biosci. Biotech. Biochem., 61, 102, 1997(非特許文献2))、リンゴポリフェノール由来プロシアニジン(J. Agric. Food Chem., 55, 4604, 2007(非特許文献3))、カワラケツメイ由来タンニン類(特開平8−259557号公報(特許文献1))、タマリンド種皮由来プロアントシアニジン(特開平9−291039号公報(特許文献2))、および、香辛料およびその抽出物(特開2001−120237号公報(特許文献3))の膵リパーゼ阻害活性が報告されている。
【0008】
このように、膵リパーゼ阻害活性を持つ植物素材が既に種々知られている。しかしながら、これらの先行技術にはキイチゴ類、特にボイセンベリー(Rubus loganobaccus)の果実およびその抽出物に関しては、何ら記載も示唆もされていない。
【0009】
ボイセンベリーは、ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリーなどと異なり、日本ではあまり知られていないが、欧米では独特の風味があることから良く知られている。ボイセンベリー由来成分の機能性に関しては、例えば、文献(日本食生活学会誌, Vol.16, No.1, pp.44-49, 2005(非特許文献4))に、アントシアニン類やエラグ酸などポリフェノールの抗酸化作用を示す成分を多く含んでいることが記載されている。ここでは、ボイセンベリーの果実や葉に含まれるアントシアニンに、老化防止作用、心臓血管の働きを保護する作用、糖尿病亢進抑制作用、肝障害防御作用などが期待されることを予想している。また、特開2008−156306号公報(特許文献4)には、ボイセンベリー果実由来成分が発ガン抑制作用を示しうることが開示されている。
【0010】
しかしながら、これら文献には、ボイセンベリーが、膵リパーゼ阻害活性や、脂質吸収抑制効果を持つことについては開示も示唆もされていない。
【0011】
特許3967103号公報(特許文献5)には、コボタンヅル抽出物を含む、ニキビ治療に有用なリパーゼ活性抑制剤が開示されている。ここには、外用剤や化粧料に加える植物由来の添加成分用の植物の非常に多くの例示の一つとして、ボイセンベリー果実が挙げられている。しかしながら、ここでは、植物由来添加成分は、皮膚の保護、保湿効果、肌荒れ防止、香り付けなどの目的で使用されうることが示唆されているに過ぎず、これら添加成分自体にリパーゼ阻害活性があるか否かについては、何ら開示も示唆もされていない。
【0012】
ポリフェノールとは、クマリン、イソフラボン、フラボノール、アントシアニン、さらにはエラグ酸などを含む生理活性物質の総称であり(前記した非特許文献4)、抗酸化作用のあることが知られている。また、赤ワインや、ウーロン茶などにポリフェノールが含まれていることが知られており、ウーロン茶由来のポリフェノール(特開2006−001909公開公報(特許文献6))や、リンゴポリフェノール(非特許文献3)などに、リパーゼ阻害活性のあることも報告されている。
【0013】
しかしながら、ポリフェノールという物質の定義自体が多くのフェノール類を含むものの総称というあいまいなものであることから、由来する植物種が異なると、ポリフェノールの活性自体も大きく異なることがある。このため、ある植物由来のポリフェノールが有していた活性を、他の植物由来のポリフェノールが有しているとは、必ずしも言えない。またこのようなポリフェノールは、天然物が起源であることから、所望の効果を得るためには、多量の植物由来成分を摂取したり、極度に濃縮した成分を摂取したりしなければならない場合がある。このような場合、苦味や渋味が強くなり過ぎたり、カフェインなどの摂取量が極大化したり、嗜好上許容できない味となったりして、日常的に摂取するためには問題となることもあった。
【0014】
キイチゴ属に属する植物、特にボイセンベリーに由来するポリフェノールについては、前記したとおり、抗酸化作用については報告のあるものの、膵リパーゼ阻害活性等についてこれまでは開示も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平8−259557号公報
【特許文献2】特開平9−291039号公報
【特許文献3】特開2001−120237号公報
【特許文献4】特開2008−156306号公報
【特許文献5】特許3967103号公報
【特許文献6】特開2006−001909号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】明治大学農学部報告, 69, 15, 1985
