説明

自動分析装置

【課題】被検試料及び試薬の浪費を低減することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】被検試料や判定試料を測定して被検信号や判定信号を生成する分析部20と、分析部20で生成された被検信号や判定信号から被検データや判定データを生成する演算部31と、被検試料を測定して被検信号を生成する分析部20の状態を検知する検知部41と、演算部31で生成された判定データを判定する判定部42とを備え、検知部41で検知された分析部20の状態の変化に応じて判定試料の測定により生成された判定データが異常である場合に、分析部20の状態の変化に係る分析ユニットの動作を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれている成分を分析する自動分析装置に係り、特に、血液や尿等の生体試料に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目などを対象とし、被検試料と各項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調などの変化を、光の透過量を測定することにより、被検試料中の様々な成分の濃度や酵素の活性を求める。
【0003】
この被検試料を分析する分析部では、被検試料毎に分析条件の設定によって測定可能になった多数の項目の中から、検査に応じて選択された項目の測定が行われる。そして、被検試料及び各項目の試薬は、サンプル分注プローブ及び試薬分注プローブによりサンプル容器及び試薬容器から反応容器に分注され、分注された反応容器内の被検試料及び試薬の混合液は撹拌子により撹拌され、撹拌された混合液は測光ユニットにより測定される。そして、サンプル分注プローブ、試薬分注プローブ、反応容器、及び撹拌子の各分析ユニットは、洗浄された後に繰り返し測定に使用される。
【0004】
ところで、多数の被検試料の測定により生成された濃度や活性値により表される被検データが正常であるか否かを管理するために、被検試料の測定開始時や測定中の例えば一定の間隔で、予め管理値が設定された管理試料を測定して精度管理を行う自動分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このような自動分析装置では、装置の操作者が管理試料の管理データを確認し、管理データが管理値から外れている場合、管理データが外れた原因を取り除いてからその外れた区間で測定された被検試料を再測定する。
【0006】
また、自動分析装置では、サンプル容器内のサンプルの液面、試薬容器内の試薬の液面、サンプル分注プローブの障害となる障害物体、試薬分注プローブの障害物体等を検出して分析部の状態を検知する各検出器を備え、各検出器から出力された検出信号が異常と判断された場合に、その測定に係わっている分析ユニットを停止させる。そして、異常の原因を取り除いてから未測定の被検試料を測定する。
【特許文献1】特開2000−275249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、各検出器からの検出信号が異常と判断される信号以外の場合には、その警告情報が発せられると共に被検試料の測定が続行される。そして、測定終了後に各分析ユニットを見て異常であると分かった場合や管理データが異常である場合に、その警告情報に係った被検試料の再測定が行われる。
【0008】
このため、警告情報に係った被検試料及び試薬、並びに再測定に要する時間を浪費する問題がある。また、その警告情報が発せられた後に管理試料の測定が行われなかった場合、被検試料の測定により生成された被検データの異常に気付かずに誤診してしまう恐れがある。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、被検試料及び試薬の浪費を低減することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、被検試料及び試薬を分注してその混合液を測定し、測定した混合液の被検データを生成する分析手段を備えた自動分析装置において、前記被検試料及び前記試薬を分注してその混合液を測定する前記分析手段の状態を検知する検知手段と、前記検知手段により状態の変化が検知されたとき、その状態の変化を判定するための判定試料及び前記試薬の混合液を測定して前記分析手段により生成された判定データが異常であるか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、分析部の状態の変化を検知したとき、予め設定された判定条件に基づいて判定試料を測定し、この判定試料の測定により生成された判定データが異常である場合に分析部の状態の変化に係る分析ユニットの動作を停止させることにより、再測定の対象となる被検試料及び試薬の浪費、並びに再測定に要する時間の浪費を低減することができる。また、分析部の状態の変化に係る測定により生成された被検データに異常情報を付加することにより、異常である被検データを容易に見分けることが可能となり、誤診を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図10を参照して説明する。
図1は、実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各項目の検量線の作成に用いる標準試料や、被検体から採取された被検試料等を測定する分析部20と、分析部20における各分析ユニットの測定動作の制御を行う分析制御部25とを備えている。
【0014】
また、標準試料や被検試料等の測定により分析部20から出力された標準信号や被検信号等を処理して各項目の検量線の作成や被検データ等の各分析データの生成を行うデータ処理部30と、分析部20の状態の変化を検知して警告情報である状態変化情報の出力、この状態変化情報に応じて分析部20の状態の変化を判定するための判定試料の測定により生成される判定データの判定、及び判定データが異常であると判定した場合の異常情報の出力を行う管理部40とを備えている。
【0015】
更に、データ処理部30からの検量線や各分析データを出力する出力部50と、管理部40で判定を行うための判定条件の設定や、各種コマンド信号の入力等を行う操作部60と、分析制御部25、データ処理部30、管理部40、及び出力部50を統括して制御するシステム制御部70とを備えている。
【0016】
図2は、分析部20の構成を示した図である。この分析部20は、標準試料、被検試料、判定試料等のサンプルを収容したサンプル容器17を回動可能に保持するディスクサンプラ5と、サンプルに含まれる各項目の成分に対して選択的に反応する第1試薬が入った試薬容器6と、この試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを収納する試薬庫1と、第1試薬と対をなす第2試薬が入った試薬容器7と、この試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを収納する試薬庫2と、サンプル、第1試薬、及び第2試薬を収容する円周上に複数配置された反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0017】
また、分析サイクル毎に、サンプル容器17からサンプルを吸引させて反応容器3内に吐出させる分注をサンプル分注プローブ16に行わせるサンプル分注ポンプ16aと、試薬庫1の試薬容器6から第1試薬を吸引させて反応容器3に吐出させる分注を第1試薬分注プローブ14に行わせる第1試薬分注ポンプ14aと、試薬庫2の試薬容器7から第2試薬を吸引させて反応容器3に吐出させる分注を第2試薬分注プローブ15に行わせる第2試薬分注ポンプ15aと、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9とを備えている。
【0018】
更に、分析サイクル毎に、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15を洗浄する洗浄槽16b,14b,15bと、サンプル容器17内のサンプルの液面の検出、並びにサンプル分注プローブ16の詰まり及び衝突を検出するサンプル検出部17と、試薬庫1の試薬容器6内の第1試薬の液面の検出、並びに第1試薬分注プローブ14の詰まり及び衝突を検出する第1試薬検出部18と、試薬庫2の試薬容器7内の第2試薬の液面の検出、並びに第2試薬分注プローブ15の詰まり及び衝突を検出する第2試薬検出部19とを備えている。
【0019】
