説明

船舶用バラスト水の処理装置

【課題】船舶から排出される、あるいは船舶に積み込まれるバラスト水から効率的に微生物を死滅、不活性化することが可能で、船舶に搭載可能な船舶用バラスト水の処理装置を提供する。
【解決手段】軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられたフィルタと、該フィルタの外周面に向けて被処理水を流出する被処理水ノズルと、フィルタを囲むように設けられ被処理水ノズルのノズル口を内部に備えた外筒部を有するケースと、フィルタを透過した濾過水をフィルタの円筒内部からケースの外部へ導出する濾過水流路と、フィルタで濾過されなかった排出水をケースの外部へ排出する排出流路とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルタンカー等の船舶に航行時の安定のために貯留されるバラスト水の処理システムに関するものであり、特に船上に搭載され海水からの微生物除去に用いられる船舶用バラスト水の処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、船舶に積載するバラスト水の処理が問題となっている。バラスト水は空荷状態でも安全に航行するために船舶に積載される海水であり、バラスト水は出港時に付近の海域から取水し、入港時の積荷の積載時に海洋へ排水される。即ち、出港地の海水からなるバラスト水が入港地(積荷港)で排水され、例えば、日本から出港したオイルタンカーがオイル産油国のクエート等の中近東へ航行してオイルを搭載する場合、日本海域の海水がバラスト水として積載され、中近東の海域で洋上に排水されることとなる。このようにバラスト水が取水した海域と異なる海域に排水されると、海水中の生物が本来の生息地でない海域に移動させられることとなり、海洋の生態系に大きな影響を及ぼすこととなる。
【0003】
このため、バラスト水を浄化処理して微生物を除去あるいは死滅、不活性化する方法が種々検討されている。たとえば特許文献1には海水を加熱して水中生物を殺菌する方法が記載され、特許文献2には蒸気を用いる方法や紫外線照射による方法が開示され、その他、電圧印加や衝撃波などの電気的方法や、次亜塩素酸ソーダなどの薬剤を投入する方法等が提案されている。また、前記死滅処理の前段として、あるいは比較的大きな微生物の除去の目的で濾過を用いる方法も検討されており、たとえば特許文献3には濾過膜を用いたバラスト水の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3660984号公報
【特許文献2】特許第4261955号公報
【特許文献3】特開2006−728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のバラスト水処理はそれぞれに短所を有している。たとえば、加熱による方法では加熱のためのエネルギー確保が課題であり、また微生物の完全な死滅が難しい。電気的手段によるものでは、やはり微生物の完全な死滅が困難であり、多くの電力を要する。薬剤を用いる方法は、高濃度の薬剤を必要とし、その排水の中和等が課題となる。紫外線ランプを用いる方法は比較的有効に用いられるが、微生物の完全な死滅のために多数のランプを必要とし、設置コストの問題がある。濾過膜による方法は、非常に孔径の小さな膜が必要であり、濾過には時間がかかることや目詰まり除去のための洗浄が必要なことから、大量の海水を処理することは実用的ではない。
【0006】
このようにバラスト水処理の手法は種々検討されているものの、決定的なものは未だ無く、さらなる機能向上が求められているところである。本発明の目的は、船舶から排出される、あるいは船舶に積み込まれるバラスト水から効率的に濁質や微生物を死滅、不活性化することが可能で、船舶に搭載可能な船舶用バラスト水の処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、船上に設置でき効率的にバラスト水の浄化処理が行える手段を鋭意検討の結果本願発明に至った。
【0008】
本願の1の発明は、軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられたフィルタと、該フィルタの外周面に向けて被処理水を流出する被処理水ノズルと、前記フィルタを囲むように設けられ前記被処理水ノズルのノズル口を内部に備えた外筒部を有するケースと、前記フィルタを透過した濾過水を前記フィルタの円筒内部から前記ケースの外部へ導出する濾過水流路と、前記フィルタで濾過されなかった排出水を前記ケースの外部へ排出する排出流路とを備えた船舶用バラスト水の処理装置である(請求項1)。
【0009】
かかる構成とすれば、円筒配置されたフィルタの外部から被処理水をフィルタ外周面に向けて噴出することでフィルタが回転しつつ連続的にフィルタ面を移動しながら濾過が行われる。これにより、フィルタの目詰まりを除去しつつ濾過を行い続けることが可能となり、同じ膜面積の平板状フィルタに比較して効率良く異物除去を行うことができる。ここで、フィルタ外周面には濾過によって濁質成分が付着、蓄積されるため、その洗浄が必要となる。本発明のフィルタは外周面に被処理水を噴出しながら回転することで、噴出と回転の効果によって濾過と洗浄が並行して行われるため、従来のフィルタに比べて目詰まりが起きにくい。被処理水はフィルタ面に垂直方向に噴出するほど濾過圧力が増大して好ましいが、一方で垂直からずれた方向であることで回転の推進力を得ることが可能となる。
