説明

自動分析装置

【課題】撹拌不良による分析データの悪化を防ぐことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】混合液を撹拌するための撹拌子20を反応容器3内へ移動する撹拌子移動部22と、撹拌子移動部22により移動された撹拌子20及び混合液を収容した反応容器3を回転移動した後、停止させる反応ディスク4と、反応容器3内の撹拌子20を駆動して第1及び第2の混合液を撹拌する第1の駆動部25,27とを備え、第1の駆動部25,27は、第1及び第2試薬分注位置で第1及び第2試薬が分注された反応容器3の回転移動中に、その反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第1及び第2の混合液を撹拌する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に含まれている成分を分析する自動分析装置及びその撹拌方法に係り、特に、ヒトの血液や尿などに含まれる化学成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、生化学検査項目や免疫血清検査項目を対象とし、被検試料とこの被検試料の検査項目に該当する試薬とを反応容器に分注する。そして、その混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、光の透過光を測定することにより、被検試料中の様々な成分の濃度や酵素活性を求める。
【0003】
この自動分析装置では、被検試料毎に分析条件の設定により測定可能になった多数の検査項目の中から、検査に応じて選択された検査項目の測定が行われる。そして、サンプル及び試薬分注プローブは、回転移動する反応容器が停止したときに、反応容器内に被検試料及び検査項目に該当する試薬を分注する。サンプル及び試薬分注の後、撹拌子は反応容器が停止したときに反応容器内の被検試料及び試薬の混合液を撹拌する。混合液の撹拌後、測光部は回転移動している反応容器内の混合液を測定する。そして、サンプル及び試薬分注プローブは分注終了毎に洗浄され、また撹拌子は撹拌終了毎に洗浄され、更に反応容器は混合液測定終了毎に洗浄され、サンプル及び試薬分注プローブ、撹拌子、及び反応容器は、洗浄終了毎に繰り返し測定に使用される。
【0004】
ところで、混合液の撹拌の方法には、モータの先端部に取り付けた撹拌子を、反応容器が停止しているときに上方から反応容器内に移動して回転させ、反応容器内の混合液を撹拌する方法がある。また、両面に圧電素子を貼り付けた薄い金属板の先端部に設けた撹拌子を、上方から反応容器内に移動して振動させ、反応容器内の混合液を撹拌する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3135605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、多数のテスト数(被検試料数×検査項目数)を高速処理する必要がある自動分析装置では、例えば粘度が高い被検試料又は試薬を含む混合液の場合、反応容器の停止中にその混合液を十分に撹拌できないため、分析データが悪化する問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、撹拌不良による分析データの悪化を防ぐことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の形態は、被検試料及び試薬の混合液を収容した反応容器内に上下移動可能に収容された撹拌子と、前記撹拌子及び前記混合液を収容した前記反応容器を移動させる反応容器移動部と、前記反応容器移動部による前記反応容器の移動中に、その反応容器内の撹拌子を上方及び下方に交互に駆動させることにより、前記混合液を撹拌する駆動部とを備えたことを特徴とする自動分析装置である。
【0009】
また、この発明の第2の形態は、被検試料及び試薬の混合液を収容した反応容器内に上下移動可能に収容された永久磁石である攪拌子と、前記反応容器の下方に配され、該反応容器に対して対向可能なように対向面が形成された磁石を有し、前記磁石の対向面側が前記攪拌子を下方に引き寄せるN極又はS極の一方を示し、また、前記磁石の対向面側が前記攪拌子を上方に反発させる他方の極を示すように、前記反応容器と前記磁石の対向面側とを相対的に移動させる駆動部と、を備えたことを特徴とする自動分析装置である。
【0010】
更に、この発明の第9の形態は、被検試料及び試薬の混合液を収容した反応容器内に上下移動可能に収容された永久磁石である攪拌子と、前記反応容器内の前記攪拌子を上方及び下方に交互に駆動させる電磁石と、前記電磁石に極性を交互に変えた電流を供給する電力供給部と、前記反応容器内の混合液に含まれる被検試料、試薬の何れか、或いはその両方の液性又は量に基づいて、前記電力供給部を制御し、前記電磁石に供給する電流の大きさ或いは周波数、又は前記電磁石に供給する電流の大きさ及び周波数を可変する制御部と、を備えたことを特徴とする自動分析装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、反応容器の移動中に混合液を撹拌することが可能となり、撹拌性能の向上を図ることができる。これにより、撹拌不良による分析データの悪化を防ぐことができる。
本発明の第1の形態によれば、反応容器の移動中に混合液を撹拌するようにしたので、多数のテスト数を高速で処理する要請に応えることが可能となり、また、攪拌子を上方及び下方に交互に駆動させたので、被検試料が反応容器の底部に溜まらず、試薬と混じり合い、撹拌性能を向上させ、撹拌不良による分析データの悪化を防ぐことができる。
