説明

自動分析装置及び自動分析装置の試薬ボトルの配置方法

【課題】処理効率の向上を可能とする自動分析装置及び自動分析装置の試薬ボトルの配置方法の提供。
【解決手段】試薬庫41,45は、被検試料の複数の測定項目に対応する複数の試薬ボトル39,43を保持する。記憶部16は、複数の測定項目のそれぞれについて測定回数を記憶する。配置決定部20は、測定回数に基づいて複数の試料ボトル39,43の試薬庫41,45での配置を決定する。自動ローディング機構24は、決定された配置に従って複数の試薬ボトル39,43を移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿等に含まれる成分の濃度や活性値を、検査試薬との化学反応を利用して光学的あるいは電気的に測定する自動分析装置及び自動分析装置の試薬ボトルの配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単位時間あたりの処理能力を向上させるために、複数の測定ラインを有する自動分析装置がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような複数の測定ライン(Aライン及びBラインとする)を有する自動分析装置では、1サイクルタイムの間にAラインとBラインとに被検試料や試薬をそれぞれ分注する方式が一般的である。しかし、Aラインに分注する試薬を収容する試薬ボトルと、Bラインに分注する試薬を収容する試薬ボトルとは独立しているため、測定項目が一方の測定ラインに偏ってしまうと、1サイクルタイムあたり1測定項目ずつしか分注することができない。そのため、処理効率が低下してしまう。
【0004】
ところで、試薬庫内での試薬ボトルを再配置するための様々な技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。これら技術は、ユーザによって設定された配置に従って試薬ボトルを配置するものであり、配置設定の手間等がかかり効率的ではない。
【特許文献1】特開平04―279862号公報
【特許文献2】特開平04―36658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、処理効率の向上を可能とする自動分析装置及び自動分析装置の試薬ボトルの配置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係る自動分析装置は、被検試料の複数の測定項目に対応する複数の試薬ボトルを保持する試薬庫と、前記複数の測定項目のそれぞれについて測定回数を記憶する記憶部と、前記測定回数に基づいて前記複数の試料ボトルの前記試薬庫での配置を決定する配置決定部と、前記決定された配置に従って前記複数の試薬ボトルを移動する移動機構と、を具備する。
【0007】
本発明の第2局面に係る自動分析装置の試薬ボトルの配置方法は、被検試料の複数の測定項目の測定回数に基づいて試薬庫内での複数の試料ボトルの配置を決定し、前記決定された配置に従って前記複数の試料ボトルを移動する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理効率の向上を実現する自動分析装置及び自動分析装置の試薬ボトルの配置方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る自動分析装置と自動分析装置の試料ボトルの配置方法とを図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る自動分析装置は、複数の測定ラインを有し、任意の測定項目を2以上の測定ラインで共通の測光部で測定可能な、いわゆるセミランダムアクセス方式を採用する。また、本実施形態に係る自動分析装置は、特許文献2に記載のような、試薬庫に試薬ボトルを供給/排出する自動ローディング機構を備えるとする。なお、本実施形態において測定ラインはAラインとBラインとの二種類であるとするが、本実施形態は二以上の測定ラインにも適用可能である。
【0010】
