説明

自動分析装置

【課題】
ベビー検体のような少量検体であっても、依頼のあった項目全てを測定可能にする自動分析装置を提供することにある。
【解決手段】
毛細管内血液を遠心分離する遠心分離機を備え、かつ遠心分離機から毛細管ごと取り出すことのできるアームを有している。遠心分離した毛細管内の血清量を計測し、血球部分を毛細管ごと切り落とす機能を有している。毛細管内の血清をサンプルカップに移し変えることなく反応容器へ所定量吐出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液・尿などの生体サンプルの定性・定量分析を行う自動分析装置に係り、特に微量のサンプルしか採取できない幼児等の検体の分析に好適な自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置を用いた生化学分析では、患者から血液を(真空)採血管で採取し、遠心分離機にかけて採取血液の遠心分離を行い、血清を得、その後、得た血清を生化学自動分析装置にセットし、血清中成分濃度を測定するのが一般的である。
【0003】
しかし、幼児,小児等に対しては、成人に対して行うような(真空)採血管を使用した採血方法では血液が採取できないため、毛細管現象を利用して毛細管により採血している。毛細管で採取した血液も分析のためには遠心分離して血清を得る必要があるので毛細管専用の遠心分離機にかけて得た血清をサンプルカップに移し変え自動分析装置にセットし分析を行っていた。
【0004】
このようにサンプルカップに血清を移し替え分析を行うと、手間がかかると言う問題がある。また、自動分析装置でサンプルカップから血清を分注する場合、サンプルカップの隅に分注できない血清が残る、いわゆるデッドボリュームが必要であった。幼児,小児検体は採取できる血液量が微量にも係らず、このようなデッドボリュームのために無駄にせざるを得ない血清があると分析に必要な血清量が足りなくなることがあった。
【0005】
特許文献1には、サンプルカップを使用せず、遠心分離を行った毛細管で分析を実行できる自動分析装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−72210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の技術では新たに毛細管専用の分析装置が必要となるため相応の分析依頼数がないと装置の導入コストを償却できない可能性があり、一般的な自動分析装置を使用した上で、少ないサンプル量で幼児,小児検体の分析が可能な分析装置が求められていた。
【0008】
本発明の目的は、従来の自動分析装置を利用した上で、少ないサンプル量で幼児,小児検体の分析が可能な自動分析装置及び分析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の構成は以下の通りである。
【0010】
血液試料を採取する毛細管と、該毛細管を取り付け可能な分注手段と、該分注機構に取り付けられた前記毛細管中の血液試料を所定量分注するために該毛細管中に圧力変化を生じさせる圧力変化手段と、前記分注手段により血液試料が分注される反応容器と、を備えた自動分析装置。
【0011】
毛細管とは通常成人用真空採血管を使用して血液サンプルの採取が困難な幼児,小児の血液を採取するための細管であって、毛細管現象により血液を採取するための器具を意味する。細管の径は「毛細」の文言により特に限定されるものではない。また毛細管の材質は透明なガラス,プラスチック等が好ましいが、これに限定されるものでもない。
【0012】
毛細管を取り付け可能とは、毛細管が差し込み可能な穴があいた取り付け部を備えた基部を備えたものを例として挙げる事が可能であるが、毛細管が適切に固定でき、かつ毛細管の取り付け部から毛細管中の血液試料が漏れ出さないような構造であればどのような構成のものであっても良い。
【0013】
圧力変化手段は毛細管内を大気圧に比べて負圧または正圧にすることにより毛細管中の血液試料の吸引または押出しが可能であればどのような圧力変化手段を用いても良い。
【0014】
反応容器は通常の自動分析装置に用いられるような透明なガラスあるいはプラスチック製の容器が望ましいが、試薬との反応を安定して起こさせることができ、かつ反応を容器外から測定可能であればどのようなものであっても良い。
【0015】
血液試料の分析項目によっては血清のみを使用しての分析が好ましいものもある。このような場合には、毛細管中の血清と血球の境界領域を検出し、血清部分のみが残るように血球部分の入った毛細管を切断する毛細管切断手段を備えても良い。血清と血球の境界部分の検出には、光の透過率の違いを利用して光学的に検知する方法が簡便であるが、静電容量の違い等、血清と血球の物理的性質の違いを利用して境界部分を検出する多様な方法の中から選択することができる。
【0016】
圧力変化手段は、毛細管内の圧力を負圧/正圧に変化させることができればどのような手段であっても良いが、構成の簡便さ/圧力調整の正確さの点でシリンジまたはダイアフラムの中から選択することが望ましい。
【0017】
反応容器は通常の自動分析装置と同じように複数個の反応容器中で測定タイミングを少しずつずらして並行して分析を行う方式で用いる反応容器のように、列状(通常は円板の円周上)に並べた反応容器であって円板を回転させることにより反応容器の位置を変えて任意の反応容器に試料を分注できるようなものが望ましい。
【0018】
