説明

自動分析装置および自動分析装置の制御方法

【課題】自動分析装置の試薬分注や検体分注に使用するプローブ等のパルスモータの不良動作や故障を事前に予測し、未然にハード要因となるトラブルを防ぐことで、検査業務に専念することを可能とする。
【解決手段】パルスモータを動作させる際に必要となるパルス情報である駆動パルス量に対し、実際に使用した消費パルス量との差を残パルス量とし、残パルス量が正常な範囲であるかどうかの判定を行う。この判定に基づいて残パルス量によるモータの故障予測を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体に対して試薬分注や測定といった処理を自動的に行う自動分析装置にかかわり、特に自動分析装置が分析やメンテナンスをする際に駆動するパルスモータのパルス情報から故障予測を判定し、該故障予測判定を受けた場合に、保守点検等のサービス業務を行うサービス会社へ報告する手段を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置の保守作業として、自動分析装置を用いて分析業務を行う検査施設側では、定期的に定められているメンテナンスを実施する必要がある。また、交換時期が予め定められている部品の交換を所定のタイミングで実施する必要がある。
【0003】
データ通信回線を介して、リアルタイムに自動分析装置の稼動状況等の情報を入手し、各種データの解析・診断及び保守点検等のサービス業務を行うサービス会社では、各データの統計処理,装置稼動が困難な緊急に対処が必要となるレベルのアラームが発生した場合には、対処法の提供やサービスマンの派遣を実施している。又、トラブル発生後の対応を行う。
【0004】
近年、検査センターでは毎日何千もの検体を扱っている。それに伴い、自動分析装置で使用する純水の量も増え、水周りによるトラブルの発生が懸念される。また、複雑化した装置の機構部分に埃が溜まることによるトラブルも懸念される。これらのトラブルは、水や埃が周囲の機構に浸入することにより、装置内に異常発熱や回路の破損が生じるためである。
【0005】
突然トラブルが発生した場合に、早急に求められる検査が依頼されると検査やドクターへの回答が遅延し患者の容態を悪化させてしまう可能性がある。このように、装置トラブルによって引き起こされるリスクは甚大である。特許文献1には、分析装置毎の管理を容易に行い、また、分析装置毎の消耗品や点検等の管理を容易とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−344422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トラブルが発生する前に故障を予測し、注意を喚起することでトラブルを未然に防ぐことが、サービス本来の目的である。近年、事前に装置の動作状況を把握することで、トラブルの事前予測を可能とするシステムが求められている。
【0008】
一方で、水や埃の浸入によって異常環境となった装置は、各機構を駆動させるパルスモータの駆動量が異常状態となる前よりも変化することがわかった。
【0009】
以上より、本発明の第一の目的は、自動分析装置の各機構を作動させるパルスモータのパルス情報から故障予測を判定して故障予測を実施することである。予測した結果をサービス会社へ報告し、報告を受けたサービス会社は、故障予測判定値が有効である場合、検査施設へ報告、サービスマンを派遣し、調査または調整することができる。
【0010】
本発明の第二の目的は、未然に突然のハード要因となるトラブルを防ぐことにある。
【0011】
さらに本発明の第三の目的は、同一の機能を有する機構が複数搭載されている自動分析装置(たとえば複数の試薬ディスクが搭載されている自動分析装置や、試薬分注プローブもしくは試料分注プローブが複数搭載されている自動分析装置など)において、試薬ディスクに付随する試薬プローブの使用回数を記憶しておくことで各機構の使用頻度が極端に偏ることを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
