説明

自動分析装置

【課題】白色光及び単色光を用いて色調及び濁りの変化を精度よく測定することができる
自動分析装置を提供する。
【解決手段】測光部13は、白色光を発する白色光源部21及び白色光よりも大きい強度
で直進性を有する単色光を発する単色光源部22を備えた光源部20と、光源部20から
の白色光又は単色光を測光位置の反応容器3に照射する照射方向設定部24と、照射方向
設定部24から照射され、反応容器3を透過した白色光又は単色光を検出する検出部28
とを備え、照射方向設定部24は、分析条件設定画面63,64で設定された分析条件に
基づいて白色光又は単色光を反応容器3に照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体から採取された被検試料の成分を分析する自動分析装置に係り、特に
、ヒトの血液や尿などの体液中に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、主に生化学検査項目を対象とし、被検試料とこの被検試料の検査項目
に該当する試薬とを反応容器に分注してその混合液の反応によって生ずる色調の変化を、
透過光を測定することにより被検試料中の様々な成分の濃度や酵素活性を求める。
【0003】
一方、免疫血清検査項目の多くは免疫血清検査装置によって測定され、試薬中の抗体と
被検試料中の抗原を反応させる免疫比濁法で生じる凝集や、試薬中のラテックス粒子に抗
体を感作させた抗体感作ラテックスと被検試料中の抗原を反応させるラテックス凝集免疫
比濁法で生じる凝集による濁りの変化を、散乱光を測定することにより、被検試料中の様
々な成分濃度を求める。しかしながら、免疫血清検査装置毎に、その装置に合わせて測定
可能なように試薬が調整されているので、測定できる検査項目が限定されることが多い。
【0004】
最近は、検査における効率化とコスト削減が要求されており、できるだけ少ない分析装
置で多くの項目が検査できることが望まれている。このような状況下で、自動分析装置は
多項目を高速で処理できるので、免疫血清検査項目の測定もできることが求められるよう
になってきている。
【0005】
しかしながら、自動分析装置において、生化学検査項目の試薬と被検試料の色調の変化
を測定する測光部では、散乱光がほとんどないため散乱光を抑制する工夫がなされていな
い。したがって、自動分析装置で免疫血清検査項目のような凝集の変化を透過光を利用し
て測定しようとすると、散乱光の影響や透過光量の低下により測定精度が低下するという
問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、透過光を測定する光学ユニットと散乱光を測定する
光学ユニットを組み合わせた自動分析装置に設置可能な分光光度・比濁検出ユニットが知
られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−141654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1における分光光度・比濁検出ユニットの場合、透過光を検出
する透過光検出ユニットに加えて、透過光とは異なる所定の角度から散乱光を検出する散
乱光検出ユニットを必要とするため、検出部の構造が複雑になり、ユニット全体が大型に
なる問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、白色光及び単色光を用いて色
調及び濁りの変化を精度よく測定することができる自動分析装置を提供することを目的と
する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、被検試料及び試薬の混合液が収
容された反応容器に光を照射し、前記反応容器からの光を検出してその混合液を測定する
測光部を有する自動分析装置において、前記測光部は、前記反応容器に照射する白色光を
発する白色光源と単色光を発する単色光源とを備えた光源部と、前記光源部からの白色光
又は単色光を前記反応容器に照射する照射方向設定手段と、前記照射方向設定手段から照
射され、前記反応容器内を透過した白色光に含まれる所定の波長の光及び単色光を検出す
る検出手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、白色光源及び単色光源を設け、白色光源からの白色光を用いて色調の
変化を測定し、単色光源からの単色光を用いて濁りの変化を測定することにより、2種類
の反応形態を有する混合液を精度よく測定することができる。また、白色光源からの白色
光を検出する検出手段を用いて単色光を検出することにより光学ユニットの構成を簡素化
することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図10を参照して説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自
動分析装置100は、様々な項目の標準試料や被検試料を項目毎に測定するための分析ユ
ニットを有する分析部18と、分析部18における各ユニットを駆動及び制御する分析制
御部40と、標準試料や被検試料の測定により分析部18から出力される標準試料データ
や被検試料データを処理して検量線の作成や分析データの生成を行うデータ処理部50と
を備えている。
【0013】
また、データ処理部50で作成された検量線や生成された分析データを出力する出力部
60と、各項目の標準試料や検量線に関する分析条件の入力や、各種コマンド信号の入力
などを行う操作部70と、分析制御部40、データ処理部50、及び出力部60を統括し
て制御するシステム制御部80とを備えている。
【0014】
図2は、分析部18の構成を示した斜視図である。この分析部18は、標準試料や被検
試料等のサンプルを収容した試料容器17と、この試料容器17を回動可能に保持するデ
ィスクサンプラ5と、サンプルに含まれる各項目の成分と反応する第1試薬を収容した試
薬容器6と、試薬容器6を回動可能に保持する保持部1aが収納された第1試薬庫1とを
備えている。
【0015】
また、第1試薬と対をなす第2試薬を収容した試薬容器7と、試薬容器7を回動可能に
保持する保持部2aが収納された第2試薬庫2と、試料容器17からサンプルを吸引して
反応容器3に吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、第1及び第2試薬庫1,
2の試薬容器6,7から第1及び第2試薬を吸引して反応容器3に吐出する分注を行う第
1及び第2試薬分注プローブ14,15と、サンプル分注プローブ16並びに第1及び第
2試薬分注プローブ14,15を夫々回動及び上下動可能に保持するサンプル分注アーム