また、第2の形態によれば、攪拌子を上方及び下方に交互に駆動させたので、攪拌性能を向上させ、攪拌不良による分析データの悪化を防ぐことが可能となる。また、攪拌子に磁石を用いることで、磁力による攪拌子の上下駆動が効率良く行うことができ、更には駆動部を小スペースに設置することが可能となる。
さらに、第9の形態によれば、混合液に含まれる被検試料、試薬の何れか、或いはその両方の液性又は量に応じて、混合液を攪拌する回数や速度を可変させたので、攪拌性能を向上させ、攪拌不良による分析データの悪化を防ぐことが可能となる。また、駆動部を小スペースに設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施形態に係る撹拌部の構成を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る撹拌子の一例を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係る撹拌子の他の例を示す図。
【図6】本発明の実施形態に係る撹拌子の他の例を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係る撹拌子移動部の構成を示す図。
【図8】本発明の実施形態に係る撹拌子移動部による撹拌子の移動を示す図。
【図9】本発明の実施形態に係る第1及び第2の駆動部の構成を示す図。
【図10】本発明の実施形態に係る表示部に表示される分析条件設定画面の一例を示す図。
【図11】本発明の実施形態に係る表示部に表示される測定項目画面の一例を示す図。
【図12】本発明の実施形態に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明による自動分析装置の実施形態を、図1乃至図12を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、様々な検査項目の標準試料や被検試料を、検査項目毎に試薬を用いて測定する分析部18と、分析部18の測定に使用される各ユニットを駆動及び制御する分析制御部40と、標準試料や被検試料の測定により分析部18から出力される標準試料データや被検試料データを処理して検量線の作成や分析データの生成を行うデータ処理部50とを備えている。
【0015】
また、データ処理部50で作成された検量線や生成された分析データを出力する出力部60と、各検査項目の分析条件の入力や、各種コマンド信号の入力などを行う操作部70と、分析制御部40、データ処理部50、及び出力部60を統括して制御するシステム制御部80とを備えている。
【0016】
図2は、分析部18の構成を示した斜視図である。この分析部18は、標準試料や被検試料等のサンプルを収容する試料容器17と、サンプルを収容した試料容器17を回動可能に保持するディスクサンプラ5と、試料容器17からサンプルを吸引して反応容器3に吐出する分注を分析サイクル毎に行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を回動及び上下動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。
【0017】
また、サンプルに含まれる各検査項目の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器6と、第1試薬を収容した試薬容器6を回動可能に保持するラック1aが収納された第1試薬庫1と、第1試薬庫1の試薬容器6から第1試薬を吸引して、サンプルが分注された反応容器3に吐出する分注を分析サイクル毎に行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下動可能に保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0018】
更に、第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、第2試薬を収容した試薬容器7を回動可能に保持するラック2aが収納された第2試薬庫2と、第2試薬庫2の試薬容器7から第2試薬を吸引して、サンプル及び第1試薬が分注された反応容器3に吐出する分注を分析サイクル毎に行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下動可能に保持する第2試薬分注アーム9とを備えている。
【0019】
更にまた、分析サイクル毎に円周上に等間隔で複数(m)個配置された反応容器3を所定の角度θ1回転移動させた後に停止させる反応ディスク4と、反応容器3内に吐出されたサンプル及び第1試薬からなる第1の混合液や、サンプル、第1試薬、及び第2試薬からなる第2の混合液を分析サイクル毎に撹拌する撹拌部11と、反応容器3内の第1の混合液や第2の混合液を測定する測光部13と、反応容器3内の測定を終えた第1の混合液や第2の混合液を吸引すると共に反応容器3内を洗浄するための洗浄ノズル、及び反応容器3内を乾燥するための乾燥ノズルを上下移動可能に保持する洗浄ユニット12とを備えている。
【0020】
そして、測光部13は、回転移動している測光位置の反応容器3に光を照射し、標準試料を含む混合液を透過した光を吸光度に変換して標準試料データを生成した後、データ処理部50に出力する。また、被検試料を含む混合液を透過した光を吸光度に変換して被検試料データを生成した後、データ処理部50に出力する。測定後の反応容器3、サンプル分注プローブ16、第1及び第2試薬分注プローブ14,15、及び撹拌部11のサンプル、第1試薬、第2試薬、第1の混合液、第2の混合液の各液体に接触した各ユニットは、洗浄された後、再び測定に使用される。