自動分析装置の試薬分注や検体分注に使用するプローブを動作させるために出力するパルスである駆動パルスによってパルスモータが駆動する。パルスモータを動作させる際に必要となるパルス情報である駆動パルス量に対し、実際に使用した消費パルス量との差を残パルス量とし、その値が正常な範囲であるかどうかの判定を行う際に用いる判定値y′と部位情報を記憶装置に記憶させる。以後は、判定値y′を用いての残パルス量によるモータの故障予測を行う。また、二つの試薬ディスク版をR1,R2とし、試薬ディスク版R1に付随する試薬プローブの駆動パルス量が発生したタイミングで駆動回数X1をカウントし、試薬ディスク版R2に付随する試薬プローブの駆動パルス量が発生したタイミングで駆動回数X2をカウントし、X1とX2のカウント数が偏っている場合、アラームでユーザに注意を喚起することによって駆動回数の分散化を図る。
【0013】
また、パルスモータを動作させた際のパルス情報,残パルス量の前回情報をyn、残パルス量の今回情報をyn+1とし、記憶装置に前回情報と今回情報と部位情報を記憶させる。ynとyn+1を比較し、パルスモータ部の故障予測を行う。
【0014】
そして、自動分析装置等を用いて分析業務を行う検査施設と、自動分析装置の稼動状況等のデータ通信回線を介してリアルタイムに情報を入手し、各種データの解析・診断及び保守点検等のサービス業務を行うサービス会社と、前記検査施設で分析作業を行う複数の検査員とがそれぞれ通信手段を介して随時連絡可能な手段を有し、分析業務終了後、検査施設の自動分析装置に記憶された故障予測をサービス会社へ報告し、故障予測を受けたサービス会社が分析業務を行う検査施設へ注意を喚起することで、不良動作や故障を事前に予測し未然にトラブルを防ぎ、検査業務に専念することを特徴とする故障予測システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば上記構成により、自動分析装置のオペレータは未然に突然のハード要因となるトラブルを防ぎ、検査業務に専念することを目的とすることができる。
【0016】
また、トラブル発生時に発生する部品交換や、派遣人員による出費を無くし、結果として費用削減することも可能となる。
【0017】
また、自動分析装置に同一の機能をもつ機構が複数備わっている場合に、各機構の使用回数を分散化もしくは平均化することによって、適切なメンテナンスと交換時期を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例である自動分析装置の全体構成。
【図2】本発明の一実施例であるパルスモータの駆動原理。
【図3】本発明の一実施例であるパルス情報のデータベース。
【図4】本発明の一実施例である駆動部位の特定情報。
【図5】本発明の一実施例である自動分析装置とネットワーク環境。
【図6】本発明の一実施例である処理フロー図。
【図7】本発明の一実施例である故障予測原理。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図7を用いて、本発明の一実施形態による自動分析装置の構成及び動作について説明する。最初に、図1を用いて、本実施形態による自動分析装置の全体構成について説明する。
【0020】
図1は、自動分析装置の原理的な全体構成概略図である。109は反応ディスクであり、その同心円周上に反応容器106が複数個設置されている。反応ディスク109は、回転自在に取り付けられており、回転駆動機構(図示せず)を備えている。反応ディスク109は、恒温槽108に連絡された保温槽126によって所定の温度に保持されている。
【0021】
112Aは試薬ディスクであり、その同心円周上に種々の試薬が入った試薬ビン112が複数個設置されている。反応ディスク109及び試薬ディスク112Aの周囲には、試料分注機構105,試薬分注機構110,撹拌装置113,洗浄装置119,光源114,多波長光度計115が、各々配置されている。
【0022】
また、試料分注機構105の回転円周上で且つ反応ディスク109の接線方向に沿って、ラック搬送装置123が設置されており、その搬送ラインに沿って、ラック番号読み取り装置124及び検体ID読み取り装置125が配置されている。そして、これらの機構動作は全て、インターフェイス104を介してコンピュータ103により制御されている。
【0023】
試料を入れた試料容器101は、検体ラック102の中に複数個設置される。検体ラック102は、ラック搬送装置123により搬送ライン上を運ばれていく。検体ラック102には、ラック一つずつに各々通し番号が付けられており、搬送ライン上を運ばれていく途中、まずラック番号読み取り装置124によってこの通し番号が読み取られる。
【0024】