10並びに第1及び第2試薬分注アーム8,9とを備えている。
【0016】
更に、サンプル並びに第1及び第2試薬を収容する円周上に複数配置された反応容器3
を回転移動可能に保持する反応ディスク4と、反応容器3内に分注されたサンプル及び第
1試薬の混合液や、サンプル、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する撹拌ユニット
11と、各混合液を収容した反応容器3を測定する測光部13と、反応容器3内の測定を
終えた各混合液を吸引すると共に反応容器3内を洗浄する洗浄ノズル、及び反応容器3内
を乾燥する乾燥ノズルを上下移動可能に保持する洗浄ユニット12とを備えている。
【0017】
そして、測光部13は回転移動している測光位置の反応容器3に光を照射し、標準試料
を含む混合液を透過した光を吸光度に変換した標準試料データを生成した後、データ処理
部50に出力する。また、被検試料を含む混合液を透過した光を吸光度に変換した被検試
料データを生成した後、データ処理部50に出力する。更に、測定後の反応容器3、サン
プル分注プローブ16、第1及び第2試薬分注プローブ14,15、撹拌ユニット11な
どの各分析ユニットは、洗浄された後、再び測定に使用される。
【0018】
分析制御部40は、分析部18の各ユニットを駆動する機構を備えた機構部41と、機
構部41の各機構を駆動させて分析部18の各ユニットを制御する制御部42とを備えて
いる。機構部41は、第1試薬庫1の保持部1a、第2試薬庫2の保持部2a、及びディ
スクサンプラ5を夫々回動する機構、反応ディスク4を回転する機構、サンプル分注アー
ム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、及び撹拌ユニット11を夫々回
動及び上下移動する機構、洗浄ユニット12を上下移動する機構等を備えている。
【0019】
また、サンプル分注プローブ16からサンプルの吸引及び吐出を行うサンプル分注ポン
プを駆動する機構、第1及び第2試薬分注プローブ14,15から第1及び第2試薬の吸
引及び吐出を行う第1及び第2試薬ポンプを夫々駆動する機構、撹拌ユニット11の撹拌
子を撹拌駆動する機構、測光部13の各ユニットを駆動する機構、洗浄ユニット12の洗
浄ノズルから混合液の吸引や洗浄液の吐出及び吸引を行う洗浄ポンプを駆動する機構、洗
浄ユニット12の乾燥ノズルから吸引を行う乾燥ポンプを駆動する機構等を備えている。
【0020】
データ処理部50は、分析部18から出力された標準試料データや被検試料データから
検量線の作成や分析データの生成を行う演算部51と、演算部51で作成された検量線や
生成された分析データなどを保存する記憶部52とを備えている。
【0021】
演算部51は、分析部18の測光部13から出力された各項目の標準試料データから検
量線を作成して記憶部52に保存すると共に出力部60に出力する。また、分析部18の
測光部13から出力された被検試料データの項目に対応する検量線を記憶部52から読み
出す。そして、その読み出した検量線を用いてその被検試料データから濃度や活性値など
の分析データを生成し、生成した分析データを手記憶部52に保存すると共に出力部60
に出力する。
【0022】
記憶部52は、ハードディスクなどを備え、演算部51から出力された検量線を項目毎
に保存し、演算部51から出力された分析データを被検試料毎に保存する。
【0023】
出力部60は、データ処理部50から出力された検量線、分析データなどを印刷出力す
る印刷部61及び表示出力する表示部62を備えている。そして、印刷部61は、プリン
タなどを備え、データ処理部50から出力された検量線、分析データなどを予め設定され
たフォーマットに基づいて、プリンタ用紙に印刷出力する。
【0024】
表示部62は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、データ処理部50から出力さ
れた検量線や分析データの表示や、項目毎にサンプル量、試薬量、波長などの分析条件を
設定するための分析条件設定画面、被検体の被検体IDや被検体名などを設定するための
被検体情報設定画面、被検試料毎に測定する項目を選択するための測定項目選択画面など
の表示を行う。
【0025】
操作部70は、図示しないキーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力
デバイスを備え、各項目の分析条件、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報、
被検試料毎の項目等を入力する。
【0026】
システム制御部80は、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作部70から供給され
るコマンド信号、各項目の分析条件、被検体情報、被検試料毎の項目などの情報を記憶す
る。そして、これらの情報に基づいて、分析部18の各ユニットを一定分析サイクルの所
定の条件で動作させる制御などシステム全体の制御を行なう。
【0027】
次に、図2乃至図5を参照して、分析部18における測光部13の構成を説明する。図
3は、測光部13の構成の詳細を示す図である。図4及び図5は、測光部13を構成して
いる光学ユニットの一部を示す図である。
【0028】
図3において、測光部13は、白色光及び単色光の光を発する光源部20と、光源部2
0からの白色光及び単色光をいずれかの光に切替える切替部23と、切替部23で切り替
えた白色光又は単色光を反応容器3の方向に照射する照射方向設定部24と、照射方向設
定部24から照射された白色光又は単色光の反応容器3に照射する範囲を設定する照射光
学部25とを備えている。
【0029】
また、照射光学部25から照射され、反応容器3内を通過した白色光又は単色光の範囲
を設定する検出光学部26と、検出光学部26を通過した白色光又は単色光を波長毎に分
離する分光部27と、分光部27で波長毎に分離された光を夫々検出する検出部28と、
検出部28で検出された検出信号を処理する信号処理部29とを備えている。
【0030】
光源部20は、白色光を発する白色光源部21及び単色光を発する単色光源部22を備
えている。白色光源部21は、近紫外から近赤外に亘る波長域の光線からなる白色光を発
するハロゲンランプ等の白色光源211、白色光源211からの熱線等の不用な光線を遮
断するフィルタ212により構成される。白色光源211は白色光を発する光源中心が第
1の光軸30上に配置され、フィルタ212を介して白色光を切替部23に照射する。
【0031】
図4は、単色光源部22の構成を示した図である。この単色光源部22は、夫々異なる
