説明

自給式粘性液体ディスペンサ

【課題】粘性液体ディスペンサを提供すること。
【解決手段】粘性液体ディスペンサは、内部液体リザーバを定めるハウジングを含む。取出ポンプ機構がリザーバの中に少なくとも部分的に配置され、リザーバの外に延びる送出端を有する。どんな手法の粘性液体ディスペンサにも使用される独特な取出ポンプ機構が設けられる。ポンプ機構は、リザーバの内部でハウジングと一体に形成されたポンプチャンバを含むことができる。ポンプチャンバは、ハウジングのリザーバ部分に通じた後端と、ハウジングの外側に通じた前端とを有する。チャンバの中にポンプシリンダがスライド可能に配置され、保持される。ポンプシリンダは、その中に定められた通路と、チャンバの前端の外に延びる送出端とを有する。アクチュエータは、ユーザがハウジングの外側から装置を作動できるように、ポンプシリンダの送出端に構成される。ポンプシリンダの送出端に弁機構が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本PCT出願は、2000年12月19日に出願された米国特許出願第09/741,570号、2001年7月23日に出願された米国特許出願第09/911,073号、2001年7月23日に出願された米国特許出願第09/911,361号、2001年9月26日に出願された米国特許出願第09/964,289号、2001年9月26日に出願された米国特許出願第09/964,290号、及び2001年11月28日に出願された出願番号未定の米国特許出願に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、例えば、ソープ・ディスペンサ、シャンプー及びローション・ディスペンサ、食品ディスペンサ等のような粘性液体ディスペンサの分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野では、液体ディスペンサ、特に液体石鹸ディスペンサの種々の構成及びモデルが良く知られている。公衆トイレなどで典型的に使用される従来のディスペンサは、典型的には壁に恒久的に取り付けられた収容体又は構造体を含む壁掛け式ユニットである。これらのディスペンサは典型的に、詰め替え又は手入れのために保守係の人がディスペンサを開けることができるようにするアクセス扉又は部材を含む。ある種のディスペンサについては、ハウジング構造体の中に別個の詰め替えカートリッジが挿入される。その他のタイプのディスペンサについては、保守技術者がハウジング構造体の中に設けられたリザーバに直接補充しなければならない。ディスペンサは典型的に、取出ポンプのような送出装置と、該取出ポンプを作動させるためのレバーやボタンのような装置とを含む。ディスペンサは、半密閉式であってもよいし、開放式であってもよい。
【0004】
通常のディスペンサは、壁に恒久的に取り付けられたハウジング構造体の継続的なメンテナンスと操作性に依存する。言い換えれば、ハウジング構造体、特に取出ポンプが損傷されたり破壊されると、ディスペンサは使えなくなって、取り替えなければならない。通常のディスペンサはまた、追加の液体石鹸を別に貯蔵し、移送し、該ディスペンサに詰める必要がある供給システムに依存する。このプロセスには、不必要なロジスティックスとマンパワー源が必要とされる。
【0005】
本発明は、既存のシステムに対する改善であり、標準的なディスペンサに比べて著しく容量が増大した、比較的費用がかからず、液体石鹸又はその他のタイプの粘性製品の詰め替えカートリッジ又は大容量の別個の貯蔵及び供給に依存しない、使い捨て自給式ディスペンサを提供するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的及び利点は、以下の詳細な説明において部分的に解説されるか、又は該説明から明らかとなるか、或いは本発明の実施を通じて理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、自給式粘性液体ディスペンサを提供するものである。本発明に係るディスペンサは、液体石鹸ディスペンサとして特に有用ではあるが、液体石鹸ディスペンサに限定されるものではなく、粘性液体の計量された量を取出することが望まれるどんな用途にも使用可能である。例えば、本ディスペンサは、シャンプー・ディスペンサ、ローション・ディスペンサ、食品ディスペンサ(すなわちケチャップ、マスタード、又はマヨネーズ・ディスペンサ)、又は粘性物質の計量された量を取出するためのその他の製品のディスペンサとして特に有用である。本明細書では、ディスペンサは、説明を簡単にするためにソープディスペンサについて説明される。
粘性液体ディスペンサは、どんな適切な材料で形成することもできるハウジングを含む。例えば、ハウジングは、比較的安価なプラスチック材料から成形することができ、どんな所望の美的形状にすることもできる。ハウジングはまた、一体にシールされた内部液体リザーバを定める。言い換えれば、液体リザーバは、カートリッジなどのような、ハウジングから別になった部品ではない。ハウジングは、ディスペンサの外観を与える壁部材を構成することができ、内部液体リザーバを定めることもできる。
リザーバの中に取出ポンプ機構が少なくとも部分的に配置される。ポンプ機構は、粘性液体を取出するためにユーザによって作動される、リザーバの外に延びる送出端を有する。
【0008】
ディスペンサはまた、ハウジングの一体部品として構成された取付機構を含む。取付機構は、ディスペンサを、壁面上の相補的な取付構造体に取り外し可能に接続できるようにする。この場合には、ディスペンサは、液体が使い尽くされると、廃棄するか又はリサイクルするために壁面から簡単に取り外すことができる。次いで、本発明に係る新たな液体ディスペンサが壁面に取り付けられる。
【0009】
本発明の一実施形態においては、ハウジングは、壁面に隣接して配置されるように構成された実質的に垂直な裏側を備える。取付機構は、裏側に構成される。例えば、ハウジングが成形部品である場合には、取付機構は、裏側と一体に成形される。取付機構は、裏側に定められる凹部を備えることができる。凹部は、上に定められた係合構造体を有する側壁によって定められる。これらの係合構造体は、壁取付構造体上に設けられた相補的な構造体と相互ロック式に係合する。壁取付構造体は、例えば、壁に比較的恒久的に固定されるプレート部材か又は同様の装置とすることができる。係合構造体の一実施形態においては、凹部の垂直側壁は、各垂直側壁上に少なくとも1つの或る角度をなす表面を含む。これらの或る角度をなす表面は、通常のダブテール構成と同様に、壁取付構造体上の相補的な或る角度をなす表面に対して係合する。ハウジングは、ほぼ垂直方向に壁取付構造体の上にスライド可能であり、取付機構の或る角度をなす表面がスライドして、壁取付構造体の或る角度をなす表面に対して係合するようにされる。係合すると、或る角度をなす表面は、ディスペンサが壁取付構造体から引き離されることを防ぐ。或る角度をなす表面の係合によって、ハウジングと壁取付構造体との間の相対的なスライド移動を防ぐために、ハウジングの裏側に固定装置を設けることができる。この固定装置は、例えば、壁取付構造体の中に定められた相補的な凹部か又はディボットに係合する、ハウジングの裏側に配置された単純な突起とすることができる。別の実施形態においては、ハウジングの凹部の中に形成された相補的な凹部又はディボットの中に係合する突起又はロック・ナブを設けることができる。
【0010】
本発明の特定の一実施形態においては、壁取付構造体は、比較的硬質の剛性材料(すなわち金属又は硬質プラスチック・ブラケット)で形成することができ、対応するハウジングの凹部の寸法より大きい少なくとも1つの寸法(すなわち幅又は深さ)を有することができる。ハウジングは、本質的に或る程度の「遊び」又は弾性を有するプラスチックのような材料から形成することができる。この方法においては、ハウジングを壁取付構造体の上に取り付けると、取付構造体のより大きい寸法の部品によって、ハウジング凹部の対応する部分が、オーバーサイズの壁取付構造体に対応するように「湾曲」又は屈曲することになる。この構成は、ハウジングと壁取付構造体との間に極めて良好な固定と緊密な係合を与え、ハウジングがぐらついたり支持構造体に対して移動することを防ぐ。ユーザに対して、ハウジングは壁に恒久的にボルト締めされるか又は他の手法で取り付けられているように見えることになり、本質的にハウジングを取り外す術が見当たらない。また、ハウジングは、過度の力なしでは壁取付構造体から引き離したりこじ開けることができない。
【0011】
特に有用な一実施形態においては、壁構造体上の相補的な離間された或る角度をなす表面に対して係合する少なくとも2つの離間された或る角度をなす表面が、凹部の各垂直壁上に設けられる。或る角度をなす表面の離間された構成は、部材間の相対的なスライド移動距離を著しく増大させることなく、ハウジングと壁取付構造体との間の表面の接触面積を最大にする。
【0012】
上述のように、ハウジング構造体は、比較的安価な成形プラスチックから形成されることが好ましく、互いに恒久的に固定されるか又は取り付けられる別個に成形された部品を含むことができる。例えば、ハウジングは、裏部品とは別に形成され且つ裏部品に取り付けられる表部品を含むことができる。表部品と裏部品は、異なる特徴をもち得ることが望ましい。例えば、壁構造体上に設置されたディスペンサに対する構造的な支持と剛性の改善を与えるために、裏部品は、表部品よりさらに剛性にされ得ることが望ましい。これは、単純に裏部品を表部品より厚く形成することによって達成可能である。表部品と裏部品は、異なるタイプの材料から成形するか又は形成することができる。
【0013】