【0021】
分析制御部40は、分析部18の各ユニットを駆動する機構を備えた機構部41と、機構部41の各機構を駆動させて分析部18の各ユニットを制御する制御部42とを備えている。機構部41は、第1試薬庫1のラック1a、第2試薬庫2のラック2a、及びディスクサンプラ5を夫々回動する機構、反応ディスク4を回転する機構、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、及び撹拌部11の一部のユニットを夫々回動及び上下移動する機構、洗浄ユニット12を上下移動する機構を備えている。
【0022】
また、サンプルの吸引及び吐出をサンプル分注プローブ16に行わせるサンプル分注ポンプを吸引及び吐出駆動する機構、第1及び第2試薬の吸引及び吐出を第1及び第2試薬分注プローブ14,15に行わせる第1及び第2試薬ポンプを夫々吸引及び吐出駆動する機構、洗浄ユニット12の洗浄ノズルから第1の混合液又は第2の混合液の吸引や、洗浄液の吐出及び吸引を行う洗浄ポンプを駆動する機構、洗浄ユニット12の乾燥ノズルから吸引を行う乾燥ポンプを駆動する機構等を備えている。
【0023】
図1のデータ処理部50は、分析部18から出力された標準試料データや被検試料データから検量線の作成や分析データの生成を行う演算部51と、演算部51で作成された検量線や生成された分析データなどを保存するデータ記憶部52とを備えている。
【0024】
演算部51は、分析部18の測光部13から出力された各検査項目の標準試料データから検量線を作成してデータ記憶部52に保存すると共に出力部60に出力する。また、分析部18の測光部13から出力された被検試料データに対応する検査項目の検量線をデータ記憶部52から読み出す。次いで、読み出した検量線を用いてその被検試料データから検査項目成分の濃度や活性値などの分析データを生成し、生成した分析データをデータ記憶部52に保存すると共に出力部60に出力する。
【0025】
データ記憶部52は、ハードディスクなどを備え、演算部51から出力された検量線を検査項目毎に保存し、演算部51から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0026】
出力部60は、データ処理部50から出力された検量線や分析データなどを印刷出力する印刷部61及び表示出力する表示部62を備えている。そして、印刷部61は、プリンタなどを備え、データ処理部50から出力された検量線、分析データなどを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙に印刷出力する。
【0027】
表示部62は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、データ処理部50から出力された検量線や分析データの表示や、各検査項目のサンプルの量、第1試薬の量、第2試薬の量、波長などの分析条件を設定するための分析条件設定画面、被検体の被検体IDや被検体名などを設定するための被検体情報設定画面、被検試料毎に測定する検査項目を選択するための測定項目選択画面などの表示を行う。
【0028】
操作部70は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析条件、被検体の被検体IDや被検体名などの被検体情報、被検試料毎に測定する検査項目等を入力する。
【0029】
システム制御部80は、CPUと記憶回路を備え、操作部70から供給されるコマンド信号、各検査項目の分析条件、被検体情報、被検試料毎に測定する検査項目などの情報を記憶する。そして、これらの情報に基づいてシステム全体の制御を行なう。
【0030】
次に、図1乃至図9を参照して、分析部18における撹拌部11の構成及び動作を説明する。
【0031】
図3は、撹拌部11の構成を示した上面図である。この撹拌部11は、分析部18の反応ディスク4の外周に配置され、反応容器3内の第1の混合液や第2の混合液を撹拌するための撹拌子20と、この撹拌子20を格納する格納部21と、格納部21に格納された撹拌子20を反応容器3内へ移動する撹拌子移動部22と、反応容器3内の撹拌子20を駆動して第1の混合液や第2の混合液を撹拌する駆動部23と、第1の混合液や第2の混合液の撹拌に使用した撹拌子20を洗浄する撹拌子洗浄部24とを備えている。
【0032】
図4は、反応容器3内の撹拌子20の一例を示した図である。この撹拌子20は、下面201の側がN極又はS極の一方の極を示し、上面202の側が他方の極を示す反応容器3内で上下移動可能な例えば永久磁石であり、ポリテトラフルオロエチレン等の耐薬品性に優れて摩擦係数の小さい材料により被覆されている。
【0033】
そして、下面201及び上面202が、上側に開口部を有し中空の四角柱をなす反応容器3内の底面よりも僅かに小さい相似形であり、側面203の光を透過する反応容器3の内壁に面する部分が、その内壁の光を透過する部分に接触しないようにくびれている。また、反応容器3内で下面201と上面202が逆転不可能なように側面203が所定の高さを有し、上下移動可能に反応容器3内に収容される。更に、反応容器3内で撹拌子20が上下移動したとき、第1の混合液や第2の混合液が下面201の下側又は上面202の上側の一側から他側へ流通可能して撹拌可能なように下面201及び上面202を貫通する複数の貫通孔204が形成されている。
【0034】