その後引き続き、もし検体ラック102に保持された試料容器一つ一つに各々ID番号が割り付けてあった場合には検体ID読み取り装置125によってそのID番号を検体ごとに読み取った後、検体ラック102は、ラック上に保持された第一番目の試料容器101が試料分注機構105の試料分注プローブ105Aの真下の位置に来るところまで移動する。なお、ラック番号読み取り装置124及び検体ID読み取り装置125によって読み取った情報は、全てインターフェイス104を介してコンピュータ103に送られる。
【0025】
試料分注機構105は、コンピュータ103の制御のもと、試料分注プローブ105Aを用いて、試料容器101の中に入った試料を所定量だけ反応容器106の中に分注する。一つの試料容器101に対して分注が終了したら、その次の試料容器101が試料分注プローブ105Aの真下の位置に来るように検体ラック102が移動する。
【0026】
試料を分注された反応容器106は、反応ディスク109の回転動作により、反応ディスク109上を回転移動する。その間に、反応容器106の中の試料に対し、試薬分注機構110による試薬ビン112内の試薬の分注,撹拌装置113による反応液の撹拌,光源114及び多波長光度計115による吸光度の測定が行われ、その後洗浄装置119によって分析の終了した反応容器106が洗浄される。測定された吸光度信号は、A/Dコンバータ116を経由し、インターフェイス104を介してコンピュータ103に入り、試料中の測定対象成分の濃度に変換される。濃度変換されたデータは、インターフェイス104を介して、CRT118に画面表示されるかプリンタ117から印字出力され、記憶装置122に格納される。
【0027】
次に、試料分注機構105による試料の分注方法について述べる。図2は、試料分注機構105の機構構成図である。
【0028】
試料分注機構105には、上下駆動用パルスモータ201A、及び、回転駆動用パルスモータ201Bが取り付けられており、この二つのモータにより、上昇・下降動作、及び、左右回転動作ができるようになっている。上下駆動用パルスモータ201A、及び、回転駆動用パルスモータ201Bは、インターフェイス104を介してコンピュータ103からパルスモータ駆動コントローラ202に命令を与えることにより制御する。
【0029】
試料分注機構105の一端には、試料分注プローブ105Aが取り付けられており、このプローブにより、試料を分注する。試料分注プローブ105Aには、液面センサ203、及び、衝撃センサ204が取り付けられており、各センサの信号は、パルスモータ駆動コントローラ202へ取り込まれる。パルスモータ駆動コントローラ202は、この信号によっても、上下駆動用モータ201A、及び、回転駆動用パルスモータ201Bを制御することができる。
【0030】
試料分注機構105は、回転動作により、試料分注プローブ105Aが試料容器101の真上の最上点位置に来るように移動する。ここで、上下駆動用モータ201Aに規定の付与駆動パルス量xを与え、試料分注プローブ105Aを試料容器101内の試料に向かって下降させる。試料分注プローブ105Aの先端が試料液面に触れた時点で液面センサ203が試料液面を検知し、その信号が、パルスモータ駆動コントローラ202に取り込まれる。もし、試料容器101内に試料が入っていない場合には、試料分注プローブ105Aの先端が試料容器101の底にぶつかった時点で衝撃センサ204が衝撃を検知し、その信号が、モータ駆動コントローラ202に取り込まれる。
【0031】
図3は、各パルスモータの駆動情報を示している。
【0032】
パルスモータを動作させるために、出力する駆動パルス量は設計値で定められている。パルスモータのモータ駆動情報は、パルスモータがどの機構を駆動させたのかを示すモータNo、設計値で定められた駆動パルス量x、実際に使用した消費パルス量z、駆動パルス量から消費パルス量を減算した残パルス量y、残パルス量から得られる故障予測判定情報で構成される。なお、残パルス量yは、パルスモータを駆動させるのに使用しなかったパルス量のことである。
【0033】
モータNoの詳細は図4で述べる。モータNoからパルスモータが駆動させた機構部位(ユニット)を特定することができる。サービス会社へ定期的あるいは不定期に装置状況を送信している場合には、このモータ駆動情報をまとめて送信する。
【0034】