【0010】
本発明において、処理の対象となる海水は特に制限されないが、一般的に船舶が停泊する港湾域の海水には、微生物や濁質が含まれており、濁度が1〜100度程度である。問題とされる海水中の微生物として大腸菌、コレラ菌、腸球菌、ミジンコやヒトデ、アジア昆布等の幼生等が挙げられ、これらの微生物の大きさはほとんどが0.3から数μmである。ここでのフィルタは、海水中からの濁質除去と共に微生物の除去を目的とするものである。フィルタとしては不織布やポリエステル製などの比較的丈夫なフィルタを用いることができる。除去対象である濁質にはシリカ等の無機質成分などが含まれており、その大きさは様々である。バラスト水としては10μm以上の微生物や濁質を除去することが求められており、これらを効果的に除去できるフィルタであれば材質は特に制限されない。また、膜厚は厚くなるほど濾過流量の低下を招き、薄いと破れやすくなることから、材質にもよるが0.1mm以上1mm以下が好ましい。
【0011】
被処理水ノズルのノズル口は、フィルタの軸線方向を長辺方向とする長形開口であることが好ましい(請求項2)。フィルタの軸線方向全体に亘って被処理水を流出することが可能となる。これによりフィルタ全体を有効に活用することができ、かつ全体の洗浄も効率的に行われる。そのため長形開口の長辺長さがフィルタの軸線方向長さと略等しいとよい(請求項3)。フィルタ全面に有効に作用するためである。よって正確に長さが一致する必要はなく、流出した被処理水がフィルタ全面に到達する範囲で構成されていればよい。ここで、長形開口とは長辺と短辺を有する永細い開口を意味する。代表的には略長方形の矩形開口であり、短径側が円弧をなすトラック様の形状や楕円形状なども含まれる。
【0012】
さらに、外筒部内壁から円筒軸線方向に延設された方向変換板を設けてもよい(請求項4)。かかる方向変換板は、外筒内部においてフィルタ外周をフィルタ面に沿って円周方向に流れる被処理水を堰き止め、円周方向の流れからフィルタの円筒面に略垂直な方向(円筒の半径方向)に流れを変換する。円筒面略垂直に方向が変換され、フィルタ面に圧力が加わる方向の水流は、フィルタ面に付着した濁質などを除去する作用をもち、フィルタの目詰まりをより効果的に抑制することができる。なお、ノズル口が長形開口の場合、特に矩形開口の場合にはノズル自体が方向変換版の機能を備えることができ、効果的である。
【0013】
さらに、フィルタの外周面に向けて洗浄水を流出する洗浄水ノズルを設け、該洗浄水ノズルのノズル口を外筒部内部に設けると良い。洗浄水ノズルも長形開口を有するノズルであることが好ましい(請求項10)。被処理水とは別の洗浄水専用のノズルを設けることで、ノズルの角度や本数などの条件を最適化することも可能となり、また洗浄と濾過がさらに効果的に同時進行することで濾過の効率が向上する。
【0014】
本装置において、フィルタで濾過されなかった排出水は、排出流路を経て常時連続的に外部に排出される。一般的な濾過装置においては、被処理水の供給と処理された濾過水の導出は連続的に運転される場合であっても、濾過されなかった被処理水を連続的に排出することはせず、一定期間運転した後にフィルタを取り出して目詰まりを除去するなどのメンテナンスを行うものが多い。本装置では大量のバラスト水を連続的に処理する必要があるため、排出も連続的に行うことで処理効率の向上が達成できる。
【0015】
ここで、前記フィルタは円筒半径方向に折り曲げられたプリーツ形状を有するプリーツフィルタであることが好ましい(請求項5)。
【0016】
プリーツ形状とは、円筒状に配置されたフィルタ面に多数の折り目をつけて山と谷が繰り返す形状としたものをいう。プリーツ形状とすることにより、膜の面積を有効に増やすことが可能となり、特に設置場所の制約が大きい船上で用いる装置では装置全体の設置面積縮小のために好ましい。プリーツ形状のプリーツ深さとプリーツ数は、面積増大のためには大きい程好ましいが、目詰まりの程度と洗浄の容易さに影響を与え、直径100〜800mm程度の円筒フィルタにおいては、プリーツ深さは30mm以上150mm以下が好ましく、さらに50mm以上がより好ましい、プリーツ数は100以上500以下が好ましい。プリーツ深さと数は多いほど面積が増加して好ましいが、プリーツが深くなると洗浄が難しくなり好ましくない。
【0017】
フィルタがプリーツ形状でノズル口が長形開口の場合、開口の短辺長さがプリーツフィルタのプリーツ間隔の3倍未満であることが好ましい(請求項6)。プリーツ間隔とは円筒外側に向かう山部の隣接する頂点の間隔長さをいい、各頂点間隔の平均値である。すなわち、プリーツが等間隔で製造されている場合において山部の円周長を山の数で割った値となる。ノズルの開口の幅がプリーツ間隔の3倍になると、水流によるフィルタの洗浄効果が十分に得られないことを確認した。また、好ましくは開口の短辺長さはプリーツ間隔の1/2以上である。1/2未満まで細めると、相対的に被処理水の供給圧力が大きくなり、または同一圧力では供給水量が少なくなり、結果として大きなポンプを使用しなければならない、消費電力が増える等の不利益が生じるからである。さらに好ましくはプリーツ開口未満の場合よりもプリーツ開口以上の場合の方が、フィルタの洗浄効果が高い。特に長形開口の場合には効果的である。