なお、上記例に限定されるものではなく、図5に示すように、下面及び上面が反応容器3内の底面に沿って形成された四角形を成す撹拌子20aでもよい。また、図6に示すように、下面及び上面が円形を成す撹拌子20bでもよい。更に、上側に開口部を有し中空の円柱又は四角柱以外の多角柱をなす反応容器を用いて、下面及び上面がその反応容器内の底面よりも僅かに小さい相似形をなす撹拌子でもよい。
【0035】
図3の格納部21は、上面202を上側に向けた複数の撹拌子20を回動可能に格納する。また、撹拌子洗浄部24で洗浄された撹拌子20を乾燥する。
【0036】
図7は、撹拌子移動部22の構成を示した図である。この撹拌子移動部22は、分析制御部40により制御され、下端部で撹拌子20を吸着及び脱離する着脱プローブ221、及び上下移動及び回動可能に着脱プローブ221の上端部を保持する移動アーム222により構成される。
【0037】
着脱プローブ221は、下端部内に例えば電磁石を有する。そして、図8(a)に示すように、格納部21内へ移動して分析制御部40の制御部42から前記電磁石に供給される電力により未使用又は乾燥後の撹拌子20の上面202に近接して吸着した後、制御部42の前記電磁石への電力の停止により吸着した撹拌子20を、分配位置に停止した反応容器3内で脱離する。
【0038】
また、図8(b)に示すように、分配位置に停止した測定終了後の反応容器3内へ移動して前記電磁石に供給される電力により撹拌子20を吸着した後、前記電磁石への電力の停止により吸着した撹拌子20を撹拌子洗浄部24内で脱離する。撹拌子洗浄部24では、アルカリ洗剤、酸性洗剤、界面活性剤等を含む洗浄液や純水を用いて撹拌子20に付着した混合液を洗い落とす。なお、超音波洗浄を併用して混合液を洗い落とすようにしてもよい。更に、撹拌子洗浄部24へ移動して洗浄後の撹拌子20を吸着した後、吸着した撹拌子20を格納部21内で脱離する。
【0039】
なお、下端部近傍にロボットハンド機構を設けた着脱プローブにより、撹拌子20の複数の貫通孔204又は縁辺を狭持して移動するようにしてもよい。
【0040】
移動アーム222は、分析制御部40の機構部41により上下移動及び回動して、着脱プローブ221を格納部21内から分配位置の反応容器3内へ移動する。また、分配位置の反応容器3内から撹拌子洗浄部24内へ移動する。更に、撹拌子洗浄部24内から格納部21内へ移動する。
【0041】
図3の駆動部23は、第1試薬分注位置で第1試薬が分注された反応容器3の矢印R1方向への回転移動中に、その反応容器3内の撹拌子20を駆動して第1の混合液を撹拌する第1の駆動部25と、第1の駆動部25で撹拌された後の反応容器3の第1の撹拌位置への停止中に、その反応容器3内の撹拌子20を駆動して第1の混合液を撹拌する第2の駆動部26とを備えている。また、第2試薬分注位置で第2試薬が分注された反応容器3の回転移動中に、その反応容器3内の撹拌子20を駆動して第2の混合液を撹拌する第1の駆動部27と、第1の駆動部27で撹拌された後の反応容器3の第2の撹拌位置への停止中に、その反応容器3内の撹拌子20を駆動して第2の混合液を撹拌する第2の駆動部28とを備えている。
【0042】
図9は、第1及び第2の駆動部25,26の構成を示した図である。第1の駆動部25は、撹拌子20の下面201側の一方の磁極と同種の極に磁化可能な端部を上方に向けたn個(2n<m)の電磁石である第1の磁石25a1乃至25an、及び異種の極に磁化可能な一端部を上方に向けたn個の電磁石である第2の磁石25b1乃至25bnを有する。そして、各第1の磁石25a1乃至25anと各第2の磁石25b1乃至25bnは交互に配置され、各磁石の上方を第1試薬が分注された反応容器3が通過するタイミングで分析制御部40の制御部42から供給される電力(直流電流)により磁化する。
【0043】
また、図3に示すように、第1試薬分注プローブ14により反応容器3に第1試薬が分注される第1試薬分注位置と第1試薬分注位置の反応容器3が1分析サイクルで回転移動した後に停止する第1の撹拌位置の間の所定の角度θ1の範囲に含まれる角度θ2の範囲の反応容器3が回転移動する軌道の下方に配置される。
【0044】
次に、図2乃至図9を参照して、反応容器3内の第1の混合液を撹拌する動作を説明する。分析部18の洗浄ユニット12により洗浄及び乾燥された反応容器3が分配位置に停止したとき、撹拌子移動部22は格納部21の撹拌子20をその反応容器3内へ移動する。撹拌子20を反応容器3内へ移動した後、撹拌子20を収容した反応容器3がサンプル分注位置に停止したとき、サンプル分注プローブ16は試料容器17からその反応容器3内へサンプルを分注する。サンプルを分注した後、サンプルを収容した反応容器3が第1試薬分注位置に停止したとき、第1試薬分注プローブ14は第1試薬庫1内の試薬容器6からその反応容器3内へ第1試薬を分注する。
【0045】
第1試薬分注位置で第1試薬が分注された反応容器3は、矢印R1方向に回転移動する。その反応容器3内の撹拌子20は、第1試薬分注位置から1ピッチ回転移動した1ピッチ位置の下方に配置された第1の磁石25a1により反発して上へ移動した後、2ピッチ回転移動した2ピッチ位置の下方に配置された第2の磁石25b1により吸引されて下へ移動する。なお、1ピッチは、m個の反応容器3を360°で除した角度の回転角度で表される。
【0046】
次いで、3ピッチ回転移動した3ピッチ位置の下方に配置された第1の磁石25a2により反発して上へ移動した後、4ピッチ回転移動した4ピッチ位置の下方に配置された第2の磁石25b2により吸引されて下へ移動する。
【0047】
