説明

船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置

【課題】ローリングにより船舶に横傾斜が生じる場合であっても、吹き出される空気量が不均一化することなく、船体摩擦の抵抗低減の効果が低下することを抑制することが可能な船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置を提供する。
【解決手段】船舶の周囲に気泡を噴出し摩擦抵抗を低減する摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30であって、船舶の船底11に複数設けた吹出口32と、送気手段13から送気される気体を受けて前記吹出口32に供給するチャンバー34とを備え、チャンバー34と吹出口32の間の隔壁36に吹出口32への気体供給孔35を複数配置するとともに、複数の吹出口32のうち、端部の吹出口32への気体供給孔35を船底11の長手方向に配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航行中の船舶の船底部外面に沿う水の摩擦抵抗を低減させるための、船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航行中の船舶では、一般に船底部の没水表面に水の摩擦抵抗を受けており、特に大型船の場合には船体抵抗の大部分が船底部における外水の相対流により生じる摩擦抵抗で占められている。
そこで、航行時に船底面を気泡流で覆うことにより船体摩擦の低減を図る技術が提案されている(特許文献1〜5)。
特許文献1には、船底に空気噴出口を設けて船底と水との間に空気層を介在させることにより船体の摩擦抵抗を低減させる船が記載されている。そして、この船において、船が動揺するときに、船底の傾斜方向に応じて空気が高い方に向かって流れ、摩擦抵抗の減少程度が減殺される場合があり、この減殺率を小さくすることを目的として、船の傾斜に応じて、船底が浅くなる側の噴出口からの噴出量を減少させ、深くなる側の噴出量を増加させるように空気の流量を制御する構成が記載されている。
特許文献2には、船体摩擦抵抗低減装置において、船底部を覆う気泡の配分を無駄なく適切に行うことを目的として、横揺れセンサで検出される船体横傾斜角に基づいて船底部の幅方向にわたり分割された複数の分室に供給する高圧気体供給量を制御する構成が記載されている。
特許文献3には、船体摩擦抵抗低減装置において、船体強度の低下を抑制しつつ、船底に形成される気泡膜の形成領域を拡大することを目的として、中央空気噴出孔群の船幅方向における長さを側方空気噴出孔群の船幅方向における長さに比して長く形成する構成が記載されている。
特許文献4には、船体摩擦抵抗低減装置において船底に形成された複数の空気噴出孔から均一に空気を噴出することを目的として、エアーチャンバ内部に空気供給口と複数の空気噴出口の間に介在させた空気拡散板を設け、当該空気拡散板が空気供給口に対面する供給口対面領域と複数の空気噴出口の配列方向の両端部に対面する一対の噴出孔対面領域とを含むように形成する構成が記載されている。
特許文献5には、船体摩擦抵抗低減方法において、船側の気泡の滞留期間を延ばすことを目的として、船側部から吹き出させる加圧空気を、船速よりも早い吹出し速度として船体の斜め後方に向けて吹き出すと共に、船側部で発生させる微小気泡を船底部で発生させるものよりも小さい直径とする構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−163784号公報
【特許文献2】特開2008−13128号公報
【特許文献3】特開2010−120607号公報
【特許文献4】特開2010−120609号公報
【特許文献5】特開平11−227674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航行時に船底面を気泡流で覆うことにより船体摩擦の低減を図る空気等を用いた潤滑法を大型船舶に適用する場合、船底をなるべく均一に気泡で被覆する必要がある。このため、複数個の空気吹き出し部を船幅方向に幅広く配置する必要がある。このような大型船舶は、例えばパナマックスバルクキャリアで全幅が約33m、VLCC(超大型タンカー)で全幅が約60mと幅が広い。仮に船底の幅が全幅の90%であると仮定すると、5度の横傾斜による船底における水面からの垂直方向の距離の差(以下、「水位差」という)の最大値は、バルクキャリアで2.6m、VLCCで4.7mとなる。このように、船底における水位差が大きくなると、各空気吹き出し部における圧力差が大きくなるため、各吹き出し部への空気供給系統は、独立させるか、配管に制御弁を設けて、各吹き出し部に供給する空気の量を均一化する必要がある。
一方、船底に配置した各吹き出し部も、各吹き出し部での相当空気膜厚さが厚くなりすぎると抵抗低減効果が低下するため、各吹き出し部の幅を広く取る必要がある。そのため各吹き出し部は、船幅方向に数メートルの幅を持つことになる。例えば吹き出し部の幅が3mあったとすると、5度の横傾斜でその両端での水位差は26cmにもなる。船の横傾斜時に抵抗低減の効果が低下しにくくするためには、各吹き出し部においても、なるべく均一に空気が吹き出される必要がある。
特許文献1には、上記の横傾斜時における抵抗低減の効果を低下させないために、空気の流量を制御する必要性が示唆されている。しかし、同文献には、空気の流量を制御するための構成について何ら記載されていない。
特許文献2には、船底部を覆う気泡の配分を無駄なく適切に行うことを目的として、複数の分室に供給する高圧気体供給量を制御する構成が記載されている。しかし、各吹き出し部を複数の区画に分けて、各吹き出し部への空気供給系統は、独立させるか、配管に制御弁を設けて、各吹き出し部に供給する空気の量を均一化する構成には、コスト面、信頼性の観点における問題がある。また、気吹き出し孔を非常に小さくして、圧損を稼ぎ均一化を図るという方法もあるが、空気の下向き吹き出し速度が過大になることや、空気供給側の圧力を増大させる必要があり、どちらも抵抗低減の効果を落とすことから、現実的では無い。