【0018】
さらに、前記フィルタの回転は被処理水ノズルから流出される被処理水の圧力によって回転するように構成しても良いし (請求項7)、回転のための電動モータをさらに設けても良い(請求項8)。
【0019】
被処理ノズルのノズル口をフィルタ円筒の半径方向と一致しないように角度をつけるように設け、被処理水をフィルタ面に噴出することによって、フィルタを回転させることができる。フィルタを回転させるための動力機構を別途設けることなく、常に新しい面に被処理水を供給できる。この場合、フィルタ面には水圧を受けやすい構造として凹凸を設けることが好ましく、プリーツ形状のフィルタであれば特に好ましく用いることができる。一方、回転のための電動モータを設けると、回転のための機構が必要となるものの、より強い回転を任意に与えることが可能となり、濾過効率の向上が期待できる。これらの両者を併用するとさらに効果的である。
【0020】
また、処理流量の確保のため、回転数は20rpm以上150rpm以下が好ましい(請求項9)。20rpm未満では5ton/時間の処理を得ることが困難であり、一方で150rpmを超えると、回転の遠心力の影響に対抗して濾過するために被処理水を過大に大きな圧力で加える必要が生じる。たとえば20ton/時間の処理量を得るために、より好ましくは30rpm以上80rpm以下である
【0021】
以上の構成において、濾過されなかった排出水の一部を被処理水として利用可能となる位置に戻すための流路を形成する戻し流路を備えることもできる(請求項11)。排出水を再度被処理水として利用すること自体は、クロスフローとも呼ばれる技術である。これを本発明の装置に適用することで、全体の処理効率を向上させることができる。
【0022】
また、本願の他の発明は、上記の構成に加えて、濾過水に紫外線を照射する紫外線ランプを濾過水の流路途中に備えた船舶用バラスト水の処理装置である(請求項12)。特にケース内に紫外線ランプを備えると好ましい。
【0023】
本発明の処理装置は、フィルタの濾過によって被処理水中の全ての微生物を除去することが目的ではない。よって、濾過後の処理水には微生物が含まれる。微生物の死滅化の手段を別途設ける事が好ましく、既知の手法を適用することが可能である。しかし、船上における装置設置面積には制約があり、極力小さい面積で装置を構成することが求められている。そこで、本発明では微生物死滅化手段として紫外線照射を併設することが良い。さらに、紫外線照射用の紫外線ランプを濾過用の装置と一体化してケース内に設けることで設置面積の極小化を可能にでき、船上に設置する装置としては特に好ましい。
【0024】
ここで、用いる紫外線ランプは従来殺菌用に用いられるものを利用可能である。従来のバラスト水処理においては主に直管タイプのランプが用いられ、被処理水流路に直行した円筒状のチャンバーに処理水とランプが交差するように固定されている。本発明においても従来のチャンバー形態を適用可能であるが、チャンバーを配管の長手方向に角柱形状とすることが好ましい。当該形状によって、紫外線ランプの端部まで被処理水の流れの中に配置することが可能となり、紫外線の利用効率を上げることができる。また、チャンバーが配管と交錯しないため、チャンバー底部での流れの滞留が起こらず、固形物の堆積の問題が無くなる点でも好ましい。
【0025】
本願のまた他の発明は、軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられたフィルタと、該フィルタの外周面に向けて被処理水を流出する被処理水ノズルとを有する濾過処理ユニットを複数備え、前記複数の濾過処理ユニットが、前記軸線を同軸として縦型に配置され、各濾過処理ユニットの前記フィルタ内部から濾過水を導出する共通の濾過水流路が設けられている、船舶用バラスト水の処理装置である(請求項13)。
【0026】
前述の通り、船上への装置の設置には設置面積の制約が大きく、一般に地上におかれる水処理設備に対して設置面積の極小化が求められる。本発明の縦型配置によって設置面積あたりの処理能力は飛躍的に向上する。配管構成の容易さを考えると、濾過処理ユニットを縦に2段配置して、双方からの濾過水流路を共通の軸線上に設けることで、従来に比べて同一設置面積あたり2倍の処理能力を得ることができる。その他、濾過処理装置の構成に好ましく適用される前述の各構成要素は、複数の濾過処理ユニットにもそれぞれ適用されることが好ましい。
【0027】
前記濾過水流路には濾過水に紫外線を照射する紫外線ランプを備えることが好ましい。また、前記複数の濾過処理ユニットの前記フィルタに共通の回転軸と、該回転軸を回転させるための電動モータを備えると、なお好ましい(請求項14)。複数段構成の場合においても微生物死滅化を行う必要があり、紫外線ランプを1段の場合と同様に設けることができる。また、フィルタの回転は被処理水の噴出によって動力機構を用いずに行うこともできるが、複数段構成において共通の軸に電動モータを置くことで、回転のためのエネルギー効率や設置効率を上げることができ、1段の場合に比べて電動モータをおく効果が高い。