波長の単色光を発する第1乃至第3の単色光源221,222,223と、各第1乃至第
3の単色光源221,222,223からの複数の単色光を合波する合波光学部224と
により構成される。
【0032】
各第1乃至第3の単色光源221,222,223は、白色光源部21の白色光と同じ
波長において白色光よりも大きな光度及び直進性を有する単色光を発するレーザ半導体や
発光ダイオード(LED)等の発光素子を備えている。そして、第1の単色光源221は
、第1の光軸30に直交する第2の光軸31上に配置され、第2の光軸31に沿って第1
の光軸30の方向に第1の波長の第1の単色光を発する。また、第2の単色光源222は
、第2の光軸31に直交する第3の光軸32上に配置され、第3の光軸32に沿って第2
の光軸31の方向に第1の波長とは異なる第2の波長の第2の単色光を発する。更に、第
3の単色光源223は、第3の光軸32から離間して第2の光軸31に直交する第4の光
軸33上に配置され、第4の光軸33に沿って第2の光軸31の方向に第1及び第2の波
長とは異なる第3の波長の第3の単色光を発する。
【0033】
合波光学部224は、各第1乃至第3の単色光源221,222,223からの第1乃
至第3の単色光を開放及び遮断するための第1乃至第3の単色光に対応する第1乃至第3
のシャッタ225,226,227と、第1乃至第3のシャッタ225,226,227
のうちの2つのシャッタにより開放された2つの単色光を合波して切替部23に照射する
ための第1及び第2の合波部228,229とを備えている。
【0034】
第1乃至第3のシャッタ225,226,227は、分析制御部40における機構部4
1の開閉駆動により夫々作動し、同時に1つ又は2つのシャッタが開くと共にその1つ又
は2つ以外のシャッタは閉じるようになっている。
【0035】
そして、第1のシャッタ225は、第1の単色光源221と第1の合波部228の間に
配置され、第1の単色光源221からの第1の単色光を、第1の合波部228に対して開
放及び遮断する。第2のシャッタ226は、第2の単色光源222と第1の合波部228
の間に配置され、第2の単色光源222からの第2の単色光を、第1の合波部228に対
して開放及び遮断する。第3のシャッタ227は、第3の単色光源223と第2の合波部
229の間に配置され、第3の単色光源223からの第3の単色光を、第2の合波部22
9に対して開放及び遮断する。
【0036】
第1の合波部228は、特定の波長を反射すると共に特定の波長以外の波長域の光を透
過させるダイクロイックミラーから成り、第1のシャッタ225と第2の合波部229の
間に配置される。そして、第2のシャッタ226が閉じて第1のシャッタ225が開いて
いるとき、第1の単色光源221からの第1の単色光を透過する。また、第1のシャッタ
225が閉じて第2のシャッタ226が開いているとき、第2の単色光源222からの第
2の単色光を、第2の光軸31に沿って第1の光軸30方向に反射する。更に、第1及び
第2のシャッタ225,226が開いているとき、第1の単色光源221からの第1の単
色光を透過すると共に、第2の単色光源222からの第2の単色光を第2の光軸31に沿
って第1の光軸30方向に反射することにより、第1の単色光及び第2の単色光を第2の
光軸31に重ね合わせて合波する。
【0037】
なお、ハーフミラーに置き換えて、第2のシャッタ226が閉じて第1のシャッタ22
5が開いているとき、第1の単色光源221からの第1の単色光を所定の割合で透過させ
ると共に第2のシャッタ226とは反対方向に反射させる。また、第1のシャッタ225
が閉じて第2のシャッタ226が開いているとき、第2の単色光源222からの第2の単
色光を所定の割合で透過させると共に第2の光軸31に沿って第2の合波部229の方向
に反射させる。更に、第1及び第2のシャッタ225,226が開いているとき、第1の
単色光源221からの第1の単色光を透過させると共に第2の単色光源222からの第2
の単色光を第2の光軸31に沿って第2の合波部229方向に反射させて合波するように
実施してもよい。
【0038】
第2の合波部229は、ダイクロイックミラーから成り、第1の合波部228と切替部
23の間に配置される。そして、第3のシャッタ227が閉じて第1又は第2のシャッタ
225,226が開いているとき、第1の合波部228からの第1又は第2の単色光を透
過して切替部23に照射する。
【0039】
また、第1及び第2のシャッタ225,226が閉じて第3のシャッタ227が開いて
いるとき、第3の単色光源223からの第3の単色光を第2の光軸31に沿って切替部2
3の方向に反射する。
【0040】
更に、第1又第2のシャッタ225,226の一方のシャッタが閉じて他方のシャッタ
及び第3のシャッタ227が開いているとき、第1の合波部228からの他方のシャッタ
に対応する単色光を透過すると共に、第3の単色光源223からの第3の単色光を第2の
光軸31に沿って切替部23の方向に反射する。そして、他方のシャッタに対応する単色
光及び第3の単色光を合波して切替部23に照射する。
【0041】
なお、ハーフミラーに置き換えて、第3のシャッタ227が閉じて第1又は第2のシャ
ッタ225,226が開いているとき、第1の合波部228からの第1又は第2の単色光
を所定の割合で透過させると共に第3のシャッタ227とは反対方向に反射させる。また
、第1及び第2のシャッタ225,226が閉じて第3のシャッタ227が開いていると
き、第3の単色光源223からの第3の単色光を所定の割合で透過させると共に第2の光
軸31に沿って切替部23の方向に反射させる。更に、第1又は第2のシャッタ225,
226の一方のシャッタが閉じて他方のシャッタ及び第3のシャッタ227が開いている
とき、第1の合波部228からの他方のシャッタに対応する単色光を透過させると共に、
第3の単色光源223からの第3の単色光を第2の光軸31に沿って切替部23の方向に
反射させて合波するように実施してもよい。
【0042】
図3の切替部23は、光源部20の白色光源部21又は単色光源部22からの白色光及
び単色光をいずれかの光に切り替え可能な第4のシャッタ231及び第5のシャッタ23
2により構成される。第4及び第5のシャッタ231,232は、分析制御部40におけ
る機構部41の開閉駆動により夫々作動し、一方のシャッタが開いているときには他方の
シャッタは閉じている。
【0043】
そして、第4のシャッタ231は、白色光源部21と照射方向設定部24の間に配置さ
れ、白色光源部21からの白色光を照射方向設定部24に対して開放及び遮断する。また
、第5のシャッタ232は、単色光源部22と照射方向設定部24の間に配置され、単色
光源部22からの単色光を照射方向設定部24に対して開放及び遮断する。