更に、(2n−1)ピッチ回転移動した(2n−1)ピッチ位置の下方に配置された第1の磁石25anにより反発して上へ移動した後、2nピッチ回転移動した2nピッチ位置の下方に配置された第2の磁石25bnにより吸引されて下へ移動して停止する。
【0048】
なお、第1又は第2の磁石の一方の磁石を連続する2ピッチ位置以上に亘って並べ、他方の磁石を1ピッチ位置又は連続する2ピッチ位置以上に亘って並べる。そして、2ピッチ位置以上に亘って並べた一方の磁石と、1ピッチ位置又は連続する2ピッチ位置以上に亘って並べた他方の磁石を交互に配置するように実施してもよい。
【0049】
このように、第1試薬分注位置で第1試薬が分注された反応容器3の回転移動中に、その反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第1の混合液を撹拌することができる。
【0050】
第2の駆動部26は、第1の撹拌位置で停止した反応容器3の下方に配置され、N極又はS極の一方の極と他方の極に交互に磁化可能な端部を上方に向けた電磁石である第3の磁石26aを有する。そして、第3の磁石26aは、第1試薬が分注された反応容器3が第1の撹拌位置に停止している間、制御部42から供給される所定の周波数の交流電流により一方の極と他方の極に交互に磁化して、その反応容器3内の撹拌子20を上下移動させる。
【0051】
第1試薬が分注された反応容器3は、2nピッチ位置を回転移動した後に第1の撹拌位置で停止する。その反応容器3内の撹拌子20は、第3の磁石26aにより反発して上へ移動した後に吸引されて下へ移動する動作を繰り返す。
【0052】
なお、上方から第1の撹拌位置に停止した反応容器3内に撹拌子を移動させた後、移動させた撹拌子を回転又は振動させてその反応容器3内の第1の混合液を撹拌するようにしてもよい。
【0053】
このように、第1試薬分注位置で第1試薬が分注された反応容器3が回転移動した後の停止中に、その反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第1の混合液を撹拌することができる。これにより、回転移動中及び回転移動した後の停止中に反応容器3内の第1の混合液を撹拌することが可能となり、第1の混合液を長時間にわたって撹拌することができる。
【0054】
第1の駆動部27は、第2試薬分注位置で第2試薬分注プローブ15により第2試薬が分注された反応容器3が回転移動する軌道の下方に配置され、第1の駆動部25と同様に構成されるのでその説明を省略する。そして、第1の駆動部27を構成する各磁石の上方を第2試薬が分注された反応容器3が通過するタイミングで制御部42から供給される直流電流により磁化して、その反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第2の混合液を撹拌する。
【0055】
このように、第2試薬分注位置で第2試薬が分注された反応容器3の回転移動中に、その反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第2の混合液を撹拌することができる。
【0056】
第2の駆動部28は、第2試薬が分注された反応容器3が回転移動した後に停止する第2の撹拌位置の下方に配置され、第2の駆動部26と同様に構成されるのでその説明を省略する。そして、第2の駆動部28を構成する磁石は、第2試薬が分注された反応容器3が第2の撹拌位置に停止している間、制御部42から供給される所定の周波数の交流電流によりその反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第2の混合液を撹拌する。
【0057】
このように、第2試薬分注位置で第2試薬が分注された反応容器3が回転移動した後の停止中に、その反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第2の混合液を撹拌することができる。これにより、回転移動中及び回転移動した後の停止中に反応容器3内の第2の混合液を撹拌することが可能となり、第2の混合液を長時間にわたって撹拌することができる。
【0058】
図3の撹拌子洗浄部24は、撹拌子移動部22により第1の混合液又は第2の混合液を収容した反応容器3から移動された撹拌子20と、この撹拌子20の移動により第1の混合液又は第2の混合液に接触した着脱プローブ221の部分とを洗浄する。そして、撹拌子洗浄部24で洗浄された撹拌子20は、撹拌子移動部22により格納部21へ移動された後、格納部21で乾燥されて再び測定に使用される。
【0059】
なお、撹拌子洗浄部24を撹拌子回収ボックスに置き換え、測定に使用した反応容器3内の撹拌子20を回収ボックスに回収して破棄するようにしてもよい。
【0060】
以下、図1乃至図12を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。図10は、表示部62に表示される分析条件設定画面の一例を示す図である。図11は、表示部62に表示される測定項目選択画面の一例を示す図である。図12は、自動分析装置100の動作を示すフローチャートである。
【0061】
図10において、分析条件設定画面63は、「項目名」、「サンプル量」、「試薬量」、「波長」、及び「測光ポイント」等の欄、及び各欄に分析条件を設定するためのダイアログボックス631乃至638等により構成される。そして、操作部70から検査項目毎に分析条件設定画面63の各欄に対応する各ダイアログボックスへの入力操作が行われると、入力された各検査項目の分析条件の入力情報が、システム制御部80の記憶回路に保存される。