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の構成を示す図である。図1に示すように、自動分析装置1は、制御部10を中枢として、分析部12、測定回数計数部14、記憶部16、平均測定回数算出部18、配置決定部20、自動ローディング機構駆動部22、自動ローディング機構24、操作部26、及び表示部28を備える。
【0011】
分析部12は、複数の反応管31を円周状に保持する反応ディスク33を有する。複数の反応管31は、Aライン又はBラインに割振られる。Aラインに属する反応管31AとBラインに属する反応管31Bとは、反応ディスク33上に、例えば、交互に配置される。換言すれば、反応ディスク33の反応管31の保持部分は複数のブロックに分割され、各ブロックはAラインに属する反応管31AとBラインに属する反応管31Bとを、例えば一つずつ保持している。反応ディスク33は、ある一定のサイクルで所定の角度だけ回転して停止する間欠的な回転動作を行う。
【0012】
反応ディスク33の近傍には、サンプルディスク35が配置される。サンプルディスク35は、被検試料を収容する試料容器37を保持する。
【0013】
反応ディスク33の内側には、被検試料の各測定項目に選択的に反応する第1試薬を収容する第1試薬ボトル39が保持される第1試薬庫41が配置されている。第1試薬庫41には、Aラインに属する第1試薬ボトル39Aと、Bラインに属する第1試薬ボトル39Bとが交互に配置されている。また、反応ディスク33の近傍には、第1試薬に対応する第2試薬を収容する第2試薬ボトル43が保持される第2試薬庫45が配置される。第2試薬庫45にも第1試薬庫41と同様に、Aラインに属する第2試薬ボトル43Aと、Bラインに属する第2試薬ボトル43Bとが交互に配置される。
【0014】
サンプルディスク35は、制御部10の制御により、指定の反応管31が所定位置(サンプル位置と呼ぶ)に位置決めされるように回転駆動される。また、第1試薬庫41及び第2試薬庫45は、それぞれ制御部10の制御により、指定の第1試薬ボトル39及び第2試薬ボトル43が所定位置に位置決めされるように回転駆動される。
【0015】
反応ディスク33とサンプルディスク35との間にはサンプリングアーム47が配置される。サンプリングアーム47の先端には、サンプリングプローブ49が取り付けられている。サンプリングアーム47は、サンプリングプローブ49を、サンプルディスク35上にある所定のサンプル吸入位置に移動する。そして、サンプリングプローブ49は、サンプル吸入位置にある試料容器37内へ降下し、液面を検知すると、さらに所定量だけ降下して試料容器37内の被検試料を所定量だけ吸入し、吸入し終わると上昇する。
【0016】
サンプリングプローブ49が上昇し終わると、サンプリングアーム47は回動して、サンプリングプローブ49を、反応ディスク33のAラインに対応する所定のサンプル分注位置A、又はBラインに対応する所定のサンプル分注位置Bへ移動させる。その後、サンプリングプローブ49は、サンプル分注位置A又はBにある反応管31に、吸入した被検試料を所定量だけ吐出する。サンプリングプローブ49のサンプル分注位置Aへの移動及び吐出と、サンプル分注位置Bへの移動及び吐出とは、例えば、交互に繰り返される。
【0017】
反応ディスク33の外周近傍にはAラインに対応する第1試薬アーム51AとBラインに対応する第1試薬アーム51Bとが配置される。第1試薬アーム51Aの先端には第1試薬プローブ53Aが、第1試薬アーム51Bの先端には第1試薬プローブ53Bが取り付けられている。第1試薬アーム51Aは、第1試薬プローブ53Aを第1試薬庫41上にあるAラインに対応する所定の第1試薬吸入位置Aに移動させる。第2試薬アーム51Bは、第1試薬プローブ53Bを第1試薬庫41上にあるBラインに対応する所定の第1試料吸入位置Bに移動させる。そして、第1試薬プローブ53A,53Bは、第1試薬吸入位置A,Bにある第1試薬ボトル31A,31B内へ降下し、液面を検知すると、さらに所定量だけ降下して第1試薬を所定量だけ吸入し、吸入し終わると上昇する。
【0018】