【0044】
照射方向設定部24は、ダイクロイックミラーから成り、切替部23の第4のシャッタ
231と照射光学部25の間に配置される。そして、切替部23の第5のシャッタ232
が閉じて第4のシャッタ231が開いているとき、白色光源部21からの白色光に含まれ
る単色光源部22の第1乃至第3の単色光に対応する第1乃至第3の波長の光を第5のシ
ャッタ232の方向とは反対方向に反射すると共に、白色光源部21からの第1乃至第3
の波長以外の白色光を透過して照射光学部25に照射する。また、第4のシャッタ231
が閉じて第5のシャッタ232が開いているとき、単色光源部22からの単色光を第1の
光軸30に沿って照射光学部25の方向に反射する。
【0045】
なお、ハーフミラーに置き換えて、第5のシャッタ232が閉じて第4のシャッタ23
1が開いているとき、白色光源部21からの白色光を所定の割合で透過させると共に第5
のシャッタ232とは反対方向に反射させる。また、第4のシャッタ231が閉じて第5
のシャッタ232が開いているとき、単色光源部22からの単色光を所定の割合で透過さ
せると共に第1の光軸30に沿って照射光学部25の方向に反射させるように実施しても
よい。
【0046】
また、偏光フィルタに置き換えて、第5のシャッタ232が閉じて第4のシャッタ23
1が開いているとき、白色光源部21からの白色光の内の一定の方向に振動する光波を透
過させる。また、第4のシャッタ231が閉じて第5のシャッタ232が開いているとき
、単色光源部22からの単色光の内の一定の方向以外に振動する光波を第1の光軸30に
沿って照射光学部25の方向に反射させるように実施してもよい。
【0047】
更に、透過光量の制御が可能な液晶パネルに置き換えて、第5のシャッタ232が閉じ
て第4のシャッタ231が開いているとき、白色光源部21からの白色光の内の一定の方
向に振動する光波を透過させる。また、第4のシャッタ231が閉じて第5のシャッタ2
32が開いているとき、単色光源部22からの単色光の内の一定の方向以外に振動する光
波を第1の光軸30に沿って照射光学部25の方向に反射させるように実施してもよい。
【0048】
更にまた、切替部23を除くと共に前記偏光フィルタ又は前記ハーフミラーに置き換え
て、白色光源部21からの前記偏光フィルタ又は前記ハーフミラーを透過した白色光及び
単色光源部22からの前記偏光フィルタ又は前記ハーフミラーを反射した単色光を合波し
て照射光学部25に照射させるように実施してもよい。これにより、測光部13の構成を
簡素化することができる。
【0049】
照射光学部25は、照射方向設定部24からの白色光又は単色光を集光する第1の集光
レンズ251、第1の集光レンズ251で集光した白色光又は単色光を反応容器3に照射
させる範囲を設定する照射開口絞り252、及び照射開口絞り252を通過した白色光又
は単色光を反応容器3に照射する第2の集光レンズ253により構成される。
【0050】
第1の集光レンズ251は、光軸中心が第1の光軸30上に位置し、集光した白色光又
は単色光を照射開口絞り252又はこの近傍に集束する。照射開口絞り252は、第1の
集光レンズ251と第2の集光レンズ253の間に離間して配置される。
【0051】
図5は、照射開口絞り252の構成を示す正面図である。この照射開口絞り252は、
中心が第1の光軸30上に位置する円形の孔を有し、この孔の中心を第1の光軸30上に
保持して大きさを可変する複数の絞り羽根255、この絞り羽根255を作動させるため
のレバー256により構成される。そして、分析制御部40における機構部41によりレ
バー255を矢印R2方向に駆動すると、絞り羽根255は前記孔を拡大し、R3方向に
駆動すると縮小する。
【0052】
図3の第2の集光レンズ253は、光軸中心が第1の光軸30上に位置し、照射開口絞
り252を通過した白色光又は単色光を集光して測光位置の反応容器3内に集束する。
【0053】
検出光学部26は、照射光学部25からの白色光又は単色光の照射により反応容器3内
を通過した白色光又は単色光を集光する第3の集光レンズ261、この第3の集光レンズ
261で集光した白色光又は単色光を通過させる範囲を設定する検出開口絞り262、及
び検出開口絞り262を通過した白色光又は単色光を集光して分光部27に照射する第4
の集光レンズ263により構成される。第3の集光レンズ261は、光軸中心が第1の光
軸30上に位置し、集光した白色光又は単色光を検出開口絞り262又はこの検出開口絞
り262の近傍に集束する。
【0054】
検出開口絞り262は、第3の集光レンズ261と第4の集光レンズ263の間に離間
して配置される。そして、中心が第1の光軸30上に位置する円形の可変する孔を有し、
照射開口絞り252と同様に構成される。
【0055】
第4の集光レンズ263は、光軸中心が第1の光軸30上に位置し、集光した白色光又
は単色光を分光部27に集束する。
【0056】
分光部27は、検出光学部26の第4のレンズ263からの白色光又は単色光を絞り込
むスリット271、及びこのスリット271を通過した白色光又は単色光を回折する回折
格子272により構成される。スリット271は、第4のレンズ263からの白色光又は
単色光が集束する位置又はこの近傍に配置され、第4のレンズ263からの白色光又は単
色光が回折格子272の有効範囲内に入るように絞り込む。回折格子272は、スリット
271から入射した白色光又は単色光を波長毎に所定の方向に分離する。
【0057】
検出部28は、迷光を除去するフィルタアレイ281及びフィルタアレイ281からの
波長毎の光の内の予め設定された複数波長の光を検出する複数の受光素子を有するフォト
ダイオードアレイ282により構成され、予め設定された複数波長は白色光源部21の白
色光源211が発する白色光に含まれる複数波長(白色光対応波長)、及びこの白色対応
波長に含まれない第1乃至第3の単色光源221,222,223が発光する第1乃至第
3の単色光の第1乃至第3の波長(単色光対応波長)により構成される。なお、照射方向
設定部24を偏光フィルタ又はハーフミラーに置き換えることにより、白色光対応波長に
含まれる波長の単色光を発する単色光源を用いるようにしてもよい。
【0058】
そして、フォトダイオードアレイ282は、分光部27の回折格子272により波長毎
に分離された複数波長の光を検出して電気信号に変換し、その変換した電気信号を検出信
号として信号処理部29に出力する。
【0059】
信号処理部29は、検出部28のフォトダイオードアレイ282から出力された各検出
信号を増幅した後、デジタル信号に変換して標準試料データや被検試料データを生成して
データ処理部50に出力する。
【0060】