図4は、図3のパルスモータNo情報から駆動ユニットを判断するためのユニット情報である。例えば、図3のパルスモータNo情報が1−1である場合、図4情報により、駆動ユニットは反応ディスクのディスク回転機構であることがわかる。
【実施例1】
【0035】
図5は、本発明の概要を説明するシステム説明図である。
【0036】
検査施設1は、分析作業を行う検査施設の検査員3によって分析作業を行う。サービス会社2は自動分析装置の稼動状況等のデータを、通信回線を介してリアルタイムに情報を入手して各種データの解析・診断及び保守点検等のサービス業務を行う。検査施設1,サービス会社2及び検査員3は通信手段4によって互いに連絡可能である。
【0037】
検査施設1からは通信手段4を介して、サービス会社2へ図3に示すモータ駆動情報が送信される。送信頻度は定期的に送信しても良いし、不定期にオペレータの任意なタイミングで送信しても良い。
【0038】
検査施設1からモータ駆動情報を得たサービス会社2は、その内容を解析して後述する故障予測を行う。故障の可能性がある場合にはその旨を検査員3に連絡し、オペレータによるメンテナンスを促す、あるいは、サービスマンによるメンテナンスを推奨して、サービスマンが装置メンテナンスを実施できるように調整する。
【0039】
図6は、パルスモータの故障予測に関する一連の流れ図である。
【0040】
まず、装置側で分析又はメンテナンスを実施する(ステップ1)。
【0041】
一般的に、分析部では試薬ディスク,サンプルディスク,プローブを動作させるために各パルスモータを駆動するための駆動パルス量が定義されている。よって、分析またはメンテナンスを実施するために予め定義されている駆動パルス量xを各機構に対して指令する(ステップ2)。
【0042】
分析又はメンテナンスが終了すると(ステップ3)、記憶した駆動パルス量xおよび消費パルス量zとから残パルス量yを算出して故障予測判定を行い、判定結果をサービス会社へ報告する(ステップ4)。
【0043】
報告を受けたサービス会社側では、予測判定の前回結果および今回結果の統計と、判定値の有効/無効をチェックする(ステップ5)。
【0044】
故障予測判定値が有効である場合は、検査施設1の最寄のサービスマンに連絡(ステップ6)し、サービスマンは、装置の微調整や調査などの迅速な対応をとることができる(ステップ7)。
【0045】
図7は、試料分注プローブの下降駆動に関するパルス情報から故障予測する際の一例である。
【0046】
まず、試料分注機構105を回転させ、試料分注プローブ105Aを試料が入っていない空の試料容器101の真上の最上点位置に移動させる。ここで、上下駆動用モータ201Aに規定の駆動パルス量xを与え、試料分注プローブ105Aを下降させる。
【0047】
試料分注プローブ105Aの先端が液面又は、試料容器にぶつかった時点で、その信号がモータ駆動コントローラ202に取り込まれる。ここで、モータ駆動コントローラ202は、即座に上下駆動モータ201Aを停止させ、試料分注プローブ105Aの下降を停める。
【0048】
この場合に上下駆動用パルスモータ201Aによって消費された消費パルス量zを設計値から算出し、zとxの値とから、この場合に上下駆動用パルスモータ201Aが使いきらずに残した残駆動パルスy1;y1=x−z(x>z)として算出する。
【0049】
この時、移動に消費した消費パルス量zは、絶対可動領域z1と自由可動領域z2からなり、移動に必要な駆動パルス量zはz=z1+z2で表すことができる。絶対可動領域z1は、駆動部位によって固定で、試薬分注プローブの場合、試薬を分注する動作で必ず可動する領域であり、試料容器の蓋付近に該当する。自由可動領域z2は、試薬を分注する動作において、試薬容器内部の液面から底に該当し、可変領域である。
【0050】
故障予測判定の判定値y′は、各機構に規定の駆動パルス量xと、絶対可動領域z1から、y′=x−z1として算出される。記憶装置122は予め各機構における判定値y′を記憶させておく。判定値y′は各駆動部位の故障予測における判定値として使用される。つまり、判定値y′と分注動作ごとの残パルス量y1とを比較し、y1≧y′ならば、その駆動部のパルスモータは故障予測に該当すると判断する。
【0051】
また、駆動部位を前回駆動させたときの残駆動パルス量をy1、同じ駆動部位を今回駆動させたときの残駆動パルス量をy2として、y1とy2を比較判定してもよい。この場合には、yn≠y(n+1)となった場合、その駆動部のパルスモータは故障予測に該当すると判断する。