毛細管を取り付け可能な分注手段は、一般検体の分注用プローブとは別に設けても良い。一般検体の分注用プローブは、プローブを扇状に回転させることによりサンプル容器と反応容器の間を移動できるように設計されている。このような一般検体用の分注プローブではプローブの回転体はなるべく軽い方が応答速度が高い。このような一般検体用の分注手段に毛細管を取り付け可能な機構を更に付加すると、回転体の重量が大きくなってしまう可能性がある。このような不具合をなくするため、毛細管を取り付け可能な分注手段は、反応容器の近傍に一般検体用分注手段とは別に設けることが望ましい。また、このような毛細管用分注手段は、一般検体用分注手段とは異なり、サンプル容器と反応容器の間を移動する必要が無いので、プローブ先端を移動可能とする必要は無く、常時、反応容器の上方に毛細管取り付け用の基部が位置しているように配置し、分注すべき毛細管が発生した時に、該基部に毛細管を取り付けられるようにしても良い。
【0019】
また、血液試料の分注は一般検体用の分注プローブを使うことにして、毛細管中の血液試料を吸引し、該一般検体用の分注プローブに該血液試料を供給するような配管を備えていても良い。この場合は、一般検体を分注する場合と毛細管中の試料を分注する場合で配管経路を切り替えられるように切り替えバルブ等の流路切り替え手段を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
毛細管中の血液試料をサンプルカップに移す必要が無いため、デッドボリュームをなくすことができ、幼児,小児等の少量検体であっても多項目測定可能となる。また毛細管からサンプルカップに血液試料を移し変える手間が省けることから採血から結果報告までの時間を短縮できる。
【0021】
また、通常の自動分析装置の構成を流用できるので装置の製造コストの低減が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
従来の自動分析装置の動作原理を図1に示す。本装置は複数のサンプルカップ1が架設でき、採取位置に移動する機能を有するサンプルディスク2,試料を所定量採取するサンプルプローブ3を備えたサンプリング機構4,複数の試薬分注を行う試薬ピペッティング機構5a,5bおよび試薬ボトルの架設分注位置に移動する機能を有する試薬ディスク
6a,6b,複数の直接測光用反応容器7を保持した反応ディスク8,攪拌機構9a,
9b,反応容器洗浄機構10,光度計11,機構系全体の制御を行わせるための中央処理装置(マイクロコンピュータ)12などを主要に構成されている。複数の反応容器を保持した反応ディスク8は、反応容器を試料採取位置および試薬分注位置への搬送と、反応容器の反応液の吸光度を測定するために光度計11の光軸上に移動する回転動作を行う。光度計11は複数の検知器を有する多波長光度計が用いられており、光源ランプ13と相対し反応ディスク8が回転状態にあるとき反応容器7の列が光源ランプ13からの光束14を通過するように構成されている。光束14の位置と試料吐出位置15の間には反応容器洗浄機構10が配備されており、反応容器7を洗浄する。さらに波長を選択するマルチプレクサ16,対数変換増幅器17,A/D変換器18,プリンタ19,CRT20,試薬分注機構駆動回路21などから構成され、これらはいずれもインターフェース22を経て中央処理装置12に接続されている。この中央処理装置は機構系全体の制御を含めた装置全体の制御と濃度あるいは酵素活性値演算などのデータ処理も行う。
【0023】
上記の構成における動作原理を以下に説明する。
【0024】
操作パネル23にあるスタートスイッチを押すと反応容器洗浄機構10により反応容器7の洗浄が開始され、さらに水ブランクの測定が行われる。この値は反応容器7で以後測定される吸光度の基準値となる。反応ディスク8が回転して一時停止すると試料吐出位置15まで進み、サンプルカップ1はサンプリング位置に移動する。同様に2つの試薬ディスク6a,6bも試薬ピペッティング位置に移動する。この間にサンプリング機構4が動作し、サンプルカップ1から、例えば分析項目A測定用の試料をサンプルプローブ3で吸引しその後、反応容器7に吐出する。試料の吐出が完了すると反応ディスク8が半回転し停止する。一方試薬ピペッティング機構はサンプリング機構が反応容器7に試料の吐出を行っているとき、試薬ピペッティング機構5aが動作を開始し試薬ディスク6aに架設した分析項目Aの第一試薬を試薬プローブ24aによって吸引する。ついで試薬プローブ
24aは反応容器7上に移動して吸引した試薬を吐出した後、プローブ洗浄槽でプローブの内壁と外壁が洗浄され、次の分析項目Bの第一試薬分注に備える。第一試薬添加後に測光が開始される。測光は反応ディスク8の回転時、反応容器7が光束14を横切ったときに行われる。第一試薬添加直後、反応ディスクが2反応容器分回転すると攪拌機構9aが作動して試料と試薬を攪拌する。反応容器7が試料分注約5分後、すなわち第二試薬分注位置まで進むと第二試薬が試薬プローブ24bから添加されその後攪拌機構9bにより攪拌が行われる。反応ディスク8によって反応容器7は次々と光束14を横切りそのつど吸光度が測定される。これらの吸光度は10分の反応時間において計34回の測光が行われる。測光を終えた反応容器7は反応容器洗浄機構10により洗浄され次の試料の測定に備える。測定した吸光度は中央処理装置12で濃度あるいは酵素活性値に換算されプリンタ19から分析結果が出力される。
【0025】
このような生化学自動分析装置における本発明の一実施例を図2に示す。
【0026】
本発明実施可能な自動分析装置は、従来の自動分析装置の構成に加え、毛細管で採取した血液を遠心分離する遠心機1002と、遠心分離した毛細管1001をつまみ毛細管内の血清を反応容器7へ所定量分注するアーム1003,毛細管内の血清と血球部分を分離する血清・血球分離機構1004、で構成されている。
【0027】