保守技術者がリザーバ内の液体の残量を容易に判断できるように、ハウジングの少なくとも一部を半透明にするか又は透明にすることも望ましい。例えば、ハウジングに窓を設けても良い。1つの特に有用な実施形態においては、ハウジングは、リザーバの全容量が外側から見えるように、半透明の材料から形成された裏部品を含む。
ユーザがポンプ機構を作動できるようにするどんな手法のアクチュエータをもディスペンサに設けることができる。例えば、一実施形態においては、アクチュエータは、ハウジングの美的外観に寄与するパネル部材を含み得る。パネル部材は、ハウジング部材にヒンジ式に取り付けるか又は他の手法で移動可能に接続することができ、ポンプ機構の送出端に対して接触する。ユーザがパネルを押すか又は動かすと、ポンプ機構が作動し、計量された量の液体が送出される。別の実施形態においては、アクチュエータは、ポンプ機構の送出端に直接取り付けられた装飾的なキャップなどのような部材を含み得る。言い換えれば、アクチュエータは、ハウジングに直接接続する必要がない。これに関して、美的に優れたアクチュエータの種々の実施形態を使用することができる。
【0014】
ポンプ機構は、リザーバの内部でハウジングと一体に形成されたポンプチャンバを含むことができる。例えば、ハウジングは、ハウジングの内部にポンプチャンバが一体に成形された、成形プラスチック部品を含むことができる。ポンプチャンバは、ハウジングのリザーバ部分に通じた後端と、ハウジングの外側に通じた前端とを有する。チャンバの中にポンプシリンダがスライド可能に配置され、保持される。ポンプシリンダは、その中に定められた通路と、チャンバの前端の外に延びる送出端とを有する。ポンプシリンダは、そこから引っぱることができないように、チャンバ内に保持される。アクチュエータは、ユーザがハウジングの外側から装置を作動できるように、ポンプシリンダの送出端に構成される。ポンプシリンダの送出端に弁機構が配置され、該弁機構は、ユーザがアクチュエータを離すと閉鎖して、ポンプシリンダからの液体の漏れや滴下を防ぐように構成される。
【0015】
一実施形態においては、ポンプシリンダは、後端からポンプチャンバの中に挿入可能である。チャンバは、前端を通してポンプチャンバからポンプシリンダが引き抜かれるのを防ぐために、前端にフランジ部材などのような保持構造体を含む。シリンダがチャンバの中に挿入されると、ポンプチャンバの後端にキャップ部材か又は同様の装置が取り付けられる。キャップ部材は、ポンプチャンバの中に液体を引き出すために、その中に定められたオリフィスを有する。ポンプシリンダの作動によってオリフィスを閉鎖するために、シャトル弁のような逆止め弁装置が、オリフィスの中に配置される。
【0016】
ポンプシリンダの送出端に配置された弁機構は、取出される液体の圧力によって開位置に向けて移動可能な可撓性のフラップ部材を備えることができる。アクチュエータを解放すると、フラップ部材は自動的に閉位置に戻り、ポンプシリンダの送出端の外に液体が不本意に漏れる又は滴下することを防ぐ。特に有用な一実施形態においては、弁機構は、開位置において中を通る開口部を定め、閉位置において互いに対してシールする複数のフラップ部材を備える。
【0017】
ディスペンサはまた、ハウジング・リザーバの中にねじ込まれるか又は他の手法ではめ込まれた取り外し可能なポンプ機構を使用することができる。例えば、ポンプ機構は、ポンプチャンバ・ハウジング、キャップ、又はハウジング壁の中に定められたボアに嵌合して内部リザーバと連通するような他の好適な構造体を有する自給式ポンプを含むことができる。これに関しては、どんな形式の通常のポンプ機構を使用することもできる。本実施形態においては、ポンプは、ハウジングを廃棄する前に後で再使用するために該ハウジングから取り外すことができる。
【0018】
リザーバの中に真空が引かれるのを防ぐために、リザーバの中に通気路が定められる。特に望ましい実施形態においては、ハウジング構造体の上面に通気部が設けられる。ハウジング構造体は、使用の際に壁面上に設置されるので、上面の通気部から液体が漏れる恐れが多少は存在する。他の実施形態においては、リザーバは、ポンプ機構を通して通気することができる。しかしながら、ポンプ機構を通して通気することによって、特にポンプ機構がハウジングの下側部分に配置される場合に、該機構から望ましくない漏れが生じることがある。通気はまた、ポンプシリンダの送出端の弁機構を通して達成することができる。
【0019】
上部設置型通気部の種々の実施形態が、ディスペンサのために検討される。例えば、ハウジングの上部壁に設置された好適な通気機構は、リザーバがポートから粘性液体又は物質で充填された後に、ハウジングの上部に定められた充填ポートの中にスライドされる本体部材を含むことができる。通気本体は、一旦挿入されるとディスペンサに大きなダメージを与えなければすぐに取り外すことができないような手法で、ハウジングの上部壁と相互ロック式に及びスライド式に係合する。通気部は、通気通路の中に設置されたばねか又はボールのような他の弾性的に設置されたプラグを含むことができる。このプラグは、ユーザがポンプ機構を作動させて、その結果リザーバの中に部分的に真空が引かれ、ディスペンサから計量された量の粘性液体が放出されるまで、本質的に通気部をシールする。この真空によって、プラグがばねか又は他の弾性部材の力に対抗して下向きに引き込まれ、通気部を横切る圧力が平衡化されてプラグが再び着座するまで、通気オリフィスが脱シールされる。
【0020】
本発明に係るディスペンサの独特の利点は、ディスペンサ「パッケージング」を増加させる必要なしに、こうしたディスペンサの容量を大きく増やせることである。「パッケージング」という用語は、所与の容量(体積)を取出する「位置」を与え且つ維持するのに要求される材料及び構造体として理解される。例えば、従来のカートリッジ・レフィル・ディスペンサ(すなわち壁設置ハウジングの中に入れられた可撓性のバッグ・カートリッジ・レフィル)については、ディスペンサの最初の設置又は交換のための「パッケージング」は、カートリッジ材料と、後でその中にカートリッジが配置される壁設置ハウジング構造体を含む。ハウジング内のリザーバに大容量貯蔵源からの液状製品が直接補充される通常のディスペンサにおいては、「パッケージング」は、壁設置ハウジング構造体全体と大容量貯蔵容器を含む。本発明では、「パッケージング」は本質的に、使い捨てのハウジング構造体と一体型ポンプ機構である。本ディスペンサにおけるパッケージングの重量(グラム)対容量(体積リットル)の比は、通常の装置と比べて大きく減少させることができる。これにより発送、取り扱い、貯蔵、メンテナンス等に係る経済的利点が増加することになる。
【0021】
ハウジングの構成及び外観は、本発明を制限する特徴ではないことを理解されたい。また、本発明は、どんな特定の形式の材料又は製造工程の使用にも限定されるものではない。ハウジングの裏側と壁設置部材との間の相互ロック係合構造体の種々の実施形態も、本発明の精神及び範囲内にある。例えば、係合構造体は、バイオネット型ファスナ等を含むことができる。
【0022】
本発明に係るディスペンサに使用可能なポンプ機構の別の実施形態においては、ハウジングの表面に定められた開口部を通して挿入部材が挿入される。挿入部材は、リザーバの中に延び、リザーバに通じる後端とハウジングの外側に通じる前端とを有する内部ポンプチャンバを定める。挿入部材は、好適な機構のいずれかによって開口部でハウジングに取り付けられる。1つの特定の実施形態においては、ハウジングは、前面から延び開口部の周りに配置された複数の突起を備える。挿入部材は、中を通して定められ挿入部材をハウジングの中に設置すると突起がその中を通して延びる複数のカウンタボア孔を有する前フランジを備える。突起は、次いで溶融状態まで加熱され、突起材料がカウンタボア孔の中に流れ、再固化することによって、挿入部材をハウジングに恒久的に固定する。ポンプ機構をリサイクルするか又は再使用することが望まれる場合には、挿入部材をハウジングに固定するために、取り外し可能な接着剤、機械的接続(すなわちねじ係合)等のようなあまり恒久的でない即ち一時的なタイプの取り付け機構を使用することができる。
【0023】
リザーバの中の液体が挿入部材の周りから漏れ出ないことを確実なものにするために、挿入部材の外面とハウジングとの間に少なくとも1つのシールが配置される。特定の一実施形態においては、このシールは、ハウジングの開口部の周りに配置され半径方向内向きに延び、挿入部材の外面に対して係合し且つシールするシールである。このシールは、ハウジングの円筒形の延長部上に設けることができ、前面からリザーバの中に延びる。別の実施形態においては、シールは、挿入部材の前方端に配置され半径方向外向きに延び、開口部を定めるハウジングの部分に対して係合し且つシールするシールとすることができる。同じ実施形態にこの両方のタイプのシールを使用することが望ましい場合もある。
【0024】
一体に形成されたポンプチャンバか又はポンプチャンバ挿入部材に使用可能なポンプシリンダの別の実施形態も与えられる。このポンプシリンダは、多数の部品を含むことができる。例えば、一実施形態においては、ポンプシリンダは、第1部品と、第1部品に定められたチャンバの中に挿入される第2部品とを含む。部品の中の長さ方向に延びる通路は、位置合わせされてポンプシリンダを通した送出通路を定める。この通路は、ポンプシリンダの送出端の中に定められた送出オリフィスまで延びる。これらの部品は、組み合わされると、休止位置から加圧位置までポンプチャンバの中でスライド可能な完成したポンプシリンダを定め、加圧位置において、ポンプチャンバの中に引き込まれた液体が加圧され、送出通路から取出オリフィスの外に取出される。
【0025】