【0028】
前記の電動モータを備えた濾過処理措置においては、前記被処理水の濁度を検出する濁度検出部を備え、該濁度検出部の出力に応じて前記電動モータの回転数を変化させるように構成されていると良い(請求項15)。
【0029】
電動モータを用いる一つのメリットとして、回転数を可変にできることがあげられる。当該メリットを有効に活用すべく、被処理水の濁度検出と組み合わせると良い。被処理水の濁度が上昇した場合は、より濾過効果を上げるために回転数を上げることができ、その逆も可能となる。
【0030】
また、前期濾過水の流量を検出する濾過水流量検出部を備え、該濾過水流量検出部の出力に応じて前記電動モータの回転数を変化させるように構成されていると良い(請求項16)
【0031】
濾過水の濾過水量検出と組み合わせると、濾過水量が下がった(すなわち、フィルタが目詰まりして濾過量が減っている)場合に、回転数を上げることで、洗浄効果を高め、目詰まりを低減させることができる。
【0032】
また、前期濾過水の圧力を検出する濾過水圧力検出部を備え、該濾過水圧力検出部の出力に応じて前記電動モータの回転数を変化させるように構成されていると良い(請求項17)。
【0033】
検出する濾過水の圧力は、絶対圧でも良いが、被処理水の導入圧力と濾過水側の圧力の差圧で検出すると良い。いずれにしても濾過水側の圧力が下がった(すなわち、フィルタが目詰まりして濾過量が減っている)場合に、回転数を上げることで、洗浄効果を高め、目詰まりを低減させることができる。これらの検出と回転数制御は、それぞれ単独で使用できるが、もちろん複数を組み合わせても良い。
【0034】
本発明は、さらに以上の装置を用いて船舶用バラスト水を処理する処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0035】
以上の発明によれば、船舶から排出される、あるいは船舶に積み込まれるバラスト水に対して効率的に濁質や微生物を死滅、不活性化することが可能で、船舶に搭載可能な船舶用バラスト水の処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による船舶用バラスト水の処理装置の一例を示す図であり、(a)は軸線を含む垂直断面の構成、(b)は水平断面の構成をそれぞれ模式的に示す図である。
【図2】本発明による船舶用バラスト水の処理装置の別な例を示す図である。
【図3】本発明による船舶用バラスト水の処理装置の別な例を示すものとして、電動モータを備えた構成を説明する図である。
【図4】本発明による船舶用バラスト水の処理装置の別な例を示す図であり、内部に紫外線照射部を備えた構成を示す図である。
【図5】紫外線照射部の構造例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図6】紫外線照射部の別な構造例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図7】本発明による船舶用バラスト水の処理装置の別な例として、複数の濾過処理ユニットを備えた構成を説明する図である。
【図8】本発明による船舶用バラスト水の処理装置としてノズル口が長形開口の構成例を示す図であり、軸線を含む垂直断面の構成を模式的に示す図である。
【図9】図8のA−A水平断面の構成を模式的に示す図である。
【図10】ノズル口が長形開口の構成例として矩形開口の構造例を示す図である。
【図11】プリーツフィルタと開口の関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明にかかる船舶用バラスト水の処理装置の構成を図面を参照して説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0038】
図1は、本発明による船舶用バラスト水の処理装置の一例を示す図であり、(a)は軸線を含む垂直断面の構成、(b)は(a)における水平A−A断面の構成をそれぞれ模式的に示す図である。円筒形状のフィルタ1は回転中心となる軸線を囲むように配置されており、中心に配置された中心配管(配管は回転しない)の周囲を回転自在に取り付けられている。図1ではフィルタ1として円筒の半径方向に山谷を繰り返すように折り目が付けられたプリーツフィルタを示している。フィルタの上下面は水密に塞がれている。回転自在な取り付け構造は、同じく水密構造とする必要があるが、特に限定されることなく既知の構造が用いられる。フィルタ全体を覆うようにケース3が設けられる。ケース3は外筒部31、蓋部32、底部33で構成され、底部33には排出流路8が設けられる。ケース3内に被処理水としての海水を導入するため被処理水流路6と被処理水ノズル2が設けられる。被処理水ノズル2は、そのノズル口21をケース3の外筒部31内に備えるように被処理水流路6から延設され、被処理水がフィルタの外周面に向かって流出するように構成されている。
【0039】