なお、特許文献3〜5に記載の構成は、船舶の横傾斜を原因とする抵抗低減の効果低下の問題を解決するものではない。
そこで、本発明は、ローリングにより船舶に横傾斜が生じる場合であっても、吹き出される空気量が不均一化することなく、船体摩擦の抵抗低減の効果が低下することを抑制することが可能な船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置は、船舶の周囲に気泡を噴出し摩擦抵抗を低減する摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、前記船舶の船底に複数設けた吹出口と、送気手段から送気される気体を受けて前記吹出口に供給するチャンバーとを備え、前記チャンバーと前記吹出口の間の隔壁に前記吹出口への気体供給孔を複数配置するとともに、複数の前記吹出口のうち、端部の前記吹出口への前記気体供給孔を前記船底の長手方向に配置したことを特徴とする。
この構成により、複数の吹出口のうちの端部すなわち船舶の幅方向において最も外側に位置する吹出口に対して気体を供給する気体供給孔を、船舶の前後中心線寄りに配置することができる。
【0006】
請求項2に記載の本発明の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置は、船舶の周囲に気泡を噴出し摩擦抵抗を低減する摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、前記船舶の船底に設けた複数の吹出口を有した吹出口ブロックと、送気手段から送気される気体を受け前記吹出口ブロックに供給するチャンバーとを備え、前記チャンバーと前記吹出口の間の隔壁に前記吹出口への気体供給孔を複数配置するとともに、複数の前記吹出口のうち、端部の前記吹出口への前記気体供給孔を前記船底の長手方向に配置したことを特徴とする。
この構成により、複数の吹出口のうちの端部すなわち吹出口ブロックにおける船舶の幅方向において最も外側に位置する吹出口に対して気体を供給する気体供給孔を、吹出口ブロックの前後中心線寄りに配置することができる。
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、複数の前記吹出口ブロックを前記船底に設け、複数の前記吹出口ブロックに対して送気される前記気体を独立して調節する送気制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
この構成により、送気される気体を吹出口ブロック毎に調節することができる。
【0007】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から請求項3のうちの1項に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、前記吹出口が、高さ方向に厚みを有し後方に向かうに従い前記厚みが漸減するリセス型であることを特徴とする。
この構成により、吹出口における厚みの部分(リセス部分)において、気体と水とを混合することができる。
請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、前記吹出口から前記船底の後方に向かって噴出される前記気泡の速度が前記船舶の船速の2倍以下であることを特徴とする。
この構成により、摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の抵抗低減効果を向上させることができる。
【0008】
請求項6に記載の本発明は、請求項1から請求項3のうちの1項に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、前記吹出口が板状構造を有し、気体噴出孔が下方に向かって空いた孔空型であることを特徴とする。
この構成により、吹出口を簡単な構成で実現することができる。
請求項7に記載の本発明は、請求項1から請求項3のうちの1項に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、前記吹出口あるいは前記吹出口ブロックが二重チャンバー構造であることを特徴とする。
請求項8に記載の本発明は、請求項7に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、前記吹出口から前記船底の下方に向かって噴出される前記気泡の速度を、前記船舶の船速と同等以下としたことを特徴とする。
この構成により、摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の抵抗低減効果を向上させることができる。
【0009】
請求項9に記載の本発明は、請求項5あるいは請求項8に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、噴出される前記気泡の前記速度を前記船速に応じて変えたことを特徴とする。
この構成により、船速が変化した場合であっても抵抗低減効果を良好に維持することができる。
請求項10に記載の本発明は、請求項1から請求項9のうちの1項に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、前記吹出口あるいは前記吹出口ブロックを船首部における前記船底の形状に沿って配置したことを特徴とする。