ポンプシリンダをポンプチャンバに対してシールするために、ポンプチャンバを定める壁に沿ってスライド可能に係合するフランジシールのような第1の半径方向に延びるシールを、ポンプシリンダの第1部品上に設けることができる。同様にポンプチャンバ壁に沿ってスライド可能に係合する第2の同様のシールを第2部品上に設けることができる。
本発明は、図面に示された特定の実施形態に関連して以下に詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に本発明の実施形態について詳しく説明すると、本発明の1つ又はそれ以上の例が図面に示されている。各例は、本発明を説明するために与えられたものであって、本発明を制限することを意図しているものではない。例えば、1つの実施形態の一部として図示された又は説明された特徴を、別の実施形態に使用して、さらに別の実施形態を生み出すことができる。本発明は、本明細書に記載する実施形態の修正及び変形を含むように意図されている。
【0027】
本発明に係る粘性液体ディスペンサ10が、図面に全体的に示されている。本明細書では、ディスペンサ10は、本発明の特に有用な実施形態である液体石鹸ディスペンサとして図示され説明される。しかしながら本発明は、液体石鹸用のディスペンサに限定されるものではなく、取出ユニットから計量された量の粘性液体を取出することが望まれるどんな環境における用途をも有することを理解されたい。
ディスペンサ10は、全体を14で示すハウジングを含む。ハウジング14は、側壁又は部材16と、裏側18と、表側20とを含むことができる。ハウジング14は、どんな所望の形状をとることもでき、どんな数の部品から形成することもできる。図示された実施形態においては、ハウジング14は、表部品24と裏部品22とを含む。表部品と裏部品は、別に製造され、これらは恒久的に接合される。部品は、どんな所望の材料から製造することもできることを理解されたい。好ましい実施形態においては、ディスペンサ10は、使い捨て商品であり、ハウジング14は、比較的安価なプラスチック材料から成形される。特に図10を参照すると、裏部品22は、透明な又は半透明なプラスチックから成形することができ、側縁26と位置合わせタブ48を含む。タブ48は、裏部品22を表部品24に対して位置合わせし、側縁26は、表部品24の側壁16の中に定められ対応するサイズにされた凹部28(図4)の中に嵌合する。裏部品22は、接着剤、溶接、又はその他の比較的恒久的な取り付け手段によって、表部品24に恒久的に接合される。
【0028】
ハウジング14は、その内部体積の中に内部液体リザーバ68を定める。図示された実施形態においては、液体リザーバ68は、本質的に表部品24と裏部品22によって定められた体積全体を含む。図示されていないが、リザーバ68の中にバッフル等のようなどんな数の内部構造体部材を含むこともできることを理解されたい。したがって、ハウジング14はまた、閉鎖された又はシールされたリザーバとして働き、ディスペンサ10は、保守技術者でも開けることができないことを理解されたい。ディスペンサが使用場所に運ばれる前に、所望量の粘性液体、例えば石鹸が、ディスペンサ10の中に予め充填される。
【0029】
本出願人らは、ハウジング24の裏部品22は、表部品24より剛性が高いことが望ましいことを見出した。この特徴を達成する1つの方法は、裏部品22を単純に表部品24より厚みが増すように成形することである。後でもっと詳しく説明するように、ディスペンサ10は、ハウジング14の裏側18に形成された内部取付機構の作用によって支持壁面上に設置される。剛性の高い裏部品22は、ディスペンサ10の設置を助ける。表部品と裏部品が弾性的なプラスチック材料から成形された場合には、ディスペンサが空になると、裏部品22は、ディスペンサ10を支持壁構造体から簡単に取り外せるようにするのに十分なだけの「たわみ」を有する。
【0030】
全体を88で示す取出ポンプ機構が、リザーバ68の中に少なくとも部分的に配置される。ポンプ機構88は、ハウジング又はリザーバ68の外に延びる送出端90を有する。ポンプ機構88は、ユーザがポンプ機構を作動させると、計量された量の粘性液体を取出するように構成される。ディスペンサ10にはどんな数の従来の及び周知のポンプ装置をも使用可能であることを理解されたい。図面に示されたポンプ機構88は、特に好適な機構の一実施形態である。
【0031】
ハウジング24に取り外し可能なポンプ機構を構成することも本発明の範囲内にある。例えば、どんな手法の通常のポンプをも、リザーバ68と連通するようにハウジング24にねじ込むか又は他の手法ではめ込むことができる。例えば、こうしたポンプ機構は、ポンプチャンバ・ハウジング、キャップ、又は内部リザーバ68と連通するようにハウジング24の前壁を通して定められたボアに適合する他の好適な構造体を備えた自給式ポンプを含むことができる。ポンプを配置することは、ディスペンサの使用場所で行うことができる。例えば、使い尽くされたディスペンサのポンプをハウジングから取り外して、直ちに取替えハウジングの中に配置することができる。ポンプが中に挿入されるまでハウジングポートを覆うために、取り外し可能なプラグか又は破断可能なシールを用いることができる。
【0032】
図5から図7までに示されたポンプ機構の実施形態を参照すると、ポンプ機構88は、チャンバ70の中にスライド可能なシリンダ92を含む。チャンバ70の体積は、ポンプの作動毎に送出される液体の計量された量を定める。チャンバ70は、ハウジング14のどんな内部構造体によっても形成可能である。チャンバは、ハウジング14の表部品24に一体に成形された構造体によって定められることが好ましい。図示された実施形態においては、チャンバ70は、チャンバ壁72によってほぼ円筒形のチャンバとして定められる。シリンダ92は、その中に長さ方向に定められた通路94を含む。通路94は、シリンダの端壁を介してポンプチャンバ70の内部と連通する。送出通路94は、シリンダ92の前端の中に定められる取出オリフィス96まで延びる。
【0033】
シリンダ92は、通常の手段のいずれかによってチャンバ壁72に対してシール係合される。例えば、チャンバ壁72に対するシール係合のために、シリンダ92の後端にフランジ又はピストン101を配置することができる。別の実施形態においては、ピストン101の周りにO−リング116(図8a)を設けることができる。ピストン101は、チャンバ70を加圧して、チャンバの中に入っている粘性液体がシリンダ92の作動によって送出通路94を通して取出されることを確実なものにし、シリンダの移動によってポンプチャンバ70の一端から別の端まで単純に移動するのではない。
【0034】
ポンプシリンダ92は、例えば、ばね98の作用によってチャンバ70の中に付勢される。この目的のために、重ね板ばね及びばね座金等を含む他の弾性的な装置を用いることもできる。図示された実施形態においては、ばね92は、特に図5から図7までに示すように、フレアフランジ100によって定められる凹部102の中に着座される。ばね98の両端は、端部キャップ74の円筒形の突出部76の周りにはめ込まれる。端部キャップ74は、シリンダ92がポンプチャンバの中に挿入された後に、ポンプチャンバ70を定める構造体に恒久的に固定される。
構造体はまた、シリンダ92をチャンバ70の前端から引っぱることができないことを確実なものにするために設けられる。図示された実施形態においては、この構造体は、チャンバ70の前壁86のフランジ部分に対応する。図5に示すように、壁のフランジ部分86は、ポンプシリンダ92のピストン101に対して係合する。
【0035】
チャンバ70内でのシリンダ92の移動によってポンプチャンバ70の中の粘性液体がチャンバ70の外に押し出されないことを確実なものにするために、ポンプ機構88に逆止め弁装置104が形成される。図示された実施形態においては、逆止め弁装置104は、半径方向に延びるアーム106を有するシャトル型の逆止め弁である。シャトル弁は、端部キャップ74を通して定められた開口部の中にスライド可能に配置される。図7に示すように、半径方向アーム106の間のスペースはリザーバ68に通じており、ポンプチャンバ70の前方端に向かうシリンダの移動によってリザーバ68からポンプチャンバ70の中に液体が流れることを可能にする。ポンプの作動によって端部キャップ74の開口部がシールされることを確実なものにするために、ポンプチャンバ70の中に配置されたシャトル弁104の前方端にキャップ108が設けられる。キャップ108は、端部キャップ74の端面に対してシールする。
【0036】
ポンプ機構88の作動が、特に図6及び図7に示されている。リザーバ68の中に入っている粘性液体の計量された量を取出するために、ユーザはアクチュエータ30を用いてポンプ機構88を作動させる。アクチュエータ30は、後でもっと詳しく説明される。アクチュエータ30を押すと、ポンプシリンダ92が後向きにポンプチャンバ70の中に移動する。チャンバ70内の粘性液体の圧力によって、シャトル弁104が強制的に閉鎖され、チャンバ70の中に入っている粘性液体が、ポンプシリンダ92の中に長さ方向に定められた送出通路94の中に導かれる。特に図6に示すように、粘性液体が取出オリフィス96を通して放出される。アクチュエータ30を解放すると、ばね98がポンプシリンダを図7に示された位置まで強制的に戻す。この作用によって、シャトル弁104の着座が外れて、特に図7に示されるように、粘性液体がポンプチャンバ70の中に引き込まれる。
【0037】