本例の場合、被処理水ノズルから噴出した被処理水はプリーツフィルタのプリーツ外周面に当たり、その圧力によってプリーツフィルタは回転するように構成されている。被処理水の一部はそのままフィルタによって濾過され、濾過水がフィルタの円筒内部に透過するが、他の部分はケース内をフィルタの回転と同方向に流れることとなる。ケース内を一周した被処理水はノズル近傍に設けられた方向変換板5によって流れが堰き止められ、フィルタ方向に圧力を生じるように流れの向きが変えられる。これにより、フィルタ面には面にほぼ垂直の一定の圧力で水流が加わる状態となり、かかる力によってフィルタの洗浄効果が得られる。被処理水ノズルからの水流によってもフィルタ面は洗浄されつつ濾過されるが、その場合にはノズル口付近の洗浄効果が大きく得られる一方でノズルから遠い部分には水流が当たりにくい。方向変換板を設けることで円周方向に周回してきた流れ全体がフィルタ面に当たるため、フィルタ全体の洗浄効果が増すため、処理装置全体としての濾過効率が一層向上する。なお、図ではケース内の構造をわかりやすくするために空間を広く描いているが、実際には無駄な空間は極力少なく構成されることは言うまでも無い。濾過されない被処理水および、ケース内に沈殿した濁質分は、ケース底部の排出流路から順次排出される。このように濁質分や残った被処理水が連続的に常に排出されつつ濾過が進行される点もこの装置の特徴であり、バラスト水に求められる10〜20ton/時間やそれ以上の処理量を確保するために効果がある。なお、図では排出流炉にバルブなどを記載していないが、保守用や流量調節用に必要な機器を設けることはできる。一方、フィルタ1により濾過された濾過水はフィルタ内部にて中心配管4に設けられた取水穴41を通して濾過水流路7に導かれ、ケース外部に流出される。
【0040】
以上の動作において、フィルタ1の外周面には濁質が付着し、長期間の運転のためにはフィルタの交換や洗浄が必要となる。本発明の構成においては、被処理水ノズルから噴出した被処理水の圧力および、回転による水流によってフィルタ外周面には常に水流が生じ、付着した濁質分が除去されやすい。すなわち一定の洗浄効果をも併せ持つ効果がある。さらに、洗浄用のノズルを別に設けると効果的である。図2はその構成例を説明するものであり、図1での(b)と同様の断面構成を示す図である。被処理水ノズル2とは別に洗浄用ノズル9を、ケース3の外筒部を貫通するように設け、ノズル口91をフィルタ面に向けて取り付けている。洗浄用ノズルからは被処理水とは異なる洗浄水、すなわち濁質を極力含まない水を勢い良くフィルタ外周面に噴出することが好ましく、フィルタに垂直(フィルタ円筒の半径方向)に向けて噴出すればよい。また洗浄水によってもフィルタが回転するようにしても効果的であり、その場合はノズル口を斜めに設ければよい。
【0041】
図3は本発明による船舶用バラスト水の処理装置の別な例を示すものとして、電動モータを備えた構成を説明する図である。図1ではフィルタ1の回転は被処理水の水流によっていたが、図3はフィルタ中心軸に電動モータ100の軸101を連結し、強制的に回転させる構成としている。水流による回転に比較して駆動のための別なエネルギーを必要とするが、回転速度を任意に設定、変更できる点でメリットがある。電動モータ100はモータカバー102で覆われて収納され、駆動制御部103からの電力により駆動される。
【0042】
電動モータの回転数は一定でも良いし、人為的に任意に定めることも可能であるが、濾過の状態に応じて制御するとより好ましい。図3では、濾過水の状態を検出する濾過水検出部110を、濾過水の濾過水流路7に設け、検出した情報を駆動制御部103に伝送する構成としている。駆動制御部103は濾過水検出部110からの情報に応じて回転数を変化させるように制御を行う。濾過水検出部としては、具体的には、濾過水流量検出部、濾過水圧力検出部が考えられる。また、濾過水ではなく被処理水の濁度を検出する濁度検出部を被処理水側の被処理水流路6に設けてもよい。これらを単独で使用してもよいし、複数を併設しても良い。濁度検出部は濾過水中に含まれる濁質の量を検出するものであり、光透過型の濁度センサなどを用いることができる。濾過水流量検出部は既知の流量計が利用できる。濾過水圧力検出部は既知の圧力センサが利用できる。いずれの場合も電気信号として検出した状態、数値を出力するものが好ましく、かかる電気信号出力を電動モータの駆動制御部に入力することで自動制御を行う。
【0043】
濁度検出部の場合は、濁度が高い場合にはフィルタの回転数を上げることで、濾過量を多くすることができる。濾過水流量検出部の場合は、流量が下がった(すなわち、フィルタが目詰まりして濾過量が減っている)場合に、回転数を上げることで、洗浄効果を高め、目詰まりを低減させることができる。また濾過水圧力検出部の場合は、濾過水側の圧力が下がった(すなわち、フィルタが目詰まりして濾過量が減っている)場合に、回転数を上げることで、洗浄効果を高め、目詰まりを低減させることができる。
【0044】
図4は、上記の処理装置に、紫外線照射部を内臓する構成を示したものである。ケース3の内部に紫外線照射部200を設け、中心配管4で集めた濾過水に紫外線ランプによる紫外線を照射して濾過水流路7に排出することが特徴である。従来は、濾過とは別個に水中の微生物の死滅化のための設備を濾過水流路の先に別途設けていたが、船上での設置床面積の確保が困難な場合が多かった。本構成によれば、設置床面積の増大を伴わずに紫外線ランプによる微生物の死滅化を濾過と同時に行うことが可能である。