この構成により、船舶の進行により船底に沿って気体を含んだ層を形成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置によれば、端部の吹出口に対して気体を供給する気体供給孔を船舶の前後中心線寄りに配置することができる。これにより、両端の吹出口への気体供給孔の距離が小さくなるから、船舶のローリングによる横傾斜が生じた場合に生じる吹出口における水位差を小さくすることができる。したがって、空気吹き出し部における圧力差を抑制して、抵抗低減の効果の低下を抑制することが可能となる。また、吹出口に気体を供給するチャンバーにより、送気手段から送気された気体を一旦受け、複数配置された気体供給孔から均一に、特に横傾斜が生じた場合でも端部の吹出口に対して均一に噴射させることができる。
【0011】
本発明の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置によれば、各吹出口ブロックにおける端部の吹出口への気体供給孔を各吹出口ブロックの前後中心線寄りに配置することができる。これにより、各吹出口ブロックにおける両端の吹出口の距離が小さくなるから、船舶のローリングによる横傾斜が生じた場合に生じる各吹出口ブロックにおける吹出口の水位差を小さくすることができる。したがって、空気吹き出し部における圧力差を抑制して、抵抗低減の効果の低下を抑制することが可能となる。また、吹出口に気体を供給するチャンバーにより、送気手段から送気された気体を一旦受け、複数配置された気体供給孔から均一に、特に横傾斜が生じた場合でも端部の気体供給孔から均一に噴射させることができる。
また、複数の吹出口ブロックを船底に設け、複数の吹出口ブロックに対して送気される気体を独立して調節する送気制御手段をさらに備えた構成とすれば、送気制御手段によって送気される気体を複数の吹出口ブロック毎に制御することが可能となる。
【0012】
本発明の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置は、吹出口をリセス型とした構成とすれば、リセス部分において空気と水とを混合することができるから、船底に供給される気体の均一性を向上させることが可能となる。
また、吹出口をリセス型とした場合、吹出口から吹き出される気泡の速度を船舶の船速の2倍以下とすることにより、摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の抵抗低減効果を向上させることができる。
【0013】
本発明の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置は、吹出口を孔空型とすれば、簡単な構成により吹出口を実現することが可能となる。
また、吹出口あるいは吹出口ブロックを二重チャンバー構造とすれば、吹出口側のチャンバーにおいて空気と水とを混合することができるから、船底に供給される気体の均一性を向上させることができる。
また、二重チャンバー構造とした場合、吹出口から船底の下方に向かって噴出される気泡の速度を、船舶の船速と同等以下とすることにより、摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の抵抗低減効果を向上させることが可能となる。
【0014】
本発明の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置は、噴出される気泡の速度を船速に応じて変えた構成とすれば、船速が変化した場合であっても抵抗低減効果を良好に維持することができる。
また、本発明の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置は、吹出口あるいは吹出口ブロックを船首部における船底の形状に沿って配置した構成とすれば、船舶の進行により船底に沿って気体を含んだ層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態としての船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の模式図であり、(a)船底側から見た平面図、(b)船首側から見た断面図(船底が水平な状態)、(c)船首側から見た断面図(船底が横方向に傾いた状態)
【図2】図1の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の模式図であり、船側から見た断面図(船底が水平な状態)
【図3】図1の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置が配置された船底を船底側から見た状態を示す模式図
【図4】船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置が船首部における船底の形状に沿って配置された構成を甲板側から見た断面模式図
【図5】第1の実施形態としての船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の実験に用いたモデルの構造を示す模式図であり、(a)リセス型の吹出口に相当する構成を側面から見た断面図、(b)開口型の吹出口に相当する構成を側面から見た断面図
【図6】図5に示したモデルを用いて、供給する空気の量を変化させることにより、吹出速度を変化させた場合の抵抗低減効果を示すグラフ
【図7】第2の実施形態としての船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の模式図であり、(a)船底側から見た平面図、(b)船首側から見た断面図
【図8】第2の実施形態としての船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の実験に用いたモデルの構造を模式的に示す断面図
【図9】第2の実施形態としての船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の実験に用いた開口板の構造を示す平面図