リザーバ68の中で真空が引かれないように、リザーバは通気される。この通気は、種々の手段によって達成可能である。例えば、リザーバ68は、シリンダ92を通して又はシリンダの周りで直接換気することができる。しかしながら、これは、シリンダの周りから流体が漏れ出る傾向があるので、望ましい実施形態ではないことがある。図面に示すように、1つの好ましい通気方法は、例えば、ハウジング14の上面を通して配置される通常の通気弁130を用いることによって、ハウジング14の上部を通気することである。通気弁130は、特に図13に示されており、ボール・ケージ134の中に着座されたボール132を使用するものである。ボール132は、図13に示されるように粘性液体が詰め過ぎの状態になるか、又は発送中などにハウジング14がひっくり返されると、上部部材133に設けられた開口部に対して着座し且つシールする。その後の使用のためにディスペンサが壁面に掛けられると、ボール132はボールケージ134の中に落下して、通気弁130が開放される。ボール132のシールはさらに、ばねによって助けることもできる。
【0038】
上述のように、ポンプ機構88は、ユーザがアクチュエータ30を押し下げることによって作動される。アクチュエータ30は、ポンプシリンダ92を動かすように構成されたどんな部材とすることもできる。図面に示された一実施形態においては、アクチュエータ30は、ハウジング14に独特な美的に優れた外観を与えるパネル部材32によって定められる。パネル部材32は、内向きに配置された突起36(図14)を有する側壁34を含み、該突起36は、ハウジング14の側部16に設けられ対応するサイズにされたディボット即ち凹部38の中に係合する。パネル部材32の内面上に通路部材40(図3)を設けて、ポンプシリンダ92の前端に対して明確に係合させることができる。ユーザにアクチュエータを押すための適正位置を示すために、パネル部材32の前面にくぼみ33を定めてもよい。
【0039】
アクチュエータは、どんな構成又は美的に優れた形状をもとり得ることを理解されたい。特に図15及び図16に示された別の実施形態においては、アクチュエータ30は、ポンプシリンダ92の前面93に直接取り付けられたキャップ42によって定められる。この取り付けは、接着剤や機械式相互ロック装置などによって与えることができる。アーム44は、適正な位置合わせを確実なものにし、構造体に剛性を与えるために、ポンプハウジング14の中に定められた凹部46の中にスライド可能に係合することができる。
【0040】
図8a及び図8bは、ディスペンサ10の発送の際に特に有用なポンプシリンダ92のロック特徴を示すものである。ポンプシリンダ92は、該ポンプシリンダの上部に定められた長さ方向の通路118を含み得る。長さ方向の通路118の中に、ポンプチャンバの前壁部材86のタブ部分87が配置される。この場合には、ポンプシリンダ92は、作動及び解放によって該ポンプシリンダが回転することが防がれる。特に図8aに示されるように、ポンプシリンダ92の中に部分的な周方向の通路120が定められる。周方向の通路120は、図6に示すように、チャンバ70内のシリンダ92の完全に押し下げられた又は作動された位置に対応する部分において、ポンプシリンダ92に沿って定められる。ディスペンサ10の発送のために、ポンプシリンダ92は、特に図8bに示すように、タブ87が周方向の通路120の中に係合するように、押し下げて回転させることができる。この構成においては、ポンプシリンダ92は、定位置にロックされ、ポンプシリンダが回転されて図8aに示す位置に戻されるまで、チャンバ70内で動くことができない。この手順は、アクチュエータ30を取り付けて、ディスペンサ10を支持壁面上に設置する前に、保守技術者によって達成可能である。
【0041】
ディスペンサから粘性液体又は石鹸が漏れることを防ぐために、ポンプシリンダ92の取出オリフィス96の中に弁機構を含め得ることが望ましい。これに関しては、どんな手法のシール弁を使用することもできる。本出願人らは、特に有用な弁機構110は、図9a及び図9bに示されたタイプの弁であることを見出した。この弁110は、特に図5から図7までに示されるように、弁110をポンプシリンダ92の送出端の中に着座させるのに用いられるフランジ部材113を含む。弁は、その中を通る開口部114を定める少なくとも1つの、好ましくは複数の弾性フラップ112を含む。フラップ112は、弁110がポンプシリンダ92の中に図5から図7までに示された向きに配置されたときに、自身に対してシールする。特に図6に示すように、ポンプシリンダ92が作動すると、液体の圧力によって弾性フラップ112が開いて、ポンプシリンダ92から液体が取出される。弁110を取出オリフィス96に対する定位置に固定するために、別個のキャップ部材122を使用することができ、キャップ部材122は、取出オリフィスと位置合わせされたキャップ部材の開口部を含む。キャップ部材122は、圧力嵌め要素を含んでも良いし、ポンプシリンダ92に恒久的に接着したり溶接したりしても良い。
【0042】
弁110はまた、シリンダ92が作動後に移動して休止位置に戻る際に、ポンプチャンバ70に通気する傾向がある。チャンバ70の中に真空が引かれるのに伴って、弾性フラップが僅かに分離し、チャンバ70に向けて引き込まれ、これにより通気路が定められる。チャンバが通気されると、フラップが閉じて、互いに対してシールする。
図9a及び図9bに示された弁110は、当該技術分野では分岐弁として一般に知られるものであり、ミシガン州所在のLMS社から入手可能である。
【0043】
本発明に係るディスペンサ10はまた、ハウジング14の一体部品として構成された一体形成型の取付機構を含む。この取付機構は、ディスペンサ10を、壁面12上に設けられた全体を58で示す相補的な取付構造体に取り外し可能に接続できるようにする(図3)。本発明に係る一実施形態においては、取付機構は、ディスペンサ10の裏側18の一体成形型の特徴として定められる。この特徴は、どんな特定の形式の構造体にも限定されるものではなく、壁面12上に設けられた相補的な取付構造体にハウジングを取り外し可能に設置するのに好適なタイプのコネクタ又は係合構造体のいずれをも含む。取付機構構造体が、例えば図3に見られるようにハウジングの裏側18の「境界」によって囲まれて、ハウジング14を壁面12に対して設置すると、裏側18の境界部分が直接壁面12に対面することが望ましい。この構成においては、取付機構はどんな角度からも見えず、ハウジング14と壁面12との間に、そこからこじ開け道具を挿入して器物破損行為を図らせるような隙間は本質的に存在しない。
【0044】
図示された実施形態においては、凹部50を含む一体型取付機構特徴は、裏側18に成形される。凹部50は、ほぼ垂直な側壁52によって定められる。後でもっと詳しく説明するように、壁取付構造体58上に設けられた相補的な構造体に対して又は構造体に係合させるために、側壁52に沿って係合構造体が設けられる。図示された実施形態においては、係合構造体は、垂直壁52に沿って定められた或る角度をなす表面56によって形成される。或る角度をなす表面56は、特に図3及び図12に見られるように、壁取付構造体58上に定められた相補的な或る角度をなす表面62に対して係合する。図示された実施形態においては、少なくとも2つの或る角度をなす表面56が設けられ、垂直壁52の断面によって分離される。2つの或る角度をなす表面56が、壁取付構造体58の或る角度をなす表面62に対して係合する。ディスペンサ10を壁取付構造体58に取り付けるには、保守技術者は、或る角度をなす表面56が壁取付構造体の対応する或る角度をなす表面62との間で垂直に配置されるように、ディスペンサ10を壁取付構造体58に対して単純に位置決めする。次いで、保守技術者は、特に図12に示すように、ディスペンサ10を或る角度をなす表面56、62と係合するように垂直方向に単純にスライドさせる。この相互ロック構成においては、ディスペンサは、壁取付構造体58から引き離すことができない。各垂直壁に設けられた2つの或る角度をなす表面56の構成は、同一の長さ方向の表面積をもつ単一の或る角度をなす表面56と比較して、ディスペンサ10と壁取付構造体58との間に必要とされる垂直移動が比較的小さいものでありながら、或る角度をなす表面の相互ロック表面積の増加を与えるので、特に有用である。
【0045】
本発明の特定の一実施形態においては、ハウジングの裏壁18は、本質的にある程度の「遊び」又は弾性をもつプラスチックのような材料から形成することができる。その一方で、壁取付構造体58は、比較的硬質な剛性材料(すなわち金属又は硬質プラスチックブラケット)から形成することができ、対応するハウジング凹部50の寸法より大きい少なくとも1つの寸法(すなわち幅又は深さ)をもつことができる。例えば、或る角度をなす表面62における取付構造体58の幅は、或る角度をなす表面56を定める凹部50の対応する嵌合幅部分より僅かに大きくすることができる。この手法においては、ハウジングを壁取付構造体上に設置すると、取付構造体の大きめの寸法の部品によって、対応するハウジング凹部部分が、オーバーサイズの壁取付構造体に適応するために「湾曲」又は屈曲する。この構成は幾つかの利点を与える。ハウジングと壁取付構造体との間にしっかりした固定及び緊密な係合が与えられ、ハウジングが支持壁に対してぐらついたり動いたりすることを防ぐ。ユーザには、ハウジングが壁に恒久的にボルト締めされるか又は他の手法で取り付けられているように見えることになり、ハウジングを取り外す術が見当たらない。上述のように、凹部は、ハウジングを支持壁上に設置するとどんな角度からも見えないように、裏壁の境界部分の中に完全に囲まれることが望ましい。ハウジングの裏壁は、裏壁の周りに全体的に定められる最小限の一様な隙間をもって支持壁に直接くっついているように見える。また、ハウジングは、過度の力なしでは壁取付構造体から引き離したりこじ開けたりすることができない。
【0046】
