説明

自動分析装置

【課題】ユーザが患者試料や精度管理試料の測定、およびキャリブレーション測定の結果や反応過程データから測定に使用した試薬に起因したと推測される異常を見つけた場合に、任意の試薬を使用不可とすることができ、試薬ボトル毎の最終患者試料測定後に容易に精度管理試料測定を行うことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】自動分析装置において、試料202の分析を行う分析部206と、試料202の分析に関する情報を表示する表示部と、分析部206を制御し、試料202の分析処理を行う制御部とを備え、制御部は、表示部に試料202の分析で使用される試薬207の情報を示す画面を表示させ、その表示画面に基づいて操作された試薬207のマスク指示を入力とし、入力された試薬207のマスク指示に基づいて試薬207をマスク指定し、マスク指定された試薬207を試料202の分析において使用しないものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の生体試料の測定を行う自動分析装置に関し、特に、使用する試薬毎に、キャリブレーション測定による測定結果の較正や精度管理試料測定による測定結果の精度管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置にて患者試料の測定を行う際は、予め分析で使用する試薬毎にキャリブレーション測定を行い、分析の目的となる成分濃度を求めるための検量線を算出する。また、定期的に既知濃度の精度管理試料を測定し測定結果を精度管理することで、患者試料の測定結果を保証している。
【0003】
近年、血液や尿などの生体サンプルの定性・定量分析を行う自動分析装置においては、その性能の向上により、微量な検体や試薬で様々な項目について高精度に分析することが可能となってきている。その反面、試薬の性質の変化など、分析精度を左右する因子の影響が大きくなってきており、それらの状態を正常範囲に保つとともに、異常の発生を検出し、適切に対応することが求められている。
【0004】
そのような異常を検出する従来技術としては、例えば、予め化学反応モデルを使用して生成した基準時系列データを記憶しておき、試料の反応過程データと基準時系列データとを比較して、乖離が大きかった場合に異常と判定するもの[特開2004−347385号公報(特許文献1)参照]や、予め記憶してある関数により吸光度変化を近似し、実際に測定された吸光度変化と近似された関数により計算される吸光度変化とを比較して、その乖離の大きさから異常を判定するもの[特開2006−337125号公報(特許文献2)参照]などがあり、判定結果をもとに装置が自動的に異常を検出し、測定結果へアラームを付加することでユーザに異常を通知する機能が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−347385号公報
【特許文献2】特開2006−337125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来技術では濃度測定に使用する測光ポイント以外の反応の異常は装置での検出ができず、検査技師が検査結果や反応過程を確認し異常と判断することがある。この際、異常の原因が測定に使用した試薬に起因したと推測される場合でも、従来の自動分析装置には検査技師が任意の試薬を使用不可とする指定手段がなかった。
【0007】
このため、投入してしまった患者試料に関して該当試薬での測定を取り消すことができなかった。また、一般的に測定に使用する試薬は有効期限や登録された日時、残量等から装置によって使用順序が自動的に決定されるため、該当試薬で測定をしないようにするためには測定を中断して試薬を取り除く必要があった。特にキャリブレーション測定では使用中の試薬がキャリブレーション失敗にて使用不可となると、別な予備の試薬を登録しており測定可能な状態であるにもかかわらず、再度当該試薬のキャリブレーション測定が正常となるまで患者試料の測定ができなった。
【0008】
このため、ユーザはやむを得ず異常と分かっている試薬を使用した分析を継続せざるを得なかったり、再度キャリブレーション測定が成功するまで患者試料の測定を中断したりすることとなり、貴重な患者試料を無駄にしたり、ドクターへの測定結果報告が遅延するなど、迅速性を要求される検査業務にて多大な影響があった。
【0009】
また、近年、規格・法令の厳格化や測定結果の保障に対する意識の高まりから、測定に使用する試薬ボトル毎に、患者試料測定に使用する前と使用した後に精度管理測定を行うことで、該試薬ボトルで測定した患者試料の測定結果を保証する手法が用いられている。
【0010】
患者試料測定に使用する前の精度管理試料に関しては、ユーザが試薬ボトルを設置した際に精度管理試料測定を行うことで容易に実施可能であるが、患者試料測定に使用した後の測定に関しては、近年、連続した測定を実現するために、複数の同一種の試薬ボトルが設置されている場合に、残量が無くなったこと検出し使用順序に従って自動的に使用する試薬ボトルを切替える機能があるため、ユーザが残量が無くなることを予測し、精度管理測定を割り込ませる必要があり、数十から数百種類の試薬を搭載した装置で大量の患者試料を迅速に測定する検査技師にとって、意図して精度管理測定を実施することは非常に困難であった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ユーザが患者試料や精度管理試料の測定、およびキャリブレーション測定の結果や反応過程データから測定に使用した試薬に起因したと推測される異常を見つけた場合に、任意の試薬を使用不可とする手段や、精度管理試料測定に必要な試薬の残量を装置が自動的に確保する手段を備え、異常と分かっている試薬を使用した分析をすぐさま取り消すことができる自動分析装置を提供することによって、貴重な患者試料損失の防止、分析効率の向上、および確実な精度管理の実現を図ることである。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0014】