第1試薬プローブ53Aが上昇し終わると、第1試薬アーム51Aは回動し、第1試薬プローブ53Aを反応ディスク33の所定の第1試薬吐出位置Aへ移動させる。また、第1試薬プローブ53Bが上昇し終わると、第1試薬アーム51Bは回動し、第1試薬プローブ53Bを反応ディスク33の所定の第1試薬吐出位置Bへ移動させる。第1試薬吐出位置Bへ移動させる。その後、第1試薬プローブ53Aは、第1試薬吐出位置Aにある反応管31Aに第1試薬を所定量だけ吐出する。また同様に、第1試薬プローブ53Bは、第1試薬吐出位置Bにある反応管31Bに第1試薬を所定量だけ吐出する。
【0019】
反応ディスク33と第2試薬庫45との間にはAラインに対応する第2試薬アーム55Aと、Bラインに対応する第2試薬アーム55Bとが配置される。第2試薬アーム55Aの先端には第2試薬プローブ57Aが、第2試薬アーム55Bの先端には第2試薬プローブ57Bが取り付けられている。第2試薬アーム55Aは、第2試薬プローブ57Aを第2試薬庫45上にある所定の第2試薬吸入位置Aに移動させる。第2試薬アーム55Bは、第2試薬プローブ57Bを第2試薬庫45上にある第2試薬吸入位置Bに移動させる。第2試薬プローブ57A,Bは、第2試薬吸入位置A,Bにある第2試薬ボトル43A,B内へ降下し、液面を検知すると、さらに所定量だけ降下して第2試薬を所定量だけ吸入し、吸入し終えると上昇する。
【0020】
第2試薬プローブ57Aが上昇し終わると、第2試薬アーム55Aは回動して、第2試薬プローブ57Aを反応ディスク33上にある所定の第2試薬吐出位置Aへ移動させる。また、第2試薬プローブ57Bが上昇し終わると、第2試薬アーム55Bは回動して、第2試薬プローブ57Bを反応ディスク33上にある所定の第2試薬吐出位置Bへ移動させる。その後、第2試薬プローブ57A,Bは、第2試薬吐出位置A,Bにある反応管31A,Bに第2試薬を所定量だけ吐出する。
【0021】
また、反応ディスク33の外周近傍には、Aラインに対応する撹拌アーム59Aと、Bラインに対応する撹拌アーム59Bとが配置される。撹拌アーム59A,Bの先端には撹拌子がそれぞれ取り付けられている。撹拌アーム59A,Bは、反応ディスク33の撹拌位置にある反応管31A,B内の溶液(被検試料と試薬との混合液)を撹拌子によって撹拌する。
【0022】
反応ディスク33には、測光部61が設けられている。測光部61は、発光部を備え、発光部からの光を反応ディスク33の測光位置にある反応管31に照射し、反応管31内の混合液の透過光の光量を測定し、被検試料の第1試薬及び第2試薬による光学的な変化を分析する。変化を分析することによって、被検試料の測定項目が測定される。
【0023】
また、反応ディスク33の外周近傍には、図示しない電極部が配置可能になっており、この電極部は、反応ディスク33の電解質測定位置にある反応管31内の混合液の電解質分析を行うことができる。
【0024】
反応ディスク33の外周近傍には、洗浄部63が配置され、洗浄部63には、複数本の洗浄ノズルと、乾燥ノズルが取り付けられている。洗浄部63は、反応ディスク33の洗浄位置にある反応管31を洗浄ノズルにより洗浄し、乾燥ノズルにより乾燥する。
【0025】
分析部12内の各装置は、操作部26から供給されるオペレータからの各種指示信号、測定項目の分析条件、被検体情報、被検試料毎の測定項目等の情報に基づいて、一定サイクルの所定シーケンスで測定動作させるように制御部10により制御される。1サイクルの間にAラインに割振られた測定項目とBラインに割振られた測定項目とが1つずつ測定される。
【0026】
測定回数計数部14は、測定が行なわれる度に、測定が行なわれた項目の測定回数を計数する。計数するタイミングは、実際に測光部61等で測定が行われた時や、第1試薬又は第2試薬が吸入又は吐出された時等である。計数された測定回数は測定回数計数部14内部の一時メモリに記憶される。制御部10に設定されている日付が変わると、測定回数計数部14は、一時メモリに記憶されている測定項目ごとの一日の測定回数を記憶部16に記憶させる。
【0027】
図2は、測定項目ごとに一日の測定回数を示した一覧を示す図である。図2に示すように記憶部16は、TP,Ca,AST,LDH,CRP,RF等の測定項目のそれぞれについて日ごとに一日の測定回数を記憶する。