ディスペンサ10が壁取付構造体58上に適正に配置されると、技術者にディスペンサ10が適正に配置されたことを示し、あらゆる努力なしにディスペンサ10が外れることを防ぐために、固定装置を含むことが望ましい。図示された実施形態においては、固定装置は、凹部50の中にハウジングの裏側18から延びる突起126を含む。突起126は、取付構造体58の中に定められた傾斜面129上にスライドされて、傾斜面129に隣接して配置され対応するサイズにされたディボット128の中にはまる。壁取付構造体58は、どんな手法の好適な取付構造体をも含むことができる。図示された実施形態においては、壁取付構造体58は、例えば、ねじや接着剤などによって壁面12に取り付けられたプレート部材64によって定められる。壁取付構造体58は、単純にディスペンサ10のための相互ロック係合装置を与えるように働く。ディスペンサ10を、支持壁上に設けられた相補的な壁構造体に取り外し可能に接続するために、どんな手法の相互ロック係合構成をも与えることができることを理解されたい。例えば、これに関しては、比較的単純なバイオネット型ファスナ、ばね入りラッチ等を設けることができる。本発明の望ましい特徴は、ディスペンサ10の全体が使い捨てであることであり、したがって、比較的簡素でなおかつ信頼性のある係合装置であることが好ましい。本明細書において図示され説明された2つの或る角度をなす表面の構成は、この点において特に有用であることが見出された。
【0047】
保守技術者に、ディスペンサ内の粘性液体の量を判断するための手段を与え得ることも望ましい。これに関しては、上述のように、ハウジング14の一部を、半透明か又は透明な材料から形成することができる。特に図1に示された実施形態においては、修理又は保守技術者が、ディスペンサの側部から液体の残量を見ることができるように、裏部品22全体が半透明か又は透明な材料から形成される。図19に示された別の実施形態においては、保守技術者がリザーバの中に入っている液体の残量を判断するためにリザーバの中を見ることができるように、透明な又は半透明な材料の窓136を、ハウジング14のどこか、好ましくはハウジングの底部付近に設けることができる。
【0048】
上述のように、内部リザーバと、一体に形成された壁設置凹部とを備えたハウジングの独特な構造及び構成によって、本発明に係るディスペンサは、ディスペンサの(上記で定義したような)「パッケージング」を増加させる必要性なしに著しく増加させることができる容量をもつようにされる。例えば、本発明に係る2.5リットル容量のディスペンサが現在検討されている。ディスペンサ・パッケージング(ハウジング及び一体型ポンプ機構)は、約250グラムのみの重さとなることが予想される。したがって、2.5リットルの取出「位置」を維持し、かつサービスするためには、約250グラムのみの材料が必要とされる。一方、同一体積の従来のカートリッジ又は直接詰め替えディスペンサは、破壊されたりポンプの作動不良などによって取り替えることが必要となり、ハウジングと詰め替え材とが組み合わされた重量は、実質的に大きくなる。本発明に係る2.5リットル容量のディスペンサにおける重量(グラム)対体積(リットル)比は、約100:1である。本出願人らは、これは、従来の詰め替えディスペンサ(カートリッジを詰め替えるか又は大量貯蔵カートリッジからハウジングを直接詰め替えるもの)に対する大きな改善になると考えている。本発明に係る容量の大きいディスペンサ、例えば5リットルのディスペンサについては、パッケージング重量の増加は一次関数ではなく、このため、重量対体積比は容量の増加に伴って減少することになると考えられる。
【0049】
したがって、本発明に係る種々の体積容量のディスペンサを設計することができ、パッケージング重量グラムに対する体積容量リットルの比は、通常は約120:1より大きくなく、好ましくは100:1又はそれ以下である。2.5リットル容量のディスペンサの特に有用な一実施形態においては、比は約100:1である。
本発明に係るディスペンサは、ハウジングと壁取付構造体との間の取付機構が、満杯になったハウジングの重量を支持するのに構造的に十分なものである限り、該ディスペンサのサイズに限定されるものではないことを理解されたい。
【0050】
図18から図24までは、本発明に係るディスペンサに使用可能な通気機構の別の実施形態を示す。図13に示された通気部130のように、これらの通気部は、リザーバとそれを取り囲む環境との間の圧力を平衡化することによって、リザーバ68の中に真空が引かれるのを防ぐ。図19から図22までを参照すると、1つの特定の通気機構230は、ハウジングの上壁232の開口238を通して配置されるように構成される。この開口238はまた、リザーバ68に最初に充填するための充填ポートとしても働く。通気機構230は、壁232と相互ロックし且つシール係合する全体を250で示す本体を含む。図示された実施形態においては、本体250は、開口238を通して挿入され、その後、壁232の内面236に対して自動的に係合して、通気機構230をこれ以後ハウジングから引っ張ることができないようにする。
【0051】
図示された実施形態における通気本体250は、上側の本体部分260と下側の本体部分252を含む。これらの部分は、別個に成形するか又は形成して、その後、例えば特に図18に見られるようなレッジ257に接合することができる。この部分は、接着剤、超音波、溶接などを含む通常の手段のいずれかによって接合することができる。この部分はまた、単一の一体型ユニットとして、例えば単一の成形本体部品として形成することができる。
下側の本体部分252は、下側の通気通路258を定めるほぼ円筒形の又は切頭形の部品である。通気部230をハウジング壁232に係合し及び固定するために、少なくとも1つの、好ましくは複数の弾性タブ254のような弾性部材が本体上に設けられる。特に図20A及び図20Bに示すように、弾性タブ254は、下側本体部分252を通る垂直軸線に対して或る角度をなして配置され、開口部238を通して本体252が挿入されると、内向きに屈曲できるようにされる。タブ254が壁の内面236から離れると、図20Bに示すように半径方向外向きに屈曲する。したがって、通気部230は、これ以後ハウジングから引っぱることができない。
【0052】
下側の本体部分252は、弾性のタブ254との間で離間され且つ本体部分を通る垂直軸線に対してほぼ平行に配向される実質的に剛性のタブ256を含む。これらのタブ256は、上側本体部分260を受け入れるためのケージ状の構造体を定める。
種々の構造的構成は、弾性部材と下側本体部分252を定めることができ、図示された実施形態は本発明を制限することを意図しているものではないことを認識されたい。
上側の本体部分260は、通気オリフィス242まで延びる上側通気通路262を定めるほぼ円筒形の部材である。上側本体部分260を下側本体部分252に組み付けると、上側通気通路262が下側通気通路258と位置合わせされる。
【0053】
通気機構の通気オリフィス242を休止又は静止状態でシールするために、全体を244で示す通気プラグが通気通路262の中に移動可能に配置される。図示された実施形態においては、通気プラグは、ばね272によって傾斜面264に対して付勢されたボール246である。したがって、図面からすぐに分かるように、静止位置において、ボール246が傾斜面264に対して押し付けられて、通気オリフィス242が遮断される。したがって、リザーバ68は外部環境に対して本質的にシールされる。
【0054】
上側の本体部分260はさらに、全体を266で示すキャップを含む。図示された実施形態においては、キャップ266は、プレート状の部材であり、弾性の周方向リップ268を含む。リップ268は、通気機構とディスペンサ・ハウジングとの間に第1シールを定める。図21及び図22に破線で示された非張力又は弛緩状態においては、弾性リップは、キャップ266の残りの部分より大きい曲率半径を有する。ハウジングの開口部238を通して通気部が挿入されると、リップ268がハウジングの上壁232の表面に対して押し付けられ、平たくなって、ハウジング表面に対してシールする。キャップ266に一定の圧縮力がかかることを確実なものにするために、リップ268の縁と弾性タブ254の上部との間の垂直距離「d」(図23)は、ハウジング壁232の厚さより大きい。この場合には、ハウジング壁を通して通気部が挿入されると、弾性タブ254もキャップ266に対して一定の下向きの引っ張り力をかけ、弾性リップ268をハウジング表面に対して押し付けてシールさせる。
【0055】
上側の本体部分260はまた、キャップ266の下側から下向きに延びる弾性スカート部材270を含む。スカート270の端部にフット271が定められる。スカート及びフット構成は、通気機構とディスペンサ・ハウジングとの間に独立した第2シールを定める。図21及び図22を参照すると、スカート・フット271は、図面における破線によって示されるように、ハウジング壁232を通る開口部238より大きい弛緩した又は非張力直径を有する。開口部238を通して通気機構を挿入すると、スカートが半径方向内向きに圧縮され、フット271が開口部の壁239に対してシール係合する。
図22に示された実施形態においては、ハウジング壁232の開口部238は、直線的な垂直壁239によって定められる。弾性スカート270のフット271は、この壁239に対してシールし、弾性リップ268はハウジング壁の上面234に対してシールする。この構成においては、スカートが、ハウジング壁232の厚さより大きい垂直長さをもたないことは重要である。
【0056】
図21の実施形態においては、開口部238は、壁239から半径方向にオフセットされた第2壁240を有するカウンタボア孔として定められる。この構成においては、弾性リップは、カウンタボアの周方向の壁又はリッジ241に対してシールし、キャップ266は壁240の深さに応じてハウジング壁の上面234の平面より高く又は低く接触する。この構成においては、リップ268は、第2壁240まで延びるべきではなく、スカート270は壁239より低く延びるべきではない。