【非特許文献2】Biosci. Biotech. Biochem., 61, 102, 1997
【非特許文献3】J. Agric. Food Chem., 55, 4604, 2007
【非特許文献4】日本食生活学会誌, Vol.16, No.1, pp.44-49, 2005
【発明の概要】
【0017】
本発明者らは今般、キイチゴ属に属する植物であるボイセンベリーの果実やその抽出物に、膵リパーゼに対して強い阻害活性があることを予想外にも見出した。さらにラットを用いて、脂肪の体内吸収への影響を実際に調べたところ、ボイセンベリーの果実やその抽出物によって脂質吸収が抑制されることがわかった。本発明はこれら知見に基づくものである。
【0018】
よって本発明は、膵リパーゼの阻害機能を有し、肥満の予防や改善に寄与でき、嗜好性が高く、連用しても副作用の恐れの殆どない、効果的で安全性の高い、膵リパーゼ阻害剤および脂質吸収抑制剤、さらには、これらを含む飲食品および医薬組成物を提供することをその目的とする。
【0019】
本発明による膵リパーゼ阻害剤は、キイチゴ属(Rubus L)に属する植物の抽出物を有効成分とする。
【0020】
本発明による脂質吸収抑制剤は、本発明における前記抽出物、すなわち、キイチゴ属(Rubus L)に属する植物の抽出物を有効成分とする。
【0021】
本発明の一つの好ましい態様によれば、前記した剤において、キイチゴ属に属する植物はボイセンベリー(Rubus loganobaccus)である。
【0022】
本発明の一つのより好ましい態様によれば、前記した剤において、抽出物は、植物の果実、果汁、または、植物の果皮および種子より抽出して得られる。
【0023】
本発明の別の一つの好ましい態様によれば、前記した剤において、抽出物は、水抽出物、有機溶媒抽出物または含水有機溶媒抽出物である。
【0024】
本発明の別の一つのより好ましい態様によれば、前記した剤において、抽出物は、ボイセンベリーの含水有機溶媒抽出物である。
【0025】
本発明の別の態様によれば、本発明による膵リパーゼ阻害剤を含んでなる飲食品が提供される。本発明のさらに別の態様によれば、本発明による脂質吸収抑制剤を含んでなる飲食品が提供される。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明による膵リパーゼ阻害剤、または本発明による脂質吸収抑制剤を、飲食品の材料成分に添加することを含んでなる、飲食品の製造方法が提供される。
【0027】
さらに本発明による医薬組成物は、体内における膵リパーゼ活性を阻害するためのものであって、前記した本発明における抽出物を有効成分として含んでなる。
【0028】
本発明の一つの好ましい態様によれば、前記医薬組成物は、膵リパーゼの阻害により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる。ここでより好ましくは、疾患または状態は、肥満または高脂血症である。
【0029】
本発明の一つの好ましい態様によれば、前記医薬組成物は、体内の脂質低下に用いられる。
【0030】
本発明の膵リパーゼ阻害剤および脂質吸収抑制剤によれば、膵リパーゼ活性を効果的かつ安全に阻害することができ、さらに、体内での脂肪の消化、吸収を抑制することができ、さらに脂質の体内への吸収を効果的に抑制できることから、血中脂質を低下させることができる。このため、本発明による膵リパーゼ阻害剤および脂質吸収抑制剤は、肥満の予防、改善に極めて有用である。また本発明による膵リパーゼ阻害剤および脂質吸収抑制剤は、食品としても利用されているキイチゴ属に属する植物(例えば、ボイセンベリー)の抽出物を使用するため、嗜好性が高く、連用しても副作用の恐れが殆どなく、安全性が極めて高いものである。また、本発明によれば、膵リパーゼ阻害剤および脂質吸収抑制剤を含む飲食品および医薬組成物が提供できるため、これらを摂取することで、体内の膵リパーゼ活性を阻害し、脂肪の消化、吸収を抑制し、さらに脂質の体内への吸収を効果的に抑制させ、血中脂質を低下させることができる。さらに本発明による膵リパーゼ阻害剤、脂質吸収抑制剤、飲食品および医薬組成物は、肥満の治療、予防、改善の他、膵リパーゼ阻害効果に起因するメタボリックシンドロームの予防・改善に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例の試験例2の結果を示すグラフである。