上記に示す本発明の実施例を以下に説明する。この実施例は、ベビー検体の依頼のあった場合の例である。
【0028】
操作パネル23にあるスタートスイッチを押すと、遠心機1002にセットされた(採血された)毛細管1001は遠心分離され、血清と血球に分離される。この間、反応容器洗浄機構10により反応容器7の洗浄が開始され、さらに水ブランクの測定が行われる。この値は反応容器7で以後測定される吸光度の基準値となる。毛細管1001の遠心分離終了後、アーム1003によって毛細管1001は血清・血球分離機構1004へ移動し、血球と血清区分点を計測。血球・血清の区分点の計測は次のように行われる。毛細管
1001がアーム1003により血清・血球分離機構1004へ移動し、下降していく。血清・血球分離機構1004では光源ランプ1005から光束1006が出ており、アーム1003によって下降してきた毛細管1001は光束1006が出ている地点を通過していき、毛細管1001を通過した透過光(I)を検知器1007にて測定。この時、血球部分での透過光(I)と血清部分の透過光(I)は異なるため、透過光(I)測定中の変化(図7参照)より、血清・血球部分の区分を行う。血清・血球の区分点までの毛細管1001の下降距離をメモリーし、この下降距離Xmm+5mmで毛細管1001を切断し、血球部分を廃棄する。血清・血球の区分点は透過光(I)の変化率およびある一定レベルの透過光(I)をもって判定し、下降距離Xmmとしてメモリーする。また、毛細管1001の径および長さをあらかじめメモリーさせておき、血清・血球分離機構1004で毛細管1001内の血清・血球の区分を行う際に、毛細管1001の上部まで光束1006を透過させ、毛細管の上部に存在する気泡なども透過光(I)の変化より検知し、分析に使用可能な血清量を算出する。これにより、サンプル不足によるデータ不良を防止する。
【0029】
血球部分を切断し血清部分のみとなった毛細管1001は、アーム1003によって反応容器7まで移動する。アーム1003は図3のようにシリンジ1008と接続されており、シリンジ1008が上方向へ動くことにより例えば分析項目A測定用の血清を所定量反応容器7に吐出する。
【0030】
血清の吐出が完了すると、反応ディスク8が半回転し停止する。一方試薬ピペッティング機構はアーム1003が反応容器7に毛細管1001内から血清の吐出を行っているとき、試薬ピペッティング機構5aが動作を開始し試薬ディスク6aに架設した分析項目Aの第一試薬を試薬プローブ24aによって吸引する。ついで試薬プローブ24aは反応容器7上に移動して吸引した試薬を吐出した後、プローブ洗浄槽でプローブの内壁と外壁が洗浄され、次の分析項目Bの第一試薬分注に備える。第一試薬添加後に測光が開始される。測光は反応ディスク8の回転時、反応容器7が光束14を横切ったときに行われる。第一試薬添加直後、反応ディスクが2反応容器分回転すると攪拌機構9aが作動して試料と試薬を攪拌する。反応容器7が試料分注約5分後、すなわち第二試薬分注位置まで進むと第二試薬が試薬プローブ24bから添加されその後攪拌機構9bにより攪拌が行われる。反応ディスク8によって反応容器7は次々と光束14を横切りそのつど吸光度が測定される。これらの吸光度は10分の反応時間において計34回の測光が行われる。測光を終えた反応容器7は反応容器洗浄機構10により洗浄され次の試料の測定に備える。測定した吸光度は中央処理装置12で濃度あるいは酵素活性値に換算されプリンタ19から分析結果が出力される。
【0031】
全ての分析項目の血清吐出が終了した毛細管1001は、毛細管1001内の血清をすべて使い切った場合には毛細管1001ごと廃棄し、血清が残っている場合は再検査に備えて毛細管置きに一時的に保管される。再検査がなかった場合には廃棄される。
【0032】
図4は第二の実施例である。
【0033】
本発明実施可能な自動分析装置は、従来の自動分析装置の構成に加え、毛細管で採取した血液を遠心分離する遠心機1002と、遠心分離した毛細管1001をつまみ毛細管内の血清と血球部分を分離する血清・血球分離機構1004へ移動するアーム1003と、毛細管内の血清を反応容器7へ所定量分注するサンプルプローブ2001、で構成されている。
【0034】
上記に示す本発明の実施例を以下に説明する。この実施例は、ベビー検体の依頼のあった場合の例である。
【0035】
操作パネル23にあるスタートスイッチを押すと、遠心機1002にセットされた(採血された)毛細管1001は遠心分離され、血清と血球に分離される。この間、反応容器洗浄機構10により反応容器7の洗浄が開始され、さらに水ブランクの測定が行われる。この値は反応容器7で以後測定される吸光度の基準値となる。毛細管1001の遠心分離終了後、アーム1003によって毛細管1001は血清・血球分離機構1004へ移動し、血球と血清区分点を計測。血球・血清の区分点の計測は次のように行われる。毛細管
1001がアーム1003により血清・血球分離機構1004へ移動し、下降していく。血清・血球分離機構1004では光源ランプ1005から光束1006が出ており、アーム1003によって下降してきた毛細管1001は光束1006が出ている地点を通過していき、毛細管1001を通過した透過光(I)を検知器1007にて測定。この時、血球部分での透過光(I)と血清部分の透過光(I)は異なるため、透過光(I)測定中の変化(図7参照)より、血清・血球部分の区分を行う。血清・血球の区分点までの毛細管1001の下降距離をメモリーし、この下降距離Xmm+5mmで毛細管1001を切断し、血球部分を廃棄する。血清・血球の区分点は透過光(I)の変化率およびある一定レベルの透過光(I)をもって判定し、下降距離Xmmとしてメモリーする。また、毛細管1001の径および長さをあらかじめメモリーさせておき、血清・血球分離機構1004で毛細管1001内の血清・血球の区分を行う際に、毛細管1001の上部まで光束1006を透過させ、毛細管の上部に存在する気泡なども透過光(I)の変化より検知し、分析に使用可能な血清量を算出する。これにより、サンプル不足によるデータ不良を防止する。