【0028】
平均測定回数算出部18は、測定項目ごとに、測定回数を所定期間で平均して、所定期間内での一日あたりの測定回数の平均値(以下、平均測定回数と呼ぶ)を算出する。例えば、平均測定回数算出部18は、一週間、一月、曜日ごと等の平均測定回数を算出する。算出された平均測定回数は、記憶部16に記憶される。
【0029】
図3は、測定項目ごとのある月の平均測定回数の一覧を示す図である。図3に示すように、測定項目TPのある月(例えば5月)の平均測定回数は、86回である。すなわち、5月は平均して一日あたり86回TPを測定した、ということを示す。
【0030】
図4は、測定項目ごとのある期間における曜日ごとの平均測定回数の一覧を示す図である。図4に示すように、測定項目ASTの火曜日の平均測定回数は、125回である。すなわち、ある期間の火曜日(例えば、5月の火曜日)は平均して一日あたり125回ASTを測定した、ということを示す。
【0031】
配置決定部20は、各測定項目について算出された平均測定回数に基づいて、各測定項目をAライン又はBラインに割振ることによって、各測定項目に対応する第1試料ボトル31と第2試料ボトル43との配置を決定する。配置決定部20は、各測定ラインに割振られた測定項目の測定回数が均等になるように測定項目の測定ラインへの割振りを行なうことにより、第1試料ボトル39及び第2試料ボトル43の最適配置を決定する。配置決定部20は、例えばオペレータ等により操作部26を介して設定された特定の測定項目を配置換えしない、すなわち測定ラインを入れ替えないことも可能である。特定の測定項目は、例えば、測定ラインを変更することで試薬のコンタミネーション(汚染)が懸念される測定項目がある。
【0032】
自動ローディング機構駆動部22は、制御部10からの制御信号の供給を受けて、自動ローディング機構24に駆動信号を供給する。
【0033】
自動ローディング機構24は、自動ローディング機構駆動部22からの駆動信号の供給を受けて、配置決定部20により決定された配置に各試料ボトル39A,39B,43A,43Bを配置換えする。なお、移動される試料ボトルは、配置決定処理により異なる測定ラインに移動することとなったものに限られる。自動ローディング機構24は、例えば、特許文献2に記載の技術を用いる。
【0034】
操作部26は、キーボードやマウス、ボタン、タッチキーパネル等の入力デバイスを備える。具体的には、操作部26は、配置換え要求や、測定項目ごとの配置換え可否設定等の様々な操作を行う。
【0035】
表示部28は、試薬ボトルの配置表示画面や、測定ライン入換え可否の設定画面等を表示する。図5は、配置換え可否の設定画面の一例を示す図である。図5に示すように、測定ラインの入換を禁止するためのチェックボックスBXは、測定項目の各種項目パラメータとともに表示される。項目パラメータとしては、測定ラインの入換え可否の他に、サンプル量(被検試料量)や第1試薬量、第2試薬量等の項目がある。オペレータが操作部26を介して、例えば、画面上でチェックボックスBXにチェックを入れることで、制御部10により当該測定項目は入換え禁止項目に設定される。設定された項目パラメータは、記憶部16に記憶される。
【0036】
次に、制御部10による試薬ボトルの自動配置処理の流れを説明する。図6は、自動配置処理の流れを示す図である。なお、各測定項目について相当数の測定が行なわれており、記憶部16には各測定項目についての平均測定回数が記憶されているものとする。制御部10は、操作部26からの自動配置処理の開始要求を待機している(ステップS1)。待機中、表示部28は、例えば図7に示すような待機画面を表示している。
【0037】
図7に示す待機画面には、平均測定回数ボタンB1と、最適配置表示ボタンB2とが表示される。オペレータが操作部26を介して画面上のボタンB1を押すことを契機として制御部10は、表示部28に平均測定回数の表示画面を表示させる。平均測定回数の表示画面には、例えば、測定項目ごとの平均測定回数が一覧で表示される。
【0038】