【図10】図8、図9に示したモデルを用いて、供給する空気の量を変化させることにより、開口からの吹出速度を変化させた場合の抵抗低減効果を示すグラフ
【図11】第3の実施形態としての船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の模式図であり、(a)船底側から見た平面図、(b)船首側から見た断面図(船底が水平な状態)、(c)船首側から見た断面図(船底が横方向に傾いた状態)
【図12】第4の実施形態としての船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置を構成する吹出口ブロックの概略を示す模式図
【図13】第4の実施形態としての摩擦抵抗低減用気泡吹出装置を船底側から見た模式図
【図14】開発に当たり当初検討した船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の模式図であり、(a)船底側から見た平面図、(b)船首側から見た断面図(船底が水平な状態)、(c)船首側から見た断面図(船底が横方向に傾いた状態)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置により船底に形成される相当空気膜厚tは、模型船実験においては下記の式により求められる。
=Q/(B・U
(t:空気相当膜厚、Qa:空気流量、B:空気被覆幅(船体全幅)、U:模型船速度)
空気相当膜厚(t)が8mm前後となるまでは、空気相当膜厚の増加にほぼ比例して、船舶の抵抗低減率が増加する。しかし、空気相当膜厚が8mmを超えると抵抗低減効果が飽和し始める。そして、空気相当膜厚が12mm〜14mm程度を超えると、気泡流は気膜状になり、空気量を増加しても抵抗低減効果がほとんど向上しなくなる。そこで、空気潤滑法による抵抗低減効果を高めるためには、空気吹き出し部での空気膜厚が、大きくなりすぎないようにする必要がある。そのためには、船底に配置した各吹き出し部を船幅方向に広く取る必要がある。したがって、各吹き出し部は、実船においては船幅方向に数メートルの幅を持つことになる。
【0017】
図14は、開発に当たり当初検討した船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置の模式図であり、(a)は船底側から見た平面図を、(b)は船首側から見た断面図(船底が水平な状態)を、(c)は船首側から見た断面図(船底が横方向に傾いた状態)をそれぞれ示している。同図(a)に示すように、船底101において空気供給孔102を幅方向に広くとった場合、(b)に示すように、船に横方向の傾斜が無い場合は船底101が水平となるから、船幅方向における両端の空気供給孔102の間の水平距離Hが大きくても、空気供給孔102から船外の海水20に対して空気を均一に吹き出すことができる。
しかし、(c)に示すように、船舶が横方向に傾斜した場合、空気供給孔102の水面からの垂直方向の距離(以下、「水位」という。)に水位差Lが生じる。この水位差Lが大きくなると各空気供給孔102にかかる水圧差が大きくなり、空気供給孔102からの空気噴出量が不均一となることにより、船舶の摩擦抵抗低減効果が低下するという問題が生じる。なお、水平距離Hと水位差Lとの間には、船の横方向の傾斜が同じであれば、水平距離Hが大きくなるに従って水位差Lも大きくなるという関係がある。
【0018】
(第1の実施形態)
本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置は、吹出口を高さ方向に厚みを有し後方に向かうに従い厚みが漸減するリセス型としたものである。
図1は、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30の模式図であり、(a)は船底側から見た平面図を、(b)は船首側から見た断面図(船底が水平な状態)、(c)は船首側から見た断面図(船底が横方向に傾いた状態)をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30は、船舶の船底11に複数設けた吹出口32と、送気手段13(図示しないブロワーを含む)から送気される空気を受けて吹出口32に供給する第1チャンバー34を複数備えており、第1チャンバー34と吹出口32との間の隔壁36に、吹出口32への気体供給孔35を複数配置するとともに、複数の吹出口32のうちの船幅方向における端部の吹出口32への気体供給孔35を船底の長手方向(船舶の前後方向、図4(a)では図面の上下方向)に配置している。なお、チャンバーとは特定目的のために仕切られた空間のことをいい、本実施形態においては、送気手段から送気される空気を受けて吹出口に供給する目的のために設けられた空間を第1チャンバーという。
この構成により、図14に示す開発にあたり当初検討した船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置と吹出口の数を同じとしながら、船幅方向の両端の吹出口32に気体を供給する気体供給孔35の間の水平距離H1を小さくすることができる。これにより、(c)に示す横方向に傾いた状態において、船幅方向における両端の気体供給孔35の水位差L1を小さくすることができる。また、吹出口32の船幅方向における水平方向幅H2を広くとりながら、船幅方向両端の吹出口32に気体を供給する気体供給孔35の間の水平方向距離H1を小さくすることができる。これにより、横方向に傾いた状態における気体供給孔35の水位差L1を吹出口32の水位差L2よりも小さくすることができる。したがって、水位差L1に起因して気体供給孔35からの空気噴出量が不均一となることによって船舶の摩擦抵抗低減効果が低下するという問題を抑制することが可能となる。
【0019】