【0036】
アーム1003とサンプルプローブ2001は図5のようになっており、サンプル切替弁2002にてシリンジ2003に接続する先を毛細管1001側にした状態で、シリンジ2003が下方向へ動くことで、血球部分を切断し血清部分のみとなった毛細管1001内の血清が吸引され、サンプル切替弁2002にてシリンジに接続する先を毛細管1001側からサンプルプローブ2001側へ切り替え、シリンジ2003が上方向へ動くことで、サンプルプローブ2001より反応容器7へ、例えば分析項目A測定用の血清を所定量吐出する。
【0037】
血清の吐出が完了すると、反応ディスク8が半回転し停止する。一方試薬ピペッティング機構はサンプルプローブ2001が反応容器7に毛細管1001内の血清を分注している時、試薬ピペッティング機構5aが動作を開始し試薬ディスク6aに架設した分析項目Aの第一試薬を試薬プローブ24aによって吸引する。ついで試薬プローブ24aは反応容器7上に移動して吸引した試薬を吐出した後、プローブ洗浄槽でプローブの内壁と外壁が洗浄され、次の分析項目Bの第一試薬分注に備える。第一試薬添加後に測光が開始される。測光は反応ディスク8の回転時、反応容器7が光束14を横切ったときに行われる。第一試薬添加直後、反応ディスクが2反応容器分回転すると攪拌機構9aが作動して試料と試薬を攪拌する。反応容器7が試料分注約5分後、すなわち第二試薬分注位置まで進むと第二試薬が試薬プローブ24bから添加されその後攪拌機構9bにより攪拌が行われる。反応ディスク8によって反応容器7は次々と光束14を横切りそのつど吸光度が測定される。これらの吸光度は10分の反応時間において計34回の測光が行われる。測光を終えた反応容器7は反応容器洗浄機構10により洗浄され次の試料の測定に備える。測定した吸光度は中央処理装置12で濃度あるいは酵素活性値に換算されプリンタ19から分析結果が出力される。
【0038】
図6は第三の実施例である。
【0039】
本発明実施可能な自動分析装置は、従来の自動分析装置の構成に加え、毛細管で採取した血液を遠心分離する遠心機1002と、遠心分離した毛細管1001をつまみ毛細管内の血清と血球部分を分離する血清・血球分離機構1004および毛細管セットボックス
3001へ移動するアーム1003と、毛細管内の血清を反応容器7へ所定量分注するサンプルプローブ2001で構成されている。
【0040】
上記に示す本発明の実施例を以下に説明する。この実施例は、ベビー検体の依頼のあった場合の例である。
【0041】
操作パネル23にあるスタートスイッチを押すと、遠心機1002にセットされた(採血された)毛細管1001は遠心分離され、血清と血球に分離される。この間、反応容器洗浄機構10により反応容器7の洗浄が開始され、さらに水ブランクの測定が行われる。この値は反応容器7で以後測定される吸光度の基準値となる。毛細管1001の遠心分離終了後、アーム1003によって毛細管1001は血清・血球分離機構1004へ移動し、血球と血清区分点を計測。血球・血清の区分点の計測は次のように行われる。毛細管
1001がアーム1003により血清・血球分離機構1004へ移動し、下降していく。血清・血球分離機構1004では光源ランプ1005から光束1006が出ており、アーム1003によって下降してきた毛細管1001は光束1006が出ている地点を通過していき、毛細管1001を通過した透過光(I)を検知器1007にて測定。この時、血球部分での透過光(I)と血清部分の透過光(I)は異なるため、透過光(I)測定中の変化(図7参照)より、血清・血球部分の区分を行う。血清・血球の区分点までの毛細管1001の下降距離をメモリーし、この下降距離Xmm+5mmで毛細管1001を切断し、血球部分を廃棄する。血清・血球の区分点は透過光(I)の変化率およびある一定レベルの透過光(I)をもって判定し、下降距離Xmmとしてメモリーする。また、毛細管1001の径および長さをあらかじめメモリーさせておき、血清・血球分離機構1004で毛細管1001内の血清・血球の区分を行う際に、毛細管1001の上部まで光束1006を透過させ、毛細管の上部に存在する気泡なども透過光(I)の変化より検知し、分析に使用可能な血清量を算出する。これにより、サンプル不足によるデータ不良を防止する。
【0042】
アーム1003により血球部分を切断し血清部分のみとなった毛細管1001は毛細管セットボックス3001にセットされ、サンプル切替弁2002にてシリンジ2003の接続する先を毛細管1001側へした状態で、シリンジ2003が下方向へ動くことで毛細管1001内の血清を吸引し、サンプル切替弁2002にてシリンジに接続する先を毛細管1001側からサンプルプローブ2001側へ切り替え、シリンジ2003が上方向へ動くことにより、サンプルプローブ2001より反応容器7へ、例えば分析項目A測定用の血清を所定量吐出する。
【0043】