【0052】
本実施例では試料分注プローブの下降移動時における故障予測について説明したが、同様に試薬分注プローブの故障予測も可能である。また、プローブだけでなく、試薬ディスクや反応ディスクの駆動時における故障予測も可能となる。また、回転アーム式のプローブだけでなく、XYZ駆動式のプローブにおいても同様に故障予測が可能となる。
【0053】
分析終了後、故障予測判定をサービス会社へ報告し、報告を受けたサービス会社は、故障予測判定が故障予測に該当する場合、自動分析装置等を用いて分析業務を行う検査施設へ報告、サービスマンを派遣し、調査、または調整を実施し、未然に故障を防ぐ。
【0054】
以上説明したように本発明によると、未然に突然のハード要因となるトラブルを防ぎ、検査業務に専念することができる。また、未然に突然のハード要因となるトラブルを防ぐことにより、トラブル発生時に発生する部品交換による出費を無くし、結果として費用削減することができる。
【実施例2】
【0055】
本発明における第2の実施例を説明する。
【0056】
自動分析装置の中には、同一の機能を持つ機構を複数備える自動分析装置がある。たとえば、試薬ディスクを複数備えるものや、試薬分注プローブや試料分注プローブを複数備えるものなどである。これらの複数の機構の駆動パルス量を監視することにより、機構の仕様状況を平準化、もしくは平均化する方法について説明する。
【0057】
複数の試薬ディスクR1およびR2を有し、さらに各試薬ディスクに対応した試薬分注プローブA1とA2を有する自動分析装置を例に説明する。
【0058】
試薬ディスクR1に付随する試薬プローブA1に発生した駆動パルスから、試薬分注プローブの駆動回数X1をカウントする。同様に、試薬ディスクR2に付随する試薬プローブA2に発生した駆動パルスから駆動回数X2をカウントする。
【0059】
ここで、X1とX2の差が大きくなった場合には、一方の機構の使用が集中していることとなり、仕様状況が不均一な状態であるといえる。その場合には、一方の機構のみにメンテナンスが必要となる状況になることや、一方の機構のみの故障頻度が高くなってしまうことが懸念される。よって、X1とX2の関係を監視し、例えばX1=X2±10となった場合には、その後にスタンバイ状態に遷移したタイミングでアラームを発し、ユーザに注意を促す。なお、駆動回数の監視方法としては、直接試薬ディスクを駆動させるパルスモータを監視していても良い。
【0060】
また、試薬ディスクまたは試薬分注プローブの残駆動パルス量yの時間による変動を監視しても良い。同一の機能を持つ複数の機構について残駆動パルス量yの変動を監視したときに、一方の機構の残駆動パルス量yの変動が大きく、他方の機構の残駆動パルス量yの変動が小さい場合には、上述のように残駆動パルス量yの変動の小さい方の機構の使用頻度を高くするよう、ユーザにアラーム等で注意を喚起する。これによって、各機構での使用状況をそろえることができ、各機構にメンテナンスが頻発する状況を防ぐことができる。
【0061】
また、複数の試薬ディスクを備えていなくとも、試薬を架設する系統が複数あるものであっても良い。例えば、1つの試薬ディスクに対して複数の試薬分注プローブが備えられており、各試薬分注プローブはそれぞれ試薬ディスクの決まった位置に設置された試薬のみを吸引する場合などであっても、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 検査施設
2 サービス会社
3 検査員
4 通信手段
5 自動分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスモータで駆動する機構を有する自動分析装置において、
前記パルスモータに前記機構を駆動させる駆動パルス信号を与えるパルス駆動手段と、
前記機構を停止させるために前記パルスモータにパルス駆動停止信号を与えるパルス停止手段と、
前記パルスモータが前記パルス停止信号によって停止するまでに消費したパルス駆動量を消費パルス量として記憶する記憶手段と、
前記消費パルス量に基づいて前記パルスモータの故障判定を行う判定手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記記憶手段に記憶された消費パルス量を、その消費パルス量に関する機構の情報と共に外部に送信する通信手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