すなわち、代表的なものの概要は、試料の分析を行う分析部と、試料の分析に関する情報を表示する表示部と、分析部を制御し、試料の分析処理を行う制御部とを備え、制御部は、表示部に試料の分析で使用される試薬の情報を示す画面を表示させ、その表示画面に基づいて操作された試薬のマスク指示を入力とし、入力された試薬のマスク指示に基づいて試薬をマスク指定し、マスク指定された試薬を試料の分析において使用しないものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0016】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、ユーザは患者試料や精度管理試料の測定、キャリブレーション測定の結果や反応過程データから測定に使用した試薬に起因したと推測される異常を見つけた場合に、該試薬を使用不可と設定することができ、異常と分かっている試薬を使用した分析をすぐさま取り消すことができ、また、取り消すことにより別な予備の試薬(待機試薬)を使用して測定を継続することが可能となり、貴重な患者試料を無駄にしたり、分析の中断やキャリブレーション再測定に時間を要することによるドクターへの測定結果報告の遅延などを防止することができる。
【0017】
また、患者試料測定に使用した後の精度管理試料測定に必要な試薬の残量を装置が自動的に確保することで、精度管理試料測定のためにユーザが残量が無くなることを予測することや、分析を中断する必要が無くなり、ユーザの負担軽減および分析効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置のシステム構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク機能を説明するための説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク条件設定による試薬マスク機能を説明するための説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク解除機能を説明するための説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク解除処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬状況画面による試薬マスクを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
<自動分析装置のシステム構成>
図1により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成について説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置のシステム構成を示すシステム構成図である。
【0021】
図1において、自動分析装置は、試料202を投入する試料投入部204、試料202の分析を行う複数の分析部206、分析後の試料202を格納する試料収納部209、試料202を複数の分析部206に搬送する搬送ライン205を備えている。
【0022】
分析部206は分析を行うために使用する複数の試薬207を収納する試薬ディスク208を備えている。
【0023】
また、試料投入部204、分析部206、試料収納部209は、それぞれネットワークケーブルでハブ210を介して、自動分析装置の表示部および制御部となる操作部PC211に接続され、操作部PC211にはネットワークにて上位ホストシステム212に接続されている。また、操作部PCは公衆回線を介してリモートシステム213にも接続されている。
【0024】
<自動分析装置の分析時の動作>
次に、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置による分析時の動作について説明する。
【0025】
自動分析装置による分析においては、まず、ユーザ201によってキャリブレーション測定、精度管理試料測定、患者試料測定で対象となる試料202が、試料を複数搭載可能な試料ラック203に搭載される。試料を搭載した試料ラック203は試料投入部204に設置され、設置された試料ラック203は順に搬送ライン205に搬入され、試料202に対する分析を行う単一または複数の分析部206に搬送される。分析部206は試料ラック203および試料202を認識し試料202に必要な分析を行う。
【0026】
分析に必要な試薬207は、ユーザ201によって分析に先立ち前もって試薬ディスク208に設置される。測定項目に対して試薬207は残量不足や試薬異常時に備え、切替えて(チェンジオーバ)使用できるよう複数設置可能である。必要な分析が行われた試料ラック203は試料収納部209に搬送される。
【0027】