血清の吐出が完了すると、反応ディスク8が半回転し停止する。一方試薬ピペッティング機構はサンプルプローブ2001が反応容器7に毛細管1001内の血清を分注している時、試薬ピペッティング機構5aが動作を開始し試薬ディスク6aに架設した分析項目Aの第一試薬を試薬プローブ24aによって吸引する。ついで試薬プローブ24aは反応容器7上に移動して吸引した試薬を吐出した後、プローブ洗浄槽でプローブの内壁と外壁が洗浄され、次の分析項目Bの第一試薬分注に備える。第一試薬添加後に測光が開始される。測光は反応ディスク8の回転時、反応容器7が光束14を横切ったときに行われる。第一試薬添加直後、反応ディスクが2反応容器分回転すると攪拌機構9aが作動して試料と試薬を攪拌する。反応容器7が試料分注約5分後、すなわち第二試薬分注位置まで進むと第二試薬が試薬プローブ24bから添加されその後攪拌機構9bにより攪拌が行われる。反応ディスク8によって反応容器7は次々と光束14を横切りそのつど吸光度が測定される。これらの吸光度は10分の反応時間において計34回の測光が行われる。測光を終えた反応容器7は反応容器洗浄機構10により洗浄され次の試料の測定に備える。測定した吸光度は中央処理装置12で濃度あるいは酵素活性値に換算されプリンタ19から分析結果が出力される。
【0044】
図8は第四の実施例である。
【0045】
本発明実施可能な自動分析装置は、従来の自動分析装置の構成に加え、毛細管で採取した血液を遠心分離した毛細管1001をつまみ毛細管内の血清を反応容器7へ所定量分注するアーム1003,毛細管内の血清と血球部分を分離する血清・血球分離機構1004、で構成されている。
【0046】
上記に示す本発明の実施例を以下に説明する。この実施例は、ベビー検体の依頼のあった場合の例である。
【0047】
操作パネル23にあるスタートスイッチを押すと、アーム1003にセットされた遠心分離された毛細管1001は、アーム1003によって血清・血球分離機構1004へ移動し、血球と血清区分点を計測。血球・血清の区分点の計測は次のように行われる。毛細管1001がアーム1003により血清・血球分離機構1004へ移動し、下降していく。血清・血球分離機構1004では光源ランプ1005から光束1006が出ており、アーム1003によって下降してきた毛細管1001は光束1006が出ている地点を通過していき、毛細管1001を通過した透過光(I)を検知器1007にて測定。この時、血球部分での透過光(I)と血清部分の透過光(I)は異なるため、透過光(I)測定中の変化(図7参照)より、血清・血球部分の区分を行う。血清・血球の区分点までの毛細管1001の下降距離をメモリーし、この下降距離Xmm+5mmで毛細管1001を切断し、血球部分を廃棄する。血清・血球の区分点は透過光(I)の変化率およびある一定レベルの透過光(I)をもって判定し、下降距離Xmmとしてメモリーする。また、毛細管1001の径および長さをあらかじめメモリーさせておき、血清・血球分離機構1004で毛細管1001内の血清・血球の区分を行う際に、毛細管1001の上部まで光束1006を透過させ、毛細管の上部に存在する気泡なども透過光(I)の変化より検知し、分析に使用可能な血清量を算出する。これにより、サンプル不足によるデータ不良を防止する。
【0048】
この間、反応容器洗浄機構10により反応容器7の洗浄が開始され、さらに水ブランクの測定が行われる。この値は反応容器7で以後測定される吸光度の基準値となる。
【0049】
血球部分を切断し血清部分のみとなった毛細管1001は、アーム1003によって反応容器7まで移動する。アーム1003は図3のようにシリンジ1008と接続されており、シリンジ1008が上方向へ動くことにより例えば分析項目A測定用の血清を所定量反応容器7に吐出する。
【0050】
血清の吐出が完了すると、反応ディスク8が半回転し停止する。一方試薬ピペッティング機構はアーム1003が反応容器7に毛細管1001内から血清の吐出を行っているとき、試薬ピペッティング機構5aが動作を開始し試薬ディスク6aに架設した分析項目Aの第一試薬を試薬プローブ24aによって吸引する。ついで試薬プローブ24aは反応容器7上に移動して吸引した試薬を吐出した後、プローブ洗浄槽でプローブの内壁と外壁が洗浄され、次の分析項目Bの第一試薬分注に備える。第一試薬添加後に測光が開始される。測光は反応ディスク8の回転時、反応容器7が光束14を横切ったときに行われる。第一試薬添加直後、反応ディスクが2反応容器分回転すると攪拌機構9aが作動して試料と試薬を攪拌する。反応容器7が試料分注約5分後、すなわち第二試薬分注位置まで進むと第二試薬が試薬プローブ24bから添加されその後攪拌機構9bにより攪拌が行われる。反応ディスク8によって反応容器7は次々と光束14を横切りそのつど吸光度が測定される。これらの吸光度は10分の反応時間において計34回の測光が行われる。測光を終えた反応容器7は反応容器洗浄機構10により洗浄され次の試料の測定に備える。測定した吸光度は中央処理装置12で濃度あるいは酵素活性値に換算されプリンタ19から分析結果が出力される。
【0051】
全ての分析項目の血清吐出が終了した毛細管1001は、毛細管1001内の血清をすべて使い切った場合には毛細管1001ごと廃棄し、血清が残っている場合は再検査に備えて毛細管置きに一時的に保管される。再検査がなかった場合には廃棄される。
【0052】
以下に示す文章は第五の実施例である。
【0053】
本発明実施可能な自動分析装置は、従来の自動分析装置の構成に加え、毛細管で採取した血液を遠心分離し、血球部分を切り取るなどして血清のみにした毛細管1001をセットし、毛細管内の血清量を計測、および反応容器7へ所定量分注するアーム1003で構成されている。
【0054】
上記に示す本発明の実施例を以下に説明する。この実施例は、ベビー検体の依頼のあった場合の例である。
【0055】