更にまた、分析サイクル毎に、反応容器3内に吐出されたサンプル及び第1試薬の混合液や、サンプル、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌ユニット11と、反応容器3に収容した各混合液を測定するランプを備えた測光ユニット13と、反応容器3内の測定を終えた各混合液の吸引、混合液を吸引した後の反応容器3内の洗浄及び乾燥、並びに乾燥後の反応容器3内へ例えば蒸留水やイオン交換水等のブランク液の供給を行う洗浄ユニット12とを備えている。
【0020】
そして、測光ユニット13は、分析サイクル毎に、回転移動する反応容器3にランプからの光を照射し、ブランク液を収容した反応容器3を透過した特定波長の光を検出して電気信号に変換する。その変換により生成した各反応容器3のブランク信号をデータ処理部30及び管理部40に出力する。
【0021】
また、ブランク信号を生成した後のサンプルを含む混合液を収容した反応容器3を透過した特定波長の光を検出して電気信号に変換する。その変換により生成した標準信号や、被検信号、判定信号等の各分析信号をデータ処理部30に出力する。測定後の反応容器3、サンプル分注プローブ16、第1及び第2試薬分注プローブ14,15、撹拌ユニット11などの各分析ユニットは、洗浄された後、再び測定に使用される。
【0022】
分析制御部25は、分析部20の各分析ユニットを駆動する機構部251と、機構部251を制御する制御部252とを備えている。機構部251は、分析部20における試薬庫1の試薬ラック1a、試薬庫2の試薬ラック2a、及びディスクサンプラ5を夫々回動する機構、反応ディスク4を回転する機構、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、及び撹拌ユニット11を夫々回動及び上下移動する機構、サンプル分注ポンプ16a、第1試薬分注ポンプ14a、及び第2試薬分注ポンプ15aを夫々吸引及び吐出駆動する機構、洗浄ユニット12を上下移動する機構等を備えている。制御部252は、機構部251の各機構を制御する制御回路を備え、機構部251の各機構を作動させて分析部20の各分析ユニットを制御する。
【0023】
図1のデータ処理部30は、分析部20の測光ユニット13から出力された標準信号や各分析信号から各項目の検量線の作成や、作成した検量線を用いて各項目の被検データや判定データ等の各分析データの生成を行う演算部31と、演算部31からの検量線や各分析データなどを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0024】
演算部31は、分析サイクル毎に測光ユニット13から出力された各反応容器3のブランク信号を記憶部31に保存する。そして、測光ユニット13から出力された標準信号の生成に使用した反応容器3のブランク信号をデータ記憶部32から読み出す。次いで、読み出したブランク信号及び測光ユニット13からの標準信号を用いてその標準信号に対応する吸光度を算出し、算出した吸光度と予め設定された標準試料の標準値の関係から検量線を作成する。そして、作成した検量線を出力部50に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0025】
また、測光ユニット13から出力された被検信号の生成に使用した反応容器3のブランク信号、及びその被検信号に対応する項目の検量線をデータ記憶部32から読み出す。次いで、読み出したブランク信号及び測光ユニット13からの被検信号を用いてその被検信号に対応する吸光度を算出し、算出した吸光度を読み出した検量線を用いて濃度や活性値等で表される被検データを生成する。
【0026】
更に、測光ユニット13から出力された判定信号の生成に使用した反応容器3のブランク信号、及びその判定信号に対応する項目の検量線をデータ記憶部32から読み出す。次いで、読み出したブランク信号及び測光ユニット13からの判定信号を用いてその判定信号に対応する吸光度を算出し、算出した吸光度を読み出した検量線を用いて濃度や活性値等で表される判定データを生成する。
【0027】
そして、管理部40から状態変化情報が出力されたときの分析部20の状態の変化に係る測定により生成された被検信号から生成した被検データにその状態変化情報を付加してデータ記憶部32に保存すると共に出力部50に出力する。また、生成した判定データをデータ記憶部32に保存すると共に管理部40及び出力部50に出力する。更に、管理部40から状態変化情報が出力された後、判定データの判定結果の情報が出力されるまでの間に、分析部20の状態の変化に係る測定により生成される被検データに状態変化情報を付加してデータ記憶部32に保存すると共に出力部50に出力する。
【0028】
データ記憶部32は、ハードディスクなどを備え、演算部31から出力されたブランク信号を各反応容器3に関連付けて保存する。また、演算部31から出力された検量線を各項目に関連付けて保存する。更に、各項目の被検データや判定データを時系列に保存する。
【0029】
管理部40は、分析部20の状態を検知する検知部41と、データ処理部30の演算部31で生成された判定データが異常であるか否かを判定する判定部42とを備えている。
【0030】
検知部41は、分析部20の測光ユニット13から出力されるブランク信号、分析部20のサンプル検出部17、第1試薬検出部18、及び第2試薬検出部19から出力される各検出信号、分析制御部25の制御部252から出力される情報等に基づいて、被検試料の分注、第1試薬の分注、第2試薬の分注、及び混合液の測定等における分析部20の状態を検知する。そして、分析部20の状態が変化している場合に警告情報である状態変化情報をデータ処理部30の演算部31及びシステム制御部70に出力する。
【0031】
判定部42は、システム制御部70から供給される判定条件の情報に基づいて、検知部41からの状態変化情報に応じて演算部31から出力された判定データを判定し、分析部20における状態の変化が異常であるか否かを判断する。
【0032】
そして、判定データが異常であると判定した場合、分析部20の状態変化が異常であると判断し、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データを異常であると判定する。次いで、判定した被検データに異常情報を付加すると共にその異常情報をシステム制御部70に出力する。
【0033】
また、判定データが正常であると判定した場合、分析部20の状態変化は正常であると判断し、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データを正常であると判定する。次いで、その正常情報を演算部31及び出力部50に出力する。
【0034】
出力部50は、データ処理部30から出力された検量線や、被検データ、状態変化情報や異常情報が付加された被検データ、及び判定データの各分析データを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52と、管理部40から出力された状態変化情報や異常情報等を音声出力する音声部53とを備えている。
【0035】
印刷部51は、プリンタなどを備え、データ処理部30の演算部31から出力された検量線や各分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙に印刷出力する。
【0036】
表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量線や各分析データを表示する。また、管理部40の検知部41から出力された状態変化情報や、判定部42から出力された異常情報を表示する。更に、各項目の波長、サンプル量、試薬量などの分析条件の設定するための分析条件設定画面、判定条件を設定するための判定条件設定画面、被検試料毎に測定する項目を設定するための測定項目設定画面などを表示する。
【0037】
音声部53は、スピーカやブザーなどを備え、検知部41から出力された状態変化情報や、判定部42から出力された異常情報を音声やブザー音により識別して出力する。
【0038】
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、項目毎の分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報の入力、判定条件等の設定、被検試料毎の測定する項目の設定などの様々な操作を行う。
システム制御部70は、CPU及び記憶回路71を備え、操作部60から供給されるコマンド信号、各項目の分析条件、被検体情報、判定条件、被検試料毎の測定項目などの入力情報を記憶回路71に保存した後、これらの入力情報に基づいて、分析部20の各分析ユニットなどを分析サイクル毎に所定のシーケンスで測定動作させる制御、検量線の作成や各分析データの生成などシステム全体の制御を行う。
