説明

自動分析装置

【課題】測定結果を保証することができるか否かを判断することが可能な方法および分析装置を提供すること。
【解決手段】本発明による方法は、複数の分析項目について1つの検体の光学的特性または電気的特性を測定するステップであって、前記第1の分析項目については、前記1つの検体の光学的特性または電気的特性が複数回測定され、前記第1の分析項目についての複数の測定値が取得される、ステップと、前記第1の分析項目についての複数の測定値間の差を算出するステップと、前記算出された差が管理値未満である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができると判断するステップと、前記算出された差が前記管理値以上である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定結果を保証することができるか否かを判断することが可能な方法および分析装置に関する。また、本発明は、測定結果の異常の原因を特定することが可能な方法および分析装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置では、正確な分析結果を得るために精度管理(QC:Quality Control)を実施する必要がある。この精度管理を実施するための測定等の行為のこともQCという。現在、この精度管理は、既知の濃度を有する検体である管理検体を用いることでしか実施されていない。そのため、現在、検査センターや病院の検査室などでは、自動分析装置の日々の精度管理を実施するために、一日に数回、管理検体の測定を実施している。現在の精度管理の考え方は、既知の濃度を有する管理検体を一定時間ごとに測定し、自動分析装置が出力する測定値に問題がないことが確認できた場合には、その既知の濃度を有する管理検体を用いたQCの間に実施した(QCで挟まれた)分析結果は保証することができるというものである。しかし、このような考え方には、例えば以下の2つの問題がある。
【0003】
第1の問題は、一日に数回このQCを実施することができるのは、検査センターや大規模病院などの検体数の多い施設に限られているという問題である。このような施設に限られている理由は、QCに用いる管理検体が非常に高価なものであり、QCの実施そのものに非常にコストがかかり、検体数が少ない場合には費用対効果が見込めないことにある。しかし、費用対効果が見込めないからといってQCを全く実施しないと正確な分析結果が得られていることを保証することができなくなるので、上記の検査センターや大規模病院以外の多くの施設では、一日に一回、つまり、分析動作開始の前に一回だけQCを実施し、そのQCの実施で問題が発見されなければ分析をスタートさせ、分析終了後にはQCは実施していないというのが現状である。その結果、翌日同様に実施された分析動作開始前のQCによって装置に異常が発見された場合には、前日の分析結果のうちどこからどこまでの分析結果を保証することができるのかについては、全くわからなかった。
【0004】
第2の問題は、QCの実施のときに異常が元に戻ってしまうと、分析結果に影響を及ぼすほどの異常が分析動作中に装置や試薬に存在していた場合にも、その異常を発見することができないという問題である。この第2の問題は、一定時間ごとに、つまり、分析動作の前後でQCを実施している検査センターや大規模病院にも存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の方法は、複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を用いて、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができるか否かを判断する方法であり、
前記複数の分析項目は、第1の分析項目を含み、
前記方法は、
前記複数の分析項目について前記1つの検体の光学的特性または電気的特性を測定するステップであって、前記第1の分析項目については、前記1つの検体の光学的特性または電気的特性が複数回測定され、前記第1の分析項目についての複数の測定値が取得される、ステップと、
前記第1の分析項目についての複数の測定値間の差を算出するステップと、
前記算出された差が管理値未満である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができると判断するステップと、
前記算出された差が前記管理値以上である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断するステップと
を含む。
【0006】
前記方法は、一実施形態において、
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断された場合に、前記第1の分析項目についての複数の測定値を用いて、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定における異常の原因を特定するステップをさらに含む。
【0007】
前記方法では、一実施形態において、