操作パネル23にあるスタートスイッチを押すと、アーム1003にセットされた毛細管1001は、アーム1003に内蔵された、スキャナのようなもので撮影され、分析に使用可能な血清量を算出。血清量の算出は次のように行われる。撮影された画像より、毛細管の長さおよび毛細管内の血清の高さを計測。あらかじめメモリーさせておいた毛細管1001の経と画像から得た血清の高さより、分析に使用可能な血清量を算出する。これにより、サンプル不足によるデータ不良を防止するとともに、アーム1003の血清を所定量吐出する際の反応容器7への下降距離を設定する。画像から毛細管および血清の高さを計測する手段は、画像中の色調においてあらかじめ定められた閾値をもちいて弁別する。または、あるパターンを描いた判定版を毛細管の背面に設定しておき、あらかじめ定められたパターンを描画した背景柄と、実際に毛細管を介して撮影された画像とを比較し、毛細管および血清の高さを計測する方法を用いてもよい。
【0056】
この間、反応容器洗浄機構10により反応容器7の洗浄が開始され、さらに水ブランクの測定が行われる。この値は反応容器7で以後測定される吸光度の基準値となる。
【0057】
毛細管1001は、アーム1003によって反応容器7まで移動する。アーム1003は図3のようにシリンジ1008と接続されており、シリンジ1008が上方向へ動くことにより例えば分析項目A測定用の血清を所定量反応容器7に吐出する。
【0058】
血清の吐出が完了すると、反応ディスク8が半回転し停止する。一方試薬ピペッティング機構はアーム1003が反応容器7に毛細管1001内から血清の吐出を行っているとき、試薬ピペッティング機構5aが動作を開始し試薬ディスク6aに架設した分析項目Aの第一試薬を試薬プローブ24aによって吸引する。ついで試薬プローブ24aは反応容器7上に移動して吸引した試薬を吐出した後、プローブ洗浄槽でプローブの内壁と外壁が洗浄され、次の分析項目Bの第一試薬分注に備える。第一試薬添加後に測光が開始される。測光は反応ディスク8の回転時、反応容器7が光束14を横切ったときに行われる。第一試薬添加直後、反応ディスクが2反応容器分回転すると攪拌機構9aが作動して試料と試薬を攪拌する。反応容器7が試料分注約5分後、すなわち第二試薬分注位置まで進むと第二試薬が試薬プローブ24bから添加されその後攪拌機構9bにより攪拌が行われる。反応ディスク8によって反応容器7は次々と光束14を横切りそのつど吸光度が測定される。これらの吸光度は10分の反応時間において計34回の測光が行われる。測光を終えた反応容器7は反応容器洗浄機構10により洗浄され次の試料の測定に備える。測定した吸光度は中央処理装置12で濃度あるいは酵素活性値に換算されプリンタ19から分析結果が出力される。
【0059】
全ての分析項目の血清吐出が終了した毛細管1001は、毛細管1001内の血清をすべて使い切った場合には毛細管1001ごと廃棄し、血清が残っている場合は再検査に備えて毛細管置きに一時的に保管される。再検査がなかった場合には廃棄される。
【0060】
以下に示す文章は第六の実施例である。
【0061】
本発明実施可能な自動分析装置は、従来の自動分析装置の構成に加え、毛細管で採取した血液を遠心分離し、血球部分を切り取るなどして血清のみにした毛細管1001をセットし、毛細管内の血清量を計測、および反応容器7へ所定量分注するアーム1003で構成されている。
【0062】
上記に示す本発明の実施例を以下に説明する。この実施例は、ベビー検体の依頼のあった場合の例である。
【0063】
操作パネル23にあるスタートスイッチを押すと、アーム1003にセットされた毛細管1001は、アーム1003に内蔵された、スキャナのようなもので撮影され、分析に使用可能な血清量を算出。血清量の算出は次のように行われる。撮影された画像より、毛細管の長さおよび毛細管内の血清の高さを計測。あらかじめメモリーさせておいた毛細管1001の経と画像から得た血清の高さより、分析に使用可能な血清量を算出する。これにより、サンプル不足によるデータ不良を防止するとともに、アーム1003の血清を所定量吐出する際の反応容器7への下降距離を設定する。画像から毛細管および血清の高さを計測する手段は、画像中の色調においてあらかじめ定められた閾値をもちいて弁別する。または、あるパターンを描いた判定版を毛細管の背面に設定しておき、あらかじめ定められたパターンを描画した背景柄と、実際に毛細管を介して撮影された画像とを比較し、毛細管および血清の高さを計測する方法を用いてもよい。
【0064】
この間、反応容器洗浄機構10により反応容器7の洗浄が開始され、さらに水ブランクの測定が行われる。この値は反応容器7で以後測定される吸光度の基準値となる。
【0065】
アーム1003は反応容器7上に固定されており、血清吐出時の上下動作のみ行う。また、図3のようにシリンジ1008と接続されており、シリンジ1008が上方向へ動くことにより例えば分析項目A測定用の血清を所定量反応容器7に吐出する。
【0066】
血清の吐出が完了すると、反応ディスク8が半回転し停止する。一方試薬ピペッティング機構はアーム1003が反応容器7に毛細管1001内から血清の吐出を行っているとき、試薬ピペッティング機構5aが動作を開始し試薬ディスク6aに架設した分析項目Aの第一試薬を試薬プローブ24aによって吸引する。ついで試薬プローブ24aは反応容器7上に移動して吸引した試薬を吐出した後、プローブ洗浄槽でプローブの内壁と外壁が洗浄され、次の分析項目Bの第一試薬分注に備える。第一試薬添加後に測光が開始される。測光は反応ディスク8の回転時、反応容器7が光束14を横切ったときに行われる。第一試薬添加直後、反応ディスクが2反応容器分回転すると攪拌機構9aが作動して試料と試薬を攪拌する。反応容器7が試料分注約5分後、すなわち第二試薬分注位置まで進むと第二試薬が試薬プローブ24bから添加されその後攪拌機構9bにより攪拌が行われる。反応ディスク8によって反応容器7は次々と光束14を横切りそのつど吸光度が測定される。これらの吸光度は10分の反応時間において計34回の測光が行われる。測光を終えた反応容器7は反応容器洗浄機構10により洗浄され次の試料の測定に備える。測定した吸光度は中央処理装置12で濃度あるいは酵素活性値に換算されプリンタ19から分析結果が出力される。