【0045】
図5およびに紫外線照射部の構成を示す。いずれも(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図を示す。図5は従来、濾過とは別個に用いられていた構成の紫外線照射部と同様の構成である。フランジ230はその上下配管との接続用のフランジである。上下フランジに挟まれた配管部には横型円筒型の紫外線照射チャンバー220が設けられ、内部に紫外線ランプ210が複数本内臓されている。かかる構成は製造が比較的容易であるが、紫外線ランプの両端部近傍は濾過水の流れから外れた部分におかれるため、紫外線の利用効率が劣る。
【0046】
そこで、改良された構造が図6の紫外線照射部である。図6の構造では、図5と同じくフランジ230を配管連結部として配管には紫外線照射チャンバー220が設けられるが、当該チャンバーの構造に特徴がある。チャンバー220は対向する少なくとも2面が平面であり、当該平面に紫外線ランプ210の端部が設けられる構造である。さらに配管からチャンバーの紫外線取り付け部分に向かってテーパ状に拡径された形状を有する。図6では紫外線ランプ取り付け部分が角柱であり、テーパ状に配管に接続されている。このような構造とすることで、配管上部から流入した水はチャンバー全体に拡がって下部へ流れるため、紫外線ランプの端部まで安定して流れが生じ、紫外線が有効に利用できる。また、チャンバー下部もテーパ状に配管につながっているため、チャンバー下部に濁質等が堆積することが無く、メンテナンスも容易である。このような紫外線照射チャンバーの新たな構造は、本発明の構成として処理装置に一体化されケース内に収納される場合のみならず、従来のように別個独立に用いられるバラスト水用の紫外線照射部として独立して用いることが可能である。
【0047】
次に本発明の別な構成例を図7を用いて説明する。図7は、図1等で説明した処理装置のケース3とフィルタ1等で構成される部分(濾過処理ユニットと呼ぶ)が2段縦配置され連結された構成を示している。上部の濾過処理ユニット10aと下部の濾過処理ユニット10bは中心配管4を共通にして上下配置されている。ここでは説明のため固定部材等の図示はせず、構成を模式的に示している。それぞれの濾過処理ユニットの構成は前述の種々の構成が適用できる。中心配管が共通であることから、それぞれの濾過水はそれぞれの取水穴41によって中心配管内に集められ、濾過水流路7を通じて外部に導出される。この例では、被処理水流路6および排出流路8はそれぞれ別個に設けられているが、共通にすることもできる。また濾過水流路を共用することで配管を効率良く配置できるが、必ずしも共用する必要はなく種々の形態が可能である。
【0048】
以下、ノズル口を長形開口とした構成例を説明すると共に実施例としての数値構成を示すが、数値はこれらに限定されるものではない。図8は、本発明による船舶用バラスト水の処理装置としてノズル口が長形開口の構成例を示す図であり、軸線を含む垂直断面の構成を模式的に示す図、図9は、図8のA−A水平断面の構成を模式的に示す図である。基本的な構成は図1あるいは図3と同様である。円筒形状のフィルタ1は回転中心となる軸線を囲むように配置されており、中心に配置された中心配管(配管は回転しない)の周囲を回転自在に取り付けられている。フィルタ1として円筒の半径方向に山谷を繰り返すように折り目が付けられたプリーツフィルタを示している。プリーツフィルタの外径は334mm、軸方向長さ200mm、プリーツ深さは75mmである。フィルタの上下面は水密に塞がれている。回転自在な取り付け構造は、同じく水密構造とする必要があるが、特に限定されることなく既知の構造が用いられる。フィルタ全体を覆うようにケース3が設けられる。ケース3は外筒部31、蓋部32、底部33で構成され、底部33には排出流路8が設けられる。外筒部外径は406mmφとした。ケース3内に被処理水としての海水を導入するため被処理水流路6と被処理水ノズル2が設けられる。被処理水ノズルは、そのノズル口21をケース3の外筒部31内に備えるように被処理水流路6から延設され、被処理水がフィルタの外周面に向かって流出するように構成されている。
【0049】
ここで、図8の被処理水ノズル2はノズル口21が図10に示されるような矩形開口である。すなわち、開口部が短辺長さがa、長辺長さがbの略長方形を成している。ここで、開口部と被処理水流路との接続形態は図8のように複数の配管であっても図10のような直接接続であってもよく限定されない。長辺長さは特に限定されないが、プリーツフィルタ全体に被処理水を効果的に供給するために、プリーツフィルタの軸方向長さと略等しい(±10%以内)かそれ以上であることが好ましい。本例では等しい場合を描いている。また、短辺長さについて図11を参照して説明する。図11はプリーツフィルタとそれに対向して設けられたノズルの開口部の一部を切り出して模式的に示した図である。短辺長さはプリーツフィルタの山谷との関係において、山部の間隔pの3倍以下(p<3a)とすることが好ましく、より好ましくは2倍以下、さらに好ましくはp<aとする方がプリーツフィルタの洗浄効果がより高まる。今回、プリーツ間隔p=5mmのフィルタに対して、被処理水ノズル開口の短辺長さaを変えて洗浄効果を確認したところ、a=15mmでは洗浄が不十分であり、a=8mmでは非常に効果的に洗浄されており、a=3mmでは実用範囲で効果的な洗浄が得られるものの8mmの場合よりは劣る結果であった。以上を考慮して今回の設計はa=8.3mm、b=200mmとし、p=5mmとした。なお、開口が矩形ではなく、丸みを帯びた角部を有したり、全体が楕円のような形状の場合には、長辺長さはフィルタ軸方向の最大長さとし、短辺長さは長辺に直角な方向の開口部最大幅とする。