前記複数の分析項目について前記1つの検体の光学的特性または電気的特性を測定するステップにおいて、前記複数の分析項目のうちの少なくとも1つの第2の分析項目のそれぞれについても、前記1つの検体の光学的特性または電気的特性が複数回測定され、前記少なくとも1つの第2の分析項目のそれぞれについての複数の測定値が取得され、
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定における異常の原因を特定するステップにおいて、前記第1の分析項目についての複数の測定値および前記少なくとも1つの第2の分析項目のそれぞれについての複数の測定値を用いる。
【0008】
前記方法は、一実施形態において、
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断された場合に、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないことを示すメッセージを表示するステップをさらに含む。
【0009】
前記方法は、一実施形態において、
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断された場合に、前記複数の分析項目のうちの少なくとも一部の分析項目について前記1つの検体の光学的特性または電気的特性を再度測定するステップをさらに含む。
【0010】
前記方法は、一実施形態において、
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができると判断された場合に、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができることを示すメッセージを表示するステップをさらに含む。
【0011】
本発明の分析装置は、各分析項目について検体の光学的特性または電気的特性を測定する分析装置であり、
前記分析装置は、
第1の分析項目を含む複数の分析項目について1つの検体の光学的特性または電気的特性を測定する手段であって、前記第1の分析項目については、前記1つの検体の光学的特性または電気的特性が複数回測定され、前記第1の分析項目についての複数の測定値が取得される、手段と、
前記第1の分析項目についての複数の測定値間の差を算出する手段と、
前記算出された差が管理値未満である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができると判断する手段と、
前記算出された差が前記管理値以上である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断する手段と
を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検体ごとに測定結果の信頼性を完全に確保することができる。さらに、本発明によれば、測定結果に異常がでた場合にその異常の原因を特定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の自動分析装置1の構成の一例を示す。
【図2】図2は、図1の自動分析装置1の構成を示すブロック図を示す
【図3】図3は、図1の自動分析装置1で使用される反応容器5の斜視図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施の形態の検体内QCのフローチャートの一例を示す。
【図5】図5は、本発明の実施の形態の検体内QCを用いた異常の原因特定のフローチャートの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態の自動分析装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態の自動分析装置1の構成の一例を示す。図2は、図1の自動分析装置1の構成を示すブロック図を示す。図3は、図1の自動分析装置1で使用される反応容器5の斜視図を示す。
【0015】
自動分析装置1は、図1および図2に示すように、試薬テーブル2、3、反応テーブル4、検体容器移送機構8、分析光学系12、洗浄機構13、制御部15および攪拌機構20を備えている。
【0016】
試薬テーブル2、3は、図1に示すように、それぞれ周方向に配置される複数の試薬容器2a、3aを保持し、図示しない駆動手段に回転されて試薬容器2a、3aを周方向に搬送する。
【0017】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列され、図示しない駆動手段によって矢印で示す方向に正転あるいは逆転されて反応容器5を搬送する。反応容器5は、近傍に設けた試薬分注機構6、7によって試薬テーブル2、3の試薬容器2a、3aから試薬が分注される。ここで、試薬分注機構6、7は、それぞれ水平面内を矢印方向に回動するアーム6a、7aに試薬を分注するプローブ6b、7bが設けられ、洗浄水によってプローブ6b、7bを洗浄する洗浄手段(図示せず)を有している。
【0018】
一方、反応容器5は、図3に示すように、光学的に透明な素材から成形され、液体を保持する保持部5aを有する四角筒からなる容器である。反応容器5は、後述する分析光学系12から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器5は、下部側の点線によって囲まれた部分が前記分析光を透過させる測光用の窓5bとして利用される。