図18から図20Bまでに示す実施形態においては、開口部238もカウンタボア孔である。しかしながら、この構成においては、スカート・フット271は、第2壁240に対して係合し、弾性リップ268はハウジング壁の上面234に対して係合する。スカート270の垂直長さは、第2壁240の深さより大きくすべきではない。
【0057】
通気機構230の静止又は休止モードにおいては、通気プラグ244(すなわちボール246)が、弾性的に押し付けられて、通気オリフィス242を定める或る角度をなす表面264に対して係合する。この係合は、本質的に気密シールとすることができる。ユーザが、リザーバ68から計量された量の粘性液体を取出するためにポンプ機構を作動させると、リザーバ内に部分的に真空が引かれ、通気部を横切る圧力差が生じる。これにより、通気プラグが、弾性部材(すなわちばね272)の力に対抗して引き下げられる、すなわち通気オリフィス242から離される。通気プラグが脱着座されると、リザーバと外部環境との間の圧力差が平衡化され、その後通気プラグは、ポンプ機構が次に作動されるまで或る角度をなす表面264に対して再着座される。これに関しては、弾性部材は、ポンプ機構が作動されると、リザーバの内部に生成した真空度において通気オリフィスから通気プラグを脱着座できるような「寸法」にすべきであることに注意されたい。例えば、ばね272が使用される場合には、こうしたばねは、ユーザがポンプ・ディスペンサを作動させることによって、通気プラグが脱着座して圧力が平衡化することを妨げるほど大きいばね定数をもつべきではない。
【0058】
図23は、通気機構の別の実施形態を示すものであり、本体部材は、上側の通気通路262の中に上向きに延びるスカート部274を含む。スカート部は、連続的なものである必要はなく、周方向に離間されたフィンガ又はタブを構成することができる。スカート部274は、上で通気プラグ(ボール246)が休止する弾性リム部材276を含む。この実施形態は、通気プラグがばねの代わりにスカート274と弾性リム部材276によって付勢されることを除いては、上述のものと本質的に同様に作動する。
図24は、図23と類似した実施形態を示す。しかしながら、この実施形態においては、通気プラグは、スカート274の少なくとも一部と一体に形成され弾性的に配置された球根状の部材278である。球根状の部材278は、弾性リム部材276によって支持される。この実施形態の作動は、上述のものと同様である。
【0059】
既に説明したように、本発明に係るディスペンサに使用するのに好適なポンプ機構は、ハウジングの前壁表面を通して定められた孔の中に内部リザーバと連通するようにはめ込まれた自給式装置を含み得る。こうした実施形態は、図15から図29までに示されている。この実施形態は、図5から図9までの実施形態の態様と同様であり、したがって、共通の特徴を詳細に説明する必要はない。
【0060】
図25から図29までを参照すると、この実施形態におけるハウジング24は、前面304を通して定められたボア302を含む。ほぼ円筒形の延長部312は、前面304からリザーバの中に後ろ向きに延びる。シリンダの延長部312の最外端は、半径方向内向きに延びるシール310を有する。後で詳細に説明するように、シール310はチャンバの挿入部材に対してシールする。複数のナブ又は突起308が、前面304から延び、ボア302を取り囲む。円筒形の延長部312、リングシール310及び突起308は、全てハウジング24と一体に成形される。
【0061】
チャンバ挿入部材314は、ボア302の中に嵌合するように設計される。挿入部材314は、特に図26及び図28に示されており、内部ポンプチャンバ322を定める内部壁325を有するほぼ円筒形の部材とすることができる。後述するように、ポンプシリンダがその中にスライドされる挿入部材314の前方端を通して開口部323が定められる。挿入部材314は、該挿入部を通して定められた複数のカウンタボア型の孔317を有する前部の外側フランジ316を含む。孔317は、突起308と位置合わせされる。挿入部材314は、ハウジング24の前側からボア302を通してはめ込まれる。フランジ316の裏側は、ハウジング24の前面304に対して押付けられ、突起308は孔317を通して延びる。挿入部材は、突起308が「加熱杭」工程において溶融され、溶融した材料がカウンタボア型の孔317の中に流され硬化されて、該挿入部材314が固定されることによって、ハウジング24に恒久的に取り付けられる。挿入部材314をハウジング24に対して固定する又は取り付けるために、多くの他の好適な装置及び方法を使用できることを理解されたい。
【0062】
挿入部材314は、ボア302と周方向の延長部312を通してスライドさせた時に延長部312の端部のシール310によって緊密に係合される周方向外側の表面318を有する。したがって、この方法で挿入部材314とハウジング24との間に第1シールが形成される。溝319の中に係合し、挿入部材314が適正に挿入されたという能動的指示を与えるリング状の突出部321を、表面318の周りに形成するか又は他の手法で設けることができる。リング321は、O−リングとすることができ、これもシール能力を与える。
【0063】
挿入部材314は、外側フランジ316の裏側に後ろ向きに定められた半径方向外側に延びた部分320を含む。この部分320は、特に図25に示されるように、円筒形の延長部312とのシールとして働く。したがって、この方法で、挿入部材314とハウジング24との間に第2シールが形成される。
挿入部材314は、開口部323の直径を定める内側フランジ326と、チャンバ322の中に形成された位置合わせタブ324を含む。このタブ324は、後で説明するように、ポンプシリンダの中に定められた長さ方向に延びる通路か又は溝と協働する。
【0064】
ポンプシリンダの別の実施形態は、図25及び図29に開示されている。このポンプシリンダの実施形態は、図5から図9までに示された一体成形型ポンプチャンバか又はポンプチャンバ挿入部材314において使用可能である。この実施形態は、2つの部品からなるポンプシリンダ340を含む。この第1部品342は、中を通して定められ第1部品342の前端の中に定められた配送オリフィス96まで延びる通路344を有するほぼ円筒形の部材である。第1部品の前端は、ポンプシリンダ340の送出端に対応する。ポンプシリンダ340がポンプチャンバ322から引き出されるのを防ぐために、第1部品342の後方端にフランジ354が設けられる。このフランジ354は、図25に示すように、ポンプシリンダ340の十分に延びた位置で挿入部材314の内部フランジ326に対して係合する。
【0065】
図5から図9までの実施形態と同様に、ポンプシリンダ349のためのロック特徴が設けられる。第1部品342の外面に沿って長さ方向の溝又は通路350が定められ、シリンダがポンプチャンバ322の中に長さ方向にスライドされる際に、挿入部材314の位置合わせタブ324に係合する。この場合には、ポンプシリンダ340は、該ポンプシリンダの作動及び解放による回転が防がれる。特に図25に示すように、第1部品342の外面の中に部分的な周方向の溝352が定められる。周方向の溝352は、ポンプチャンバ322の中のポンプシリンダ340の加圧位置に対応する位置に定められる。ディスペンサの発送のために、タブ324が周方向の溝352の中に係合するように、ポンプシリンダ340を押し下げて、次いで回転させることができる。この構成においては、ポンプシリンダ340は、ポンプシリンダが回転されてタブ324が長さ方向の溝350の中に係合する位置に戻されるまで加圧位置にロックされ、ポンプチャンバ322の中で動くことができない。
【0066】
ポンプシリンダ340の第1部品342はまた、該部品の後方端に定められたフランジシール356を含む。フランジシール356は、挿入部材314の内部壁325に対して係合し、シリンダが休止位置から加圧位置まで移動することによって、チャンバ322の中に入っている粘性液体が加圧されてポンプシリンダ340から取出されることを確実なものにし、シリンダの移動によってポンプチャンバの一端から他方まで単純に動くのではない。
【0067】
ポンプシリンダ340の第2部品は、第1部品342の後方側に定められたチャンバ341の中にはめ込まれるプラグ部材346とすることができる。プラグ部材346は、該プラグ部材を通して定められ、且つ第1部品342の中に定められた通路344と軸方向に位置合わせされた通路348を有する。したがって、位置合わせされた通路344及び348は、ポンプシリンダ340を通した送出通路を定める。図29に示されるように、通路348は、該通路の上部に沿って開放することができ、チャンバ341と開放通路348を定める第1部品壁との協働によって閉鎖された通路を形成する。プラグ部材346の後方端にカップ形状のフランジ部材357が定められる。フランジ部材の側壁は、挿入部材314の内壁325に対して係合し、これによりポンプシリンダ340とポンプチャンバ322との間に第2フランジシール358が定められる。カップ形状のフランジ部材357の内部は、後述するようにばねがそれに対して着座する凹部又は座部362を定める。図5から図9までの実施形態におけるように、チャンバ内でのポンプシリンダ340の移動によってチャンバ322の中の粘性液体がチャンバの外に押し出されないことを確実なものにするために、ポンプチャンバ322に逆止め弁が設けられる。この実施形態における逆止め弁は、半径方向に延び且つ離間されたアーム336を有するシャトル弁392である。シャトル弁392は、端部キャップ328を通して定められた開口部の中にスライド可能に配置される。半径方向アーム336の間のスペースは、リザーバに通じており、ポンプシリンダ340がポンプチャンバ322の前方端に向けて移動すると、液体がリザーバからポンプチャンバ322の中に流入できるようにする。ポンプの作動と、チャンバ322内でのポンプシリンダ340の加圧位置に向けた後方移動によって、端部キャップ328の開口部がシールされることを確実なものにするために、シャトル弁392の前方端上にエラストマー・キャップのようなシールキャップ334が設けられる。キャップ334は、端部キャップ328の円筒形の突出部338の前方端に対してシールする。開ケージ部材330は、端部キャップ328からリザーバの中に延び、半径方向アーム336を取り囲む。