【0039】
また、データ管理部40の検知部41から状態変化情報が出力されたとき、分析制御部25に判定試料の測定を指示する。更に、判定部42から異常情報が出力されたとき、分析制御部25に分析部20の状態変化に係る分析ユニットの動作の停止を指示する。
【0040】
次に、図1乃至6を参照して、分析部20のサンプル検出部17、第1試薬検出部18、及び第2試薬検出部19の各検出部の構成、各検出部の検出信号に基づく分析制御部20の制御部252の制御、各検出部の検出信号に基づく管理部40における分析部20の管理、及び出力部50の表示部52に表示される判定条件設定画面について説明する。図3は、サンプル検出部17の構成を示す図である。図4は、第1試薬検出部18の構成を示す図である。図5は、第2試薬検出部19の構成を示す図である。図6は、表示部52に表示される判定条件設定画面を示す図である。
【0041】
図3において、サンプル検出部17は、分析部20のディスクサンプラ5に保持されたサンプル容器17内のサンプルを検出する液面検出器171と、サンプル分注プローブ16の詰まりを検出する詰まり検出器172と、サンプル分注プローブ16の障害となる障害物体への衝突を検出する障害物検出器173とを備えている。
【0042】
液面検出器171は、サンプル分注毎にサンプル分注プローブ16の一端部がサンプル容器17内のサンプルに接触したときに生じるサンプル分注プローブ16とサンプルの間の静電容量の変化を検出する検出回路を備えている。そして、サンプル分注プローブ16がサンプルの吸引のためにサンプル容器17の上方の上停止位置に回動した後、下へ移動してサンプル分注プローブ16の一端部がサンプルに接触したときにその液面を検出する検出信号を制御部252に出力する。
【0043】
制御部252は、液面検出器171からの検出信号に基づいて、サンプル分注アーム10を制御して、サンプル分注プローブ16をサンプル容器17内のサンプルの液面から所定の深さに達した位置で停止させる。
【0044】
詰まり検出器172は、圧力を検出する例えば半導体式の圧力センサ及びこの圧力センサからの検出信号を処理する信号処理回路を備え、サンプル分注プローブ16の他端部とサンプル分注ポンプ16aの間を接続している第1のチューブの一部に一端部が接続された第2のチューブの他端部に接続される。
【0045】
そして、サンプル分注毎に、サンプル分注ポンプ16aがサンプル分注プローブ16内にサンプル容器17内のサンプルを吸引させるときや、吸引したサンプルをサンプル分注プローブ16から反応容器3内へ吐出させるときの第1及び第2のチューブ内に封入された圧力伝達媒体の圧力を検出する。その圧力を検出した検出信号を管理部40の検知部41に出力する。
【0046】
検知部41は、詰まり検出器172からの検出信号に基づいて、サンプル分注プローブ16の状態を検知する。そして、検出信号が許容範囲内である場合、サンプル分注プローブ16内の状態が変化していないと判断する。また、サンプル分注プローブ16の一端部を例えば血清に含まれるフィブリンが塞いで検出信号が許容範囲から外れている場合、サンプル分注プローブ16の状態が変化してサンプルの分注精度が低下し、被検試料の分注に悪影響を与える可能性があると判断する。そして、その状態変化情報をシステム制御部70及び演算部31に出力する。
【0047】
障害物検出器173は、例えばスイッチと、このスイッチがOFFのときに開回路を形成し、サンプル分注アーム10に対してサンプル分注プローブ16が上方に作動する力が作用したときにスイッチがONして閉回路を形成する検出回路を備え、サンプル分注アーム10内に配置される。そして、サンプル分注毎に、サンプル容器17、反応容器3、及び洗浄槽16bの上方の各上停止位置から下に移動するサンプル分注プローブ16の矢印L1,L2,L3で示した各軌道における検出信号を検知部41に出力する。
【0048】
検知部41は、障害物検出器173からの検出信号に基づいて、サンプル分注プローブ16の状態を検知する。そして、検出信号に衝突信号が含まれていない場合、サンプル分注プローブ16の状態が変化していないと判断する。また、検出信号に衝突信号が含まれている場合、例えばサンプル分注プローブ16の一端部又はその近傍が例えば曲がって変形してサンプル分注精度が低下し、その分注により生成される被検データが悪化する可能性があると判断する。そして、その状態変化情報をシステム制御部70及び演算部31に出力する。
【0049】
システム制御部70では、検知部41から状態変化情報が出力されたとき、被検データが悪化するか否かを判定する判定試料の測定を制御部252に指示する。また、その状態変化情報を表示部52及び音声部53に出力する。
【0050】
演算部31では、検知部41から態変化情報が出力されたときの分析部20の状態の変化に係る測定により生成された被検信号から生成する被検データにその状態変化情報を付加する。また、検知部41から状態変化情報が出力された後、管理部40により判定データの判定結果の情報が出力されるまでの間に分析部20の状態の変化に係る測定により生成された被検信号から生成する被検データに状態変化情報を付加する。そして、状態変化情報を付加した被検データをデータ記憶部32に保存すると共に出力部50の印刷部51及び表示部52に出力する。
【0051】
判定部42は、システム制御部70から供給される判定条件の情報に基づいて、検知部41からの状態変化情報に応じて演算部31から出力された判定データが異常であるか否かを判定する。そして、判定データが異常であると判定した場合、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データを異常であると判定し、判定した被検データに異常情報を付加すると共にその異常情報をシステム制御部70に出力する。また、判定データが正常である場合、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データを正常であると判定し、その正常情報を演算部31に出力する。
【0052】
システム制御部70では、判定部42から異常情報が出力されたとき、制御部252に分析部20の状態変化に係る測定の停止を指示すると共に、その異常情報を表示部52及び音声部53に出力する。また、演算部31では、判定部42から出力された正常情報に対応する判定データ以降に生成した被検データを、この被検データへの状態変化情報の付加を止めてデータ記憶部32に保存すると共に印刷部51及び表示部52に出力する。
【0053】
図4は、第1試薬検出部18の構成を示した図である。第1試薬検出部18は、分析部20における試薬庫1の試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を検出する液面検出器181と、第1試薬分注プローブ14の詰まりを検出する詰まり検出器182と、第1試薬分注プローブ14の障害物体への衝突を検出する障害物検出器183とを備えている。
【0054】
液面検出器181は、第1試薬分注プローブ14が試薬容器7内の第1試薬に接触したときに生じる第1試薬分注プローブ14と第1試薬の間の静電容量の変化を検出する検出回路を備えている。そして、第1試薬の分注毎に、第1試薬分注プローブ14が第1試薬の吸引のために試薬容器6の上方の上停止位置まで回動した後、下へ移動して第1試薬分注プローブ14の一端部が第1試薬に接触したときにその液面を検出する検出信号を制御部252に出力する。
【0055】
制御部252は、液面検出器181からの検出信号に基づいて、第1試薬分注アーム8を制御して、第1試薬分注プローブ14を試薬容器6内の第1試薬の液面から所定の深さに達した位置で停止させる。また、第1試薬分注プローブ14を上停止位置から液面位置まで移動した移動距離の情報である例えば第1試薬分注アーム10を駆動するステッピングモータへの供給駆動パルスから試薬容器6内の試薬量を算出する。そして、算出した試薬量の情報を管理部40の検知部41に出力する。
【0056】
検知部41は、制御部252からの試薬量の情報に基づいて、試薬庫1の液面を検出したすべての試薬容器6内の第1試薬の状態を検知する。そして、試薬容器6内の試薬量が前回分注したときの試薬量未満である場合、その試薬容器6内の第1試薬の状態が変化していないと判断する。また、試薬容器6内の試薬量が前回分注したときの試薬量以上である場合、例えばその試薬容器6内の第1試薬の継ぎ足しによる試薬成分のロット間差などにより、その第1試薬の分注により生成される被検データが悪化する可能性があると判断する。そして、その状態変化情報をシステム制御部70及びデータ処理部40の演算部41及びに出力する。