図2は、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30の模式図であり、船側から見た断面図(船底が水平な状態)を示している。同図では左側が船舶の船首方向、右側が船尾方向となっている。同図に示すように、船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30の吹出口32は、高さ方向(水深方向)に厚みを有し、後方(船尾方向)に向かうに従って、図中にXで示した厚みが漸減するリセス型である。このため、隔壁36は第1チャンバー34の内側に設けられている。また、吹出口32の気体供給孔35に対向する領域には、当該領域を覆うように被覆板31が設けられている。これにより、気体供給孔35から吹出口32に供給された空気は、吹出口32において海水と混合する際、被覆板31と隔壁36との間及び吹出口32の厚み部分において均一に拡散する。そして、空気は、吹出口32内で均一に拡散した後、吹出口32から船舶の船底11へと供給されることとなる。これにより、吹出口32から供給される空気の幅、すなわち船幅方向における両端の吹出口32の水平距離H2を大きくしたままで、船幅方向における両端の気体供給孔35の水平距離H1を小さくすることができる(図1参照)。したがって、船舶のローリングに起因する気体供給孔35からの空気噴出量の不均一により船舶の摩擦抵抗低減効果が低下するという問題を抑制することが可能となる。
【0020】
図3は、図1の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置が配置された船底を船底側から見た状態を示す模式図である。同図に示すように、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30は、紙面上方向の船首側に設けられている。このように、船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30を船首側に設けることで、吹出口32から吹き出された気泡を船底11に沿って船尾方向に流すことができるから、船舶の進行により船底11に沿って気体を含んだ層を形成することが可能となる。
図4は、船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置が船首部における船底の形状に沿って配置された構成を甲板側から見た断面模式図である。同図に示すように、吹出口32を船首部17における船底11の形状に沿って配置された構成とすることとしても良い。なお、図4に示すように、船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30の気体供給孔35には、送気手段13からの空気がじゃま板19を介して供給される構成となっている。この構成により、共通の送気手段13を用いて複数の気体供給孔35に対して、均一に空気を供給することができる。
また、吹出口32から吹き出す気体として、空気を用いる構成について説明したが、摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30による気体潤滑に用いられる気体は空気に限られるものではなく、例えば、排気ガスなどを利用することもできる。この点は後述する実施の形態についても同様である。
【0021】
上述したリセス型の吹出口32から船底11の後方に向かって噴出される気泡の速度として好ましい範囲を検討するため、下記の実験を行った。
図5は実験に用いたモデルの構造を示す模式図であり、(a)がリセス型の吹出口に相当する構成を側面から見た断面図を、(b)が開口型の吹出口に相当する構成を側面から見た断面図をそれぞれ示している。同図では、左側が船首方向、右側が船尾方向に相当する。
なお、実験上は(a)の方式を後方ジェット方式、(b)の方式を完全開口方式と称している。
図5においては、太線で表した矢印が空気の流れを示しており、(a)では41が被覆板31に相当し、45が気体供給孔35に相当し、42が吹出口32に相当する(図1、図2参照)。また、(b)では気体供給孔35に相当する45の出口側42が吹出口32に相当している。
なお、本実験では、(a)において吹出口32に相当する42の厚みXを2mm、被覆板31に相当する41の長さ(図5の左右方向)を130mmとし、船舶の速度を12kt(ノット)相当とした。
【0022】
図6は、図5に示したモデルを用いて、供給する空気の量を変化させることにより、吹出口に相当する42からの吹出速度を変化させた場合の抵抗低減効果を示すグラフである。図6のグラフは、縦軸が抵抗低減量(dR)を示しており、横軸が空気相当膜厚(t)を示している。
同図に示すように、上述した実験の結果、後方への空気吹き出し速度は、船速より遅い速度であれば後方ジェット方式(図5(a)参照)と完全開口方式(図5(b)参照)の差が無いこと、船の速度の2倍を超える速度になると後方ジェット方式(図5(a)参照)の抵抗低減効果が低下することが分かった。具体的には、吹き出し速度が船速の1.5倍から2.5倍となる速度において、完全開口方式(図5(b)参照)に対して、抵抗低減量が小さくなっている。このようにリセス型に対応するモデル(いわゆる後方ジェット方式、図5(a)参照)において抵抗低減量が小さくなる理由は、空気吹き出し速度が大きくなると空気吹き出し部の付近にできる空気膜の空気と水の界面に空気膜内の高速の空気流により造波が生じ、生じた波の頂部と船底面とが接触する位置により、抵抗低減量に変化をもたらしているものと推測される。なお、完全開口方式(図5(b)参照)は船速の4倍程度の範囲までは、理想的な抵抗低減量が得られることが別の実験で確認できている。
図6に示す実験結果より、リセス型の吹出口32を用いた場合、吹出口32から船底11の後方に向かって噴出される気泡の速度が船舶の船速の2倍以下となるように調整することにより、船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置30の抵抗低減効果を良好なものとすることができる。