【図2】実施例の試験例2の結果を示すグラフである。
【発明の具体的説明】
【0032】
有効成分
本発明による膵リパーゼ阻害剤または脂質吸収抑制剤は、前記したように、キイチゴ属(Rubus L)に属する植物の抽出物を有効成分とする。
【0033】
ここで、キイチゴ属に属する植物は、バラ科の植物であり、小さな果実が集まった集合果を実らせることに特徴のあるものである。キイチゴ属に属する植物には、野生種や栽培品種が数多く存在し、良く知られたものとしては、例えば、ブラックベリー(Rubus ursinus)、ラズベリー(Rubus ideaus)、ボイセンベリー(Rubus loganobaccus)などが挙げられる。多くの場合、これらキイチゴ属に属する植物は、その果実を生のまま、または、果汁やジャムなどに加工して食されている。本発明の好ましい態様によれば、キイチゴ属に属する植物は、ブラックベリー、ラズベリー、およびボイセンベリーからなる群より選択されるものであり、より好ましくは、ボイセンベリーである。
【0034】
ボイセンベリーは、ブラックベリー、ラズベリー、およびローガンベリーの交配によってできた品種であるとされ、その果実は、鮮やかの紫色と豊かな芳香とほどよい甘さと酸味を備えたおいしさを特徴とする。ボイセンベリーには、カルシウム、鉄、亜鉛、またビタミンA、葉酸、ナイアシン、ビタミンCが豊富に含まれており、栄養素がバランス良く含まれている。
【0035】
本発明において、「抽出物」は、キイチゴ属に属する植物の果実、果汁、果皮および種子から抽出して得られ、抽出液、その希釈液、濃縮液、エキスまたはそれらの乾燥物もしくは乾燥粉末を意味する。ここで抽出を行う操作としては、圧搾抽出や、水や有機溶媒を用いた溶媒抽出などが包含され、必要に応じて、吸着、濾過、遠心分離などの処理をさらに施しても良い。本発明においては、好ましくは、抽出操作は、水や有機溶媒を用いた溶媒抽出操作である。
【0036】
ここで、有機溶媒としては、所望の効果を持つ抽出物を抽出できるかぎり、水溶性または非水溶性のいずれの有機溶媒であってもよい。有機溶媒が、水溶性(水混和性)である場合には水と混合して用いても良く、このような含水有機溶媒も使用可能である。したがって例えば、有機溶媒が、水溶性のアルコール系溶媒である場合には、一定割合で水を含んだアルコール系溶媒を用いた抽出によって得られた含水アルコール系溶媒抽出物も前記抽出物に包含される。
【0037】
有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ブタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、アセトン、酢酸エチルおよびメチルエチルケトンなどが挙げられる。これらは、2種以上を混合して抽出に用いても良く、可能であれば、水と混合して用いても良い。
【0038】
飲食物または医薬組成物への適合の観点からは、溶媒の残存を考慮した安全面から、抽出用の溶媒としては、水単独、または、水とエタノールとの混合液を用いることが好ましい。
【0039】
よって、本発明の一つの好ましい態様によれば、抽出物は、水抽出物、有機溶媒抽出物または含水有機溶媒抽出物である。より好ましくは、含水有機溶媒抽出物であり、さらに好ましくは、含水エタノール抽出物である。
【0040】
本発明の好ましい態様によれば、キイチゴ属に属する植物の果実、果汁、果皮および種子を、水、有機溶媒または含水有機溶媒を加えて処理し、これを吸着性を有する物質(好ましくはポリフェノールに対し吸着性を有する物質)(例えば、合成吸着剤、活性炭、イオン交換樹脂、ポリビニルピロリドン、珪藻土などまたはこれらの組合せ)に付与して吸着させ、次いで溶媒を用いて溶出させ流出液とし、必要に応じて、流出液を、濃縮または乾燥させ、ろ過等の精製処理を行って、有効成分としての抽出物を得ることができる。
【0041】
本発明における有効成分の製造方法をさらに具体例を挙げて説明すると、キイチゴ属に属する植物の果汁を水で希釈して、合成吸着剤に付与したものに、例えば80%エタノールを用いて溶出させて流出液を得、次いで、これを、減圧濃縮することにより溶媒を留去し、さらに、遠心分離および濾過を行って、清澄抽出液を得ることで、有効成分として利用可能な抽出物(含水エタノール抽出物)を得ることができる。
【0042】