オペレータが操作部26を介して画面上のボタンB2を押すことを契機として制御部10は、表示部28に例えば図8に示すような最適配置表示画面を表示させる。最適配置表示画面には、測定ラインごとの測定項目とその平均測定回数とが一覧で表示される。また、各測定ラインに割振られた測定項目の平均測定回数の総和(合計測定回数)が表示される。また、自動配置を開始するための実行ボタンB3が表示されている。オペレータが操作部26を介して画面上のボタンB3を押すことを契機として(ステップS1:YES)、制御部10は、配置決定部20に配置決定処理を行なわせる。
【0039】
配置決定処理において配置決定部20は、複数の測定項目のそれぞれについて、平均測定回数に基づいて測定項目をAライン又はBラインに割振る(ステップS2)。配置決定処理のアルゴリズムの具体例を以下に説明する。
【0040】
(アルゴリズム例1)
まず、配置決定部20は、各測定項目の平均測定回数に従って、測定項目を平均測定回数の多い順に並べ替える。配置決定部20は、平均測定回数の最も多い項目をAライン、2番目に多い項目をBライン、3番目に多い項目をAライン、・・・というように、測定項目を平均測定回数が多い順に交互に割振る。配置決定部20は、Aラインに割り振られた測定項目の平均測定回数の総和(仮にaとおく)とBラインに割り振られた測定項目の平均測定回数の総和(仮にbとおく)とを計算する。配置決定部20は、平均測定回数がc=|a−b|/2に最も近い測定項目を平均測定回数の総和が多い方の測定ラインから探す。そして配置決定部20は、探し出した測定項目を平均測定回数の総和が少ない方の測定ラインに割振る。このとき、禁止項目に設定されている測定項目については測定ラインの割振りを行なわないようにする。
【0041】
(アルゴリズム例2)
まず、配置決定部20は、禁止項目を優先的に割振る。禁止項目を優先的に割振った後、配置決定部20は、禁止項目以外の測定項目を測定回数の多い順に並び替える。ここで、測定回数の多い順に測定項目d1,d2,d3・・・の順に並び替えられたと仮定する。配置決定部20は、優先割振りが完了した時点での各測定ラインの測定回数の総和を算出し、測定回数の総和が少ない方の測定ラインに測定項目d1を割振る。次に配置決定部20は、再び各測定ラインの測定回数の総和(d1も含む)を算出し、測定回数の総和が少ない方の測定ラインに測定項目d2を割振る。その後、再度各測定ラインの測定回数の総和(d1、d2も含む)を算出し、測定回数の総和が少ない方の測定ラインに測定項目d3を割振る。以下、同様の方法で測定項目d4、d5、・・・を割振る。
【0042】
アルゴリズム例1又はアルゴリズム例2により、Aラインに割振られた測定項目の平均測定回数の総計と、Bラインに割振られた測定項目の平均測定回数の総計とは近似する。さらにアルゴリズム例2によれば、禁止項目も考慮して割振りを行なうために、アルゴリズム例1に比して、より両ラインの平均測定回数の総計が一致する。
【0043】
配置が決定されると制御部10は、決定された配置に従って自動ローディング機構駆動部22に制御信号を供給する。制御信号の供給を受けて自動ローディング機構駆動部22は、自動ローディング機構24に駆動信号を供給して、第1試薬ボトル39及び第2試薬ボトル43を配置換えする(ステップS3)。具体的には、自動ローディング機構24は、制御部10からの駆動信号の供給を受け、測定ラインの変更がある第1試料ボトル39に限って、第1試薬庫41のAラインにある第1試薬ボトル39Aを第1試薬庫41のBラインに、第1試薬庫41のBラインにある第1試薬ボトル39Bを第1試薬庫41のAラインに移動する。また、自動ローディング機構24は、測定ラインの変更がある第2試料ボトル43に限って、第2試薬庫45のAラインにある第2試薬ボトル43Aを第2試薬庫45のBラインに、第2試薬庫45のBラインにある第2試薬ボトル43Bを第2試薬庫45のAラインに移動する。
【0044】
なお、自動配置処理は、操作部26からの開始要求をトリガとして開始されるとした。しかしこれに限定する必要はなく、例えば、自動分析装置の電源を入れたとき等に自動的に開始するようにしてもよい。
【0045】