このように、光源部20に様々な波長域における色調の変化を測定するための白色光源
部21と、濁りの変化を測定するための単色光源部22とを設けることにより、混合液が
特異的な反応により特定の波長の吸光度が変化するような色調の変化である場合には白色
光を用いて測定し、混合液の反応が濁りの変化である場合には単色光を用いて測定するこ
とができる。また、照射方向設定部24から照射された白色光に対して使用する照射光学
部25、検出光学部26、分光部27、及び検出部28の各光学ユニットを、照射方向設
定部24からの単色光に対しても使用することができるので、測光部13における光学ユ
ニットの構成を簡素化することができる。
【0061】
次に、図3乃至図6を参照して、表示部62に表示される複数の分析条件設定画面に白
色光及び単色光を用いて測定する2つの項目の分析条件を設定する例を説明する。
図6は、表示部62に表示される分析条件設定画面を示した図である。この分析条件設
定画面63は、「項目名」、「サンプル量」、「試薬量」、「反応の種類」、「波長」、
及び「測光ポイント」等の欄と、各欄に対応する情報を設定するためのダイアログボック
ス631乃至639等とにより構成される。また、分析条件設定画面64は、分析条件設
定画面63と同様の欄と、各欄に対応する情報を設定するためのダイアログボックス64
1乃至649等とにより構成される。
【0062】
そして、操作部70から分析条件設定画面63,64の各欄に対応する各ダイアログボ
ックスへの入力操作が行われると、項目毎の分析条件の入力情報が、システム制御部80
の内部の記憶回路に保存される。
【0063】
まず、白色光を用いて測定する項目の分析条件を分析条件設定画面63に設定する例を
説明する。
「項目名」の欄には、測定する項目の名称を設定する。項目名称である例えばGOTを
入力する操作により、ダイアログボックス631内に「GOT」が表示される。
【0064】
「サンプル量」の欄には、「項目名」の欄に設定した項目を測定するときに用いる被検
試料の量を設定する。被検試料の量である例えば5μLを入力する操作により、ダイアロ
グボックス632内に「5」が表示される。
【0065】
「試薬量」の欄には、「第1試薬量」及び「第2試薬量」の欄が表示され、「項目名」
の欄に設定した項目を測定するときに用いる試薬が1試薬系である場合、「第1試薬」の
欄にその第1試薬の試薬量を設定する。また、2試薬系である場合、「第1試薬」及び「
第2試薬」の欄に第1及び第2試薬の試薬量を設定する。
【0066】
そして、2試薬系の第1試薬の試薬量である例えば150μLを入力する操作により、
ダイアログボックス633内に「150」が表示される。また、第2試薬の試薬量である
例えば50μLを入力する操作により、ダイアログボックス634内に「50」が表示さ
れる。
【0067】
「反応の種類」の欄には、「項目名」の欄に設定した項目の混合液を測定する場合に使
用する白色光及び単色光に関連する情報である被検試料と試薬の反応形態を設定する。「
GOT」の反応形態が例えば特定の波長で吸光度が変化する色調の変化である場合には比
色を選択入力する操作により、ダイアログボックス635内に「比色」が表示される。こ
の設定により、測光部13では白色光を用いて測定することになる。
【0068】
「波長」の欄には「波長1」及び「波長2」の欄が表示され、「項目名」の欄に設定し
た項目の反応形態に応じた波長を設定する。「反応の種類」の欄に「比色」が設定されて
いる場合、白色光対応波長の中から1つ又は異なる2つの波長を選択する。
【0069】
そして、「波長1」の欄に「項目名」の欄に設定した項目の成分と試薬成分の特異的な
反応により吸光度が変化する特定の波長又はこの波長に最も近い波長である例えば340
nmを選択入力する操作により、ダイアログボックス636内に「340」が表示される
。また、「波長2」の欄に、「項目名」の欄に設定した項目の成分と試薬成分の反応で吸
光度が変化しない又は吸光度の変化が少ない波長である例えば380nmを参照用の波長
として選択入力する操作により、ダイアログボックス637内に「380」が表示される

【0070】
なお、「波長1」又は「波長2」の欄に設定した特異的な反応により特定の波長又はこ
の波長に最も近い白色光の波長における光度が小さく、第1乃至第3の単色光にその白色
光の波長とほぼ同じ波長の単色光が含まれる場合、その白色光の波長とほぼ同じ波長の単
色光を設定することにより、測光部13では設定された単色光を用いて測定することにな
る。これにより、検出部28における検出信号のレベルが白色光の場合よりも増大するた
め、精度よく測定することができる。
【0071】
「測光ポイント」の欄には、「項目名」の欄に設定した項目の混合液を測定するタイミ
ングである例えば第20の測光ポイントから第29の測光ポイントまでを選択入力する操
作により、ダイアログボックス638内に「20」が表示され、ダイアログボックス63
9内に「29」が表示される。
【0072】
ここで、被検試料を反応容器3に分注した後、その反応容器3が回転移動して1回目に
分析部18の測光位置を通過するときを第1の測光ポイントとする。そして、その被検試
料を含む混合液を収容した反応容器3が測光位置を20回目乃至29回目に測光位置を通
過する各第20乃至第29の測光ポイントで、測光部13により生成される10個の被検
試料データに基づいて分析データが生成される。
【0073】
次に、単色光を用いて測定する項目の分析条件を分析条件設定画面64に設定する一例
を説明する。
「項目名」の欄に項目名称である例えばC反応性蛋白の略称名(CRP)を入力する操作
により、ダイアログボックス641内に「CRP」が表示される。「サンプル量」の欄に
C反応性蛋白の測定に使用する被検試料の量である例えば3μLを入力する操作により、
ダイアログボックス642内に「3」が表示される。
【0074】
「試薬量」の欄の「第1試薬」の欄に、C反応性蛋白の測定に使用する第1試薬の試薬
量である例えば100μLを入力する操作により、ダイアログボックス643内に「10
0」が表示される。また、「第2試薬」の欄に、第2試薬の試薬量である例えば50μL
を入力する操作により、ダイアログボックス644内に「50」が表示される。
【0075】
「反応の種類」の欄に、C反応性蛋白の反応形態が例えばラテックス凝集反応である場
合に比濁を選択入力する操作により、ダイアログボックス645内に「比濁」が表示され
る。
【0076】
「波長」の欄には、「反応の種類」の欄に「比濁」が設定されている場合、単色光対応
波長である第1乃至第3の単色光の中から1つ又は異なる2つの単色光を選択する。そし
て、「波長1」の欄に、C反応性蛋白の測定に使用する例えば第1の単色光を選択入力す