得られた抽出物は、通常、易水溶性であり、水溶液として安定な性状を維持することができる。このため、飲食品および医薬組成物に通常添加されうる成分との混和性に優れている。また、食品中に含まれる成分であるため無毒であり安全性に優れている。したがって、これらを有効成分とする膵リパーゼ阻害剤、または脂質吸収抑制剤は、安全性に優れており、副作用の心配が殆どなく、日常の食生活に適宜取り入れて無理なく摂取することができる。
【0043】
本発明による膵リパーゼ阻害剤または脂質吸収抑制剤は、単独でも使用することができるが、飲食品、医薬品などの種々の組成物に添加剤として含有させることができ、膵リパーゼ阻害効果(または脂質吸収抑制効果)を有する組成物を得ることができる。得られた組成物は、肥満の治療・予防の他、膵リパーゼ阻害効果に起因するメタボリックシンドロームの予防・改善に有効に使用することができる。
【0044】
本発明の別の一つの好ましい態様によれば、有効成分として、キイチゴ属に属する植物の果汁を使用できる。より好ましくは、このとき、果汁にさらに該抽出物を添加して使用することができる。
【0045】
なお本発明における有効成分は、上記したような抽出物であり、これはキイチゴ属に属する植物由来のポリフェノールまたはボイセンベリー由来のポリフェノールを主要成分とすると予測されるが、本発明では、ポリフェノールのみに限定するものではない。一方で、使用する植物の種類や部位、抽出条件等によっては、所望の効果が期待できる有効成分量(抽出物量)が変わることがあると考えられる。
このため、使用する有効成分量を決定するにあたっては、公知の総ポリフェノール量の測定方法を利用して、ポリフェノール量換算として得られた抽出物の有効量を特定し、使用する有効成分としての抽出物量と決定することができる。このような公知の総ポリフェノール量の測定方法としては、Folin−Denis法(O. FOLIN and W. DENIS: J. Biol. Chem., 12, 239, 1912、または、「食品機能研究法」(光琳発行、2000年)、318〜319頁)、Folin−Ciocalteu法(V. L. SINGLETON and J. A. ROSSI: Amer. J. Enol. and Vitic., 16, 144, 1965)などが挙げられる。
【0046】
例えば、ボイセンベリー抽出物(例えば試験例1で製造したもの)の場合には、Folin−Ciocalteu法(没食子酸換算)にて、抽出物1g中の総ポリフェノール量は647mg/gであった。このため、摂取希望量をポリフェノール量換算で計算して、使用する有効成分としての抽出物量を特定することができる。
【0047】
用途
本発明による有効成分である前記植物の抽出物は、膵リパーゼ阻害活性を有し(後述する実施例の試験例1)、また体内への脂質吸収の抑制効果を有する(後述する実施例の試験例2)。
【0048】
ここで、膵リパーゼの阻害活性とは、ヒトを含む哺乳動物の膵液に含まれる膵リパーゼの脂肪分解活性を阻害し得る作用を意味する。一般的に、リパーゼは、動植物から微生物に至るまで広く分布しており、生体内の組織や器官に局在して、油脂の分解反応における触媒としての役割を果たしている。しかしながら、各生物体を構成する組織や器官の生理機能は極めて多様であることから分かるように、それら組織や器官における脂質の分子構造や存在状態も多様である。このため、リパーゼという同じカテゴリーに属していても、基質に対する作用性や酵素的性質においては一様ではない。したがって、膵リパーゼも多くのリパーゼ群の中の特定の一態様ということができる。本発明においては、膵リパーゼに対して、有効成分が効果的な阻害活性を示すことに基づいている。
【0049】
またここで、脂質吸収抑制効果とは、食事等により摂取された脂肪の体内への吸収を抑制し得る作用のことをいい、これによって、肥満の治療、予防、改善や、メタボリックシンドロームの治療、予防、改善が行われる。
【0050】
前記したように、膵リパーゼ活性が阻害されると、摂取した脂肪の消化と腸管からの吸収を阻害または抑制され、その結果、血中脂肪が低下する。すなわち、膵リパーゼ阻害が行われることによって、体内における脂質吸収が抑制され、体内の脂質低下作用が奏される。このような関係は、公知のことであり、例えば、教科書的な文献として、(i)「新しい臨床栄養学」(南江堂発行、第3版、1999年)、第73〜77頁および第95〜101頁;(ii)「カラー図解 人体の正常構造と機能II 消化管」(日本医事新報社発行、2000年)、第58頁、および;「食品に含まれる機能物質と肥満に関する研究」、日本栄養・食糧学会誌、第54巻第1号、第35〜40頁、2001年)などが挙げられ、これらに上記関係が明確に示されている。したがって、本発明による有効成分が、膵リパーゼ阻害活性を有し、さらに実際に体内への脂質吸収の抑制効果も確認されていることから、本発明による有効成分が、肥満の治療、予防、改善の他、膵リパーゼ阻害活性に起因するメタボリックシンドロームの予防・改善に有効であることは明らかである。