また、ユーザ201は、上位ホストシステム212または操作部PC211から各試料202に対する分析依頼(測定依頼)を行い、分析する試料202を試料ラック203に搭載し試料投入部204へ設置する。分析依頼された情報はネットワークを介して分析部206に送信され、分析部206にて分析した結果や反応過程データは操作部PC211および上位ホストシステム212へ送信される。
【0028】
また、操作部PC211は公衆回線を介してリモートシステム213に接続される。リモートシステム213には自動分析装置で使用する試薬207を使用した分析条件情報である分析パラメータ等の情報を蓄積しており、操作部PC211からの要求により分析パラメータの配信を行う。
【0029】
配信された分析パラメータは操作部PC211に記憶され、試料202の分析時に分析部へ送信される。
【0030】
<試薬マスク機能>
まず、本実施の形態での試薬マスク機能の概要について説明する。
【0031】
本実施の形態では、試薬マスク機能は操作部PC211に画面インタフェースを備え、分析部206に分析制御スケジューリングを備えることのより実現しており、この構成がシステム構成および操作性の観点から最良な形態である。
【0032】
まず、ユーザは操作部PC211の画面にて分析部206から受信した測定結果および反応過程データを確認し、測定に使用した試薬207に起因すると推測される異常が見つかった場合、画面から試薬マスクを指示する。
【0033】
また、画面からの試薬マスク指示に従い、操作部PC211および分析部206は試薬ディスク208に収納された該当試薬207を以降の測定で使用しないよう分析制御のスケジューリングを行う。
【0034】
また、ユーザ201の利用形態にあわせて上位ホストシステム212またはリモートシステム213上に試薬マスク指示手段を備え、ネットワークを経由して操作部PC211および分析部206へ指示内容を送信し試薬マスク機能を実現しても良い。
【0035】
次に、図2により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク機能の詳細について説明する。図2は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク機能を説明するための説明図であり、試薬マスク機能を備えた反応過程データ画面の一例を示している。
【0036】
まず、ユーザ201は、自動分析装置から出力され、操作部PC211の画面に表示される測定結果および測定過程の反応吸光度データを時系列に表示する反応過程データを確認する。
【0037】
ユーザ201は、測定結果に異常の兆候が見られた場合、より詳細な情報を得るために、図2に示すような反応過程データ画面101を確認する。特に、測定結果を算出するために使用する測定ポイント以外の異常は測定結果に表れないため、全ての測光ポイントの情報を持つ反応過程データ画面101は、結果の確認の際に非常に多く参照される。
【0038】
このため、測定に使用した試薬207に起因したと推測される異常を確認した際に使用する試薬マスク機能を、図2に示すような反応過程データ画面に備えることが操作性の上で最良である。反応過程データ画面101は測定の過程で測光した吸光度データを時系列に表示する画面である。
【0039】
図2において、試料番号102は、キャリブレーション測定、精度管理試料測定、患者試料測定で測定した試料の番号を表示する。測定項目103は、測定した測定項目名称を表示する。試薬ポジション104は、測定で使用した試薬の設置ポジションを表示する。
【0040】
反応過程データ105は測定の過程で測光した吸光度データを縦軸に吸光度、横軸に測光ポイントとしてグラフ表示する。
【0041】
ユーザ201は反応過程データを確認し、測定に使用した試薬207に起因したと推測される異常を確認した際に、試薬マスクボタン106を押下し、測定に使用した試薬ポジション104に示された試薬を以降の測定に使用しないよう試薬マスクする。尚、試薬マスクボタン106は即座に該当試薬をマスクできるよう自動分析装置が測定中の状態でも押下可能とする。
【0042】
試薬チェンジオーバ許可チェックボックス107は当該測定項目に対して複数の試薬が装置に登録されている場合に、試薬マスクする際に、別な試薬を使用して測定することを許可するか否かを指定する。試薬チェンジオーバ許可チェックボックス107がオンの場合は別な試薬を使用して測定を継続し、オフの場合は当該測定項目に対する以降の測定をキャンセルする。試薬マスクコメント108は試薬マスクとした理由等をユーザが入力するエリアである。
【0043】
本実施の形態では、このような機能を設けることにより、分析作業を中断することなく、ユーザが異常を確認した際に即座に以降の当該試薬を使用する測定をキャンセルし、貴重な患者試料や消耗品を無駄に消費することを防止できる。
【0044】
また、試薬マスクを行っても別な試薬を使用し測定を継続することができ、測定結果報告の遅延を防止することができる。
【0045】
尚、ここでは、図2に示すような反応過程データ画面101に試薬マスク機能を設けた例を記載したが、更に測定結果を表示する測定結果画面や自動分析装置に設置された試薬を纏めて表示する試薬画面等にも同様の試薬マスク機能を備えることで、更なるユーザの操作性の向上が期待できる。
【0046】
<試薬マスク条件設定による試薬マスク機能>