る操作により、ダイアログボックス646内に「第1の単色光」が表示される。また、「
波長2」の欄に例えば第2の単色光を選択入力する操作により、ダイアログボックス64
7内に「第2の単色光」が表示される。この設定により、測光部13では第1及び第2の
単色光を用いて測定することになる。
【0077】
「測光ポイント」の欄に、C反応性蛋白の混合液を測定するタイミングである例えば3
3から35までを入力する操作により、ダイアログボックス648内に「33」が表示さ
れ、ダイアログボックス649内に「35」が表示される。ここで、「CRP」の混合液
を収容した反応容器3が測光位置を通過する各第33乃至第35の測光ポイントで、測光
部13により生成される3個の被検試料データに基づいて分析データが生成される。
【0078】
以下、図1乃至図10を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。図7
は表示部62に表示される測定項目設定画面の一例を示す図である。図8は、自動分析装
置100の動作を示すフローチャートである。図9は、白色光を用いたときの照射及び検
出開口絞り252,262の制御を説明するための図である。図10は、単色光を用いた
ときの照射及び検出開口絞り252,262の制御を説明するための図である。
【0079】
データ処理部50のデータ記憶部52には各項目の標準試料の測定により作成された検
量線が保存されている。そして、操作部70から測定する項目が設定されると、表示部6
2の測定項目設定画面に設定された項目が表示されると共にシステム制御部80の内部の
記憶回路に設定された項目の情報が保存される。
【0080】
図7において、測定項目設定画面65は、被検体情報設定画面で設定された被検体のI
Dを表示する「ID」の欄と、分析条件設定画面63,64等で設定された項目名を表示
する「項目」の欄と、「ID」の欄に表示された被検体のID毎に「項目」の欄に表示さ
れた項目名の項目を設定するための測定項目設定エリア65aとにより構成される。
【0081】
「ID」の欄には、予め入力された例えば「1」及び「2」の被検体のIDが表示され
ている。「項目」の欄には、例えば「GOT」、「GPT」、「Ca」、「CRP」等の
項目名が表示されている。
【0082】
測定項目設定エリア65aには、「ID」の欄の各被検体のIDに対応した「項目」の
欄の項目名が選択された位置に「○」が表示され、選択されない位置には「・」が表示さ
れる。そして、操作部70から例えば「ID」の欄に表示された「1」に対して「項目」
の欄の「GOT」が選択されると、測定項目設定エリア65aの「1」及び「GOT」に
対応する位置に1テストである「○」が表示される。また、「ID」の欄に表示された「
2」に対して「項目」の欄の「CRP」が選択されると、「2」及び「CRP」に対応す
る位置に2テストである「○」が表示される。
【0083】
測定項目設定画面65で設定された項目の情報は、システム制御部80の内部の記憶回
路に保存される。そして、被検試料の測定は、その入力情報に基づいて行われ、1テスト
に対応する項目から順に測定されることになる。
【0084】
図8は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。分析部18のディ
スクサンプラ5に、被検体ID「1」及び「2」に対応する被検試料を収容した2つの試
料容器17が設置される。そして、操作部70から被検試料の測定開始操作が行われると
、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0085】
システム制御部80は、分析条件設定画面63,64で設定された各分析条件、及び測
定項目設定画面65で設定された項目の情報に基づいて、分析制御部40、データ処理部
50、及び出力部60に被検試料毎の項目の測定を指示する。分析制御部40の制御部4
2は、機構部41の各機構を駆動させて分析部18の各ユニットを作動させる。
【0086】
分析部18のサンプル分注プローブ16は、分析条件設定画面63,64で設定された
1テスト及び2テストに対応する被検試料を試料容器17から反応容器3に分注する。被
検試料の分注後、第1試薬分注プローブ14は、1テスト及び2テストの項目に対応する
第1試薬を第1試薬庫1の試薬容器6から、1テスト及び2テストの被検試料が分注され
た反応容器3に分注する。第1試薬の分注後、撹拌ユニット11は、1テスト及び2テス
トに対応する被検試料及び第1試薬を収容した反応容器3内の混合液を撹拌する。この混
合液の撹拌後、第2試薬分注プローブ15は、1テスト及び2テストの項目に対応する第
2試薬を第2試薬庫2の試薬容器7から、1テスト及び2テストの第1試薬が分注された
反応容器3に分注する。第2試薬の分注後、撹拌ユニット11は、被検試料、第1試薬、
及び第2試薬を収容した反応容器3内の混合液を撹拌する。この混合液の撹拌後、測光部
13は、1テスト及び2テストに対応する反応容器3内の混合液を測定する。
【0087】
1テストの混合液を収容した反応容器3の測定において、制御部42は、システム制御
部80から供給される「GOT」の分析条件の反応の種類及び測光ポイントの情報に基づ
いて、機構部41を駆動させて測光部13における切替部23の各シャッタを制御する。
【0088】
測光部13の切替部23は、分析条件設定画面63で設定された各第20乃至第29の
測光ポイントにおいて、1テストの反応容器3が測光位置に到達する直前に、第5のシャ
ッタ232を閉じると供に第4のシャッタ231を開く(ステップS2)。そして、光源
部20の白色光源部21からの白色光を照射方向設定部24に照射する。
【0089】
照射方向設定部24は、白色光源部21からの白色光を照射光学部25に照射する。制
御部42は、システム制御部80から供給される分析条件設定画面63で設定されたサン
プル量、試薬量、及び反応の種類の情報に基づいて、照射及び検出光学部25,26の照
射及び検出開口絞り252,262を制御する。
【0090】
図9は、照射及び検出開口絞り252,262の制御を説明するための図である。制御
部42は、「GOT」のサンプル量である「5」、第1試薬量である「150」、及び第
2試薬量である「50」から総量(混合液の量)である205μLを求める。次いで、反
応容器3内の形状が四角柱であり底面の長さL及び幅Wを例えば5mm及び4mmとする
と、205μLを反応容器3内の底面積(5mm×4mm)で除することにより、混合液
の液高Hである10.25mmを求める。更に、求めた液高H、長さL、及び幅Wに基づ
いて、照射方向設定部24から照射される白色光の反応容器3を通過する光路が混合液に