【0057】
詰まり検出器182は、圧力を検出するための圧力センサ及びこの圧力センサからの検出信号を処理する信号処理回路を備え、第1試薬分注プローブ14の他端部と第1試薬分注ポンプ14aの間を接続している第1のチューブの一部に一端部が接続された第2のチューブの他端部に接続される。
【0058】
そして、第1試薬分注ポンプ14aが第1試薬分注プローブ14内に試薬容器6内の第1試薬を吸引させるときの圧力や、吸引した第1試薬を第1試薬分注プローブ14から反応容器3内へ吐出させるときの第1及び第2のチューブ内に封入された圧力伝達媒体の圧力を検出する。その検出した圧力の検出信号を検知部41に出力する。
【0059】
検知部41は、詰まり検出器182からの検出信号に基づいて、第1試薬分注プローブ14の状態を検知する。そして、検出信号が許容範囲内である場合、第1試薬分注プローブ14の状態が変化していないと判断する。また、検出信号が第1試薬分注プローブ14の詰まり等により許容範囲から外れている場合、第1試薬分注プローブ14の第1試薬の分注精度が低下し、第1試薬の分注により生成される被検データが悪化する可能性があると判断する。そして、その状態変化情報をシステム制御部70及び演算部41及びに出力する。
【0060】
障害物検出器183は、第1試薬分注アーム8に対して第1試薬分注プローブ14が障害物体に衝突して上方に作動する力が作用したときの衝突信号を検出する検出回路を備え、第1試薬分注アーム8内に配置される。そして、試薬容器6、反応容器3、及び洗浄槽14bの上方の各上停止位置から下に移動する第1試薬分注プローブ14の矢印L4,L5,L6で示した各軌道における検出信号を検知部41に出力する。
【0061】
検知部41は、障害物検出器183からの検出信号に基づいて、第1試薬分注プローブ14の状態を検知する。そして、検出信号に衝突信号が含まれていない場合、第1試薬分注プローブ14の状態が変化していないと判断する。また、検出信号に衝突信号が含まれている場合、例えば第1試薬分注プローブ14の一端部又はその近傍が例えば曲がって変形して第1試薬の分注精度が低下し、又は反応容器3内における被検試料と第1試薬の混和が不十分であり、第1試薬の分注により生成される被検データが悪化する可能性があると判断する。そして、その状態変化情報をシステム制御部70及び演算部41に出力する。
【0062】
システム制御部70では、検知部41から状態変化情報が出力されたとき、被検データが悪化するか否かを判定する判定試料の測定を制御部252に指示する。また、その状態変化情報を表示部52及び音声部53に出力する。
【0063】
演算部31では、検知部41からの状態変化情報に対応する分析部20の状態の変化に係る測定により生成された被検信号から生成する被検データにその状態変化情報を付加する。また、検知部41から状態変化情報が出力された後、判定部42から判定データの判定結果の情報が出力されるまでの間に分析部20の状態の変化に係る測定により生成された被検信号から生成する被検データに状態変化情報を付加する。そして、状態変化情報を付加した被検データをデータ記憶部32に保存すると共に出力部50の印刷部51及び表示部52に出力する。
【0064】
判定部42は、システム制御部70から供給される判定条件の情報に基づいて、検知部41からの状態変化情報に応じて演算部31から出力された判定データが異常であるか否かを判定する。そして、判定データが異常であると判定した場合、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データを異常であると判定し、判定した被検データに異常情報を付加すると共に、その異常情報をシステム制御部70に出力する。また、判定データが正常である場合、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データを正常であると判定し、その正常情報を演算部31に出力する。
【0065】
システム制御部70では、判定部42から異常情報が出力されたとき、制御部252に分析部20の状態変化に係る測定の停止を指示すると共に、その異常情報を表示部52及び音声部53に出力する。また、演算部31では、判定部42から出力された正常情報に対応する判定データ以降に生成した被検データを、この被検データへの状態変化情報の付加を止めてデータ記憶部32に保存すると共に印刷部51及び表示部52に出力する。
【0066】
図5は、第2試薬検出部19の構成を示した図である。この第2試薬検出部19は、分析部20における試薬庫2の試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を検出する液面検出器191と、第2試薬分注プローブ15の詰まりを検出する詰まり検出器192と、第2試薬分注プローブ15の障害物体への衝突を検出する障害物検出器193とを備えている。このように、第2試薬検出部19は、図4の第1試薬検出部18と同様に構成され、第1試薬検出部18と同様に動作し、第2試薬検出部19の動作に応じて図4で説明した制御部252、管理部40、及びシステム制御部70も同様に動作するのでその説明を省略する。
【0067】
図6は、表示部52に表示される判定条件設定画面を示した図である。この判定条件設定画面54は、分析部20の測光ユニット13、サンプル検出部17、第1試薬検出部18、及び第2試薬検出部管理部40からの信号や、分析制御部25の制御部252からの試薬量の情報等に基づいて、管理部40の検知部41で検知される分析部20の状態の変化を表示した「状態変化種別」の欄と、「状態変化種別」の欄に表示した状態変化の判定に用いる判定試料を設定するための「判定試料」の欄と、「判定試料」の欄に設定した判定試料を測定する項目を設定するための「項目」の欄とにより構成される。
【0068】
また、「項目」の欄に設定した項目を測定する回数を設定するための「測定回数」の欄と、「判定試料」の欄に設定した判定試料の「項目」の欄に設定した項目の測定により生成された判定データの判定基準となる正常範囲を設定するための「正常範囲」の欄とにより構成される。そして、操作部60から各欄への設定が行われると、各欄に対応する各ダイアログボックス541a乃至545e等に設定した入力情報が表示されると共に、その入力情報がシステム制御部70の記憶回路71に保存される。
【0069】
「状態変化種別」の欄には、「Sプローブ衝突」、「R1プローブ衝突」、「R1試薬増量」、「ランプ」、「Sプローブ詰まり」等の各状態変化が表示される。そして、「Sプローブ衝突」はサンプル分注プローブ16の障害物体への衝突を表し、「R1プローブ衝突」は第1試薬分注プローブ14の障害物体への衝突を表している。また、「R1試薬増量」は試薬庫1の試薬容器6内の試薬量が増えていることを表している。更に、「ランプ」は、測光ユニット13におけるランプの劣化を表している。更に、「Sプローブ詰まり」は、サンプル分注プローブ16の詰まりを表している。
【0070】
なお、検知部41は、測光ユニット13からのブランク信号に基づいて、測光ユニット13のランプの状態を検知する。そして、ブランク信号が許容範囲内である場合、ランプの状態が変化していないと判断する。また、ブランク信号が許容範囲から外れている場合、ランプの状態が変化し、ランプが劣化している可能性があると判断する。そして、その状態変化情報を演算部31及びシステム制御部70に出力する。
【0071】
「判定試料」の欄には、分析部20の状態変化が異常であるか否かを判断するための判定試料を収容したサンプル容器17をセットする分析部20のディスクサンプラ5の位置を設定する。そして、「状態変化種別」の欄における「Sプローブ衝突」、「R1プローブ衝突」、及び「Sプローブ詰まり」の判定試料の位置として、ディスクサンプラ5の位置の中から例えばC2を選択する操作が操作部60から行われると、各ダイアログボックス541a,542a,545a内に「C2」が表示される。また、「R1試薬増量」の判定試料の位置としてC1を選択する操作が行われると、ダイアログボックス543a内に「C1」が表示される。更に、「ランプ」の判定試料の位置としてC3を選択する操作が行われると、ダイアログボックス544a内に「C3」が表示される。
【0072】
「項目」の欄には、「判定試料」の欄に設定された位置の判定試料の測定する項目を設定する。そして、「状態変化種別」の欄における「Sプローブ衝突」及び「Sプローブ詰まり」の判定試料の測定項目として、表示部52の分析条件設定画面で設定された項目の中から、分析データの誤差要因の中でサンプル分注精度による要因の占める割合が大きい例えばCaを選択する操作が行われると、各ダイアログボックス541b,545b内に「Ca」が表示される。