次に、図3により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク条件設定による試薬マスク機能について説明する。図3は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク条件設定による試薬マスク機能を説明するための説明図であり、試薬マスク条件設定画面の一例を示している。
【0047】
この図3に示す試薬マスク条件設定画面301により、図2に示した反応過程データ画面101によるユーザ201の指定による試薬マスクに加えて、測定に使用した試薬207に起因したと推測される異常を自動分析装置が自動的に判断して試薬マスクを行うようにしている。
【0048】
試薬マスク条件を予め自動分析装置に設定しておくことにより、自動分析装置が、条件に合致する場合に自動的に試薬マスクすることができる。また、予め精度管理試料を測定するために必要な試薬量を設定しておくことで、患者試料測定中に試薬の残量が設定量に到達した時点で、自動分析装置が自動的に該当試薬を試薬マスクすることで患者試料測定後の精度管理試料測定のための試薬を確実かつ容易に確保することができる。
【0049】
図3に示す試薬マスク条件設定画面301は自動分析装置が自動的に試薬マスクする条件を設定する画面である。
【0050】
キャリブレーション失敗チェックボックス302はキャリブレーション測定にて測定結果が異常となった場合にキャリブレーション測定に使用した該当試薬を試薬マスクするか否かの設定である。精度管理平均値に対する正常値範囲304は精度管理試料測定結果の正常値の範囲を設定する。正常値の範囲は精度管理の平均値に対する標準偏差(±1〜3SD)で指定する。精度管理試料の測定結果が本設定範囲を外れた場合は異常と判断し該当試薬を試薬マスクする。精度管理平均値に対する正常値範囲チェックボックス303は精度管理平均値に対する正常値範囲304の条件を有効とするか否かの設定である。
【0051】
異試料間同一データアラーム連続発生回数306は試薬マスクする条件として複数の精度管理試料の測定結果に同一のデータアラームが連続して付加された回数を設定する。異試料間同一データアラーム連続発生回数チェックボックス305は異試料間同一データアラーム連続発生回数306の条件を有効とするか否かの設定である。
【0052】
異試料間データアラーム連続発生回数308は試薬マスクする条件として複数の精度管理試料の測定結果に何れかのデータアラーム連続してが付加さた回数を設定する。異試料間データアラーム連続発生回数チェックボックス307は異試料間データアラーム連続発生回数308の条件を有効とするか否かの設定である。
【0053】
同じ試薬207を使用した複数の精度管理試料測定結果に連続して同一または何らかのデータアラームが発生する場合は試薬207に起因する問題の可能性が非常に高いため、このような設定が有効となる。
【0054】
また、患者試料測定に関しても同じ試薬を使用した複数の患者試料測定結果に連続して同一または何らかのデータアラームが発生する場合は試薬に起因する問題の可能性が非常に高いため、このような設定が有効となるため、精度管理試料測定と同様に、異試料間同一データアラーム連続発生回数チェックボックス309、異試料間同一データアラーム連続発生回数310、異試料間データアラーム連続発生回数チェックボックス311、異試料間データアラーム連続発生回数312の設定を設けている。
【0055】
試薬チェンジオーバ許可チェックボックス313は、測定項目に対して複数の試薬が装置に登録されている場合に、前述の測定結果異常試薬マスク条件に合致して試薬マスクする際に、別な試薬を使用して測定することを許可するか否かを指定する。試薬チェンジオーバ許可チェックボックス313がオンの場合は別な試薬を使用して測定を継続し、オフの場合は当該測定項目に対する以降の測定をキャンセルする。
【0056】
このような機能を設けることによって、条件を予め自動分析装置に設定しておくことにより、自動分析装置が条件に合致する場合に自動的に試薬マスクすることができ、ユーザ201の負担なく異常と推測される試薬を使用する測定をキャンセルし、貴重な患者試料や消耗品を無駄に消費することを防止できる。また、試薬マスクを行っても別な試薬207を使用し測定を継続することができ、測定結果報告の遅延を防止することができる。
【0057】
また、精度管理試料測定必要テスト数315は、各試薬の患者試料測定後の精度管理試料測定に必要となる試薬量を設定する。ユーザによっては精度管理品質向上のため精度管理試料測定を複数回行うため、このように可変の設定が好ましい。精度管理試料測定必要テスト数チェックボックス314は精度管理試料測定必要テスト数315の条件を有効とするか否かの設定である。
【0058】
試薬チェンジオーバ許可チェックボックス316は測定項目に対して複数の試薬が装置に登録されている場合に、前述の精度管理試料測定用試薬マスク条件に合致して試薬マスクする際に、別な試薬を使用して測定することを許可するか否かを指定する。試薬チェンジオーバ許可チェックボックス316がオンの場合は別な試薬を使用して測定を継続し、オフの場合は当該測定項目に対する以降の測定をキャンセルする。設定ボタン317は試薬マスク条件設定画面で入力した条件を設定記憶するボタンである。
【0059】
このような機能を設けることによって、患者試料測定中に試薬の残量が設定量に到達した時点で、装置が自動的に該当試薬を試薬マスクすることで患者試料測定後の精度管理試料測定のための試薬を確保することができ、精度管理試料測定のためにユーザ201が残量が無くなることを予測することや、分析を中断する必要が無くなり、ユーザ201の負担軽減および分析効率の向上を図ることができる。