【0019】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、フィーダ9に配列した複数のラック10を矢印方向に沿って1つずつ移送する移送手段であり、ラック10を歩進させながら移送する。ラック10は、検体を収容した複数の検体容器10aを保持している。ここで、検体容器10aは、検体容器移送機構8によって移送されるラック10の歩進が停止するごとに、水平方向に回動するアーム11aとプローブ11bとを有する検体分注機構11によって検体が各反応容器5へ分注される。このため、検体分注機構11は、洗浄水によってプローブ11bを洗浄する洗浄手段(図示せず)を有している。
【0020】
分析光学系12は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料を分析するための分析光(340〜800nm)を出射するもので、図1に示すように、光源12a、分光部12bおよび受光部12cを有している。光源12aから出射された分析光は、測定部にある反応容器5内の液体試料を透過し、分光部12bと対向する位置に設けた受光部12cによって受光される。受光部12cは、制御部15と接続されている。
【0021】
洗浄機構13は、ノズル13aによって反応容器5内の液体試料を吸引して排出した後、ノズル13aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系12による分析が終了した反応容器5を洗浄する。
【0022】
制御部15は、自動分析装置1の各部の作動を制御するとともに、光源12aの出射光量と受光部12cが受光した光量に基づく反応容器5内の液体試料の吸光度に基づいて検体の成分や濃度等を分析し、例えば、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、図1および図2に示すように、キーボード等の入力部16およびディスプレイパネル等の表示部17と接続されている。入力部16を用いてユーザが検体、試薬、分析項目を含む情報等を入力することができる。表示部17を介して、測定結果等をユーザに表示することができる。
【0023】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応テーブル4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注機構6、7が試薬容器2a、3aから試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器5は、検体分注機構11によってラック10に保持された複数の検体容器10aから検体が順次分注される。そして、試薬と検体が分注された反応容器5は、反応テーブル4が停止する都度、攪拌機構20によって順次攪拌されて試薬と検体とが反応し、反応テーブル4が再び回転したときに分析光学系12を通過する。このとき、反応容器5内の液体試料は、受光部12cで測光され、制御部15によって成分や濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器5は、洗浄機構13によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。なお、攪拌機構20は、攪拌棒を用いるものであっても、振動を用いるものであっても、音波を用いるものであってもよい。
【0024】
自動分析装置1は、ISE(Ion Selective Electrode)測定機構14を備えている。ISE測定機構14は、希釈用容器と、希釈液を希釈用容器に供給する希釈液供給手段と、標準液を希釈用容器に供給する標準液供給手段と、検体溶液に含まれる被測定成分(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン)の電解質濃度を測定する測定手段とを備えている。検体は、検体分注機構11によってラック10に保持された検体容器10aからISE測定機構14の希釈用容器に分注される。測定手段は、イオン選択性電極を用いて検体溶液および標準液のそれぞれの起電力を測定することにより、検体溶液に含まれる被測定成分の電解質濃度を測定する。ISE測定機構の詳細な構成の一例は、例えば、特開2005−62128号公報に記載されている。
【0025】
以上、図1〜図3を参照して自動分析装置1を説明したが、自動分析装置1は上述した構成に限定されない。例えば、図1に示す例では、試薬テーブルの数は2つだが、試薬テーブルの数は、2つに限定されず、1つでも、3つ以上でもよい。また、図1に示す例では、光源12aが反応テーブル4の外側にあり、分光部12bおよび受光部12cが反応テーブル4の内側にある配置が示されているが、光源12aが反応テーブル4の内側にあり、分光部12bおよび受光部12cが反応テーブル4の外側にある配置であっても、他の配置であってもよい。
【0026】
(検体内QC)
以下、本発明の実施の形態の検体内QCについて、詳細に説明する。なお、本発明において、検体内QCとは、同一検体内においてQCを実施することをいう。
【0027】