【0051】
よって、本発明による有効成分は、膵リパーゼの阻害により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いることができる。ここで、膵リパーゼの阻害により治療、予防または改善しうる疾患または状態としては、肥満、インスリン抵抗性、食後高血糖、高血圧、高脂血症、脂肪肝、糖尿病、脳血管障害、虚血性心疾患等が挙げられる。好ましくは、前記疾患または状態は、肥満、または高脂血症である。本発明のさらに好ましい態様によれば、本発明の有効成分は、体内の脂質低下、特に脂質吸収抑制に用いられる。
【0052】
なお、本明細書において、疾患または状態の「治療、予防または改善」は、疾患または状態の、調節、進行の遅延、緩和、発症予防、再発予防、抑制などを包含する意味で使用される。
【0053】
本発明の別の態様によれば、本発明の有効成分である抽出物の有効量を、哺乳動物に投与することを含んでなる、膵リパーゼの阻害方法が提供される。なおここで「有効量」とは、投与によって、体内における所望の領域において、膵リパーゼの阻害活性を発揮しうるのに十分な量である。
【0054】
本発明の別の一つの態様によれば、本発明の有効成分である有効成分の治療上有効量を、哺乳動物に投与することを含んでなる、膵リパーゼの阻害により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善する方法が提供される。なおここで「治療上有効量」とは、治療が望まれる疾患または状態に通常伴う1以上の症状を緩解するのに十分な量である。予防的な使用に関するときには、この用語は、疾患または状態の発症を防止または遅延させるのに十分な量を意味する。
【0055】
飲食品および医薬組成物
前記したように、本発明によれば、本発明による膵リパーゼ阻害剤を含んでなる飲食品が提供される。また、本発明によれば、本発明による脂質吸収抑制剤を含んでなる飲食品が提供される。すなわち、これらの飲食品は、キイチゴ属に属する植物の抽出物を有効成分として含んでなるものである。
【0056】
このような飲食品は、例えば、本発明による膵リパーゼ阻害剤、または本発明による脂質吸収抑制剤、または前記抽出物を、飲食品の材料成分に添加することを含んでなる製造方法によって製造することができる。
【0057】
また本発明によれば、前記したように、体内における膵リパーゼ活性を阻害するためのものであって、前記した本発明における抽出物を有効成分として含んでなる医薬組成物が提供される。
【0058】
ここで「有効成分として含んでなる」とは、所望する製品形態に応じた生理学的に許容されうる担体を含んでいてもよいことは当然として、併用可能な他の補助成分を含有する場合も包含する意味である。
【0059】
本発明において飲食品とは、医薬組成物以外のものであって、溶液、懸濁液、乳濁液、粉末、固体成形物など、経口摂取可能な形態であればよく特に限定されない。具体的には、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品などの即席食品類;清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、アルコール飲料などの飲料類;パン、パスタ、麺、ケーキミックス、唐揚げ粉、パン粉などの小麦粉製品;飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子などの菓子類;ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素類などの調味料;加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズなどの油脂類;乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類などの乳製品;卵加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品などの水産加工品;畜肉ハム・ソーセージなどの畜産加工品;農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアルなどの農産加工品;冷凍食品などが挙げられる。