【0050】
本例の場合、プリーツフィルタにはフィルタ中心軸に電動モータ100の軸101が連結され、回転させられる構成としている。これにより回転速度を任意に設定、変更できる。今回は回転数50rpmで運転した。電動モータ100はモータカバー102で覆われて収納され、駆動制御部103からの電力により駆動される。被処理水の一部はフィルタによって濾過され、他の部分はケース内をフィルタの回転と同方向に流れることとなる。ケース内を一周した被処理水は前述の方向変換板としても機能する長形ノズルによって堰き止められ、フィルタ方向に圧力を生じるように流れの向きが変えられる。これにより、フィルタ面には面にほぼ垂直の一定の圧力で水流が加わる状態となり、かかる力によってフィルタの洗浄効果が得られる。被処理水ノズルからの水流によりフィルタ面が洗浄されつつ濾過されることと相まって高い洗浄効果が得られる。なお、図ではケース内の構造をわかりやすくするために空間を広く描いているが、実際には無駄な空間は極力少なく構成されることは言うまでも無い。濾過されない被処理水および、ケース内に沈殿した濁質分は、ケース底部の排出流路から順次排出される。なお、図では排出流炉にバルブなどを記載していないが、保守用や流量調節用に必要な機器を設けることはできる。一方、フィルタ1により濾過された濾過水はフィルタ内部にて中心配管4に設けられた取水穴41を通して濾過水流路7に導かれ、ケース外部に流出される。
【0051】
図8に示す構成例のもう一つの特徴は、クロスフロー濾過を行っていることである。すなわち、排出流路8から排出される、濾過されなかった被処理水を、戻し流路81を通して被処理水流路6に合流させる機構を設けていることである。これにより、被処理水全体としての濾過効率を高めることが可能となる。また、戻す量と流す量を適切に設定することで、濾過水を多く得つつフィルタの洗浄効果をも効果的に確保できる比率があることを確認した。今回、被処理水として30ton/H(時間)を流し、濾過水として20ton/Hを得て、排出10ton/Hの内の8ton/Hを戻す構成にすることで、洗浄効果を発揮しつつ濾過水量を確保出来た。
【0052】
以上の構成においても、さらに洗浄用のノズルを別に設けることもでき、洗浄能力を上げるために効果的である。洗浄用ノズルは図2と同様に設ければよいが、ノズル口を長形開口とすることによって一層高い洗浄効果を得ることが可能である。例えば上述の被処理水ノズルと同様の矩形開口を用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 フィルタ
2 被処理水ノズル
21 ノズル口
3 ケース
31 外筒部
32 蓋部
33 底部
4 中心配管
41 取水穴
5 方向変換板
6 被処理水流路
7 濾過水流路
8 排出流路
81 戻し流路
9 洗浄水ノズル
91 ノズル口
10a、10b 濾過処理ユニット
100 電動モータ
101 回転軸
102 モータカバー
103 濾過水検出部
110 駆動制御部
200 紫外線照射部
210 紫外線ランプ
220 紫外線照射チャンバー
230 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられたフィルタと、
該フィルタの外周面に向けて被処理水を流出する被処理水ノズルと、
前記フィルタを囲むように設けられ前記被処理水ノズルのノズル口を内部に備えた外筒部を有するケースと、
前記フィルタを透過した濾過水を前記フィルタの円筒内部から前記ケースの外部へ導出する濾過水流路と、
前記フィルタで濾過されなかった排出水を前記ケースの外部へ排出する排出流路と
を備えた船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項2】
前記被処理水ノズルのノズル口は、前記軸線方向を長辺方向とする長形開口である、請求項1に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項3】
前記長形開口の長辺長さが前記フィルタの軸線方向長さと略等しい、請求項1又は請求項2に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項4】
さらに、被処理水の円筒周方向の流れを円筒半径方向に変えるための方向変換板を、前記外筒部内壁から円筒軸線方向に延設した、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項5】