含まれ、且つその混合液の広範囲に亘って照射可能な孔(比色用の照射孔)を形成するよ
うに照射開口絞り252を制御する。また、反応容器3内を通過した白色光の内、照射開
口絞り252で設定された反応容器3に照射する範囲と同じ範囲の白色光を通過させる比
色用の検出孔を形成するように検出開口絞り262を制御する。
【0091】
なお、照射方向設定部24から照射された白色光が混合液以外の反応容器3の下端部及
び混合液上方の空気層を含む範囲に誤って照射するのを防ぐために、混合液には測定に必
要な最低液量が定められている。
【0092】
このように、分析条件設定画面で設定されたサンプル量及び試薬量に応じて、反応容器
3に照射する白色光の範囲を設定することができる。そして、混合液量が少ないときには
反応容器3に照射する白色光の範囲を狭くすることにより、混合液の最低液量を低減する
ことができ、サンプル量及び試薬量の微量化を図ることができる。また、「GOT」のよ
うに混合液量が多く、測光部13における測定精度が要求される項目においては、反応容
器3に照射する白色光の範囲を広げることにより、透過光量を増やして検出部28におけ
る検出強度を上げることにより、測光精度の向上を図ることができる。
【0093】
照射光学部25は、照射開口絞り252の孔を「GOT」に対応する比色用の照射孔に
設定する(図8のステップS3)。そして、第1の集光レンズ251を介して照射開口絞
り252を通過した照射方向設定部24からの白色光を、第2の集光レンズ253を介し
て反応容器3内の色調が変化するする混合液に照射する。
【0094】
検出光学部26は、検出開口絞り262の孔を「GOT」に対応する比色用の検出孔に
設定する(図8のステップS4)。そして、第3の集光レンズ261を介して検出開口絞
り262を通過した反応容器3からの透過光を、第4の集光レンズ263を介して分光部
27に照射する。
【0095】
分光部27は、スリット271を介して入射した透過光を波長毎に分離する。検出部2
8は、分光部27からの波長毎に分離された光の内の340nm及び380nmの光を検
出してその検出信号を信号処理部29に出力する。信号処理部29は、検出部28から出
力された検出信号から被検試料データを生成してデータ処理部50に出力する。
【0096】
データ処理部50の演算部51は、信号処理部29から出力された340nmの被検試
料データから380nmの被検試料データを差し引いた差分の被検試料データを求める。
次いで、予め作成された「GOT」の検量線を記憶部52から読み出す。この読み出した
検量線を用いて差分の被検試料データから分析データを生成し、生成した分析データを記
憶部52に保存すると共に出力部60に出力する。
【0097】
2テストの混合液を収容した反応容器3の測定において、制御部42は、システム制御
部80から供給される「CRP」の分析条件の反応の種類及び測光ポイントの情報に基づ
いて、機構部41を駆動させて光源部20の単色光源部22及び切替部23の各シャッタ
を制御する。
【0098】
単色光源部22は、分析条件設定画面64で設定された各第33乃至第35の測光ポイ
ントにおいて、2テストに対応する反応容器3が測光位置に到達する直前に、第3のシャ
ッタ227を閉じると共に第1及び第2のシャッタ225,226を開く(図8のステッ
プS5)。そして、第1及び第2の単色光源221,222からの第1及び第2の単色光
を合波して切替部23に照射する。
【0099】
切替部23は、第4のシャッタ231を閉じると共に第5のシャッタ232を開く(図
8のステップS6)。そして、単色光源部22からの第1及び第2の単色光を照射方向設
定部24に照射する。
【0100】
照射方向設定部24は、単色光源部22からの第1及び第2の単色光を反射して第1の
光軸30に沿って照射光学部25に照射する。制御部42は、システム制御部80から供
給される「CRP」の反応の種類の情報に基づいて、照射及び検出光学部25,26にお
ける照射及び検出開口絞り252,262を制御する。
【0101】
照射開口絞り252は、図10に示すように、照射方向設定部24からの単色光が第1
の光軸30上及びこの光軸の近傍を直進する細いビームを形成するように比濁用の照射孔
に設定する(図8のステップS7)。そして、照射開口絞り252を通過した第1の光軸
30上及びこの光軸の近傍における第1及び第2の単色光を、第2の集光レンズ253を
介して反応容器3内の例えばラテックスの凝集により混濁した混合液に照射する。
【0102】
検出開口絞り262は、反応容器3内を通過した単色光の内、照射開口絞り252で設
定された反応容器3に照射する範囲と同じ範囲、又はこの範囲よりも狭い範囲の単色光を
通過させる比濁用の検出孔に設定する(図8のステップS8)。
【0103】
そして、反応容器3を通過し、第3の集光レンズ261を介して検出開口絞り262に
入射する散乱光や透過光を含む光のうちの第1の光軸30に対してほぼ平行に入射する透
過光のみを通過させた後。第4の集光レンズ263を介して分光部27に照射する。
【0104】
このように、照射及び検出開口絞り252,262を比濁用の照射孔及び検出孔に設定
し、比濁用の照射孔、反応容器3内の混濁した混合液、及び比濁用の照射孔を通過させる
ことにより、反応容器3内の混濁した混合液を透過した透過光を分光部27に照射するこ
とができる。
【0105】
分光部27は、スリット271を介して入射した透過光を波長毎に分離する。検出部2
8は、分光部27からの波長毎に分離された光の内の第1及び第2の単色光に対応する光
を検出してその検出信号を信号処理部29に出力する。信号処理部29は、検出部28か
ら出力された検出信号から被検試料データを生成して演算部51に出力する。
【0106】
演算部51は、予め作成された「CRP」の検量線を記憶部52から読み出す。次いで
読み出した検量線を用いて信号処理部29から出力された第1及び第2の単色光に対応す
る被検試料データから分析データを生成し、生成した分析データを記憶部52に保存する
と共に出力部60に出力する。
【0107】
ここで、2つの被検試料データの吸光度の差が大きいことが予め分かっている項目では
、2つの単色光の被検試料データの一方のデータから他方のデータを差し引いた差分の被
検試料データに対して予め作成した差分の検量線を用いることにより、信頼性の高い分析
データを生成することができる。
【0108】
このように、複数の単色光を用いて混合液の濁りを測定することにより、信頼性の高い
分析データを生成することができる。
【0109】
測定した後に、洗浄ユニット12は、反応容器3内の測定を終えた混合液を吸引すると
共に、反応容器3内を洗浄及び乾燥する。全ての反応容器3の洗浄及び乾燥が終了し、被