【0060】
また飲食品には、健康食品、特定保健用食品、栄養機能食品、病者用食品、乳幼児用調整粉乳、妊産婦もしくは授乳婦用粉乳、または疾病リスク低減表示を付した飲食品のような分類のものも包含される。
【0061】
本発明の別の態様によれば、前記抽出物を有効量含んでなる飲食品であって、膵リパーゼの阻害により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善する機能が表示された飲食品が提供されうる。本発明のさらに別の態様によれば、前記抽出物を有効量含んでなる飲食品であって、膵リパーゼ阻害能または脂質吸収抑制能が表示された食品が提供されうる。
【0062】
よって、本発明による飲食品は、例えば、肥満の改善または緩和を期待する消費者に適した食品、脂質の上昇を抑えるのに適した食品、すなわち所謂、特定保健用食品、として提供することができる。なお、ここでいう特定保健用食品とは、膵リパーゼの阻害により治療、予防または改善しうる疾患または状態、肥満の予防、改善、状態の緩和、メタボリックシンドロームの治療、予防または改善等を目的として飲食品の製造または販売等を行う場合に、保健上の観点から、各国において法上の何らかの制限を受けることがある飲食品をいうことができる。このような飲食品は、飲食品が疾病リスクを低減する可能性があること表示した飲食品、すなわち、疾病リスク低減表示を付した飲食品であることもできる。ここで、疾病リスク低減表示とは、疾病リスクを低減する可能性のある飲食品の表示であって、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の定める規格に基づいて、またはその規格を参考にして、定められた表示または認められた表示であることができる。
【0063】
本発明において医薬組成物とは、製剤化のために許容されうる添加剤を併用して、常法に従い、経口製剤または非経口製剤として調製したものである。経口製剤の場合には、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、徐放剤などの固形製剤、溶液、懸濁液、乳濁液などの液状製剤の形態をとることができる。また、非経口製剤の場合には、注射剤や座剤の形態をとることができる。簡易性の点からは、経口製剤であることが好ましい。製剤化のために許容されうる添加剤としては、例えば、賦形剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、甘味料、着色料、香料、緩衝剤、酸化防止剤、pH調整剤などが挙げられる。
【0064】
飲食品、または医薬組成物などの組成物中における膵リパーゼ阻害剤の有効成分の含有量は、組成物の種類、形態や、予防・改善の目的などにより一律に規定は難しいが、例えば通常、成人(体重60kg)1日あたり、ボイセンベリー抽出物(例えば試験例1で製造したもの)として、50〜1000mg、好ましくは200〜400mg程度である。必要な1日あたりの有効成分の摂取量を摂取できるように、1日あたりの組成物の摂取量を考慮し、組成物中の含有量を適宜設定すればよい。
【実施例】
【0065】
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】
試験例1
a) サンプル溶液の調製
ボイセンベリー濃縮果汁(8倍濃縮果汁)200gを、合成吸着樹脂(商品名XAD−7HP、株式会社オルガノ)700mlに付与した。次いで該合成吸着樹脂を、1000mlの脱イオン水で水洗後、800mlの80%エタノールを用いて樹脂中の吸着物を溶出させて回収し、流出液を得た。これをエバポレーターに約38℃にて80mlとなるまで濃縮した後、凍結乾燥処理を行い、ボイセンベリー抽出物(粉末品)(ボイセンベリーポリフェノール粉末品)を得た。これを、抽出物の最終濃度が、8mg/mlとなるようにして100%エタノールを用い、サンプル溶液(ボイセンベリー抽出物のサンプル溶液)を調整した。
また、ボイセンベリー濃縮果汁をそのまま凍結乾燥したものをボイセンベリー果汁粉末として用い、これを、抽出物の最終濃度が8mg/mlとなるようにして同様にエタノールを用いて調整し、サンプル溶液(ボイセンベリー果汁粉末のサンプル)とした。
ポジティブコントロールとして、膵リパーゼ阻害活性を有することが知られている既知の医薬品オルリスタット(Orlistat(SIGMA社製))を用いた。
【0067】
b) 膵リパーゼ溶液および基質溶液の調製