【0067】
以下に示す文章は第七の実施例である。
【0068】
本発明実施可能な自動分析装置は、従来の自動分析装置の構成に加え、毛細管で採取した血液を遠心分離し、血球部分を切り取るなどして血清のみにした毛細管1001をセットする毛細管ディスクと、毛細管ディスクから毛細管1001をつまみ、毛細管内の血清量を計測、および反応容器7へ所定量分注するアーム1003で構成されている。
【0069】
上記に示す本発明の実施例を以下に説明する。この実施例は、ベビー検体の依頼のあった場合の例である。
【0070】
操作パネル23にあるスタートスイッチを押すと、毛細管ディスクにセットされた毛細管1001は、アーム1003に接続される。接続された毛細管1001はアーム1003に内蔵されたスキャナのようなもので撮影され、分析に使用可能な血清量を算出。血清量の算出は次のように行われる。撮影された画像より、毛細管の長さおよび毛細管内の血清の高さを計測。あらかじめメモリーさせておいた毛細管1001の経と画像から得た血清の高さより、分析に使用可能な血清量を算出する。これにより、サンプル不足によるデータ不良を防止するとともに、アーム1003の血清を所定量吐出する際の反応容器7への下降距離を設定する。画像から毛細管および血清の高さを計測する手段は、画像中の色調においてあらかじめ定められた閾値をもちいて弁別する。または、あるパターンを描いた判定版を毛細管の背面に設定しておき、あらかじめ定められたパターンを描画した背景柄と、実際に毛細管を介して撮影された画像とを比較し、毛細管および血清の高さを計測する方法を用いてもよい。
【0071】
この間、反応容器洗浄機構10により反応容器7の洗浄が開始され、さらに水ブランクの測定が行われる。この値は反応容器7で以後測定される吸光度の基準値となる。
【0072】
毛細管1001は、アーム1003によって反応容器7まで移動する。アーム1003は図3のようにシリンジ1008と接続されており、シリンジ1008が上方向へ動くことにより例えば分析項目A測定用の血清を所定量反応容器7に吐出する。
【0073】
血清の吐出が完了すると、反応ディスク8が半回転し停止する。一方試薬ピペッティング機構はアーム1003が反応容器7に毛細管1001内から血清の吐出を行っているとき、試薬ピペッティング機構5aが動作を開始し試薬ディスク6aに架設した分析項目Aの第一試薬を試薬プローブ24aによって吸引する。ついで試薬プローブ24aは反応容器7上に移動して吸引した試薬を吐出した後、プローブ洗浄槽でプローブの内壁と外壁が洗浄され、次の分析項目Bの第一試薬分注に備える。第一試薬添加後に測光が開始される。測光は反応ディスク8の回転時、反応容器7が光束14を横切ったときに行われる。第一試薬添加直後、反応ディスクが2反応容器分回転すると攪拌機構9aが作動して試料と試薬を攪拌する。反応容器7が試料分注約5分後、すなわち第二試薬分注位置まで進むと第二試薬が試薬プローブ24bから添加されその後攪拌機構9bにより攪拌が行われる。反応ディスク8によって反応容器7は次々と光束14を横切りそのつど吸光度が測定される。これらの吸光度は10分の反応時間において計34回の測光が行われる。測光を終えた反応容器7は反応容器洗浄機構10により洗浄され次の試料の測定に備える。測定した吸光度は中央処理装置12で濃度あるいは酵素活性値に換算されプリンタ19から分析結果が出力される。
【0074】
全ての分析項目の血清吐出が終了した毛細管1001は、毛細管1001内の血清をすべて使い切った場合には毛細管1001ごと廃棄し、血清が残っている場合は再検査に備えて毛細管ディスクに一時的に保管される。再検査がなかった場合には廃棄される。
【0075】
以下に示す文章は第八の実施例である。
【0076】
本発明実施可能な自動分析装置は、従来の自動分析装置の構成に加え、毛細管で採取した血液を遠心分離した毛細管1001をセットする毛細管ディスクと、毛細管ディスクから毛細管1001をつまみ、毛細管内の血清と血球部分を識別し、さらに毛細管内の血清を反応容器7へ所定量分注するアーム1003,毛細管内の血清と血球部分を分離する血清・血球分離機構1004、で構成されている。
【0077】
上記に示す本発明の実施例を以下に説明する。この実施例は、ベビー検体の依頼のあった場合の例である。
【0078】
操作パネル23にあるスタートスイッチを押すと、毛細管ディスクにセットされた遠心分離された毛細管1001は、アーム1003に接続される。接続された毛細管1001はアーム1003に内蔵されたスキャナのようなもので撮影され、血球・血清の区分点を計測し、分析に使用可能な血清量を算出。血球・血清の区分点の計測および血清量の算出は次のように行われる。撮影された画像より、毛細管の長さYmmおよび毛細管の下端から血球部分の高さXmmを計測。この毛細管の下端からX+5mmの高さはメモリーされ、毛細管を切断する高さになる。あらかじめメモリーさせておいた毛細管1001の経と画像から得た血清の高さY−(X+5)mmより、分析に使用可能な血清量を算出する。これにより、サンプル不足によるデータ不良を防止するとともに、アーム1003の血清を所定量吐出する際の反応容器7への下降距離を設定する。後に、アーム1003は血清・血球分離機構へ移動し、毛細管1001の下端からX+5mmの高さで切断される。
【0079】
この間、反応容器洗浄機構10により反応容器7の洗浄が開始され、さらに水ブランクの測定が行われる。この値は反応容器7で以後測定される吸光度の基準値となる。
【0080】