前記フィルタは、円筒半径方向に折り曲げられたプリーツ形状を有するプリーツフィルタである、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項6】
前記被処理水ノズルのノズル口は、前記軸線方向を長辺方向とする長形開口であり、 該長形開口の短辺長さが、前記プリーツフィルタのプリーツ間隔の3倍未満である、請求項5に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項7】
前記フィルタが被処理水ノズルから流出される被処理水の圧力によって回転するように構成されている、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項8】
前記フィルタを回転させるための電動モータを備えた、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項9】
前記フィルタの回転数が、20rpm以上150rpm以下である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項10】
さらに前記フィルタの外周面に向けて洗浄水を流出する洗浄水ノズルを備え、該洗浄水ノズルのノズル口は、前記軸線方向を長辺方向とする長形開口である、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項11】
前記排出水の一部を被処理水として利用可能となる位置に戻すための戻し流路を備えた、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項12】
前記ケース内に濾過水に紫外線を照射する紫外線ランプを備えた、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項13】
軸線を囲むように円筒配置され、該軸線を中心に回転自在に設けられたフィルタと、該フィルタの外周面に向けて被処理水を流出する被処理水ノズルとを有する濾過処理ユニットを複数備え、
前記複数の濾過処理ユニットが、前記軸線を同軸として縦型に配置され、
各濾過処理ユニットの前記フィルタ内部から濾過水を導出する共通の濾過水流路が設けられている、船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項14】
前記複数の濾過処理ユニットの前記フィルタに共通の回転軸と、該回転軸を回転させるための電動モータを備えた、
請求項13に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項15】
前記被処理水の濁度を検出する濁度検出部を備え、
該濁度検出部の出力に応じて前記電動モータの回転数を変化させるように構成されている、請求項8または請求項14に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項16】
前記濾過水の流量を検出する濾過水流量検出部を備え、
該濾過水流量検出部の出力に応じて前記電動モータの回転数を変化させるように構成されている、請求項8または請求項14に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項17】
前記濾過水の圧力を検出する濾過水圧力検出部を備え、
該濾過水圧力検出部の出力に応じて前記電動モータの回転数を変化させるように構成されている、請求項8または請求項14に記載の船舶用バラスト水の処理装置。
【請求項18】
軸線を囲むように円筒配置され該軸線を中心に回転自在に設けられたフィルタの外周面に向けて、被処理水ノズルを通じて被処理水を流出する被処理水流出工程と、
前記フィルタを透過した濾過水を前記フィルタの円筒内部から濾過水流路を通じて外部へ導出する濾過水抽出工程と、
前記フィルタで濾過されなかった排出水を排出流路を通じて外部へ排出する排出水排出工程とを備えた船舶用バラスト水の処理方法。
【請求項19】
前記被処理水流出工程は、前記フィルタの前記軸線方向の幅全体に亘って被処理水を流出する工程である、請求項18に記載の船舶用バラスト水の処理方法。
【請求項20】
前記フィルタは、円筒半径方向に折り曲げられたプリーツ形状を有するプリーツフィルタであり、前記プリーツフィルタは電動モータにより回転され、
前記被処理水ノズルのノズル口は前記軸線方向を長辺方向とする長形開口であり、前記長形開口の長辺長さが前記プリーツフィルタの軸線方向長さと略等しく、前記長形開口の短辺長さが、前記プリーツフィルタのプリーツ間隔の3倍未満に構成されている、
請求項18又は請求項19に記載の船舶用バラスト水の処理方法。
【請求項21】
前記排出水の一部を被処理水として利用するために戻すクロスフロー工程をさらに有する、請求項18乃至請求項20のいずれか1項に記載の船舶用バラスト水の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−194396(P2011−194396A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265877(P2010−265877)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】