【0060】
<試薬マスク処理>
次に、図4および図5により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク処理について説明する。図4および図5は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク処理を示すフローチャートであり、図4は単一の測定項目に着目した測定結果異常時の試薬マスク処理、図5は単一の測定項目に着目した精度管理試料測定用の試薬マスク処理を示している。
【0061】
まず、図2で説明したユーザによる試薬マスク指示でのケースを説明する。
【0062】
図4に示すように、ステップ401にて自動分析装置はキャリブレーション測定、精度管理試料測定または患者試料測定を行う。ステップ402にてユーザ201はステップ401で測定された測定結果および反応過程データを確認する。
【0063】
測定に使用した試薬に起因したと推測される異常を確認した場合に、ユーザ201はステップ403にて試薬マスクを指示する。ステップ403で試薬マスクが指定されなかった場合はステップ404にて測定依頼が残っているか否か判定し、ステップ404で残っている場合はステップ410にて測定を継続し、ステップ404で残っていない場合はステップ412にて測定終了となる。
【0064】
ステップ403にて試薬マスクが指示された場合はステップ405にて該当試薬207を以降の測定で使用しないよう試薬マスク設定する。ステップ406にて測定依頼が残っているか否か判定し、ステップ406で測定依頼が残っていない場合はステップ412にて測定終了となる。
【0065】
ステップ406で測定依頼が残っている場合はステップ407にて試薬マスク時の試薬チェンジオーバ許可設定を判定し、ステップ407で不可の場合はステップ411にて測定をキャンセルし、ステップ412にて測定終了となる。ステップ407にて試薬チェンジオーバ許可設定が可の場合はステップ408にてチェンジオーバ可能な試薬が装置に登録されているか否かを判定し、ステップ408で登録されていない場合はステップ411にて測定をキャンセルし、ステップ412にて測定終了となる。
【0066】
ステップ408で登録されている場合はステップ409にてチェンジオーバ試薬を使用した測定に再スケジューリングする。ステップ410ではステップ409で再スケジューリングした内容をもとに測定を行う。以降は測定が終了するまでステップ402からステップ410の繰り返しとなる。
【0067】
次に、図3で説明した自動分析装置による自動的な試薬マスクなケースを説明する。
【0068】
基本的には前述のユーザ201による試薬マスク指示でのケースと同様の処理のフローチャートとなり、このケースの場合は、図4のステップ402、ステップ403の処理をステップ413、ステップ414に置き換えることで実現できる。
【0069】
まず、ステップ401にて自動分析装置はキャリブレーション測定、精度管理試料測定または患者試料測定を行う。
【0070】
ステップ413にてステップ401で測定した結果が、図3に示す試薬マスク条件設定画面301で設定した試薬マスク条件と合致するか否か照合する。ステップ414にて、ステップ413で照合した結果が不一致である場合はステップ404の処理へ、ステップ413で照合した結果が一致した場合はステップ405の処理へ移ることにより、試薬マスク条件を予め設定しておくことで自動的な試薬マスクを実現することができる。
【0071】
尚、ステップ402、ステップ403、およびステップ413、ステップ414の処理を並列処理することで、ユーザ201による試薬マスク指示機能および自動分析装置による自動的な試薬マスク機能の両機能を備えた装置を提供することができる。
【0072】
次に、単一の測定項目に着目した精度管理試料測定用の試薬マスクの処理としては、図5に示すように、ステップ501にて自動分析装置は患者試料測定を行う。ステップ502にて測定後の試薬残量をチェックする。
【0073】
ステップ503にて試薬残量と、図3に示す試薬マスク条件設定画面301でユーザ201が設定した精度管理試料測定必要テスト数を比較する。ステップ503で比較した結果、試薬残量の方が多い場合はステップ504にて測定依頼が残っているか否か判定し、ステップ504で測定依頼が残っている場合はステップ510にて測定を継続する。また、ステップ504で測定依頼が残っていない場合はステップ512にて測定終了となる。
【0074】
また、ステップ503にて試薬残量が精度管理試料測定必要テスト数以下の場合はステップ505にて該当試薬を以降の測定で使用しないよう試薬マスク設定する。そして、ステップ506にて測定依頼が残っているか否か判定し、ステップ506で測定依頼が残っていない場合はステップ512にて測定終了となる。
【0075】
ステップ506で測定依頼が残っている場合はステップ507にて試薬マスク時の試薬チェンジオーバ許可設定を判定し、ステップ507で不可の場合はステップ511にて測定をキャンセルし、ステップ512にて測定終了となる。
【0076】
また、ステップ507にて試薬チェンジオーバ許可設定が可の場合はステップ508にてチェンジオーバ可能な試薬207が装置に登録されているか否かを判定し、ステップ508で登録されていない場合はステップ511にて測定をキャンセルし、ステップ512にて測定終了となる。
【0077】