【0068】
ポンプシリンダ340は、ばね360の作用によってポンプチャンバ322内で休止位置に向けて付勢される。この目的のために、重ね板ばね、ばね座金などのようなその他のタイプの弾性装置を使用することもできる。ばね360は、プラグ部材346のカップ形状のフランジ部材357の凹部346の中に着座された前方端を有する。ばね360の両端は、端部キャップ328の円筒形の突出部338の周りに嵌合される。
端部キャップ328は、ポンプシリンダ340とばね360が後方端から挿入部の中に挿入された後に、チャンバ挿入部材314の後方端に恒久的に固定される(すなわち溶接や接着剤等による)。図5から図9までの実施形態と同様に、ディスペンサから粘性液体が漏れることを防ぐために、ポンプシリンダ340の送出端の中に弁機構を含み得ることが望ましい。特に有用なシール弁は、図9a及び図9bに関連して図示され説明されたタイプの弁である。
【0069】
図25から図29までに示された実施形態の作動は、図5から図9までの実施形態について上述したものと実質的に同一であり、このため再び詳しく説明する必要性はない。
図25から図29までのポンプ機構は、製造及び組立ての観点から望ましい場合がある。ハウジングからポンプ機構を取り外して、該ポンプ機構をリサイクル又は再使用できるようにすることが望ましい場合もある。この場合には、チャンバ挿入部材314とハウジング24との間に、もっと簡単に「壊すことができる」か又は取り外すことができる取り付け具を与えることが好ましい。しかしながら本発明の精神及び範囲内においては、図25から図29までの実施形態は、チャンバ挿入部材314とハウジング24の前面304との間の加熱杭溶接を壊して挿入部材314を取り外せないようにするものである。
本発明は、本明細書に記載された本発明の実施形態の修正及び変形を含むことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係るディスペンサの斜視図である。
【図2】図1に示されたディスペンサの裏側の斜視図である。
【図3】図1に係るディスペンサと、相補的な壁取付構造体との別の斜視図である。
【図4】図3に示された線に沿って見たディスペンサの断面図である。
【図5】図3に示された線に沿って見たディスペンサのポンプ機構の断面図である。
【図6】ポンプ機構の作動上の断面図である。
【図7】ポンプ機構の作動上の断面図である。
【図8a】特に逆止め弁装置を示すポンプ機構の部分的斜視及び切り取り図である。
【図8b】特にロック特徴を示すポンプ機構の部分的斜視及び切り取り図である。
【図9a】ポンプシリンダに組み込まれた弁機構の斜視図である。
【図9b】図9aの弁機構の作動上の斜視図である。
【図10】ディスペンサ・ハウジングの裏部品の斜視図である。
【図11】ディスペンサを設置するための壁設置ブラケットの作動上の部分的斜視図である。
【図12】図11に示された線に沿って見た壁設置ブラケットの断面図である。
【図13】図2に示された線に沿って見た通気弁の断面図である。
【図14】ポンプハウジングに取り付けられたパネル部材アクチュエータの拡大斜視図である。
【図15】ディスペンサの別の実施形態の斜視図である。
【図16】図15に示されたディスペンサに使用されるアクチュエータの拡大部品図である。
【図17】特にディスペンサの中の液体の量を判断するための窓特徴を示すディスペンサの別の実施形態の斜視図である。
【図18】本発明に係る通気機構の別の実施形態の斜視及び部分断面図である。
【図19】図18の通気機構の本体部材の下側部分の斜視図である。
【図20A】ハウジングの上部壁の開口部の中に通気機構を挿入するところを示す図18の通気機構の断面図である。
【図20B】ハウジングの中に挿入した後の図20aの通気機構の断面図であり、特に通気機構をハウジング壁にロックするための弾性ロック機構の実施形態を示す。
【図21】ハウジング壁の座繰りボア用に設計された図20Bの部分の拡大断面図である。
【図22】ハウジング壁の直線ボア用に設計された図20Bの部分の拡大断面図である。
【図23】本発明に係る通気機構の別の実施形態の断面図である。
【図24】本発明に係る通気機構の別の実施形態の断面図である。
【図25】本発明に係るポンプ機構の別の実施形態の断面図である。
【図26】図25のポンプ機構の実施形態の部品の部分的斜視図である。
【図27】図26に示された部品の部分的に組み立てられた斜視図である。
【図28】図25の実施形態のポンプチャンバ挿入部の斜視図である。
【図29】図25の実施形態のポンプシリンダの部品の斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
10 ディスペンサ
14 ハウジング
16 側壁
18 裏側
20 表側
22 裏部品
24 表部品
26 側縁
28 凹部
30 アクチュエータ
48 タブ
68 液体リザーバ
70 チャンバ
88 ポンプ機構
90 送出端
92 シリンダ
98 ばね
101 ピストン
116 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自給式粘性液体ディスペンサであって、
内部液体リザーバを定め、中を通り該リザーバの底面に隣接する開口部を有する前面を含むハウジングと、
前記開口部の中に嵌め込まれ前記リザーバの中に延び、前記リザーバに通じた後端と前記ハウジングの外側に通じた前端とを有する内部ポンプチャンバを定め、前記ポンプチャンバが前記ハウジングの前記前面のほぼ後方に配置されるように、前記前面において前記ハウジングに取り付けられた挿入部材と、
前記チャンバの中にスライド可能に配置され且つ保持され、前記ポンプチャンバの外に延びる送出端と、中に定められ前記送出端の配送オリフィスまで延びる送出通路とを有し、前記ポンプチャンバの中の液体を前記送出通路から前記配送オリフィスの外に加圧し取出すために前記ポンプチャンバ内で休止位置から加圧位置まで移動可能なポンプシリンダと、
前記ポンプシリンダを前記休止位置から前記加圧位置まで前記ハウジングの外側から動かすために、前記ポンプシリンダの前記送出端に構成されたアクチュエータと、
を備えたディスペンサ。
【請求項2】
前記ポンプシリンダの前記送出端内に配置されており、オペレータが前記アクチュエータを作動させると開き、前記アクチュエータを解除するときに閉じて、前記ポンプシリンダからの液体の漏れや滴下を防ぐようにするバルブ機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記バルブ機構は前記アクチュエータを作動させるときに開位置へ移動可能であり、前記アクチュエータを解除すると閉位置へ自動的に戻る少なくとも一つの可撓性フラップ部材を備えていることを特徴とする請求2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記開位置において貫通する開口部を形成し、前記閉位置において相互にシールする複数のフラップ部材を備えていることを特徴とする請求項3に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記ポンプシリンダは、前記後端から前記ポンプチャンバの中に挿入可能であり、前記チャンバはさらに、前記ポンプチャンバから前記前端を通して前記ポンプシリンダが引き出されることを防ぐために、前記前端に保持構造体を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記ポンプシリンダを前記ポンプチャンバの中に挿入したときに、前記ポンプチャンバの前記後端に取り付け可能な端部キャップをさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載のディスペンサ。
【請求項7】
粘性液体を前記ポンプへ引出すように、前記キャップ部材を貫通して形成されたオリフィスを備え、前記ポンプシリンダが前記加圧位置へ動作すると、前記オリフィスを閉鎖するように前記オリフィス内に配置されたチェックバルブ装置をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記チェックバルブ装置は、前記ポンプシリンダが前記加圧位置へ動く際に、前記オリフィスを閉鎖するように配置されたシーリングキャップを備えたことを特徴とする請求項7に記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記ハウジングにピボット運動可能に接続され、前記ポンプシリンダの送出端に接触するパネル部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記アクチュエータは前記ポンプシリンダの前記送出端に直接取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記ポンプシリンダは、中を通して定められた第1通路を有する第1部品と、前記第1部品の中にはめ込まれ、中を通して定められ前記第1通路と軸方向に位置合わせされる第2通路を有する第2部品とを備え、前記第1及び第2通路は、前記ポンプシリンダを通した前記送出通路を定めることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項12】