図4は、本発明の実施の形態の検体内QCのフローチャートの一例を示す。より詳細には、図4は、検体Aについて分析項目1〜分析項目Nを測定する場合において検体Aについて検体内QCを実施する場合のフローチャートの一例を示す。ここで、検体Aについて分析項目Mを測定するとは、分析項目Mが光学的特性の測定に関連するものである場合には、分析光学系12を用いて、プローブ11bを用いて検体容器10aから分注した検体Aとプローブ6a、7aを用いて試薬容器2a、3aから分注した分析項目Mに対応する試薬とが反応容器5内で反応することによって得られた反応液の光学的特性を測定することをいい、分析項目Mが電気的特性の測定に関連するものである場合には、ISE測定機構14を用いて、プローブ11bを用いて検体容器10aから希釈用容器に分注した検体Aおよび標準液供給手段により希釈用容器に供給された標準液のそれぞれの起電力を測定することにより、検体溶液に含まれる被測定成分の電解質濃度を測定して検体溶液の電気的特性を測定することをいう。
【0028】
ステップS401:検体Aについて、分析項目1〜分析項目Nを、分析項目1〜分析項目N、分析項目1の順番で測定する。
【0029】
ステップS402:1項目目に測定した分析項目1の測定値とN+1項目目に測定した分析項目1の測定値とを比較する。
【0030】
ステップS403:1項目目に測定した分析項目1の測定値とN+1項目目に測定した分析項目1の測定値との差が管理値未満であるか否かを判断する。この判断は、制御部15が行う。この管理値は、適宜設定可能な所定値である。そして、この管理値としては、例えば、生理的変動幅の1/2を採用してもよいし、ユーザが設定してもよいが、管理値はこれらに限定されない。なお、生理的変動幅の1/2は、例えば、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)について2.1(U/L)であり、LDH(乳酸脱水素酵素)について8.0(U/L)であり、GLU(グルコース)について2.0(mg/dL)であり、TG(トリグリセリド)について12.9(mg/dL)であり、Na(ナトリウム)について0.9(mmol/L)であり、K(カリウム)について0.11(mmol/L)であり、Cl(クロール)について0.9(mmol/L)である。あるいは、この管理値は、測定値の濃度に応じて異なるように設定してもよい。例えば、測定値の濃度が7.9(mg/dL)未満の場合には、管理値を0.3(mg/dL)とし、測定値の濃度が8.0〜11.9(mg/dL)の場合には、管理値を0.5(mg/dL)とし、測定値の濃度が12.0(mg/dL)以上の場合には、管理値を0.7(mg/dL)としてもよい。
【0031】
ステップS404:差が管理値未満である場合に、検体Aについての分析項目1〜分析項目Nの測定結果を保証することができると判断する。
【0032】
ステップS405:差が管理値以上である場合に、検体Aについての分析項目1〜分析項目Nの測定結果を保証することができないと判断する。
【0033】
ステップS404の後に、表示部17を介して、測定結果を保証することができることを示すメッセージをユーザに表示してもよい。また、ステップS405の後に、表示部17を介して、測定結果を保証することができないことを示すメッセージをユーザに表示してもよい。測定結果を保証することができないことを示すメッセージをユーザに表示するに際して、ユーザに再度測定するように促すようなメッセージの表示を行ってもよい。あるいは、ステップS405の後に、自動的に、同一検体について再度測定するようにしてもよい。
【0034】
図4に示す本発明の実施の形態の検体内QCでは、分析項目1について1項目目とN+1項目目の2回測定しているが、同一分析項目について測定する回数は、2回以上であればよく、2回に限定されない。
【0035】
図4に示す本発明の実施の形態の検体内QCでは、1項目目で最初に測定される分析項目を複数回測定しているが、複数回測定する分析項目が、何項目目で最初に測定されるかは図4に示す例に限定されない。2項目目に最初に測定される分析項目でもよく、3項目目に最初に測定される分析項目でもよく、何項目目に最初に測定される分析項目でもよい。
【0036】
図4に示す本発明の実施の形態の検体内QCでは、複数回測定する分析項目を2回目に測定するのがN+1項目目であるが、2回目の測定をするのは何項目目であってもよく、図4に示す例に限定されない。
【0037】
図4に示す本発明の実施の形態の検体内QCでは、分析項目1という1つの分析項目のみについて複数回測定しているが、このように複数回測定する分析項目の個数は、2つ以上でもよく、1つに限定されない。
【0038】
上述したとおり、ユーザは、入力部16を用いて、検体Aについて分析を希望する分析項目を入力することができる。検体内QCに用いる項目は、ユーザが検体Aについて入力した分析項目から、ユーザが入力部16を介して選択してもよいし、ユーザが検体Aについて入力した分析項目以外から、ユーザが入力部16を介して選択してもよいし、ユーザが検体Aについて入力した分析項目から、制御部15が判断して選択してもよいし、ユーザが検体Aについて入力した分析項目以外から、制御部15が判断して選択してもよい。ここで、制御部15による判断は、所定の判断基準に基づくものである。例えば、自動分析装置1の試薬容器2a、3aに収容されている試薬のうち、安価で測定結果が早く得られるものを自動的に選択するようにしてもよい。電解質項目をISEで測定する場合には、サンプル分注を行ってから結果が得られるまで約20秒、生化学項目を測定する場合は約8分30秒しか必要ではないので、ISEであれば安価で測定結果を早く得ることができる。また、検体内QCに用いる項目を何項目目で測定するかについても、ユーザが入力部16を用いて入力してもよいし、制御部15が判断してもよい。所定の判断基準はここで例示した判断基準に限定されず、他の判断基準であってもよい。