【0073】
また、「R1プローブ衝突」の判定試料の項目として、分析データの誤差要因の中で第1試薬を反応容器3内に吐出したときの被検試料と第1試薬の混和による要因の占める割合が大きい例えばTPを選択する選択操作が行われると、ダイアログボックス542b内に「TP」が表示される。更に、「R1試薬増量」の判定試料の測定項目として増量した項目の第1試薬を選択する操作が行われると、ダイアログボックス543b内に「当該項目」が表示される。
【0074】
更にまた、「ランプ」の判定試料の項目として、分析データの誤差要因の中で測光精度による要因の占める割合が大きい例えばGOTを選択する操作が行われると、ダイアログボックス544b内に「GOT」が表示される。
【0075】
「測定回数」の欄には、「項目」の欄に設定された項目を連続して測定する回数を設定する。そして、「状態変化種別」の欄における「Sプローブ衝突」、「ランプ」、及び「Sプローブ詰まり」の項目の回数を例えば3に設定する操作が行われると、各ダイアログボックス541c,544c,545c内に「3」が表示される。また、「R1プローブ衝突」及び「R1試薬増量」の項目の回数を2に設定する操作が行われると、各ダイアログボックス542c,543c内に「2」が表示される。
【0076】
「正常範囲」の欄には、「判定試料」の欄に設定した判定試料の「項目」の欄に設定した項目を「測定回数」の欄に設定した回数測定することにより生成される判定データを判定するための判定基準である正常範囲を設定する。そして、「状態変化種別」の欄における「Sプローブ衝突」及び「Sプローブ詰まり」の正常範囲を例えば9.8〜10.2に設定する操作が行われると、各ダイアログボックス541d,545d内に「9.8」が表示され、各ダイアログボックス541e,545e内に「10.2」が表示される。また、「R1プローブ衝突」の範囲を7.4〜7.8に設定する操作が行われると、ダイアログボックス542d内に「7.4」が表示され、ダイアログボックス542e内に「7.8」が表示される。更に、「ランプ」の正常範囲を38〜42に設定する操作が行われると、ダイアログボックス544d内に「38」が表示され、ダイアログボックス544e内に「42」が表示される。
【0077】
なお、「状態変化種別」の欄における「R1試薬増量」の正常範囲を、「判定試料」の欄に設定した「C1」に関連付けて、分析条件設定画面で設定されたすべての項目の範囲の設定が可能な正常範囲設定画面で設定する。
【0078】
このように、分析部20の状態の変化の種別に応じて判定試料、この判定試料を測定する項目、測定回数、及び正常範囲を設定することができる。これにより、分析部20の状態の変化が異常であるか否かを正確に判断することができる。
【0079】
以下、図1乃至図10を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。図7は、サンプル検出部17の障害物検出器173からの検出信号に基づいて、検知部41で分析部20の状態を検知する場合の自動分析装置100の動作を示すフローチャートである。図8及び図9は、図7における自動分析装置100の動作でデータ記憶部32に保存された被検データを示す図である。図10は、第1試薬検出部18の液面検出器181からの検出信号に基づいて、検知部41で分析部20の状態を検知する場合の自動分析装置100の動作を示すフローチャートである。
【0080】
図7において、システム制御部70の記憶回路71には、図6の判定条件設定画面54で設定された判定条件と、予め設定された測定対象の被検試料及び表示部52の測定項目設定画面で設定された測定対象の被検試料毎の測定項目の入力情報が保存されている。また、データ処理部30のデータ記憶部32には表示部52の分析条件設定画面で設定された項目の検量線が保存されている。この測定対象の被検試料毎の測定項目の設定により、分析部20が正常に動作すると、被検試料の分注がh回(h>1)行われることになる。
【0081】
そして、測定対象の被検試料、及び判定条件設定画面54で設定された判定試料を夫々収容したサンプル容器17が分析部20のディスクサンプラ6にセットされ、操作部60から被検試料の測定操作が行われると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0082】
システム制御部70は、分析制御部25、データ処理部30、管理部40、及び出力部50に、システム制御部70の記憶回路71に保存した被検試料毎の項目の測定、被検データの生成、及び分析部20の管理を指示する。分析制御部25の制御部252は、分析部20の各分析ユニットを一旦ホームポジションに移動させてから測定動作を開始させる。測光ユニット13は、各反応容器3のブランク信号を生成してデータ処理部30の演算部31に出力する。サンプル分注プローブ16は、ディスクサンプラ5に保持されたサンプル容器17から被検試料を吸引してブランク信号を生成した反応容器3に吐出する。サンプル検出部17の障害物検出器173は、被検試料の分注毎の検出信号を管理部40の検知部41に出力する。検知部41は、障害物検出器173から出力された検出信号に基づいて、分析部20の状態を検知する。
【0083】
そして、ディスクサンプラ5におけるサンプル容器17の上方から図3に示したL1乃至L3方向へ移動したときの検出信号に衝突信号が含まれていない場合(ステップS2のいいえ)、サンプル分注プローブ16の状態が変化していないと判断し、ステップS8へ移行する。また、検出信号に衝突信号が含まれている場合(ステップS2のはい)、サンプル分注プローブ16の状態が変化し、この分注により生成される被検データが悪化する可能性があると判断する。そして、状態変化情報をシステム制御部70及び演算部31に出力する。システム制御部70は、検知部41から状態変化情報が出力されたとき、制御部252に判定試料の測定を指示すると共に、その状態変化情報を出力部50の表示部52及び音声部53に出力する(ステップS3)。
【0084】
このように、サンプル分注プローブ16の状態の変化が検知されたとき、判定試料の測定を直ちに行うことができる。また、状態変化情報を出力部50に出力することにより、自動分析装置100の操作者にサンプル分注プローブ16の状態が変化していることを迅速に知らせることができる。
【0085】
ここで、f回目(h>f>1)の被検試料の分注において、障害物検出器173からの検出信号に衝突信号が含まれているとする。f回目の被検試料の分注後、サンプル分注プローブ16は、(f+1)乃至(f+3)回目{h>(f+3)}の分注において、判定条件設定画面54で設定された判定試料を反応容器3に分注する。判定試料の分注後、(f+4)回目以降の分注において、被検試料を反応容器3に分注する。
【0086】
第1試薬分注プローブ14は、試薬庫1の試薬容器6から被検試料が分注された反応容器3に第1試薬を分注する。また、判定試料が分注された反応容器3に判定条件設定画面54で設定された項目である「Ca」の第1試薬を分注する。更に、判定試料の分注後に、被検試料が分注された反応容器3に第1試薬を分注する。撹拌ユニット11は、第1試薬が分注された反応容器3内の混合液を撹拌する。第2試薬分注プローブ15は、反応容器3内の第1試薬と対をなす第2試薬を、試薬庫2の試薬容器7から吸引して反応容器3に吐出する。撹拌ユニット11は、第2試薬が分注された反応容器3内の混合液を撹拌する。
【0087】
測光ユニット13は、1乃至f回目に分注された被検試料及び第1試薬の混合液、又は被検試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を収容した反応容器3に光を照射して、透過した光を検出して1乃至f回目の被検信号を生成する。そして、生成した被検信号を演算部31に出力する。また、判定試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を収容した反応容器3に光を照射して、透過した光を検出して判定信号を生成する。そして、生成した1乃至3回目の判定信号を演算部31に出力する。更に、(f+1)回目以降に分注された被検試料及び第1試薬の混合液、又は被検試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を収容した反応容器3に光を照射して、透過した光を検出して(f+1)回目以降の被検信号を生成する。そして、生成した被検信号を演算部31に出力する。
【0088】
演算部31は、測光ユニット13から出力された1乃至(f―1)回目の被検信号に基づいて、第1乃至第(f−1)の被検データを生成してデータ記憶部32に保存すると共に印刷部51及び表示部52に出力する。