血球部分を切断し血清部分のみとなった毛細管1001は、アーム1003によって反応容器7まで移動する。アーム1003は図3のようにシリンジ1008と接続されており、シリンジ1008が上方向へ動くことにより例えば分析項目A測定用の血清を所定量反応容器7に吐出する。
【0081】
血清の吐出が完了すると、反応ディスク8が半回転し停止する。一方試薬ピペッティング機構はアーム1003が反応容器7に毛細管1001内から血清の吐出を行っているとき、試薬ピペッティング機構5aが動作を開始し試薬ディスク6aに架設した分析項目Aの第一試薬を試薬プローブ24aによって吸引する。ついで試薬プローブ24aは反応容器7上に移動して吸引した試薬を吐出した後、プローブ洗浄槽でプローブの内壁と外壁が洗浄され、次の分析項目Bの第一試薬分注に備える。第一試薬添加後に測光が開始される。測光は反応ディスク8の回転時、反応容器7が光束14を横切ったときに行われる。第一試薬添加直後、反応ディスクが2反応容器分回転すると攪拌機構9aが作動して試料と試薬を攪拌する。反応容器7が試料分注約5分後、すなわち第二試薬分注位置まで進むと第二試薬が試薬プローブ24bから添加されその後攪拌機構9bにより攪拌が行われる。反応ディスク8によって反応容器7は次々と光束14を横切りそのつど吸光度が測定される。これらの吸光度は10分の反応時間において計34回の測光が行われる。測光を終えた反応容器7は反応容器洗浄機構10により洗浄され次の試料の測定に備える。測定した吸光度は中央処理装置12で濃度あるいは酵素活性値に換算されプリンタ19から分析結果が出力される。
【0082】
全ての分析項目の血清吐出が終了した毛細管1001は、毛細管1001内の血清をすべて使い切った場合には毛細管1001ごと廃棄し、血清が残っている場合は再検査に備えて毛細管ディスクに一時的に保管される。再検査がなかった場合には廃棄される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】従来の自動分析装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例1における自動分析装置の構成を示す図である。
【図3】実施例1におけるサンプリング系の概略図である。
【図4】本発明の実施例2における自動分析装置の構成を示す図である。
【図5】実施例2におけるサンプリング系の概略図である。
【図6】実施例3におけるサンプリング系の概略図である。
【図7】本発明の実施例で示すデータである。
【図8】本発明の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1…サンプルカップ、2…サンプルディスク、3,2001…サンプルプローブ、4…サンプリング機構、5…試薬ピペッティング機構、6…試薬ディスク、7…直接測光用反応容器、8…反応ディスク、9…撹拌機構、10…反応容器洗浄機構、11…光度計、
12…中央処理装置(マイクロコンピュータ)、13…光源ランプ、14,1006…光束、15…試料吐出位置、16…マルチプレクサ、17…対数変換増幅器、18…A/D変換器、19…プリンタ、20…CRT、21…試薬分注機構駆動回路、22…インターフェース、23…操作パネル、24…試薬プローブ、1001…毛細管、1002…遠心機、1003…アーム、1004…血清・血球分離機構、1005…光源ランプ、1007…検知器、1008,2003…シリンジ、2002…サンプル切替弁、3001…毛細管セットボックス。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料を採取する毛細管と、
該毛細管を取り付け可能な分注手段と、
該分注機構に取り付けられた前記毛細管中の血液試料を所定量分注するために該毛細管中に圧力変化を生じさせる圧力変化手段と、
前記分注手段により血液試料が分注される反応容器と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の分注手段は、更に前記毛細管中の血清と血球の境界領域を検出し、血清部分のみが残るように血球部分の入った毛細管を切断する毛細管切断手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の圧力変化手段は、シリンジまたはダイアフラムであることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記反応容器は複数の反応容器が列状に移動可能に配置されており、かつ前記分注手段は前記反応容器の移動経路上に位置付け可能であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の自動分析装置において、
前記分注手段は、通常の試料の分注手段とは別に設けられていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記分注手段は、前記毛細管と通常の試料の分注手段の分注プローブに連通する配管を備え、該通常の試料の分注手段の圧力変化手段を該毛細管側と連通するか該通常の試料の分注手段の分注プローブに連通するかを切り換える切り換え手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−3237(P2006−3237A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180398(P2004−180398)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】(000233550)株式会社日立サイエンスシステムズ (112)
【Fターム(参考)】