【0039】
図4には、1つの検体Aについて検体内QCを実施するものを記載したが、測定対象の全検体について検体内QCを実施してもよいし、測定対象の検体から選択した一部の検体についてのみ検体内QCを実施してもよい。複数の検体について検体内QCを実施する場合に、検体内QCに用いる項目は、検体内QCを実施する全検体について共通であってもよいし、検体内QCを実施する検体ごとに異なっていてもよい。
【0040】
また、上述した再度の測定を行う場合には、検体容器内を攪拌してから検体を吸引するようにしてもよい。この吸引方法により、検体分注機構11のプローブ11bから持ち込まれた水の影響を低減することができる。キャリーオーバーを防ぐことを目的として、プローブ11bは検体の表面付近で停止してから検体を吸引するために、プローブ11bから持ち込まれる水は検体の表面付近に多く存在するが、吸引前に攪拌することにより、濃度勾配をなくすことができる。
【0041】
また、上述した再度の測定を行う場合には、検体分注機構11のプローブ11bを前回の吸引時よりも容器の深い位置で吸引するようにしてもよい。この吸引方法により、プローブ11bから持ち込まれる水の影響を低減することができる。
【0042】
また、上述した再度の測定は、全項目について行ってもよいし、管理値以上の差があると判断された分析項目以降の項目のみについて行ってもよい。
【0043】
(検体内QCを用いた異常の原因特定)
以下、本発明の実施の形態の検体内QCを用いた異常の原因特定について、詳細に説明する。
【0044】
図5は、本発明の実施の形態の検体内QCを用いた異常の原因特定のフローチャートの一例を示す。より詳細には、図5は、検体Aについて分析項目1〜分析項目Nを測定する場合において検体Aについて分析項目1〜分析項目X、分析項目1、分析項目X+1〜分析項目N、分析項目1の順番で測定する場合の検体内QCを用いた異常の原因特定の一例を示す。
【0045】
ステップS501:1項目目に測定した分析項目1の測定値、X+1項目目に測定した分析項目1の測定値、N+2項目目に測定した分析項目1の測定値(以下、この3つの測定値のことを分析項目1の3つの測定値という)の差が管理値未満であるか否かを判断する。この判断は、制御部15が行う。この測定により、例えば以下の表1に示される結果が得られる。
【0046】
【表1】

ステップS502:分析項目1の3つの測定値の差が管理値未満である場合に、分析項目1の3つの測定値が分析項目1の正常測定値範囲内であるか否かを判断する。この判断は、制御部15が行う。分析項目1の正常測定値範囲とは、疾患等を有しない‘正常な’検体が有し得る分析項目1の測定値の範囲のことをいう。
【0047】
ステップS503:分析項目1の3つの測定値が正常値範囲内である場合(ケース1がこの場合に該当する)に、測定結果を保証することができ、かつ、検体Aが正常検体であると判断する。
【0048】
ステップS504:分析項目1の3つの測定値が正常値範囲外である場合(ケース2がこの場合に該当する)に、測定結果を保証することができ、かつ、検体Aが異常検体であると判断する。
【0049】
ステップS505:分析項目1の3つの測定値の差が管理値未満でない場合に、分析項目1の3つの測定値が分析を行った順番(つまり、1項目目に測定した分析項目1の測定値、X+1項目目に測定した分析項目1の測定値、N+2項目目に測定した分析項目1の測定値の順番)で低下する傾向があるか否かを判断する。この判断は、制御部15が行う。
【0050】
ステップS506:分析項目1の3つの測定値が分析を行った順番で低下する傾向がある場合(ケース3がこの場合に該当する)に、検体プローブ水付着の異常があると判断する。このように判断できる理由は、分析項目1の3つの測定値が分析を行った順番で低下する傾向があることは、プローブの水持込みによる検体の薄まりがあることを意味するからである。
【0051】
ステップS507:分析項目1の3つの測定値が分析を行った順番で低下する傾向にはない場合(ケース4がこの場合に該当する)に、自動分析装置にキャリブレーションおよび検体プローブ水付着以外の異常があると判断する。
【0052】
ステップS503、ステップS504、ステップS506、ステップS507の後に、表示部17を介して、判断結果を示すメッセージをユーザに表示してもよい。
【0053】
キャリブレーションに問題があるか否かを判断するステップを適宜行ってもよい。キャリブレーションに問題があるか否かを判断するステップは、キャリブレーションに問題があるか否かを問いかけるダイアルボックスをポップアップさせて、キャリブレーションに問題があるか否かをユーザに判断させるというものであってもよい。このキャリブレーションに問題があるか否かを判断するステップは、ステップS502がノーである場合に行ってもよい。ステップS502がノーであり、かつ、キャリブレーションに問題があると判断された場合に、キャリブレーションに異常があると判断し、ステップS502がノーであり、かつ、キャリブレーションに問題がないと判断された場合に、測定結果を保証することができ、かつ、異常検体であると判断するようにしてもよい。