【0062】
「項目名」の欄には、予め設定された複数の検査項目の中から所望の検査項目の名称を選択して設定する。検査項目の名称が例えばアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを選択入力する操作により、ダイアログボックス631内にアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略称名である例えば「AST」が表示される。
【0063】
「サンプル量」の欄には、「項目名」の欄に設定した検査項目を測定するときに反応容器3に分注するサンプルの量を設定する。サンプル量として例えば5μLを入力する操作により、ダイアログボックス632内に「5」が表示される。
【0064】
「試薬量」の欄には、「第1試薬」及び「第2試薬」の欄が表示され、「項目名」の欄に設定した検査項目を測定するときに用いる試薬が1試薬系である場合、「第1試薬」の欄に反応容器3に分注する第1試薬の量を設定する。また、2試薬系である場合、「第1試薬」及び「第2試薬」の欄に反応容器3に分注する第1及び第2試薬の量を設定する。そして、2試薬系の第1試薬の量として150μLを入力する操作により、ダイアログボックス633内に「150」が表示される。また、第2試薬の量として50μLを入力する操作により、ダイアログボックス634内に「50」が表示される。
【0065】
「波長」の欄には「波長1」及び「波長2」の欄が表示され、「項目名」の欄に設定した検査項目の反応の種類に応じた波長を設定する。予め設定された波長の中から1つ又は異なる2つの波長を選択して設定する。
【0066】
そして、「波長1」の欄に「項目名」の欄に設定した検査項目の反応の種類に応じた例えば340nmを選択入力する操作により、ダイアログボックス635内に「340」が表示される。また、「波長2」の欄に例えば380nmを選択入力する操作により、ダイアログボックス636内に「380」が表示される。
【0067】
「測光ポイント」の欄には、「項目名」の欄に設定した検査項目の混合液を測定するタイミングである例えば第20の測光ポイントから第29の測光ポイントまでを選択入力する操作により、ダイアログボックス637内に「20」が表示され、ダイアログボックス638内に「29」が表示される。
【0068】
ここで、例えば第1試薬を分注した反応容器3が回転移動して1回目に、図3に示すように例えばサンプル分注位置と第1試薬分注位置の間の測光位置を通過するときを第1の測光ポイントとする。そして、被検試料、第1試薬、及び第2試薬からなる第2の混合液を収容した反応容器3が測光位置を20回目乃至29回目に通過するポイントである各第20乃至第29の測光ポイントの測定により測光部13で生成された10個の被検試料データに基づいて分析データが生成される。
【0069】
図11は、表示部62に表示される測定項目選択画面の一例を示した図である。この測定項目選択画面64は、被検体情報設定画面で設定された被検試料の例えば被検体IDを表示する「ID」の欄と、図10の分析条件設定画面63で設定された検査項目を表示する「項目」の欄と、「ID」の欄に表示された被検体ID毎に測定する検査項目を、「項目」の欄の中から選択するための測定項目設定エリア64aとにより構成される。
【0070】
「ID」の欄には、被検体情報設定画面で設定された例えば「1」の被検体IDが表示されている。また、「項目」の欄には、分析条件設定画面63で設定された例えば「AST」等の検査項目名が表示されている。
【0071】
測定項目設定エリア64aにおける「ID」の欄の選択された被検体IDに対応する「項目」の欄の選択された検査項目名のエリアに「○」が表示され、選択されないエリアには「・」が表示される。そして、操作部70から「1」のサンプルIDに対して「AST」の検査項目名が選択されると、測定項目設定エリア64aにおける「ID」の欄の「1」に対応する「項目」の欄の「AST」のエリアに1テスト目に当たる「○」が表示される。
【0072】
次に、この発明の実施形態に係る自動分析装置100による一連の動作について、図12を参照して説明する。図12は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。システム制御部80の記憶回路には、分析条件設定画面63で設定された分析条件や、測定項目選択画面64で選択された被検試料毎の検査項目の情報が保存されている。また、検査項目毎に予め設定された第1試薬や第2試薬の粘性や泡立ち易さ等の試薬液性の情報が保存されている。
【0073】
被検体情報設定画面で設定した被検体IDの被検試料を収容した試料容器17を分析部18のディスクサンプラ5に設置した後、操作部70から被検試料を測定するための測定開始操作が行われると、自動分析装置100は、動作を開始する(ステップS1)。
【0074】
システム制御部80は、分析制御部40の制御部42に被検試料の測定を指示する。分析部18は、制御部42の制御により、分析条件設定画面63で設定された各検査項目の分析条件に基づいて、測定項目選択画面64で選択設定された被検試料の検査項目を測定する。分析部18における撹拌部11の撹拌子移動部22は、洗浄ユニット12で洗浄及び乾燥された反応容器3が分配位置に停止したとき、撹拌子20を格納部21からその反応容器3内へ移動する(ステップS2)。
【0075】