また、ステップ508で登録されている場合はステップ509にてチェンジオーバ試薬を使用した測定に再スケジューリングする。ステップ510ではステップ509で再スケジューリングした内容をもとに測定を行う。
【0078】
以降は測定が終了するまでステップ502からステップ510の繰り返しとなる。ステップ512にて測定終了し、ユーザは残った試薬207にて患者試料測定後の精度管理試料測定を行う。
【0079】
<試薬マスク解除機能>
次に、図6により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク解除機能について説明する。図6は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク解除機能を説明するための説明図であり、試薬マスク解除画面の一例を示している。
【0080】
図6において、試薬マスク解除画面601は、ユーザによる試薬マスク指示機能または自動分析装置による自動的な試薬マスク機能によって試薬マスクとなった試薬207に対して、ユーザが試薬マスク要因を解決し、試薬207が再利用可能となった時点で試薬マスクを解除する画面である。また、この試薬マスク解除画面601では試薬207のマスク解除時に使用順を指定可能としている。
【0081】
測定項目プルダウン602は、測定項目名称を表示し、自動分析装置に登録された測定項目を選択することが可能である。試薬情報表示リスト603は、測定項目プルダウン602で選択された測定項目に対して装置に登録された試薬の情報一覧を表示する。この例では使用順、試薬ディスク中の設置ポジション、製造ロット、初回登録日、有効期限、残テスト数、マスク要因を表示している。
【0082】
試薬マスク解除画面601では、試薬マスクを解除すること、および使用順序を設定することを目的としているため、試薬マスクに関する情報や自動分析装置が試薬207の使用順序を決定する条件とする各種の情報を表示すること、および図6に示すように使用順の昇順に表示することが、ユーザが使用順を設定する上で分かり易く最良の形態である。
【0083】
尚、試薬マスクとなった試薬207は、使用順にマスクと、マスク要因には試薬マスクとなった要因を表示する。また、試薬情報表示リスト603でマスクされた試薬の行が選択された場合は、試薬マスク日時604に試薬マスクを設定した日時を、試薬マスクコメント605には、図2に示す反応過程データ画面101の画面でユーザが入力したコメントを表示する。
【0084】
また、図3に示す試薬マスク条件設定に合致して自動分析装置が試薬マスクと設定した場合には、試薬情報表示リスト603のマスク要因や試薬マスクコメント605に自動分析装置がどのような条件に合致して試薬マスクとしたかのメッセージを自動的に表示することで、試薬マスクとなった理由をユーザ201が理解することができる。
【0085】
マスク解除ボタン606は試薬情報表示リスト603で選択された試薬207の試薬マスクを解除するボタンである。使用順変更ボタン607、608は試薬情報表示リスト603で選択した試薬の行を上下に移動し使用順を変更するボタンである。
【0086】
このような機能を設けることによって、試薬マスクされた試薬207をユーザ201が意図した順序で測定に復帰させることができる。
【0087】
<試薬マスク解除処理>
次に、図7により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク解除処理について説明する。図7は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬マスク解除処理を示すフローチャートであり、単一の測定項目に着目した試薬マスク解除処理を示している。
【0088】
まず、ステップ701にてユーザは、図6に示す試薬マスク解除画面601から試薬マスクの解除および使用順序の変更の指示を行う。ステップ702にてステップ701でマスク解除された試薬を以降の測定で使用可能とするようマスク解除設定し、ステップ703ではステップ701で指定されたとおり試薬の使用順を変更設定する。
【0089】
ステップ704にて測定依頼が残っているか否か判定し、ステップ704で測定依頼が残っていない場合はステップ709にて測定終了となる。
【0090】
ステップ704で測定依頼が残っている場合は、ステップ705ではステップ702およびステップ703で設定した試薬の使用順序に従い、最優先の使用順となる試薬を使用して測定を行うよう再スケジューリングする。
【0091】
ステップ706ではステップ705で再スケジューリングした内容をもとに測定を行う。ステップ707では測定後に試薬の残量をチェックし、ステップ707で試薬の残量がない場合はステップ708にて次の使用順の試薬にチェンジオーバする。
【0092】
ステップ707で試薬の残量がある場合はステップ704に戻り、以降は測定が終了するまでステップ704からステップ708の繰り返しとなる。
【0093】
<試薬状況画面による試薬マスク>
次に、図8により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬状況画面による試薬マスクについて説明する。図8は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬状況画面による試薬マスクを説明するための説明図である。
【0094】