【0054】
このキャリブレーションに問題があるか否かを判断するステップは、分析動作開始前にキャリブレーションを実施したが実際にはキャリブレーションに問題がある場合を判定するためのものである。キャリブレーションを実施したが実際にはキャリブレーションに問題がある場合の例を、以下、2つ挙げる。
【0055】
(例1)キャリブレーション設定値入力ミス
キャリブレーターの表示値や、マニュアル入力のファクター値など、キャリブレーション設定の段階でユーザが直接入力する値(パラメータ)に入力ミスがある場合、入力パラメータに従ってキャリブレーションするため、真の値とは異なったキャリブレーション結果となってしまう。しかし、装置上では入力された設定値に問題があることは判別できないため「キャリブレーション成功」と判断してしまい、そのまま通常の測定を始めてしまう。このような場合、キャリブレーションを実施したが実際にはキャリブレーションに問題がある。
【0056】
(例2)ユーザの求める正確度がキャリブレーションのチェック機構よりも厳しい場合
装置上では、キャリブレーションのファクターレンジとの比較などでチェックを行っているが、試薬やキャリブレーターのロット差を考慮し、ファクターレンジはある程度の幅をもたせた設定値とする。また、ユーザによってはこの設定を行っていない場合もあり、さらには装置によってチェック機構はさまざまとなっている。ファクターレンジのチェックを設定していてもユーザが求める精密性がこの設定値よりも厳しい場合、装置では「キャリブレーション成功」と表示することになるがユーザの求める精度のキャリブレーションとなっていないことがある。このような場合も、キャリブレーションを実施したが実際にはキャリブレーションに問題がある。
【0057】
さらに、自動分析装置にキャリブレーションおよび検体プローブ水付着以外の異常があると判断された場合に、異常の原因をさらに特定することもできる。この場合に、検体Aとは他の検体の検体内QCの結果や、分析項目1以外の分析項目の検体内QCの結果を用いる。異常との結果がでたQC分析項目の共通点が何であるかを制御部15が特定することにより、異常の原因を特定できる。例えば、分析項目1以外の他のQC分析項目で異常との結果がでなかった場合には、分析項目1の試薬に異常があると判断できる。また、例えば、検体分注量が同じ分析項目についてのみで異常との結果がでた場合には、検体分注系に異常があると判断できる。また、例えば、共通点が試薬分注量である場合には、試薬分注系に異常があると判断し、共通点が測光波長である場合には、測光系に異常があると判断し、共通点が反応容器である場合には、反応容器に異常があると判断し、共通点が攪拌棒である場合には、攪拌棒に異常があると判断し、共通点がキャリブレーションに用いるキャリブレーターである場合には、キャリブレーターに異常があると判断する。
【0058】
なお、以上、検体Aについて分析項目1〜分析項目Nを測定する場合において検体Aについて分析項目1〜分析項目X、分析項目1、分析項目X+1〜分析項目N、分析項目1の順番で測定する場合について説明したが、説明した場合以外の場合(分析項目1を3回以外の回数測定する場合、分析項目1を測定する順番が説明した順番と異なる順番の場合、分析項目1以外の分析項目について複数回測定する場合など)においても同様の原理に基づいて異常の原因を特定することができることは当業者に理解される。
【0059】
例えば、以下の表2に示されるパラメータで測定した場合について説明する。
【0060】
【表2】

項目A、C、D、Fのみについて異常との結果がでたとする。項目A、C、D、Fの共通点は、検体分注量が少ないということである。このことから、検体分注の分注精度に問題がある可能性が高いと判断できる。
【0061】
次に、項目B、Gのみについて異常との結果がでたとする。項目B、Gの共通点は、検液量が少ないということである。検液量以外のパラメータについては、項目B、Gと同程度の他の項目について異常との結果がでていないので、検液量以外の問題は存在しないと判断できる(例えば、項目B、D、Eは、主波長、副波長がそれぞれ340、410と共通であるが、項目D、Eについては異常との結果はでていないので、主波長、副波長に関連した問題はないと判断できる)。この場合、(1)分注時に反応容器内に泡が発生して測光面を干渉してしまっている、(2)反応容器が浮いている等、反応容器が容器ホルダーに適切に挿入されていない、(3)試薬分注量が所定量分注されていない等の原因があると判断できる。
【0062】
(検体内QCの効果)
図4に示す本発明の実施の形態の検体内QCでは、検体Aという1つの検体の複数分析項目の測定中にあえて同一分析項目を2回測定し、2回測定した同一分析項目の測定値の差の程度を、検体Aについての測定結果を保証することができるか保証することができないかを判断する指標として用いる。
【0063】