サンプル分注プローブ16は、撹拌子20を収容した反応容器3がサンプル分注位置に停止したとき、1テスト目の検査項目に対応する被検試料を試料容器17からその反応容器3へ分注する。第1試薬分注プローブ14は、被検試料が分注された反応容器3が第1試薬分注位置に停止したとき、1テストの検査項目に該当する第1試薬を第1試薬庫1の試薬容器6からその反応容器3へ分注する。
【0076】
第1試薬分注位置で第1試薬が分注された反応容器3は、R1方向に回転移動する。撹拌部11の第1の駆動部25は、回転移動中の反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第1の混合液を撹拌する(ステップS3)。
【0077】
第2の駆動部26は、回転移動後に第1の撹拌位置に停止した反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第1の混合液を撹拌する(ステップS4)。
【0078】
第1試薬が分注された反応容器3は、回転移動及び停止を繰り返して所定時間後に第2試薬分注位置に停止する。第2試薬分注プローブ15は、1テストの検査項目に該当する第2試薬を第2試薬庫2の試薬容器7から第2試薬分注位置に停止した反応容器3へ分注する。第2試薬が分注された反応容器3はR1方向に回転移動する。第1の駆動部27は、回転移動中の反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第2の混合液を撹拌する(ステップS5)。
【0079】
第2の駆動部28は、回転移動後に第2の撹拌位置に停止した反応容器3内の撹拌子20を上下移動させて第2の混合液を撹拌する(ステップS6)。
【0080】
なお、予め設定された検査項目や、分析条件設定画面63で設定されたサンプル量、第1試薬量、第2試薬量等の分析条件に基づいて、駆動部23に供給する直流電流の大きさ、交流電流の大きさ、交流電流の周波数、電力供給時間、反応容器3の回転速度等を可変することができる。予め設定された検査項目の第1試薬や第2試薬の粘性が例えば通常の粘性よりも高い場合、通常の粘性の試薬に対してよりも大きな電流を第1及び第2の駆動部25,26や、第1及び第2の駆動部27,28に供給して撹拌子20をより強力に作動させることにより、その検査項目に対応する反応容器3内の第1の混合液や第2の混合液をより均一に撹拌することができる。
【0081】
また、予め設定された検査項目の第1試薬や第2試薬が例えば通常の試薬よりも泡立ち易い場合、通常の試薬に対してよりも小さな電流を第1及び第2の駆動部25,26や、第1及び第2の駆動部27,28に供給して撹拌子20をより弱い力で作動させることにより、その検査項目に対応する反応容器3内の第1の混合液や第2の混合液の泡立ちを抑制することができる。
【0082】
これにより、第1の混合液の泡立ちが大きいために、この第1の混合液の泡立ち部分に第2試薬が分注されて第2の混合液の混合不良を防ぐことができる。また、洗浄ユニット12が洗浄不可能な反応容器3内の上部までの泡立ちを抑制することができる。
【0083】
第2の混合液の撹拌後、測光部13は、反応容器3が測光位置を分析条件設定画面63で設定された測光ポイントで反応容器3内の第2の混合液を測定する。そして、生成した各被検試料データをデータ処理部50の演算部51に出力する。なお、測光位置を通過するときの撹拌子20は、測光部13から照射された光の光路の領域に含まれない反応容器3内の底部に沈着している。
【0084】
撹拌子移動部22は、測定終了後の撹拌子20を反応容器3から撹拌子洗浄部24内へ移動する(ステップS7)。
【0085】
撹拌子洗浄部24は、撹拌子移動部22により移動された測定終了後の撹拌子20を洗浄する(ステップS8)。
【0086】
撹拌子移動部22は、洗浄後の撹拌子20を撹拌子洗浄部24から格納部21内へ移動する(ステップS9)。
【0087】
格納部21は、撹拌子移動部22により移動された洗浄後の撹拌子20を乾燥する(ステップS10)。
【0088】
演算部51は、予め作成された検量線をデータ記憶部52から読み出す。次いで読み出した検量線を用いて測光部13から出力された被検試料データから分析データを生成し、生成した分析データをデータ記憶部52に保存すると共に出力部60に出力する。
【0089】
洗浄ユニット12は、反応容器3内の測定を終えた混合液を吸引すると共に、反応容器3内を洗浄及び乾燥する。反応容器3の洗浄及び乾燥が終了し、サンプルID「1」の検査項目の分析データが出力部60に出力された時点で、自動分析装置100は、動作を終了する(ステップS11)。
【0090】
以上述べた本発明の実施形態によれば、第1試薬分注位置で第1試薬が分注された撹拌子20及びサンプルを収容する反応容器3の回転移動中に、その反応容器3内の撹拌子20を第1の駆動部25により上下移動させて第1の混合液を撹拌することができる。また、第1試薬が分注された反応容器3が回転移動した後の停止中に、その反応容器3内の撹拌子20を第2の駆動部26により上下移動させて第1の混合液を撹拌することができる。これにより、回転移動中及び停止中の長時間に亘って反応容器3内の第1の混合液を撹拌することができる。
【0091】
また、第2試薬分注位置で第2試薬が分注された反応容器3の回転移動中に、その反応容器3内の撹拌子20を第1の駆動部27により上下移動させて第2の混合液を撹拌することができる。また、第2試薬が分注された反応容器3が回転移動した後の停止中に、その反応容器3内の撹拌子20を第2の駆動部28により上下移動させて第2の混合液を撹拌することができる。これにより、回転移動中及び停止中の長時間に亘って、反応容器3内の第2の混合液を撹拌することができる。
【0092】