また、船舶の航行においては、噴出される気泡の速度を船速に応じて変えることにより、船速が変化した場合であっても抵抗低減効果を良好に維持することができる。
なお、リセス型吹出口を採用する理由は、船のピッチングやスラミングの時に、孔空型吹出口に比較して、気泡の吹き出し速度に対する影響が少ないためである。
【0023】
(第2の実施形態)
本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置は、吹出口あるいは吹出口ブロックが、第1チャンバーに加えて更に第2チャンバーを備えた二重チャンバー構造を備えている点において、第1の実施形態とは異なっている。なお、本実施形態においては、水と気体とを均一に混合・分散する目的のために設けられた空間を第2チャンバーという。また、第1の実施形態において説明した部材と同一の部材には同じ符号を付し、本実施形態では説明を省略する。
【0024】
図7は、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置50の模式図であり、(a)は船底側から見た平面図を、(b)は船首側から見た断面図を示している。同図に示すように、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置50は、船舶の船底11に複数設けた吹出口52と、送気手段13(図示しないブロワーを含む)から送気される空気を受けて吹出口52に供給する第1チャンバー54を複数備えており、第1チャンバー54と吹出口52との間の隔壁56に、吹出口52への気体供給孔55を複数配置しており、また、吹出口52は、複数の開口57を備えており、開口57を備えた開口板58を海水20との間に備えている。この隔壁56と開口板58により、第2チャンバー59が構成される。
【0025】
図7(a)に示すように、複数の吹出口52のうちの端部の吹出口52へ気体を供給する気体供給孔55は、船底11の長手方向(船舶の前後方向、図7(a)では図面の上下方向)に配置している。また、開口板58の開口57は、船底11側から見たときに、気体供給孔55と重ならない位置に設けられている。これにより、気体供給孔55から供給された空気と開口57から侵入した海水とを、隔壁56と開口板58との間において、効率良く均一に混合することができる。
【0026】
図7に示すように、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置50の吹出口52は、第1チャンバー54に加えて、更に開口57を有する開口板58を備えた第2チャンバー59が設けられている二重チャンバー構造である。このため、気体供給孔55から供給された気体は、第2チャンバー59において、隔壁56と開口板58との間で海水と混合されて空気が均一に分散された後に、開口57から船舶の船底11へと供給されることとなる。この構成により、吹出口52の船幅方向における水平方向幅H2を広くとりながら、船幅方向両端の吹出口52に気体を供給する気体供給孔55の間の水平方向距離H1を小さくすることができる。これにより、横方向に傾いた状態における気体供給孔55の水位差L1(図1参照)を小さくすることができる。したがって、船舶のローリングに起因する気体供給孔55からの空気噴出量の不均一により船舶の摩擦抵抗低減効果が低下するという問題を抑制することが可能となる。
【0027】
本実施形態では、吹出口52に板状構造を有し下方に向かって開口57が空いている開口板58を設けることにより、吹出口52が孔空型の吹出口として構成されている。ただし、この構成に限定されるものではなく、吹出口52に網状体により構成されたメッシュ構造の開口板等を用いることにより、吹出口52を孔空型の吹出口以外の構成とすることも可能である。
【0028】
本実施形態の第1チャンバー54と第2チャンバー59とを備えた二重チャンバー構造の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置50の開口57から船底11の下方に噴出される気泡の好ましい速度を検討するために下記の実験を行った。
図8及び図9は、本実験に用いたモデルの構造を示す模式図であり、図8が断面図、図9が開口板58の構造を示す平面図である。図9に示す開口板58を図8に示す断面の点線で示した位置に装着して実験を行った。
本実験においては、縦(前後方向)12cm、横(左右方向)20cmの開口板58に、開口57として直径3cmの丸孔を図9に示すように横方向のピッチを4cm、縦方向の各列のピッチを4cm、かつ中央列の丸穴を上下列の丸穴とは2cmずらして開け、また、その個数を変更して気泡の下方への噴出速度を調整した。
なお、本実験では、船舶の速度を14kt(ノット)相当として行った。
【0029】
図10は、図8に示したモデルを用いて、図9に示した開口板58を用いることにより、開口57から船底11の下方に向かって噴出される気泡の速度を変化させた場合の抵抗低減効果を示すグラフである。図10に示したグラフは、縦軸が抵抗低減量(dR)を示しており、横軸が空気相当膜厚(t)を示している。
同図に示すように、下方への空気吹き出し速度を船速と同等とした場合では、開口板58を設けなかったもの(完全開口)と同等の抵抗低減効果を奏している。対して、船速の約2倍とした場合、及び船速の約4倍とした場合では、特に空気相当膜厚(t)が5を越えると抵抗低減効果が低下する。この実験結果より、開口型の吹出口52を用いた場合、吹出口52から船底11の下方に向かって噴出される気泡の速度が船舶の船速の2倍以下となるよう調整することにより、船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置50の抵抗低減効果を良好にできることが示されている。