【0089】
また、測光ユニット13から出力されたf回目の被検信号に基づいて第fの被検データを生成し、生成した第fの被検データに状態変化情報を付加してデータ記憶部32に保存すると共に、状態変化情報を付加した第fの被検データを印刷部51及び表示部52に出力する。
【0090】
更に、測光ユニット13から出力された1乃至3回目の判定信号に基づいて第(f+1)乃至第(f+3)の判定データを生成し、生成した第(f+1)乃至第(f+3)の判定データをデータ記憶部32に保存すると共に判定部42、印刷部51、及び表示部52に出力する(ステップS4)。
【0091】
更にまた、測光ユニット13から出力された(f+1)回目以降の被検信号に基づいて、第(f+4)回目以降の被検データを生成し、生成した第(f+4)回目の被検データに状態変化情報を付加する。また、第(f+4)回目の被検データが生成された後、判定部42から判定結果の情報が出力されるまでの間の被検試料の分注により生成する被検データに状態変化情報を付加する。そして、状態変化情報を付加した被検データをデータ記憶部32に保存すると共に出力部50の印刷部51及び表示部52に出力する。
【0092】
このように、サンプル分注プローブ16の状態の変化が検知されたとき、被検試料の分注により生成された被検データ、及びこの被検データが生成された後、判定部42により判定結果の情報が出力されるまでの間の被検試料の分注により生成される被検データに状態変化情報を付加することにより、悪化している可能性がある被検データを容易に見分けることができる。
【0093】
ここで、第(f+3)の判定データが生成されるときに、g回目{h>g>(f+4)}の被検試料の分注が行われるとする。
【0094】
判定部42は、システム制御部70から供給される判定条件設定画面54で設定された「Ca」の正常範囲である「9.8〜10.2」の判定条件に基づいて、演算部31から出力された第(f+1)乃至第(f+3)の判定データを判定する。そして、第(f+1)乃至第(f+3)の判定データが正常範囲内である場合(ステップS5のはい)、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された第fの被検データを正常であると判定し、その正常情報を演算部31に出力して、ステップS8へ移行する。
【0095】
また、第(f+1)乃至第(f+3)の判定データの少なくとも1つのデータが正常範囲から外れている場合(ステップS5のいいえ)、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された第fの被検データを異常であると判定し、判定した第fの被検データに異常情報を付加すると共に、その異常情報をシステム制御部70及び演算部31に出力する。
【0096】
システム制御部70は、判定部42から異常情報が出力されたとき、制御部252にサンプル分注プローブ16の分注動作の停止を指示すると共に、その異常情報を表示部52及び音声部53に出力する(ステップS6)。
【0097】
このように、判定データが異常である場合、異常情報を出力部50に出力することにより、操作者にサンプル分注プローブ16の異常を迅速に知らせることができる。
【0098】
サンプル分注プローブ16は、制御部252の制御により、(g+1)回目{h>(g+1)}以降の被検試料の分注を停止する(ステップS7)。
【0099】
このように、判定データが異常である場合、判定結果が出力された後のサンプル分注プローブ16の分注動作を停止させることができる。これにより、被検試料及び試薬の浪費を低減することができる。
【0100】
ステップS7の後に、演算部31は、判定部42から異常の情報が出力されるまでの間に、測光ユニット13から出力された(f+1)乃至g回目の被検信号に基づいて第(f+4)乃至第(g+3)の被検データを生成する。そして、生成した第(f+4)乃至第(g+3)の被検データに状態変化情報を付加してデータ記憶部32に保存すると共に、状態変化情報を付加した被検データを印刷部51及び表示部52に出力する。更に、データ記憶部32保存された状態変化情報が付加された被検データに異常情報を付加する。
【0101】
このように、判定データが異常である場合、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データに異常情報を付加することにより、異常である被検データを容易に見分けることができる。
【0102】
図8は、判定部42から異常情報が出力された場合にデータ記憶部32に保存された被検データを示した図である。データ記憶部32には、第1乃至第fの被検データ、第(f+1)乃至第(f+3)の判定データ、及び第(f+4)乃至第gの被検データが保存されている。そして、第fの被検データ及び第(f+4)乃至第gの被検データに状態変化情報E1及び異常情報E2が付加されている。
【0103】
このように、サンプル分注プローブ16の状態の変化が検知されたとき、直ちに判定試料を分注してその混合液を測定することにより、サンプル分注プローブ16の状態の変化が異常であるか否かを迅速に判定できる。これにより、サンプル分注プローブ16の状態の変化が異常である場合に再測定の対象となる被検試料及び試薬の浪費、並びに再測定に要する時間の浪費を低減することができる。
【0104】
図7のステップS2の「いいえ」の後に、分析部20は、1乃至h回目の被検試料の分注により1乃至h回目の被検信号を生成して演算部31に出力する。演算部31は、分析部20から出力された1乃至h回目の被検信号に基づいて、第1乃至第hの被検データを生成してデータ記憶部32に保存すると共に印刷部51及び表示部52に出力する。
【0105】
ステップS5の「はい」の後に、分析部20は、(f+1)乃至h回目の被検信号を生成して演算部31に出力する。演算部31は、分析部20から出力された(f+1)乃至h回目の被検信号に基づいて第(f+4)乃至第(h+3)の被検データを生成する。次いで、生成した第(f+4)乃至第(h+3)の被検データの内、判定部42から出力された正常情報に基づいて第(f+3)の判定データが生成されたときのg回目の被検試料の分注により生成された第(g+3)の被検データから状態変化情報の付加を止めてデータ記憶部32に保存すると共に印刷部51及び表示部52に出力する。
【0106】
図9は、判定部42から正常情報が出力された場合にデータ記憶部32に保存された被検データを示した図である。データ記憶部32には、第1乃至第fの被検データ、第(f+1)乃至第(f+3)の判定データ、及び第(f+4)乃至第(h+3)の被検データが保存されている。そして、第fの被検データ及び第(f+4)乃至第(g+3)の被検データには状態変化情報E1が付加されている。
【0107】
図7のステップS2の「いいえ」、又はステップ5の「はい」、又はステップS7の後に、印刷部51及び表示部52に最後の被検データが出力された時点で、システム制御部70は、分析制御部25、データ処理部30、管理部40、及び出力部50に測定動作の停止を指示する。そして、自動分析装置100は、動作を終了する(図7のステップS8)。
【0108】
次に、第1試薬検出部18の液面検出器181からの検出信号に基づいて、検知部41で分析部20の状態を検知する場合の例を説明する。
【0109】
図10は、第1試薬検出部18の液面検出器181からの検出信号に基づいて、検知部41で分析部20の状態を検知する場合の自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。
【0110】
システム制御部70の記憶回路71には、図6の判定条件設定画面54で設定された判定条件と、予め設定された測定対象の被検試料及び表示部52の測定項目設定画面で設定された測定対象の被検試料毎の項目の入力情報が保存されている。また、データ処理部30のデータ記憶部32には表示部52の分析条件設定画面で設定された項目の検量線が保存されている。この測定対象の被検試料毎の項目の設定により、分析部20が正常に動作すると、被検試料の分注がh回(h>1)行われることになる。
【0111】
そして、測定対象の被検試料、及び判定条件設定画面54で設定された判定試料を夫々収容したサンプル容器17が分析部20のディスクサンプラ6にセットされ、操作部60から被検試料の測定操作が行われると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS11)。
【0112】