検体ID「1」及び「2」の各項目の分析データが出力部50に出力された時点で、自動
分析装置100は、測定動作を終了する(図8のステップS9)。
【0110】
以上述べた本発明の実施例によれば、色調の変化を測定するための白色光源部21と、
濁りの変化を測定するための単色光源部22とを設け、分析条件設定画面63,64で設
定された分析条件に基づいて白色光又は単色光を用いて測定することができる。
【0111】
また、照射方向設定部24から照射される白色光に使用する照射光学部25、検出光学
部26、分光部27、及び検出部28の各光学ユニットを単色光にも使用することにより
、光学ユニットの構成を簡素化することができる。
【0112】
更に、分析条件設定画面63で設定されたサンプル量、試薬量、及び白色光に関連する
情報に基づいて照射開口絞り252を比色用の照射孔に設定することにより、サンプル量
及び試薬量の微量化を図り、反応容器3内の色調が変化する混合液を精度よく測定するこ
とができる。また、分析条件設定画面64で設定された単色光に関連する情報に基づいて
、照射及び検出開口絞り252,262を比濁用の照射孔及び検出孔に設定することによ
り、反応容器3内の混濁した混合液を精度よく測定することができる。
【0113】
更にまた、分析条件設定画面64で設定された複数の単色光の情報に基づいて、反応容
器3内の混合液の濁りを複数の単色光を用いて測定することにより、信頼性の高い分析デ
ータを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る測光部の構成を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る単色光源部の構成を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る照射開口絞りの構成を示す正面図。
【図6】本発明の実施例に係る表示部に表示される分析条件設定画面の一例を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る表示部に表示される測定項目設定画面の一例を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例に係る白色光を用いたときの照射及び検出開口絞りの制御を説明するための図。
【図10】本発明の実施例に係る単色光を用いたときの照射及び検出開口絞りの制御を説明するための図。
【符号の説明】
【0115】
3 反応容器
13 測光部
20 光源部
21 白色光源部
22 単色光源部
23 切替部
24 照射方向設定部
25 照射光学部
26 検出光学部
27 分光部
28 検出部
29 信号処理部
30 第1の光軸
31 第2の光軸
40 分析制御部
41 機構部
42 制御部
50 データ処理部
211 白色光源
212 フィルタ
231 第4のシャッタ
232 第5のシャッタ
251 第1の集光レンズ
252 照射開口絞り
253 第2の集光レンズ
261 第3の集光レンズ
262 検出開口絞り
263 第4の集光レンズ
271 スリット
272 回折格子
281 フィルタアレイ
282 フォトダイオードアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料及び試薬の混合液が収容された反応容器に光を照射し、前記反応容器からの光
を検出してその混合液を測定する測光部を有する自動分析装置において、
前記測光部は、
前記反応容器に照射する白色光を発する白色光源と単色光を発する単色光源とを備えた光
源部と、
前記光源部からの白色光又は単色光を前記反応容器に照射する照射方向設定手段と、
前記照射方向設定手段から照射され、前記反応容器内を透過した白色光に含まれる所定の
波長の光及び単色光を検出する検出手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記所定の波長の光及び単色光を検出する複数の受光素子により構成
されていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記光源部と前記照射方向設定手段の間に配置され、前記光源部からの白色光及び単色
光をいずれかの光に切り替え可能な切替手段を有することを特徴とする請求項1に記載の
自動分析装置。
【請求項4】
前記照射方向設定手段と前記反応容器の間に離間して配置され、前記反応容器に照射す
る白色光又は単色光の範囲の設定が可能な照射開口絞り手段と、
前記反応容器と前記検出手段の間に離間して配置され、前記反応容器からの白色光又は単
色光を通過させる範囲の設定が可能な検出開口絞り手段とを有することを特徴とする請求
項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記反応容器に照射する白色光又は単色光に関連する情報、前記反応容器に分注する前
記被検試料の量、及び前記試薬の量を設定する分析条件設定手段を有し、
前記切替手段は、前記分析条件設定手段により設定された白色光に関連する情報に基づい
て、前記白色光源からの白色光に切り替え、
前記照射開口絞り手段は、前記分析条件設定手段により設定された前記被検試料の量及び
前記試薬の量の情報、並びに予め設定された前記反応容器の寸法の情報に基づいて、前記
照射方向設定手段から照射された白色光の前記反応容器を通過する光路が前記混合液に含
まれるように設定することを特徴とする請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記切替手段は、前記分析条件設定手段により設定された単色光に関連する情報に基づ
いて、前記単色光源からの単色光に切り替え、
前記検出開口絞り手段は、前記反応容器内を通過した単色光の内、前記照射開口手段によ
り設定された前記反応容器に照射する範囲と同じ範囲、又はこの範囲よりも狭い範囲の単
色光を通過させるように設定することを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記単色光源は、波長の異なる複数の単色光を発する複数の単色光源及び前記複数の単
色光を同一光軸に合波する合波手段を有し、
前記検出手段は、前記複数の単色光を波長毎に検出するようにしたことを特徴とする請求
項1に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−14602(P2009−14602A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178387(P2007−178387)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】