更に、予め設定された検査項目や、分析条件設定画面63で設定されたサンプル量、第1試薬量、第2試薬量等の分析条件に基づいて、駆動部23に供給する直流電流の大きさ、交流電流の大きさ、交流電流の周波数、供給時間、反応容器3の回転速度等を可変することができる。
【0093】
以上により、撹拌性能の向上を図ることが可能となり、撹拌不良による分析データの悪化を防ぐことができる。
なお、駆動部25〜28を透磁率の高い磁気シールド材で囲んでも良い。磁力線をシールド材の中を流すことにより、駆動部の周辺への磁力線の影響を減少させることが可能となる。
【0094】
また、攪拌子を電界の作用により駆動させても良い。例えば、攪拌子の下面にプラス又はマイナスの一方の電荷を帯びさせる。反応容器の下方に配された駆動部であって、反応容器に対して対向可能なように対向面が形成された電極を有し、電極が撹拌子を下方に引き寄せるプラス又はマイナスの一方を示し、また、電極が前記撹拌子を上方に反発させるプラス又はマイナスの他方を示すように、反応容器に対して電極を相対的に移動させる駆動部を備え、それにより、攪拌子を上方と下方とに交互に駆動させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0095】
3 反応容器
8 第1試薬分注アーム
9 第2試薬分注アーム
10 サンプル分注アーム
11 撹拌部
13 測光部
14 第1試薬分注プローブ
15 第2試薬分注プローブ
16 サンプル分注プローブ
20 撹拌子
21 格納部
22 撹拌子移動部
23 駆動部
24 撹拌子洗浄部
25,27 第1の駆動部
26,28 第2の駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検試料及び試薬の混合液を収容した反応容器内に上下移動可能に収容された撹拌子と、
前記撹拌子及び前記混合液を収容した前記反応容器を移動させる反応容器移動部と、
前記反応容器移動部による前記反応容器の移動中に、その反応容器内の撹拌子を上方及び下方に交互に駆動させることにより、前記混合液を撹拌する駆動部と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
被検試料及び試薬の混合液を収容した反応容器内に上下移動可能に収容された永久磁石である攪拌子と、
前記反応容器の下方に配され、該反応容器に対して対向可能なように対向面が形成された磁石を有し、前記磁石の対向面側が前記攪拌子を下方に引き寄せるN極又はS極の一方を示し、また、前記磁石の対向面側が前記攪拌子を上方に反発させる他方の極を示すように、前記反応容器と前記磁石の対向面側とを相対的に移動させる駆動部と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
前記反応容器に光を照射し、その反応容器内の混合液を透過した光を測定する測光部を有し、
前記撹拌子の下面及び上面は、上側に開口部を有し中空の円周又は多角柱をなす前記反応容器内の底面よりも小さい相似形であり、前記撹拌子の側面における光を透過する前記反応容器の内壁に面する部分が、その内壁に接触しないようにくびれていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記反応容器に光を照射し、その反応容器内の混合液を透過した光を測定する測光部を有し、
前記撹拌子の下面及び上面は、上側に開口部を有し中空の円柱又は多角柱をなす前記反応容器内の底面よりも小さい相似形であり、前記撹拌子の側面における光を透過する前記反応容器の内壁に面する部分が、その内壁に接触しないようにくびれていることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記反応容器内で前記撹拌子が上下移動したとき、その反応容器内の混合液が前記下面の下側又は前記上面の上側の一側から他側へ流通可能なように前記下面及び上面を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記反応容器内で前記撹拌子が上下移動したとき、その反応容器内の混合液が前記下面の下側又は前記上面の上側の一側から他側へ流通可能なように前記下面及び上面を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記磁石は、前記反応容器が移動する軌道の一部に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記駆動部の磁石は、電磁石であることを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項9】
被検試料及び試薬の混合液を収容した反応容器内に上下移動可能に収容された永久磁石である攪拌子と、
前記反応容器内の前記攪拌子を上方及び下方に交互に駆動させる電磁石と、
前記電磁石に極性を交互に変えた電流を供給する電力供給部と、
前記反応容器内の混合液に含まれる被検試料、試薬の何れか、或いはその両方の液性又は量に基づいて、前記電力供給部を制御し、前記電磁石に供給する電流の大きさ或いは周波数、又は前記電磁石に供給する電流の大きさ及び周波数を可変する制御部と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−210563(P2009−210563A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1458(P2009−1458)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】