上記構成により、測定項目の平均測定回数に基づいて試料ボトル39A,39B,43A,43Bの配置を決定することで、各測定ラインの測定項目の測定回数が均等に配分される。かくして本実施形態によれば、処理効率の向上を可能とする自動分析装置と自動分析装置の試料ボトルの配置方法を提供することが可能となる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係る自動分析装置の構成を示す図。
【図2】図1の記憶部に記憶される測定項目ごとの一日の測定回数の一覧を示す図。
【図3】図1の記憶部に記憶される測定項目ごとのある月の平均測定回数の一覧を示す図。
【図4】図1の記憶部に記憶される測定項目ごとのある期間の曜日ごとの平均測定回数の一覧を示す図。
【図5】図1の表示部に表示される配置換え可否の設定画面の一例を示す図。
【図6】図1の制御部による試料ボトルの自動配置処理の流れを示す図。
【図7】図6のステップS1において表示される待機画面の一例を示す図。
【図8】図6のステップS1において表示される最適配置表示画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0048】
1…自動分析装置、10…制御部、12…分析部、14…測定回数計数部、16…記憶部、18…平均測定回数算出部、20…配置決定部、22…自動ローディング機構駆動部、24…自動ローディング機構、26…操作部、28…表示部、31A,B…反応管、33…反応ディスク、35…サンプルディスク、37…試料容器、39A,B…第1試薬ボトル、41…第1試薬庫、43A,B…第2試薬ボトル、45…第2試薬庫、47…サンプルアーム、49…サンプルプローブ、51A,B…第1試薬アーム、53A,B…第1試薬プローブ、55A,B…第2試薬アーム、57A,B…第2試薬プローブ、59A,B…撹拌アーム、61…測光部、63…洗浄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料の複数の測定項目に対応する複数の試薬ボトルを保持する試薬庫と、
前記複数の測定項目のそれぞれについて測定回数を記憶する記憶部と、
前記測定回数に基づいて前記複数の試料ボトルの前記試薬庫での配置を決定する配置決定部と、
前記決定された配置に従って前記複数の試薬ボトルを移動する移動機構と、
を具備する自動分析装置。
【請求項2】
前記配置決定部は、前記測定回数に基づいて、前記複数の試料ボトルを複数の測定ラインに割振ることによって前記配置を決定し、
前記移動機構は、前記決定された配置に従って、前記試薬庫での前記複数の測定ラインに応じた位置に前記複数の試料ボトルを移動する、
請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記複数の測定項目のそれぞれについて、一日の測定回数を記憶し、
前記配置決定部は、前記一日の測定回数に基づいて、所定期間内での一日あたりの測定回数の平均値を算出し、前記算出された平均値に基づいて前記複数の試料ボトルを複数の測定ラインに割振る、
請求項1記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記測定項目の測定ラインへの割振り結果を表示する表示部をさらに備える請求項1記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記試薬ボトルの移動可否を設定する設定部をさらに備え、
前記配置決定部は、前記設定された可否と前記測定回数とに基づいて、前記複数の試薬ボトルを前記測定ラインに割振る、
請求項1記載の自動分析装置。
【請求項6】
被検試料の複数の測定項目の測定回数に基づいて試薬庫内での複数の試料ボトルの配置を決定し、
前記決定された配置に従って前記複数の試料ボトルを移動する、
自動分析装置の試薬ボトルの配置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−216594(P2009−216594A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61507(P2008−61507)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】