同一の機能を有し、パルスモータで駆動する機構を複数備えた自動分析装置において、
前記パルスモータに前記機構を駆動させる駆動パルス信号を与えるパルス駆動手段と、
前記機構を停止させるために前記パルスモータにパルス駆動停止信号を与えるパルス停止手段と、
前記パルスモータが前記パルス停止信号によって停止するまでに消費したパルス駆動量を消費パルス量として記憶する記憶手段と、
前記複数の機構の消費パルス量に基づいて前記パルスモータの使用頻度を判定する判定手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3記載の自動分析装置において、
前記判定手段により使用頻度に偏りがあると判定された場合には、その旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の自動分析装置において、
前記判定手段は消費パルス量を予め定めた閾値と比較して判定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の自動分析装置において、
前記判定手段は消費パルス量を前回値と比較して判定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
パルスモータで駆動する機構を有する自動分析装置の制御方法において、
予め定められた駆動パルス量に従って前記パルスモータを駆動させるステップと、
前記パルスモータの駆動を停止させる信号を受信するステップと、
前記パルスモータの停止時に駆動パルス量と、前記パルスモータの駆動開始から停止までの間に消費した消費パルス量との差分を、残パルス量として算出するステップと、
前記残パルス量に基づいて前記パルスモータの故障状態を判断するステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
請求項7記載の制御方法において、
さらに、算出した残パルス量を当該自動分析装置の外部に送信するステップを有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
同一の機能を有し、パルスモータで駆動する機構を複数備えた自動分析装置の制御方法において、
予め定められた駆動パルス量に従って前記パルスモータを駆動させるステップと、
前記パルスモータの駆動を停止させる信号を受信するステップと、
前記パルスモータの停止時に駆動パルス量と、前記パルスモータの駆動開始から停止までの間に消費した消費パルス量との差分を、残パルス量として算出するステップと、
前記残パルス量を複数の機構間で比較して各機構の使用頻度の偏りの有無を判定するステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項9記載の制御方法において、
さらに、使用頻度の偏りがあると判定した場合には、オペレータにその旨を通知するステップを有することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
試薬容器を架設する複数の試薬保管庫と、
当該試薬保管庫を駆動させる複数のパルスモータと、を備えた自動分析装置において、
前記試薬保管庫の駆動に伴って生じる消費パルスの変動または回数の少なくともいずれかを記憶し、
前記複数の試薬保管庫の使用回数が偏っている場合にユーザにその旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
試薬保管庫に設置された試薬容器から試薬を分注する複数の試薬分注手段と、
当該試薬分注プローブを駆動させる複数のパルスモータと、を備えた自動分析装置において、
前記試薬分注プローブの駆動に伴って生じる消費パルスの変動または回数の少なくともいずれかを記憶し、
前記複数の試薬分注プローブのうち、一方の試薬プローブに使用回数が偏っていた場合にユーザにその旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−163421(P2012−163421A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23463(P2011−23463)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】