例えば検体分注機構11のプローブ11bの洗浄により検体Aの測定中に検体に多量の水が持ち込まれる場合には、検体Aについての測定結果は保証されるべきではないが、従来では、このような場合でも測定結果を保証することができるか保証することができないかを適切に判断する方法はなかった。
【0064】
それに対して、図4に示す本発明の実施の形態の検体内QCでは、上記のように検体Aの測定中に検体に多量の水が持ち込まれる場合に測定結果を保証することができないと適切に判断することができる。図4に示す本発明の実施の形態の検体内QCでは、この場合において1項目目に測定した分析項目1の測定値とN+1項目目に測定した分析項目1の測定値との差が大きくなり、差が管理値以上となるので、検体Aについての測定結果を保証することができないと適切に判断する。
【0065】
一方、1項目目に測定した分析項目1の測定値とN+1項目目に測定した分析項目1の測定値との差が管理値未満である場合には、図4に示す本発明の実施の形態の検体内QCでは、検体Aについての測定結果を保証することができると判断する。この差が管理値未満である場合には、1項目目の測定からN+1項目目の測定の間に自動分析装置1に何らかの異常が生じたということや、自動分析装置1が不安定な動作をしているというような測定結果の信頼性を欠くという状況にないと推定されるので、図4に示す本発明の実施の形態の検体内QCによる測定結果を保証することができるとの判断は適切な判断である。
【0066】
このように、図4に一例が示された本発明の検体内QCでは、同一の検体内において、同一分析項目を複数回測定し、同一分析項目の測定結果を比較することにより、その検体内での測定結果を保証することができる。例えば、検体の状態が変化していないこと(検体用のプローブによる水の持込みによる検体の希釈など)を検知する。
【0067】
また、図5を参照して説明した本発明の検体内QCを用いた異常の原因特定により、検体内QCの測定結果を解析して、検体内での測定に異常があった場合の異常の原因を特定することもできる。
【0068】
また、検体内での測定に異常が認められた場合に、測定結果を保証することができないことを示すメッセージをユーザに表示して、再度測定するように促したり、自動的に再度測定するようにしたりすることにより、測定結果の信頼性を確保することができる。
【0069】
また、従来のQCでは、背景技術の欄で説明したように、QCとQCの間の分析時に異変が起きていても、QCのときに正常に戻っていた場合には、異常を検出することはできないが、本発明の検体内QCにより、より確実に測定結果を保証することができる。本発明の検体内QCでは、検体ごとにQCを実施していることになるので、その検体についての測定結果の信頼性を完全に確保することができる。
【0070】
また、従来のQCでは、管理検体という高価な検体を用いる必要があるのに対して、本発明の検体内QCでは、患者検体を用いて精度管理を実施することができるので、精度管理のコストを大幅に削減することもできる。このため、費用対効果の問題から十分なQCを実施することができなかった小規模の検査センターや病院の検査室においても、確実なQCを実施することができる。それに伴い、全てのユーザが測定結果の信頼性を向上させることができる。
【0071】
また、従来の患者検体の測定において測定結果として異常な値が得られた場合には、確認の意味でその患者検体を再度測定していたが、本発明の検体内QCを用いることにより、異常の原因を特定することにより、検体自体に異常があるのか、自動分析装置自体に異常があるのかがわかるので、検体自体に異常がないのにも関わらずに確認の意味で再度の測定を実施する必要がなくなり、コストを大幅に削減することができる。
【0072】
また、従来のQCでは、管理検体を用いて同じ順番で各分析項目について測定していたために、検体分注機構のプローブによる水持込みがある場合にも、全QCにおいて同じ分析項目については同じタイミングで分注し、同様に薄まったうえで測定することになるので、QC間で測定値を比較してみても、水持込みによる検体の希釈を検出することはできない。それに対して、本発明の検体内QCでは、例えば1項目目とN+1項目目というように異なるタイミングにおける測定値を比較するので、水持込みによる検体の希釈を検出することができる。
【0073】
また、本発明の検体内QCでは、全検体について全分析項目のQCを実施しなくても、検体ごとにQCを実施する分析項目を適宜変更することにより、複数検体の分析中に全分析項目についてQCを実施することもできる。
【0074】
また、従来から、プローブによる水持込みがあるという現象自体は認識されていたものの、その水持込み自体は、測定結果に影響を及ぼすレベルではなく、市場でも問題になっていなかった。その理由は、従来では、一回に使用する検体の分量や試薬の分量が多く、多少の水持込みが発生しても、検体や試薬の濃度に影響を及ぼすことはなかったためである。つまり、現在でも、依然として、問題としては認識されていない。しかし、近年、自動分析装置のスループット向上やランニングコスト削減の要請による試薬の分量の低減、患者の負荷低減のための検体の分量の低減などが求められるようになり、プローブからの水持込みが測定値に影響を及ぼす問題として顕在化しようとしている。本発明の検体内QCは、この今後顕在化しようとしている問題を解決することができる。