前述の図3の試薬マスク条件設定画面301や図4に示すフローチャートでは、予め試薬207をマスクする条件を設定しておくことによって、測定結果によって自動分析装置が自動的に試薬マスクする例を示したが、ここではキャリブレーション測定、精度管理試料測定、患者試料測定にて異常があった場合に、試薬の状況情報として表示し、ユーザ201が再度キャリブレーション測定、精度管理試料測定を行うか、または試薬207をマスクするかを指定することができるようにしたものである。
【0095】
図8において、試薬状況画面801は、試薬207の登録情報および登録された試薬207を使用した測定にて発生した異常の状況を表示する。ユーザ201は試薬状況画面801の表示を確認し、各試薬207に対して、必要に応じてキャリブレーション測定、精度管理試料測定を依頼する。
【0096】
また、該当試薬207を異常と判断して使用しない場合およびキャリブレーション測定、精度管理試料測定を実施する時間が確保できずにとりあえず別な予備の試薬を使用して患者試料測定を継続したい場合は、試薬マスクを設定することとなる。
【0097】
試薬情報表示リスト802には、装置に登録された試薬207の一覧を表示する。状況表示列803には各試薬207を使用したキャリブレーション測定、精度管理試料測定、患者試料測定での結果の正常、異常を表示し、異常の場合はその要因を表示する。
【0098】
例えば、図8に示す例では試薬状況AST805の試薬は、精度管理試料測定を行った結果が予め設定された精度管理正常範囲を超えたため、状況表示列803に「精度管理範囲外」の文字列を表示する。また、試薬状況CRP806の試薬はキャリブレーション測定にて結果異常となりキャリブレーションに失敗したため状況表示列803に「キャリブ失敗」の文字列を表示する。
【0099】
この例では文字列として正常、異常を表示したが、表示する色などで区別しても良い。また、状況表示列803をキャリブレーション測定、精度管理試料測定、患者試料測定毎に3つの表示列に分け、それぞれの測定における正常、異常を表示しても良い。キャリブレーション測定依頼ボタン807、精度管理試料測定依頼ボタン808は、試薬情報表示リスト802で選択された試薬207に対してキャリブレーション測定や精度管理試料測定の依頼を設定するボタンである。
【0100】
試薬マスクボタン809は試薬情報表示リスト802で選択した試薬207に対して試薬マスクを設定するボタンである。試薬マスクボタン809を押下すると試薬マスク設定ダイアログ811を表示する。
【0101】
試薬マスク設定ダイアログ811では試薬マスクする測定対象を選択可能とする。患者試料測定マスクラジオボタン812は患者試料測定のみを試薬マスクする場合に選択する。全測定マスクラジオボタン813はキャリブレーション測定、精度管理試料測定、患者試料測定の全ての測定を試薬マスクする場合に選択する。試薬チェンジオーバ許可チェックボックス814は測定項目に対して複数の試薬が装置に登録されている場合に、試薬マスクする際に、別な試薬を使用して測定することを許可するか否かを指定する。
【0102】
設定ボタン815にて試薬マスクを設定すると、試薬マスク表示列804には設定された試薬マスクの対象となる測定を「患者試料のみ」または「全て」の文字列表示する。試薬マスク解除ボタン810は、試薬情報表示リスト802で選択された試薬に対して設定された試薬マスクを解除するボタンである。
【0103】
尚、図8に示した例では割愛したが、図2や図6に示した試薬マスク時のコメント入力機能を試薬マスク設定ダイアログ811に、表示機能を試薬情報表示リスト802に設けるようにしても良い。
【0104】
患者試料測定マスクラジオボタン812、全測定マスクラジオボタン813のような設定を可能とすることで、試薬異常に対するユーザ201の選択肢が広がり、ユーザ201がおかれる状況に応じて患者試料測定のみ試薬マスクし再度キャリブレーション測定、精度管理試料測定を行うか、全ての測定を試薬マスクするか選択することができ、より柔軟な対処が可能になる。
【0105】
また、患者試料測定マスクラジオボタン812、全測定マスクラジオボタン813のような選択機能は、図2で示した反応過程データ画面101や図3で示した試薬マスク条件設定画面301で記載した試薬マスク設定にも適用可能である。
【0106】
尚、ここでは試薬状況画面の例として示したが、同様に自動分析装置に登録された試薬207に対してキャリブレーション測定の推奨表示や依頼を行うキャリブレーション画面や精度管理測定の推奨表示や依頼を行う精度管理画面に同様の機能を実装しても良い。
【0107】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、血液、尿等の生体試料の測定を行う自動分析装置に関し、使用する試薬毎に、キャリブレーション測定による測定結果の較正や精度管理試料測定による測定結果の精度管理が必要な装置やシステムに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0109】