また、船舶の航行においては、噴出される気泡の速度を船速に応じて変えることにより、船速が変化した場合であっても抵抗低減効果を良好に維持することができる。
【0030】
なお、本実施形態で完全開口方式としない理由は、複数の気体供給孔55を有した吹出口52を用いることにより圧力損失が適度に増し、船のローリングやピッチング時の気泡の噴出量の変動が少なくできるためである。またスラミング時に衝撃圧がチャンバー、空気配管構造に直接作用しないようにし、システムを破損から守るためである。
また、孔空型吹出口を採用する理由は、図6に示すように気泡の吹き出し速度の自由度が高い点と、異物が絡んだ時等において外からのメンテナンスがし易いためである。
【0031】
(第3の実施形態)
本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置は、吹出口がリセス型ではない点において、第1の実施形態と異なっている。なお、第1の実施形態として説明した部材と同一の部材には同じ符号を付し、本実施形態では説明を省略する。
【0032】
図11は、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置60の模式図であり、(a)は船底側から見た平面図を、(b)は船首側から見た断面図(船底が水平な状態)を、(c)は船首側から見た断面図(船底が横方向に傾いた状態)をそれぞれ示している。同図に示すように、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置60は、船舶の船底11に複数設けた吹出口62と、送気手段13(図示しないブロワーを含む)から送気される空気を受けて吹出口62に供給する第1チャンバー64を複数備えており、複数の吹出口62のうち端部の吹出口62の気体供給孔65を船底11の長手方向(船舶の前後方向、(a)では図面の上下方向)に配置している。
この構成により、図14に示した従来の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置と吹出口の数を同じとしながら、船幅方向の両端の吹出口62の気体供給孔65の間の水平距離Hを小さくすることができる。これにより、(c)に示す横方向に傾いた状態において、船幅方向における両端の気体供給孔65の水位差L1を小さくすることができる。したがって、水位差L1に起因して気体供給孔65からの空気噴出量が不均一となることによって船舶の摩擦抵抗低減効果が低下するという問題を抑制することが可能となる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、吹出口62には、気体供給孔65が設けられ、第1チャンバー64と吹出口62との間に隔壁66が形成されている。すなわち、吹出口62(表面)と隔壁66は一体的に構成され、この隔壁66により第1チャンバー64が海水20と仕切られている。
また、図11には、吹出口62が板状構造を有し気体供給孔65が下方に向かって空いた孔空型のものを示している。ただし、この構成に限定されるものではなく、吹出口62として網状体により構成されたメッシュ構造のもの等を用いることも可能である。
【0034】
(第4の実施形態)
本実施形態は、船舶の船底に設けた複数の吹出口を有した吹出口ブロックを備えたものとして船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置を実施する場合について説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態として説明したリセス型の吹出口を備えた吹出しブロックについて説明するが、他の構成の吹出口を備えた吹出しブロックを用いた場合も同様の効果を奏することができる。また、第1〜第3の実施形態として説明した部材と同一の部材には同じ符号を付して、本実施形態では説明を省略する。
【0035】
図12は、船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置を構成する吹出口ブロック70の構成の概略を示す模式図である。同図に示すように、吹出口ブロック70は、複数の吹出口32へ一つの第1チャンバー34からブロックとして送気手段73(図示しないブロワーを含む)により空気を送る構成のものである。そして、吹出口ブロック70の船幅方向における両端の吹出口32に対して気体を供給する気体供給孔35を、船底11(図13参照)の長手方向(図12では上下方向)に並ぶように配置している。この構成により、図12中に二点鎖線Cで示した吹出口ブロック70の前後中心線寄りに、気体供給孔35を配置することができる。したがって、吹出口32の船幅方向における水平方向幅H2を広くとりながら、船幅方向両端の吹出口32に気体を供給する気体供給孔35の間の水平方向距離H1を小さくすることができる。これにより、横方向に傾いた状態における気体供給孔35の水位差L1(図1参照)を小さくすることができる。したがって、船舶のローリングに起因する気体供給孔35からの空気噴出量の不均一により船舶の摩擦抵抗低減効果が低下するという問題を抑制することが可能となる。
【0036】
図13は、本実施形態の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置を船底側から見た模式図である。同図に示すように、本実施形態の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置80は、複数の吹出口ブロック70を船底11に設け、吹出口ブロック70に対して送気される気体を独立して調節する送気制御手段74をさらに備えた構成となっている。このように送気制御手段74により、気体供給源75から送気手段73を介して送付する気体を吹出口ブロック70毎に調節することが可能となる。
【0037】