膵リパーゼ活性は、トリオレインからのオレイン酸遊離量を測定することによって算出した。膵リパーゼ酵素としてブタ膵リパーゼ(SIGMA社製)を用意し、これをリン酸緩衝液に溶解させ、50μg/mlの濃度に調整し、これを膵リパーゼ溶液として使用した。
ここで使用したリン酸緩衝液は、0.2Mリン酸二水素ナトリウム(二水和物)水溶液、0.2Mリン酸水素二ナトリウム水溶液をそれぞれ調整し、それぞれ、39mlおよび61mlを採取しここに脱イオン水を加えて200mlとして調整して得た。
【0068】
次に試験管に、トリオレイン80mg、レシチン10mg、およびタウロコール酸ナトリウム5mgをはかりとり、ここに前記緩衝液9mlを加え、10分間超音波処理を施して、脂質エマルション溶液とし、これを基質液として使用した。
【0069】
c) 膵リパーゼ阻害活性試験
サンプル溶液0.1mlに、膵リパーゼ溶液0.05ml(最終濃度10μg/ml)を加え混合し、5分間室温にてインキュベートした後、ここに、基質液0.1mlを加え混合し、37℃の温度条件下、30分間反応させた。
反応後、クロロホルム1mlを加えて混合し、反応を停止させた。これを、3000rpmにて10分間遠心分離し、上層クロロホルム層より乾固物を得た。これにプロパノール40μlを加え溶解した後、10倍希釈して反応溶液とした。
反応溶液中の遊離脂肪酸の濃度を、酵素法測定キットNEFA C−テスト(和光純薬工業株式会社製)を用い、マイクロプレートリーダーにて550nmの吸光度を測定した。得られた値から、予め用意していたオレイン酸の標準曲線に基づいて、各サンプル溶液の遊離脂肪酸濃度を算出した。
【0070】
d) 膵リパーゼ阻害率の算出
コントロール(対照)としてエタノールを用いた遊離脂肪酸濃度を100%とし、サンプル溶液の遊離脂肪酸濃度より、下記式に従って膵リパーゼの阻害率を算出した。
またコントロールの活性を半分にするサンプルの阻害濃度を求め、これをIC50(mg/ml)で示した。
【0071】
[膵リパーゼ阻害率(%)]
=(1−サンプル溶液の遊離脂肪酸濃度÷コントロールの遊離脂肪酸濃度)×100
【0072】
結果は下記表1および表2に示される通りであった。
表1は、本発明に従うボイセンベリー抽出物の膵リパーゼ阻害活性を示し、表2は、IC50として示した。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
結果から、ボイセンベリー抽出物において、最終濃度8mg/mlの場合に、78.3%と高い膵リパーゼ阻害活性を示すことが分かった。このため、濃度の調整によっては、既存のオルリスタットと同等かそれ以上の阻害効果を奏しうることが確認された。
また、IC50は、オルリスタットで3.6mg/ml、ボイセンベリー抽出物で5.0mg/mlとなった。オルリスタットほどではないが、ボイセンベリー抽出物も優れた阻害活性を示しうることがわかった。オルリスタットを有効成分とする抗肥満薬は副作用のあることが知られているため、ボイセンベリー抽出物を利用することで、副作用がなく、安全かつ有効に、肥満の予防や抑制効果が期待できることがわかった。
【0076】
試験例2
a) サンプルおよび油脂エマルションの調製
前述の試験例1のa)項と同様にして、ボイセンベリー濃縮果汁からボイセンベリー抽出物(粉末品)(ボイセンベリーポリフェノール粉末品)を得た。
また試験例1のa)項と同様に、ボイセンベリー濃縮果汁をそのまま凍結乾燥したものをボイセンベリー果汁粉末として用意した。
コーンオイル5mlにコール酸100mgを溶解させ、さらに蒸留水5mlを加えて、超音波処理を10分間行って、油脂エマルションを得た。
【0077】
b) ラットへの投与試験
試験には、日本SLC株式会社より入手した9週齢のWistar系雄性ラットを使用した。試験開始前1週間、ラットに普通食を給餌し、予備飼育を行った。1群5匹ずつ平均体重が一定になるよう3群に振り分けた。
20時間絶食の後、シリンジに、油脂エマルション(5ml/kg−体重)とサンプル溶液(5ml/kg−体重)とを採って混合した後、経口投与を行った。このとき、ラットを振り分けた3つの群毎に下記のような投与量の条件となるように、サンプル溶液中の濃度を調整し、用いた。
(i) コントロール群(control群): ボイセンベリー抽出物を含まず、油脂エマルションのみを投与した群、
(ii) BJ群: ボイセンベリー果汁粉末を用い、これをボイセンベリーポリフェノール換算で100mg/kg−体重となるように投与した群、および