101…反応過程データ画面、102…試料番号、103…測定項目、104…試薬ポジション、105…反応過程データ、106…試薬マスクボタン、107…試薬チェンジオーバ許可チェックボックス、108…試薬マスクコメント、201…ユーザ、202…試料、203…試料ラック、204…試料投入部、205…搬送ライン、206…分析部、207…試薬、208…試薬ディスク、209…試料収納部、210…ハブ、211…操作部PC、212…上位ホストシステム、213…リモートシステム、301…試薬マスク条件設定画面、302…キャリブレーション失敗チェックボックス、303…正常値範囲チェックボックス、304…正常値範囲、305…異試料間同一データアラーム連続発生回数チェックボックス、306…異試料間同一データアラーム連続発生回数、307…異試料間データアラーム連続発生回数チェックボックス、308…異試料間データアラーム連続発生回数、309…異試料間同一データアラーム連続発生回数チェックボックス、310…異試料間同一データアラーム連続発生回数、311…異試料間データアラーム連続発生回数チェックボックス、312…異試料間データアラーム連続発生回数、313…試薬チェンジオーバ許可チェックボックス、314…精度管理試料測定必要テスト数チェックボックス、315…精度管理試料測定必要テスト数、316…試薬チェンジオーバ許可チェックボックス、317…設定ボタン、601…試薬マスク解除画面、602…測定項目プルダウン、603…試薬情報表示リスト、604…試薬マスク日時、605…試薬マスクコメント、606…マスク解除ボタン、607…使用順変更ボタン、801…試薬状況画面、802…試薬情報表示リスト、803…状況表示列、804…試薬マスク表示列、807…キャリブレーション測定依頼ボタン、808…精度管理試料測定依頼ボタン、809…試薬マスクボタン、810…試薬マスク解除ボタン、811…試薬マスク設定ダイアログ、812…患者試料測定マスクラジオボタン、813…全測定マスクラジオボタン、814…試薬チェンジオーバ許可チェックボックス、815…設定ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の分析を行う分析部と、
前記試料の分析に関する情報を表示する表示部と、
前記分析部を制御し、前記試料の分析処理を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記表示部に前記試料の分析で使用される試薬の情報を示す画面を表示させ、その表示画面に基づいて操作された前記試薬のマスク指示を入力とし、入力された前記試薬のマスク指示に基づいて前記試薬をマスク指定し、マスク指定された前記試薬を前記試料の分析において使用しないことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記試薬のマスク指示は、前記表示部に表示された前記試薬を使用した際の前記試料の分析における反応過程データの表示画面上でのマスク指示操作に基づいて入力されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、予め前記試薬をマスクする試薬マスク条件の情報を格納し、前記試料を分析した測定結果と前記試薬マスク条件とを照合し、前記試薬マスク条件に合致した場合に、その分析に使用した試薬をマスク指定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、予め前記分析時の精度管理試料測定を行うために必要となる前記試薬の試薬残量の情報を格納し、前記試料の分析中に前記試薬が前記試薬残量以下となった場合に、その試薬をマスク指定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記表示部に前記試薬を使用した測定結果のリストを示す画面を表示させ、その表示画面上の異常有無の情報に基づいて操作された前記試薬のマスク指示を入力とし、入力された前記試薬のマスク指示に基づいて前記試薬をマスク指定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記表示部に前記試薬をマスクする測定対象を、患者試料測定のみ、または全ての測定のいずれかを選択させる画面を表示させ、その表示画面に基づいて操作された選択指示を入力とし、入力された前記選択指示および前記マスク指示に基づいて前記試薬をマスク指定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記試薬が複数設置されている場合に、前記マスク指定された試薬を除いた試薬で分析を継続することを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記表示部に前記試料の分析で使用される試薬の情報を示す画面を表示させ、その表示画面に基づいて操作された前記試薬のマスク解除指示を入力とし、入力された前記マスク解除指示に基づいて、マスク指定された前記試薬をマスク解除し、前記マスク解除された試薬を分析に使用することを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記マスク解除指示と共に操作された使用優先順位の指定を入力とし、入力された前記使用優先順位の指定に基づいた使用優先順で前記試薬を分析に使用することを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、前記試薬および前記測定結果に関連する情報を記憶した上位システムと接続され、前記試薬のマスク指示は、前記上位システム上の操作に基づいて入力されることを特徴とする自動分析装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−251909(P2012−251909A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125582(P2011−125582)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】