システム制御部70は、分析制御部25、データ処理部30、管理部40、及び出力部50に、システム制御部70の記憶回路71に保存した被検試料毎の項目の測定、被検データの生成、及び分析部20の管理を指示する。分析制御部25の制御部252は、分析部20の各分析ユニットを一旦ホームポジションに移動させてから測定動作を開始させる。
【0113】
分析部20の測光ユニット13は、各反応容器3のブランク信号を生成してデータ処理部30の演算部31に出力する。サンプル分注プローブ16は、サンプル容器17内の被検試料を設定された項目の数だけ反応容器3に分注した後、次のサンプル容器17内の被検試料を分注する。第1試薬分注プローブ14は、試薬庫1の試薬容器6から第1試薬を吸引して、被検試料が分注された反応容器3内に吐出する。
【0114】
液面検出器181は、試薬庫1における各試薬容器6内の第1試薬の分注毎に検出信号を制御部252に出力する。制御部252は、液面検出器181からの検出信号に基づいて、算出した各試薬容器6内の試薬量の情報を検知部41に出力する。検知部41は、制御部252からの試薬量の情報に基づいて、試薬庫1の各試薬容器6内の第1試薬の状態を検知する。
【0115】
そして、同じ試薬容器6からの2回目以降の第1試薬の分注のときに、その試薬容器6内の試薬量が前回の試薬量未満である場合(ステップS12のはい)、その試薬容器6内の第1試薬の状態が変化していないと判断し、ステップS18へ移行する。
【0116】
また、試薬容器6内の試薬量が前回の試薬量以上である場合(ステップS12のいいえ)、その試薬容器6内の第1試薬の状態が変化し、この第1試薬の分注により生成される被検データが悪化する可能性があると判断する。そして、その状態変化情報をシステム制御部70及び演算部31に出力する。システム制御部70は、検知部41から状態変化情報が出力されたとき、制御部252に判定試料の測定を指示すると共に、その状態変化情報を表示部52及び音声部53に出力する(ステップS13)。
【0117】
このように、試薬容器6内の第1試薬の状態の変化が検知されたとき、判定試料の測定を直ちに行うことができる。また、状態変化情報を出力部50に出力することにより、操作者にその試薬容器6内の第1試薬の試薬量の状態が変化していることを迅速に知らせることができる。
【0118】
ここで、例えばA項目の試薬容器6からのj回目(h>j>1)の第1試薬分注において、A項目の試薬容器6内の試薬量が前回の試薬量よりも増えているとする。A項目のj回目の第1試薬分注の後、第1試薬分注プローブ14は、判定条件設定画面54で設定された判定試料が分注された反応容器3に、A項目の(j+1)乃至(j+3)回目{h>(j+3)}の第1試薬分注を行う。その後、A項目の試薬容器6以外の試薬容器6から被検試料が分注された反応容器3に第1試薬を分注する。また、被検試料が分注された反応容器3に、A項目の(j+4)回目以降の第1試薬分注を行う。
【0119】
撹拌ユニット11は、第1試薬が分注された反応容器3内の混合液を撹拌する。第2試薬分注プローブ15は、第1試薬が分注された反応容器3にその第1試薬と対をなす第2試薬を試薬庫2の試薬容器7から反応容器3に分注する。撹拌ユニット11は、第2試薬が分注された反応容器3内の混合液を撹拌する。測光ユニット13は、被検試料及び第1試薬の混合液、又は被検試料或いは判定試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を収容した反応容器3に光を照射して、透過した光を吸光度に変換して被検信号又は判定信号を生成する。そして、生成した被検信号又は判定信号を演算部31に出力する。
【0120】
演算部31は、測光ユニット13から出力されたA項目のj回目の分注前までの被検信号に基づいて、被検データを生成してデータ記憶部32に保存すると共に印刷部51及び表示部52に出力する。
【0121】
また、j回目のA項目の第1試薬分注により生成された被検信号から被検データを生成し、生成した被検データに状態変化情報を付加してデータ記憶部32に保存すると共に、状態変化情報を付加した被検データを印刷部51及び表示部52に出力する。
【0122】
更に、測光ユニット13から出力された1乃至3回目の判定信号に基づいて、第1乃至第3の判定データを生成してデータ記憶部32に保存すると共に判定部42、印刷部51、及び表示部52に出力する(ステップS14)。
【0123】
更にまた、測光ユニット13から出力されたA項目の(j+4)回目以降の第1試薬の分注により生成された被検信号に基づいて、第(j+4)回目以降の被検データを生成し、生成した第(j+4)回目の被検データに状態変化情報を付加する。また、第(j+4)回目の被検データが生成された後、判定部42から判定結果の情報が出力されるまでの間の被検試料の分注により生成された被検信号から生成する被検データに状態変化情報を付加する。そして、状態変化情報を付加した被検データをデータ記憶部32に保存すると共に出力部50の印刷部51及び表示部52に出力する。
【0124】
このように、A項目の第1試薬の状態の変化が検知されたとき、A項目の第1試薬の分注により生成された被検データ、及びこの被検データが生成された後、判定部42により判定結果の情報が出力されるまでの間のA項目の第1試薬の分注により生成される被検データに状態変化情報を付加することにより、悪化している可能性がある被検データを容易に見分けることができる。
【0125】
ここで、第3の判定データが生成されるとき、A項目のk回目{h>k>(j+4)}の第1試薬分注が行われるとする。
【0126】
判定部42は、システム制御部70から供給される表示部52の正常範囲設定画面で設定されたA項目の正常範囲に基づいて、演算部31から出力された第1乃至第3の判定データを判定する。そして、第1乃至第3の判定データが正常範囲内である場合(ステップS15のはい)、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データを正常であると判定し、その正常情報を演算部31に出力して、ステップS18へ移行する。
【0127】
また、第1乃至第3の判定データの少なくとも1つのデータが正常範囲から外れている場合(ステップS15のいいえ)、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データを異常であると判定し、判定した被検データに異常情報を付加すると共に、その異常情報をシステム制御部70及び演算部31に出力する。
【0128】
システム制御部70は、判定部42から異常情報が出力されたとき、制御部252にA項目の試薬容器6からの第1試薬の分注の停止を指示すると共に、その異常情報を表示部52及び音声部53に出力する(ステップS16)。
【0129】
このように、判定データが異常である場合、異常情報を出力部50に出力することにより、操作者にA項目の試薬容器6内の第1試薬の異常を迅速に知らせることができる。
【0130】
第1試薬分注プローブ14は、制御部252の制御により、(k+1)回目{h>(k+1)}以降のA項目の第1試薬分注を停止する(ステップS17)。
【0131】
このように、判定データが異常である場合、判定結果が出力された後にA項目の第1試薬を分注する第1試薬分注プローブ14の分注動作を停止させることができる。これにより、A項目の第1試薬の浪費を低減することができる。
【0132】
ステップS17の後に、演算部31は、判定部42から異常の情報が出力されるまでの間に、測光ユニット13から出力されたA項目の(j+4)乃至k回目の被検信号に基づいて第(j+4)乃至第(k+3)の被検データを生成する。そして、生成した第(j+4)乃至第(k+3)の被検データに状態変化情報を付加してデータ記憶部32に保存すると共に、状態変化情報を付加した被検データを印刷部51及び表示部52に出力する。更に、データ記憶部32保存された状態変化情報が付加された被検データに異常情報を付加する。
【0133】
このように、判定データが異常である場合、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データに異常情報を付加することにより、異常である被検データを容易に見分けることができる。
【0134】
ステップS12の「はい」の後に、分析部20は、1乃至h回目の被検試料の分注により1乃至h回目の被検信号を生成して演算部31に出力する。演算部31は、分析部20から出力された1乃至h回目の被検信号に基づいて、第1乃至第hの被検データを生成してデータ記憶部32に保存すると共に印刷部51及び表示部52に出力する。
【0135】