(iii) BP500群: ボイセンベリー抽出物粉末品を用い、これをボイセンベリーポリフェノール換算で500mg/kg−体重となるように投与した群。
【0078】
油脂エマルションを含む混合物の投与前、および投与後60,120,180,および240分後にラットの尾静脈から採血を行った。採血した血液は、氷上で保存後に、13,000rpm,5分間の条件にて遠心分離し血清を得た。
【0079】
なお、上記のボイセンベリーポリフェノール量換算にあたっては、ボイセンベリー抽出物(粉末品)と、ボイセンベリー果汁粉末について、予め、Folin−Ciocalteu法(没食子酸換算)にて総ポリフェノール量を測定しておき、それに基づいて換算を行った。具体的には、それぞれの1gあたりの総ボイセンベリーポリフェノール量は下記の通りであった:
ボイセンベリー抽出物(粉末品) 647mg/g、
ボイセンベリー果汁粉末 25mg/g。
【0080】
c) 血中中性脂肪濃度の測定
得られた血清中の中性脂肪濃度を、酵素法測定キットトリグリセライド E−テスト (和光純薬工業株式会社製)を用い、マイクロプレートリーダーにて600nmの吸光度を測定した。得られた値から、予め用意していたグリセリンとトリオレインの混合液の標準曲線に基づいて、各個体の血中中性脂肪濃度を算出した。
【0081】
結果は図1および図2に示される通りであった。図は、油脂投与後の血中中性脂肪の増加量を示す。
【0082】
結果から、ボイセンベリー抽出物を含むサンプルを投与したBP500群では、血中中性脂肪濃度の上昇に対して強い抑制がみられた。
【0083】
製造例
以下に、本発明に従う飲食品および医薬組成物を製造した例として、その処方を示した。
【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キイチゴ属(Rubus L)に属する植物の抽出物を有効成分とする、膵リパーゼ阻害剤。
【請求項2】
キイチゴ属に属する植物がボイセンベリー(Rubus loganobaccus)である、請求項1に記載の膵リパーゼ阻害剤。
【請求項3】
抽出物が、植物の果実、果汁、または、植物の果皮および種子より抽出して得られる、請求項1または2に記載の膵リパーゼ阻害剤。
【請求項4】
抽出物が、水抽出物、有機溶媒抽出物または含水有機溶媒抽出物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の膵リパーゼ阻害剤。
【請求項5】
抽出物が、ボイセンベリーの含水有機溶媒抽出物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の膵リパーゼ阻害剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の抽出物を有効成分とする、脂質吸収抑制剤。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の膵リパーゼ阻害剤を含んでなる、飲食品。
【請求項8】
請求項6に記載の脂質吸収抑制剤を含んでなる、飲食品。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の膵リパーゼ阻害剤、または請求項6に記載の脂質吸収抑制剤を、飲食品の材料成分に添加することを含んでなる、飲食品の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の抽出物を有効成分として含んでなる、体内における膵リパーゼ活性を阻害するための、医薬組成物。
【請求項11】
膵リパーゼの阻害により治療、予防または改善しうる疾患または状態の治療、予防または改善に用いられる、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
疾患または状態が、肥満または高脂血症である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
体内の脂質低下に用いられる、請求項10〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−254590(P2010−254590A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104002(P2009−104002)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(591096303)株式会社ブルボン (13)
【Fターム(参考)】