前記第1部品はさらに、前記ポンプチャンバを定める前記挿入部材の内壁に沿ってスライド可能に係合する第1の半径方向に延びるシールを備え、前記第2部品はさらに、同様に前記挿入部材の前記内壁に沿ってスライド可能に係合する第2の半径方向に延びるシールを備えたことを特徴とする請求項11に記載のディスペンサ。
【請求項13】
前記ポンプシリンダを前記休止位置へ付勢する、前記ポンプチャンバ内に配置された付勢要素を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項14】
前記挿入部材の外面と前記ハウジングとの間に配置される少なくとも1つのシールをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのシールが、前記ハウジングの前記開口部の周りに配置され半径方向内側に延び前記挿入部材の前記外面に対して係合し且つシールするシールを備えたことを特徴とする請求項14に記載のディスペンサ。
【請求項16】
前記ハウジングの中の前記開口部が、前記前面から前記リザーバの中に延びる円筒形の延長部によって定められ、前記半径方向に延びるシールが前記円筒形の延長部の上に配置されたことを特徴とする請求項15に記載のディスペンサ。
【請求項17】
前記挿入部材が、前方端に配置され半径方向外側に延び前記開口部を定める前記ハウジングの部分に対して係合し且つシールするシールを備えたことを特徴とする請求項14に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記挿入部材の外面と前記ハウジングとの間に第1及び第2シールをさらに備え、前記第1シールは、前記ハウジングの前記開口部の周りに配置され半径方向内側に延び前記挿入部材の前記外面に対して係合し且つシールするシールを備え、前記第2シールは、前記挿入部材の前方端に配置され半径方向外側に延び前記開口部を定める前記ハウジングの部分に対して係合し且つシールするシールを備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項19】
自給式粘性液体ディスペンサであって、
内部液体リザーバを定め、中を通り該リザーバの底面に隣接する開口部を有する前面を含むハウジングと、
前記開口部の中に嵌め込まれ前記リザーバの中に延び、前記リザーバに通じた後端と前記ハウジングの外側に通じた前端とを有する内部ポンプチャンバを定め、前記ポンプチャンバが前記ハウジングの前記前面のほぼ後方に配置されるように、前記前面において前記ハウジングに取り付けられた挿入部材と、
前記チャンバの中にスライド可能に配置され且つ保持され、前記ポンプチャンバの外に延びる送出端と、中に定められ前記送出端の配送オリフィスまで延びる送出通路とを有し、前記ポンプチャンバの中の液体を前記送出通路から前記配送オリフィスの外に加圧し取出すために前記ポンプチャンバ内で休止位置から加圧位置まで移動可能なポンプシリンダと、
前記ポンプシリンダを前記休止位置から前記加圧位置まで前記ハウジングの外側から動かすために、前記ポンプシリンダの前記送出端に構成されたアクチュエータと、
前記ポンプシリンダと前記ポンプチャンバとの間に配置され、前記ディスペンサの保管及び搬送中に前記加圧位置へ前記ポンプシリンダをロックされた状態に維持するようにするロック機構と、
を備えたディスペンサ。
【請求項20】
前記ロック機構は、前記加圧位置に対応する位置において、前記ポンプシリンダの外面に形成された円周方向に延びる溝を備えており、該溝内に係合する、前記挿入部材上に形成された半径方向に延びるタブを備えていることを特徴とする請求項19に記載のディスペンサ。
【請求項21】
自給式粘性液体ディスペンサであって、
内部液体リザーバを定め、中を通り該リザーバの底面に隣接する開口部を有する前面を含むハウジングと、
前記開口部の中に嵌め込まれ前記リザーバの中に延び、前記リザーバに通じた後端と前記ハウジングの外側に通じた前端とを有する内部ポンプチャンバを定め、前記ポンプチャンバが前記ハウジングの前記前面のほぼ後方に配置されるように、前記前面において前記ハウジングに取り付けられた挿入部材と、
前記チャンバの中にスライド可能に配置され且つ保持され、前記ポンプチャンバの外に延びる送出端と、中に定められ前記送出端の配送オリフィスまで延びる送出通路とを有し、前記ポンプチャンバの中の液体を前記送出通路から前記配送オリフィスの外に加圧し取出すために前記ポンプチャンバ内で休止位置から加圧位置まで移動可能なポンプシリンダと、
前記ポンプシリンダを前記休止位置から前記加圧位置まで前記ハウジングの外側から動かすために、前記ポンプシリンダの前記送出端に構成されたアクチュエータと、
を備え、
前記ハウジングは、前記前面から延び前記開口部の周りに配置された複数の突起を備え、前記挿入部材は、中を通して定められ且つ前記挿入部材が前記ハウジングの中に設置されると前記突起がその中に延びる複数の孔を有する前フランジを備えたことを特徴とする自給式粘性液体ディスペンサ。
【請求項22】
前記孔は座繰りされ、前記突起は、溶融されて、前記孔の中に流れて前記ハウジングに対して前記挿入部材を恒久的に保持するようにされることを特徴とする請求項21に記載のディスペンサ。
【請求項23】
自給式粘性液体ディスペンサであって、
内部液体リザーバを定め、中を通り該リザーバの底面に隣接する開口部を有する前面を含むハウジングと、
前記リザーバと連通する後端開口部と、前記ハウジングの外側に通じる前端開口部とを有する、前記リザーバ内に形成されたポンプチャンバと、
前記チャンバの中にスライド可能に配置され且つ保持され、前記ポンプチャンバの外に延びる送出端と、中に定められ前記送出端の配送オリフィスまで延びる送出通路とを有し、前記ポンプチャンバの中の液体を前記送出通路から前記配送オリフィスの外に加圧し取出すために前記ポンプチャンバ内で休止位置から加圧位置まで移動可能なポンプシリンダと、を備え、
前記ポンプシリンダは、中を通して定められた第1通路を有する第1部品と、前記第1部品の中にはめ込まれ、中を通して定められ前記第1通路と軸方向に位置合わせされる第2通路を有する第2部品とを備え、前記第1及び第2通路は、前記ポンプシリンダを通した前記送出通路を定めるようになっており、
前記ポンプシリンダを前記休止位置から前記加圧位置まで前記ハウジングの外側から動かすために、前記ポンプシリンダの前記送出端に構成されたアクチュエータと、
を備えたディスペンサ。
【請求項24】
前記第1の成分は、前記ポンプチャンバを形成する壁に沿って摺動可能に係合する第1の半径方向に延びるシールを備え、前記第2成分は、前記ポンプチャンバを形成する前記壁に沿って摺動可能に係合する第2の半径方向に延びるシールを備えていることを特徴とする請求項23に記載のディスペンサ。
【請求項25】
前記ポンプシリンダの前記送出端に配置されたバルブ機構を備え、該バルブ機構は、オペレータが作動させると開き、前記アクチュエータを解除すると閉じて、前記ポンプシリンダからの液体の漏れや滴下を防ぐようになったバルブ機構をさらに備えたことを特徴とする請求項23に記載のディスペンサ。
【請求項26】
前記バルブ機構は前記アクチュエータを作動させるときに開位置へ移動可能であり、前記アクチュエータを解除すると閉位置へ自動的に戻る少なくとも一つの可撓性フラップ部材を備えていることを特徴とする請求25に記載のディスペンサ。
【請求項27】
前記ポンプチャンバ内に前記ポンプシリンダを挿入して、前記ポンプチャンバの前記後端部に取付可能な端部キャップを備えていることを特徴とする請求項23に記載のディスペンサ。
【請求項28】
粘性液体を前記ポンプチャンバに引出すように、前記キャップ部材を貫通して形成されたオリフィスを備えており、前記ポンプシリンダの前記加圧位置への動作の際に、前記オリフィスを閉鎖する、前記オリフィス内に配置されたチェックバルブ装置を備えていることを特徴とする請求項27に記載のディスペンサ。
【請求項29】
前記チェックバルブは、前記ポンプシリンダが前記加圧位置へ動く際に前記オリフィスをシールするように配置されたシーリングキャップを備えていることを特徴とする請求項28に記載のディスペンサ。
【請求項30】
前記アクチュエータは、前記ハウジングにピボット運動可能に取り付けられ、前記ポンプシリンダの送出端に接触するパネル部材を備えていることを特徴とする請求項28に記載のディスペンサ。
【請求項31】
前記アクチュエータは、前記ポンプシリンダの前記送出端に直接取付けられていることを特徴とする請求項23に記載のディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−98145(P2007−98145A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302549(P2006−302549)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【分割の表示】特願2002−550838(P2002−550838)の分割
【原出願日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【出願人】(597085132)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】