【0075】
以上のように、本発明の好ましい実施の形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施の形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施の形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【符号の説明】
【0076】
1 自動分析装置
2、3 試薬テーブル
2a、3a 試薬容器
4 反応テーブル
5 反応容器
5a 保持部
5b 測光用の窓
6、7 試薬分注機構
6a、7a アーム
6b、7b プローブ
8 検体容器移送機構
9 フィーダ
10 ラック
10a 検体容器
11 検体分注機構
11a アーム
11b プローブ
12 分析光学系
12a 光源
12b 分光部
12c 受光部
13 洗浄機構
13a ノズル
14 ISE測定機構
15 制御部
16 入力部
17 表示部
20 攪拌機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を用いて、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができるか否かを判断する方法であって、
前記複数の分析項目は、第1の分析項目を含み、
前記方法は、
前記複数の分析項目について前記1つの検体の光学的特性または電気的特性を測定するステップであって、前記第1の分析項目については、前記1つの検体の光学的特性または電気的特性が複数回測定され、前記第1の分析項目についての複数の測定値が取得される、ステップと、
前記第1の分析項目についての複数の測定値間の差を算出するステップと、
前記算出された差が管理値未満である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができると判断するステップと、
前記算出された差が前記管理値以上である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断された場合に、前記第1の分析項目についての複数の測定値を用いて、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定における異常の原因を特定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の分析項目について前記1つの検体の光学的特性または電気的特性を測定するステップにおいて、前記複数の分析項目のうちの少なくとも1つの第2の分析項目のそれぞれについても、前記1つの検体の光学的特性または電気的特性が複数回測定され、前記少なくとも1つの第2の分析項目のそれぞれについての複数の測定値が取得され、
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定における異常の原因を特定するステップにおいて、前記第1の分析項目についての複数の測定値および前記少なくとも1つの第2の分析項目のそれぞれについての複数の測定値を用いる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断された場合に、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないことを示すメッセージを表示するステップをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断された場合に、前記複数の分析項目のうちの少なくとも一部の分析項目について前記1つの検体の光学的特性または電気的特性を再度測定するステップをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができると判断された場合に、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができることを示すメッセージを表示するステップをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
各分析項目について検体の光学的特性または電気的特性を測定する分析装置であって、
前記分析装置は、
第1の分析項目を含む複数の分析項目について1つの検体の光学的特性または電気的特性を測定する手段であって、前記第1の分析項目については、前記1つの検体の光学的特性または電気的特性が複数回測定され、前記第1の分析項目についての複数の測定値が取得される、手段と、
前記第1の分析項目についての複数の測定値間の差を算出する手段と、
前記算出された差が管理値未満である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができると判断する手段と、
前記算出された差が前記管理値以上である場合には、前記複数の分析項目にわたる1つの検体の測定結果を保証することができないと判断する手段と
を含む、分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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