ステップS15の「はい」の後に、分析部20は、被検信号を生成して演算部31に出力する。演算部31は、分析部20から出力された被検信号に基づいて被検データを生成する。次いで、生成した被検データの内、判定部42から出力された正常情報に基づいて第(j+3)の判定データが生成されたときのA項目のk回目の第1試薬分注により生成された第(k+3)の被検データから状態変化情報の付加を止めてデータ記憶部32に保存すると共に印刷部51及び表示部52に出力する。
【0136】
ステップS12の「はい」、又はステップ15の「はい」、又はステップS17の後に、印刷部51及び表示部52に最後の被検データが出力された時点で、システム制御部70は、分析制御部25、データ処理部30、管理部40、及び出力部50に測定動作の停止を指示する。そして、自動分析装置100は、動作を終了する(ステップS18)。
【0137】
このように、A項目の試薬容器6内の第1試薬の状態の変化が検知されたとき、直ちに判定試料を分注してその混合液を測定することにより、A項目の試薬容器6内の第1試薬の状態の変化が異常であるか否かを迅速に判定することができる。これにより、A項目の試薬容器6内の第1試薬が異常である場合に再測定の対象となる被検試料及びA項目の第1試薬の浪費、並びに再測定に要する時間の浪費を低減することができる。
【0138】
以上述べた本発明の実施例によれば、検知部41により分析部20の状態の変化が検知されたとき、予め設定された判定条件に基づいて、判定試料の測定を行うことができる。また、状態変化情報を出力部50に出力することにより、分析部20の状態が変化していることを迅速に知らせることができる。更に、分析部20の状態の変化に係る測定により生成された被検データ、及びこの被検データが生成された後、判定部42により判定結果の情報が出力されるまでの間の分析部20の状態の変化に係る測定により生成される被検データに状態変化情報を付加することにより、悪化している可能性がある被検データを容易に見分けることができる。
【0139】
次いで、判定部42により判定された判定データが異常である場合、データ記憶部32に保存されている状態変化情報が付加された被検データに異常情報を付加することにより、異常である被検データを容易に見分けることが可能となり、誤診を防ぐことができる。また、判定部42から判定結果が出力された後の分析部20の状態の変化に係る分析ユニットの動作を停止させることができ、再測定の対象となる被検試料及び試薬の浪費、並びに再測定に要する時間の浪費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す図。
【図3】本発明の実施例に係るサンプル検出部の構成を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る第1試薬検出部の構成を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る第2試薬検出部の構成を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る表示部に表示される判定条件設定画面を示す図。
【図7】本発明の実施例に係るサンプル検出部の障害物検出器からの検出信号に基づいて、検知部で分析部の状態を検知する場合の自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例に係る図7における自動分析装置の動作により判定部から異常情報が出力された場合にデータ記憶部に保存された被検データを示す図。
【図9】本発明の実施例に係る図7における自動分析装置の動作により判定部から正常情報が出力された場合にデータ記憶部に保存された被検データを示す図。
【図10】本発明の実施例に係る第1試薬検出部の液面検出器からの検出信号に基づいて、検知部で分析部の状態を検知する場合の自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0141】
20 分析部
25 分析制御部
30 データ処理部
31 演算部
32 データ記憶部
40 管理部
41 検知部
42 判定部
50 出力部
51 印刷部
52 表示部
53 音声部
60 操作部
70 システム制御部
71 記憶回路
100 自動分析装置
251 機構部
252 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料及び試薬を分注してその混合液を測定し、測定した混合液の被検データを生成する分析手段を備えた自動分析装置において、
前記被検試料及び前記試薬を分注してその混合液を測定する前記分析手段の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段により状態の変化が検知されたとき、その状態の変化を判定するための判定試料及び前記試薬の混合液を測定して前記分析手段により生成された判定データが異常であるか否かを判定する判定手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記分析手段は、前記被検試料及び前記試薬を分注してその混合液を測定するための分析ユニットを有し、前記判定手段により異常であると判定されたとき、前記検知手段により検知された状態の変化に係る前記分析ユニットの動作を停止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記分析手段は、前記被検試料又は前記試薬を分注する分注プローブ及びこの分注プローブの障害となる障害物体への衝突を検出する障害物検出手段を有し、
前記検知手段は、前記障害物検出手段により検出された衝突の検出信号に基づいて、前記分注プローブの状態の変化を検知し、
前記分析手段は、前記判定手段により異常であると判定されたとき、前記分注プローブの分注動作を停止するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記分注手段は、前記試薬を試薬容器から前記混合液を収容する反応容器に分注する分注プローブ及びこの分注プローブが前記試薬容器の上方から下に移動して前記試薬容器内の試薬と接触したときにその液面を検出する液面検出手段を有し、
前記検知手段は、前記液面検出手段からの検出信号に基づいて算出された前記試薬容器内の試薬量が前回算出された試薬量以上である場合に前記試薬容器内の試薬の状態の変化を検知し、
前記分析手段は、前記判定手段により異常であると判定されたとき、前記検知手段により状態の変化を検知された前記試薬容器からの前記分注プローブの分注動作を停止するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記分析手段により生成された被検データを保存するデータ記憶手段を有し、
前記分析手段は、前記検知手段により検知された状態の変化に係る測定により生成した被検データに前記状態変化の情報を付加し、更に前記検知手段により状態の変化が検知された後、前記判定手段により判定されるまでの間に前記状態の変化に係る測定により生成する被検データに前記状態変化の情報を付加して前記データ記憶部手段に保存するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記判定試料及び前記試薬の混合液の測定により生成された判定データが異常であると判定した場合、前記データ記憶手段に保存されている前記状態変化の情報が付加された被検データを異常であると判定し、判定した被検データにその異常情報を付加するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記判定試料及び前記試薬の混合液の測定により生成された判定データが正常であると判定した場合、前記データ記憶手段に保存されている前記状態変化情報が付加された被検データを正常であると判定するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記分析手段は、前記判定手段により正常であると判定された判定データ以降に生成した被検データを、この被検データへの前記状態変化の情報の付加を止めて前記データ記憶手段に保存するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記検知手段により検知された前記分析手段の状態の変化の情報、及び前記判定手段により判定された異常の情報を出力する出力手段を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−128317(P2009−128317A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306480(P2007−306480)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】