送気制御手段74は、気体供給源75を共通とする場合には、例えばバルブやダンパーを用いて実現することができる。ただし、送気制御手段74はこれに限定されるものではなく、吹出口ブロック70毎に気体供給源75を設け、気体供給源75を制御することにより、各吹出口ブロック70へ送られる気体を制御しても良い。また、これらを組み合わせることにより送気制御手段74を構成することとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、空気等を用いた気体潤滑法による船舶の摩擦抵抗低減効果がローリングに起因して低下することを抑制するための装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
11 船底
13、63、73 送気手段
17 船首部
32、52、62 吹出口
34、54 64 第1チャンバー
35、55、65 気体供給孔
36、56、66 隔壁
30、50、60、80 船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置
59 第2チャンバー
70 吹出口ブロック
74 送気制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の周囲に気泡を噴出し摩擦抵抗を低減する摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、
前記船舶の船底に複数設けた吹出口と、送気手段から送気される気体を受けて前記吹出口に供給するチャンバーとを備え、前記チャンバーと前記吹出口の間の隔壁に前記吹出口への気体供給孔を複数配置するとともに、複数の前記吹出口のうち、端部の前記吹出口への前記気体供給孔を前記船底の長手方向に配置したことを特徴とする船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。
【請求項2】
船舶の周囲に気泡を噴出し摩擦抵抗を低減する摩擦抵抗低減用気泡吹出装置において、
前記船舶の船底に設けた複数の吹出口を有した吹出口ブロックと、送気手段から送気される気体を受け前記吹出口ブロックに供給するチャンバーとを備え、前記チャンバーと前記吹出口の間の隔壁に前記吹出口への気体供給孔を複数配置するとともに、複数の前記吹出口のうち、端部の前記吹出口への前記気体供給孔を前記船底の長手方向に配置したことを特徴とする船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。
【請求項3】
複数の前記吹出口ブロックを前記船底に設け、複数の前記吹出口ブロックに対して送気される前記気体を独立して調節する送気制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。
【請求項4】
前記吹出口が、高さ方向に厚みを有し後方に向かうに従い前記厚みが漸減するリセス型であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。
【請求項5】
前記吹出口から前記船底の後方に向かって噴出される前記気泡の速度が前記船舶の船速の2倍以下であることを特徴とする請求項4に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。
【請求項6】
前記吹出口が板状構造を有し、気体噴出孔が下方に向かって空いた孔空型であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。
【請求項7】
前記吹出口あるいは前記吹出口ブロックが二重チャンバー構造であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。
【請求項8】
前記吹出口から前記船底の下方に向かって噴出される前記気泡の速度を、前記船舶の船速と同等以下としたことを特徴とする請求項7に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。
【請求項9】
噴出される前記気泡の前記速度を前記船速に応じて変えたことを特徴とする請求項5あるいは請求項8に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。
【請求項10】
前記吹出口あるいは前記吹出口ブロックを船首部における前記船底の形状に沿って配置したことを特徴とする請求項1から請求項9のうちの1項に記載の船舶の摩擦抵抗低減用気泡吹出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−166704(P2012−166704A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29651(P2011−29651)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(501204525)独立行政法人海上技術安全研究所 (185)
【出願人】(502422351)株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド (159)
【出願人】(593172223)今治造船株式会社 (15)
【出願人】(592250540)株式会社大島造船所 (32)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(503218067)住友重機械マリンエンジニアリング株式会社 (55)
【出願人】(591083118)ツネイシホールディングス株式会社 (18)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【出願人】(304035975)株式会社MTI (46)
【出願人】(000232818)日本郵船株式会社 (61)